JP7218323B2 - セリネクソールの多形体 - Google Patents

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Description

関連出願
本願は、2014年8月15日に出願された米国仮特許出願第62/038069号明細書の優先権を主張する。上記出願の教示全体が参照によって本明細書に援用される。
本発明は、セリネクソールの多形体に関する。
特許文献1は、染色体領域メンテナンス(chromosomal region maintenance)1(CRM1、エクスポーチン1またはXPO1とも称される)に対する阻害活性を有し、CRM1活性と関連するがんなどの疾患の治療に有用であると示されている一連の化合物を記載している。(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-N’-(ピラジン-2-イル)アクリロヒドラジド(セリネクソール(selinexor)とも称される)は、特許文献1に開示されている化合物の1つである。セリネクソールは、構造式I:
Figure 0007218323000001
に示される化学構造を有する。
化合物の固体形態は、医薬組成物の製剤において重要であり得る。例えば、化合物の結晶性形態と非晶質形態とは、医薬組成物における使用についてのその好適性に関連する異なる物性(例えば、安定性、溶解速度、密度など)を有し得る。物性の違いは、例えば、医薬組成物での使用に好適な形態の合成における中間体としての結晶性形態または非晶質形態の有用性にも影響し得る。
国際公開第2013/019548号パンフレット
熱力学的に安定で、医薬組成物における使用に好適な(例えば、容易に溶解可能で、良好な流動性を示し、望ましい粒径分布および良好な化学的安定性を有する)セリネクソールの結晶形態が必要とされている。高収率および高純度で医薬組成物に使用するためのセリネクソールの製造を可能にする物性を有するセリネクソールの結晶形態がさらに必要とされている。
本発明は、セリネクソールの結晶形態、および本明細書に記載されるセリネクソールの結晶形態を含む組成物に関する。セリネクソールは、構造式I:
Figure 0007218323000002
に示される化学構造を有し、本明細書ではKG8とも称される。
一実施形態において、構造式Iにより表される化合物の、形態Aである単結晶形態が提供される。この実施形態において、単結晶形態Aは、4.4°、19.9°、21.3°、および22.0°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる。単結晶形態Aは、本明細書に記載される形態のうちで熱力学的に最も安定である。
別の実施形態において、構造式Iにより表される化合物の、形態Dである単結晶形態が提供される。この実施形態において、単結晶形態Dは、3.7°、7.3°、10.9°、18.3°、および21.9°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる。形態Dは、セリネクソールの高収率および高純度のために独特な能力をもたらすため、形態Aの調製における中間体として使用される場合に特に有利である。
さらに別の実施形態において、構造式Iにより表される化合物の、形態Bである単結晶形態が提供される。この実施形態において、単結晶形態Bは、9.4°、11.1°、16.5°、18.3°、および18.8°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる。
別の実施形態において、構造式Iにより表される化合物の、形態Cである単結晶形態が提供される。この実施形態において、単結晶形態Cは、3.7°、11.2°、12.1°、および18.6°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる。
別の実施形態は、構造式Iにより表される化合物の、形態Aである単結晶形態の粒子を含む組成物である。単結晶形態Aは、4.4°、19.9°、21.3°、および22.0°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる。いくつかの実施形態において、組成物の粒子は、100ミクロン以下のd(0.9)により特徴付けられる単峰性粒径分布を有する。いくつかの実施形態において、組成物の粒子は、70ミクロン以下のd(0.9)により特徴付けられる単峰性粒径分布を有する。
別の実施形態は、構造式Iの化合物の単結晶形態Aの粒子を含む組成物および薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物である。単結晶形態Aは、4.4°、19.9°、21.3°、および22.0°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる。いくつかの実施形態において、組成物の粒子は、100ミクロン以下のd(0.9)により特徴付けられる単峰性粒径分布を有する。いくつかの実施形態において、組成物の粒子は、70ミクロン以下のd(0.9)により特徴付けられる単峰性粒径分布を有する。
医薬組成物は、それを必要とする対象におけるCRM1活性と関連する疾患(例えば、がん)を治療するか、または創傷治癒を促進する方法に使用できる。方法は、治療有効量の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
一実施形態は、構造式Iにより表される化合物の、形態Aである単結晶形態を調製する方法である。単結晶形態Aは、4.4°、19.9°、21.3°、および22.0°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる。方法は、構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または単結晶形態の2つ以上を含む混合物を、イソプロパノールまたはイソプロパノールと水との混合物に懸濁させて、スラリーを形成することと;約70℃以下の温度にスラリーを加熱して、第2のスラリーまたは溶液を形成することと;第2のスラリーまたは溶液を冷却し、かつ第2のスラリーまたは溶液に水を加えて、それにより構造式Iの化合物の結晶形態Aの固体粒子を形成することと;結晶形態Aの固体粒子を単離することとを含む。単結晶形態Dは、3.7°、7.3°、10.9°、18.3°、および21.9°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる。単結晶形態Bは、9.4°、11.1°、16.5°、18.3°、および18.8°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる。単結晶形態Cは、3.7°、11.2°、12.1°、および18.6°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線回折ピークにより特徴付けられる。
別の実施形態は、構造式Iにより表される化合物の、形態Aである単結晶形態を調製する方法である。単結晶形態Aは、4.4°、19.9°、21.3°、および22.0°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる。方法は、構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または単結晶形態の2つ以上を含む混合物を、イソプロパノールまたはイソプロパノールと水との混合物に懸濁させて、スラリーを形成することと;スラリーを約70℃以下の温度に加熱して、第2のスラリーまたは溶液を形成することと;第2のスラリーまたは溶液に水を加え、かつ第2のスラリーまたは溶液を冷却して、それにより構造式Iの化合物の結晶形態Aの固体粒子を形成することと;結晶形態Aの固体粒子を単離することとを含む。単結晶形態Dは、3.7°、7.3°、10.9°、18.3°、および21.9°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる。単結晶形態Bは、9.4°、11.1°、16.5°、18.3°、および18.8°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる。単結晶形態Cは、3.7°、11.2°、12.1°、および18.6°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線回折ピークにより特徴付けられる。
別の実施形態は、構造式Iにより表される化合物の、形態Aである単結晶形態を調製する方法である。単結晶形態Aは、4.4°、19.9°、21.3°、および22.0°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる。方法は、構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の2つ以上の結晶形態を含む混合物を加熱し、かつ結晶形態Aの固体粒子の形成を誘導すること;または構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の2つ以上の結晶形態を含む混合物を溶媒系中で熟成させ、かつ結晶形態Aの固体粒子の形成を誘導すること;または構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の2つ以上の結晶形態を含む混合物を乾燥させて、それにより結晶形態Aの固体粒子を形成すること;または前記の任意の組み合わせと;結晶形態Aの固体粒子を単離することとを含む。
さらに別の実施形態は、構造式Iにより表される化合物の、形態Dである単結晶形態を調製する方法である。単結晶形態Dは、3.7°、7.3°、10.9°、18.3°、および21.9°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる。方法は、構造式Iの化合物を、アセトニトリルを含む溶媒系中に溶解させることと;構造式Iの化合物の結晶形態Dの固体粒子の形成を誘導することと;結晶形態Dの固体粒子を単離することとを含む。
別の実施形態において、構造式Iの化合物を調製する方法が提供される。方法は、トリアルキルアミンと、2-メチルテトラヒドロフランと、構造式II:
Figure 0007218323000003
の化合物と、構造式III:
Figure 0007218323000004
の化合物とを合わせて、反応混合物を形成することと;反応混合物を約-80℃~約0℃に冷却することと;反応混合物をプロピルホスホン酸無水物により処理して、構造式Iの化合物を含む混合物を与えることと;混合物から構造式Iの化合物を単離することとを含む。
別の実施形態は、構造式Iにより表される化合物の、形態Aである単結晶形態を調製する方法である。単結晶形態Aは、4.4°、19.9°、21.3°、および22.0°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる。方法は、トリアルキルアミンと、2-メチルテトラヒドロフランと、構造式IIの化合物と、構造式IIIの化合物とを合わせて、反応混合物を形成することを含む。反応混合物は、約-80℃~約0℃に冷却され、かつプロピルホスホン酸無水物により処理されて、構造式Iの化合物を含む混合物を与える。構造式Iの化合物は反応混合物から単離され、および構造式Iの単離された化合物はアセトニトリルを含む溶媒系中に溶解される。構造式Iの化合物の単結晶形態Dを得るために、構造式Iの化合物の単結晶形態Dの固体粒子の形成が誘導され、および結晶形態Dの固体粒子が単離される。いくつかの場合、結晶形態Dの固体粒子の他に、構造式Iの結晶形態BもしくはC、または構造式Iの化合物の2つ以上の結晶形態B、C、もしくはDを含む混合物の固体粒子が単離される。単結晶形態D、またはいくつかの場合において構造式Iの単結晶形態BもしくはC、または構造式Iの化合物の2つ以上の結晶形態B、C、もしくはDを含む混合物は加熱され、かつ結晶形態Aの固体粒子の形成が誘導されるか;あるいは、単結晶形態D、またはいくつかの場合において構造式Iの単結晶形態BもしくはC、または構造式Iの化合物の2つ以上の結晶形態B、C、もしくはDを含む混合物が溶媒中で熟成され、かつ結晶形態Aの固体粒子の形成が誘導されるか;あるいは、単結晶形態D、またはいくつかの場合において構造式Iの単結晶形態BもしくはC、または構造式Iの化合物の2つ以上の結晶形態B、C、もしくはDを含む混合物が乾燥されて、それにより結晶形態Aの固体粒子を形成するか;または前記の任意の組み合わせである。結晶形態Aの固体粒子は単離される。単結晶形態Dは、3.7°、7.3°、10.9°、18.3°、および21.9°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる。単結晶形態Bは、9.4°、11.1°、16.5°、18.3°、および18.8°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる。単結晶形態Cは、3.7°、11.2°、12.1°、および18.6°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線回折ピークにより特徴付けられる。
別の実施形態は、構造式Iにより表される化合物の、形態Aである単結晶形態を調製する方法を提供する。単結晶形態Aは、4.4°、19.9°、21.3°、および22.0°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる。方法は、トリアルキルアミンと、2-メチルテトラヒドロフランと、構造式IIの化合物と、構造式IIIの化合物とを合わせて、反応混合物を形成することを含む。反応混合物は約-80℃~約0℃に冷却され、かつプロピルホスホン酸無水物により処理されて、構造式Iの化合物を含む混合物を提供する。構造式Iの化合物は混合物から単離されて、アセトニトリルを含む溶媒系に溶解される。構造式Iの化合物の単結晶形態Dを得るために、結晶形態Dの固体粒子の形成が誘導され、および結晶形態Dの固体粒子が単離される。いくつかの場合、結晶形態Dの固体粒子の他に、構造式Iの結晶形態BもしくはC、または構造式Iの化合物の2つ以上の結晶形態B、C、もしくはDを含む混合物の固体粒子が単離される。単結晶形態D、または構造式Iの化合物の単結晶形態BもしくはC、または構造式Iの化合物の2つ以上の結晶形態を含む混合物は、イソプロパノールまたはイソプロパノールと水との混合物に懸濁されてスラリーを形成し、およびスラリーは約70℃以下の温度に加熱されて、第2のスラリーまたは溶液を形成する。第2のスラリーまたは溶液は放冷され、かつ水が加えられて、それにより構造式Iの化合物の結晶形態Aの固体粒子を形成する。結晶形態Aの固体粒子が単離される。単結晶形態Dは、3.7°、7.3°、10.9°、18.3°、および21.9°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる。単結晶形態Bは、9.4°、11.1°、16.5°、18.3°、および18.8°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる。単結晶形態Bは、3.7°、11.2°、12.1°、および18.6°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線回折ピークにより特徴付けられる。前記の代替的な実施形態において、第2のスラリーまたは溶液に水が加えられ、次いで冷却が実施される。
本明細書に記載される単結晶形態Dは、本明細書に開示される方法に従って、高収率および高純度で調製できる。単結晶形態Dの非常に高い純度は、薬学的使用のための高純度の単結晶形態Aに変換することができる一方で、単結晶形態Dの高収率は、製造スケールでの使用に適している単結晶形態Aを製造する方法に変換する(例えば、高い収率および純度を達成する)ことができる。単結晶形態D(または形態BもしくはC)を本明細書に記載される単結晶形態Aに転化する手順を利用すると、単結晶形態Aは、医薬組成物としての製剤に適した粒径分布を有する単結晶形態Aの粒子を含む組成物として単離できる(例えば、容易に溶解可能でないにもかかわらず、経口的にバイオアベイラブルであり、および/または良好な流動性を示す)。さらに、本明細書に記載される4つの形態のうち、形態Aは熱力学的に最も安定な形態である。
前記は、本発明の例の実施形態の以下のより詳細な説明から明らかであろう。
即ち、本発明の要旨は、
[1]構造式I:
Figure 0007218323000005

により表される化合物の単結晶形態の粒子を含む組成物であって、前記単結晶形態が形態Aであり、かつ4.4°、19.9°、21.3°、および22.0°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ;および
前記粒子が、100ミクロン以下のd(0.9)により特徴付けられる単峰性粒径分布を有する、組成物、
[2]前記単峰性粒径分布が70ミクロン以下のd(0.9)により特徴付けられる、[1]に記載の組成物、
[3]前記結晶形態が、4.4°、19.9°、21.3°、および22.0°の2θ角のX線粉末回折ピークにより特徴付けられる、[1]または[2]に記載の組成物、
[4]前記結晶形態が、4.4°、19.9°、20.3°、21.3°、22.0°、23.5°、および25.0°の2θ角のX線粉末回折ピークにより特徴付けられる、[3]に記載の組成物、
[5]前記結晶形態が、4.4°、13.1°、15.8°、18.2°、19.9°、20.3°、21.3°、22.0°、23.5°、23.7°、25.0°、27.0°、28.3°、および28.5°の2θ角のX線粉末回折ピークにより特徴付けられる、[4]に記載の組成物、
[6]前記結晶形態が、図1Aに描写されるものと実質的に一致するX線粉末回折パターンにより特徴付けられる、[1]または[2]に記載の組成物、
[7]前記結晶形態が、179℃での吸熱ピークを含む示差走査熱量測定サーモグラムによりさらに特徴付けられる、[1]~[6]のいずれか一項に記載の組成物、
[8]前記粒子が、10ミクロン~100ミクロンのd(0.9)により特徴付けられる粒径分布を有する、[1]~[7]のいずれか一項に記載の組成物、
[9]前記粒子が、25ミクロン~100ミクロンのd(0.9)により特徴付けられる粒径分布を有する、[8]に記載の組成物、
[10]前記粒子が、60ミクロン~100ミクロンのd(0.9)により特徴付けられる粒径分布を有する、[9]に記載の組成物、
[11]前記粒子が、10ミクロン~70ミクロンのd(0.9)により特徴付けられる粒径分布を有する、[9]に記載の組成物、
[12]前記粒子が、25ミクロン~70ミクロンのd(0.9)により特徴付けられる粒径分布を有する、[9]に記載の組成物、
[13]前記粒子が、60ミクロン~70ミクロンのd(0.9)により特徴付けられる粒径分布を有する、[9]に記載の組成物、
[14]前記粒子が、10ミクロン~35ミクロンのd(0.5)により特徴付けられる粒径分布を有する、[1]~[13]のいずれか一項に記載の組成物、
[15]前記粒子が、15ミクロン~30ミクロンのd(0.5)により特徴付けられる粒径分布を有する、[14]に記載の組成物、
[16]前記粒子が、25ミクロン~30ミクロンのd(0.5)により特徴付けられる粒径分布を有する、[15]に記載の組成物、
[17]前記粒子が、5ミクロン以上のd(0.1)により特徴付けられる粒径分布を有する、[1]~[16]のいずれか一項に記載の組成物、
[18]前記粒子が、10ミクロンを超えるd(0.1)により特徴付けられる粒径分布を有する、[17]に記載の組成物、
[19]前記粒子が、5ミクロン~15ミクロンのd(0.1)により特徴付けられる粒径分布を有する、[1]~[17]のいずれか一項に記載の組成物、
[20]前記粒子が、10ミクロン~15ミクロンのd(0.1)により特徴付けられる粒径分布を有する、[19]に記載の組成物、
[21]前記粒子が正規粒径分布を有する、[1]~[20]のいずれか一項に記載の組成物、
[22]前記粒子が、10以下のd(0.9):d(0.1)比により特徴付けられる粒径分布を有する、[1]~[21]のいずれか一項に記載の組成物、
[23]7.5以下のd(0.9):d(0.1)比により特徴付けられる、[22]に記載の組成物、
[24]6以下のd(0.9):d(0.1)比により特徴付けられる、[23]に記載の組成物、
[25]前記粒子が、2~10のd(0.9):d(0.1)比により特徴付けられる粒径分布を有する、[1]~[21]のいずれか一項に記載の組成物、
[26]5~7.5のd(0.9):d(0.1)比により特徴付けられる、[25]に記載の組成物、
[27]5~6のd(0.9):d(0.1)比により特徴付けられる、[26]に記載の組成物、
[28]前記粒子が、4.5以下のd(0.9):d(0.5)比により特徴付けられる粒径分布を有する、[1]~[27]のいずれか一項に記載の組成物、
[29]3以下のd(0.9):d(0.5)比により特徴付けられる、[28]に記載の組成物、
[30]前記粒子が、1.5~4.5のd(0.9):d(0.5)比により特徴付けられる粒径分布を有する、[1]~[29]のいずれか一項に記載の組成物、
[31]2~3のd(0.9):d(0.5)比により特徴付けられる、[30]に記載の組成物、
[32][1]~[31]のいずれか一項に記載の組成物および薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物、
[33]CRM1活性と関連する疾患を治療する方法であって、治療有効量の[32]に記載の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法、
[34]前記疾患が、増殖性疾患、がん、炎症性疾患、自己免疫疾患、ウイルス感染症、眼科疾患、神経変性疾患、異常な組織成長の疾患、食品摂取に関連する疾患、アレルギー性疾患、または呼吸器疾患である、[33]に記載の方法、
[35]前記疾患ががんである、[34]に記載の方法、
[36]創傷治癒を、それを必要とする対象において促進する方法であって、治療有効量の[32]に記載の医薬組成物を、それを必要とする前記対象に投与することを含む方法、
[37]構造式I:
Figure 0007218323000006

により表される化合物の単結晶形態であって、形態Dであり、かつ3.7°、7.3°、10.9°、18.3°、および21.9°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる単結晶形態、
[38]3.7°、7.3°、10.9°、18.3°、および21.9°の2θ角のX線粉末回折ピークにより特徴付けられる、[37]に記載の単結晶形態、
[39]3.7°、7.3°、9.7°、10.9°、18.3°、19.2°、および21.9°の2θ角のX線粉末回折ピークにより特徴付けられる、[38]に記載の単結晶形態、
[40]3.7°、7.3°、9.7°、10.9°、11.1°、18.3°、19.2°、19.5°、20.6°、および21.9°の2θ角のX線粉末回折ピークにより特徴付けられる、[39]に記載の単結晶形態、
[41]図2Aに描写されるものと実質的に一致するX線粉末回折パターンにより特徴付けられる、[37]に記載の単結晶形態、
[42]構造式Iの前記化合物が溶媒和物の形態である、[37]~[41]のいずれか一項に記載の単結晶形態、
[43]前記溶媒和物がアセトニトリル溶媒和物である、[42]に記載の単結晶形態、
[44]前記溶媒和物が、構造式Iの前記化合物のモル当量あたり約0.5~約1.5モル当量の溶質を含む、[42]または[43]に記載の単結晶形態、
[45]前記溶媒和物が、構造式Iの前記化合物のモル当量あたり約1モル当量の溶質を含む、[44]に記載の単結晶形態、
[46]構造式I:
Figure 0007218323000007

により表される化合物の単結晶形態であって、形態Cであり、かつ3.7°、11.2°、12.1°、および18.6°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる単結晶形態、
[47]3.7°、11.2°、12.1°、および18.6°から選択される2θ角のX線粉末回折ピークにより特徴付けられる、[46]に記載の単結晶形態、
[48]3.7°、11.2°、17.7°、12.1°、18.6°、19.7°、21.2°、および22.2°から選択される2θ角のX線粉末回折ピークにより特徴付けられる、[47]に記載の単結晶形態、
[49]図4Aに描写されるものと実質的に一致するX線粉末回折パターンにより特徴付けられる、[46]に記載の単結晶形態、
[50]構造式I:
Figure 0007218323000008

により表される化合物の単結晶形態であって、形態Bであり、かつ9.4°、11.1°、16.5°、18.3°、および18.8°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる単結晶形態、
[51]9.4°、11.1°、16.5°、18.3°、および18.8°の2θ角のX線粉末回折ピークにより特徴付けられる、[50]に記載の単結晶形態、
[52]9.4°、11.1°、16.5°、18.3°、18.8°、20.2°、および20.8°の2θ角のX線粉末回折ピークにより特徴付けられる、[51]に記載の単結晶形態、
[53]8.1°、9.4°、11.1°、13.8°、16.5°、18.3°、18.8°、20.2°、および20.8°の2θ角のX線粉末回折ピークにより特徴付けられる、[52]に記載の単結晶形態、
[54]図3Aに描写されるものと実質的に一致するX線粉末回折パターンにより特徴付けられる、[50]に記載の単結晶形態、
[55]構造式I:
Figure 0007218323000009

により表される化合物の単結晶形態を調製する方法であって、前記単結晶形態が形態Aであり、かつ4.4°、19.9°、21.3°、および22.0°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ、前記方法が、
(a)構造式Iの前記化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの前記化合物の単結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物を、イソプロパノールまたはイソプロパノールと水との混合物に懸濁させて、スラリーを形成することであって、単結晶形態Dは、3.7°、7.3°、10.9°、18.3°、および21.9°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ、単結晶形態Bは、9.4°、11.1°、16.5°、18.3°、および18.8°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ、および単結晶形態Cは、3.7°、11.2°、12.1°、および18.6°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線回折ピークにより特徴付けられる、形成することと;
(b)前記スラリーを約70℃以下の温度に加熱して、第2のスラリーまたは溶液を形成することと;
(c)前記第2のスラリーまたは前記溶液を冷却し、かつ前記第2のスラリーまたは前記溶液に水を加えて、それにより構造式Iの前記化合物の結晶形態Aの固体粒子を形成することと;
(d)結晶形態Aの前記固体粒子を単離して、それにより構造式Iの前記化合物の単結晶形態Aの粒子を含む組成物を調製することと
を含む、方法、
[56]構造式I:
Figure 0007218323000010

により表される化合物の単結晶形態を調製する方法であって、前記単結晶形態が形態Aであり、かつ4.4°、19.9°、21.3°、および22.0°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ、前記方法が、
(a)構造式Iの前記化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの前記化合物の単結晶B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物を、イソプロパノールまたはイソプロパノールと水との混合物に懸濁させて、スラリーを形成することであって、単結晶形態Dは、3.7°、7.3°、10.9°、18.3°、および21.9°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ、単結晶形態Bは、9.4°、11.1°、16.5°、18.3°、および18.8°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ、および単結晶形態Cは、3.7°、11.2°、12.1°、および18.6°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線回折ピークにより特徴付けられる、形成することと;
(b)前記スラリーを約70℃以下の温度に加熱して、第2のスラリーまたは溶液を形成することと;
(c)前記第2のスラリーまたは前記溶液に水を加え、かつ前記第2のスラリーまたは前記溶液を冷却して、それにより構造式Iの前記化合物の結晶形態Aの固体粒子を形成することと;
(d)結晶形態Aの前記固体粒子を単離して、それにより構造式Iの前記化合物の単結晶形態Aの粒子を含む組成物を調製することと
を含む、方法、
[57]前記固体粒子が、100ミクロン以下のd(0.9)により特徴付けられる単峰性粒径分布を有する、[55]または[56]に記載の方法、
[58]前記固体粒子が、70ミクロン以下のd(0.9)により特徴付けられる単峰性粒径分布を有する、[55]または[56]に記載の方法、
[59]構造式Iの前記化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの前記化合物の構造式Iの前記化合物の前記単結晶形態の2つ以上を含む混合物が、工程(a)において、イソプロパノールと水との混合物に懸濁される、[55]~[58]のいずれか一項に記載の方法、
[60]イソプロパノールと水との前記混合物中の水に対するイソプロパノールの体積による比が約0.1~約4である、[55]~[59]のいずれか一項に記載の方法、
[61]イソプロパノールと水との前記混合物中の水に対するイソプロパノールの体積による前記比が約1である、[60]に記載の方法、
[62]構造式Iの前記化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの前記化合物の単結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物が、構造式Iの前記化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの前記化合物の単結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物に対して約5~約10重量部の量のイソプロパノールまたはイソプロパノールと水との混合物に懸濁される、[55]~[61]のいずれか一項に記載の方法、
[63]構造式Iの前記化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの前記化合物の単結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物が、構造式Iの前記化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの前記化合物の単結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物に対して約6~約7重量部の量のイソプロパノールまたはイソプロパノールと水との混合物に懸濁される、[55]~[61]のいずれか一項に記載の方法、
[64]前記スラリーが約50℃以下の温度に加熱される、[55]~[63]のいずれか一項に記載の方法、
[65]前記スラリーが約35℃~約70℃の温度に加熱される、[55]~[63]のいずれか一項に記載の方法、
[66]前記スラリーが約35℃~約50℃の温度に加熱される、[65]に記載の方法、
[67]前記スラリーが約65℃~約70℃の温度に加熱される、[66]に記載の方法、
[68]前記第2のスラリーまたは前記溶液が約0℃~約55℃に冷却される、[55]~[67]のいずれか一項に記載の方法、
[69]前記第2のスラリーまたは前記溶液が約0℃~約5℃に冷却される、[68]に記載の方法、
[70]前記第2のスラリーまたは前記溶液が約15℃~約20℃に冷却される、[68]に記載の方法、
[71]前記第2のスラリーまたは前記溶液が約45℃~約50℃に冷却される、[68]に記載の方法、
[72]水が、前記第2のスラリーまたは前記溶液に、構造式Iの前記化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの前記化合物の単結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物に対して約5重量部~約15重量部の量で加えられる、[55]~[71]のいずれか一項に記載の方法、
[73]水が、前記第2のスラリーまたは前記溶液に、構造式Iの前記化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの前記化合物の単結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物に対して約7重量部~約10重量部の量で加えられる、[72]に記載の方法、
[74]水が、前記第2のスラリーまたは前記溶液に、構造式Iの前記化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの前記化合物の単結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物に対して約10重量部の量で加えられる、[73]に記載の方法、
[75]構造式I:
Figure 0007218323000011

により表される化合物の単結晶形態を調製する方法であって、前記単結晶形態が形態Aであり、かつ4.4°、19.9°、21.3°、および22.0°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ、前記方法が、
構造式Iの前記化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの前記化合物の結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物を加熱し、かつ結晶形態Aの固体粒子の形成を誘導すること;または
構造式Iの単結晶形態B、C、もしくはD、もしくは前記化合物、または構造式Iの前記化合物の結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物を溶媒系中で熟成させ、かつ結晶形態Aの固体粒子の形成を誘導すること;または
構造式Iの前記化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの前記化合物の結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物を乾燥させて、それにより結晶形態Aの固体粒子を形成すること;または
前記の任意の組み合わせと;
結晶形態Aの前記固体粒子を単離して、それにより構造式Iの前記化合物の単結晶形態Aを調製することと
を含む、方法、
[76]構造式Iの前記化合物の結晶形態B、C、またはDの2つ以上を含む混合物を加熱し、かつ結晶形態Aの固体粒子の形成を誘導すること;または
構造式Iの前記化合物の結晶形態B、C、またはDの2つ以上を含む混合物を溶媒系中で熟成させ、かつ結晶形態Aの固体粒子の形成を誘導すること;または
構造式Iの前記化合物の結晶形態B、C、またはDの2つ以上を含む混合物を乾燥させて、それにより結晶形態Aの固体粒子を形成すること;または
前記の任意の組み合わせ
を含む、[75]に記載の方法、
[77]2つ以上の結晶形態を含む前記混合物が、任意選択で形態Aを含む、[75]または[76]に記載の方法、
[78]前記混合物が、形態B、形態C、または形態Dから選択される2つ以上の結晶形態を含む、[77]に記載の方法、
[79]構造式Iの前記化合物の単結晶形態B、C、またはDを加熱し、かつ結晶形態Aの固体粒子の形成を誘導すること;または
構造式Iの前記化合物の単結晶形態B、C、またはDを溶媒系中で熟成させ、かつ結晶形態Aの固体粒子の形成を誘導すること;または
構造式Iの前記化合物の単結晶形態B、C、またはDを乾燥させて、それにより結晶形態Aの固体粒子を形成すること;または
前記の任意の組み合わせ
を含む、[75]に記載の方法、
[80]前記単結晶形態が形態Bである、[75]または[79]に記載の方法、
[81]前記単結晶形態が形態Cである、[75]または[79]に記載の方法、
[82]前記単結晶形態が形態Dである、[75]または[79]に記載の方法、
[83]構造式I:
Figure 0007218323000012

により表される化合物の単結晶形態を調製する方法であって、前記単結晶形態が形態Dであり、かつ3.7°、7.3°、10.9°、18.3°、および21.9°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ、前記方法が、
構造式Iの前記化合物を、アセトニトリルを含む溶媒系に溶解させることと;
構造式Iの前記化合物の結晶形態Dの固体粒子の形成を誘導することと;
結晶形態Dの前記固体粒子を単離して、それにより構造式Iの前記化合物の単結晶形態Dを調製することと
を含む、方法、
[84]単結晶形態Dが溶媒和物の形態である、[83]に記載の方法、
[85]前記溶媒和物がアセトニトリル溶媒和物である、[84]に記載の方法、
[86]前記溶媒系が20体積%を超えるアセトニトリルを含む、[83]または[84]に記載の方法、
[87]前記溶媒系が約40体積%以上のアセトニトリルを含む、[86]に記載の方法、
[88]前記溶媒系が約95体積%以上のアセトニトリルを含む、[87]に記載の方法、
[89]結晶形態Dの固体粒子の形成を誘導することが、構造式Iの前記化合物を、アセトニトリルを含む溶媒系に溶解させることにより形成された溶液を冷却することを含む、[83]~[88]のいずれか一項に記載の方法、
[90]構造式Iの化合物を調製する方法であって:
トリアルキルアミンと、2-メチルテトラヒドロフランと、構造式II:
Figure 0007218323000013

の化合物と、構造式III:
Figure 0007218323000014

の化合物とを合わせて、反応混合物を形成することと;
前記反応混合物を約-80℃~約0℃に冷却することと;
前記反応混合物をプロピルホスホン酸無水物により処理して、構造式Iの前記化合物を含む混合物を与えることと;
前記混合物から構造式Iの前記化合物を単離することと
を含む方法、
[91]前記トリアルキルアミンがジイソプロピルエチルアミンである、[90]に記載の方法、
[92]前記反応混合物を約-50℃~約-15℃に冷却することを含む、[90]または[91]に記載の方法、
[93]前記反応混合物を約-25℃~約-20℃に冷却することを含む、[92]に記載の方法、
[94]前記混合物から構造式Iの前記化合物を単離することが、水性のクエンチ溶液を、構造式Iの前記化合物を含む前記混合物に加えることと、前記生じたクエンチされた反応混合物の抽出型後処理を実施することとを含む、[90]~[93]のいずれか一項に記載の方法、
[95]前記水性クエンチ溶液が水であり、および前記抽出型後処理が、前記クエンチされた反応混合物を塩化ナトリウムの水溶液で洗浄することを含む、[94]に記載の方法、
[96]構造式I:
Figure 0007218323000015

により表される化合物の単結晶形態を調製する方法であって、前記単結晶形態が形態Aであり、かつ4.4°、19.9°、21.3°、および22.0°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ、前記方法が、
(a)トリアルキルアミンと、2-メチルテトラヒドロフランと、構造式II:
Figure 0007218323000016

の化合物と、構造式III:
Figure 0007218323000017

の化合物とを合わせて、反応混合物を形成することと;
(b)前記反応混合物を約-80℃~約0℃に冷却することと;
(c)前記反応混合物をプロピルホスホン酸無水物により処理して、構造式Iの前記化合物を含む混合物を与えることと;
(d)前記混合物から構造式Iの前記化合物を単離することと;
(e)構造式Iの前記単離された化合物を、アセトニトリルを含む溶媒系に溶解させることと;
(f)構造式Iの前記化合物の結晶形態Dの固体粒子の形成を誘導し、かつ結晶形態Dの前記固体粒子を単離して、構造式Iの前記化合物の単結晶形態D、または構造式Iの前記化合物の単結晶形態BもしくはC、または構造式Iの前記化合物の単結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物を得ることであって、単結晶形態Dは、3.7°、7.3°、10.9°、18.3°、および21.9°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる、得ることと;
(g)単結晶形態D、または構造式Iの前記化合物の単結晶形態BもしくはC、または構造式Iの前記化合物の単結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物を加熱し、かつ結晶形態Aの固体粒子の形成を誘導すること;または単結晶形態D、または構造式Iの前記化合物の単結晶形態BもしくはC、または構造式Iの前記化合物の結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物を溶媒系中で熟成させ、かつ結晶形態Aの固体粒子の形成を誘導すること;または単結晶形態D、または構造式Iの前記化合物の単結晶形態BもしくはC、または構造式Iの前記化合物の結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物を乾燥させて、それにより結晶形態Aの固体粒子を形成すること;または前記の任意の組み合わせと;
(h)結晶形態Aの前記粒子を単離して、それにより構造式Iの前記化合物の単結晶形態Aを調製することと
を含む、方法、
[97]構造式I:
Figure 0007218323000018

により表される化合物の単結晶形態を調製する方法であって、前記単結晶形態が形態Aであり、かつ4.4°、19.9°、21.3°、および22.0°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ、前記方法が、
(a)トリアルキルアミンと、2-メチルテトラヒドロフランと、構造式II:
Figure 0007218323000019

の化合物と、構造式III:
Figure 0007218323000020

の化合物とを合わせて、反応混合物を形成することと;
(b)前記反応混合物を約-80℃~約0℃に冷却することと;
(c)前記反応混合物をプロピルホスホン酸無水物により処理して、構造式Iの前記化合物を含む混合物を与えることと;
(d)前記混合物から構造式Iの前記化合物を単離することと;
(e)構造式Iの前記単離された化合物を、アセトニトリルを含む溶媒系に溶解させることと;
(f)構造式Iの前記化合物の結晶形態Dの固体粒子の形成を誘導し、かつ結晶形態Dの前記固体粒子、あるいは構造式Iの前記化合物の単結晶形態BもしくはC、または構造式Iの前記化合物の単結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物の固体粒子を単離して、構造式Iの前記化合物の単結晶形態D、または構造式Iの前記化合物の単結晶形態BもしくはC、または構造式Iの前記化合物の結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物を得ることであって、単結晶形態Dは、3.7°、7.3°、10.9°、18.3°、および21.9°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる、得ることと;
(g)単結晶形態D、または構造式Iの前記化合物の単結晶形態BもしくはC、または構造式Iの前記化合物の単結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物を、イソプロパノールまたはイソプロパノールと水との混合物に懸濁させて、スラリーを形成することと;
(h)前記スラリーを約70℃以下の温度に加熱して、第2のスラリーまたは溶液を形成することと;
(i)前記第2のスラリーまたは前記溶液を冷却し、かつ前記第2のスラリーまたは前記溶液に水を加えて、それにより構造式Iの前記化合物の結晶形態Aの固体粒子を形成することと;
(j)結晶形態Aの前記固体粒子を単離して、それにより構造式Iの前記化合物の単結晶形態Aを調製することと
を含む、方法
に関する。
本発明により、熱力学的に安定で、医薬組成物における使用に好適なセリネクソールの結晶形態が提供され得る。
実施例1に記載の手順に従って調製された構造式I-形態AのX線粉末回折(XRPD)パターンである。 実施例1に記載の手順に従って調製された構造式I-形態Aの示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムおよび熱重量分析(TGA)サーモグラムである。 実施例7に記載の手順に従って調製された構造式I-形態Dのアセトニトリル溶媒和物のXRPDパターンである。 実施例7に記載の手順に従って調製された構造式I-形態DのDSCサーモグラムおよびTGAサーモグラムである。 実施例7に記載の手順に従って調製された構造式I-形態BのXRPDパターンである。 実施例7に記載の手順に従って調製された構造式I-形態BのDSCサーモグラムである。 実施例7に記載の手順に従って調製された構造式I-形態CのXRPDパターンである。 実施例7に記載の手順に従って調製された構造式I-形態CのDSCサーモグラムである。 実施例1に記載の手順に従って調製されたロット番号1305365のセリネクソール粒子の粒径分布を示す。 実施例1に記載の手順に従って調製されたロット番号1305365のセリネクソール粒子の粒径分布を示す。 実施例2に記載の手順に従って調製されたロット番号1341-AK-109-2のセリネクソール粒子の粒径分布を示す。 実施例2に記載の手順に従って調製されたロット番号1341-AK-109-2のセリネクソール粒子の粒径分布を示す。 実施例3に記載の手順に従って調製されたロット番号PC-14-005のセリネクソール粒子の粒径分布を示す。 実施例3に記載の手順に従って調製されたロット番号PC-14-005のセリネクソール粒子の粒径分布を示す。 実施例5に記載の手順に従って調製されたロット番号1339-BS-142-1のセリネクソール粒子の粒径分布を示す。 実施例5に記載の手順に従って調製されたロット番号1339-BS-142-1のセリネクソール粒子の粒径分布を示す。 実施例5に記載の手順に従って調製されたロット番号1339-BS-142-2のセリネクソール粒子の粒径分布を示す。 実施例5に記載の手順に従って調製されたロット番号1339-BS-142-2のセリネクソール粒子の粒径分布を示す。 実施例5に記載の手順に従って調製されたロット番号PC-14-008のセリネクソール粒子の粒径分布を示す。 実施例5に記載の手順に従って調製されたロット番号PC-14-008のセリネクソール粒子の粒径分布を示す。 実施例4に記載の手順に従って調製されたロット番号PC-14-009のセリネクソール粒子の粒径分布を示す。 実施例4に記載の手順に従って調製されたロット番号PC-14-009のセリネクソール粒子の粒径分布を示す。 実施例6に記載の手順に従って調製されたロット番号1405463のセリネクソール粒子の粒径分布を示す。 実施例6に記載の手順に従って調製されたロット番号1405463のセリネクソール粒子の粒径分布を示す。 グラフであり、図5A~5Pのグラフに描かれた粒径分布の重ね書きを示す。
本発明の例の実施形態の説明が続く。
セリネクソールの結晶形態
結晶形態A、結晶形態B、結晶形態C、および結晶形態Dと称される構造式Iの化合物の結晶形態が本明細書において提供される。
「結晶性」は、本明細書の用法では、構成要素部分間に一定の距離を有する、原子、イオン、または分子(例えば、無水分子もしくはその塩、その溶媒和物、または前記の組み合わせ)の繰り返される三次元パターンにより形成される均質な固体を指す。単位格子は、このパターン中の最も単純な繰り返し単位である。
本明細書において提供される結晶形態は単結晶形態であり得るか、または2つ以上の異なる結晶形態の混合物を含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、構造式Iの化合物の結晶形態A、B、C、およびDが単結晶形態(すなわち単結晶形態A、単結晶形態B、単結晶形態C、単結晶形態D)として提供される。代替として、結晶形態は、構造式Iの化合物の2つ以上の結晶形態の混合物(例えば、結晶形態A、B、C、およびDの2つ以上、具体的には、結晶形態B、C、およびDの2つ以上の混合物)を含み得る。
「単結晶形態」は、本明細書の用法では、結晶性固体の単結晶または複数の結晶のそれぞれが同じ結晶形態を有する結晶性固体の複数の結晶を指す。
本明細書において提供される結晶形態(例えば、単結晶形態)は、X線粉末回折(XRPD)分析における特性ピークに基づいて特定できる。XRPDは、散乱角度の関数として、粉末または微晶質の物質により散乱されたX線、中性子、または電子を測定する科学的技法である。特定の固体によりもたらされた回折パターンは、典型的にはその固体に特有であり、その固体を特定する「指紋」として利用できるため、XRPDは、結晶性の固体を特定および特性化するのに使用できる。例えば、基準XRPDパターンまたはディフラクトグラムと実質的に一致するXRPDパターンまたはディフラクトグラム(例えば、未知試料などの試料によりもたらされたパターンまたはディフラクトグラム)を利用して、試料物質と基準物質との同一性を決定できる。XRPDディフラクトグラムのピークの位置と相対強度との両方が物質の特定の相およびアイデンティティを示す。
図1A、2A、3A、および4Aは、本明細書に記載される種々の単結晶形態のXRPDパターンを示す。XRPDパターンまたはディフラクトグラムを示す本明細書の1つ以上の図と「実質的に一致する」XRPDパターンは、本明細書において提供される1つ以上の図のXRPDパターンを与えた構造式Iの化合物の試料と同じ構造式Iの化合物の単結晶形態を表すと当業者により考えられるであろうXRPDパターンである。そのため、実質的に一致するXRPDパターンは、図のうちの1つのものと同一であることも、より高確率には、図の1つ以上と幾分異なっていることもある。図の1つ以上と幾分異なっているXRPDパターンは、本明細書に表される回折パターンのラインのそれぞれを必ずしも示さないことがあり、かつ/またはラインの外見もしくは強度のわずかな変化もしくはラインの位置のずれを示すことがある。これらの差異は、典型的には、データを得る際の条件の差異またはデータを得るのに使用された試料の純度の差異から生じる。当業者は、試料のXRPDパターンと本明細書に開示される対応するXRPDパターンとの比較により、結晶性化合物の試料が同じ形態であるか、本明細書に開示される形態と異なる形態であるかを決定できる。
図または実施例に明示される2θ角を例外として、本明細書に明示される任意の2θ角が、明示される値±0.2°を意味すると理解されるものとする。例えば、記載される実施形態または請求項が4.4°の2θを明示する場合、これは、4.4°±0.2°、すなわち、4.2°~4.6°の2θ角を意味すると理解されるものとする。
本明細書において提供される結晶形態(例えば、単結晶形態)は、示差走査熱量測定(DSC)および/または熱重量分析(TGA)に基づいても特定できる。DSCは、試料の温度を上昇させるのに要する熱の量の差異が温度の関数として測定される熱分析技法である。DSCを利用して、試料の相転移などの物理的変換を検出できる。例えば、DSCを利用して、試料が、結晶化、融解、またはガラス転移を起こす温度を検出できる。
TGAは、物質の物理的および化学的性質の変化が、上昇する温度の関数として(一定の加熱速度で)、または時間の関数として(一定の温度および/または一定の質量減少で)測定される熱重量分析の方法である。TGAは、二次相転移などの物理現象または脱溶媒和および/もしくは分解などの化学現象に関する情報を提供できる。
図1B、2B、3B、および4Bは、本明細書に記載される種々の単結晶形態のDSCサーモグラムを示す。図1Bおよび2Bは、本明細書に記載される種々の単結晶形態のTGAサーモグラムを示す。DSCまたはTGAサーモグラムを示す本明細書の1つ以上の図と「実質的に一致する」DSCまたはTGAサーモグラムは、本明細書において提供される1つ以上の図のDSCまたはTGAサーモグラムを与えた構造式Iの化合物の試料と同じ構造式Iの化合物の単結晶形態を表すと当業者により考えられるであろうDSCまたはTGAサーモグラムである。
図または実施例中のDSCまたはTGA温度を例外として、本明細書に明示されるDSCまたはTGAと関連した任意の温度が、明示される値±5℃以下を意味すると理解されるものとする。例えば、実施形態または請求項が約179℃での吸熱ピークを明示する場合、これは、179℃±5℃以下、すなわち174℃~184℃の温度を意味すると理解されるものとする。好ましい実施形態において、DSCまたはTGA温度は、明示された値±3℃であり、より好ましい実施形態において、±2℃である。
第1の実施形態において、構造式Iにより表される化合物の、形態Aである単結晶形態が提供される。形態Aは、本明細書に記載される4つの形態のうちで熱力学的に最も安定である。単結晶形態Aは、4.4°、19.9°、21.3°、および22.0°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ得る。特定の実施形態において、単結晶形態Aは、4.4°、19.9°、21.3°、および22.0°の2θ角のX線粉末回折ピーク、より詳細には、4.4°、19.9°、20.3°、21.3°、22.0°、23.5°、および25.0°の2θ角のX線粉末回折ピーク、さらにより詳細には、4.4°、13.1°、15.8°、18.2°、19.9°、20.3°、21.3°、22.0°、23.5°、23.7°、25.0°、27.0°、28.3°、および28.5°の2θ角のX線粉末回折ピークにより特徴付けられる。いくつかの実施形態において、単結晶形態Aは、図1Aに描かれるものと実質的に一致するX線粉末回折パターンにより特徴付けられる。
単結晶形態Aは、約179℃の吸熱ピークを含むDSCサーモグラムによりさらに特徴付けられ得る。いくつかの実施形態において、単結晶形態Aは、図1Bに描かれるものと実質的に一致するDSCサーモグラムおよび/またはTGAサーモグラムによりさらに特徴付けられる。
第2の実施形態において、構造式Iにより表される化合物の、形態Dである単結晶形態が提供される。単結晶形態Dは、3.7°、7.3°、10.9°、18.3°、および21.9°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ得る。特定の実施形態において、単結晶形態Dは、3.7°、7.3°、10.9°、18.3°、および21.9°の2θ角のX線粉末回折ピーク、より詳細には、3.7°、7.3°、9.7°、10.9°、18.3°、19.2°、および21.9°の2θ角のX線粉末回折ピーク、さらにより詳細には、3.7°、7.3°、9.7°、10.9°、11.1°、18.3°、19.2°、19.5°、20.6°、および21.9°の2θ角のX線粉末回折ピークにより特徴付けられる。いくつかの実施形態において、単結晶形態Dは、図2Aに描かれるものと実質的に一致するX線粉末回折パターンにより特徴付けられる。
単結晶形態Dは、図2Bに描かれるものと実質的に一致するDSCサーモグラムおよび/またはTGAサーモグラムによりさらに特徴付けられ得る。DSCサーモグラムは、形態の相互転化を示す多数の融解および再結晶化事象を示す。
いくつかの実施形態において、単結晶形態Dは、溶媒和物、例えば、アセトニトリル溶媒和物の形態である。いくつかの実施形態において、溶媒和物(例えば、アセトニトリル溶媒和物)は、構造式Iの化合物のモル当量あたり約0.5~約1.5モル当量の溶質(例えば、アセトニトリル)を、より詳細には、構造式Iの化合物のモル当量あたり1モル当量の溶質を含む。
「溶媒和物」は、本明細書の用法では、溶質(例えば、構造式Iの化合物)と1種以上の溶媒(例えば、アセトニトリル、水)との相互作用により形成された化学化合物を指す。そのため、「溶媒和物」は、単一の種類の溶媒分子を含む溶媒和物および1種以上の溶媒分子を含む溶媒和物(混合溶媒和物)を含む。典型的には、本明細書に記載される溶媒和物中の1種以上の溶媒は、有機溶媒または有機溶媒の組み合わせであるが、水も水和物と呼ばれる溶媒和物を形成し得る。典型的な溶媒和物にはアセトニトリル溶媒和物がある。
第3の実施形態において、構造式Iにより表される化合物の、形態Bである単結晶形態が提供される。単結晶形態Bは、9.4°、11.1°、16.5°、18.3°、および18.8°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ得る。特定の実施形態において、単結晶形態Bは、9.4°、11.1°、16.5°、18.3°、および18.8°の2θ角のX線粉末回折ピーク、より詳細には、9.4°、11.1°、16.5°、18.3°、18.8°、20.2°、および20.8°の2θ角のX線粉末回折ピーク、さらにより詳細には、8.1°、9.4°、11.1°、13.8°、16.5°、18.3°、18.8°、20.2°、および20.8°の2θ角のX線粉末回折ピークにより特徴付けられる。いくつかの実施形態において、単結晶形態Bは、図3Aに描かれるものと実質的に一致するX線粉末回折パターンにより特徴付けられる。
単結晶形態Bは、図3Bに描かれるものと実質的に一致するDSCサーモグラムおよび/またはTGAサーモグラムによりさらに特徴付けられ得る。DSCサーモグラムは、形態の相互転化を示す多数の融解および再結晶化事象を示す。
第4の実施形態において、構造式Iにより表される化合物の、形態Cである単結晶形態が提供される。単結晶形態Cは、3.7°、11.2°、12.1°、および18.6°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ得る。特定の実施形態において、単結晶形態Cは、3.7°、11.2°、12.1°、および18.6°から選択される2θ角のX線粉末回折ピーク、より詳細には、3.7°、11.2°、17.7°、12.1°、18.6°、19.7°、21.2°、および22.2°から選択される2θ角のX線粉末回折ピークにより特徴付けられる。いくつかの実施形態において、単結晶形態Cは、図4Aに描かれるものと実質的に一致するX線粉末回折パターンにより特徴付けられる。
単結晶形態Dは、図4Bに描かれるものと実質的に一致するDSCサーモグラムおよび/またはTGAサーモグラムによりさらに特徴付けられ得る。DSCサーモグラムは、形態の相互転化を示す多数の融解および再結晶化を示す。
組成物
構造式Iの化合物の単結晶形態(例えば、形態A、B、C、またはD)の粒子(例えば、固体粒子)を含む組成物であって、代替的なXRPD、DSCおよび/またはTGA特性を含む、組成物中の単結晶形態の特性および代替的な特性が第1~第4の実施形態に関して上述された通りである、組成物も本明細書において提供される。
第5の実施形態は、構造式Iにより表される化合物の、形態Aである単結晶形態の粒子(例えば、固体粒子)を含む組成物である。単結晶形態Aは、4.4°、19.9°、21.3°、および22.0°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる。いくつかの実施形態において、組成物の粒子は、100ミクロン以下のd(0.9)により特徴付けられる粒径分布(例えば、単峰性粒径分布)を有する。いくつかの実施形態において、組成物の粒子は、70ミクロン以下のd(0.9)により特徴付けられる粒径分布(例えば、単峰性粒径分布)を有する。
「粒径分布」は、本明細書の用法では、試料に存在する粒子の、典型的には質量または体積による大きさごとの相対量を定義する値のリストまたは数学関数を指す。粒径分布は、d(0.9)、d(0.5)、もしくはd(0.1)、もしくは前記のいずれかの比などの1つ以上の値により、または図示される場合の数学関数の形状により特徴付けられ得る。粒径分布グラフの典型的な形状には、単峰性、二峰性、正規、およびガウシアンがある。
「d(0.9)」は、本明細書の用法では、粒子の総体積の90%が、示される大きさ以下の粒子で構成されている粒径の値を説明する。d(0.9)は、本明細書において、d90、d90、およびD90と互換的に使用される。図または実施例におけるd(0.9)値を例外として、本明細書に明示される任意のd(0.9)値が、明示される値±明示される値の15%以下を意味すると理解されるものとする。好ましい実施形態において、d(0.9)は、明示される値±10%である。例えば、実施形態または請求項が約70ミクロンのd(0.9)を明示する場合、これは、70ミクロン±7ミクロン、すなわち63ミクロン~77ミクロンを意味すると理解されるものとする。好ましい実施形態において、d(0.9)は、明示される値±7.5%、より好ましくは、±6.5%である。同様に、実施形態または請求項が約100ミクロンのd(0.9)を明示する場合、これは、明示される値が±10%である例としては、100ミクロン±10ミクロン、すなわち90ミクロン~110ミクロンを意味すると理解されるものとする。
「d(0.5)」は、本明細書の用法では、粒子の総体積の50%が、示される大きさ以下の粒子で構成されている粒径の値を説明する。d(0.5)は、典型的には、粒径分布の中央値である。d(0.5)は、本明細書において、d50、d50、およびD50と互換的に使用される。図または実施例におけるd(0.5)値を例外として、本明細書に明示される任意のd(0.5)値が、明示される値±明示される値の10%以下を意味すると理解されるものとする。例えば、実施形態または請求項が約25ミクロンのd(0.5)を明示する場合、これは、25ミクロン±2.5ミクロン、すなわち22.5ミクロン~27.5ミクロンを意味すると理解されるものとする。好ましい実施形態において、d(0.5)は、明示される値±5%、より好ましくは、±2.5%、さらにより好ましくは、±1.5%である。
「d(0.1)」は、本明細書の用法では、粒子の総体積の10%が、示される大きさ以下の粒子で構成されている粒径の値を説明する。d(0.1)は、本明細書において、d10、d10、およびD10と互換的に使用される。図または実施例におけるd(0.1)値を例外として、本明細書に明示される任意のd(0.1)値が、明示される値±明示される値の30%以下を意味すると理解されるものとする。例えば、実施形態または請求項が約10ミクロンのd(0.1)を明示する場合、これは、10ミクロン±3.0ミクロン、すなわち7ミクロン~13ミクロンを意味すると理解されるものとする。好ましい実施形態において、d(0.1)は、明示される値±15%、より好ましくは、±5%、さらにより好ましくは、±3%である。
図または実施例におけるd(0.9):d(0.1)またはd(0.9):d(0.5)の比を例外として、本明細書に明示されるd(0.9):d(0.1)またはd(0.9):d(0.5)の任意の比が、明示される値±明示される値の15%以下を意味すると理解されるものとする。例えば、実施形態または請求項が約10のd(0.9):d(0.1)の比を明示する場合、これは、10±1.5、すなわち8.5~11.5を意味すると理解されるものとする。好ましい実施形態において、d(0.9):d(0.1)またはd(0.9):d(0.5)の比は、明示される値±10%、より好ましくは、±5%である。
第5の実施形態の第1の態様において、粒子は、10ミクロン~100ミクロンのd(0.9)、具体的には25ミクロン~100ミクロンのd(0.9)、より具体的には60ミクロン~100ミクロンのd(0.9)により特徴付けられる粒径分布を有する。
第5の実施形態の第2の態様において、粒子は、10ミクロン~70ミクロンのd(0.9)、具体的には25ミクロン~70ミクロンのd(0.9)、より具体的には60ミクロン~70ミクロンのd(0.9)により特徴付けられる粒径分布を有する。
第5の実施形態の第3の態様において、粒子は、10ミクロン~35ミクロンのd(0.5)、具体的には15ミクロン~30ミクロンのd(0.5)、より具体的には25~30ミクロンのd(0.5)により特徴付けられる粒径分布を有する。d(0.9)の値および代替的な値は、第5の実施形態、またはその第1の態様に記載される通りである。
第5の実施形態の第4の態様において、粒子は、5ミクロン以上、より具体的には10ミクロン以上のd(0.1)により特徴付けられる粒径分布を有する。例えば、いくつかの態様において、粒子は、5ミクロン~15ミクロン、より具体的には10ミクロン~15ミクロンのd(0.1)により特徴付けられる粒径分布を有する。d(0.9)およびd(0.5)の値および代替的な値は、第5の実施形態、またはその第1もしくは第2の態様に記載される通りである。
第5の実施形態の第5の態様において、粒子は、10以下、具体的には7.5以下、より具体的には6以下のd(0.9):d(0.1)の比により特徴付けられる粒径分布を有する。例えば、いくつかの態様において、粒子は、2~10、具体的には5~7.5、より具体的には5~6のd(0.9):d(0.1)の比により特徴付けられる粒径分布を有する。d(0.9)、d(0.5)、およびd(0.1)の値および代替的な値は、第5の実施形態、または前記の第1、第2、もしくは第3の態様に記載される通りである。
第5の実施形態の第6の態様において、粒子は、4.5以下、より具体的には3以下のd(0.9):d(0.5)の比により特徴付けられる粒径分布を有する。例えば、いくつかの態様において、粒子は、1.5~4.5、より具体的には2~3のd(0.9):d(0.5)の比により特徴付けられる粒径分布を有する。d(0.9)、d(0.5)、およびd(0.1)、ならびにその比の値および代替的な値は、第5の実施形態、またはその第1、第2、第3、もしくは第4の態様に記載される通りである。
第5の実施形態の第7の態様において、粒子は、単峰性粒径分布、例えば正規粒径分布を有する。d(0.9)、d(0.5)、およびd(0.1)、ならびにその比の値および代替的な値は、第5の実施形態、または前記の第1~第5の態様に記載される通りである。
粒径分布と関連して本明細書で使用される「単峰性」は、図示される場合、単一の極大値を含む粒径分布を指す。典型的な単峰性粒径分布は、図5Kに見出すことができる。
本明細書の用法では、「正規粒径分布」は、対称的または実質的に対称的な鐘形グラフとして試料中の粒径の分布を表す関数に従う粒径分布を指す。少なくとも図5Kは正規粒径分布を描写している。
代替的なXRPD、DSCおよび/またはTGA特性を含む、第5の実施形態の組成物中の単結晶形態Aの代替的な特性は、第1の実施形態に関して上述された通りである。
医薬組成物
本明細書に記載される単結晶形態(例えば、形態A、B、C、またはD)または組成物および薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物も本明細書において提供される。組成物は、構造式Iの化合物の単結晶形態(例えば、形態A、B、C、またはD)の粒子を含む。代替的なXRPD、DSCおよび/またはTGA特性を含む、単結晶形態の特性および代替的な特性は、第1~第4の実施形態に関して上述された通りである
第6の実施形態は、構造式Iの化合物の単結晶形態Aの粒子を含む組成物(例えば、第5の実施形態またはそのいずれかの態様の組成物)および薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物である。代替的なXRPD、DSCおよび/またはTGA特性を含む、単結晶形態Aの特性および代替的な特性は、第1の実施形態に関して上述された通りである。d(0.9)、d(0.5)、およびd(0.1)、ならびにその比の値および代替的な値、ならびに単結晶形態Aの粒子の粒径分布の特性(例えば、単峰性、正規)は、そのいずれかの態様の第5の実施形態に記載された通りである。
用語「薬学的に許容可能な担体」は、医薬組成物、すなわち対象に投与され得る剤形の形成を可能にするために有効成分と混合される非毒性の溶媒、分散剤、賦形剤、アジュバント、または他の物質を意味する。「薬学的に許容可能な担体」は、それと共に製剤される化合物の活性を損なってはならない。薬学的に許容可能な担体は当技術分野で周知である。
本発明の医薬組成物中で使用されてもよい薬学的に許容可能な担体、アジュバントまたはビヒクルとしては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩などの緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、硫酸プロタミンやリン酸水素二ナトリウムやリン酸水素カリウムや塩化ナトリウムや亜鉛塩などの塩または電解質、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、および羊毛脂が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明の医薬組成物は、吸入噴霧、局所、直腸内、鼻腔内、口腔内、膣内、または埋め込み式リザバーを通じて、経口投与、非経口投与(皮下、筋肉内、静脈内、および皮内を含む)されてもよい。いくつかの実施形態では、提供される医薬組成物は、静脈内および/または腹腔内投与可能である。
「非経口」という用語は、本明細書の用法では、皮下、静脈内、筋肉内、眼内、硝子体内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、クモ膜下腔内、肝臓内、腹腔内病巣内、および頭蓋内注射または点滴技法を含む。好ましくは、医薬組成物は、経口、皮下、腹腔内または静脈内投与される。本発明の医薬組成物の無菌注射用形態は、水性または油性懸濁液であってもよい。これらの懸濁液は、適切な分散または湿潤剤と、懸濁剤とを使用して、当技術分野で公知の技術によって調合されてもよい。無菌注射用製剤はまた、例えば1,3-ブタンジオール溶液などの無毒の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒中の無菌注射用溶液または懸濁液であってもよい。用いてもよい許容可能なビヒクルおよび溶剤は、特に水、リンゲル液、および等張塩化ナトリウム溶液である。これに加えて、無菌の不揮発性油が、溶媒または懸濁媒として従来法で用いられる。
本発明の医薬組成物は、カプセル、錠剤、水性懸濁液、または溶液をはじめとするが、これに限定されるものではない、任意の経口的に許容可能な剤形で、経口的に投与してもよい。経口使用される錠剤の場合、通常、使用される担体としては、乳糖およびコーンスターチが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの平滑剤もまた、典型的に添加される。カプセル形態での経口投与のための有用な希釈剤としては、乳糖および乾燥コーンスターチが挙げられる。経口使用のために水性懸濁液が必要な場合、活性成分は、乳化および懸濁剤と組み合わされる。所望ならば、特定の甘味剤、着香料または着色剤もまた、添加してもよい。いくつかの実施形態では、提供される経口製剤は、即時放出または持続/遅延放出のために調合される。いくつかの実施形態では、組成物は、錠剤、ロゼンジ、および香錠をはじめとする、バッカルまたは舌下投与に適する。提供される化合物はまた、マイクロカプセル化形態であり得る。
錠剤またはカプセル剤などの経口製剤での使用に好適な薬学的に許容可能な具体的な担体には、微結晶性セルロース(Avicel PH101)、クロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol)、コリドン30パウダー(ポリビニルピロリドン、ポビドン)、コロイド状二酸化ケイ素M5-P、ステアリン酸マグネシウム、微結晶性セルロース(Avcel PH102)、ラウリル硫酸ナトリウム(Kolliphor SLS Fine)およびコロイド状二酸化ケイ素M5-Pがあるが、これらに限定されない。上記に列記された担体のそれぞれは、単独でも、どのような組み合わせでも経口製剤に使用できる。
代替として、本発明の医薬組成物は、直腸投与用の坐剤の形態で投与できる。本発明の医薬組成物は、治療の標的が、眼、皮膚、または下部腸管の疾患を含む局所投与により容易にアクセスできる部分または器官を含む場合には特に、局所投与もできる。好適な局所製剤は、これらの部分または器官のそれぞれのために容易に調製される。
下部腸管用の局所適用は、直腸坐剤製剤(上記参照)で、または好適な浣腸製剤で実施することができる。局所的な経皮パッチ剤、軟膏剤、クリーム剤、フォーム剤、およびゲル剤も使用できる。局所製剤に使用するための具体的な担体には、2-ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン(HPBCD)、メチルセルロース、安息香酸ナトリウム、水、およびグリセリンがあるが、これらに限定されない。
眼科用の使用のために、微粉化懸濁剤として、またはペトロラタムなどの軟膏で医薬組成物を製剤できる。
本発明の医薬組成物は、鼻腔内エアゾールまたは吸入によっても投与できる。
いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、腹腔内投与用に製剤される。
本発明の医薬組成物中の構造式Iの化合物(例えば、構造式Iの化合物の単結晶形態A)の量は、生体試料または対象において測定可能な程度にCRM1を阻害するのに効果的なものである。特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は、そのような医薬組成物を必要とする対象への投与用に製剤される。用語「対象」は、本明細書の用法では、動物を意味する。いくつかの実施形態において、動物は哺乳動物である。特定の実施形態において、対象は、獣医学的患者(すなわち、イヌ、ネコ、ウマ、ブタなどの非ヒト哺乳動物患者またはマウスもしくはラットなどの齧歯動物)である。いくつかの実施形態において、対象はイヌである。他の実施形態において、対象はヒト(例えば、ヒト患者)である。
薬学的に許容可能な担体物質と合わせて単一剤形で医薬組成物をもたらし得る構造式Iの化合物(例えば、構造式Iの化合物の単結晶形態A)の量は、治療されている宿主および/または特定の投与様式によって様々であろう。一実施形態において、提供される医薬組成物は、0.01~100mg/kg体重/日の用量の構造式Iの化合物が、これらの組成物を服用する患者に投与され得るように、製剤されなければならない。別の実施形態において、用量は、4~120時間ごと、または特定の薬物の要件に応じて、約0.5~約100mg/体重のkgまたは1mg~1000mg/投与量である。典型的には、本発明の医薬組成物は、1日あたり約1~約6回投与されるであろう。
任意の特定の対象(例えば、患者)のための具体的な用量および治療レジメンが、利用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、全般的な健康状態、性別、食事、投与の時間、排泄速度、薬物組み合わせ、および治療する医師の判断、ならびに治療されている特定の疾患の重症度を含む種々の因子に依存することも理解されたい。
対象の病状が改善すると、維持量の本発明の医薬組成物が必要に応じて投与され得る。その後、用量もしくは投与の頻度または両方が、症状の関数として、症状が所望のレベルに軽減した場合に改善された病状が維持されるレベルに減少され得る。しかし、対象は、疾患症状が再発した場合、長期の断続的な治療を必要とし得る。
治療の方法および医薬組成物の用途
本明細書に記載される医薬組成物および化合物は、一般にCRM1の阻害に有用であり、したがって、CRM1の活性と関連する1つ以上の疾患の治療に有用である。そのため、特定の実施形態において、本発明は、CRM1活性と関連する疾患を治療する方法であって、治療有効量の本明細書に記載される医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。構造式Iの化合物もしくはその(単)結晶形態、その医薬組成物、または前記の組み合わせを、例えば、インビトロまたはエクスビボの培養されている細胞に、または例えばインビボで対象に投与して、本明細書で以下に記載される疾患を含む種々の疾患を治療、予防、かつ/または診断することもできる。
CRM1の阻害剤としての化合物構造式I、もしくはその(単)結晶形態、その医薬組成物、または前記の組み合わせの活性を、インビトロ、インビボ、または細胞株でアッセイできる。CRM1の阻害剤としての構造式Iの化合物をアッセイするための詳細な条件は、国際公開第2013/019548号パンフレットに記載されている。
用語「治療する」または「治療すること」は、症状を緩和すること、一時的または恒久的のいずれかで症状の原因を排除すること、または前記の障害もしくは病状の症状の出現を予防もしくは遅延させることを意味する。
用語「CRM1媒介性」障害もしくは病状または「CRM1活性と関連する障害」は、本明細書の用法では、CRM1が役割を果たすことが知られている、あらゆる疾患または他の有害病状を意味する。したがって、本発明の別の実施形態は、CRM1が役割を果たしていることが知られている1つ以上の疾患を治療し、または重症度を低下させることに関する。いくつかの実施形態において、本発明は、対象中のp53、p73、p21、pRB、p27、IκB、NFκB、c-Abl、FOXOタンパク質、COX-2、またはHDAC(ヒストンデアセチラーゼ)の発現または活性と関連する疾患を治療する方法であって、治療有効量の本明細書に記載される医薬組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、増殖性疾患(例えばがん)、炎症性疾患、自己免疫障害、ウイルス感染症、眼科疾患、または神経変性疾患から選択される疾患もしくは病状を治療し、または重症度を低下させる方法であって、本発明による化合物または組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む方法に関する。より具体的な実施形態において、本発明は、がんを治療し、またはその重症度を低下させる方法に関する。上記障害の具体例は、以下で詳述される。
用語「治療有効量」は、障害または病状の1つ以上の症状を治療し、またはその重症度を低下させるのに有効である、(典型的には、本明細書に記載される医薬組成物における)構造式Iの化合物またはその(単)結晶形態の量を意味する。創傷治癒を促進する場合、治療有効量は、創傷の治癒を促進する(典型的には、本明細書に記載される医薬組成物における)構造式Iの化合物またはその(単)結晶形態の量である。
本明細書の用法では、「創傷治癒を促進すること」は、創傷のある対象を治療し、部分的または完全に創傷の治癒を達成することを意味する。創傷治癒を促進することは、例えば、下記の1つ以上を意味し得る:表皮の閉鎖を促進すること;真皮の移動を促進すること;真皮中の皮膚の閉鎖を促進すること;創傷治癒の合併症、例えば、表皮の過形成および癒着を低減すること;創傷離開を低減すること;および適切な痂皮形成を促進すること。
本発明の医薬組成物または化合物によって治療可能ながんとしては、血液悪性腫瘍(白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫と骨髄異形成と骨髄増殖性症候群とをはじめとする骨髄腫)および固形腫瘍(前立腺、乳房、肺、結腸、膵臓、腎臓の、卵巣ならびに軟部組織などのがん腫、骨肉腫、および間質腫瘍)が挙げられるが、これに限定されるものではない。乳がん(BC)としては、基底細胞様乳がん(BLBC)、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)、およびBLBCとTNBCとの両方である乳がんが挙げられる。さらに乳がんとしては、侵襲性または非侵襲性乳管または小葉がん、乳房の管状、髄様、粘液性、乳頭、篩状がん、男性乳がん、再発性または転移性乳がん、乳房の葉状腫瘍、および乳首のパジェット病が挙げられる。
本発明の医薬組成物または化合物によって治療可能な炎症性疾患としては、多発性硬化症、関節リウマチ、変性関節疾患、全身性エリテマトーデス、全身性硬化症、血管炎症候群(小、中、および大血管)、アテローム性動脈硬化、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、クローン病、粘液性大腸炎、潰瘍性大腸炎、胃炎、敗血症、乾癬およびその他の外皮炎症性疾患(湿疹、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、蕁麻疹、強皮症、および急性炎症性要素を伴う皮膚病、天疱瘡、類天疱瘡、アレルギー性皮膚炎など)、および蕁麻疹症候群が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明の医薬組成物または化合物によって治療可能なウイルス性疾患としては、急性熱性咽頭炎、咽頭結膜熱、流行性角結膜炎、乳児胃腸炎、コクサッキー感染症、伝染性単核症、バーキットリンパ腫、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞がん、原発性HSV-1感染症(例えば小児歯肉口内炎、成人扁桃炎および咽頭炎、角結膜炎)、不顕性HSV-1感染症(例えば口唇ヘルペスおよび単純疱疹)、原発性HSV-2感染症、不顕性HSV-2感染症、無菌性髄膜炎、伝染性単核症、巨細胞封入体病、カポジ肉腫、多中心性キャッスルマン病、原発性滲出液リンパ腫、AIDS、インフルエンザ、ライ症候群、はしか、後感染性脳脊髄炎、おたふく風邪、過形成上皮病変(例えば尋常性、扁平、足底、および肛門性器疣贅、喉頭乳頭腫、疣贅状表皮発育異常症)、子宮頸がん、扁平上皮がん、クループ、肺炎、細気管支炎、感冒、灰白髄炎、狂犬病、インフルエンザ様症候群、肺炎を伴う重症細気管支炎、風疹、先天性風疹、水痘、および帯状疱疹が挙げられるが、これに限定されるものではない。本発明の化合物によって治療可能なウイルス性疾患としてはまた、B型肝炎およびC型肝炎をはじめとする、長期ウイルス感染症が挙げられる。
例示的な眼科疾患としては、黄斑浮腫(糖尿病性および非糖尿病性黄斑浮腫)、湿潤および乾燥形態の加齢性黄斑変性、加齢円板状黄斑変性症、嚢胞状黄斑浮腫、眼瞼浮腫、網膜浮腫、糖尿病性網膜症、網脈絡膜症、血管新生黄斑症、血管新生緑内障、ブドウ膜炎、虹彩炎、網膜血管炎、眼内炎、全眼球炎、転移性眼炎、脈絡膜炎、網膜色素上皮炎、結膜炎、毛様体炎、強膜炎、上強膜炎、視神経炎、球後視神経炎、角膜炎、眼瞼炎、滲出性網膜離脱、角膜潰瘍、結膜潰瘍、慢性貨幣状角膜炎、低酸素症または虚血に伴う眼疾患、未熟児網膜症、増殖性糖尿病性網膜症、ポリープ状脈絡膜血管症、網膜血管腫状増殖、網膜動脈閉塞症、網膜静脈閉塞、コーツ病、家族性滲出性硝子体網膜症、脈なし病(高安病)、イールズ病、抗リン脂質抗体症候群、白血病性網膜症、過粘稠度症候群、マクログロブリン血症、インターフェロン網膜症、高血圧性網膜症、放射線網膜症、角膜上皮幹細胞不全症または白内障が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明の医薬組成物または化合物によって治療可能な神経変性疾患としては、パーキンソン病、アルツハイマー病、およびハンチントン病、および筋萎縮性側索硬化(ALS/ルー・ゲーリック病)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本明細書に記載される医薬組成物または化合物および組成物はまた、拡張型心筋症、肥大性心筋症、拘束性心筋症、肺線維症、肝線維症、糸球体腎炎、多嚢胞性腎障害(PKD)、およびその他の腎障害をはじめとする、異常組織増殖および線維症障害を治療するのにも使用してもよい。
本明細書に記載される医薬組成物または化合物および組成物はまた、肥満症および過食症などの、食物摂取量に関連した障害を治療するのに使用してもよい。
別の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物または化合物または組成物を使用して、喘息、気管支炎、肺線維症、アレルギー性鼻炎、酸素毒性、肺気腫、慢性気管支炎、急性呼吸窮迫症候群、およびあらゆる慢性閉塞性肺疾患(COPD)をはじめとする、アレルギーおよび呼吸器疾患を治療または予防してもよい。
いくつかの実施形態では、CRM1活性関連疾患または病状は、次のとおりである。ベータサラセミア、筋ジストロフィー、例えば骨関節炎および関節リウマチなどの関節炎、強直性脊椎炎(ankylosing spondilitis)、外傷性脳損傷、脊髄損傷、敗血症、リウマチ性疾患、がんアテローム性動脈硬化、I型糖尿病、II型糖尿病、レプトスピラ症(leptospiriosis)腎疾患、緑内障、網膜疾患、加齢、頭痛、疼痛、複合性局所疼痛症候群、心臓肥大、筋消耗、異化作用障害、肥満症、胎児の成長遅延、高コレステロール血症、心疾患、慢性心不全、虚血/再灌流、脳卒中、脳動脈瘤、狭心症、肺疾患、嚢胞性線維症、酸誘導肺傷害、肺高血圧症、喘息、慢性閉塞性肺疾患、シェーグレン症候群、肺硝子膜症、腎臓病、糸球体疾患、アルコール性肝疾患、腸疾患、腹膜子宮内膜症、皮膚病、副鼻腔炎、中皮腫、免疫不全を伴う無汗性外胚葉形成不全症、ベーチェット病、色素失調症、結核、喘息、クローン病、大腸炎、眼アレルギー、虫垂炎、パジェット病、膵臓炎、歯周炎(periodonitis)、子宮内膜症、炎症性腸疾患、炎症性肺疾患、シリカ誘発性疾患、睡眠時無呼吸、AIDS、HIV-1、自己免疫疾患、抗リン脂質抗体症候群、狼瘡、狼瘡性腎炎、家族性地中海熱、遺伝性周期熱症候群、心理社会的ストレス病、神経病理学的疾患、家族性アミロイドポリニューロパチー、炎症性神経障害、パーキンソン病、多発性硬化症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(amyotropic lateral sclerosis)、ハンチントン病、白内障、または難聴。
別の実施形態では、CRM1活性関連疾患または病状は、次のとおりである。頭部外傷、ブドウ膜炎、炎症性疼痛、アレルゲン誘発性喘息、非アレルゲン誘発性喘息、糸球体腎炎、潰瘍性大腸炎、壊死性腸炎、周期熱を伴う高グロブリンD血症(HIDS)、TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)、クリオピリン関連周期性症候群、マックル・ウェルズ症候群(蕁麻疹-難聴-アミロイドーシス)、家族性寒冷蕁麻疹、新生児期発症多臓器性炎症性疾患周期熱(NOMID)、周期熱-アフタ性口内炎-咽頭炎-扁桃腺炎(PFAPA症候群)、ブラウ症候群、化膿性無菌性関節炎、壊疽性膿皮症、座瘡(PAPA)、インターロイキン1受容体拮抗欠乏症(DIRA)、クモ膜下出血、多発性嚢胞腎、移植、臓器移植、組織移植、骨髄異形成症候群、刺激物質誘発性炎症、植物刺激物誘発性炎症、ツタウルシ/ウルシオール油誘発性炎症、化学的刺激物誘発性炎症、蜂刺傷誘発性炎症、咬虫症誘発性炎症、日光皮膚炎、火傷、皮膚炎、内毒血症、肺傷害、急性呼吸窮迫症候群、アルコール性肝炎、または寄生虫感染症によって引き起こされる腎臓損傷。
さらなる態様において、本発明は、CRM1活性と関連する疾患の治療のための医薬品の製造のための、本明細書に記載される医薬組成物または化合物の用途を提供する。本発明は、CRM1活性と関連する疾患の治療に使用するための、本明細書に記載される医薬組成物も提供する。CRM1活性と関連する疾患の具体例は、本明細書に詳述されている。
なおさらなる態様において、本発明は、対象におけるp53、p73、p21、pRB、p27、IκB、NFκB、c-Abl、FOXOタンパク質、COX-2、またはHDACの発現または活性と関連した疾患の治療のための医薬品の製造のための、本明細書に記載される医薬組成物または化合物の用途を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、がんおよび/または腫瘍性疾患、血管新生、自己免疫疾患、炎症性の障害および/または疾患、エピジェネティクス、ホルモン性の障害および/または疾患、ウイルス性疾患、神経変性の障害および/または疾患、創傷、ならびに眼科的障害のいずれかの治療のための医薬品の製造における、本明細書に記載される医薬組成物の用途を提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、生体試料中のCRM1を阻害する方法であって、生体試料を本発明の医薬組成物と接触させるか、患者に本発明の医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
新生物障害
本明細書に記載される医薬組成物または化合物は、新生物疾患を治療するのに使用し得る。「新生物障害」は、例えば増殖性細胞成長によって特徴付けられる異常な状態または病状などの、自律的増殖または複製能力を有する細胞によって特徴付けられる、疾病または障害である。例示的な新生物障害としては、例えば、前立腺、脳、骨、結腸、肺、乳、卵巣、および肝臓起源の腫瘍などのがん腫、肉腫、転移性障害、例えば、白血病、リンパ腫、骨髄腫およびその他の悪性形質細胞などの障害造血性新生物障害、および転移性腫瘍が挙げられる。蔓延しているがんとしては、乳、前立腺、結腸、肺、肝臓、および膵臓がんが挙げられる。化合物による治療は、例えば細胞増殖低下、腫瘤量低下など、新生物障害の少なくとも1つの症状を改善するのに効果的な量で実施し得る。
開示される方法は、例えば、固形腫瘍、軟部組織腫瘍、およびそれらの転位をはじめとするがんを予防および治療するのに、ならびにリー・フラウメニ症候群、家族性乳-卵巣がん(BRCA1またはBRAC2変異)症候群などの家族性がん症候群において、有用である。開示される方法はまた、非固形がんを治療するのに有用である。例示的な固形腫瘍としては、肺、乳、リンパ系、消化器(例えば結腸)などの様々な臓器系、および泌尿生殖器(例えば腎臓、尿路上皮、または精巣腫瘍)経路、咽頭、前立腺、および卵巣の悪性腫瘍(例えば肉腫、腺がん、およびがん腫)が挙げられる。例示的な腺がんとしては、結腸直腸がん、腎臓細胞がん腫、肝臓がん、非小細胞肺がん、および小腸がんが挙げられる。
米国国立がん研究所によって記載される例示的ながんとしては、以下が挙げられる。急性リンパ芽球性白血病、成人;急性リンパ芽球性白血病、小児期;急性骨髄性白血病、成人;副腎皮質がん;副腎皮質がん、小児期;AIDS関連リンパ腫;AIDS関連悪性腫瘍;肛門がん;星細胞腫、小児期小脳;星細胞腫、小児期脳;胆管がん、肝臓外;膀胱がん;膀胱がん、小児期;骨がん、骨肉腫/悪性線維性組織球腫;脳幹神経膠腫、小児期;脳腫瘍、成人;脳腫瘍、脳幹神経膠腫、小児期;脳腫瘍、小脳星細胞腫、小児期;脳腫瘍、脳星細胞腫/悪性神経膠腫、小児期;脳腫瘍、上衣細胞腫、小児期;脳腫瘍、髄芽細胞腫、小児期;脳腫瘍、小脳テント上腫瘍原始神経外胚葉性腫瘍、小児期;脳腫瘍、視覚路および視床下部神経膠腫、小児期;脳腫瘍、小児期(その他の);乳がん;乳がんおよび妊娠;乳がん、小児期;乳がん、男性;気管支腺腫/カルチノイド、小児期;カルチノイド腫瘍、小児期;カルチノイド腫瘍、胃腸;がん腫、副腎皮質;がん腫、膵島細胞;路の原発性がん腫;中枢神経系リンパ腫、原発性;小脳星細胞腫、小児期;脳星細胞腫/悪性神経膠腫、小児期;子宮頸がん;小児期がん;慢性リンパ球性白血病;慢性骨髄性白血病;慢性髄増殖性疾患;腱鞘の明細胞肉腫;大腸がん;結腸直腸がん、小児期;皮膚のT細胞(CeIl)リンパ腫;子宮内膜がん;上衣細胞腫、小児期;上皮がん、卵巣;食道がん;食道がん、小児期;ユーイングファミリー腫瘍;頭蓋外胚細胞腫瘍、小児期;性腺外胚細胞腫瘍;肝外胆管がん;眼がん、眼球内黒色腫;眼がん、網膜芽細胞腫;胆嚢がん;胃がん;胃がん、小児期;消化管カルチノイド腫瘍;胚芽細胞腫瘍、頭蓋外、小児期;胚芽細胞腫瘍、性腺外;胚芽細胞腫瘍、卵巣;妊娠性絨毛性腫瘍;神経膠腫、小児期脳幹;神経膠腫、小児期視覚路および視床下部;有毛細胞白血病;頭頸部がん;肝細胞(肝臓)がん、成人(原発性);肝細胞(肝臓)がん、小児期(原発性);ホジキンリンパ腫、成人;ホジキンリンパ腫、小児期;妊娠中ホジキンリンパ腫;下咽頭がん;視床下部および視覚路神経膠腫、小児期;眼球内黒色腫;膵島細胞がん腫(内分泌膵);カポジ肉腫;腎臓がん;喉頭がん;喉頭がん、小児期;白血病、急性リンパ芽球性、成人;白血病、急性リンパ芽球性、小児期;白血病、急性骨髄性、成人;白血病、急性骨髄性、小児期;白血病、慢性リンパ球性;白血病、慢性骨髄性;白血病、有毛細胞;口唇および口腔がん;肝臓がん、成人(原発性);肝臓がん、小児期(原発性);肺がん、非小細胞;肺がん、小細胞;リンパ芽球性白血病、成人急性;リンパ芽球性白血病、小児期急性;リンパ球性白血病、慢性;リンパ腫、AIDS関連;リンパ腫、中枢神経系(原発性);リンパ腫、皮膚T細胞(CeIl);ホジキンリンパ腫、成人;ホジキンリンパ腫、小児期;ホジキンリンパ腫、妊娠中;非ホジキンリンパ腫、成人;非ホジキンリンパ腫、小児期;非ホジキンリンパ腫、妊娠中;リンパ腫、原発性中枢神経系;マクログロブリン血症、ワルデンシュトレーム;男性乳がん;悪性中皮腫、成人;悪性中皮腫、小児期;悪性胸腺腫;髄芽細胞腫、小児期;黒色腫;黒色腫、眼球内;メルケル細胞がん;中皮腫、悪性;原発不明の転移性扁平上皮頸部がん;多発性内分泌腺腫症候群、小児期;多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍;菌状息肉腫;骨髄異形成症候群;骨髄性白血病、慢性;骨髄性白血病、小児期急性;骨髄腫、多発性;骨髄増殖性疾患、慢性;鼻腔および副鼻腔がん;鼻咽頭がん;鼻咽頭がん、小児期;神経芽細胞腫;非ホジキンリンパ腫、成人;非ホジキンリンパ腫、小児期;妊娠中の非ホジキンリンパ腫;非小細胞肺がん;口腔がん、小児期;口腔および口唇がん;中咽頭がん;骨肉腫/骨の悪性線維性組織球腫;卵巣がん、小児期;卵巣上皮がん;卵巣胚細胞腫瘍;卵巣低悪性潜在的腫瘍;膵臓がん;膵臓がん、小児期;膵臓がん、膵島細胞;副鼻腔および鼻腔がん;副甲状腺がん;陰茎がん;褐色細胞腫;松果体および小脳テント上原始神経外胚葉性腫瘍、小児期;脳下垂体腫瘍;形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫;胸膜肺芽腫;妊娠および乳がん;妊娠およびホジキンリンパ腫;妊および非ホジキンリンパ腫;原発性中枢神経系リンパ腫;原発性肝臓がん、成人;原発性肝臓がん、小児期;前立腺がん;直腸がん;腎細胞(腎臓)がん;腎細胞がん、小児期;腎盂および尿管、移行上皮がん;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫、小児期;唾液腺がん;唾液腺がん、小児期;ユーイング肉腫ファミリー腫瘍;肉腫、カポジ;肉腫(骨肉腫)/骨の悪性線維性組織球腫;肉腫、横紋筋肉腫、小児期;肉腫、軟部組織、成人;肉腫、軟部組織、小児期;セザリー症候群;皮膚がん;皮膚がん、小児期;皮膚がん(黒色腫);皮膚がん、メルケル細胞;小細胞肺がん;小腸がん;軟部組織肉腫、成人;軟部組織肉腫、小児期;原発不明扁平上皮頸部がん、転移性;胃がん;胃がん、小児期;小脳テント上原始神経外胚葉性腫瘍、小児期;T細胞(CeIl)リンパ腫、皮膚;精巣がん;胸腺腫、小児期;胸腺腫、悪性;甲状腺がん;甲状腺がん、小児期;腎盂および尿管の移行上皮がん;絨毛性腫瘍、妊娠性;未知原発部位、がん、小児期;小児期の稀ながん;尿管および腎盂、移行上皮がん;尿道がん;子宮肉腫;膣がん;視覚路および視床下部神経膠腫、小児期;外陰がん;ワルデンシュトレームのマクログロブリン血症;およびウィルムス腫瘍。
さらなる例示的ながんとしては、びまん性大細胞リンパ腫(DLBCL)およびマントル細胞リンパ腫(MCL)が挙げられる。なおもさらなる代表的がんとしては、子宮頚がん、B細胞ALL、T細胞ALL、BまたはT細胞リンパ腫、肥満細胞がん、神経膠芽腫、神経芽細胞腫、濾胞性リンパ腫、およびリヒター症候群が挙げられる。
代表的肉腫としては、線維肉腫、胞状軟部肉腫(ASPS)、脂肪肉腫、平滑筋肉腫、軟骨肉腫、滑膜肉腫、脊索腫、紡錘体細胞肉腫、組織球腫、横紋筋肉腫、ユーイング肉腫、神経外胚葉性肉腫、葉状腫瘍/骨原性肉腫、および軟骨芽細胞骨肉腫が挙げられる。
前述のがんの転移もまた、本明細書に記載される方法に従って、処置または予防し得る。
併用療法
いくつかの実施形態において、(例えば、本明細書に記載される医薬組成物中の)構造式Iの化合物またはその(単)結晶形態は、追加の「第2の」治療剤または治療と共に投与される。第2の治療剤の選択は、示される疾患または病状を治療する単独療法に典型的に使用される任意の薬剤からなされ得る。本明細書の用法では、用語「共に投与される」および関連用語は、本発明による治療剤の同時または連続的な投与を指す。例えば、構造式Iの化合物は、別の単位剤形で別の治療剤と共に同時または連続的に投与でき、単一の単位剤形で共に投与もできる。したがって、本発明は、構造式Iの化合物(例えば、構造式Iの化合物の結晶形態または単結晶形態)、追加の治療剤、および薬学的に許容可能な担体を含む単一の単位剤形を提供する。
本発明の一実施形態において、第2の治療剤が対象に投与される場合、構造式Iの化合物の有効量は、第2の治療剤が投与されない場合のその有効量よりも少ない。別の実施形態において、第2の治療剤の有効量は、構造式Iの化合物が投与されない場合のその有効量よりも少ない。このようにして、いずれかの薬剤の高投与量と関連する望ましくない副作用は最小化され得る。他の潜在的な利点(非限定的に投薬レジメンの改善および/または薬物コストの低減を含む)は当業者に明らかであろう。追加の薬剤は、複数投与量レジメンの一部として、構造式Iの化合物とは別に投与され得る。代替として、これらの薬剤は、単一の医薬組成物中で構造式Iの化合物と混合された単一の剤形の一部であり得る。
特定の実施形態において、(例えば、本明細書に開示される医薬組成物における)構造式Iの化合物またはその(単)結晶形態は、単独でも、炎症を治療または予防するのに有用な他の化合物との組み合わせでも投与され得る。典型的な抗炎症剤には、例えば、ステロイド(例えば、コルチゾール、コルチゾン、フルドロコルチゾン、プレドニゾン、6[α]-メチルプレドニゾン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、またはデキサメタゾン)、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS(例えば、アスピリン、アセトアミノフェン、トルメチン、イブプロフェン、メフェナム酸、ピロキシカム、ナブメトン、ロフェコキシブ、セレコキシブ、エトドラク、またはニメスリド)がある。別の実施形態において、他の治療剤は抗生物質(例えば、バンコマイシン、ペニシリン、アモキシシリン、アンピシリン、セフォタキシム、セフトリアキソン、セフィキシム、リファンピンメトロニダゾール、ドキシサイクリン、またはストレプトマイシン)である。別の実施形態において、他の治療剤はPDE4阻害剤(例えば、ロフルミラスト、またはロリプラム)である。別の実施形態において、他の治療剤は抗ヒスタミン剤(例えば、シクリジン、ヒドロキシジン、プロメタジン、またはジフェンヒドラミン)である。別の実施形態において、他の治療剤は抗マラリア薬(例えば、アーテミシニン、アルテメテル、アートスナート、リン酸クロロキン、メフロキン塩酸塩、ドキシサイクリンヒクラート、プログアニル塩酸塩、アトバコン、またはハロファントリン)である。一実施形態において、他の化合物はドロトレコギンアルファである。具体的な実施形態において、(例えば、本明細書に開示される医薬組成物における)構造式Iの化合物またはその(単)結晶形態は、デキサメタゾンとの組み合わせで投与される。
抗炎症剤のさらなる例には、例えば、アセクロフェナク、アセメタシン、e-アセトアミドカプロン酸、アセトアミノフェン、アセトアミノサロール、アセトアニリド、アセチルサリチル酸、S-アデノシルメチオニン、アルクロフェナク、アルクロメタゾン、アルフェンタニル、アルゲストン、アリルプロジン、アルミノプロフェン、アロキシプリン、アルファプロジン、アルミニウムビス(アセチルサリチラート)、アムシノニド、アンフェナク、アミノクロルテノキサジン、3-アミノ-4-ヒドロキシ酪酸、2-アミノ-4-ピコリン、アミノプロピロン、アミノピリン、アミキセトリン、サリチル酸アンモニウム、アンピロキシカム、アムトルメチングアシル、アニレリジン、アンチピリン、アントラフェニン、アパゾン、ベクロメタゾン、ベンダザック、ベノリレート、ベノキサプロフェン、ベンズピペリロン、ベンジダミン、ベンジルモルフィン、ベルモプロフェン、ベタメタゾン、ベタメタゾン-17-吉草酸エステル、ベジトラミド、[α]-ビサボロール、ブロムフェナク、p-ブロモアセトアニリド、5-ブロモサリチル酸酢酸エステル、ブロモサリゲニン、ブセチン、ブクロキシ酸、ブコローム、ブデソニド、ブフェキサマク、ブマジゾン、ブプレノルフィン、ブタセチン、ブチブフェン、ブトルファノール、カルバマゼピン、カルビフェン、カイプロフェン、カルサラム、クロロブタノール、クロロプレドニゾン、クロルテノキサジン、サリチル酸コリン、シンコフェン、シンメタシン、シラマドール、クリダナク、クロベタゾール、クロコルトロン、クロメタシン、クロニタゼン、クロニキシン、クロピラク、クロプレドノール、クローブ、コデイン、コデインメチルブロミド、リン酸コデイン、硫酸コデイン、コルチゾン、コルチバゾール、クロプロパミド、クロテタミド、シクラゾシン、デフラザコート、デヒドロテストステロン、デソモルヒネ、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾン-21-イソニコチン酸エステル、デキソキサドロール、デキストロモラミド、デキストロプロポキシフェン、デオキシコルチコステロン、デゾシン、ジアンプロミド、ジアモルホン(diamorphone)、ジクロフェナク、ジフェナミゾール、ジフェンピラミド、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルニサル、ジフルプレドナート、ジヒドロコデイン、ジヒドロコデイノンエノールアセタート、ジヒドロモルフィン、ジヒドロキシアルミニウムアセチルサリチラート、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチルブチラート、ジピパノン、ジプロセチル(diprocetyl)、ジピロン、ジタゾール、ドロキシカム、エモルファゾン、エンフェナム酸、エノキソロン、エピリゾール、エプタゾシン、エテルサラート、エテンザミド、エトヘプタジン、エトキサゼン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、エトドラク、エトフェナメート、エトニタゼン、オイゲノール、フェルビナク、フェンブフェン、フェンクロズ酸、フェンドサール、フェノプロフェン、フェンタニル、フェンチアザク、フェプラジノール、フェプラゾン、フロクタフェニン、フルアザコルト、フルクロロニド、フルフェナム酸、フルメタゾン、フルニソリド、フルニキシン、フルノキサプロフェン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、フルオコルチンブチル、フルオコイトロン、フルオレソン、フルオロメトロン、フルペロロン、フルピルチン、フルプレドニデン、フルプレドニゾロン、フルプロクアゾン、フルランドレノリド、フルルビプロフェン、フルチカゾン、ホルモコルタール、ホスホサール、ゲンチジン酸、グラフェニン、グルカメタシン、サリチル酸グリコール、グアイアズレン、ハルシノニド、ハロベタソール、ハロメタゾン、ハロプレドノン、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン酢酸エステル、ヒドロコルチゾンコハク酸エステル、ヒドロコルチゾンヘミコハク酸エステル、ヒドロコルチゾン21-リジナート、ヒドロコルチゾンシピオン酸エステル、ヒドロモルホン、ヒドロキシペチジン、イブフェナック、イブプロフェン、イブプロキサム、サリチル酸イミダゾール、インドメタシン、インドプロフェン、イソフェゾラク、イソフルプレドン、イソフルプレドン酢酸エステル、イソラドール(isoladol)、イソメタドン、イソニキシン、イソキセパク、イソキシカム、ケトベミドン、ケトプロフェン、ケトロラク、p-ラクトフェネチド、レフェタミン、レバロルファン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、ロナゾラク、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、アセチルサリチル酸リジン、マジプレドン、メクロフェナム酸、メドリゾン、メフェナム酸、メロキシカム、メペリジン、メプレドニゾン、メプタジノール、メサラミン、メタゾシン、メタドン、メトトリメプラジン、メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロン酢酸エステル、メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム、メチルプレドニゾロンスレプトネート(suleptnate)、メチアジン酸、メトホリン、メトポン、モフェブタゾン、モフェゾラク、モメタゾン、モラゾン、モルヒネ、塩酸モルヒネ、硫酸モルヒネ、サリチル酸モルホリン、ミロフィン、ナブメトン、ナルブフィン、ナロルフィン、1-ナフチルサリチラート、ナプロキセン、ナルセイン、ネホパム、ニコモルフィン、ニフェナゾン、ニフルム酸、ニメスリド、5’-ニトロ-2’-プロポキシアセトアニリド、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、オルサラジン、アヘン、オキサセプロール、オキサメタシン、オキサプロジン、オキシコドン、オキシモルホン、オキシフェンブタゾン、パパベレタム、パラメタゾン、パラニリン、パルサルミド、ペンタゾシン、ペリソキサール、フェナセチン、フェナドキソン、フェナゾシン、フェナゾピリジン塩酸塩、フェノコール、フェノペリジン、フェノピラゾン、フェノモルファン、アセチルサリチル酸フェニル、フェニルブタゾン、サリチル酸フェニル、フェニラミドール、ピケトプロフェン、ピミノジン、ピペブゾン、ピペリロン、ピラゾラク、ピリトラミド、ピロキシカム、ピプロフェン、プラノプロフェン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレドニバール、プレドニリデン、プログルメタシン、プロヘプタジン、プロメドール、プロパセタモール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、プロピフェナゾン、プロクアゾン、プロチジン酸、プロキサゾール、ラミフェナゾン、レミフェンタニル、メチル硫酸リマゾリウム、サラセタミド、サリシン、サリチルアミド、サリチルアミドo-酢酸、サリチル酸、サリチル硫酸、サルサレート、サルベリン、シメトリド、スフェンタニル、スルファサラジン、スリンダク、スーパーオキシドジスムターゼ、スプロフェン、スキシブゾン、タルニフルメート、テニダップ、テノキシカム、テロフェナマート、テトランドリン、チアゾリノブタゾン、チアプロフェン酸、チアラミド、チリジン、チノリジン、チキソコルトール、トルフェナム酸、トルメチン、トラマドール、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トロペシン、ビミノール、キセンブシン、キシモプロフェン、ザルトプロフェン、およびゾメピラクがある。
一実施形態において、構造式Iの化合物は、炎症を治療または予防するために選択的COX-2阻害剤と投与され得る。典型的な選択的COX-2阻害剤には、例えば、デラコキシブ、パレコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブ、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、およびルミラコキシブがある。
いくつかの実施形態において、構造式Iの化合物は、アントラサイクリンまたはTopo II阻害剤との組み合わせで投与される。特定の実施形態において、構造式Iの化合物は、ドキソルビシン(Dox)との組み合わせで投与される。特定の実施形態において、構造式Iの化合物は、ボルテゾミブ(およびより広くカーフィルゾミブを含む)との組み合わせで投与される。
がん併用療法
いくつかの実施形態において、(例えば、本明細書に開示される医薬組成物における)構造式Iの化合物またはその(単)結晶形態は、追加のがん治療と共に投与される。典型的な追加のがん治療には、例えば:化学療法、抗体療法などの標的療法、キナーゼ阻害剤、免疫療法、およびホルモン療法、エピジェネティック療法、プロテオソーム阻害剤、および抗血管新生療法がある。これらの治療のそれぞれの例は以下に与えられる。本明細書の用法では、用語「組み合わせ」、「組み合わせた」、および関連する用語は、本発明による治療剤の同時または連続的な投与を指す。例えば、構造式Iの化合物は、別の治療剤と別の単位剤形で同時または連続的に投与でき、単一の単位剤形で共に投与もできる。したがって、本発明は、構造式Iの化合物(例えば、構造式Iの化合物の結晶形態または単結晶形態)、追加の治療剤、および薬学的に許容可能な担体を含む単一の単位剤形を提供する。
(上述したような追加的治療薬を含んでなる医薬組成物中で)単回投与剤形を製造するために、担体材料と組み合わせ得る構造式Iの化合物および追加的な治療薬の両方の量は、治療される宿主および特定の投与様式に応じて変動する。好ましくは、本発明の医薬組成物は、0.01~100mg/kg体重/日の用量の構造式Iの化合物が投与され得るように、調合されるべきである。
化学療法
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、化学療法と共に同時投与される。化学療法は、がん細胞を破壊する薬剤によるがんの治療法である。「化学療法」は、通常は標的療法とは対照的に、一般に急速に分裂する細胞に影響を及ぼす細胞毒性薬を指す。化学療法薬は、例えばDNAの複製または新たに形成された染色体の分離などの細胞分裂を、様々な可能な様式で妨げる。化学療法のほとんどの形態は、急速に分裂する全ての細胞を標的とし、がん細胞に特異的ではないが、DNA損傷を多くのがん細胞が修復できないのに対して、正常細胞は一般に修復できることから、ある程度の特異性が得られることもある。
がん療法に使用される化学療法剤の例には、例えば、代謝拮抗剤(例えば、葉酸、プリン、およびピリミジン誘導体)およびアルキル化剤(例えば、ナイトロジェンマスタード、ニトロソウレア、白金、スルホン酸アルキル、ヒドラジン、トリアゼン、アジリジン、紡錘体阻害剤、細胞毒性剤、トポイソメラーゼ阻害剤およびその他)がある。典型的な薬剤には、アクラルビシン、アクチノマイシン、アリトレチノイン、アルトレタミン、アミノプテリン、アミノレブリン酸、アムルビシン、アムサクリン、アナグレリド、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、アトラセンタン、ベロテカン、ベキサロテン、ベンダムスチン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カンプトテシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルボクオン、カーフィルゾミブ、カルモフール、カルムスチン、セレコキシブ、セツキシマブ、クロラムブシル、クロルメチン、CHOEP-21、CHOP、シスプラチン、クラドリビン、クロファラビン、クリサンタスパーゼ、シクロホスファミド、シタラビンまたはara-C、ダカルバジン、ダクチノマイシン、DA EPOCH、ダラツムマブ、ダウノルビシン、デシタビン、デメコルシン、デキサメタゾン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エファプロキシラル、エレスクロモール、エルサミトルシン、エノシタビン、エピルビシン、エリブリン、エストラムスチン、エトグルシド、エトポシド、FLAG(Flu+Cyt)、フロクスウリジン、フルダラビン、フロオロウラシル(5FU)、FOLFOX、フォテムスチン、ゲムシタビン、ゲムシタビン-オキサリプラチン(GemOx)、ギリアデルインプラント、ヒドロキシカルバミド、ヒドロキシウレア、イブルチニブ、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、イロフルベン、イキサベピロン、イキサゾミブ、ラロタキセル、レナリドミド、ロイコボリン、リポソーマルドキソルビシン、リポソームダウノルビシン、ロニダミン、ロムスチン、ルカントン、マンノスルファン、マソプロコール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、アミノレブリン酸メチル、ミトブロニトール、ミトグアゾン、ミトタン、マイトマイシン、ミトキサントロン、Nab-パクリタキセル、ネダプラチン、ニムスチン、オブリメルセン、オマセタキシン、オルタタキセル、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペグアスパラガーゼ、ペメトレキセド、ペントスタチン、ピラルビシン、ピキサントロン、PLD(ペグ化されたリポソーマルドキソルビシン)、プリカマイシン、ポマリドミド、ポルフィマーナトリウム、プレドニムスチン、プロカルバジン、ラルチトレキセド、ラニムスチン、R-CHOP、r-dhaox、r-dhap、リツキシマブ、ロミデプシンルビテカン、サパシタビン、セムスチン、シチマジーンセラデノベック、ソラフォニブ、ストラタプラチン(Strataplatin)、ストレプトゾシン、タラポルフィン、テガフール-ウラシル、テモポルフィン、テモゾロミド、テニポシド、テセタキセル、テストラクトン、四硝酸塩(tetranitrate)、チオテパ、チアゾフリン、チオグアニン、チピファルニブ、トポテカン、トラベクテジン、トリアジクオン、トリエチレンメラミン、トリプラチン、トレチノイン、テレオスルファン、トロホスファミド、ウラムスチン、バルルビシン、ベルテポルフィン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン、ビノレルビン、ボリノスタット、ゾルビシン、および本明細書に記載される他の細胞増殖抑制または細胞毒性剤がある。
いくつかの薬剤は、単独よりも合わせたときにより良く機能するため、2種以上の薬剤が同時に投与されることが多い。頻繁に、2種以上の化学療法剤が、併用化学療法として使用される。いくつかの実施形態では、(併用化学療法をはじめとする)化学療法剤を、本明細書に記載される医薬組成物と組み合わせて使用し得る。
標的療法
標的療法は、がん細胞の無秩序なタンパク質に対して特異的な、作用薬の使用からなる。小分子標的療法剤は、一般にがん細胞内の変異した、過剰発現した、またはさもなければ重要な、タンパク質の酵素ドメインの阻害剤である。顕著な例は、アキシチニブ、ボスチニブ、セジラニブ、デサチニブ、エロロチニブ、イマチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、レスタウルチニブ、ニロチニブ、セマキサニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、およびバンデタニブなどのチロシンキナーゼ阻害剤であり、アルボシジブおよびセリシクリブなどのサイクリン依存性キナーゼ阻害剤もまた挙げられる。モノクローナル抗体療法は、治療薬が、がん細胞表面タンパク質に特異的に結合する抗体である、別のストラテジーである。例としては、典型的に乳がんで使用される、抗HER2/neu抗体トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標))と、典型的に多様なB細胞悪性腫瘍で使用される、抗CD20抗体リツキシマブおよびトシツモマブとが挙げられる。その他の例示的な抗体としては、セツキシマブ、パニツマブ、トラスツズマブ、アレムツズマブ、ベバシズマブ、エドレコロマブ、およびゲムツズマブが挙げられる。例示的な融合タンパク質としては、アフリベルセプトおよびデニロイキンジフチトクスが挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物と組み合わせて、標的療法を使用し得る。例えば、Gleevec(Vignariand Wang 2001)。
標的療法はまた、腫瘍周囲の細胞表面受容体に、または罹患した細胞外基質に結合し得る「自動誘導装置」としての小型ペプチドを含み得る。これらのペプチドに付着する放射性核種(例えばRGD)は、核種が細胞近傍で崩壊すれば、最終的にがん細胞を殺滅する。このような治療法の一例としては、BEXXAR(登録商標)が挙げられる。
血管新生
本明細書に記載される医薬組成物および方法は、血管新生関連疾患または障害を治療または予防するのに使用してもよい。血管新生と関連付けられている疾患としては、がん、心血管疾患、および黄斑変性が挙げられる。
血管新生は、既存の血管からの新血管の増殖を伴う、生理学的過程である。血管新生は、成長および発達、ならびに創傷治癒および肉芽組織における、正常かつ不可欠な過程である。しかしそれはまた、休眠状態から悪性状態への腫瘍の移行における必須段階でもある。血管新生は、芳しくない血管新生または異常な血管系のいずれかによって特徴付けられる疾患に取り組むための、標的であってもよい。
体内で新血管生成を阻害または誘導することもある特定化合物の施用は、このような疾患に対する戦いの一助になることもある。存在すべきでない部位における血管の存在は、組織の機械的特性に影響を及ぼすこともあり、破損の可能性を増大させる。修復中またはさもなければ代謝的に活動性の組織における血管の不在は、修復またはその他の本質的機能を阻害することもある。虚血性慢性創傷などのいくつかの疾患は、破損または不十分な血管形成の結果であり、血管の局所的増殖によって、したがってその部位に新しい栄養素を供給して、修復を促進することで治療してもよい。加齢黄斑変性などのその他の疾患は、正常な生理学的過程と干渉する、血管の局所的増殖によって生じることもある。
血管内皮増殖因子(VEGF)は、血管新生の主要原因であり、所与のネットワーク中の毛細管数を増大させることが、実証されている。VEGFの上方制御は、運動に対する生理学的応答の主要構成要素であり、血管新生におけるその役割は、血管損傷における可能な治療法であると考えられている。生体外実験は、この増殖因子存在下において、播種された内皮細胞が増殖して移動し、最終的には毛細血管と似た管構造を形成することから、VEGFが血管新生の強力な刺激物質であることを明確に実証する。
腫瘍は、様々な増殖因子(例えばVEGF)を分泌することにより、血管増殖(血管新生)を誘導する。bFGFおよびVEGFなどの増殖因子は、腫瘍中の毛細血管増殖を誘導し得て、幾人かの研究者は、これが必要な栄養素を供給して、腫瘍の増殖を可能にすると考えている。
血管新生は、心血管疾患治療法のための優れた治療標的に相当する。これは、我々の身体が、重要臓器への血液供給の減少に応答する自然な様式、すなわち虚血傷害を克服するための新しい側副血管の生成の基礎となる、強力な生理学的過程である。
VEGFの過剰発現は、血管新生の刺激に加えて、血管透過性の増大を引き起こす。湿潤黄斑変性においては、VEGFは、網膜中の毛細血管の増殖を引き起こす。血管新生の増大は、浮腫もまた引き起こすため、血液およびその他の網膜液が網膜中に漏れて、視力喪失を引き起こす。
抗血管新生療法としては、スニチニブやソラフェニブなどの血管内皮増殖因子(VEGF)を標的とするキナーゼ阻害剤;またはベバシズマブまたはVEGF-Trap、をはじめとする、VEGFまたはVEGF受容体に対するモノクローナル抗体または受容体「デコイ」;またはサリドマイドまたはその類似体(レナリドミド、ポマリドミド);または線維芽細胞増殖因子(FGF)、アンギオポエチン、またはアンギオスタチンまたはエンドスタチンなどの非VEGF血管新生標的を標的とする作用薬が挙げられる。
エピジェネティックス
本明細書に記載される医薬組成物および方法は、エピジェネティックス関連疾患または障害を治療または予防するのに使用してもよい。エピジェネティックスは、根本的なDNA配列の変化以外の機構によって引き起こされる、表現型または遺伝子発現における遺伝性変化の研究である。真核生物学におけるエピジェネティックなの変化の一例は、細胞分化過程である。形態形成中に、幹細胞は様々な胚細胞系になり、それは次に完全に分化した細胞になる。換言すれば、単一受精卵細胞は、分裂を続ける間に、ニューロン、筋肉細胞、上皮、血管などをはじめとする、多数の細胞型に変化する。これは、その他の遺伝子を抑制する一方で、いくつかの遺伝子を活性化することで、そうなる。
エピジェネティックな変化は、細胞が分裂する際に保存される。ほとんどのエピジェネティックな変化は、1つの個体の生涯においてのみ生じるが、受精をもたらした精子または卵細胞中で、DNA中の変異が引き起こされたのであれば、いくつかのエピジェネティックな変化は、1つの世代から次世代に遺伝する。特定のエピジェネティックな過程としては、パラミューテーション、ブックマーキング、刷り込み、遺伝子サイレンシング、X染色体不活性化、位置効果、再プログラミング、トランスベクション、母性効果、発がんの進行、催奇形因子の多数の影響、ヒストン修飾およびヘテロクロマチンの調節、および単為発生とクローニングに影響を及ぼす技術的限界が挙げられる。
エピジェネティックスと関連付けられている例示的な疾患としては、ATR症候群、脆弱X症候群、ICF症候群、アンジェルマン症候群、プラダー・ウィリー(Prader-Wills)症候群、BWS、レット症候群、αサラセミア、がん、白血病、ルビンシュタイン・テイビ症候群、およびコフィン・ローリー症候群が挙げられる。
エピジェネティックスと結びつけられた最初のヒト疾患は、がんである。研究者らは、結腸直腸がん患者からの患部組織が、同一患者の正常組織よりも、より少ないDNAメチル化を有することを見出した。メチル化遺伝子は、典型的にスイッチオフされるため、DNAメチル化の喪失は、クロマチン配置を変化させることにより、異常に高い遺伝子活性化を引き起こし得る。他方では、過剰なメチル化は、保護的腫瘍サプレッサー遺伝子の作用を取り消し得る。
DNAメチル化はCpG部位で生じ、哺乳類においてはCpGシトシンの大部分はメチル化されている。しかしプロモーター領域の近くには、正常細胞ではメチル化を含まないCpG部位を、より高濃度で有する一続きのDNAがある(CpGアイランドとして知られている)。がん細胞中では、これらのCpGアイランドが過剰にメチル化され、それによって発現停止されるべきではない遺伝子がスイッチオフされる。この異常は、腫瘍中で生じるエピジェネティックな変化を象徴する特徴であり、がん発生初期に起きる。CpGアイランドの過剰メチル化は、腫瘍抑制遺伝子をスイッチオフすることで、腫瘍を引き起こし得る。事実上、これらのタイプの変化は、ヒトのがんにおいて、DNA配列の変異よりもより一般的なこともある。
さらにエピジェネティックな変化は、DNA配列を変化させないが、それらは変異を引き起こし得る。家族性または遺伝性形態のがんを引き起こす遺伝子の約半分は、メチル化によりスイッチオフされる。これらのほとんどの遺伝子は、常態では、腫瘍形成を抑制して、O6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼ(MGMT)、MLH1サイクリン依存性キナーゼ阻害剤2B(CDKN2B)、およびRASSF1Aをはじめとする、DNA修復を促進する。例えばMGMTプロモーターの過剰メチル化は、G-to-A変異の数を増大させる。
過剰メチル化はまた、反復DNA配列であるマイクロサテライトの不安定性をもたらし得る。マイクロサテライトは、正常な個体において一般的であり、それらは通常、ジヌクレオチドCAの反復からなる。DNA修復遺伝子MLH1のプロモーターの過剰なメチル化は、マイクロサテライトを不安定化し、それを延長または短縮し得る。マイクロサテライトの不安定性は、結腸直腸、子宮内膜、卵巣、および胃がんをはじめとする、多数のがんと結びつけられている。
脆弱X症候群は、特に男性において、最も頻繁に遺伝する精神障害である。男女ともこの病状を発症し得るが、男性は、X染色体を1つのみ有するため、1つの脆弱Xは男性に対してより重大な影響を及ぼす。実際に、脆弱X症候群は、4,000人の男性あたり約1人、8,000人の女性あたり1人に発生する。この症候群がある人々は、重篤な知的障害、言語発達遅延、「自閉症様」挙動を有する。
脆弱X症候群は、顕微鏡下における、遺伝子異常を含有するX染色体部分の見え方から、その名称を得た。それは、通常、糸でぶら下がっているように見えて、容易に破損する。症候群は、FMR1(脆弱X精神遅滞1)遺伝子中の異常によって引き起こされる。脆弱X症候群のない人々は、FMR1遺伝子中に、6~50の三塩基CGGの反復を有する。しかし200を超える反復がある個人は、完全な変異を有して、通常、症候群の症状を示す。多すぎるCGGによって、CpGアイランドは、FMR1遺伝子のプロモーター領域でメチル化されるようになり;常態では、それらはメチル化されない。このメチル化は遺伝子をスイッチオフして、FMR1遺伝子が、脆弱X精神遅滞タンパク質と称される重要なタンパク質を生成するのを停止させる。この特定のタンパク質の低下が、脆弱X症候群を引き起こす。脆弱Xの原因として、CGG増幅変異が注目を集めているが、FMR1メチル化に付随するエピジェネティックな変化が、症候群の真犯人である。
エピジェネティックな変化を伴う精神遅滞に関連する障害は、脆弱X症候群のみではない。その他のこのような病状としては、ルビンシュタイン・テイビ(Rubenstein-Taybi)、コフィン・ローリー、プラダー・ウィリー、アンジェルマン、ベックウィズ・ヴィーデマン、ATR-X、およびレット症候群が挙げられる。
エピジェネティック治療法としては、エピジェネティックな修飾を制御する酵素の阻害剤、具体的にはいくつかの悪性腫瘍に対し有望な抗腫瘍形成性効果を示したDNAメチルトランスフェラーゼとヒストンデアセチラーゼ、ならびにアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびsiRNAが挙げられる。
免疫療法
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、免疫療法と共に投与される。がん免疫療法は、患者自身の免疫系が腫瘍と闘うよう誘導するようにデザインされた、治療ストラテジーの多様なセットを指す。腫瘍に対する免疫応答を生じさせる現代的な方法としては、表在性膀胱がんのための膀胱内BCG免疫療法、前立腺がんワクチンであるプロベンジ、および腎細胞がんおよび黒色腫患者において、免疫応答を誘導するためのインターフェロンおよびその他のサイトカインの使用が挙げられる。
同種異系造血幹細胞移植は、供与者の免疫細胞が、移植片対腫瘍効果で腫瘍を攻撃することが多いため、免疫療法の一形態と見なし得る。いくつかの実施形態では、免疫療法剤を本明細書に記載される医薬組成物と組み合わせて使用し得る。
ホルモン療法
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、ホルモン療法と共に投与される。ある種のがんの増殖は、特定のホルモンを提供するか、または遮断することによって抑制し得る。ホルモン感受性腫瘍の一般例としては、特定タイプの乳がんおよび前立腺がん、ならびに特定のレチノイド/レチノイン酸に応答する特定タイプの白血病が挙げられる。エストロゲンまたはテストステロンを除去またはブロックすることは、往々にして重要な追加治療である。特定のがんでは、プロゲストーゲンなどのホルモン作動薬の投与が、治療的に有益なこともある。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物と組み合わせて、ホルモン療法剤を使用し得る。
ホルモン療法剤としては、ホルモン作動薬またはホルモン拮抗薬の投与が挙げられ、レチノイド/レチノイン酸、エストロゲンまたはテストステロンを阻害する化合物、ならびにプロゲストーゲン投与が挙げられる。
炎症および自己免疫疾患
本明細書に記載される医薬組成物は、特にヒトおよびその他の哺乳類において、炎症関連疾患または障害を治療または予防するのに使用してもよい。本明細書に記載される医薬組成物は、炎症の発生前、発生時、または発生後に投与してもよい。予防的に使用される場合、医薬組成物は、好ましくは、あらゆる炎症応答または症状に先立って提供される。医薬組成物の投与は、炎症性応答または症状を予防または軽減し得る。例示的な炎症状態としては、例えば、多発性硬化症、関節リウマチ、乾癬性関節炎、変性関節疾患、脊椎関節症(spondouloarthropathies)、その他の血清反応陰性炎症性関節炎、リウマチ性多発性筋痛、様々な血管炎(例えば巨細胞性動脈炎、ANCA+血管炎)、痛風性関節炎、全身性エリテマトーデス、若年性関節炎、若年性関節リウマチ、骨関節炎、骨粗鬆症、糖尿病(例えばインスリン依存性糖尿病または若年発症糖尿病)、月経痙攣、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、クローン病、粘液性大腸炎、潰瘍性大腸炎、胃炎、食道炎、膵臓炎、腹膜炎、アルツハイマー病、ショック、強直性脊椎炎、胃炎、結膜炎、膵臓炎(pancreatis)(急性または慢性)、多臓器損傷症候群(例えば敗血症または外傷に続発する)、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化、脳卒中、再灌流傷害(例えば心肺のバイパスまたは腎臓透析に起因する)、急性糸球体腎炎、熱的傷害(すなわち日光皮膚炎)、壊死性腸炎、顆粒球輸血関連症候群、および/またはシェーグレン症候群が挙げられる。例示的な皮膚の炎症状態としては、例えば、湿疹、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、蕁麻疹、強皮症(schleroderma)、乾癬、および急性炎症性要素を伴う皮膚病が挙げられる。
別の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、喘息、気管支炎、肺線維症、アレルギー性鼻炎、酸素毒性、肺気腫、慢性気管支炎、急性呼吸困難症候群、およびいずれかの慢性閉塞性肺疾患(COPD)をはじめとする、アレルギーおよび呼吸の病状を治療または予防するのに使用してもよい。化合物は、B型肝炎およびC型肝炎をはじめとする、慢性肝炎感染を治療するのに使用しもよい。
さらに、本明細書に記載される医薬組成物は、自己免疫疾患および/または炎症を治療するのに使用してもよい。臓器組織自己免疫疾患(例えばレイノー症候群)、強皮症、重症筋無力症、移植拒絶反応、内毒素ショック、敗血症、乾癬、湿疹、皮膚炎、多発性硬化症、自己免疫性甲状腺炎、ブドウ膜炎、全身性エリテマトーデス、アジソン病、多腺性自己免疫疾患(多腺性自己免疫症候群としてもまた知られている)、およびグレーブス病などの自己免疫疾患と関連付けられている。
特定の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、多発性硬化症を治療するのに使用し得る。
ウイルス感染症
本明細書に記載される医薬組成物は、特にヒトおよびその他の哺乳類において、ウイルス感染症関連疾患または障害を治療または予防するのに使用してもよい。本明細書に記載される医薬組成物は、ウイルス感染症の発生前、発生時、または発生後に投与してもよい。予防的に使用される場合、医薬組成物は、好ましくは、あらゆるウイルス感染症またはその症状に先立って提供される。
例示的なウイルス性疾患としては、急性熱性咽頭炎、咽頭結膜熱、流行性角結膜炎、乳児胃腸炎、コクサッキー感染症、伝染性単核症、バーキットリンパ腫、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞がん、原発性HSV-1感染症(例えば小児における歯肉口内炎、成人における扁桃炎および咽頭炎、角結膜炎)、潜在性HSV-1感染症(例えば口唇ヘルペス(herpes labialis)および単純ヘルペス(cold sores)、原発性HSV-2感染症、潜在性HSV-2感染症、無菌性髄膜炎、伝染性単核症、巨細胞封入体病、カポジ肉腫、多中心性キャッスルマン病、原発性滲出液リンパ腫、AIDS、インフルエンザ、ライ症候群、はしか、後感染性脳脊髄炎、おたふく風邪、過形成上皮病変(例えば尋常性、扁平、足底、および肛門性器疣贅、喉頭乳頭腫、疣贅状表皮発育異常症)、子宮頸がん、扁平上皮がん、クループ、肺炎、細気管支炎、感冒、灰白髄炎、狂犬病、インフルエンザ様症候群、肺炎を伴う重症細気管支炎、風疹、先天性風疹、水痘、および帯状疱疹が挙げられる。
代表的ウイルス性A型インフルエンザ株としては、H1N1、H3N2、H5N1、H7N3、H7N9が挙げられる。本明細書に記載される化合物はまた、B型インフルエンザを治療または予防するために使用し得る。
例示的な病原性ウイルスとしては、アデノウイルス、コクサッキーウイルス、デングウイルス、脳炎ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、肝炎Aウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、サイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルス8型、ヒト免疫不全ウイルス、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、おたふく風邪ウイルス、ヒトパピローマウイルス、パラインフルエンザウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、風疹ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、西ナイルウイルス、デング(Dungee)、および黄熱病ウイルスが挙げられる。病原性ウイルスとしては、耐性ウイルス感染症を引き起こすウイルスもまた挙げられる。
抗ウイルス薬剤は、ウイルス感染症を治療するのに特異的に使用される、薬剤クラスである。抗ウイルス作用は、一般に3つの機構の内1つに分類される。ウイルスが標的細胞に侵入する能力への干渉(例えばアマンタジン、リマンタジン、およびプレコナリル)、ウイルス合成の抑制(例えばアシクロビルやジドブジン(AZT)のようなヌクレオシド類似体など)、およびウイルス放出の抑制(例えばザナミビルおよびオセルタミビル)。
眼科
本明細書に記載される医薬組成物は、眼科(ophthamology)疾患を治療しまたは予防するのに使用してもよい。例示的な眼科(ophthamology)障害としては、黄斑浮腫(糖尿病性および非糖尿病性黄斑浮腫)、加齢性湿潤および乾燥型黄斑変性、加齢性円板状黄斑変性(aged disciform macular degeneration)、嚢胞状黄斑浮腫、眼瞼浮腫、網膜浮腫、糖尿病性網膜症、脈絡網膜症、血管新生黄斑症、血管新生緑内障、ブドウ膜炎、虹彩炎、網膜血管炎、眼内炎、全眼球炎、転移性眼炎、脈絡膜炎、網膜色素上皮炎、結膜炎、毛様体炎、強膜炎、上強膜炎、視神経炎、球後視神経炎、角膜炎、眼瞼炎、滲出性網膜離脱、角膜潰瘍、結膜潰瘍、慢性貨幣状角膜炎、低酸素症または虚血に付随する眼疾患、未熟児網膜症、増殖性糖尿病性網膜症、ポリープ状脈絡膜血管症、網膜血管腫状増殖、網膜動脈閉塞症、網膜静脈閉塞症、コーツ病、家族性滲出性硝子体網膜症、脈なし病(高安病)、イールズ病、抗リン脂質抗体症候群、白血病性網膜症、血液過粘稠度症候群、マクログロブリン血症、インターフェロン網膜症、高血圧性網膜症、放射線網膜症、角膜上皮幹細胞不全症、および白内障が挙げられる。
本明細書に記載される医薬組成物を使用して治療可能なその他の眼科疾患としては、増殖性硝子体網膜症および慢性網膜離脱が挙げられる。
炎症性眼疾患もまた、本明細書に記載される医薬組成物を使用して治療可能である。
神経変性疾患
本明細書に記載される医薬組成物を使用して、神経変性疾患を治療または予防できる。神経変性は、神経細胞の死をはじめとする、神経細胞の構造または機能の進行性喪失を示す、包括的用語である。パーキンソン病、アルツハイマー病、およびハンチントン病をはじめとする多数の神経変性疾患は、神経変性過程の結果として発生する。研究が進むにつれて、細胞内レベルでこれらの疾患を互いに関連付ける、多数の類似性が現れた。これらの類似性の発見は、多数の疾患を同時に改善し得る治療法の進歩に対する希望を提供する。異なる神経変性障害の間には、非定型タンパク質アセンブリーならびに誘導細胞死をはじめとする、多数の類似点がある。
アルツハイマー病は、大脳皮質および特定の皮質下の領域内における、ニューロンおよびシナプスの喪失によって特徴付けられる。この喪失は、側頭葉と頭頂葉、および前頭皮質と帯状回の一部における変性をはじめとする、罹患領域の肉眼的萎縮をもたらす。
ハンチントン病は、アストログリオーシスと、中型有棘ニューロンの喪失を引き起こす。脳の領域は、それらの構造と、それらが含有するニューロン型次第で影響を被り、累積的に細胞を喪失するに連れて、サイズが低下する。影響を受ける領域は、主に線条体中にあるが、前頭皮質および側頭皮質中にもある。線条体の視床下核は、運動を開始して調節する淡蒼球に、制御シグナルを送る。したがって視床下核からのシグナル低下は、動作の開始と調節に低下を引き起こして、疾患に特徴的な動作をもたらす。ハンチントン病の例示的な治療薬としては、テトラベナンジン、神経弛緩薬、ベンゾジアゼピン、アマンタジン、レマセミド、バルプロ酸、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、ミルタザピン、および抗精神病薬が挙げられる。
パーキンソン病における脳細胞が失われる機序は、損傷を受けた細胞中における、ユビキチンに結合したタンパク質α-シヌクレインの異常な蓄積からなることもある。α-シヌクレイン-ユビキチン複合体は、プロテアソーム(proteosome)に誘導され得ない。このタンパク質蓄積は、レビー小体と称されるタンパク質性細胞質封入体を形成する。疾患の病因に関する最新の研究は、α-シヌクレインによるドーパミン作動性ニューロンの死が、2つの主要な細胞内小器官である小胞体(ER)とゴルジ体との間でタンパク質を輸送する機構の欠陥に起因することを示している。Rab1のような特定のタンパク質は、動物モデルにおいて、α-シヌクレインによって引き起こされるこの欠陥を逆転させることもある。例示的なパーキンソン病療法としては、レボドパと、ブロモクリプチン、ペルゴリド、プラミペキソール、ロピニロール、ピリベジル、カベルゴリン、アポモルフィン、およびリスリドなどをはじめとするドーパミン作動薬と、ドーパ脱炭酸酵素阻害薬(dopa decarboxylate inhibitors)と、セレギリン(selegilene)およびラサギリン(rasagilene)などのMAO-B阻害剤と、抗コリン薬と、アマンタジンとが挙げられる。
筋萎縮性側索硬化(ALS/ルー・ゲーリック病)は、運動ニューロンが選択的に変性対象になる疾患である。例示的なALS療法としては、リルゾール、バクロフェン、ジアゼパム、トリヘキシフェニジル、およびアミトリプチリンが挙げられる。
その他の例示的な神経変性治療薬としては、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび幹細胞が挙げられる。
創傷治癒
創傷は、細胞または組織損傷によって特徴付けられる病状の一種である。創傷治癒は、至適には、組織の完全性と機能の修復をもたらす動的過程である。創傷治癒過程は、3つの重複する段階からなる。第1段階は、恒常性維持、血小板凝集、および脱顆粒によって特徴付けられる炎症期である。最初の応答としての血小板は、複数の成長因子を放出して、免疫細胞、上皮細胞、および内皮細胞を動員する。炎症期は、典型的に0~5日間にわたって起きる。創傷治癒の第2段階は、その間にマクロファージおよび顆粒球が創傷に侵入する、増殖期である。浸潤性線維芽細胞は、コラーゲンを産生し始める。この時期の原則的特徴は、上皮化、血管新生、肉芽組織形成、およびコラーゲン産生である。増殖期は、典型的に3~14日間にわたって起きる。第3段階は、マトリックス形成が起きる再構築期である。線維芽細胞、上皮細胞、および内皮細胞は、再構築のために、コラーゲンおよびコラゲナーゼ、ならびにマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)を産生し続ける。コラーゲン架橋が生じて、創傷を収縮させる。再構築期は、典型的に7日目~1年間にわたって起きる。
本明細書に記載される医薬組成物は、創傷治癒を促進させる(例えば創傷閉鎖および/または創傷治癒を促進または加速させ、創傷組織および/またはその周辺の瘢痕線維症を軽減し、創傷周囲または近接細胞のアポトーシスを阻害する)ために使用し得る。したがって、特定の実施形態では、本発明は、治療有効量の本明細書に記載される医薬組成物を対象に投与するステップを含んでなる、対象中で創傷治癒を促進する方法を提供する。方法は、創傷の完全な治癒または閉鎖を達成する必要はなく;方法は、あらゆる程度の創傷閉鎖を促進すれば十分である。この点において、方法は、負傷組織治癒のために、単独でまたはその他の方法の補助剤として用い得る。
本明細書に記載される医薬組成物を使用して、炎症期(または初期)、創傷治癒増殖期(または中期)、および/または創傷治癒再構築期(または後期)において、創傷を治療し得る。
いくつかの実施形態では、創傷治癒を必要とする対象は、ヒトまたは例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、またはマウスのような齧歯類などの動物である。
いくつかの実施形態では、創傷治癒に有用な本明細書に記載される医薬組成物は、例えば創傷部位に近接して局所投与され、または全身投与される。
より具体的には、治療有効量の本明細書に記載される医薬組成物は、創傷を被覆することで、または本明細書に記載される化合物または組成物で被覆または処理された、絆創膏、充填材料、縫合などを施用することで、(任意選択的にその他の薬剤と組み合わせて)創傷部位に投与し得る。したがって本明細書に記載される医薬組成物は、表面創傷を治療する局所投与のために調合し得る。局所製剤としては、口を介した(バッカル)送達製剤、本明細書に記載される医薬組成物を皮膚層(すなわち表皮、真皮、および/または皮下層)に接触させる皮膚送達製剤が挙げられる。局所送達系を使用して、本明細書に記載される化合物および組成物の局所製剤を投与してもよい。
代替として、本明細書に記載される医薬組成物は、例えば本明細書に記載される化合物または組成物を含んでなる、溶液の注射、持続放出調合物の注射、または生分解性移植片の導入によって、創傷部位またはその近くに投与し得る。
本明細書に記載される医薬組成物を使用して、急性創傷または慢性創傷を治療し得る。慢性創傷は、正常な修復過程が中断されると生じる。慢性創傷は、無認識の持続性感染または不十分な一次処置の結果として、急性損傷から生じ得る。しかしほとんどの場合、慢性損傷は、静脈、動脈、または代謝血管疾患、褥瘡、放射線障害、または腫瘍に起因する、進行性組織破壊の終末期である。
慢性創傷では、糖尿病性潰瘍における不適当な循環、火傷や感染症などにおける顕著な壊死をはじめとする、多様な理由から治癒が起きない。これらの慢性創傷では、生存または回復期が律速段階であることが多い。細胞はもはや生存できず、したがって最初の回復期は、好ましくない創傷床環境によって延長される。
慢性創傷としては、慢性虚血性皮膚病変;強皮症潰瘍;動脈潰瘍;糖尿病性足部潰瘍;褥瘡;静脈潰瘍;非治癒性下肢創傷;炎症状態に起因する潰瘍;および/または長期にわたる創傷が挙げられるが、これに限定されるものではない。慢性創傷のその他の例としては、慢性潰瘍、糖尿病性創傷、糖尿病性ニューロパシーによって引き起こされる創傷、静脈不全、および動脈不全、および圧迫創傷、および低温および中温火傷が挙げられる。慢性創傷のなおもその他の例としては、慢性潰瘍、糖尿病性創傷、糖尿病性ニューロパシーによって引き起こされる創傷、静脈不全、動脈不全、および圧迫創傷が挙げられる。
急性創傷としては、術後創傷、挫創、痔疾、および裂傷が挙げられるが、これに限定されるものではない。
特定の実施形態では、対象における、糖尿病性創傷治癒のために、または糖尿病または虚血に続発する下肢および足部潰瘍治癒を加速するために、本明細書に記載される医薬組成物を使用し得る。
一実施形態では、創傷は外傷である。別の実施形態では、創傷は手術創(例えば腹部または胃腸手術創)である。さらなる実施形態では、創傷は火傷である。さらに別の実施形態では、創傷は放射線被曝の結果である。
本明細書に記載される医薬組成物はまた、糖尿病性創傷の治癒、胃腸創傷の治癒、または例えば手術に起因する癒着の治癒のために使用し得る。
本明細書に記載される医薬組成物を使用して、別の疾患に続発する創傷もまた回復させ得る。例えば乾癬および皮膚炎などの炎症性皮膚疾患においては、疾患に続発して、皮膚の深い亀裂によって、または皮膚を掻くことで引き起こされる、多数の皮膚病変事象がある。本明細書に記載される医薬組成物を使用して、これらの疾患に続発する、例えば乾癬や皮膚炎のような炎症性皮膚疾患などの創傷を回復させ得る。
さらなる実施形態では、創傷は内傷である。特定の態様では、内傷は慢性創傷である。別の特定の態様では、創傷は血管創傷である。さらに別の特定の態様では、内傷は潰瘍である。内傷の例としては、美容整形美と関連する瘻孔および内部創傷、内的徴候、クローン病、潰瘍性大腸炎、内部縫合糸、および骨格修復が挙げられるが、これに限定されるものではない。内傷のその他の例としては、美容整形と関連する瘻孔および内傷、内的徴候、内部縫合糸、および骨格修復が挙げられるが、これに限定されるものではない。
創傷の例としては、擦過傷、裂離、開放性気胸症(すなわち開放気胸)、火傷創傷、挫傷、銃創、切創、解放創、貫通創、穿孔創、穿刺創、串線創、刺創、手術創、皮下創傷、糖尿病性病変、または接線創が挙げられるが、これに限定されるものではない。本明細書に記載される医薬組成物によって治療し得る創傷の追加的な例としては、熱傷、化学火傷、急性病状または創傷、化学的火傷、照射火傷、過剰な紫外線照射への曝露によって引き起こされる火傷(例えば日光皮膚炎);陣痛および出産の結果としての会陰などの身体組織への損傷;会陰切開術などの医学的手技中に受けた損傷;切断、切開、表皮剥離をはじめとする、外傷誘発性損傷;事故から受けた損傷;術後の損傷、ならびに褥瘡、床擦れ、糖尿病および芳しくない循環関連の病状、および全てのタイプの座瘡などの慢性病状が挙げられる。さらに創傷としては、膿痂疹や間擦疹や毛嚢炎や湿疹などの皮膚炎、歯科手術に続く創傷;歯周病;外傷に続く創傷;および腫瘍関連創傷が挙げられる。創傷のなおもその他の例としては、動物咬創、動脈疾患、昆虫刺症と咬創、骨感染症、損傷皮膚/筋移植、壊疽、皮膚裂傷または裂創、皮膚老化、回復が遅いまたは非治癒性の手術創をはじめとする外科的切開、脳内出血、動脈瘤、皮膚無力症、および術後感染症が挙げられる。
好ましい実施形態では、創傷は、火傷、切創、開放創、手術創または手術後創、糖尿病性病変、熱傷、化学火傷、放射線火傷、褥瘡、床擦れ、および糖尿病または芳しくない循環に関連した病状からなる群から選択される。より好ましい実施形態では、創傷は、切創、開放創、外科的または術後創傷、糖尿病性病変、褥瘡、床ずれ、および糖尿病または芳しくない循環に関連する病状または創傷からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、創傷は、非放射線火傷、切創、開放創、手術創または手術後創、糖尿病性病変、熱傷、化学火傷、褥瘡、床擦れ、および糖尿病または芳しくない循環に関連した病状からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、創傷は、切創、開放創、外科的または術後創傷、糖尿病性病変、褥瘡、床ずれ、および糖尿病または芳しくない循環に関連する病状からなる群から選択される。
本開示はまた、対象において創傷治癒中に瘢痕形成を軽減させる方法および医薬組成物にも関する。本明細書に記載される医薬組成物は、創傷および/またはその周辺で、瘢痕形成を軽減させるのに有効な量で、直接創傷に、または創傷に近接する細胞に投与し得る。したがって、いくつかの実施形態では、治療有効量の本明細書に記載される医薬組成物を対象に投与するステップを含んでなる、対象において創傷治癒中に瘢痕形成を低下させる方法が提供される。
創傷としては、対象の身体のあらゆる部分に対する、あらゆる傷害が挙げられる。実施形態に従って、熱傷に罹患している対象中で、瘢痕形成を改善し、軽減させ、または低下させる方法が提供される。好ましい実施形態に従って、急性または慢性創傷または傷害に罹患している対象中で、肥大性瘢痕を治療し、出現を低減し、または発症確率を低下させる方法が提供される。
その他の障害
本明細書に記載される医薬組成物はまた、拡張型心筋症、肥大性心筋症、拘束性心筋症、肺線維症、肝線維症、糸球体腎炎、およびその他の腎障害をはじめとする、異常組織増殖および線維症障害を治療するのにも使用してもよい。
併用放射線療法
本明細書に記載される医薬組成物は、放射線増感剤として有用である。したがって本明細書に記載される医薬組成物は、放射線療法と組み合わせて投与し得る。放射線療法は、腫瘍を縮小させて、悪性細胞を殺滅するための、高エネルギー照射(例えばX線、ガンマ線、荷電粒子)の医学的使用であり、一般にがん治療法の一部として使用される。放射線療法は、それらのDNAを損傷することで悪性細胞を殺滅する。
放射線療法は、いくつかの方法で患者に送達し得る。例えば照射は、外部ビーム放射線療法におけるように、患者の身体の外部の装置などの外部線源から送達し得る。がん治療のための外部ビーム放射線療法は、典型的に、60Co、137Csなどの放射性同位体、または線形加速器などの高エネルギーX線源のいずれかである、患者の外部にある放射線源を使用する。外部線源は、患者の腫瘍部位に向けて平行ビームを生じる。外部線源放射線療法は、内部線源放射線療法の問題のいくつかを回避するが、それは腫瘍性組織と共に、放射線ビーム経路中で、望ましくなくかつ必然的に大量の非腫瘍性または健康な組織を照射する。
健康な組織を照射することの有害な影響は、ビームで腫瘍部位をカバーしながら、外部放射線ビームを多様な「ガントリー」角度で患者に投射することにより、腫瘍性組織中の所与の放射線量を保ちながら低下させ得る。放射線ビームの経路に沿った健康な組織の特定の体積要素は変化して、治療全体における健康な組織のこのような各要素に対する総線量が低下する。
健康な組織の照射はまた、放射線ビーム軸に垂直な腫瘍断面全体に対して、放射線ビームを厳密に視準することによっても低下させ得る。このような外周視準を生じる多数のシステムが存在し、そのいくつかは、任意の輪郭の放射線不透過性マスクを区分的に生じ得る複数のスライド式シャッターを利用する。
外部ビーム照射の投与のために、線量は、治療容積に対して、少なくとも隔日1回、少なくとも約1グレイ(Gy)画分であり得る。特定の実施形態では、照射は、少なくとも1日1回、少なくとも約2グレイ(Gy)画分で、治療容積に投与される。別の特定の実施形態では、照射は、週あたり連続して5日間にわたり、少なくとも1日1回、少なくとも約2グレイ(Gy)画分で治療容積に投与される。別の特定の実施形態では、照射は、隔日、週に3回、10Gy画分で治療容積に投与される。別の特定の実施形態では、少なくとも合計約20Gyが、それを必要とする患者に投与される。別の特定の実施形態では、少なくとも合計約30Gyが、それを必要とする患者に投与される。別の特定の実施形態では、少なくとも約40Gyが、それを必要とする患者に投与される。
典型的に患者は、外部ビーム治療法を週に4または5回受ける。全治療過程は、がんのタイプと治療目的に応じて、通常は、1~7週間にわたる。例えば2Gy/日の用量を、患者に30日間にわたり投与し得る。
内部放射線療法は局在性放射線療法であり、放射線源は腫瘍部位または患部に配置される。内部放射線療法は、放射線源を、治療を要する領域の内部または隣に配置させることで送達し得る。内部放射線療法は、近接照射療法とも称される。近接照射療法としては、腔内療法および間質内療法が挙げられる。腔内療法では、放射線源を収容する容器が、腫瘍に入れられまたはその近くに置かれる。放射線源は、体腔に入れられる。間質内療法では、放射線源のみが腫瘍に入れられる。これらの放射線源は、患者の中に恒久的に留まり得る。典型的に放射線源は、数日後に患者から取り出される。放射線源は、容器内にある。
放射性医薬品を投与する、いくつかの方法がある。例えば放射性医薬品は、放射性標識抗体、放射性標識ペプチド、およびリポソーム送達系などの標的化放射性複合体の標的化送達または全身性送達によって投与し得る。標的化送達の特定の一実施形態では、放射標識医薬品は放射標識抗体であり得る。例えばその内容を参照によって本明細書に援用する、Cancer Res.,2001;61:2008-2014 and Goldenber,D.M.J.Nucl.Med.,2002;43(5):693-713を参照されたい。
標的化送達の別の特定の実施形態では、放射性医薬品は、小型単層小胞、大型単層小胞、および多重膜小胞などのリポソーム送達系の形態で投与し得る。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなどの多様なリン脂質から生成され得る。例えばその内容を参照によって本明細書に援用する、Emfietzoglou D,Kostarelos K,Sgouros G.An analytical dosimetry study for the use of radionuclide-liposome conjugates in internal radiotherapy.J Nucl Med 2001;42:499-504を参照されたい。
標的化送達のさらに別の特定の実施形態では、放射性標識医薬品は、放射性標識ペプチドであり得る。例えばその内容を参照によって本明細書に援用する、Weiner RE,Thakur ML.Radiolabeled peptides in the diagnosis and therapy of oncological diseases.Appl Radiat Isot 2002 Nov;57(5):749-63を参照されたい。
標的化送達に加えて、近接照射療法を使用して、放射性医薬品を標的部位に送達し得る。近接照射療法は、腫瘍部位の可能な限り近くに、放射線源を置く技術である。往々にして線源は、腫瘍に直接挿入される。放射線源は、ワイヤ、シードまたはロッドの形態であり得る。一般に、セシウム、イリジウムまたはヨウ素が使用される。
全身放射線療法は、別のタイプの放射線療法であり、血中の放射性物質の使用を伴う。全身放射線療法は、標的療法の一形態である。全身放射線療法では、患者は、典型的に、放射性ヨウ素などの放射性物質、またはモノクローナル抗体に結合した放射性物質を摂取し、または注射される。
本明細書で定義される「放射性医薬品」は、少なくとも1つの放射線放出性放射性同位体を含有する医薬品を指す。放射性医薬品は、慣例的に、様々な疾患の診断および/または治療ために核医学で使用される。例えば放射標識抗体などの放射標識医薬品は、放射線源の役割を果たす放射性同位体(RI)を含有する。本明細書における意図では、「放射性同位体」という用語は、金属および非金属放射性同位体を含む。放射性同位体は、放射性標識医薬品の医療用途に基づいて選択される。放射性同位体が、金属放射性同位体である場合、キレート化剤が典型的に用いられて、金属放射性同位体を分子残部に結合する。放射性同位体が非金属放射性同位体である場合、非金属放射性同位体は、典型的に、分子残部直接結合し、またはリンカーによって結合する。
本明細書の用法では,「金属放射性同位体」は、生体内または試験管内治療または診断手順で有用なあらゆる適切な金属放射性同位体である。適切な金属放射性同位体としては、アクチニウム-225、アンチモン-124、アンチモン-125、ヒ素-74、バリウム-103、バリウム-140、ベリリウム-7、ビスマス-206、ビスマス-207、ビスマス-212、ビスマス-213、カドミウム-109、カドミウム-115m、カルシウム-45、セリウム-139、セリウム-141、セリウム-144、セシウム-137、クロム-51、コバルト-55、コバルト-56、コバルト-57、コバルト-58、コバルト-60、コバルト-64、銅-60、銅-62、銅-64、銅-67、エルビウム-169、ユウロピウム-152、ガリウム-64、ガリウム-67、ガリウム-68、ガドリニウム-153、ガドリニウム-157金-195、金-199、ハフニウム-175、ハフニウム-175-181、ホルミウム-166、インジウム-110、インジウム-111、イリジウム-192、鉄55、鉄-59、クリプトン-85、鉛-203、鉛-210、ルテチウム-177、マンガン-54、水銀-197、水銀-203、モリブデン-99、ネオジム-147、ネプツニウム-237、ニッケル-63、ニオブ-95、オスミウム-185+191、パラジウム-103、パラジウム-109、白金-195m、プラセオジム-143、プロメチウム-147、プロメチウム-149、プロトアクチニウム-233、ラジウム-226、レニウム-186、レニウム-188、ルビジウム-86、ルテニウム-97、ルテニウム-103、ルテニウム-105、ルテニウム-106、サマリウム-153、スカンジウム-44、スカンジウム-46、スカンジウム-47、セレン-75、銀-110m、銀-111、ナトリウム-22、ストロンチウム-85、ストロンチウム-89、ストロンチウム-90、硫黄-35、タンタル-182、テクネチウム-99m、テルル-125、テルル-132、タリウム-204、トリウム-228、トリウム-232、タリウム-170、スズ-113、スズ-114、スズ-117m、チタン-44、タングステン-185、バナジウム-48、バナジウム-49、イッテルビウム-169、イットリウム-86、イットリウム-88、イットリウム-90、イットリウム-91、亜鉛-65、ジルコニウム-89、およびジルコニウム-95が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本明細書の用法では,「非金属放射性同位体」は、生体内または試験管内治療または診断手順で有用なあらゆる適切な非金属放射性同位体(非金属放射性同位体)である。適切な非金属放射性同位体としては、ヨウ素-131、ヨウ素-125、ヨウ素-123、リン-32、アスタチン-211、フッ素-18、炭素-11、酸素-15、臭素-76、および窒素-13が挙げられるが、これに限定されるものではない。
放射線療法のために最も適切な同位体を同定するには、多様な要因の検討が必要である。これらとしては、腫瘍取り込みおよび保持、血液クリアランス、照射送達速度、放射性同位体半減期および比活性、および経済的な放射性同位体の大規模生産の実現可能性が挙げられる。治療用放射性医薬品の要点は、管理し難い副作用を引き起こさずに、必要な照射用量を腫瘍細胞に送達して、細胞毒性または殺腫瘍効果を達成することである。
治療用放射性同位体の物理半減期は、腫瘍部位における放射性医薬品の生物学的半減期と同様であることが好ましい。例えば放射性同位体の半減期が短すぎる場合、崩壊の大半は、放射性医薬品が最大標的/背景比に達する前に起きる。他方、長すぎる半減期は、正常組織に対して不要な放射線量を引き起こし得る。理想的には、放射性同位体は、十分長い半減期を有して、最小線量率を達成し、細胞周期中の最も照射感受性の高い段階で、全ての細胞を照射すべきである。これに加えて放射性同位体の半減期は、製造、リリース、および輸送に十分な時間を与えるのに、十分長くなくてはならない。
腫瘍治療法において、特定用途のために放射性同位体を選択する上での、別の実用的考察は、入手可能性および品質である。放射性医薬品の放射性標識および放射化学純度には、痕跡量の不純物が影響を及ぼし得るため、純度は十分高く再現可能でなくてはならない。
腫瘍中の標的受容体部位は、典型的に数が限られている。したがって放射性同位体は、高い比活性を有することが好ましい。比活性は、主に製造法に左右される。微量金属汚染物質は、キレート化剤について、放射性同位体と往々にして競合し、またそれらの金属複合体は、受容体結合について、放射性標識キレート剤と競合するために、最小化されなくてはならない。
本発明の方法で使用するのに適した照射タイプは、変動し得る。例えば照射は、本質的に電磁または微粒子であり得る。本発明の実施において有用な電磁放射としては、X線およびガンマ線が挙げられるが、これに限定されるものではない。本発明の実施で有用な微粒子照射としては、電子ビーム(ベータ粒子)、プロトンビーム、中性子ビーム、アルファ粒子、および負のパイ中間子が挙げられるが、これに限定されるものではない。照射は、従来の放射線学的治療装置および方法を使用して、および術中および定位固定法によって送達し得る。本発明の実施で使用するのに適した放射線治療に関する追加的な考察はSteven A.Leibel et al.,Textbook of Radiation Oncology(1998)(W.B.Saunders Companyによる出版)の全体を通じて記載され、特に第13章および14章に記載される。照射はまた、例えば放射性「シード」による、または標的化放射性複合体の全身性送達による、標的化送達などのその他の方法によって送達し得る。J.Padawer et al.,Combined Treatment with Radioestradiol lucanthone in Mouse C3HBA Mammary Adenocarcinoma and with Estradiol lucanthone in an Estrogen Bioassay,Int.J.Radiat.Oncol.Biol.Phys.7:347-357(1981)。その他の照射送達法も、本発明実施で使用し得る。
腫瘍療法のために、αおよびβ粒子放出体の両方が調査されている。アルファ粒子は、1または2細胞直径内に大量のエネルギーを散逸するため、特に優れた細胞毒性薬である。β粒子放出体は、エネルギーレベル次第で、比較的長い透過範囲(組織中で2~12mm)を有する。長い透過範囲は、不均一の血流および/または受容体発現を有する固形腫瘍で、特に重要である。β粒子放出体は、それらが標的組織内で不均一に分布している場合でさえも、より均質な線量分布をもたらす。
特定の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物の治療有効量を放射線療法の治療有効量と組み合わせて投与して、がん(例えば非小細胞肺がんなどの肺がん)を治療する。必要な照射量は、特定のタイプのがんのための既知の用量に基づいて、当業者によって判定され得る。例えばCancer Medicine 5th ed.,Edited by R.C.Bast et al.,July 2000,BC Deckerを参照されたい。
合成方法
セリネクソールの結晶形態(例えば、単結晶形態Aおよび単結晶形態Dなどの単結晶形態)を調製する合成方法も本明細書において提供される。
第7の実施形態は、構造式Iにより表される化合物の単結晶形態を調製する方法であって、単結晶形態が形態Aであり、かつ4.4°、19.9°、21.3°、および22.0°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる、方法を提供し、方法は、
(a)構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物を、イソプロパノールまたはイソプロパノールと水との混合物に懸濁させて、スラリーを形成することであって、単結晶形態Dは、3.7°、7.3°、10.9°、18.3°、および21.9°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ、単結晶形態Bは、9.4°、11.1°、16.5°、18.3°、および18.8°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ、および単結晶形態Cは、3.7°、11.2°、12.1°、および18.6°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線回折ピークにより特徴付けられる、形成することと;
(b)スラリーを約70℃以下の温度に加熱して、第2のスラリーまたは溶液を形成することと;
(c)第2のスラリーまたは溶液を冷却し、かつ第2のスラリーまたは溶液に水を加えて、それにより構造式Iの化合物の結晶形態Aの固体粒子を形成することと;
(d)結晶形態Aの固体粒子を単離して、それにより構造式Iの化合物の単結晶形態Aの粒子を含む組成物を調製することと
を含む。代替的なXRPD、DSCおよび/またはTGA特性を含む、単結晶形態Aならびに単結晶形態B、C、およびDの特性および代替的な特性は、それぞれ第1および第2の実施形態に関して上述された通りである。d(0.9)、d(0.5)、およびd(0.1)、ならびにその比の値および代替的な値、ならびに単結晶形態Aの粒子の粒径分布の特性(例えば、単峰性、正規)は、そのいずれかの態様の第5の実施形態に記載された通りである。
第7の実施形態のいくつかの態様において、結晶形態Aの固体粒子は、70ミクロン以下のd(0.9)により特徴付けられる単峰性粒径分布を有する。第7の実施形態のいくつかの態様において、結晶形態Aの固体粒子は、100ミクロン以下のd(0.9)により特徴付けられる単峰性粒径分布を有する。
第7の実施形態のいくつかの態様において、構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の単結晶形態の2つ以上を含む混合物は、工程(a)においてイソプロパノールと水との混合物に懸濁される。
第7の実施形態のいくつかの態様において、イソプロパノールと水との混合物中の水に対するイソプロパノールの体積による比は、約0.1~約4、例えば、約1である。
第7の実施形態のいくつかの態様において、構造式Iの単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物は、構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物に対して約5~約10重量部の、例えば、単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物に対して約6~約7重量部の量のイソプロパノールまたはイソプロパノールと水との混合物に懸濁される。
第7の実施形態のいくつかの態様において、スラリーは、約50℃以下の温度に加熱される。第7の実施形態のいくつかの態様において、スラリーは、約35℃~約70℃または約35℃~約50℃の温度に加熱される。第7の実施形態のいくつかの態様において、スラリーは、約65℃~約70℃の温度に加熱される。
第7の実施形態のいくつかの態様において、第2のスラリーまたは溶液は、約0℃~約55℃に冷却される。例えば、第2のスラリーまたは溶液は、約0℃~約5℃、約15℃~約20℃、または約45℃~約50℃に冷却される。
第7の実施形態のいくつかの態様において、水は、第2のスラリーまたは溶液に、構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物に対して約5重量部~約15重量部の量で加えられる。例えば、水は、第2のスラリーまたは溶液に、構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物に対して約7重量部~約10重量部または約10重量部の量で加えられる。
結晶形態Aの固体粒子を単離することは、典型的には、濾過および任意選択で、濾過された固体を溶媒(例えば、冷却された溶媒)ですすぐことにより実施されるが、固体粒子を単離する他の手段は当技術分野で公知である。結晶形態Aの固体粒子を単離する他の手段には、第2のスラリーまたは溶液中に存在する液体を蒸留して固体粒子から離すことまたは他の方法で、例えば、第2のスラリーもしくは溶液を加熱すること、第2のスラリーもしくは溶液を減圧(例えば、真空中)に曝すこと、もしくは前記の任意の組み合わせにより結晶形態Aの固体粒子を乾燥させることがあるが、これらに限定されない。
第8の実施形態は、構造式Iにより表される化合物の単結晶形態を調製する方法であって、単結晶形態が形態Aであり、かつ4.4°、19.9°、21.3°、および22.0°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる、方法を提供し、方法は、
(a)構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物を、イソプロパノールまたはイソプロパノールと水との混合物に懸濁させて、スラリーを形成することであって、単結晶形態Dは、3.7°、7.3°、10.9°、18.3°、および21.9°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ、単結晶形態Bは、9.4°、11.1°、16.5°、18.3°、および18.8°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ、および単結晶形態Bは、3.7°、11.2°、12.1°、および18.6°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線回折ピークにより特徴付けられる、形成することと;
(b)スラリーを約70℃以下の温度に加熱して、第2のスラリーまたは溶液を形成することと;
(c)第2のスラリーまたは溶液に水を加え、かつ第2のスラリーまたは溶液を冷却して、それにより構造式Iの化合物の結晶形態Aの固体粒子を形成することと;
(d)結晶形態Aの固体粒子を単離して、それにより構造式Iの化合物の単結晶形態Aの粒子を含む組成物を調製することと
を含む。代替的なXRPD、DSCおよび/またはTGA特性を含む、単結晶形態Aならびに単結晶形態B、C、およびDの特性および代替的な特性は、それぞれ第1および第2の実施形態に関して上述された通りである。d(0.9)、d(0.5)、およびd(0.1)、ならびにその比の値および代替的な値、ならびに単結晶形態Aの粒子の粒径分布の特性(例えば、単峰性、正規)は、そのいずれかの態様の第5の実施形態に記載された通りである。
第8の実施形態のいくつかの態様において、結晶形態Aの固体粒子は、70ミクロン以下のd(0.9)により特徴付けられる単峰性粒径分布を有する。第8の実施形態のいくつかの態様において、結晶形態Aの固体粒子は、100ミクロン以下のd(0.9)により特徴付けられる単峰性粒径分布を有する。
第8の実施形態のいくつかの態様において、構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の単結晶形態の2つ以上を含む混合物は、工程(a)においてイソプロパノールと水との混合物に懸濁される。
第8の実施形態のいくつかの態様において、イソプロパノールと水との混合物中の水に対するイソプロパノールの体積による比は、約0.1~約4、例えば、約1である。
第8の実施形態のいくつかの態様において、構造式Iの単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物は、構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物に対して約5~約10重量部、例えば、単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物に対して約6~約7重量部の量のイソプロパノールまたはイソプロパノールと水との混合物に懸濁される。
第8の実施形態のいくつかの態様において、スラリーは、約50℃以下の温度に加熱される。第8の実施形態のいくつかの態様において、スラリーは、約35℃~約70℃または約35℃~約50℃の温度に加熱される。第7の実施形態のいくつかの態様において、スラリーは、約65℃~約70℃の温度に加熱される。
第8の実施形態のいくつかの態様において、第2のスラリーまたは溶液は、約0℃~約55℃に冷却される。例えば、第2のスラリーまたは溶液は、約0℃~約5℃、約15℃~約20℃、または約45℃~約50℃に冷却される。
第8の実施形態のいくつかの態様において、水は、第2のスラリーまたは溶液に、構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物に対して約5重量部~約15重量部の量で加えられる。例えば、水は、第2のスラリーまたは溶液に、単結晶形態D、または構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物に対して約7重量部~約10重量部または約10重量部の量で加えられる。
結晶形態Aの固体粒子を単離することは、典型的には、濾過および任意選択で、濾過された固体を溶媒(例えば、冷却された溶媒)ですすぐことにより実施されるが、固体粒子を単離する他の手段は当技術分野で公知である。結晶形態Aの固体粒子を単離する他の手段には、第2のスラリーまたは溶液中に存在する液体を蒸留して固体粒子から離すことまたは他の方法で、例えば、第2のスラリーもしくは溶液を加熱すること、第2のスラリーもしくは溶液を減圧(例えば、真空中)に曝すこと、もしくは前記の任意の組み合わせにより結晶形態Aの固体粒子を乾燥させることがあるが、これらに限定されない。
第9の実施形態は、構造式Iにより表される化合物の単結晶形態を調製する方法であって、単結晶形態が形態Aであり、かつ4.4°、19.9°、21.3°、および22.0°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる単結晶形態を調製する方法を提供する。方法は、構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物を加熱し、かつ結晶形態Aの固体粒子の形成を誘導すること;または構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物を溶媒系中で熟成させ、かつ結晶形態Aの固体粒子の形成を誘導すること;または構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物を乾燥させて、それにより結晶形態Aの固体粒子を形成すること;または前記の任意の組み合わせと;結晶形態Aの固体粒子を単離して、それにより構造式Iの化合物の単結晶形態Aを調製することとを含む。代替的なXRPD、DSCおよび/またはTGA特性を含む、単結晶形態A、B、C、およびDの特性および代替的な特性は、それぞれ第1、第2、第3、および第4の実施形態に関して上述された通りである。d(0.9)、d(0.5)、およびd(0.1)、ならびにその比の値および代替的な値、ならびに単結晶形態Aの粒子の粒径分布の特性(例えば、単峰性、正規)は、そのいずれかの態様の第5の実施形態に記載される通りである。
第9の実施形態のいくつかの態様において、方法は、
構造式Iの化合物の2つ以上の結晶形態を含む混合物を加熱し、かつ結晶形態Aの固体粒子の形成を誘導すること;または
構造式Iの化合物の2つ以上の結晶形態を含む混合物を溶媒系中で熟成させ、かつ結晶形態Aの固体粒子の形成を誘導すること;または
構造式Iの化合物の2つ以上の結晶形態を含む混合物を乾燥させて、それにより結晶形態Aの固体粒子を形成すること;または
前記の任意の組み合わせ
を含む。
この態様のいくつかの態様において、混合物は、形態A、形態B、形態C、または形態Dから選択される2つ以上の結晶形態、より具体的には、形態B、形態C、または形態Dから選択される2つ以上の結晶形態を含む。この態様のいくつかの態様において、2つ以上の結晶形態の1つは、形態B、形態C、または形態Dである。この態様のいくつかの態様において、混合物は、形態Aを含まない。
第9の実施形態の代替的な態様において、方法は、構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはDを加熱し、かつ結晶形態Aの固体粒子の形成を誘導すること;または構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはDを溶媒系中で熟成させ、かつ結晶形態Aの固体粒子の形成を誘導すること;または構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはDを乾燥させて、それにより結晶形態Aの固体粒子を形成すること;または前記の任意の組み合わせを含む。この態様のいくつかの態様において、単結晶形態は形態Bである。この態様の他の態様において、単結晶形態は形態Cである。この態様のさらに他の態様において、単結晶形態は形態Dである。
本明細書で使用される「形成を誘導すること」は、構造式Iの化合物が、明示される結晶形態、例えば、結晶形態Aまたは結晶形態Dとして結晶化するように誘導するあらゆる条件を含む。形成を誘導することは、例えば、積極的にどのような工程も実施することなく、単に、明示された結晶形態の固体粒子を溶液またはスラリーから沈殿させることを含む。形成を誘導することは、適切な溶媒系に構造式Iの化合物を含む溶液を熟成させること(例えば、冷却ありもしくはなしのエージングおよび/またはサイクリング)および/または適切な溶媒系に構造式Iの化合物を含む溶液を、冷却ありもしくはなしでゆっくりと蒸発させることも含む。形成を誘導することは、構造式Iの化合物または構造式Iの化合物を含む溶液を冷却することも含む。結晶性の固体の形成を誘導する他の方法は当技術分野で公知であり、例えば、シーディング、ならびに/または貧溶媒(anti-solvent)および蒸気拡散の利用を含む。好ましい実施形態において、形成を誘導することは、構造式Iの化合物または構造式Iの化合物を適切な溶媒系中に含む溶液もしくはスラリーを冷却することを含む。
「溶媒系」は、本明細書の用法では、単一の溶媒または2種以上の(典型的には、2種)異なる溶媒の混合物を指す。溶媒系の典型的な溶媒には、水ならびに非限定的にメタノール、s-ブタノール、m-ブタノール、i-ブタノール、シクロペンチルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、ヘプタン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジクロロエタン、トルエン、クメン、ジイソプロピルエーテル、アニソール、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、tert-ブタノール、2-プロパノール、エタノール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ニトロメタン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、tert-ブチルメチルエーテル(TBME)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ジメトキシエタン、イソオクタン、およびプロピオニトリルなどの有機溶媒がある。
結晶形態Aの形成を誘導するための好ましい溶媒系には、プロピオニトリル、イソプロパノール、n-プロパノール、イソプロパノールと水との混合物、および2-メチルテトラヒドロフランと、イソオクタン、ヘプタン、トルエン、またはアセトニトリルとの混合物(約20体積%以下のアセトニトリルを含む)がある。結晶形態Aの固体粒子の形成を誘導するための特に好ましい溶媒系はイソプロパノールと水との混合物(例えば、約20体積%~約50体積%のイソプロパノールを含む)である。50℃未満の温度で結晶形態Aの固体粒子の形成を誘導するための溶媒系は、ニトロメタン、アセトニトリル、またはアセトニトリルと約20体積%を超えるアセトニトリルを含む第2の溶媒との混合物であってはならない。
典型的には、構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物が加熱される場合、構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物は、溶媒系中で、例えば、イソプロパノールと水の水性混合物中で加熱される。しかし、構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物は、そのままでも(溶媒がない状態で)加熱できる。構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の2つ以上の結晶形態を含む混合物を加熱するための好ましい溶媒系は、水中のイソプロパノールの混合物(例えば、約20体積%~約50体積%のイソプロパノールを含む混合物)である。
「熟成させること」は、本明細書の用法では、構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の2つ以上の結晶形態を含む混合物を、溶媒系中で(ゆっくりとした蒸発ありまたはなしで)、例えば、実質的に一定の条件(例えば、周囲温度および圧力)下で、ある期間(例えば、30分未満、1時間未満、少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも4時間、少なくとも12時間、少なくとも1日、少なくとも7日)にわたりエージングすることと、構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の2つ以上の結晶形態を含む混合物を、溶媒系中で、例えば、2つ以上の温度の間をある期間にわたり(例えば、室温~50℃を4時間ごとに)サイクリングすることとの両方を含む。
構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の2つ以上の結晶形態を含む混合物を熟成させるための好ましい溶媒系には、酢酸エチル、イソプロパノールと水との混合物(例えば、約20体積%~約50体積%のイソプロパノールを含む混合物)、およびエタノールと水との混合物がある。
「室温」および「周囲温度」は、本明細書の用法では、約16℃~約25℃の温度を意味する。
「周囲条件」は、本明細書の用法では、室温および大気圧条件を指す。
構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物を乾燥させることは、例えば、存在する液体を蒸留して固体結晶形態から離すこと、固体結晶形態を周囲条件に曝すこと、または窒素ガスなどの気流を固体結晶形態上に流すこと(およびそれにより、液体またはアセトニトリルなどのトラップされた揮発性物質の蒸発または脱溶媒和を誘導すること)、固体結晶形態を減圧(例えば、真空中)に曝すこと、または前記の任意の組み合わせにより達成できる。とりわけ、単結晶形態Dは、アセトニトリルが単結晶形態Dから脱溶媒和できる条件下で乾燥させることにより、例えば、単結晶形態Dを減圧(例えば、真空中)に曝すことにより、または単結晶形態Dを周囲条件に曝すことにより、または単結晶形態D上に気流を通すことにより、単結晶形態Aに転化できる。
極めて多くの場合、実際には、本明細書に記載される方法に従って単結晶形態Aを調製する工程が、加熱すること、熟成させること、および/または乾燥させることの組み合わせを含むことが理解される。例えば、構造式Iの化合物の2つ以上の結晶形態を含む混合物が、例えば、50℃で72時間にわたり1週間までエージングされる場合、単結晶形態Aを調製する方法は、加熱および熟成を含む。構造式Iの化合物の単結晶形態Dが真空中に35℃で配置される場合、単結晶形態Aを調製する方法は乾燥および加熱を含む。
結晶形態Aの固体粒子を単離することは、濾過および任意選択で、濾過された固体を溶媒(例えば、冷却された溶媒)ですすぐことにより実施され得るが、固体粒子を単離する他の手段は当技術分野で公知である。結晶形態Aの固体粒子を単離する他の手段には、存在する液体を蒸留して固体粒子から離すことまたは他の方法で、例えば、粒子を含むスラリーもしくは溶液を加熱すること(液体または揮発性物質の蒸発を誘導するため)、スラリーもしくは溶液を減圧(例えば、真空中)に曝すこと、気流(例えば、窒素)を試料上に通すこと、または前記の任意の組み合わせにより結晶形態Aの固体粒子結晶形態Aの固体粒子を乾燥させることがあるが、これらに限定されない。
第10の実施形態は、構造式Iにより表される化合物の単結晶形態を調製する方法であって、単結晶形態が形態Dであり、かつ3.7°、7.3°、10.9°、18.3°、および21.9°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる、方法を提供する。方法は、
構造式Iの化合物を、アセトニトリルを含む溶媒系に溶解させることと;
構造式Iの化合物の結晶形態D、または構造式Iの化合物の単結晶形態BもしくはC、または構造式Iの化合物の結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物の固体粒子の形成を誘導することと;
構造式Iの結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物の固体粒子を単離して、それにより構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の構造式Iの化合物の結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物を調製することと
を含む。代替的なXRPD、DSCおよび/またはTGA特性を含む、単結晶形態Dの特性および代替的な特性は、第2の実施形態に関して上述された通りである。
第10の実施形態により提供される方法に好ましい溶媒系には、アセトニトリルおよびアセトニトリルと、水、2-メチルテトラヒドロフラン、酢酸エチルから選択される第2の溶媒との混合物、または約40%以上のアセトニトリルもしくは約95%以上のアセトニトリルなどの20体積%を超えるアセトニトリルを含む前記の組み合わせがある。
第10の実施形態のいくつかの態様において、結晶形態Dの固体粒子の形成を誘導することは、構造式Iの化合物の溶媒系中の溶液を冷却することを含む。結晶形態Dの固体粒子の形成を誘導するための好ましい溶媒系には、アセトニトリルおよびアセトニトリルと、水、2-メチルテトラヒドロフラン、酢酸エチルから選択される第2の溶媒との混合物、または少なくとももしくは約40%のアセトニトリルもしくは少なくとももしくは約95%のアセトニトリルなどの20体積%を超えるアセトニトリルを含む前記の組み合わせがある。
構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物の固体粒子を単離することは、好ましくは、濾過および任意選択で、濾過された固体を溶媒(例えば、冷却された溶媒)ですすぐことにより達成される。例えば、単結晶形態Dは、濾過および濾過された固体をアセトニトリル、例えば、冷アセトニトリルですすぐことにより単離できる。
固体粒子を単離する他の手段には、存在する液体を蒸留して固体粒子から離すことまたは他の方法で、例えば、粒子を含むスラリーもしくは溶液を加熱すること(液体または揮発性物質の蒸発を誘導するため)、スラリーもしくは溶液を減圧(例えば、真空中)に曝すこと、気流(例えば、窒素)を結晶形態上に通すこと、もしくは前記の任意の組み合わせにより固体粒子を乾燥させることがあるが、これらに限定されない。しかし、実施例に記載される通り、結晶形態Dは、種々の条件下で脱溶媒和し得る。そのため、長時間加熱されたり長期間減圧に曝されたりすると、結晶形態Dは結晶形態B、C、および/もしくはAまたはその混合物に転化することがある。当業者は、本明細書において提供される指針を利用して、過度の実験をせずに、結晶形態Dをどのように単離すべきかを決定できるであろう。
第10の実施形態のいくつかの態様において、単結晶形態Dは、溶媒和物、例えば、アセトニトリル溶媒和物の形態である。より詳細には、溶媒和物(例えば、アセトニトリル溶媒和物)は、構造式Iの化合物のモル当量あたり約0.5~約1.5モル当量の溶質(例えば、アセトニトリル)を、さらにより詳細には、構造式Iの化合物のモル当量あたり1モル当量の溶質を含む。
第10の実施形態のいくつかの態様において、溶媒系は、20体積%を超えるアセトニトリル、例えば、少なくとももしくは約40体積%のアセトニトリル、または少なくとももしくは約95体積%のアセトニトリルを含む。
第11の実施形態は、構造式Iの化合物を調製する方法を提供する。方法は、
トリアルキルアミンと、2-メチルテトラヒドロフランと、構造式II:
Figure 0007218323000021
の化合物と、構造式III:
Figure 0007218323000022
の化合物とを合わせて、反応混合物を形成することと;
反応混合物を約-80℃~約0℃に冷却することと;
反応混合物をプロピルホスホン酸無水物により処理して、構造式Iの化合物を含む混合物を与えることと;
混合物から構造式Iの化合物を単離することと
を含む。
「トリアルキルアミン」は、本明細書の用法では、N(R)を意味し、ここで、各RはC~Cアルキルから独立に選択される。典型的なトリエチルアミンには、トリエチルアミンおよびジイソプロピルエチルアミンがある。好ましいトリアルキルアミンはジイソプロピルエチルアミンである。
第11の実施形態のいくつかの態様において、方法は、反応混合物を約-50℃~約-15℃に、より詳細には約-25℃~約-20℃に冷却することを含む。
第11の実施形態のいくつかの態様において、混合物から構造式Iの化合物を単離することは、水性のクエンチ溶液を、構造式Iの化合物を含む混合物に加えること、および生じたクエンチされた反応混合物の抽出型後処理(extractive work-up)を実施することを含む。例えば、水またはリン酸緩衝液などの中性(例えば、pH7)緩衝液、好ましくは水の水性のクエンチ溶液を反応混合物に加えて、生じたクエンチされた反応混合物の抽出型後処理を実施できる。
抽出型後処理を実施する方法は、当業者の技量内にある。例えば、構造式Iの化合物を含む反応混合物の抽出型後処理は、水性クエンチ溶液の反応混合物への添加により生じた水層と有機層を分離することと、任意選択で、有機層を、例えば、希(およそ6%w/wの塩化ナトリウム)ブライン溶液および水で洗浄することとを含み得る。抽出型後処理を含む第11の実施形態のいくつかの態様において、抽出型後処理は、クエンチされた反応混合物を塩化ナトリウムの水溶液で洗浄することを含む。
構造式Iの化合物を反応混合物から単離することは、第7、第8、第9、および第10の実施形態に関して上述された構造式Iの化合物の結晶形態を単離する技法および方法のいずれかを代替としてまたはさらに含む。
互いに独立に記載されているものの、実施形態10および11で記載される方法を、順次(すなわち、11、次いで10)実施して、構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物を調製できることが理解されるであろう。互いに独立に記載されているものの、実施形態7または9、10、および11に記載される方法を順次(すなわち、11、次いで10、次いで7または9)実施して、構造式Iの化合物の単結晶形態Aを調製できることも理解されるであろう。
そのため、本明細書で先に記載された第10の実施形態およびそのいずれかの態様を含む第10の実施形態のいくつかの態様において、方法は、トリアルキルアミンと、2-メチルテトラヒドロフランと、構造式IIの化合物と、構造式IIIの化合物を合わせて、反応混合物を形成することと;反応混合物を約-80℃~約0℃に冷却することと;反応混合物をプロピルホスホン酸無水物により処理して、構造式Iの化合物を含む混合物を与えることと;混合物から構造式Iの化合物を単離することとをさらに含む。トリアルキルアミン、反応混合物の温度、および構造式Iの化合物の単離に関連するさらなる詳細を含む、これらのさらなる工程の代替的な条件は、第11の実施形態、またはそのいずれかの態様に見出すことができる。
第7の実施形態、第8の実施形態、第9の実施形態、および前記のいずれかの態様を含む、第7、第8、および第9の実施形態のいくつかの態様において、方法は、トリアルキルアミンと、2-メチルテトラヒドロフランと、構造式IIの化合物と、構造式IIIの化合物を合わせて反応混合物を形成することと;反応混合物を約-80℃~約0℃に冷却することと;反応混合物をプロピルホスホン酸無水物により処理して、構造式Iの化合物を含む混合物を与えることと;構造式Iの化合物を反応混合物から単離することと;構造式Iの単離された化合物を、アセトニトリルを含む溶媒系に溶解させることと;構造式Iの化合物の結晶形態Dの固体粒子の形成を誘導し、かつ結晶形態Dの固体粒子を単離して、構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物を得ることとをさらに含む。トリアルキルアミン、反応混合物の温度、構造式Iの化合物の単離、溶媒系、ならびに結晶形態Dの固体粒子の形成を誘導し、かつ単離することに関するさらなる詳細を含む、これらのさらなる工程の代替的な条件は、第10および第11の実施形態、または前記のいずれかの態様に見出すことができる。代替的なXRPD、DSCおよび/またはTGA特性を含む、単結晶形態Dの特性および代替的な特性は、第2の実施形態に関して上述された通りである。
第12の実施形態は、構造式Iにより表される化合物の単結晶形態を調製する方法であって、単結晶形態が形態Aであり、かつ4.4°、19.9°、21.3°、および22.0°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる、方法を提供する。方法は、
(a)トリアルキルアミンと、2-メチルテトラヒドロフランと、構造式II:
Figure 0007218323000023
の化合物と、構造式III:
Figure 0007218323000024
の化合物とを合わせて、反応混合物を形成することと;
(b)反応混合物を約-80℃~約0℃に冷却することと;
(c)反応混合物をプロピルホスホン酸無水物により処理して、構造式Iの化合物を含む混合物を与えることと;
(d)混合物から構造式Iの化合物を単離することと;
(e)単離された構造式Iの化合物を、アセトニトリルを含む溶媒系に溶解させることと;
(f)構造式Iの化合物の結晶形態Dの固体粒子の形成を誘導し、かつ結晶形態Dの固体粒子を単離して、構造式Iの化合物の単結晶形態D、または構造式Iの単結晶形態BもしくはC、または構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物の固体粒子を得ることであって、単結晶形態Dは、3.7°、7.3°、10.9°、18.3°、および21.9°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ、形態Bは、9.4°、11.1°、16.5°、18.3°、および18.8°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる、得ること。単結晶形態Bは、3.7°、11.2°、12.1°、および18.6°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線回折ピークにより特徴付けられる;
(g)単結晶形態D、または構造式Iの単結晶形態BもしくはC、または構造式Iの化合物の2つ以上の単結晶形態を含む混合物を加熱し、かつ結晶形態Aの固体粒子の形成を誘導すること;または単結晶形態D、または構造式Iの単結晶形態BもしくはC、または構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、またはDの2つ以上を含む混合物を溶媒系中で熟成させ、かつ結晶形態Aの固体粒子の形成を誘導すること;または単結晶形態D、または構造式Iの単結晶形態BもしくはC、または構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物を乾燥させて、それにより結晶形態Aの固体粒子を形成すること;または前記の任意の組み合わせと;
(h)結晶形態Aの粒子を単離して、それにより構造式Iの化合物の単結晶形態Aを調製することと
を含む。工程の条件および代替的な条件は、第9、第10、および第11の実施形態、または前記のいずれかの態様に見出すことができる。代替的なXRPD、DSCおよび/またはTGA特性を含む、単結晶形態A、ならびに単結晶形態B、C、およびDの特性および代替的な特性は、他の実施形態に関して上述された通りである。
第13の実施形態は、構造式Iにより表される化合物の単結晶形態を調製する方法であって、単結晶形態が形態Aであり、4.4°、19.9°、21.3°、および22.0°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる、方法を提供する。方法は、
(a)トリアルキルアミンと、2-メチルテトラヒドロフランと、構造式II:
Figure 0007218323000025
の化合物と、構造式III:
Figure 0007218323000026
の化合物とを合わせて、反応混合物を形成することと;
(b)反応混合物を約-80℃~約0℃に冷却することと;
(c)反応混合物をプロピルホスホン酸無水物により処理して、構造式Iの化合物を含む混合物を与えることと;
(d)構造式Iの化合物を含む反応混合物の溶媒を、アセトニトリルを含む溶媒系と替えることと;
(e)構造式Iの化合物の結晶形態Dの固体粒子の形成を誘導し、かつ結晶形態Dの固体粒子を単離して、構造式Iの化合物の単結晶形態D、または構造式Iの単結晶形態BもしくはC、または構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物の固体粒子を得ることであって、単結晶形態Dは、3.7°、7.3°、10.9°、18.3°、および21.9°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ、形態Bは、9.4°、11.1°、16.5°、18.3°、および18.8°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる、得ること。単結晶形態Cは、3.7°、11.2°、12.1°、および18.6°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線回折ピークにより特徴付けられる;
(f)単結晶形態D、または構造式Iの単結晶形態BもしくはC、または構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物を加熱し、かつ結晶形態Aの固体粒子の形成を誘導すること;または単結晶形態D、または構造式Iの単結晶形態BもしくはC、または構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物を溶媒系中で熟成させ、かつ結晶形態Aの固体粒子の形成を誘導すること;または単結晶形態D、または構造式Iの単結晶形態BもしくはC、または構造式Iの化合物の2つ以上の単結晶形態B、C、またはDを含む混合物を乾燥させて、それにより結晶形態Aの固体粒子を形成すること;または前記の任意の組み合わせと;
(g)結晶形態Aの固体粒子を単離して、それにより構造式Iの化合物の単結晶形態Aを調製することと
を含む。工程の条件および代替的な条件は、第9、第10、および第11の実施形態、または前記のいずれかの態様に見出すことができる。代替的なXRPD、DSCおよび/またはTGA特性を含む、単結晶形態Aならびに単結晶形態B、C、およびDの特性および代替的な特性は、他の実施形態に関して上述された通りである。
ディスチリグラフィック(Distilligraphic)交換は、溶媒交換工程を有するいずれの実施形態にも好適な溶媒交換方法である。
第14の実施形態は、構造式Iにより表される化合物の単結晶形態の粒子を含む組成物を調製する方法であって、単結晶形態が形態Aであり、かつ4.4°、19.9°、21.3°、および22.0°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ;および粒子が、約70ミクロン未満のd(0.9)により特徴付けられる粒径分布を有する、方法を提供する。第14の実施形態のいくつかの態様において、粒子は、約100ミクロン未満のd(0.9)により特徴付けられる粒径分布を有する。
いくつかの実施形態において、方法は、
(a)トリアルキルアミンと、2-メチルテトラヒドロフランと、構造式II:
Figure 0007218323000027
の化合物と、構造式III:
Figure 0007218323000028
の化合物とを合わせて、反応混合物を形成することと;
(b)反応混合物を約-80℃~約0℃に冷却することと;
(c)反応混合物をプロピルホスホン酸無水物により処理して、構造式Iの化合物を含む混合物を与えることと;
(d)混合物から構造式Iの化合物を単離することと;
(e)単離された構造式Iの化合物を、アセトニトリルを含む溶媒系に溶解させることと;
(f)構造式Iの化合物の結晶形態Dの固体粒子の形成を誘導し、かつ結晶形態Dの固体粒子を単離して、構造式Iの化合物の単結晶形態D、または構造式Iの単結晶形態BもしくはC、または構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物の固体粒子を得ることであって、単結晶形態Dは、3.7°、7.3°、10.9°、18.3°、および21.9°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ、形態Bは、9.4°、11.1°、16.5°、18.3°、および18.8°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる、得ること。単結晶形態Cは、3.7°、11.2°、12.1°、および18.6°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線回折ピークにより特徴付けられる;
(g)構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはD、または構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物を、イソプロパノールまたはイソプロパノールと水との混合物に懸濁させて、スラリーを形成することと;
(h)スラリーを、約70℃以下の温度に加熱して、第2のスラリーまたは溶液を形成することと;
(i)第2のスラリーまたは溶液を冷却し、かつ第2のスラリーまたは溶液に水を加えて、それにより構造式Iの化合物の結晶形態Aの固体粒子を形成することと;
(j)結晶形態Aの固体粒子を単離して、それにより構造式Iの化合物の単結晶形態Aの粒子を含む組成物を調製することと
を含む。
いくつかの実施形態において、方法は、
(a)トリアルキルアミンと、2-メチルテトラヒドロフランと、構造式II:
Figure 0007218323000029
の化合物と、構造式III:
Figure 0007218323000030
の化合物とを合わせて、反応混合物を形成することと;
(b)反応混合物を約-80℃~約0℃に冷却することと;
(c)反応混合物をプロピルホスホン酸無水物により処理して、構造式Iの化合物を含む混合物を与えることと;
(d)構造式Iの化合物を含む反応混合物の溶媒を、アセトニトリルを含む溶媒系と替えることと;
(e)構造式Iの化合物の結晶形態Dの固体粒子の形成を誘導し、かつ結晶形態Dの固体粒子を単離して、構造式Iの化合物の単結晶形態D、または構造式Iの単結晶形態BもしくはC、または構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物の固体粒子を得ることであって、単結晶形態Dは、3.7°、7.3°、10.9°、18.3°、および21.9°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ、形態Bは、9.4°、11.1°、16.5°、18.3°、および18.8°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる、得ること。単結晶形態Cは、3.7°、11.2°、12.1°、および18.6°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線回折ピークにより特徴付けられる;
(f)単結晶形態D、または構造式Iの化合物の単結晶形態BもしくはC、または構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物を、イソプロパノールまたはイソプロパノールと水との混合物に懸濁させて、スラリーを形成することと;
(g)スラリーを約70℃以下の温度に加熱して、第2のスラリーまたは溶液を形成することと;
(h)第2のスラリーまたは溶液を冷却し、かつ第2のスラリーまたは溶液に水を加えて、それにより構造式Iの化合物の結晶形態Aの固体粒子を形成することと;
(i)結晶形態Aの固体粒子を単離して、それにより構造式Iの化合物の単結晶形態Aの粒子を含む組成物を調製することと
を含む。
いくつかの実施形態において、方法は、
(a)トリアルキルアミンと、2-メチルテトラヒドロフランと、構造式II:
Figure 0007218323000031
の化合物と、構造式III:
Figure 0007218323000032
の化合物とを合わせて、反応混合物を形成することと;
(b)反応混合物を約-80℃~約0℃に冷却することと;
(c)反応混合物をプロピルホスホン酸無水物により処理して、構造式Iの化合物を含む混合物を与えることと;
(d)混合物から構造式Iの化合物を単離することと;
(e)単離された構造式Iの化合物を、アセトニトリルを含む溶媒系に溶解させることと;
(f)構造式Iの化合物の結晶形態Dの固体粒子の形成を誘導し、かつ結晶形態Dの固体粒子を単離して、構造式Iの化合物の単結晶形態D、または構造式Iの単結晶形態BもしくはC、または構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物の固体粒子を得ることであって、単結晶形態Dは、3.7°、7.3°、10.9°、18.3°、および21.9°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ、形態Bは、9.4°、11.1°、16.5°、18.3°、および18.8°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる、得ること。単結晶形態Cは、3.7°、11.2°、12.1°、および18.6°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線回折ピークにより特徴付けられる;
(g)単結晶形態D、または構造式Iの化合物の単結晶形態BもしくはC、または構造式Iの化合物の結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物を、イソプロパノールまたはイソプロパノールと水との混合物に懸濁させて、スラリーを形成することと;
(h)スラリーを約70℃以下の温度に加熱して、第2のスラリーまたは溶液を形成することと;
(i)第2のスラリーまたは溶液に水を加え、かつ第2のスラリーまたは溶液を冷却して、それにより構造式Iの化合物の結晶形態Aの固体粒子を形成することと;
(j)結晶形態Aの固体粒子を単離して、それにより構造式Iの化合物の単結晶形態Aの粒子を含む組成物を調製することと
を含む。工程の条件および代替的な条件は、第7、第8、第10、および第11の実施形態、または前記のいずれかの態様に見出すことができる。代替的なXRPD、DSCおよび/またはTGA特性を含む、単結晶形態Aおよび単結晶形態Dの特性および代替的な特性は、それぞれ第1および第2の実施形態に関して上述された通りである。
いくつかの実施形態において、いくつかの実施形態において、方法は、
(a)トリアルキルアミンと、2-メチルテトラヒドロフランと、構造式II:
Figure 0007218323000033
の化合物と、構造式III:
Figure 0007218323000034
の化合物とを合わせて、反応混合物を形成することと;
(b)反応混合物を約-80℃~約0℃に冷却することと;
(c)反応混合物をプロピルホスホン酸無水物により処理して、構造式Iの化合物を含む混合物を与えることと;
(d)構造式Iの化合物を含む反応混合物の溶媒を、アセトニトリルを含む溶媒系と替えることと;
(e)構造式Iの化合物の結晶形態Dの固体粒子の形成を誘導し、かつ結晶形態Dの固体粒子を単離して、構造式Iの化合物の単結晶形態D、または構造式Iの単結晶形態BもしくはC、または構造式Iの化合物の単結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物の固体粒子を得ることであって、単結晶形態Dは、3.7°、7.3°、10.9°、18.3°、および21.9°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ、形態Bは、9.4°、11.1°、16.5°、18.3°、および18.8°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられる、得ること。単結晶形態Cは、3.7°、11.2°、12.1°、および18.6°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線回折ピークにより特徴付けられる;
(f)単結晶形態D、または構造式Iの化合物の単結晶形態BもしくはC、または構造式Iの化合物の結晶形態B、C、もしくはDの2つ以上を含む混合物を、イソプロパノールまたはイソプロパノールと水との混合物に懸濁させて、スラリーを形成することと;
(g)スラリーを約70℃以下の温度に加熱して、第2のスラリーまたは溶液を形成することと;
(h)第2のスラリーまたは溶液に水を加え、かつ第2のスラリーまたは溶液を冷却して、それにより構造式Iの化合物の結晶形態Aの固体粒子を形成することと;
(i)結晶形態Aの固体粒子を単離して、それにより構造式Iの化合物の単結晶形態Aの粒子を含む組成物を調製することと
を含む。
実施例1.ロット番号1305365のセリネクソール(形態A)の調製
ロット番号1305365のセリネクソールを、以下の反応スキームに従って製造した。
Figure 0007218323000035
プロパンホスホン酸無水物(T3P(登録商標)、酢酸エチル中50%、35Kg)のTHF(24.6Kg)溶液を約-40℃に冷却した。この溶液に、KG1(13.8Kg)とジイソプロピルエチルアミン(12.4Kg)とのテトラヒドロフラン(THF、24.6Kg)溶液を加えた。生じた混合物を約-40℃でおよそ2.5時間撹拌した。
別の容器で、KJ8(4.80Kg)をTHF(122.7Kg)と混合し、生じた混合物を約-20℃に冷却した。次いで、冷たい活性化されたエステル溶液を、撹拌しながらKJ8混合物に加え、反応物を約-20℃に保った。混合物を約5℃に温め、水(138.1Kg)を加え、温度を約20℃に調整した。約1時間撹拌した後、下相を混合物から分離して、廃棄した。上層を酢酸エチル(EtOAc)で希釈した。次いで、有機相を二塩基性リン酸カリウム溶液(約150Kg)で3回洗浄し、次いで水(138.6Kg)で洗浄した。
生じた有機溶液を減圧下で95Lに濃縮し、EtOAc(186.6Kg)を加え、90Lの体積まで蒸留を繰り返した。追加のEtOAc(186.8Kg)を加え、90Lの体積まで、三回目の蒸留を繰り返した。バッチを濾過して透明にし、70Lにさらに蒸留し、次いで約75℃に加熱し、0~5℃にゆっくりと冷却した。生じたスラリーを濾過し、フィルターケーキをEtOAc(6.3Kg)とトルエン(17.9Kg)との混合物で洗浄してから、真空オーブン中で乾燥させると、ロット番号1305365と称されるセリネクソール(形態A)を与えた。
実施例2.ロット番号1341-AK-109-2のセリネクソール(形態A)の調製
セリネクソールのアセトニトリル溶媒和物を、実施例6に従って調製した。
セリネクソールのアセトニトリル溶媒和物(2.7g)を、イソプロパノール(IPA、8mL)と水(8mL)との混合物に懸濁させ、生じた混合物を65~70℃に加熱して溶解させた。溶液を45℃に冷却し、温度を40~45℃に保ちながら水(28mL)を15分かけて加えた。スラリーを1時間かけて20~25℃に冷却し、次いでさらに0~5℃に冷却し、その温度で30分間保ってから濾過した。フィルターケーキを水中20%v/vのIPAで洗浄し、生成物を吸引しながら一晩乾燥し、次いで真空中で(40℃)乾燥させた。
実施例3.ロット番号PC-14-005のセリネクソールセリネクソールセリネクソール(形態A)の調製
セリネクソールのアセトニトリル溶媒和物(形態D)を、実施例6に記載の手順に従って調製した。
セリネクソールのアセトニトリル溶媒和物(1.07Kg)を、IPA(2.52Kg)と水(3.2Kg)との混合物に懸濁させ、混合物を70~75℃に加熱して溶解させた。次いで、温度を40~45℃に調整し、その温度で30分間保った。温度を40~45℃に保ちながら水(10.7Kg)を加え、バッチを20~25℃に冷却し、その温度で4時間撹拌してから、さらに0~5℃に冷却した。さらに1時間の撹拌の後、スラリーを濾過し、フィルターケーキを、IPA(0.84Kg)と水(4.28Kg)の冷混合物で洗浄してから、乾燥させた。
実施例4.ロット番号PC-14-009のセリネクソールセリネクソールセリネクソール(形態A)の調製
セリネクソールのアセトニトリル溶媒和物(形態D)を、実施例6に記載の手順に従って調製した。
セリネクソールのアセトニトリル溶媒和物(1.5Kg)を、IPA(3.6Kg)と水(4.5Kg)に懸濁させ、穏やかに撹拌しながら37~42℃に温めた。懸濁液をその温度で4時間撹拌し、次いで1時間かけて15~20℃に冷却した。温度を維持しながら水(15.1Kg)を加え、次いで撹拌を1時間続け、バッチを濾過した。フィルターケーキをIPA(1.2Kg)と水(6Kg)との混合物で洗浄し、窒素気流下で乾燥させた。
実施例5.ロット番号1339-BS-142-1、1339-BS-142-2、およびPC-14-008のセリネクソール(形態A)の調製
反応器に、KG1(1Kg、1.0当量)、KJ8(0.439Kg、1.4当量)およびMeTHF(7L、KG1に対して7部)を窒素下で入れた。ジイソプロピルエチルアミン(0.902Kg、KG1に対して2.45当量)を、MeTHFですすぎながら-20℃~-25℃で反応混合物に加えた。次いで、温度を-20℃~-25℃に保ちながら、MeTHFのすすぎと共に、酢酸エチル中の50%のT3P(登録商標)(2.174Kg、KG1に対して1.2当量)を反応混合物に入れた。添加完了後、反応混合物を短時間撹拌し、次いで20℃~25℃に温めた。完了すると、反応混合物を、最初に水(5L、KG1に対して5部)で洗浄し、次いで希ブライン(5L、KG1に対して5部)で洗浄した。有機層を真空蒸留により5Lの体積(KG1に対して5部)に濃縮し、およそ40℃のアセトニトリル(15L、KG1に対して15部)で希釈し、再び濃縮した(5L、KG1に対して5部)。アセトニトリルへの溶媒交換の後、次いで、反応混合物をおよそ60℃に加熱し、透明な溶液を得た。次いで、反応混合物をゆっくりと0~5℃に冷却し、短時間保ち、濾過した。フィルターケーキを冷アセトニトリル(2L、KG1に対して5部)で洗浄し、次いで、フィルターケーキを窒素気流下で乾燥させると、セリネクソールのアセトニトリル溶媒和物(形態D)をわずかに灰白色の固体として与えた。
形態Dのセリネクソール(0.9Kg)を、IPA(2.1Kg、2.7L、形態Dに対して3部)と水(2.7Kg、2.7L、形態Dに対して3部)とに懸濁させ、およそ40℃に温めた。生じた懸濁液を約4時間撹拌し、セリネクソール、およそ20℃に冷却し、追加の水(9Kg、形態Dに対して10部)で希釈した。混合物をさらに4~6時間撹拌し、次いで濾過し、ケーキを20%のIPAと水との混合物(4.5L、形態Dに対して5部)で洗浄した。次いで、フィルターケーキを真空下で乾燥させると、ロット番号PC-14-008と称されるセリネクソールを、99.5%を超えるa/aUPLC純度(a/a=全ピークの面積に対する面積;UPLC-超高速HPLC)を有する白色の結晶性粉末として与えた。
実施例6.ロット番号1405463のセリネクソール(形態A)の調製
ロット番号1405463のセリネクソールを、以下の反応スキームに従って調製した。
Figure 0007218323000036
反応器に、KG1(15.8Kg)、KJ8(6.9Kg)、およびMeTHF(90Kg)を入れた。ジイソプロピルエチルアミン(14.2Kg)を、およそ35分かけて約-20℃で反応混合物に加えた。ジイソプロピルエチルアミンの添加後、T3P(登録商標)(EtAOc中50%溶液、34.4Kg)を、温度を-20℃に保ちながら加えた。最初に-20℃で、次いで周囲温度で、混合物を撹拌して反応を完了させた。
反応が完了すると、水(79Kg)を約1時間かけて加えた。層を分離し、有機層を水(55Kg)とブライン(18Kg)との混合物で洗浄し、混合物を濾過し、混合物中のメチル-THF/酢酸エチルを、蒸留によりアセトニトリル(およそ220Lの体積)と交換した。混合物を温めて固体を溶解させ、次いで0~5℃にゆっくりと冷却してから、濾過した。フィルターケーキをアセトニトリルで洗浄すると、セリネクソールセリネクソールセリネクソールのアセトニトリル溶媒和物(形態D)を与えた。
セリネクソールセリネクソールセリネクソールのアセトニトリル溶媒和物を乾燥させ、次いでイソプロパノール(23Kg)および水(55Kg)と混合した。スラリーを約38℃に温め、その温度でおよそ4時間維持してから、15~20℃に冷却した。水(182Kg)を加えた。さらに5時間撹拌した後、混合物を濾過し、フィルターケーキを、イソプロパノール(14Kg)と水(73Kg)との混合物で洗浄してから、真空下で(45℃)乾燥させた。乾燥させた生成物を包装すると、ロット番号1405463のセリネクソールセリネクソールセリネクソール(形態A)を与えた。
実施例7.セリネクソールの多形試験
セリネクソールの包括的な多形評価を、セリネクソールの溶解度に基づいて、様々な異なる溶媒、溶媒混合物で、およびいくつかの実験条件下で実施した。セリネクソールセリネクソールセリネクソールの3種の無水多形体を、XRPD調査により観察し、形態A、形態Bおよび形態Cと呼んだ。形態Aは、高結晶性で、177℃の融点を有する高温融解形態であり、25℃/97%相対湿度(RH)および40℃/75%RHに4週間曝露された場合、物理化学的な観点から安定であることが観察された。形態Dと呼ばれるセリネクソールの溶媒和された形態も、アセトニトリル中で観察した。競合スラリー実験(Competitive Slurry Experiment)により、調査した条件下で形態Aが安定な無水形態であることを確認したが、アセトニトリル中は例外であり、その場合溶媒和物形成が観察された。アセトニトリル中において、50℃未満では形態Dのみが観察され、50℃では形態Aと形態Dとの両方が観察され、55℃では、形態Aが観察されることもさらに見出された。
全般的な装置および方法論の詳細
X線粉末回折(XRPD)
Bruker AXS C2 GADDS:XRPDパターンを、Cu Kα線(40kV、40mA)、自動化XYZステージ、自動試料位置調整のためのレーザービデオ顕微鏡、およびHiStar 2次元面検出器を利用して、Bruker AXS C2 GADDS回折計で収集した。X線光学部品は、0.3mmのピンホールコリメーターと組み合わせた単一のGoebel多層膜ミラーからなる。毎週の性能チェックを、認定された標準NIST 1976コランダム(平板)を使用して実施する。
ビーム広がり、すなわちX線ビームの試料上での有効サイズは、およそ4mmであった。θ-θ連続スキャンモードを、試料検出器距離20cmで利用したが、それは有効2θ範囲3.2°~29.7°を与える。典型的には、試料は、X線ビームに120秒間曝されるであろう。データ収集に使用したソフトウェアは、XP/2000 4.1.43用のGADDSであり、Diffrac Plus EVA v13.0.0.2またはv15.0.0.0を利用してデータを分析および提示した。
周囲条件。周囲条件下で実験した試料は、受け取ったまま粉砕せずに粉末を使用して平板検体として調製した。およそ1~2mgの試料をガラススライド上に軽く押しつけて、平らな表面を得た。
非周囲条件。非周囲条件下で実験した試料は、伝熱素子の付いたシリコンウェハ上に載せた。次いで、試料を適切な温度に加熱して、データ収集を始めた。
Bruker AXS D8 Advance。XRPDパターンを、Cu Kα線(40kV、40mA)、θ-2θゴニオメーター、ならびにV4の発散スリットおよび受光スリット、Geモノクロメーター、およびLynxeye検出器を利用してBruker D8回折計で収集した。装置を、認定されたコランダム標準(NIST 1976)を使用して性能チェックする。データ収集に利用したソフトウェアは、Diffrac Plus XRD Commander v2.6.1であり、Diffrac Plus EVA v13.0.0.2またはv15.0.0.0を利用してデータを分析および提示した。
試料は、周囲条件下で、受け取ったままの粉末を利用して平板検体として実験した。試料を、研磨されたゼロ-バックグラウンド(510)シリコンウェハに切り込まれた空隙に静かに詰めた。分析の間、試料をそれ自身の面で回転させた。データ収集の詳細は以下の通りである。
・角度範囲:2~42°2θ
・ステップサイズ:0.05°2θ
・収集時間:0.5秒/ステップ
Mettler DSC 823e。DSCデータを、34ポジションオートサンプラーを備えたMettler DSC 823Eで収集した。認定されたインジウムを利用して、装置をエネルギーおよび温度に関して較正した。典型的には、小さい穴のあいたアルミニウムパン中の0.5~3mgの各試料を、10℃/分で25℃から300℃に加熱した。50ml/分の窒素パージを試料上に維持した。装置制御およびデータ分析のソフトウェアはSTARe v9.20であった。
熱重量分析(TGA)
Mettler TGA/SDTA 851e。TGAデータは、34ポジションオートサンプラーを備えたMettler TGA/SDTA 851eで収集した。認定されたインジウムを利用して、装置を温度較正した。5~30mgの各試料を、事前に秤量したアルミニウムるつぼに入れ、10℃/分で周囲温度から350℃に加熱した。50ml/分の窒素パージを試料上に維持した。装置制御およびデータ分析のソフトウェアはSTARe v9.20であった。
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による化学的純度決定
純度分析を、ChemStationソフトウェアvB.02.01-SR1(またはSR2)を利用して、ダイオードアレイ検出器を備えたAgilent HP1100シリーズシステムで、下記の通り実施した。
Figure 0007218323000037
溶解度評価
セリネクソールセリネクソールセリネクソールの多形評価は、形態Aで実施した溶解度評価を含んでいた。実施例1に記載のプロセスに従って調製した約20mgのセリネクソールセリネクソールセリネクソールをバイアルに量り入れ、溶解度を、30種の溶媒および溶媒混合物中で、50℃で目視評価した。各溶媒添加後に、試料を、10分間50℃で激しく撹拌してから、各評価をした;次いで、試料を室温に(RT)放冷してから、第2の評価を室温で実施した。完全に溶解した試料/条件を可溶性と称し、部分的な溶解性の徴候(薄くなること、明らかに減った固体)を示した試料を部分的可溶性(PS)と称し、溶解性の目視の徴候を欠く条件を不溶性と称した。3種のさらなる溶解度評価を、IPA:水、MeCN:水、およびMTBE:ヘプタン混合物で実施した。備考:溶解度を、使用した異なる溶媒で、5および100体積内で評価した。1体積(μLで表す)は、評価に使用した試料のmgに等しい(例えば、20mgの試料では、1体積は20μLに等しい)。
セリネクソールは、調査した溶媒系の約60%に可溶性であった。セリネクソールは、ヘプタン、1,2-ジクロロエタン、トルエン、クメン、ジイソプロピルエーテル、水、およびイソオクタンには可溶性でなかった。セリネクソールは、60%までの水を有するIPA:水混合物および混合物中に40%までの水を有するアセトニトリル:水混合物にも可溶性であった。セリネクソールは、調査したMTBE:ヘプタン混合物のいずれの100体積までにも可溶性であると見いだされなかった。
多形試験
溶解度評価の間に生じた試料を以下の通り処理した。
・得られた透明な溶液を、5℃での冷却および最終的に-20℃での冷却のために少なくとも12時間配置した(-20℃工程を導入し、または5℃の結果および溶媒の性質に依存しない)。-20℃で透明な溶液であると分かった試料を、バイアルのセプタム中で25ゲージのシリンジニードルを使用した室温のゆっくりとした蒸発のために配置した。
・溶解度評価の最後に関連する溶媒系の100体積中に観察される固体懸濁液を、室温~50℃の8日間の熟成サイクリングのために配置した(サイクリング室温で4時間;50℃で4時間)。熟成後、固体を回収し、上清をゆっくりとした蒸発のために配置した。
これらのプロセスにより得られた固体を全てXRPDにより分析した。
処理された試料から回収した固体のほとんどは、形態Aと一致することが分かった(76%のヒット)。形態AのX線ディフラクトグラムを図1Aに描写する。図1Aに描写される形態Aの代表的なXRPDピークは下記の通りである。
Figure 0007218323000038
出発した無水形態(形態A)は、調査した条件のほとんどにおいて安定であることが分かり、溶媒系の実験下では他の無水形態が形成されたことは全く観察されなかった。TGAにより、0.4%w/wの重量減少が160℃~200℃で観察された。DSC分析は、試料の融解による177℃での吸熱性事象を示した(融解はVT-XRPDによっても観察された)。形態AのDSCおよびTGAサーモグラムを図1Bに描写する。
MeCNにおいて、形態Aは、形態Dと称される溶媒和された形態に転化することが観察された(MeCN溶媒和物)。形態DのX線粉末ディフラクトグラムを図2Aに描写する。図2Aに描写される形態Dの代表的なXRPDピークは下記の通りである。
Figure 0007218323000039
形態Dは、水中に20%v/vを超えるMeCNのアセトニトリル-水混合物においても観察された。水中20%v/vのMeCNでは、回収された固体は、XRPDにより形態Aと一致した。これらの結果を表1で説明する。
Figure 0007218323000040
TGAおよびDSCを、形態Dの試料に実施した。TGAにより、アセトニトリル喪失のための1.86%w/wの重量減少が観察された。しかし、TGAによる重量減少は、物質の回収後の試料の調製のタイミングにより影響を受けた。DSCにより、吸熱性/発熱事象が152℃付近に観察され、それに続いて177℃での吸熱性事象があった。DSC挙動は形態Cに見られるものに類似している(以下参照)。
MeCNから単離したセリネクソールの試料を、溶媒からの回収直後にDSCおよびTGAにより分析した。6.5%w/wの溶媒喪失がTGAにより観察された。DSCは、溶媒喪失による77℃付近の吸熱性事象とそれに続く形態Cの吸熱性/発熱性事象および178℃付近の形態Aの融解事象とを示した。形態DのDSCおよびTGAサーモグラムを図2Bに描写する。上述の通り、TGAにより観察された溶媒喪失は、形態Dの試料が試料調製の間に周囲条件に曝される時間により変動し得る。6.5%の溶媒喪失は、化合物のモルあたり0.75モルの溶媒に相当する。特定の理論に拘束されることは望まないが、形態Dは、乾燥により脱溶媒和され得る一溶媒和物であり得、そのため、TGA結果により証明される通り、単離条件に敏感である。
形態DをVT-XRPDにより分析した。形態Dは、80℃の後に形態Cに転化するように観察され、形態Cは、形態Aに転化するように観察された。加熱すると、溶媒の放出後に、溶媒和物形態Dは形態Cに転化する;DSCにより152℃付近に観察された吸熱性/発熱性事象は、形態Cによるものである。さらに、形態Dを、80℃および3ミリバールで15時間乾燥させた。回収した試料は、形態Cと一致することが分かった。HPLCおよびH-NMR分析により、回収した試料(形態C)は、曲線下面積(AUC)により測定して純度99.6%であることが分かり、化合物構造を確認した。試料の加熱および乾燥後に、残留MeCNは全く観察されなかった。
乾燥および熱的実験(VT-XRPD分析を含む)は、形態Dを無水の形態BおよびCに転化させることが分かった。形態Bから形態Cへの熱による転移および形態Cから形態Aへの熱による転移がDSCにより観察された。形態Dが、加熱時および水中20%体積/体積(v/v)MeCNの混合物中での形態Dの熟成時に、形態Aに転化することも観察された。しかし、アセトニトリルが20%v/vを超えるアセトニトリル:水の混合物は、無水化合物のアセトニトリル溶媒和物(形態D)への転化を示した。
形態Bを、DSC、TGA、XRPD、および温度可変XRPD(VT-XPRD)により分析した。形態BのX線粉末ディフラクトグラムを図3Aに描写する。図3Aに描写される形態Bの代表的なXRPDピークは下記の通りである。
Figure 0007218323000041
DSCおよびTGAサーモグラムを図3Bに描写する。この多形体は、91℃付近での吸熱性の融解と、その直後に再結晶化の発熱とを示す。第2の吸熱性/発熱性事象が155℃付近に観察され、それに続いて179℃での吸熱性事象が観察される。VT-XRPD分析により、DSCにより観察された事象を説明することが可能である:91℃での第1の吸熱性/発熱性事象は形態Bの融解であり、それに続いて形態Cへの再結晶化がある;後者は、155℃付近で融解し、形態Aへと再結晶化し、それは179℃で融解する。TGAにより、関連する重量減少は全く観察されなかった。
形態Cを、DSC、TGA、およびXRPDにより分析した。形態CのX線粉末ディフラクトグラムを図4Aに描写する。図4Aに描写される形態Cの代表的なXRPDピークは下記の通りである。
Figure 0007218323000042
DSCおよびTGAサーモグラムを図4Bに描写する。DSCにより、吸熱性/発熱事象が155℃付近に観察され、それに続いて179℃付近に吸熱性事象が観察された。この形態にはVT-XRPD分析を全く実施しなかったが、形態BのVT-XRPD実験により、吸熱性/発熱性事象は融解/形態Cの形態Aへの再結晶化であり;179℃での第2の吸熱性事象は形態Aの融解である。形態CのTGA分析により、著しい重量減少は全く観察されなかった。
競合スラリー実験
競合スラリー実験において、およそ1:1の形態Aと形態Cとの混合物を調製した。次いで、混合物を、形態Bの種晶(形態Aと形態Cとの混合物の重量の約5%)と共に撹拌した。生成した系を、アセトニトリル、酢酸エチル、30%IPA:70%水、および30%エタノール:70%水中で、5℃、25℃、および50℃で撹拌しながら熟成させた。異なる2つの時点:72時間および1週間で、系をXRPDにより分析した。
酢酸エチル、IPA:水、およびエタノール:水中で熟成させた混合物は、XRPDにより形態Aと一致することが分かった。形態Dは、アセトニトリル中での熟成により観察された。この実験は、調査した条件下で、形態Bおよび形態Cに比べて形態Aが安定な形態であることを確かにした。アセトニトリルが存在すると、調査した全ての温度で溶媒和物の形成に至った。
実施例8.粒径方法および試料分析
セリネクソールの試料の分析のための粒径方法を開発し、セリネクソールのいくつかの試料を、開発した方法を利用して分析した。
全般的な装置および方法論の詳細
偏光顕微鏡法
偏光顕微鏡法を、Spot Insightカラーカメラを備えたLeica DM LP顕微鏡を使用して実施した。クロスポーラー光(Crossed-polarized light)を、一次赤色補償板(first order red compensator)と共に使用した。種々の対物レンズを使用して試料を観察した。Spot Advancedソフトウェア(v.4.5.9)を利用して画像を周囲温度で取得した。ミクロンバーを画像に加えて、粒子の整粒を推定することを補助した。
粒径分析
Hydro2000μP分散ユニットを備えたMalvern Instruments MS2000を利用して粒径データを取得した。Mastersizer 2000 v 5.60ソフトウェアを利用し、体積系の測定値を使用して、データを収集および分析した。NISTトレーサブルガラスビーズを標準試料として使用した。
偏光顕微鏡法
鉱油に分散させたロット番号1305365のセリネクソール(実施例1に記載)の顕微鏡写真を収集して、試料のモルホロジーを決定して、試料が集塊していたかどうかを決定し、かつ粒子の大きさの初期の推定値を得た。分析の間の観察と得られた画像との両方に基づくと、試料は、主として長さが10~100μmであるブレードおよび針状粒子から構成され、一部はより小さく、不規則な形状の粒子および一部は鉱油に容易に分散される長さが200~300μmの集塊であった。種々の分散剤に懸濁している試料の後の観察結果は、より大きい集塊を示したが、これらはやはり容易に分散された。表2はこれらの観察結果をまとめるものである。
Figure 0007218323000043
粒径方法および試料分析
粒径の分析に利用した方法条件の詳細を以下に列記する。
試料屈折率:1.596
試料吸収:0.001
分散剤:Isopar G中0.1%(w/v)レシチン
分散剤屈折率:1.42
ポンプスピード:2100rpm
再循環時間:2分
試料測定時間:30秒
バックグラウンド測定時間:30秒
モデル:汎用
感度:通常
粒子形状:不規則
これらの方法条件を利用するd10、d50、およびd90の相対標準偏差は、それぞれ2.35%、1.28%、および6.17%であった。全ての偏差は、d10、d50、およびd90に対してそれぞれ≦30%、≦10%、≦15%のUSP推奨内である。
実施例1~6に記載のセリネクソールの各ロットの1つの粒径測定を、上述の粒径方法条件を利用して収集した。表4は、試料の情報および示されたロットのセリネクソールの上述の粒径方法分析条件下での粒径分析データを与えるものである。図5A~5Pは粒径分布グラフであり、上述の粒径方法分析条件下での、示されるロットのセリネクソールに対応する試料の粒径分布を示す。
Figure 0007218323000044
実施例1~5に記載のセリネクソールのロットに対応する試料から得られた測定値の粒径分布をグラフに重ね書きもした。図5Iは、実施例1~5に記載のセリネクソールのロットに対応する試料から得られた粒径分布の重ね書きから生じたグラフであり、4つのロット(ロット番号1339-BS-142-1、1339-BS-142-2、PC-14-008、およびPC-14-009)の分布が、明らかに二峰性であるロット(ロット番号1341-AK-109-2)より単峰性の特性を有したことを示す。ロット番号PC-14-005の分布は、方法開発に使用した試料(ロット番号1305365)と同様に、およそ12~15μmの第1のモード、第1のモードのわきのショルダーからなるおよそ80~90μmの粒子に相当する第2のモード、およびおよそ400μmの小さい第3のモードを示した。
実施例9.セリネクソールセリネクソールセリネクソールの調製のプロセス
式Iの化合物の調製の新たなプロセスを開発した。新たなプロセスは、KG1とヒドラジニルピラジン(KJ8)とのT3P(登録商標)媒介性カップリングを利用して、国際公開第2013/019548号パンフレットに記載のものなどのセリネクソールを調製するが、反応設計に変更点を取り入れている。とりわけ、不安定で活性のあるT3P(登録商標)エステルをインサイチュで発生させる本明細書に記載されるプロセスは、国際公開第2013/019548号パンフレットに記載の式Iの化合物の調製プロセスより優れた以下の利点の1つ以上をもたらし得る:
・KH8の二重結合の異性化の減少;
・3-(3,5-ビス-トリフルオロメチル-フェニル)-1H-[1,2,4]トリアゾール(KF9)などの副生成物の生産の減少;
・純度の上昇;および
・収率の上昇。
本明細書に記載されるプロセスを、マルチキログラムプロセスで実施して、例えば1Kgスケールプロセス参照(実施例5参照)、所望の最終生成物を全体で約80%の収率で与えた。セリネクソールを調製する改善されたプロセスの詳細は、実施例5および6に記載されている。
化学開発
活性化されたエステルを一時的に発生させることを目的とした一連の実験を実施した。これらの実験を表5にまとめる。最初に、T3P(登録商標)への原料の添加様式を維持したが、その後、KJ8とT3P(登録商標)との反応の速度が、KG1のT3P(登録商標)エステルの形成(および恐らくはクエンチ)の速度より重要性が低いことが観察されたときに原料添加の順序を逆転させた。先に議論されたKG1とKJ8との間のカップリングの生成物の特性の改善に加え、KG1と、KJ8と、DIPEAとの混合物へのT3P(登録商標)の添加は、大幅に単純化されたリアクターフローおよび形成したKG1のT3P(登録商標)活性化エステルを非常に注意深く取り扱う必要性を与えた。T3P(登録商標)を最後に加えることは、添加速度をはるかに良好に制御することも可能にし、活性化されたエステルを可能な限り迅速に移す(より大きいスケールでは、はるかに困難で潜在的に危険な作業である)必要性を回避した。調製および移動の必要のある溶液の数を減少させたため、プロセスの体積も減少できた。
Figure 0007218323000045
Figure 0007218323000046
反応温度の検討を表6にまとめる。新たな化学作用が、極低温容器の使用を必要としなかったという観察結果が特に注目され、その理由は、生じたKF9のレベルがわずかに増えるのみで、-20℃でも、-10℃でさえも反応が実施できたからである。いくつかの実施形態において、1.00当量のKG1に基づく化学量論は、1.05当量のKJ8および1.6当量のT3Pである。KJ8、T3P、または両方の当量が、純度および収率に影響なく±5%変動し得ることが理解される。いくつかの実施形態において、反応は-20℃で実施される。いくつかの実施形態において、反応は-40℃で実施される。
Figure 0007218323000047
本明細書に引用された全特許、公表された出願、および参考文献の教示は、参照により本明細書に援用される。
本発明は、その例となる実施形態を参照して詳細に示され説明されてきたが、形態および詳細の種々の変更形態が、添付される特許請求の範囲により包含される本発明の範囲から逸脱せずになされ得ることが当業者により理解されるであろう。

Claims (21)

  1. 構造式I:
    Figure 0007218323000048

    により表される化合物の結晶形態の物であって、形態Dであり、かつ3.7°、7.3°、10.9°、18.3°、および21.9°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ、構造式Iの前記化合物がアセトニトリル溶媒和物の形態である、結晶形態の物。
  2. 3.7°、7.3°、10.9°、18.3°、および21.9°の2θ角のX線粉末回折ピークにより特徴付けられる、請求項1に記載の結晶形態の物。
  3. 3.7°、7.3°、9.7°、10.9°、18.3°、19.2°、および21.9°の2θ角のX線粉末回折ピークにより特徴付けられる、請求項2に記載の結晶形態の物。
  4. 3.7°、7.3°、9.7°、10.9°、11.1°、18.3°、19.2°、19.5°、20.6°、および21.9°の2θ角のX線粉末回折ピークにより特徴付けられる、請求項3に記載の結晶形態の物。
  5. 3.7°、7.3°、9.7°、10.9°、11.1°、13.1°、18.3°、19.2°、19.5°、20.4°、20.6°、21.9°、22.3°、22.5°、23.9°、24.4°、26.8°、28.9°、29.3°、29.5°、30.1°、31.9°、32.5°、33.1°、33.7°、38.1°、および41.3°の2θ角のX線粉末回折ピークにより特徴付けられる、請求項1に記載の結晶形態の物。
  6. 前記溶媒和物が、構造式Iの前記化合物のモル当量あたり約0.5~約1.5モル当量の溶質を含む、請求項に記載の結晶形態の物。
  7. 前記溶媒和物が、構造式Iの前記化合物のモル当量あたり約1モル当量の溶質を含む、請求項に記載の結晶形態の物。
  8. 構造式I:
    Figure 0007218323000049

    により表される化合物の結晶形態の物を調製する方法であって、前記結晶形態の物が形態Aであり、かつ4.4°、19.9°、21.3°、および22.0°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ、前記方法が、
    (a)構造式Iの前記化合物の結晶形態Dの物を、イソプロパノールまたはイソプロパノールと水との混合物に懸濁させて、スラリーを形成すること、ここで結晶形態Dの物は、3.7°、7.3°、10.9°、18.3°、および21.9°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ、構造式Iの前記化合物の結晶形態Dの物がアセトニトリル溶媒和物の形態である
    (b)前記スラリーを約70℃以下の温度に加熱して、第2のスラリーまたは溶液を形成すること;
    (c)前記第2のスラリーまたは前記溶液を冷却し、かつ前記第2のスラリーまたは前記溶液に水を加えて、それにより構造式Iの前記化合物の結晶形態Aの固体粒子を形成すること;ならびに
    (d)結晶形態Aの前記固体粒子を単離して、それにより構造式Iの前記化合物の結晶形態Aの粒子を含む組成物を調製すること
    を含む、方法。
  9. 構造式I:
    Figure 0007218323000050

    により表される化合物の結晶形態の物を調製する方法であって、前記結晶形態の物が形態Aであり、かつ4.4°、19.9°、21.3°、および22.0°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ、前記方法が、
    (a)構造式Iの前記化合物の結晶形態Dの物を、イソプロパノールまたはイソプロパノールと水との混合物に懸濁させて、スラリーを形成すること、ここで結晶形態Dの物は、3.7°、7.3°、10.9°、18.3°、および21.9°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ、構造式Iの前記化合物の結晶形態Dの物がアセトニトリル溶媒和物の形態である
    (b)前記スラリーを約70℃以下の温度に加熱して、第2のスラリーまたは溶液を形成すること;
    (c)前記第2のスラリーまたは前記溶液に水を加え、かつ前記第2のスラリーまたは前記溶液を冷却して、それにより構造式Iの前記化合物の結晶形態Aの固体粒子を形成すること;ならびに
    (d)結晶形態Aの前記固体粒子を単離して、それにより構造式Iの前記化合物の結晶形態Aの粒子を含む組成物を調製すること
    を含む、方法。
  10. イソプロパノールと水との前記混合物中の水に対するイソプロパノールの体積による比が約0.1~約4である、請求項のいずれか一項に記載の方法。
  11. 構造式Iの前記化合物の結晶形態Dの物が、構造式Iの前記化合物の結晶形態Dの物に対して約5~約10重量部の量のイソプロパノールまたはイソプロパノールと水との混合物に懸濁される、請求項10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記スラリーが約35℃~約70℃の温度に加熱される、請求項11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記第2のスラリーまたは前記溶液が約0℃~約55℃に冷却される、請求項12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 水が、前記第2のスラリーまたは前記溶液に、構造式Iの前記化合物の結晶形態Dの物に対して約5重量部~約15重量部の量で加えられる、請求項13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 構造式I:
    Figure 0007218323000051

    により表される化合物の結晶形態の物を調製する方法であって、前記結晶形態の物が形態Aであり、かつ4.4°、19.9°、21.3°、および22.0°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ、前記方法が、
    構造式Iの前記化合物の結晶形態Dの物を加熱し、かつ結晶形態Aの固体粒子の形成を誘導すること;または
    構造式Iの結晶形態Dの物、もしくは前記化合物を溶媒系中で熟成させ、かつ結晶形態Aの固体粒子の形成を誘導すること;または
    構造式Iの前記化合物の結晶形態Dの物を乾燥させて、それにより結晶形態Aの固体粒子を形成すること;または
    前記の任意の組み合わせ;および
    結晶形態Aの前記固体粒子を単離して、それにより構造式Iの前記化合物の結晶形態Aの物を調製すること
    を含結晶形態Dの物は、3.7°、7.3°、10.9°、18.3°、および21.9°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ、構造式Iの前記化合物の結晶形態Dの物がアセトニトリル溶媒和物の形態である、方法。
  16. 構造式I:
    Figure 0007218323000052

    により表される化合物の結晶形態の物を調製する方法であって、前記結晶形態の物が形態Dであり、かつ3.7°、7.3°、10.9°、18.3°、および21.9°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ、構造式Iの前記化合物の結晶形態Dの物がアセトニトリル溶媒和物の形態であり、前記方法が、
    構造式Iの前記化合物を、20体積%を超えるアセトニトリルを含む溶媒系に溶解させること;
    構造式Iの前記化合物の結晶形態Dの固体粒子の形成を誘導すること、ここで、溶媒系の温度は50℃未満である;および
    結晶形態Dの前記固体粒子を単離して、それにより構造式Iの前記化合物の結晶形態Dの物を調製すること
    を含む、方法。
  17. 結晶形態Dの物が溶媒和物の形態である、請求項16に記載の方法。
  18. 前記溶媒和物がアセトニトリル溶媒和物である、請求項17に記載の方法。
  19. 結晶形態Dの固体粒子の形成を誘導することが、構造式Iの前記化合物を、アセトニトリルを含む溶媒系に溶解させることにより形成された溶液を冷却することを含む、請求項1618のいずれか一項に記載の方法。
  20. 構造式I:
    Figure 0007218323000053

    により表される化合物の結晶形態の物を調製する方法であって、前記結晶形態の物が形態Aであり、かつ4.4°、19.9°、21.3°、および22.0°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ、前記方法が、
    (a)トリアルキルアミンと、2-メチルテトラヒドロフランと、構造式II:
    Figure 0007218323000054

    の化合物と、構造式III:
    Figure 0007218323000055

    の化合物とを合わせて、反応混合物を形成すること;
    (b)前記反応混合物を約-80℃~約0℃に冷却すること;
    (c)前記反応混合物をプロピルホスホン酸無水物により処理して、構造式Iの前記化合物を含む混合物を与えること;
    (d)前記混合物から構造式Iの前記化合物を単離すること;
    (e)構造式Iの前記単離された化合物を、アセトニトリルを含む溶媒系に溶解させること;
    (f)構造式Iの前記化合物の結晶形態Dの固体粒子の形成を誘導し、かつ結晶形態Dの前記固体粒子を単離して、構造式Iの前記化合物の結晶形態Dの物を得ること、ここで結晶形態Dの物は、3.7°、7.3°、10.9°、18.3°、および21.9°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ、構造式Iの前記化合物の結晶形態Dの物がアセトニトリル溶媒和物の形態である
    (g)結晶形態Dの物を加熱し、かつ結晶形態Aの固体粒子の形成を誘導すること;または結晶形態Dの物を溶媒系中で熟成させ、かつ結晶形態Aの固体粒子の形成を誘導すること;または結晶形態Dの物を乾燥させて、それにより結晶形態Aの固体粒子を形成すること;または前記の任意の組み合わせ;ならびに
    (h)結晶形態Aの前記粒子を単離して、それにより構造式Iの前記化合物の結晶形態Aの物を調製すること
    を含む、方法。
  21. 構造式I:
    Figure 0007218323000056

    により表される化合物の結晶形態の物を調製する方法であって、前記結晶形態の物が形態Aであり、かつ4.4°、19.9°、21.3°、および22.0°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ、前記方法が、
    (a)トリアルキルアミンと、2-メチルテトラヒドロフランと、構造式II:
    Figure 0007218323000057

    の化合物と、構造式III:
    Figure 0007218323000058

    の化合物とを合わせて、反応混合物を形成すること;
    (b)前記反応混合物を約-80℃~約0℃に冷却すること;
    (c)前記反応混合物をプロピルホスホン酸無水物により処理して、構造式Iの前記化合物を含む混合物を与えること;
    (d)前記混合物から構造式Iの前記化合物を単離すること;
    (e)構造式Iの前記単離された化合物を、アセトニトリルを含む溶媒系に溶解させること;
    (f)構造式Iの前記化合物の結晶形態Dの物の固体粒子の形成を誘導し、かつ結晶形態Dの物の前記固体粒子を単離すること、ここで結晶形態Dの物は、3.7°、7.3°、10.9°、18.3°、および21.9°から選択される2θ角の少なくとも3つのX線粉末回折ピークにより特徴付けられ、構造式Iの前記化合物の結晶形態Dの物がアセトニトリル溶媒和物の形態である
    (g)結晶形態Dの物を、イソプロパノールまたはイソプロパノールと水との混合物に懸濁させて、スラリーを形成すること;
    (h)前記スラリーを約70℃以下の温度に加熱して、第2のスラリーまたは溶液を形成すること;
    (i)前記第2のスラリーまたは前記溶液を冷却し、かつ前記第2のスラリーまたは前記溶液に水を加えて、それにより構造式Iの前記化合物の結晶形態Aの固体粒子を形成すること;ならびに
    (j)結晶形態Aの前記固体粒子を単離して、それにより構造式Iの前記化合物の結晶形態Aの物を調製すること
    を含む、方法。
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