JP7218150B2 - インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents
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まず、本発明者らは、記録媒体を吸引部から吸引することによりプラテンに吸着支持させて記録を行うインクジェット記録装置を用いて、検討を行った。その結果、吸引部から吸引することにより、記録媒体の裏汚れが発生し、特にふちなし記録の場合は裏汚れが顕著に生ずることが判明した。
本発明のインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置は、吸引部から吸引することにより記録媒体を吸着支持するプラテンと、プラテンと対向して配置された記録ヘッドと、記録媒体を加熱するための加熱機構を備える。プラテンは、吸引部が設けられた吸引領域を備える。記録ヘッドは、インクなどの液体を吐出する複数の吐出口を備える。また、インクジェット記録装置は、本発明のインクジェット記録方法に用いるインクを備えることができる。以下、図面を参照しつつ、本発明のインクジェット記録装置の詳細について説明する。
本発明のインクジェット記録方法では、使用するインクジェット記録装置における加熱機構により記録媒体を加熱しながら、その記録媒体に、記録ヘッドからインクを吐出して、画像を記録する。記録媒体を加熱しながら画像の記録を行うことには、記録媒体を予め加熱してある状態にしておくことも含まれ、記録媒体にインクが付与される際に、記録媒体を加熱する工程を有していればよい。記録媒体において、インクが付与される領域近傍よりも、記録媒体の搬送方向(副走査方向)の上流側及び下流側の部分のいずれかを加熱する工程を有していてもよい。その場合、インクが付与される部分の近傍と、搬送方向の上流側及び下流側の部分の加熱温度は、同じ温度としてもよいし、異なる温度としてもよい。加熱する温度は、記録媒体が変形しない範囲とすることが好ましい。したがって、このような条件を満たすのであれば、記録媒体の裏面から加熱しながら記録を行う場合も含まれる。
以下、本発明のインクジェット記録方法に用いるインクを構成する各成分やインクの物性などについて詳細に説明する。本発明で用いるインクは、いわゆる「硬化型インク」である必要はない。したがって、本発明で用いるインクは、外部エネルギーの付加により重合しうる重合性モノマーなどの化合物を含有しなくてもよい。
本発明のインクジェット記録方法では、水のモル分率が90%以上である水性インクが使用される。まず、インクに含まれる水の蒸発とモル分率について説明する。ある温度及び湿度の環境にインクが置かれた場合、インクに含まれる水の蒸発はインク中の水がなくなるまで進行するわけではなく、湿度及び蒸発の終点との間には相関関係がある。
本発明のインクジェット記録方法に用いるインクは、色材を含有することが好ましい。色材としては、染料及び顔料のいずれも用いることができる。染料としては、アニオン性基を有するものなどを挙げることができる。染料としては、フタロシアニン、アゾ、キサンテン、及びアントラピリドンなどの骨格を有する化合物を用いることができる。また、顔料としては、カーボンブラックなどの無機顔料、及びフタロシアニン、キナクリドン、アゾなどの有機顔料を挙げることができる。顔料としては、分散剤として樹脂を用いる樹脂分散タイプの顔料、及び顔料の粒子表面に親水性基を導入した自己分散タイプの顔料(自己分散顔料)などを用いることができる。分散方法の異なる顔料を併用することもできる。本発明のインクジェット記録方法では、色材として顔料を用いることがより好ましい。
本発明のインクジェット記録方法に用いるインクは、さらに樹脂を含有することが好ましい。インクにさらに樹脂を含有させると、そのインクが記録媒体に付与された際、記録媒体の表層に樹脂を含むインク層が形成されることで、インク中の水分などの気化成分(水蒸気など)は記録媒体の表層で拡散するよりも裏面へより抜けやすくなると考えられる。そのため、さらなる裏汚れの抑制に効果を発現すると考えられる。
(1)200℃まで10℃/分で加熱した後、200℃から-50℃まで5℃/分で降温させる。
(2)次いで、-50℃から200℃まで10℃/分で昇温させながら熱分析する。
本発明のインクジェット記録方法に用いるインクは、水性媒体として水を含有する。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、40.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましく、50.0質量%以上90.0質量%以下であることがさらに好ましい。
インクには、界面活性剤を含有させることができる。インク中の界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上3.0質量%以下であることがさらに好ましい。界面活性剤の具体例としては、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体などの炭化水素系の界面活性剤;パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物などのフッ素系の界面活性剤;ポリエーテル変性シロキサン化合物などのシリコーン系界面活性剤などを挙げることができる。なかでも、炭化水素系の界面活性剤を用いることが好ましい。
インクには、上記成分の他に、必要に応じて、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、及び還元防止剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
インクの25℃における粘度は、1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることが好ましく、1.0mPa・s以上3.0mPa・s以下であることがさらに好ましい。インクの25℃における表面張力は、15mN/m以上45mN/m以下であることが好ましい。インクの25℃におけるpHは、5以上9以下であることが好ましい。
本発明のインクジェット記録方法では、透気抵抗度が100秒以下の記録媒体を用いる。この記録媒体の透気抵抗度は3秒以上100秒以下であることが好ましい。このような記録媒体は、空気をある程度透過するものであり、普通紙などのコート層を有しない記録媒体や、コート層を有する記録媒体のなかでもコート層が薄いものなどを挙げることができる。透気抵抗度は、JIS P 8117:2009に規定されるガーレー試験機法にしたがって測定することができる。ガーレー試験機法による透気抵抗度(ガーレー秒数とも称される)をt(秒)、透気度をP(μm/(Pa・s))としたとき、透気度は、P=135.3/tで表される。
(顔料分散液1)
水溶性樹脂であるスチレン/アクリル酸ブチル/アクリル酸共重合体(組成(質量)比62/13/25)を酸価と等モル量となる水酸化ナトリウムを用いてイオン交換水に溶解させ、樹脂の含有量が20.0%である樹脂分散剤の水溶液を調製した。この水溶性樹脂の重量平均分子量は10,000であり、酸価は195mgKOH/gである。顔料(カーボンブラック)25.0部、樹脂分散剤の水溶液62.5部、水12.5部の混合物を、サンドグラインダーに入れ、1時間分散処理を行った。その後、遠心分離処理を行って粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、適量のイオン交換水を加えて、顔料分散液1を得た。顔料分散液1には、水中に水溶性樹脂(樹脂分散剤)により分散された顔料が含まれており、顔料分散液1中の顔料の含有量は20.0%であり、水溶性樹脂の含有量は10.0%であった。
顔料分散液1で使用した顔料をカーボンブラックからC.I.ピグメントブルー15:3に変更した以外は顔料分散液1と同様な操作を行い、顔料分散液2を作製した。顔料分散液2には、水中に水溶性樹脂(樹脂分散剤)により分散された顔料が含まれており、顔料の含有量は20.0%であり、水溶性樹脂の含有量は10.0%であった。
顔料分散液1で使用した顔料をカーボンブラックからC.I.ピグメントレッド122に変更した以外は顔料分散液1と同様な操作を行い、顔料分散液3を作製した。顔料分散液3には、水中に水溶性樹脂(樹脂分散剤)により分散された顔料が含まれており、顔料の含有量は20.0%であり、水溶性樹脂の含有量は10.0%であった。
顔料分散液1で使用した顔料をカーボンブラックからC.I.ピグメントイエロー74に変更した以外は顔料分散液1と同様な操作を行い、顔料分散液4を作製した。顔料分散液4には、水中に水溶性樹脂(樹脂分散剤)により分散された顔料が含まれており、顔料の含有量は20.0%、水溶性樹脂の含有量は10.0%であった。
5.5gの水に5gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で4-アミノ-1,2-ベンゼンジカルボン酸1.5gを加えた。次に、この溶液の入った容器をアイスバスに入れることで溶液を常に10℃以下に保った状態にし、これに5℃の水9.0gに亜硝酸ナトリウム1.8gを溶かした溶液を加えた。この溶液をさらに15分間撹拌後、比表面積が220m2/g、DBP吸油量が105mL/100gであるカーボンブラック6.0gを撹拌下で加えた。その後、さらに15分間撹拌し、得られたスラリーをろ紙(商品名「標準用濾紙No.2」、アドバンテック製)でろ過した後、粒子を充分に水洗した。これを110℃のオーブンで乾燥させ、自己分散カーボンブラックを調製した。さらに、得られた自己分散カーボンブラックに水を加えて顔料の含有量が20.0%となるように分散させ、分散液を調製した。その後、イオン交換法を用いてナトリウムイオンをカリウムイオンに置換することによって、カーボンブラックの粒子表面に-C6H3-(COOK)2基が結合した自己分散顔料を含む顔料分散液5を得た。
500.0gのイオン交換水、及び15.0gのカーボンブラックを混合し、15,000rpmで30分間撹拌して、顔料を予備湿潤させた。ここに4,485gのイオン交換水を加え、高圧ホモジナイザーで分散させて、分散液を得た。得られた分散液を高圧容器に移し、圧力3.0MPaで加圧した後、オゾン濃度が100ppmであるオゾン水を導入することによって顔料のオゾン酸化処理を行い、分散液を得た。水酸化カリウムを用いて分散液のpHを10.0に調整した後、顔料固形分の濃度を調整して、顔料分散液6を得た。顔料分散液6には、カーボンブラックの粒子表面に-COOK基が結合した自己分散顔料が含まれており、顔料の含有量は20.0%であった。
顔料7.0g、((4-アミノベンゾイルアミノ)-メタン-1,1-ジイル)ビスホスホン酸の一ナトリウム塩14.0mmol、硝酸40.0mmol、及び純水200.0mLを混合した。顔料としては、C.I.ピグメントブルー15:3を用いた。そして、シルヴァーソン混合機を用いて、室温にて6,000rpmで混合した。30分後、この混合物に少量の水に溶解させた40.0mmolの亜硝酸ナトリウムをゆっくり添加した。亜硝酸ナトリウムを添加することによって混合物の温度は60℃に達した。この状態で1時間反応させた。その後、水酸化ナトリウム水溶液を用いて混合物のpHを10に調整した。30分後、純水20.0mLを加え、スペクトラムメンブランを用いてダイアフィルトレーションした。イオン交換水を用いて顔料の含有量を調整して、顔料分散液7を得た。顔料分散液7には、カウンターイオンがナトリウムである((4-ベンゾイルアミノ)-メタン-1,1-ジイル)ビスホスホン酸基が顔料の粒子表面に結合した自己分散顔料が含まれており、顔料の含有量は20.0%であった。
顔料7.0g、((4-アミノベンゾイルアミノ)-メタン-1,1-ジイル)ビスホスホン酸の一ナトリウム塩14.0mmol、硝酸40.0mmol、及び純水200.0mLを混合した。顔料としては、C.I.ピグメントレッド122を用いた。そして、シルヴァーソン混合機を用いて、室温にて6,000rpmで混合した。30分後、この混合物に少量の水に溶解させた40.0mmolの亜硝酸ナトリウムをゆっくり添加した。亜硝酸ナトリウムを添加することによって混合物の温度は60℃に達した。この状態で1時間反応させた。その後、水酸化ナトリウム水溶液を用いて混合物のpHを10に調整した。30分後、純水20.0mLを加え、スペクトラムメンブランを用いてダイアフィルトレーションした。イオン交換水を用いて顔料の含有量を調整して、顔料分散液8を得た。顔料分散液8には、カウンターイオンがナトリウムである((4-ベンゾイルアミノ)-メタン-1,1-ジイル)ビスホスホン酸基が顔料の粒子表面に結合した自己分散顔料が含まれており、顔料の含有量は20.0%であった。
顔料7.0g、((4-アミノベンゾイルアミノ)-メタン-1,1-ジイル)ビスホスホン酸の一ナトリウム塩7.0mmol、硝酸20.0mmol、及び純水200.0mLを混合した。顔料としては、C.I.ピグメントイエロー74を用いた。そして、シルヴァーソン混合機を用いて、室温にて6,000rpmで混合した。30分後、この混合物に少量の水に溶解させた20.0mmolの亜硝酸ナトリウムをゆっくり添加した。亜硝酸ナトリウムを添加することによって混合物の温度は60℃に達した。この状態で1時間反応させた。その後、水酸化ナトリウム水溶液を用いて混合物のpHを10に調整した。30分後、純水20.0mLを加え、スペクトラムメンブランを用いてダイアフィルトレーションした。イオン交換水を用いて顔料の含有量を調整して、顔料分散液9を得た。顔料分散液9には、カウンターイオンがナトリウムである((4-ベンゾイルアミノ)-メタン-1,1-ジイル)ビスホスホン酸基が顔料の粒子表面に結合した自己分散顔料が含まれており、顔料の含有量は20.0%であった。
樹脂が水溶性であるか水分散性(樹脂粒子)であるかの判断、及び樹脂粒子である場合の体積平均粒径の測定は、以下に示す方法にしたがって行った。まず、酸価相当のアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)により中和された樹脂を含む液体(樹脂固形分:10.0%)を用意した。次いで、用意した液体を純水で10倍(体積基準)に希釈して試料溶液を調製した。そして、試料溶液中の樹脂の粒径を動的光散乱法により測定した場合に、粒径が測定されない場合に、その樹脂は水溶性であると判断した。この際の測定条件は、SetZero:30秒、測定回数:3回、測定時間:180秒とした。粒度分布測定装置としては、動的光散乱方式の粒度分布測定装置(商品名「UPA-EX150」、日機装製)を使用した。
(樹脂粒子1、7、及び8の準備)
(合成例1~3)
特開平11-100406号公報の実施例1に記載の流動床反応器を用いた気相重合法を参考にして、α-オレフィン重合体を得た。具体的には、上記公報の実施例1に記載の反応条件における重合圧力の全圧Pを25kg/cm2Gから10.0kg/cm2Gに変更し、エチレンをプロピレンに変更した。それらの変更以外は、上記公報の実施例1に記載の内容に基づき、密度が900kg/m3のα-オレフィン重合体であるPP1を得た。ポリプロピレンの重合工程における重合圧力を表1に示す通りに制御することにより、α-オレフィン重合体であるPP2及びPP3を合成した。密度については、乾式自動密度計(商品名「アキュピック1330-03」、マイクロメリティックス製)による気体置換法により求めた。各種ポリプロピレンの重合圧力、密度を表1に示す。
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えた500mLセパラブルフラスコに、ポリオレフィンとして合成例1で得られたPP1を100.0部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート100.0部を入れた。窒素雰囲気下、180℃に保たれた油浴中で溶融させ、撹拌を行いながら系内が170℃になるように油浴の温度を調整した。系内が溶融した後、撹拌を行い均一な状態としながら、アクリル酸ベンジル6.0部、アクリル酸8.0部、ジ-t-ブチルパーオキサイド(商品名「パーブチルD」、日本油脂製)0.4部を添加した。系内を170℃に保ったまま、30分間反応を継続した後、アクリル酸8.0部、アクリル酸ベンジル6.0部、ジ-t-ブチルパーオキサイド0.4部を添加した。同様にしてアクリル酸とアクリル酸ベンジルとジ-t-ブチルパーオキサイドの添加を30分毎に合計5回行った。
合成例4においてポリオレフィンとして使用したPP1を、合成例2で得られたPP2に変更したこと以外は、合成例4と同様の手法により、変性ポリオレフィンPO2を得た。変性ポリオレフィンPO2のポリオレフィン100.0部を基準とした、アクリル酸に由来するユニットの含有量は40.0部であり、アクリル酸ベンジルに由来するユニットの含有量は30.0部であった。また、変性ポリオレフィンPO2のGPCによる重量平均分子量は15万であった。
合成例4においてポリオレフィンとして使用したPP1を、合成例3で得られたPP3に変更したこと以外は、合成例4と同様の手法により、変性ポリオレフィンPO3を得た。変性ポリオレフィンPO3のポリオレフィン100.0部を基準とした、アクリル酸に由来するユニットの含有量は40.0部であり、アクリル酸ベンジルに由来するユニットの含有量は30.0部であった。また、変性ポリオレフィンPO3のGPCによる重量平均分子量は15万であった。
撹拌機、温度計、及び還流冷却器を備えた1000mLセパラブルフラスコに、得られた変性ポリオレフィン(PO1~PO3)100.0gを加え、130℃に保たれた油浴中で溶融した。溶融後、油浴を130℃に保ったまま、8mol/Lの水酸化カリウム水溶液を、酸基の中和率(モル基準)が80%になるように添加した後、強く撹拌しながら、80℃のイオン交換水300gを少量ずつ加えた。粘度は上昇したが、そのままイオン交換水を加え続けると粘度は低下した。イオン交換水を加えた後、冷却を行い、内温が30℃になったところで、内容物を100メッシュのナイロンろ布にてろ過し、固形分が20.0%である、樹脂粒子1、7、及び8の各水分散液を得た。このようにして得られた樹脂粒子1、7、及び8の主特性は、Tgが50℃、体積平均粒径が100nmであった。
撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、100.0部の水を添加した後、反応系に窒素ガスを導入し、撹拌下で80℃に昇温させた。水100.0部、ラウリル硫酸ナトリウム(乳化剤)1.0部、スチレン50.0部、アクリル酸ブチル13.0部、メタクリル酸メチル34.0部、アクリル酸3.0部を混合し、モノマーの乳化物を調製した。上記のフラスコに、モノマーの乳化物と5.0%の過硫酸カリウム水溶液10.0部を3時間かけて滴下した。そして、エージングを2時間行った後、適量のイオン交換水で固形分を調整し、樹脂粒子2の含有量が20.0%である水分散液を得た。このようにして得られた樹脂粒子2の主特性は、Tgが70℃、体積平均粒径が100nmであった。
撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、100.0部の水を添加した後、反応系に窒素ガスを導入し、撹拌下で80℃に昇温させた。水100.0部、ラウリル硫酸ナトリウム(乳化剤)1.0部、スチレン54.0部、アクリル酸ブチル9.0部、メタクリル酸メチル34.0部、アクリル酸3.0部を混合し、モノマーの乳化物を調製した。上記のフラスコに、モノマーの乳化物と5.0%の過硫酸カリウム水溶液10.0部を3時間かけて滴下した。そして、エージングを2時間行った後、適量のイオン交換水で固形分を調整し、樹脂粒子3の含有量が20.0%である水分散液を得た。このようにして得られた樹脂粒子3の主特性は、Tgが80℃、体積平均粒径が100nmであった。
特開2013-209433号公報に記載のポリエステル樹脂Aの合成方法を参考にして、樹脂粒子4を合成した。具体的には、使用する成分を、テレフタル酸/イソフタル酸/トリメリット酸/エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=49.7/49.7/0.6/64.0/36.0(モル比)に変更した。この成分量に合わせて触媒の使用量を変更したこと以外は、上記公報のポリエステル樹脂Aの合成方法に準じて反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂を適量のメチルエチルケトン(溶媒)に溶解させた後、酸価と等モル量となる水酸化カリウムを含む水溶液を加えて撹拌することで、乳化させた。その後、減圧下で溶媒を除去し、ポリエステル樹脂である樹脂粒子4の含有量が20.0%である水分散液を得た。このようにして得られた樹脂粒子4の主特性は、Tgが50℃、体積平均粒径が100nmであった。
以下の手順にしたがって、樹脂粒子5を合成した。フラスコにネオペンチルグリコール22.0部、1,4-ブタンジオール15.0部、1,2-ブタンジオール9.0部、アジピン酸54.0部、及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネートを0.003部添加し、120℃でそれらを溶融した。次いで、撹拌しながら3~4時間かけて220℃へ昇温し10時間保持した後、100℃に冷却することによって、数平均分子量1,000のポリエステルポリオールを調製した。
撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、100.0部の水を添加した後、反応系に窒素ガスを導入し、撹拌下で80℃に昇温させた。水100.0部、ラウリル硫酸ナトリウム(乳化剤)1.0部、スチレン40.0部、アクリル酸ブチル23.0部、メタクリル酸メチル34.0部、アクリル酸3.0部を混合し、モノマーの乳化物を調製した。上記のフラスコに、モノマーの乳化物と5.0%の過硫酸カリウム水溶液10.0部を3時間かけて滴下した。そして、エージングを2時間行った後、適量のイオン交換水で固形分を調整し、樹脂粒子6の含有量が20.0%である水分散液を得た。このようにして得られた樹脂粒子6の主特性は、Tgが50℃、体積平均粒径が100nmであった。
特開2013-209433号公報に記載のポリエステル樹脂Aの合成方法を参考にして、水溶性樹脂1を合成した。具体的には、使用する成分を、テレフタル酸/イソフタル酸/トリメリット酸/エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=50.0/50.0/22.0/60.0/30.0(モル比)に変更した。この成分量に合わせて触媒の使用量を変更したこと以外は、上記公報のポリエステル樹脂Aの合成方法に準じて反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂を適量のメチルエチルケトン(溶媒)に溶解させた後、酸価と等モル量となる水酸化カリウムを含む水溶液を加えて撹拌することで、樹脂を溶解させた。得られたポリエステル樹脂を適量のMEKに溶解させ、撹拌しながらポリエステル酸価と等モル量のKOHを含む水溶液を加え乳化を確認した。その後、減圧下で溶媒を除去し、樹脂(固形分)の含有量が20.0%である、ポリエステル樹脂である水溶性樹脂1の水溶液を得た。得られた水溶性樹脂1のポリスチレン換算の重量平均分子量は10,000、酸価は170mgKOH/g、Tgは70℃であった。
温度計、撹拌機、窒素導入管、冷却管を備えた4つ口フラスコを用いて、合成を行った。具体的には、メチルエチルケトン(溶媒)を400g、数平均分子量1,000のポリプロピレングリコールを267g、イソホロンジイソシアネートを356g、ジブチル錫ジラウレートを0.007gフラスコ内に仕込んだ。その後、窒素ガス雰囲気下、100℃で1時間反応させた。その後、65℃以下に冷却し、ジメチロールプロピオン酸172g、ネオペンチルグリコール5g、及びメチルエチルケトン(溶媒)400gを添加し、FT-IRによりイソシアネート基の消失が確認されるまで80℃で反応させた。その後、フラスコに50.0%水酸化カリウム水溶液を加えることで、合成された樹脂が有するカルボン酸基の少なくとも一部を中和し、さらに水を加え十分に撹拌した。このようにして、酸価90mgKOH/g、ポリスチレン換算で重量平均分子量10,000、Tg70℃のウレタン樹脂である水溶性樹脂2を含む液体を得た。次いで、その液体を減圧下で加熱することにより溶媒を除去し、適量のイオン交換水を加えて、樹脂(固形分)の含有量が20.0%である、水溶性樹脂2の水溶液を得た。
撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、100.0部のエチレングリコールモノブチルエーテルを添加した後、反応系に窒素ガスを導入し、撹拌下で110℃に昇温させた。このフラスコに、スチレン62.0部、アクリル酸ブチル13.0部、アクリル酸25.0部の混合物と、t-ブチルパーオキサイド(重合開始剤)1.3部のエチレングリコールモノブチルエーテル溶液を3時間かけて滴下した。その後、エージングを2時間行い、さらにエチレングリコールモノブチルエーテルを減圧下で除去して、固形の樹脂を得た。このようにして得られた水溶性樹脂を、その酸価と当量の水酸化カリウム及び適量のイオン交換水を加えて80℃で中和して、樹脂(固形分)の含有量が20.0%である、水溶性樹脂3の水溶液を得た。水溶性樹脂3の酸価は195mgKOH/g、ポリスチレン換算の重量平均分子量は10,000、Tgは70℃であった。
表2-1~2-3の上段に示す各成分(単位:%)を混合して十分に撹拌した後、ポアサイズが2.5μmであるメンブレンフィルター(商品名「HDCIIフィルター」、ポール製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。表2-1~2-3中、「アセチレノールE100」(商品名)は、界面活性剤であり、川研ファインケミカル製のアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物である。表2-1~2-3の下段に示す「水のモル分率(%)」は、上記式(1)に基づいて、グリセリン、トリエチレングリコール、2-ピロリドン、及びエチレングリコールの分子量をそれぞれ、92、150、85、及び62として算出した値である。
上記で得られた各インクを用いて各評価に用いる画像を記録した。画像の記録には、インクジェット記録装置(商品名「imagePROGRAF iPF9400S」、キヤノン製)を用いた。この装置は、図1及び図2を用いて説明した、吸引部から吸引することにより記録媒体を吸着支持するプラテンと、プラテンと対向して配置された記録ヘッドを備える。上記プラテンとして、熱で変形しにくいダイカスト製法で作製したアルミニウム合金製のプラテンを用い、そのプラテンの下部に、ニッケル合金製のヒーターを配置したインクジェット記録装置を用いた。この装置に、各例で使用するインクを充填したインクカートリッジを装着し、表3に示す記録媒体(A3サイズを使用)に、記録パス数を10パスとして、記録デューティが100%のベタ画像を記録媒体の全面にふちなし記録で記録した。この際、上記ヒーターにより上記プラテンを加熱し、加熱されたプラテンにより記録媒体を加熱するとともに、35℃に加温したインクを吐出することで記録を行った。記録パスは、記録ヘッドが主走査方向(記録媒体の搬送方向に交差する方向)に1回主走査した後に、記録媒体が搬送方向に送られる送り長さに関係し、その送り長さは、記録ヘッドの吐出口列方向の長さをパス数で割った値となる。そのため、通常、記録媒体の単位領域を記録ヘッドがパス数の回数だけ往復する間に、所望の画像を記録媒体に記録することとなる。
・「ファインアートペーパー・フォトラグ」(コート紙、透気抵抗度35秒、キヤノン製)
・「CLC5000用最厚口用紙(250g)」(普通紙、透気抵抗度93秒、キヤノン製)
・「PB PAPER」(普通紙、透気抵抗度16秒、キヤノン製)
・「Classic White」(普通紙、透気抵抗度187秒、Steinbeis製)
記録ヘッド近傍の記録媒体の表面温度を測定し、温度変動を抑えるためPID制御によって記録媒体の温度(表面温度)を保つようにした。このときの記録ヘッドの温度と記録媒体の温度をモニタリングして、各々の温度が表3に示した値になった時点で画像を記録した。得られたそれぞれの記録物についてインクミストによる裏汚れをルーペと目視にて観察し、以下に示す評価基準にしたがって評価を行った。本発明では、以下に示す評価基準で、「AA」、「A」、及び「B」を許容できるレベルとし、「C」を許容できないレベルとした。
AA:ルーペで観察しても裏汚れがなかった。
A:ルーペで認識できる裏汚れがあったが、目視では認識できなかった。
B:目視で認識できる数ドット程度の大きさの裏汚れがあった。
C:目視で認識できる帯状の裏汚れがあった。
Claims (19)
- 吸引部から吸引することにより記録媒体を吸着支持するプラテンと、前記プラテンと対向して配置された記録ヘッドと、前記記録媒体を加熱するための加熱機構とを備えたインクジェット記録装置を使用して、ガーレー試験機法による透気抵抗度が100秒以下の記録媒体を前記加熱機構により加熱しながら、前記記録ヘッドからインクを吐出して、前記記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクが、水のモル分率が90%以上である水性インクであり、
前記水性インクが、前記記録媒体の加熱温度以下であるガラス転移温度を有する樹脂粒子を含有することを特徴とするインクジェット記録方法。 - 前記記録媒体の前記透気抵抗度が、3秒以上100秒以下である請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 前記記録媒体の前記透気抵抗度が、16秒以上100秒以下である請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
- 前記樹脂粒子が、密度が940kg/m3以下であるオレフィン重合体に由来するユニットを含むポリオレフィン系樹脂粒子である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記ポリオレフィン系樹脂粒子を構成する樹脂の重量平均分子量が、150,000以上2,000,000以下である請求項4に記載のインクジェット記録方法。
- 前記水性インク中の前記樹脂粒子を含む樹脂の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記水性インクが、色材として染料又は顔料を含有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記水性インク中の前記色材の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下である請求項7に記載のインクジェット記録方法。
- 前記水性インク中の水の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、40.0質量%以上95.0質量%以下である請求項1乃至8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記加熱機構によって加熱された前記記録媒体の表面温度が、40℃以上120℃以下である請求項1乃至9のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記記録媒体が、前記水性インクを前記記録媒体に付与する面の裏面から加熱される請求項1乃至10のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記プラテンを前記加熱機構として用いて、前記記録媒体を加熱する請求項1乃至11のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記記録ヘッドから吐出される前記水性インクが、加温されている請求項1乃至12のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記記録媒体が、カット紙又はロール紙である請求項1乃至13のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記記録媒体が、カット紙である請求項1乃至14のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記記録媒体が、コート層を有しない記録媒体である請求項1乃至15のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記記録媒体が、コート層を有する記録媒体である請求項1乃至15のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記記録ヘッドが、シリアルタイプ又はラインタイプの記録ヘッドである請求項1乃至17のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 吸引部から吸引することにより記録媒体を吸着支持するプラテンと、前記プラテンと対向して配置された記録ヘッドと、前記記録媒体を加熱するための加熱機構とを備え、ガーレー試験機法による透気抵抗度が100秒以下の記録媒体を前記加熱機構により加熱しながら、前記記録ヘッドからインクを吐出して、前記記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置であって、
前記インクが、水のモル分率が90%以上である水性インクであり、
前記水性インクが、前記記録媒体の加熱温度以下であるガラス転移温度を有する樹脂粒子を含有することを特徴とするインクジェット記録装置。
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