JP7218120B2 - 排水構造 - Google Patents
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Description
ここで、サイホン排水構造は、水回り機器と、当該水回り機器に接続された排水管と、当該水回り機器の下流側に設けられ、排水が溜まり得る貯留部を備えたトラップとを有することができる。このようなサイホン排水構造では、サイホン力発生に伴ってトラップ中の排水が減少して封水切れ(破封)が生じることを防ぐため、封水が存在し得る部分より下流側に、サイホン力が生じた際に空気の取入れが可能な通気弁を設けることがある(例えば特許文献1)。そして、空気の取入れにより、サイホン力の封水への影響を抑えて、トラップの貯留部に十分に溜まった封水によって、トラップの上流側と下流側との空間を、封水を介して遮断している(以下、「トラップの上流側と下流側との空間を遮断した状態」を「封水状態」とも称す)。
本発明の排水構造によれば、通気弁に依らずにトラップを封水状態に維持することができる。
なお、本発明において「排水が完了した」状態とは、厳密に排水がなくなった状態を意味するものではなく、例えば水回り機器の使用者が水回り機器を使用し終え水が供給されなくなった後において、水回り機器からトラップ前までの配管内が概ね空気で満たされた状態を意味する。また、「排水が完了した」の「排水」には、例えば後述する保持部が一時的に保持可能な排水は含まれないものとする。
または、本発明の排水構造では、前記排出路は、前記筒状部の側面の下方に形成された前記貫通穴と、当該貫通穴から延びる管状体と、からなることも好ましい。この構成によっても、排水構造に充填機構を効果的に備えるようにすることができる。
まず、図1を用いて、本発明の実施形態に係る排水構造を用いた、排水システムの一例について説明する。図1は、当該排水構造を用いた排水システムの一例を示す概略図である。
図1において示す排水システム10は、水回り機器11、第1の排水管12、トラップ13、直管14、横引き管15、竪管16、および、合流継手17を介して接続される合流管18により構成されている。具体的には、住居の床パネル20上には、例えば洗面台等の水回り機器11が配置され、排水システム10は、水回り機器11から、当該水回り機器11に接続された第1の排水管12と、当該水回り機器11の下流側に設けられ、排水が溜まり得る貯留部を備えたトラップ13を有している。
ついで、排水システム10は、トラップ13の下流側に接続され、床パネル20下で床スラブ21付近まで排水を導くための直管14と、当該直管14の下流側に接続され、水平方向に延びる横引き管15と、当該横引き管15の下流側に接続され、床スラブ21の配管用穴22を貫通する竪管16と、竪管16の下流側に合流継手17を介して接続される合流管18とを有している。また、横引き管15は、従来の勾配排水に用いられている配管よりも細い管からなり、また略水平(略無勾配)に設置されている。このような構造を有することにより、水回り機器11から流れてきた排水が、横引き管15内が排水で満水になりやすくなっており、満水になった状態で横引き管15から竪管16へ排水が流入し、排水を下方へ流下させることによりサイホン力を発生させることができる。発生したサイホン力により引っ張られることで横引き管15の排水が行われる。サイホン力は、排水がある限り発生し続け、排水量が少なくなり空気を巻き込み横引き管15内が非満水の状態になると、サイホン力が発生しなくなる。
なお、本発明の実施形態に係る排水構造の後述する排水管23は、少なくとも、第1の排水管12とトラップ13とにより(本例の排水システムでは、第1の排水管12とトラップ13と直管14と横引き管15と竪管16とにより)が構成されている。
本発明の実施形態に係る排水構造は、上述のように、水回り機器11と、排水管23と、トラップ13とを有し、さらに、図2に示すように、排水が完了した後にトラップ13の貯留部131に水を充填する充填機構30を有する。
図2の例では、排水管23は、下流側へ向かうに従い、下方へ向かってから折り返して上方へ向かう、第1の折返し部132と、第1の折返し部132の下流側に接続され、上方へ向かってから折り返して下方へ向かう、第2の折返し部133と、を有している。
より具体的に、図2の例では、排水管23は、少なくとも、水回り機器11の排水口に接続されている第1の排水管12と、第1の排水管12の下流側に接続されている、下り排水管134と、下り排水管134の下流側に接続されている第1の折返し部132と、第1の折返し部132の下流側に接続されている、上り排水管135と、上り排水管135の下流側に接続されている、第2の折返し部133と(即ち、第2の折返し部133は、第1の折返し部132と、上り排水管135を介して間接的に接続されている。)、第2の折返し部133の下流側に接続されている、第2の排水管136と、から、構成されている。
図2の例では、排水が溜まり得る貯留部131は、第1の折返し部132を含んで構成されている。より具体的に、貯留部131は、下り排水管134、第1の折返し部132および上り排水管135として、設けられている。
トラップ13は、下り排水管134、第1の折返し部132、上り排水管135および第2の折返し部133によって形成されている。
なお、図示の例では、封水の下流側の配管に通気弁を接続していないが、貯留部131の下流側に通気弁を設けることもできる。
従来の排水構造では、発生したサイホン力がトラップにまで影響してトラップ中で封水切れ(破封)が生じることを防ぐため、封水が存在し得る部分より下流側に通気弁を設けることがある。そして、通気弁によって、サイホン力が生じた際に空気の取入れが可能なり、取り入れた空気により、通気弁付近の配管内(例えば封水よりも下流側の配管内)が常圧に戻されて封水状態を維持している。
これに対して、本発明の実施形態に係る排水構造では、排水構造が、排水が完了した後にトラップ13の貯留部131に水を充填する充填機構30を有するので、例えば水回り機器11の使用者が水の使用を終えて排水がトラップ13に供給されなくなった際に、残存するサイホン力に伴ってトラップ13中の封水切れ(破封)が生じたとしても、その後保持部31によって封水を充填することが可能となる。すなわち、排水構造に通気弁を設けなくても、或いは、排水構造に設けた通気弁が正常に作動しなくなったとしても通気弁に依らずに、トラップ13を封水状態に維持することができる。
なお、図2の例では、上述のように筒状部111が排水構造に対して取り外し可能になっているが、例えば、水回り機器11と筒状部111とを一体としたり、または排水管23を水回り機器11の排水口を貫通させることで排水管23と筒状部111とを一体とすることもできる。
また、図示の例では、図3に示すように、排出路32は、筒状部111の軸方向に並ぶ複数の円形の貫通穴33(図では3個)からなる列を筒状部111の周囲に設けることで形成されている。しかし、排出路32は、図の例の形状や個数、さらに配置形態に限らず、例えば、筒状部111の側面の下方に形成されたスリット(周方向や軸方向に延びる長方形)や筒状部111の一部(例えば側面の下方)または全部に形成した網目など、任意にすることができる。
図2、3に例示する実施形態では、水回り機器11の内側面に筒状部111を設けているが、図6に例示する第4の変形例では、筒状部121を排水管23に設けている。すなわち、図6に例示する第4の変形例では、保持部31は、排水管23の内側面と、排水管23の内側面に設けられた筒状部121とによって形成されている。具体的には、第2の変形例の筒状部121は、図6に示すように、筒状部121の軸方向一端側(図示では排水管23の下流側)から径が小さくなる下方部分と、径が略一定となる上方部分とから形成されている。また、下方部分が排出路32を有し、また、上方部分が、排水管23の内側面とともに保持部31の排水を保持するための容積を主に形成している。このように排水管23が、筒状部121を備えることで、水回り機器11に充填機構を設けずに、トラップ13中の封水を維持することができる。
Claims (6)
- 水回り機器と、当該水回り機器に接続された排水管と、前記水回り機器の下流側の当該排水管中に設けられ、排水が溜まり得る貯留部を備えたトラップと、排水が完了した後に前記トラップの前記貯留部に水を充填する充填機構と、を有し、
前記充填機構は、
排水の一部が流入可能な開口部を有し且つ排水を一時的に保持可能な保持部と、
当該保持部が保持した排水を排出する排出路と、
を備え、
前記水回り機器の内側面に設けられ、当該内側面とともに前記保持部を形成する筒状部を備える、排水構造。 - 前記筒状部は前記水回り機器の底部の排水口上に設けられている、請求項1に記載の排水構造。
- 前記筒状部は取り外し可能に設けられている、請求項1又は2に記載の排水構造。
- 前記排出路は、前記筒状部の側面の下方に形成された貫通穴である、請求項1~3のいずれかに記載の排水構造。
- 前記排出路は、前記筒状部の側面の下方に形成された貫通穴と、当該貫通穴から延びる管状体と、からなる、請求項1~3のいずれかに記載の排水構造。
- 前記保持部が一時的に保持可能な排水の容積は、前記トラップの前記貯留部において封水状態とするための最小限の水の容積より大きい、請求項1~5のいずれかに記載の排水構造。
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