JP7215839B2 - 電解槽用ガスケット及び電解槽 - Google Patents

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Description

本発明は、電解槽用ガスケット及び電解槽に関する。
食塩水等のアルカリ金属塩化物水溶液を用いた電気分解(以下、「電解」という。)では、イオン交換膜法が用いられている。イオン交換膜法は、イオン交換膜を備えた電解槽を用いるものである。電解槽としては、陰極を取り付けた陰極室枠と、陽極を取り付けた陽極室枠とを、イオン交換膜とガスケットを介して密着させ、油圧等を利用して締め付けるフィルタープレス型電解槽が一般的に用いられている。
イオン交換膜法は、食塩等の塩化アルカリを原料にして、高濃度のアルカリ金属水酸化物、塩素ガス、水素ガス等を生産する。そのため、電解槽から電解液やこれらのガスが漏れることは、爆発火災の発生の危険があるだけでなく環境面でも有害である。そこで、上記室枠とイオン交換膜との間にガスケットを介在させ、イオン交換膜とガスケットを締め付けることによって、電解により生成するアルカリ金属水酸化物、塩素ガス、水素ガス等が電解槽の外部に漏れることを防止する。ガスケットとしては、ゴム製シートを成形加工したゴム製のガスケットが多く用いられている。
特許文献1では、長期間にわたり交換を必要としない陽極側ガスケットが開示されており、このような陽極側ガスケットを適用した電解槽は安定した電解を行うことができるとされている。
特開平5-9772号公報
しかしながら、特許文献1に記載のゴム製のガスケットを装着して運転(湿潤条件)を行うと経時的にガスケットの寸法が変化(以下、単に「拡幅」と称する。)し、膜の損傷を誘発し、結果として電解効率を損ねる問題も生ずる。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、拡幅が抑制できる、電解槽用ガスケットを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ガスケットの内部に含まれる、補強芯材の配置を調整することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕
略中央に開口部が形成されたガスケット本体を有する電解槽用ガスケットであって、
前記ガスケット本体が、補強芯材を内部に有し、かつ、表面から外部に向けて延びる複数の突起部が存在する領域を有し、
前記領域に存在する前記補強芯材間の距離Aと、前記領域の距離Bとの関係が、B/Aとして、4~7.2である、電解槽用ガスケット。
〔2〕
前記領域と、当該領域を除く他の領域との面積比が、4:31~2:3である、〔1〕に記載の電解用ガスケット。
〔3〕
前記補強芯材が、ポリエチレンテレフタレートを含む、〔1〕又は〔2〕に記載の電解槽用ガスケット。
〔4〕
前記ガスケット本体の表面の少なくとも一部を覆う被覆材をさらに備え、前記被覆材は、フッ素樹脂を含む、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の電解槽用ガスケット。
〔5〕
イオン交換膜と、
陽極室を構成する陽極室枠と、
陰極室を構成する陰極室枠と、
前記イオン交換膜と前記陽極室枠との間、及び/又は前記イオン交換膜と前記陰極室枠との間に配置された、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の電解槽用ガスケットと、
を備える、電解槽。
〔6〕
〔5〕に記載の電解槽の製造方法であって、
陽極側ガスケットと陰極側ガスケットとの間に前記イオン交換膜を挟む工程を有し、
前記陽極側ガスケット及び陰極側ガスケットの少なくとも一方が、前記電解槽用ガスケットである、電解槽の製造方法。
〔7〕
〔5〕に記載の電解槽の製造方法であって、
前記電解槽用ガスケットを、陽極側ガスケットとして用い、該陽極側ガスケットを前記陽極室枠の周縁部と略同位置に貼る工程と、
陰極側ガスケットを、当該陰極側ガスケットの内周端部が前記陰極室枠の周縁部よりも電解槽内側に位置するように貼る工程と、
を有する、電解槽の製造方法。
〔8〕
〔5〕に記載の電解槽に食塩水を供給するとともに、前記陰極と前記陽極との間に直流電流を流すことによって前記食塩水を電解する工程を有する、アルカリ金属水酸化物、塩素及び/又は水素の製造方法。
〔9〕
陽極側ガスケットと陰極側ガスケットとの間にイオン交換膜を挟む工程を有し、
前記陽極側ガスケット及び陰極側ガスケットの少なくとも一方が、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の電解槽用ガスケットである、イオン交換膜の更新方法。
本発明によれば、拡幅が抑制できる、電解槽用ガスケットを提供することができる。
本実施形態に係る電解槽用ガスケットの第一実施形態の斜視模式図である。 図1のX-X´線に沿う断面における、補強芯材及び被覆材の一般的な位置関係を示す部分断面模式図である。 補強芯材の一般的な配置を示す概念図である。 図1のX-X´線に沿う断面における、補強芯材と突起部との位置関係を説明するための部分断面模式図である。 本実施形態の電解槽用ガスケットを電解槽に装着した時の上部断面模式図である。 実施例及び比較例に係る電解槽用ガスケットの寸法変化量を評価した結果を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、必要に応じて図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。なお、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。そして、本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。さらに、本明細書において、「略」を付した用語は、当業者の技術常識の範囲内でその「略」を除いた用語の意味を示すものであり、「略」を除いた意味自体をも含むものとする。
本実施形態の電解槽用ガスケット(以下、単に「ガスケット」ともいう。)は、略中央に開口部が形成されたガスケット本体を有する電解槽用ガスケットであって、前記ガスケット本体が、補強芯材を内部に有し、かつ、表面から外部に向けて延びる複数の突起部が存在する領域を有し、前記領域に存在する前記補強芯材間の距離Aと、前記領域の距離Bとの関係が、B/Aとして、4~7.2である。このように構成されているため、本実施形態のガスケットは、拡幅が抑制できる。拡幅は特に陽極側で重要な課題であることから、本実施形態のガスケットは、陽極側ガスケットとして用いられることがより好ましい。
ガスケットは、主に、イオン交換膜法に用いられる電解槽においてイオン交換膜と陽極室枠及び/又はイオン交換膜と陰極室枠との間をシールするために用いられ、通常、電解セルの陽極室枠及び/又は陰極室枠の各周縁部の表面に取り付けられる。
<ガスケット本体>
本実施形態において、ガスケット本体の材料は、特に限定されず、種々の材料で構成できるが、シール性が高い弾力性のある材料であることが好ましい。かかる観点から、ガスケット本体の硬度は、JIS K6301Aに準拠したHs(Hardness spring)が60°~90°であることが好ましい。
ガスケット本体の材料の具体例としては、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム(EPMゴム)、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDMゴム)、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、多孔質PTFE(ポリテロラフルオロエチレン)、及びこれらの架橋体等が挙げられる。それらの中でも、耐薬品性や硬度の観点から、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDMゴム)、エチレン・プロピレンゴム(EPMゴム)、又はこれらの架橋体であることが好ましい。架橋方法は、材料の種類に応じて、硫黄加硫、過酸化物架橋等の公知の方法を用いることができ、本実施形態の効果をより高める観点から、好ましくは過酸化物架橋である。
電解槽の周縁部にガスケットを配置し、電解槽内の電解液やガスのリークを防止する。そのため、ガスケット本体には開口部が形成されている。通常、電解槽は上面視で長方形状であるため、ガスケットも長方形状の開口部を有する長方形状になっていることが好ましい。また、ガスケットの大きさは電解槽の大きさに合わせて調整している。
<補強芯材>
本実施形態において、補強芯材としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)やポリエチレンテレフタレート(PET)等、芯材として種々公知のものが使用できるが、サイジング(寸法調整)の点から、ガスケットの内部に配置されている補強芯材は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む補強芯材(以下、「PET芯材」という場合がある。)であることが好ましい。ガスケットの内部に、吸湿性が少ないPET芯材を補強芯材として配置することで、ガスケットの寸法安定性がより良好となる傾向にある。吸湿等によりガスケットが電解槽の枠寸よりも大きく伸びてしまうと、元の大きさに縮ませることが困難となり、装着できなくなるため、吸湿等による伸びを考慮して、ガスケットは小さめに設計されることが多い。そのため、多くの場合、ガスケットを電解槽に装着する前には、電解槽の枠寸に合わせるためのサイジングが必要となる。一方、本実施形態におけるPET芯材を含むガスケットの場合は、そのような作業が不要となる。その結果、ガスケット装着時の作業効率が良くなり、装着時の位置決めが容易になり、陽極室枠及び/又は陰極室枠への正確な装着ができるようになる。
上記のとおり、補強芯材はPETを含むものであれば好ましく、より好ましくはPETを主成分として含む芯材である。ここでいう「主成分」とは、芯材中の含有率が、50質量%以上であることをいい、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上である。PETを含むことにより、吸湿性が少なく、さらに、補強芯材の伸縮度を高くすることができるため、電解槽の室枠への装着が容易となる。
ガスケットは、上記補強芯材だけでなく、他の材料から構成される副芯材をさらに有していてもよい。副芯材の材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂(但し、PETを除く。)、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ベンゾエート系樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ビニリデン系樹脂(ポリ塩化ビニリデン及びフッ化ビニリデン以外のビニリデン化合物)、ガラス、金属(チタン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム等)等が挙げられる。
補強芯材の太さは、直径0.1mm~1mmであることが好ましい。
副芯材の太さは、直径0.1mm~1mmであることが好ましい。
<被覆材>
本実施形態のガスケットは、ガスケット本体の表面の一部を被覆材によって保護してもよい。例えば、略中央に開口部が形成されたガスケット本体と、ガスケット本体の表面の少なくとも一部を覆う被覆材と、を有し、ガスケット本体の内部に補強芯材(さらには副芯材)が配置されているものであってもよい。電解液等に対する耐薬品性等の観点から、ガスケット本体の表面の少なくとも一部が被覆材によって覆われていることが好ましい。
被覆材の材料としては、フッ素樹脂を含むことが好ましい。被覆材の材料として用いられるフッ素樹脂としては、より好ましくは、四フッ化エチレン(PTFE)、四フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、及びフッ化ビニリデン(PVDF)からなる群より選ばれるいずれか1種である。それらの中でも、耐食性の観点から、PTFE、PFAがさらに好ましい。
被覆材の厚さは、特に限定されないが、優れたシール性を維持しながら、かつ次亜塩素酸イオン等による耐食性を得る観点から、300μm以下であることが好ましい。
以下、図面を用いて、本実施形態の電解槽用ガスケットの構造について説明する。
図1及び図2に示すガスケット1は、その略中央に、開口部10が形成されており、ガスケット本体12の内部に、補強芯材18が配置されている。また、ガスケット1のガスケット本体12の表面の一部が、被覆材14により覆われている。なお、補強芯材18と副芯材を、「芯材」と総称する場合がある。
また、芯材を織り込んでガスケット1の内部に配置することで、ガスケット1の優れたシール性を維持しつつ、ガスケット内周側から外周側へ向けてのクリープをより抑制できるため好ましい。例えば、電解槽を組み立てる際に、イオン交換膜を陰極側ガスケットと陽極側ガスケットで挟持した状態でプレスすることが行われるが、このような場合においてガスケット1がクリープすることがある。ここで、クリープとは、ガスケット1に面圧が加わった際、ガスケット1が伸びることである。通常、ガスケット1の内周側から外周側へ向けてはガスケット幅が短いため、特に、ガスケット1はこの方向にクリープしやすい傾向にある。ガスケット1のクリープが大きいと、ガスケット1の広がりに追従してイオン交換膜も引き延ばされ、イオン交換膜が破断する恐れがある。
クリープによるイオン交換膜の破断をより効果的に防止する観点から、補強芯材18は、ガスケット本体12の内部において、イオン交換膜と接する表面領域の近傍に配置されていることが好ましい。例えば、図2において、補強芯材18は、設置した際にイオン交換膜と接する側、つまり、被覆材14がある側へ(図2の上側へ)中央から寄って形成されていることが好ましい。イオン交換膜を挟んで電解セル同士をプレスする際に、ガスケットが引っ張られ、これに追随してイオン交換膜も引き伸ばされてしまい、場合によってはイオン交換膜が破損することがある。これを防止するために、イオン交換膜と接する側に補強芯材を配置することが好ましい。
また、上面視した状態において、補強芯材18同士は、交互に配置されていることが好ましい。具体的には、補強芯材18が平織りされていることが好ましい。
具体的には、芯材の間隔としては10~100メッシュであることが好ましい。ここで、メッシュ数は、1インチ当たりの芯材間の目の数を意味する。10メッシュ以上とする場合、ゴムどうしの結合が過度に小さくなることに起因する芯材を介してのガスケットの剥離が防止される傾向にあり、100メッシュ以下とする場合、ガスケットのクリープが過度に大きくなることに起因するイオン交換膜の損傷が防止される傾向にある。
補強芯材18の配置の好適な一例を、図3を用いて説明する。
図3における領域X(ガスケット本体の上部における長辺)を例に説明すると、補強芯材16の伸長方向(幅方向)D1、及び補強芯材18の伸長方向(長手方向)D2の双方にガスケットが伸縮することを防止する観点から、補強芯材の配置を調整する。この例において、上述した芯材間距離Aは、補強芯材16とこれに隣接して平行に伸びる補強芯材との芯材間距離ではなく、補強芯材18とこれに隣接して平行に伸びる補強芯材との芯材間距離で表される。
また、上記同様の観点から、複数の補強芯材が、ガスケット本体の外周側から開口部側に向かって配置されており、かつ各々がD2と略平行に伸びていることが好ましい。また、D2と略平行に伸びる補強芯材の他、D1と略平行に伸びる複数の補強芯材が、ガスケット本体の外周に沿って配置されていることが好ましい。なお、図示していないが、補強芯材16と補強芯材18とは平織りになっていることが、強度等の観点から好ましい。
なお、ガスケット本体12において、その内周端部Sから所定長Lだけ離れた内部領域には、芯材が配置されていない(図2参照)。電解を行う際、内周端部Sは電解液と接触するため、この領域はや電解液によって腐食されやすい部位である(図5参照)。そのため、芯材がガスケット1の内部に配置されていない領域を設けることで、電解を行う際に、発生する塩素及び/又は苛性ソーダ等によりガスケット1が腐蝕しても、その内部に配置されている芯材は表面に露出しないため、ガスケット1の耐久性を一層向上させることができる。また、ガスケット1の芯材が表面に露出しないため、イオン交換膜を破損することもない。
所定長Lは、陽極ガスケットではガスケット1の内周端部Sから0mm以上であることが好ましい。陰極ガスケットでは1.5mm以上であることが好ましく、2.0mm以上であることがより好ましく、3mm以上であることがさらに好ましい。特に陰極ガスケットでは所定長Lの下限を上記数値とすることで、電解中の腐食により芯材がガスケット1の表面に突き出してイオン交換膜が破損することを一層効果的に防止できる。
また、所定長Lは、ガスケット1の内周端部Sから6mm以下であることが好ましく、5.5mm以下であることがより好ましく、5mm以下であることがさらに好ましい。所定長Lの上限を上記数値とすることで、強度、耐久性、及びクリープ耐性のバランスを一層向上させることができる。
[形状]
本実施形態のガスケット1の形状は、特に限定されず、中央に開口部が形成された、長方形状等の矩形状であることが好ましい。矩形の寸法(縦及び横)は電解槽の大きさ等に依存するが、通常、電解面積である1200×2400mm程度の大きさであり、シールする幅は30~35mm程度である。
ガスケット1の厚みは、特に限定されないが、1.5~5.5mmであることが好ましく、より好ましくは2.2~5.0mmであり、更に好ましくは2.4~4.7mmである。通常、電解時にはガスケット1に20kg/cm2程度の面圧がかかるが、ガスケット1の厚さを上記数値範囲とすることにより、上記面圧がかかったときに、1.5mm以上の厚さとなるように調整できる。使用時の厚さが1.5mm程度となることで、電解槽内の液やガスのリークを効果的に防止できる。ガスケット厚みが前記範囲であることにより、プレス時にゴムが変形して、液やガスのリークをより防止することができる。
次いで、本実施形態における複数の突起部と補強芯材との関係について図4に基づいて説明する。図1~3,5において省略しているが、図4に例示するように、本実施形態におけるガスケット本体は複数の突起部20を有するものである。突起部は、補強芯材を除くガスケット本体の構成材料で構成されていることが好ましい。このような突起部の高さとしては、特に限定されないが、1.0~3.0mmとすることができ、1つの突起部の幅は1.0~2.5mmとすることができ、突起部の数は、2~6とすることができる。これらの突起部の頂部は、イオン交換膜に接するものであり、イオン交換膜内部に通常形成されている連通口を外部からの押圧で遮断する機能を有する。したがって、ガスケット本体における複数の突起部を有する領域22はイオン交換膜の連通口に対応する位置に存在することが好ましい。
また、本実施形態におけるガスケット本体は、図示しない小突起部を有していてもよい。小突起部は、突起部の1/3~2/3程度の高さを有するものであり、特に限定されないが、小突起部の高さは、0.35~2.0mm程度とすることができ、1つの小突起部の幅は1.0~2.5mm程度とすることができる。ガスケット本体の表面における、突起部20が存在する領域と、当該領域を除く他の領域(小突起部がある場合はこちらに含む)の面積比が4:31~2:3であることがより好ましい。
さらに、本実施形態におけるガスケット本体の内周側から外周側に向けて被覆部、突起部20を有する領域22、それ以外の領域がこの順に並んでおり、ガスケット本体の幅が35mm程度であるのに対して、被覆部の幅が5~18mmであり、領域22の幅が8mm程度であり、それ以外の領域の幅が9~22(mm)であることが好ましい。
本実施形態において、領域22に複数の補強芯材18が存在しており、領域22の距離Bと、補強芯材18間の距離Aとの関係が、B/Aとして、4~7.2とされている。なお、距離Aは、隣接する補強芯材間(補強芯材一つ分)の距離であり、図4に例示するように、一の補強芯材の一端から当該補強芯材に隣接する補強芯材の一端までの距離を測定することとして、全ての隣接する補強芯材間距離を測定し、平均値として与えられるものである。また、距離Bは、複数の突起部が存在する領域の一端から他端までの距離であり、ガスケット本体12の幅方向(図3の例ではD1方向)における、領域22の一端から他端までの最大距離を領域毎に測定し、平均値として与えられるものである(図4参照)。このような範囲にあることで、本実施形態のガスケットは、拡幅が抑制できる。同様の観点から、B/Aは、4.5~7.0であることが好ましく、より好ましくは5.3~6.7である。Aの値としては、拡幅抑制の観点から、1.1超1.5mm以下であることが好ましい。
本実施形態におけるガスケット本体には、領域22が1か所又は2か所以上形成されている。領域22が複数か所存在する場合、少なくとも1か所において上記B/Aの関係が満たされて入ればよいが、拡幅をより抑制する観点から、50%以上が上記B/Aの関係を満たすことが好ましく、より好ましくは80%以上であり、特に好ましくは100%である。
また、領域22における補強芯材18の数は、4~8であることが好ましく、より好ましくは5~7であり、補強芯材18の直径は、0.1mm~1mmであることが好ましい。
本実施形態のより好ましい実施形態は、陽極側ガスケットとして使用することである。以下その場合について記載する。電解の際に、陽極側ガスケット1が電解槽の外へ滑り出てしまうと、陽極側ガスケット1と電解槽の陰極室枠との間に隙間が生じ、電解液やガスがそこから電解槽の外部へ漏洩する。従来、陽極側ガスケット1のシール性を向上させる目的で、部分的に面圧を高くしたり、陽極側ガスケット1の陽極側の表面全体に突起形状を設けたりすること等が行われている。また、陽極側の塩素と陰極側の苛性ソーダがイオン交換膜内に浸透すると、これらが反応し、イオン交換膜内で塩が析出する。このような塩の析出はイオン交換膜の損傷の原因となり得る。これを防止する目的で、本実施形態においては、B/Aを上述した範囲に調整する。すなわち、B/Aが4~7.2とされていることにより、寸法安定性に優れ、とりわけ幅方向(図3におけるD1に示されるような、ガスケット本体の1辺の幅方向)の拡幅も抑制できる。すなわち、ガスケット本体の内周側への拡幅に起因する塩素ガス滞留が抑制されるため、イオン交換膜の損傷を効果的に防止することができる。
上記と同様の観点から、陽極側においては、電解液の循環を良くするとともに塩素ガスの滞留が起きないようにするため、ガスケットを挟む電解槽の周縁部(シール部)と同じ位置に陽極ガスケットを貼ることが好ましく、陰極側においては、苛性ソーダの浸透を防ぐため、陰極側ガスケットの内周端部Sを電解槽枠のシール部から電解槽の中へ約5mm入れて貼ることが好ましい(図5参照)。
[被覆材]
被覆材14は、ガスケット本体12の内周端部Sから5~18mmの範囲にある全表面を覆うことが好ましい(図1及び図2参照)。通常、ガスケット1において、腐食の起点となり得る可能性があるのは、内周端部Sから5~18mmの範囲である(図2の符号L′参照)。部分的な腐食が起こり得るイオン交換膜側のガスケット表面を被覆材14で覆うことにより、電解の際の腐食を一層効果的に防止できる。
[製造方法]
以下、本実施形態のガスケットの製造方法の一例を説明する。
本実施形態のガスケットの製造方法としては、
1)生ゴムを得る工程
2)補強芯材(及び副芯材)を編みこんだ芯材を得る工程
3)生ゴムを薄ゴム板に成形する工程
4)2枚の薄ゴム板の間に芯材を挟んで一体化して生ゴムシートを得る工程
5)生ゴムシートを金型でガスケットを得る工程
からなる。
被覆材をガスケット表面に形成させるには、4)工程の後に、接着剤で被覆材を張り付ける方法、又は、5)工程において、生ゴムシートの上に被覆材を積層して、金型で一体化する方法などが挙げられる。
一例として、ガスケット本体12の材料としてEPDMを用いる場合について説明する。
1)工程
EPDMに、カーボンブラック、加硫剤、酸化防止剤、可塑剤および補強剤等の添加物を混合して、生ゴムを得る。混合方法としては、従来公知の方法を用いることができる。
2)工程
補強芯材18を編み込んだ芯材を準備する。芯材をガスケット本体12の内部に配置する前に、補強芯材18を脱脂して、これらを接着しておくことが好ましい。あるいは、脱脂後に熱処理を行っても構わない。接着に用いる接着剤としては、補強芯材18の材料に応じて、適宜好適な接着剤を使用することができる。これらの接着剤としては、市販品を使用することもできる。市販品としては、例えば、ロードファーイースト社製の「ケムロック」(商品名)、「シクソン」(商品名)、「メーガム」(商品名)等が挙げられる。
3)工程
生ゴムを回転ロールでカレンダリングして薄ゴム板とする。
4)工程
補強芯材18を編み込んだ芯材を、ガスケット本体12の内部に配置する。上記した補強芯材18を編み込んだ芯材を、2枚の薄ゴム板で挟みこんで回転ロールに通し、一体化する方法が挙げられる。これにより、補強芯材18を内部に配置した短冊状の生ゴム板を得ることができる。
次に、生ゴム板の表面に、被覆材14であるフッ素樹脂シートを被せる。なお、生ゴム板に対するフッ素樹脂シートの接着性を向上させる目的で、フッ素樹脂シートに表面処理を施すことが好ましい。表面処理の方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。表面処理の方法としては、例えば、金属ナトリウムのアンモニア溶液(液体アンモニア-金属ナトリウム;1質量%)や金属ナトリウムをナフタリンのテトラヒドロフラン溶液に加えたもの(ナフタリン+テトラヒドロフラン-金属ナトリウム溶液)に、フッ素樹脂シートを数秒間浸たす化学的エッチング方法;放電等によってイオンを発生させ、これをフッ素樹脂シート表面に当ててエッチングするスパッタエッチング処理;プラズマ処理等が挙げられる。
5)工程
最後に、被覆材14で覆われた短冊状の生ゴムを、ガスケット金型の4辺に配置して、熱プレスで加硫し、ガスケットを製造する。
なお、所定長L(図2、図5参照)の長さを調整する方法としては、特に限定されないが、例えば、4)工程で、芯材を薄ゴム板で挟む際に、薄ゴム板中における芯材の位置を制御する方法や、5)工程で、ガスケットの開口部に相当する部位(ガスケットの内周側)の金型に、上記生ゴムを置いて、熱プレスで加硫する方法が挙げられる。
また、ガスケット金型において、任意の形状を設けることにより、その形状がガスケット本体に転写される。すなわち、ガスケット金型の形状を調整することで、上述した突起部20及び小突起部の形状、サイズ及び配置等を調整することができる。
[電解槽]
本実施形態のガスケットは、イオン交換膜法に用いる電解槽に用いることができ、陽極室側のガスケットとして適用することも、陰極側のガスケットとして適用することもできる。本実施形態の電解槽は、イオン交換膜と、陽極室を構成する陽極室枠と、陰極室を構成する陰極室枠と、前記イオン交換膜と前記陽極室枠との間、及び/又は前記イオン交換膜と前記陰極室枠との間に配置された、本実施形態の電解槽用ガスケットと、備える。さらに、本実施形態の電解槽用ガスケットが、イオン交換膜と陽極室枠との間に配置されることがより好ましい。以下、この場合について記載する。本実施形態の電解槽は、図5に示すように、陽極室枠3及び陰極室枠4の間にイオン交換膜2が配置され、イオン交換膜2と陽極室枠3との間にはガスケット1が配置され、イオン交換膜2と陰極室枠4との間には陰極側ガスケット5が配置されている。すなわち、本実施形態の電解槽において、ガスケット1は、陽極室枠3側からの圧力Aが加わっていると共に、イオン交換膜2側からの圧力Bが加わっており、電解槽内部からの電解液の流出(C方向)を防止する。なお、陰極側ガスケット5としては、本実施形態のガスケットを適用してもよく、その他の種々公知のガスケットを適用してもよい。
本実施形態の電解槽において、電解槽用ガスケット1を陽極側ガスケットとして用いる場合、陰極側ガスケットは種々公知のものを適用することができる。
ガスケット本体のゴム等の腐食を防止するため、PTFEシートで接液部を包み込んだ形状(コーティング等)とすることが好ましい。さらに、ガスケットを貼りつける電解槽のTiとPTFEシートが直接接すると、隙間腐食が起こるため、ガスケットの電解槽側にはゴムを配置し、ガスケットを貼りつける電解槽のTiで隙間腐食が起きないようにするのが好ましい。
また、電解槽の通電面上部に気液分離室がある場合、上部のシール面幅が、下部や側部のシール面幅よりも広くなるため、ガスケットの上部にかかる面圧が小さくなる傾向にある。これにより、電解液の漏洩が起こる場合があり得る。この観点から、電解槽の上部に位置する陽極ガスケットの幅を短くし、シート面幅を一定にすることで、4辺の面圧を一定にすることが好ましい。
イオン交換膜としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、塩化アルカリ等の電気分解により塩素とアルカリを製造する場合、耐熱性及び耐薬品性等に優れるという観点から、含フッ素系イオン交換膜が好ましい。含フッ素系イオン交換膜としては、電解時に発生する陽イオンを選択的に透過する機能を有し、かつイオン交換基を有する含フッ素系重合体を含むもの等が挙げられる。ここでいうイオン交換基を有する含フッ素系重合体とは、イオン交換基、又は、加水分解によりイオン交換基となり得るイオン交換基前駆体、を有する含フッ素系重合体をいう。例えば、フッ素化炭化水素の主鎖からなり、加水分解等によりイオン交換基に変換可能な官能基をペンダント側鎖として有し、かつ溶融加工が可能な重合体等が挙げられる。
陽極室枠及び陰極室枠としては、特に限定されず、公知のものを用いることが出来る。
通常、陽極室枠及び陰極室枠は長方形状であり、ガスケットと当接する周縁部には、ガスケットを貼るシール面が存在しているもの等を使用することができる。
本実施形態の電解槽の製造方法は、陽極側ガスケットと陰極側ガスケットとの間に前記イオン交換膜を挟む工程を有し、前記陽極側ガスケット及び陰極側ガスケットの少なくとも一方が、本実施形態の電解槽用ガスケットである。ここで、前記陽極側ガスケット及び陰極側ガスケットの一方のみが本実施形態の電解槽用ガスケットである場合、他方のガスケットとしては、種々公知のガスケットを適用することができる。さらに、上記に記載された構成要素(陰極室、陽極室)を組み込む工程を有するものとすることができる。またさらに、電解槽の形態に応じてその他の部材が備えられる工程を有してもよい。各構成要素の組み立てについては、従来と同様の方法で実施すればよい。すなわち、イオン交換膜を挟んで陽極室と陰極室とを構成し、陽極室には陽極を、陰極室には陰極を、それぞれ配置させるようにして構成要素を組み立てて、電解槽を製造すればよい。本実施形態においては、前記電解槽用ガスケットを、陽極側ガスケットとして用い、該陽極側ガスケットを前記陽極室枠の周縁部と略同位置に貼る工程と、陰極側ガスケットを、当該陰極側ガスケットの内周端部が前記陰極室枠の周縁部よりも電解槽内側に位置するように貼る工程と、を有することが特に好ましい。
また、本実施形態に係る電解槽の製造方法は、電解槽のイオン交換膜を更新する場合にも同様に適用することができる。つまり、本実施形態のイオン交換膜の更新方法は、陽極側ガスケットと陰極側ガスケットとの間に前記イオン交換膜を挟む工程を有し、前記陽極側ガスケット及び陰極側ガスケットの少なくとも一方が、本実施形態の電解槽用ガスケットである。ここで、前記陽極側ガスケット及び陰極側ガスケットの一方のみが本実施形態の電解槽用ガスケットである場合、他方のガスケットとしては、種々公知のガスケットを適用することができる。
上記電解槽により、アルカリ金属水酸化物、塩素及び/又は水素を製造することができ、当該製造方法は、電解槽に食塩水を供給するとともに、前記陰極と前記陽極との間に直流電流を流すことによって前記食塩水を電解する工程を有する。
以下の実施例により本実施形態を更に詳しく説明するが、本実施形態は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
[実施例1]
加硫剤(粉末硫黄:鶴見化学工業社製、商品名「SULFAX PMC」)1PHR(ゴム成分100質量部に対して1質量部)を含むエチレン-プロピレンゴム(EPDM;JSR社製、商品名「JSR EP33」)からなるゴム生地をカレンダーロール機に供給し、圧延して幅30mm、厚さ0.9mmの平滑なシート状ゴム生地を複数本製造した。
このシート状ゴム生地2枚の間に補強芯材を挟み、補強芯材を配置したシート状のゴム板を得た。補強芯材としてはPET芯材(PETモノフィラメント:0.32mmφ、30メッシュ)を用いた。接着材としてケムロック(ロードファーイースト社製)を使用した。
さらに、フッ素樹脂として、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)製シート(日本バルカー社製、商品名「バルフロン」)を含む被覆材に、金属ナトリウムをナフタレンのテトラヒドロフラン溶液に加えて得られる錯化合物溶液を浸して表面処理を行った。次に、接着剤としてオルガノシロキサンを使用し、周辺端部Sからの幅26mmで、厚み0.1mmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製シートで、シート状のゴム板に被覆材を貼りつけた。
このシート状ゴム板を金型の4辺に配置させ、型締め状態とした。さらに、加硫温度155℃、加硫時間15分、プレス圧力6.86MPa(70kgf/cm2)で成型を行い、長辺外寸法約2400mm、短辺外寸法約1200mm、厚み約2.6mmの長方形の額縁状の構造であるガスケットと、1辺が約170mm、厚み約2.6mmの正方形の額縁状の構造であるガスケットを得た。このガスケットにおいて、金型の形状に対応する複数の突起部及び小突起部が形成されていることを確認した。
補強芯材間の距離Aと突起部領域の距離Bは、ガスケットを幅方向に切断して得られる断面を光学顕微鏡で観察することにより、測定した。
[実施例2]
実施例1において実施したゴム生地を、過酸化物架橋のための架橋剤としてパーオキサイド架橋剤(ジクミルペルオキシド:日油社製、商品名「パークミルD40」)を含むエチレン-プロピレンゴム(EPDM;住友化学社製、商品名「エスプレン505」))に変更したことを除き、実施例1と同様にガスケットを得た。
[比較例1]
実施例1の補強芯材をポリフッ化ビニリデン(PVDF芯材(クレハ合繊社製、KF糸: タテ0.235mmφ、21メッシュ / ヨコ0.285mmφ、37メッシュ)に変更したことを除き、実施例1と同様にガスケットを得た。
[拡幅量測定]
長辺外寸法約2400mm、短辺外寸法約1200mm、厚み約2.6mmの長方形の額縁状の構造であるガスケットまたは1辺が約170mm、厚み約2.6mmの正方形の額縁状の構造であるガスケットの直線部を130mmに切断し、ガスケットの幅(W1)を測定した。このガスケットにおける複数の突起部が存在する領域とは異なるフランジ装着面をSUS製ブロック(幅21mm)に接着剤(コニシボンド社製、商品名「G―11Z」)を用いて装着して、複数の突起部が存在する領域を有するシール面側にSUS製ブロック(幅21mm)を押し当て面圧10kgf/cm2でプレスし、90℃の温水中に1時間浸した。その後に40kgf/cm2に面圧を増加させて、7日間放置した。7日後に温水から取出し、室温まで冷却した後に、ガスケットの幅(W2)を測定した。
上記の測定は、各実施例及び比較例につき2つのサンプルを用意して行うこととし、ガスケットの幅(W1)とガスケットの幅(W2)の差をW1で除して得られる変化率(100×(W2-W1)/W1)の平均値を拡幅量とした。結果を表1に示す。
[寸法変化量測定]
長辺外寸法約2400mm、短辺外寸法約1200mm、厚み約2.6mmの長方形の額縁状の構造であるガスケットの成形後1日目の寸法(D1)を測定し、気温20~25℃、湿度70%RH以下で維持し、50日以上経過した後に再び寸法(D2)を測定した。測定中のガスケットは蛇行などを抑制する観点から1.4kgfのテンションを掛けた。寸法(D1)と寸法(D2)の差を寸法変化量とした。結果を表2と図6に示す。
<電解>
通電面積270dm2の電解槽(旭化成社製、型式「32NCZ」)の陽極側に、実施例2で得られた長辺外寸法約2400mm、短辺外寸法約1200mm、厚み約2.6mmの長方形の額縁状の構造のガスケットを装着した。サイジング作業を行わずに装着可能であったため、PTFE製シートに皺が発生することなく装着することができた。
さらに、イオン交換膜(旭化成社製、商品名「ACIPLEX(TM)F-6801」)とともに2MPaの圧力で締め付けて電解槽を構成し、塩化ナトリウム水溶液の電解を行った。この電解槽を用いて、6kA/m2、電解温度88℃、陰極苛性ソーダ濃度32質量%、陽極食塩濃度195~210g/L、陽極電槽内圧力40kPa、陰極電槽内圧力44kPaの条件で65日間電解を行った。電解を行った後、イオン交換膜の表面状態を目視にて観察したところ、通電面上部のガスケットとの接触部分には損傷は全く確認されなかった。また、通電面全体にもイオン交換膜の損傷は見られなかった。以上から、本実施形態のガスケットは、工業スケールの電解槽に適用しても問題なく運転できることが示された。
Figure 0007215839000001
Figure 0007215839000002
本発明の電解槽用ガスケットは、塩素とアルカリ金属水酸化物を生産するためのイオン交換膜法アルカリ電解の分野をはじめとする幅広い分野で好適に利用できる。
1 (電解槽用)ガスケット(図5においては、陽極側ガスケット)
10 開口部
12 ガスケット本体
14 被覆材
16 補強芯材
18 補強芯材
20 突起部
22 突起部領域
2 イオン交換膜
3 陽極室枠
4 陰極室枠
5 (電解槽用)陰極ガスケット

Claims (9)

  1. 略中央に開口部が形成されたガスケット本体を有する電解槽用ガスケットであって、
    前記ガスケット本体が、補強芯材を内部に有し、かつ、表面から外部に向けて延びる複数の突起部が存在する領域を有し、
    前記領域に存在する前記補強芯材間の距離Aと、前記領域の一端から他端までの距離Bとの関係が、B/Aとして、4~7.2である、電解槽用ガスケット。
  2. 前記領域と、当該領域を除く他の領域との面積比が、4:31~2:3である、請求項1に記載の電解槽用ガスケット。
  3. 前記補強芯材が、ポリエチレンテレフタレートを含む、請求項1又は2に記載の電解槽用ガスケット。
  4. 前記ガスケット本体の表面の少なくとも一部を覆う被覆材をさらに備え、前記被覆材は、フッ素樹脂を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の電解槽用ガスケット。
  5. イオン交換膜と、
    陽極室を構成する陽極室枠と、
    陰極室を構成する陰極室枠と、
    前記イオン交換膜と前記陽極室枠との間、及び/又は前記イオン交換膜と前記陰極室枠との間に配置された、請求項1~4のいずれか一項に記載の電解槽用ガスケットと、
    を備える、電解槽。
  6. 請求項5に記載の電解槽の製造方法であって、
    陽極側ガスケットと陰極側ガスケットとの間に前記イオン交換膜を挟む工程を有し、
    前記陽極側ガスケット及び陰極側ガスケットの少なくとも一方が、前記電解槽用ガスケットである、電解槽の製造方法。
  7. 請求項5に記載の電解槽の製造方法であって、
    前記電解槽用ガスケットを、陽極側ガスケットとして用い、該陽極側ガスケットを前記陽極室枠の周縁部と略同位置に貼る工程と、
    陰極側ガスケットを、当該陰極側ガスケットの内周端部が前記陰極室枠の周縁部よりも電解槽内側に位置するように貼る工程と、
    を有する、電解槽の製造方法。
  8. 請求項5に記載の電解槽に食塩水を供給するとともに、前記陰極と前記陽極との間に直流電流を流すことによって前記食塩水を電解する工程を有する、アルカリ金属水酸化物、塩素及び/又は水素の製造方法。
  9. 陽極側ガスケットと陰極側ガスケットとの間にイオン交換膜を挟む工程を有し、
    前記陽極側ガスケット及び陰極側ガスケットの少なくとも一方が、請求項1~4のいずれか一項に記載の電解槽用ガスケットである、イオン交換膜の更新方法。
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