JP5840549B2 - 電解槽用陰極側ガスケット及び電解槽 - Google Patents

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Description

本発明は、電解槽用陰極側ガスケット及び電解槽に関する。
食塩水等のアルカリ金属塩化物水溶液を用いた電気分解(以下、「電解」という。)では、イオン交換膜法が用いられている。イオン交換膜法は、イオン交換膜を備えた電解槽を用いるものである。電解槽としては、陰極を取り付けた陰極室枠と、陽極を取り付けた陽極室枠とを、イオン交換膜とガスケットを介して密着させ、油圧等を利用して締め付けるフィルタープレス型電解槽が一般的に用いられている。
イオン交換膜法は、食塩等の塩化アルカリを原料にして、高濃度のアルカリ金属水酸化物、塩素ガス、水素ガス等を生産する。そのため、電解槽から電解液やこれらのガスが漏れることは、爆発火災の発生の危険があるだけでなく環境面でも有害である。そこで、上記室枠とイオン交換膜との間にガスケットを介在させ、イオン交換膜とガスケットを締め付けることによって、電解により生成するアルカリ金属水酸化物、塩素ガス、水素ガス等が電解槽の外部に漏れることを防止する。ガスケットとしては、ゴム製シートを成形加工したゴム製のガスケットが多く用いられている。
特許文献1では、イオン交換膜の破断を防止するために補強芯材(補強布)で裏打ちしたゴム製ガスケットが開示されている。特許文献2では、陰極側ガスケットからの局所的溶出を防止するため、フッ素系樹脂シートで被覆した陰極側ガスケットが開示されている。
特開昭55−164088号公報 特開2011−006767号公報
しかし、上記のようなゴム製のガスケットは、吸湿により伸びる性質があるため、電解槽の枠寸よりも大きく伸びてしまうと、もとの大きさに縮ませることが困難となり、装着できなくなる。そこで、吸湿による伸びを考慮して、ガスケットは小さめに設計されている。そのため、ガスケットを電解槽に装着する前には、電解槽の枠寸に合わせるためのサイジングが必要となる。しかし、このようなサイジングを行うことについては、ガスケット装着時の作業効率が悪くなること、サイジングによりガスケットの寸法が安定しないため装着時の位置決め等が難しく、室枠への正確な装着が難しくなること等の問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、吸湿あるいは乾燥した場合であっても、寸法安定性に優れる、電解槽用陰極側ガスケットを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ガスケットの内部に、ポリエチレンテレフタレートを含む補強芯材を配置した電解槽用陰極側ガスケットとすることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕
略中央に開口部が形成された電解槽用陰極側ガスケットであって、
前記電解槽用陰極側ガスケットの内部に、ポリエチレンテレフタレートを含む補強芯材を有する、電解槽用陰極側ガスケット。
〔2〕
前記電解槽用陰極側ガスケットは、略中央に開口部が形成されたガスケット本体と、前記ガスケット本体の表面の少なくとも一部を覆う被覆材と、を有し、
前記被覆材は、前記ガスケット本体の前記開口部側にはみ出た飛出部を有する、〔1〕に記載の電解槽用陰極側ガスケット。
〔3〕
前記被覆材は、フッ素樹脂を含む、〔2〕に記載の電解槽用陰極側ガスケット。
〔4〕
上面視、前記開口部は、長方形状であり、かつ、
前記飛出部は、前記開口部の少なくとも1つの長辺からはみ出ている、〔2〕又は〔3〕に記載の電解槽用陰極側ガスケット。
〔5〕
上面視、前記飛出部のはみ出し幅が、5〜50mmである、〔2〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の電解槽用陰極側ガスケット。
〔6〕
前記電解槽用陰極側ガスケットは、その内部に、ステンレス鋼(SUS)を含む副芯材をさらに有する、〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の電解槽用陰極側ガスケット。
〔7〕
イオン交換膜と、
陽極室を構成する陽極室枠と、
陰極室を構成する陰極室枠と、
前記イオン交換膜と陽極室枠との間に配置された、電解槽用陽極側ガスケットと、
前記イオン交換膜と陰極室枠との間に配置された、〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の電解槽用陰極側ガスケットと、
を備える、電解槽。
〔8〕
イオン交換膜と、
陽極室を構成する陽極室枠と、
陰極室を構成する陰極室枠と、
前記イオン交換膜と陽極室枠との間に配置された、電解槽用陽極側ガスケットと、
前記イオン交換膜と陰極室枠との間に配置され、かつ、前記飛出部が電解槽の上方に位置するように配置された、〔2〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の電解槽用陰極側ガスケットと、
を備える、電解槽。
本発明によれば、枠寸に近い寸法で製造可能であり、吸湿あるいは乾燥した場合であっても、寸法安定性に優れる、電解槽用陰極側ガスケットを提供することができる。
本実施形態に係る電解槽用陰極側ガスケットの第一実施形態の斜視図を示す。 図1のX−X´線に沿う断面図を示す。 本実施形態のガスケットの芯材の配置を説明するための概念図を示す。 第一実施形態の電解槽用陰極側ガスケットを電解槽に装着した時の上部断面図を示す。 本実施形態に係る電解槽用陰極側ガスケットの第二実施形態の斜視図を示す。 図5のX−X´線に沿う断面図を示す。 第二実施形態の電解槽用陰極側ガスケットを電解槽に装着した時の上部断面図を示す。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、必要に応じて図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。なお、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。そして、本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。さらに、本明細書において、「略」を付した用語は、当業者の技術常識の範囲内でその「略」を除いた用語の意味を示すものであり、「略」を除いた意味自体をも含むものとする。
本実施形態に係る電解槽用陰極側ガスケット(以下、単に「陰極側ガスケット」という。)は、略中央に開口部が形成された陰極側ガスケットであって、陰極側ガスケットの内部に、ポリエチレンテレフタレートを含む補強芯材を有する、陰極側ガスケットである。本実施形態の陰極側ガスケットは、吸湿あるいは乾燥した場合であっても、寸法安定性に優れる。そのため、本実施形態の陽極側ガスケットは吸湿による膨潤が少ないため、製造時においては、取り付ける枠寸(取り付け寸法)に近い寸法で製造可能である。そして、使用時においては、サイジング作業を省略することができ、かつ装着時の位置決めが容易となる。このように、本実施形態の陰極側ガスケットは、その製造や実用の観点からも優れた利点を有する。
陰極側ガスケットは、主に、イオン交換膜法に用いられる電解槽においてイオン交換膜と陰極室枠との間をシールするために用いられ、通常、電解セルの陰極室枠の表面に取り付けられる。
<ガスケット本体>
本実施形態において、ガスケット本体の材料は、特に限定されず、種々の材料で構成できるが、シール性が高い弾力性のある材料であることが好ましい。かかる観点から、ガスケット本体の硬度は、JIS K6301Aに準拠したHs(Hardness spring)が60°〜90°であることが好ましい。
ガスケット本体の材料の具体例としては、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム(EPMゴム)、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDMゴム)、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、多孔質PTFE(ポリテロラフルオロエチレン)等が挙げられる。それらの中でも、耐薬品性や硬度の観点から、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDMゴム)、エチレン・プロピレンゴム(EPMゴム)、及びこれらの架橋体からなる1種であることが好ましい。架橋方法は、材料の種類に応じて、硫黄加硫、過酸化物架橋等の公知の方法を用いることができる。
電解槽の周縁部にガスケットを配置し、電解槽内の電解液やガスのリークを防止する。そのため、ガスケット本体には開口部が形成されている。通常、電解槽は上面視で長方形状であるため、ガスケットも長方形状の開口部を有する長方形状になっていることが好ましい。また、ガスケットの大きさは電解槽の大きさに合わせて調整している。
<補強芯材>
陰極側ガスケットの内部に配置されている補強芯材は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む補強芯材(以下、「PET芯材」という場合がある。)である。陰極側ガスケットの内部に、吸湿性が少ないPET芯材を補強芯材として配置することで、寸法安定性に優れた陰極側ガスケットとすることができる。その結果、例えば、電解槽の室枠に装着する際の位置決めが容易になる。
補強芯材はPETを含むものであればよく、好ましくはPETを主成分として含む芯材である。ここでいう「主成分」とは、芯材中の含有率が、50質量%以上であることをいい、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上である。PETを含むことにより、吸湿性が少なく、さらに、補強芯材の伸縮度を高くすることができるため、電解槽の室枠への装着が容易となる。
陰極側ガスケットは、上記補強芯材だけでなく、他の材料から構成される副芯材をさらに有していてもよい。副芯材の材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂(但し、PETを除く。)、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ビニリデン系樹脂、ベンゾエート系樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ガラス、金属(鉄、ニッケル、SUS(Steel Use Stainless))等が挙げられる。それらの中でも、引っ張り強度の観点から、SUSが好ましい。さらに、アルカリ耐性の観点から、SUS304がより好ましい。 副芯材は、ガスケット内周側から外周側に沿って配置され、補強芯材のPETと副芯材を平織りにして配置することが好ましい。
補強芯材の太さは、直径0.1mm〜1mmであることが好ましい。
副芯材の太さは、直径0.1mm〜1mmであることが好ましい。
副芯材の伸縮度は、上記PET芯材の伸縮度と異なることが好ましい。伸縮度が低い芯材と、伸縮度が高い芯材を併用することによって、陰極側ガスケットに一層優れた伸縮性を付与することができる。ここでいう伸縮度とは、一定荷重をかけたときの伸び率を意味する。ガスケットを装着するときにガスケット長さを微調整できる力は2kgf程度であることから、本実施形態において、伸縮度は、2kgfの荷重をかけたときの伸び率である。
ガスケットや電解槽には少なからず寸法公差や製作公差等があるが、伸縮性に優れた陰極側ガスケットであれば、このような公差を吸収することができるため、電解セルの室枠(陽極室枠・陰極室枠)等の形状に追従することができ、かつ、シール性も向上させることができる。このような観点から、補強芯材としては、ガスケットの周縁に沿ってPET芯材を補強芯材(伸縮度が高い芯材)として配置し、かつ、ガスケット内周側から外周側に向けてSUS芯材(伸縮度が低い芯材)を副芯材として配置することが好ましい。
<被覆材>
本実施形態の陰極側ガスケットは、ガスケット本体の表面の一部を被覆材によって保護してもよい。例えば、略中央に開口部が形成されたガスケット本体と、ガスケット本体の表面の少なくとも一部を覆う被覆材と、を有し、ガスケット本体の内部に補強芯材(さらには副芯材)が配置されているものであってもよい。電解液等に対する耐薬品性等の観点から、ガスケット本体の表面の少なくとも一部が被覆材によって覆われていることが好ましい。
そして、被覆材は、ガスケット本体の開口部側にはみ出た飛出部を有することがより好ましい。この場合、被覆材は、ガスケット本体の内周端部の少なくとも一部を被覆し、そこから開口部側の空間に向かってはみ出した構成を取ることができる。
被覆材(及び飛出部)の材料としては、フッ素樹脂を含むことが好ましい。被覆材の材料として用いられるフッ素樹脂としては、より好ましくは、四フッ化エチレン(PTFE)、四フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、及びフッ化ビニリデン(PVDF)からなる群より選ばれるいずれか1種である。それらの中でも、耐食性の観点から、PTFE、PFAがさらに好ましい。
被覆材の飛出部は、被覆材の他の部位と異なる部材であってもよいが、同じ部材であることが好ましい。
被覆材の厚さは、特に限定されないが、優れたシール性を維持しながら、かつ次亜塩素酸イオン等による耐食性を得る観点から、300μm以下であることが好ましい。
また、上面視、開口部は、長方形状であり、かつ、飛出部は、開口部の少なくとも1つの長辺からはみ出ていることが好ましい。開口部周縁付近の中でも、長辺付近においては、陽極側で発生した塩素ガスが留まりやすく、この状態が長く続くと、イオン交換膜中で塩素と苛性ソーダが反応し、塩の析出によるイオン交換膜の損傷が起こり得る。そのため、その部分に飛出部を設けることで、苛性ソーダの浸透を防止し、イオン交換膜の損傷を防止することができる。
飛出部のはみ出し幅は、5〜50mmであることが好ましく、10〜30mmであることがより好ましい。ここでいうはみ出し幅とは、ガスケット本体から飛出部が飛び出している距離をいう。はみ出し幅が5mm以上であることにより、イオン交換膜の損傷を効果的に防止でき、50mm以下であることにより、飛出部が非通電面となることによる電圧上昇を最小限に留めることができる。
以下、図面を用いて、本実施形態の電解槽用陰極側ガスケットについて説明する。
図1は、本実施形態に係る電解槽用陰極側ガスケットの第一実施形態の斜視図を示す。図2は、図1のX−X´線に沿う断面図を示す。図3は、本実施形態のガスケットの芯材の配置を説明するための概念図を示す。図4は、第一実施形態の電解槽用陰極側ガスケットを電解槽に装着した時の上部断面図を示す。
図1及び図2に示す陰極側ガスケット1は、その略中央に、開口部10が形成されており、ガスケット本体12の内部に、補強芯材18として、PET芯材が配置されており、副芯材16として、SUS芯材が配置されている。そして、陰極側ガスケット1のガスケット本体12の表面の一部が、被覆材14により覆われている。なお、以下、補強芯材18と副芯材16を、「芯材」と総称する場合がある。
ガスケット本体12の内部に配置する芯材としては、伸縮度が異なる芯材を用いることが好ましい。例えば、伸縮度が低い副芯材16(例えば、SUS芯材)を陰極側ガスケット1の内周側から外周側に向けて配置させ、伸縮度が高い補強芯材18(例えば、PET芯材)を陰極側ガスケット1の室枠内部周縁に沿って配置させることが好ましい(図2及び図3参照)。
また、伸縮度が異なる2種以上の芯材を織り込んで陰極側ガスケット1の内部に配置することで、陰極側ガスケット1の優れたシール性を維持しつつ、ガスケット内周側から外周側へ向けてのクリープをより抑制できるため好ましい。例えば、電解槽を組み立てる際に、イオン交換膜を陽極側ガスケットと陰極側ガスケット1で挟持した状態でプレスすることが行われるが、このような場合において陰極側ガスケット1がクリープすることがある。ここで、クリープとは、陰極側ガスケット1に面圧が加わった際、陰極側ガスケット1が伸びることである。通常、陰極側ガスケット1の内周側から外周側へ向けてはガスケット幅が短いため、特に、陰極側ガスケット1はこの方向にクリープしやすい傾向にある。陰極側ガスケット1のクリープが大きいと、陰極側ガスケット1の広がりに追従してイオン交換膜も引き延ばされ、イオン交換膜が破断する恐れがある。
クリープによるイオン交換膜の破断を効果的に防止する観点から、補強芯材18、副芯材16は、ガスケット本体12の内部において、イオン交換膜と接する表面領域の近傍に配置されていることが好ましい。例えば、図2において、補強芯材18、副芯材16は、設置した際にイオン交換膜と接する側、つまり、被覆材14がある側へ(図2の上側へ)中央から寄って形成されていることが好ましい。イオン交換膜を挟んで電解セル同士をプレスする際に、ガスケットが引っ張られ、これに追随してイオン交換膜も引き伸ばされてしまい、場合によってはイオン交換膜が破損することがある。これを防止するために、イオン交換膜と接する側に補強芯材を配置することが好ましい。
また、上面視した状態において、補強芯材18(PET芯材)と副芯材16(SUS芯材)とは、交互に配置されていることが好ましい。具体的には、補強芯材18と副芯材16とが平織りされていることが好ましい。
具体的には、芯材の間隔としては10〜100メッシュであることが好ましい。芯材の間隔が狭すぎるとゴムどうしの結合が小さくなるため、ガスケットが芯材を介して剥離することがある。また、広すぎると、ガスケットのクリープが大きくなるため、イオン交換膜が裂けることがある。
補強芯材18と副芯材16の配置の好適な一例を、図3を用いて説明する。
補強芯材をガスケット本体の外周側から開口部側に沿って形成し、ガスケット本体の外周に沿って補強芯材18を配置することが好ましい。また、副芯材16をガスケット本体の外周に沿って形成し、ガスケット本体の外周側から開口部に沿って副芯材16を配置することが好ましい。補強芯材18をこのように配置することによって、図3における上下方向及び左右方向(長手方向及び幅方向)にガスケットが伸縮することを防ぐことができるため好ましい。なお、図示していないが、補強芯材18と副芯材16とは平織りになっていることが、強度等の観点から好ましい。
なお、ガスケット本体12において、その内周端部Sから所定長Lだけ離れた内部領域には、芯材(補強芯材18(PET芯材)と副芯材16(SUS芯材))が配置されていない(図2参照)。電解を行う際、内周端部Sは電解液と接触するため、この領域はや電解液によって腐食されやすい部位である(図4参照)。そのため、芯材が陰極側ガスケット1の内部に配置されていない領域を設けることで、電解を行う際に、発生する苛性ソーダ等により陰極側ガスケット1が腐蝕しても、その内部に配置されている芯材は表面に露出しないため、陰極側ガスケット1の耐久性を一層向上させることができる。また、陰極側ガスケット1の芯材が表面に露出しないため、イオン交換膜を破損することもない。
所定長Lは、陰極側ガスケット1の内周端部Sから2.5mm以上であることが好ましく、2.7mm以上であることがより好ましく、3mm以上であることがさらに好ましい。所定長Lの下限を上記数値とすることで、電解中の腐食により芯材が陰極側ガスケット1の表面に突き出してイオン交換膜が破損することを一層効果的に防止できる。
また、所定長Lは、陰極側ガスケット1の内周端部Sから6mm以下であることが好ましく、5.5mm以下であることがより好ましく、5mm以下であることがさらに好ましい。所定長Lの上限を上記数値とすることで、強度、耐久性、及びクリープ耐性のバランスを一層向上させることができる。
[形状]
本実施形態の陰極側ガスケット1の形状は、特に限定されず、中央に開口部が形成された、長方形状等の矩形状であることが好ましい。矩形の寸法(縦及び横)は電解槽の大きさ等に依存するが、通常、電解面積である1200×2400mm程度の大きさであり、シールする幅は35mm程度である。
陰極側ガスケット1の厚みは、特に限定されないが、2.5〜4.5mmであることが好ましく、より好ましくは2.6〜4.0mmであり、更に好ましくは2.7〜3.3mmである。通常、電解時には陰極側ガスケット1に20kg/cm2程度の面圧がかかるが、陰極側ガスケット1の厚さを上記数値範囲とすることにより、上記面圧がかかったときに、2.5mm程度の厚さとなるように調整できる。使用時の厚さが2.5mm程度となることで、電解槽内の液やガスのリークを効果的に防止できる。ガスケット厚みが前記範囲であることにより、プレス時にゴムが変形して、液やガスのリークをより防止することができる。
電解の際に、陰極側ガスケット1が電解槽の外へ滑り出てしまうと、陰極側ガスケット1と電解槽の陰極室枠との間に隙間が生じ、電解液やガスがそこから電解槽の外部へ漏洩する。従来、陰極側ガスケット1のシール性を向上させる目的で、部分的に面圧を高くしたり、陰極側ガスケット1の陰極側の表面に突起形状を設けたりすること等が行われている。しかし、陰極側ガスケット1において、電解液と接する表面は他の部分に比べて締め付け圧力が弱くなる傾向にあり、陰極側ガスケットとイオン交換膜との間に高濃度の苛性ソーダ等が侵入・滞留しやすい傾向にある。これにより、経時的に次亜塩素酸濃度が上昇し、腐食が進行しやすくなる。また、陽極側の塩素と陰極側の苛性ソーダがイオン交換膜内に浸透すると、これらが反応し、イオン交換膜内で塩が析出する。このような塩の析出はイオン交換膜の損傷の原因となり得る。これを防止する目的で、陽極側においては、電解液の循環を良くするとともに塩素ガスの滞留が起きないようにするため、ガスケットを挟む電解槽の周縁部(シール部)と同じ位置に陽極ガスケットを貼ることが好ましく、陰極側においては、苛性ソーダの浸透を防ぐため、陰極側ガスケットの内周端部Sを電解槽枠のシール部から電解槽の中へ約5mm入れて貼ることが好ましい(図4参照)。
[被覆材]
被覆材14は、ガスケット本体12の内周端部Sから5〜18mmの範囲にある全表面を覆うことが好ましい(図1及び図2参照)。通常、陽極側ガスケット1において、腐食の起点となり得る可能性があるのは、内周端部Sから5〜18mmの範囲である(図2の符号L′参照)。部分的な腐食が起こり得るイオン交換膜側の陰極側ガスケット表面を被覆材14で覆うことにより、電化の際の腐食を一層効果的に防止できる。
図5は、本実施形態に係る陰極側ガスケットの第二実施形態の斜視図を示す。図6は、図5のX−X´線に沿う断面図を示す。図7は第二実施形態の陰極側ガスケットを電解槽に装着した時の上部断面図を示す。第二実施形態は、被覆材14が、ガスケット本体12の開口部側にはみ出た飛出部15を有する点で、第一実施形態とは相違する。それ以外は第一実施形態と同様であるため、主に飛出部15について説明を行う。
長期間電解を行うと、特に、ガスケット上辺の内周部付近に当接する、イオン交換膜の内部は塩が析出しやすく、これによりイオン交換膜の損傷が引き起こされる。イオン交換膜の損傷は、陽極側からイオン交換膜に浸透した塩素ガスと、陰極側からイオン交換膜に浸透した苛性ソーダとがイオン交換膜の内部で反応して、塩が析出することにより、起こり得る。また、イオン交換膜の内部で塩が析出することにより、イオン交換膜の物理強度が低下するといった問題も起こり得る。このような問題を解消するために、電解槽を組み立てる際に陰極側ガスケット1の装着位置を調整して、できるだけ高いシール性を維持しようとすることが行われているが、未だ十分ではない。そのため、イオン交換膜に塩の析出が発生すると、その他の性能がまだ低下していなくとも、イオン交換膜を交換する必要がある。
被覆材14が、開口部10側にはみ出た飛出部15を有することにより、被覆材14(及び飛出部15)は電解セルとイオン交換膜に挟持された状態でセットされる。その結果、陰極側からイオン交換膜内部への苛性ソーダの侵入を防止することでき、イオン交換膜の損傷を防止することができる。
また、従来のサイジングが必要なガスケットに飛出部を形成しても、一緒に飛出部も引っ張らなくてはならず、飛出部に皺がよってしまい、装着後に苛性ソーダの侵入防止効果が得られなくなる。しかし、本実施形態の陰極側ガスケットは、吸湿による伸びが少なく、サイジングが必要ないため、この飛出部15に皺がよったりすることなく有効に機能し、苛性ソーダの侵入を十分に防止でき、イオン交換膜の損傷を十分に防止することができる。
陰極側ガスケット1の内周全周にわたって被覆材14を飛び出させることでも、イオン交換膜の損傷を防止できる。しかし、陰極の通電面積が小さくなり、電解電圧が上昇してしまうため、塩素ガスが滞留しやすく、損傷が起きやすいガスケットの上辺のみ、被覆材14を飛び出させて飛出部15とすることが好ましい(図5参照)。
飛出部15のはみ出し幅L′′は、電解電圧の上昇を抑える観点から、5〜50mmであることが好ましく、10〜30mmであることがより好ましい。例えば、6kA/m2の電流密度で電解運転した場合には、はみ出し幅L′′を10mmとした場合には5mV、20mmにした場合には10mV、30mmにした場合には15mV、40mmにした場合には20mV、50mmにした場合には30mVの電圧上昇が起こり得る。はみ出し幅L′′を5〜50mmとすることにより、電解電圧の上昇を最小限とし、確実にイオン交換膜の損傷を防止することができる。
[製造方法]
以下、本実施形態の陰極側ガスケットの製造方法の一例を説明する。
本実施形態の陰極側ガスケットの製造方法としては、
1)生ゴムを得る工程
2)補強芯材(及び副芯材)を編みこんだ芯材を得る工程
3)生ゴムを薄ゴム板に成形する工程
4)2枚の薄ゴム板の間に芯材を挟んで一体化して生ゴムシートを得る工程
5)生ゴムシートを金型でガスケットを得る工程
からなる。
被覆材をガスケット表面に形成させるには、4)工程の後に、接着剤で被覆材を張り付ける方法、又は、5)工程において、生ゴムシートの上に被覆材を積層して、金型で一体化する方法などが挙げられる。
飛出部を形成するには、5)工程において、生ゴムシートの上に被覆材を積層して金型で一体化する際に、i)被覆材をガスケットの開口部側にずらして生ゴム上に積層する方
法、又は、ii)被覆材とは別に、飛出部のシートをガスケットの開口部側に配置して、生ゴム上に積層する方法により製造できる。その他、5)工程で得られたガスケットの開口部に飛出部のシートを接着させてもよい。
一例として、ガスケット本体12の材料としてEPDMを用いる場合について説明する。
1)工程
EPDMに、カーボンブラック、加硫剤、酸化防止剤、可塑剤および補強剤等の添加物を混合して、生ゴムを得る。混合方法としては、従来公知の方法を用いることができる。
2)工程
補強芯材18及び副芯材16を編み込んだ芯材を準備する。芯材をガスケット本体12の内部に配置する前に、補強芯材18及び副芯材16を脱脂して、これらを接着しておくことが好ましい。あるいは、脱脂後に熱処理を行っても構わない。接着に用いる接着剤としては、補強芯材18及び副芯材16の材料に応じて、適宜好適な接着剤を使用することができる。これらの接着剤としては、市販品を使用することもできる。市販品としては、例えば、ロードファーイースト社製の「ケムロック」(商品名)、「シクソン」(商品名)、「メーガム」(商品名)等が挙げられる。
3)工程
生ゴムを回転ロールでカレンダリングして薄ゴム板とする。
4)工程
補強芯材18及び副芯材16を編み込んだ芯材を、ガスケット本体12の内部に配置する。上記した補強芯材18及び副芯材16を編み込んだ芯材を、2枚の薄ゴム板で挟みこんで回転ロールに通し、一体化する方法が挙げられる。これにより、芯材(補強芯材18及び副芯材16)を内部に配置した短冊状の生ゴム板を得ることができる。
次に、生ゴム板の表面に、被覆材14であるフッ素樹脂シートを被せる。なお、生ゴム板に対するフッ素樹脂シートの接着性を向上させる目的で、フッ素樹脂シートに表面処理を施すことが好ましい。表面処理の方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。表面処理の方法としては、例えば、金属ナトリウムのアンモニア溶液(液体アンモニア−金属ナトリウム;1質量%)や金属ナトリウムをナフタリンのテトラヒドロフラン溶液に加えたもの(ナフタリン+テトラヒドロフラン−金属ナトリウム溶液)に、フッ素樹脂シートを数秒間浸たす化学的エッチング方法;放電等によってイオンを発生させ、これをフッ素樹脂シート表面に当ててエッチングするスパッタエッチング処理;プラズマ処理等が挙げられる。
5)工程
最後に、被覆材14で覆われた短冊状の生ゴムを、ガスケット金型の4辺に配置して、熱プレスで加硫し、ガスケットを製造する。
なお、所定長L(図2、図6参照)の長さを調整する方法としては、特に限定されないが、例えば、4)工程で、芯材を薄ゴム板で挟む際に、薄ゴム板中における芯材の位置を制御する方法や、5)工程で、ガスケットの開口部に相当する部位(ガスケットの内周側)の金型に、上記生ゴムを置いて、熱プレスで加硫する方法が挙げられる。
このとき、飛出部の表面に薄いゴムを含む層が形成されてもよい。
飛出部を形成するには、
i)生ゴムシートの上に被覆材を積層して金型で一体化する際に、被覆材をガスケットの
開口部側にずらして生ゴム上に積層する方法、
ii)生ゴムシートの上に被覆材を積層して金型で一体化する際に、被覆材とは別に、飛出部のシートをガスケットの開口部側に配置して、生ゴム上に積層する方法、や、
iii)5)工程で得られたガスケットの開口部に、飛出部のシートを接着させてもよい。
このとき、飛出部はガスケットの4辺全てに設けてもよく、長辺だけに設けてもよく、片方の長辺だけに設けてもよい。
<電解槽>
本実施形態の陰極側ガスケットは、イオン交換膜法に用いる電解槽に用いることができる。具体的には、イオン交換膜と、陽極室を構成する陽極室枠と、陰極室を構成する陰極室枠と、イオン交換膜と陽極室枠との間に配置された陽極側ガスケットと、イオン交換膜と陰極室枠との間に配置された本実施形態の陰極側ガスケットと、を含む電解槽として用いることができる。
本実施形態の陰極側ガスケットは、吸湿による伸びが小さく、サイジング作業が不要となり、ガスケット装着の作業効率を大幅に向上することができる。さらに、イオン交換膜の損傷、破損することも防止できる。そのため、これを用いた電解槽では、長期間ガスケットを交換することなく、電解運転することができ、経済的に優れている。
陽極側ガスケットとしては、補強芯材として平織りしたPVDFを配置し、被覆材としてPTFEシートを配置し、かつ、ガスケット本体の先端部を包み込んだ形状で、さらに枠側にはゴムを配置することが好ましい。通常、陽極側ガスケットの陽極側表面は塩素ガスや次亜塩素酸にさらされるため、これらに対する耐食性を備えたPVDFの補強芯材を用いることが好ましい。また、陽極側ガスケットのガスケット本体のゴム等の腐食を防止するため、PTFEシートで接液部を包み込んだ形状(コーティング等)とすることが好ましい。さらに、陽極側ガスケットを貼りつける電解槽のTiとPTFEシートが直接接すると、隙間腐食が起こるため、陽極側ガスケットの電解槽側にはゴムを配置し、陽極側ガスケットを貼りつける電解槽のTiで隙間腐食が起きないようにするのが好ましい。
また、電解槽の通電面上部に気液分離室がある場合、上部のシール面幅が、下部や側部のシール面幅よりも広くなるため、陽極側ガスケットの上部にかかる面圧が小さくなる傾向にある。これにより、電解液の漏洩が起こる場合があり得る。この観点から、電解槽の上部に位置する陽極ガスケットの幅を短くし、シート面幅を一定にすることで、4辺の面圧を一定にすることが好ましい。
イオン交換膜としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、塩化アルカリ等の電気分解により塩素とアルカリを製造する場合、耐熱性及び耐薬品性等に優れるという観点から、含フッ素系イオン交換膜が好ましい。含フッ素系イオン交換膜としては、電解時に発生する陽イオンを選択的に透過する機能を有し、かつイオン交換基を有する含フッ素系重合体を含むもの等が挙げられる。ここでいうイオン交換基を有する含フッ素系重合体とは、イオン交換基、又は、加水分解によりイオン交換基となり得るイオン交換基前駆体、を有する含フッ素系重合体をいう。例えば、フッ素化炭化水素の主鎖からなり、加水分解等によりイオン交換基に変換可能な官能基をペンダント側鎖として有し、かつ溶融加工が可能な重合体等が挙げられる。
陽極室枠及び陰極室枠としては、特に限定されず、公知のものを用いることが出来る。
通常、陽極室枠及び陰極室枠は長方形状であり、ガスケットと当接する周縁部には、ガスケットを貼るシール面が存在しているもの等を使用することができる。
以下の実施例により本実施形態を更に詳しく説明するが、本実施形態は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
<吸湿、乾燥による寸法変化率の測定>
ガスケットの吸湿及び乾燥による寸法変化を調べるために、次の条件で試験を行った。
(1)吸湿試験
試験前のガスケットの4辺の寸法を測定した後、ガスケットを温度50℃、湿度85%の恒温槽に7日間静置した。そして、恒温槽からガスケットを取り出し、すぐにガスケットの4辺の寸法を測定した。試験前と試験後の寸法変化から、吸湿による寸法変化率を評価した。
(2)乾燥試験
試験前のガスケットの4辺の寸法を測定した後、ガスケットを温度50℃に設定した真空乾燥機に10日間静置した。そして、真空乾燥機からガスケットを取り出し、すぐにガスケット4辺の寸法を測定した。試験前と試験後の寸法変化から、乾燥による寸法変化率を評価した。
〔実施例1〕
図1及び図2に示す陰極側ガスケットを作製した。
エチレンプロピレンゴム(EPDM;JSR社製、商品名「EP−24」)からなるゴム生地をカレンダーロール機にて平滑な幅30mm、厚さ2mmのシート状に数本圧延し、長さ1200mm及び2400mmに切断した。
このシート状のゴム生地2枚の間に補強芯材を挟み、補強芯材の配置したシート状のゴム板を得た。補強芯材としてはPET芯材(ユニプラス社製、PETモノフィラメント:0.35mmφ、20メッシュ)18と、副芯材としてSUS304芯材(0.3mmφ、30メッシュ)16を用いた。接着材としてケムロック(ロードファーイースト社製)を使用した。
さらに、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)製シート;日本バルカー社製、商品名「バルフロン」)を含む被覆材14に金属ナトリウムをナフタレンのテトラヒドロフラン溶液に加えて得られる錯化合物溶液を浸して表面処理を行った。次に、接着剤としてオルガノシロキサンを使用し、周辺端部Sからの幅28mmで、厚み0.1mmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製シートで、シート状のゴム板に被覆材を貼りつけた。
このシート状ゴム板を金型の4辺に配置させ、型締め状態とした。さらに、加硫温度160℃、加硫時間20分、プレス圧力68.6MPa(70kgf/cm2)で成型を行い、長辺外寸法約2400mm、短辺外寸法約1200mm、厚み約3.0mmの長方形の額縁状の構造であるガスケットを得た。得られたガスケットの厚みは、3.00mmであった。
このようにして得られた陰極側ガスケットの吸湿・乾燥による寸法変化率の測定結果を、表1に示す。表1に示すように、実施例1のガスケットは、吸湿及び乾燥によって寸法が変化しないことが確認された。
〔比較例1〕
補強芯材18としてポリアミド芯材(ユニプラス社製、ナイロン6モノフィラメント;0.35mmφ、20メッシュ)を、副芯剤16としてSUS304芯材(0.3mmφ、30メッシュ)を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件でガスケットを作製した。得られたガスケットの吸湿・乾燥による寸法変化率の測定結果を、表2に示す。表2に示すように、比較例1のガスケットは吸湿及び乾燥によって寸法が変化してしまうことが確認された。
〔実施例2〕
図5、図6に示す陰極側ガスケットを作製した。フッ素樹脂(PTFE製シート、日本バルカー社製、商品名「バルフロン」)を含む被覆材14をガスケット本体の開口部上部の長辺から15mm飛び出した状態となるよう張り付けたこと以外は実施例1と同様に作製した。なお、得られたガスケットの厚みは、3.00mmであった。
<電解>
通電面積270dm2の電解槽(旭化成ケミカルズ社製、型式「32NCZ」)の陰極側に陰極側ガスケットを装着した。サイジング作業を行わずに装着可能であったため、電解槽通電面に飛び出したPTFE製シートに皺が発生することなく装着することができた。
さらに、イオン交換膜(旭化成ケミカルズ社製、商品名「ACIPLEX(TM) F−6801」)とともに2MPaの圧力で締め付けて電解槽を構成し、塩化ナトリウム水溶液の電解を行った。この電解槽を用いて、60kA/m2、電解温度88℃、陰極苛性ソーダ濃度32質量%、陽極食塩濃度195〜210g/L、陽極電槽内圧力40kPa、陰極電槽内圧力44kPaの条件で1年間電解を行った。電解を行った後、イオン交換膜の表面状態を目視にて観察したところ、通電面上部のガスケットとの接触部分には損傷は全く確認されなかった。また、通電面全体にもイオン交換膜の損傷は見られなかった。
〔比較例2〕
陰極側ガスケットにPTFE製シートを飛び出させなかったこと以外は、実施例2と同様に作製した。
得られた陰極側ガスケットを、実施例2と同様にして、大型電解槽に装着し、塩化ナトリウム水溶液の電解を1年間行った。電解を行った後、イオン交換膜の表面状態を目視にて観察すると、通電面上部のガスケットとの接触部分に、直径1mm程度の損傷が多数確認された。
以上より、各実施例の陰極側ガスケットは、吸湿及び乾燥による寸法変化がなく、サイジングなしで装着可能であることが確認された。さらに、PTFEを飛び出させることでイオン交換膜の損傷がなく、長期間イオン交換膜が使用可能であることも確認された。
本発明の電解槽用陰極側ガスケットは、塩素とアルカリ金属水酸化物を生産するためのイオン交換膜法アルカリ電解の分野をはじめとする幅広い分野で好適に利用できる。
1、2 電解槽用陰極側ガスケット(陰極側ガスケット)
10 開口部
12 ガスケット本体
14 被覆材
15 飛出部
16 副芯材(SUS芯材)
18 補強芯材(PET芯材)
3 陰極室枠
4 陽極室枠
5 電解槽用陽極ガスケット(陽極ガスケット)
6 イオン交換膜
S 内周部
A 陰極側
B イオン交換膜
C 電解槽側

Claims (6)

  1. 略中央に開口部が形成された電解槽用陰極側ガスケットであって、
    前記電解槽用陰極側ガスケットの内部に、ポリエチレンテレフタレートを含む補強芯材を有し、
    前記電解槽用陰極側ガスケットは、略中央に開口部が形成されたガスケット本体と、前記ガスケット本体の表面の少なくとも一部を覆う被覆材と、を有し、
    前記被覆材は、前記ガスケット本体の前記開口部側にはみ出た飛出部を有する、電解槽用陰極側ガスケット。
  2. 前記被覆材は、フッ素樹脂を含む、請求項1に記載の電解槽用陰極側ガスケット。
  3. 上面視、前記開口部は、長方形状であり、かつ、
    前記飛出部は、前記開口部の少なくとも1つの長辺からはみ出ている、請求項1又は2に記載の電解槽用陰極側ガスケット。
  4. 上面視、前記飛出部のはみ出し幅が、5〜50mmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電解槽用陰極側ガスケット。
  5. 前記電解槽用陰極側ガスケットは、その内部に、ステンレス鋼(SUS)を含む副芯材をさらに有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電解槽用陰極側ガスケット。
  6. イオン交換膜と、
    陽極室を構成する陽極室枠と、
    陰極室を構成する陰極室枠と、
    前記イオン交換膜と陽極室枠との間に配置された、電解槽用陽極側ガスケットと、
    前記イオン交換膜と陰極室枠との間に配置された、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電解槽用陰極側ガスケットと、
    を備える、電解槽。
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