JP7215505B2 - 樹脂製可動部材および構造体 - Google Patents
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Description
一般的に、エラストマー中に無機充填材などの補強材を添加することにより、機械的強度を高めることができるが、反対に、使用時にエラストマーが変形したときに、その中で生じる塑性変形が大きくなり、ヒステリシスロスが増大する傾向にある。
さらに検討した結果、機械的強度の状態を評価する指標として、引張強度Sを使用し、ヒステリシスロスの状態を評価する指標として、1回目と2回目の伸張操作におけるヒステリシスロス変動比率(ΔE2/ΔE1)を使用した上で、引張強度Sとヒステリシスロス変動比率(ΔE2/ΔE1)との積値を指標として採用することにより、機械的強度とヒステリシスロスとのバランスについて安定的に評価できることが判明した。
このような知見に基づきさらに鋭意研究したところ、ヒステリシスロス変動比率(ΔE2/ΔE1)を小さく制御しつつも、引張強度Sとヒステリシスロス変動比率(ΔE2/ΔE1)との積値を所定値以上とすることにより、機械的強度および、繰り返し変形時における耐久性に優れた樹脂製可動部材を実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
また、このような指標に基づいて得られた樹脂製可動部材は、様々な器具や機器の可動部の動作に追従して、繰り返し変形するように使用される使用環境に適することが分かった。
シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物で構成された樹脂製可動部材であって、
前記シリコーンゴム系硬化性組成物が、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)、シリカ粒子(C)、およびシランカップリング剤(D)を含み、
前記シランカップリング剤(D)が、ビニル基を有するシランカップリング剤を含み、
前記シリカ粒子(C)の含有量は、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対して、50重量部以下であり、
前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対して、前記シリカ粒子(C)の含有量をX(重量部)とし、前記シリコーン系硬化組成物の硬化物の、JISK6253で規定されるデュロメータ硬さAをYとしたとき、X/Yが、0.91以下であり、
前記Yが10以上40未満であるか、または前記Yが40以上80以下であり、
前記Yが40以上80以下の場合、前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)の含有量は、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)と前記シリカ粒子(C)と前記シランカップリング剤(D)との合計量100重量部に対して、0.8重量部以上15重量部以下であり、かつJIS K6252(2001)に準拠して測定される引裂強度が、25N/mm以上であり、
下記の伸張操作を繰り返し5回行い、1回目の前記伸張操作のときのヒステリシスロスをΔE1、2回目の前記伸張操作のときのヒステリシスロスをΔE2、5回目の前記伸張操作のときのヒステリシスロスをΔE5、1回目のヒステリシスロスに対する2回目のヒステリシスロスの変動比率である|ΔE2/ΔE1|×100をH1(%)、および1回目のヒステリシスロスに対する5回目のヒステリシスロスの変動比率である|ΔE5/ΔE1|×100をH2(%)とし、
JIS K6251(2004)に準拠して測定される引張強度をS(MPa)としたとき、
H1が25以下であり、かつ、H1×Sが、125以上400以下、
H2が15以下であり、H2×Sが、85以上300以下、および、
|ΔE5/ΔE2|×100が、80%以下である、
樹脂製可動部材が提供される。
(伸張操作)
伸張操作とは、室温25℃、伸張速度1000mm/分で、ダンベル試験片を、変位量0%から500%まで伸張し、その後、除力により変位量500%から0%まで収縮させる操作とする。
上記脂製可動部材を備える、構造体が提供される。
また、本発明者は、1回目のヒステリシスロスΔE1は、硬度などの初期状態によって数値が変動するものであり、ΔE1自体を小さくすることは難しいと考えた。
そこで、ヒステリシスロス変動比率において、所定N回目のヒステリシスロスΔENを、1回目のヒステリシスロスΔE1で除することによって、硬度などの初期状態の違いによる影響を小さくすることができると考えた。
このような考えに基づいて、ヒステリシスロス変動比率H1を上記上限値以下としつつも、引張強度Sとヒステリシスロス変動比率H1との積値を、上記の下限値以上とすることにより、機械的強度および、変形に対する耐久性に優れた樹脂製可動部材を実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
したがって、ヒステリシスロス変動比率H2を上記上限値以下としつつも、引張強度Sとヒステリシスロス変動比率H2との積値を、上記の下限値以上とすることにより、機械的強度および、繰り返し変形時における耐久性に優れた樹脂製可動部材を実現できる。
初回の伸張操作時のヒステリシスロスΔE1ではなく、初回を除いた次回以降のヒステリシスロスΔE2~ΔE5を指標として利用することにより、繰り返し変形が継続的に行われるような使用環境における耐久性を安定的に評価できることを見出した。詳細なメカニズムは定かでないが、次のように考えられる。初回の伸張操作においては、樹脂製可動部材中の組成が伸びによって再配置が生じる傾向にある。このため、2回目以降の伸張操作であれば、このような組成の再配置の影響を抑制できるため、樹脂製可動部材の組成による、繰り返し変形時の耐久性をよりよく評価できると考えられる。
そして、2回目以降、5回目まで複数の伸張操作を繰り返したときのヒステリシスロスの変化率を考慮することで、上述のように、樹脂製可動部材の耐久性を安定的に評価できると考えられる。
したがって、上記|ΔE5/ΔE2|×100を上記下限値以下とすることにより、樹脂製可動部材の、繰り返し変形時の耐久性をより一層向上させることができる。
高硬度タイプの樹脂製可動部材において、デュロメータ硬さAは、例えば、40以上80以下でもよく、好ましくは45以上75以下でもよく、より好ましくは50以上70以下でもよい。
また、低硬度タイプの樹脂製可動部材において、デュロメータ硬さAは、例えば、10以上40未満でもよく、好ましくは15以上39以下でもよく、より好ましくは20以上38以下でもよい。これにより、樹脂製可動部材の柔軟性を向上させることができ、屈曲や伸張などの変形が容易となる変形容易性に優れた樹脂製可動部材を実現することができる。これにより、各種の機器や器具の操作性を良好なものとすることができる。
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)を含むことができる。
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)は、直鎖構造を有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐構造を有する分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)とに分類され、これらのうちのいずれか一方または双方を含むことができる。
(Ha(R7)3-aSiO1/2)m(SiO4/2)n
(式(c)において、R7は一価の有機基、aは1~3の範囲の整数、mはHa(R7)3-aSiO1/2単位の数、nはSiO4/2単位の数である)
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、シリカ粒子(C)を含むことができる。
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、シランカップリング剤(D)を含むことができる。
シランカップリング剤(D)は、加水分解性基を有することができる。加水分解基が水により加水分解されて水酸基になり、この水酸基がシリカ粒子(C)表面の水酸基と脱水縮合反応することで、シリカ粒子(C)の表面改質を行うことができる。
上記式(4)中、nは1~3の整数を表わす。Yは、疎水性基、親水性基またはビニル基を有するもののうちのいずれかの官能基を表わし、nが1の時は疎水性基であり、nが2または3の時はその少なくとも1つが疎水性基である。Xは、加水分解性基を表わす。
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、白金または白金化合物(E)を含むことができる。
白金または白金化合物(E)は、硬化の際の触媒として作用する触媒成分である。白金または白金化合物(E)の添加量は触媒量である。
また、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物には、上記成分(A)~(E)以外に、水(F)が含まれていてもよい。
これにより、シリカ粒子(C)のシリコーンゴム系硬化性組成物中における分散性を確実に向上させることができる。
次に、本実施形態のシリコーンゴムの製造方法について説明する。
本実施形態のシリコーンゴムの製造方法としては、シリコーンゴム系硬化性組成物を調製し、このシリコーンゴム系硬化性組成物を硬化させることによりシリコーンゴムを得ることができる。
以下、詳述する。
以上のような工程を経ることで、本実施形態のシリコーンゴムが得られる。
ここで、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対して、シリカ粒子(C)の含有量をX(重量部)とし、当該シリコーン系硬化組成物の硬化物の、JISK6253で規定されるデュロメータ硬さAをYとしたとき、上記のフィラー量/硬度について、X/Yで表したとき、例えば1未満であり、より好ましくは0.95以下であり、さらに好ましくは0.91以下とすることができる。X(フィラー量)/Y(硬度)を例えば1未満すること等が、理由は定かではないが、ヒステリシスロス変化率を所望の数値範囲とするための要素として挙げられる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 下記の伸張操作を繰り返し5回行い、1回目の前記伸張操作のときのヒステリシスロスをΔE1とし、2回目の前記伸張操作のときのヒステリシスロスをΔE2とし、1回目のヒステリシスロスに対する2回目のヒステリシスロスの変動比率である|ΔE2/ΔE1|×100をH1(%)とし、
JIS K6251(2004)に準拠して測定される引張強度をS(MPa)としたとき、
H1が25以下であり、かつ、H1×Sが、125以上400以下である、樹脂製可動部材。
(伸張操作)
伸張操作とは、室温25℃、伸張速度1000mm/分で、ダンベル試験片を、変位量0%から500%まで伸張し、その後、除力により変位量500%から0%まで収縮させる操作とする。
2. 1.に記載の樹脂製可動部材であって、
5回目の前記伸張操作のときのヒステリシスロスをΔE5とし、1回目のヒステリシスロスに対する5回目のヒステリシスロスの変動比率である|ΔE5/ΔE1|×100をH2(%)としたとき、
H2が15以下であり、H2×Sが、85以上300以下である、樹脂製可動部材。
3. 1.または2.に記載の樹脂製可動部材であって、
2回目のヒステリシスロスに対する5回目のヒステリシスロスの変動比率である|ΔE5/ΔE2|×100が、80%以下である、樹脂製可動部材。
4. 1.から3.のいずれか1つに記載の樹脂製可動部材であって、
JIS K6252(2001)に準拠して測定される引裂強度が、25N/mm以上である、樹脂製可動部材。
5. 1.から4.のいずれか1つに記載の樹脂製可動部材であって、
JIS K6253(1997)に準拠して規定されるデュロメータ硬さAが、10以上80以下である、樹脂製可動部材。
6. 1.から5.のいずれか1つに記載の樹脂製可動部材であって、
JIS K6251(2004)に準拠して測定される破断伸びが、200%以上1500%以下である、樹脂製可動部材。
7. 1.から6.のいずれか1つに記載の樹脂製可動部材であって、
無機充填材を含む、樹脂製可動部材。
8. 1.から7.のいずれか1つに記載の樹脂製可動部材を備える、構造体。
(ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A))
低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1a):合成スキーム1により合成した鎖内ビニル基含有ジメチルポリシロキサン(式(1-1)で表わされる構造でR2(鎖内)のみがビニル基である構造)
低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1b):合成スキーム2により合成した末端ビニル基含有ジメチルポリシロキサン(式(1-1)で表わされる構造でR1(末端)のみがビニル基である構造)
高ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2a):合成スキーム3により合成したビニル基含有ジメチルポリシロキサン(式(1-1)で表わされる構造でR1およびR2がビニル基である構造)
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B):モメンティブ社製、「TC-25D」
シリカ粒子(C):シリカ微粒子(粒径7nm、比表面積300m2/g)、日本アエロジル社製、「AEROSIL300」
シランカップリング剤(D-1):ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)、Gelst社製、「HEXAMETHYLDISILAZANE(SIH6110.1)」
シランカップリング剤(D-2):ジビニルテトラメチルジシラザン、Gelst社製、「1,3-DIVINYLTETRAMETHYLDISILAZANE(SID4612.0)」
白金または白金化合物(E):白金化合物、モメンティブ社製、「TC-25A」
[合成スキーム1:低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1a)の合成]
下記式(6)にしたがって、低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1a)を合成した。
すなわち、Arガス置換した、冷却管および攪拌翼を有する300mLセパラブルフラスコに、オクタメチルシクロテトラシロキサン74.7g(252mmol)、2,4,6,8-テトラメチル2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサン0.086g(0.25mmol)およびカリウムシリコネート0.1gを入れ、昇温し、120℃で30分間攪拌した。なお、この際、粘度の上昇が確認できた。
その後、155℃まで昇温し、3時間攪拌を続けた。そして、3時間後、ヘキサメチルジシロキサン0.1g(0.6mmol)を添加し、さらに、155℃で4時間攪拌した。
さらに、4時間後、トルエン250mLで希釈した後、水で3回洗浄した。洗浄後の有機層をメタノール1.5Lで数回洗浄することで、再沈精製し、オリゴマーとポリマーを分離した。得られたポリマーを60℃で一晩減圧乾燥し、低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1a)を得た(Mn=2,5×105、Mw=5,0×105)。また、H-NMRスペクトル測定により算出したビニル基含有量は0.18モル%であった。
上記(A1-1a)の合成工程において、2,4,6,8-テトラメチル2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサンを用いず、ヘキサメチルジシロキサンの代わりに1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン0.1g(0.6mmol)を用いたこと以外は、(A1-1a)の合成工程と同様にして、下記式(7)にしたがって、低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1b)を得た。(Mn=2,2×105、Mw=4,8×105)。また、H-NMRスペクトル測定により算出したビニル基含有量は0.04モル%であった。
上記(A1-1a)の合成工程において、2,4,6,8-テトラメチル2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサンを、0.86g(2.5mmol)を用い、ヘキサメチルジシロキサンの代わりに1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン0.1g(0.6mmol)を用いたこと以外は、(A1-1a)の合成工程と同様にすることで、下記式にしたがって、高ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2a)を合成した。(Mn=2,3×105、Mw=5,0×105)。また、H-NMRスペクトル測定により算出したビニル基含有量は0.93モル%であった。
実施例および比較例において、次のようにしてシリコーンゴム系硬化性組成物を調整した。まず、表1に示す割合で、95%のビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)およびシランカップリング剤(D)および水(F)の混合物を予め混練し、その後、混合物にシリカ粒子(C)を加えてさらに混練し、混練物(シリコーンゴムコンパウンド)を得た。
ここで、シリカ粒子(C)添加後の混練は、カップリング反応のために窒素雰囲気下、60~90℃の条件下で1時間混練する第1ステップと、副生成物(アンモニア)の除去のために減圧雰囲気下、160~180℃の条件下で2時間混練する第2ステップとを経ることで行い、その後、冷却し、残り5%のビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)を2回に分けて添加し、20分間混練した。
続いて、得られた混練物(シリコーンゴムコンパウンド)100重量部に、表1に示す割合で、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)および白金または白金化合物(E)を加えて、ロールで混練し、シリコーンゴム系硬化性組成物を得た。
得られたシリコーンゴム系硬化性組成物を、150℃、10MPaで20分間プレスし、シート状に成形すると共に、1次硬化した。続いて、200℃で4時間加熱し、2次硬化した。以上により、表1に示す所定の厚さを有するシート状シリコーンゴム(シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物)を得た。得られたシート状シリコーンゴムに対して、下記の評価を行った。評価結果を表1に示す。引張強度、破断伸びについては、3つのサンプルで行い、3つの平均値を測定値とした。また、引裂強度については、5つのサンプルで行い、5つの平均値を測定値とした。さらに、硬度については、2つのサンプルを用いて、各サンプルでn=5で測定を行い10測定の平均値を測定値とした。それぞれに対して、その平均値を表1に示す。
つぎのような伸張操作により得られた測定値から、下記の算出方法に基づいて、ヒステリシスロスを算出した。
〔伸張操作〕
図1(a)に示すように、シリコーンゴムの作製で得られたシート状シリコーンゴムを用いて、ダンベル形状の試験片10を作製した。
次に、図1(b)に示すように、JIS K6251(2004)に準拠して、試験片10を、変位量0%から500%まで一定の速度(1000mm/分)で伸張し、その後、除力により変位量500%から0%まで一定の速度(1000mm/分)で収縮させる、という伸張操作を5回連続で繰り返し、室温25℃において、試験片10にかかる応力を測定した。
かかる伸張操作試験をN回(N=3)行い、平均値を採用した。
試験機:オートグラフAG5kNX(株式会社島津製作所製、「型番AG-5kNX」)
初期値:60mm(チャック間距離)、0%伸長率
伸長時:360mm(チャック間距離)、500%伸長率
伸張速度:1000mm/分
伸張時間:36秒/1サイクル(1サイクルは、初期値→伸長時→初期値)
ヒステリシスロスは、上記のN回目の伸張操作から得られた、N回目の試験力-ストローク曲線(ここで、試験力〔N〕は、試験片10を引張った時の応力であり、ストローク〔mm〕は、試験片10を引張った距離)を積分することによって求めた面積(エネルギーの次元を持つ)から、伸張時のエネルギーENUP(mJ)と、除力時のエネルギーENDOWN(mJ)とを算出し、N回目の伸張操作時のヒステリシスロスΔEN(mJ)を、|ENUP-ENDOWN|とした。ただし、Nは1~5の整数である。
得られたシート状シリコーンゴムを用いて、JIS K6251(2004)に準拠して、ダンベル状3号形試験片を作製し、室温25℃における、得られたダンベル状3号形試験片の破断伸びを測定した。破断伸びは、[チャック間移動距離(mm)]÷[初期チャック間距離(60mm)]×100で計算した。単位は%である。
得られたシート状シリコーンゴムを用いて、JIS K6251(2004)に準拠して、ダンベル状3号形試験片を作製し、得られたダンベル状3号形試験片の、室温25℃での、100%伸張時における引張応力M100を測定した。単位はMPaである。
得られたシート状シリコーンゴムを用いて、JIS K6251(2004)に準拠して、ダンベル状3号形試験片を作製し、室温25℃における、得られた試験片の引張強度を測定した。単位は、MPaである。なお、この引張強度を、表中S(MPa)と表示する。
得られたシート状シリコーンゴムを用いて、JIS K6252(2001)に準拠して、クレセント形試験片を作製し、室温25℃における、得られたクレセント形試験片の引裂強度を測定した。単位は、N/mmである。
得られたシート状シリコーンゴムを6枚積層し、試験片を作製した。得られた試験片に対して、室温25℃における、JIS K6253(1997)に準拠してタイプAデュロメータ硬さを測定した。
各実施例および各比較例で得られたシリコーンゴム系硬化性組成を用いて、170℃で5分、200℃で4時間の条件で硬化し、厚み:1mm×内径:5mmを有する筒状部材(チューブ)を作成した。得られた筒状部材をチューブジョイント(アズワン株式会社:クイック型、型番S、接続チューブ内径φ3・4・5)に接続する試験を行った。チューブジョイントへ筒状部材の脱着を4回繰返した。5回目のチューブジョイントと筒状部材の接続後、筒状部材に水を流し、接続部からの水漏れの有無を確認した。筒状部材への脱着時にチューブに亀裂がないものを◎、チューブに2mm以下の亀裂が発生したものを○、チューブに2mm以上の亀裂が発生したものを×とした。5回目のチューブジョイントを筒状部材の接続後に水を流したとき、接続部からの水漏れがないものを○、水漏れが発生したものを×とした。
Claims (5)
- シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物で構成された樹脂製可動部材であって、
前記シリコーンゴム系硬化性組成物が、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)、シリカ粒子(C)、およびシランカップリング剤(D)を含み、
前記シランカップリング剤(D)が、ビニル基を有するシランカップリング剤を含み、
前記シリカ粒子(C)の含有量は、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対して、50重量部以下であり、
前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対して、前記シリカ粒子(C)の含有量をX(重量部)とし、前記シリコーン系硬化組成物の硬化物の、JISK6253で規定されるデュロメータ硬さAをYとしたとき、X/Yが、0.91以下であり、
前記Yが10以上40未満であるか、または前記Yが40以上80以下であり、
前記Yが40以上80以下の場合、前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)の含有量は、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)と前記シリカ粒子(C)と前記シランカップリング剤(D)との合計量100重量部に対して、0.8重量部以上15重量部以下であり、かつJIS K6252(2001)に準拠して測定される引裂強度が、25N/mm以上であり、
下記の伸張操作を繰り返し5回行い、1回目の前記伸張操作のときのヒステリシスロスをΔE1、2回目の前記伸張操作のときのヒステリシスロスをΔE2、5回目の前記伸張操作のときのヒステリシスロスをΔE5、1回目のヒステリシスロスに対する2回目のヒステリシスロスの変動比率である|ΔE2/ΔE1|×100をH1(%)、および1回目のヒステリシスロスに対する5回目のヒステリシスロスの変動比率である|ΔE5/ΔE1|×100をH2(%)とし、
JIS K6251(2004)に準拠して測定される引張強度をS(MPa)としたとき、
H1が25以下であり、かつ、H1×Sが、125以上400以下、
H2が15以下であり、H2×Sが、85以上300以下、および、
|ΔE5/ΔE2|×100が、80%以下である、
樹脂製可動部材。
(伸張操作)
伸張操作とは、室温25℃、伸張速度1000mm/分で、ダンベル試験片を、変位量0%から500%まで伸張し、その後、除力により変位量500%から0%まで収縮させる操作とする。 - 請求項1に記載の樹脂製可動部材であって、
前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対して、前記シリカ粒子(C)の含有量をX(重量部)、前記シリコーン系硬化組成物の硬化物の、JISK6253で規定されるデュロメータ硬さAをY、2回目のヒステリシスロスに対する5回目のヒステリシスロスの変動比率である|ΔE5/ΔE2|×100をH3(%)としたとき、
H3×(X/Y)が、10以上63以下である、樹脂製可動部材。 - 請求項1または2に記載の樹脂製可動部材であって、
JIS K6251(2004)に準拠して測定される室温25℃での、100%伸張時における引張応力M100の上限値は、3.0MPa以下である、樹脂製可動部材。 - 請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂製可動部材であって、
JIS K6251(2004)に準拠して測定される破断伸びが、200%以上1500%以下である、樹脂製可動部材。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の樹脂製可動部材を備える、構造体。
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