JP7215505B2 - 樹脂製可動部材および構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂製可動部材および構造体に関する。
これまで各種の器具や機器の可動部を構成する可動部材について検討されてきた。この種の技術としては、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、内視鏡可撓管の本体を被覆する外皮チューブが記載されている。同文献には、外皮チューブにおいて、無機粉体充填剤を含有しない熱可塑性エラストマーを用いることにより、ヒステリシスロスを低減できることが記載されている(特許文献1の段落0016)。
特開平11-86637号公報
しかしながら、本発明者が検討したところ、上記文献1に記載のチューブは、機械的強度および、変形に対する耐久性の点で、改善の余地を有していることが判明した。また、このような医療用チューブ以外の医療器具・機器、産業用ロボット、電子機器等の可動部に上記チューブを適用した場合にも、このような機械的強度および耐久性において改善の余地があった。
本発明者が検討した結果、次のような知見が得られた。
一般的に、エラストマー中に無機充填材などの補強材を添加することにより、機械的強度を高めることができるが、反対に、使用時にエラストマーが変形したときに、その中で生じる塑性変形が大きくなり、ヒステリシスロスが増大する傾向にある。
これに対して、本発明者は、架橋密度等の樹脂構造などを適切に制御することにより、機械的強度を高めつつも、ヒステリシスロスの低減を実現できることが分かった。
さらに検討した結果、機械的強度の状態を評価する指標として、引張強度Sを使用し、ヒステリシスロスの状態を評価する指標として、1回目と2回目の伸張操作におけるヒステリシスロス変動比率(ΔE2/ΔE1)を使用した上で、引張強度Sとヒステリシスロス変動比率(ΔE2/ΔE1)との積値を指標として採用することにより、機械的強度とヒステリシスロスとのバランスについて安定的に評価できることが判明した。
このような知見に基づきさらに鋭意研究したところ、ヒステリシスロス変動比率(ΔE2/ΔE1)を小さく制御しつつも、引張強度Sとヒステリシスロス変動比率(ΔE2/ΔE1)との積値を所定値以上とすることにより、機械的強度および、繰り返し変形時における耐久性に優れた樹脂製可動部材を実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
また、このような指標に基づいて得られた樹脂製可動部材は、様々な器具や機器の可動部の動作に追従して、繰り返し変形するように使用される使用環境に適することが分かった。
本発明によれば、
シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物で構成された樹脂製可動部材であって、
前記シリコーンゴム系硬化性組成物が、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)、シリカ粒子(C)、およびシランカップリング剤(D)を含み、
前記シランカップリング剤(D)が、ビニル基を有するシランカップリング剤を含み、
前記シリカ粒子(C)の含有量は、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対して、50重量部以下であり、
前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対して、前記シリカ粒子(C)の含有量をX(重量部)とし、前記シリコーン系硬化組成物の硬化物の、JISK6253で規定されるデュロメータ硬さAをYとしたとき、X/Yが、0.91以下であり、
前記Yが10以上40未満であるか、または前記Yが40以上80以下であり、
前記Yが40以上80以下の場合、前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)の含有量は、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)と前記シリカ粒子(C)と前記シランカップリング剤(D)との合計量100重量部に対して、0.8重量部以上15重量部以下であり、かつJIS K6252(2001)に準拠して測定される引裂強度が、25N/mm以上であり、
下記の伸張操作を繰り返し5回行い、1回目の前記伸張操作のときのヒステリシスロスをΔE1、2回目の前記伸張操作のときのヒステリシスロスをΔE2、5回目の前記伸張操作のときのヒステリシスロスをΔE5、1回目のヒステリシスロスに対する2回目のヒステリシスロスの変動比率である|ΔE2/ΔE1|×100をH1(%)、および1回目のヒステリシスロスに対する5回目のヒステリシスロスの変動比率である|ΔE5/ΔE1|×100をH2(%)とし、
JIS K6251(2004)に準拠して測定される引張強度をS(MPa)としたとき、
H1が25以下であり、かつ、H1×Sが、125以上400以下、
H2が15以下であり、H2×Sが、85以上300以下、および、
|ΔE5/ΔE2|×100が、80%以下である、
樹脂製可動部材が提供される。
(伸張操作)
伸張操作とは、室温25℃、伸張速度1000mm/分で、ダンベル試験片を、変位量0%から500%まで伸張し、その後、除力により変位量500%から0%まで収縮させる操作とする。
また本発明によれば、
上記脂製可動部材を備える、構造体が提供される。
本発明によれば、機械的強度および耐久性に優れる樹脂製可動部材および構造体が提供される。
伸張操作を説明するための図である。
本実施形態の樹脂製可動部材は、下記の伸張操作を繰り返し5回行い、1回目の前記伸張操作のときのヒステリシスロスをΔE1とし、2回目の前記伸張操作のときのヒステリシスロスをΔE2とし、1回目のヒステリシスロスに対する2回目のヒステリシスロスの変動比率である|ΔE2/ΔE1|×100をH1(%)とし、JIS K6251(2004)に準拠して測定される引張強度をS(MPa)としたとき、H1が25以下であり、かつ、H1×Sが、125以上400以下とすることができる。
本実施形態において、伸張操作とは、室温25℃、伸張速度1000mm/分で、ダンベル試験片を、変位量0%から500%まで伸張し、その後、除力により変位量500%から0%まで収縮させる操作とすることができる。この伸張操作は、連続で行ってもよい。
また、上記ヒステリシスロスは、1回の上記伸張操作において、伸張時の伸張エネルギー(mJ)と、変形戻し時における除力エネルギー(mJ)との差分エネルギーΔEとすることができる。これらの伸張エネルギーや除力エネルギーは、伸張操作で得られる応力-ひずみ曲線、すなわち、縦軸:伸張操作時の荷重(N)と、横軸:伸張操作時の変位量(mm)とで示される曲線から、積分によって求めた面積(エネルギーの次元を持つ)から算出できる。
本発明者は、機械的強度の状態を評価する指標として、引張強度Sを使用し、ヒステリシスロスの状態を評価する指標として、1回目と2回目の伸張操作におけるヒステリシスロス変動比率H1(|ΔE2/ΔE1|×100)を使用した上で、引張強度Sとヒステリシスロス変動比率H1との積値を指標として採用することにより、機械的強度とヒステリシスロスとのバランスについて安定的に評価できることが判明した。
また、本発明者は、1回目のヒステリシスロスΔE1は、硬度などの初期状態によって数値が変動するものであり、ΔE1自体を小さくすることは難しいと考えた。
そこで、ヒステリシスロス変動比率において、所定N回目のヒステリシスロスΔENを、1回目のヒステリシスロスΔE1で除することによって、硬度などの初期状態の違いによる影響を小さくすることができると考えた。
このような考えに基づいて、ヒステリシスロス変動比率H1を上記上限値以下としつつも、引張強度Sとヒステリシスロス変動比率H1との積値を、上記の下限値以上とすることにより、機械的強度および、変形に対する耐久性に優れた樹脂製可動部材を実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
また、本実施形態の樹脂製可動部材は、5回目の前記伸張操作のときのヒステリシスロスをΔE5とし、1回目のヒステリシスロスに対する5回目のヒステリシスロスの変動比率である|ΔE5/ΔE1|×100をH2(%)としたとき、H2が15以下であり、H2×Sが、85以上300以下とすることができる。
ヒステリシスロス変動比率H2において、5回目のヒステリシスロスΔE5を指標として採用することにより、伸縮などの繰り返し変形が継続的に実施されるような使用環境において、繰り返し変形時における耐久性について安定的に評価できることが分かった。
したがって、ヒステリシスロス変動比率H2を上記上限値以下としつつも、引張強度Sとヒステリシスロス変動比率H2との積値を、上記の下限値以上とすることにより、機械的強度および、繰り返し変形時における耐久性に優れた樹脂製可動部材を実現できる。
また、本実施形態の樹脂製可動部材は、2回目のヒステリシスロスに対する5回目のヒステリシスロスの変動比率である|ΔE5/ΔE2|×100が、80%以下とすることができる。
初回の伸張操作時のヒステリシスロスΔE1ではなく、初回を除いた次回以降のヒステリシスロスΔE2~ΔE5を指標として利用することにより、繰り返し変形が継続的に行われるような使用環境における耐久性を安定的に評価できることを見出した。詳細なメカニズムは定かでないが、次のように考えられる。初回の伸張操作においては、樹脂製可動部材中の組成が伸びによって再配置が生じる傾向にある。このため、2回目以降の伸張操作であれば、このような組成の再配置の影響を抑制できるため、樹脂製可動部材の組成による、繰り返し変形時の耐久性をよりよく評価できると考えられる。
そして、2回目以降、5回目まで複数の伸張操作を繰り返したときのヒステリシスロスの変化率を考慮することで、上述のように、樹脂製可動部材の耐久性を安定的に評価できると考えられる。
したがって、上記|ΔE5/ΔE2|×100を上記下限値以下とすることにより、樹脂製可動部材の、繰り返し変形時の耐久性をより一層向上させることができる。
本実施形態によれば、耐久性に優れる樹脂製可動部材および、かかる樹脂製可動部材を備える構造体を実現できる。本実施形態の樹脂製可動部材は、器具や機器の可動部の動作に追従して、繰り返し変形するように使用される使用環境に適する。
本実施形態の樹脂製可動部材は、医療器具・機器用途の一例として、例えば、医療用のチューブ材;シーリング材;パッキン材;コネクタ材;キーパッド材;駆動機構;センサー;等の一部を構成することができる。例えば、本実施形態の樹脂製可動部材を医療用チューブに適用することで、この医療用チューブは、耐キンク性、耐傷付き性、挿入性及び透明性に優れ、さらに復元性に優れたものとなる。また、医療用チューブとしては、例えば、下記の医療用のカテーテル、マニュピレーターまたはリード等が挙げられる。
本実施形態の樹脂製可動部材は、産業用ロボット等のロボット用途の一例として、例えば、関節等の駆動機構;配線ケーブル、コネクタ等の配線機構;マニュピレーター等の操作機構;などの一部を構成することができる。
本実施形態の樹脂製可動部材は、電子機器用途の一例として、例えば、人間の身体等に着用可能なウェアラブルデバイスに用いられる、伸縮性を有する配線あるいは配線基板;光ファイバー、フラットケーブル、配線構造体、ケーブルガイド等のケーブル;タッチパネル、力覚センサー、MEMS、座席センサー等のセンサー;等の一部を構成することができる。
その他、本実施形態の樹脂製可動部材は、ガスバリアフィルム等の包装材料;調理器具;ホース;定着ベルト;スイッチ;シート材;パッキン材;等の可撓性、伸展性または折りたたみ性を有する生活品の一部を構成することができる。
次に、本実施形態の樹脂製可動部材の特性について説明する。
本実施形態の樹脂製可動部材において、1回目の前記伸張操作のときのヒステリシスロスをΔE1とし、2回目の前記伸張操作のときのヒステリシスロスをΔE2とし、1回目のヒステリシスロスに対する2回目のヒステリシスロスの変動比率である|ΔE2/ΔE1|×100をH1(%)とし、JIS K6251(2004)に準拠して測定される引張強度をS(MPa)とする。このとき、H1の上限値は、例えば、25以下であり、好ましくは24以下であり、さらに好ましくは22以下であり、かつ、H1×Sの下限値は、例えば、125以上であり、好ましくは130以上であり、より好ましくは150以上である。これにより、機械的強度および、変形に対する耐久性に優れた樹脂製可動部材を実現できる。一方で、H1の下限値は、特に限定されないが、例えば、0超でもよく、1以上でもよい。また、H1×Sの上限値は、特に限定されないが、例えば、400以下でもよく、300以下でもよい。
また、本実施形態の樹脂製可動部材において、5回目の前記伸張操作のときのヒステリシスロスをΔE5とし、1回目のヒステリシスロスに対する5回目のヒステリシスロスの変動比率である|ΔE5/ΔE1|×100をH2(%)とする。このとき、H2の上限値は、例えば、15以下であり、好ましくは14.8以下であり、さらに好ましくは14.5以下であり、かつ、H2×Sの下限値は、例えば、85以上であり、好ましくは88以上であり、より好ましくは90以上である。これにより、繰り返し変形時における、機械的強度および変形に対する耐久性に優れた樹脂製可動部材を実現できる。一方で、H2の下限値は、特に限定されないが、例えば、0超でもよく、1以上でもよい。また、H2×Sの上限値は、特に限定されないが、例えば、300以下でもよく、200以下でもよい。
また、本実施形態の樹脂製可動部材において、2回目のヒステリシスロスに対する5回目のヒステリシスロスの変動比率である|ΔE5/ΔE2|×100の上限値は、例えば、80%以下であり、好ましくは78%以下であり、より好ましくは75%以下である。これにより、繰り返し変形時の耐久性に優れた樹脂製可動部材を実現できる。一方で、|ΔE5/ΔE2|×100の下限値は、特に限定されないが、例えば、0%超でもよく、1%以上でもよい。
本実施形態の樹脂製可動部材の、JIS K6251(2004)に準拠して測定される室温25℃での、50%伸張時における引張応力M50の上限値は、例えば、1.5MPa以下でもよく、好ましくは1.3MPa以下でもよく、より好ましくは1.0MPa以下でもよく、一層好ましくは0.8MPa以下でもよい。これにより、変形開始の初期における応力を小さくできるので、器具や機器の操作の初動を良好なものとすることができる。また、樹脂製可動部材の50%伸張時における引張応力M50の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.05MPa以上でもよく、0.1MPa以上でもよい。これにより、樹脂製可動部材の機械的強度を向上させることができる。
本実施形態の樹脂製可動部材によれば、50%伸張時における引張応力M50を小さくすることができる。すなわち、樹脂製可動部材の低ひずみ領域における応力が小さくすることが可能となる。これにより、屈曲や伸張などの変形が容易となる変形容易性に優れた樹脂製可動部材を実現することができる。
本実施形態の樹脂製可動部材の、JIS K6251(2004)に準拠して測定される室温25℃での、100%伸張時における引張応力M100の上限値は、例えば、3.0MPa以下であり、好ましくは2.5MPa以下であり、より好ましくは2.0MPa以下であり、一層好ましくは1.9MPa以下である。これにより、変形開始から変形終了までの中期における応力を小さくできるので、器具や機器の操作をスムーズに行うことができる。また、樹脂製可動部材の100%伸張時における引張応力M100の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.1MPa以上でもよく、0.3MPa以上でもよい。これにより、樹脂製可動部材の機械的強度を向上させることができる。
本実施形態の樹脂製可動部材の、JIS K6251(2004)に準拠して測定される室温25℃での、600%伸張時における引張応力M600の上限値は、例えば、7.0MPa以下でもよく、好ましくは6.5MPa以下でもよく、より好ましくは6.0MPa以下でもよく、一層好ましくは5.5MPa以下でもよい。これにより、変形終了時の後期における応力を小さくすることができるので、器具や機器の操作に応じてスムーズに大きく変形できるので操作性を高めることができ、大きな可動を伴う可動部に適用することができる。また、樹脂製可動部材の600%伸張時における引張応力M600の下限値は、特に限定されないが、例えば、1.5MPa以上でもよく、2.0MPa以上でもよい。これにより、樹脂製可動部材の機械的強度を向上させることができる。
また、本実施形態の樹脂製可動部材によれば、50%伸張時における引張応力M50、100%伸張時における引張応力M100、および600%伸張時における引張応力M600を小さくすることができる。すなわち、樹脂製可動部材の低ひずみ領域から高ひずみ領域において、ひずみ初期における応力が小さく、ひずみ中期における応力も小さく、ひずみ後期における応力も小さくすることが可能となる。これにより、屈曲や伸張などの変形が容易となる変形容易性に優れた樹脂製可動部材を実現することができる。
本実施形態によれば、変形容易性および耐久性に優れる樹脂製可動部材および、かかる樹脂製可動部材を備える構造体を実現できる。
本実施形態の樹脂製可動部材の、JIS K6251(2004)に準拠して測定される引張強度の下限値としては、例えば、7.0MPa以上であり、好ましくは7.5MPa以上であり、より好ましくは8.0MPa以上である。これにより、樹脂製可動部材の機械的強度を向上させることができる。また、破断エネルギーを大きくすることができる。このため、繰り返しの変形に耐えられる耐久性に優れた樹脂製可動部材を実現することができる。一方で、樹脂製可動部材の引張強度の上限値としては、特に限定されないが、例えば、15MPa以下としてもよく、13MPa以下としてもよい。これにより、各種の機器や器具の操作性を良好なものとすることができる。
本実施形態の樹脂製可動部材の、JIS K6252(2001)に準拠して測定される引裂強度の下限値としては、例えば、25N/mm以上であり、好ましくは30N/mm以上であり、より好ましくは33N/mm以上であり、さらに好ましくは35N/mm以上である。これにより、樹脂製可動部材の耐傷付き性や機械的強度を向上させることができる。また、樹脂製可動部材の繰り返し使用時における耐久性を向上させることができる。一方で、樹脂製可動部材の引裂強度の上限値としては、特に限定されないが、例えば、70N/mm以下としてもよく、60N/mm以下としてもよい。これにより、本実施形態の樹脂製可動部材の硬化物の諸特性のバランスをとることができる。
本実施形態の樹脂製可動部材の、JIS K6253(1997)に準拠して規定されるデュロメータ硬さAの上限値としては、例えば、80以下でもよく、75以下でもよく、70以下でもよい。一方で、デュロメータ硬さAの下限値は、例えば、10以上でもよく、15以上でもよく、20以上でもよい。
高硬度タイプの樹脂製可動部材において、デュロメータ硬さAは、例えば、40以上80以下でもよく、好ましくは45以上75以下でもよく、より好ましくは50以上70以下でもよい。
また、低硬度タイプの樹脂製可動部材において、デュロメータ硬さAは、例えば、10以上40未満でもよく、好ましくは15以上39以下でもよく、より好ましくは20以上38以下でもよい。これにより、樹脂製可動部材の柔軟性を向上させることができ、屈曲や伸張などの変形が容易となる変形容易性に優れた樹脂製可動部材を実現することができる。これにより、各種の機器や器具の操作性を良好なものとすることができる。
本実施形態の樹脂製可動部材の、JIS K6251(2004)に準拠して測定される、破断伸びの上限値は、例えば、1500%以下でもよく、好ましくは1200%以下でもよく、より好ましくは1000%以下でもよい。これにより、室温時における樹脂製可動部材の機械的強度を向上させることができる。一方で、上記破断伸びの下限値は、例えば、200%以上であり、好ましくは250%以上であり、より好ましくは300%以上であり、さらに好ましくは400%以上である。これにより、室温時における樹脂製可動部材の高伸縮性および耐久性を向上させることができる。
本実施形態では、たとえば樹脂製可動部材中に含まれる各成分の種類や配合量、樹脂製可動部材を形成するための組成物の調製方法や樹脂製可動部材の製造方法等を適切に選択することにより、上記ヒステリシスロス変化率、引張応力、破断エネルギー、引張強度、引裂強度、硬度を制御することが可能である。これらの中でも、たとえば、樹脂製可動部材を構成する樹脂の種類や配合比率、樹脂の架橋密度や架橋構造等を適切に制御したり、無機充填材の配合比率や無機充填材の分散性を向上させること等が、上記ヒステリシスロス変化率、引張応力、破断エネルギー、引張強度、引裂強度、硬度を所望の数値範囲とするための要素として挙げられ、さらに、無機充填材の含有量(樹脂成分100重量部に対する無機充填材の含有量)/硬度を例えば1未満とすること等が、ヒステリシスロス変化率を所望の数値範囲とするための要素として挙げられる。
以下、本実施形態の樹脂製可動部材の組成について説明する。
本実施形態の樹脂製可動部材は、熱硬化性樹脂またはゴム材で構成されていてもよい。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂及びポリウレタン系樹脂からなる群から選択される一種以上を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記ゴム材としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、スチレンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴムからなる群から選択される一種以上を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。この中でも、特性のバランスの観点から、アクリルゴム、シリコーンゴムまたはウレタンゴムを用いることができ、好ましくはシリコーンゴムを用いることができる。
また、本実施形態の樹脂製可動部材は、医療器具・機器、産業用ロボット、電子機器などの可動部の機能を発揮し得る、任意の成分が添加されていてもよい。例えば、機械的強度を高める観点から、樹脂製可動部材は、無機充填材を含むことができる。無機充填材としては、公知のものが使用できるが、例えば、シリカ粒子を用いることができる。
以下、本実施形態の樹脂製可動部材の一例として、上記シリコーンゴムとして、シリコーンゴム系硬化性組成物を用いた場合について説明する。樹脂製可動部材は、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物で構成されていてもよい。
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)を含むことができる。ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物の主成分となる重合物である。
上記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、直鎖構造を有するビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を含むことができる。
上記ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)は、直鎖構造を有し、かつ、ビニル基を含有しており、かかるビニル基が硬化時の架橋点となる。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)のビニル基の含有量は、特に限定されないが、例えば、分子内に2個以上のビニル基を有し、かつ15モル%以下であるのが好ましく、0.01~12モル%であるのがより好ましい。これにより、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)中におけるビニル基の量が最適化され、後述する各成分とのネットワークの形成を確実に行うことができる。本実施形態において、「~」は、その両端の数値を含むことを意味する。
なお、本明細書中において、ビニル基含有量とは、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を構成する全ユニットを100モル%としたときのビニル基含有シロキサンユニットのモル%である。ただし、ビニル基含有シロキサンユニット1つに対して、ビニル基1つであると考える。
また、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の重合度は、特に限定されないが、例えば、好ましくは1000~10000程度、より好ましくは2000~5000程度の範囲内である。なお、重合度は、例えばクロロホルムを展開溶媒としたGPC(ゲル透過クロマトグラフィー)におけるポリスチレン換算の数平均重合度(又は数平均分子量)等として求めることができる。
さらに、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の比重は、特に限定されないが、0.9~1.1程度の範囲であるのが好ましい。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)として、上記のような範囲内の重合度および比重を有するものを用いることにより、得られるシリコーンゴムの耐熱性、難燃性、化学的安定性等の向上を図ることができる。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)としては、特に、下記式(1)で表される構造を有するものであるが好ましい。
Figure 0007215505000001
式(1)中、Rは炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられ、中でも、ビニル基が好ましい。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基等が挙げられる。
また、Rは炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基が挙げられる。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
また、Rは炭素数1~8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
さらに、式(1)中のRおよびRの置換基としては、例えば、メチル基、ビニル基等が挙げられ、Rの置換基としては、例えば、メチル基等が挙げられる。
なお、式(1)中、複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。さらに、R、およびRについても同様である。
さらに、m、nは、式(1)で表されるビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を構成する繰り返し単位の数であり、mは0~2000の整数、nは1000~10000の整数である。mは、好ましくは0~1000であり、nは、好ましくは2000~5000である。
また、式(1)で表されるビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の具体的構造としては、例えば下記式(1-1)で表されるものが挙げられる。
Figure 0007215505000002
式(1-1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、メチル基またはビニル基であり、少なくとも一方がビニル基である。
さらに、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)としては、ビニル基含有量が分子内に2個以上のビニル基を有し、かつ0.4モル%以下である第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)と、ビニル基含有量が0.5~15モル%である第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを含有するものであるのが好ましい。シリコーンゴムの原料である生ゴムとして、一般的なビニル基含有量を有する第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)と、ビニル基含有量が高い第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを組み合わせることで、ビニル基を偏在化させることができ、シリコーンゴムの架橋ネットワーク中に、より効果的に架橋密度の疎密を形成することができる。その結果、より効果的にシリコーンゴムの引裂強度を高めることができる。
具体的には、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)として、例えば、上記式(1-1)において、Rがビニル基である単位および/またはRがビニル基である単位を、分子内に2個以上有し、かつ0.4モル%以下を含む第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)と、Rがビニル基である単位および/またはRがビニル基である単位を、0.5~15モル%含む第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを用いるのが好ましい。
また、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)は、ビニル基含有量が0.01~0.2モル%であるのが好ましい。また、第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)は、ビニル基含有量が、0.8~12モル%であるのが好ましい。
さらに、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)と第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを組み合わせて配合する場合、(A1-1)と(A1-2)の比率は特に限定されないが、例えば、重量比で(A1-1):(A1-2)が50:50~95:5であるのが好ましく、80:20~90:10であるのがより好ましい。
なお、第1および第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)および(A1-2)は、それぞれ1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、分岐構造を有するビニル基含有分岐状オルガノポリシロキサン(A2)を含んでもよい。
<<オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)>>
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)を含むことができる。
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)は、直鎖構造を有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐構造を有する分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)とに分類され、これらのうちのいずれか一方または双方を含むことができる。
直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、直鎖構造を有し、かつ、Siに水素が直接結合した構造(≡Si-H)を有し、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)のビニル基の他、シリコーンゴム系硬化性組成物に配合される成分が有するビニル基とヒドロシリル化反応し、これらの成分を架橋する重合体である。
直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)の分子量は特に限定されないが、例えば、重量平均分子量が20000以下であるのが好ましく、1000以上、10000以下であることがより好ましい。
なお、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)の重量平均分子量は、例えばクロロホルムを展開溶媒としたGPC(ゲル透過クロマトグラフィー)におけるポリスチレン換算により測定することができる。
また、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、通常、ビニル基を有しないものであるのが好ましい。これにより、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)の分子内において架橋反応が進行するのを的確に防止することができる。
以上のような直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)としては、例えば、下記式(2)で表される構造を有するものが好ましく用いられる。
Figure 0007215505000003
式(2)中、Rは炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、またはヒドリド基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられる。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
また、Rは炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、またはヒドリド基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられる。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
なお、式(2)中、複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。Rについても同様である。ただし、複数のRおよびRのうち、少なくとも2つ以上がヒドリド基である。
また、Rは炭素数1~8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。
なお、式(2)中のR,R,Rの置換基としては、例えば、メチル基、ビニル基等が挙げられ、分子内の架橋反応を防止する観点から、メチル基が好ましい。
さらに、m、nは、式(2)で表される直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)を構成する繰り返し単位の数であり、mは2~150整数、nは2~150の整数である。好ましくは、mは2~100の整数、nは2~100の整数である。
なお、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、分岐構造を有するため、架橋密度が高い領域を形成し、シリコーンゴムの系中の架橋密度の疎密構造形成に大きく寄与する成分である。また、上記直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)同様、Siに水素が直接結合した構造(≡Si-H)を有し、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)のビニル基の他、シリコーンゴム系硬化性組成物に配合される成分のビニル基とヒドロシリル化反応し、これら成分を架橋する重合体である。
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の比重は、0.9~0.95の範囲である。
さらに、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、通常、ビニル基を有しないものであるのが好ましい。これにより、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の分子内において架橋反応が進行するのを的確に防止することができる。
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)としては、下記平均組成式(c)で示されるものが好ましい。
平均組成式(c)
(H(R3-aSiO1/2(SiO4/2
(式(c)において、Rは一価の有機基、aは1~3の範囲の整数、mはH(R3-aSiO1/2単位の数、nはSiO4/2単位の数である)
式(c)において、Rは一価の有機基であり、好ましくは、炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
式(c)において、aは、ヒドリド基(Siに直接結合する水素原子)の数であり、1~3の範囲の整数、好ましくは1である。
また、式(c)において、mはH(R3-aSiO1/2単位の数、nはSiO4/2単位の数である。
分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は分岐状構造を有する。直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、その構造が直鎖状か分岐状かという点で異なり、Siの数を1とした時のSiに結合するアルキル基Rの数(R/Si)が、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)では1.8~2.1、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)では0.8~1.7の範囲となる。
なお、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、分岐構造を有しているため、例えば、窒素雰囲気下、1000℃まで昇温速度10℃/分で加熱した際の残渣量が5%以上となる。これに対して、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、直鎖状であるため、上記条件で加熱した後の残渣量はほぼゼロとなる。
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の具体例としては、下記式(3)で表される構造を有するものが挙げられる。
Figure 0007215505000004
式(3)中、Rは炭素数1~8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基、もしくは水素原子である。炭素数1~8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。Rの置換基としては、例えば、メチル基等が挙げられる。
なお、式(3)中、複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。
また、式(3)中、「-O-Si≡」は、Siが三次元に広がる分岐構造を有することを表している。
なお、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)において、Siに直接結合する水素原子(ヒドリド基)の量は、それぞれ、特に限定されない。ただし、シリコーンゴム系硬化性組成物において、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)中のビニル基1モルに対し、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の合計のヒドリド基量が、0.5~5モルとなる量が好ましく、1~3.5モルとなる量がより好ましい。これにより、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)および分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)と、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)との間で、架橋ネットワークを確実に形成させることができる。
<<シリカ粒子(C)>>
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、シリカ粒子(C)を含むことができる。
シリカ粒子(C)としては、特に限定されないが、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ等が用いられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカ粒子(C)は、例えば、BET法による比表面積が例えば50~400m/gであるのが好ましく、100~400m/gであるのがより好ましい。また、その平均一次粒径が例えば1~100nmであるのが好ましく、5~20nm程度であるのがより好ましい。
シリカ粒子(C)として、かかる比表面積および平均粒径の範囲内であるものを用いることにより、形成されるシリコーンゴムの硬さや機械的強度の向上、特に引張強度の向上をさせることができる。
<<シランカップリング剤(D)>>
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、シランカップリング剤(D)を含むことができる。
シランカップリング剤(D)は、加水分解性基を有することができる。加水分解基が水により加水分解されて水酸基になり、この水酸基がシリカ粒子(C)表面の水酸基と脱水縮合反応することで、シリカ粒子(C)の表面改質を行うことができる。
また、このシランカップリング剤(D)は、疎水性基を有するシランカップリング剤を含むことができる。これにより、シリカ粒子(C)の表面にこの疎水性基が付与されるため、シリコーンゴム系硬化性組成物中ひいてはシリコーンゴム中において、シリカ粒子(C)の凝集力が低下(シラノール基による水素結合による凝集が少なくなる)し、その結果、シリコーンゴム系硬化性組成物中のシリカ粒子の分散性が向上すると推測される。これにより、シリカ粒子とゴムマトリックスとの界面が増加し、シリカ粒子の補強効果が増大する。さらに、ゴムのマトリックス変形の際、マトリックス内でのシリカ粒子の滑り性が向上すると推測される。そして、シリカ粒子(C)の分散性の向上及び滑り性の向上によって、シリカ粒子(C)によるシリコーンゴムの機械的強度(例えば、引張強度や引裂強度など)が向上する。
さらに、シランカップリング剤(D)は、ビニル基を有するシランカップリング剤を含むことができる。これにより、シリカ粒子(C)の表面にビニル基が導入される。そのため、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化の際、すなわち、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)が有するビニル基と、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)が有するヒドリド基とがヒドロシリル化反応して、これらによるネットワーク(架橋構造)が形成される際に、シリカ粒子(C)が有するビニル基も、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)が有するヒドリド基とのヒドロシリル化反応に関与するため、ネットワーク中にシリカ粒子(C)も取り込まれるようになる。これにより、形成されるシリコーンゴムの低硬度化および高モジュラス化を図ることができる。
シランカップリング剤(D)としては、疎水性基を有するシランカップリング剤およびビニル基を有するシランカップリング剤を併用することができる。
シランカップリング剤(D)としては、例えば、下記式(4)で表わされるものが挙げられる。
-Si-(X)4-n・・・(4)
上記式(4)中、nは1~3の整数を表わす。Yは、疎水性基、親水性基またはビニル基を有するもののうちのいずれかの官能基を表わし、nが1の時は疎水性基であり、nが2または3の時はその少なくとも1つが疎水性基である。Xは、加水分解性基を表わす。
疎水性基は、炭素数1~6のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基等が挙げられ、中でも、特に、メチル基が好ましい。
また、親水性基は、例えば、水酸基、スルホン酸基、カルボキシル基またはカルボニル基等が挙げられ、中でも、特に、水酸基が好ましい。なお、親水性基は、官能基として含まれていてもよいが、シランカップリング剤(D)に疎水性を付与するという観点からは含まれていないのが好ましい。
さらに、加水分解性基は、メトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシ基、クロロ基またはシラザン基等が挙げられ、中でも、シリカ粒子(C)との反応性が高いことから、シラザン基が好ましい。なお、加水分解性基としてシラザン基を有するものは、その構造上の特性から、上記式(4)中の(Y-Si-)の構造を2つ有するものとなる。
上記式(4)で表されるシランカップリング剤(D)の具体例は、例えば、官能基として疎水性基を有するものとして、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシランのようなアルコキシシラン;メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシランのようなクロロシラン;ヘキサメチルジシラザンが挙げられ、官能基としてビニル基を有するものとして、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシランのようなアルコキシシラン;ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシランのようなクロロシラン;ジビニルテトラメチルジシラザンが挙げられるが、中でも、上記記載を考慮すると、特に、疎水性基を有するものとしてはヘキサメチルジシラザン、ビニル基を有するものとしてはジビニルテトラメチルジシラザンであるのが好ましい。
<<白金または白金化合物(E)>>
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、白金または白金化合物(E)を含むことができる。
白金または白金化合物(E)は、硬化の際の触媒として作用する触媒成分である。白金または白金化合物(E)の添加量は触媒量である。
白金または白金化合物(E)としては、公知のものを使用することができ、例えば、白金黒、白金をシリカやカーボンブラック等に担持させたもの、塩化白金酸または塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とオレフィンの錯塩、塩化白金酸とビニルシロキサンとの錯塩等が挙げられる。
なお、白金または白金化合物(E)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<<水(F)>>
また、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物には、上記成分(A)~(E)以外に、水(F)が含まれていてもよい。
水(F)は、シリコーンゴム系硬化性組成物に含まれる各成分を分散させる分散媒として機能するとともに、シリカ粒子(C)とシランカップリング剤(D)との反応に寄与する成分である。そのため、シリコーンゴム中において、シリカ粒子(C)とシランカップリング剤(D)とを、より確実に互いに連結したものとすることができ、全体として均一な特性を発揮することができる。
さらに、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、上記(A)~(F)成分の他、シリコーンゴム系硬化性組成物に配合される公知の添加成分を含有していてもよい。例えば、珪藻土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ガラスウール、マイカ等が挙げられる。その他、分散剤、顔料、染料、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、熱伝導性向上剤等を適宜配合することができる。
なお、シリコーンゴム系硬化性組成物において、各成分の含有割合は特に限定されないが、例えば、以下のように設定される。
本実施形態において、シリカ粒子(C)の含有量の上限値は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合計量100重量部に対し、例えば、60重量部以下でもよく、好ましくは50重量部以下でもよく、さらに好ましくは35重量部以下でもよい。これにより、引裂強度、引張永久ひずみのバランスを図ることができる。また、シリカ粒子(C)の含有量の下限値は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合計量100重量部に対し、特に限定されないが、例えば、20重量部以上でもよい。
シランカップリング剤(D)は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対し、例えば、シランカップリング剤(D)が5重量部以上100重量部以下の割合で含有するのが好ましく、5重量部以上40重量部以下の割合で含有するのがより好ましい。
これにより、シリカ粒子(C)のシリコーンゴム系硬化性組成物中における分散性を確実に向上させることができる。
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)の含有量は、具体的にビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)及びシリカ粒子(C)及びシランカップリング剤(D)の合計量100重量部に対して、例えば、0.5重量部以上20重量部以下の割合で含有することが好ましく、0.8重量部以上15重量部以下の割合で含有するのがより好ましい。(B)の含有量が前記範囲内であることで、より効果的な硬化反応ができる可能性がある。
白金または白金化合物(E)の含有量は、触媒量を意味し、適宜設定することができるが、具体的にビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、シリカ粒子(C)、シランカップリング剤(D)の合計量に対して、本成分中の白金族金属が重量単位で0.01~1000ppmとなる量であり、好ましくは、0.1~500ppmとなる量である。白金または白金化合物(E)の含有量を上記下限値以上とすることにより、得られるシリコーンゴム組成物を十分硬化させることができる。白金または白金化合物(E)の含有量を上記上限値以下とすることにより、得られるシリコーンゴム組成物の硬化速度を向上させることができる。
さらに、水(F)を含有する場合、その含有量は、適宜設定することができるが、具体的には、シランカップリング剤(D)100重量部に対して、例えば、10~100重量部の範囲であるのが好ましく、30~70重量部の範囲であるのがより好ましい。これにより、シランカップリング剤(D)とシリカ粒子(C)との反応をより確実に進行させることができる。
<シリコーンゴムの製造方法>
次に、本実施形態のシリコーンゴムの製造方法について説明する。
本実施形態のシリコーンゴムの製造方法としては、シリコーンゴム系硬化性組成物を調製し、このシリコーンゴム系硬化性組成物を硬化させることによりシリコーンゴムを得ることができる。
以下、詳述する。
まず、シリコーンゴム系硬化性組成物の各成分を、任意の混練装置により、均一に混合してシリコーンゴム系硬化性組成物を調製する。
[1]たとえば、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)と、シリカ粒子(C)と、シランカップリング剤(D)とを所定量秤量し、その後、任意の混練装置により、混練することで、これら各成分(A)、(C)、(D)を含有する混練物を得る。
なお、この混練物は、予めビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)とシランカップリング剤(D)とを混練し、その後、シリカ粒子(C)を混練(混合)して得るのが好ましい。これにより、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)中におけるシリカ粒子(C)の分散性がより向上する。
また、この混練物を得る際には、水(F)を必要に応じて、各成分(A)、(C)、および(D)の混練物に添加するようにしてもよい。これにより、シランカップリング剤(D)とシリカ粒子(C)との反応をより確実に進行させることができる。
さらに、各成分(A)、(C)、(D)の混練は、第1温度で加熱する第1ステップと、第2温度で加熱する第2ステップとを経るようにするのが好ましい。これにより、第1ステップにおいて、シリカ粒子(C)の表面をカップリング剤(D)で表面処理することができるとともに、第2ステップにおいて、シリカ粒子(C)とカップリング剤(D)との反応で生成した副生成物を混練物中から確実に除去することができる。その後、必要に応じて、得られた混練物に対して、成分(A)を添加し、更に混練してもよい。これにより、混練物の成分のなじみを向上させることができる。
第1温度は、例えば、40~120℃程度であるのが好ましく、例えば、60~90℃程度であるのがより好ましい。第2温度は、例えば、130~210℃程度であるのが好ましく、例えば、160~180℃程度であるのがより好ましい。
また、第1ステップにおける雰囲気は、窒素雰囲気下のような不活性雰囲気下であるのが好ましく、第2ステップにおける雰囲気は、減圧雰囲気下であるのが好ましい。
さらに、第1ステップの時間は、例えば、0.3~1.5時間程度であるのが好ましく、0.5~1.2時間程度であるのがより好ましい。第2ステップの時間は、例えば、0.7~3.0時間程度であるのが好ましく、1.0~2.0時間程度であるのがより好ましい。
第1ステップおよび第2ステップを、上記のような条件とすることで、前記効果をより顕著に得ることができる。
[2]次に、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)と、白金または白金化合物(E)とを所定量秤量し、その後、任意の混練装置を用いて、上記工程[1]で調製した混練物に、各成分(B)、(E)を混練することで、シリコーンゴム系硬化性組成物を得る。得られたシリコーンゴム系硬化性組成物は溶剤を含むペーストであってもよい。
なお、この各成分(B)、(E)の混練の際には、予め上記工程[1]で調製した混練物とオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)とを、上記工程[1]で調製した混練物と白金または白金化合物(E)とを混練し、その後、それぞれの混練物を混練するのが好ましい。これにより、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)とオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)との反応を進行させることなく、各成分(A)~(E)をシリコーンゴム系硬化性組成物中に確実に分散させることができる。
各成分(B)、(E)を混練する際の温度は、ロール設定温度として、例えば、10~70℃程度であるのが好ましく、25~30℃程度であるのがより好ましい。
さらに、混練する時間は、例えば、5分~1時間程度であるのが好ましく、10~40分程度であるのがより好ましい。
上記工程[1]および上記工程[2]において、温度を上記範囲内とすることにより、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)とオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)との反応の進行をより的確に防止または抑制することができる。また、上記工程[1]および上記工程[2]において、混練時間を上記範囲内とすることにより、各成分(A)~(E)をシリコーンゴム系硬化性組成物中により確実に分散させることができる。
なお、各工程[1]、[2]において使用される混練装置としては、特に限定されないが、例えば、ニーダー、2本ロール、バンバリーミキサー(連続ニーダー)、加圧ニーダー等を用いることができる。
また、本工程[2]において、混練物中に1-エチニルシクロヘキサノールのような反応抑制剤を添加するようにしてもよい。これにより、混練物の温度が比較的高い温度に設定されたとしても、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)とオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)との反応の進行をより的確に防止または抑制することができる。
[3]次に、シリコーンゴム系硬化性組成物を硬化させることによりシリコーンゴムを形成する。
本実施形態において、シリコーンゴム系硬化性樹脂組成物の硬化工程は、例えば、100~250℃で1~30分間加熱(1次硬化)した後、200℃で1~4時間ポストベーク(2次硬化)することによって行われる。
以上のような工程を経ることで、本実施形態のシリコーンゴムが得られる。
本発明者が検討した結果以下の知見を得た。シリコーンゴム中のフィラー量を低減させると、硬度を小さくしたり、引張応力を低減することができるが、一方で、引裂強度が低下し、シリコーンゴムの耐久性が低下することが判明した。
そこで、鋭意検討した結果、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)などの樹脂組成物を適切に選択することにより、架橋密度や架橋構造の偏在を制御でき、幅広いひずみ領域における低応力や低硬度を実現しつつ、シリコーンゴムの引裂強度を高められることを見出した。また、シリコーンゴムの引張強度も高めることができることが分かった。詳細なメカニズムは定かでないが、高ビニル基含有オルガノポリシロキサンと低ビニル基含有ビニル基含有オルガノポリシロキサンの併用により、架橋構造の偏在を制御できるため、硬度を小さくしつつも、シリコーンゴムの引裂強度を高められると考えられる。このように、他の物性を維持しつつも、引裂強度を高めることにより、シリコーンゴムの破断エネルギーを高めることができる。
また、本実施形態において、例えば、フィラー量を低減することにより、初期のひずみにおける引張応力を低減しつつも、樹脂の架橋密度や架橋構造の偏在を制御することにより、後期のひずみにおける引張応力を低減することができる。
本実施形態では、たとえばシリコーンゴム系硬化性組成物中に含まれる各成分の種類や配合量、シリコーンゴム系硬化性組成物の調製方法やシリコーンゴムの製造方法等を適切に選択することにより、上記ヒステリシスロス変化率、引張応力、破断エネルギー、引張強度、引裂強度、硬度を制御することが可能である。これらの中でも、たとえば、低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)と高ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを併用すること、末端にビニル基を有するビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)を使用することにより樹脂の架橋密度や架橋構造の偏在を制御すること、また、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の添加タイミング、シリカ粒子(C)の配合比率、シリカ粒子(C)のシランカップリング剤(D)で表面改質をすること、水を添加すること等のシランカップリング剤(D)とシリカ粒子(C)との反応をより確実に進行させること等が、上記ヒステリシスロス変化率、引張応力、破断エネルギー、引張強度、引裂強度、硬度を所望の数値範囲とするための要素として挙げられる。
また、本実施形態において、シリカ粒子(C)の含有量の上限値は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合計量100重量部に対し、例えば、55重量部以下でもよく、好ましくは53重量部以下でもよく、さらに好ましくは50重量部以下でもよい。これにより、引裂き強度、引張永久ひずみのバランスを図ることができる。また、シリカ粒子(C)の含有量の下限値は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合計量100重量部に対し、特に限定されないが、例えば、10重量部以上でもよく、20重量部以上でもよい。
ここで、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対して、シリカ粒子(C)の含有量をX(重量部)とし、当該シリコーン系硬化組成物の硬化物の、JISK6253で規定されるデュロメータ硬さAをYとしたとき、上記のフィラー量/硬度について、X/Yで表したとき、例えば1未満であり、より好ましくは0.95以下であり、さらに好ましくは0.91以下とすることができる。X(フィラー量)/Y(硬度)を例えば1未満すること等が、理由は定かではないが、ヒステリシスロス変化率を所望の数値範囲とするための要素として挙げられる。
また、本実施形態の樹脂製可動部材において、2回目のヒステリシスロスに対する5回目のヒステリシスロスの変動比率である|ΔE5/ΔE2|×100をH3(%)とする。このとき、H3×(X/Y)の例えば、63以下でもよく、好ましくは60以下でもよく、より好ましくは58以下でもよい。これにより、繰り返し変形時の耐久性に優れた樹脂製可動部材を実現できる。一方で、|ΔE5/ΔE2|×100の下限値は、特に限定されないが、例えば、10以上でもよく、20以上でもよい。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 下記の伸張操作を繰り返し5回行い、1回目の前記伸張操作のときのヒステリシスロスをΔE1とし、2回目の前記伸張操作のときのヒステリシスロスをΔE2とし、1回目のヒステリシスロスに対する2回目のヒステリシスロスの変動比率である|ΔE2/ΔE1|×100をH1(%)とし、
JIS K6251(2004)に準拠して測定される引張強度をS(MPa)としたとき、
H1が25以下であり、かつ、H1×Sが、125以上400以下である、樹脂製可動部材。
(伸張操作)
伸張操作とは、室温25℃、伸張速度1000mm/分で、ダンベル試験片を、変位量0%から500%まで伸張し、その後、除力により変位量500%から0%まで収縮させる操作とする。
2. 1.に記載の樹脂製可動部材であって、
5回目の前記伸張操作のときのヒステリシスロスをΔE5とし、1回目のヒステリシスロスに対する5回目のヒステリシスロスの変動比率である|ΔE5/ΔE1|×100をH2(%)としたとき、
H2が15以下であり、H2×Sが、85以上300以下である、樹脂製可動部材。
3. 1.または2.に記載の樹脂製可動部材であって、
2回目のヒステリシスロスに対する5回目のヒステリシスロスの変動比率である|ΔE5/ΔE2|×100が、80%以下である、樹脂製可動部材。
4. 1.から3.のいずれか1つに記載の樹脂製可動部材であって、
JIS K6252(2001)に準拠して測定される引裂強度が、25N/mm以上である、樹脂製可動部材。
5. 1.から4.のいずれか1つに記載の樹脂製可動部材であって、
JIS K6253(1997)に準拠して規定されるデュロメータ硬さAが、10以上80以下である、樹脂製可動部材。
6. 1.から5.のいずれか1つに記載の樹脂製可動部材であって、
JIS K6251(2004)に準拠して測定される破断伸びが、200%以上1500%以下である、樹脂製可動部材。
7. 1.から6.のいずれか1つに記載の樹脂製可動部材であって、
無機充填材を含む、樹脂製可動部材。
8. 1.から7.のいずれか1つに記載の樹脂製可動部材を備える、構造体。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
表1に示す実施例および比較例で用いた原料成分を以下に示す。
(ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A))
低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1a):合成スキーム1により合成した鎖内ビニル基含有ジメチルポリシロキサン(式(1-1)で表わされる構造でR(鎖内)のみがビニル基である構造)
低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1b):合成スキーム2により合成した末端ビニル基含有ジメチルポリシロキサン(式(1-1)で表わされる構造でR(末端)のみがビニル基である構造)
高ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2a):合成スキーム3により合成したビニル基含有ジメチルポリシロキサン(式(1-1)で表わされる構造でRおよびRがビニル基である構造)
(オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B))
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B):モメンティブ社製、「TC-25D」
(シリカ粒子(C))
シリカ粒子(C):シリカ微粒子(粒径7nm、比表面積300m/g)、日本アエロジル社製、「AEROSIL300」
(シランカップリング剤(D))
シランカップリング剤(D-1):ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)、Gelst社製、「HEXAMETHYLDISILAZANE(SIH6110.1)」
シランカップリング剤(D-2):ジビニルテトラメチルジシラザン、Gelst社製、「1,3-DIVINYLTETRAMETHYLDISILAZANE(SID4612.0)」
(白金または白金化合物(E))
白金または白金化合物(E):白金化合物、モメンティブ社製、「TC-25A」
(ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合成)
[合成スキーム1:低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1a)の合成]
下記式(6)にしたがって、低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1a)を合成した。
すなわち、Arガス置換した、冷却管および攪拌翼を有する300mLセパラブルフラスコに、オクタメチルシクロテトラシロキサン74.7g(252mmol)、2,4,6,8-テトラメチル2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサン0.086g(0.25mmol)およびカリウムシリコネート0.1gを入れ、昇温し、120℃で30分間攪拌した。なお、この際、粘度の上昇が確認できた。
その後、155℃まで昇温し、3時間攪拌を続けた。そして、3時間後、ヘキサメチルジシロキサン0.1g(0.6mmol)を添加し、さらに、155℃で4時間攪拌した。
さらに、4時間後、トルエン250mLで希釈した後、水で3回洗浄した。洗浄後の有機層をメタノール1.5Lで数回洗浄することで、再沈精製し、オリゴマーとポリマーを分離した。得られたポリマーを60℃で一晩減圧乾燥し、低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1a)を得た(Mn=2,5×10、Mw=5,0×10)。また、H-NMRスペクトル測定により算出したビニル基含有量は0.18モル%であった。
Figure 0007215505000005
[合成スキーム2:低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1b)の合成]
上記(A1-1a)の合成工程において、2,4,6,8-テトラメチル2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサンを用いず、ヘキサメチルジシロキサンの代わりに1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン0.1g(0.6mmol)を用いたこと以外は、(A1-1a)の合成工程と同様にして、下記式(7)にしたがって、低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1b)を得た。(Mn=2,2×10、Mw=4,8×10)。また、H-NMRスペクトル測定により算出したビニル基含有量は0.04モル%であった。
Figure 0007215505000006
[合成スキーム3:高ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2a)の合成]
上記(A1-1a)の合成工程において、2,4,6,8-テトラメチル2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサンを、0.86g(2.5mmol)を用い、ヘキサメチルジシロキサンの代わりに1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン0.1g(0.6mmol)を用いたこと以外は、(A1-1a)の合成工程と同様にすることで、下記式にしたがって、高ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2a)を合成した。(Mn=2,3×10、Mw=5,0×10)。また、H-NMRスペクトル測定により算出したビニル基含有量は0.93モル%であった。
Figure 0007215505000007
(シリコーンゴム系硬化性組成物の調製)
実施例および比較例において、次のようにしてシリコーンゴム系硬化性組成物を調整した。まず、表1に示す割合で、95%のビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)およびシランカップリング剤(D)および水(F)の混合物を予め混練し、その後、混合物にシリカ粒子(C)を加えてさらに混練し、混練物(シリコーンゴムコンパウンド)を得た。
ここで、シリカ粒子(C)添加後の混練は、カップリング反応のために窒素雰囲気下、60~90℃の条件下で1時間混練する第1ステップと、副生成物(アンモニア)の除去のために減圧雰囲気下、160~180℃の条件下で2時間混練する第2ステップとを経ることで行い、その後、冷却し、残り5%のビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)を2回に分けて添加し、20分間混練した。
続いて、得られた混練物(シリコーンゴムコンパウンド)100重量部に、表1に示す割合で、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)および白金または白金化合物(E)を加えて、ロールで混練し、シリコーンゴム系硬化性組成物を得た。
以下、得られた各実施例および各比較例のシリコーンゴム系硬化性組成物について、次のような評価を行った。評価結果を表1に示す。
Figure 0007215505000008
(シリコーンゴムの作製)
得られたシリコーンゴム系硬化性組成物を、150℃、10MPaで20分間プレスし、シート状に成形すると共に、1次硬化した。続いて、200℃で4時間加熱し、2次硬化した。以上により、表1に示す所定の厚さを有するシート状シリコーンゴム(シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物)を得た。得られたシート状シリコーンゴムに対して、下記の評価を行った。評価結果を表1に示す。引張強度、破断伸びについては、3つのサンプルで行い、3つの平均値を測定値とした。また、引裂強度については、5つのサンプルで行い、5つの平均値を測定値とした。さらに、硬度については、2つのサンプルを用いて、各サンプルでn=5で測定を行い10測定の平均値を測定値とした。それぞれに対して、その平均値を表1に示す。
(ヒステリシスロスの測定方法)
つぎのような伸張操作により得られた測定値から、下記の算出方法に基づいて、ヒステリシスロスを算出した。
〔伸張操作〕
図1(a)に示すように、シリコーンゴムの作製で得られたシート状シリコーンゴムを用いて、ダンベル形状の試験片10を作製した。
次に、図1(b)に示すように、JIS K6251(2004)に準拠して、試験片10を、変位量0%から500%まで一定の速度(1000mm/分)で伸張し、その後、除力により変位量500%から0%まで一定の速度(1000mm/分)で収縮させる、という伸張操作を5回連続で繰り返し、室温25℃において、試験片10にかかる応力を測定した。
かかる伸張操作試験をN回(N=3)行い、平均値を採用した。
試験機:オートグラフAG5kNX(株式会社島津製作所製、「型番AG-5kNX」)
初期値:60mm(チャック間距離)、0%伸長率
伸長時:360mm(チャック間距離)、500%伸長率
伸張速度:1000mm/分
伸張時間:36秒/1サイクル(1サイクルは、初期値→伸長時→初期値)
〔ヒステリシスロスの算出方法〕
ヒステリシスロスは、上記のN回目の伸張操作から得られた、N回目の試験力-ストローク曲線(ここで、試験力〔N〕は、試験片10を引張った時の応力であり、ストローク〔mm〕は、試験片10を引張った距離)を積分することによって求めた面積(エネルギーの次元を持つ)から、伸張時のエネルギーENUP(mJ)と、除力時のエネルギーENDOWN(mJ)とを算出し、N回目の伸張操作時のヒステリシスロスΔEN(mJ)を、|ENUP-ENDOWN|とした。ただし、Nは1~5の整数である。
ここで、1回目の前記伸張操作のときのヒステリシスロスをΔE1とし、2回目の前記伸張操作のときのヒステリシスロスをΔE2とし、5回目の前記伸張操作のときのヒステリシスロスをΔE5とした。また、1回目のヒステリシスロスに対する2回目のヒステリシスロスの変動比率である|ΔE2/ΔE1|×100をH1(%)とし、1回目のヒステリシスロスに対する5回目のヒステリシスロスの変動比率である|ΔE5/ΔE1|×100をH2(%)とし、2回目のヒステリシスロスに対する5回目のヒステリシスロスの変動比率である|ΔE5/ΔE2|×100をH3(%)とした。
(破断伸び)
得られたシート状シリコーンゴムを用いて、JIS K6251(2004)に準拠して、ダンベル状3号形試験片を作製し、室温25℃における、得られたダンベル状3号形試験片の破断伸びを測定した。破断伸びは、[チャック間移動距離(mm)]÷[初期チャック間距離(60mm)]×100で計算した。単位は%である。
(引張応力)
得られたシート状シリコーンゴムを用いて、JIS K6251(2004)に準拠して、ダンベル状3号形試験片を作製し、得られたダンベル状3号形試験片の、室温25℃での、100%伸張時における引張応力M100を測定した。単位はMPaである。
(引張強度)
得られたシート状シリコーンゴムを用いて、JIS K6251(2004)に準拠して、ダンベル状3号形試験片を作製し、室温25℃における、得られた試験片の引張強度を測定した。単位は、MPaである。なお、この引張強度を、表中S(MPa)と表示する。
(引裂強度)
得られたシート状シリコーンゴムを用いて、JIS K6252(2001)に準拠して、クレセント形試験片を作製し、室温25℃における、得られたクレセント形試験片の引裂強度を測定した。単位は、N/mmである。
(硬度:デュロメータ硬さA)
得られたシート状シリコーンゴムを6枚積層し、試験片を作製した。得られた試験片に対して、室温25℃における、JIS K6253(1997)に準拠してタイプAデュロメータ硬さを測定した。
<繰り返し変形試験>
各実施例および各比較例で得られたシリコーンゴム系硬化性組成を用いて、170℃で5分、200℃で4時間の条件で硬化し、厚み:1mm×内径:5mmを有する筒状部材(チューブ)を作成した。得られた筒状部材をチューブジョイント(アズワン株式会社:クイック型、型番S、接続チューブ内径φ3・4・5)に接続する試験を行った。チューブジョイントへ筒状部材の脱着を4回繰返した。5回目のチューブジョイントと筒状部材の接続後、筒状部材に水を流し、接続部からの水漏れの有無を確認した。筒状部材への脱着時にチューブに亀裂がないものを◎、チューブに2mm以下の亀裂が発生したものを○、チューブに2mm以上の亀裂が発生したものを×とした。5回目のチューブジョイントを筒状部材の接続後に水を流したとき、接続部からの水漏れがないものを○、水漏れが発生したものを×とした。
以上より、実施例1~8のシリコーンゴム系硬化性組成物で得られた樹脂製可動部材においては、比較例1~3と比べて、繰り返し使用時においても、機械的強度とともに耐久性が高いため、これらのバランスに優れていることが分かった。したがって、各実施例の樹脂製可動部材は、各種の器具や機器の可動部を構成する可動部材として適することが分かった。
以上、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
10 試験片

Claims (5)

  1. シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物で構成された樹脂製可動部材であって、
    前記シリコーンゴム系硬化性組成物が、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)、シリカ粒子(C)、およびシランカップリング剤(D)を含み、
    前記シランカップリング剤(D)が、ビニル基を有するシランカップリング剤を含み、
    前記シリカ粒子(C)の含有量は、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対して、50重量部以下であり、
    前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対して、前記シリカ粒子(C)の含有量をX(重量部)とし、前記シリコーン系硬化組成物の硬化物の、JISK6253で規定されるデュロメータ硬さAをYとしたとき、X/Yが、0.91以下であり、
    前記Yが10以上40未満であるか、または前記Yが40以上80以下であり、
    前記Yが40以上80以下の場合、前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)の含有量は、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)と前記シリカ粒子(C)と前記シランカップリング剤(D)との合計量100重量部に対して、0.8重量部以上15重量部以下であり、かつJIS K6252(2001)に準拠して測定される引裂強度が、25N/mm以上であり、
    下記の伸張操作を繰り返し5回行い、1回目の前記伸張操作のときのヒステリシスロスをΔE1、2回目の前記伸張操作のときのヒステリシスロスをΔE2、5回目の前記伸張操作のときのヒステリシスロスをΔE5、1回目のヒステリシスロスに対する2回目のヒステリシスロスの変動比率である|ΔE2/ΔE1|×100をH1(%)、および1回目のヒステリシスロスに対する5回目のヒステリシスロスの変動比率である|ΔE5/ΔE1|×100をH2(%)とし、
    JIS K6251(2004)に準拠して測定される引張強度をS(MPa)としたとき、
    H1が25以下であり、かつ、H1×Sが、125以上400以下、
    H2が15以下であり、H2×Sが、85以上300以下、および、
    |ΔE5/ΔE2|×100が、80%以下である、
    樹脂製可動部材。
    (伸張操作)
    伸張操作とは、室温25℃、伸張速度1000mm/分で、ダンベル試験片を、変位量0%から500%まで伸張し、その後、除力により変位量500%から0%まで収縮させる操作とする。
  2. 請求項1に記載の樹脂製可動部材であって、
    前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対して、前記シリカ粒子(C)の含有量をX(重量部)、前記シリコーン系硬化組成物の硬化物の、JISK6253で規定されるデュロメータ硬さAをY、2回目のヒステリシスロスに対する5回目のヒステリシスロスの変動比率である|ΔE5/ΔE2|×100をH3(%)としたとき、
    H3×(X/Y)が、10以上63以下である、樹脂製可動部材。
  3. 請求項1または2に記載の樹脂製可動部材であって、
    JIS K6251(2004)に準拠して測定される室温25℃での、100%伸張時における引張応力M100の上限値は、3.0MPa以下である、樹脂製可動部材。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂製可動部材であって、
    JIS K6251(2004)に準拠して測定される破断伸びが、200%以上1500%以下である、樹脂製可動部材。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の樹脂製可動部材を備える、構造体。
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