JP2021138895A - エラストマー、及びウェアラブルデバイス - Google Patents

エラストマー、及びウェアラブルデバイス Download PDF

Info

Publication number
JP2021138895A
JP2021138895A JP2020040000A JP2020040000A JP2021138895A JP 2021138895 A JP2021138895 A JP 2021138895A JP 2020040000 A JP2020040000 A JP 2020040000A JP 2020040000 A JP2020040000 A JP 2020040000A JP 2021138895 A JP2021138895 A JP 2021138895A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
elastomer
measured
jis
group
accordance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020040000A
Other languages
English (en)
Inventor
基 佐藤
Motoki Sato
基 佐藤
裕美子 山野井
Yumiko Yamanoi
裕美子 山野井
潤 岡田
Jun Okada
潤 岡田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Bakelite Co Ltd filed Critical Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority to JP2020040000A priority Critical patent/JP2021138895A/ja
Publication of JP2021138895A publication Critical patent/JP2021138895A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Professional, Industrial, Or Sporting Protective Garments (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】耐汗・耐水性に優れたエラストマーを提供する。【解決手段】本発明のエラストマーは、ウェアラブルデバイスの一部を構成するエラストマーであって、シリコーンゴムを含み、40℃、80℃水浸漬処理前後の引張強度の変化量をΔS40、ΔS80としたとき、−50%≦ΔS80≦30%、かつ|ΔS80−ΔS40|≦40%を満たすように構成されるものである。【選択図】なし

Description

本発明は、エラストマー、及びウェアラブルデバイスに関する。
これまでウェアラブルデバイス用のエラストマーについて様々な検討がなされてきた。この種の技術としては、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、ウェアラブルデバイスの外ケース部材にポリウレタンが使用されることが記載されている(特許文献1の段落0031、図2等)。
特表2015−515287号公報
しかしながら、本発明者が検討した結果、上記特許文献1に記載のポリウレタンにおいて、耐汗・耐水性の点で改善の余地があることが判明した。
本発明者はさらに検討したところ、熱水浸漬処理前後におけるエラストマーの物性の変化度合い(熱水物性変化量)を指針とすることで、ウェアラブルデバイスに使用したときのエラストマーの状態を適切に制御できることを見出した。このような知見に基づきさらに鋭意研究したところ、熱水物性変化量の指標として、80℃における熱水物性変化量を小さく、かつ、40℃〜80℃にかけての熱水物性変化量の変動量を抑えることによって、エラストマーにおける耐汗・耐水性を向上させ、ウェアラブルデバイスに好適なエラストマーを実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、
ウェアラブルデバイスの一部を構成するエラストマーであって、
シリコーンゴムを含み、
下記の手順で求められるΔS40、及びΔS80が、
−50%≦ΔS80≦30%、かつ|ΔS80−ΔS40|≦40%を満たす、
エラストマーが提供される。
(手順)
当該エラストマーに対して、さらなる水浸漬処理を施さずに、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの引張強度をS0とする。
当該エラストマーに対して、容器中の超純水に当該エラストマーを浸漬させた状態で、該容器を40℃下で120時間静置する条件Xにて水浸漬処理を施した後、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの引張強度をS1とする。
当該エラストマーに対して、容器中の超純水に当該エラストマーを浸漬させた状態で、該容器を80℃下で120時間静置する条件Yにて水浸漬処理を施した後、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの引張強度をS2とする。
得られたS0、S1、S2を用いて、ΔS40=((S1−S0)/S0)×100、ΔS80=((S2−S0)/S0)×100を算出する。
また本発明によれば、上記のエラストマーを備えるウェアラブルデバイスが提供される。
本発明によれば、耐汗・耐水性に優れたエラストマー、及びそれを用いたウェアラブルデバイスが提供される。
本実施形態のエラストマーの概要を説明する。
本実施形態のエラストマーは、ウェアラブルデバイスの一部を構成するものである。
このエラストマーは、下記の手順で求められるΔS40、及びΔS80が、−30%≦ΔS80≦10%、かつ|ΔS80−ΔS40|≦40%を満たすように構成される。
発明者の知見によれば、身体からの発熱や発汗に繰り返し暴露されるエラストマーにおいて、ゴム特性が低下することに着眼して検討が進めされた結果、所定の熱水物性変化量を指標とすることで、水、熱、塩分などの複合環境下に暴露されたエラストマーにおけるゴム特性を適切に制御できることが見出された。
熱水物性変化量野中でも、80℃における熱水物性変化量、40℃〜80℃にかけての熱水物性変化量の変動量を指標として採用することによって、加速試験的な評価が可能であり、上記の複合環境下に暴露されたエラストマーにおけるゴム特性を安定的に評価可能であることが判明した。
このような知見に基づきさらに鋭意研究したところ、80℃における熱水物性変化量(ΔS80)を上記の範囲内とし、かつ、40℃〜80℃にかけての熱水物性変化量の変動量(|ΔS80−ΔS40|)を上記範囲内とすることによって、エラストマーにおける耐汗・耐水評価試験での繰り返し伸縮および繰り返し屈曲に対する耐久性を向上させ、ウェアラブルデバイスに好適な耐汗・耐水性に優れたエラストマーを実現できることが見出された。
本実施形態のウェアラブルデバイスは、構成部材の一部にエラストマーを備えるものである。
ウェアラブルデバイスは、例えば、身体に直接取付可能なウェアラブルデバイス、衣服等の、身体のいずれかに装着される身体装着具に取付可能なウェアラブルデバイス等が挙げられる。
ウェアラブルデバイスは、耐汗性・耐水性や耐熱性を有するものでもよい。このようなウェアラブルデバイスは、発熱・発汗した身体に設けて使用されてもよく、汗や海水等の塩分を含む液体に暴露されてもよく、身体からの発熱や屋外で照射される赤外線・遠赤外線に暴露され、比較的に高温の環境下で使用されてもよい。
ウェアラブルデバイスとして、例えば、心拍数、心電図、血圧、体温等の生体からの現象を検出する医療用センサー、ヘルスケアデバイス、折り曲げ可能なディスプレイ、伸縮性LEDアレイ、伸縮性太陽電池、伸縮性アンテナ、伸縮性バッテリ、アクチュエーター、ウェアラブルコンピュータ等が挙げられる。これらに用いる電極や配線、基板、伸縮や屈曲する可動部材、外装部材等を構成するための部材として、上記エラストマーを用いることが可能である。ウェアラブルデバイスのうち、身体に接する接触部分にエラストマーを用いてもよい。
なお、エラストマーは、シート状、筒状、袋状などの各種の形状に加工成形され得る。
本実施形態のエラストマーの特性について説明する。
下記の手順で求められるΔS40、及びΔS80が、−50%≦ΔS80≦30%、かつ|ΔS80−ΔS40|≦40%を満たすものである。
ΔS80の上限が、例えば、30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下である。これにより、熱・水環境使用時におけるゴム特性の変動を抑制できる。
一方、ΔS80の下限が、例えば、−50%以上、好ましくは−40%以上、より好ましくは−20%以上である。これにより、耐汗・耐水性試験における耐久性を高められる。
|ΔS80−ΔS40|の上限が、例えば、40%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下である。これにより、耐汗・耐水性試験における耐久性を高められる。
一方、|ΔS80−ΔS40|の下限は、特に限定されない。
(引張強度の測定手順)
当該エラストマーに対して、さらなる水浸漬処理を施さずに、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの引張強度をS0とする。
当該エラストマーに対して、容器中の超純水に当該エラストマーを浸漬させた状態で、該容器を40℃下で120時間静置する条件Xにて水浸漬処理を施した後、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの引張強度をS1とする。
当該エラストマーに対して、容器中の超純水に当該エラストマーを浸漬させた状態で、該容器を80℃下で120時間静置する条件Yにて水浸漬処理を施した後、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの引張強度をS2とする。
得られたS0、S1、S2を用いて、ΔS40=((S1−S0)/S0)×100、ΔS80=((S2−S0)/S0)×100を算出する。
下記の手順で求められるΔA40、及びΔA80が、|ΔA80−ΔA40|≦20%を満たしてもよい。
|ΔA80−ΔA40|の上限が、例えば、20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下である。これにより、熱・水環境使用時における変形容易性の低下を抑制できる。
一方、|ΔA80−ΔA40|の下限は、特に限定されない。
また、ΔA80が、−25%≦ΔA80≦20%を満たしてもよい。
ΔA80の上限が、例えば、20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下である。これにより、熱・水環境使用時におけるゴム特性の変動を抑制できる。
一方、ΔA80の下限が、例えば、−25%以上、好ましくは−20%以上、より好ましくは−10%以上である。これにより、熱・水環境使用時における変形容易性の低下を抑制できる。
(硬度の測定手順)
当該エラストマーに対して、さらなる水浸漬処理を施さずに、25℃で、JIS K6253(1997)に準拠して測定したときの硬度をA0とする。
当該エラストマーに対して、前記条件Xにて水浸漬処理を施した後、25℃で、JIS K6253(1997)に準拠して測定したときの硬度をA1とする。
当該エラストマーに対して、前記条件Yにて水浸漬処理を施した後、25℃で、JIS K6253(1997)に準拠して測定したときの硬度をA2とする。
得られたA0、A1、A2を用いて、ΔA40=((A1−A0)/A0)×100、ΔA80=((A2−A0)/A0)×100を算出する。
下記の手順で求められるΔM40、及びΔM80が、|ΔM80−ΔM40|≦40%を満たしてもよい。
|ΔM80−ΔM40|の上限が、例えば、40%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下である。これにより、熱・水環境使用時における伸長耐久性を向上できる。
一方、|ΔM80−ΔM40|の下限は、特に限定されない。
ΔM80が、−30%≦ΔM80≦15%を満たしてもよい。
ΔM80の上限が、例えば、15%以下、好ましくは12%以下、より好ましくは10%以下である。これにより、熱・水環境使用時におけるゴム特性の変動を抑制できる。
一方、ΔM80の下限が、例えば、−30%以上、好ましくは−20%以上、より好ましくは−10%以上である。これにより、熱・水環境使用時における伸長耐久性を高められる。
(引張応力の測定手順)
当該エラストマーに対して、さらなる水浸漬処理を施さずに、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの300%伸長時の引張応力をM0とする。
当該エラストマーに対して、前記条件Xにて水浸漬処理を施した後、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの300%伸長時の引張応力をM1とする。
当該エラストマーに対して、前記条件Yにて水浸漬処理を施した後、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの300%伸長時の引張応力をM2とする。
得られたM0、M1、M2を用いて、ΔM40=((M1−M0)/M0)×100、ΔM80=((M2−M0)/M0)×100を算出する。
下記の手順で求められるΔBE40、及びΔBE80が、|ΔBE80−ΔBE40|≦5%を満たしてもよい。
|ΔBE80−ΔBE40|の上限が、例えば、30%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。これにより、耐汗・耐水性試験におけるゴム特性の低下を抑制できる。
一方、|ΔBE80−ΔBE40|の下限は、特に限定されない。
(破断伸びの測定手順)
当該エラストマーに対して、さらなる水浸漬処理を施さずに、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの破断伸びをBE0とする。
当該エラストマーに対して、前記条件Xにて水浸漬処理を施した後、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの破断伸びをBE1とする。
当該エラストマーに対して、前記条件Yにて水浸漬処理を施した後、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの破断伸びをBE2とする。
得られたBE0、BE1、BE2を用いて、ΔBE40=((BE1−BE0)/BE0)×100、ΔBE80=((BE2−BE0)/BE0)×100を算出する。
下記の手順で求められるΔTS80が、−30%≦ΔTS80≦20%を満たしてもよい。
ΔTS80の上限が、例えば、20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下である。これにより、熱・水環境使用時におけるゴム特性の変動を抑制できる。
一方、ΔTS80の下限が、例えば、−30%以上、好ましくは−20%以上、より好ましくは−10%以上である。これにより、熱・水環境使用時における伸長耐久性を高められる。
(引裂強度の測定手順)
当該エラストマーに対して、さらなる水浸漬処理を施さずに、25℃で、JIS K6252(2001)に準拠して測定したときの引裂強度をTS0とする。
当該エラストマーに対して、前記条件Yにて水浸漬処理を施した後、25℃で、JIS K6252(2001)に準拠して測定したときの引裂強度をTS2とする。
得られたTS0、TS2を用いて、ΔTS80=((TS2−TS0)/TS0)×100を算出する。
下記の手順で求められるΔW80が、−2.0%≦ΔW80≦2.0%を満たしてもよい。
ΔW80の上限が、例えば、2.0%以下、好ましくは1.5%以下、より好ましくは1.0%以下である。
一方、ΔW80の下限が、例えば、−2.0%以上、好ましくは−1.5%以上、より好ましくは−2.0%以上である。このような範囲内とすることで、耐汗・耐水性試験におけるゴム特性の変動を抑制できる。
(重量の測定手順)
当該エラストマーに対して、さらなる水浸漬処理を施さずに、25℃で、測定した重量をW0とする。
当該エラストマーに対して、前記条件Yにて水浸漬処理を施した後、25℃で、前記重量をW2とする。
得られたW0、W2を用いて、ΔW80=((W2−W0)/W0)×100を算出する。
本実施形態では、たとえばエラストマー中に含まれる各成分の種類や配合量、エラストマーを形成するための組成物の調製方法等を適切に選択することにより、上記の引張強度、硬度、引張応力、破断伸び、引裂強度、及び重量を制御することが可能である。これらの中でも、たとえば、エラストマーを構成する樹脂の種類や配合比率、樹脂の架橋密度や架橋構造等を適切に制御すること、無機充填材の配合比率や無機充填材の分散性を向上させること等が、上記の引張強度、硬度、引張応力、破断伸び、引裂強度、及び重量を所望の数値範囲とするための要素として挙げられる。
本実施形態のエラストマーの組成について説明する。
エラストマーは、シリコーンゴムを含む。エラストマーは、1種または2種以上のシリコーンゴムを含んでもよく、シリコーンゴム単独で構成されてもよく、シリコーンゴムと、シリコーンゴム以外の公知のエラストマー成分を含んでもよい。
シリコーンゴムは、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物で構成されてもよい。
シリコーンゴムは、各種の機能を発揮し得る、任意の成分が添加されていてもよい。例えば、機械的強度を高める観点から、シリコーンゴムは、無機充填材を含むことができる。無機充填材としては、公知のものが使用できるが、例えば、シリカ粒子を用いることができる。
次に、シリコーンゴム系硬化性組成物の各成分について詳述する。
<<ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)>>
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)を含む。ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物の主成分となる重合物である。
上記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、直鎖構造を有するビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を含むことができる。
上記ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)は、直鎖構造を有し、かつ、ビニル基を含有しており、かかるビニル基が硬化時の架橋点となる。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)のビニル基の含有量は、特に限定されないが、例えば、分子内に2個以上のビニル基を有し、かつ15モル%以下であるのが好ましい。これにより、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)中におけるビニル基の量が最適化され、後述する各成分とのネットワークの形成を確実に行うことができる。
本明細書中、「〜」は、特に明示しない限り、上限値と下限値を含むことを表す。
なお、本明細書中において、ビニル基含有量とは、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を構成する全ユニットを100モル%としたときのビニル基含有シロキサンユニットのモル%である。ただし、ビニル基含有シロキサンユニット1つに対して、ビニル基1つであると考える。
また、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の重合度は、特に限定されないが、例えば、好ましくは1000〜10000程度、より好ましくは2000〜5000程度の範囲内である。なお、重合度は、例えばクロロホルムを展開溶媒としたGPC(ゲル透過クロマトグラフィー)におけるポリスチレン換算の数平均重合度(又は数平均分子量)等として求めることができる。
さらに、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の比重は、特に限定されないが、0.9〜1.1程度の範囲であるのが好ましい。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)として、上記のような範囲内の重合度および比重を有するものを用いることにより、得られるシリコーンゴムの耐熱性、難燃性、化学的安定性等の向上を図ることができる。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)としては、特に、下記式(1)で表される構造を有するものであるが好ましい。
Figure 2021138895
式(1)中、Rは炭素数1〜10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられ、中でも、ビニル基が好ましい。炭素数1〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基等が挙げられる。
また、Rは炭素数1〜10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基が挙げられる。炭素数1〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
また、Rは炭素数1〜8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
さらに、式(1)中のRおよびRの置換基としては、例えば、メチル基、ビニル基等が挙げられ、Rの置換基としては、例えば、メチル基等が挙げられる。
なお、式(1)中、複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。さらに、R、およびRについても同様である。
さらに、m、nは、式(1)で表されるビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を構成する繰り返し単位の数であり、mは0〜2000の整数、nは1000〜10000の整数である。mは、好ましくは0〜1000であり、nは、好ましくは2000〜5000である。
また、式(1)で表されるビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の具体的構造としては、例えば下記式(1−1)で表されるものが挙げられる。
Figure 2021138895
式(1−1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、メチル基またはビニル基であり、少なくとも一方がビニル基である。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)は、ビニル基含有量が分子内に2個以上のビニル基を有し、かつ0.4モル%以下である第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1)を含んでもよい。第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1)のビニル基量は、0.1モル%以下でもよい。
また、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)は、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1)とビニル基含有量が0.5〜15モル%である第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−2)とを含有してもよい。
シリコーンゴムの原料である生ゴムとして、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1)と、ビニル基含有量が高い第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−2)とを組み合わせることで、ビニル基を偏在化させることができ、シリコーンゴムの架橋ネットワーク中に、より効果的に架橋密度の疎密を形成することができる。その結果、より効果的にシリコーンゴムの引裂強度を高めることができる。
具体的には、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)として、例えば、上記式(1−1)において、Rがビニル基である単位および/またはRがビニル基である単位を、分子内に2個以上有し、かつ0.4モル%以下を含む第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1)と、Rがビニル基である単位および/またはRがビニル基である単位を、0.5〜15モル%含む第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−2)とを用いるのが好ましい。
また、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1)は、ビニル基含有量が0.01〜0.2モル%であるのが好ましい。また、第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−2)は、ビニル基含有量が、0.8〜12モル%であるのが好ましい。
さらに、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1)と第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−2)とを組み合わせて配合する場合、(A1−1)と(A1−2)の比率は特に限定されないが、例えば、重量比で(A1−1):(A1−2)が50:50〜95:5であるのが好ましく、80:20〜90:10であるのがより好ましい。
なお、第1および第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1)および(A1−2)は、それぞれ1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、分岐構造を有するビニル基含有分岐状オルガノポリシロキサン(A2)を含んでもよい。
<<オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)>>
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)を含むことができる。
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)は、直鎖構造を有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐構造を有する分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)とに分類され、これらのうちのいずれか一方または双方を含むことができる。
直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、直鎖構造を有し、かつ、Siに水素が直接結合した構造(≡Si−H)を有し、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)のビニル基の他、シリコーンゴム系硬化性組成物に配合される成分が有するビニル基とヒドロシリル化反応し、これらの成分を架橋する重合体である。
直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)の分子量は特に限定されないが、例えば、重量平均分子量が20000以下であるのが好ましく、1000以上、10000以下であることがより好ましい。
なお、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)の重量平均分子量は、例えばクロロホルムを展開溶媒としたGPC(ゲル透過クロマトグラフィー)におけるポリスチレン換算により測定することができる。
また、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、通常、ビニル基を有しないものであるのが好ましい。これにより、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)の分子内において架橋反応が進行するのを的確に防止することができる。
以上のような直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)としては、例えば、下記式(2)で表される構造を有するものが好ましく用いられる。
Figure 2021138895
式(2)中、Rは炭素数1〜10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、またはヒドリド基である。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられる。炭素数1〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
また、Rは炭素数1〜10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、またはヒドリド基である。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられる。炭素数1〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
なお、式(2)中、複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。Rについても同様である。ただし、複数のRおよびRのうち、少なくとも2つ以上がヒドリド基である。
また、Rは炭素数1〜8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。
なお、式(2)中のR,R,Rの置換基としては、例えば、メチル基、ビニル基等が挙げられ、分子内の架橋反応を防止する観点から、メチル基が好ましい。
さらに、m、nは、式(2)で表される直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)を構成する繰り返し単位の数であり、mは2〜150整数、nは2〜150の整数である。好ましくは、mは2〜100の整数、nは2〜100の整数である。
なお、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、分岐構造を有するため、架橋密度が高い領域を形成し、シリコーンゴムの系中の架橋密度の疎密構造形成に大きく寄与する成分である。また、上記直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)同様、Siに水素が直接結合した構造(≡Si−H)を有し、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)のビニル基の他、シリコーンゴム系硬化性組成物に配合される成分のビニル基とヒドロシリル化反応し、これら成分を架橋する重合体である。
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の比重は、0.9〜0.95の範囲である。
さらに、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、通常、ビニル基を有しないものであるのが好ましい。これにより、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の分子内において架橋反応が進行するのを的確に防止することができる。
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)としては、下記平均組成式(c)で示されるものが好ましい。
平均組成式(c)
(H(R3−aSiO1/2(SiO4/2
(式(c)において、Rは一価の有機基、aは1〜3の範囲の整数、mはH(R3−aSiO1/2単位の数、nはSiO4/2単位の数である)
式(c)において、Rは一価の有機基であり、好ましくは、炭素数1〜10の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
式(c)において、aは、ヒドリド基(Siに直接結合する水素原子)の数であり、1〜3の範囲の整数、好ましくは1である。
また、式(c)において、mはH(R3−aSiO1/2単位の数、nはSiO4/2単位の数である。
分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は分岐状構造を有する。直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、その構造が直鎖状か分岐状かという点で異なり、Siの数を1とした時のSiに結合するアルキル基Rの数(R/Si)が、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)では1.8〜2.1、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)では0.8〜1.7の範囲となる。
なお、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、分岐構造を有しているため、例えば、窒素雰囲気下、1000℃まで昇温速度10℃/分で加熱した際の残渣量が5%以上となる。これに対して、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、直鎖状であるため、上記条件で加熱した後の残渣量はほぼゼロとなる。
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の具体例としては、下記式(3)で表される構造を有するものが挙げられる。
Figure 2021138895
式(3)中、Rは炭素数1〜8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基、もしくは水素原子である。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。Rの置換基としては、例えば、メチル基等が挙げられる。
なお、式(3)中、複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。
また、式(3)中、「−O−Si≡」は、Siが三次元に広がる分岐構造を有することを表している。
なお、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)において、Siに直接結合する水素原子(ヒドリド基)の量は、それぞれ、特に限定されない。ただし、シリコーンゴム系硬化性組成物において、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)中のビニル基1モルに対し、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の合計のヒドリド基量が、0.5〜5モルとなる量が好ましく、1〜3.5モルとなる量がより好ましい。これにより、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)および分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)と、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)との間で、架橋ネットワークを確実に形成させることができる。
<<シリカ粒子(C)>>
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、シリカ粒子(C)を含むことができる。
シリカ粒子(C)としては、特に限定されないが、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ等が用いられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカ粒子(C)は、例えば、BET法による比表面積が例えば50〜400m/gであるのが好ましく、100〜400m/gであるのがより好ましい。また、その平均一次粒径が例えば1〜100nmであるのが好ましく、5〜20nm程度であるのがより好ましい。
シリカ粒子(C)として、かかる比表面積および平均粒径の範囲内であるものを用いることにより、形成されるシリコーンゴムの硬さや機械的強度の向上、特に引張強度の向上をさせることができる。
<<シランカップリング剤(D)>>
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、シランカップリング剤(D)を含むことができる。
シランカップリング剤(D)は、加水分解性基を有することができる。加水分解基が水により加水分解されて水酸基になり、この水酸基がシリカ粒子(C)表面の水酸基と脱水縮合反応することで、シリカ粒子(C)の表面改質を行うことができる。
また、このシランカップリング剤(D)は、疎水性基を有するシランカップリング剤を含むことができる。これにより、シリカ粒子(C)の表面にこの疎水性基が付与されるため、シリコーンゴム系硬化性組成物中ひいてはシリコーンゴム中において、シリカ粒子(C)の凝集力が低下(シラノール基による水素結合による凝集が少なくなる)し、その結果、シリコーンゴム系硬化性組成物中のシリカ粒子の分散性が向上すると推測される。これにより、シリカ粒子とゴムマトリックスとの界面が増加し、シリカ粒子の補強効果が増大する。さらに、ゴムのマトリックス変形の際、マトリックス内でのシリカ粒子の滑り性が向上すると推測される。そして、シリカ粒子(C)の分散性の向上及び滑り性の向上によって、シリカ粒子(C)によるシリコーンゴムの機械的強度(例えば、引張強度や引裂強度など)が向上する。
さらに、シランカップリング剤(D)は、ビニル基を有するシランカップリング剤を含むことができる。これにより、シリカ粒子(C)の表面にビニル基が導入される。そのため、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化の際、すなわち、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)が有するビニル基と、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)が有するヒドリド基とがヒドロシリル化反応して、これらによるネットワーク(架橋構造)が形成される際に、シリカ粒子(C)が有するビニル基も、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)が有するヒドリド基とのヒドロシリル化反応に関与するため、ネットワーク中にシリカ粒子(C)も取り込まれるようになる。これにより、形成されるシリコーンゴムの低硬度化および高モジュラス化を図ることができる。
シランカップリング剤(D)としては、疎水性基を有するシランカップリング剤およびビニル基を有するシランカップリング剤を併用することができる。
シランカップリング剤(D)としては、例えば、下記式(4)で表わされるものが挙げられる。
−Si−(X)4−n・・・(4)
上記式(4)中、nは1〜3の整数を表わす。Yは、疎水性基、親水性基またはビニル基を有するもののうちのいずれかの官能基を表わし、nが1の時は疎水性基であり、nが2または3の時はその少なくとも1つが疎水性基である。Xは、加水分解性基を表わす。
疎水性基は、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基等が挙げられ、中でも、特に、メチル基が好ましい。
また、親水性基は、例えば、水酸基、スルホン酸基、カルボキシル基またはカルボニル基等が挙げられ、中でも、特に、水酸基が好ましい。なお、親水性基は、官能基として含まれていてもよいが、シランカップリング剤(D)に疎水性を付与するという観点からは含まれていないのが好ましい。
さらに、加水分解性基は、メトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシ基、クロロ基またはシラザン基等が挙げられ、中でも、シリカ粒子(C)との反応性が高いことから、シラザン基が好ましい。なお、加水分解性基としてシラザン基を有するものは、その構造上の特性から、上記式(4)中の(Y−Si−)の構造を2つ有するものとなる。
上記式(4)で表されるシランカップリング剤(D)の具体例は、例えば、官能基として疎水性基を有するものとして、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシランのようなアルコキシシラン;メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシランのようなクロロシラン;ヘキサメチルジシラザンが挙げられ、官能基としてビニル基を有するものとして、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシランのようなアルコキシシラン;ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシランのようなクロロシラン;ジビニルテトラメチルジシラザンが挙げられるが、中でも、上記記載を考慮すると、特に、疎水性基を有するものとしてはヘキサメチルジシラザン、ビニル基を有するものとしてはジビニルテトラメチルジシラザンであるのが好ましい。
<<白金または白金化合物(E)>>
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、白金または白金化合物(E)を含むことができる。
白金または白金化合物(E)は、硬化の際の触媒として作用する触媒成分である。白金または白金化合物(E)の添加量は触媒量である。
白金または白金化合物(E)としては、公知のものを使用することができ、例えば、白金黒、白金をシリカやカーボンブラック等に担持させたもの、塩化白金酸または塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とオレフィンの錯塩、塩化白金酸とビニルシロキサンとの錯塩等が挙げられる。
なお、白金または白金化合物(E)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<<水(F)>>
また、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物には、上記成分(A)〜(E)以外に、水(F)が含まれていてもよい。
水(F)は、シリコーンゴム系硬化性組成物に含まれる各成分を分散させる分散媒として機能するとともに、シリカ粒子(C)とシランカップリング剤(D)との反応に寄与する成分である。そのため、シリコーンゴム中において、シリカ粒子(C)とシランカップリング剤(D)とを、より確実に互いに連結したものとすることができ、全体として均一な特性を発揮することができる。
さらに、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、上記(A)〜(F)成分の他、シリコーンゴム系硬化性組成物に配合される公知の添加成分を含有していてもよい。例えば、珪藻土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ガラスウール、マイカ等が挙げられる。その他、分散剤、顔料、染料、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、熱伝導性向上剤等を適宜配合することができる。
なお、シリコーンゴム系硬化性組成物において、各成分の含有割合は特に限定されないが、例えば、以下のように設定される。
本実施形態において、シリカ粒子(C)の含有量の上限値は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合計量100重量部に対し、例えば、60重量部以下でもよく、好ましくは50重量部以下でもよく、さらに好ましくは35重量部以下でもよい。これにより、引裂強度、引張永久ひずみのバランスを図ることができる。また、シリカ粒子(C)の含有量の下限値は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合計量100重量部に対し、特に限定されないが、例えば、10重量部以上でもよく、20重量部以上でもよい。
シランカップリング剤(D)は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対し、例えば、シランカップリング剤(D)が5重量部以上100重量部以下の割合で含有するのが好ましく、5重量部以上40重量部以下の割合で含有するのがより好ましい。
これにより、シリカ粒子(C)のシリコーンゴム系硬化性組成物中における分散性を確実に向上させることができる。
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)の含有量は、具体的にビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)及びシリカ粒子(C)及びシランカップリング剤(D)の合計量100重量部に対して、例えば、0.5重量部以上20重量部以下の割合で含有することが好ましく、0.8重量部以上15重量部以下の割合で含有するのがより好ましい。(B)の含有量が前記範囲内であることで、より効果的な硬化反応ができる可能性がある。
白金または白金化合物(E)の含有量は、触媒量を意味し、適宜設定することができるが、具体的にビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、シリカ粒子(C)、シランカップリング剤(D)の合計量に対して、本成分中の白金族金属が重量単位で0.01〜1000ppmとなる量であり、好ましくは、0.1〜500ppmとなる量である。白金または白金化合物(E)の含有量を上記下限値以上とすることにより、得られるシリコーンゴム組成物を十分硬化させることができる。白金または白金化合物(E)の含有量を上記上限値以下とすることにより、得られるシリコーンゴム組成物の硬化速度を向上させることができる。
さらに、水(F)を含有する場合、その含有量は、適宜設定することができるが、具体的には、シランカップリング剤(D)100重量部に対して、例えば、10〜100重量部の範囲であるのが好ましく、30〜70重量部の範囲であるのがより好ましい。これにより、シランカップリング剤(D)とシリカ粒子(C)との反応をより確実に進行させることができる。
<シリコーンゴムの製造方法>
次に、本実施形態のシリコーンゴムの製造方法について説明する。
本実施形態のシリコーンゴムの製造方法としては、シリコーンゴム系硬化性組成物を調製し、このシリコーンゴム系硬化性組成物を硬化させることによりシリコーンゴムを得ることができる。
以下、詳述する。
まず、シリコーンゴム系硬化性組成物の各成分を、任意の混練装置により、均一に混合してシリコーンゴム系硬化性組成物を調製する。
[1]たとえば、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)と、シリカ粒子(C)と、シランカップリング剤(D)とを所定量秤量し、その後、任意の混練装置により、混練することで、これら各成分(A)、(C)、(D)を含有する混練物を得る。
なお、この混練物は、予めビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)とシランカップリング剤(D)とを混練し、その後、シリカ粒子(C)を混練(混合)して得るのが好ましい。これにより、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)中におけるシリカ粒子(C)の分散性がより向上する。
また、この混練物を得る際には、水(F)を必要に応じて、各成分(A)、(C)、および(D)の混練物に添加するようにしてもよい。これにより、シランカップリング剤(D)とシリカ粒子(C)との反応をより確実に進行させることができる。
さらに、各成分(A)、(C)、(D)の混練は、第1温度で加熱する第1ステップと、第2温度で加熱する第2ステップとを経るようにするのが好ましい。これにより、第1ステップにおいて、シリカ粒子(C)の表面をカップリング剤(D)で表面処理することができるとともに、第2ステップにおいて、シリカ粒子(C)とカップリング剤(D)との反応で生成した副生成物を混練物中から確実に除去することができる。その後、必要に応じて、得られた混練物に対して、成分(A)を添加し、更に混練してもよい。これにより、混練物の成分のなじみを向上させることができる。
第1温度は、例えば、40〜120℃程度であるのが好ましく、例えば、60〜90℃程度であるのがより好ましい。第2温度は、例えば、130〜210℃程度であるのが好ましく、例えば、160〜180℃程度であるのがより好ましい。
また、第1ステップにおける雰囲気は、窒素雰囲気下のような不活性雰囲気下であるのが好ましく、第2ステップにおける雰囲気は、減圧雰囲気下であるのが好ましい。
さらに、第1ステップの時間は、例えば、0.3〜1.5時間程度であるのが好ましく、0.5〜1.2時間程度であるのがより好ましい。第2ステップの時間は、例えば、0.7〜3.0時間程度であるのが好ましく、1.0〜2.0時間程度であるのがより好ましい。
第1ステップおよび第2ステップを、上記のような条件とすることで、前記効果をより顕著に得ることができる。
[2]次に、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)と、白金または白金化合物(E)とを所定量秤量し、その後、任意の混練装置を用いて、上記工程[1]で調製した混練物に、各成分(B)、(E)を混練することで、シリコーンゴム系硬化性組成物を得る。得られたシリコーンゴム系硬化性組成物は溶剤を含むペーストであってもよい。
なお、この各成分(B)、(E)の混練の際には、予め上記工程[1]で調製した混練物とオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)とを、上記工程[1]で調製した混練物と白金または白金化合物(E)とを混練し、その後、それぞれの混練物を混練するのが好ましい。これにより、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)とオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)との反応を進行させることなく、各成分(A)〜(E)をシリコーンゴム系硬化性組成物中に確実に分散させることができる。
各成分(B)、(E)を混練する際の温度は、ロール設定温度として、例えば、10〜70℃程度であるのが好ましく、25〜30℃程度であるのがより好ましい。
さらに、混練する時間は、例えば、5分〜1時間程度であるのが好ましく、10〜40分程度であるのがより好ましい。
上記工程[1]および上記工程[2]において、温度を上記範囲内とすることにより、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)とオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)との反応の進行をより的確に防止または抑制することができる。また、上記工程[1]および上記工程[2]において、混練時間を上記範囲内とすることにより、各成分(A)〜(E)をシリコーンゴム系硬化性組成物中により確実に分散させることができる。
なお、各工程[1]、[2]において使用される混練装置としては、特に限定されないが、例えば、ニーダー、2本ロール、バンバリーミキサー(連続ニーダー)、加圧ニーダー等を用いることができる。
また、本工程[2]において、混練物中に1−エチニルシクロヘキサノールのような反応抑制剤を添加するようにしてもよい。これにより、混練物の温度が比較的高い温度に設定されたとしても、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)とオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)との反応の進行をより的確に防止または抑制することができる。
[3]次に、シリコーンゴム系硬化性組成物を硬化させることによりシリコーンゴムを形成する。
本実施形態において、シリコーンゴム系硬化性樹脂組成物の硬化工程は、例えば、100〜250℃で1〜30分間加熱(1次硬化)した後、200℃で1〜4時間ポストベーク(2次硬化)することによって行われる。
以上のような工程を経ることで、本実施形態のシリコーンゴムが得られる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
原料成分を以下に示す。
(ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A))
・低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1):合成スキーム1により合成したビニル基含有ジメチルポリシロキサン(式(1−1)で表わされる構造でR(末端)のみがビニル基である構造)
・高ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−2):合成スキーム2により合成したビニル基含有ジメチルポリシロキサン(式(1−1)で表わされる構造でRおよびRがビニル基である構造)
(オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B))
・オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B):モメンティブ社製、「TC−25D」
(シリカ粒子(C))
・シリカ粒子(C):シリカ微粒子(粒径7nm、比表面積300m/g)、日本アエロジル社製、「AEROSIL300」
(シランカップリング剤(D))
・シランカップリング剤(D−1):ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)、Gelst社製、「HEXAMETHYLDISILAZANE(SIH6110.1)」
・シランカップリング剤(D−2):ジビニルテトラメチルジシラザン、Gelst社製、「1,3−DIVINYLTETRAMETHYLDISILAZANE(SID4612.0)」
(白金または白金化合物(E))
・白金または白金化合物(E):白金化合物、モメンティブ社製、「TC−25A」
(ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合成)
[合成スキーム1:低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1)の合成]
下記式(5)にしたがって、低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1)を合成した。
すなわち、Arガス置換した、冷却管および攪拌翼を有する300mLセパラブルフラスコに、オクタメチルシクロテトラシロキサン74.7g(252mmol)、カリウムシリコネート0.1gを入れ、昇温し、120℃で30分間攪拌した。なお、この際、粘度の上昇が確認できた。
その後、155℃まで昇温し、3時間攪拌を続けた。そして、3時間後、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン0.1g(0.6mmol)を添加し、さらに、155℃で4時間攪拌した。
さらに、4時間後、トルエン250mLで希釈した後、水で3回洗浄した。洗浄後の有機層をメタノール1.5Lで数回洗浄することで、再沈精製し、オリゴマーとポリマーを分離した。得られたポリマーを60℃で一晩減圧乾燥し、低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1)を得た(Mn=2,2×10、Mw=4,8×10)。また、H−NMRスペクトル測定により算出したビニル基含有量は0.04モル%であった。
Figure 2021138895
[合成スキーム2:高ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−2)の合成]
上記(A1−1)の合成工程において、オクタメチルシクロテトラシロキサン74.7g(252mmol)に加えて2,4,6,8−テトラメチル2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン0.86g(2.5mmol)を用いたこと以外は、(A1−1)の合成工程と同様にすることで、下記式(6)のように、高ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−2)を合成した。(Mn=2,3×10、Mw=5,0×10)。また、H−NMRスペクトル測定により算出したビニル基含有量は0.93モル%であった。
Figure 2021138895
(シリコーンゴム系硬化性組成物の調製)
次のようにしてシリコーンゴム系硬化性組成物を調整した。
まず、表1に示す割合で、95%のビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)およびシランカップリング剤(D)および水(F)の混合物を予め混練し、その後、混合物にシリカ粒子(C)を加えてさらに混練し、混練物(シリコーンゴムコンパウンド)を得た。
ここで、シリカ粒子(C)添加後の混練は、カップリング反応のために窒素雰囲気下、60〜90℃の条件下で1時間混練する第1ステップと、副生成物(アンモニア)の除去のために減圧雰囲気下、160〜180℃の条件下で2時間混練する第2ステップとを経ることで行い、その後、冷却し、残り5%のビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)を2回に分けて添加し、20分間混練した。
続いて、得られた混練物(シリコーンゴムコンパウンド)100重量部に、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)、及び白金または白金化合物(E)を加えて、ロールで混練し、シリコーンゴム系硬化性組成物を得た。
Figure 2021138895
<エラストマーの作製>
(実施例1)
得られた製造例1のシリコーンゴム系硬化性組成物を、160℃、10MPaで20分間プレスし、厚さ2mmのシート状に成形すると共に、1次硬化した。続いて、200℃で4時間加熱し、2次硬化した。以上により、シート状のシリコーンゴム(シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物)を得た。
(実施例2)
製造例1のシリコーンゴム系硬化性組成物1に代えて、製造例2のシリコーンゴム系硬化性組成物を使用した以外は、実施例1と同様にして、厚さ2mmのシート状のシリコーンゴムを得た。
(比較例1)
ポリウレタンシート((株)ミスミ社、標準ウレタンシート、型式:UTSLL、厚さ:2mm)を使用した。
(比較例2)
ポリウレタンシート((株)ミスミ社、標準ウレタンシート、型式:UTM2、厚さ:2mm)を使用した。
各実施例・各比較例で得られたシート状のエラストマーについて、以下の評価項目に基づいて評価を行った。評価結果を表2に示す。
破断伸び、引張強度、引裂強度、引張応力、寸法、厚み、重量については、3つのサンプルで行い、計3点の平均値を測定値とした。硬度については、2つのサンプルを用いて、各サンプルでn=5で測定を行い、計10点の平均値を測定値とした。
なお、各測定手順において、水浸漬処理後における測定は、試験片の表面の水分をふき取った後で行った。
Figure 2021138895
Figure 2021138895
Figure 2021138895
表2〜4中のΔ表記は、以下の式から算出したものである。
ΔA40=((A1−A0)/A0)×100
ΔA80=((A2−A0)/A0)×100
ΔTS40=((TS1−TS0)/TS0)×100
ΔTS80=((TS2−TS0)/TS0)×100
ΔS40=((S1−S0)/S0)×100
ΔS80=((S2−S0)/S0)×100
ΔBE40=((BE1−BE0)/BE0)×100
ΔBE80=((BE2−BE0)/BE0)×100
ΔM40=((M1−M0)/M0)×100
ΔM80=((M2−M0)/M0)×100
ΔL40=((L1−L0)/L0)×100
ΔL80=((L2−L0)/L0)×100
ΔT40=((T1−T0)/T0)×100
ΔT80=((T2−T0)/T0)×100
ΔW40=((W1−W0)/W0)×100
ΔW80=((W2−W0)/W0)×100
<硬度:デュロメータ硬さ>
得られた厚さ2mmのシート状のエラストマーを3枚積層し、6mmの試験片を作製した。得られた試験片に対して、JIS K6253(1997)に準拠して、25℃におけるタイプAデュロメータ硬さ(硬度)を測定した。
(硬度の測定手順)
・硬度A0:試験片に対して、さらなる水浸漬処理を施さずに、25℃で、JIS K6253(1997)に準拠して測定したときの硬度とする。
・硬度A1:試験片に対して、ポリプロピレン容器中の超純水(milliQ水)に試験片を浸漬させた状態で、当該容器を40℃の水浴中に120時間静置する条件Xにて水浸漬処理を施した後、25℃で、JIS K6253(1997)に準拠して測定したときの硬度とする。
・硬度A2:試験片に対して、テフロン容器(外装:プレッシャークッカー試験用金属容器)中の超純水(milliQ水)に試験片を浸漬させた状態で、当該容器を80℃のオーブン中に120時間静置する条件Yにて水浸漬処理を施した後、25℃で、JIS K6253(1997)に準拠して測定したときの硬度とする。
<引裂強度>
得られた厚さ2mmのシート状エラストマーを用いて、JIS K6252(2001)に準拠して、クレセント形試験片を作製し、25℃における、得られたクレセント形試験片の引裂強度を測定した。単位は、N/mmである。
(引裂強度の測定手順)
・TS0:クレセント形試験片に対して、さらなる水浸漬処理を施さずに、25℃で、JIS K6252(2001)に準拠して測定したときの引裂強度とする。
・TS1:クレセント形試験片に対して、上記の条件Xにて水浸漬処理を施した後、25℃で、JIS K6252(2001)に準拠して測定したときの引裂強度とする。
・TS2:クレセント形試験片に対して、上記の条件Yにて水浸漬処理を施した後、25℃で、JIS K6252(2001)に準拠して測定したときの引裂強度とする。
<引張強度>
得られた厚さ2mmのシート状エラストマーを用いて、JIS K6251(2004)に準拠して、ダンベル状3号形試験片を作製し、25℃における、得られたダンベル状3号形試験片の引張強度を測定した。単位はMPaである。
(引張強度の測定手順)
・S0:ダンベル状3号形試験片に対して、さらなる水浸漬処理を施さずに、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの引張強度とする。
・S1:ダンベル状3号形試験片に対して、上記の条件Xにて水浸漬処理を施した後、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの引張強度とする。
・S2:ダンベル状3号形試験片に対して、上記の条件Yにて水浸漬処理を施した後、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの引張強度とする。
<破断伸び>
得られた厚さ2mmのシート状エラストマーを用いて、JIS K6251(2004)に準拠して、ダンベル状3号形試験片を作製し、25℃における、得られたダンベル状3号形試験片の破断伸びを測定した。
破断伸びは、[標線間移動距離(mm)]÷[初期標線間距離(20mm)]×100で計算した。単位は%である。
(破断伸びの測定手順)
・BE0:ダンベル状3号形試験片に対して、さらなる水浸漬処理を施さずに、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの破断伸びとする。
・BE1:ダンベル状3号形試験片に対して、上記の条件Xにて水浸漬を施した後、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの破断伸びとする。
・BE2:ダンベル状3号形試験片に対して、上記の条件Yにて水浸漬を施した後、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの破断伸びとする。
<引張応力:300%モジュラス>
得られた厚さ2mmのシート状のエラストマーを用いて、JIS K6251(2004)に準拠して、ダンベル状3号形試験片を作製し、引張速度:500mm/分で、得られたダンベル状3号形試験片の、300%伸張時における引張応力Mを測定した。単位はMPaである。
(引張応力の測定条件)
・M0:ダンベル状3号形試験片に対して、さらなる水浸漬処理を行わずに、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの300%伸張時における引張応力とする。
・M1:ダンベル状3号形試験片に対して、上記の条件Xにて水浸漬を施した後、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの300%伸張時における引張応力とする。
・M2:ダンベル状3号形試験片に対して、上記の条件Yにて水浸漬を施した後、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの300%伸張時における引張応力とする。
<寸法、厚み、重量>
得られた厚さ2mmのシート状のエラストマーを用いて、JIS K6251(2004)に準拠して、ダンベル状3号形試験片を作製し、ノギスを用いて長辺の長さL(寸法)、厚み計を用いて厚みT、重量計を用いて重量Wを測定した。単位は、それぞれ、mm、mm、gである。
・L0、T0、W0:試験片に対して、さらなる水浸漬処理を施さずに、25℃で測定したときの長さ、厚み、重量とする。
・L1、T1、W1:試験片に対して、上記の条件Xにて水浸漬を施した後、25℃で測定したときの長さ、厚み、重量とする。
・L2、T2、W2:試験片に対して、上記の条件Yにて水浸漬を施した後、25℃で測定したときの長さ、厚み、重量とする。
<耐汗・耐水評価試験>
実施例のシート状シリコーンゴム、各比較例のシート状のエラストマーを用いて、厚み:1mm×長さ:50mm×幅:20mmを有する板状部材(ウエアラブル基板)を作成した。得られた板状部材を80℃の密閉容器中で、JIS L0848で規定される酸性人工汗液を染み込ませた不織布に、シート状のエラストマーの一面を接触させ、そのままの状態で2週間静置した。その後、板状部材の180°の折り曲げと100%の伸長を交互に100回ずつ繰り返し行う伸長屈曲試験を行った。
実施例1、2のエラストマーは、比較例1、2と比較して、耐汗・耐水評価試験において破断・破損箇所が少なく、繰り返し伸縮および繰り返し屈曲に対する耐久性(耐水・耐汗性)に優れる結果を示した。
このような実施例1、2のエラストマーは、身体や身体装着具に取付可能なウェアラブルデバイス、具体的には、身体に接するウェアラブルデバイスの一部を構成する部材として好適に用いることができる。

Claims (14)

  1. ウェアラブルデバイスの一部を構成するエラストマーであって、
    シリコーンゴムを含み、
    下記の手順で求められるΔS40、及びΔS80が、
    −50%≦ΔS80≦30%、かつ|ΔS80−ΔS40|≦40%を満たす、
    エラストマー。
    (手順)
    当該エラストマーに対して、さらなる水浸漬処理を施さずに、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの引張強度をS0とする。
    当該エラストマーに対して、容器中の超純水に当該エラストマーを浸漬させた状態で、該容器を40℃下で120時間静置する条件Xにて水浸漬処理を施した後、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの引張強度をS1とする。
    当該エラストマーに対して、容器中の超純水に当該エラストマーを浸漬させた状態で、該容器を80℃下で120時間静置する条件Yにて水浸漬処理を施した後、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの引張強度をS2とする。
    得られたS0、S1、S2を用いて、ΔS40=((S1−S0)/S0)×100、ΔS80=((S2−S0)/S0)×100を算出する。
  2. 請求項1に記載のエラストマーであって、
    下記の手順で求められるΔA40、及びΔA80が、
    |ΔA80−ΔA40|≦20%を満たす、エラストマー。
    (手順)
    当該エラストマーに対して、さらなる水浸漬処理を施さずに、25℃で、JIS K6253(1997)に準拠して測定したときの硬度をA0とする。
    当該エラストマーに対して、前記条件Xにて水浸漬処理を施した後、25℃で、JIS K6253(1997)に準拠して測定したときの硬度をA1とする。
    当該エラストマーに対して、前記条件Yにて水浸漬処理を施した後、25℃で、JIS K6253(1997)に準拠して測定したときの硬度をA2とする。
    得られたA0、A1、A2を用いて、ΔA40=((A1−A0)/A0)×100、ΔA80=((A2−A0)/A0)×100を算出する。
  3. 請求項2に記載のエラストマーであって、
    ΔA80が、−25%≦ΔA80≦20%を満たす、エラストマー。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のエラストマーであって、
    下記の手順で求められるΔM40、及びΔM80が、
    |ΔM80−ΔM40|≦40%を満たす、エラストマー。
    (手順)
    当該エラストマーに対して、さらなる水浸漬処理を施さずに、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの300%伸長時の引張応力をM0とする。
    当該エラストマーに対して、前記条件Xにて水浸漬処理を施した後、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの300%伸長時の引張応力をM1とする。
    当該エラストマーに対して、前記条件Yにて水浸漬処理を施した後、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの300%伸長時の引張応力をM2とする。
    得られたM0、M1、M2を用いて、ΔM40=((M1−M0)/M0)×100、ΔM80=((M2−M0)/M0)×100を算出する。
  5. 請求項4に記載のエラストマーであって、
    ΔM80が、−30%≦ΔM80≦15%を満たす、エラストマー。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のエラストマーであって、
    下記の手順で求められるΔBE40、及びΔBE80が、
    |ΔBE80−ΔBE40|≦30%を満たす、エラストマー。
    (手順)
    当該エラストマーに対して、さらなる水浸漬処理を施さずに、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの破断伸びをBE0とする。
    当該エラストマーに対して、前記条件Xにて水浸漬処理を施した後、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの破断伸びをBE1とする。
    当該エラストマーに対して、前記条件Yにて水浸漬処理を施した後、25℃で、JIS K6251(2004)に準拠して測定したときの破断伸びをBE2とする。
    得られたBE0、BE1、BE2を用いて、ΔBE40=((BE1−BE0)/BE0)×100、ΔBE80=((BE2−BE0)/BE0)×100を算出する。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のエラストマーであって、
    下記の手順で求められるΔTS80が、−30%≦ΔTS80≦20%を満たす、エラストマー。
    (手順)
    当該エラストマーに対して、さらなる水浸漬処理を施さずに、25℃で、JIS K6252(2001)に準拠して測定したときの引裂強度をTS0とする。
    当該エラストマーに対して、前記条件Yにて水浸漬処理を施した後、25℃で、JIS K6252(2001)に準拠して測定したときの引裂強度をTS2とする。
    得られたTS0、TS2を用いて、ΔTS80=((TS2−TS0)/TS0)×100を算出する。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のエラストマーであって、
    下記の手順で求められるΔW80が、−2.0%≦ΔW80≦2.0%を満たす、エラストマー。
    (手順)
    当該エラストマーに対して、さらなる水浸漬処理を施さずに、25℃で、測定した重量をW0とする。
    当該エラストマーに対して、前記条件Yにて水浸漬処理を施した後、25℃で、前記重量をW2とする。
    得られたW0、W2を用いて、ΔW80=((W2−W0)/W0)×100を算出する。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のエラストマーであって、
    前記シリコーンゴムが、無機充填材を含む、エラストマー。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載のエラストマーであって、
    前記シリコーンゴムが、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物で構成される、エラストマー。
  11. 請求項10に記載のエラストマーであって、
    前記シリコーンゴム系硬化性組成物が、シリカ粒子(C)を含む、エラストマー。
  12. 請求項11に記載のエラストマーであって、
    前記シリコーンゴム系硬化性組成物が、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)を含み、
    前記シリコーンゴム系硬化性組成物中、前記シリカ粒子(C)の含有量が、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対して、10重量部以上60重量部以下である、エラストマー。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のエラストマーであって、
    発熱・発汗した身体に設けられるウェアラブルデバイスの一部に用いられるエラストマー。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項に記載のエラストマーを備えるウェアラブルデバイス。
JP2020040000A 2020-03-09 2020-03-09 エラストマー、及びウェアラブルデバイス Pending JP2021138895A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020040000A JP2021138895A (ja) 2020-03-09 2020-03-09 エラストマー、及びウェアラブルデバイス

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020040000A JP2021138895A (ja) 2020-03-09 2020-03-09 エラストマー、及びウェアラブルデバイス

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021138895A true JP2021138895A (ja) 2021-09-16

Family

ID=77669492

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020040000A Pending JP2021138895A (ja) 2020-03-09 2020-03-09 エラストマー、及びウェアラブルデバイス

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021138895A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5854041B2 (ja) シリコーンゴム系硬化性組成物、シリコーンゴム系硬化性組成物の製造方法、シリコーンゴムの製造方法、シリコーンゴム、成形体および医療用チューブ
JP6468322B2 (ja) シリコーンゴム系硬化性組成物および成形体
JP2017012674A (ja) ウェアラブルセンサーデバイス
JP2022036155A (ja) 樹脂製可動部材および医療機器
JP2018070866A (ja) シリコーンゴム系硬化性組成物および成形体
JP2018090774A (ja) 樹脂製可動部材および構造体
JP2021066884A (ja) 樹脂製可動部材および構造体
JP7102763B2 (ja) エラストマーおよび成形体
JP6468392B1 (ja) エラストマーおよび成形体
JP7434862B2 (ja) シリコーンゴム、及び構造体
JP2021138895A (ja) エラストマー、及びウェアラブルデバイス
JP2021116362A (ja) シリコーンゴム系硬化性組成物、及びアクチュエータ
JP7275473B2 (ja) エラストマーおよび成形体
JP6844637B2 (ja) シリコーンゴム系硬化性組成物、およびその構造体
WO2020183969A1 (ja) シリコーンゴム系硬化性組成物、構造体、ウェアラブルデバイス、及び構造体の製造方法
JP6468391B1 (ja) エラストマーおよび成形体
JP7434827B2 (ja) シリコーンゴム系硬化性組成物、及びそれを用いた流体駆動型アクチュエータ
JP2020143270A (ja) シリコーンゴム系硬化性組成物、およびその構造体
JP2021081029A (ja) シリコーンゴム系硬化性組成物、及びそれを用いた流体駆動型アクチュエータ
JP2023085568A (ja) エラストマーおよびそれを用いたウェアラブルデバイス
JP2021080397A (ja) シリコーンゴム系硬化性組成物、及びそれを用いた流体駆動型アクチュエータ
JP2021138886A (ja) シリコーンゴム系硬化性組成物、構造体
JP2021138838A (ja) シリコーンゴム系硬化性組成物、ブレード部材、及びワイパーブレード
JP2021116363A (ja) シリコーンゴム系硬化性組成物、及び流体駆動型アクチュエータ
JP2018171699A (ja) 樹脂製可動部材およびロボット

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230208

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20231011

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231114

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240111

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20240402