以下に、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、各図において矢印で示されている方向は、車両に組み付けられている閉止状態の車両ドアを基準とした向きを示す。
図1は、車両ドア10の構成例を模式的に示す図である。図2は、図1のII-II線断面図である。図1および図2に示す車両ドア10は車両の右前部ドア(FRドア)であり、その前端部が図略の車体に対して上下方向の回転軸回りに回転可能に支持される。車両ドア10は、車体の側面に形成された開口部を開放する開位置と、この開口部を塞ぐ閉位置と、の間を車体に対して水平方向に回転可能である。なお、以下の説明中の「前後方向」及び「車内外方向」は、車両ドア10が閉位置に位置する場合を基準とした方向である。
車両ドア10は、その下半部を構成するドア本体部11と、ドア本体部11の上部に設けられたドアサッシ部12とを備える。ドア本体部11は、図2に示すように、外側面を構成するアウタパネル13と、アウタパネル13の車内側の面に固定されているインナパネル14と、インナパネル14の車内側の面に固定され且つドア本体部11の内側面を構成する図略の樹脂製のトリムと、を備えている。また、図1に示すように、アウタパネル13にはドアアウトサイドハンドル17が回転可能に支持されている。また、インナパネル14には図略のドアインサイドハンドルが回転可能に支持されている。ドアアウトサイドハンドル17及びドアインサイドハンドルは初期位置と開放位置との間を回転可能であり、図略の捩じりコイルバネの付勢力によって初期位置に向けて回転付勢される。
図2に示すように、車両用ドアロック装置20は、アウタパネル13とインナパネル14の間に、すなわちドア本体部11の内部に配置され、一部が車両ドア10の後端面に露出する。
図3は、車両用ドアロック装置20を車内方向側且つ後方側から見た斜視図である。図3に示すように、車両用ドアロック装置20は、施解錠機構(ロック・アンロック機構)30と開閉機構40(オープン・クローズ機構)を備える。施解錠機構30は、前後方向及び上下方向に延びたハウジング31を有し、このハウジング31内に、車両ドア10の施錠及び解錠のために作動する複数の作動レバーが収容される。
開閉機構40は、ハウジング31の後方部分に取り付けられる。車両ドア10の解錠時にドアアウトサイドハンドル17又はドアインサイドハンドルを初期位置から開放位置に回転させることにより、閉止している車両ドア10が開放状態にされる。一方、車両ドア10の施錠時にドアアウトサイドハンドル17又はドアインサイドハンドルを初期位置から開放位置に回転させても、閉止している車両ドア10は閉止状態に保持される。なお、本発明は、開閉機構40に特徴を有するため、施解錠機構30についての詳細な説明は省略し、以下、開閉機構40について説明する。
(第一実施形態)
図4は、第一実施形態に係る開閉機構40Aの後面図である。図4に示すように開閉機構40Aは、ベース部材41と、ラッチ42と、ポール43と、ブロックレバー44と、ハーフラッチレバー45とを備える。なお、ベース部材41は二点鎖線により表される。
ベース部材41は、開閉機構40Aの各種部品を支持する部材である。このベース部材41には、車両ドア10が閉作動する際に車体に取り付けられたストライカSTが進入するストライカ進入溝411が形成される。ストライカ進入溝411は、車内外方向に延伸するとともに車内方向に開口する。車両ドア10が閉作動する際には、ストライカSTはストライカ進入溝411の開口端からストライカ進入溝411に進入し、車外方向に向けてストライカ進入溝411内を移動する。
また、ベース部材41に、ラッチ支持軸48A、ポール支持軸48B、及びブロックレバー支持軸48Cが、それぞれ設けられる。各支持軸は、それぞれ前後方向に延設される。ラッチ支持軸48Aは、ストライカ進入溝411よりも上側の位置にてベース部材41に設けられる。一方、ポール支持軸48B及びブロックレバー支持軸48Cは、ストライカ進入溝411よりも下側の位置にてベース部材41に設けられる。ポール支持軸48Bは、ブロックレバー支持軸48Cよりも車内方向側に位置している。
ラッチ支持軸48Aに、ラッチ42が回転可能に支持される。このためラッチ42は、前後方向軸回りに回転可能にベース部材41に支持されることになる。ラッチ42は、支持部421、フルラッチ爪部422、及びハーフラッチ爪部423を有する。支持部421は、ラッチ支持軸48Aに回転可能に支持される部分を構成する。フルラッチ爪部422及びハーフラッチ爪部423は、ラッチ42の回転平面内にて支持部421から二股状に分かれてほぼ同じ方向に延設される。このためフルラッチ爪部422とハーフラッチ爪部423との間に空間が設けられ、この空間によってストライカ保持凹部424が形成される。
ストライカ保持凹部424は、互いに対面するフルラッチ爪部422の内側壁面とハーフラッチ爪部423の内側壁面と、これら内側壁面の基端を接続する底面に囲まれた空間により形成され、ラッチ42の外周面に開口する。このため、ストライカ保持凹部424を挟んでフルラッチ爪部422とハーフラッチ爪部423が形成されていることになる。また、図4からわかるように、ストライカ保持凹部424は、前後方向から見てストライカ進入溝411に重なる位置に設けられる。
フルラッチ爪部422は、ラッチ42が図4において時計回転方向に回転する場合にハーフラッチ爪部423よりも回転方向における前方側に位置する。フルラッチ爪部422の先端部には係合突部422aが形成される。
ハーフラッチ爪部423には、第一係合壁面423a及び第二係合壁面423bが形成される。第一係合壁面423aは、ハーフラッチ爪部423の先端部分に形成される。第一係合壁面423aはハーフラッチ爪部423の内側壁面423dの径外方端(ストライカ保持凹部424の開口端)から図4において下方に向かって湾曲して延設される。第二係合壁面423bは第一係合壁面423aの下端から図4において車外方向に向かって湾曲して延設される。第二係合壁面423bは、図4に示す方向(後方)から見た場合に、ラッチ支持軸48Aの軸心を中心とした円弧形状に形成される。第二係合壁面423bは、ラッチ42の外周壁面の一部を構成する。
また、ラッチ支持軸48Aにラッチリターンスプリング49A(ラッチ付勢部材)が取り付けられており、このラッチリターンスプリング49Aによって、ラッチ42は図4において矢印D1により示される時計回転方向に付勢される。ラッチ42はラッチリターンスプリング49Aの回転付勢力によりラッチ支持軸48A回りを時計回転方向に回転するが、その回転は、図略のラッチストッパにラッチ42が係合することにより規制される。ラッチ42の時計回転方向への回転がラッチストッパにより規制される回転位置が、アンラッチ位置として定義される。図4には、アンラッチ位置に位置するラッチ42が表される。ラッチ42がアンラッチ位置にあるとき、図4に示されるように、ストライカ保持凹部424の開口が車内方向に向く。従って、ラッチ42がアンラッチ位置に位置するとき、ストライカ保持凹部424は、車外方向側に向かってストライカ進入溝411内を移動するストライカSTを受け入れるとともにストライカSTに係合することができる。また、ラッチ42がアンラッチ位置に位置するとき、ストライカ保持凹部424に係合したストライカSTは、車内方向に移動することによって、ストライカ保持凹部424から抜け出すことができる。つまり、アンラッチ位置は、ラッチ42に係合したストライカSTを解放可能な回転位置である。
ポール支持軸48Bに、ポール43が回転可能に支持される。このため、ポール43は、前後方向軸回りに回転可能にベース部材41に支持されることになる。ポール43は、支持部431、第一係合アーム432、及び接続アーム433を有する。支持部431は、ポール支持軸48Bに回転可能に支持される部分を構成する。第一係合アーム432は、支持部431からポール支持軸48Bの径外方に向けて延設される。図4においては、第一係合アーム432は、支持部431から車外方向に延設される。この第一係合アーム432は、係合壁面432c、上側側壁面432d、及び下側側壁面432eを有する。係合壁面432cは、第一係合アーム432の先端面により構成される。係合壁面432cの一方端(上端)から支持部431に向かって上側側壁面432dが形成され、係合壁面432cの他方端(下端)から支持部431に向かって下側側壁面432eが形成される。図4において上側側壁面432dは上方を向き下側側壁面は下方を向く。また、係合壁面432cと下側側壁面432eとの境界部分には、図4において下方側に突出した係合突部432aが形成され、係合壁面432cと上側側壁面432dとの境界部分には、ラッチ42の第二係合壁面423bに向かって突き出た係合突部432bが形成される。また、接続アーム433は、支持部431から、第一係合アーム432の延設方向とは反対の方向に延設される。
また、ポール支持軸48Bにポールリターンスプリング49B(ポール付勢部材)が取り付けられており、このポールリターンスプリング49Bによって、ポール43は図4において矢印D2により示される反時計回転方向に付勢される。このためポール43はポールリターンスプリング49Bの回転付勢力によって反時計回転方向に回転しようとするが、その回転は、ベース部材41に設けられている図略のポールストッパにより規制される。ポールストッパに回転規制された図4に示すポール43の回転位置が、係合位置として定義される。ポール43の回転位置が係合位置であるとき、ポール43の第一係合アーム432は、ラッチ42のフルラッチ爪部422の回転領域に干渉する。つまり、ポール43の係合位置は、フルラッチ爪部422の回転領域に進入した位置である。
ブロックレバー支持軸48Cに、ブロックレバー44が回転可能に支持される。このため、ブロックレバー44は、前後方向軸回りに回転可能にベース部材41に支持されることになる。ブロックレバー44は、支持部441と、第二係合アーム442と、第三係合アーム443とを有する。支持部441は、ブロックレバー支持軸48Cに回転可能に支持される部分を構成する。第二係合アーム442は、支持部441からブロックレバー支持軸48Cの径外方に延設される。図4において、第二係合アーム442は支持部441から上方に延設される。第三係合アーム443は、支持部441からブロックレバー支持軸48Cの径外方であって第二係合アーム442の延設方向とは反対の方向に延設される。この第三係合アーム443には、図略のリフトレバーが接続される。
ブロックレバー44の第二係合アーム442は、当接壁面442aと、車内側側壁面442bと、車外側側壁面442cとを有する。当接壁面442aは第二係合アーム442の先端壁面により構成され、図4に示す方向(後方)から見た場合にブロックレバー支持軸48Cの軸心を中心とする円弧状に形成される。また、車内側側壁面442bは、当接壁面442aの一方端(車内方向側の端)から支持部441に向かって延設される壁面であり、車外側側壁面442cは、当接壁面442aの他方端(車外方向側の端)から支持部441に向かって延設される壁面である。
また、ブロックレバー支持軸48Cには、ハーフラッチレバー45が、ブロックレバー44と同軸回転可能に支持される。ハーフラッチレバー45は、例えばブロックレバー44の前方側にブロックレバー44と重ねられた状態で、ブロックレバー支持軸48Cに支持される。このため、ハーフラッチレバー45は、前後方向軸回りに回転可能にベース部材41に支持されることになる。ハーフラッチレバー45は、支持部451と、ハーフラッチアーム452と、接続アーム453とを有する。支持部451は、ブロックレバー支持軸48Cに回転可能に支持される部分を構成する。ハーフラッチアーム452は、支持部451からブロックレバー支持軸48Cの径外方に延設される。図4において、ハーフラッチアーム452は、支持部451から車外方向に向けて斜め上方に延設される。また、ハーフラッチアーム452には、ハーフラッチ係合壁面452a及び係合突部452bが形成される。ハーフラッチ係合壁面452aはハーフラッチアーム452の先端壁面により構成される。係合突部452bは、ハーフラッチ係合壁面452aの一方の端部からラッチ42の第二係合壁面423bに向けて突出するように形成される。接続アーム453は、支持部451からブロックレバー支持軸48Cの径外方であって、ハーフラッチアーム452の延設方向とはほぼ反対の方向に延設される。図4では、接続アーム453は、ブロックレバー44の第三係合アーム443と同じ方向に延設される。接続アーム453の形状は、ブロックレバー44の第三係合アーム443の形状と同一である。図4では、接続アーム453は、第三係合アーム443に隠れて見えない。
また、ブロックレバー支持軸48Cには、ブロックレバーリターンスプリング49Cが取り付けられている。このブロックレバーリターンスプリング49Cによって、ブロックレバー44及びハーフラッチレバー45が共に、図4に矢印D3で示す反時計回転方向に付勢される。ラッチ42がアンラッチ位置にあるとき、ハーフラッチレバー45の係合突部452bがラッチ42のハーフラッチ爪部423に設けられた第二係合壁面423bに係合することにより、ブロックレバーリターンスプリング49Cによるハーフラッチレバー45の反時計回転方向への回転が規制される。
また、ハーフラッチレバー45には連結片454が形成されている。この連結片454は、接続アーム453から車内方向に延設され、その先端部分が後方側に屈曲形成されている。この連結片454には、ブロックレバー44の第三係合アーム443が係合可能である。
また、ブロックレバー44は、図4に示す状態では、ポール43の回転領域、より具体的にはポール43の第一係合アーム432の回転領域から退避した位置に位置する。このような、ポール43の回転領域から退避したブロックレバー44の回転位置が、非規制位置として定義される。
なお、ラッチ42の回転平面、ポール43の回転平面、及びブロックレバー44の回転平面は、一致する。従って、これらの回転部材の回転領域が干渉する場合、干渉する部材どうしが係合状態にされる。また、ハーフラッチレバー45の回転平面は、少なくともそのハーフラッチ係合壁面452a及び係合突部452bの回転平面が、上記した回転部材の回転平面と一致するように構成されていればよい。
また、図4に示すように、ベース部材41には、ハーフラッチストッパ412が形成される。このハーフラッチストッパ412は、ハーフラッチレバー45の接続アーム453回転領域及びブロックレバー44の第三係合アーム443の回転領域に干渉する位置に形成されている。ハーフラッチストッパ412は、ハーフラッチレバー45の接続アーム453に係合することによって、ハーフラッチレバー45の反時計回転方向への回転を規制する。また、ハーフラッチストッパ412は、ブロックレバー44の第三係合アーム443に係合することによって、ブロックレバー44の反時計回転方向への回転を規制する。
上記構成の開閉機構40Aの作動について説明する。車両ドア10が開放されている時には、開閉機構40Aの作動状態は図4に示すようである。このときラッチ42がアンラッチ位置に位置する。また、ポール43はポールストッパに回転規制された状態で図4に示す係合位置にて回転規制される。また、ハーフラッチレバー45は、ラッチ42の第二係合壁面423bに係合された状態で図4に示す非作動位置にて回転規制される。ハーフラッチレバー45が非作動位置にある場合、ハーフラッチレバー45はハーフラッチ爪部423の外周壁面(第二係合壁面423b)に係止されるため、ハーフラッチ爪部423の回転領域から退避する。つまり、非作動位置は、ハーフラッチレバー45の回転領域のうちハーフラッチ爪部423の回転領域から退避した回転領域内の位置である。また、ブロックレバー44は、図4に示す非規制位置にて回転規制される。ここで、ハーフラッチレバー45には、図4において図略の係合片が形成されており、この係合片がブロックレバー44に係合している。斯かる係合により、ブロックレバー44が図4に示す非規制位置にて回転規制される。この係合片は、ハーフラッチレバー45が図4に示す位置から時計回転方向に回転する場合にブロックレバー44に係合してブロックレバー44を時計回転方向に回転させ、ハーフラッチレバー45が図4に示す位置から反時計回転方向に回転する場合には、非規制位置にあるブロックレバー44から離れるように構成される。
車両ドア10が閉作動していくと、車体に設けられたストライカSTがベース部材41のストライカ進入溝411に進入し、さらにストライカ進入溝411を車外側に向かって移動する。そして、ストライカSTは、やがてラッチ42に形成されたストライカ保持凹部424の開口端部に接触する。(図4参照)。
さらに車両ドア10の閉作動が進んでストライカSTがストライカ進入溝411を車外側に向かって移動すると、ストライカSTはストライカ保持凹部424に受け入れられるとともに、ストライカ保持凹部424の壁面に係合する。このようにラッチ42は、ストライカSTに係合することができるように構成される。そして、ストライカSTがストライカ保持凹部424の壁面に係合しながらさらに車外側に向かって移動することにより、ラッチ42は、ストライカSTを保持したまま、ラッチリターンスプリング49Aの回転付勢力に抗して、図4の反時計回転方向に回転する。
図5は、ラッチ42が図4に示す回転位置から時計回転方向に回転した状態が示された、開閉機構40Aの後面図である。図5に示すように、ラッチ42がアンラッチ位置から時計回転方向に回転すると、ハーフラッチレバー45のハーフラッチアーム452に形成された係合突部452bが、ラッチ42のハーフラッチ爪部423に形成された第二係合壁面423b上をハーフラッチ爪部423の先端側に向かって摺動する。ここで、第二係合壁面423bはラッチ42の回転中心(ラッチ支持軸48Aの軸心)を中心とした円弧状に形成されているので、ラッチ42が回転した場合でも第二係合壁面423bの径方向位置は変化しない。そのため、ハーフラッチレバー45は、回転位置を変化させることなく、すなわち回転位置が非作動位置であるまま、ハーフラッチ爪部423の第二係合壁面423b上を摺動する。
さらにストライカSTの車外方向への移動が進んでラッチ42が反時計回転方向に回転すると、ポール43の第一係合アーム432にラッチ42のフルラッチ爪部422が当接する。図6は、ポール43の第一係合アーム432がラッチ42のフルラッチ爪部422に当接した状態が示された開閉機構40Aの後面図である。図6に示すように、フルラッチ爪部422の係合突部422aが、ポール43の第一係合アーム432の上側側壁面432dに当接している。なお、ラッチ42が図6に示す位置にあるとき、ハーフラッチレバー45はハーフラッチ爪部423の第二係合壁面423bに係合した状態を維持する。従って、ポール43がラッチ42に当接する初期段階において、ハーフラッチレバー45は非作動位置にある。また、ブロックレバー44の回転位置は非規制位置である。
図6に示す状態からさらにラッチ42が反時計回転方向に回転すると、やがて、ハーフラッチレバー45の係合突部452bがハーフラッチ爪部423の第二係合壁面423bから外れる。これにより、ハーフラッチレバー45は、ブロックレバーリターンスプリング49Cの回転付勢力に従って、図6の反時計回転方向に回転する。このハーフラッチレバー45の反時計回転方向への回転は、ハーフラッチレバー45の接続アーム453がハーフラッチストッパ412に係合することにより規制される。ハーフラッチストッパ412との係合により反時計回転方向への回転が規制されたハーフラッチレバー45の回転位置が、作動位置である。
図7は、作動位置にあるハーフラッチレバー45が示された開閉機構40Aの後面図である。図7に示すように、ハーフラッチレバー45が作動位置にあるとき、ハーフラッチレバー45がハーフラッチ爪部423の回転領域に進入しており、ハーフラッチレバー45のハーフラッチ係合壁面452aは、ハーフラッチ爪部423の第一係合壁面423aに対面し得る位置に位置する。このとき車両ドア10の閉作動が終了した場合、ラッチ42はラッチリターンスプリング49Aの回転付勢力に従って時計回転方向に回転しようとするが、その回転は、ハーフラッチレバー45のハーフラッチ係合壁面452aがハーフラッチ爪部423の第一係合壁面423aに係合することにより規制される。作動位置にあるハーフラッチレバー45との係合により時計回転方向への回転が規制されたラッチ42の回転位置が、ハーフラッチ位置として定義される。従って、作動位置は、ハーフラッチレバー45の回転領域のうち、ラッチ42がハーフラッチ位置にあるときにハーフラッチ爪部423の回転領域に進入してハーフラッチ爪部423に係合することによってラッチ42のアンラッチ位置に向かう方向への回転を規制する回転領域(作動領域)内の位置である。また、ハーフラッチ位置にてラッチ42の時計回転方向への回転がハーフラッチレバー45により規制されているような開閉機構40Aの作動状態を、ハーフラッチ状態と呼ぶ。ハーフラッチ状態であるとき、車両ドア10は所謂半ドア状態となる。この場合、車両ドア10は全閉状態よりも開いた状態にて閉止されるとともにその閉止状態が維持される。
また、図7に示すように、ラッチ42の反時計回転方向への回転により、フルラッチ爪部422に当接しているポール43の第一係合アーム432がフルラッチ爪部422に押圧される。このためポール43はポールリターンスプリング49Bの回転付勢力に抗して係合位置から時計回転方向に回転する。また、ラッチ42が反時計回転方向に回転するにつれて、フルラッチ爪部422の係合突部422aと第一係合アーム432の上側側壁面432dとの接触位置が、第一係合アーム432の先端側にずれていく。なお、開閉機構40Aの作動状態が図7に示す状態であるとき、ハーフラッチレバー45が非作動位置から反時計回転方向に回転した作動位置に位置するために、ハーフラッチレバー45に設けられた係合片とブロックレバー44との係合が外れるが、それ以前にポール43が図4に示す係合位置から時計回転方向に回転するために、図7に示すようにポール43の係合壁面432cが非規制位置のブロックレバー44の車内側側壁面442bに当接する。斯かる当接により、ブロックレバー44の回転位置が非規制位置に維持される。
図8は、ラッチ42が図7に示す回転位置からさらに反時計回転方向に回転し、フルラッチ爪部422がポール43の第一係合アーム432の先端位置にある係合突部432bに接触した状態が示された、開閉機構40Aの後面図である。図8に示すように、ポール43は、フルラッチ爪部422に押圧されることによって、最も時計回転方向に回転する。図8に示すポール43の回転位置が、係合解除位置として定義される。ポール43が係合解除位置にあるとき、ポール43は、ラッチ42の回転領域、具体的にはフルラッチ爪部422の回転領域から退避する。つまり、係合解除位置は、ポール43の回転位置のうちフルラッチ爪部422の回転領域から退避した回転位置である。このように、ポール43は、係合位置から係合解除位置まで回転可能に構成される。また、図8に示す状態では、ハーフラッチレバー45はその接続アーム453にてハーフラッチストッパ412に係止された状態を維持する。つまり、ハーフラッチレバー45の回転位置は作動位置である。また、ラッチ42のハーフラッチ爪部423に形成された第一係合壁面423aは、ラッチ42の反時計回転方向への回転に伴い作動位置にあるハーフラッチレバー45のハーフラッチ係合壁面452aから離れていく。また、開閉機構40Aの作動状態が図8に示す状態であるときも、ブロックレバー44の車内側側壁面442bがポール43の係合壁面432cに当接した状態が維持される。このためブロックレバー44の回転位置は非規制位置である。
ラッチ42が図8に示す回転位置からさらに時計回転方向に回転すると、フルラッチ爪部422とポール43の第一係合アーム432との係合が外れる。すると、フルラッチ爪部422によるポール43の押圧が終了し、ポール43はポールリターンスプリング49Bの回転付勢力に従って反時計回転方向に回転して係合位置に復帰する。
ラッチ42のフルラッチ爪部422がポール43の第一係合アーム432から外れた位置にて、車両ドア10がほぼ全閉状態にされる。このためストライカSTの移動が停止するとともに、ラッチ42はラッチリターンスプリング49Aの回転付勢力に従って時計回転方向に回転しようとする。こうして時計回転方向に回転付勢されるラッチ42のフルラッチ爪部422に設けられた係合突部422aが、係合位置に位置するポール43の第一係合アーム432に設けられた係合壁面432cに係合する。これによりラッチリターンスプリング49Aの回転付勢力によるラッチ42の時計回転方向への回転が規制される。こうして回転が規制されたラッチ42の位置が、フルラッチ位置として定義される。このように、ラッチ42は、アンラッチ位置とフルラッチ位置との間の回転領域を回転可能であり、ストライカSTが車両ドア10の閉作動に伴い車外方向に移動することによって、アンラッチ位置からフルラッチ位置まで回転するように構成される。また、フルラッチ位置にてラッチ42の時計回転方向への回転が規制されているような開閉機構40Aの作動状態を、フルラッチ状態と呼ぶ。フルラッチ状態では、車両ドア10は全閉状態である。また、フルラッチ状態では、ラッチリターンスプリング49Aは、ラッチ42を、フルラッチ位置からアンラッチ位置に向かう時計回転方向に回転付勢する。
また、フルラッチ爪部422とポール43の第一係合アーム432との係合が外れてポール43が反時計回転方向に回転すると、ポール43の係合壁面432cとブロックレバー44の車内側側壁面442bとの当接が解消される。このためブロックレバー44はブロックレバーリターンスプリング49Cの回転付勢力に従って非規制位置から反時計回転方向に回転する。ブロックレバー44の反時計回転方向への回転は、ブロックレバー44の第三係合アーム443がハーフラッチストッパ412に係合することにより規制される。ハーフラッチストッパ412に係合することにより反時計回転方向への回転が規制されたブロックレバー44の回転位置が、規制位置として定義される。このように、ブロックレバー44は、規制位置と非規制位置との間の回転領域を回転可能に構成され、ポール43がフルラッチ爪部422に押圧されて係合位置から係合解除位置に向かう方向に回転しているときには、図6、図7、図8に示すように非規制位置に位置し、フルラッチ爪部422の押圧が終了してポール43が係合解除位置から係合位置に向かう方向に回転して係合位置に位置したときには、規制位置まで回転するように構成される。
図9は、フルラッチ状態である開閉機構40Aの後面図である。開閉機構40Aの作動状態が図9に示すフルラッチ状態であるとき、フルラッチ位置に位置するラッチ42のストライカ保持凹部424の開口が、車外側を向いている。このためストライカ保持凹部424内のストライカSTは、車両ドア10が開く方向である車内側の方向に移動することはできない。また、フルラッチ状態であるとき、上記したようにラッチ42の時計回転方向への回転が、係合位置に位置するポール43により規制される。このためラッチ42に係合したストライカSTはラッチ42から解放不能である。つまり、ラッチ42がフルラッチ位置にあるとき、ラッチ42はストライカSTを解放不能に保持する。
また、フルラッチ状態であるとき、ブロックレバー44が規制位置に位置する。規制位置では、ブロックレバー44が、係合位置にあるポール43の下方に潜り込んでいる。ブロックレバー44が規制位置にあるとき、ブロックレバー44の第二係合アーム442が、ポール43の第一係合アーム432の回転領域に進入する。つまり、規制位置は、ブロックレバー44の回転位置のうちポール43の回転領域に進入した回転位置である。
また、フルラッチ状態であるときには上記したように係合位置にあるポール43がラッチ42の回転を規制しているが、このときポール43はラッチ42からの付勢力によって、ポールリターンスプリング49Bの回転付勢力に抗した方向、すなわち時計回転方向に回転する力を受ける。つまり、フルラッチ状態であるときにポール43は係合位置から係合解除位置に向かう時計回転方向に回転付勢される。これにより、ポール43の第一係合アーム432はポール支持軸48Bを中心としてその先端側が図9の下方側に向かうように回転しようとする。しかしながら、上記したようにポール43の第一係合アーム432の下方に規制位置に位置するブロックレバー44が潜り込んでいる。従って、第一係合アーム432の回転は、第一係合アーム432の係合突部432aがブロックレバー44の第二係合アーム442の当接壁面442aに当接することにより規制される。このようにして、ポール43がラッチ42の回転を規制し、ブロックレバー44がポール43の回転を規制する。
また、フルラッチ状態であるとき、ハーフラッチレバー45はハーフラッチストッパ412に係合した状態で、作動位置に位置する。
車両ドア10を閉作動させる場合における上記した開閉機構40Aの作動、特に、ハーフラッチ状態からフルラッチ状態に至るまでの各作動部品の作動は、これらの作動部品がそれぞれ所望のタイミングで作動することにより実現される。しかしながら、各作動部品のわずかな作動タイミングのずれ、例えばポールの回転遅れにより、それぞれの作動部品が正規の位置まで回転する前に、フルラッチ状態とは異なる態様でラッチがポールに係合する場合も想定される。このような開閉機構の作動状態を、疑似ラッチ状態と呼ぶ。
図10は、疑似ラッチ状態にある開閉機構40Aを示す後面図である。図10に示すように、疑似ラッチ状態では、ポール43の第一係合アーム432の係合壁面432cの上側部分にフルラッチ爪部422の係合突部422aが係合する。また、ブロックレバー44の第二係合アーム442がポール43の第一係合アーム432の下方に潜り込んでおらず、ブロックレバー44の第二係合アーム442の車内側側壁面442bがポール43の第一係合アーム432の係合壁面432cの下側の部分に係合する。このような係合状態は、ポール43が図9に示す正規の係合位置に至る前にラッチ42に係合し、ブロックレバー44が図9に示す正規の規制位置に至る前にポール43に係合することにより生じる。開閉機構40Aの作動状態がこのような疑似ラッチ状態である場合でも、ラッチ42の回転はポール43との係合により規制されるためにストライカSTはラッチ42に保持され、車両ドア10は閉止状態を維持する。しかし、ブロックレバー44はポール43との係合位置にて摩擦力によりポール43の回転を規制しているだけであるので、ブロックレバー44とポール43との間の係合力は弱い。また、ポール43とラッチ42との係合も浅いので、ポール43とラッチ42との間の係合力も弱い。このため、外力の作用によりこれらの係合状態が解消する虞がある。
疑似ラッチ状態であるときにポールによるラッチの回転規制が解除された場合、少なくとも半ドア状態で車両ドアの閉止状態が維持されることが好ましい。つまり、ハーフラッチ位置にてラッチの回転が規制されることが望ましい。しかしながら、従来においては、疑似ラッチ状態からポールによるラッチの回転規制が解除されても、ハーフラッチ位置にてラッチの回転を規制するための方策が十分に施されていないため、疑似ラッチ状態が解消されるとラッチ42がアンラッチ位置まで回転して車両ドア10が開放可能な状態にされる虞がある。
この点に関し、本実施形態に係る車両用ドアロック装置20の開閉機構40Aは、疑似ラッチ状態であるときにポール43によるラッチ42の回転規制が解除された場合でも、ラッチ42をハーフラッチ位置にて回転規制することができるように構成されている。この目的のため、本実施形態に係る開閉機構40Aは、ブロックレバー44と同軸回転可能なハーフラッチレバー45を備えている。このハーフラッチレバー45は、図4、図5、図6に示すように、ラッチ42の回転位置がアンラッチ位置からハーフラッチ位置に至るまでの間、非作動位置に位置している。一方、ハーフラッチレバー45は、図7、図8、図9に示すように、ラッチ42の回転位置がハーフラッチ位置からフルラッチ位置にある場合には、作動位置に位置している。つまり、ハーフラッチレバー45は、車両ドア10の閉作動時におけるラッチ42の回転位置がハーフラッチ位置よりもアンラッチ位置側にあるときに非作動位置に位置し、車両ドア10の閉作動時におけるラッチ42の回転位置がハーフラッチ位置からフルラッチ位置までの間の回転位置にあるときに作動位置に位置するように構成される。疑似ラッチ状態である場合、ラッチ42の回転位置はハーフラッチ位置とフルラッチ位置との間の位置であるので、疑似ラッチ状態である場合にも、ハーフラッチレバー45は図10に示すように作動位置に位置する。従って、開閉機構40Aの作動状態が疑似ラッチ状態であるときにポール43とラッチ42との係合が外れてラッチ42がアンラッチ位置に向かって回転しても、ラッチ42はハーフラッチ位置にてハーフラッチレバー45と係合し、斯かる係合によってラッチ42の回転が規制される。
図11は、疑似ラッチ状態であるときにポール43とラッチ42との係合がはずれた場合にハーフラッチレバー45のハーフラッチ係合壁面452aがハーフラッチ爪部423の第一係合壁面423aに当接した状態を示す開閉機構40Aの後面図である。図11に示すようにハーフラッチ位置にてラッチ42がハーフラッチレバー45に係合する。つまり、開閉機構40Aの作動状態がハーフラッチ状態にされる。このため車両ドア10の閉止状態が維持される。このように、本実施形態によれば、疑似ラッチ状態が生じることによって車両ドア10が開放されることを効果的に阻止することができる。
なお、全閉状態である車両ドア10を開放させる場合には、車両ドア10に設けられているドアアウトサイドハンドル17又はドアインサイドハンドルを、初期位置から開放位置まで回転させる。これにより、車両用ドアロック装置20の施解錠機構30内の作動レバーが作動する。施解錠機構30内の作動レバーが作動すると、それに連動して、開閉機構40Aのブロックレバー44が、図9に示す規制位置から非規制位置に向かって時計回転方向に回転する。このときブロックレバー44の第三係合アーム443がハーフラッチレバー45に設けられた連結片454に係合する。そして、第三係合アーム443が連結片454に係合したままさらにブロックレバー44が時計回転方向に回転することによって、連結片454にてブロックレバー44に係合したハーフラッチレバー45もブロックレバー44とともに時計回転方向に回転する。これによりハーフラッチレバー45が作動位置から非作動位置まで回転する。このように、連結片454は、ハーフラッチレバー45が作動位置にあるときに規制位置から非規制位置に向かう方向に回転するブロックレバー44と係合してハーフラッチレバー45が作動位置から非作動位置に向かう方向に回転するように構成される。
図12は、フルラッチ状態にある開閉機構40Aのブロックレバー44及びハーフラッチレバー45が時計回転方向に回転した状態が示された、開閉機構40Aの後面図である。図12に示すように、ハーフラッチレバー45が作動位置から非作動位置まで時計回転方向に回転することにより、ハーフラッチレバー45がハーフラッチ爪部423の回転領域から退避する。また、ブロックレバー44が規制位置から非規制位置まで時計回転方向に回転することにより、ブロックレバー44の第二係合アーム442がポール43の第一係合アーム432の下方位置から外れた位置に位置する。これにより、ポール43は、ラッチ42から入力される付勢力、及び、車両ドア10の周縁に設置されているウェザーストリップ等の弾性反力を受けて、時計回転方向に回転する。なお、斯かる入力荷重によってポール43が回転しない場合でも、ブロックレバー44の第三係合アーム443に接続された図略のリフトレバーがブロックレバー44の回転に伴い回転してポール43の接続アーム433を押すことにより、ポール43が時計回転方向に回転する。なお、このリフトレバーは、後述する第四実施形態にて示すブロックリフトレバー76の第三延設アーム764と同様の構成である。
このようにしてポール43が時計回転方向に回転すると、ラッチ42のフルラッチ爪部422に設けられた係合突部422aと、ポール43の第一係合アーム432に形成された係合壁面432cとの係合が外れる。これによりラッチ42がラッチリターンスプリング49Aの回転付勢力に従って時計回転方向に回転する。なお、上記したようにハーフラッチレバー45は非作動位置に位置していてラッチ42(ハーフラッチ爪部423)の回転領域から退避しているので、ラッチ42の時計回転方向への回転がハーフラッチレバー45によって規制されることはない。このためラッチ42が再びアンラッチ位置に位置する。このときストライカSTはラッチ42のストライカ進入凹部424から離脱してストライカ進入溝を車外方向に移動可能である。よって、車両ドア10を開放することができる。
なお、連結片454は、ハーフラッチレバー45が作動位置にあるときにブロックレバー44が非規制位置から規制位置に向かう方向に回転する際にはブロックレバー44に係合しないように構成される。つまり、ブロックレバー44の非規制位置から規制位置に向かう方向への回転は連結片454に妨げられない。このように連結片454が構成されることにより、例えばハーフラッチ状態にて作動位置にあるハーフラッチレバーにブロックレバー44が係合してブロックレバー44の非規制位置から規制位置に向かう方向への回転が規制されることが効果的に防止される。
(第二実施形態)
次に、第二実施形態に係る開閉機構について説明する。図13は、第二実施形態に係る開閉機構40Bの後面図である。図13に示すように、開閉機構40Bは、ベース部材51と、ラッチ52と、ポール53と、ブロックレバー54と、ハーフラッチレバー55と、回転伝達機構としての回転伝達レバー56とを有する。
ベース部材51は、開閉機構40Bの各種部品を支持する部材である。ベース部材51には、第一実施形態に係るベース部材41に形成されるストライカ進入溝411と同様な形状のストライカ進入溝511が形成される。
また、ベース部材51に、ラッチ支持軸58A、ポール支持軸58B、ブロックレバー支持軸58C、ハーフラッチレバー支持軸58D、及び回転伝達レバー支持軸58Eが、それぞれ設けられる。各支持軸は、それぞれ前後方向に延設される。ラッチ支持軸58Aはストライカ進入溝511よりも上側の位置に設けられ、それ以外の各支持軸はストライカ進入溝511よりも下側の位置に設けられる。また、ポール支持軸58Bはブロックレバー支持軸58Cよりも車内方向側に位置し、ブロックレバー支持軸58Cは回転伝達レバー支持軸58Eよりも車内方向側に位置する。また、ハーフラッチレバー支持軸58Dは回転伝達レバー支持軸58Eよりも上方側に位置する。
ラッチ支持軸58Aにラッチ52が回転可能に支持される。このためラッチ52は、前後方向軸回りに回転可能にベース部材51に支持されることになる。ラッチ52は、支持部521、フルラッチ爪部522、ハーフラッチ爪部523、及び中間爪部525を有する。支持部521は、ラッチ支持軸58Aに回転可能に支持される部分を構成する。フルラッチ爪部522及び中間爪部525は、ラッチ52の回転平面内にて支持部521から二股状に分かれてほぼ同じ方向に延設される。このためフルラッチ爪部522と中間爪部525との間に空間が設けられ、この空間によってストライカ保持凹部524が形成される。
ストライカ保持凹部524は、フルラッチ爪部522と中間爪部525のそれぞれ対面する内側壁面と、これら内側壁面の基端を接続する底面に囲まれた空間により形成され、ラッチ52の外周面に開口する。このため、ストライカ保持凹部524を挟んでフルラッチ爪部522と中間爪部525が形成されていることになる。また、図13からわかるように、ストライカ保持凹部524は、前後方向から見てストライカ進入溝511に重なる位置に設けられる。
フルラッチ爪部522は、ラッチ52が図13において時計回転方向に回転する場合に中間爪部525よりも回転方向における前方側に位置する。フルラッチ爪部522の先端部には、係合突部522aが形成される。
中間爪部525は、ストライカ保持凹部524の壁面の一部を構成するとともに支持部521からラッチ支持軸58Aの径外方に向けて延設する内側壁面525aと、内側壁面525aとは反対側に位置するとともに内側壁面525aとほぼ平行な方向に延設する外側壁面525bと、内側壁面525aの先端と外側壁面525bの先端とを連結して中間爪部525の先端形状を規定する先端壁面525cと、によって、その外形形状が規定される。また、中間爪部525の先端壁面525cに係合凹部525dが形成される。
中間爪部525の外側壁面525bの基端部分からラッチ支持軸58Aの径外方に突出するように、ハーフラッチ爪部523が形成される。ハーフラッチ爪部523は、中間爪部525の外側壁面525bの基端からラッチ支持軸58Aの径外方に向かって延設された第一係合壁面523aと、ラッチ52の外周壁面の一部を構成するとともに第一係合壁面523aの径外方端からラッチ52の回転方向に沿って形成された第二係合壁面523bとを有し、これらの壁面によってその外形形状が規定される。
また、ラッチ支持軸58Aにラッチリターンスプリング59Aが取り付けられており、このラッチリターンスプリング59Aによって、ラッチ52は図13において矢印D1により示される時計回転方向に付勢される。ラッチ52はラッチリターンスプリング59Aの回転付勢力により時計回転方向に回転するが、その回転は、図略のラッチストッパにラッチ52が係合することにより規制される。ラッチ52の回転がラッチストッパにより規制される回転位置が、アンラッチ位置として定義される。図13には、アンラッチ位置にあるラッチ52が示される。
ポール支持軸58Bに、ポール53が回転可能に支持される。このため、ポール53は、前後方向軸回りに回転可能にベース部材51に支持されることになる。ポール53は、上記第一実施形態に係るポール43と同様に、支持部531、第一係合アーム532、及び接続アーム533を有する。これらの構成部分は第一実施形態と同様であるのでその説明は省略する。また、第一係合アーム532は、上記第一実施形態に係る第一係合アーム432と同様に、係合壁面532c、上側側壁面532d、及び下側側壁面532eを有し、係合壁面532cと下側側壁面532eとの境界部分には図13において下方側に突出した係合突部532aが形成される。
ポール支持軸58Bにポールリターンスプリング59Bが取り付けられており、このポールリターンスプリング59Bによって、ポール53は図13において矢印D2により示される反時計回転方向に付勢される。ポールリターンスプリング59Bの回転付勢力による反時計回転方向へのポール53の回転は、ベース部材51に設けられている図略のポールストッパにポール53が係合することにより規制される。ポールストッパによって回転規制されたポール53の回転位置が、係合位置として定義される。図13には、係合位置にあるポール53が示される。係合位置は、ポール43の回転位置のうちラッチ52のフルラッチ爪部522の回転領域に進入した回転位置である。
ブロックレバー支持軸58Cに、ブロックレバー54が回転可能に支持される。このため、ブロックレバー54は、前後方向軸回りに回転可能にベース部材51に支持されることになる。ブロックレバー54は、支持部541と、第二係合アーム542と、接続アーム543と、を有する。第二係合アーム542は、第一実施形態に係る第二係合アーム442と同様に、当接壁面542a、車内側側壁面542b、及び車外側側壁面542cを有する。支持部541及び第二係合アーム542の構成は、第一実施形態に係るブロックレバー44が有する支持部441及び第二係合アーム442と同一であるのでその具体的説明は省略する。また、接続アーム543は、支持部541から、第二係合アーム542の延設方向とは反対の方向に延設される。この接続アーム543には図略のリフトレバーが接続される。
また、本実施形態に係るブロックレバー54は、さらに、突出部544及び係合片545を有する。突出部544は、図13に示すように、第二係合アーム542の車外側側壁面542cから車外側に向かって三角形状に突出するように形成される。この突出部544の突出端から下方に向けて係合片545が延設される。係合片545に、後述する回転伝達レバー56が係合する。
ブロックレバー支持軸58Cには、ブロックレバーリターンスプリング59Cが取り付けられている。このブロックレバーリターンスプリング59Cによって、ブロックレバー54が、図13に矢印D3で示す反時計回転方向に付勢される。ブロックレバーリターンスプリング59Cの回転付勢力による反時計回転方向へのブロックレバー54の回転は、ベース部材51に設けられている図略のブロックレバーストッパにブロックレバー54が係合することにより規制される。ブロックレバーストッパによって回転規制されたブロックレバー54の回転位置が、規制位置として定義される。図13には、規制位置にあるブロックレバー54が示される。規制位置は、ブロックレバー54の回転位置のうち、ポール53の第一係合アーム532の回転領域に進入する回転位置である。
ハーフラッチレバー支持軸58Dに、ハーフラッチレバー55が回転可能に支持される。このため、ハーフラッチレバー55は、前後方向軸回りに回転可能にベース部材51に支持されることになる。このように、ハーフラッチレバー55は、ブロックレバー54の回転軸(ブロックレバー支持軸58C)とは異なる回転軸(ハーフラッチレバー支持軸58D)の軸回りに回転可能に構成される。ハーフラッチレバー55は、支持部551と、ハーフラッチアーム552と、第一回転アーム553と、第二回転アーム554とを有する。
支持部551は、ハーフラッチレバー支持軸58Dに回転可能に支持される部分を構成する。ハーフラッチアーム552は、支持部551からハーフラッチレバー支持軸58Dの径外方に延設される。図13では、ハーフラッチアーム552は、支持部551から車外側に向かって斜め上方に延設される。ハーフラッチアーム552は、ハーフラッチ係合壁面552a及び係合突部552bを有する。ハーフラッチ係合壁面552aは、ハーフラッチアーム552の先端壁面により構成される。係合突部552bはハーフラッチ係合壁面552aからラッチ52に向かう方向に突出するように形成される。
ハーフラッチレバー55の第一回転アーム553及び第二回転アーム554は、支持部551からハーフラッチアーム552の延設方向とはほぼ反対の方向に延設される。第一回転アーム553と第二回転アーム554は、互いに対面するように所定間隔をあけて支持部551から延設されている。従って、第一回転アーム553と第二回転アーム554との間に空間が形成される。
ハーフラッチレバー支持軸58Dに、ハーフラッチレバーリターンスプリング59Dが取り付けられている。このハーフラッチレバーリターンスプリング59Dによって、ハーフラッチレバー55は、図13の矢印D4で示す反時計回転方向に付勢される。ここで、ラッチ52がアンラッチ位置にあるとき、図13に示すようにハーフラッチレバー55のハーフラッチアーム552の係合突部552bがラッチ52の第二係合壁面523bに係合する。これによりハーフラッチレバー55の反時計回転方向への回転が規制される。
回転伝達レバー支持軸58Eに、回転伝達レバー56が回転可能に支持される。このため、回転伝達レバー56は、前後方向軸回りに回転可能にベース部材51に支持されることになる。回転伝達レバー56は、支持部561と、第一アーム562と、第二アーム563とを有する。支持部561は、回転伝達レバー支持軸58Eに回転可能に支持される部分を構成する。第一アーム562及び第二アーム563は、支持部561から回転伝達レバー支持軸58Eの径外方に沿って、それぞれ異なる2方向に延設される。第一アーム562の軸線と第二アーム563の軸線とのなす角は、図13に示す例においては、約120°である。
また、図13において、第一アーム562は支持部561からブロックレバー54に向かうように車内方向に延設される。そして、ブロックレバー54に向かって延設された第一アーム562に、図13に示すように、ブロックレバー54の係合片545が連結している。係合片545は、第一アーム562の側壁を挟み込むような態様で、第一アーム562に連結している。このため、係合片545は、第一アーム562の軸方向に移動可能ではあるが、それ以外の方向には移動不能である。つまり、係合片545は、第一アーム562の軸方向に移動可能でありそれ以外の方向に移動不能に、第一アーム562に連結している。
第二アーム563は、支持部561からハーフラッチレバー55に向かうように斜め上方に延設され、その先端側の部分が、ハーフラッチレバー55の第一回転アーム553と第二回転アーム554との間の空間内に位置する。図13では、第二アーム563の左側に第一回転アーム553が配置し、第二アーム563の右側に第二回転アーム554が配置している。
回転伝達レバー56が上記した態様でブロックレバー54とハーフラッチレバー55との間に配設されているので、ブロックレバー54が図13において例えば時計回転方向に回転すると、ブロックレバー54に連結された回転伝達レバー56の第一アーム562が図13において下方に押し込まれる。このため回転伝達レバー56が反時計回転方向に回転する。回転伝達レバー56が反時計回転方向に回転すると、回転伝達レバー56の第二アーム563がハーフラッチレバー55の第一回転アーム553に近づき、やがて第一回転アーム553に当接して第一回転アーム553を車内方向に押圧する。これによりハーフラッチレバー55が時計回転方向に回転する。また、ブロックレバー54が図13において例えば反時計回転方向に回転すると、回転伝達レバー56の第一アーム562が図13において上方に引き上げられる。このため回転伝達レバー56が時計回転方向に回転する。回転伝達レバー56が時計回転方向に回転すると、回転伝達レバー56の第二アーム563がハーフラッチレバー55の第二回転アーム554に近づき、やがて第二回転アーム554に当接して第二回転アーム554を車外方向に押圧する。これによりハーフラッチレバー55が反時計回転方向に回転する。このように、回転伝達レバー56は、ブロックレバー54とハーフラッチレバー55とが同じ方向に回転するように、両レバー55,56の一方の回転を他方に伝達する役割を有する。また、回転伝達レバー56の第二アーム563がハーフラッチレバー55の第一回転アーム553と第二回転アーム554との間の空間領域に位置するときには、回転伝達レバー55はハーフラッチレバー55に当接しない。このとき、回転伝達レバー56は上記の役割を果たさず、ハーフラッチレバー55及びブロックレバー54は、それぞれ独立して回転することができる。
上記構成の開閉機構40Bの作動について説明する。車両ドア10が開放されている時には、開閉機構40Bの作動状態は図13に示すようである。このときラッチ52がアンラッチ位置に位置する。また、ポール53はポールストッパに係合された状態で図13に示す係合位置にて回転規制される。また、ブロックレバー54は、ブロックレバーストッパに係合された状態で図13に示す規制位置にて回転規制される。なお、ブロックレバー54が図13に示された規制位置にあるとき、ブロックレバー54の第二係合アーム542は、ポール53の第一係合アーム532の下方に位置する。また、回転伝達レバー56は、第一アーム562にてブロックレバー54の係合片545との係合状態を維持することができるような回転位置に位置する。ハーフラッチレバー55は、上記したようにアンラッチ位置にあるラッチ52の第二係合壁面523bに係合した位置にある。このとき、ハーフラッチレバー55の第一回転アーム553及び第二回転アーム554は、いずれも、それらの間に位置する回転伝達レバー56の第二アーム563に接触していない。図13に示すような開閉機構40Bの作動状態が、アンラッチ状態である。
車両ドア10が閉作動していくと、車体に設けられたストライカSTがベース部材51のストライカ進入溝511に進入し、さらにストライカ進入溝511を車外方向に移動する。そして、ストライカSTは、やがてラッチ52のストライカ保持凹部524に受け入れられる。これによりストライカSTはラッチ52に保持される。
さらに車両ドア10の閉作動が進んでストライカSTがストライカ進入溝511を車外方向に移動すると、ラッチ52はストライカSTに押されて、ラッチリターンスプリング59Aの回転付勢力に抗して図13の反時計回転方向に回転する。
上記したラッチ52の反時計回転方向への回転によって、ラッチ52のハーフラッチ爪部523の第二係合壁面523bとそれに係合しているハーフラッチアーム552の係合突部552bとの係合位置が、第二係合壁面523bの先端側にずれていく。そして、上記の係合位置が第二係合壁面523bの先端を乗り越えた時点で両者の係合が外れる。
図14は、車両ドア10の閉作動時にハーフラッチアーム552の係合突部552bとハーフラッチ爪部523の第二係合壁面523bとの係合が外れた直後の状態が示された、開閉機構40Bの後面図である。ハーフラッチアーム552の係合突部552bと第二係合壁面523bとの係合が外れると、ハーフラッチレバー55がハーフラッチレバーリターンスプリング59Dの回転付勢力によって反時計回転方向に回転する。そして、図14に示すように、ハーフラッチアーム552の係合突部552bがラッチ52の中間爪部525の外側壁面525bに係合することにより、ハーフラッチレバー55の回転が規制される。このとき、ハーフラッチアーム552のハーフラッチ係合壁面552aが、ラッチ52のハーフラッチ爪部523の第一係合壁面523aに対面配置する。ハーフラッチ係合壁面552aにハーフラッチ爪部523の第一係合壁面523aが対面するラッチ52の回転位置がハーフラッチ位置として定義される。
開閉機構40Bの作動状態が図14に示す状態であるときに車両ドア10の閉作動が終了した場合、ストライカSTの移動が停止し、ラッチ52はラッチリターンスプリング59Aの回転付勢力に従って時計回転方向(アンラッチ位置に向かう方向)に回転しようとする。しかしその回転は、ハーフラッチレバー55のハーフラッチ係合壁面552aがハーフラッチ爪部523の第一係合壁面523aに係合することにより規制される。このように、本実施形態に係るハーフラッチレバー55は、ラッチ52がハーフラッチ位置にあるときにハーフラッチ爪部523に係合することによってラッチのアンラッチ位置に向かう方向への回転を規制する回転領域、すなわちハーフラッチ爪部523の回転領域に進入した領域である作動領域内の位置(作動位置)に位置することができる。図14に示すような、ハーフラッチ位置にてラッチ52の時計回転方向(アンラッチ位置に向かう方向)への回転が作動位置にあるハーフラッチレバー55により規制されている開閉機構40Bの作動状態を、ハーフラッチ状態と呼ぶ。ハーフラッチ状態であるとき、車両ドア10は所謂半ドア状態となる。この場合、車両ドア10は全閉状態よりも開いた状態にて閉止されるとともにその閉止状態は維持される。
なお、開閉機構40Bの作動状態がアンラッチ状態からハーフラッチ状態に移行するまでの間、ポール53は係合位置に位置している。また、開閉機構40Bの作動状態がアンラッチ状態からハーフラッチ状態に移行すると、ハーフラッチレバー55の第一回転アーム553及び第二回転アーム554も図13に示す位置から反時計回転方向に回転するが、その間、これらの回転アームは、これらの間に位置する回転伝達レバー56の第二アーム563に接触しない。
図15は、図14に示す状態からさらに車両ドア10が閉作動してストライカSTが車外方向に移動した状態が示された、開閉機構40Bの後面図である。図15に示すように、ストライカSTがさらに車外方向に移動すると、ラッチ52がさらに反時計回転方向に回転する。すると、ハーフラッチアーム552のハーフラッチ係合壁面552aがハーフラッチ爪部523の第一係合壁面523aから離れていくとともに、ハーフラッチアーム552の係合突部552bとラッチ52の中間爪部525の外側壁面525bとの係合位置が中間爪部525の先端側にずれていく。また、ラッチ52の反時計回転方向への回転により中間爪部525はラッチ支持軸58Aを中心として車外方向側に振られるように移動していくので、中間爪部525の外側壁面525bとハーフラッチアーム552の係合突部552bとの係合位置も車外方向側に移動していく。このような係合位置の車外方向への移動によって、ハーフラッチレバー55は、ハーフラッチアーム552の先端側が車外側に移動するように時計回転方向に回転する。このためハーフラッチレバー55が図14に示す回転位置から時計回転方向に回転する。この場合において、ハーフラッチレバー55は、ハーフラッチ爪部523の回転領域に進入した回転領域すなわち作動領域内で、図14に示す位置から時計回転方向に回転するように構成されている。図14に示す位置からのハーフラッチレバー55の時計回転方向は、ハーフラッチレバー55がハーフラッチ爪部523の回転領域から退避していく方向である。ハーフラッチレバー50の回転領域のうちハーフラッチ爪部523の回転領域から退避した回転領域を非作動領域と定義すると、ハーフラッチレバー55は、ラッチ52がハーフラッチ位置から後述のフルラッチ位置に向かう方向に回転するときに、作動領域内で非作動領域に向かう方向に回転することになる。
また、ハーフラッチレバー55が図14に示す位置から時計回転方向に回転していくと、ハーフラッチレバー55の第二回転アーム554が回転伝達レバー56の第二アーム563に近づく方向に移動し、第二回転アーム554が第二アーム563に当接する。その後さらにハーフラッチレバー55が時計回転方向に回転することにより、回転伝達レバー56がその第二アーム563にてハーフラッチレバー55の第二回転アーム554に押されて反時計回転方向に回転する。回転伝達レバー56が反時計回転方向に回転すると、回転伝達レバー56の第一アーム562に連結されたブロックレバー54の係合片545が第一アーム562に引っ張られるように下方に押し下げられる。ブロックレバー54の係合片545が下方に押し下げられることによって、ブロックレバー54は、ブロックレバーリターンスプリング59Cの回転付勢力に抗して規制位置から時計回転方向に回転して非規制位置に至る。図15には、非規制位置に位置するブロックレバー54が示される。非規制位置は、ブロックレバー54の回転位置のうちポール43の第一係合アーム532の回転領域から退避した回転位置である。このように、ブロックレバー54は、ポールの回転領域に進入した規制位置からポールの回転領域から退避した非規制位置の間を回転可能に構成される。
また、ラッチ52が反時計回転方向に回転することによって、ラッチ52のフルラッチ爪部522の係合突部522aがポール53に近づき、やがて、ポール53の第一係合アーム532にフルラッチ爪部522の係合突部522aが接触する。図15には、フルラッチ爪部522の係合突部522aがポール53の第一係合アーム532の上側側壁面532dに当接した状態が示される。そして、図15に示す状態からさらにラッチ52が反時計回転方向に回転すると、ポール53の第一係合アーム532がフルラッチ爪部522に押圧されて時計回転方向に回転していく。これにより、ポール53は、第一実施形態と同様に、係合位置からフルラッチ爪部522の回転領域から退避した回転位置である係合解除位置まで回転する。このように、ポール53は、フルラッチ爪部522の回転領域に進入した係合位置からフルラッチ爪部522の回転領域から退避した係合解除位置まで回転可能に構成される。また、ポール53が上記のようにして係合位置から係合解除位置まで回転する際には、ポール53の第一係合アーム532は図15に示す位置から下方に向けて回転することになるが、ポール53とフルラッチ爪部522が当接した時点では、ブロックレバー54が時計回転方向に回転することによってポール53の下方位置から外れた位置すなわちポール53の回転領域から退避した非規制位置に移動している。つまり、ブロックレバー54は、ポール53が係合位置から係合解除位置に向かう方向に回転しているときには非規制位置に位置する。このため、上記したポール53の回転がブロックレバー54の第二係合アーム542に妨げられることはない。
図15に示す状態からさらに車両ドア10が閉作動してストライカSTが車外方向に移動すると、ラッチ52のフルラッチ爪部522の係合突部522aとポール53の第一係合アーム532の上側側壁面532dとの接触位置が第一係合アーム532の先端側にずれていき、やがてフルラッチ爪部522とポール53の第一係合アーム532との係合が外れる。すると、フルラッチ爪部522によるポール53の押圧が終了し、ポール53はポールリターンスプリング59Bの回転付勢力に従って反時計回転方向に回転して係合位置に復帰する。
ラッチ52のフルラッチ爪部522がポール53の第一係合アーム532から外れた位置にて、車両ドア10がほぼ全閉状態にされる。このためストライカSTの移動が停止するとともに、ラッチ52はラッチリターンスプリング59Aの回転付勢力に従って時計回転方向に回転しようとする。こうして時計回転方向に回転付勢されるラッチ52のフルラッチ爪部522に設けられた係合突部522aが、係合位置に位置するポール53の第一係合アーム532に設けられた係合壁面532cに係合する。これによりラッチリターンスプリング59Aの回転付勢力によるラッチ52の時計回転方向への回転が規制される。こうして係合位置にあるポール53に回転が規制されたラッチ52の位置が、フルラッチ位置として定義される。このように、ラッチ52は、アンラッチ位置とフルラッチ位置との間の回転領域を回転可能であり、ストライカSTが車両ドア10の閉作動に伴い車外方向に移動することによって、アンラッチ位置からフルラッチ位置まで回転するように構成される。
フルラッチ位置にてラッチ52の時計回転方向への回転が係合位置にあるポール53に規制されているような開閉機構40Bの作動状態を、フルラッチ状態と呼ぶ。フルラッチ状態では、車両ドア10は全閉状態である。また、フルラッチ状態では、ラッチリターンスプリング59Aは、ラッチ52を、フルラッチ位置からアンラッチ位置に向かう時計回転方向に回転付勢する。
図16は、フルラッチ状態である開閉機構40Bの後面図である。開閉機構40Bの作動状態が図16に示すフルラッチ状態であるとき、フルラッチ位置に位置するラッチ52は、ストライカSTを解放不能に保持する。また、ポール53は、係合解除位置から係合位置まで回転し、係合位置にて回転規制される。また、ハーフラッチレバー55のハーフラッチアーム552は、その係合突部552bが中間爪部525の先端壁面525cに設けられた係合凹部525dに係合することにより、回転規制される。ここで、ハーフラッチアーム552が中間爪部525の係合凹部525dに係合する際にハーフラッチレバー55がハーフラッチレバーリターンスプリング59Dの回転付勢力に従って反時計回転方向に回転する。これに伴いハーフラッチレバー55の第二回転アーム554が図15に示す回転位置から反時計方向に回転するため、回転伝達レバー56の第二アーム563とハーフラッチレバー55の第二回転アーム554との係合が外れる。これにより、回転伝達レバー56はハーフラッチレバー55に対して独立して回転することができるようになるとともに、回転伝達レバー56の第一アーム562に連結したブロックレバー54がハーフラッチレバー55からの回転付勢力を受けなくなる。このためブロックレバー54がブロックレバーリターンスプリング59Cの回転付勢力に従って反時計回転方向に回転する。これによりブロックレバー54が非規制位置から規制位置まで回転し、規制位置にて回転規制される。このとき係合位置にあるポール53の第一係合アーム532の下方にブロックレバー54の第二係合アーム542が潜り込む。このように、ブロックレバー54は、ポール53が係合解除位置から係合位置まで回転して係合位置に位置したときには、非規制位置から規制位置まで回転する
また、フルラッチ状態であるとき、ポール53はラッチ52からの付勢力によって、ポールリターンスプリング59Bの回転付勢力に抗した方向、すなわち時計回転方向に回転する力を受ける。これにより、ポール53の第一係合アーム532はポール支持軸58Bを中心としてその先端側が図16の下方側に向かうように回転しようとする。一方、図16に示すフルラッチ状態では、係合位置にあるポール53の第一係合アーム532の下方に規制位置にあるブロックレバー54が潜り込んでいる。従って、第一係合アーム532の回転は、第一係合アーム532の係合突部532aがブロックレバー54の第二係合アーム542の当接壁面542aに当接することにより規制される。このようにして、ポール53がラッチ52の回転を規制し、ブロックレバー54がポール53の回転を規制する。
本実施形態に係る開閉機構40Bでも、その作動状態が疑似ラッチ状態に陥る可能性がある。図17は、作動状態が疑似ラッチ状態である開閉機構40Bの後面図である。疑似ラッチ状態であるとき、ポール53の係合壁面532cの上側部分にラッチ52の係合突部522aが係合する。また、ブロックレバー54の第二係合アーム542はポール53の第一係合アーム532の下方に潜り込んでおらず、ブロックレバー54の第二係合アーム542の車内側側壁面542bがポール53の第一係合アーム532の係合壁面532cに係合する。このような係合状態は、ポール53が図16に示す正規の係合位置に至る前にラッチ52に係合し、ブロックレバー54が図16に示す正規の規制位置に至る前にポール53に係合することにより生じる。
また、疑似ラッチ状態であるとき、ラッチ52の回転位置はフルラッチ位置から僅かに時計回転方向に回転した位置であるので、ハーフラッチレバー55のハーフラッチアーム552は、フルラッチ状態であるときにラッチ52の中間爪部525の先端壁面525cに形成された係合凹部525dに進入する位置の直前位置にて先端壁面525cに係合した状態で、回転規制される。ここで、上記したように、ラッチ52がハーフラッチ位置からフルラッチ位置に向かう方向に回転するときに、ハーフラッチレバー55は、作動領域内で非作動領域に向かう方向に回転する。つまり、ラッチ52がハーフラッチ位置からフルラッチ位置に至るまでの間、ハーフラッチレバー55は作動領域内で非作動領域に向かう方向に回転する。また、疑似ラッチ状態であるときにおけるラッチ52の回転位置は、ハーフラッチ位置とフルラッチ位置との間の回転位置である。よって、疑似ラッチ状態であるときに、ハーフラッチレバー55は、図17の破線矢印C1により回転軌跡が規定されるハーフラッチ爪部523の回転領域に部分的に進入した回転位置に位置する。つまり、疑似ラッチ状態であるときにおけるハーフラッチレバー55の回転位置は、ハーフラッチ位置にあるハーフラッチ爪部523に部分的に係合することによってラッチ52のアンラッチ位置に向かう方向への回転を規制する作動領域内の作動位置である。
疑似ラッチ状態であるときにラッチ52とポール53との係合が外れてラッチ52がラッチリターンスプリング59Aの回転付勢力によって時計回転方向に回転した場合、ラッチ52は、ハーフラッチ位置にて、作動位置にあるハーフラッチアーム552に係合することにより回転規制される。つまり、開閉機構40Bの作動状態がハーフラッチ状態にされる。このため車両ドア10の閉止状態が維持される。このように、本実施形態によっても、疑似ラッチ状態が生じることによって車両ドア10が開放されることを効果的に阻止することができる。
なお、疑似ラッチ状態が解消すると、ラッチ52のアンラッチ方向(反時計回転方向)への回転に伴って、ハーフラッチレバー55はハーフラッチレバーリターンスプリング59Dの回転付勢力によって、中間爪部525の外側壁面525bを滑りながら反時計回転方向に回転する。このためラッチ55が疑似ラッチ位置(疑似ラッチ状態であるときの回転位置)からハーフラッチ位置に至ったときには、図14に示すようにハーフラッチレバー55のハーフラッチ係合壁面552aのほぼ全面がハーフラッチ爪部523の第一係合壁面523aに係合する状態にされる。
なお、全閉状態である車両ドア10を開放させる場合には、車両ドア10に設けられているドアアウトサイドハンドル17又はドアインサイドハンドルを、初期位置から開放位置まで回転させる。これにより、車両用ドアロック装置20の施解錠機構30内の作動レバーが作動して、ブロックレバー54が図16に示す規制位置から非規制位置に向かって時計回転方向に回転する。図18は、ブロックレバー54が図16に示す規制位置から非規制位置に向かって時計回転方向に回転した状態が示された、開閉機構40Bの後面図である。図18に示すように、ブロックレバー54が時計回転方向に回転すると、ブロックレバー54の第二係合アーム542がポール53の第一係合アーム532から外れる。これにより、ポール53は、ラッチ52から入力される付勢力、及び、車両ドア10の周縁に設置されているウェザーストリップ等の弾性反力を受けて、時計回転方向に回転する。なお、斯かる入力荷重によってポール53が回転しない場合でも、ブロックレバー54の回転に伴い回転する図略のリフトレバーがポール53の接続アーム533を押すことにより、ポール53が時計回転方向に回転する。なお、このリフトレバーは、後述する第四実施形態にて示すブロックリフトレバー76の第三延設アーム764と同様の構成である。
また、ブロックレバー54が時計回転方向に回転することにより、ブロックレバー54の係合片545に連結している回転伝達レバー56の第一アーム562が押し下げられる。これにより回転伝達レバー56が反時計回転方向に回転する。回転伝達レバー56の反時計回転方向への回転により、回転伝達レバー56の第二アーム563がハーフラッチレバー55の第一回転アーム553に当接する。その状態でさらに回転伝達レバー56が反時計回転方向に回転することにより、ハーフラッチレバー55が時計回転方向に回転する。これにより、図18に示すように、ハーフラッチレバー55が、破線矢印C2により回転軌跡が規定されるハーフラッチ爪部523の回転領域から退避した回転領域である非作動領域内の位置(非作動位置)まで回転させられる。このように、ハーフラッチレバー55は、作動領域内の作動位置と、非作動領域内の非作動位置との間を回転可能である。また、回転伝達レバー56は、ブロックレバー54が規制位置から非規制位置に回転した場合にその回転力によりハーフラッチレバー55が作動位置から非作動位置に向かう方向に回転するように、ブロックレバー54の回転をハーフラッチレバー55に伝達する。
また、ポール53の時計回転方向への回転により、ラッチ52のフルラッチ爪部522に設けられた係合突部522aと、ポール53の第一係合アーム532に形成された係合壁面532cとの係合が外れる。これによりラッチ52がラッチリターンスプリング59Aの回転付勢力に従って時計回転方向に回転する。なお、上記したようにハーフラッチレバー55がハーフラッチ爪部523の回転領域から退避した非作動位置に位置しているので、ラッチ52の時計回転方向への回転がハーフラッチレバー55によって妨げられることはない。このためラッチ52が再びアンラッチ位置に位置する。このときストライカSTはラッチ52のストライカ保持凹部524から離脱してストライカ進入溝511を車外方向に移動可能である。よって、車両ドア10を開放することができる。
このように、本実施形態によれば、車両ドア10の閉止時にラッチ52がハーフラッチ位置からフルラッチ位置に回転する間、ハーフラッチレバー55は、作動領域内で非作動領域に向かう方向に回転する。つまり、ハーフラッチレバー55は、車両ドア10の閉作動時におけるラッチ52の回転位置がハーフラッチ位置からフルラッチ位置までの間の回転位置にあるときに作動位置に位置するように構成される。従って、疑似ラッチ状態であるときも、ハーフラッチレバー55は作動位置に位置しており、疑似ラッチ状態が解消した場合には作動位置にあるハーフラッチレバー55にラッチ52が係合されることにより車両ドアの開放が阻止される。
(第三実施形態)
次に、第三実施形態に係る開閉機構について説明する。図19は、第三実施形態に係る開閉機構40Cの後面図である。図19に示すように、開閉機構40Cは、ベース部材61と、ラッチ62と、ポール63と、ブロックレバー64と、ハーフラッチレバー65と、ブロックリフトレバー66と、ポールリフトレバー67とを有する。
ベース部材61は、開閉機構40Cの各種部品を支持する部材である。ベース部材61には、第一実施形態に係るベース部材41に形成されるストライカ進入溝411と同様な形状のストライカ進入溝611が形成される。
また、ベース部材61に、ラッチ支持軸68A、ポール支持軸68B、ブロックレバー支持軸68Cが、それぞれ設けられる。各支持軸は、それぞれ前後方向に延設される。ラッチ支持軸68Aはストライカ進入溝611よりも上側の位置に設けられ、ポール支持軸68B及びブロックレバー支持軸68Cはストライカ進入溝611よりも下側の位置に設けられる。また、ポール支持軸68Bはブロックレバー支持軸68Cよりも車内方向側に位置する。
また、ベース部材61から車外方向に延設されている図略の補助ブラケットに、ハーフラッチレバー支持軸68Dが設けられる。ハーフラッチレバー支持軸68Dも前後方向に延設される。ハーフラッチ支持軸68Dは、ストライカ進入溝611とほぼ同じ上下方向位置であって、ラッチ支持軸68A及びストライカ進入溝611よりも車外側の位置に設けられる。
ラッチ支持軸68Aにラッチ62が回転可能に支持される。このためラッチ62は、前後方向軸回りに回転可能にベース部材61に支持されることになる。ラッチ62は、支持部621、フルラッチ爪部622、ハーフラッチ爪部623、及び中間爪部625を有する。支持部621は、ラッチ支持軸68Aに回転可能に支持される部分を構成する。フルラッチ爪部622及び中間爪部625は、ラッチ62の回転平面内にて支持部621から二股状に分かれてほぼ同じ方向に延設される。このためフルラッチ爪部622と中間爪部625との間に空間が設けられ、この空間によってストライカ保持凹部624が形成される。
ストライカ保持凹部624は、フルラッチ爪部622と中間爪部625のそれぞれ対面する内側壁面と、これら内側壁面の基端を接続する底面に囲まれた空間により形成され、ラッチ62の外周面に開口する。このため、ストライカ保持凹部624を挟んでフルラッチ爪部622と中間爪部625が形成されていることになる。また、図19からわかるように、ストライカ保持凹部624は、前後方向から見てストライカ進入溝611に重なる位置に設けられる。
フルラッチ爪部622は、ラッチ62が図19において時計回転方向に回転する場合に中間爪部625よりも回転方向における前方側に位置する。フルラッチ爪部522の先端部には、係合突部622aが形成される。
中間爪部625は、ストライカ保持凹部624の壁面の一部を構成するとともに支持部621からラッチ支持軸68Aの径外方に向けて延設する内側壁面625aと、内側壁面625aの延設端から図19において車内方向に向けて斜め下方に延設した先端壁面625cと、先端壁面625cの下方端から車内方向に向けて湾曲状に延設した外側壁面625bとにより、その外形形状が規定される。外側壁面625bは、ラッチ支持軸68Aを中心とした円弧形状に形成される。
中間爪部625の外側壁面625bの基端部分から突出するように、ハーフラッチ爪部623が形成される。ハーフラッチ爪部623は、中間爪部625の外側壁面625bの基端から延設された第一係合壁面623aと、ラッチ62の外周壁面の一部を構成するとともに第一係合壁面623aの延設端からラッチ62の回転方向に沿って形成された第二係合壁面623bを有し、これらの壁面によってその外形形状が規定される。
また、ラッチ支持軸68Aにラッチリターンスプリング69Aが取り付けられており、このラッチリターンスプリング69Aによって、ラッチ62は図19において矢印D1により示される時計回転方向に付勢される。ラッチ62はラッチリターンスプリング69Aの回転付勢力により時計回転方向に回転するが、その回転は、図略のラッチストッパにラッチ62が係合することにより規制される。ラッチ62の回転がラッチストッパにより規制される回転位置が、アンラッチ位置として定義される。図19には、アンラッチ位置にあるラッチ62が示される。
ポール支持軸68Bに、ポール63が回転可能に支持される。このため、ポール63は、前後方向軸回りに回転可能にベース部材61に支持されることになる。ポール63は、上記第一実施形態に係るポール43と同様に、支持部631及び第一係合アーム632を有する。これらの構成部分は第一実施形態と同様であるのでその説明は省略する。また、第一係合アーム632は、上記第一実施形態に係る第一係合アーム432と同様に、係合壁面632c、上側側壁面632d、及び下側側壁面632eを有し、係合壁面632cと下側側壁面632eとの境界部分には図19において下方側に突出した係合突部632aが形成される。
また、ポール支持軸68Bに、ポールリフトレバー67が回転可能に支持される。このポールリフトレバー67は、ポール63と一体的にポール支持軸68B回りを回転することができるように、ポール63に連結される。本実施形態では、ポールリフトレバー67は、ポール63の前方側にてポール63と重ねられるように、ポール支持軸68Bに支持される。また、ポールリフトレバー67は、ポール支持軸68Bから図19において車内方向に延設された接続アーム671を有する。接続アーム671は、第一実施形態に係るポール43の接続アーム433と同様の機能を有する。
ポール支持軸68Bにポールリターンスプリング69Bが取り付けられており、このポールリターンスプリング69Bによって、ポール63は図19において矢印D2により示される反時計回転方向に付勢される。ポールリターンスプリング69Bの回転付勢力による反時計回転方向へのポール63の回転は、ベース部材61に設けられている図略のポールストッパにポール63が係合することにより規制される。ポールストッパによって回転規制されたポール63の回転位置が、係合位置として定義される。図19には、係合位置にあるポール63が示される。係合位置は、ポール63の回転位置のうちラッチ62のフルラッチ爪部622の回転領域に進入した回転位置である。
ブロックレバー支持軸68Cに、ブロックレバー64が回転可能に支持される。このため、ブロックレバー64は、前後方向軸回りに回転可能にベース部材61に支持されることになる。ブロックレバー64は、支持部641と、第二係合アーム642と、接続アーム643と、を有する。第二係合アーム642は、第一実施形態に係る第二係合アーム442と同様に、当接壁面642a、車内側側壁面642b、及び車外側側壁面642cを有する。支持部641及び第二係合アーム642の構成は、第一実施形態に係るブロックレバー44が有する支持部441及び第二係合アーム442と同一であるのでその具体的説明は省略する。また、接続アーム643は、支持部641から、第二係合アーム642の延設方向とは反対の方向に延設される。
また、ブロックレバー支持軸68Cには、ブロックリフトレバー66が、ブロックレバー64とともに回転可能に支持される。このためブロックリフトレバー66は、前後方向軸回りに回転可能にベース部材61に支持されることになる。本実施形態では、ブロックリフトレバー66は、ブロックレバー64の前方側にてブロックレバー64と重ねられるように、ブロックレバー支持軸68Cに支持される。ブロックリフトレバー66は、支持部661と、第一延設アーム662と、第二延設アーム663と、を有する。支持部661は、ブロックレバー支持軸68Cに回転可能に支持される部分を構成する。第一延設アーム662は、図19において支持部661の上側から車外方向に湾曲しながら延びるように形成される。この第一延設アーム662の延設端に、係合ピン662aが設けられる。係合ピン662aは、第一延設アーム662の先端部分から後方側に向かって延設される。第二延設アーム663は、図19において支持部661の下側から車外方向に延設されるとともにその延設端側の部分が上方に屈曲するように形成される。
また、ブロックリフトレバー66は、係合突部664を有する。係合突部664は、ブロックリフトレバー66の支持部661の下方部から後方に隆起するとともに、ブロックレバー64の接続アーム643に向かう方向に突出するように形成される。
ブロックレバー支持軸68Cには、ブロックレバーリターンスプリング69Cが取り付けられており、このブロックレバーリターンスプリング69Cによって、ブロックレバー64及びブロックリフトレバー66が、図19に矢印D3で示す反時計回転方向に付勢される。ブロックレバーリターンスプリング69Cの回転付勢力による反時計回転方向へのブロックレバー64の回転は、ベース部材61に設けられている図略のブロックレバーストッパにブロックレバー64が係合することにより規制される。ブロックレバーストッパによって回転規制されたブロックレバー64の回転位置が、規制位置として定義される。図19には、規制位置にあるブロックレバー64が示される。規制位置は、ブロックレバー64の回転位置のうち、ポール63の第一係合アーム632の回転領域に進入する回転位置である。
ハーフラッチレバー支持軸68Dに、ハーフラッチレバー65が回転可能に支持される。このため、ハーフラッチレバー65は、前後方向軸回りに回転可能にベース部材61に支持されることになる。また、図19に示すように、ハーフラッチレバー65は、ブロックレバー64の回転軸(ブロックレバー支持軸68C)とは異なる回転軸(ハーフラッチレバー支持軸68D)の軸回りに回転可能に構成される。ハーフラッチレバー65は、支持部651と、ハーフラッチアーム652と、を有する。支持部651は、ハーフラッチレバー支持軸68Dに回転可能に支持する部分を構成する。ハーフラッチアーム652は、支持部651からブロックリフトレバー66に向かう方向に延設される。
ハーフラッチアーム652の先端には、二股状に分かれた第一先端片652bと第二先端片652cが形成されている。この第一先端片652bと第二先端片652cとの間の空間によって、係合溝652dが形成される。係合溝652dは、ハーフラッチアーム652の先端にて開口するとともにその開口端から図19においては車外方向に湾曲して延設される。また、第一先端片652bの基端付近から係合突部652eが図19において上方に突出するように形成される。この係合突部652eを構成する壁面のうち、ハーフラッチレバー支持軸68D側を向いた壁面により、ハーフラッチ係合壁面652aが形成される。
ハーフラッチアーム652の係合溝652dに、ブロックリフトレバー66の第一延設アーム662の延設端に設けられた係合ピン662aが係合される。このため、ハーフラッチアーム652とブロックリフトレバー66の第一延設アーム662は、それぞれの先端部分にて係合していることになる。ここで、上記したようにブロックリフトレバー66はブロックレバースプリング69Cの回転付勢力によって図19において反時計回転方向に回転付勢されているので、その回転付勢力はハーフラッチアーム652に伝達され、これによりハーフラッチアーム652の先端部分は図19において車内方向に引っ張られる。ハーフラッチアーム652の先端部分が車内方向に引っ張られることによって、ハーフラッチレバー65はハーフラッチレバー支持軸68Dを中心として時計回転方向に回転付勢される。このハーフラッチレバー65の時計回転方向への回転は、係合ピン662aと係合溝652dとの係合によって規制される。このときブロックリフトレバー66の反時計回転方向への回転も、上記の係合によって規制される。このように、両レバーが互いに相手側のレバーの回転を規制する。図19には、両レバーの回転が規制し合ってつり合いのとれた両レバーの回転位置が示される。ハーフラッチレバー65が図19に示す位置にあるとき、ハーフラッチアーム652の第一先端片652bは、ラッチ62のハーフラッチ爪部623の第二係合壁面623bに車外方向側から近接配置する。
上記構成の開閉機構40Cの作動について説明する。車両ドア10が開放されている時には、開閉機構40Cの作動状態は図19に示すようである。このときラッチ62がアンラッチ位置に位置する。また、ポール63はポールストッパに係合された状態で図19に示す係合位置にて回転規制される。また、ブロックレバー64は、ブロックレバーストッパに係合された状態で図19に示す規制位置にて回転規制される。なお、ブロックレバー64が図19に示された規制位置にあるとき、ブロックレバー64の第二係合アーム642は、ポール63の第一係合アーム632の下方に位置する。また、ハーフラッチレバー65及びブロックリフトレバー66は、上記したように、ブロックレバーリターンスプリング69Cによる回転付勢力による両レバーの回転が係合ピン662aと係合溝652dとの係合により規制される位置にて回転規制される。図19に示すような開閉機構40Cの作動状態が、アンラッチ状態である。
車両ドア10が閉作動していくと、車体に設けられたストライカSTがベース部材61のストライカ進入溝611に進入し、さらにストライカ進入溝611を車外方向に移動する。そして、ストライカSTは、やがてラッチ62のストライカ保持凹部624に受け入れられる。これによりストライカSTはラッチ62に保持される。
さらに車両ドア10の閉作動が進んでストライカSTがストライカ進入溝611を車外方向に移動すると、ラッチ62はストライカSTに押されて、ラッチリターンスプリング69Aの回転付勢力に抗して図19の反時計回転方向に回転する。
上記したラッチ62の反時計回転方向への回転によって、ラッチ62のハーフラッチ爪部623の第二係合壁面623bが、ハーフラッチアーム652の第一先端片652bに近づき、やがて、図20に示すように、第二係合壁面623bに第一先端片652bが接触する。さらにラッチ62が反時計回転方向に回転すると、ハーフラッチアーム652の第一先端片652bはラッチ62に押しのけられるように車外方向に向けて移動する。これによりハーフラッチレバー65が反時計回転方向に回転する。図21は、ハーフラッチレバー65がラッチ62によって反時計回転方向に回転させられた状態が示された、開閉機構40Cの後面図である。
図21に示すように、ハーフラッチレバー65が反時計回転方向に回転していくと、ハーフラッチアーム652の第一先端片652bの基端から突設した係合突部652eがラッチ62のハーフラッチ爪部623の第二係合壁面623bに近づいていき、第二係合壁面623bに係合するようになる。また、ハーフラッチレバー65が反時計回転方向に回転すると、ハーフラッチレバー65の係合溝652dに係合ピン662aにて係合したブロックリフトレバー66が、係合溝652dと係合ピン662aとの係合を維持しながらハーフラッチレバー65に引っ張られる。このためブロックリフトレバー66が時計回転方向に回転する。このとき係合ピン662aは、係合溝652dとの係合を維持しながら係合溝652d内をスライドする。また、ブロックリフトレバー66が時計回転方向に回転すると、ブロックリフトレバー66の係合突部664がブロックレバー64の接続アーム643に接触するとともに接続アーム643を車内方向側に押す。このためブロックレバー64は、ブロックリフトレバー66とともに、規制位置から時計回転方向に回転する。
図22は、図21に示す状態からさらにラッチ62の反時計回転方向への回転が進んだ状態が示された、開閉機構40Cの後面図である。図21と図22とを比較してわかるように、ラッチ62がさらに時計回転方向に回転すると、ハーフラッチアーム652の係合突部652eとラッチ62のハーフラッチ爪部623の第二係合壁面623bとの係合位置が、ハーフラッチ爪部623の先端側にずれていく。また、ハーフラッチアーム65がさらに反時計回転方向に回転し、それに伴い、ブロックリフトレバー66が時計回転方向にさらに回転する。このブロックリフトレバー66の時計回転方向への回転に連動して、ブロックリフトレバー66の係合突部664に接続アーム643にて係合したブロックレバー64も、時計回転方向にさらに回転する。このためブロックレバー64は、図19に示す規制位置から、図22に示す非規制位置まで回転する。非規制位置では、ブロックレバー64の第二係合アーム642は、ポール63の第一係合アーム632の下方から外れた位置に位置する。この位置は、ポール63の回転領域から退避した位置である。つまり、ブロックレバー64は、ポール63の回転領域に進入した規制位置と、ポール63の回転領域から退避した非規制位置との間を回転可能に構成される。
ラッチ62が図22に示す位置からさらに時計回転方向に回転すると、ハーフラッチアーム652の係合突部652eとラッチ62のハーフラッチ爪部623の第二係合壁面623bとの係合位置がさらにハーフラッチ爪部623の先端側に移動し、やがて、ハーフラッチアーム652の係合突部652eが第二係合壁面623dの先端を乗り越える。これにより両者の係合が外れる。
図23は、車両ドアの閉作動時にハーフラッチアーム652の係合突部652eとハーフラッチ爪部623の第二係合壁面623bとの係合が外れた直後の状態が示された、開閉機構40cの後面図である。ハーフラッチアーム652の係合突部652eと第二係合壁面623bとの係合が外れると、ハーフラッチレバー65は、ブロックリフトレバー66を介して伝達されるブロックレバーリターンスプリング69Cの回転付勢力によって、時計回転方向に回転する。そして、図23に示すように、ハーフラッチアーム652の係合突部652eがラッチ62の中間爪部625の外側壁面625bに係合することにより、ハーフラッチレバー65の回転が規制される。このとき、ハーフラッチアーム652のハーフラッチ係合壁面652aが、ラッチ62のハーフラッチ爪部623の第一係合壁面623aに対面配置する。ハーフラッチ係合壁面652aにハーフラッチ爪部623の第一係合壁面623aが対面するラッチ62の回転位置がハーフラッチ位置として定義される。このとき、ハーフラッチレバー65の係合突部652eは、ハーフラッチ爪部623の回転領域に進入してハーフラッチ爪部623に係合し得る位置にある。
開閉機構40Cの作動状態が図23に示す状態であるときに車両ドア10の閉作動が終了した場合、ストライカSTの移動が停止し、ラッチ62はラッチリターンスプリング69Aの回転付勢力に従って時計回転方向(アンラッチ位置に向かう方向)に回転しようとする。しかしその回転は、ハーフラッチレバー65のハーフラッチ係合壁面652aにハーフラッチ爪部623の第一係合壁面623aが係合することにより規制される。このように、本実施形態に係るハーフラッチレバー65は、ラッチ62がハーフラッチ位置にあるときにハーフラッチ爪部623の回転領域に進入してハーフラッチ爪部623に係合することによってラッチ62のアンラッチ位置に向かう方向への回転を規制する回転領域である作動領域内の位置(作動位置)に回転することができる。図23に示すような、ハーフラッチ位置にてラッチ62の時計回転方向(アンラッチ位置に向かう方向)への回転が作動位置にあるハーフラッチレバー65により規制されている開閉機構40Cの作動状態を、ハーフラッチ状態と呼ぶ。ハーフラッチ状態であるとき、車両ドア10は所謂半ドア状態となる。この場合、車両ドア10は全閉状態よりも開いた状態にて閉止されるとともにその閉止状態は維持される。
また、ハーフラッチ状態に至る前に、ラッチ62の反時計回転方向への回転によりラッチ62のフルラッチ爪部622の係合突部622aがポール63に近づいていく。そして、ハーフラッチ状態に至る直前にて、ポール63の第一係合アーム632にフルラッチ爪部622の係合突部622aが接触する。図23には、フルラッチ爪部622の係合突部622aがポール63の第一係合アーム632の上側側壁面632dに当接した状態が示される。図23に示すようにフルラッチ爪部622aの係合突部622aがポール63の第一係合アーム632に当接してからラッチ62が反時計回転方向に回転すると、ポール63がフルラッチ爪部622に押圧されて、係合位置から、フルラッチ爪部622の回転領域から退避した係合解除位置に向かって時計回転方向に回転する。このときポール63の第一係合アーム632は、下方に向けて回転することになるが、ポール63とフルラッチ爪部622が当接した時点では、図23に示すように、ブロックレバー64が規制位置から時計回転方向に回転することによってポール63の下方位置から外れた位置すなわちポール63の回転領域から退避した非規制位置に移動している。つまり、ブロックレバー64は、ポール63が係合位置から係合解除位置に向かう方向に回転しているときには非規制位置に位置する。このため、上記したポール63の回転がブロックレバー64の第二係合アーム642に妨げられることはない。
なお、ハーフラッチ状態に至る際には、図22から図23に示すハーフラッチレバー65の回転位置の変化からわかるように、ハーフラッチレバー65が時計回転方向に回転するが、このとき、ハーフラッチレバー65に係合したブロックリフトレバー66は、ブロックレバーリターンスプリング69Cの回転付勢力により反時計回転方向に回転する。一方、ブロックレバー64は、その車内側側壁面642bにポール63の第一係合アーム632が入り込んでいるためにポール63に押さえつけられていて、反時計回転方向に回転することができない。このため、ハーフラッチ状態では、図23に示すように、ブロックリフトレバー66の係合突部664はブロックレバー64の接続アーム643から離れる。
図24は、図23に示す状態からさらに車両ドア10が閉作動し、これに伴いストライカSTが車外方向に移動して、ラッチ62がさらに反時計回転方向に回転した状態が示された、開閉機構40Cの後面図である。図24に示すように、ラッチ62がさらに反時計回転方向に回転すると、ハーフラッチアーム652のハーフラッチ係合壁面652aがハーフラッチ爪部623の第一係合壁面623aから離れていくとともに、ハーフラッチアーム652の係合突部652eとラッチ62の中間爪部625の外側壁面625bとの係合位置が、中間爪部625の先端側にずれていく。ここで、中間爪部625の外側壁面625bは、ラッチ62の回転中心(ラッチ支持軸68A)を中心とした円弧状に形成されており、ラッチ62が回転した場合でも外側壁面625bの径方向位置は変化しない。そのため、外側壁面625bに係合するハーフラッチレバー65は、回転位置を変化させることなく、すなわち回転位置が作動位置であるまま、外側壁面625bを摺動していく。
また、ポール63の第一係合アーム632がフルラッチ爪部622に押圧されて時計回転方向に回転していく。これにより、ポール63は、第一実施形態と同様に、係合位置からフルラッチ爪部622の回転領域から退避した回転位置である係合解除位置まで移動する。このように、ポール62は、フルラッチ爪部622の回転領域に進入した係合位置からフルラッチ爪部622の回転領域から退避した係合解除位置まで回転可能に構成される。
図24に示す状態からさらに車両ドア10が閉作動してストライカSTが車外方向に移動すると、ラッチ62のフルラッチ爪部622の係合突部622aとポール63の第一係合アーム632の上側側壁面632dとの接触位置が第一係合アーム632の先端側にさらにずれていき、やがてフルラッチ爪部622とポール63の第一係合アーム632との係合が外れる。すると、フルラッチ爪部622によるポール63の押圧が終了し、ポール63はポールリターンスプリング69Bの回転付勢力に従って反時計回転方向に回転して係合位置に復帰する。
ラッチ62のフルラッチ爪部622がポール63の第一係合アーム632から外れた位置にて、車両ドア10がほぼ全閉状態にされる。このためストライカSTの移動が停止するとともに、ラッチ62はラッチリターンスプリング69Aの回転付勢力に従って時計回転方向に回転しようとする。時計回転方向に回転付勢されるラッチ62のフルラッチ爪部622に設けられた係合突部622aが、係合位置に位置するポール63の第一係合アーム632に設けられた係合壁面632cに係合する。これによりラッチリターンスプリング69Aの回転付勢力によるラッチ62の時計回転方向への回転が規制される。こうして係合位置にあるポール63に回転が規制されたラッチ62の位置が、フルラッチ位置として定義される。このように、ラッチ62は、アンラッチ位置とフルラッチ位置との間の回転領域を回転可能であり、ストライカSTが車両ドア10の閉作動に伴い車外方向に移動することによって、アンラッチ位置からフルラッチ位置まで回転するように構成される。
フルラッチ位置にてラッチ62の時計回転方向への回転が係合位置にあるポール63に規制されているような開閉機構40Cの作動状態を、フルラッチ状態と呼ぶ。フルラッチ状態では、車両ドア10は全閉状態である。また、フルラッチ状態では、ラッチリターンスプリング69Aは、ラッチ62を、フルラッチ位置からアンラッチ位置に向かう時計回転方向に回転付勢する。
図25は、フルラッチ状態である開閉機構40Cの後面図である。開閉機構40Cの作動状態が図25に示すフルラッチ状態であるとき、フルラッチ位置に位置するラッチ62は、ストライカSTを解放不能に保持する。また、ポール63は、係合解除位置から係合位置まで回転し、係合位置にて回転規制される。また、ハーフラッチレバー65のハーフラッチアーム652は、その係合突部652bが中間爪部525の外側壁面に係合した状態を維持する。つまり、フルラッチ状態であるときでも、ハーフラッチレバー65は作動位置に位置する。
また、フルラッチ状態であるとき、ブロックレバー64は、ポール63が係合位置に回転したことによって、反時計回転方向に回転することができるようになる。このためブロックレバーリターンスプリング69Cの回転付勢力に従ってブロックレバー64が反時計回転方向に回転する。これによりブロックレバー64が非規制位置から規制位置まで回転し、規制位置にて回転規制される。このとき係合位置にあるポール63の第一係合アーム632の下方にブロックレバー64の第二係合アーム642が潜り込む。このように、ブロックレバー64は、ポール63が係合解除位置から係合解除位置まで回転して係合位置に位置したときには、非規制位置から規制位置まで回転する。
また、フルラッチ状態であるとき、ポール63はラッチ62からの付勢力によって、ポールリターンスプリング69Bの回転付勢力に抗した方向、すなわち時計回転方向に回転する力を受ける。これにより、ポール63の第一係合アーム632はポール支持軸68Bを中心としてその先端側が図25の下方側に向かうように回転しようとする。一方、図25に示すフルラッチ状態では、係合位置にあるポール63の第一係合アーム632の下方に規制位置にあるブロックレバー64が潜り込んでいる。従って、第一係合アーム632の回転は、第一係合アーム632の係合突部632aがブロックレバー64の第二係合アーム642の当接壁面642aに当接することにより規制される。このようにして、ポール63がラッチ62の回転を規制し、ブロックレバー64がポール63の回転を規制する。
本実施形態に係る開閉機構40Cでも、その作動状態が疑似ラッチ状態に陥る可能性がある。図26は、作動状態が疑似ラッチ状態である開閉機構40Cの後面図である。疑似ラッチ状態であるとき、ポール63の第一係合アーム632の係合壁面632cの上側部分にラッチ62のフルラッチ爪部622の係合突部622aが係合する。また、ブロックレバー64の第二係合アーム642はポール63の第一係合アーム632の下方に潜り込んでおらず、ブロックレバー64の第二係合アーム642の車内側側壁面642bがポール63の第一係合アーム632の係合壁面632cに係合する。このような係合状態は、ポール63が図25に示す正規の係合位置に至る前にラッチ62に係合し、ブロックレバー64が図25に示す正規の規制位置に至る前にポール63に係合することにより生じる。
また、疑似ラッチ状態であるとき、ラッチ62の回転位置はフルラッチ位置から僅かに時計回転方向に回転した位置である。つまり、疑似ラッチ状態であるときにおけるラッチ62の回転位置は、ハーフラッチ位置とフルラッチ位置との間の回転位置である。ここで、ハーフラッチ状態からフルラッチ状態に至るまでの間、ハーフラッチレバー65は、中間爪部625の外側壁面625bに係合した状態を維持する。中間爪部625の外側壁面625bは、ラッチ62の回転中心を中心とした円弧状に形成されているので、それに係合しているハーフラッチレバー65の回転位置は、ラッチ62が回転しても変化しない。このためハーフラッチレバー65は、ハーフラッチ状態からフルラッチ状態に至るまでの間、ハーフラッチ状態であるときの回転位置、すなわち図23に示す作動位置に位置することになる。よって、疑似ラッチ状態であるときでも、ハーフラッチレバー65は作動位置に位置する。
従って、疑似ラッチ状態であるときにラッチ62とポール63との係合が外れてラッチ62がラッチリターンスプリング69Aの回転付勢力によって時計回転方向に回転した場合、ラッチ62は、ハーフラッチ位置にて、作動位置にあるハーフラッチアーム652に係合することにより回転規制される。つまり、開閉機構40Cの作動状態がハーフラッチ状態にされる。このため車両ドア10の閉止状態が維持される。このように、本実施形態によっても、疑似ラッチ状態が生じることによって車両ドア10が開放されることを効果的に阻止することができる。
なお、全閉状態である車両ドア10を開放させる場合には、車両ドア10に設けられているドアアウトサイドハンドル17又はドアインサイドハンドルを、初期位置から開放位置まで回転させる。これにより、車両用ドアロック装置20の施解錠機構30内の作動レバーが作動して、ブロックリフトレバー66が図25に示す規制位置から時計回転方向に回転する。図27は、ブロックリフトレバー66が図25に示す位置から時計回転方向に回転した状態が示された、開閉機構40Cの後面図である。図27に示すように、ブロックリフトレバー66が規制位置から時計回転方向に回転すると、ブロックリフトレバー66の係合突部664に接続アーム643にて係合しているブロックレバー64が時計回転方向に回転する。これによりブロックレバー64は規制位置から非規制位置まで回転する。ブロックレバー64が非規制位置に至った場合、ブロックレバー64の第二係合アーム642がポール63の第一係合アーム632から外れ、ポール63は、ラッチ62から入力される付勢力、及び、車両ドア10の周縁に設置されているウェザーストリップ等の弾性反力を受けて、時計回転方向に回転する。なお、斯かる入力荷重によってポール63が回転しない場合でも、ブロックリフトレバー66の第二延設アーム663がポールリフトレバー67の接続アーム671を押すことにより、ポール63が時計回転方向に回転する。
ポール63の時計回転方向に回転により、ラッチ62のフルラッチ爪部622に設けられた係合突部622aと、ポール63の第一係合アーム632に形成された係合壁面632cとの係合が外れる。これによりラッチ62がラッチリターンスプリング69Aの回転付勢力に従って時計回転方向に回転する。このためラッチ62がアンラッチ位置に位置する。このときストライカSTはラッチ62のストライカ保持凹部624から離脱してストライカ進入溝611を車外方向に移動可能である。よって、車両ドア10を開放することができる。
また、ブロックリフトレバー66が図25に示す位置から時計回転方向に回転すると、ブロックリフトレバー66の係合ピン662aとハーフラッチアーム65の係合溝652dとの係合位置が、車外側に移動する。これにより、ハーフラッチレバー65は、係合ピン662aと係合溝652dとの係合を維持しながら反時計回転方向に移動する。このためハーフラッチレバー65は、図27に示すように、ハーフラッチ爪部623の回転領域から退避した領域である非作動領域内の位置(非作動位置)に位置する。こうしてハーフラッチレバー65が非作動位置まで移動するので、フルラッチ位置にあるラッチ62の規制が解除されてラッチ62がフルラッチ位置からアンラッチ位置まで回転する際に、ラッチ62の時計回転方向への回転がハーフラッチレバー65によって妨げられることはない。
なお、上記したようにフルラッチ状態であるときにブロックリフトレバー66が時計回転方向に回転した場合、ブロックレバー64もブロックリフトレバー66と一体的に回転して規制位置から非規制位置に至る。このとき、ブロックリフトレバー66に係合したハーフラッチレバー65が時計回転方向に回転して作動位置から非作動位置に至る。つまり、ブロックレバー64が規制位置から非規制位置に回転した場合にハーフラッチレバー65が作動位置から非作動位置に向かう方向に回転するように、ブロックリフトレバー66と一体的に回転するブロックレバー64の回転がハーフラッチレバー65に伝達される。このような伝達機構は、本実施形態では、ブロックリフトレバー66の係合ピン662aがハーフラッチレバー65の係合溝652dに係合していることにより達成される。従って、係合ピン662a及び係合溝652dが、本発明の回転伝達機構に相当する。
このように、本実施形態によれば、車両ドア10の閉止時にラッチ62がハーフラッチ位置からフルラッチ位置に回転する間、ハーフラッチレバー65は、作動位置に位置するように構成される。従って、疑似ラッチ状態であるときも、ハーフラッチレバー65は作動位置に位置しており、疑似ラッチ状態が解消した場合には作動位置にあるハーフラッチレバー65にラッチ62が係合されることにより車両ドア10の開放が阻止される。
また、本実施形態によれば、ハーフラッチレバー65がブロックリフトレバー66に係合し、ブロックリフトレバー66がブロックレバー64に係合するように構成されるので、ハーフラッチレバー65はブロックレバー64又はブロックリフトレバー66の回転に伴い回転する。このためハーフラッチレバー65を回転付勢するための付勢部材(ハーフラッチレバーリターンスプリング)を省略することができる。また、上記第二実施形態に係る開閉機構40Bに備えられる回転伝達レバーを省略することができる。
(第四実施形態)
次に、第四実施形態に係る車両用ドアロック装置が備える開閉機構について説明する。上記第一実施形態乃至第三実施形態に係る開閉機構は、作動状態が疑似ラッチ状態であるときにポールとラッチとの係合が外れた場合に、確実に開閉機構の作動状態がハーフラッチ状態に移行するように構成されている。ここで、疑似ラッチ状態或は完全固着状態に陥る原因について検討すると、車両ドアの閉作動時にラッチの回転位置がフルラッチ位置に至る前に、例えば図7又は図8に示すように、ポール43の第一係合アーム432の係合壁面432cがブロックレバー44の第二係合アーム442の車内側側壁面442bに接触し、接触部位にて摩擦力が発生する。この摩擦力が大きい場合、摩擦力がポール43の回転動作に影響を及ぼす。ここで、図7又は図8に示す場合、上記接触部位にてブロックレバー44からポール43に入力される力の作用方向は、上記接触部位からポール43の回転中心であるポール支持軸48Bの軸心に向かう方向に近い。そのためポール43に入力される力の大部分が摩擦力の垂直抗力となり、その結果、大きな摩擦力が発生する可能性がある。また、ポール43とブロックレバー44が金属製である場合、摩擦係数も大きい。このような要因により大きな摩擦力が発生して、その後のポール43の回転動作に影響を及ぼす結果、ポール43の回転が円滑に行われない場合が生じる。ポール43の回転が円滑に行われないことによって、ポール43が正規の係合位置に至る前にポール43とラッチ42が係合する。これにより、開閉機構が図9に示したような疑似ラッチ状態に陥り、或は完全固着状態に陥る。
従って、車両ドアの閉作動時にポールとブロックレバーとの接触により生じる摩擦力を低減させることにより、疑似ラッチ状態の発生或いは上記した完全固着状態の発生を回避することが可能である。本実施形態においては、このような点に着目して疑似ラッチ状態或いは完全固着状態の発生が回避され得る構成を有する車両用ドアロック装置について説明する。
図28は、本実施形態に係る車両用ドアロック装置20が備える開閉機構40Dの後面図である。図28に示すように、この開閉機構40Dは、ベース部材71と、ラッチ72と、ポール73と、ブロックレバー74と、ポールリフトレバー75と、ブロックリフトレバー76とを有する。
ベース部材71は、開閉機構40Dの各種部品を支持する部材である。ベース部材71には、第一実施形態に係るベース部材41に形成されるストライカ進入溝411と同様な形状のストライカ進入溝711が形成される。
また、ベース部材71に、ラッチ支持軸78A、ポール支持軸78B、ブロックレバー支持軸78Cが、それぞれ設けられる。各支持軸は、それぞれ前後方向に延設される。ラッチ支持軸78Aはストライカ進入溝711よりも上側の位置に設けられ、ポール支持軸78B及びブロックレバー支持軸78Cはストライカ進入溝711よりも下側の位置に設けられる。また、ポール支持軸78Bはブロックレバー支持軸78Cよりも車内方向側に設けられる。
ベース部材71に設けられたラッチ支持軸78Aにラッチ72が回転可能に支持される。このためラッチ72は、前後方向軸回りに回転可能にベース部材71に支持されることになる。ラッチ72は、支持部721、フルラッチ爪部722、及びハーフラッチ爪部723を有する。支持部721は、ラッチ支持軸78Aに回転可能に支持される部分を構成する。フルラッチ爪部722及びハーフラッチ爪部723は、ラッチ72の回転平面内にて支持部721から二股状に分かれてほぼ同じ方向に延設される。このためフルラッチ爪部722とハーフラッチ爪部723との間に空間が設けられ、この空間によってストライカ保持凹部724が形成される。
ストライカ保持凹部724は、互いに対面するフルラッチ爪部722の内側壁面722b及びハーフラッチ爪部723の内側壁面723dと、これら内側壁面の基端を接続する底面に囲まれた空間により形成され、ラッチ72の外周面に開口する。このため、ストライカ保持凹部724を挟んでフルラッチ爪部722とハーフラッチ爪部723が形成されていることになる。また、図28からわかるように、ストライカ保持凹部724は、前後方向から見てストライカ進入溝711に重なる位置に設けられる。
フルラッチ爪部722は、ラッチ72が図28において時計回転方向に回転する場合にハーフラッチ爪部723よりも回転方向における前方側に位置する。フルラッチ爪部722の先端部には係合突部722aが形成される。
ハーフラッチ爪部723には、第一係合壁面723a及び第二係合壁面723bが形成される。第一係合壁面723aはハーフラッチ爪部723の先端壁面に形成されている凹部の底面により形成され、ハーフラッチ爪部723の延設方向にほぼ垂直な壁面として形成される。第二係合壁面723bは、ハーフラッチ爪部723の内側壁面723dの反対側の壁面であってラッチ72の外周壁面の一部を構成する。
また、ラッチ支持軸78Aにラッチリターンスプリング79Aが取り付けられており、このラッチリターンスプリング79Aによって、ラッチ72は図28において矢印D1により示される時計回転方向に付勢される。ラッチ72はラッチリターンスプリング79Aの回転付勢力により時計回転方向に回転するが、その回転は、図略のラッチストッパにラッチ72が係合することにより規制される。ラッチ72の回転がラッチストッパにより規制される回転位置が、アンラッチ位置として定義される。図28には、アンラッチ位置に位置するラッチ72が示される。
ポール支持軸78Bに、ポール73が回転可能に支持される。このため、ポール73は、前後方向軸回りに回転可能にベース部材71に支持されることになる。ポール73は、上記第一実施形態に係るポール43と同様に、支持部731及び第一係合アーム732を有する。これらの構成部分は第一実施形態に係るポール43が備える支持部431及び第一係合アーム432と同様であるのでその説明は省略する。また、第一係合アーム732は、上記第一実施形態に係る第一係合アーム432と同様に、係合壁面732c、上側側壁面732d、及び下側側壁面732eを有し、係合壁面732cと下側側壁面732eとの境界部分には、図28において下方側に突出した係合突部732aが形成される。
また、ポール支持軸78Bにはポールリフトレバー75がポール73とともに回転可能に支持される。このポールリフトレバー75は、ポール73と一体的に回転可能であるようにポール73に接続される。ポールリフトレバー75は、支持部751と、第一延設アーム752と、接続アーム753とを有する。支持部751は、ポール73の支持部731とともにポール支持軸78Bに回転可能に支持される部分を構成する。第一延設アーム752は、支持部751からポール支持軸78Bの径外方に延設される。第一延設アーム752の延設方向は、ポール73の第一係合アーム732がポール73の支持部731から延設される方向とほぼ同一であり、その長さは第一係合アーム732よりも長い。従って、第一延設アーム752の基端部分はポール73の第一係合アーム732と重なるように配設される一方で、第一延設アーム752の先端部分はポール73の第一係合アーム732の先端部分よりもポール支持軸78Bから離れた位置に位置する。第一延設アーム752は、図28に示すように先細り状の三角形状に形成されており、その先端部には係合突部752aが形成される。また、ポールリフトレバー75の接続アーム753は、支持部751から第一延設アーム752の延設方向とは反対の方向に延設される。ポールリフトレバー75は、樹脂材料により形成されているのがよい。
ポール支持軸78Bにポールリターンスプリング79Bが取り付けられており、このポールリターンスプリング79Bによって、ポール73及びポールリフトレバー75は図28において矢印D2により示される反時計回転方向に付勢される。ポール73及びポールリフトレバー75の反時計回転方向への回転は、ベース部材71に設けられた図略のポールストッパにポール73が係合することによって規制される。ポールストッパによって回転規制されたポール73の回転位置が、係合位置として定義される。図28には、係合位置にあるポール73が示される。係合位置は、ポール73の回転位置のうちラッチ72のフルラッチ爪部722の回転領域に進入した回転位置である。
ブロックレバー支持軸78Cに、ブロックレバー74が回転可能に支持される。このため、ブロックレバー74は、前後方向軸回りに回転可能にベース部材71に支持されることになる。ブロックレバー74は、支持部741と、第二係合アーム742と、ハーフラッチアーム743と、接続アーム744とを有する。支持部741は、ブロックレバー支持軸78Cに回転可能に支持される部分を構成する。第二係合アーム742は、支持部741からブロックレバー支持軸78Cの径外方に延設される。図28では、第二係合アーム742は、支持部741から上方に延設される。ハーフラッチアーム743は、第二係合アーム742の先端部分から延設される。接続アーム744は、支持部741から第二係合アーム742の延設方向とは反対の方向に延設される。図28では、接続アーム744は、支持部741から下方に延設される。
ブロックレバー74の第二係合アーム742は、当接壁面742aと、車内側側壁面742bとを有する。当接壁面742aは第二係合アーム742の先端壁面により構成され、図28に示す方向(後方)から見た場合にブロックレバー支持軸78Cの軸心を中心とする円弧状に形成される。また、車内側側壁面742bは、当接壁面742aの両端のうち車内方向側の端部から支持部741に向かって延設される壁面により構成される。
ハーフラッチアーム743は、第二係合アーム742の当接壁面742aの車外方向側の部分から延設される。図28において、ハーフラッチアーム743は、当接壁面742aから車外方向側に向けて傾くように斜め上方に延設される。ハーフラッチアーム743は、ハーフラッチ係合壁面743aと、係合突部743bとを有する。ハーフラッチ係合壁面743aは、ハーフラッチアーム743の先端壁面により構成される。係合突部743bは、ハーフラッチ係合壁面743aからラッチ72に向かって突出するように形成される。
また、ブロックレバー支持軸78Cにはブロックリフトレバー76がブロックレバー74とともに回転可能に支持される。このブロックリフトレバー76は、ブロックレバー74と一体的に回転可能であるようにブロックレバー74に接続される。ブロックリフトレバー76は、樹脂材料により形成されるとよい。ブロックリフトレバー76は、支持部761と、第二延設アーム762と、接続部763と、第三延設アーム764とを有する。
図29は、ブロックリフトレバー76の後面図である。図29には、ブロックレバー74及びブロックレバー支持軸78Cが破線で示される。図28及び図29に示すように、ブロックリフトレバー76の支持部761はブロックレバー支持軸78Cに回転可能に支持される部分を構成する。また、支持部761から上方に先細り状に延設された第二延設アーム762が設けられる。第二延設アーム762は二等辺三角形状に形成される。二等辺三角形状の第二延設アーム762は、係合突部762aと、第一斜面762bと、第二斜面762cとを有する。係合突部762aは第二延設アーム762の先端に形成される。図28及び図29においては、係合突部762aは、第二延設アーム762の上方端部に形成される。第一斜面762bは係合突部762aから車内方向に向けて斜め下方に傾斜するように延設され、第二斜面762cは係合突部762aから車外方向に向けて斜め下方に傾斜するように延設される。係合突部762aは二等辺三角形状の第二延設アーム762の頂点に相当し、第一斜面762b及び第二斜面762cは二等辺三角形状の第二延設アーム762の対の斜辺に相当する。また、第二延設アーム762は、図28からわかるように、ポールリフトレバー75の第一延設アーム752の下方に位置する。
ブロックリフトレバー76の接続部763は支持部761の下方に設けられており、ブロックレバー74の接続アーム744を両側から挟み込むように形成される。このため接続部763にてブロックリフトレバー76がブロックレバー74に接続されるとともに、ブロックリフトレバー76がブロックレバー74と一体回転可能にされる。第三延設アーム764は接続部763から車外側に延設される。第三延設アーム764は、ブロックレバー74及びブロックリフトレバー76が図28に示す回転位置からブロックレバー支持軸78C回りを時計回転方向に回転したときに、その先端部分にてポールリフトレバー75の接続アーム753に当接することができるように寸法設定される。
また、図28に示すように、ブロックレバー支持軸78Cには、ブロックレバーリターンスプリング79Cが取り付けられている。このブロックレバーリターンスプリング79Cによって、ブロックレバー74及びブロックリフトレバー76が図28に矢印D3で示す反時計回転方向に付勢される。ラッチ72がアンラッチ位置にあるとき、図28に示すようにブロックレバー74のハーフラッチアーム743の係合突部743bがラッチ72のハーフラッチ爪部723に形成された第二係合壁面723bに係合することにより、ブロックレバー74及びブロックリフトレバー76の反時計回転方向への回転が規制される。このようにしてアンラッチ位置にあるラッチ72にハーフラッチアーム743が係合したブロックレバー74の回転位置が、規制位置として定義される。図28には、規制位置にあるブロックレバー74が示される。規制位置は、ブロックレバー74の回転位置のうち、ポール73の第一係合アーム732の回転領域に進入する回転位置である。
また、本実施形態において、ラッチ72、ポール73、及びブロックレバー74は、互いに係合することができるように、同一の回転平面である第一回転平面内を回転する。また、ポールリフトレバー75及びブロックリフトレバー76は、ポールリフトレバー75の第一延設アーム752とブロックリフトレバー76の第二延設アーム762が互いに係合することができるように、同一の回転平面である第二回転平面内を回転する。そして、第一回転平面と第二回転平面は、前後方向において異なる。このため、第二回転平面内を回転するポールリフトレバー75及びブロックリフトレバー76は、第一回転平面内を回転するラッチ72、ポール73、及びブロックレバー74には係合しない。
上記構成の開閉機構40Dの作動について説明する。車両ドア10が開放されている時には、開閉機構40Dの作動状態は図28に示すようである。このときラッチ72がアンラッチ位置に位置する。また、ポール73はポールストッパに回転規制された係合位置に位置する。また、ブロックレバー74は、そのハーフラッチアーム743の係合突部743bがアンラッチ位置にあるラッチ72のハーフラッチ爪部723に形成された第二係合壁面723bに係合することにより、規制位置に位置する。図28に示すような開閉機構40Dの作動状態が、アンラッチ状態である。
車両ドア10が閉作動していくと、車体に設けられたストライカSTがベース部材71のストライカ進入溝711に進入し、さらにストライカ進入溝711を車外方向側に向かって移動する。そして、ストライカSTは、やがてラッチ72のストライカ保持凹部724に受け入れられる。これによりストライカSTはラッチ72に保持される。
さらに車両ドア10の閉作動が進んでストライカSTがストライカ進入溝711を車外方向側に向かって移動すると、ラッチ72はストライカSTを保持したまま、ラッチリターンスプリング79Aの回転付勢力に抗して図28の反時計回転方向に回転する。
上記したラッチ72の反時計回転方向への回転によって、ラッチ72のハーフラッチ爪部723の第二係合壁面723bとそれに係合しているブロックレバー74のハーフラッチアーム743の係合突部743bとの係合位置が、第二係合壁面723bの先端側(ハーフラッチ爪部723の先端側)にずれていく。そして、上記の係合位置が第二係合壁面723bの先端を乗り越えた時点で両者の係合が外れる。
図30は、ハーフラッチアーム743の係合突部743bとハーフラッチ爪部723の第二係合壁面723bとの係合が外れた直後の状態が示された、開閉機構40Dの後面図である。ハーフラッチアーム743の係合突部743bとハーフラッチ爪部723の第二係合壁面723bとの係合が外れると、ハーフラッチアーム743を有するブロックレバー74がブロックレバーリターンスプリング79Cの回転付勢力によって反時計回転方向に回転する。そして、図30に示すように、ハーフラッチアーム743の係合突部743bがラッチ72のハーフラッチ爪部723の第一係合壁面723aから立設した側壁723cに係合することにより、ブロックレバー74の回転が規制される。このとき、ハーフラッチアーム743のハーフラッチ係合壁面743aが、ラッチ72のハーフラッチ爪部723の第一係合壁面723aに対面配置する。ハーフラッチ係合壁面743aにハーフラッチ爪部723の第一係合壁面723aが対面するラッチ72の回転位置がハーフラッチ位置として定義される。
開閉機構40Dの作動状態が図30に示す状態であるときに車両ドア10の閉作動が終了した場合、ストライカSTの移動が停止し、ラッチ72はラッチリターンスプリング79Aの回転付勢力に従って時計回転方向に回転しようとする。しかしその回転は、ハーフラッチアーム743のハーフラッチ係合壁面743aがハーフラッチ爪部723の第一係合壁面723aに係合することにより規制される。図30に示すような、ハーフラッチ位置にてラッチ72の時計回転方向への回転がハーフラッチアーム743により規制されている開閉機構40Dの作動状態を、ハーフラッチ状態と呼ぶ。ハーフラッチ状態であるとき、車両ドア10は所謂半ドア状態となる。この場合、車両ドア10は全閉状態よりも開いた状態にて閉止されるとともにその閉止状態は維持される。
図31は、図30に示す状態からさらに車両ドア10が閉作動してストライカSTが車外方向に移動した状態が示された、開閉機構40Dの後面図である。図31に示すように、ストライカSTがさらに車外方向に移動すると、ラッチ72がさらに反時計回転方向に回転する。すると、ハーフラッチアーム743のハーフラッチ係合壁面743aがハーフラッチ爪部723の第一係合壁面723aがから離れていく。また、ラッチ72の反時計回転方向の回転によりハーフラッチ爪部723は車外方向側に振られるように移動していくので、ハーフラッチ爪部723とハーフラッチアーム743との係合位置も車外方向側に移動していく。このためハーフラッチアーム743の先端部分が車外方向側に移動し、これによりブロックレバー74が規制位置から時計回転方向に回転する。
また、ラッチ72が反時計回転方向に回転することによって、ラッチ72のフルラッチ爪部722の係合突部722aがポール73に近づき、やがて、フルラッチ爪部722の係合突部722aが、ポール73の第一係合アーム732の上側側壁面732dに接触する。
図32は、フルラッチ爪部722の係合突部722aがポール73の第一係合アーム732の上側側壁面732dに当接した状態が示された、開閉機構40Dの後面図である。図32に示す状態からさらにラッチ72が反時計回転方向に回転すると、ポール73の第一係合アーム732がフルラッチ爪部722に押圧されて、係合位置から時計回転方向に回転していく。これにより、ポール73は、第一実施形態と同様に、係合位置からフルラッチ爪部722の回転領域から退避した回転位置である係合解除位置まで回転する。このように、ポール73は、フルラッチ爪部722の回転領域に進入した係合位置からフルラッチ爪部722の回転領域から退避した係合解除位置まで回転可能に構成される。また、ポール73が上記のようにして係合位置から係合解除位置まで回転する際には、ポール73の第一係合アーム732は図32に示す位置から下方に向けて回転することになるが、ポール73とフルラッチ爪部722が当接した時点では、ブロックレバー74が時計回転方向に回転することによってポール73の下方位置から外れた位置すなわちポール73の回転領域から退避した非規制位置に移動している。つまり、ブロックレバー74は、ポール73が係合位置から係合解除位置に向かう方向に回転しているときには非規制位置に位置する。このため、上記したポール73の回転がブロックレバー74の第二係合アーム742に妨げられることはない。
また、ポール73が時計回転方向に回転すると、それに伴いポールリフトレバー75も時計回転方向に回転する。このときポールリフトレバー75の第一延設アーム752の係合突部752aが下方に移動する。ここで、図31からわかるように、ポール73とフルラッチ爪部722が係合する前には、ポールリフトレバー75の第一延設アーム752の下方にブロックリフトレバー76の第二延設アーム762が配置している。従って、第一延設アーム752の係合突部752aは、ポールリフトレバー75が時計回転方向に回転するにつれて下方に移動してブロックリフトレバー76の第二延設アーム762に近づいていく。そして、フルラッチ爪部722がポール73を押圧してポール73が係合解除位置に向かって回転しているときに、図32に示すようにポールリフトレバー75の第一延設アーム752の係合突部752aが、ブロックリフトレバー76の第二延設アーム762に当接する。このとき図32からわかるように、ポールリフトレバー75の係合突部752aは、ブロックリフトレバー76の第二延設アーム762の第一斜面762bに当接する。
また、図32に示す状態からさらにストライカSTが車外方向に移動してラッチ72が反時計回転方向に回転することにより、ラッチ72のフルラッチ爪部722の係合突部722aとポール73の第一係合アーム732の上側側壁面732dとの接触位置が第一係合アーム732の先端側にずれていき、やがてフルラッチ爪部722とポール73の第一係合アーム732との係合が外れる。すると、フルラッチ爪部722によるポール73の押圧が終了し、ポール73はポールリターンスプリング79Bの回転付勢力に従って反時計回転方向に回転して係合位置に復帰する。
図33は、フルラッチ爪部722とポール73の第一係合アーム732との係合が外れた直後の状態が示された、開閉機構40Dの後面図である。図33に示す開閉機構40Dの作動状態は、上記の係合が外れた後であってポール73が係合位置に復帰する前の状態を示す。図33に示す状態では、ポールリフトレバー75の第一延設アーム752の係合突部752aがブロックリフトレバー76の第二延設アーム762の第一斜面762bに当接した状態が、維持されている。また、フルラッチ爪部722とポール73の係合が外れたことにより、ポール73がポールリターンスプリング79Bの回転付勢力により反時計方向に回転しようとする。また、ブロックレバー74のハーフラッチアーム743がラッチ72のハーフラッチ爪部723から離れる。このためブロックレバー74及びブロックリフトレバー76は、ブロックレバーリターンスプリング79Cによる反時計回転方向への回転付勢力を受ける。この回転付勢力は、ブロックリフトレバー76の第二延設アーム762に当接しているポールリフトレバー75に伝達される。
また、図32から図33への作動状態の変化の過程において、ポールリフトレバー75がポール73の時計回転方向への回転に伴って時計回転方向に回転することにより、ポールリフトレバー75の第一延設アーム752に当接したブロックリフトレバー76の第二延設アーム762が第一延設アーム752に押されて時計回転方向に回転する。これに伴いブロックレバー74も時計回転方向に回転する。このためポール73の第一係合アーム732とブロックレバー74の第二係合アーム742との距離が開く。その結果、図33に示す状態ではポール73とブロックレバー74は接触していない。従って、ポール73とブロックレバー74が接触することにより生じる摩擦力は発生しない。
一方、上記したように、図33に示す状態では、ポール73と一体回転するポールリフトレバー75がその第一延設アーム752の係合突部752aにてブロックレバー74と一体回転するブロックリフトレバー76の第二延設アーム762に当接している。従って、ポール73は、ポールリフトレバー75を介して、ブロックリフトレバー76からブロックレバーリターンスプリング79Cの回転付勢力を受けることになる。
図34は、図33に示す状態のポール73がブロックリフトレバー76から受ける付勢力の方向を説明するための図である。図34において、ポールリフトレバー75の第一延設アーム752の係合突部752aとブロックリフトレバー76の第二延設アーム762の第一斜面762bとの接触点が点Pにより表される。また、接触点Pにおける第一斜面762bの法線方向が、図34の矢印Aにより示される。この矢印Aにより示される方向は、ブロックリフトレバー76からポール73に作用する力の方向である。矢印Aにより示される方向は、ポール73の回転中心(ポール支持軸78Bの軸心)から大きく反れている。
矢印Aにより作用方向が示されるブロックリフトレバー76からポール73に作用する力Fは、接触点Pからポール73の回転中心すなわちポール支持軸78Bの軸心に向かう方向A1に作用する分力F1と、分力F1に垂直な方向A2に作用する分力F2に分解することができる。
分力F1は、ポール73の回転動作を妨げるような摩擦力を発生する。従って、分力F1が大きい場合、摩擦力によりポール73が円滑に回転しない虞がある。図34に示す状態では、ポール73はポールリターンスプリング79Bの回転付勢力によって反時計回転方向に回転しようとしているので、摩擦力が大きい場合すなわち分力F1が大きい場合はポール73が円滑に反時計回転方向に回転しない。これにより、疑似ラッチ状態或は完全固着状態が発生する可能性が高まる。この点に関し、本実施形態では、分力F1の作用方向A1と力Fの作用方向Aとのなす角θは約50°であるので、力Fに対する分力F1は小さい。さらに、分力F1よりも分力F2の方が大きい。分力F2はポール73を反時計回転方向に回転させるための回転駆動力になる。このように、ブロックリフトレバー76からポール73に作用する力Fのうち、ポール73の反時計回転方向への回転を阻害する力F1は弱い。また、ポール73の反時計回転方向への回転を阻害する力F1よりも、ポール73を反時計回転方向へ回転させる力F2の方が大きい。このため、分力F1によりポール73の円滑な回転が阻害されることはなく、ポール73は、図33及び図34に示す回転位置から円滑に反時計回転方向に回転することができる。そして、このようにしてラッチ72から外れて反時計回転方向に回転したポール73は、ポールストッパに係合した係合位置にて回転規制される。
上記角度θは、ポール73とブロックレバー74との回転平面内での接触点Pにおけるブロックレバーリターンスプリング79Cの付勢力(力F)の作用方向(図34のA方向)が、接触点Pからポール73の回転中心に向かう方向(図34のA1方向)に対して傾斜している角度である。ここで、A1方向に対するA方向の傾斜方向は、接触点PにおいてA方向に作用する力Fが、ポール73が係合解除位置から係合位置に向かう方向すなわちポールリターンスプリング79Bによるポール73の付勢方向、に一致する成分(分力F2)を含む方向である。この傾斜角度が45°以上であれば、力Fのうちポール73の回転を阻害する摩擦力成分である力F1を十分に小さくすることができる。また、傾斜角度が45°以上であれば、力Fのうちポール73の回転を促進する成分である力F2の大きさが、ポール73の回転を阻害する成分である力F1以上になる。このため力F1によりポール73が円滑に回転しないことを効果的に防止することができる。
ラッチ72のフルラッチ爪部722がポール73の第一係合アーム732から外れた位置にて、車両ドア10がほぼ全閉状態にされる。このためストライカSTの移動が停止するとともに、ラッチ72はラッチリターンスプリング79Aの回転付勢力に従って時計回転方向に回転しようとする。こうして時計回転方向に回転付勢されるラッチ72のフルラッチ爪部722に設けられた係合突部722aが、係合位置に位置するポール73の第一係合アーム732に設けられた係合壁面732cに係合する。これによりラッチリターンスプリング79Aの回転付勢力によるラッチ72の時計回転方向への回転が規制される。ポール73により回転が規制されたラッチ72の位置が、フルラッチ位置として定義される。また、フルラッチ位置にてラッチ72の時計回転方向への回転が規制されているような開閉機構40Dの作動状態を、フルラッチ状態と呼ぶ。フルラッチ状態では、車両ドア10は全閉状態である。また、フルラッチ状態では、ラッチリターンスプリング79Aは、ラッチ72を、フルラッチ位置からアンラッチ位置に向かう時計回転方向に回転付勢する。
図35は、フルラッチ状態の開閉機構40Dの後面図である。開閉機構40Dの作動状態が図35に示すフルラッチ状態であるとき、フルラッチ位置に位置するラッチ72は、ストライカSTを解放不能に保持する。また、ポール73は、図33に示す係合解除位置から図35に示す係合位置まで反時計回転方向に回転し、係合位置にて回転規制される。また、上記したポール73の反時計回転方向への回転に伴い、ポールリフトレバー75も反時計方向に回転する。これによりポールリフトレバー75がブロックリフトレバー76から離れる。また、ブロックレバー74がブロックレバーリターンスプリング79Cの回転付勢力により図33に示す非規制位置からブロックリフトレバー76を伴って反時計方向に回転して、規制位置にて回転規制される。このとき、係合位置にあるポール73の第一係合アーム732の下方にブロックレバー74の第二係合アーム742が潜り込む。
フルラッチ状態であるとき、ポール73はラッチ72からの付勢力によって、ポールリターンスプリング79Bの回転付勢力に抗した方向、すなわち時計回転方向に回転する力を受ける。これにより、ポール73の第一係合アーム732はポール支持軸78Bを中心としてその先端側が図35の下方側に向かうように回転しようとする。一方、図35に示すフルラッチ状態では、係合位置にあるポール73の第一係合アーム732の下方に規制位置にあるブロックレバー74が潜り込んでいる。従って、上記した第一係合アーム732の回転は、第一係合アーム732の係合突部732aがブロックレバー74の第二係合アーム742の当接壁面742aに当接することにより規制される。このようにして、ポール73がラッチ72の回転を規制し、ブロックレバー74がポール73の回転を規制する。
本実施形態に係る開閉機構40Dにおいては、図33に示すように、ラッチ72のフルラッチ爪部722とポール73の第一係合アーム732との係合が外れた後に、ポール73とブロックレバー74が直接接触せず、ポールリフトレバー75とブロックリフトレバー76が接触する状態が実現される。そして、ポールリフトレバー75とブロックリフトレバー76との接触点Pにおいて、ブロックリフトレバー76からポールリフトレバー75に及ぼす付勢力の作用方向(A方向)が、接触点Pからポール73の回転中心に向かう方向(A1方向)に対して傾斜している。A1方向に対するA方向の傾斜角度は45°以上であるのがよく、本実施形態では50°傾斜している。このためポール73に作用する力Fのうちポール73の回転を阻害する摩擦力を発生する力F1は小さく、且つ、力F1よりも、ポール73を係合位置に向かって反時計回転方向に回転させる力F2の方が大きい。このため、フルラッチ爪部722から外れたポール73の反時計回転方向への回転が円滑に行われ、それにより速やかにフルラッチ状態が実現される。言い換えれば、ポール73の回転動作が円滑に行われないことによって作動状態が疑似ラッチ状態或は完全固着状態に陥る可能性を低減することができる。このため、疑似ラッチ状態或は完全固着状態に陥ることによる不具合の発生を効果的に防止することができる。
なお、全閉状態である車両ドア10を開放させる場合には、車両ドア10に設けられているドアアウトサイドハンドル17又はドアインサイドハンドルを、初期位置から開放位置まで回転させる。これにより、車両用ドアロック装置20の施解錠機構30内の作動レバーが作動して、ブロックレバー74が時計回転方向に回転する。
図36は、フルラッチ状態の開閉機構40Dのブロックレバー74が時計回転方向に回転した状態が示された、開閉機構40Dの後面図である。図36に示すように、ブロックレバー74が時計回転方向に回転すると、ブロックレバー74の第二係合アーム742がポール73の第一係合アーム732から外れる。これにより、ポール73及びポールリフトレバー75は、ラッチ72から入力される付勢力、及び、車両ドア10の周縁に設置されているウェザーストリップ等の弾性反力を受けて、時計回転方向に回転する。なお、斯かる入力荷重によってポール73が回転しない場合でも、ブロックレバー74の回転に伴い回転するブロックリフトレバー76の第三延設アーム764が、図36に示すようにポールリフトレバー75の接続アーム753を押すことにより、ポール73及びポールリフトレバー75が時計回転方向に回転する。
このようにしてポール73が時計回転方向に回転すると、ラッチ72のフルラッチ爪部722に設けられた係合突部722aと、ポール73の第一係合アーム732に形成された係合壁面732cとの係合が外れる。これによりラッチ72がラッチリターンスプリング79Aの回転付勢力に従って時計回転方向に回転する。なお、図36に示すように、ブロックレバー74の回転によりハーフラッチアーム743がラッチ72の回転領域から退避しているので、ラッチ72の時計回転方向への回転がハーフラッチアーム743によって規制されることはない。このためラッチ72が再びアンラッチ位置に位置する。このときストライカSTはラッチ72のストライカ保持凹部724から離脱してストライカ進入溝711を車外方向に移動可能である。よって、車両ドア10を開放することができる。
本実施形態によれば、車両ドア10の閉作動に伴いラッチ72のフルラッチ爪部722がポール73を押圧してポール73が係合位置から係合解除位置に向かって回転するときに、図33に示すように、ポール73とブロックレバー74が接触せず、ポールリフトレバー75の第一延設アーム752とブロックリフトレバー76の第二延設アーム762が互いに接触する状態が実現される。このとき、図34に示すように、接触点Pにおいて第二延設アーム762から第一延設アーム752に作用する力Fの方向(A方向)が、接触点Pからポール73の回転中心に向かう方向(A1方向)に対して45°以上傾斜している。このため力Fのうち第一延設アーム752に摩擦力として作用する分力F1の大きさが低減される。よって、上記接触点Pにて生じる摩擦力によりポールリフトレバー75と一体的に回転するポール73の係合解除位置に向かう回転動作が円滑に行われる。その結果、車両ドア10の閉作動時に疑似ラッチ状態或いは完全固着状態に陥ることを回避することができる。よって、車両ドア10の閉止時にポール73とブロックレバー74が係合することによる不具合の発生を防止することができる。
以上、本発明の実施形態およびその変形例について説明したが、これらの例は本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、本発明はこれらの例に限定して解釈されてはならないものである。本発明は、その技術思想またはその主要な特徴を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。