JP7213700B2 - 圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、クランク室を横断する駆動軸の回転に伴うピストンの往復運動によって、吸入室からシリンダボア内に吸入された冷媒が圧縮されて吐出室に吐出される圧縮機に関する。
この種の圧縮機の一例として、特許文献1に記載の斜板式の圧縮機が知られている。この圧縮機は、吸入室とクランク室と吐出室とシリンダボアとを有するハウジングと、前記クランク室を横断する駆動軸と、前記駆動軸に固定され前記クランク室内において前記ハウジングの一端壁部に対向する回転体(ラグプレート)と、前記クランク室と前記吸入室との間を連通する排出通路(逃がし通路)とを有し、前記駆動軸の回転に伴う前記シリンダボア内のピストンの往復運動によって前記吸入室から前記シリンダボア内に吸入された冷媒が圧縮されて前記吐出室に吐出されるように構成されている。前記駆動軸の一端部は、前記ハウジングの前記一端壁部に開口される軸孔内を延びている。前記軸孔のクランク室内側開口部位には、前記駆動軸を回転可能に支持するラジアル軸受(プレーンベアリング)が設けられ、前記軸孔のクランク室外側開口部位には、軸封装置が前記ラジアル軸受の一端面との間に環状の空間を空けて設けられ、前記回転体と前記ハウジングの前記一端壁部との間にはスラスト軸受が設けられている。前記排出通路は、前記クランク室内の潤滑油が多い領域に連通する第1通路と、前記クランク室内の潤滑油が少ない領域に連通する第2通路とを有している。前記第1通路は、前記ハウジングの前記一端壁部に形成され、前記クランク室の外周域と前記空間との間を連通する油案内通路(油案内溝、油案内孔)、前記環状の空間、当該空間に接続し前記駆動軸内を延びる内部通路、及び、絞り孔からなり、前記クランク室内の潤滑油が多い領域と前記吸入室との間を連通している。前記内部通路は、駆動軸の回転方向の所定角度位置において径方向に延びる第1孔と、それぞれ軸心方向に延びる第2孔、連通孔及び流出孔とからなる。また、この圧縮機は、前記駆動軸の回転数の増加によって前記排出通路に占める前記第1通路の割合を大きくし、前記駆動軸の回転数の低下によって前記排出通路に占める前記第2通路の割合を大きくするように構成されている。
特開2009-209682号公報
上記従来の圧縮機においては、前記内部通路の一端部である前記第1孔が開口する前記環状の空間は、前記軸封装置と前記ラジアル軸受の前記一端面との間の容積の小さい領域である。
ここで、前記空間及び前記第1孔は、前記クランク室と前記吸入室との間を連通する前記排出通路の一部を構成している。したがって、容積の小さい前記環状の空間に冷媒ガスと伴に流入した潤滑油の大半は、前記駆動軸の回転方向の角度位置によらず、前記冷媒ガスと伴に前記第1孔に流入し、その後、前記第1孔を含む前記内部通路を経由して前記吸入室に排出されることになる。その結果、例えば、前記駆動軸が高速で回転されることにより、前記クランク室内の多量に潤滑油を含む冷媒ガスが前記排出通路を介して前記吸入室に排出される状態が継続すると、前記クランク室内における潤滑オイルが過剰に少なくなり、ひいては、前記軸封装置等の摺動部材等の潤滑不足を招くおそれがある。
そこで、本発明は、クランク室と吸入室との間を連通しつつ、クランク室内の潤滑油の油量を適正に維持することのできる圧縮機を提供することを目的とする。
本発明の一側面によると、ハウジングと、駆動軸と、ラジアル軸受と、軸封装置と、円板状の回転体と、スラスト軸受と、ピストンと、排出通路と、油供給通路と、を含む、圧縮機が提供される。前記ハウジングは、圧縮前の冷媒が導かれる吸入室と、吐出室と、クランク室とを有する。前記駆動軸は、前記クランク室を横断し、一端部が前記ハウジングのクランク室形成壁における駆動軸延伸方向の一端壁部に開口される軸孔内を延びる。前記ラジアル軸受は、前記軸孔のクランク室内側開口部位に設けられ、前記駆動軸を回転可能に支持する。前記軸封装置は、前記軸孔のクランク室外側の部位において前記ラジアル軸受の一端面との間に空間を空けて設けられ、前記駆動軸の外周面と前記軸孔の内周面との間を気密に封止する。前記円板状の回転体は、前記駆動軸に固定され、前記クランク室内において前記一端壁部に対向する。前記スラスト軸受は、前記回転体と前記一端壁部との間に設けられ、前記駆動軸のスラスト方向荷重を支持する。前記ピストンは、前記クランク室形成壁の他端壁部に形成されるシリンダボア内に収容される。前記排出通路は、前記クランク室と前記吸入室との間を連通する。前記油供給通路は、前記クランク室内の潤滑油を前記空間に導くための通路である。前記圧縮機において、前記駆動軸の回転に伴う前記ピストンの往復運動によって前記吸入室から前記シリンダボア内に吸入された冷媒が圧縮されて前記吐出室に吐出される。前記排出通路は、前記駆動軸の前記一端部における外周面から軸内に延びる第1通路と該第1通路に連続して前記駆動軸の他端部側に延びる第2通路とを経由して、前記クランク室と前記吸入室との間を連通する。前記油供給通路は、一端が前記一端壁部における前記スラスト軸受より径方向外側にて前記クランク室に開口し、他端が前記空間に開口する。前記クランク室から前記油供給通路を介して前記空間に流入した潤滑油は、前記ラジアル軸受と前記駆動軸との間の面間隙間を経由して流出する。前記第1通路の外周面側開口端は、前記ラジアル軸受の他端面に対応した位置に凹設されると共に前記一端壁部と前記回転体との間のクランク室内領域に開口する凹部に開口している。
前記圧縮機においては、前記クランク室から前記油供給通路を介して前記空間に流入した潤滑油は、前記ラジアル軸受と前記駆動軸との間の面間隙間を経由してから流出する。つまり、前記油供給通路を介して前記空間に流入した潤滑油は、前記面間隙間を流通して前記ラジアル軸受の他端面側から流出する。しかし、前記面間隙間により形成される流路の断面積は小さいため、前記ラジアル軸受の他端面側から流出する潤滑油の油量は制限される。そして、前記圧縮機においては、前記一端壁部と前記回転体との間のクランク室内領域に開口する前記凹部が前記ラジアル軸受の他端面に対応した位置に凹設され、前記第1通路の外周面側開口端は前記凹部に開口している。このため、前記ラジアル軸受の他端面側から流出する潤滑油の大半は、前記凹部内に流入し、その後、前記凹部、前記駆動軸内の前記第1通路及び前記第2通路を経由して前記吸入室に導かれる。しかし、前記凹部に流入する潤滑油の油量は前記面間隙間により制限されているため、前記クランク室から前記吸入室に流出する潤滑油の油量を制限することができる。その結果、クランク室内の潤滑油の油量を適正に維持することができる。
このようにして、クランク室と吸入室との間を連通しつつ、クランク室内の潤滑油の油量を適正に維持することのできる圧縮機を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る圧縮機の概略の断面図である。 前記圧縮機の供給通路及び排出通路を模式的に示す図である。 前記圧縮機の要部断面図である。 前記圧縮機の回転体の背面図である。 図3に示すA部の拡大図である。 前記圧縮機の第1通路についての変形例を説明するための図である。 前記圧縮機の凹部の形状についての変形例を説明するための図である。 前記圧縮機の案内周壁の外周面の変形例を説明するための図である。 前記圧縮機の前記案内周壁の形成位置についての変形例を説明するための図である。 前記圧縮機の前記回転体の変形例について説明するための図である。 前記圧縮機の前記凹部の形成位置についての変形例を説明するための図である。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る圧縮機の断面図である。実施形態に係る圧縮機は、主に車両用のエアコンシステム(エア・コンディショナー・システム)に適用されるクラッチレス圧縮機として構成されている。なお、本実施形態では、斜板式の吐出容量可変の可変容量圧縮機の場合を一例に挙げて説明する。図1における上側が重力方向の上側であり、図1における下側が重力方向の下側である。
図1に示されるように、圧縮機100は、環状に配列された複数のシリンダボア101aを有するシリンダブロック101と、シリンダブロック101の一端に設けられたフロントハウジング102と、シリンダブロック101の他端にバルブプレート103を介して設けられたシリンダヘッド104と、を含む。
そして、フロントハウジング102、センターガスケット(図示省略)、シリンダブロック101、シリンダガスケット152、吸入弁形成板150、バルブプレート103、吐出弁形成板151、ヘッドガスケット153、シリンダヘッド104が順次接続され、複数の通しボルト105によって締結されて圧縮機100のハウジングが形成されている。また、シリンダブロック101とフロントハウジング102とによってクランク室140(制御圧室)が形成されており、水平方向に延びる駆動軸110がクランク室140を横断して設けられている。フロントハウジング102は、有底筒状に形成され、概ね円筒状の周壁102aと周壁102aの一端を閉止する一端壁部102bとを有し、周壁102aの他端の開口がシリンダブロック101によって閉止されている。シリンダボア101aはシリンダブロック101に形成されている。なお、本実施形態において、シリンダブロック101とフロントハウジング102が本発明に係る「クランク室形成壁」に相当し、フロントハウジング102の一端壁部102bが本発明に係る「前記ハウジングのクランク室形成壁における駆動軸延伸方向の一端壁部」に相当し、シリンダブロック101が本発明に係る「前記クランク室形成壁の他端壁部」に相当する。
駆動軸110の軸方向の中間部の周囲には、斜板111が配置されている。斜板111は、駆動軸110に固定された円板状の回転体112にリンク機構120を介して連結され、駆動軸110と伴に回転する。また、斜板111は、駆動軸110の軸心Oに直交する平面に対する角度(斜板111の傾角)が変更可能に構成されている。回転体112は、クランク室140内においてフロントハウジング102の一端壁部102bに対向する。回転体112における一端壁部102b側の端面112bと一端壁部102bとの間には隙間が設けられている。
リンク機構120は、回転体112から突設された第1アーム112aと、斜板111から突設された第2アーム111aと、一端側が第1連結ピン122を介して第1アーム112aに対して回動自在に連結され、他端側が第2連結ピン123を介して第2アーム111aに対して回動自在に連結されたリンクアーム121と、を含む。
駆動軸110が挿通される斜板111の貫通孔111bは、斜板111が最大傾角と最小傾角の範囲で傾動可能な形状に形成されている。貫通孔111bには駆動軸110と当接する最小傾角規制部が形成されている。斜板111が駆動軸110に直交するときの斜板111の傾角を0°とした場合、貫通孔111bの前記最小傾角規制部は、斜板111の傾角がほぼ0°となると駆動軸110に当接し、斜板111のそれ以上の傾動を規制するように形成されている。斜板111は、その傾角が最大傾角となると回転体112に当接してそれ以上の傾動が規制される。
駆動軸110には、斜板111の傾角を減少させる方向に斜板111を付勢する傾角減少バネ114と、斜板111の傾角を増大させる方向に斜板111を付勢する傾角増大バネ115とが装着されている。傾角減少バネ114は、斜板111と回転体112との間に配置され、傾角増大バネ115は、斜板111と駆動軸110に固定されたバネ支持部材116との間に装着されている。
ここで、斜板111の傾角が最小傾角であるとき、傾角増大バネ115の付勢力の方が傾角減少バネ114の付勢力よりも大きくなるように設定されており、駆動軸110が回転していないとき、斜板111は、傾角減少バネ114の付勢力と傾角増大バネ115の付勢力とがバランスする傾角に位置決めされる。
駆動軸110の一端部(図1における左端側)は、フロントハウジング102の一端壁部102bに開口される軸孔102d内を延び、フロントハウジング102の外側まで延在している。詳しくは、軸孔102dは、フロントハウジング102の一端壁部102bの径方向中央部において外側に部分的に突出する突出部102c内を貫通している。駆動軸110の前記一端部には、図示省略の動力伝達装置が連結される。前記動力伝達装置を介して駆動軸110の回転動力が外部動力源から入力される。クランク室140の内部は、突出部102cに設けられた軸封装置130によって外部空間から遮断されている。軸孔102dのクランク室内側開口部位には、駆動軸110を回転可能に支持する第1軸受131が設けられている。軸封装置130は、軸孔102dのクランク室外側の部位において第1軸受131の軸方向の一端面131aとの間に空間Wを空けて設けられ、駆動軸110の外周面と軸孔102dの内周面との間を気密に封止するものである。なお、本実施形態において第1軸受131が本発明に係る「ラジアル軸受」に相当する。
駆動軸110の他端部(図1における右端側)は、シリンダブロック101に形成されたセンターボア101bに挿通されている。センターボア101bは、複数のシリンダボア101aの中央においてシリンダブロック101を貫通しており、バルブプレート103側からクランク室140側に向かって、シリンダブロック101のシリンダヘッド104側の端面に開口する大径部101b1と、大径部101b1よりも小径の中径部101b2及び中径部101b2よりも小径の小径部101b3を有している。駆動軸110の他端部はセンターボア101bの小径部101b3に設けられる第2軸受132により回転可能に支持される。
駆動軸110と駆動軸110に固定された回転体112とからなる連結体は、ラジアル方向においては第1軸受131、第2軸受132で支持され、スラスト方向においてはスラスト軸受133で支持されている。本実施形態では、第1軸受131及び第2軸受132はすべり軸受からなる。スラスト軸受133は、回転体112とフロントハウジング102の一端壁部102bとの間に設けられ、回転体112に作用するスラスト方向荷重を支持するものである。そして、駆動軸110は、外部駆動源からの動力が前記動力伝達装置に伝達されることにより、前記動力伝達装置の回転と同期して回転するように構成されている。
各シリンダボア101a内には、ピストン136が収容されている。ピストン136のクランク室140内に突出する突出部に形成された内側空間には、斜板111の外周部及びその近傍が収容されており、斜板111は、一対のシュー137を介してピストン136と連動するように構成されている。そして、駆動軸110の回転に伴う斜板111の回転によって各ピストン136が対応するシリンダボア101a内を往復動する。
シリンダヘッド104には、中央部に配置された吸入室141と、吸入室141を環状に取り囲む吐出室142とが区画形成されている。つまり、圧縮機100の前記ハウジングは、吸入室141と、吐出室142と、クランク室140とを有する。吸入室141と各シリンダボア101aとは、バルブプレート103に設けられた連通孔103a及び吸入弁形成板150に形成された吸入弁(図示省略)を介して連通している。吐出室142と各シリンダボア101aとは、バルブプレート103に設けられた連通孔103b及び吐出弁形成板151に形成された吐出弁(図示省略)を介して連通している。また、吐出室142には、吐出逆止弁200が配置されている。
吸入室141には、吸入ポート106及び吸入通路107を介して前記エアコンシステムの冷媒回路の低圧側の冷媒(つまり、圧縮前の冷媒)が導かれる。吸入室141内の冷媒は、各ピストン136の往復運動によって対応するシリンダボア101a内に吸入され、圧縮されて吐出室142に吐出される。つまり、駆動軸110の回転に伴うピストン136の往復運動によって吸入室141からシリンダボア101a内に吸入された冷媒が圧縮されて吐出室142に吐出される。シリンダボア101a及びピストン136によって吸入室141内の冷媒を吸入して圧縮する圧縮部が構成されている。そして、吐出室142に吐出された冷媒は、吐出通路108及び吐出ポート109を介して前記エアコンシステムの前記冷媒回路の高圧側へと導かれる。また、吐出逆止弁200によって前記エアコンシステムの前記冷媒回路の高圧側から吐出室142に向かう冷媒(冷媒ガス)の逆流が阻止される。
本実施形態において、圧縮機100は、吐出室142内の冷媒をクランク室140に供給するための供給通路145と、クランク室140内の冷媒を吸入室141に排出するための排出通路146と、を有している。図2は、供給通路145及び排出通路146を模式的に示す図である。
供給通路145は、吐出室142とクランク室140との間を連通する通路として形成されており、供給通路145の途中には、制御弁300が設けられている。制御弁300は、供給通路145の開度(通路断面積)を調整し、これにより、吐出室142内の冷媒(吐出冷媒)のクランク室140への供給量を制御するように構成されている。
排出通路146は、クランク室140と吸入室141との間を連通する通路として形成されており、絞り部(後述する絞り通路103c)を有している。
制御弁300は、弁ユニットと、弁ユニットを開閉作動させる駆動ユニット(ソレノイド)と、を含み、シリンダヘッド104に形成された連通路104b(図1参照)を介して導入される吸入室141の圧力と、外部信号に応じてソレノイドに流れる電流によって発生する電磁力と、に応答して供給通路145の開度を制御するように構成されている。具体的には、前記駆動ユニットのコイルは、信号線等を介して、圧縮機100の外部に設けられた制御装置(図示せず)に接続されている。前記駆動ユニットは、前記制御装置から前記コイルに制御電流Iが供給されると、電磁力F(I)を発生する。前記駆動ユニットが電磁力F(I)を発生すると、前記弁ユニットの弁体が閉弁方向に移動する。また、前記弁体は、吸入室141の圧力が制御電流Iにより設定された設定圧力より高くなると、吐出容量を増大させるために、弁孔(すなわち、供給通路145)の開度(通路断面積)を小さくしてクランク室140の圧力を低下させ、吸入室141の圧力が前記設定圧力を下回ると、吐出容量を減少するために、前記弁孔(すなわち、供給通路145)の開度を大きくしてクランク室140の圧力を上昇させる。つまり、制御弁300は、吸入室141の圧力が前記設定圧力に近づくように供給通路145の開度を自律制御する。前記弁体には、前記駆動ユニットの電磁力が閉弁方向に作用するので、前記コイルの通電量が増加すると供給通路145の開度を小さくする方向(すなわち、閉弁方向)の力が増大し、設定圧力が低下する方向に変化する。前記制御装置は、例えば400Hz~500Hzの範囲の所定の周波数でパルス幅変調(PWM制御)により前記駆動ユニットのコイルへの通電を制御し、前記コイルを流れる電流値が所望の値となるようにパルス幅(デューティ比)を変更する。
制御弁300が閉弁すると、吐出室142とクランク室140との連通は遮断され、クランク室140内の冷媒が排出通路146を介して吸入室141に排出されてクランク室140の圧力が低下する。クランク室140の圧力が低下すると斜板111の傾角が増加し、ピストン136のストローク(すなわち、圧縮機100の吐出容量)も増加する。
一方、制御弁300が開弁すると、吐出室142とクランク室140との間が連通されて、吐出室142内の冷媒が供給通路145を介してクランク室140内に導かれる。このとき、クランク室140と吸入室141とは排出通路146によって連通しているが、排出通路146は前記絞り部を有しているため、クランク室140内の冷媒が吸入室141に排出されることが制限されてクランク室140の圧力が上昇する。そして、制御弁300による供給通路145の開度に応じて吐出室142内の冷媒が供給通路145を介してクランク室140に供給されてクランク室140の圧力が上昇する。クランク室140の圧力が上昇すると、斜板111の傾角が減少してピストン136のストローク(すなわち、圧縮機100の吐出容量)も減少する。
このように、圧縮機100は、供給通路145を介して吐出室142内の冷媒がクランク室140に供給されると共に、排出通路146を介してクランク室140内の冷媒が吸入室141に排出されることでクランク室140の圧力が調整され、これによって、吐出容量が変化するように構成されている。
ここで、クランク室140内には、主に軸封装置130、各軸受(131,132,133)、斜板111等の摺動部材等の摺動面を潤滑するための潤滑油が貯留されている。このクランク室140内の潤滑油は、駆動軸110の回転が停止しているときには、クランク室140内の重力方向下方に貯留されている。また、駆動軸110が回転すると、クランク室140内の潤滑油は駆動軸110の回転に伴って撹拌され、クランク室140内における周壁102a側の領域は潤滑油の含有量の多い領域となり、クランク室140内における径方向中心側(駆動軸110側)の領域は潤滑油の含有量の少ない領域となる。
圧縮機100では、クランク室140内の潤滑油を、軸封装置130と第1軸受131との間の空間Wに導くための油供給通路147がフロントハウジング102の一端壁部102bに形成されている。また、クランク室140内の潤滑油の一部は、冷媒の移動に伴って排出通路146を介して吸入室141に排出され、その後、例えば、シリンダボア101a内に吸入されてピストン136等の摺動部材等に供給される。つまり、駆動軸110の回転に伴って潤滑油が撹拌されると共に冷媒の移動に伴って潤滑油が油供給通路147や排出通路146を介して移動することによって、圧縮機100内部が潤滑される。
以下では、供給通路145、排出通路146及び油供給通路147について詳細に説明する。
「供給通路145」
制御弁300が開弁すると、吐出室142とクランク室140とは供給通路145によって連通し、供給通路145を介して吐出室142内の冷媒がクランク室140に供給される。図1~図3に示すように、本実施形態では、供給通路145は、シリンダヘッド104に形成された連通路104c、制御弁300内通路、シリンダヘッド104及びシリンダブロック101内を延びる連通路104dによって形成されている。
「排出通路146」
排出通路146は、駆動軸110の前記一端部(図1中左側、軸封装置130側端部)における外周面から軸内に延びる第1通路146aと第1通路146aに連続して駆動軸110の他端部側(図1中右側、シリンダヘッド104側)に延びる第2通路146bとを経由して、クランク室140と吸入室141との間を連通する。第1通路146aは、駆動軸110の外周面の周方向の所定角度位置において前記外周面から径方向に延びている。第2通路146bは第1通路146aの軸内側端部から軸心Oに沿って駆動軸110の前記他端部側の端面を貫通するように延びている。第1通路146aの外周面側開口端は、第1軸受131の軸方向の他端面131bに対応した位置に凹設されると共にフロントハウジング102の一端壁部102bと回転体112との間のクランク室内領域140aに開口する凹部146cに開口している。クランク室内領域140aは、一端壁部102bと回転体112との間の隙間からなる領域であり、クランク室140内の領域の一部である。したがって、第1通路146aは、凹部146cを介してクランク室140に連通している。つまり、凹部146cは、排出通路146のクランク室140側の開口端部を構成している。本実施形態において、クランク室140と吸入室141との間を連通する排出通路146は、凹部146cと、第1通路146aと、第2通路146bと、中径部101b2と、大径部101b1と、バルブプレート103に形成された絞り通路(固定絞り)103cとにより形成されている(図1参照)。なお、排出通路146において、第1通路146aの流路断面積は、第2通路146bの流路断面積より小さく、且つ、絞り通路103cの流路断面積より大きく設定されている。
図3は、凹部146cを含む要部断面図であり、図4は、一端壁部102b側から視た回転体112の背面図であり、図5は、図3に示すA部の拡大図である。図1及び図3~図5に示すように、本実施形態では、凹部146cは、円板状の回転体112における一端壁部102b側の端面(つまり、前記背面)において、第1軸受131の他端面131bに対向して形成される。また、本実施形態では、凹部146cは、駆動軸110の外周面を囲むように環状に設けられる。回転体112の径方向中央部には、駆動軸110用の嵌合孔が開口されており、前記嵌合孔における一端壁部102b側の開口部が駆動軸110の外径よりも大きく拡径されている。凹部146cは前記開口部の周壁と前記開口部の底壁とにより形成されている。凹部146cの前記周壁の内径は第1軸受131の外径よりも大きく、凹部146cの前記底壁は第1軸受131の他端面131bと対向している。つまり、回転体112における凹部146cは、第1軸受131の他端面131bを覆うように配置されている。そして、凹部146cは駆動軸110の外周面と協働して回転体112における一端壁部102b側の端面112bにクランク室内領域140aに開口する円環状の開口を形成している。なお、一端壁部102bにおける軸孔102dのクランク室側の開口周縁と、この開口周縁と対向する回転体112における一端壁部102b側の端面112bとの間の隙間(クランク室内領域140a)は、小さく設定することが望ましく、例えば、0.5mm~3mmの範囲の所定値に設定されている。
「油供給通路147」
油供給通路147は、一端が一端壁部102bにおけるスラスト軸受133より径方向外側にてクランク室140に開口し、他端が軸封装置130と第1軸受131の一端面131aとの間の空間Wに開口する。本実施形態では、油供給通路147の前記一端は、駆動軸110より重力方向上方においてクランク室140に開口している。油供給通路147は、例えば、油案内溝部147aと、油案内孔147bと、スラスト軸受133の一端壁部102b側の端面とにより形成されている。油案内溝部147aは、一端壁部102bにおけるスラスト軸受133の外縁部より上方の部位から下方に向かって、一端壁部102bのクランク室140側の壁面に沿って下方に延びる溝である。油案内溝部147aの下方側の部位は、スラスト軸受133の一端壁部102b側の端面により塞がれており、油案内溝部147aの上方側の部位は、クランク室140に開口し、油供給通路147の前記一端(つまり、入口の開口端)を構成している。油案内孔147bは、油案内溝部147aの下端部から一端壁部102b内を斜めに延伸し空間Wに開口している。駆動軸110が回転すると、クランク室140内の潤滑油は撹拌され、クランク室140内における周壁102a側の領域は潤滑油の含有量の多い領域となる。このクランク室140内における周壁102a側の領域の潤滑油は、主に油供給通路147を介して軸封装置130や第1軸受131に供給されるが、その一部の潤滑油はスラスト軸受133の径方向外縁部からスラスト軸受133内の隙間に流入する。
本実施形態では、前述したように、第1軸受131はすべり軸受からなる。そのため、第1軸受131の内周面と駆動軸110の外周面との間には微小な隙間、つまり、面間隙間が存在する。したがって、クランク室140から油供給通路147を介して空間Wに流入した潤滑油は、第1軸受131と駆動軸110との間の前記面間隙間を経由して流出することになる。つまり、軸封装置130と第1軸受131の一端面131aとの間の空間Wに供給された潤滑油の空間Wからの排出通路は、前記面間隙間からなる円環状の流路のみで形成される。空間W内の潤滑油は前記面間隙間を介して駆動軸110の外周面に沿って第1軸受131の他端面131b側に向って流通し、他端面131bの内縁から流出する。前記面間隙間により形成される流路の断面積は小さい。したがって、第1軸受131の他端面131b側から流出する潤滑油の油量は制限されている。
また、凹部146cは第1軸受131の他端面131bに対応した位置に凹設され、第1通路146aの外周面側開口端は凹部146cに開口している。このため、第1軸受131の他端面131b側から流出する潤滑油の大半は、凹部146c内に流入し(受け入れられ)、その後、凹部146c、第1通路146a及び第2通路146bを経由して吸入室141に導かれることになる。しかし、凹部146cに流入する潤滑油の油量は前記面間隙間により制限されているため、クランク室140から吸入室141に流出する潤滑油の油量は制限される。その結果、クランク室140内の潤滑油の油量は適正に維持される。
前述したスラスト軸受133内の隙間に流入する潤滑油に対して、本実施形態では、図3及び図5に示すように、一端壁部102bにおける回転体112側の端面には、円筒状の案内周壁148が突設されている。案内周壁148の外周面148aは、スラスト軸受133の径方向内縁部と対向し、且つ、凹部146cより径方向外側に位置する。具体的には、案内周壁148は駆動軸110と同心の円形断面を有し、外周面148aは駆動軸110の外周面と平行に軸心O方向に延びている。案内周壁148は、第1軸受131の他端面131b側の部位の外周を囲むように、一端壁部102bにおける回転体112側の端面に円筒状に突設されている。例えば、スラスト軸受133の径方向外縁部における上部からスラスト軸受133内の隙間に流入した潤滑油は、下方に向かって流れスラスト軸受133の径方向内縁部から下方に垂れ落ちる。この垂れ落ちた潤滑油は、案内周壁148の外周面148aに沿って流れ落ち、凹部146cの領域を迂回する。そして、外周面148aに沿って流れ落ちた潤滑油は、外周面148aの最下端部から垂れ落ちて、その後、スラスト軸受133内の隙間を介して、クランク室140内の下部領域に排出される。
本実施形態に係る圧縮機100によれば、第1軸受131の他端面131b側から流出する潤滑油の油量は制限される。そして、一端壁部102bと回転体112との間のクランク室内領域140aに開口する凹部146cが第1軸受131の他端面131bに対応した位置に凹設され、第1通路146aの外周面側開口端は凹部146cに開口している。このため、第1軸受131の他端面131b側から流出する潤滑油の大半は、凹部146c内に流入し、その後、凹部146c、第1通路146a及び第2通路146bを経由して吸入室141に導かれる。しかし、凹部146cに流入する潤滑油の油量は駆動軸110と第1軸受131との間の前記面間隙間により制限されているため、クランク室140から吸入室141に流出する潤滑油の油量を制限することができる。その結果、クランク室140内の潤滑油の油量を適正に維持することができる。
このようにして、クランク室140と吸入室141との間を連通しつつ、クランク室140内の潤滑油の油量を適正に維持することのできる圧縮機100を提供することができる。
このようにクランク室140から多量の潤滑油が排出されることは制限されているが、例えば、ピストン136等に潤滑油を供給するために少量の潤滑油を吸入室141に排出する必要性がある。この点、本実施形態では、凹部146cは、回転体112における一端壁部102b側の端面において、第1軸受131の他端面131bに対向して形成されている。したがって、第1軸受131の他端面131b側から流出する潤滑油は、凹部146cを形成する形成壁(前記周壁と前記底壁)にガイドされて凹部146c内に一時的に留まり易くなっている。そして、凹部146c内の潤滑油は、その後、クランク室140から吸入室141に流出する冷媒ガスの流れに乗って、第1通路146a及び第2通路146bを介して吸入室141に排出される。このように、凹部146cを第1軸受131の他端面131bに対向するように回転体112に設けたことにより、第1軸受131の他端面131b側から流出する少量の潤滑油を凹部146cによって、確実に受け止め、吸入室141へ排出することができる。
本実施形態では、凹部146cは、駆動軸110の外周面を囲むように環状に設けられている。これにより、第1軸受131の他端面131b側から流出する少量の潤滑油を凹部146cによって、より確実に受け止めることができる。
本実施形態では、一端壁部102bにおける凹部146cより径方向外側の部位には、スラスト軸受133の径方向内縁部と対向する外周面148aを有する案内周壁148が設けられている。これにより、スラスト軸受133の径方向外縁部からスラスト軸受133内の隙間に流入した潤滑油は、案内周壁148の外周面148aに案内されて凹部146cの領域を迂回するように流れ、クランク室140内の下部領域に戻ることになる。したがって、凹部146cに流入する潤滑油の油量を効果的に抑制することができる。
以下では、本実施形態に係る圧縮機100についての幾つかの変形例を図6~図11を参照して説明する。図6~図11はそれぞれ圧縮機100の変形例について説明するための図である。
図6は、第1通路146aの個数についての変形例を説明するための図であり、回転体112の背面図である。第1通路146aの個数は一つに限らず、複数(図では二つ)であってもよい。図6に示すように、例えば、二つの第1通路146aがそれぞれ第2通路146bから分岐して駆動軸110の外周面に開口するように形成されている。これにより、凹部146c内に受け入れられた潤滑油は、より確実に、第2通路146bに導かれる。
図7は、凹部146cの形状についての変形例を説明するための図であり、回転体112の背面図である。本実施形態では、凹部146cは駆動軸110の外周面を囲むように環状に設けられたが(図4参照)、これに限らない。図7に示すように、凹部146cは、駆動軸110の外周面を周方向に部分的に囲むように設けられるようにしてもよい。この場合、例えば、第1通路146aの外周面側開口端は、凹部146cにおける回転体112の回転方向Rと反対側の端部領域に開口させる。これにより、凹部146cに受け入れて保持された潤滑油を効果的に第1通路146aに導くことができる。
図8は、案内周壁148の外周面148aの形状についての変形例を説明するための図であり、図5に対応する案内周壁148を含む要部拡大図断面図である。本実施形態では、案内周壁148の外周面148aは駆動軸110の外周面と平行であるものとしたが(図3及び図5参照)、これに限らない。図8に示すように、案内周壁148の外周面148aは、一端壁部102bと回転体112との間のクランク室内領域140aから駆動軸延伸方向(軸心O方向)に離れるほど、駆動軸110に近づくように傾斜している。つまり、円筒状に突設された案内周壁148における最大外径を有する部位より内側に凹設された領域が、案内周壁148の突設基部に設けられている。これにより、スラスト軸受133内の隙間に流入した潤滑油をより確実に受け止めて、クランク室140内の下部領域に戻すことができる。
図9は、案内周壁148の形成位置についての変形例を説明するための図であり、案内周壁148を含む要部断面図である。本実施形態では、円筒状の案内周壁148は、フロントハウジング102の一端壁部102bに設けられていたが、これに限らない。図9に示すように、案内周壁148は回転体112に設けられてもよい。この場合、円筒状の案内周壁148は、回転体112における一端壁部102b側の端面112bに突設され、案内周壁148の外周面148aは、スラスト軸受133の径方向内縁部と対向し、且つ、凹部146cより径方向外側に位置していればよい。
図10は、回転体112の変形例について説明するための図である。図10に示すように、円板状の回転体112には、第1アーム112a側における駆動軸110の近傍のクランク室140の領域と、凹部146cとの間を連通の連通孔112cが開口されている。詳しくは、連通孔112cの一端は回転体112の第1アーム112a側の端面における径方向中央部位に開口し、連通孔112cの他端は凹部146cに開口している。これにより、凹部146c内の領域と第1アーム112a側における駆動軸110の近傍のクランク室140の領域とが連通して、均圧化が図られる。そのため、潤滑油の含有量の多いスラスト軸受133の径方向外縁部側の領域からスラスト軸受133内の隙間を介して凹部146cに流入する冷媒ガスの流量が減少する。その結果、スラスト軸受133の径方向外縁部側からスラスト軸受133内の隙間を介して凹部146cに流入(進入)する潤滑油の油量がさらに低減される。なお、駆動軸110の近傍のクランク室140の領域は潤滑油の含有量の少ない領域であるため、連通孔112cからの凹部146cに流入する潤滑油の油量が少ない。また、図10に示すように、連通孔112cは第1通路146aに対して駆動軸110の回転方向で異なる角度位置に形成するとよい。これにより、凹部146c内に冷媒ガスの流れが発生し、凹部146c内の潤滑油が第1通路146aに効果的に導かれる。
図11は、凹部146cの形成位置についての変形例を説明するための図である。本実施形態では、凹部146cは回転体112に形成したが、これに限らない。図11に示すように、凹部146cはフロントハウジング102の一端壁部102bに形成されてもよい。この場合、凹部146cは、一端壁部102bにおける軸孔102dのクランク室側開口部において、第1軸受131の他端面131bまで凹設される。つまり、第1軸受131の他端面131bは、凹部146cと隣接しており、凹部146cの底面まで到達して、凹部146c内の領域に露出している。したがって、第1軸受131の他端面131b側から流出する潤滑油は、凹部146c内に直接的に流入する。凹部146cは回転体112の端面112bによって覆われているため、凹部146c内に潤滑油が一時的に溜り易くなっている。そして、凹部146c内の潤滑油は、その後、クランク室140から吸入室141に流出する冷媒ガスの流れに乗って、第1通路146a及び第2通路146bを介して吸入室141に排出される。このように、この変形例においても、第1軸受131の他端面131b側から流出する少量の潤滑油を凹部146cによって、確実に受け止め、吸入室141へ排出することができる。
なお、本実施形態では、圧縮機100は、斜板式の吐出容量可変の可変容量圧縮機の場合を一例に挙げて説明したが、これに限らず、揺動板式の可変容量圧縮機でもよく、また、吐出容量固定の固定容量タイプの圧縮機であってもよい。また、駆動軸110の回転動力の動力源はモータ等の適宜の動力源を適用できる。
以上、本発明の実施形態及びその変形例について説明したが、本発明は上述の実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて更なる変形や変更が可能である。
100…圧縮機、101…シリンダブロック(ハウジング、クランク室形成壁、他端壁部)、101a…シリンダボア、102…フロントハウジング(ハウジング、クランク室形成壁)、102b…一端壁部、102d…軸孔、104…シリンダヘッド(ハウジング)、110…駆動軸、112…回転体、端面112b、130…軸封装置、131…第1軸受(ラジアル軸受)、131a…一端面、131b…他端面、W…空間、133…スラスト軸受、136…ピストン、140…クランク室、140a…クランク室内領域、141…吸入室、142…吐出室、146…排出通路、146a…第1通路、146b…第2通路、146c凹部、147…油供給通路、148…案内周壁、148a…外周面

Claims (7)

  1. 圧縮前の冷媒が導かれる吸入室と、吐出室と、クランク室とを有するハウジングと、
    前記クランク室を横断する駆動軸であって、一端部が前記ハウジングのクランク室形成壁における駆動軸延伸方向の一端壁部に開口される軸孔内を延びる前記駆動軸と、
    前記軸孔のクランク室内側開口部位に設けられ、前記駆動軸を回転可能に支持するラジアル軸受と、
    前記軸孔のクランク室外側の部位において前記ラジアル軸受の一端面との間に空間を空けて設けられ、前記駆動軸の外周面と前記軸孔の内周面との間を気密に封止する軸封装置と、
    前記駆動軸に固定され、前記クランク室内において前記一端壁部に対向する円板状の回転体と、
    前記回転体と前記一端壁部との間に設けられ、前記回転体に作用するスラスト方向荷重を支持するスラスト軸受と、
    前記クランク室形成壁の他端壁部に形成されるシリンダボア内に収容されるピストンと、
    前記クランク室と前記吸入室との間を連通する排出通路と、
    前記クランク室内の潤滑油を前記空間に導くための油供給通路と、
    を含み、前記駆動軸の回転に伴う前記ピストンの往復運動によって前記吸入室から前記シリンダボア内に吸入された冷媒が圧縮されて前記吐出室に吐出される、圧縮機であって、
    前記排出通路は、前記駆動軸の前記一端部における外周面から軸内に延びる第1通路と該第1通路に連続して前記駆動軸の他端部側に延びる第2通路とを経由して、前記クランク室と前記吸入室との間を連通し、
    前記油供給通路は、一端が前記一端壁部における前記スラスト軸受より径方向外側にて前記クランク室に開口し、他端が前記空間に開口し、
    前記クランク室から前記油供給通路を介して前記空間に流入した潤滑油は、前記ラジアル軸受と前記駆動軸との間の面間隙間を経由して流出し、
    前記第1通路の外周面側開口端は、前記ラジアル軸受の他端面に対応した位置に凹設されると共に前記一端壁部と前記回転体との間のクランク室内領域に開口する凹部に開口している、圧縮機。
  2. 前記凹部は、前記回転体における前記一端壁部側の端面において、前記ラジアル軸受の前記他端面に対向して形成される、請求項1に記載の圧縮機。
  3. 前記凹部は、前記一端壁部における前記軸孔のクランク室側開口部において、前記ラジアル軸受の前記他端面まで凹設される、請求項1に記載の圧縮機。
  4. 前記凹部は、前記駆動軸の前記外周面を囲むように環状に設けられる、請求項2又は3に記載の圧縮機。
  5. 前記凹部は、前記駆動軸の前記外周面を周方向に部分的に囲むように設けられ、
    前記第1通路の前記外周面側開口端は、前記凹部における前記回転体の回転方向と反対側の端部領域に開口している、請求項2又は3に記載の圧縮機。
  6. 前記クランク室形成壁の前記一端壁部における前記回転体側の端面又は前記回転体における前記一端壁部側の端面のいずれか一方に突設される円筒状の案内周壁を含み、
    前記案内周壁の外周面は、前記スラスト軸受の径方向内縁部と対向し、且つ、前記凹部より径方向外側に位置する、請求項1~5のいずれか一つに記載の圧縮機。
  7. 前記案内周壁の前記外周面は、前記一端壁部と前記回転体との間の前記クランク室内領域から前記駆動軸延伸方向に離れるほど、前記駆動軸に近づくように傾斜している、請求項に記載の圧縮機。
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