JP3758244B2 - 可変容量圧縮機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば車両空調装置に使用される可変容量圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の可変容量圧縮機としては、例えば次のような構成のものが知られている。すなわち、ハウジングの内部にクランク室が形成されるとともに、駆動シャフトが回転可能に支持されている。ハウジングの一部を構成するシリンダブロックには複数のシリンダボアが形成され、各シリンダボア内にはピストンが往復動可能に収容されている。前記クランク室内において、駆動シャフトにはカムプレートが一体回転可能かつ揺動可能に装着され、そのカムプレートの周縁が各ピストンに係留されている。そして、容量制御弁の開度を調整することにより、クランク室内の圧力とシリンダボア内の圧力とのピストンを介した差圧を変更し、その差圧に応じてカムプレートの傾角を変更して、吐出容量を制御するように構成されている。
【0003】
この種の可変容量圧縮機において、カムプレートの大きな傾角状態で、大吐出容量の圧縮運転が行われているときに、車両エンジン等の外部駆動源の回転数が高まって、駆動シャフトが高速回転されることがある。このような場合には、圧縮負荷が急激に増大し、圧縮機内の摺動部のPv値(摺接面間の面圧と摺動速度との積の値)が大きく上昇して、その摺動部の使用寿命の低下を招くおそれがある。
【0004】
このような不具合を解消するために、例えば米国特許第4,872,814号明細書及び図面に示すような可変容量圧縮機が、従来から提案されている。この圧縮機においては、その駆動シャフトに吐出圧領域とクランク室とを連通する給気通路を開閉する開閉弁が設けられている。そして、この開閉弁は、常には給気通路を閉じた状態に保持されるとともに、駆動シャフトの回転数が所定値よりも高くなったときに給気通路を開くようになっている。このため、大吐出容量の圧縮運転時に、駆動シャフトの回転数が所定値を越えて高まると、開閉弁が開かれて、吐出圧領域の高圧の冷媒ガスが給気通路を介してクランク室内に導入される。そして、そのクランク室の圧力の上昇に伴ってカムプレートの傾角が減少され、吐出容量が減少されて、圧縮負荷が低減されるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この従来の可変容量圧縮機においては、駆動シャフトの高速回転時に、開閉弁が開かれて、吐出圧領域内の高温高圧の冷媒ガスが、給気通路を介してクランク室内に一気に導入される。このため、クランク室内の温度及び圧力が急激に上昇する。一方、この駆動シャフトの高速回転時には、前述のように、圧縮機内の摺動部におけるPv値が高くなっている。このため、この状態でクランク室の温度及び圧力が急上昇すると、摺動部の潤滑条件が一層厳しくなって、その使用寿命が著しく低下するおそれがあるという問題があった。
【0006】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、大吐出容量の圧縮運転時に、駆動シャフトの回転数が所定値を越えて高まったとき、クランク室の急激な温度及び圧力上昇を招くことなく、そのクランク室の圧力を緩やかに上昇させることができ、その圧力上昇により吐出容量を減少させて、圧縮負荷を低減することができる可変容量圧縮機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、ハウジングの内部にクランク室を形成するとともに駆動シャフトを回転可能に支持し、ハウジングの一部を構成するシリンダブロックにシリンダボアを形成し、そのシリンダボア内にピストンを往復動可能に収容し、前記駆動シャフトにカムプレートを一体回転可能かつ揺動可能に支持し、容量制御弁の開度調整に基づいてクランク室の圧力を変更することにより、クランク室の圧力とシリンダボア内の圧力との前記ピストンを介した差圧を変更し、その差圧に応じてカムプレートの傾角を変更して吐出容量を制御するようにした可変容量圧縮機において、前記駆動シャフトと一体回転する回転要素に、前記クランク室と吸入圧領域とを連通する抽気通路を開閉する開閉弁を設け、その開閉弁は回転要素の回転数が所定値よりも高くなったときに遠心力により前記抽気通路を閉じるように構成したものである。
【0008】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の可変容量圧縮機において、前記回転要素を駆動シャフト自体としたものである。
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の可変容量圧縮機において、前記開閉弁は駆動シャフトの後端部に配設したものである。
【0009】
請求項4に記載の発明では、請求項1に記載の可変容量圧縮機において、前記回転要素を、前記回転要素は駆動シャフトの回転をカムプレートに伝達する回転支持体としたものである。
【0010】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜4のいずれかに記載の可変容量圧縮機において、前記抽気通路は、駆動シャフトの中心に形成された通路を含むものである。
【0011】
請求項6に記載の発明では、請求項1〜5のいずれかに記載の可変容量圧縮機において、前記開閉弁は、抽気通路を開閉する弁体と、その弁体を開放位置に向かって付勢するバネと、回転要素の回転数が所定値よりも高くなったとき、バネの付勢力に抗して弁体を閉止位置に移動させるカウンタウェイトとを備えたものである。
【0012】
請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の可変容量圧縮機において、前記カウンタウェイトはカムプレートの上死点対応位置の反対側に位置するように配設したものである。
【0013】
請求項8に記載の発明では、請求項1〜7のいずれかに記載の可変容量圧縮機において、前記シリンダブロックの中心に軸孔と、その軸孔に連通するとともに前記抽気通路の一部をなし前記開閉弁より下流側に位置する収容凹所とを形成し、その軸孔に駆動シャフトの後端部を挿通するとともにその軸孔の内周面と駆動シャフトとの間に円管状のプレーンベアリングを介装したものである。
【0014】
さて、請求項1に記載の可変容量圧縮機においては、通常は開閉弁が抽気通路を開いた状態に保持されている。この状態で、車両エンジン等の外部駆動源により駆動シャフトが回転されると、カムプレートを介してピストンが往復動され、そのカムプレートの傾角に応じた吐出容量で冷媒ガスの圧縮が行われる。
【0015】
そして、カムプレートが大傾角状態に設定されて、大吐出容量の圧縮運転が行われているときに、車両エンジン等の外部駆動源の回転数が高まると、駆動シャフトを含む回転要素が所定値を越えて高速回転される。このとき、開閉弁が遠心力により抽気通路を閉じる方向に移動されて、クランク室からその抽気通路を介して吸入圧領域に抽出される冷媒ガスの流れが遮断される。これにより、クランク室内の圧力が、ピストンとシリンダボアとのわずかな隙間を通って流入するブローバイガスによって緩やかに高められる。このため、カムプレートの傾角が徐々に小さくなり、吐出容量が減少され、圧縮負荷が低減される。そして、圧縮機内の摺動部の面圧が低減されて、Pv値が小さくなる。
【0016】
請求項2に記載の可変容量圧縮機においては、前記回転要素が駆動シャフト自体となっている。つまり、前記開閉弁が駆動シャフト自体に直接装着されており、駆動シャフトの回転数が所定値を越えて高まったとき、開閉弁が抽気通路の開放状態から閉止状態に切り換えられるようになっている。このため、簡単な構成で、大吐出容量でかつ高回転状態にある圧縮機の圧縮負荷を低減することができる。
【0017】
請求項3に記載の可変容量圧縮機においては、開閉弁が駆動シャフトの後端部に配設されている。このため、開閉弁を駆動シャフトの後端部付近の空間を利用して配置することができて、開閉弁と圧縮機の他の部品との干渉を容易に避けることができる。
【0018】
請求項4に記載の可変容量圧縮機においては、前記回転要素が駆動シャフトと一体回転される回転支持体となっている。つまり、前記開閉弁が回転支持体に装着されており、駆動シャフトの回転数が所定値を越えて高まったとき、開閉弁が抽気通路の開放状態から閉止状態に切り換えられるようになっている。このため、簡単な構成で、大吐出容量でかつ高回転状態にある圧縮機の圧縮負荷を低減することができる。
【0019】
請求項5に記載の可変容量圧縮機においては、抽気通路が駆動シャフトの中心に形成された通路を含むように構成されている。このため、駆動シャフト及び回転支持体に開閉弁を装着することで、その開閉弁によって、駆動シャフトの中心の抽気通路を直接開閉することができる。
【0020】
請求項6に記載の可変容量圧縮機においては、回転要素の回転数が所定値を越えて高くなったとき、遠心力によりカウンタウェイトが外周方向に移動され、開閉弁の弁体がバネの付勢力に抗して抽気通路の閉止位置に移動される。
【0021】
請求項7に記載の可変容量圧縮機においては、カウンタウェイトがカムプレートの上死点対応位置の反対側に位置するように配設されている。このため、回転要素に開閉弁を装着することで、カウンタウェイトにより回転要素全体の重量バランスが崩れるのが抑制される。
【0022】
請求項8に記載の可変容量圧縮機においては、軸孔の内周面と駆動シャフトとの間にニードルベアリング等の転がり軸受を介装した場合に比べて、シリンダブロックの径方向の大きさを小さくできる。また、駆動シャフトと軸孔の内周面との間に形成される隙間を小さくすることができる。このため、クランク室からこの隙間を介して収容凹所、次いで吸入圧領域に抽出される冷媒ガスの量が低減される。そして、開閉弁が閉じられた状態において、クランク室内の圧力の上昇速度を、急上昇を避けながら適度に高められる。
【0023】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下に、この発明の第1の実施形態を、図1〜図3に基づいて詳細に説明する。
【0024】
図1に示すように、フロントハウジング11は、シリンダブロック12の前部に接合固定されている。リヤハウジング13は、バルブプレート14を介してシリンダブロック12の後部に接合固定されている。そして、フロントハウジング11、シリンダブロック12及びリヤハウジング13により、圧縮機全体のハウジングが構成されている。
【0025】
前記リヤハウジング13内には、吸入圧領域を構成する吸入室13a及び吐出圧領域を構成する吐出室13bが区画形成されている。バルブプレート14には、吸入弁14a及び吐出弁14bが設けられている。前記フロントハウジング11とシリンダブロック12とにより形成された閉空間は、クランク室15をなしている。そのクランク室15内を貫通するように、フロントハウジング11及びシリンダブロック12には、駆動シャフト16が一対のラジアルベアリング17a、17bを介して回転可能に架設支持されている。
【0026】
回転支持体18は、前記駆動シャフト16に一体回転可能に止着されている。また、カムプレートとしての斜板19は、クランク室15内において駆動シャフト16にその軸線方向へスライド移動可能かつ傾動可能に支持されている。この斜板19は、ヒンジ機構20を介して回転支持体18に連結されている。そして、斜板19は、そのヒンジ機構20により軸線方向へのスライド移動及び傾動が案内される。また、駆動シャフト16の回転は、回転支持体18及びヒンジ機構20を介して斜板19に伝達される。
【0027】
なお、前記斜板19の最大傾角は、その斜板19に設けられたストッパ19aと、回転支持体18との当接によって規定される。また、斜板19の最小傾角は、駆動シャフト16に装着されたサークリップ16bと、斜板19との当接によって規定される。
【0028】
複数のシリンダボア12aは、前記シリンダブロック12に形成されている。片頭型のピストン21は、そのヘッド部21aが各シリンダボア12a内に往復動可能に収容されているとともに、その尾部21bが一対のシュー22を介して前記斜板19の外周部に係留されている。ピストン21の圧縮動作に伴う圧縮反力は、シュー22、斜板19、ヒンジ機構20、回転支持体18及びスラストベアリング18aを介してフロントハウジング11で受承される。
【0029】
給気通路23は、前記吐出室13bとクランク室15とを接続するように形成されている。容量制御弁24は、給気通路23の途中に配設されている。この容量制御弁24は、制御弁体25と、その制御弁体25の制御弁孔26に対する開放度を調整するためのダイヤフラム27とを備えている。そして、感圧通路28を介してダイヤフラム27に作用する吸入圧力Psに応じて、制御弁体25による制御弁孔26の開度が調整される。
【0030】
この容量制御弁24の開度調整により、給気通路23を介して吐出室13bからクランク室15に供給される冷媒ガスの供給量が変更される。そして、ピストン21の前後に作用するクランク室15内の圧力Pcと、シリンダボア12a内の圧力との差圧が調整される。これにより、斜板19の傾角が変更されて、ピストン21のストロークが変えられ、吐出容量が調整されるようになっている。
【0031】
前記シリンダブロック12の中央には、前端側に駆動シャフト16を挿通するための軸孔12cと、後端側に軸孔12cと連通するように収容凹所12bとが形成されている。この軸孔12cには、駆動シャフト16の後端部が挿通されている。前記ラジアルベアリング17bは、円管状のプレーンベアリングにより構成されており、駆動シャフト16と軸孔12cの内周面との間に介装されている。
【0032】
抽気通路29は、前記クランク室15と吸入室13aを接続するように形成されている。この抽気通路29は、駆動シャフト16の中心に形成された放圧通路16a、収容凹所12b及びバルブプレート14の中心に形成された放圧孔14cとよりなっている。放圧通路16aは、その前端側がラジアルベアリング17aの近傍においてクランク室15に開口されている。スラストベアリング30及びシャフト支持バネ31は、収容凹所12b内において、駆動シャフト16の後端とバルブプレート14との間に介装されている。
【0033】
図1及び図2に示すように、開閉弁33は前記収容凹所12b内において、駆動シャフト16の後端部に配設され、抽気通路29を開閉するようになっている。すなわち、開閉弁孔34は、放圧通路16aと連通するように駆動シャフト16の後端周面に形成されている。栓体35は、放圧通路16aの後端に嵌着され、その放圧通路16aの後端部を閉塞している。弁体としての開閉弁体36は、開閉弁孔34に開閉移動可能に挿通され、バネ37により開閉弁孔34の開放位置に向かって付勢されている。
【0034】
カウンタウェイト38は、前記斜板19の上死点対応位置の反対側に位置するように、開閉弁体36に連接形成されている。そして、回転要素としての駆動シャフト16の回転数が所定値を越えて高くなったとき、このカウンタウェイト38が遠心力により、駆動シャフト16の外周方向に移動される。これにより、開閉弁体36がバネ37の付勢力に抗して、開閉弁孔34の閉止位置に移動される。そして、クランク室15から抽気通路29を介して吸入室13aに抽出される冷媒ガスの流れが遮断されるようになっている。
【0035】
次に、前記のように構成された可変容量圧縮機の動作を説明する。
この圧縮機において、車両エンジン等の外部駆動源により駆動シャフト16が回転されると、回転支持体18及びヒンジ機構20を介して斜板19が一体回転される。この斜板19の回転運動がシュー22を介してピストン21の往復直線運動に変換され、そのピストン21のヘッド部21aがシリンダボア12a内を往復動される。このピストン21の往復動により、冷媒ガスが吸入室13aから吸入弁14aを介してシリンダボア12a内へ吸入され、所定の圧力に達するまで圧縮されて、吐出弁14bを介して吐出室13bへ吐出される。
【0036】
次に、この可変容量圧縮機の容量制御動作について説明する。
圧縮機の停止状態には、吸入室13a、吐出室13b及びクランク室15の圧力は、ほぼバランスした状態となっている。このとき、容量制御弁24の制御弁体25は、制御弁孔26を閉鎖する位置に保持されている。この状態で、圧縮機が起動されると、前記の通りピストン21のヘッド部21aがシリンダボア12a内で往復動される。このピストン21の往復動によって冷媒ガスが圧縮されて吐出室13bに吐出される。
【0037】
さて、車室内の温度が高く冷房負荷が大きい状態では、吸入室13a内の吸入圧力Psが高く、シリンダボア12aとクランク室15の圧力Pcとのピストン21を介した差圧はほとんどない。このため、斜板19は図1に実線で示す最大傾角位置に配置されて、ピストン21のストロークが増大され、圧縮機は大吐出容量にて運転される。この際、前記容量制御弁24のダイヤフラム27には、感圧通路28を介して高い吸入圧力Psが作用するので、制御弁体25は制御弁孔26を閉鎖したままの状態となる。つまり、給気通路23が遮断された状態となって、吐出室13bからクランク室15への高圧の冷媒ガスが供給は停止されている。
【0038】
ところで、ピストン21の下死点位置から上死点位置への圧縮及び吐出行程時には、ピストン21の外周面とシリンダボア12aの内周面との隙間からブローバイガスがクランク室15に流入する。
【0039】
ここで、駆動シャフト16の回転数が所定値以下である場合には、クランク室15と吸入室13aとの間の抽気通路29の途中に設けられた開閉弁33が、その抽気通路29を開放した状態に保持されている。このため、クランク室15に流入したブローバイガスは、放圧通路16a、開閉弁33の開閉弁孔34、収容凹所12b及び放圧孔14cを介して吸入室13aに還流される。これによって、クランク室21内のブローバイガスによる圧力の高騰が抑制されて、圧縮機の大吐出容量での運転が継続される。
【0040】
車室内の温度が低下して冷房負荷が低下すると、吸入室13a内の吸入圧力Psが低下する。この低い吸入圧力Psが感圧通路28を介して容量制御弁24のダイヤフラム27に作用して、そのダイヤフラム27が吸入圧力Psの低下度合に応じて変位される。このダイヤフラム27の変位に伴って、制御弁体25が制御弁孔26を開放する方向に移動され、給気通路23の容量制御弁24の部分における開口面積が増大される。そして、吐出室13bから高圧の冷媒ガスが、給気通路23を通してクランク室15に供給される。なお、クランク室15に供給される冷媒ガスの流量は、制御弁孔26の開度に応じて変更される。この結果、クランク室15の圧力Pcが上昇して、クランク室15の圧力Pcとシリンダボア12a内の圧力との各ピストン21を介した差圧が大きくなる。この差圧に応じて、斜板19が最小傾角側に移動され、ピストン21のストロークが減少されて、吐出容量が減少される。
【0041】
車室内の温度がさらに低下して、冷房負荷がほとんど存在しない状態に近づいていくと、吸入室13a内の吸入圧力Psもさらに低下して、容量制御弁24の制御弁孔26が最大開度にて開放される。この状態では、吐出室13bから高圧の冷媒ガスが、給気通路23を通してクランク室15に大量に供給される。このため、クランク室15の圧力Pcとシリンダボア12a内の圧力との各ピストン21を介した差圧がさらに大きくなって、斜板19は図1に鎖線で示す最小傾角位置に配置される。そして、ピストン21のストロークがさらに減少されて、圧縮機は最小吐出容量で運転される。
【0042】
一方、圧縮機がある吐出容量状態での運転が継続されて、車室内の温度が上昇し冷房負荷が増大すると、吸入室13a内の吸入圧力Psが上昇する。この状態では、上昇した吸入圧力Psが感圧通路28を介して容量制御弁24のダイヤフラム27に作用して、そのダイヤフラム27が吸入圧力Psの上昇度合に応じて変位される。このダイヤフラム27の変位に伴って、制御弁体25が制御弁孔26を閉止する方向に移動され、給気通路23の容量制御弁24の部分における開口面積が減少される。そして、吐出室13bから給気通路23を通してクランク室15に供給される高圧の冷媒ガスの流量が低減される。この結果、クランク室15の圧力Pcが低下して、クランク室15の圧力Pcとシリンダボア12a内の圧力との各ピストン21を介した差圧が小さくなる。この差圧に応じて、斜板19が最大傾角側に移動され、ピストン21のストロークが増大されて、吐出容量が増大される。
【0043】
車室内の温度がさらに上昇し、冷房負荷がさらに増大すると、それに伴って吸入室13a内の吸入圧力Psも上昇する。この高い吸入圧力Psが感圧通路28を介して容量制御弁24のダイヤフラム27に作用すると、制御弁体25は制御弁孔26を閉鎖した状態となって、給気通路23が遮断される。そして、クランク室15には、吐出室13bからの高圧の冷媒ガスが供給されなくなる。
【0044】
ここで、前述のように、駆動シャフト16の回転数が所定値以下である場合には、抽気通路29の途中に設けられた開閉弁33の開閉弁体36が開閉弁孔34を開放した状態に保持されている。このため、クランク室15内の冷媒ガスは、もっぱら抽気通路29を介して吸入室13aに抽出されて、クランク室15内の圧力Pcが吸入室13a内の吸入圧力Ps近づくように低下する。このため、クランク室15の圧力Pcとシリンダボア12a内の圧力との各ピストン21を介した差圧が小さくなって、斜板19は最大傾角位置に配置される。そして、ピストン21のストロークが増大されて、圧縮機は大吐出容量で運転される。
【0045】
さて、外部駆動源をなす車両エンジンの回転数が上昇し、駆動シャフト16の回転数が所定値を越えて高められた場合には、開閉弁33のカウンタウェイト38に作用する遠心力が増大する。この遠心力により、図3に示すように、開閉弁体36が、バネ37の付勢力に抗して開閉弁孔34の閉止位置に移動されて、抽気通路29が閉じられる。
【0046】
ここで、圧縮機が大吐出容量で運転されている場合には、クランク室15内へのブローバイガスの流入が継続されるとともに、クランク室15から抽気通路29を介して吸入室13aに抽出される冷媒ガスの流れが遮断される。このため、クランク室15内の圧力Pcが緩やかに高められ、斜板19の傾角が徐々に小さくなり、吐出容量が減少されて、圧縮負荷が低減される。これにより、高速で摺動されている各摺動部、例えばシリンダボア12aとピストン21との間、ピストン21とシュー22との間、シュー22と斜板19との間等の面圧が低減される。そして、これらの摺動部のPv値が低減される。
【0047】
この第1の実施形態によって期待できる効果について、以下に記載する。
(a) この第1の実施形態の可変容量圧縮機においては、クランク室15と吸入室13aとを連通する抽気通路29の途中に、駆動シャフト16の回転が所定値よりも高くなったときに、抽気通路29を閉じる開閉弁33が設けられている。このため、大吐出容量の圧縮運転時に、駆動シャフト16の回転数が所定値以上になると、開閉弁33により抽気通路29が閉じられて、クランク室15内の圧力がブローバイガスの流入によって緩やかに高められる。従って、クランク室15の急激な温度及び圧力上昇を招くことなく、そのクランク室15の圧力を徐々に上昇させて、吐出容量を減少させることができる。その結果、圧縮負荷が低減されて、高速摺動状態における各摺動部の面圧が低減される。従って、これらの摺動部のPv値を低減することができて、圧縮機の使用寿命を延ばすことができる。
【0048】
(b) この第1の実施形態の可変容量圧縮機においては、駆動シャフト16により回転要素が構成され、その駆動シャフト16の回転数が所定値以上になったとき、開閉弁33が抽気通路29の開放状態から閉止状態に切り換えられるようになっている。従って、簡単な構成で、大吐出容量でかつ高回転状態にある圧縮機の圧縮負荷を低減することができる。
【0049】
(c) この第1の実施形態の可変容量圧縮機においては、開閉弁33が駆動シャフト16の後端部に配設されている。このため、開閉弁33を駆動シャフト16後端部付近の空間、つまり収容凹所12bを利用して配置することができる。従って、開閉弁33と圧縮機の他の部品との干渉を容易に避けることができて、圧縮機全体の大型化を回避して開閉弁33を装着することができる。
【0050】
(d) この第1の実施形態の可変容量圧縮機においては、抽気通路29が駆動シャフト16の中心に形成された放圧通路16aを含むように構成されている。このため、駆動シャフト16に装着された開閉弁33によって、駆動シャフト16の中心の抽気通路29を直接開閉できて、開閉弁33の構成を簡素化することができる。
【0051】
(e) この第1の実施形態の可変容量圧縮機においては、駆動シャフト16の回転数が所定値以上になると、遠心力により開閉弁33のカウンタウェイト38が外周方向に移動され、開閉弁体36がバネ37の付勢力に抗して抽気通路29の閉止位置に移動される。また、駆動シャフト16の回転数が所定値に満たない場合には、開閉弁体36がバネ37の付勢力により、抽気通路29の開放位置に保持されるようになっている。このため、開閉弁33の構造が簡単であるとともに、駆動シャフト16の回転数の変化に応じて、抽気通路29を確実に開閉させることができる。
【0052】
(f) この第1の実施形態の可変容量圧縮機においては、カウンタウェイト38が斜板19の上死点対応位置の反対側に位置するように配設されている。このため、駆動シャフト16に開閉弁33を装着することで、カウンタウェイト38により回転要素全体の重量バランスが崩れるのが抑制される。従って、駆動シャフト16に開閉弁33を装着しても、斜板19を円滑に回転させることができる。
【0053】
(g) この第1の実施形態の可変容量圧縮機においては、シリンダブロック12の中心に軸孔12cと、その軸孔12cに連通するように収容凹所12bとが形成されている。この収容凹所12bは、抽気通路29の一部をなすとともに、開閉弁33より下流側に位置している。そして、その軸孔12cに駆動シャフト16の後端部が挿通されているとともに、その軸孔12cと駆動シャフト16との間に円管状のプレーンベアリングによりなるラジアルベアリング17bが介装されている。このため、このラジアルベアリングとしてニードルベアリング等の転がり軸受を採用した場合に比べて、シリンダブロック12の径方向の大きさを小さくすることができる。
【0054】
また、駆動シャフト16と軸孔12cの内周面との間に形成される隙間を小さくすることができる。このため、クランク室15からこの隙間を介して収容凹所12c、次いで吸入室13aに抽出される冷媒ガスの量が低減される。そして、開閉弁33が閉じられた状態において、クランク室15内の圧力を、急上昇を避けながら適度な速度で高めることができる。
【0055】
(第2の実施形態)
次に、この発明の第2の実施形態を、前記第1の実施形態と異なる部分を中心に、図4〜図6に基づいて説明する。
【0056】
さて、この第2の実施形態においては、図4〜図6に示すように、駆動シャフト16の後端に支持部41が形成され、この支持部41に開閉弁33の開閉弁孔34が開口されている。開閉弁33の開閉弁体36は、駆動シャフト16の支持部41に一体回転可能及び外周方向へ開閉移動可能に嵌挿支持され、バネ37により開閉弁孔34の開放位置に向かって付勢されている。
【0057】
カウンタウェイト38は斜板19の上死点対応位置と反対側に位置するように、前記開閉弁体36の外側に突出形成されている。押圧バネ42は、開閉弁体36と駆動シャフト16との間に介装され、この押圧バネ42の付勢力によって、開閉弁体36がバルブプレート14に圧接されている。なお、開閉弁体36の後端面には、例えばフッ素樹脂、二硫化モリブデン等の摺動性の良好な物質のコーティングによりなる被覆層43が形成され、開閉弁体36が駆動シャフト16と一体的に回転される際に、バルブプレート14との間の摺動抵抗が緩和されるようになっている。
【0058】
従って、この第2の実施形態においても、前記第1の実施形態と同様に、大吐出容量の圧縮運転が行われている状態で、駆動シャフト16の回転数が所定値以上になると、開閉弁33の開閉弁体36が図6に示す開閉弁孔34の閉止位置に移動される。このため、クランク室15から抽気通路29を介して吸入室13aに抽出される冷媒ガスの流れが遮断され、クランク室15内の圧力が流入するブローバイガスによって緩やかに高められる。これにより、斜板19の傾角が徐々に小さくなり、吐出容量が減少されて、圧縮負荷が低減される。そして、圧縮機内の各摺動部の高速摺動状態における面圧が低減される。
【0059】
そのため、この第2の実施形態においても、前述した第1の実施形態とほぼ同様の作用効果を発揮することができる。
(第3の実施形態)
次に、この発明の第3の実施形態を、前記第1の実施形態と異なる部分を中心に、図7〜図9に基づいて説明する。
【0060】
さて、この第3の実施形態においては、図7に示すように、クランク室15と吸入室13aとの間に第1の抽気通路46及び第2の抽気通路47が形成されている。第1の抽気通路46は、シリンダブロック12、バルブプレート14及びリヤハウジング13に連なって形成されている。第2の抽気通路47は、前記第1の実施形態の抽気通路29と同様に、駆動シャフト16の中心の放圧通路16aと、シリンダブロック12の後端中央の収容凹所12bと、バルブプレート14の中心の放圧孔14cとよりなっている。なお、放圧通路16aの後端は、収容凹所12b内に開口されている。
【0061】
容量制御弁48は、前記第1の抽気通路46の途中に配設されている。この容量制御弁48は、制御弁体49と、その制御弁体49の制御弁孔50に対する開度を調整するためのダイヤフラム51及び感圧部材52とを備えている。そして、第1の感圧通路53を介してダイヤフラム51に作用する吸入圧力Ps、及び第2の感圧通路54を介して感圧部材52に作用する吐出圧力Pdに応じて、制御弁体49による制御弁孔50の開度が調整される。
【0062】
この容量制御弁48の開度調整により、第1の抽気通路46を介してクランク室15から吸入室13aに抽出される冷媒ガスの抽出量が変更される。これにより、ピストン21の前後に作用するクランク室15内の圧力Pcと、シリンダボア12a内の圧力との差圧が調整される。そして、斜板19の傾角が変更されて、ピストン21のストロークが変えられ、吐出容量が調整される。
【0063】
連通路55は、前記吐出室13bとクランク室15とを接続するように形成され、その途中には固定絞り56が設けられている。そして、この連通路55を介して、吐出室13bからクランク室15内に、所定量の高圧の冷媒ガスが常に供給されて、クランク室15内の圧力Pcが所定値以上となるように構成されている。これにより、容量制御弁48により第1の抽気通路46の開度を調整する際に、斜板19の傾角を迅速に変更して、吐出容量変更の応答性を向上させることができる。
【0064】
図7及び図8に示すように、開閉弁33は、駆動シャフト16と一体回転される回転支持体18に対応するように、駆動シャフト16の前端寄りに配設され、第2の抽気通路47を開閉するようになっている。つまり、この第3の実施形態においては、回転支持体18が回転要素を構成している。この開閉弁33の開閉弁孔34は、駆動シャフト16の中心の放圧通路16aの途中に形成されている。この開閉弁孔34に対応して、駆動シャフト16及び回転支持体18には、開閉弁体36が挿通支持されている。そして、この開閉弁体36は、常にはバネ37の付勢力により開閉弁孔34の開放位置に向かって付勢されている。
【0065】
カウンタウェイト38は、前記斜板19の上死点対応位置の反対側に位置するように、開閉弁体36に連接形成されている。そして、回転支持体18の回転数が所定値以上になったとき、このカウンタウェイト38は、作用する遠心力が増大し、駆動シャフト16の外周方向に移動される。これにより、図9に示すように、開閉弁体36がバネ37の付勢力に抗して、開閉弁孔34の閉止位置に移動される。そして、第2の抽気通路47を介してクランク室15から吸入室13aに抽出される冷媒ガスの流れが遮断されるようになっている。
【0066】
なお、図7に示すように、この第3の実施形態においては、駆動シャフト16の後端側を支持するためのラジアルベアリング17cがニードルベアリングにより構成されている。
【0067】
次に、この第3の実施形態の圧縮機の動作について説明する。
さて、車室内の温度が高く冷房負荷が大きい状態では、吸入室13a内の吸入圧力Psが高く、シリンダボア12aとクランク室15の圧力Pcとのピストン21を介した差圧はほとんどない。このため、斜板19は最大傾角位置に配置されて、ピストン21のストロークが増大され、圧縮機は大吐出容量にて運転される。この状態では、吐出室13b内の吐出圧力Pdも高く、前記容量制御弁48の感圧部材52には、第2の感圧通路54を介してその高い吐出圧力Pdが作用する。また、前記容量制御弁48のダイヤフラム51には、第1の感圧通路53を介して高い吸入圧力Psが作用する。このため、感圧部材52及びダイヤフラム51はともに制御弁体49が制御弁孔50を開放する方向に変位され、制御弁体49が、制御弁孔50を開放した状態となる。つまり、第1の抽気通路46が開放された状態となって、クランク室15内の冷媒ガスは、第1の抽気通路46を介して吸入室13aに抽出される。これによって、クランク室21内のブローバイガスによる圧力の高騰が抑制されて、圧縮機の大吐出容量での運転が継続される。
【0068】
ここで、車室内の温度が低下して冷房負荷が低下すると、吸入室13a内の吸入圧力Psが低下する。この低い吸入圧力Psが第1の感圧通路53を介して容量制御弁48のダイヤフラム51に作用して、そのダイヤフラム51が吸入圧力Psの低下度合に応じて、制御弁体49が制御弁孔50を閉じる方向に変位される。このダイヤフラム51の変位に伴って、制御弁体49が制御弁孔50を閉止する方向に移動され、第1の抽気通路46の容量制御弁48の部分における開口面積が減少される。そして、クランク室15から第1の抽気通路46を通して吸入室13aに抽出される冷媒ガスの流量が、制御弁孔50の開度に応じて低減される。この結果、クランク室15の圧力Pcが上昇して、クランク室15の圧力Pcとシリンダボア12a内の圧力との各ピストン21を介した差圧が大きくなる。この差圧に応じて、斜板19が最小傾角側に移動され、ピストン21のストロークが減少されて、吐出容量が減少される。そして、吐出室13b内の吐出圧力Pdも低下する。
【0069】
車室内の温度がさらに低下して、冷房負荷がほとんど存在しない状態に近づいていくと、吸入室13a内の吸入圧力Ps及び吐出室13b内の吐出圧力Pdがさらに低下する。このため、感圧部材52及びダイヤフラム51はともに制御弁体49が制御弁孔50を閉止する方向に変位され、制御弁孔50が制御弁体49により閉止される。この状態では、第1の抽気通路46が遮断されて、クランク室15から吸入室13aに抽出される冷媒ガスの流量が大幅に低減される。このため、吐出室13bから連通路55を通してクランク室15に供給される高圧の冷媒ガスにより、クランク室15の圧力Pcとシリンダボア12a内の圧力との各ピストン21を介した差圧が大きくなる。これにより、斜板19は最小傾角位置に配置され、ピストン21のストロークがさらに減少されて、圧縮機は小吐出容量で運転される。
【0070】
一方、圧縮機がある吐出容量状態での運転が継続されて、車室内の温度が上昇し冷房負荷が増大すると、吸入室13a内の吸入圧力Psが上昇する。この状態では、上昇した吸入圧力Psが第1の感圧通路53を介して容量制御弁48のダイヤフラム51に作用して、そのダイヤフラム51が吸入圧力Psの上昇度合に応じて変位される。このダイヤフラム51の変位に伴って、制御弁体49が制御弁孔50を開放する方向に移動され、第1の抽気通路46の容量制御弁48の部分における開口面積が増大される。そして、クランク室15から第1の抽気通路46を通して吸入室13aに抽出される冷媒ガスの流量が増大される。この結果、クランク室15の圧力Pcが低下して、クランク室15の圧力Pcとシリンダボア12a内の圧力との各ピストン21を介した差圧が小さくなる。この差圧に応じて、斜板19が最大傾角側に移動され、ピストン21のストロークが増大されて、吐出容量が増大される。そして、吐出室13b内の吐出圧力Pdも上昇する。
【0071】
車室内の温度がさらに上昇し、冷房負荷がさらに増大すると、それに伴って吸入室13a内の吸入圧力Ps及び吐出室13b内の吐出圧力Pdがさらに上昇する。この状態では、感圧部材52及びダイヤフラム51はともに制御弁体49が制御弁孔50を開放する方向に変位され、制御弁体49が制御弁孔50の最大開度位置に配置され、第1の抽気通路46が開放される。そして、クランク室15から第1の抽気通路46を通して吸入室13aに抽出される冷媒ガスの流量が最大となって、クランク室15内の圧力Pcが吸入室13a内の吸入圧力Ps近づくように低下する。このため、クランク室15の圧力Pcとシリンダボア12a内の圧力との各ピストン21を介した差圧が小さくなって、斜板19は最大傾角位置に配置される。そして、ピストン21のストロークが増大されて、圧縮機は大吐出容量で運転される。
【0072】
さて、外部駆動源をなす車両エンジンの回転数が上昇し、駆動シャフト16の回転数が所定値を越えて高められた場合には、開閉弁33のカウンタウェイト38に作用する遠心力が増大する。この遠心力により、図9に示すように、開閉弁体36が、バネ37の付勢力に抗して開閉弁孔34の閉止位置に移動されて、第2の抽気通路47が閉じられる。
【0073】
ところで、圧縮機の大吐出容量での運転状態では、クランク室15に対して、ブローバイガスの流入、及び、連通路55を介した吐出室13bからの高圧の冷媒ガスの供給が継続される。ここで、前記のように、第2の抽気通路47が遮断されていると、その第2の抽気通路47が遮断されている分、クランク室15内の圧力Pcが緩やかに高められる。これにより、斜板19の傾角が徐々に小さくなり、吐出容量が減少されて、圧縮負荷が低減される。そして、高速で摺動されている圧縮機内の各摺動部の摺動面間の面圧が低減される。そして、これらの摺動部のPv値が低減される。
【0074】
そのため、この第3の実施形態においても、前述した第1の実施形態とほぼ同様の作用効果を発揮することができる。
また、この第3の実施形態においては、駆動シャフト16と一体回転される回転支持体18により回転要素が構成されている。そして、駆動シャフト16の回転数が所定値を越えて高まったとき、開閉弁33が第2の抽気通路47の開放状態から閉止状態に切り換えられるようになっている。従って、簡単な構成で、大吐出容量でかつ高回転状態にある圧縮機の圧縮負荷を低減することができる。 なお、この発明は、次のように変更して具体化することも可能である。
【0075】
(1) 前記第1の実施形態に示すように、給気通路23に容量制御弁24を設けて吐出容量を制御するようにした圧縮機において、抽気通路29の途中に第3の実施形態に示すような構造の開閉弁33を配設すること。
【0076】
(2) 前記第2実施形態において、被覆層43を、例えば、銅、銀、スズ等の軟質金属のメッキあるいは溶射により形成すること。あるいは、被覆層43を、マトリックスとして、例えばニッケル、銅、コバルト、鉄、銀、亜鉛、ニッケル−リン、ニッケル−ホウ素、コバルト−ホウ素等の中から、分散相として、例えば二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイト、フッ化グラファイト、ポリ四フッ化エチレン、フッ化カルシウム、窒化ホウ素、ポリ塩化ビニル、硫酸バリウム等の微粒子の中から適宜選択して形成した分散メッキ皮膜により形成すること。
【0077】
(3) 前記第2実施形態において、被覆層43を、バルブプレート14上の開閉弁33の開閉弁体36と対応する部分に形成すること。
(4) 前記第3の実施形態に示すように第1の抽気通路46に容量制御弁48を設けて、吐出容量を制御するようにした圧縮機において、第2の抽気通路47の途中に第1または第2の実施形態に示すような構造の開閉弁33を配設すること。
【0078】
(5) 前記第3の実施形態の開閉弁33を、収容凹所12b内において、駆動シャフト16の後端に装着すること。
これらのように構成しても、前記各実施形態とほぼ同様の作用効果を奏することができる。
【0079】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明によれば、大吐出容量の圧縮運転時に、駆動シャフトの回転が所定値を越えて高まったとき、クランク室の急激な温度及び圧力の上昇を招くことなく、そのクランク室の圧力を緩やかに上昇させることができる。このため、吐出容量が減少されて、圧縮負荷を低減することができる。従って、高速回転状態における圧縮機の摺動部のPv値を低減することができて、圧縮機の耐久性を向上することができる。
【0080】
請求項2及び4に記載の発明によれば、簡単な構成で、大吐出容量でかつ高回転状態にある圧縮機の圧縮負荷を低減することができる。
請求項3に記載の発明によれば、開閉弁を駆動シャフトの後端部付近の空間を利用して配置することができて、開閉弁と圧縮機の他の部品との干渉を容易に避けることができる。従って、圧縮機全体が大型化するおそれを回避することができる。
【0081】
請求項5に記載の発明によれば、駆動シャフトまたは回転支持体に開閉弁を装着することで、その開閉弁によって、駆動シャフトの中心の抽気通路を直接開閉することができる。従って、開閉弁の構成を簡素化することができる。
【0082】
請求項6に記載の発明によれば、回転要素の回転数が所定値以上になると、遠心力によりカウンタウェイトが外周方向に移動され、開閉弁の弁体が抽気通路の閉止位置に移動される。一方、回転要素の回転数が所定値に満たない場合には、バネの付勢力により開閉弁の弁体が抽気通路の開放位置に保持される。このため、開閉弁の構造が簡単であるとともに、回転要素の回転数の変化に応じて、抽気通路を確実に開閉させることができる。
【0083】
請求項7に記載の発明によれば、回転要素に開閉弁を装着することで、カウンタウェイトにより回転要素全体の重量バランスが崩れるのを抑制することができる。従って、回転要素に開閉弁を装着しても、カムプレートを円滑に回転させることができる。
【0084】
請求項8に記載の発明によれば、シリンダブロックの径方向の大きさを小さくできて、圧縮機全体を小型化できる。また、駆動シャフトと軸孔の内周面との間に形成される隙間を小さくすることができて、この隙間を介してクランク室から吸入圧領域に抽出される冷媒ガスの量が低減される。従って、開閉弁が閉じられた状態において、クランク室内の圧力を、急上昇を避けながら適度な速度で高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施形態の可変容量圧縮機を示す断面図。
【図2】 図1の開閉弁を拡大して示す側断面図。
【図3】 図1の開閉弁の閉じた状態を拡大して示す部分断面図。
【図4】 第2の実施形態の可変容量圧縮機を示す断面図。
【図5】 図4の開閉弁を拡大して示す側断面図。
【図6】 図4の開閉弁の閉じた状態を拡大して示す部分断面図。
【図7】 第3の実施形態の可変容量圧縮機を示す断面図。
【図8】 図7の開閉弁を拡大して示す側断面図。
【図9】 図7の開閉弁の閉じた状態を拡大して示す部分断面図。
【符号の説明】
11…ハウジングの一部を構成するフロントハウジング、12…ハウジングの一部を構成するシリンダブロック、12a…シリンダボア、12b…収容凹所、12c…軸孔、13…ハウジングの一部を構成するリヤハウジング、13a…吸入圧領域を構成する吸入室、15…クランク室、16…駆動シャフト、16a…駆動シャフトの中心に形成された通路としての放圧通路、17b…プレーンベアリングをなすラジアルベアリング、18…回転支持体、19…カムプレートとしての斜板、21…ピストン、24、48…容量制御弁、29…抽気通路、33…開閉弁、36…弁体としての開閉弁体、37…バネ、38…カウンタウェイト、47…第2の抽気通路。
Claims (8)
- ハウジングの内部にクランク室を形成するとともに駆動シャフトを回転可能に支持し、前記ハウジングの一部を構成するシリンダブロックにシリンダボアを形成し、そのシリンダボア内にピストンを往復動可能に収容し、前記駆動シャフトにカムプレートを一体回転可能かつ揺動可能に支持し、容量制御弁の開度調整に基づいてクランク室の圧力を変更することにより、クランク室の圧力とシリンダボア内の圧力との前記ピストンを介した差圧を変更し、その差圧に応じてカムプレートの傾角を変更して吐出容量を制御するようにした可変容量圧縮機において、
前記駆動シャフトと一体回転する回転要素に、前記クランク室と吸入圧領域とを連通する抽気通路を開閉する開閉弁を設け、その開閉弁は回転要素の回転数が所定値よりも高くなったときに遠心力により移動されて前記抽気通路を閉じるように構成した可変容量圧縮機。 - 前記回転要素は駆動シャフト自体である請求項1に記載の可変容量圧縮機。
- 前記開閉弁は駆動シャフトの後端部に配設した請求項2に記載の可変容量圧縮機。
- 前記回転要素は駆動シャフトの回転をカムプレートに伝達する回転支持体である請求項1に記載の可変容量圧縮機。
- 前記抽気通路は、駆動シャフトの中心に形成された通路を含む請求項1〜4のいずれかに記載の可変容量圧縮機。
- 前記開閉弁は、前記抽気通路を開閉する弁体と、その弁体を開放位置に向かって付勢するバネと、回転要素の回転数が所定値よりも高くなったとき、バネの付勢力に抗して弁体を閉止位置に移動させるカウンタウェイトとを備えた請求項1〜5のいずれかに記載の可変容量圧縮機。
- 前記カウンタウェイトは前記カムプレートの上死点対応位置の反対側に位置するように配設した請求項6に記載の可変容量圧縮機。
- 前記シリンダブロックの中心に軸孔と、その軸孔に連通するとともに前記抽気通路の一部をなし前記開閉弁より下流側に位置する収容凹所とを形成し、その軸孔に駆動シャフトの後端部を挿通するとともにその軸孔の内周面と駆動シャフトとの間に円管状のプレーンベアリングを介装した請求項1〜7のいずれかに記載の可変容量圧縮機。
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