(1)実施形態
以下、実施形態に係る判定システム2、及び空調システム1について、図面を用いて説明する。下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
(1.1)概要
図1に示すように、本実施形態の空調システム1は、判定システム2と、制御部10と、を備える。
判定システム2は、送風部3と、赤外線センサ401(図4参照)を含む赤外線検出装置4と、判定部6と、を備える。
送風部3は、送風期間T1に対象領域A1(図6A~図6C参照)に向けて温風又は冷風を送出する。以下では、送風部3が温風又は冷風を送出することを、送風部3が送風する、ともいう。赤外線センサ401は、送風後検出温度情報を検出する(取得する)。送風後検出温度情報は、送風期間T1の後の期間である送風後期間T2における対象領域A1の温度を示す。判定部6は、少なくとも送風後検出温度情報を用いて、対象領域A1における物体B1の有無を判定する。
制御部10は、判定部6の判定結果に基づいて、送風部3を制御する。
送風部3が対象領域A1に温風を送ると、対象領域A1に物体B1(例えば部屋の壁)が存在する場合、温風に含まれる熱(熱エネルギー)が、物体B1によって吸収される。そのため、対象領域A1に物体B1がある場合には、対象領域A1に物体がない場合に比べて、物体B1で吸収された熱の分だけ、送風後期間T2に赤外線センサ401で検出される温度は高くなる。また、送風部3が対象領域A1に冷風を送ると、対象領域A1に物体B1が存在する場合、物体B1に含まれる熱が冷風によって奪われる。そのため、対象領域A1に物体B1がある場合には、対象領域A1に物体がない場合に比べて、冷風によって奪われた熱の分だけ、送風後期間T2に赤外線センサ401で検出される温度は低くなる。判定部6は、この送風後期間T2に検出される温度(送風後検出温度t1)を示す情報(送風後検出温度情報)を用いることで、対象領域A1における物体B1の有無を判定することが可能となる。
ここで、送風後検出温度情報は、送風部3から対象領域A1に温風又は冷風が送風された後(送風が終わった後)の期間において赤外線センサ401で検出される、対象領域A1の温度を示す。つまり、赤外線センサ401が送風後検出温度情報を検出する時には、対象領域A1には送風部3から風(温風及び冷風)が送られていない。そのため、送風後検出温度情報は、送風部3から送られる風に起因する熱ノイズの影響を受けにくい。したがって、本実施形態の判定システム2によれば、温度(送風後検出温度t1)の検出精度の低下を抑制することが可能となる。
(1.2)構成
本実施形態の判定システム2及びそれを備えた空調システム1について、図1~図10Eを参照して、より詳細に説明する。以下では、空調システム1が戸建住宅の部屋9(図2参照)に設置される場合を例に説明するが、空調システム1はこの例に限らない。空調システム1は、例えば集合住宅の各住戸、事務所、店舗、工場、及び病院等の施設に設置されてもよいし、車両等の移動体に設置されてもよい。
図1に示すように、空調システム1は、判定システム2と、制御部10と、を備えている。判定システム2は、送風部3と、赤外線検出装置4と、判定部6と、に加えて、筐体5(図2参照)を備えている。
空調システム1は、空気調和機(いわゆるエアーコンディショナ;エアコン)である。図2に示すように、空調システム1の筐体5は、戸建住宅の部屋9の一壁面90に設置されている。以下では、部屋9において筐体5が設置されている一壁面90を、設置面90と呼ぶ。
以下では、設置面90の法線方向(設置面90から筐体5に向かう向き)を前方、その反対方向を後方と定義する。また、設置面90の面内において鉛直方向及び前後方向と直交する方向を左右方向と定義する。ただし、これらの方向は説明の便宜上のものであり、空調システム1が実際に使用される場合の向きを限定する趣旨ではない。
筐体5は、設置面90において、任意の位置に取り付けられ得る。すなわち、設置面90において筐体5は、鉛直方向の任意の位置(任意の高さ位置)に取り付けられ、水平方向(左右方向)の任意の位置(任意の水平位置)に取り付けられる。
筐体5は、水平方向(左右方向)に沿って延びる矩形の箱状である。筐体5の前面(筐体5における、設置面90と対向する面とは反対側の面)には、送風部3から送られる温風又は冷風を通すための吹き出し口51が形成されている。吹き出し口51は、水平方向(左右方向)に長い孔である。筐体5は、少なくとも送風部3と赤外線検出装置4とを保持する。本実施形態では、判定部6及び制御部10も、筐体5に保持されている。
送風部3は、筐体5内に収容されている。送風部3は、ここでは、熱媒体の気化熱および凝縮熱を用いて空気と熱のやり取りを行うヒートポンプ式の空調装置の熱交換器、及び送風機を含む。
送風部3の熱交換器は、例えば、部屋9の外部(室外)に配置される室外機の熱交換器と、配管を介して接続されている。送風部3の熱交換器は、温風を送る暖房運転時には凝縮器として動作し、冷風を送る冷房運転時には蒸発器として動作する。
送風部3の送風機は、ファンを備える。送風機は、熱交換器によって暖められた(或いは、冷やされた)熱交換器の周りの空気を、温風(或いは、冷風)として吹き出し口51から筐体5の外部に送出する。
送風部3は、風向制御部7を更に備えている。風向制御部7は、送風部3から送られる風の向きを制御する。風向制御部7は、いわゆるルーバーである。風向制御部7は、筐体5の吹き出し口51に配置されている。風向制御部7は、筐体5の吹き出し口51から送出される風の向きを制御する。ここでは、風向制御部7は、水平風向制御部71と、鉛直風向制御部72と、を含んでいる。
水平風向制御部71は、水平方向(左右方向)において、送風部3からの風(温風又は冷風)が向かう向きを変化させる。水平風向制御部71は、例えば、鉛直方向に長く、鉛直方向に沿った軸の周りで回転可能な、1以上の板状部材(左右風向変更板)を備える。水平風向制御部71は、例えば、吹き出し口51から外部に出る風の向きを、左向き、正面向き、右向き、の3段階に変化させる。
鉛直風向制御部72は、鉛直方向(上下方向)において、送風部3からの風(温風又は冷風)が向かう向きを変化させる。鉛直風向制御部72は、例えば、水平方向に長く、水平方向に沿った軸の周りで回転可能な、1以上の板状部材(上下風向変更板)を備える。鉛直風向制御部72は、例えば、吹き出し口51から外部に出る風の向きを、上向き、正面向き、下向き、の3段階に変化させる。
赤外線検出装置4は、検出対象範囲からの赤外線を検出することで、検出対象範囲の熱画像を取得する。赤外線検出装置4は、図3に示すように、赤外線検出部40と、走査部41と、処理部42と、を備える。
図2に示すように、赤外線検出部40は、筐体5の前面において吹き出し口51の上側に配置されている。図4に示すように、赤外線検出部40は、赤外線センサ401と、基板402と、を備えるセンサモジュール403で構成されている。
赤外線センサ401は、検出対象範囲の熱画像を示す情報を含む出力信号を出力する。赤外線センサ401は、複数の赤外線検出素子400を備えている。複数の赤外線検出素子400は、基板402の実装面に実装されている。複数の赤外線検出素子400は、二次元アレイ状に配置されている。ここでは、赤外線センサ401は、図4に示すように、8行8列の行列状に配列された複数(64個)の赤外線検出素子400で構成されている。
基板402は、赤外線検出素子400の実装面に沿った回転軸C1を中心として回転可能となるように、走査部41に保持されている。つまり、センサモジュール403は、回転軸C1を中心に回転可能である。ここでは、回転軸C1は鉛直方向に沿っている。
図4に示すように、複数の赤外線検出素子400が並ぶ行及び列は、回転軸C1と直交する面(つまり、水平面)に対して所定角度の傾きを有している。つまり、複数の赤外線検出素子400が並ぶ行及び列は、水平面に対して垂直でも平行でもない。
さらに、ここでの所定角度は、複数の赤外線検出素子400それぞれの中心位置のすべてが、水平方向からみて異なる位置となるように調整された角度である。言い換えれば、複数の赤外線検出素子400の各々は、回転軸C1の周りで回転されたときに、その中心が通る軌跡を含む仮想面が別の赤外線検出素子400の中心と重ならないように、配置されている。
センサモジュール403は、赤外線センサ401の複数の赤外線検出素子400に赤外線を入射させるレンズを備えていてもよい。
走査部41は、赤外線検出部40を所定の方向に走査させる。ここでは、走査部41は、赤外線センサ401を水平方向に動かすことにより、赤外線センサ401に検出対象範囲を走査させる。走査部41は、図4に示すように、モータ411を備える。モータ411は、処理部42によって制御され、赤外線センサ401(センサモジュール403)を、回転軸C1の周りで水平方向に回転させる。モータ411は、例えばステッピングモータやサーボモータなどである。要するに、走査部41は、赤外線センサ401を回転させることにより、検出対象範囲を走査させる。
赤外線検出部40は、走査部41により水平方向に走査されることで、検出対象範囲の熱画像を取得することができる。赤外線センサ401は、モータ411によって、水平方向に、サブピクセル単位の位置ごとに回転(移動)される。これにより、赤外線センサ401は、検出対象範囲の熱画像であってサブピクセル単位の位置ずれの熱画像(赤外線)を取得し、画像処理部422に出力する。
要するに、赤外線センサ401(複数の赤外線検出素子400)が回転軸C1の周りで回転(移動)されたときには、回転軸C1に平行な方向の赤外線検出素子400の数が、回転軸C1と赤外線検出素子400の配列方向とが平行である場合の数(8個)よりも増加することになる。つまり、赤外線検出素子400の配列方向が、回転軸C1と直交する面(水平面)から所定角度傾いた赤外線センサ401では、回転軸C1に平行な方向(鉛直方向)の熱画像の画素数を、赤外線検出素子400の配列方向が回転軸C1と平行である場合に比べて、実質的に増加させることができる。これにより、回転軸C1に平行な方向(鉛直方向)の解像度を向上させることができる。
なお、モータ411は、熱画像を取得するためにサブピクセル単位で赤外線センサ401を回転させるのとは別に、赤外線センサ401の検出方向を変化させる際にも用いられ得る。
処理部42は、走査部41を制御する。また、処理部42は、赤外線検出部40が取得した熱画像(入力画像)を処理する。処理部42は、機器制御部421と、画像処理部422と、を備える。
機器制御部421は、走査部41を走査させる制御を行うための制御情報を算出し、算出した制御情報に従って走査部41の制御を行う。
画像処理部422は、赤外線検出部40が取得した熱画像(入力画像)に超解像処理を施し、熱画像(入力画像)を再構成することで高精細な熱画像(出力画像)を生成する。画像処理部422は、生成した高精細な熱画像すなわち超解像処理後の熱画像を出力する。
熱画像は、検出対象範囲の温度の分布を表す複数の画素から構成される画像である。また、超解像処理は、入力画像に存在しない高い解像度の情報(出力画像)を生成できる高解像度化処理の一つである。超解像処理には、複数枚の画像から1枚の高解像度画像を得る処理方法や、学習データを用いた処理方法がある。本実施形態では、赤外線検出部40が走査部41により走査されることにより、検出対象範囲の熱画像であってサブピクセル単位の位置ずれの熱画像すなわち異なるサンプル点の熱画像を取得することができる。
図5に、熱画像4000の一例を示す。赤外線センサ401が、限られた数(64個)の赤外線検出素子400から構成されているにもかかわらず、赤外線検出装置4は、検出対象領域に存在する物体(人)4001の形状を反映した熱画像4000を取得することが可能である。
画像処理部422は、さらに、超解像処理後の熱画像に基づいて、検出対象範囲内にいる人の位置や、ユーザの手や顔の温度、壁の温度等、熱源の位置や温度を示す熱画像データを取得し、その熱画像データを出力する。要するに、処理部42(或いは、処理部42から熱画像のデータを受け取った制御部10)は、赤外線センサ401の出力信号から、対象領域に存在する人を検知することが可能である。
また、画像処理部422は、赤外線検出装置4で得られた熱画像により、人の位置、熱源の位置、温冷感等、部屋の状態を分析する。要するに、処理部42(或いは、処理部42から熱画像のデータを受け取った制御部10)は、赤外線センサ401の出力信号から、人の温冷感を推定することが可能である。
制御部10は、例えばプロセッサ及びメモリを含むコンピュータ(マイクロコントローラを含む)を有する。コンピュータは、メモリに記録された適宜のプログラムをプロセッサにて実行することにより、制御部10として機能する。制御部10は、判定システム2の動作を制御する。つまり、制御部10は、送風部3、及び赤外線検出装置4の動作を制御する。
制御部10は、送風部3を制御することで、送風部3のオンオフ(送風部3から、温風又は冷風を送出させるか否か)を制御する。制御部10は、送風部3を制御することで、送風部3から温風を送出させるか冷風を送出させるかを制御する。制御部10は、風向制御部7(水平風向制御部71及び鉛直風向制御部72)を制御することで、送風部3から送風されて吹き出し口51から筐体5の外部に送出される風の向きを制御する。
制御部10は、赤外線検出装置4の処理部42に制御信号を出力することで、赤外線検出部40及び走査部41の動作を制御する。制御部10は、制御信号を出力することで、赤外線センサ401により熱画像を取得させる。また、制御部10は、制御信号を出力することで、モータ411を動作させて、赤外線センサ401の検出方向(赤外線センサ401の向き)を制御する。
判定部6は、例えば制御部10の制御下で、部屋9内の対象領域A1における物体B1の有無を判定する。判定部6は、赤外線検出装置4で取得された熱画像を用いて、部屋9内の対象領域A1における物体B1の有無を判定する。判定部6は、赤外線検出装置4で取得された対象領域A1の熱画像から、対象領域A1の温度を検出する。判定部6は、検出した温度を用いて、対象領域A1における物体B1の有無を判定する。
判定部6は、例えばプロセッサ及びメモリを含むコンピュータ(マイクロコントローラを含む)を有する。コンピュータは、メモリに記録された適宜のプログラムをプロセッサにて実行することにより、判定部6として機能する。判定部6を構成するコンピュータと、制御部10を構成するコンピュータとは、同じであってもよいし異なっていてもよい。
なお以下では、説明の便宜上、それぞれの制御を制御部10が行う、という記載は省略する。
このような判定システム2は、任意の時点で、対象領域A1における物体B1の有無を判定する判定動作を行う。判定動作は、筐体5が部屋9の設置面90に取り付けられた時点、又はその後の任意の時点において、例えば外部の遠隔制御装置(リモコン)から判定動作の実行を指示する指示信号を判定システム2が受け取った時に、行われる。
(1.3)判定動作
本実施形態の判定システム2の判定動作は、以下の第1モード~第5モードを含む。判定システム2は、第1モード~第5モードを用いて、対象領域A1(A11,A12)における物体B1(B11,B12)の有無を判定する。
以下、第1モード~第5モードについて、図6A~図10Dを参照して説明する。なお、図6A~図10Dにおいて、点線矢印は、送風部3から吹き出し口51を通して筐体5の外部に送出される風(温風又は冷風)の向きを示す。また、図6A~図10Dにおいて、実線矢印は、赤外線検出部40の向き(赤外線センサ401の検出方向)を示す。
(1.3.1)第1モード
第1モードは、部屋9の対象領域A1に物体B1が存在するか否かを判定するモードである。
第1モードにおいて、判定システム2は、以下のように動作する。
まず、図6Aに示すように、送風前期間T0において、赤外線センサ401は対象領域A1(図6Aでは、筐体5よりも右側の領域)に向けられ、対象領域A1の温度(以下、「送風前検出温度t0」と呼ぶ)を示す送風前検出温度情報を検出する。このとき、風向制御部7は、送風部3からの風(温風又は冷風)が、対象領域A1と異なる非対象領域A2(図6Aでは、筐体5の正面又は筐体5よりも左側の領域)に向かうように、送風部3からの風の向きを制御する。つまり、送風前期間T0では、対象領域A1には送風部3から風が送出されていない。
次に、図6Bに示すように、送風前期間T0の後の送風期間T1において、風向制御部7は、送風部3からの風(温風又は冷風)が、対象領域A1に向かうように、送風部3からの風の向きを制御する。このとき、赤外線センサ401は非対象領域A2に向けられている。
そして、図6Cに示すように、送風期間T1の後の送風後期間T2において、赤外線センサ401は再度、対象領域A1に向けられ、対象領域A1の温度(以下、「送風後検出温度t1」と呼ぶ)を示す送風後検出温度情報を検出する。このとき、風向制御部7は、送風部3からの風が非対象領域A2に向かうように、送風部3からの風の向きを制御する。つまり、送風後期間T2では、対象領域A1には送風部3から風が送出されていない。
判定部6は、送風前検出温度情報が示す温度(送風前検出温度t0)と送風後検出温度情報が示す温度(送風後検出温度t1)との比較結果を用いて、対象領域A1における物体B1の有無を判定する。
具体的には、判定部6は、送風部3から温風が送られており、送風後検出温度t1の方が、送風前検出温度t0よりも閾値温度以上高かった場合、対象領域A1に物体B1が存在すると判定する。つまり、対象領域A1に物体B1が存在する場合、対象領域A1に温風が送られると、物体B1によって温風の熱が吸収され、物体B1の温度が上昇する。そのため、送風後期間T2に検出される対象領域A1の温度(送風後検出温度t1)は、送風前期間T0に検出される対象領域A1の温度(送風前検出温度t0)よりも、高くなる。したがって、送風前検出温度t0と送風後検出温度t1とを比較することにより、判定部6は、対象領域A1における物体B1の有無を判定可能となる。
また、判定部6は、送風部3から冷風が送られており、送風後検出温度t1の方が、送風前検出温度t0よりも閾値温度以上低かった場合、対象領域A1に物体B1が存在すると判定する。つまり、対象領域A1に物体B1が存在する場合、対象領域A1に冷風が送られると、物体B1によって冷風の冷熱が吸収され、物体B1の温度が低下する。そのため、送風後期間T2に検出される対象領域A1の温度(送風後検出温度t1)は、送風前期間T0に検出される対象領域A1の温度(送風前検出温度t0)よりも低くなる。したがって、送風前検出温度t0と送風後検出温度t1とを比較することにより、判定部6は、対象領域A1における物体の有無を判定可能となる。
要するに、判定部6は、送風前検出温度t0と送風後検出温度t1との差(以下、「差分温度Δt1」と呼ぶ)の大きさが、閾値温度以上であった場合、対象領域A1に物体B1が存在すると判定する。判定部6は、差分温度Δt1の大きさと、閾値温度と、を比較することによって、対象領域A1における物体の有無を判定可能となる。
なお、閾値温度は、送風期間T1の長さ、送風部3から送られる風(温風又は冷風)の温度、部屋9の室内温度、部屋9の室外温度等をパラメータとして、適宜に設定される。温風を用いる場合の閾値温度と、冷風を用いる場合の閾値温度とは、同じであってもよいし異なっていてもよい。
(1.3.2)第2モード
第2モードは、第1モードと同様に、部屋9の対象領域A1に物体B1が存在するか否かを判定するモードである。
第2モードにおいて、判定システム2は、以下のように動作する。
まず、図7Aに示すように、送風期間T1において、風向制御部7は、送風部3からの風(温風又は冷風)が、対象領域A1(図7Aでは、筐体5よりも右側の領域)に向かうように、送風部3からの風の向きを制御する。このとき、赤外線センサ401は、対象領域A1とは異なる非対象領域A2(図7Aでは、筐体5の正面又は筐体5よりも左側の領域)に向けられている。
次に、図7Bに示すように、送風期間T1の後の送風後期間T2において、赤外線センサ401は対象領域A1に向けられ、対象領域A1の温度(送風後検出温度t1)を示す送風後検出温度情報を検出する。また、送風後期間T2において、風向制御部7は、送風部3からの風が非対象領域A2に向かうように、送風部3からの風の向きを制御する。
ここで、送風後期間T2において、赤外線センサ401は、対象領域A1の温度の経時変化を検出する。すなわち、送風後検出温度情報は、送風後期間T2において赤外線センサ401で検出される、対象領域A1の温度(送風後検出温度t1)の経時変化を含んでいる。
判定部6は、送風後検出温度情報(送風後検出温度t1の経時変化)を用いて、対象領域A1における物体B1の有無を判定する。
具体的には、判定部6は、送風部3から温風が送られており、送風後期間T2の開始時点の温度の方が、送風後期間T2の終了時点の温度よりも所定の閾値温度以上高かった場合、対象領域A1に物体B1が存在すると判定する。つまり、対象領域A1に物体B1が存在する場合、送風期間T1において対象領域A1に温風が送られると、物体B1によって温風の熱が吸収され、物体B1の温度が上昇する。その後、送風部3からの温風の供給が停止されると、物体B1の温度は、周囲に熱を放出することで徐々に低下する。そのため、送風後期間T2の開始時点における対象領域A1の温度は、送風後期間T2の終了時点における対象領域A1の温度よりも高くなる。したがって、判定部6は、送風後期間T2における対象領域A1の温度(送風後検出温度t1)の経時変化を用いて、対象領域A1における物体の有無を判定可能となる。
また、判定部6は、送風部3から冷風が送られており、送風後期間T2の開始時点の温度の方が、送風後期間T2の終了時点の温度よりも所定の閾値温度以上低かった場合、対象領域A1に物体B1が存在すると判定する。つまり、対象領域A1に物体B1が存在する場合、送風期間T1において対象領域A1に冷風が送られると、物体B1によって冷風の冷熱が吸収され、物体B1の温度が低下する。その後、送風部3からの冷風の供給が停止されると、物体B1の温度は、周囲から熱を奪うことで徐々に上昇する。そのため、送風後期間T2の開始時点における対象領域A1の温度は、送風後期間T2の終了時点における対象領域A1の温度よりも低くなる。したがって、判定部6は、送風後期間T2における対象領域A1の温度(送風後検出温度t1)の経時変化を用いて、対象領域A1における物体の有無を判定可能となる。
要するに、判定部6は、送風後期間T2の開始時点の温度と送風後期間T2の終了時点の温度との差(以下、「変化温度Δt2」と呼ぶ)の大きさが、閾値温度以上であった場合、対象領域A1に物体B1が存在すると判定する。判定部6は、変化温度Δt2の大きさと、閾値温度と、を比較することによって、対象領域A1における物体の有無を判定可能となる。
なお、閾値温度は、送風後期間T2の長さ、送風部3から送られる風の温度、部屋9の室内温度、部屋9の室外温度等をパラメータとして、適宜に設定される。温風を用いる場合の閾値温度と、冷風を用いる場合の閾値温度とは、同じであってもよいし異なっていてもよい。
(1.3.3)第3モード
第3モードは、部屋9内の第1対象領域A11と第2対象領域A12(第1対象領域A11と異なる領域)とのうちの少なくとも一方における物体B11,B12の有無を判定するモードである。第3モードは、第1送風前期間T01、第1送風期間T11、第1送風後期間T21、第2送風前期間T02、第2送風期間T12、第2送風後期間T22をこの順に有する。
第3モードにおいて、判定システム2は、以下のように動作する。
まず、図8Aに示すように、第1送風前期間T01において、赤外線センサ401は第1対象領域A11(図8Aでは、筐体5よりも右側の領域)に向けられ、第1対象領域A11の温度(以下、「第1送風前検出温度t01」と呼ぶ)を示す第1送風前検出温度情報(第1のデータ)を検出する。このとき、風向制御部7は、送風部3からの風(温風又は冷風)が、第1対象領域A11と異なる第1非対象領域A21(図8Aでは、筐体5の正面又は筐体5よりも左側の領域)に向かうように、送風部3からの風の向きを制御する。つまり、第1送風前期間T01では、第1対象領域A11には送風部3から風が送出されていない。
次に、図8Bに示すように、第1送風期間T11において、風向制御部7は、送風部3からの風(温風又は冷風)が、第1対象領域A11に向かうように、送風部3からの風の向きを制御する。このとき、赤外線センサ401は第1非対象領域A21に向けられている。
次に、図8Cに示すように、第1送風後期間T21において、赤外線センサ401は再度、第1対象領域A11に向けられ、第1対象領域A11の温度(以下、「第1送風後検出温度t11」と呼ぶ)を示す第1送風後検出温度情報(第2のデータ)を検出する。このとき、風向制御部7は、送風部3からの風が第1非対象領域A21に向かうように、送風部3からの風の向きを制御する。つまり、第1送風後期間T21では、第1対象領域A11には送風部3から風が送出されていない。なお、第1送風後期間T21において、風向制御部7は、送風部3からの風が第2対象領域A12(後述)に向かわないように制御されることが好ましい。
次に、図8Dに示すように、第2送風前期間T02において、赤外線センサ401は第2対象領域A12(図8Dでは、筐体5よりも左側の領域)に向けられ、第2対象領域A12の温度(以下、「第2送風前検出温度t02」と呼ぶ)を示す第2送風前検出温度情報(第3のデータ)を検出する。このとき、風向制御部7は、送風部3からの風(温風又は冷風)が、第2対象領域A12と異なる第2非対象領域A22(図8Dでは、筐体5の正面又は筐体5よりも右側の領域)に向かうように、送風部3からの風の向きを制御する。つまり、第2送風前期間T02では、第2対象領域A12には送風部3から風が送出されていない。
次に、図8Eに示すように、第2送風期間T12において、風向制御部7は、送風部3からの風(温風又は冷風)が、第2対象領域A12に向かうように、送風部3からの風の向きを制御する。このとき、赤外線センサ401は第2非対象領域A22に向けられている。
そして、図8Fに示すように、第2送風後期間T22において、赤外線センサ401は再度、第2対象領域A12に向けられ、第2対象領域A12の温度(以下、「第2送風後検出温度t12」と呼ぶ)を示す第2送風後検出温度情報(第4のデータ)を検出する。このとき、風向制御部7は、送風部3からの風が第2非対象領域A22に向かうように、送風部3からの風の向きを制御する。つまり、第2送風後期間T22では、第2対象領域A12には送風部3から風が送出されていない。
判定部6は、少なくとも第1送風後検出温度情報及び第2送風後検出温度情報(第1送風後検出温度t11及び第2送風後検出温度12)を用いて、第1対象領域A11と第2対象領域A12とのうちの少なくとも一方における物体B11,B12の有無を判定する。
判定部6は、例えば、第1送風前検出温度t01と第1送風後検出温度t11との差(以下、「第1差分温度Δt11」と呼ぶ)の大きさと閾値温度とを比較する。判定部6は、第1差分温度Δt11の大きさが閾値温度以上であった場合、第1対象領域A11に物体B11が存在すると判定する。判定部6は、例えば、第2送風前検出温度t02と第2送風後検出温度t12との差(以下、「第2差分温度Δt12」と呼ぶ)の大きさと閾値温度とを比較する。判定部6は、第2差分温度Δt12の大きさが閾値温度以上であった場合、第2対象領域A12に物体B12が存在すると判定する。
また、判定部6は、第1差分温度Δt11と第2差分温度Δt12との比較結果を用いて、第1対象領域A11に存在する物体B11までの第1距離と第2対象領域A12に存在する物体B12までの第2距離との関係を判定する。具体的には、判定部6は、第1差分温度Δt11の大きさの方が、第2差分温度Δt12の大きさよりも大きい場合、第1距離の方が第2距離よりも近い、と判定する。また、第1距離は、筐体5の吹き出し口51から第1対象領域A11に存在する物体B11までの距離である。また、第2距離は、筐体5の吹き出し口51から第2対象領域A12に存在する物体B12までの距離である。
ここにおいて、第3モードの判定結果を用いれば、部屋9の設置面90における、筐体5の取り付け位置の判定が可能である。
例えば、図8A~図8Fに示すように、第1対象領域A11と第2対象領域A12とが、部屋9内において、筐体5の前面の法線方向に対して右側の領域及び左側の領域として設定されており、部屋9に、壁以外の物体が無い場合を想定する。この場合、第1距離は、筐体5から部屋9の右壁91までの距離に相当し、第2距離は、筐体5から部屋9の左壁92までの距離に相当する。そのため、第1差分温度Δt11と第2差分温度Δt12とを比較することで、右壁91までの第1距離と左壁92までの第2距離とのいずれが小さいか、を判定することが可能である。すなわち、判定部6は、筐体5の据え付け位置(部屋9の設置面90において、右壁91に近い位置か左壁92に近い位置か)を判定することが可能となる。つまり、判定部6は、第1のデータと第2のデータとの差、及び第3のデータと第4のデータとの差から、判定システム2(筐体5)の部屋9における左右方向の据付位置を判断できる。
第1対象領域A11と第2対象領域A12とが、部屋9内において、筐体5の前面の法線方向に対して上側の領域と下側の領域として設定されている場合、筐体5が部屋9の天井近くに配置されているか床近くに配置されているか、を判定することも可能である。
(1.3.4)第4モード
第4モードは、第3モードと同様に、部屋9内の第1対象領域A11と第2対象領域A12とのうちの少なくとも一方における物体B11,B12の有無を判定するモードである。第4モードは、送風前期間T0、第1送風期間T11、第1送風後期間T21、第2送風期間T12、第2送風後期間T22をこの順に有する。
第4モードにおいて、判定システム2は、以下のように動作する。
まず、図9Aに示すように、送風前期間T0において、赤外線センサ401は第1対象領域A11(図9Aでは、筐体5よりも右側の領域)に向けられ、第1対象領域A11の温度(第1送風前検出温度t01)を示す第1送風前検出温度情報(第1のデータ)を検出する。また、送風前期間T0において、赤外線センサ401は第2対象領域A12(図9Aでは、筐体5よりも左側の領域)に向けられ、第2対象領域A12の温度(第2送風前検出温度t02)を示す第2送風前検出温度情報(第1のデータ)を検出する。このとき、風向制御部7は、送風部3からの風(温風又は冷風)が、第1対象領域A11及び第2対象領域A12と異なる非対象領域A20(図9Aでは、筐体5の正面の領域)に向かうように、送風部3からの風の向きを制御する。つまり、送風前期間T0では、第1対象領域A11にも第2対象領域A12にも、送風部3から風が送出されていない。
本モードでは、赤外線センサ401は、送風前期間(T0)において、複数の対象領域(A11,A12)の温度をそれぞれ検出している。なお、送風前期間T0において、赤外線センサ401が第1送風前検出温度情報と第2送風前検出温度情報と(第1送風前検出温度t01と第2送風前検出温度t02と)を検出するタイミングは、同時であってもよいし、異なっていてもよい。例えば、送風前期間T0において、赤外線センサ401は、第1送風前検出温度t01を検出した後に第2送風前検出温度t02を検出してもよいし、逆であってもよい。
次に、図9Bに示すように、第1送風期間T11において、風向制御部7は、送風部3からの風(温風又は冷風)が、第1対象領域A11に向かうように、送風部3からの風の向きを制御する。このとき、赤外線センサ401は、非対象領域A20又は第2対象領域A12に(ここでは、非対象領域A20に)向けられている。
次に、図9Cに示すように、第1送風後期間T21において、赤外線センサ401は第1対象領域A11に向けられ、第1対象領域A11の温度(第1送風後検出温度t11)を示す第1送風後検出温度情報(第2のデータ)を検出する。このとき、風向制御部7は、送風部3からの風が、非対象領域A20又は第2対象領域A12に向かうように、送風部3からの風の向きを制御する。なお、第1送風後期間T21において、風向制御部7は、送風部3からの風が、第2対象領域A12に向かうように制御されることが好ましい。
次に、図9Dに示すように、第2送風期間T12において、風向制御部7は、送風部3からの風(温風又は冷風)が、第2対象領域A12に向かうように、送風部3からの風の向きを制御する。このとき、赤外線センサ401は、非対象領域A20又は第1対象領域A11に(ここでは、非対象領域A20に)向けられている。
そして、図9Eに示すように、第2送風後期間T22において、赤外線センサ401は第2対象領域A12に向けられ、第2対象領域A12の温度(第2送風後検出温度t12)を示す第2送風後検出温度情報(第3のデータ)を検出する。このとき、風向制御部7は、送風部3からの風が、非対象領域A20又は第1対象領域A11に(ここでは、非対象領域A20に)向かうように、送風部3からの風の向きを制御する。
なお、第4モードにおける判定部6の判定動作は、第3モードと同じなので、説明は省略する。第4モードでは、第1のデータと第2のデータとの差、及び第1のデータと第3のデータとの差から、判定システム2(筐体5)の部屋9における左右方向の据付位置を判断できる。
なお、第1送風後期間T21において、送風部3からの風(温風又は冷風)を、第2対象領域A12に向かうように制御している場合、第2送風期間T12は省略可能である。この場合、第1送風後期間T21(赤外線センサ401が、第1送風後検出温度t11を検出する期間)は、第2送風期間T12(送風部3が、第2対象領域A12に向けて送風する期間)と重複する重複期間となる。
(1.3.5)第5モード
第5モードは、第3モードと同様に、部屋9内の第1対象領域A11と第2対象領域A12とのうちの少なくとも一方における物体B11,B12の有無を判定するモードである。第5モードは、第1送風期間T11、第1送風後期間T21、第2送風期間T12、第2送風後期間T22をこの順に有する。
第5モードにおいて、判定システム2は、以下のように動作する。
まず、図10Aに示すように、第1送風期間T11において、風向制御部7は、送風部3からの風(温風又は冷風)が、第1対象領域A11(図10Aでは、筐体5よりも右側の領域)に向かうように、送風部3からの風の向きを制御する。このとき、赤外線センサ401は、非対象領域A20(図10Aでは、筐体5の正面の領域)又は第2対象領域A12(図10Aでは、筐体5よりも左側の領域)に(ここでは、非対象領域A20に)、向けられている。
次に、図10Bに示すように、第1送風後期間T21において、赤外線センサ401は第1対象領域A11に向けられ、第1対象領域A11の温度(第1送風後検出温度t11)を示す第1送風後検出温度情報を検出する。また、第1送風後期間T21において、風向制御部7は、送風部3からの風が、非対象領域A20又は第2対象領域A12に向かうように、送風部3からの風の向きを制御する。
ここで、第1送風後期間T21において、赤外線センサ401は、第1対象領域A11の温度の経時変化を検出する。すなわち、第1送風後検出温度情報は、第1送風後期間T21において赤外線センサ401で検出される、第1対象領域A11の温度(第1送風後検出温度t11)の経時変化を含んでいる。
次に、図10Cに示すように、第2送風期間T12において、風向制御部7は、送風部3からの風(温風又は冷風)が、第2対象領域A12に向かうように、送風部3からの風の向きを制御する。このとき、赤外線センサ401は、非対象領域A20又は第1対象領域A11に(ここでは、非対象領域A20に)向けられている。
そして、図10Dに示すように、第2送風後期間T22において、赤外線センサ401は第2対象領域A12に向けられ、第2対象領域A12の温度(第2送風後検出温度t12)を示す第2送風後検出温度情報を検出する。また、第2送風後期間T22において、風向制御部7は、送風部3からの風が、非対象領域A20又は第1対象領域A11に向かうように、送風部3からの風の向きを制御する。
ここで、第2送風後期間T22において、赤外線センサ401は、第2対象領域A12の温度の経時変化を検出する。すなわち、第2送風後検出温度情報は、第2送風後期間T22において赤外線センサ401で検出される、第2対象領域A12の温度(第2送風後検出温度t12)の経時変化を含んでいる。
判定部6は、少なくとも第1送風後検出温度情報及び第2送風後検出温度情報(第1送風後検出温度t11の経時変化及び第2送風後検出温度12の経時変化)を用いて、第1対象領域A11と第2対象領域A12とのうちの少なくとも一方における物体B11,B12の有無を判定する。
判定部6は、例えば、第1送風後期間T21の開始時点の温度と第1送風後期間T21の終了時点の温度との差(以下、「第1変化温度Δt21」と呼ぶ)と閾値温度とを比較する。判定部6は、第1変化温度Δt21の大きさが閾値温度以上であった場合、第1対象領域A11に物体B11が存在すると判定する。判定部6は、例えば、第2送風後期間T22の開始時点の温度と第2送風後期間T22の終了時点の温度との差(以下、「第2変化温度Δt22」と呼ぶ)と閾値温度とを比較する。判定部6は、第2変化温度Δt22の大きさが閾値温度以上であった場合、第2対象領域A12に物体B12が存在すると判定する。
また、判定部6は、第1変化温度Δt21と第2変化温度Δt22との比較結果を用いて、第1対象領域A11に存在する物体B11までの第1距離と第2対象領域A12に存在する物体B12までの第2距離との関係を判定する。具体的には、判定部6は、第1変化温度Δt21の大きさの方が、第2変化温度Δt22の大きさよりも大きい場合、第1距離の方が第2距離よりも近い、と判定する。
第5モードの判定結果を用いれば、第3モードの場合と同様に、部屋9の設置面90における、筐体5の取り付け位置(左右の位置、及び上下の位置)の判定が可能である。
なお、第1送風後期間T21において、送風部3からの風を、第2対象領域A12に向かうように制御している場合、第2送風期間T12は省略可能である。この場合、第1送風後期間T21(赤外線センサ401が、第1送風後検出温度情報を検出する期間)は、第2送風期間T12(送風部3が、第2対象領域A12に向けて送風する期間)と重複する重複期間となる。
上記のように、第1モードから第5モードのいずれかで動作することで、判定システム2は、対象領域A(第1対象領域A11、第2対象領域A12)における物体B1(B11,B11)の有無、及び筐体5の部屋9内での取り付け位置を判定することが可能となる。
制御部10は、上記の判定動作によって判定された、筐体5の部屋9内での取り付け位置に基づいて、送風部3及び風向制御部7を制御することが好ましい。例えば、制御部10は、筐体5が部屋9の右壁91に近い位置に配置されていると判定された場合、送風部3からの風が筐体5の左側に向かって送風される時間が長くなるように、風向制御部7を制御する。つまり、制御部10は、左右風向制御板の長手方向が左斜め前を向くように左右風向制御板を傾ける。
また、制御部10は、判定動作によって判定された、対象領域Aにおける物体B1の有無に基づいて、送風部3及び風向制御部7を制御することが好ましい。例えば、制御部10は、対象領域Aに物体B1が存在すると判定された場合、送風部3からの風が対象領域A以外の領域に向かって送風される時間が長くなるように、風向制御部7を制御する。
このように、制御部10が判定動作の結果に基づいて送風部3及び風向制御部7を制御することで、送風部3からの温風又は冷風によって、部屋9を効果的に暖房又は冷房することが可能となる。
なお、制御部10は、熱画像のデータに基づいて得られた人(ユーザ)の位置、壁の温度、温冷感等も更に用いて、送風部3及び風向制御部7を制御してもよい。
(2)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、判定システム2と同様の機能は、判定方法、コンピュータプログラム、又はプログラムを記録した記録媒体等で具現化されてもよい。
一態様に係る判定方法は、送風期間T1に対象領域A1に向けて温風又は冷風を送出することと、送風期間T1の後の期間である送風後期間T2における対象領域A1の温度を示す送風後検出温度情報を検出することと、少なくとも送風後検出温度情報を用いて、対象領域A1における物体B1の有無を判定することと、を含む。
一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上記の判定方法を実行させるためのプログラムである。
本開示における判定システム2及び空調システム1は、例えば制御部10、判定部6等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御部10及び判定部6としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよいが、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。更に、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
一変形例において、空調システム1は、持ち運び可能な筐体5に、送風部3と赤外線検出装置4とが保持(或いは収容)される構成であってもよい。判定部6及び制御部10は、筐体5に保持(或いは収容)されていてもよい。或いは判定部6及び制御部10は、筐体5の外部に配置され、筐体5に設けられた通信部と通信可能に構成されて、通信部を介して送風部3及び赤外線検出装置4と信号のやり取りをしてもよい。
一変形例において、筐体5が取り付けられる設置面90は、部屋9の壁面に限られず、天井であってもよいし、床であってもよい。
空調システム1(判定システム2)は、ヒートポンプ式の熱源機を備える構成に限らない。一変形例において、空調システム1は、温水あるいは冷水を複数のファンコイルユニットに通す構成等であってもよい。また、暖房のみを行う場合、空調システム1は、スチームあるいは温水をラジエータに通す構成であってもよい。
一変形例において、判定システム2は、送風前期間T0(第1送風前期間T01、第2送風前期間T02)及び送風後期間T2(第1送風後期間T21、第2送風後期間T22)において、送風部3からの送風を停止させてもよい。
一変形例において、第1モード~第5モードは、適宜組み合わされてもよい。例えば、第1モードと第2モードとを組み合わせて、判定部6が、差分温度Δt1と変化温度Δt2との両方を用いて、対象領域A1における物体B1の有無を判定してもよい。また、判定システム2は、第1モード~第5モードの全てを行う必要はない。判定動作は、第1モード~第5モードには限られない。
(まとめ)
以上説明した実施形態及び変形例等から以下の態様が開示されている。
第1の態様に係る判定システム(2)は、送風部(3)と、赤外線センサ(401)と、判定部(6)と、を備える。送風部(3)は、送風期間(T1)に対象領域(A1)に向けて温風又は冷風を送出する。赤外線センサ(401)は、送風期間(T1)の後の期間である送風後期間(T2)における対象領域(A1)の温度(送風後検出温度t1)を示す送風後検出温度情報を検出する。判定部(6)は、少なくとも送風後検出温度情報を用いて、対象領域(A1)における物体(B1)の有無を判定する。
この態様によれば、対象領域(A1)に物体(B1)がある場合には、対象領域(A1)に物体がない場合に比べて、送風後検出温度(t1)が周囲温度から大きく変化する。これにより、判定部(6)は、対象領域(A1)における物体(B1)の有無を判定することが可能となる。また、赤外線センサ(401)が送風後検出温度情報を検出する時には、対象領域(A1)には送風部(3)から風(温風及び冷風)が送られていないため、送風後検出温度(t1)は、送風部(3)から送られる風に起因する熱ノイズの影響を受けにくい。したがって、この態様によれば、温度(送風後検出温度t1)の検出精度の低下を抑制することが可能となる。
第2の態様に係る判定システム(2)は、第1の態様において、赤外線センサ(401)は、送風期間(T1)の前の期間である送風前期間(T0)における対象領域(A1)の温度(送風前検出温度t0)を示す送風前検出温度情報を更に検出する。判定部(6)は、送風前検出温度情報が示す温度(送風前検出温度t0)と送風後検出温度情報が示す温度(送風後検出温度t1)との比較結果を用いて、対象領域(A1)における物体(B1)の有無を判定する。
この態様によれば、送風前検出温度(t0)と送風後検出温度(t1)との比較結果を用いて、対象領域(A1)における物体(B1)の有無を判定することが可能となる。また、温度(送風前検出温度t0、及び送風後検出温度t1)の検出精度の低下を抑制することが可能となる。
第3の態様に係る判定システム(2)は、第1又は第2の態様において、送風後検出温度情報は、送風後期間(T2)において赤外線センサ(401)で検出される、対象領域(A1)の温度(送風後検出温度t1)の経時変化を含む。
この態様によれば、送風後検出温度(t1)の経時変化を用いて、対象領域(A1)における物体(B1)の有無を判定することが可能となる。
第4の態様に係る判定システム(2)は、第1~第3のいずれか1つの態様において、送風部(3)は、送風部(3)から送られる風の方向を制御する風向制御部(7)を備える。風向制御部(7)は、送風後期間(T2)において、対象領域(A1)と異なる非対象領域(A2)に向けて送風部(3)から送風させる。
この態様によれば、送風後期間(T2)に非対象領域(A0)に向けて温風又は冷風を送出させることで、対象領域(A1)の温度(送風後検出温度t1)を検出しながらも、判定システム(2)が設けられている部屋(9)等の、暖房又は冷房(空調)を行うことができる。
第5の態様に係る判定システム(2)は、第4の態様において、風向制御部(7)は、送風期間(T1)の前の期間である送風前期間(T0)において、対象領域(A1)と異なる非対象領域(A2)に向けて送風部(3)から送風させる。
この態様によれば、送風前期間(T0)に非対象領域(A0)に向けて温風又は冷風を送出させることで、対象領域(A1)の温度を検出しながらも、判定システム(2)が設けられている部屋(9)等の、暖房又は冷房(空調)を行うことができる。
第6の態様に係る判定システム(2)は、第2の態様において、対象領域(A1)は、複数の対象領域(A11,A12)を含む。赤外線センサ(401)は、送風前期間(T0)及び送風後期間(T2)の少なくとも一方において、複数の対象領域(A11,A12)の温度をそれぞれ検出する。
この態様によれば、判定動作に要する時間の短縮を図ることが可能となる。
第7の態様に係る判定システム(2)は、第1の態様において、対象領域(A1)は、第1対象領域(A11)と、第1対象領域(A11)とは異なる第2対象領域(A12)と、を含む。送風期間(T1)は、第1送風期間(T11)と、第1送風期間(T11)とは異なる第2送風期間(T12)と、を含む。第1送風期間(T11)は、送風部(3)が第1対象領域(A11)に向けて送風する期間である。第2送風期間(T12)は、送風部(3)が第2対象領域(A12)に向けて送風する期間である。送風後期間(T2)は、第1送風期間(T11)の後の期間である第1送風後期間(T21)と、第1送風後期間(T21)とは異なる期間であって第2送風期間(T12)の後の期間である第2送風後期間(T22)と、を含む。赤外線センサ(401)は、第1送風後期間(T21)において、第1対象領域(A11)の温度(第1送風後検出温度t11)を示す第1送風後検出温度情報を検出する。赤外線センサ(401)は、第2送風後期間(T22)において、第2対象領域(A12)の温度(第2送風後検出温度t12)を示す第2送風後検出温度情報を検出する。判定部(6)は、少なくとも第1送風後検出温度情報及び第2送風後検出温度情報を用いて、第1対象領域(A11)と第2対象領域(A12)とのうちの少なくとも一方における物体(B11,B12)の有無を判定する。
この態様によれば、第1対象領域(A11)と第2対象領域(A12)とのうちの少なくとも一方における物体(B11,B12)の有無を判定することが可能となる。
第8の態様に係る判定システム(2)は、第7の態様において、第1送風期間(T11)の前の第1送風前期間(T01)において、赤外線センサ(401)は、第1対象領域(A11)の温度(第1送風前検出温度t01)を示す第1送風前検出温度情報を検出する。第1送風期間(T11)において、送風部(3)は、第1対象領域(A11)に向けて送風する。第1送風後期間(T21)において、赤外線センサ(401)は、第1送風後検出温度情報を検出する。第1送風後期間(T21)の後であって第2送風期間(T12)の前の第2送風前期間(T02)において、赤外線センサ(401)は、第2対象領域(A12)の温度(第2送風前検出温度t02)を示す第2送風前検出温度情報を検出する。第2送風期間(T12)において、送風部(3)は、第2対象領域(A12)に向けて送風する。第2送風後期間(T22)において、赤外線センサ(401)は、第2送風後検出温度情報を検出する。判定部(6)は、第1送風前検出温度情報が示す温度(第1送風前検出温度t01)と第1送風後検出温度情報が示す温度(第1送風後検出温度t11)との比較結果、及び第2送風前検出温度情報が示す温度(第2送風前検出温度t02)と第2送風後検出温度情報が示す温度(第2送風後検出温度t12)との比較結果を用いて、第1対象領域(A11)に存在する物体(B11)までの第1距離と第2対象領域(A12)に存在する物体(B12)までの第2距離との関係を判定する。
この態様によれば、第1距離と第2距離との関係を判定することが可能となる。また、判定システム(2)の筐体(5)が、壁に囲まれた部屋(9)に設けられている場合、2つの方向(第1対象領域A11の方向、第2対象領域A12の方向)における、壁までの距離の関係を判定することが可能となる。すなわち、筐体(5)の部屋(9)内での取り付け位置(据え付け位置)を判定することが可能となる。
第9の態様に係る判定システム(2)は、第7の態様において、第1送風期間(T11)の前の送風前期間(T0)において、赤外線センサ(401)は、第1対象領域(A11)の温度(第1送風前検出温度t01)を示す第1送風前検出温度情報、及び、第2対象領域(A12)の温度(第2送風前検出温度t02)を示す第2送風前検出温度情報を検出する。第1送風期間(T11)において、送風部(3)は、第1対象領域(A11)に向けて送風する。第1送風後期間(T21)において、赤外線センサ(401)は、第1送風後検出温度情報を検出する。第1送風後期間(T21)の後の第2送風期間(T12)において、送風部(3)は、第2対象領域(A12)に向けて送風する。第2送風後期間(T22)において、赤外線センサ(401)は、第2送風後検出温度情報を検出する。判定部(6)は、第1送風前検出温度情報が示す温度(第1送風前検出温度t01)と前記第1送風後検出温度情報が示す温度(第1送風後検出温度t11)との比較結果、及び第2送風前検出温度情報が示す温度(第2送風前検出温度t02)と第2送風後検出温度情報が示す温度(第2送風後検出温度t12)との比較結果を用いて、第1対象領域(A11)に存在する物体(B11)までの第1距離と第2対象領域(A12)に存在する物体(B11)までの第2距離との関係を判定する。
この態様によれば、第1距離と第2距離との関係を判定することが可能となる。また、判定システム(2)の筐体(5)が、壁に囲まれた部屋(9)に設けられている場合、2つの方向(第1対象領域A11の方向、第2対象領域A12の方向)における、壁までの距離の関係を判定することが可能となる。すなわち、筐体(5)の部屋(9)内での取り付け位置(据え付け位置)を判定することが可能となる。
第10の態様に係る判定システム(2)は、第7の態様において、第2送風期間(T12)と第1送風後期間(T21)とは、重複する重複期間である。第1送風期間(T11)において、送風部(3)は、第1対象領域(A11)に向けて送風する。第1送風期間(T11)の後の重複期間において、送風部(3)は第2対象領域(A12)に向けて送風し、かつ赤外線センサ(401)は第1送風後検出温度情報を検出する。重複期間の後の第2送風後期間(T22)において、赤外線センサ(401)は、第2送風後検出温度情報を検出する。
この態様によれば、判定動作に要する時間の短縮を図ることが可能となる。
第11の態様に係る判定システム(2)は、第1~第10のいずれか1つの態様において、送風部(3)は、水平方向に沿って送風部(3)からの風が向かう向きを変化させる水平風向制御部(71)を備える。
この態様によれば、水平方向において異なる位置を対象領域(A1)として、物体(B1)の有無の判定が可能となる。
第12の態様に係る判定システム(2)は、第1~第11のいずれか1つの態様において、送風部(3)は、鉛直方向に沿って前記送風部からの風が向かう向きを変化させる鉛直風向制御部(72)を備える。
この態様によれば、鉛直方向において異なる位置を対象領域(A1)として、物体(B1)の有無の判定が可能となる。
第13の態様に係る判定システム(2)は、第1~第12のいずれか1つの態様において、赤外線センサ(401)は複数の赤外線検出素子(400)を備える。
この態様によれば、対象領域(A1)における複数の位置からの赤外線を検出することが可能となる。
第14の態様に係る判定システム(2)は、第13の態様において、複数の赤外線検出素子(400)は、二次元アレイ状に配置されている。
この態様によれば、対象領域(A1)の二次元画像を取得することが可能となる。
第15の態様に係る判定システム(2)は、第14の態様において、赤外線センサ(401)を回転させることにより対象領域(A1)を走査させる走査部(41)を更に備える。
この態様によれば、例えば、走査部(41)によって赤外線センサ(401)をサブピクセル単位の位置ごとに回転させることで、高解像度画像を得ることが可能となる。
第16の態様に係る判定システム(2)は、第15の態様において、赤外線センサ(401)の出力信号から、対象領域(A1)に存在する人を検知する処理部(42)を更に備える。
この態様によれば、対象領域(A1)に存在する人を検知することが可能となり、例えば、人の存否に応じて送風部(3)を制御させることが可能となる。
第17の態様に係る判定システム(2)は、第16の態様において、処理部(42)は、赤外線センサ(401)の出力信号から、人の温冷感を推定する。
この態様によれば、対象領域(A1)に存在する人の温冷感を推定することが可能となり、例えば、推定された人の温冷感に応じて送風部(3)を制御させることが可能となる。
第18の態様に係る空調システム(1)は、第1~第17のいずれか1つの態様に係る判定システム(2)と、判定部(6)の判定結果に基づいて送風部(3)を制御する制御部(10)と、を備える。
この態様によれば、判定システム(2)による物体(B1)の有無の判定結果に基づいて、送風部(3)の動作を制御することが可能となり、例えば、送風部(3)によって、部屋(9)を効果的に暖房又は冷房することが可能となる。
第19の態様に係る判定方法は、送風期間(T1)に対象領域(A1)に向けて温風又は冷風を送出することと、送風期間(T1)の後の期間である送風後期間(T2)における対象領域(A1)の温度(送風後検出温度t1)を示す送風後検出温度情報を検出することと、少なくとも送風後検出温度情報を用いて、対象領域(A1)における物体(B1)の有無を判定することと、を含む。
この態様によれば、対象領域(A1)における物体(B1)の有無を判定することが可能となり、温度(送風後検出温度t1)の検出精度の低下を抑制することが可能となる。
第20の態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上記の判定方法を実行させるためのプログラムである。
この態様によれば、対象領域(A1)における物体(B1)の有無を判定することが可能となり、温度(送風後検出温度t1)の検出精度の低下を抑制することが可能となる。
第2~第17の態様に係る構成は、判定システム(2)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。