JP7212559B2 - 形状測定装置及び形状測定方法 - Google Patents
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Description
上記測定においては、高分解能で高精度の変位検出が高く要求されているが、各受発光部の光学系は外部の温度変化の影響を受ける場合があり、これが検出精度の低下を招くおそれがあった。
前記三つの測定子を一体的に支持する治具を備え、
前記三つの測定子を前記治具と共に断熱材料又は断熱部材に内包して前記三つの測定子と前記治具の表面全体を被覆する構成としている。
前記三つの測定子を治具により一体的に支持し、
前記三つの測定子を前記治具と共に断熱材料又は断熱部材に内包して前記三つの測定子と前記治具の表面全体を被覆した状態で計測する構成としている。
図1は発明の実施形態としての形状測定装置40を搭載した工作機械1を示す斜視図、図2は工作機械1の制御系を示すブロック図である。図中、X軸方向及びY軸方向はいずれも水平であって互いに直交し、Z軸方向はX軸方向及びY軸方向に直交する鉛直上下方向である。
工作機械1は、ワークの一面を研削するいわゆる研削盤であり、基部31a,31b、第一のコラム10、第二のコラム20、クロスレール32、サドル331、砥石頭332、研削装置34、形状測定装置40、ならびに測定対象物としてのワークが配置されるテーブル36及びベッド35、制御装置60を備えている。ワークは、研削が行われる加工対象物である。
ベッド35は、X軸方向に沿った図示しない一対のリニアガイドを備え、テーブル36をX軸方向に沿って移動可能に支持している。また、ベッド35には、テーブル36をX軸方向に沿って搬送する図示しない搬送機構が搭載されている。搬送機構は、動作量を任意に制御可能なテーブル送りモータ351(図2参照)を駆動源としており、テーブル36にワークを保持してX軸方向に搬送することを可能としている。
なお、この搬送機構は、後述する三つの測定子41をワークWに対して走査方向(X軸方向)に沿って相対的に移動させる走査機構としても機能する。
第一のコラム10及び第二のコラム20はベッド35を挟んでY軸方向に並ぶ配置で立設されている。そして、これらコラム10,20の上端部には、ブラケット32a(第二のコラム20側のブラケットは図示略)を介して、クロスレール32がY軸方向に向けられた状態で固定支持されている。そして、各コラム10,20の上端部は、ボルトや溶接等の周知の方法でクロスレール32に固定されている。
クロスレール32は、Y軸方向に長尺であって、その前面側において、図示しないリニアガイドを介してサドル331をY軸方向に移動可能に支持している。
また、クロスレール32には、サドル331をY軸方向に沿って移動位置決めする図示しない搬送機構が搭載されている。この搬送機構は、動作量を任意に制御可能なサドル送りモータ321(図2参照)を駆動源としており、サドル331をY軸方向に沿って任意に移動位置決めすることができる。
砥石頭332は、サドル331を介してクロスレール32によってY軸方向に移動可能に支持され、サドル331によりZ軸方向に沿って昇降可能に支持されている。また、砥石頭332は、下端部に研削装置34を支持している。
このため、サドル331は、図示しないリニアガイドにより砥石頭332をZ軸方向に沿って移動可能に支持している。そして、サドル331には、砥石頭332をZ軸方向に沿って移動位置決めする図示しない搬送機構が搭載されている。この搬送機構は、動作量を任意に制御可能な砥石昇降モータ333を駆動源としており、砥石頭332をZ軸方向に沿って任意に移動位置決めすることができる。
研削装置34は、砥石頭332の下端部に支持されている。
この研削装置34は、工具として、Y軸回りに回転駆動される円板状又は円筒状の砥石34aと、砥石34aを回転させる砥石回転モータ341とを有する。砥石34aは、砥石頭332の下端部の右端に配置されている。この砥石34aは、砥石回転モータ341による回転駆動によりその外周をワークに摺接させて研削を行う。
形状測定装置40は、いわゆる分光干渉計であり、研削装置34によって研削されたワークの研削面に対して、3点法により表面形状を測定する。
形状測定装置40は、三つの測定子41を備えるヘッド42と、三つの光源411と、三つの受光素子412とを備えている。
測定子41は、透光素子であり、光源411からの検出光をワークに向けられた出力面からワークに向けて投光すると共に、ワークからの反射光を出力面において受光する。
測定子41の内部では、出力面で内部反射した検出光とワークからの反射光との干渉光が発生する。この干渉光は、光ファイバ413を通じて受光素子412に送られる。
受光素子412は、例えば、CCDであり、測定子41からの干渉光を図示しない分光器を介して受光する。分光器は、予め定められた複数種類の波長光に分光し、受光素子412は、各波長光の光強度を個別に検出すると共に制御装置60に入力する。
測定子41は、干渉光の各波長光の光強度から、出力面からワークの表面までのZ軸方向の距離を検出することができる。
治具421は、その長手方向がY軸方向に平行に向けられている。そして、この治具421により、三つの測定子41は、Y軸方向について均一間隔で配置されている。
また、治具421は、いずれも検出光の光軸がZ軸方向に平行となるように三つの測定子41を保持する。
これにより、三つの測定子41は、Z軸方向における距離検出を行うことができる。
基台423は、支持部材422をネジと図示しない長穴等の構造によりY軸回りに角度調節可能としている。この角度調節により、支持部材422を介して治具421を回動させることができ、各測定子41の検出光の光軸の向きや各測定子41の出力面のZ軸方向の高さを調整することができる。
つまり、ヘッド42は、工作機械1に対して着脱可能であり、各吸着ブロック424を用いて、ヘッド42を砥石頭332等の表面の適切な位置に取り付けることができる。
各吸着ブロック424によるヘッド42の取付の際には、治具421及び各測定子41が適正な向き及び配置となるように適度に調整され、基台423-支持部材422間の角度調整によってさらに正確に調整される。
具体的には、図3(B)に示すように、三つの測定子41、固定治具414及び治具421は、断熱部材43に内包された状態となっている。
断熱部材43は、三つの測定子41、固定治具414及び治具421の表面の全体(各測定子41の光ファイバの接続部分を除く)を被覆している。この断熱部材43には、各測定子41の出力面の出射側に検出光の出射又は反射光の入射を行うための開口部431が形成されている。
また、発泡性の断熱材料を三つの測定子41及び治具421の表面に吹き付けてもよい。この場合、簡易に測定子41を断熱材料で被覆することができる。
また、図示はしないが測定子41をそれぞれ個別に断熱材料又は断熱部材で包む構造としても良い。ただしこの場合、センサ自体のばらつきを校正した上で計測を行うことが好ましい。
各測定子41を被覆する断熱材料としては、繊維系断熱材であるグラスウール、ロックウール、セルローズファイバー、炭化コルク、羊毛断熱材等や、発泡系断熱材であるウレタンフォーム、フェノールフォーム、ポリスチレンフォーム等のいわゆる断熱材と呼ばれる素材が好ましいが、これらに限られない。例えば、熱伝導率が、5.0[W/mk]以下、好ましくは、1.0[W/mk]以下、より好ましくは0.5[W/mk]以下の他の断熱性の素材を利用しても良い。
制御装置60は、工作機械1を全体的に統括制御するための装置であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、その他の不揮発メモリ等を備えたコンピュータである。
制御装置60は、図2に示すように、前述したテーブル送りモータ351、サドル送りモータ321、砥石昇降モータ333、砥石回転モータ341と電気的に接続されており、これらの駆動を制御することができる。
また、制御装置60は、形状測定装置40、表示装置61、入力装置62と接続されている。
表示装置61は、各種情報を表示するための装置であり、例えば、液晶ディスプレイ等である。
入力装置62は、工作機械1に各種情報や各種の指令を入力するための入力インターフェイスである。
制御装置60は、例えば、研削制御部63及び形状測定処理部64としての機能に対応する各種のプログラムをROMに格納しており、CPUがそれぞれのプログラムを実行することにより、研削制御部63及び形状測定処理部64としての機能を実現させる。なお、研削制御部63、形状測定処理部64としての回路を個別に設けて、ハードウェアにより実現する構成としてもよい。
例えば、前述した入力装置62により、予め、砥石の回転数、研削深さ、研削範囲等の各種の加工条件が入力されると、研削制御部63は、テーブル送りモータ351、サドル送りモータ321、砥石昇降モータ333、砥石回転モータ341を制御して、入力された加工条件に基づく研削加工を実行する。
図4はワークWの表面に対する走査を行う場合の概念図、図5(A)及び図5(B)はワークWの表面までの距離及び曲率の算出の説明図である。なお、図4及び図5では三つの測定子41を区別するために、これらの符号を、走査方向上流側(ワークWの搬送方向下流側)から順番に41a,41b,41cとする。
図4~図5(B)に基づいて形状測定処理部64が実行する測定方法の内容を説明する。
測定子41a,41b,41cによって求められる各測定子41a,41b,41cの出力面からワークWの表面までのZ軸方向に沿った距離をそれぞれA,B,Cとすると、b点から線分acまでのZ軸方向に沿った距離(ギャップgとする)は、次式(1)により求められる。
g=B-(A+C)/2 …(1)
従って、上式(2)に次式(3),(4)を代入し、さらに式(1)を代入すると、次式(5)が求まる。従って、変位zの2階微分であるb点の曲率は、ギャップg及び測定子41a,41b,41cの間隔Pから求めることができる。
形状測定処理部64は、走査時に、各測定子41a,41b,41cによる検出出力から距離A,B,Cを取得し、式(1)に基づいてギャップgを算出する。さらに、メモリから間隔Pの値を読み出すと共に、式(5)に基づいて曲率を算出する。そして、求められた曲率を積分ピッチで2階積分することで、任意のx点における変位zを求めることができる。積分ピッチは、例えば走査時におけるX方向の各測定子41a,41b,41cのデータ取得間隔(走査速度×サンプリング周期)等である。
制御装置60は、研削制御部63の制御の下、設定された研削深さとなるように砥石昇降モータ333を駆動し、設定された砥石の回転数で砥石回転モータ341の駆動を実行する。
そして、テーブル送りモータ351により研削装置34の砥石34aをワークに対して相対的にX軸方向に送りつつ研削を実行する。さらに、サドル送りモータ321の駆動により砥石34aを所定の距離単位でY軸方向に移動させながら、X軸方向の研削を繰り返して、ワークWに対して、設定された研削範囲の研削を実行する。
即ち、テーブル送りモータ351及びサドル送りモータ321の駆動により、砥石頭332に取り付けられたヘッド42の各測定子41の検出位置がワークWの検索範囲の開始位置となるようにヘッド42とワークWとの相対的な位置決めを行う。また、砥石昇降モータ333を駆動して各測定子41の出力面が規定の高さとなるように調整する。
そして、テーブル送りモータ351によりワークWを所定の速度で搬送し、X軸方向を走査方向として、各測定子41において所定のサンプリング周期でZ軸方向の距離A,B,Cを検出する。これに基づいて、研削範囲の走査方向の全長に渡ってギャップgを算出する。
さらに、サドル送りモータ321の駆動により砥石34aを所定の距離単位でY軸方向に移動させながら、X軸方向の研削範囲全体に渡って曲率及び変位zを求め、研削範囲全体の平面度を測定する。
上記工作機械1は、X軸方向(走査方向)に並んで設けられた三つの測定子41によって走査方向に走査してワークの表面形状としての平面度を計測する形状測定装置40を備えており、当該形状測定装置40の三つの測定子41は、断熱部材43に内包されている。
このため、三つの測定子41は、断熱部材43に内包された状態で計測が行われ、各測定子41に対して、周囲の環境温度変化の影響を低減し、曲率や変位について精度の高い検出を行うことが可能となる。
さらに、各測定子41の温度特性が個別に異なるような場合であっても、断熱部材43が個々の測定子41の環境温度の影響を低減するので、検出精度の低下を効果的に抑制することが可能となる。
また、断熱部材43は、支持部材422と治具421とをまとめて被覆するので、形状測定装置40全体を覆う場合よりもコストを低減することが可能である。さらに、基台423は断熱部材43により被覆されていないので、先に、支持部材422及び治具421を断熱部材43でまとめて被覆した後に、これらを基台423に接続することができ、形状測定装置40全体を被覆部材43で被覆するよりも簡易に断熱部材43を設置することが可能である。
以上、本発明の各実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限られない。例えば、工作機械1として研削盤を例示したが、加工後のワークWの表面形状を測定する用途がある他の工作機械にも形状測定装置40は搭載可能である。例えば、切削盤等にも形状測定装置40を搭載可能である。
例えば、断熱構造43Aは、三つの測定子41や固定治具414及び治具421を内部に格納する断熱部材としての内側層432Aと、内側層432Aの全体を内側に格納する断熱部材としての外側層433Aとを有する二層構造とし、内側層432Aと外側層433Aとの間の中空エリアを真空化して真空断熱構造を構成する。また、この場合も、各測定子41の出力面側には、検出光や反射光が通過する開口部431Aを設けることが望ましい。
この場合、内側層432Aと外側層433Aの間に真空層を設けることで外部との効果的な断熱を図ることが可能である。
また、内側層432A及び外側層433Aそのものは断熱材料から形成しなくとも、断熱効果を得ることができる。従って、例えば、内側層432A及び外側層433Aを、加工が容易で強度が得られやすい金属材料で形成しても良い。
これらの構成の場合も、三つの測定子41は、断熱構造43Aにより周囲の環境温度変化の影響を低減し、曲率や変位について精度の高い検出を行うことが可能となる。
34 研削装置
34a 砥石
35 ベッド
36 テーブル
40 形状測定装置
41 測定子
41a,41b,41c 測定子
42 ヘッド
421 治具
43 断熱部材
43A 断熱構造
60 制御装置
63 研削制御部
64 形状測定処理部
351 テーブル送りモータ
332 砥石頭
411 光源
412 受光素子
413 光ファイバ(光伝導部材)
W ワーク(測定対象物)
Claims (6)
- 走査方向に並んで設けられた三つの測定子によって前記走査方向に走査して測定対象物の表面形状を計測する形状測定装置であって、
前記三つの測定子を一体的に支持する治具を備え、
前記三つの測定子を前記治具と共に断熱材料又は断熱部材に内包して前記三つの測定子と前記治具の表面全体を被覆する形状測定装置。 - 前記三つの測定子を用いて、3点法により測定対象物の表面形状を計測する請求項1に記載の形状測定装置。
- 前記三つの測定子を、一つの前記断熱部材で覆った請求項1又は請求項2に記載の形状測定装置。
- 前記三つの測定子を前記測定対象物に対して前記走査方向に沿って相対的に移動させる走査機構を備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の形状測定装置。
- 前記三つの測定子は、いずれも光源が光伝導部材を介して前記断熱材料又は前記断熱部材の外部に離隔して設けられている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の形状測定装置。
- 走査方向に並んで設けられた三つの測定子によって前記走査方向に走査して測定対象物の表面形状を計測する形状測定方法であって、
前記三つの測定子を治具により一体的に支持し、
前記三つの測定子を前記治具と共に断熱材料又は断熱部材に内包して前記三つの測定子と前記治具の表面全体を被覆した状態で計測する形状測定方法。
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