JP7212135B2 - マグネシウムイオン選択性膜 - Google Patents

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Description

本発明は、マグネシウムイオン選択性膜およびその調製、このような膜を含む電極および電位差測定センサー、ならびに試料中のマグネシウムイオン濃度を決定するためのこれらの使用に関する。
マグネシウムは、人体内の普通金属であり、化学および生化学プロセスで重要な役割を果たす。体内のマグネシウムは、タンパク質と結合し、アニオンと錯体を形成するか、または遊離イオン化分画(iMg)として存在するかのいずれかである。iMg分画は、例えば、神経伝導または骨格筋、心筋もしくは子宮筋の収縮におけるイオンチャネル調節剤として、いくつかの生理学的役割を果たす。入院患者における研究では、低マグネシウム血症(11%)および高マグネシウム血症(9.3%)の有病率が高いことが見出された(Wongら(1983)Am J Clin Pathol 79:348)。
iMgの特異的な測定は困難であり、歴史的に、臨床検査は、マグネシウム全体のアッセイに依存する場合が多かった。マグネシウムイオン選択性センサーは、WO92/16831(Nova Biomedical Corp.)に記載されており、これはマグネシウムイオン選択性化合物として1,10-フェナントロリンを含むマグネシウム選択性膜を開示する。WO2015/160755(Siemens Healthcare Diagnostics Inc.)は、三脚型立体化学構造を有するイオノフォア、親油性ホウ酸塩およびポリマーマトリックスを含む、イオン化マグネシウムを検出するための膜を記載する。
しかし、iMgに対する高い選択性を膜に付与すること、特に、カルシウムイオンなどの他のカチオンと比べてマグネシウムイオンに対する選択性を得ることは、依然として課題である。選択性が限定的であることに加えて、当技術分野において記載されたマグネシウムイオン選択性膜は、安定性、干渉、ドリフトおよび迅速な立ち上がり時間に関しては最適以下の場合が多い。これらのパラメーターのうちの1つに対して膜を改善するための調整は、他のパラメーターに悪影響を与える場合がある。
したがって、マグネシウムに対する選択性は高いが、依然として安定で、干渉およびドリフトに対して耐性があり、迅速な立ち上がり時間を有する改善されたマグネシウムイオンセンサーが必要とされている。これらの必要性は、本発明によって対処される。
第1の態様において、本発明は
a.イオノフォア、および
b.酸性基を含む親油性化合物であって、式I
Figure 0007212135000001
(式中、
Aは酸性基を含み、
18、R19およびR20のうちの1つ、2つまたは3つすべては、C4~18アルキル基、C4~18アルケニル基、C4~18アルキニル基またはアミド含有C4~18基であるC4~18基であり、前記C4~18基は、フェニル基から数えて1、2および3位が直鎖であるか、または前記1、2および3位に合計で側鎖を1つのみ有し、
他のR18、R19およびR20は、独立に、水素または直鎖C1~18アルキル基である)
の化合物である、親油性化合物、または前記親油性化合物の塩
を含む、マグネシウムイオン選択性膜を提供する。
さらなる態様において、本発明は、
i)スペーサーを介して酸性基に共有結合しているイオノフォアであって、前記スペーサーが少なくとも1個の炭素原子を含む、イオノフォア、または
ii)その塩、すなわち、スペーサーを介して酸性基に共有結合している前記イオノフォアの塩
を含む、マグネシウムイオン選択性膜を提供する。
さらなる態様において、本発明は、本発明のマグネシウムイオン選択性膜を調製する方法であって、成分を溶媒中で混合し、得られた溶液を所望の支持体上に分配し、溶媒を蒸発させることによる、方法に関する。
さらなる態様において、本発明は、液体試料のマグネシウムイオン濃度を決定するための電極であって、本明細書に定義される本発明の膜を含む電極を提供する。
さらにさらなる態様において、本発明は、液体試料のマグネシウムイオン濃度を決定するための電位差測定センサーであって、本発明の膜または本発明の電極を含む、電位差測定センサーを提供する。
さらに、本発明は、液体試料のマグネシウムイオン濃度を決定する方法であって、前記試料と本発明の電極または本発明の電位差測定センサーとを接触させるステップと、前記電極または電位差測定センサーから得られる信号に基づきマグネシウムイオン濃度を決定するステップとを含む、方法に関する。本発明はまた、疾患または障害を診断する方法であって、マグネシウムイオン濃度を本発明に従って対象の試料について決定する方法を行うステップを含む、方法に関する。
本発明のこれらおよび他の態様および実施形態を以下にさらに詳細に記載する。
膜ID:「OPP」、「OBA」、「OBS」、「DBS」および「テトラキス」で調製したイオン選択性電極の選択係数
Figure 0007212135000002
および感度(S)を決定するために使用したFIM溶液について記録された真のcMg値の関数としての信号mVを示すグラフである。灰色の陰影部分は、イオン化マグネシウムの生理学的に適切な測定範囲(0.1~2.5mM)を示す。x軸は対数である。
膜ID:「DUP_OPP」、「DUP_テトラキス」、「MUP_OPP」、「ETH5506_OPP」および「ETH5506_テトラキス」で調製したイオン選択性電極の選択係数
Figure 0007212135000003
および感度(S)を決定するために使用したFIM溶液について記録された真のcMg値の関数としての信号mVを示すグラフである。灰色の陰影部分は、イオン化マグネシウムの生理学的に適切な測定範囲(0.1~2.5mM)を示す。x軸は対数である。
定義
膜の文脈において本明細書で使用する「選択性」という用語は、特定のイオンに対する選好を指す。本明細書で使用する「選択性」は、絶対的または排他的選択性を意味しない。すなわち、膜は、複数のイオン、例えば、マグネシウムイオンおよびカルシウムイオンに対して選択性であってよい。
本明細書で使用する「イオノフォア」という用語は、イオンを可逆的に結合する化合物、例えば、イオンを膜全体に輸送できる化合物を指す。
特に、「親油性化合物」の文脈において、本明細書で使用する「親油性」という用語は、脂肪、油、脂質または非極性溶媒に溶解する化学化合物の能力を指す。
「酸性基」という用語は、水素イオンを塩基に供与してイオン化することができる基を指す。
本明細書で使用する「塩」という用語は、その負電荷を平衡させるカチオン種と共にある、酸が脱プロトン化された形態を指す。
本明細書で使用する1,10-フェナントロリンの「置換形態」という用語は、それに対する1つまたは複数の置換を含む1,10-フェナントロリン骨格を含む物質を指す。「置換」という用語は、R基またはR残基での1,10-フェナントロリン上の水素の置き換えを指す。同様に、「置換アリール」は、水素が異なる残基または基で置き換えられているアリール基を指す。
化学基の文脈において「Cxx~yy」という用語は、該基が、XX~YY個の炭素原子、すなわちXXから出発して、YYを含むYYまでの任意の数を含有することを示し、例えば、C1~18アルキル基は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17または18個の炭素原子を含有する。別段の記載がない限り、このような基は直鎖または分岐であり得る。
化学基を指す場合、「アルキル」、「アリール」、「アルケニル」および「アルキニル」という用語は、当技術分野でのその通常の意味を有する。いくつかの実施形態において、このような基は、18個以下の炭素原子を含む。「分岐アルキル」という用語は、完全な直鎖ではない、すなわち、少なくとも1つの側鎖を有するアルキル基を指す。
試料中のマグネシウムイオンなどのイオンの濃度の決定の文脈において本明細書で使用する「濃度」という用語は、測定された試料のものと等しいイオン活性を有する、標準化された溶液マトリックス中のイオンの化学量論濃度(参照スケール)を指す。IFCCガイドラインを参照のこと(Ben Rayanaら、(2008)Clin Chem Lab Med 46(1):21)。
ポリマーに関連して本明細書で使用する分子量という用語は、
=ΣW
(式中、Wは、分子量Mを有するポリマーの重量分率である)
によって算出される、重量平均分子量を指す。
本発明のさらなる態様および実施形態
本発明者らは、当技術分野において以前に記載された膜と比較して、マグネシウムイオンに対する選択性が改善されたマグネシウムイオン選択性膜を開発した。さらに、本発明の膜は、安定で、干渉およびドリフトに対して耐性があり、迅速な立ち上がり時間を有する。
選択性の改善は、酸性基を含む親油性化合物を膜に導入するか、または酸性基を膜で用いられるイオノフォアに共有結合させるかのいずれかによって、酸性基を膜に添加することにより達成される。
任意の理論に拘束されずに、イオノフォアと、例えば、より大きなカルシウムイオンよりもマグネシウムイオンとの相互作用に有利に働く構造、例えば、以下に示す構造が形成され得ると仮定される。
構造A:
Figure 0007212135000004
構造B:
Figure 0007212135000005
したがって、上記のように、第1の態様において、本発明は、
a.イオノフォア、および
b.酸性基を含む親油性化合物であって、式I
Figure 0007212135000006
(式中、
Aは酸性基を含み、
18、R19およびR20のうちの1つ、2つまたは3つすべては、C4~18アルキル基、C4~18アルケニル基、C4~18アルキニル基またはアミド含有C4~18基であるC4~18基であり、前記C4~18基は、フェニル基から数えて1、2および3位が直鎖であるか、または前記1、2および3位に合計で側鎖を1つのみ有し、
他のR18、R19およびR20は、独立に、水素または直鎖C1~18アルキル基である)
の化合物である、親油性化合物、または前記親油性化合物の塩
を含む、マグネシウムイオン選択性膜に関する。
疑念を回避するために、本明細書における「または前記1、2および3位に合計で側鎖を1つのみ有する」という表現は、各C4~18基が前記1、2、3位に合計で側鎖を1つのみ有することを意味する。したがって、R18、R19およびR20のうちの2つ以上がC4~18基である実施形態において、これらのC4~18基のうちの2つ以上が、1、2または3位に1つの側鎖を有し得る。
例示のために、以下の式は、R18およびR20が水素であり、R19が側鎖を含まない直鎖Cアルキル基である一実施形態を示す。1、2および3位は
Figure 0007212135000007
で示される。
さらに、上記のように、さらなる態様において、本発明は、
i)スペーサーを介して酸性基に共有結合しているイオノフォアであって、前記スペーサーが少なくとも1個の炭素原子を含む、前記イオノフォア、または
ii)その塩、すなわち、スペーサーを介して酸性基に共有結合している前記イオノフォアの塩
を含む、マグネシウムイオン選択性膜を提供する。
イオノフォア
本発明のマグネシウムイオン選択性膜は、イオノフォアまたはイオノフォアの混合物を含む。本発明の膜で用いられるイオノフォアは、荷電している場合も、または荷電していない場合(中性)もある。いくつかの実施形態において、イオノフォアは親油性である。
好ましい実施形態において、イオノフォアは、1,10-フェナントロリンまたはその置換形態であるフェナントロリン化合物である。このような化合物は、例えば、WO92/16831(Nova Biomedical Corp.)に記載されている。1,10-フェナントロリンは以下の構造
Figure 0007212135000008
を有する。
一実施形態において、フェナントロリン化合物の2および9位の炭素原子は、水素に結合している。
一実施形態において、イオノフォアは、式II
Figure 0007212135000009
[式中、
~Rは各々、
H、
F、Cl、Br、I、NO、CNもしくはCFのいずれか、
1~18アルキル、
1~18アリール、
1~18アルケニル、
(CHY(式中、mは0または1~4の整数であり、Yは-OR、-NR、-OCOR、-NRCOR、-COR、-COOR、-SO、-OSiR、-PO、-POのいずれかであり、R、RおよびRは各々、H、アルキル、分岐アルキル、アリールまたは置換アリールのいずれかである)、または
-R1011(式中、nは0、または1および17を含む1~17の整数であり、R10はC、N、NCOまたはCH-Z-CHであり、ZはO、NH、S、OCOまたはCOのいずれかであり、R11は式III
Figure 0007212135000010
の化合物であり、R11はR11の3、4、5、6、7または8位のいずれかでR10に結合しており、R12~R17はH、C1~18アルキル、C1~18アリールのいずれかであるか、または除去され、但し、R11がR11の3位でR10に結合している場合、R12が除去され、R11がR11の4位でR10に結合している場合、R13が除去され、R11がR11の5位でR10に結合している場合、R14が除去され、R11がR11の6位でR10に結合している場合、R15が除去され、R11がR11の7位でR10に結合している場合、R16が除去され、R11がR11の8位でR10に結合している場合、R17が除去される)
のいずれかである、但し、R~Rのうちの1つが、H以外であり、かつ1,10-フェナントロリンの2および9位のC原子が各々、縮合環構造に関与しない結合により、Hに結合している

の化合物である。
さらなる実施形態において、R~Rは、合計で少なくとも6個の炭素原子、例えば、6、7、8、9、10または11個の炭素原子、例えば、合計で少なくとも11個の炭素原子、例えば、11~18個の炭素原子を含む。
別の実施形態において、R、R、R、R、RおよびRのうちの1つまたは複数は、1~18個の炭素原子を有するアルキルまたはアリール基である。例えば、R、R、R、R、RおよびRから選択される1つまたは2つの基は、1~18個の炭素原子を有するアルキルまたはアリール基であり得、他は水素であり、例えば、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびRまたはRおよびRは、1~18個の炭素原子を有するアルキルまたはアリール基であり、他の基は水素である。
別の実施形態において、R、R、R、R、RおよびRのうちの1つまたは複数は、1~18個の炭素原子を有するアルキル基である。例えば、R、R、R、R、RおよびRから選択される1つまたは2つの基は、1~18個の炭素原子を有するアルキル基であり得、他は水素であり、例えば、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびRまたはRおよびRは、1~18個の炭素原子を有するアルキルであり、他のR基は水素である。
別の実施形態において、R、R、R、R、RおよびRのうちの1つまたは複数は、6~18個の炭素原子を有するアルキル基である。例えば、R、R、R、R、RおよびRから選択される1つまたは2つの基は、6~18個の炭素原子を有するアルキル基であり得、他は水素であり、例えば、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびRまたはRおよびRは、6~18個の炭素原子を有するアルキル基であり、他は水素である。
別の実施形態において、R、R、R、R、RおよびRのうちの1つのみが、1~18個の炭素原子、例えば、6~18個の炭素原子、例えば、11~18個の炭素原子を有するアルキル基であり、他のR基は水素である。
別の実施形態において、Rおよび/またはRは、1~18個の炭素原子、例えば6~18個の炭素原子、例えば、11~18個の炭素原子を有するアルキル基であり、他のR基は水素である。別の実施形態において、Rおよび/またはRは、1~18個の炭素原子を有するアリール基である。
好ましい実施形態において、イオノフォアは、4-ウンデシル-1、10-フェナントロリンまたは4,7-ジウンデシル-1,10-フェナントロリンである。
置換1,10-フェナントロリン化合物は、当業者に公知の標準的な技術によって合成され得る。例えば、4-および4,7-置換1,10-フェナントロリンの合成は、参照により本明細書に組み込まれる、Lundら、J.Chem.Eng.Data、26:227-29(1981)に記載される。メチル基は、他の1,10-フェナントロリン誘導体の合成において所望の側鎖の付着のためのハンドルを提供し得、メチル置換1,10-フェナントロリンは市販されている。例えば、4-メチル、5-メチル、6-メチル、7-メチル、3,6-ジメチル、5,7-ジメチル、4,7-ジメチルおよび5,6-ジメチル-1,10-フェナントロリンはすべてAldrich Chemical Co.から入手できる。4-ウンデシル-1、10-フェナントロリンおよび4,7-ジウンデシル-1,10-フェナントロリンは、例えば、WO92/16831(Nova Biomedical Corp.)に記載されるように合成され得る。
別の実施形態において、マグネシウムイオン選択性膜は、三脚型立体化学構造、例えば、三脚型構造、例えば、WO2015/160755(Siemens Healthcare Diagnostics Inc.)に記載されるものを有するイオノフォアを含む。
したがって、一実施形態において、イオノフォアは、式IV
Figure 0007212135000011
の化合物である(当技術分野においてETH5506とも称される)。
別の実施形態において、イオノフォアは式V
Figure 0007212135000012
の化合物である(当技術分野においてETH5504とも称される)。
別の実施形態において、イオノフォアは式VI
Figure 0007212135000013
の化合物である(当技術分野においてETH3832とも称される)。
別の実施形態において、イオノフォアは式VII
Figure 0007212135000014
(式中、nは6~8の整数である)
の化合物である(nが6である場合、当技術分野においてETH5282と称され、nが8である場合、当技術分野においてETH7025と称される)。
別の実施形態において、イオノフォアは、IUPAC 2000 Part I Inorganic cations Pure Appl Chem 72:1851の表8に記載されるイオノフォアのうちの1つ、例えば、Mg2+-1、Mg2+-2、Mg2+-3、Mg2+-4、Mg2+-5、Mg2+-6、Mg2+-7、Mg2+-8、Mg2+-9、Mg2+-10、Mg2+-11、Mg2+-12、Mg2+-13、Mg2+-14、Mg2+-15、Mg2+-16、Mg2+-17、Mg2+-18、Mg2+-19、Mg2+-20、Mg2+-21、Mg2+-22、Mg2+-23、Mg2+-24、Mg2+-25、Mg2+-26、Mg2+-27、Mg2+-28、Mg2+-29、Mg2+-30、Mg2+-31、Mg2+-32、Mg2+-33、Mg2+-34、Mg2+-35、Mg2+-36、Mg2+-37、Mg2+-38、Mg2+-39、Mg2+-40、Mg2+-41、Mg2+-42、Mg2+-43、Mg2+-44、Mg2+-45、Mg2+-46、Mg2+-47、Mg2+-48、Mg2+-49、Mg2+-50、Mg2+-51、Mg2+-52、Mg2+-53、Mg2+-54、Mg2+-55またはMg2+-56である。
別の実施形態において、イオノフォアは、Buhlmannら(1998)Chem.Rev.98:1593に記載されるイオノフォアのうちの1つ、例えば、Mg2+-1、Mg2+-2、Mg2+-3、Mg2+-4、Mg2+-5、Mg2+-6、Mg2+-7、Mg2+-8、Mg2+-9、Mg2+-10、Mg2+-11、Mg2+-12、Mg2+-13、Mg2+-14、Mg2+-15またはMg2+-16である。
別の実施形態において、イオノフォアは、ETH5220(Zhangら(2011)Am.J.Biomed.Sci.3:301)またはETH2001、ETH2002、ETH2003またはETH2022(Zhangら(2000)Anal.Sci.16:11)である。
別の実施形態において、イオノフォアは、すべてSpichiger(1993)Electroanalysis 5:739に記載されるETH1001、DBM、ETH1117、cyclo(LPro-DLeu)、ETH1224、ETH2220、ETH4030、ETH5214、ETH5282またはETH7025である。
別の実施形態において、イオノフォアは、Suzukiら(1995)Anal.Chem.67:324(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるイオノフォアのうちの1つ、好ましくは、アダマンチル基を有する2つのマロンアミド側鎖を有する18員のジアザクラウンであるK22B5、またはその変異体、例えば、K22B1B5である(Siswantaら(1997)Anal.Sci.13:429)。
好ましい実施形態において、イオノフォアは、1,2-ビス(ジアリールホスフィンオキシド)ベンゼン(Saleh(1994)J.Electroanalytical Chem.373:89)またはメチルフェニルセミカルバゾン(Chandraら(2013)J.Chem.、http://dx.doi.org/10.1155/2013/189464)である。
親油性化合物
上記のように、第1の態様において、本発明は、
a.イオノフォア、および
b.酸性基を含む親油性化合物であって、式I
Figure 0007212135000015
(式中、
Aは酸性基を含み、
18、R19およびR20のうちの1つ、2つまたは3つすべては、C4~18アルキル基、C4~18アルケニル基、C4~18アルキニル基またはアミド含有C4~18基であるC4~18基であり、前記C4~18基は、フェニル基から数えて1、2および3位が直鎖であるか、または前記1、2および3位に合計で側鎖を1つのみ有し、
他のR18、R19およびR20は、独立に、水素または直鎖C1~18アルキル基である)
の化合物である、親油性化合物、または前記親油性化合物の塩
を含む、マグネシウムイオン選択性膜を提供する。
したがって、本発明のこの態様の膜は、式Iの親油性化合物またはその塩を含む。
一実施形態において、式IのA基に含まれる酸性基は、カルボン酸、スルホン酸、硫酸モノエステル、スルホンアミド、ホスホン酸、リン酸、ヒ酸、スルフィン酸またはチオカルボン酸である。
一実施形態において、式IのA基に含まれる酸性基は、カルボン酸である。例えば、A基は、式IXのカルボン酸基、式Xの炭酸基、式XIのシュウ酸モノエステル基または式XIIのジカルボン酸モノエステル基であり得る:
式IX
Figure 0007212135000016
式X
Figure 0007212135000017
式XI
Figure 0007212135000018
式XII
Figure 0007212135000019
23は、C1~5基、例えば、C1~5アルキル基、C1~5アルケニル基、C1~5アルキニル基またはアミド含有C1~5基であり得るか、またはR23は不在であり得る。好ましくは、R23は、直鎖である。例えば、式IXの化合物の一実施形態において、R23は不在であり、したがって、A基はカルボン酸基からなる。式IXのR24は、C1~5基、例えば、C1~5アルキル基、C1~5アルケニル基、C1~5アルキニル基またはアミド含有C1~5基であり得る。
別の実施形態において、A基に含まれる酸性基は、スルホン酸である。例えば、A基は、式XIIIのスルホン酸基であり得る:
式XIII
Figure 0007212135000020
23は、C1~5基、例えば、C1~5アルキル基、C1~5アルケニル基、C1~5アルキニル基またはアミド含有C1~5基であり得るか、またはR23は、不在であり得る。好ましくは、R23は、直鎖である。例えば、式XIIIの化合物の一実施形態において、R23は不在であり、したがって、A基はスルホン酸基からなる。
別の実施形態において、A基に含まれる酸性基は、硫酸モノエステルである。例えば、A基は、式XIVの硫酸モノエステル基であり得る:
式XIV
Figure 0007212135000021
23は、C1~5基、例えば、C1~5アルキル基、C1~5アルケニル基、C1~5アルキニル基またはアミド含有C1~5基であり得るか、またはR23は、不在であり得る。好ましくは、R23は、直鎖である。例えば、式XIVの化合物の一実施形態において、R23は不在であり、したがって、A基は硫酸モノエステル基からなる。
別の実施形態において、A基に含まれる酸性基は、スルホンアミドである。例えば、A基は、式XVのスルホンアミド基であり得る:
式XV
Figure 0007212135000022
23は、C1~5基、例えば、C1~5アルキル基、C1~5アルケニル基、C1~5アルキニル基またはアミド含有C1~5基であり得るか、またはR23は、不在であり得る。好ましくは、R23は、直鎖である。例えば、式XVの化合物の一実施形態において、R23は不在であり、したがって、A基はスルホンアミド基からなる。
別の実施形態において、A基に含まれる酸性基は、ホスホン酸である。例えば、A基は、式XVIのホスホン酸基または式XVIIのホスホン酸モノエステル基であり得る:
式XVI
Figure 0007212135000023
式XVII
Figure 0007212135000024
23は、C1~5基、例えば、C1~5アルキル基、C1~5アルケニル基、C1~5アルキニル基またはアミド含有C1~5基であり得るか、またはR23は、不在であり得る。好ましくは、R23は、直鎖である。例えば、式XVIの化合物の一実施形態において、R23は不在であり、したがって、A基はホスホン酸基からなる。R24は、C1~18基、例えば、C1~18アルキル基、C1~18アルケニル基、C1~18アルキニル基、アミド含有C1~18基またはアリール基であり得る。特に、アリール基はフェニル基であり得、例えば、R24は、式Iに定義されるように置換基R18、R19およびR20を有するフェニル基であり得る。
別の実施形態において、A基に含まれる酸性基は、リン酸である。例えば、A基は、式XVIIIのリン酸モノエステル基、または式XIXのリン酸ジエステル基、または式XXのポリリン酸基であり得る:
式XVIII
Figure 0007212135000025
式XIX
Figure 0007212135000026
式XX
Figure 0007212135000027
23は、C1~5基、例えば、C1~5アルキル基、C1~5アルケニル基、C1~5アルキニル基またはアミド含有C1~5基であり得るか、またはR23は、不在であり得る。好ましくは、R23は、直鎖である。例えば、式XVIIIの化合物の一実施形態において、R23は不在であり、したがって、A基はリン酸モノエステル基からなる。式XIXの化合物の一実施形態において、R23は不在であり、したがって、A基はリン酸ジエステル基からなる。R24は、C1~18基、例えば、C1~18アルキル基、C1~18アルケニル基、C1~18アルキニル基、アミド含有C1~18基またはアリール基であり得る。特に、アリール基はフェニル基であり得、例えば、R24は、式Iに定義されるように置換基R18、R19およびR20を有するフェニル基であり得る。
別の実施形態において、A基に含まれる酸性基は、ヒ酸である。例えば、A基は、式XVI、XVII、XIII、XIXまたはXXの基であり得、そこでリン原子は、ヒ素原子(As)で置き換えられている。
別の実施形態において、A基に含まれる酸性基は、スルフィン酸である。例えば、A基は、式XXIのスルフィン酸基であり得る:
式XXI
Figure 0007212135000028
23は、C1~5基、例えば、C1~5アルキル基、C1~5アルケニル基、C1~5アルキニル基またはアミド含有C1~5基あり得るか、またはR23は、不在であり得る。好ましくは、R23は、直鎖である。例えば、式XXIの化合物の一実施形態において、R23は不在であり、したがって、A基はスルフィン酸基からなる。
別の実施形態において、A基に含まれる酸性基は、チオカルボン酸である。例えば、A基は、式XXIIまたは式XXIIIのチオカルボン酸基であり得る:
式XXII
Figure 0007212135000029
式XXIII
Figure 0007212135000030
23は、C1~5基、例えば、C1~5アルキル基、C1~5アルケニル基、C1~5アルキニル基またはアミド含有C1~5基あり得るか、またはR23は、不在であり得る。好ましくは、R23は、直鎖である。例えば、式XXIIまたは式XXIIIの化合物の一実施形態において、R23は不在であり、したがって、A基はチオカルボン酸基からなる。
一実施形態において、式IのA基は、リン酸モノエステルまたはジエステル基、例えば、式XIXの-R23-(HPO)-R24基(式中、R23は不在であるか、またはアルキル(例えば、C1~18アルキル)、分岐アルキル、アリールまたは置換アリールであり、R24は水素またはアルキル(例えば、C1~18アルキル)、分岐アルキル、アリールまたは置換アリールである)である。
さらなる実施形態において、親油性化合物は、式VIII
Figure 0007212135000031
(式中、R18、R19およびR20は式Iについて定義される通りである)
の化合物を含む。好ましくは、膜は、式VIIIの親油性化合物の塩を含む。
一実施形態において、R18、R19またはR20のうちの1つは、上に定義されるC4~18アルキル基(すなわち、フェニル基から数えて1、2および3位が直鎖であるか、または前記1、2および3位に合計で側鎖を1つのみ有するC4~18アルキル基)であり、他は、独立に、水素または直鎖C1~18アルキル基である。
さらなる実施形態において、R18、R19またはR20のうちの1つは、上に定義されるC4~18アルキル基であり、他は水素である。さらなる実施形態において、R19は、上に定義されるC4~18アルキル基であり、R18およびR20は水素である。
一実施形態において、前記C4~18アルキル基(複数可)は直鎖である。別の実施形態において、前記C4~18アルキル基(複数可)は、少なくとも6個、例えば、少なくとも8個の炭素原子、例えば、8、9、10、11または12個の炭素原子を含む。
さらなる実施形態において、R18、R19またはR20のうちの1つのみが、C4~18アルキル基であり、前記C4~18アルキル基は、少なくとも6個、例えば、少なくとも8個の炭素原子、例えば、8、9、10、11または12個の炭素原子を含む。
好ましい実施形態において、親油性化合物は、式VIIIの化合物を含み、R18およびR20は水素であり、R19はオクチル基である。
好ましい実施形態において、親油性化合物は、塩の形態で提供される。好ましい塩はマグネシウム塩およびカルシウム塩である。
好ましい実施形態において、親油性化合物は、ヘミカルシウムビス[4-オクチルフェニル]ホスフェート、ヘミマグネシウムビス[4-オクチルフェニル]ホスフェートまたはこれらの2つの塩の混合物である。
親油性化合物、例えば、ヘミカルシウムビス[4-オクチルフェニル]ホスフェートおよびヘミマグネシウムビス[4-オクチルフェニル]ホスフェートは、当技術分野で公知の標準的な方法によって調製され得る。
好ましい実施形態において、親油性塩は、ヘミカルシウムビス[4-オクチルフェニル]ホスフェートとヘミマグネシウムビス[4-オクチルフェニル]ホスフェートとの混合物であり、混合物は、少なくとも50%のヘミマグネシウムビス[4-オクチルフェニル]ホスフェート、例えば、少なくとも80%のヘミマグネシウムビス[4-オクチルフェニル]ホスフェート、例えば、80%~90%のヘミマグネシウムビス[4-オクチルフェニル]ホスフェートを含有する。
本発明のマグネシウムイオン選択性膜のさらに好ましい実施形態において、イオノフォアは、4,7-ジウンデシル-1,10-フェナントロリンであり、親油性塩は、ヘミマグネシウムビス[4-オクチルフェニル]ホスフェートとヘミカルシウムビス[4-オクチルフェニル]ホスフェートとの混合物である。
好ましい実施形態において、イオノフォアと親油性化合物または親油性塩(複数可)のアニオン(複数可)とのモル比は2:1~1:1、例えば、1.8:1~1.2:1のモル比である。
上記の親油性化合物および親油性塩に加えて、さらなる塩が本発明の膜中に存在し得る。したがって、実施形態において、本発明の膜は、さらなる塩、例えば、テトラキス(4-クロロフェニル)ホウ酸塩を含む。
共有結合している酸性基を含むイオノフォア
本発明のさらなる態様において、イオノフォアおよび酸性基は、別々の化合物の一部ではなく共有結合している。
したがって、主要な態様において、本発明は、
・ スペーサーを介して酸性基に共有結合しているイオノフォアであって、前記スペーサーが少なくとも1個の炭素原子を含む、前記イオノフォア、または
・ スペーサーを介して酸性基に共有結合している前記イオノフォアの塩
を含む、マグネシウムイオン選択性膜に関する。
好ましい実施形態において、イオノフォアは、親油性である。
一実施形態において、前記スペーサーは、アルキル基、例えば、合計で1~18個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル基であり、アルキル基は、任意で置換されている。別の実施形態において、前記スペーサーは、直鎖アルキル基、例えば、-(CH-基(式中、nは少なくとも1、例えば、1、2、3、4もしくは5、または少なくとも2である)である。
一実施形態において、前記イオノフォアは、1,10-フェナントロリンまたはその置換形態であるフェナントロリン化合物である。本明細書の一実施形態において、スペーサーは、1,10-フェナントロリンの2、3、4、5、6、7、8または9位の炭素原子でフェナントロリン化合物に共有結合している。
さらなる実施形態において、スペーサー(前記スペーサーは、少なくとも1個の炭素原子を含む)を介して酸性基に共有結合しているイオノフォアは、式II
Figure 0007212135000032
[式中、
~Rは各々、
H、
F、Cl、Br、I、NO、CNもしくはCFのいずれか、
1~18アルキル、
1~18アリール、
1~18アルケニル、
(CHY(式中、mは0または1~4の整数であり、Yは-OR、-NR、-OCOR、-NRCOR、-COR、-COOR、-SO、-OSiR、-PO、-POのいずれかであり、R、RおよびRは各々、H、アルキル、分岐アルキル、アリールまたは置換アリールのいずれかである)、
-R1011(式中、nは0、または1および17を含む1~17の整数であり、R10はC、N、NCOまたはCH-Z-CHであり、ZはO、NH、S、OCOまたはCOのいずれかであり、R11
Figure 0007212135000033
であり、R11はR11の3、4、5、6、7または8位のいずれかでR10に結合しており、R12~R17はH、C1~18アルキル、C1~18アリールのいずれかであるか、または除去され、但し、R11がR11の3位でR10に結合している場合、R12が除去され、R11がR11の4位でR10に結合している場合、R13が除去され、R11がR11の5位でR10に結合している場合、R14が除去され、R11がR11の6位でR10に結合している場合、R15が除去され、R11がR11の7位でR10に結合している場合、R16が除去され、R11がR11の8位でR10に結合している場合、R17が除去される)
のいずれかである、
但し、R~Rのうちの1つが、H以外であり、かつ1,10-フェナントロリンの2および9位のC原子が各々、縮合環構造に関与しない結合により、Hに結合しており、
~Rのうちの1つがスペーサーおよび酸性基を含み、好ましくは、RまたはRはスペーサーおよび酸性基を含む]
のフェナントロリン化合物である。
本明細書のさらなる実施形態において、R~Rは、合計で少なくとも6個の炭素原子、例えば、6、7、8、9、10または11個の炭素原子、例えば、合計で少なくとも11個の炭素原子、例えば、11~18個の炭素原子を含む。
別の実施形態において、R、R、R、R、RおよびRのうちの1つまたは複数は、1~18個の炭素原子を有するアルキルまたはアリール基である。例えば、R、R、R、R、RおよびRから選択される1つまたは2つの基は、1~18個の炭素原子を有するアルキルまたはアリール基であり得、他は水素であり、例えば、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびRまたはRおよびRは、1~18個の炭素原子を有するアルキルまたはアリール基であり、他は水素である。
別の実施形態において、R、R、R、R、RおよびRのうちの1つまたは複数は、1~18個の炭素原子を有するアルキル基である。例えば、R、R、R、R、RおよびRから選択される1つまたは2つの基は、1~18個の炭素原子を有するアルキル基であり得、他は水素であり、例えば、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびRまたはRおよびRは、1~18個の炭素原子を有するアルキル基であり、他は水素である。
別の実施形態において、R、R、R、R、RおよびRのうちの1つまたは複数は、6~18個の炭素原子を有するアルキル基である。例えば、R、R、R、R、RおよびRから選択される1つまたは2つの基は、6~18個の炭素原子を有するアルキル基であり得、他は水素であり、例えば、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびRまたはRおよびRは、6~18個の炭素原子を有するアルキル基であり、他は水素である。
別の実施形態において、R、R、R、R、RおよびRのうちの1つが、1~18個の炭素原子、例えば、6~18個の炭素原子、例えば、11~18個の炭素原子を有するアルキル基である。
別の実施形態において、Rおよび/またはRは、1~18個の炭素原子、例えば、6~18個の炭素原子、例えば、11~18個の炭素原子を有するアルキル基である。
別の実施形態において、Rおよび/またはRは、1~18個の炭素原子を有するアリール基である。
好ましい実施形態において、フェナントロリン化合物は、スペーサーを介して酸性基に共有結合している4-ウンデシル-1、10-フェナントロリンであり、前記スペーサーは、少なくとも1個の炭素原子、例えば、2または3個の炭素原子を含む。
別の好ましい実施形態において、フェナントロリン化合物は、スペーサーを介して酸性基に共有結合している4,7-ジウンデシル-1、10-フェナントロリンであり、前記スペーサーは、少なくとも1個の炭素原子を含む。
好ましくは、スペーサーは1~18個の炭素原子を含む。一実施形態において、スペーサーは、少なくとも2個、例えば、少なくとも3個の炭素原子を含み、スペーサーは、1,10-フェナントロリン化合物の2、3、4、5、6、7、8または9位に共有結合している。
一実施形態において、酸性基は、カルボン酸、スルホン酸、硫酸モノエステル、スルホンアミド、ホスホン酸、リン酸、ヒ酸、スルフィン酸またはチオカルボン酸からなる群から選択される。
好ましい実施形態において、酸性基は、-(HPO)R、-(HPO)R(式中、RはH、アルキル、分岐アルキル、アリールまたは置換アリールである)、例えば、4-オクチルフェニルである。
別の実施形態において、イオノフォアは、三脚型立体化学構造、例えば、式IV、V、VIおよびVIIに示される構造のうちの1つを有する。本明細書の一つのさらなる実施形態において、酸性基は、式IV、V、VIまたはVIIに示される構造の1、2または3つのアーム上のマロンジアミド基の遠位に位置する。この文脈において「遠位」は、三脚型構造の中心に対して遠位を意味する。好ましくは、分子の1つのアームのみが、共有結合している酸性基を有する。別の実施形態において、式IV、V、VIまたはVIIに示される構造の3つのアームのうちの1つにおいて、マロンジアミド基は、酸性基で部分的または完全に置き換えられている。
さらなる膜成分
可塑剤-本発明の膜は、典型的にはさらに可塑剤を含む。可塑剤の役割は、他の成分、例えば、イオノフォアを溶媒和したままにすることである。多くの好適な可塑剤、例えば、エステル、ホスホン酸塩およびエーテルは、当技術分野において記載されている。一実施形態において、可塑剤は、4-ヘキシルフェニル2-ニトロフェニルエーテル(NHPE)もしくは2-ニトロフェニルオクチルエーテル(NPOE)またはこれらの混合物である。一実施形態において、可塑剤、例えば、NHPEは、乾燥膜質量の約40%~80%、例えば、乾燥膜質量の50%~70%、例えば、乾燥膜質量の55%~65%を構成する。
ポリマー-本発明の膜は、典型的にはさらにポリマーまたはポリマーの混合物、ポリマーブレンドを含む。ポリマーは、可塑剤および活性成分を含有するためのネットワークを提供することによって、膜に構造的完全性を付与する。使用できるポリマーおよびコポリマーの非限定的例としては、ポリ(塩化ビニル)、カルボキシル化(ポリ塩化ビニル)、ポリウレタン、ポリ(塩化ビニル-co-ビニルアセテート)、ポリ(塩化ビニル-co-ビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニル-co-ビニルアセテート-co-ビニルアルコール)およびこれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。
好ましい実施形態において、膜は、ポリマーブレンドを含み、前記ポリマーブレンドは、
1.カルボキシル化ポリ(塩化ビニル)またはポリ(塩化ビニル)である第1のポリマーであって、前記第1のポリマーの分子量が、100,000~500,000である、前記第1のポリマーと、
2.塩化ビニルと、親水性基を有する少なくとも1つのさらなるモノマー基とのコポリマーである第2のポリマーであって、前記第2のポリマーの分子量が100,000未満である、前記第2のポリマーと
を含み、
前記第1のポリマーが、カルボキシル化ポリ(塩化ビニル)である場合、前記第2のポリマーは前記第1のポリマーより多くの親水性基を有する。
一実施形態において、前記第1のポリマーは、カルボキシル化ポリ(塩化ビニル)である。さらなる実施形態において、前記第1のポリマーは、カルボキシル化ポリ(塩化ビニル)であり、前記第2のポリマーは、前記第1のポリマーの少なくとも1.5倍の親水性基、例えば、前記第1のポリマーの、例えば、少なくとも2倍、例えば、少なくとも4倍、例えば、少なくとも5倍、例えば、少なくとも10倍の親水性基を有する。さらにさらなる実施形態において、前記第1のポリマーは、カルボキシル化ポリ(塩化ビニル)であり、前記カルボキシル化ポリ(塩化ビニル)は、0.1%~10%カルボキシル化、例えば、0.5%~5%カルボキシル化、例えば、1%~3%カルボキシル化、例えば、1.8%カルボキシル化されている。
別の実施形態において、前記第1のポリマーは、ポリ(塩化ビニル)である。
一実施形態において、前記第1のポリマーの分子量は、少なくとも110,000、例えば、少なくとも120,000、例えば、130,000~400,000、例えば、130,000~300,000、例えば、130,000~250,000である。
一実施形態において、前記第1のポリマーは、カルボキシル化ポリ(塩化ビニル)であり、前記第1のポリマーの分子量は、少なくとも110,000、例えば、少なくとも120,000、例えば、130,000~400,000、例えば、200,000~300,000、例えば、200,000~250,000、例えば、220,000である。
別の実施形態において、前記第1のポリマーは、ポリ(塩化ビニル)であり、前記第1のポリマーの分子量は、少なくとも110,000、例えば、少なくとも120,000、例えば、120,000~200,000、例えば、130,000~160,000、例えば、140,000である。
本発明の膜の一実施形態において、第2のポリマー中の前記さらなるモノマーは、ビニルアルコール、ビニルエステルまたはヒドロキシ官能性アクリレートである。さらなる実施形態において、前記第2のポリマーは、塩化ビニル、ビニルアセテート、ビニルアルコールと、任意でアクリル酸、メタクリル酸またはマレイン酸などの親水性基を含むさらなるモノマーとのコポリマーである。
さらにさらなる実施形態において、前記第2のポリマーは、ポリ(塩化ビニル-co-ビニルアセテート-co-ビニルアルコール)である。一実施形態において、前記ポリ(塩化ビニル-co-ビニルアセテート-co-ビニルアルコール)は、75%~98%の塩化ビニル、例えば、85%~95%の塩化ビニル、例えば、89%~93%の塩化ビニル、例えば、91%の塩化ビニルを含む。別の実施形態において、前記ポリ(塩化ビニル-co-ビニルアセテート-co-ビニルアルコール)は、1%~20%のビニルアセテート、例えば、1%~10%のビニルアセテート、例えば、1%~5%のビニルアセテート、例えば、3%のビニルアセテートを含む。さらなる実施形態において、前記ポリ(塩化ビニル-co-ビニルアセテート-co-ビニルアルコール)は、1%~15%のビニルアルコール、例えば、1%~10%のビニルアルコール、例えば、4%~8%のビニルアルコール、例えば、6%のビニルアルコールを含む。
一実施形態において、第2のポリマーの分子量は、100,000未満、例えば、30,000~90,000、好ましくは60,000~80,000、例えば、70,000である。
一実施形態において、膜中の第1のポリマー質量と第2のポリマー質量との比は、10:1~1:5、例えば、4:1~1:4、例えば、2:1~1:3、例えば、2:3~3:7、例えば、1:2である。
一実施形態において、前記第1のポリマーは、カルボキシル化ポリ(塩化ビニル)であり、膜中の第1のポリマー質量と第2のポリマー質量との比は、4:1~1:4、例えば、2:1~1:3、例えば、3:2~3:7、または2:3~3:7、例えば、1:2である。
別の実施形態において、前記第1のポリマーは、ポリ(塩化ビニル)であり、膜中の第1のポリマー質量と第2のポリマー質量との比は、10:1~1:5、例えば、7:1~1:2、例えば、5:1~1:2、例えば、5:1~2:3、例えば、5:1~2:1、例えば、4:1である。
一実施形態において、ポリマーブレンドは、乾燥膜質量(すなわち、溶媒中で混合される前の成分の質量)の約10%~50%、例えば、乾燥膜質量の20%~40%、例えば、乾燥膜質量の25%~35%、例えば、乾燥膜質量の25%~30%を構成する。好ましい実施形態において、膜は、以下の表1に特定される組成を有する。
Figure 0007212135000034
本発明の膜を調製する方法
さらなる態様において、本発明は、成分を溶媒中で混合し、得られた溶液を所望の支持体上に分配し、溶媒を蒸発させることによって、本発明のマグネシウムイオン選択性膜を調製する方法に関する。任意の好適な溶媒が用いられ得る。一実施形態において、溶媒はシクロヘキサノンである。支持体は柔軟性または剛性であり得る。支持体は、好ましくは非導電性材料、例えば、ケイ素、ポリマー、プリント回路基板(PCB)、フレックスPCB、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、セラミック、アルミナ、ガラス、木材製品、フリットなどでできている。
電極および電位差測定センサー
さらなる主要な態様において、本発明は、本明細書に記載される本発明のマグネシウムイオン選択性膜を含む、イオン選択性電極に関する。電極は、厚膜方式、例えば、スクリーン印刷、輪転グラビア印刷、パッド印刷、ステンシル印刷の導電性材料、例えば、炭素、Cu、Pt、Pd、Auおよび/もしくはナノチューブなどを使用することによって、または、薄膜方式、例えば、スパッタリング、サーマルスプレーおよび/もしくはコールドスプレーの導電性材料を使用することによって支持体上に作られ得る。支持体は柔軟性または剛性であり得る。支持体は、好ましくは、非導電性材料、例えば、ケイ素、ポリマー、プリント回路基板(PCB)、フレックスPCB、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、セラミック、アルミナ、ガラス、木材製品、フリットなどでできている。
さらにさらなる主要な態様において、本発明は、2つ以上の検体電極が、参照電極を含むまたは含まない単一の支持体上に存在する、センサーアセンブリに関する(参照電極を含むセンサーアセンブリについては米国特許第5916425号を参照のこと)。いくつかの実施形態において、センサーアセンブリは、参照電極を含むまたは含まない、各々2つ以上の検体電極を含む2つの支持体でできている。支持体は、電極を有する前記支持体の表面が互いに面するように、互いの上に層状構造で配置され得る(例えば、WO2008/131767)。別の好適なセンサーアセンブリはWO2018/112017、WO2018/112012、WO2018/112008、WO2017/120464、WO2017/019609、WO2016/106320、WO2016/011308、WO2016/007716およびWO2013/163120に記載されている。
一実施形態において、システムは、生理学的濃度の、干渉する可能性のある化合物(Ca2+、KおよびNa)を含有するキャリブレーターで較正される。
いくつかの実施形態において、システムは、カルシウムイオンなどの他のカチオンの測定のための1つまたは複数の電極を含有し、したがって干渉は、カチオン活性の測定に基づく検体信号のケモメトリクス補正によって最小限に抑えられ得る。
使用および使用方法
上記のように、さらなる主要な態様において、本発明は、試料中のマグネシウムイオン濃度を決定するための本発明の電位差測定センサーまたは電極の使用に関する。
同様に、本発明は、液体試料のマグネシウムイオン濃度を決定する方法であって、前記試料と本発明の電極または本発明の電位差測定センサーとを接触させるステップと、前記電極または電位差測定センサーから得られる信号に基づきマグネシウムイオン濃度を決定するステップを含む、方法に関する。
検体の存在について試験される生体試料は、生理液、例えば、希釈または無希釈の全血、血清、血漿、唾液、尿、糞便、胸膜液、脳脊髄液、滑液、乳、腹水液、腹腔液または羊水であり得る。他の生体試料の例としては、発酵ブロス、培養微生物、廃水、食品などが挙げられる。
好ましい実施形態において、試料は、血液試料または血清試料である。試料、例えば、血液試料、血清試料、血漿試料または胸膜試料は、例えば、ヒト対象からの試料であり得る。
マグネシウムイオンレベルを決定する目的は、例えば、ヒト患者などの患者の疾患もしくは障害を診断すること、または医学療法もしくは手術などの治療を受けるか、もしくはこれらに登録される患者のマグネシウムレベルをモニターすることであり得る。一実施形態において、疾患または障害は、心血管疾患または障害である。別の実施形態において、試料は、新生児、すなわち生後28日未満の乳児からの試料である。
Zhang(2011)Am J Biomed Sci 3:301は、マグネシウムレベル、特に、低マグネシウム血症と臨床成績との関連を実証するいくつかの試験を要約する。例えば、試験は、低マグネシウム血症と、血液透析、2型糖尿病、心血管疾患または医療外科集中治療を経験するICU患者の死亡率との関連を実証した。さらに、心疾患患者において、マグネシウムの欠乏は、冠動脈攣縮、不整脈、細動、梗塞および突然死に寄与することが見出された。心肺バイパス術中のマグネシウム介入試験は、iMgの術中の補正が、術後の心室性不整脈の減少および連続した洞調律の維持に関連していることを示した。臨床治験結果はまた、卒中症状の発症後2時間以内の救急車または救急部における急性卒中患者に対するマグネシウム療法の利点を示唆する。マグネシウムのモニタリングは、低マグネシウム血症と関連づけられることが報告された状態であり、ヨーロッパおよびUSAにおける妊娠の5~7%で発生する子癇前症においても提唱される。他の知見は、iCa:iMgの比が、子癇前症-子癇発作患者における血管系および神経系合併症の予防に極めて重要な診断パラメーターであることを示唆した。Solimanら(2003)Crit.Care Med.31:1082は、ICU滞在中のイオン化低マグネシウム血症の発症と高い罹患率および死亡率との間の相関を報告した。
したがって、さらなる実施形態において、マグネシウムイオンレベルが本発明の方法または使用で決定される試料は、例えば、急性入院患者、または医学療法もしくは手術、例えば、心臓手術、例えば、心肺バイパス術を受けるか、もしくはこれらに登録された患者からの試料であり得る。さらなる実施形態において、試料は、食物摂取不良、吸収不良障害、低カリウム血症、低カルシウム血症、アルコール依存症を有する患者から、または低マグネシウム血症に関連する利尿薬もしくは他の薬物を摂取する患者からのものである。さらなる実施形態において、試料は、腎疾患、高血圧、子癇前症、真性糖尿病、糖尿病ケトアシドーシス、不整脈、敗血症、胸痛、急性卒中、外傷性ショック(chock)、熱傷/煙吸入、急性肺疾患または心疾患、例えば、心停止を有する患者からのものである。別の実施形態において、患者は、産科病棟患者または血液透析を受けている患者である。さらに、試料は、血液透析、2型糖尿病、心血管疾患または医療外科集中治療を経験するICU患者からのものであり得る。
本発明は、以下の実施例によりさらに例示され、これは本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
実施例1
イオン選択性膜の調製
ヘミマグネシウムビス[4-オクチルフェニル]ホスフェート(MgOPP)の貯蔵液を、MgOPP 1g当たりシクロヘキサノン48.28gの比でMgOPPとシクロヘキサノン(>99.8%)とを混合して調製した。化合物を室温で混合した後、室温において暗所で最低8時間撹拌するか、または37℃で最低4時間撹拌した。
膜を分配する溶液を、以下の成分を混合して調製した。
Figure 0007212135000035
化合物を、アルゴンまたは窒素ガスを充填したバイアル内で室温において混合した後、室温において暗所で最低40時間撹拌するか、または37℃で最低16時間撹拌した。得られた溶液を使用して、膜を、セラミック支持体上のポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT)で覆われた金電極上に分配した。その後、溶媒を蒸発させて、可塑化したイオン選択性膜を得た。
実施例2
親油性塩を含む膜の性能
フェナントロリンベースのイオノフォアおよび親油性テトラキスホウ酸塩を含有する2つの膜を調製して、膜の性能に対する親油性酸塩の添加の影響を試験した。試験した親油性酸塩は、ヘミカルシウムビス[4-オクチルフェニル]ホスフェートおよびヘミカルシウムビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェニル]ホスフェートであった。
組成が以下の通りであることを除き、2つの膜を実施例1に記載されるように調製した。
Figure 0007212135000036
Figure 0007212135000037
各膜を、電極アレイの3つの個々の電極上に分配した。これはCa2+イオン選択性電極も含有していた。PEDOTの代わりに、バナジウムブロンズをトランスデューサ材料として使用したことを除き、膜を実施例1に記載されるように分配した。得られたイオン選択性電極アレイを、テストアナライザ内の測定チャンバに配置した。測定チャンバは、参照電極と流体接触させた。テストアナライザには、較正液およびリンス液の液体輸送、試料の吸引、各電極位置の電位差信号のサンプリング、およびこれらのデータ取得の自動制御をプログラムした。
Mg2+イオン選択性電極を、3つの異なる比でMg2+およびCa2+イオンを含有する3種の較正液を用いて較正した。状態値(E0)、感度(S)およびCa2+イオンに対するMg2+イオンの選択係数(K)を、較正液で得られた電極信号に基づき決定した。Ca2+イオン選択性電極も較正した。次いで、較正したセンサーを、以下での測定に供した:
・ 0.1mM~2.5mMのMg2+イオンの濃度範囲に及ぶ5種の水性試料。
・ 健康なドナーからの全血。同じ試料で5回の繰り返しの測定を行った。また、NOVABiomedicalからのNOVA8アナライザでの測定により、試料中のMg2+イオンの濃度を決定した。
・ 低および高濃度の、干渉する可能性のあるZn2+イオン:5%ウシ血清アルブミン(BSA)および血漿中の正常な生理学的濃度に対応する0.5mMの一定の濃度のMg2+イオンで調製した溶液中0μM、20μMおよび200μM
各Mg2+イオン選択性電極について、試料中のMg2+イオンの濃度(cMg)を、試料測定前に電極について決定した較正パラメーター(E0、SおよびK)の値およびCa2+イオン選択性電極で決定したCa2+イオンの濃度を利用して、特定の試料で得られた信号から算出した。イオンMg2+濃度の算出については、ニコルスキー-アイゼンマン(NE)の式を、IFCCガイドラインに従ってセンサー応答モデルとして使用した(Ben Rayanaら(2008)Clin Chem Lab Med46(1):21)。列挙されたcMg値を得るためのその後の補正は行われなかった。
Figure 0007212135000038
Figure 0007212135000039
Figure 0007212135000040
結論
膜は、公知の濃度のMg2+イオンを有する水性試料の測定に関して、同様に十分機能した。しかし、NOVA8アナライザで読み取られたcMg結果を比較すると、膜1は、膜2よりも血液試料の偏差が小さかった(表3(0.685/0.685/0.68は0.947/0.931/0.963と比べて0.614からの偏差が小さい))。また、亜鉛イオンの干渉が少ないことが膜1で観察された(表4(膜1の値(0.514/0.542/0.815)は膜2(0.777/0.888/2.896)の値より0.5mMに近い)。
実施例3
単一の親油性酸または酸塩を含む膜の性能
フェナントロリンベースのイオノフォアおよび単一の親油性塩を含有する5つの膜を調製して、膜の性能に対する単一の親油性酸(または酸塩)の添加の影響を試験した。4種の親油性酸(酸塩):Mx={カルシウム;マグネシウム}であるヘミMxビス[4-オクチルフェニル]ホスフェート[Mx(OPP)]、4-オクチル安息香酸(OBA)、4-オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム(OBS)および4-ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBS)を試験した。イオン選択性電極において標準として用いられる親油性塩:テトラキス(4-クロロフェニル)ホウ酸カリウムも試験した。
組成が以下の通りであり、残りの成分を添加する前に、Mg(OPP)のみをシクロヘキサノンに予備溶解したことを除き、5つの膜を実施例1に記載されるように調製した。膜中の親油性アニオンが確実に同一濃度になるような組成にした。
Figure 0007212135000041
Figure 0007212135000042
各膜を、同一の電極アレイ上に各々配置された4つの同一の電極上に分配した。これは、Ca2+イオン選択性電極も含有していた。膜を実施例1に記載されるように分配した。各電極アレイを実施例2に記載されるようにテストアナライザ内の測定チャンバに配置した。
Mg2+イオン選択性電極を、実施例2に記載されるように較正したが、他のセンサー、例えば、Na、K、Ca、Cl、pH、pO、pCO、グルコースおよび乳酸センサーの同時較正に好適なより複雑な溶液マトリックスで較正した。Ca2+イオン選択性電極も較正した。次いで、較正したセンサーを、以下での測定に供した:
・ SSM(単独液法)溶液:一方の試料が100mM Mg2+イオンを含有し、他方の試料が100mM Ca2+イオンを含有する、2種の水性試料。試料はいずれも、37℃でpH=7.4に滴定した5mM HEPESバッファーおよび160mMのイオン強度(NaClの添加により調整)の一定のバックグラウンドを有していた。
・ FIM(固定干渉法)溶液:1.25mM Ca2+イオン、37℃でpH=7.4に滴定した5mM HEPESバッファーおよび160mMのイオン強度(NaClの添加により調整)の一定のバックグラウンドで、様々な濃度のMg2+イオン{0.01;0.05;0.10;0.50;1.00;5.00;10.00;50.00}を有する8種の水性試料。
・ 標準溶液:1.25mM Ca2+イオン、37℃でpH=7.4に滴定した5mM HEPESバッファーおよび160mMのイオン強度(NaClの添加により調整)の一定のバックグラウンドにおける、0.2mM~2.5mMのMg2+イオンの生理学的に適切な濃度範囲に及ぶ5種の水性試料。
各Mg2+イオン選択性電極について、試料中のMg2+イオンの濃度(cMg)を実施例2に記載されるように算出した。SSMおよび/またはFIM溶液での測定から決定した選択係数
Figure 0007212135000043
および感度は、Umezawaら(2000)Pure Appl Chem 72:1851に記載される単独液法(SSM)および固定干渉法(FIM)に従って電極信号に基づき直接算出した。
Figure 0007212135000044
Figure 0007212135000045
結果および結論
OPPおよびDBS膜は、FIM溶液で広がる上位のcMg範囲において直線的な応答勾配になる(図1)。応答勾配は、二価イオンに対する理論上予想されるNernstの感度(約30mV/decade)に近い(表5)。他の3つの膜は、前記範囲内で直線的な応答勾配にならず、したがってFIM溶液に基づく意味のある選択係数を算出できない。したがって、cMgの変化に対する応答信号の変化が、その範囲でゼロではないにせよ非常に低いため、これらの膜は、生理学的cCaおよびcNaバックグラウンドレベルで生理学的に適切なcMg範囲(0.2~2.5mM)内での測定に即座に適用できない(図1)。しかし、OBAおよびOBS膜は、テトラキス変異体と比較して(以下を参照のこと)、Ca2+とNaイオンの両方と比べてMg選択性の改善を示し、したがって、より高いMg範囲に使用できたか、または成分量のいくつかの最適化により、生理学的範囲により適したものにすることができた。注目すべきなのは、テトラキス膜は、cMg=50mMのFIM溶液に対して負の信号応答を有する。ナトリウムイオンの濃度は、他のFIM溶液(約124~155mM)と比較して、この溶液(約20mM)において非常に低く、これは、テトラキス膜が、ナトリウムイオンからの高レベルの干渉に影響を受けることを示す。
親油性酸(または酸塩)を含有する膜はいずれも、ナトリウムイオン濃度の変化に関してテトラキス膜と同様の挙動を示さない(図1)。また、SSM溶液に基づく選択係数を比較すると、これらの膜はすべて、1以下の選択係数を有する(表5)。すなわち、これらの膜は、Ca2+イオンよりMg2+イオンに選択的に応答する。対照的に、テトラキス膜は、選択係数1超を有し(表5)、これがCa2+イオンよりMg2+イオンに対する選択性が低いことを意味する。したがって、標準的な親油性塩を含有するテトラキス変異体と比較して、親油性酸(または酸塩)を含有する4つの膜はすべて、Ca2+とNaイオンの両方と比べてMg選択性を改善した。
他のセンサー、例えば、Na、K、Ca、Cl、pH、pO、pCO、グルコースおよび乳酸センサーの同時較正に好適である、複雑な溶液バックグラウンドで膜を較正すると、較正された感度および選択係数と、FIMおよびSSM溶液に基づくこれらとの間で最善の一致がOPP膜で得られる(表5)。したがって、この膜は、生理学的に適切なcMg範囲に対応する標準溶液で最も正確かつ的確に測定する(表6)。テトラキス膜は、複雑な溶液バックグラウンドで較正できなかったため、標準溶液での較正値またはcMg値は、テトラキス膜については示されず(表5および表6)、すなわち、ニコルスキー-アイゼンマン(NE)の式に対して物理的に意味のある解を見出すことができず、これはやはり、テトラキス膜がまた、Mg2+およびCa2+イオンより他のイオン、例えば、Naイオンに対して有意な選択性を有することを示す。
実施例4
代替イオノフォアを含む膜の性能
Mg選択性イオノフォアおよび単一の親油性塩を含有する5つの膜を調製して、単一の親油性酸(または酸塩)と組み合わせて代替イオノフォアを使用した場合の膜の性能に対する影響を試験した。3種のイオノフォア:4,7-ジウンデシル-1,10-フェナントロリン[DUP]、4-ウンデシル-1,10-フェナントロリン[MUP]およびETH5506を、親油性塩としてMx(OPP)(Mx={カルシウム;マグネシウム}であるヘミMxビス[4-オクチルフェニル]ホスフェート)と組み合わせて試験した。DUPおよびETH5506も、親油性塩としてテトラキス(テトラキス-(4-クロロフェニル)ホウ酸カリウム)と組み合わせて試験した。
組成が以下の通りであり、残りの成分を添加する前に、Mg(OPP)のみをシクロヘキサノンに予備溶解したことを除き、5つの膜を実施例1に記載されるように調製した。膜中のイオノフォアの濃度と親油性アニオンの濃度との間で確実に同一の比になるような組成にした。ETH5506イオノフォアを含む2つの膜の量を、DUPイオノフォアを含むものおよびMUPイオノフォアを含むものと比較して6分の1以下に縮小した。DUPイオノフォアを含む膜は、実施例3に記載される「OPP」および「テトラキス」膜と同一である。
Figure 0007212135000046
Figure 0007212135000047
Figure 0007212135000048
Figure 0007212135000049
Figure 0007212135000050
各膜を、同一の電極アレイ上に各々配置された4つの同一の電極上に分配した。これは、Ca2+イオン選択性電極も含有していた。膜を実施例1に記載されるように分配した。各電極アレイを実施例2に記載されるようにテストアナライザ内の測定チャンバに配置した。
Mg2+イオン選択性電極を、実施例3に記載されるように較正した。Ca2+イオン選択性電極も較正した。次いで、較正したセンサーを、実施例3に記載されるようにSSM溶液、FIM溶液および標準溶液での測定に供した。
各Mg2+イオン選択性電極について、試料中のMg2+イオンの濃度(cMg)を、実施例2に記載されるように算出した。SSMおよび/またはFIM溶液での測定から決定した選択係数
Figure 0007212135000051
および感度は、実施例3に記載されるように算出した。
Figure 0007212135000052
Figure 0007212135000053
結果および結論
DUP_OPPおよびMUP_OPP膜は、FIM溶液で広がる上位のcMg範囲において直線的な応答勾配になる(図2)。応答勾配は、二価イオンに対する理論上予想されるNernstの感度(約30mV/decade)に近い(表7)。他の3つの膜は、前記範囲内で直線的な応答勾配にならず、したがってFIM溶液に基づく意味のある選択係数を算出できない。したがって、cMgの変化に対する応答信号の変化が、その範囲でゼロではないにせよ非常に低いため、これらの膜は、生理学的cCaおよびcNaバックグラウンドレベルで生理学的に適切なcMg範囲(0.2~2.5mM)内の測定に即座に適用できない(図2)。しかし、ETH5506_OPP膜は、テトラキス変異体と比較して(以下を参照のこと)、ナトリウムイオンからの干渉が低いことを示し、したがって、より高いMg範囲に使用できたか、または成分量のいくつかの最適化により、生理学的範囲により適したものにすることができた。注目すべきなのは、テトラキス塩を含有する膜はいずれも(DUP_テトラキスおよびETH5506_テトラキス)は、cMg=50mMのFIM溶液に対して負の信号応答を有する。ナトリウムイオンの濃度は、他のFIM溶液(約124~155mM)と比較して、この溶液(約20mM)において非常に低く、これは、テトラキスを含有する膜が、ナトリウムイオンからの高レベルの干渉に影響を受けることを示す。
親油性酸塩(Mx(OPP))を含有する膜はいずれも、ナトリウムイオン濃度の変化に関してテトラキス膜と同様の挙動を示さない(図2)。SSM溶液に基づく選択係数を比較すると、ETH5506_OPPを除きこれらの膜はすべて、1以下の選択係数を有する(表7)。すなわち、膜は、Ca2+イオンよりMg2+イオンに選択的に応答する。対照的に、テトラキス塩を含有する膜(DUP_テトラキスおよびETH5506_テトラキス)およびETH5506_OPPはいずれも、選択係数1超を有し(表7)、これらがCa2+イオンよりMg2+イオンに対する選択性が低いことを意味する。したがって、標準的な親油性テトラキス塩を含有する膜と比較して、親油性酸塩(Mx(OPP))を含有する膜はすべて、Naイオンと比べてMg-選択性の改善を示した。さらに、非フェナントロリンベースのイオノフォアを含有するETH5506_OPP膜と比較して、親油性酸塩とフェナントロリンベースのイオノフォアとの組み合わせ(DUP_OPPおよびMUP_OPP)は、Ca2+イオンと比べてMg-選択性を改善する。
他のセンサー、例えば、Na、K、Ca、Cl、pH、pO、pCO、グルコースおよび乳酸センサーの同時較正に好適である、複雑な溶液バックグラウンドで膜を較正すると、較正された感度および選択係数と、FIMおよびSSM溶液に基づくこれらとの間で最善の一致がDUP_OPPおよびMUP_OPP膜で得られる(表7)。したがって、これらの膜は、生理学的に適切なcMg範囲に対応する標準溶液で最も正確かつ的確に測定する(表8)。テトラキス塩を含有する膜は、複雑な溶液バックグラウンドで較正できなかったため、標準溶液での較正値またはcMg値は、テトラキス塩を含有する膜については示されず(表7および表8)、すなわち、ニコルスキー-アイゼンマン(NE)の式に対して物理的に意味のある解を見出すことができず、これはやはり、テトラキス塩を含有する膜がまた、Mg2+およびCa2+イオンより他のイオン、例えば、Naイオンに対して有意な選択性を有することを示す。
本明細書は以下の発明の態様を包含する。
[1] a.イオノフォア、および
b.酸性基を含む親油性化合物であって、式I
Figure 0007212135000054
(式中、
Aは酸性基を含み、
18 、R 19 およびR 20 のうちの1つ、2つまたは3つすべては、C 4~18 アルキル基、C 4~18 アルケニル基、C 4~18 アルキニル基またはアミド含有C 4~18 基であるC 4~18 基であり、前記C 4~18 基は、フェニル基から数えて1、2および3位が直鎖であるか、または前記1、2および3位に合計で側鎖を1つのみ有し、
他のR 18 、R 19 およびR 20 は、独立に、水素または直鎖C 1~18 アルキル基である)
の化合物である、親油性化合物、または前記親油性化合物の塩
を含む、マグネシウムイオン選択性膜。
[2] イオノフォアが荷電していない、[1]に記載の膜。
[3] イオノフォアが、1,10-フェナントロリンまたはその置換形態であるフェナントロリン化合物である、[1]または[2]に記載の膜。
[4] フェナントロリン化合物が、式II
Figure 0007212135000055
[式中、
~R は各々、
H、
F、Cl、Br、I、NO 、CNもしくはCF のいずれか、
1~18 アルキル、
1~18 アリール、
1~18 アルケニル、
(CH Y(式中、mは0または1~4の整数であり、Yは-OR 、-NR 、-OCOR 、-NR COR 、-COR 、-COOR 、-SO 、-OSiR 、-PO 、-PO のいずれかであり、R 、R およびR は各々、H、アルキル、分岐アルキル、アリールまたは置換アリールのいずれかである)、または
-R 10 11 (式中、nは0、または1および17を含む1~17の整数であり、R 10 はC、N、NCOまたはCH -Z-CH であり、ZはO、NH、S、OCOまたはCOのいずれかであり、R 11
Figure 0007212135000056
であり、R 11 はR 11 の3、4、5、6、7または8位のいずれかでR 10 に結合しており、R 12 ~R 17 はH、C 1~18 アルキル、C 1~18 アリールのいずれかであるか、または除去され、但し、R 11 がR 11 の3位でR 10 に結合している場合、R 12 が除去され、R 11 がR 11 の4位でR 10 に結合している場合、R 13 が除去され、R 11 がR 11 の5位でR 10 に結合している場合、R 14 が除去され、R 11 がR 11 の6位でR 10 に結合している場合、R 15 が除去され、R 11 がR 11 の7位でR 10 に結合している場合、R 16 が除去され、R 11 がR 11 の8位でR 10 に結合している場合、R 17 が除去される)
のいずれかである、
但し、R ~R のうちの1つが、H以外であり、かつ1,10-フェナントロリンの2および9位のC原子が各々、縮合環構造に関与しない結合により、Hに結合している]
の化合物である、[3]に記載の膜。
[5] R ~R が、合計で少なくとも6個の炭素原子、例えば、合計で少なくとも11個の炭素原子を含む、[4]に記載の膜。
[6] R 、R 、R 、R 、R およびR のうちの1つまたは複数が、1~18個の炭素原子を有するアルキル基であり、例えば、R および/またはR が、1~18個の炭素原子を有するアルキル基である、[4]または[5]に記載の膜。
[7] フェナントロリン化合物が、4-ウンデシル-1,10-フェナントロリンまたは4,7-ジウンデシル-1,10-フェナントロリンである、[4]から[6]のいずれか一項に記載の膜。
[8] 式IのA基に含まれる酸性基が、カルボン酸、スルホン酸、硫酸モノエステル、スルホンアミド、ホスホン酸、リン酸、ヒ酸、スルフィン酸またはチオカルボン酸からなる群から選択される、[1]から[7]のいずれか一項に記載の膜。
[9] 親油性化合物が、次式
Figure 0007212135000057
の化合物である、[8]に記載の膜。
[10] R 18 、R 19 またはR 20 のうちの1つのみが、[1]に定義されるC 4~18 アルキル基であり、他は、水素、または直鎖C 1~18 アルキル基であり、好ましくは、他は水素である、[1]から[9]のいずれか一項に記載の膜。
[11] R 19 が、[1]に定義されるC 4~18 アルキル基であり、R 18 およびR 20 が、水素である、[1]から[10]のいずれか一項に記載の膜。
[12] 前記C 4~18 アルキル基(複数可)が、少なくとも6個、例えば、少なくとも8個の炭素原子を含む、[1]から[11]のいずれか一項に記載の膜。
[13] 親油性化合物が、親油性塩であり、前記親油性塩が、ヘミカルシウムビス[4-オクチルフェニル]ホスフェート、ヘミマグネシウムビス[4-オクチルフェニル]ホスフェートまたはこれらの混合物である、[1]から[12]のいずれか一項に記載の膜。
[14] 親油性塩が、少なくとも50%のヘミマグネシウムビス[4-オクチルフェニル]ホスフェート、例えば、80%~90%のヘミマグネシウムビス[4-オクチルフェニル]ホスフェートを含有する混合物である、[13]に記載の膜。
[15] イオノフォアと親油性化合物または親油性塩のアニオンとのモル比が、2:1~1:1、例えば、1.8:1~1.2:1のモル比である、[1]から[14]のいずれか一項に記載の膜。
[16] i)スペーサーを介して酸性基に共有結合しているイオノフォアであって、前記スペーサーが少なくとも1個の炭素原子を含む、前記イオノフォア、または
ii)酸性基に共有結合している前記イオノフォアの塩
を含む、マグネシウムイオン選択性膜。
[17] マグネシウムイオン選択性膜を調製する方法であって、[1]から16のいずれか一項に記載の成分を溶媒中で混合するステップと、得られた溶液を所望の支持体上に分配するステップと、前記溶媒を蒸発させるステップとを含む、方法。
[18] 液体試料のマグネシウムイオン濃度を決定するための電極であって、[1]から[16]のいずれか一項に記載の膜を含む、電極。
[19] 液体試料のマグネシウムイオン濃度を決定するための電位差測定センサーであって、[18]に記載の電極および参照電極を含む、電位差測定センサー。
[20] 液体試料のマグネシウムイオン濃度を決定する方法であって、前記試料と[18]に記載の電極または[19]に記載の電位差測定センサーとを接触させるステップと、前記電極または電位差測定センサーから得られる信号に基づき前記マグネシウムイオン濃度を決定するステップとを含む、方法。
[21] 疾患または障害を診断する方法であって、[20]に記載の方法を対象の試料について行うステップを含む、方法。

Claims (19)

  1. a.イオノフォア、および
    b.酸性基を含む親油性化合物であって、式I
    Figure 0007212135000058
    (式中、
    Aは酸性基を含み、
    18、R19およびR20のうちの1つ、2つまたは3つすべては、C4~18アルキル基、C4~18アルケニル基、C4~18アルキニル基またはアミド含有C4~18基であるC4~18基であり、前記C4~18基は、フェニル基から数えて1、2および3位が直鎖であるか、または前記1、2および3位に合計で側鎖を1つのみ有し、
    他のR18、R19およびR20は、独立に、水素または直鎖C1~18アルキル基である)
    の化合物である、親油性化合物、または前記親油性化合物の塩
    を含み、
    イオノフォアが、1,10-フェナントロリンまたはその置換形態であるフェナントロリン化合物である、マグネシウムイオン選択性膜。
  2. イオノフォアが荷電していない、請求項1に記載の膜。
  3. フェナントロリン化合物が、式II
    Figure 0007212135000059
    [式中、
    ~Rは各々、
    H、F、Cl、Br、I、NO、CNもしくはCFのいずれか、
    1~18アルキル、
    1~18アリール、
    1~18アルケニル、
    (CHY(式中、mは0または1~4の整数であり、Yは-OR、-NR、-OCOR、-NRCOR、-COR、-COOR、-SO、-OSiR、-PO、-POのいずれかであり、R、RおよびRは各々、H、アルキル、分岐アルキル、アリールまたは置換アリールのいずれかである)、または
    -R1011(式中、nは0、または1および17を含む1~17の整数であり、R10はC、N、NCOまたはCH-Z-CHであり、ZはO、NH、S、OCOまたはCOのいずれかであり、R11
    Figure 0007212135000060
    であり、R11はR11の3、4、5、6、7または8位のいずれかでR10に結合しており、R12~R17はH、C1~18アルキル、C1~18アリールのいずれかであるか、または除去され、但し、R11がR11の3位でR10に結合している場合、R12が除去され、R11がR11の4位でR10に結合している場合、R13が除去され、R11がR11の5位でR10に結合している場合、R14が除去され、R11がR11の6位でR10に結合している場合、R15が除去され、R11がR11の7位でR10に結合している場合、R16が除去され、R11がR11の8位でR10に結合している場合、R17が除去される)
    のいずれかである、
    但し、R~Rのうちの1つが、H以外であり、かつ1,10-フェナントロリンの2および9位のC原子が各々、縮合環構造に関与しない結合により、Hに結合している]
    の化合物である、請求項1又は2に記載の膜。
  4. ~Rが、合計で少なくとも6個の炭素原子を含む、請求項3に記載の膜。
  5. 、R、R、R、RおよびRのうちの1つまたは複数が、1~18個の炭素原子を有するアルキル基である、請求項3または4に記載の膜。
  6. フェナントロリン化合物が、4-ウンデシル-1,10-フェナントロリンまたは4,7-ジウンデシル-1,10-フェナントロリンである、請求項3から5のいずれか一項に記載の膜。
  7. 式IのA基に含まれる酸性基が、カルボン酸、スルホン酸、硫酸モノエステル、スルホンアミド、ホスホン酸、リン酸、ヒ酸、スルフィン酸またはチオカルボン酸からなる群から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の膜。
  8. 親油性化合物が、次式
    Figure 0007212135000061
    の化合物である、請求項7に記載の膜。
  9. 18、R19またはR20のうちの1つのみが、請求項1に定義されるC4~18アルキル基であり、他は、水素、または直鎖C1~18アルキル基である、請求項1から8のいずれか一項に記載の膜。
  10. 19が、請求項1に定義されるC4~18アルキル基であり、R18およびR20が、水素である、請求項1から9のいずれか一項に記載の膜。
  11. 前記C4~18アルキル基(複数可)が、少なくとも6個の炭素原子を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の膜。
  12. 親油性化合物が、親油性塩であり、前記親油性塩が、ヘミカルシウムビス[4-オクチルフェニル]ホスフェート、ヘミマグネシウムビス[4-オクチルフェニル]ホスフェートまたはこれらの混合物である、請求項1から11のいずれか一項に記載の膜。
  13. 親油性塩が、少なくとも50%のヘミマグネシウムビス[4-オクチルフェニル]ホスフェートを含有する混合物である、請求項12に記載の膜。
  14. イオノフォアと親油性化合物または親油性塩のアニオンとのモル比が、2:1~1:1のモル比である、請求項1から13のいずれか一項に記載の膜。
  15. 請求項1から14のいずれか一項に記載のマグネシウムイオン選択性膜を調製する方法であって、イオノフォア、および酸性基を含む親油性化合物を溶媒中で混合するステップ、ここで、親油性化合物は、式I
    Figure 0007212135000062
    (式中、
    Aは酸性基を含み、
    18、R19およびR20のうちの1つ、2つまたは3つすべては、C4~18アルキル基、C4~18アルケニル基、C4~18アルキニル基またはアミド含有C4~18基であるC4~18基であり、前記C4~18基は、フェニル基から数えて1、2および3位が直鎖であるか、または前記1、2および3位に合計で側鎖を1つのみ有し、
    他のR18、R19およびR20は、独立に、水素または直鎖C1~18アルキル基である)
    の化合物である、親油性化合物、または前記親油性化合物の塩である、と、得られた溶液を所望の支持体上に分配するステップと、前記溶媒を蒸発させるステップとを含み、イオノフォアが、1,10-フェナントロリンまたはその置換形態であるフェナントロリン化合物である、方法。
  16. 液体試料のマグネシウムイオン濃度を決定するための電極であって、請求項1から14のいずれか一項に記載の膜を含む、電極。
  17. 液体試料のマグネシウムイオン濃度を決定するための電位差測定センサーであって、請求項16に記載の電極および参照電極を含む、電位差測定センサー。
  18. 液体試料のマグネシウムイオン濃度を決定する方法であって、前記試料と請求項16に記載の電極または請求項17に記載の電位差測定センサーとを接触させるステップと、前記電極または電位差測定センサーから得られる信号に基づき前記マグネシウムイオン濃度を決定するステップとを含む、方法。
  19. 請求項18に記載の方法であって、液体試料がヒト対象の試料であり、マグネシウムイオン濃度の決定が対象の疾患または障害を診断するために使用される方法。
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