JP7211105B2 - 型内塗装用金型及び型内塗装方法 - Google Patents

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本発明は、型内塗装用金型及び型内塗装方法に関する。
樹脂成形品を金型内で塗装する型内塗装技術が知られている。型内塗装を行うことによって製造工程の短縮化を図ることができる。
型内塗装を実施する場合、まず、射出成形等により樹脂成形体を成形する。次いで、樹脂成形体を型内塗装用金型のキャビティ内に配設し、型閉した後に、キャビティ内に塗料を注入する。このとき低粘度の塗料が型内塗装用金型のキャビティから外部に漏れ出す虞がある。従って、塗料がキャビティから漏出することを防止するための方策を施す必要がある。
特許文献1は、キャビティ回りに補助キャビティ空間を設けるとともに補助キャビティ空間に充填された樹脂を押圧する押圧機構が設けられた型内塗装用金型を提案する。押圧機構により補助キャビティ空間内の樹脂(パーティング面シール部材)が押圧されることにより、塗料の漏出が防止される。
特開2009-220327号公報
(発明が解決しようとする課題)
昨今の製造業界において、金属製の部品を樹脂製の部品に置き換えることによる軽量化が推し進められている。また、置き換える部品に強度、剛性が必要な場合、強化繊維等の強化材が含まれた樹脂成形体(以下、強化樹脂成形体)が用いられる。
強化樹脂成形体を射出成形等により成形する場合、強化材は成形時に樹脂の流動方向に配向する傾向にある。強化樹脂成形体内の強化材が配向性を有する場合、成形後における強化樹脂成形体の収縮量は、強化材の配向方向に小さく、配向方向とは垂直な方向に大きい。こうした収縮異方性によって、強化樹脂成形体は成形後に大きく反り変形を起こす。
反り変形した強化樹脂成形体を型内塗装しようとする場合、型内塗装の際の型合わせ時に強化樹脂成形体自身の強度が高いことによって、変形した反りが十分に矯正されない可能性が高い。このため、強化樹脂成形体の変形によってキャビティ内に生じた隙間を通じて塗料が漏出する虞がある。また、強化樹脂成形体の表面が強化材により毛羽立つ場合があり、この場合、表面の毛羽立ちにより形成される微小隙間から塗料が漏出する虞がある。そのため、特許文献1記載の技術をもってしても、塗料の漏出を十分に抑えることができない。塗料の漏出を十分に抑えることができない場合、成形品の周端からバリが発生する。このように、従来では、強化樹脂成形体を型内塗装することが困難であった。
そこで、本発明は、塗料が漏出されることなく、強化樹脂成形体に型内塗装を行うことができるように構成される型内塗装用金型及び型内塗装方法を提供することを、目的とする。
本発明は、可動側型合わせ面(11)を有し、可動側型合わせ面に可動側パーティング面(12)及び可動側キャビティ壁面(13)が形成されている可動型(10)と、固定側型合わせ面(31)を有し、固定側型合わせ面に固定側パーティング面(32)及び固定側キャビティ壁面(33)が形成されているとともに可動型に型合わせされる固定型(30)と、可動型と固定型が型合わせされたときに可動側キャビティ壁面と固定側キャビティ壁面とにより形成されるキャビティ(C2)内に塗料を注入することができるように、固定型に形成された塗料供給通路(45)と、を備え、塗料供給通路からキャビティ内に注入された塗料がキャビティ内に配されている強化繊維が強化材として含まれた樹脂成形体である強化樹脂成形体(S1)と固定側キャビティ壁面との間に形成されるクリアランス(G)に充填されることにより強化樹脂成形体を型内塗装することができるように構成された型内塗装用金型であって、固定側キャビティ壁面は、その外周端部領域に形成され、外周端縁(33a)に近づくほどクリアランスが狭くなるように形成された徐変形状壁面(53a)を有する、型内塗装用金型を提供する。
本発明によれば、固定型と可動型が型合わせされたときに両型のキャビティ壁面により形成されるキャビティ内に塗料が注入されることにより、キャビティ内に配されている強化樹脂成形体と固定側キャビティ壁面との間に形成されるクリアランスに塗料が充填される。こうしてクリアランスに充填された塗料によって、強化樹脂成形体の表面が塗装される。このとき、固定側キャビティ壁面の徐変形状壁面によって、強化樹脂成形体と固定側キャビティ壁面の外周端部領域との間のクリアランスが、固定側キャビティ壁面の外周端縁に近づくほど、すなわち強化樹脂成形体の周端に向かうにつれて、狭くなるように形成される。このようにキャビティの外周端部領域においてクリアランスが外周端縁に近づくほど狭められていることによって、キャビティからの塗料の漏出が効果的に防止される。よって、キャビティから塗料が漏出することなく、強化樹脂成形体に型内塗装を行うことができる。
この場合、固定型は、強化樹脂成形体の周端部を拘束する複数の矯正ブロック(50)を有するとよい。そして、複数の矯正ブロックによって強化樹脂成形体の全周端部が拘束されるとともに、徐変形状壁面が複数の矯正ブロックに形成されているとよい。この場合、複数の矯正ブロックには、強化樹脂成形体の周端部を拘束するための拘束壁面(53b)が形成されていてもよい。これによれば、複数の矯正ブロックが強化樹脂成形体の全周端部を拘束することによって、強化樹脂成形体の変形が矯正される。このためキャビティ内における強化樹脂成形体と固定側キャビティ壁面との間のクリアランスを適正な大きさに保つことができる。よって、強化樹脂成形体の変形によってクリアランスが必要以上に大きくなることに起因した塗料の漏出が効果的に防止される。また、矯正ブロックに徐変形状壁面を形成することにより、矯正ブロックに強化樹脂成形体の矯正機能及び塗料の漏出防止機能(シール機能)を兼ね備えさせることができる。また、矯正ブロックによって強化樹脂成形体を矯正するため、予め強化樹脂成形体の成形時に変形を見込んで型設計を行うために要する工数及び、金型の修正に要する費用を、大幅に削減することができる。さらに、複数の矯正ブロックに分けて強化樹脂成形体の全周端部を拘束することにより、単一の金型で強化樹脂成形体の全周端部を拘束する場合と比較して、強化樹脂成形体の周端部の全体をより均一に矯正することができる。
さらにこの場合、複数の矯正ブロックは、可動側パーティング面に面当たりするブロック側パーティング面(52)と、キャビティ内に配されている強化樹脂成形体の周端部に所定の隙間(クリアランス)を隔てて対面するブロック側キャビティ壁面(53)とを有し、徐変形状壁面がブロック側キャビティ壁面に形成されているとよい。さらに、ブロック側キャビティ壁面には、徐変形状壁面に加え、徐変形状壁面の外周側に拘束壁面が形成されていてもよい。これによれば、矯正ブロックのブロック側パーティング面と可動側パーティング面とを面当たりさせた状態で強化樹脂成形体を矯正ブロックで可動側キャビティ壁面に押し付けることによって、強化樹脂成形体の周端部を拘束することができる。
また、固定型は、本体型(40)を有するとよい。この場合、固定側キャビティ壁面の外周端部領域が複数の矯正ブロックにより形成され、固定側キャビティ壁面の外周端部領域以外の部分が本体型により形成されるとよい。そして、複数の矯正ブロックが、本体型に対して型合わせ方向に移動可能に本体型に取り付けられているとよい。これによれば、固定型と可動型とを型合わせ(型閉)する前に、矯正ブロックのみを可動側型合わせ面に近づく方向に移動させて、可動側キャビティ壁面に取り付けられている強化樹脂成形体を拘束することにより、強化樹脂成形体の変形を矯正することができる。そして、強化樹脂成形体の変形を矯正ブロックで矯正した後に、可動型と固定型(本体型)とを型合わせすることにより、矯正された状態の強化樹脂成形体をキャビティ内に配することができる。
また、複数の矯正ブロックのそれぞれに、ヒータ(90)が内蔵されているとよい。これによれば、ヒータを作動させて複数の矯正ブロックを加熱することにより、矯正ブロックに形成された徐変形状壁面とキャビティ内の強化樹脂成形体との間のクリアランスに充填された塗料を速やかに硬化させることができる。こうして素早く塗料を硬化させることにより、キャビティ内からの塗料の漏出をより一層防止することができる。
また、本発明は、上記構成の型内塗装用金型を用いた型内塗装方法であって、可動側型合わせ面と固定側型合わせ面が所定の間隔を隔てて対面するように、固定型に対して可動型を移動する移動工程と、複数の矯正ブロックを予め定められた順序で可動側型合わせ面に近づく方向に移動させることにより、複数の矯正ブロックによって、可動側キャビティ壁面に取り付けられている強化樹脂成形体の周端部を拘束する矯正工程と、固定型と可動型とを型合わせする型閉工程と、塗料供給通路からキャビティ内に塗料を注入する塗料注入工程と、を含む、型内塗装方法を提供する。
本発明によれば、固定型と可動型とを型合わせ(型閉)する前に、複数の矯正ブロックを予め定められた順序で移動させて、可動側キャビティ壁面に取り付けられている強化樹脂成形体の周端部を拘束することにより、強化樹脂成形体の変形を矯正することができる。そして、強化樹脂成形体の変形を矯正ブロックで矯正した後に、可動型と固定型とを型合わせして、キャビティ内に塗料を注入することにより、変形が矯正された強化樹脂成形体の表面に型内塗装を実施することができる。
上記矯正工程における複数の矯正ブロックの移動順は、全ての矯正ブロックによって可動側キャビティ壁面に取り付けられている強化樹脂成形体の全周端部を矯正したときに、最も強化樹脂成形体の変形が小さくなるように、予め調査することによって、決定することができる。そして、決定した移動順に従って複数の矯正ブロックを移動させることにより、強化樹脂成形体の変形をより一層矯正することができる。
図1は、本実施形態に係る型内塗装用金型を備える金型装置の概略断面図である。 図2は、二次固定型を二次固定側型合わせ面側から見た概略図である。 図3Aは、矯正ブロックの一つの拡大断面図である。 図3Bは、矯正ブロックの別の一つの拡大断面図である。 図4は、第一可動型移動工程が完了した状態を示す図である。 図5は、第一型閉工程が完了した状態を示す図である。 図6は、射出工程が完了した状態を示す図である。 図7は、第一型開工程が完了した状態を示す図である。 図8は、第二可動型移動工程が完了した状態を示す図である。 図9は、矯正工程にて一つの矯正ブロックの前進移動が完了した状態を示す図である。 図10は、矯正工程にて別の一つの矯正ブロックの前進移動が完了した状態を示す図である。 図11は、第二型閉工程が完了した状態を示す図である。 図12は、図11のA部拡大図である。 図13は、図11のB部拡大図である。 図14は、塗料注入工程が完了した状態を示す図である。 図15は、図14のC部拡大図である。 図16は、第二型開工程が完了した状態を示す図である。 図17は、取り出し工程が完了した状態を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る型内塗装用金型を備える金型装置の概略断面図である。この金型装置は、可動型10と、一次固定型20と、二次固定型30とを備える。可動型10及び二次固定型30により、本発明の型内塗装用金型が構成される。
可動型10は、可動側型合わせ面11を有する。この可動側型合わせ面11に、可動側パーティング面12と可動側キャビティ壁面13が形成される。可動側キャビティ壁面13は、可動側パーティング面12に囲まれるように形成される。一次固定型20は、一次固定側型合わせ面21を有する。この一次固定側型合わせ面21に、一次固定側パーティング面22と一次固定側キャビティ壁面23が形成される。一次固定側キャビティ壁面23は一次固定側パーティング面22に囲まれるように形成される。二次固定型30は、二次固定側型合わせ面31を有する。この二次固定側型合わせ面31に、二次固定側パーティング面32と二次固定側キャビティ壁面33が形成される。二次固定側キャビティ壁面33は二次固定側パーティング面32に囲まれるように形成される。従って、二次固定側キャビティ壁面33は、二次固定側パーティング面32との境界を構成する外周端縁33aを有し、この外周端縁33aに囲まれた領域が、二次固定側キャビティ壁面33によって形成される。また、二次固定側キャビティ壁面33のうち外周端縁33a近傍の周回状の領域が、二次固定側キャビティ壁面33の外周端部領域である。二次固定側パーティング面32が本発明の固定側パーティング面に相当し、二次固定側キャビティ壁面33が本発明の固定側キャビティ壁面に相当する。
可動型10は、図略の駆動機構によって、可動側型合わせ面11が一次固定型20の一次固定側型合わせ面21に対面する位置と、可動側型合わせ面11が二次固定型30の二次固定側型合わせ面31に対面する位置との間を移動することができるように、すなわち図1のX1方向及びX2方向に移動可能に構成される。また、可動型10は、可動側型合わせ面11が一次固定型20の一次固定側型合わせ面21に対面した状態で、両型合わせ面11,21が接近する第一型閉方向(図1のY1方向)及び離間する第一型開方向(図1のY2方向)に移動することができるように構成される。さらに、可動型10は、可動側型合わせ面11が二次固定型30の二次固定側型合わせ面31に対面した状態で、両型合わせ面11,31が接近する第二型閉方向(図1のZ1方向)及び離間する第二型開方向(図1のZ2方向)に移動することができるように構成される。
一次固定型20には、溶融樹脂供給通路25が形成される。溶融樹脂供給通路25は、スプルー、ランナー、ゲートにより構成されており、一方端(ゲート側の端)が一次固定側キャビティ壁面23に開口し、他方端(スプルー側の端)が一次固定側型合わせ面21とは反対側の外面24に開口する。この溶融樹脂供給通路25には、その他方端側から一方端側にかけて、図略の射出成型装置が備える射出シリンダのノズルから射出される溶融樹脂が流れる。また、溶融樹脂供給通路25の周回りにヒータ26が装着されていて、ヒータ26によって溶融樹脂供給通路25内を流れる溶融樹脂が凝固しないように加熱される。つまり、溶融樹脂供給通路25がホットランナを備える通路として構成される。
二次固定型30は、本体型40と、複数の矯正ブロック50とを備える。本体型40は、本体側パーティング面42と本体側キャビティ壁面43とを有する。本体側パーティング面42は二次固定側パーティング面32の大部分を構成し、本体側キャビティ壁面43は二次固定側キャビティ壁面33の大部分を構成する。また、複数の矯正ブロック50は、本体側パーティング面42と本体側キャビティ壁面43との間の部分に配設される。このため本体側パーティング面42と本体側キャビティ壁面43との境界部分には、矯正ブロック50を配設するために切欠き壁面47が形成されており、この切欠き壁面47に囲まれた切欠き空間に矯正ブロック50が配設される。この矯正ブロック50には、ブロック側パーティング面52とブロック側キャビティ壁面53が形成される。本体側パーティング面42とブロック側パーティング面52とによって、二次固定型30の二次固定側パーティング面32が形成され、本体側キャビティ壁面43とブロック側キャビティ壁面53とによって、二次固定型30の二次固定側キャビティ壁面33が構成される。
図1には、2個の矯正ブロック50(50a,50b)が示される。矯正ブロック50(50a,50b)のブロック側パーティング面52は、二次固定側パーティング面32の内周端部領域を構成する。また、矯正ブロック50のブロック側キャビティ壁面53は、二次固定側キャビティ壁面33の外周端部領域を構成する。言い換えれば、二次固定側キャビティ壁面33の外周端部領域は矯正ブロック50のブロック側キャビティ壁面53により構成される。そして、ブロック側パーティング面52とブロック側キャビティ壁面53との境界によって、二次固定側キャビティ壁面33の外周端縁33aが形成される。また、本体側パーティング面42は二次固定側パーティング面32の内周端部領域以外の部分を構成し、本体側キャビティ壁面43は二次固定側キャビティ壁面33の外周端部領域以外の部分を構成する。
図2は、二次固定型30を二次固定側型合わせ面31側から見た概略図である。図2に示すように、複数の矯正ブロック50は、二次固定側キャビティ壁面33の外周端縁33aに沿って配列している。従って、二次固定側キャビティ壁面33の外周端縁33aは、複数の矯正ブロック50によって形成される。
図1に示すように、二次固定型30の本体型40に、複数の連通路46が形成される。複数の連通路46は、複数の矯正ブロック50に対応して設けられており、その個数は複数の矯正ブロック50の個数と同じである。連通路46は、その一端にて二次固定型30の表面のうち二次固定側型合わせ面31とは反対側の外面34に開口し、その開口から二次固定側型合わせ面31に向かう方向に沿って延設される。この連通路46の他端は、矯正ブロック50を配設するために本体型40に形成された切り欠き壁面47に囲まれた切欠き空間に開口する。
各連通路46に、連結ロッド54が挿通される。連結ロッド54の一方端に、複数の矯正ブロック50の一つが接続される。連結ロッド54の他方端側は二次固定型30の外部に突出しており、その突出端に駆動機構としてのアクチュエータ70が接続される。アクチュエータ70の駆動によって、連結ロッド54が軸方向に移動する。これにより、矯正ブロック50は、図1のZ2方向により表される前進方向への移動(前進移動)及びZ1方向により表される後退方向への移動(後退移動)が可能にされる。アクチュエータ70は、油圧駆動機構(油圧アクチュエータ)であっても良いし、電動駆動機構(電動アクチュエータ)であってもよい。
アクチュエータ70は、駆動制御装置80に電気的に接続される。駆動制御装置80は、アクチュエータ70の動作を制御して、矯正ブロック50の前進移動及び後退移動を制御する。
また、本体型40に塗料供給通路45が形成される。塗料供給通路45の一方端は、本体側キャビティ壁面43に開口する。塗料供給通路45の他方端は、本体型40に埋め込まれた塗料供給装置60に接続される。塗料供給装置60には熱硬化性樹脂を含む塗料が内部に充填されている。塗料供給装置60が作動すると、内部に充填された塗料が塗料供給通路45に吐出される。
図3Aは、図1に示す矯正ブロック50aの拡大断面図である。また、図3Bは、図1に示す矯正ブロック50bの拡大断面図である。図3A及び図3Bに示すように、矯正ブロック50(50a,50b)には、凹部55が形成されている。この凹部55内に、ヒータ90が配設される。つまり、ヒータ90が矯正ブロック50(50a,50b)に内蔵される。ヒータ90が作動することで、矯正ブロック50(50a,50b)が加熱される。このようなヒータ90が、全ての矯正ブロック50に内蔵されている。ヒータ90による矯正ブロック50の加熱温度は、例えば90℃~120℃である。
また、図3A及び図3Bに示すように、矯正ブロック50(50a,50b)に形成されたブロック側キャビティ壁面53に、徐変形状壁面53a及び拘束壁面53bが形成される。拘束壁面53bは、ブロック側キャビティ壁面53により構成される二次固定側キャビティ壁面33の外周端部領域のうち外周端縁33aから内方(図3A及び図3Bにおいて右方)に向かって形成される。徐変形状壁面53aは、ブロック側キャビティ壁面53により構成される二次固定側キャビティ壁面33の外周端部領域のうち拘束壁面53bの内方端から内方に向かって形成される。図2には、複数の矯正ブロック50の徐変形状壁面53a及び拘束壁面53bが示される。図2に示すように、二次固定側キャビティ壁面33の外周端部領域の最外周領域(すなわち二次固定側キャビティ壁面33の外周端部領域のうち外周端縁33aに隣接する周回状の領域)が、複数の矯正ブロック50の拘束壁面53bにより形成される。また、二次固定側キャビティ壁面33の外周端部領域のうち上記最外周領域の内周に隣接した周回状の領域が、複数の矯正ブロック50の徐変形状壁面53aにより形成される。
上記の構成の金型装置を用いて、樹脂成形工程及び型内塗装工程が実施されることにより、被塗装面が塗装された樹脂成形体が製造される。樹脂成形工程にて塗装前の樹脂成形体が成形され、型内塗装工程にて樹脂成形体の被塗装面が塗装される。以下、これらの工程について説明する。
樹脂成形工程は、第一可動型移動工程、第一型閉工程、射出工程、保圧・冷却工程、第一型開工程を含む。
図4は、第一可動型移動工程が完了した状態を示す図である。図4に示すように、第一可動型移動工程では、可動型10の可動側型合わせ面11が一次固定型20の一次固定側型合わせ面21に対面するように、可動型10を移動させる。
第一可動型移動工程が完了した後に、第一型閉工程が実施される。図5は、第一型閉工程が完了した状態を示す図である。第一型閉工程では、可動型10が図4に示す位置から第一型閉方向(図4のY1方向)に移動する。これにより可動型10の可動側パーティング面12が一次固定型20の一次固定側パーティング面22に接近していき、やがてこれらのパーティング面12,22が面合わせされる。これにより、可動型10と一次固定型20が型合わせされて、第一型閉工程が完了する。このとき、可動型10の可動側キャビティ壁面13と一次固定型20の一次固定側キャビティ壁面23とによって囲まれた空間により、一次キャビティC1が形成される。
第一型閉工程が完了した後に、射出工程が実施される。図6は、射出工程が完了した状態を示す図である。射出工程では、図略の射出成形装置を作動させる。これにより、図6に示すように、溶融樹脂供給通路25内に溶融樹脂が供給される。溶融樹脂供給通路25内に供給された溶融樹脂は、溶融樹脂供給通路25から一次キャビティC1に射出される。ここで、本実施形態においては、一次キャビティC1に射出される溶融樹脂は、ガラス繊維や炭素繊維等の強化繊維が含有された樹脂により構成される。一次キャビティC1に射出された溶融樹脂は一次キャビティC1に充填される。
射出工程の完了後、保圧・冷却工程が実施される。保圧・冷却工程では、一次キャビティC1に充填された溶融樹脂に所定の圧力をかけるとともに可動型10及び一次固定型20により溶融樹脂を冷却する。これにより溶融樹脂が凝固して、強化繊維が含有された強化樹脂成形体が成形される。
保圧・冷却工程の完了後、第一型開工程が実施される。図7は、第一型開工程が完了した状態を示す図である。図7に示すように、第一型開工程では、可動型10を、第一型開方向(図1のY2方向)に移動させる。これにより、可動型10の可動側パーティング面12が一次固定型20の一次固定側パーティング面22から離間するとともに遠ざかる方向に移動する。また、成形された強化樹脂成形体S1は、可動型10の可動側キャビティ壁面13に張り付いた状態を維持する。従って、可動型10の第一型開方向への移動に伴い、強化樹脂成形体S1は一次固定型20から離型される。
上記のようにして樹脂成形工程が実施されることによって強化樹脂成形体S1が成形された後に、型内塗装工程が実施される。型内塗装工程は、第二可動型移動工程、矯正工程、第二型閉工程、塗料注入工程、硬化工程、第二型開工程、及び取り出し工程を含む。
図8は、第二可動型移動工程が完了した状態を示す図である。図8に示すように、第二可動型移動工程では、可動型10の可動側型合わせ面11が二次固定型30の二次固定側型合わせ面31に所定の間隔を隔てて対面するように、二次固定型30に対して可動型10を図1のX2方向に移動させる。この第二可動型移動工程が、本発明の移動工程に相当する。
なお、樹脂成形工程の完了から第二可動型移動工程が完了するまでの間、強化樹脂成形体S1が成形収縮する。ここで、強化樹脂成形体S1内には強化繊維が含まれており、この強化繊維は、射出工程にて一次キャビティC1に溶融樹脂が射出されたときに、溶融樹脂の流動方向に配向する。また、成形収縮時における収縮量は、強化繊維の配向方向に小さく、強化繊維の配向方向に垂直な方向に大きい。このような収縮異方性によって、成形収縮時に強化樹脂成形体S1に反りが発生する。この反りは、強化樹脂成形体S1の周端部分に大きく表れる。図8では、破線の囲み円P1で示される強化樹脂成形体S1の上端部分に反り変形している変形部D1が形成された状態が示される。変形部D1は、図8に示すように可動側キャビティ壁面13から浮き上がっている。
また、第二可動型移動工程が完了した時点では、可動型10に対面する二次固定型30の矯正ブロック50は、図8に示すように、本体型40の切欠き壁面47に囲まれた切欠き空間に位置している。この位置を、矯正ブロック50の基準位置と定義する。矯正ブロック50が基準位置にあるとき、矯正ブロック50のブロック側パーティング面52と本体型40の本体側パーティング面42は面一状態にされる。また、第二可動型移動工程が完了した場合、基準位置にある矯正ブロック50は、前進移動することにより、図8のZ2方向により表される可動側型合わせ面11に近づく方向、すなわち型合わせ方向に移動可能である。
第二可動型移動工程が完了した後に、矯正工程が実施される。矯正工程では、複数の矯正ブロック50がアクチュエータ70の駆動によって、図8に示す基準位置から可動型10の可動側型合わせ面11に近づく方向(型合わせ方向)に前進移動する。矯正ブロック50が基準位置から前進移動すると、矯正ブロック50が可動型10の可動側型合わせ面11に近づいていき、やがて、矯正ブロック50のブロック側パーティング面52が、可動型10の可動側パーティング面12に面当たりする。両パーティング面52,12が面当たりした時点で、矯正ブロック50の前進移動が停止する。これにより、矯正ブロック50の前進移動が完了する。
図9は、矯正工程にて一つの矯正ブロック50aの前進移動が完了した状態を示す図である。図8に示すように、矯正ブロック50aの前進移動先には強化樹脂成形体S1の上端部に形成された変形部D1が位置している。従って、矯正ブロック50aが前進移動していくと、矯正ブロック50aが強化樹脂成形体S1の変形部D1に接触する。変形部D1に接触した状態でさらに矯正ブロック50aが前進移動することにより、変形部D1が矯正ブロック50aから押圧力を受ける。これにより変形部D1の変形が矯正されていく。そして、矯正ブロック50aの前進移動が完了した時点では、図9に示すように変形部D1が矯正ブロック50aに拘束される。すなわち矯正ブロック50aによって変形部D1が可動側キャビティ壁面13に押し付けられた状態でその動きが拘束される。これにより、変形部D1が元の形状(成形時の形状)に矯正されて、可動側キャビティ壁面13に接触する。
また、図9に示すように、矯正ブロック50aの前進移動が完了して、変形部D1の変形が矯正された場合、変形部D1が矯正されたことに起因して、強化樹脂成形体S1の別の周端部分に歪が生じる。このため強化樹脂成形体S1の別の周端部分が変形する。図9においては、強化樹脂成形体S1の下端部に歪が生じることによって、可動側キャビティ壁面13から浮き上がるように変形した変形部D2が強化樹脂成形体S1の下端部に形成される。従って、次には、上記のようにして新たに変形した変形部D2を矯正するために、変形部D2を矯正することができる矯正ブロック50bが前進移動する。
図10は、矯正工程にて別の一つの矯正ブロック50bの前進移動が完了した状態を示す図である。図9に示すように、矯正ブロック50bの前進移動先には、強化樹脂成形体S1の下端部に形成された変形部D2が位置している。従って、矯正ブロック50bが前進移動していくと、矯正ブロック50bが強化樹脂成形体S1の変形部D2に接触する。変形部D2に接触した状態でさらに矯正ブロック50bが前進移動することにより、変形部D2が矯正ブロック50bから押圧力を受ける。これにより変形部D2の変形が矯正されていく。そして、矯正ブロック50bの前進移動が完了した時点では、図10に示すように変形部D2が矯正ブロック50bに拘束される。すなわち矯正ブロック50bによって変形部D2が可動側キャビティ壁面13に押し付けられた状態でその動きが拘束される。これにより、変形部D2が元の形状(成形時の形状)に矯正されて、可動側キャビティ壁面13に接触する。
このように、ある矯正ブロック50によって強化樹脂成形体S1の周端部の一部を拘束し、それにより新たに変形する周端部を順次別の矯正ブロック50によって拘束することにより、全ての矯正ブロック50の前進移動が完了した時点では可動型キャビティ壁面12に取り付けられている強化樹脂成形体S1の全周端部が矯正ブロック50によって拘束されて、強化樹脂成形体S1の変形が全体的に矯正される。こうして強化樹脂成形体S1の変形を全体的に矯正することができるような矯正ブロック50の移動順は、全ての矯正ブロック50によって可動側キャビティ壁面13に取り付けられている強化樹脂成形体S1の全周端部を拘束してその変形を矯正したときに最も強化樹脂成形体S1の変形が小さくなるように、予め実験等により調査することができる。そして、調査の結果得られた移動順を駆動制御装置80に記憶させることにより、複数の矯正ブロック50が所定の移動順に従って前進移動して、強化樹脂成形体S1の変形を矯正することができる。
矯正工程が完了した後に、第二型閉工程が実施される。第二型閉工程では、複数の矯正ブロック50によって強化樹脂成形体S1の全周端部が拘束された状態を維持しながら、可動型10が二次固定型30に近づく第二型閉方向(図1のZ1方向)に移動する。これにより可動型10の可動側パーティング面12と二次固定型30の二次固定側パーティング面32が面当たりして、可動型10と二次固定型30が型合わせされる。この第二型閉工程の実施中、可動型10の移動速度と同じ速度で各矯正ブロック50が後退移動するように、各矯正ブロック50に接続されたアクチュエータ70の動作が制御される。そして、可動型10と二次固定型30が型合わせされた時点で、各矯正ブロック50が基準位置に戻る。第二型閉工程が、本発明の型閉工程に相当する。
図11は、第二型閉工程が完了した状態を示す図である。第二型閉工程が完了した場合、図11に示すように、可動側キャビティ壁面13と二次固定側キャビティ壁面33とに囲まれた空間によって、二次キャビティC2が形成される。二次キャビティC2が、本発明のキャビティに相当する。この二次キャビティC2内に、可動側キャビティ壁面13に取り付けられている強化樹脂成形体S1が配設されることになる。また、二次キャビティC2に配されている強化樹脂成形体S1の外表面(可動側キャビティ壁面13に接している面とは反対側の面)と、二次キャビティC2を構成する二次固定側キャビティ壁面33との間に微小幅のクリアランスGが形成される。
図12は、図11のA部拡大図であり、図13は、図11のB部拡大図である。図12及び図13に示すように、矯正ブロック50(50a,50b)のブロック側パーティング面52が可動側パーティング面12に面当たりしているとき、矯正ブロック50(50a,50b)のブロック側キャビティ壁面53に形成されている拘束壁面53bが強化樹脂成形体S1の表面の周端部に接触している。斯かる接触によって、強化樹脂成形体S1の周端部が矯正ブロック50に拘束される。拘束壁面53bは、複数の矯正ブロック50のブロック側キャビティ壁面53の全てに形成されている。従って、複数の矯正ブロック50によってその全周端部が拘束されるとともにその形状が矯正される。なお、このような強化樹脂成形体S1の矯正は、第二型閉工程の実施前に、上記した矯正工程の実施により完了している。
また、矯正ブロック50(50a,50b)のブロック側キャビティ壁面53のうち拘束壁面53bの内方に形成されている徐変形状壁面53aは、二次キャビティC2内に配されている強化樹脂成形体S1の表面と所定のクリアランス(G1,G2)を隔てて対面している。このクリアランス(G1,G2)の寸法(具体的には強化樹脂成形体S1の表面の法線方向におけるクリアランス(G1,G2)の長さ)は、ブロック側キャビティ壁面53の外方端に近づくほど小さくされている。また、ブロック側キャビティ壁面53の外方端は、二次固定側キャビティ壁面33の外周端縁33aである。つまり、クリアランス(G1,G2)は、二次固定側キャビティ壁面33の外周端縁33aに近づくほど狭くされている。換言すれば、矯正ブロック50(50a,50b)のブロック側キャビティ壁面53の徐変形状壁面53aは、クリアランス(G1,G2)が二次固定側キャビティ壁面33の外周端縁33aに近づくほど狭くなるように、形成される。さらに言い換えれば、二次固定側キャビティ壁面33の外周端部領域を構成するブロック側キャビティ壁面53は、二次固定側キャビティ壁面33の外周端縁33aに近づくほどクリアランス(G1,G2)が狭くなるように形成された徐変形状壁面53aを有する。このような構成の徐変形状壁面53aは、複数の矯正ブロック50のブロック側キャビティ壁面53の全てに形成されている。従って、クリアランスGは、強化樹脂成形体S1の全周に亘って、周端縁に向かうほど小さくされていることになる。
第二型閉工程が完了した後に、塗料注入工程が実施される。塗料注入工程では、塗料供給装置60から熱硬化性樹脂を含有した塗料Rが塗料供給通路45を経由して二次キャビティC2内に注入される。図14は、塗料注入工程が完了した状態を示す図である。図14に示すように、二次キャビティC2内に注入された塗料Rは、二次固定側キャビティ壁面33と強化樹脂成形体S1の外表面との間に形成されるクリアランスGに充填される。これにより、強化樹脂成形体S1の外表面(被塗装面)に塗料Rが塗布される。
図15は、図14のC部拡大図である。図15に示すように、塗料Rは、ブロック側キャビティ壁面53の徐変形状壁面53aと強化樹脂成形体S1の外表面との間のクリアランスにも充填される。ここで、上記したように、矯正ブロック50(50a)のブロック側キャビティ壁面53の徐変形状壁面53aは、クリアランスが二次固定側キャビティ壁面33の外周端縁33aに近づくほど狭くなるように形成されているために、塗料Rが強化樹脂成形体S1の外表面の周端に向かうほど、塗料Rの通過断面積が減少する。このため強化樹脂成形体S1の周端部における塗料Rの通過断面積が極めて微小になり、その結果、塗料Rが二次キャビティC2から漏出することが効果的に防止される。加えて、矯正ブロック50(50a)内にはヒータ90が内蔵されており、このヒータ90が作動することで塗料注入工程の実施時には矯正ブロック50が例えば90℃乃至120℃に加熱されている。このため、ブロック側キャビティ壁面53の徐変形状壁面53aと強化樹脂成形体S1との間の狭いクリアランスに充填された熱硬化性樹脂を含む塗料は矯正ブロック50の熱により瞬時に加熱硬化する。このため、塗料の漏出がより効果的に防止される。
上記したように、徐変形状壁面53aは、全ての矯正ブロック50のブロック側キャビティ壁面53に形成されている。また、全ての矯正ブロック50に形成されている拘束壁面53bによって、強化樹脂成形体S1の全周端部が拘束されている。従って、二次キャビティC2内に形成されるクリアランスは、強化樹脂成形体S1の全周に亘ってその周端に近づくほど狭くされている。つまり、全ての矯正ブロック50の徐変形状壁面53aによって、強化樹脂成形体S1の全周に亘り塗料Rの漏出を防止するためのシール構造が形成されている。このため、強化樹脂成形体S1の全周に亘って、二次キャビティC2からの塗料の漏出が防止される。
塗料注入工程が完了した後に、硬化工程が実施される。この硬化工程では、二次キャビティC2のクリアランスGに充填された塗料Rが、本体型40の熱により硬化する。なお、強化樹脂成形体S1と矯正ブロック50のブロック側キャビティ壁面53(徐変形状壁面53a)との間のクリアランスに充填された塗料Rは、上記したように既に硬化している。この硬化工程にて塗料が硬化されることにより、強化樹脂成形体S1の外表面(被塗装面)が塗装される。
硬化工程が完了した後に、第二型開工程が実施される。第二型開工程では、可動型10が二次固定型30から離間される。図16は、第二型開工程が完了した状態を示す図である。図16に示すように、第二型開工程にて可動型10が第二型開方向(図1のZ2方向)に移動して二次固定型30から離れると、外表面(被塗装面)が塗装された強化樹脂成形体S2が、可動側キャビティ壁面13に張り付いたまま、可動型10とともに移動する。これにより、強化樹脂成形体S2が、二次固定型30から離型される。
第二型開工程が完了した後に、取り出し工程が実施される。図17は、取り出し工程が完了した状態が示された図である。図17に示すように、取り出し工程が実施されると、可動側キャビティ壁面13から図略のイジェクトピンが突出することにより、強化樹脂成形体S2が可動型10から離型する。これにより、強化樹脂成形体S2が取り出される。
以上のように、本実施形態に係る型内塗装用金型は、可動型10及び二次固定型30を備える。可動型10は、可動側型合わせ面11を有し、可動側型合わせ面11に可動側パーティング面12及び可動側キャビティ壁面13が形成されている。二次固定型30は、二次固定側型合わせ面31を有し、二次固定側型合わせ面31に二次固定側パーティング面32及び二次固定側キャビティ壁面33が形成されているとともに、可動型10に型合わせされる。また、二次固定型30に塗料供給通路45が形成される。塗料供給通路45は、可動型10と二次固定型30が型合わせされたときに可動側キャビティ壁面13と二次固定側キャビティ壁面33とにより形成される二次キャビティC2内に塗料Rを注入することができるように構成される。そして、塗料供給通路45から二次キャビティC2内に注入された塗料Rが二次キャビティC2内に配されている強化樹脂成形体S1と固定側キャビティ壁面33との間に形成されるクリアランスGに充填されて、強化樹脂成形体S1の外表面に塗布されることにより、強化樹脂成形体S1を型内塗装することができる。
また、二次固定型30の二次固定側キャビティ壁面33の外周端部領域を構成する矯正ブロック50のブロック側キャビティ壁面53に、徐変形状壁面53aが形成される。この徐変形状壁面53aは、二次キャビティC2内に配されている強化樹脂成形体S1との間のクリアランスGがブロック側キャビティ壁面53の外方端(すなわち二次固定側キャビティ壁面33の外周端縁33a)に近づくほど狭くなるように形成される。このためクリアランスGに充填される塗料がブロック側キャビティ壁面53の外方端(二次固定側キャビティ壁面33の外周端縁33a)から二次キャビティC2の外部に漏出することを効果的に防止することができる。
また、二次固定型30は、強化樹脂成形体S1の周端部を拘束する複数の矯正ブロック50を有する。そして、複数の矯正ブロック50(具体的には矯正ブロック50のブロック側キャビティ壁面53に形成された拘束壁面53b)によって強化樹脂成形体S1の全周端部が拘束されるとともに、徐変形状壁面53aが複数の矯正ブロック50に形成されている。このため、矯正ブロック50によって、強化樹脂成形体S1の変形を矯正することができるとともに、二次キャビティC2内にて強化樹脂成形体S1と二次固定側キャビティ壁面33との間のクリアランスGを適正な大きさに保つことができる。よって、強化樹脂成形体S1の変形によってクリアランスGが必要以上に大きくなることに起因した塗料Rの漏出が効果的に防止される。また、矯正ブロック50のブロック側キャビティ壁面53に徐変形状壁面53aを形成することにより、矯正ブロック50に強化樹脂成形体S1の矯正機能及び塗料Rの漏出防止機能(シール機能)を兼ね備えさせることができる。また、複数の矯正ブロック50に分けて強化樹脂成形体S1の全周端部を拘束することにより、単一の金型で強化樹脂成形体の全周端部を拘束する場合と比較して、強化樹脂成形体S1の周端部の全体をより均一に矯正することができる。
また、二次固定型30は、本体型40を有する。また、二次固定側パーティング面32の内周端部領域及び二次固定側キャビティ壁面33の外周端部領域が複数の矯正ブロック50のブロック側パーティング面52及びブロック側キャビティ壁面53により形成され、二次固定側パーティング面32の内周端部領域以外の部分及び二次固定側キャビティ壁面33の外周端部領域以外の部分が本体型40の本体側パーティング面42及び本体側キャビティ壁面43により形成される。そして、複数の矯正ブロック50が、本体型40に対して型合わせ方向(前進方向)に移動可能に本体型40に取り付けられている。このように構成することにより、二次固定型30と可動型10とを型合わせ(型閉)する前に、矯正ブロック50のみを前進移動させて、可動側キャビティ壁面13に取り付けられている強化樹脂成形体S1の変形を矯正することができる。そして、強化樹脂成形体S1の変形を矯正ブロック50で矯正した後に、可動型10と二次固定型30とを型合わせすることにより、変形が矯正された強化樹脂成形体S1の外表面に型内塗装を実施することができる。
また、複数の矯正ブロック50のそれぞれに、ヒータ90が内蔵されている。このため、ヒータ90を作動させて複数の矯正ブロック50を加熱することにより、矯正ブロック50に形成された徐変形状壁面53aと二次キャビティC2内の強化樹脂成形体S1との間のクリアランスに充填された塗料Rを速やかに硬化させることができる。これにより、二次キャビティC2内からの塗料Rの漏出をより一層防止することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定して解釈されてはならないものである。本発明は、その技術思想またはその主要な特徴を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。
10…可動型、11…可動側型合わせ面、12…可動側パーティング面、13…可動側キャビティ壁面、20…一次固定型、21…一次固定側型合わせ面、22…一次固定側パーティング面、23…一次固定側キャビティ壁面、25…溶融樹脂供給通路、30…二次固定型(固定型)、31…二次固定側型合わせ面(固定側型合わせ面)、32…二次固定側パーティング面(固定側パーティング面)、33…二次固定側キャビティ壁面(固定側キャビティ壁面)、33a…外周端縁、40…本体型、42…本体側パーティング面、43…本体側キャビティ壁面、45…塗料供給通路、46…連通路、50,50a,50b…矯正ブロック、52…ブロック側パーティング面、53…ブロック側キャビティ壁面、53a…徐変形状壁面、53b…拘束壁面、54…連結ロッド、60…塗料供給装置、70…アクチュエータ、80…駆動制御装置、90…ヒータ、C1…一次キャビティ、C2…二次キャビティ、G、G1,G2…クリアランス、R…塗料、S1,S2…強化樹脂成形体

Claims (5)

  1. 可動側型合わせ面を有し、前記可動側型合わせ面に可動側パーティング面及び可動側キャビティ壁面が形成されている可動型と、
    固定側型合わせ面を有し、前記固定側型合わせ面に固定側パーティング面及び固定側キャビティ壁面が形成されているとともに前記可動型に型合わせされる固定型と、
    前記可動型と前記固定型が型合わせされたときに前記可動側キャビティ壁面と前記固定側キャビティ壁面とにより形成されるキャビティ内に塗料を注入することができるように、前記固定型に形成された塗料供給通路と、
    を備え、前記塗料供給通路から前記キャビティ内に注入された塗料が前記キャビティ内に配されている強化繊維が強化材として含まれた樹脂成形体である強化樹脂成形体と前記固定側キャビティ壁面との間に形成されるクリアランスに充填されることにより前記強化樹脂成形体を型内塗装することができるように構成された型内塗装用金型であって、
    前記固定側キャビティ壁面は、その外周端部領域に形成され、外周端縁に近づくほど前記クリアランスが狭くなるように形成された徐変形状壁面を有する、型内塗装用金型。
  2. 請求項1に記載の型内塗装用金型において、
    前記固定型は、前記強化樹脂成形体の周端部を拘束する複数の矯正ブロックを有し、
    複数の前記矯正ブロックによって前記強化樹脂成形体の全周端部が拘束されるとともに、前記徐変形状壁面が複数の前記矯正ブロックに形成されている、型内塗装用金型。
  3. 請求項2に記載の型内塗装用金型において、
    前記固定型は、本体型を有し、
    前記固定側キャビティ壁面の外周端部領域が複数の前記矯正ブロックにより形成され、
    前記固定側キャビティ壁面の外周端部領域以外の部分が前記本体型により形成され、
    複数の前記矯正ブロックが、前記本体型に対して型合わせ方向に移動可能に前記本体型に取り付けられている、型内塗装用金型。
  4. 請求項2又は3に記載の型内塗装用金型において、
    複数の前記矯正ブロックのそれぞれに、ヒータが内蔵されている、型内塗装用金型。
  5. 請求項3に記載の型内塗装用金型を用いた型内塗装方法であって、
    前記可動側型合わせ面と前記固定側型合わせ面が所定の間隔を隔てて対面するように、前記固定型に対して前記可動型を移動する移動工程と、
    複数の前記矯正ブロックを予め定められた順序で前記可動側型合わせ面に近づく方向に移動させることにより、複数の前記矯正ブロックによって、前記可動側キャビティ壁面に取り付けられている強化樹脂成形体の周端部を拘束する矯正工程と、
    前記固定型と前記可動型とを型合わせする型閉工程と、
    前記塗料供給通路から前記キャビティ内に塗料を注入する塗料注入工程と、
    を含む、型内塗装方法。
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