JP7209877B2 - 角度検出装置 - Google Patents

角度検出装置 Download PDF

Info

Publication number
JP7209877B2
JP7209877B2 JP2021575179A JP2021575179A JP7209877B2 JP 7209877 B2 JP7209877 B2 JP 7209877B2 JP 2021575179 A JP2021575179 A JP 2021575179A JP 2021575179 A JP2021575179 A JP 2021575179A JP 7209877 B2 JP7209877 B2 JP 7209877B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
angle
order component
reduction processing
output signals
period
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2021575179A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2021157000A1 (ja
Inventor
辰也 森
紘子 池田
俊宏 松永
憲司 池田
建太 久保
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Publication of JPWO2021157000A1 publication Critical patent/JPWO2021157000A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7209877B2 publication Critical patent/JP7209877B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01DMEASURING NOT SPECIALLY ADAPTED FOR A SPECIFIC VARIABLE; ARRANGEMENTS FOR MEASURING TWO OR MORE VARIABLES NOT COVERED IN A SINGLE OTHER SUBCLASS; TARIFF METERING APPARATUS; MEASURING OR TESTING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • G01D5/00Mechanical means for transferring the output of a sensing member; Means for converting the output of a sensing member to another variable where the form or nature of the sensing member does not constrain the means for converting; Transducers not specially adapted for a specific variable
    • G01D5/12Mechanical means for transferring the output of a sensing member; Means for converting the output of a sensing member to another variable where the form or nature of the sensing member does not constrain the means for converting; Transducers not specially adapted for a specific variable using electric or magnetic means
    • G01D5/244Mechanical means for transferring the output of a sensing member; Means for converting the output of a sensing member to another variable where the form or nature of the sensing member does not constrain the means for converting; Transducers not specially adapted for a specific variable using electric or magnetic means influencing characteristics of pulses or pulse trains; generating pulses or pulse trains
    • G01D5/24471Error correction
    • G01D5/24476Signal processing
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01DMEASURING NOT SPECIALLY ADAPTED FOR A SPECIFIC VARIABLE; ARRANGEMENTS FOR MEASURING TWO OR MORE VARIABLES NOT COVERED IN A SINGLE OTHER SUBCLASS; TARIFF METERING APPARATUS; MEASURING OR TESTING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • G01D5/00Mechanical means for transferring the output of a sensing member; Means for converting the output of a sensing member to another variable where the form or nature of the sensing member does not constrain the means for converting; Transducers not specially adapted for a specific variable
    • G01D5/12Mechanical means for transferring the output of a sensing member; Means for converting the output of a sensing member to another variable where the form or nature of the sensing member does not constrain the means for converting; Transducers not specially adapted for a specific variable using electric or magnetic means
    • G01D5/14Mechanical means for transferring the output of a sensing member; Means for converting the output of a sensing member to another variable where the form or nature of the sensing member does not constrain the means for converting; Transducers not specially adapted for a specific variable using electric or magnetic means influencing the magnitude of a current or voltage
    • G01D5/20Mechanical means for transferring the output of a sensing member; Means for converting the output of a sensing member to another variable where the form or nature of the sensing member does not constrain the means for converting; Transducers not specially adapted for a specific variable using electric or magnetic means influencing the magnitude of a current or voltage by varying inductance, e.g. by a movable armature
    • G01D5/204Mechanical means for transferring the output of a sensing member; Means for converting the output of a sensing member to another variable where the form or nature of the sensing member does not constrain the means for converting; Transducers not specially adapted for a specific variable using electric or magnetic means influencing the magnitude of a current or voltage by varying inductance, e.g. by a movable armature by influencing the mutual induction between two or more coils
    • G01D5/2046Mechanical means for transferring the output of a sensing member; Means for converting the output of a sensing member to another variable where the form or nature of the sensing member does not constrain the means for converting; Transducers not specially adapted for a specific variable using electric or magnetic means influencing the magnitude of a current or voltage by varying inductance, e.g. by a movable armature by influencing the mutual induction between two or more coils by a movable ferromagnetic element, e.g. a core

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Signal Processing (AREA)
  • Transmission And Conversion Of Sensor Element Output (AREA)

Description

本願は、角度検出装置に関するものである。
モータの回転角度を検出する角度検出器として、レゾルバが多く用いられている。レゾルバは、堅牢な角度検出器として知られているが、モータ駆動システムの耐故障性の要望からレゾルバにも冗長性が求められるようになっている。
そこで、特許文献1には、第1系統の励磁巻線及び出力巻線、及び第2系統の励磁巻線及び出力巻線が設けられた、2重系のレゾルバが開示されている。また、特許文献2では、段落0043、0044及び図10に記載されているように、固定子の複数のティースを周方向に4つに分割し、4つに分割された各ティース群を、「第1系統の第1ブロックB1」、「第2系統の第1ブロックB2」、「第1系統の第2ブロックB3」、「第2系統の第2ブロックB4」とし、同じ系統の2つのティース群を対向するように配置している。これによって、固定子が偏心した場合の磁束の不平衡が緩和され、角度検出精度が向上されることが開示されている。
特開2000-18968号公報 国際公開第2019/123592号
しかしながら、特許文献2の技術では、4分割して、幾何学的な配置を工夫することにより偏心による角度誤差を低減するように構成されている。そのため、2系統の巻線の幾何学的な配置が、特許文献2とは異なるレゾルバには、適用できない技術である。
発明者は、偏心による角度の検出誤差を低減する方法を検討したが、偏心により角度検出値に複数の高次の誤差成分が重畳するため、複数の高次の周波数帯の誤差成分を低減する処理が必要になり、演算処理負荷の増加の制約、サンプリング周波数の増加の制約から、精度の良い低減処理を実現することは容易でなかった。
そこで、本願は、複数のティースへの巻線の幾何学的な配置に依存せず、できるだけ少ない数の周波数帯であって、できるだけ低次の周波数帯について低減処理を行うことにより、偏心により生じる角度の誤差を低減することができる角度検出装置を提供することを目的とする。
本願に係る角度検出装置は、
第1系統の励磁巻線及び第1系統の2つの出力巻線を有する固定子と、突極を有する回転子とを有するレゾルバと、
前記第1系統の励磁巻線に、第1周期の交流電圧を印加する第1系統の励磁部と、
前記第1系統の2つの出力巻線の出力信号である第1系統の2つの出力信号を予め設定された検出タイミングで周期的に検出する第1系統の出力信号検出部と、
前記第1系統の2つの出力信号のそれぞれに対して、前記回転子の機械角での1回転周期の成分である1次成分を低減する1次成分低減処理を行う第1系統の1次成分低減処理部と、
前記1次成分低減処理が行われた前記第1系統の2つの出力信号に基づいて前記回転子の第1角度を算出する第1系統の角度算出部と、を備えたものである。
本願に係る角度検出装置によれば、第1系統の2つの出力信号から、偏心により生じる機械角1次の誤差成分を低減することによって、第1系統の2つの出力信号に基づいて算出される第1角度から、偏心により生じる複数の高次の誤差成分を低減することができる。1つの周波数帯について、低次の1次成分を低減する低減処理を行うので、演算処理負荷の増加を抑制し、サンプリング周波数の増加を抑制しつつ、偏心による角度誤差の低減することができる。
実施の形態1に係る角度検出装置の概略構成図である。 実施の形態1に係るレゾルバを軸方向に見た側面図である。 実施の形態1に係る制御装置のハードウェア構成図である。 実施の形態1に係る第1系統の第2周期成分除去処理を説明するためのタイムチャートである。 実施の形態1に係る第1系統の第2周期成分除去処理部のブロック図である。 実施の形態1に係る、系統間の磁気干渉がないと仮定した場合の、第1系統の検出タイミングを説明するためのタイムチャートである。 実施の形態1に係る、偏心がない場合の第1系統の二つの出力信号のタイムチャートである。 実施の形態1に係る、偏心がある場合の第1系統の二つの出力信号のタイムチャートである。 実施の形態1に係る、偏心がない場合の第1系統の二つの出力信号の周波数解析結果を示す図である。 実施の形態1に係る、偏心がある場合の第1系統の二つの出力信号の周波数解析結果を示す図である。 実施の形態1に係る第1系統の1次成分低減処理部のブロック図である。 実施の形態1に係る機械角の角度の算出を説明するタイムチャートである。 実施の形態1に係る第1系統の1次成分抽出値の記憶データを説明する図である。 実施の形態1に係る第2系統の第1周期成分除去処理を説明するためのタイムチャートである。 実施の形態1に係る第2系統の第1周期成分除去処理部のブロック図である。 実施の形態1に係る、偏心がない場合の第2系統の二つの出力信号のタイムチャートである。 実施の形態1に係る、偏心がある場合の第2系統の二つの出力信号のタイムチャートである。 実施の形態1に係る、偏心がない場合の第2系統の二つの出力信号の周波数解析結果を示す図である。 実施の形態1に係る、偏心がある場合の第2系統の二つの出力信号の周波数解析結果を示す図である。 実施の形態1に係る第2系統の1次成分低減処理部のブロック図である。 実施の形態1に係る第2系統の1次成分抽出値の記憶データを説明する図である。 実施の形態2に係る第1系統の1次成分抽出処理を説明するための図である。 実施の形態2に係る第1系統の1次成分抽出値の記憶データを説明する図である。 実施の形態2に係る第1系統の1次成分抽出処理を説明するための図である。 実施の形態2に係る第1系統の1次成分抽出値の記憶データを説明する図である。 実施の形態2に係る第1系統の1次成分抽出値の算出挙動を説明するタイムチャートである。 実施の形態2に係る、1次成分低減処理の前後の第1系統の二つの出力信号の周波数解析結果を示す図である。 実施の形態2に係る第1系統の1次成分低減処理部のブロック図である。 実施の形態2に係る第2系統の1次成分低減処理部のブロック図である。 実施の形態2に係る電動パワーステアリング装置の概略構成図である。
1.実施の形態1
実施の形態1に係る角度検出装置について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態に係る角度検出装置の概略構成図である。
1-1.レゾルバ1
角度検出装置は、レゾルバ1を備えている。レゾルバ1は、固定子13及び回転子14を備えている。固定子13は、第1系統の励磁巻線10A、第1系統の2つの出力巻線111A、112A(以下、第1出力巻線111A及び第2出力巻線112Aとも称す)、第2系統の励磁巻線10B、及び第2系統の2つの出力巻線111B、112B(以下、第1出力巻線111B及び第2出力巻線112Bとも称す)を有している。
第1系統の巻線と第2系統の巻線との間で磁気干渉が生じる。すなわち、第1系統の励磁巻線10Aが発生した磁束により、第1系統の2つの出力巻線111A、112Aだけでなく、第2系統の2つの出力巻線111B、112Bにも、誘起電圧が生じる。第2系統の励磁巻線10Bが発生した磁束により、第2系統の2つの出力巻線111B、112Bだけでなく、第1系統の2つの出力巻線111A、112Aにも、誘起電圧が生じる。
図2に示すように、第1系統の励磁巻線10A、第1系統の2つの出力巻線111A、112A、第2系統の励磁巻線10B、及び第2系統の2つの出力巻線111B、112Bは、同じ1つの固定子13に巻装されている。固定子13の径方向内側に回転子14が配置されている。
回転子14は、突極を有している。本実施の形態では、回転子14は、N個(Nは、2以上の自然数)の突極を有している。本例は、N=5に設定されており、軸倍角Nは5とされている。よって、回転子14が機械角で1回転する毎に、電気角で5回転する。回転子14は、外周部に周方向に均等配置されたN個の突出部を備えている。突出部により突極が生じる。突出部の径方向外側への突出高さは、固定子13及び回転子14間のギャップパーミアンスが、回転に応じて、正弦波状に変化するように形成されている。すなわち、レゾルバ1は、可変リラクタンス(VR)型レゾルバとされている。
図6に系統間の磁気干渉がないと仮定した例を示すように、第1系統の励磁巻線10Aに交流電圧VRAが印加されている状態で、回転子が回転すると、回転子の電気角での回転角度(ギャップパーミンアンス)に応じて第1系統の第1出力巻線111Aに誘起される交流電圧V1Aの振幅、及び第1系統の第2出力巻線112Aに誘起される交流電圧V2Aの振幅が正弦波状(又は余弦波状)に変化する。第1系統の第1出力巻線111Aと第1系統の第2出力巻線112Aとは、それらの交流電圧の振幅が相互に電気角で90度異なるように、固定子13の周方向の位置に巻装されている。同様に、第2系統の第1出力巻線111Bと第2系統の第2出力巻線112Bとは、それらの誘起交流電圧の振幅が相互に電気角で90度異なるように、ステータの周方向の位置に巻装されている。
本実施の形態では、図2に示すように、固定子13は、周方向に均等配置された12個のティースを備えおり、第1ティースTE1から第6ティースTE6に第1系統の巻線が巻装されており、第7ティースTE7から第12ティースTE12に第2系統の巻線が巻装されている。第1系統の励磁巻線10Aは、第1ティースTE1から第6ティースTE6に分散して巻装されている。第1系統の第1出力巻線111Aと第1系統の第2出力巻線112Aとは、誘起交流電圧の振幅が相互に90度異なるように、第1ティースTE1から第6ティースTE6に分散して巻装されている。同様に、第2系統の励磁巻線10Bは、第7ティースTE7から第12ティースTE12に分散して巻装されている。第2系統の第1出力巻線111Bと第2系統の第2出力巻線112Bは、誘起交流電圧の振幅が相互に90度異なるように、第7ティースTE7から第12ティースTE12に分散して巻装されている。
複数のティースに巻装された第1系統の励磁巻線10Aは、ティース間で直列に接続されており、直列に接続された第1系統の励磁巻線10Aの2つの端子が、後述する制御装置50(第1系統の励磁部51A)に接続されている。同様に、ティース間で直列に接続された第1系統の第1出力巻線111Aの2つの端子が、後述する制御装置50(第1系統の出力信号検出部52A)に接続されている。ティース間で直列に接続された第1系統の第2出力巻線112Aの2つの端子が、後述する制御装置50(第1系統の出力信号検出部52A)に接続されている。直列に接続された第2系統の励磁巻線10Bの2つの端子が、後述する制御装置50(第2系統の励磁部51B)に接続されている。同様に、ティース間で直列に接続された第2系統の第1出力巻線111Bの2つの端子が、後述する制御装置50(第2系統の出力信号検出部52B)に接続されている。ティース間で直列に接続された第2系統の第2出力巻線112Bの2つの端子が、後述する制御装置50(第2系統の出力信号検出部52B)に接続されている。
なお、突出部の数(軸倍角)及びティース数は、任意の数に設定されてもよい。第1系統の巻線及び第2系統の巻線は、周方向に2つに分割されて配置されてなくてもよく、周方向に分散して配置されてもよい。
1-2.制御装置50
角度検出装置は、制御装置50を備えている。制御装置50は、図1に示すように、第1系統の励磁部51A、第1系統の出力信号検出部52A、第1系統の第2周期低減処理部53A、第1系統の1次成分低減処理部54A、第1系統の角度算出部55A、第1系統の回転速度算出部56A、第2系統の励磁部51B、第2系統の出力信号検出部52B、第2系統の第1周期低減処理部53B、第2系統の1次成分低減処理部54B、第2系統の角度算出部55B、及び第2系統の回転速度算出部56Bを備えている。
制御装置50の各機能は、制御装置50が備えた処理回路により実現される。具体的には、制御装置50は、図3に示すように、処理回路として、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置90(コンピュータ)、演算処理装置90とデータのやり取りする記憶装置91、演算処理装置90に外部の信号を入力する入力回路92、及び演算処理装置90から外部に信号を出力する出力回路93等を備えている。
演算処理装置90として、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、IC(Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、各種の論理回路、及び各種の信号処理回路等が備えられてもよい。また、演算処理装置90として、同じ種類のもの又は異なる種類のものが複数備えられ、各処理が分担して実行されてもよい。記憶装置91として、演算処理装置90からデータを読み出し及び書き込みが可能に構成されたRAM(Random Access Memory)、及び演算処理装置90からデータを読み出し可能に構成されたROM(Read Only Memory)等が備えられている。入力回路92には、第1系統の第1出力巻線111A、第1系統の第2出力巻線112A、第2系統の第1出力巻線111B、第2系統の第2出力巻線112Bが接続されている。入力回路92は、これらの巻線の出力電圧を演算処理装置90に入力するA/D変換器等を備えている。出力回路93には、第1系統の励磁巻線10A及び第2系統の励磁巻線10Bが接続され、これら巻線に交流電圧VRAを印加するためのスイッチング素子等の駆動回路を備えている。スイッチング素子の出力側にローパスフィルタ回路が設けられてもよい。また、出力回路93は、算出した第1角度θ1及び第2角度θ2を外部の制御装置94に伝達する通信回路等の信号出力回路を備えている。
そして、制御装置50が備える各制御部51A~56B等の各機能は、演算処理装置90が、ROM等の記憶装置91に記憶されたソフトウェア(プログラム)を実行し、記憶装置91、入力回路92、及び出力回路93等の制御装置50の他のハードウェアと協働することにより実現される。なお、各制御部51A~56B等が用いる設定データは、ソフトウェア(プログラム)の一部として、ROM等の記憶装置91に記憶されている。以下、制御装置50の各機能について詳細に説明する。
1-2-1.第1系統及び第2系統の励磁部
第1系統の励磁部51Aは、第1系統の励磁巻線10Aに第1周期TAの交流電圧VRA(本例では、正弦波の交流電圧VRA)を印加する。第1系統の励磁部51Aは、第1周期TAの交流電圧指令を算出し、交流電圧指令と三角波との比較結果に基づいて、出力回路93に設けられた第1系統の励磁巻線用のスイッチング素子をオンオフするPWM信号(Pulse Width Modulation)を生成する。スイッチング素子がオンされると、電源電圧が第1系統の励磁巻線10A側に印加され、スイッチング素子がオフされると、電源電圧の印加が停止する。
第2系統の励磁部51Bは、第2系統の励磁巻線10Bに第2周期TBの交流電圧VRB(本例では、正弦波の交流電圧VRB)を印加する。後述するように、第2周期TBは、第1周期TAと異なる周期に設定されている。本実施の形態では、第2周期TBは、第1周期TAの2倍に設定されている(TB=2×TA)。例えば、TA=50μsの場合、TB=100μsに設定される。
第2系統の励磁部51Bは、第2周期TBの交流電圧指令を算出し、交流電圧指令と三角波との比較結果に基づいて、出力回路93に設けられた第2系統の励磁巻線用のスイッチング素子をオンオフするPWM信号を生成する。
1-2-2-1.第1系統の出力信号検出部
第1系統の出力信号検出部52Aは、第1系統の2つの出力巻線111A、112Aの出力信号である第1系統の2つの出力信号V1A、V2Aを予め設定された検出タイミング(以下、第1系統の検出タイミングとも称す)で周期的に検出する。第1系統の第1出力巻線111Aの出力信号を、第1系統の第1出力信号V1Aと称し、第1系統の第2出力巻線112Aの出力信号を、第1系統の第2出力信号V2Aと称す。
本実施の形態では、第1系統の出力信号検出部52Aは、第1系統の励磁巻線10Aに印加される第1周期TAの交流電圧VRAが最大値又は最小値(本例では、最大値)になるタイミングで、第1系統の2つの出力信号V1A、V2Aを検出するように構成されている。第1系統の出力信号検出部52Aは、第1系統の2つの出力信号V1A、V2Aを、交流電圧VRAが最大値になる第1周期TA毎に検出する。すなわち、第1系統の検出タイミングは、第1周期TA毎のタイミングに設定されている。
図6に、本実施の形態と異なり、系統間の磁気干渉がなく、第1系統の2つの出力信号V1A、V2Aに第2周期の成分が重畳していない場合の例を示す。第1周期TAの交流電圧VRAが最大値になるタイミングで第1周期TA毎に、第1系統の2つの出力信号V1A、V2Aが検出される。
1-2-2-2.第1系統の第2周期低減処理部
図4に第1系統の第1出力信号V1Aの例を示すように、第1系統の2つの出力信号V1A、V2Aには、それぞれ、系統間の磁気干渉により、第2系統の励磁巻線10Bに励磁された第2周期TBの磁束により誘起された第2周期の成分V1A_TB、V2A_TBが重畳する。図4の上段のグラフに、第1系統の第1出力信号V1Aを示し、中段のグラフに、第1系統の第1出力信号V1Aに含まれる、第1系統の励磁巻線10Aの磁束により誘起された第1周期の成分V1A_TAを示し、下段のグラフに、第1系統の第1出力信号V1Aに含まれる、第2系統の励磁巻線10Bの磁束により誘起された第2周期の成分V1A_TBを示す。第1系統の第1出力信号V1Aは、第1周期の成分V1A_TAと第2周期の成分V1A_TBとを合計した信号となり、この信号により角度を算出すると検出誤差が生じる。そのため、角度の検出誤差を抑制するため、第1系統の第1出力信号V1Aから、第2周期の成分V1A_TBを低減する必要がある。
そこで、第1系統の第2周期低減処理部53Aは、第1系統の2つの出力信号の検出値V1A_S、V2A_Sに対して、第2周期TBの成分を低減する第2周期低減処理を行う。
本実施の形態では、以下で説明する原理に基づいて、第2周期低減処理を行うように構成されている。図4の下段のグラフに示すように、第1系統の第1出力信号の第2周期の成分V1A_TBは、第2周期の半周期TB/2に第2周期TBの整数倍を加算した周期(例えば、第2周期の半周期TB/2)で、位相が反転し、プラスマイナスの符号が反転する。
そこで、第1系統の第2周期低減処理部53Aは、第2周期低減処理として、今回の検出タイミングで検出した第1系統の2つの出力巻線の出力信号の検出値V1A_S、V2A_Sと、今回の検出タイミングよりも第1系統低減処理間隔ΔT1前の検出タイミングで検出した第1系統の2つの出力巻線の出力信号の検出値V1A_Sold、V2A_Soldとを加算するように構成されている。第1系統低減処理間隔ΔT1は、次式に示すように設定されている。ここで、Mは、0以上の整数である。本実施の形態では、M=0に設定されており、第1系統低減処理間隔ΔT1は、第2周期の半周期TB/2に設定されている。
ΔT1=TB/2+TB×M ・・・(1)
第1系統の第2周期低減処理部53Aは、例えば、図5に示すように構成される。第1系統の第2周期低減処理部53Aは、第1系統の第1出力信号の検出値V1A_Sを第1系統低減処理間隔ΔT1だけ遅延して出力する第1遅延器53A1を備えており、第1系統の第1出力信号の検出値V1A_Sと、第1遅延器53A1の出力V1A_Soldとを加算して、第2周期低減処理後の第1系統の第1出力信号の検出値V1A_Fを算出する。同様に、第1系統の第2周期低減処理部53Aは、第1系統の第2出力信号の検出値V2A_Sを第1系統低減処理間隔ΔT1だけ遅延して出力する第2遅延器53A2を備えており、第1系統の第2出力信号の検出値V2A_Sと、第2遅延器53A2の出力V2A_Soldとを加算して、第2周期低減処理後の第1系統の第2出力信号の検出値V2A_Fを算出する。
この構成によれば、互いにプラスマイナスの符号が反転している2つの第2周期の成分が加算され、2つの第2周期の成分が互いに打ち消される。よって、加算後の第1系統の2つの出力巻線の出力信号の検出値V1A_F、V2A_Fでは、第2周期TBの交流電圧VRBに起因する第2周期の成分が低減され、磁気干渉の影響を低減できる。
1-2-2-3.第1系統の1次成分低減処理部
<回転子の偏心による1次成分の重畳>
固定子13に対して回転子14が偏心した場合の課題について説明する。偏心は、固定子13の中心と回転子14の中心とがずれることである。本実施の形態では、上述したように、第1系統及び第2系統の励磁巻線及び出力巻線は、各ティース(周方向)に分散されて巻装されている。本例では、第1系統の励磁巻線及び出力巻線は、第1ティースTE1から第6ティースTE6に分散して巻装され、第2系統の励磁巻線及び出力巻線は、第7ティースTE7から第12ティースTE12に分散して巻装されている。偏心が生じると、各ティースに応じて、各ティースと回転子14とのギャップ幅に異なりが生じる。例えば、回転子14の中心が、第1ティースTE1に近づくように偏心すると、第1ティースTE1と回転子14とのギャップ幅が狭まり、第1ティースTE1に対向する第7ティースTE7と回転子14とのギャップ幅が広がる。
よって、各ティースに巻装された励磁巻線による回転子14の励磁力は、周方向の位置で変動し、各ティースに巻装された出力巻線から出力される誘起電圧は、周方向の位置で変動する。そのため、偏心が生じると、第1系統の第1出力信号V1A及び第2出力信号V2Aに、回転子14の機械角での1回転周期の変動成分が重畳し、第2系統の第1出力信号V1B及び第2出力信号V2Bに、回転子14の機械角での1回転周期の変動成分が重畳する。
図7に、偏心がない場合の第2周期低減処理後の第1系統の2つの出力信号の検出値V1A_F、V2A_Fの時間波形を示し、図8に、偏心がある場合の第2周期低減処理後の第1系統の2つの出力信号の検出値V1A_F、V2A_Fの時間波形を示す。回転子14は1秒間で1回転している。
回転子14の突極数Nは5であるので、図7及び図8において、回転子14の機械角での1回転周期において、第1系統の2つの出力信号の検出値V1A_F、V2A_Fは5回正弦波状に変化しており、回転子14の電気角での1回転周期は5回生じている。
偏心があると、第1系統の2つの出力信号の検出値V1A_F、V2A_Fに、機械角の1回転周期の変動が生じている。例えば、第1出力信号の検出値V1A_Fの振幅及び第2出力信号の検出値V2A_Fの振幅が、機械角の1回転周期で変動している。また、図8では分かりにくいが、第1出力信号の検出値V1A_Fの振動中心及び第2出力信号の検出値V2A_Fの振動中心が、機械角の1回転周期で変動している。すなわち、第1出力信号の検出値V1A_F及び第2出力信号の検出値V2A_Fが、機械角の1回転周期でオフセット的に変動している。そのため、第1出力信号の検出値V1A_Fを第2出力信号の検出値V2A_Fで除算した除算値(V1A_F/V2A_F)に基づいて算出される第1角度θ1が、偏心により変動する誤差が生じる。
図9に、図7に示した偏心なしの場合の第1出力信号の検出値V1A_Fに対して周波数解析(FFT)を行った結果を示し、図10に、図8に示した偏心ありの場合の第1出力信号の検出値V1A_Fに対して周波数解析(FFT)を行った結果を示す。縦軸は、第1出力信号の検出値V1A_Fの基本波成分(機械角の5次の周波数成分(機械角の1回転周波数の5倍))を100%とした百分率で表している。横軸は、機械角の1回転周波数の次数(倍数)で表している。
偏心なしの場合と比べて偏心ありの場合は、機械角の1次の周波数成分(機械角の1回転周波数の成分)が増加している。ここで、非特許文献(森、小島、金原、中野「モータ角度センサの高精度オンラインオフセット補正」、電気学会論文誌D、Vol.136、No.8)によると、出力巻線の出力信号の検出値にオフセット的な機械角のK次の誤差が生じると、角度誤差で、K-1次及びK+1次の誤差を生じる。このことから、軸倍角がNの場合、角度誤差は、N-K次及びN+K次となって生じる。本例では、軸倍角N=5であり、出力巻線の出力信号の検出値に機械角のK=1次の誤差が生じているので、第1系統の2つの出力信号の検出値の機械角の1回転周期のオフセット的な変動により、第1角度θ1に機械角の4次及び6次の誤差成分が生じる。また、第1系統の2つの出力信号の検出値の振幅における機械角の1回転周期の変動により、第1角度θ1に軸倍角N=5の2倍の機械角の10次の誤差成分が生じる。よって、レゾルバ1をモータの回転角センサとして用いる場合、機械角の4次、6次、10次のトルクリップルが生じ、駆動性能を悪化させる。
第1角度θ1の4次、6次、10次の誤差成分を低減する低減処理を行うことも可能であるが、複数の高次の周波数帯について低減処理を行う必要があり、演算処理負荷の増加の制約、サンプリング周波数の増加の制約から、精度の良い低減処理を実現することは容易でない。よって、できるだけ少ない数の周波数帯であって、できるだけ低次の周波数帯について低減処理を行うことにより、偏心により生じる第1角度θ1の誤差を低減することが望まれる。
<1次成分低減処理>
そこで、第1系統の1次成分低減処理部54Aは、第1系統の2つの出力信号のそれぞれに対して、回転子の機械角での1回転周期(又は、1回転周波数)の成分である1次成分を低減する1次成分低減処理を行う。
この構成によれば、第1系統の2つの出力信号から、偏心により生じる機械角1次の誤差成分を低減することによって、第1系統の2つの出力信号に基づいて算出される第1角度θ1から、偏心により生じる4次、6次、10次の誤差成分を低減することができる。1つの周波数帯について、低次の1次成分を低減する低減処理を行うので、演算処理負荷の増加を抑制し、サンプリング周波数の増加を抑制しつつ、低減処理の精度を高めることができる。
本実施の形態では、第1系統の1次成分低減処理部54Aは、第2周期低減処理後の第1系統の第1出力信号の検出値V1A_Fに対して1次成分低減処理を行って、1次成分低減処理後の第1系統の第1出力信号の検出値V1A_F*を算出し、第2周期低減処理後の第1系統の第2出力信号の検出値V2A_Fに対して1次成分低減処理を行って、1次成分低減処理後の第1系統の第2出力信号の検出値V2A_F*を算出する。
第1系統の1次成分低減処理部54Aは、1次成分低減処理において、第1系統の2つの出力信号の検出値V1A_F、V2A_Fのそれぞれに対して、機械角の1次成分を抽出する1次成分抽出処理を行って第1系統の2つの1次成分抽出値V1A_1ST、V2A_1STを算出し、第1系統の2つの出力信号の検出値V1A_F、V2A_Fから第1系統の2つの1次成分抽出値V1A_1ST、V2A_1STをそれぞれ減算して、1次成分低減処理後の第1系統の2つの出力信号の検出値V1A_F*、V2A_F*を算出する。
第1系統の1次成分低減処理部54Aは、例えば、図11に示すように構成される。第1系統の1次成分低減処理部54Aは、第1の1次成分抽出器541A、第2の1次成分抽出器542A、第1の減算器543A、及び第2の減算器544A等を備えている。
第1の1次成分抽出器541Aは、入力された第1系統の第1出力信号の検出値V1A_Fに対して1次成分抽出処理を行って、第1系統の第1の1次成分抽出値V1A_1STを出力する。第1の減算器543Aは、第1系統の第1出力信号の検出値V1A_Fから、後述する第1の切換え器549Aを介して出力された第1系統の第1の1次成分抽出値V1A_1STを減算して、1次成分低減処理後の第1系統の第1出力信号の検出値V1A_F*を出力する。第2の1次成分抽出器542Aは、入力された第1系統の第2出力信号の検出値V2A_Fに対して1次成分抽出処理を行って、第1系統の第2の1次成分抽出値V2A_1STを出力する。第2の減算器544Aは、第1系統の第2出力信号の検出値V2A_Fから、後述する第2の切換え器550Aを介して出力された第1系統の第2の1次成分抽出値V2A_1STを減算して、1次成分低減処理後の第1系統の第2出力信号の検出値V2A_F*を出力する。
例えば、1次成分抽出処理は、機械角の1次成分(1回転周波数の成分)を通過させるバンドパスフィルタ処理とされる。バンドパスフィルタ処理には、各種の方式が用いられる。
第1及び第2の1次成分抽出器541A、542Aは、後述する第1系統の回転速度算出部56Aにより算出された第1角速度ω1に基づいて、1次成分低減処理を行う機械角の1次の周波数(1回転周波数)を変化させる。第1角速度ω1が電気角の角速度である場合、機械角の1次の周波数は、ω1/2π/Nになる。
或いは、第1系統の1次成分低減処理部54Aは、1次成分低減処理において、第1系統の2つの出力信号の検出値V1A_F、V2A_Fのそれぞれに対して、機械角の1次成分を低減するバンドストップフィルタ処理を行って、直接、1次成分低減処理後の第1系統の2つの出力信号の検出値V1A_F*、V2A_F*を算出するように構成されてもよい。この場合は、第1系統の回転速度算出部56Aにより算出された第1角速度ω1に基づいて、バンドストップフィルタ処理を行う機械角の1次の周波数(1回転周波数)が変化される。
<1次成分抽出値の記憶及び読み出し>
本実施の形態では、第1系統の1次成分低減処理部54Aは、機械角の1回転周期の各位相(各角度θM1)において算出した複数の第1系統の2つの1次成分抽出値V1A_1ST、V2A_1STを、対応する位相(角度θM1)と関連付けて記憶する。そして、第1系統の1次成分低減処理部54Aは、位相と関連付けて記憶された複数の第1系統の2つの1次成分抽出値V1A_1STMM、V2A_1STMMを参照し、現在の機械角の1回転周期の位相(角度θM1)に対応する第1系統の2つの1次成分抽出値V1A_1STMM、V2A_1STMMを読み出し、現在の第1系統の2つの出力信号V1A_F、V2A_Fから、読み出した第1系統の2つの1次成分抽出値V1A_1STMM、V2A_1STMMをそれぞれ減算して、1次成分低減処理後の第1系統の2つの出力信号の検出値V1A_F*、V2A_F*を算出する。
この構成によれば、1次成分抽出処理により、偏心により生じた1次成分を抽出することができ、抽出した1次成分が位相と関連付けられて記憶される。そして、記憶データを参照し、現在の位相に対応する1次成分抽出値を算出し、1次成分低減処理を行うことができる。よって、常に、1次成分抽出処理を行って1次成分抽出値を算出し、算出した1次成分抽出値により第1系統の出力信号を補正する必要がない。
第1系統の1次成分低減処理部54Aは、電気角の第1角度θ1に基づいて、機械角の1回転周期の角度θM1(位相)を算出する。例えば、図12及び次式に示すように、第1系統の1次成分低減処理部54Aは、第1角度θ1を軸倍角N(突極数N)で除算した値と、電気角の周期番号nを2πに乗算した値とを加算して、機械角の角度θM1(位相)を算出する。電気角の周期番号nは、第1角度θ1が2π変化する毎に、0から1つずつ増加され、4から1つ増加される際に、0に戻される。
θM1=θ1/N+n×2π ・・・(2)
そして、図13に示すように、第1系統の1次成分低減処理部54Aは、0から2πまでの機械角の各角度θM1と、各角度θM1において算出された1次成分抽出値V1A_1STMM、V2A_1STMMとのテーブルデータを、RAM等の記憶装置91に記憶する。テーブルデータの機械角の角度θM1の角度間隔ΔθMは、第1系統の2つの出力信号の検出間隔である第1周期TAに対応する角度間隔に設定されてもよいし、記憶するデータ量を低減するために、任意の角度間隔に設定されてもよい。
偏心により生じる1次成分は、複数の1回転周期において同様の波形になる。そこで、第1系統の1次成分低減処理部54Aは、各角度θM1において、過去の複数回の1回転周期において算出された複数回の1次成分抽出値V1A_1ST、V2A_1STに対して統計処理(例えば、平均処理、1次遅れフィルタ処理)を行った値を、各角度θM1の1次成分抽出値V1A_1STMM、V2A_1STMMとして記憶してもよい。この構成によれば、統計処理により、外乱、ノイズ成分を低減することができ、記憶される1次成分抽出値の精度を高めることができる。
<記憶条件による切換え>
第1系統の1次成分低減処理部54Aは、予め設定された記憶条件が成立している場合に、1次成分抽出処理を行って第1系統の2つの1次成分抽出値V1A_1ST、V2A_1STを算出し、算出した複数の第1系統の2つの1次成分抽出値V1A_1STMM、V2A_1STMMを対応する位相と関連付けて記憶する。
この構成によれば、偏心により生じた1次成分抽出値の抽出精度が高くなるような記憶条件で、1次成分抽出値を算出し、位相と関連付けて1次成分抽出値を記憶することで、記憶される1次成分抽出値の精度を高めることができる。
第1系統の1次成分低減処理部54Aは、記憶条件が成立していない場合に、位相と関連付けて記憶された複数の第1系統の2つの1次成分抽出値V1A_1STMM、V2A_1STMMを参照し、現在の機械角の位相(角度θM1)に対応する第1系統の2つの1次成分抽出値V1A_1STMM、V2A_1STMMを読み出し、現在の第1系統の2つの出力信号の検出値V1A_F、V2A_Fから、読み出した第1系統の2つの1次成分抽出値V1A_1STMM、V2A_1STMMをそれぞれ減算して、1次成分低減処理後の第1系統の2つの出力信号の検出値V1A_F*、V2A_F*を算出する。
この構成によれば、偏心により生じた1次成分抽出値の抽出精度が高くなるような記憶条件が成立していない場合に、記憶条件が成立している場合に位相と関連付けて記憶された1次成分抽出値を用いて、1次成分低減処理を行うので、1次成分低減処理の精度を高めることができる。
第1系統の1次成分低減処理部54Aは、記憶条件が成立している場合は、1次成分抽出処理により算出された現在の第1系統の2つの1次成分抽出値V1A_1ST、V2A_1STを、現在の第1系統の2つの出力信号V1A_F、V2A_Fからそれぞれ減算して、1次成分低減処理後の第1系統の2つの出力信号の検出値V1A_F*、V2A_F*を算出する。
なお、統計処理値が記憶される場合は、第1系統の1次成分低減処理部54Aは、記憶条件が成立している場合も、記憶条件が成立していない場合と同様に、位相と関連付けて記憶された複数の第1系統の2つの1次成分抽出値V1A_1STMM、V2A_1STMMを参照し、現在の機械角の位相(角度θM1)に対応する第1系統の2つの1次成分抽出値V1A_1STMM、V2A_1STMMを読み出し、読み出した第1系統の2つの1次成分抽出値V1A_1STMM、V2A_1STMMを用いて、1次成分低減処理を行うように構成されてもよい。
第1系統の1次成分低減処理部54Aは、第1角速度ω1が、予め設定された速度閾値ωthよりも大きい場合に、記憶条件が成立していると判定し、第1角速度ω1が速度閾値ωth以下である場合に、記憶条件が成立していないと判定する。
実際の回転子14の角度に、変動成分が含まれる場合は、1次成分抽出値に、偏心による出力信号の変動だけではなく、実際の角度変動による成分も含まれ、1次成分低減処理により、実際の角度変動による成分も低減されてしまい、角度の検出誤差になる。一方、実際の角度変動の周波数には最大周波数があり、最大周波数以上の周波数では、実際の角度変動が減少する。回転子14の回転周波数が、実際の角度変動の最大周波数よりも高い場合は、1次成分抽出値に含まれる実際の角度の変動成分が減少する。例えば、実際の角度変動の最大周波数が、機械角で50Hzである場合は、速度閾値ωthは、50Hzに対応する角速度に予め設定される。このように設定すれば、1次成分抽出値に含まれる実際の角度の変動成分が減少する条件で、1次成分抽出値を記憶するので、1次成分抽出値の精度を高めることができる。
<1次成分抽出値の記憶及び読み出しに係るブロック図>
本実施の形態では、図11に示すように、第1系統の1次成分低減処理部54Aは、機械角算出器545A、記憶条件判定器546A、第1の1次成分記憶器547A、第2の1次成分記憶器548A、第1の切換え器549A、及び第2の切換え器550Aを備えている。
機械角算出器545Aは、上述したように、第1角度θ1に基づいて機械角の角度θM1を算出する。記憶条件判定器546Aは、上述したように、第1角速度ω1に基づいて、記憶条件が成立しているか否かを判定する。第1の1次成分記憶器547Aは、上述したように、記憶条件が成立している場合に、第1の1次成分抽出器541Aが算出した第1の1次成分抽出値V1A_1STを対応する機械角の角度θM1と関連付けて記憶し、記憶条件が成立していない場合に、機械角の角度θM1と関連付けて記憶された複数の第1の1次成分抽出値V1A_1STMMを参照し、現在の機械角の角度θM1に対応する第1の1次成分抽出値V1A_1STMMを読み出し、出力する。第1の切換え器549Aは、記憶条件が成立している場合に、第1の1次成分抽出器541Aが算出した第1の1次成分抽出値V1A_1STを選択して出力し、記憶条件が成立していない場合に、第1の1次成分記憶器547Aが算出した第1の1次成分抽出値V1A_1STMMを選択して出力する。第1の減算器543Aは、第1出力信号の検出値V1A_Fから、第1の切換え器549Aが出力した第1の1次成分抽出値を減算して、1次成分低減処理後の第1出力信号の検出値V2A_F*を出力する。
第2の1次成分記憶器548Aは、上述したように、記憶条件が成立している場合に、第2の1次成分抽出器542Aが算出した第2の1次成分抽出値V2A_1STを対応する機械角の角度θM1と関連付けて記憶し、記憶条件が成立していない場合に、機械角の角度θM1と関連付けて記憶された複数の第2の1次成分抽出値V2A_1STMMを参照し、現在の機械角の角度θM1に対応する第2の1次成分抽出値V2A_1STMMを読み出し、出力する。第2の切換え器550Aは、記憶条件が成立している場合に、第2の1次成分抽出器542Aが算出した第2の1次成分抽出値V2A_1STを選択して出力し、記憶条件が成立していない場合に、第2の1次成分記憶器548Aが算出した第2の1次成分抽出値V2A_1STMMを選択して出力する。第2の減算器544Aは、第2出力信号の検出値V2A_Fから、第2の切換え器550Aが出力した第2の1次成分抽出値を減算して、1次成分低減処理後の第2出力信号の検出値V2A_F*を出力する。
1-2-2-4.第1系統の角度算出部
第1系統の角度算出部55Aは、次式に示すように、第2周期低減処理及び1次成分低減処理が行われた第1系統の第1出力信号の検出値V1A_F*と、第1系統の第2出力信号の検出値V2A_F*との比の、アークタンジェント(逆正接関数)を算出することにより、電気角の第1角度θ1を算出する。なお、機械角の第1角度が算出されてもよい。
θ1=tan-1(V1A_F*/V2A_F*) ・・・(3)
1-2-2-5.第1系統の回転速度算出部
第1系統の回転速度算出部56Aは、第1角度θ1の時間変化に基づいて、第1角速度ω1を算出する。例えば、第1系統の回転速度算出部56Aは、今回の演算周期で算出した第1角度θ1と前回の演算周期で算出した第1角度θ1_oldとの偏差を、演算周期Tsで除算して、電気角の第1角速度ω1を算出する。なお、機械角の第1角速度が算出されてもよい。
ω1=(θ1-θ1_old)/Ts ・・・(4)
1-2-3-1.第2系統の出力信号検出部
第2系統の出力信号検出部52Bは、第2系統の2つの出力巻線111B、112Bの出力信号V1B、V2Bを予め設定された検出タイミング(以下、第2系統の検出タイミングとも称す)で周期的に検出する。第2系統の第1出力巻線111Bの出力信号を、第2系統の第1出力信号V1Bと称し、第2系統の第2出力巻線112Bの出力信号を、第2系統の第2出力信号V2Bと称す。
本実施の形態では、第2系統の出力信号検出部52Bは、第2系統の励磁巻線10Bに印加される第2周期TBの交流電圧VRBが最大値又は最小値(本例では、最大値)になるタイミングで、第2系統の2つの出力信号V1B、V2Bを検出するように構成されている。第2系統の出力信号検出部52Bは、第2系統の2つの出力信号V1B、V2Bを、交流電圧VRBが最大値になる第2周期TB毎に検出する。すなわち、第2系統の検出タイミングは、第2周期TB毎のタイミングに設定されている。
1-2-3-2.第2系統の第1周期低減処理部
図14に第2系統の第1出力信号V1Bの例を示すように、第2系統の2つの出力巻線111B、112Bの出力信号V1B、V2Bには、系統間の磁気干渉により、第1系統の励磁巻線10Aに励磁された第1周期TAの磁束により誘起された第1周期の成分が重畳する。図14の上段のグラフに、第2系統の第1出力信号V1Bを示し、中段のグラフに、第2系統の第1出力信号V1Bに含まれる、第2系統の励磁巻線10Bの磁束により誘起された第2周期の成分V1B_TBを示し、下段のグラフに、第2系統の第1出力信号V1Bに含まれる、第1系統の励磁巻線10Aの磁束により誘起された第1周期の成分V1B_TAを示す。第2系統の第1出力信号V1Bは、第2周期の成分V1B_TBと第1周期の成分V1B_TAとを合計した信号となり、この信号により角度を算出すると検出誤差が生じる。そのため、角度の検出誤差を抑制するため、第2系統の第1出力信号V1Bから、第1周期の成分V1B_TAを低減する必要がある。
そこで、第2系統の第1周期低減処理部53Bは、第2系統の2つの出力信号の検出値V1B_S、V2B_Sに対して、第1周期の成分を低減する第1周期低減処理を行う。
本実施の形態では、以下で説明する原理に基づいて、第1周期低減処理を行うように構成されている。図14の下段のグラフに示すように、第2系統の第1出力信号の第1周期の成分V1B_TAは、第1周期TAの整数倍の周期(例えば、第1周期TA)で、位相が同じになり、プラスマイナスの符号が同じ同等の値になる。
そこで、第2系統の第1周期低減処理部53Bは、第1周期低減処理として、今回の検出タイミングで検出した第2系統の2つの出力信号の検出値V1B_S、V2B_Sと、今回の検出タイミングよりも第2系統低減処理間隔ΔT2前の検出タイミングで検出した第2系統の2つの出力信号の検出値V1B_Sold、V2B_Soldとの差を算出する減算処理を行うように構成されている。第2系統低減処理間隔ΔT2は、次式に示すように、第1周期TAの整数倍に設定されている。ここで、Pは、1以上の整数である。本実施の形態では、P=1に設定されており、第2系統低減処理間隔ΔT2は、第1周期TAに設定されている。
ΔT2=TA×P ・・・(5)
第2系統の第1周期低減処理部53Bは、例えば、図15に示すように構成される。第2系統の第1周期低減処理部53Bは、第2系統の第1出力信号の検出値V1B_Sを第2系統低減処理間隔ΔT2だけ遅延して出力する第1遅延器53B1を備えており、第2系統の第1出力信号の検出値V1B_Sから第1遅延器53B1の出力V1B_Soldを減算して、第1周期低減処理後の第2系統の第1出力信号の検出値V1B_Fを算出する。同様に、第2系統の第1周期低減処理部53Bは、第2系統の第2出力信号の検出値V2B_Sを第2系統低減処理間隔ΔT2だけ遅延して出力する第2遅延器53B2を備えており、第2系統の第2出力信号の検出値V2B_Sから第2遅延器53B2の出力V2B_Soldを減算して、第1周期低減処理後の第2系統の第2出力信号の検出値V2B_Fを算出する。
この構成によれば、互いにプラスマイナスの符号が同じ同等の値となっている2つの第1周期の成分が減算処理され、2つの第1周期の成分が互いに打ち消される。よって、減算処理後の第2系統の2つの出力信号の検出値V1B_F、V2B_Fでは、第1周期TAの交流電圧VRAに起因する第1周期の成分が低減され、磁気干渉の影響を低減できる。
1-2-3-3.第2系統の1次成分低減処理部
<回転子の偏心による1次成分の重畳>
図16に、偏心がない場合の第1周期低減処理後の第2系統の2つの出力信号の検出値V1B_F、V2B_Fの時間波形を示し、図17に、偏心がある場合の第1周期低減処理後の第2系統の2つの出力信号の検出値V1B_F、V2B_Fの時間波形を示す。回転子14は1秒間で1回転している。
第1系統と同様に、偏心があると、第2系統の2つの出力信号の検出値V1B_F、V2B_Fに、機械角の1回転周期の変動が生じている。例えば、第2出力信号の検出値V1B_Fの振幅及び第2出力信号の検出値V2B_Fの振幅が、機械角の1回転周期で変動している。また、第1出力信号の検出値V1B_Fの振動中心及び第2出力信号の検出値V2B_Fの振動中心が、機械角の1回転周期で変動している。すなわち、第1出力信号の検出値V1B_F及び第2出力信号の検出値V2B_Fが、機械角の1回転周期でオフセット的に変動している。そのため、第1出力信号の検出値V1B_Fを第2出力信号の検出値V2B_Fで除算した除算値(V1B_F/V2B_F)に基づいて算出される第2角度θ2が、偏心により変動する誤差が生じる。
図18に、図16に示した偏心なしの場合の第1出力信号の検出値V1B_Fに対して周波数解析(FFT)を行った結果を示し、図19に、図17に示した偏心ありの場合の第1出力信号の検出値V1B_Fに対して周波数解析(FFT)を行った結果を示す。
第1系統と同様に、偏心なしの場合と比べて偏心ありの場合は、機械角の1次の周波数成分(機械角の1回転周波数の成分)が増加している。第1系統と同様に、第2系統の2つの出力信号の検出値の機械角の1回転周期のオフセット的な変動により、第2角度θ2に機械角の4次及び6次の誤差成分が生じる。また、第2系統の2つの出力信号の検出値の振幅における機械角の1回転周期の変動により、第2角度θ2に機械角の10次の誤差成分が生じる。よって、レゾルバ1をモータの回転角センサとして用いる場合、機械角の4次、6次、10次のトルクリップルが生じ、駆動性能を悪化させる。
第2角度θ2の4次、6次、10次の誤差成分を低減する低減処理を行うことも可能であるが、複数の高次の周波数帯について低減処理を行う必要があり、演算処理負荷の増加の制約、サンプリング周波数の増加の制約から、精度の良い低減処理を実現することは容易でない。よって、できるだけ少ない数の周波数帯であって、できるだけ低次の周波数帯について低減処理を行うことにより、偏心により生じる第2角度θ2の誤差を低減することが望まれる。
<1次成分低減処理>
そこで、第2系統の1次成分低減処理部54Bは、第2系統の2つの出力信号のそれぞれに対して、回転子の機械角での1回転周期の成分である1次成分を低減する1次成分低減処理を行う。
この構成によれば、第2系統の2つの出力信号から、偏心により生じる機械角2次の誤差成分を低減することによって、第2系統の2つの出力信号に基づいて算出される第2角度θ2から、偏心により生じる4次、6次、10次の誤差成分を低減することができる。1つの周波数帯について、低次の1次成分を低減する低減処理を行うので、演算処理負荷の増加を抑制し、サンプリング周波数の増加を抑制しつつ、低減処理の精度を高めることができる。
本実施の形態では、第2系統の1次成分低減処理部54Bは、第1周期低減処理後の第2系統の第1出力信号の検出値V1B_Fに対して1次成分低減処理を行って、1次成分低減処理後の第2系統の第1出力信号の検出値V1B_F*を算出し、第1周期低減処理後の第2系統の第2出力信号の検出値V2B_Fに対して1次成分低減処理を行って、1次成分低減処理後の第2系統の第2出力信号の検出値V2B_F*を算出する。
第2系統の1次成分低減処理部54Bは、1次成分低減処理において、第2系統の2つの出力信号の検出値V1B_F、V2B_Fのそれぞれに対して、機械角の1次成分を抽出する1次成分抽出処理を行って第2系統の2つの1次成分抽出値V1B_1ST、V2B_1STを算出し、第2系統の2つの出力信号の検出値V1B_F、V2B_Fから第2系統の2つの1次成分抽出値V1B_1ST、V2B_1STをそれぞれ減算して、1次成分低減処理後の第2系統の2つの出力信号の検出値V1B_F*、V2B_F*を算出する。
第2系統の1次成分低減処理部54Bは、例えば、図20に示すように構成される。第2系統の1次成分低減処理部54Bは、第1の1次成分抽出器541B、第2の1次成分抽出器542B、第1の減算器543B、及び第2の減算器544B等を備えている。
第1の1次成分抽出器541Bは、入力された第2系統の第1出力信号の検出値V1B_Fに対して1次成分抽出処理を行って、第2系統の第1の1次成分抽出値V1B_1STを出力する。第1の減算器543Bは、第2系統の第1出力信号の検出値V1B_Fから、後述する第1の切換え器549Bを介して出力された第2系統の第1の1次成分抽出値V1B_1STを減算して、1次成分低減処理後の第2系統の第1出力信号の検出値V1B_F*を出力する。第2の1次成分抽出器542Bは、入力された第2系統の第2出力信号の検出値V2B_Fに対して1次成分抽出処理を行って、第2系統の第2の1次成分抽出値V2B_1STを出力する。第2の減算器544Bは、第2系統の第2出力信号の検出値V2B_Fから、後述する第2の切換え器550Bを介して出力された第2系統の第2の1次成分抽出値V2B_1STを減算して、1次成分低減処理後の第2系統の第2出力信号の検出値V2B_F*を出力する。
第1系統と同様に、1次成分抽出処理は、機械角の1次成分(1回転周波数の成分)を通過させるバンドパスフィルタ処理とされる。バンドパスフィルタ処理には、各種の方式が用いられる。
第1及び第2の1次成分抽出器541B、542Bは、後述する第2系統の回転速度算出部56Bにより算出された第2角速度ω2に基づいて、1次成分低減処理を行う機械角の1次の周波数(1回転周波数)を変化させる。第2角速度ω2が電気角の角速度である場合、機械角の1次の周波数は、ω2/2π/Nになる。
或いは、第2系統の1次成分低減処理部54Bは、1次成分低減処理において、第2系統の2つの出力信号の検出値V1B_F、V2B_Fのそれぞれに対して、機械角の1次成分を低減するバンドストップフィルタ処理を行って、直接、1次成分低減処理後の第2系統の2つの出力信号の検出値V1B_F*、V2B_F*を算出するように構成されてもよい。この場合は、第2系統の回転速度算出部56Bにより算出された第2角速度ω2に基づいて、バンドストップフィルタ処理を行う機械角の1次の周波数(1回転周波数)が変化される。
<1次成分抽出値の記憶及び読み出し>
本実施の形態では、第2系統の1次成分低減処理部54Bは、機械角の1回転周期の各位相(各角度θM2)において算出した複数の第2系統の2つの1次成分抽出値V1B_1ST、V2B_1STを、対応する位相(角度θM2)と関連付けて記憶する。そして、第2系統の1次成分低減処理部54Bは、位相と関連付けて記憶された複数の第2系統の2つの1次成分抽出値V1B_1STMM、V2B_1STMMを参照し、現在の機械角の1回転周期の位相(角度θM2)に対応する第2系統の2つの1次成分抽出値V1B_1STMM、V2B_1STMMを読み出し、現在の第2系統の2つの出力信号V1B_F、V2B_Fから、読み出した第2系統の2つの1次成分抽出値V1B_1STMM、V2B_1STMMをそれぞれ減算して、1次成分低減処理後の第2系統の2つの出力信号の検出値V1B_F*、V2B_F*を算出する。
第2系統の1次成分低減処理部54Bは、電気角の第2角度θ2に基づいて、機械角の1回転周期の角度θM2(位相)を算出する。第1系統と同様に、例えば、次式に示すように、第2系統の1次成分低減処理部54Bは、第2角度θ2を軸倍角N(突極数N)で除算した値と、電気角の周期番号nを2πに乗算した値とを加算して、機械角の角度θM2(位相)を算出する。電気角の周期番号nは、第2角度θ2が2π変化する毎に、0から1つずつ増加され、4から1つ増加される際に、0に戻される。
θM2=θ2/N+n×2π ・・・(6)
そして、図21に示すように、第2系統の1次成分低減処理部54Bは、0から2πまでの機械角の各角度θM2と、各角度θM2において算出された1次成分抽出値V1B_1STMM、V2B_1STMMとのテーブルデータを、RAM等の記憶装置91に記憶する。テーブルデータの機械角の角度θM2の角度間隔ΔθMは、第2系統の2つの出力信号の検出間隔である第2周期TBに対応する角度間隔に設定されてもよいし、記憶するデータ量を低減するために、任意の角度間隔に設定されてもよい。
偏心により生じる1次成分は、複数の1回転周期において同様の波形になる。そこで、第2系統の1次成分低減処理部54Bは、各角度θM2において、過去の複数回の1回転周期において算出された複数回の1次成分抽出値V1B_1ST、V2B_1STに対して統計処理(例えば、平均処理、1次遅れフィルタ処理)を行った値を、各角度θM2の1次成分抽出値V1B_1STMM、V2B_1STMMとして記憶してもよい。この構成によれば、統計処理により、外乱、ノイズ成分を低減することができ、記憶される1次成分抽出値の精度を高めることができる。
<記憶条件による切換え>
第2系統の1次成分低減処理部54Bは、予め設定された記憶条件が成立している場合に、1次成分抽出処理を行って第2系統の2つの1次成分抽出値V1B_1ST、V2B_1STを算出し、算出した複数の第2系統の2つの1次成分抽出値V1B_1STMM、V2B_1STMMを対応する位相と関連付けて記憶する。
第2系統の1次成分低減処理部54Bは、記憶条件が成立していない場合に、位相と関連付けて記憶された複数の第2系統の2つの1次成分抽出値V1B_1STMM、V2B_1STMMを参照し、現在の機械角の位相(角度θM2)に対応する第2系統の2つの1次成分抽出値V1B_1STMM、V2B_1STMMを読み出し、現在の第2系統の2つの出力信号の検出値V1B_F、V2B_Fから、読み出した第2系統の2つの1次成分抽出値V1B_1STMM、V2B_1STMMをそれぞれ減算して、1次成分低減処理後の第2系統の2つの出力信号の検出値V1B_F*、V2B_F*を算出する。
第2系統の1次成分低減処理部54Bは、記憶条件が成立している場合は、1次成分抽出処理により算出された現在の第2系統の2つの1次成分抽出値V1B_1ST、V2B_1STを、現在の第2系統の2つの出力信号V1B_F、V2B_Fからそれぞれ減算して、1次成分低減処理後の第2系統の2つの出力信号の検出値V1B_F*、V2B_F*を算出する。
なお、統計処理値が記憶される場合は、第2系統の1次成分低減処理部54Bは、記憶条件が成立している場合も、記憶条件が成立していない場合と同様に、位相と関連付けて記憶された複数の第2系統の2つの1次成分抽出値V1B_1STMM、V2B_1STMMを参照し、現在の機械角の位相(角度θM2)に対応する第2系統の2つの1次成分抽出値V1B_1STMM、V2B_1STMMを読み出し、読み出した第2系統の2つの1次成分抽出値V1B_1STMM、V2B_1STMMを用いて、1次成分低減処理を行うように構成されてもよい。
第2系統の1次成分低減処理部54Bは、第2角速度ω2が、予め設定された速度閾値ωthよりも大きい場合に、記憶条件が成立していると判定し、第2角速度ω2が速度閾値ωth以下である場合に、記憶条件が成立していないと判定する。
第1系統と同様に例えば、実際の角度変動の最大周波数が、50Hzである場合は、速度閾値ωthは、50Hzに対応する角速度に予め設定される。
<1次成分抽出値の記憶及び読み出しに係るブロック図>
本実施の形態では、図20に示すように、第2系統の1次成分低減処理部54Bは、機械角算出器545B、記憶条件判定器546B、第1の1次成分記憶器547B、第2の1次成分記憶器548B、第1の切換え器549B、及び第2の切換え器550Bを備えている。
機械角算出器545Bは、上述したように、第2角度θ2に基づいて機械角の角度θM2を算出する。記憶条件判定器546Bは、上述したように、第2角速度ω2に基づいて、記憶条件が成立しているか否かを判定する。第1の1次成分記憶器547Bは、上述したように、記憶条件が成立している場合に、第1の1次成分抽出器541Bが算出した第1の1次成分抽出値V1B_1STを対応する機械角の角度θM2と関連付けて記憶し、記憶条件が成立していない場合に、機械角の角度θM2と関連付けて記憶された複数の第1の1次成分抽出値V1B_1STMMを参照し、現在の機械角の角度θM2に対応する第1の1次成分抽出値V1B_1STMMを読み出し、出力する。第1の切換え器549Bは、記憶条件が成立している場合に、第1の1次成分抽出器541Bが算出した第1の1次成分抽出値V1B_1STを選択して出力し、記憶条件が成立していない場合に、第1の1次成分記憶器547Bが算出した第1の1次成分抽出値V1B_1STMMを選択して出力する。第1の減算器543Bは、第1出力信号の検出値V1B_Fから、第1の切換え器549Bが出力した第1の1次成分抽出値を減算して、1次成分低減処理後の第1出力信号の検出値V2B_F*を出力する。
第2の1次成分記憶器548Bは、上述したように、記憶条件が成立している場合に、第2の1次成分抽出器542Bが算出した第2の1次成分抽出値V2B_1STを対応する機械角の角度θM2と関連付けて記憶し、記憶条件が成立していない場合に、機械角の角度θM2と関連付けて記憶された複数の第2の1次成分抽出値V2B_1STMMを参照し、現在の機械角の角度θM2に対応する第2の1次成分抽出値V2B_1STMMを読み出し、出力する。第2の切換え器550Bは、記憶条件が成立している場合に、第2の1次成分抽出器542Bが算出した第2の1次成分抽出値V2B_1STを選択して出力し、記憶条件が成立していない場合に、第2の1次成分記憶器548Bが算出した第2の1次成分抽出値V2B_1STMMを選択して出力する。第2の減算器544Bは、第2出力信号の検出値V2B_Fから、第2の切換え器550Bが出力した第2の1次成分抽出値を減算して、1次成分低減処理後の第2出力信号の検出値V2B_F*を出力する。
1-2-3-4.第2系統の角度算出部
第2系統の角度算出部55Bは、次式に示すように、第1周期低減処理及び1次成分低減処理が行われた第2系統の第1出力信号の検出値V1B_F*と、第2系統の第2出力信号の検出値V2B_F*との比の、アークタンジェント(逆正接関数)を算出することにより、第2角度θ2を算出する。なお、機械角の第2角度が算出されてもよい。
θ2=tan-1(V1B_F*/V2B_F*) ・・・(7)
1-2-3-5.第2系統の回転速度算出部
第2系統の回転速度算出部56Bは、第2角度θ2の時間変化に基づいて、第2角速度ω2を算出する。例えば、第2系統の回転速度算出部56Bは、今回の演算周期で算出した第2角度θ2と前回の演算周期で算出した第2角度θ2_oldとの偏差を、演算周期Tsで除算して、第2角速度ω2を算出する。なお、機械角の第2角速度が算出されてもよい。
ω2=(θ2-θ2_old)/Ts ・・・(8)
2.実施の形態2
次に、実施の形態2に係る角度検出装置について説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。本実施の形態に係る角度検出装置の基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、第1系統の1次成分低減処理部54A及び第2系統の1次成分低減処理部54Bの構成が、実施の形態1と異なる。
2-1.第1系統の1次成分低減処理部
<電気角の1回転周期の統計処理による、偏心による1次成分の抽出>
図7及び図8に示すように、第1系統の2つの出力信号の検出値V1A_F、V2A_Fは、機械角の1回転周期を突極数N(本例では5)で除算した電気角の1回転周期で変動する。そのため、偏心により、2つの出力信号の検出値V1A_F、V2A_Fの振動中心が、機械角の1回転周期で変動するオフセット的な変動を抽出するためには、2つの出力信号の検出値V1A_F、V2A_Fを電気角の1回転周期で統計処理(例えば、平均処理)を行えばよい。
そこで、本実施の形態では、第1系統の1次成分低減処理部54Aは、1次成分低減処理において、機械角の1回転周期の複数の位相(角度θM1)のそれぞれにおいて、機械角の1回転周期の時間をNで除算した統計処理期間ΔTaveの第1系統の2つの出力信号V1A_F、V2A_Fに対して統計処理を行って第1系統の2つの1次成分抽出値V1A_1ST、V2A_1STを算出し、各位相(角度θM1)において算出した複数の第1系統の2つの1次成分抽出値V1A_1STMM、V2A_1STMMを、対応する位相と関連付けて記憶する。なお、統計処理期間ΔTaveは、電気角の1回転周期の時間に対応する。
実施の形態1と同様に、第1系統の1次成分低減処理部54Aは、電気角の第1角度θ1に基づいて、機械角の1回転周期の角度θM1(位相)を算出する。
第1系統の1次成分低減処理部54Aは、位相と関連付けて記憶された複数の第1系統の2つの1次成分抽出値V1A_1STMM、V2A_1STMMを参照し、現在の位相に対応する第1系統の2つの1次成分抽出値V1A_1STMM、V2A_1STMMを読み出し、現在の第1系統の2つの出力信号V1A_F、V2A_Fから、読み出した第1系統の2つの1次成分抽出値V1A_1STMM、V2A_1STMMをそれぞれ減算して、1次成分低減処理後の第1系統の2つの出力信号V1A_F*、V2A_F*を算出する。
この構成によれば、各位相において電気角の1回転周期の時間に対応する統計処理期間ΔTaveの統計処理を算出することにより、偏心による2つの出力信号の検出値の機械角の1回転周期のオフセット的な変動を抽出することができる。そして、抽出した1次成分抽出値を対応する位相と関連付けて記憶し、記憶データを参照し、現在の位相に対応する1次成分抽出値を算出し、1次成分低減処理を行うことができる。よって、常に、1次成分抽出処理を行って1次成分抽出値を算出し、算出した1次成分抽出値により第1系統の出力信号を補正する必要がない。また、過去に記憶された記憶データを用いるので、リアルタイムに算出された統計処理値を用いる場合に比べて、統計処理により生じる位相遅れの影響を排除できる。
本実施の形態では、統計処理は、平均処理とされている。図22に示すように、第1系統の1次成分低減処理部54Aは、予め設定された複数の機械角の角度θM1のそれぞれを中心とする統計処理期間ΔTaveにおいて算出された複数の2つの出力信号V1A_F、V2A_Fに対して平均処理を行って、2つの1次成分抽出値V1A_1ST、V2A_1STを算出する。統計処理を行う複数の機械角の角度θM1は、0から2πまでの機械角の角度θM1を角度間隔ΔθMで刻んだ角度とされる。図22は、ΔθMが、36度に設定され、10個の機械角の角度θM1を中心とする統計処理期間ΔTaveにおいて平均処理が行われる。
そして、図23に示すように、第1系統の1次成分低減処理部54Aは、複数の機械角の角度θM1のそれぞれと、各角度θM1を中心とする統計処理期間ΔTaveにおいて算出した1次成分抽出値V1A_1STMM、V2A_1STMMとのテーブルデータを、RAM等の記憶装置91に記憶する。
なお、第1系統の1次成分低減処理部54Aは、第1系統の2つの出力信号V1A_F、V2A_Fに対して統計処理期間ΔTaveの移動平均処理を行って第1系統の2つの1次成分抽出値V1A_1ST、V2A_1STを算出し、算出した第1系統の2つの1次成分抽出値V1A_1STMM、V2A_1STMMを、対応する統計処理期間ΔTaveの中心の機械角の角度θM1と関連付けて記憶してもよい。
また、第1系統の1次成分低減処理部54Aは、複数の機械角の角度θM1のそれぞれにおいて、過去の複数回の機械角の1回転周期において算出された複数回の1次成分抽出値V1A_1ST、V2A_1STに対して統計処理(例えば、平均処理、1次遅れフィルタ処理)を行った値を、各角度θM1の1次成分抽出値V1A_1STMM、V2A_1STMMとして記憶してもよい。この構成によれば、統計処理により、外乱、ノイズ成分を低減することができ、記憶される1次成分抽出値の精度を高めることができる。
<1回転周期のN分割>
第1系統の1次成分低減処理部54Aは、複数の位相(角度θM1)としての、機械角の1回転周期をN分割したN個の分割期間のそれぞれにおいて、分割期間の第1系統の2つの出力信号に対して統計処理(本例では、平均処理)を行って第1系統の2つの1次成分抽出値V1A_1ST、V2A_1STを算出し、分割期間のそれぞれにおいて算出したN個の第1系統の2つの1次成分抽出値を、対応する位相としての分割期間と関連付けて記憶する。
本実施の形態では、N=5であるため、図24に示すように、機械角の1回転周期は、5分割され、第1の分割期間T1Aから第5の分割期間T5Aの5個の分割期間が設けられる。第1の分割期間T1Aは、機械角の角度θM1の0から2π/5に設定され、第2の分割期間T2Aは、2π/5から4π/5に設定され、第3の分割期間T3Aは、4π/5から6π/5に設定され、第4の分割期間T4Aは、6π/5から8π/5に設定され、第5の分割期間T5Aは、8π/5から2πに設定される。
第1系統の1次成分低減処理部54Aは、各分割期間において算出された複数の2つの出力信号V1A_F、V2A_Fに対して平均処理を行って、2つの1次成分抽出値V1A_1ST、V2A_1STを算出する。そして、図25に示すように、第1系統の1次成分低減処理部54Aは、第1から第5の分割期間のそれぞれと、各分割期間において算出した1次成分抽出値V1A_1STMM、V2A_1STMMとのテーブルデータを、RAM等の記憶装置91に記憶する。
なお、第1系統の1次成分低減処理部54Aは、N個の分割期間のそれぞれにおいて、過去の複数回の機械角の1回転周期において算出された複数回の1次成分抽出値V1A_1ST、V2A_1STに対して統計処理(例えば、平均処理、1次遅れフィルタ処理)を行った値を、各分割期間の1次成分抽出値V1A_1STMM、V2A_1STMMとして記憶してもよい。この構成によれば、統計処理により、外乱、ノイズ成分を低減することができ、記憶される1次成分抽出値の精度を高めることができる。
そして、第1系統の1次成分低減処理部54Aは、分割期間と関連付けて記憶された5個の第1系統の2つの1次成分抽出値V1A_1STMM、V2A_1STMMを参照し、現在の分割期間に対応する第1系統の2つの1次成分抽出値V1A_1STMM、V2A_1STMMを読み出し、現在の第1系統の2つの出力信号V1A_F、V2A_Fから、読み出した第1系統の2つの1次成分抽出値V1A_1STMM、V2A_1STMMをそれぞれ減算して、1次成分低減処理後の第1系統の2つの出力信号V1A_F*、V2A_F*を算出する。
第1系統の1次成分低減処理部54Aは、電気角の第1角度θ1に基づいて算出した機械角の1回転周期の角度θM1に基づいて、現在の分割期間を判定する。
図26に、制御挙動を示す。第1の分割期間T1Aから第5の分割期間T5Aのそれぞれにおいて、テーブルデータから対応する第1の1次成分抽出値V1A_1STMM、及び第2の1次成分抽出値V2A_1STMMが読み出されている。なお、テーブルデータには、前回の1回転周期で算出された1次成分抽出値が記憶されている。
図27に、1次成分低減処理前の第1出力信号V1A_Fと、1次成分低減処理後の第1出力信号V1A_F*の周波数解析結果を示す。1次成分低減処理前は、機械角の1次成分が4.8%発生していたのに対し、1次成分低減処理後は、1.5%に低減している。よって、1次成分低減処理により、偏心により生じる機械角の1次成分を約70%低減することができ、第1角度θ1の4次及び6次の誤差成分を約70%低減することができる。
<記憶条件>
第1系統の1次成分低減処理部54Aは、予め設定された記憶条件が成立している場合に、統計処理(本例では、平均処理)を行って2つの1次成分抽出値V1A_1ST、V2A_1STを算出し、算出した2つの1次成分抽出値V1A_1STMM、V2A_1STMMを、対応する角度θM1又は分割期間と関連付けて記憶する。
この構成によれば、偏心により生じた1次成分抽出値の抽出精度が高くなるような記憶条件で、1次成分抽出値を算出し、位相と関連付けて1次成分抽出値を記憶することで、記憶される1次成分抽出値の精度を高めることができる。
第1系統の1次成分低減処理部54Aは、第1角速度ω1が、予め設定された速度閾値ωthよりも大きい場合に、記憶条件が成立していると判定し、第1角速度ω1が速度閾値ωth以下である場合に、記憶条件が成立していないと判定する。
本実施の形態では、速度閾値ωthの設定方法が実施の形態1と異なる。本実施の形態では、機械角の1回転周期をNで除算した期間の統計処理(本例では、平均処理)が行われる。よって、1次成分低減処理により、機械角の1回転周期のN分の1より短い周期の実際の角度変動による成分が低減される。よって、1次成分低減処理により低減される実際の角度変動による周波数は、実施の形態1のN倍になる。よって、角速度が実施の形態1のN分の1の時に、1次成分低減処理により低減される実際の角度変動の周波数が実施の形態1と同じになる。よって、速度閾値ωthも、実施の形態1のN分の1に設定することができる。例えば、実際の角度変動の最大周波数が、機械角で50Hzである場合は、速度閾値ωthは、50Hzの5分の1の周波数に対応する角速度に設定される。よって、本実施の形態では、実施の形態1に比べて、速度閾値ωthを5分の1に設定することができ、記憶条件が成立する角速度範囲を広げることができる。Nが、2以上であれば、実施の形態1よりも、記憶条件が成立する角速度範囲を広げることができる。そして、1次成分抽出値に含まれる実際の角度の変動成分が減少する条件で、1次成分抽出値を記憶するので、1次成分抽出値の精度を高めることができる。
<1次成分抽出値の記憶及び読み出しに係るブロック図>
本実施の形態では、図28に示すように、第1系統の1次成分低減処理部54Aは、第1の減算器543A、第2の減算器544A、機械角算出器545A、記憶条件判定器546A、第1の1次成分記憶器547A、第2の1次成分記憶器548Aを備えている。
機械角算出器545Aは、上述したように、第1角度θ1に基づいて機械角の角度θM1を算出する。記憶条件判定器546Aは、上述したように、第1角速度ω1に基づいて、記憶条件が成立しているか否かを判定する。
第1の1次成分記憶器547Aは、上述したように、記憶条件が成立している場合に、複数の角度θM1又はN個の分割期間のそれぞれにおいて、統計処理期間又は分割期間の第1出力信号V1A_Fに対して統計処理を行って第1の1次成分抽出値V1A_1STを算出し、角度θM1又は分割期間のそれぞれにおいて算出した複数の第1の1次成分抽出値V1A_1STMMを、対応する角度θM1又は分割期間と関連付けて記憶する。また、第1の1次成分記憶器547Aは、角度θM1又は分割期間と関連付けて記憶された複数の第1の1次成分抽出値V1A_1STMMを参照し、現在の角度θM1又は分割期間に対応する第1の1次成分抽出値V1A_1STMMを読み出し、出力する。そして、第1の減算器543Aは、現在の第1出力信号V1A_Fから、第1の1次成分抽出値V1A_1STMMを減算して、1次成分低減処理後の第1出力信号V1A_F*を算出する。
第2の1次成分記憶器548Aは、上述したように、記憶条件が成立している場合に、複数の角度θM1又はN個の分割期間のそれぞれにおいて、統計処理期間又は分割期間の第2出力信号V2A_Fに対して統計処理を行って第2の1次成分抽出値V2A_1STを算出し、角度θM1又は分割期間のそれぞれにおいて算出した複数の第2の1次成分抽出値V2A_1STMMを、対応する角度θM1又は分割期間と関連付けて記憶する。また、第2の1次成分記憶器548Aは、角度θM1又は分割期間と関連付けて記憶された複数の第2の1次成分抽出値V2A_1STMMを参照し、現在の角度θM1又は分割期間に対応する第2の1次成分抽出値V2A_1STMMを読み出し、出力する。そして、第2の減算器544Aは、現在の第2出力信号V2A_Fから、第2の1次成分抽出値V2A_1STMMを減算して、1次成分低減処理後の第2出力信号V2A_F*を算出する。
2-2.第2系統の1次成分低減処理部
本実施の形態では、第2系統の1次成分低減処理部54Bは、1次成分低減処理において、機械角の1回転周期の複数の位相(角度θM2)のそれぞれにおいて、機械角の1回転周期の時間をNで除算した統計処理期間ΔTaveの第2系統の2つの出力信号V1B_F、V2B_Fに対して統計処理を行って第2系統の2つの1次成分抽出値V1B_1ST、V2B_1STを算出し、各位相(角度θM2)において算出した複数の第2系統の2つの1次成分抽出値V1B_1STMM、V2B_1STMMを、対応する位相と関連付けて記憶する。
実施の形態1と同様に、第2系統の1次成分低減処理部54Bは、電気角の第2角度θ2に基づいて、機械角の1回転周期の角度θM2(位相)を算出する。
第2系統の1次成分低減処理部54Bは、位相と関連付けて記憶された複数の第2系統の2つの1次成分抽出値V1B_1STMM、V2B_1STMMを参照し、現在の位相に対応する第2系統の2つの1次成分抽出値V1B_1STMM、V2B_1STMMを読み出し、現在の第2系統の2つの出力信号V1B_F、V2B_Fから、読み出した第2系統の2つの1次成分抽出値V1B_1STMM、V2B_1STMMをそれぞれ減算して、1次成分低減処理後の第2系統の2つの出力信号V1B_F*、V2B_F*を算出する。
本実施の形態では、統計処理は、平均処理とされている。第2系統の1次成分低減処理部54Bは、予め設定された複数の機械角の角度θM2のそれぞれを中心とする統計処理期間ΔTaveにおいて算出された複数の2つの出力信号V1B_F、V2B_Fに対して平均処理を行って、2つの1次成分抽出値V1B_1ST、V2B_1STを算出する。統計処理を行う複数の機械角の角度θM2は、0から2πまでの機械角の角度θM2を角度間隔ΔθMで刻んだ角度とされる。
そして、第1系統と同様に、第2系統の1次成分低減処理部54Bは、複数の機械角の角度θM2のそれぞれと、各角度θM2を中心とする統計処理期間ΔTaveにおいて算出した1次成分抽出値V1B_1STMM、V2B_1STMMとのテーブルデータを、RAM等の記憶装置91に記憶する。
<1回転周期のN分割>
第2系統の1次成分低減処理部54Bは、複数の位相(角度θM2)としての、機械角の1回転周期をN分割したN個の分割期間のそれぞれにおいて、分割期間の第2系統の2つの出力信号に対して統計処理(本例では、平均処理)を行って第2系統の2つの1次成分抽出値V1B_1ST、V2B_1STを算出し、分割期間のそれぞれにおいて算出したN個の第2系統の2つの1次成分抽出値を、対応する位相としての分割期間と関連付けて記憶する。
本実施の形態では、N=5であるため、第1系統と同様に、機械角の1回転周期は、5分割され、第1の分割期間から第5の分割期間の5個の分割期間が設けられる。
第2系統の1次成分低減処理部54Bは、各分割期間において算出された複数の2つの出力信号V1B_F、V2B_Fに対して平均処理を行って、2つの1次成分抽出値V1B_1ST、V2B_1STを算出する。そして、第2系統の1次成分低減処理部54Bは、第1から第5の分割期間のそれぞれと、各分割期間において算出した1次成分抽出値V1B_1STMM、V2B_1STMMとのテーブルデータを、RAM等の記憶装置91に記憶する。
そして、第2系統の1次成分低減処理部54Bは、分割期間と関連付けて記憶された5個の第2系統の2つの1次成分抽出値V1B_1STMM、V2B_1STMMを参照し、現在の分割期間に対応する第2系統の2つの1次成分抽出値V1B_1STMM、V2B_1STMMを読み出し、現在の第2系統の2つの出力信号V1B_F、V2B_Fから、読み出した第2系統の2つの1次成分抽出値V1B_1STMM、V2B_1STMMをそれぞれ減算して、1次成分低減処理後の第2系統の2つの出力信号V1B_F*、V2B_F*を算出する。
第2系統の1次成分低減処理部54Bは、電気角の第2角度θ2に基づいて算出した機械角の1回転周期の角度θM2に基づいて、現在の分割期間を判定する。
<記憶条件>
第2系統の1次成分低減処理部54Bは、予め設定された記憶条件が成立している場合に、統計処理(本例では、平均処理)を行って2つの1次成分抽出値V1B_1ST、V2B_1STを算出し、算出した2つの1次成分抽出値V1B_1STMM、V2B_1STMMを、対応する角度θM2又は分割期間と関連付けて記憶する。
第2系統の1次成分低減処理部54Bは、第2角速度ω2が、予め設定された速度閾値ωthよりも大きい場合に、記憶条件が成立していると判定し、第2角速度ω2が速度閾値ωth以下である場合に、記憶条件が成立していないと判定する。速度閾値ωthは、第1系統と同様に設定される。
<1次成分抽出値の記憶及び読み出しに係るブロック図>
本実施の形態では、図29に示すように、第2系統の1次成分低減処理部54Bは、第1の減算器543B、第2の減算器544B、機械角算出器545B、記憶条件判定器546B、第1の1次成分記憶器547B、第2の1次成分記憶器548Bを備えている。
機械角算出器545Bは、上述したように、第2角度θ2に基づいて機械角の角度θM2を算出する。記憶条件判定器546Bは、上述したように、第2角速度ω2に基づいて、記憶条件が成立しているか否かを判定する。
第1の1次成分記憶器547Bは、上述したように、記憶条件が成立している場合に、複数の角度θM2又はN個の分割期間のそれぞれにおいて、統計処理期間又は分割期間の第1出力信号V1B_Fに対して統計処理を行って第1の1次成分抽出値V1B_1STを算出し、角度θM2又は分割期間のそれぞれにおいて算出した複数の第1の1次成分抽出値V1B_1STMMを、対応する角度θM2又は分割期間と関連付けて記憶する。また、第1の1次成分記憶器547Bは、角度θM2又は分割期間と関連付けて記憶された複数の第1の1次成分抽出値V1B_1STMMを参照し、現在の角度θM2又は分割期間に対応する第1の1次成分抽出値V1B_1STMMを読み出し、出力する。そして、第1の減算器543Bは、現在の第1出力信号V1B_Fから、第1の1次成分抽出値V1B_1STMMを減算して、1次成分低減処理後の第1出力信号V1B_F*を算出する。
第2の1次成分記憶器548Bは、上述したように、記憶条件が成立している場合に、複数の角度θM2又はN個の分割期間のそれぞれにおいて、統計処理期間又は分割期間の第2出力信号V2B_Fに対して統計処理を行って第2の1次成分抽出値V2B_1STを算出し、角度θM2又は分割期間のそれぞれにおいて算出した複数の第2の1次成分抽出値V2B_1STMMを、対応する角度θM2又は分割期間と関連付けて記憶する。また、第2の1次成分記憶器548Bは、角度θM2又は分割期間と関連付けて記憶された複数の第2の1次成分抽出値V2B_1STMMを参照し、現在の角度θM2又は分割期間に対応する第2の1次成分抽出値V2B_1STMMを読み出し、出力する。そして、第2の減算器544Bは、現在の第2出力信号V2B_Fから、第2の1次成分抽出値V2B_1STMMを減算して、1次成分低減処理後の第2出力信号V2B_F*を算出する。
2-3.電動パワーステアリング装置
次に、角度の被検出対象が、電動パワーステアリング装置500の駆動モータである場合を考える。図30に、電動パワーステアリング装置500の概略構成図を示す。電動パワーステアリング装置500には、運転者によるステアリングホイール502の操舵力を伝えるコラムシャフト503が設けられている。コラムシャフト503には、例えばウォームギヤなどのギヤ504が接続されている。ギヤ504は、駆動モータ420の回転駆動力(トルク、回転)を、回転方向を直角に変えると共に減速し、コラムシャフト503に伝えてアシストする。駆動モータ420は、永久磁石型のモータとされており、コントローラ430によって制御される。ステアリングギヤ506は、コラムシャフト503の回転を減速すると共に直線運動に変換し、ラック507を直線方向に移動させる。このラック507の直線運動により車輪の角度を変化させる。
駆動モータ420の角度検出装置には、光学式エンコーダに比べて低コストで耐環境性に優れたレゾルバが用いられることが多い。しかし、偏心によりレゾルバに角度誤差が発生すると、角度誤差の次数に応じた次数のトルク脈動が発生し、騒音の原因となり、操舵感が悪化する。
本実施の形態に係る角度検出装置の有効性について説明する。非特許文献(栗重他、「電動パワーステアリングの操舵トルク低減制御方式」、日本機械学会論文集(C編)、68巻675号)によると、周波数50Hz付近でステアリングホイール振動が発生すると記載されている。よって、ステアリングホイール502が50Hzで振動すると、ステアリングホイール502をアシストする駆動モータ420においてもその周波数の振動が生じる。よって、実施の形態1の角度検出装置を用いる場合、速度閾値ωthは、50Hzに対応する角速度以上に設定される。実施の形態1の速度閾値ωthを、機械角のrpmで表すと3000rpm以上になる。一方で、駆動モータ420の定格回転速度は、約100rpmであり、それ以上の回転速度では、弱め磁束制御による負のd軸電流の通電が行われる。第1角度θ1又は第2角度θ2に角度誤差Δθがある場合、q軸電流が変動し、トルク誤差ΔTが生じる。トルク誤差ΔTは、Kt×Id×sin(Δθ)で近似できる。ここで、Ktは、トルク定数であり、Idは、d軸電流である。よって、角度誤差Δθが脈動する場合、トルク誤差ΔTも脈動する。そのため、操舵感の悪化、異音の原因となる。
よって、偏心による角度誤差Δθは、負のd軸電流を通電する前、すなわち、定格回転速度以下で低減されていることが好ましい。そのため、実施の形態1の速度閾値ωthは3000rpm以上に設定されるため、d軸電流によるトルク誤差ΔTが生じる1000rpmから3000rpmでは1次成分抽出値が算出されず、記憶されないため、偏心による角度誤差Δθが低減されず、トルク誤差ΔTにより操舵感が悪化し、異音が生じる恐れがある。
一方、実施の形態2の速度閾値ωthは、実施の形態1の速度閾値ωthのN分の1に設定できるため、N=5の場合は、機械角のrpmで表すと3000rpm/5=600rpmに設定でき、N=4の場合は、3000rpm/4=750rpmに設定でき、N=3の場合は、3000rpm/3=1000rpmに設定できる。よって、突極数Nが3以上であれば、d軸電流によるトルク誤差ΔTが生じる1000rpm以上において、1次成分抽出値が算出され、記憶されるため、偏心による角度誤差Δθを低減することができ、トルク誤差ΔTによる操舵感の悪化、異音の発生を抑制できる。
よって、突極数Nが3以上に設定された実施の形態2の角度検出装置であれば、電動パワーステアリング装置において偏心によるトルク変動の発生を抑制し、操舵感の悪化、異音の発生を抑制できる。
〔その他の実施の形態〕
上記の各実施の形態では、固定子13は、第1ティースTE1から第12ティースTE12までの12個のティースを有していた。しかし、固定子13のティース数は、12以外の数、例えば、14、16であってもよい。
固定子13に2系統以上の巻線(例えば、3系統の巻線)が設けられてもよい。また、特許文献1、2のように、2系統の巻線を4分割にして固定子13に設けられてもよい。また、2系統の巻線を、6分割、8分割など偶数の自然数倍に分割して固定子13に設けられてもよい。また、突極数Nは、5に限定されるものではなく、任意の自然数に設定されてもよい。なお、実施の形態2では、突極数Nは、3以上であるとよい。
第1系統と第2系統との間の磁気干渉の影響が小さい場合は、第1系統の第2周期低減処理部53A、及び第2系統の第1周期低減処理部53Bが省略されてもよい。また、第1周期TAと第2周期TBとが一致されてもよい。
磁気干渉の影響について、特許文献1の図16においては、第1系統の励磁信号と第2系統の励磁信号が同一周期であり、位相差が小さい場合、角度誤差が小さいことが示されている。よって、位相差を小さくすることで、磁気干渉に起因する角度誤差が小さくできる。よって、上記の各実施の形態において、第1系統の励磁巻線10Aに印加する交流電圧VRAと、第2系統の励磁巻線10Bに印加する交流電圧VRBとを、同一周期で同一位相に設定する場合、第1系統の第2周期低減処理部53A、及び第2系統の第1周期低減処理部53Bが省略されてもよい。
上記の各実施の形態では、第1系統において、第2周期低減処理の後、1次成分低減処理が行われ、第2系統において、第1周期低減処理の後、1次成分低減処理が行われていた。しかし、第1系統において、1次成分低減処理の後、第2周期低減処理が行われてもよく、第2系統において、1次成分低減処理の後、第1周期低減処理が行われてもよい。
また、第1系統の各部が設けられ、第2系統の各部が設けられなくてもよい。この場合であっても、1次成分低減処理により偏心による第1系統の角度誤差を低減することができる。なお、この場合は、系統間の磁気干渉が生じなくなるので、第1系統において第1系統の第2周期低減処理部53Aが設けられなくてもよい。
また、第1系統と第2系統とが入れ替えられてもよい。すなわち、上記の各実施の形態の第1系統が第2系統とされ、上記の各実施の形態の第2系統が第1系統とされてもよい。
少なくとも、偏心による第1系統の角度誤差を低減できればよく、第2系統の1次成分低減処理部54Bが設けられず、偏心による第2系統の角度誤差が低減できなくてもよい。
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
1 レゾルバ、10A 第1系統の励磁巻線、10B 第2系統の励磁巻線、13 固定子、14 回転子、111A、112A 第1系統の2つの出力巻線、111B、112B 第1系統の2つの出力巻線、51A 第1系統の励磁部、52A 第1系統の出力信号検出部、53A 第1系統の第2周期低減処理部、54A 第1系統の1次成分低減処理部、55A 第1系統の角度算出部、56A 第1系統の回転速度算出部、51B 第2系統の励磁部、52B 第2系統の出力信号検出部、53B 第2系統の第1周期低減処理部、54B 第2系統の1次成分低減処理部、55B 第2系統の角度算出部、56B 第2系統の回転速度算出部、N 突極数、TA 第1周期、TB 第2周期、VRA 第1周期の交流電圧、VRB 第2周期の交流電圧、V1A_1ST、V2A_1ST 第1系統の2つの1次成分抽出値、V1B_1ST、V2B_1ST 第2系統の2つの1次成分抽出値、ΔTave 統計処理期間、θ1 第1角度、θ2 第2角度、ω1 第1角速度、ωth 速度閾値

Claims (14)

  1. 第1系統の励磁巻線及び第1系統の2つの出力巻線を有する固定子と、突極を有する回転子とを有するレゾルバと、
    前記第1系統の励磁巻線に、第1周期の交流電圧を印加する第1系統の励磁部と、
    前記第1系統の2つの出力巻線の出力信号である第1系統の2つの出力信号を予め設定された検出タイミングで周期的に検出する第1系統の出力信号検出部と、
    前記第1系統の2つの出力信号のそれぞれに対して、前記回転子の機械角での1回転周期の成分である1次成分を低減する1次成分低減処理を行う第1系統の1次成分低減処理部と、
    前記1次成分低減処理が行われた前記第1系統の2つの出力信号に基づいて前記回転子の第1角度を算出する第1系統の角度算出部と、を備えた角度検出装置。
  2. 前記第1系統の1次成分低減処理部は、前記1次成分低減処理において、前記第1系統の2つの出力信号のそれぞれに対して、前記1次成分を抽出する1次成分抽出処理を行って第1系統の2つの1次成分抽出値を算出し、前記第1系統の2つの出力信号から前記第1系統の2つの1次成分抽出値をそれぞれ減算して、前記1次成分低減処理後の第1系統の2つの出力信号を算出する請求項1に記載の角度検出装置。
  3. 前記第1系統の1次成分低減処理部は、前記1次成分低減処理において、前記第1系統の2つの出力信号のそれぞれに対して、前記1次成分を抽出する1次成分抽出処理を行って第1系統の2つの1次成分抽出値を算出し、前記1回転周期の各位相において算出した複数の前記第1系統の2つの1次成分抽出値を、対応する位相と関連付けて記憶し、
    位相と関連付けて記憶された複数の前記第1系統の2つの1次成分抽出値を参照し、現在の前記1回転周期の位相に対応する前記第1系統の2つの1次成分抽出値を読み出し、現在の前記第1系統の2つの出力信号から、読み出した前記第1系統の2つの1次成分抽出値をそれぞれ減算して、前記1次成分低減処理後の第1系統の2つの出力信号を算出する請求項1に記載の角度検出装置。
  4. 前記1次成分抽出処理は、前記1次成分を通過させるバンドパスフィルタ処理である請求項2又は3に記載の角度検出装置。
  5. 前記回転子は、N個(Nは、3以上の自然数)の前記突極を有し、
    前記第1系統の1次成分低減処理部は、前記1次成分低減処理において、前記1回転周期の複数の位相のそれぞれにおいて、前記1回転周期の時間をNで除算した統計処理期間の前記第1系統の2つの出力信号に対して統計処理を行って第1系統の2つの1次成分抽出値を算出し、各位相において算出した複数の前記第1系統の2つの1次成分抽出値を、対応する位相と関連付けて記憶し、
    位相と関連付けて記憶された複数の前記第1系統の2つの1次成分抽出値を参照し、現在の位相に対応する前記第1系統の2つの1次成分抽出値を読み出し、現在の前記第1系統の2つの出力信号から、読み出した前記第1系統の2つの1次成分抽出値をそれぞれ減算して、前記1次成分低減処理後の第1系統の2つの出力信号を算出する請求項1に記載の角度検出装置。
  6. 前記回転子は、N個(Nは、3以上の自然数)の前記突極を有し、
    前記第1系統の1次成分低減処理部は、前記1次成分低減処理において、前記1回転周期をN分割したN個の分割期間のそれぞれにおいて、前記分割期間の前記第1系統の2つの出力信号に対して統計処理を行って第1系統の2つの1次成分抽出値を算出し、前記分割期間のそれぞれにおいて算出したN個の前記第1系統の2つの1次成分抽出値を、対応する位相としての前記分割期間と関連付けて記憶し、
    前記分割期間と関連付けて記憶されたN個の前記第1系統の2つの1次成分抽出値を参照し、現在の前記分割期間に対応する前記第1系統の2つの1次成分抽出値を読み出し、現在の前記第1系統の2つの出力信号から、読み出した前記第1系統の2つの1次成分抽出値をそれぞれ減算して、前記1次成分低減処理後の第1系統の2つの出力信号を算出する請求項1に記載の角度検出装置。
  7. 前記統計処理は、平均処理である請求項5又は6に記載の角度検出装置。
  8. 前記第1系統の1次成分低減処理部は、予め設定された記憶条件が成立している場合に、前記第1系統の2つの1次成分抽出値を算出し、算出した複数の前記第1系統の2つの1次成分抽出値を対応する位相と関連付けて記憶する請求項3から7のいずれか一項に記載の角度検出装置。
  9. 前記第1系統の1次成分低減処理部は、予め設定された記憶条件が成立していない場合に、位相と関連付けて記憶された複数の前記第1系統の2つの1次成分抽出値を参照し、現在の前記1回転周期の位相に対応する前記第1系統の2つの1次成分抽出値を読み出し、現在の前記第1系統の2つの出力信号から、読み出した前記第1系統の2つの1次成分抽出値をそれぞれ減算して、前記1次成分低減処理後の第1系統の2つの出力信号を算出し、
    前記記憶条件が成立している場合は、前記1次成分抽出処理により算出された現在の前記第1系統の2つの1次成分抽出値を、現在の前記第1系統の2つの出力信号からそれぞれ減算して、前記1次成分低減処理後の第1系統の2つの出力信号の検出値を算出する請求項3又は4に記載の角度検出装置。
  10. 前記第1角度に基づいて、前記回転子の第1角速度を算出する第1系統の速度算出部を備え、
    前記第1系統の1次成分低減処理部は、前記第1角速度が、予め設定された速度閾値よりも大きい場合に、前記記憶条件が成立していると判定し、前記第1角速度が前記速度閾値以下である場合に、前記記憶条件が成立していないと判定する請求項8又は9に記載の角度検出装置。
  11. 前記第1角度に基づいて、前記回転子の第1角速度を算出する第1系統の速度算出部を備え、
    前記第1系統の1次成分低減処理部は、前記第1角速度が、予め設定された速度閾値よりも大きい場合に、予め設定された記憶条件が成立していると判定し、前記第1角速度が前記速度閾値以下である場合に、前記記憶条件が成立していないと判定し、
    前記記憶条件が成立している場合に、前記第1系統の2つの1次成分抽出値を算出し、算出した複数の前記第1系統の2つの1次成分抽出値を対応する位相と関連付けて記憶し、
    前記速度閾値は、実際の角度変動が生じる最大周波数のN分の1の周波数に対応する角速度に設定されている請求項5から7のいずれか一項に記載の角度検出装置。
  12. 角度の被検出対象は、電動パワーステアリング装置の駆動モータであり、
    前記最大周波数は、機械角で50Hzであり、前記速度閾値は、50HzのN分の1の周波数に対応する角速度に設定されている請求項11に記載の角度検出装置。
  13. 前記固定子に設けられた第2系統の励磁巻線及び第2系統の2つの出力巻線と、
    前記第2系統の励磁巻線に、前記第1周期と異なる第2周期の交流電圧を印加する第2系統の励磁部と、
    前記第2系統の2つの出力巻線の出力信号である第2系統の2つの出力信号を予め設定された検出タイミングで周期的に検出する第2系統の出力信号検出部と、
    前記第2系統の2つの出力信号に対して、前記1次成分低減処理を行う第2系統の1次成分低減処理部と、
    前記1次成分低減処理が行われた前記第2系統の2つの出力信号に基づいて前記回転子の第2角度を算出する第2系統の角度算出部と、を備えた請求項1から12のいずれか一項に記載の角度検出装置。
  14. 前記第1系統の2つの出力信号に対して、前記第2周期の成分を低減する第2周期低減処理を行う第1系統の第2周期低減処理部と、
    前記第2系統の2つの出力信号に対して、前記第1周期の成分を低減する第1周期低減処理を行う第2系統の第1周期低減処理部と、を備え、
    前記第1系統の角度算出部は、前記1次成分低減処理及び前記第2周期低減処理が行われた前記第1系統の2つの出力信号に基づいて前記第1角度を算出し、
    前記第2系統の角度算出部は、前記1次成分低減処理及び前記第1周期低減処理が行われた前記第2系統の2つの出力信号に基づいて前記第2角度を算出する請求項13に記載の角度検出装置。
JP2021575179A 2020-02-06 2020-02-06 角度検出装置 Active JP7209877B2 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2020/004520 WO2021157000A1 (ja) 2020-02-06 2020-02-06 角度検出装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2021157000A1 JPWO2021157000A1 (ja) 2021-08-12
JP7209877B2 true JP7209877B2 (ja) 2023-01-20

Family

ID=77200810

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021575179A Active JP7209877B2 (ja) 2020-02-06 2020-02-06 角度検出装置

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20230194313A1 (ja)
EP (1) EP4102188B1 (ja)
JP (1) JP7209877B2 (ja)
CN (1) CN115003985A (ja)
WO (1) WO2021157000A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP4113069B1 (en) * 2020-02-26 2024-05-15 Mitsubishi Electric Corporation Resolver abnormality detection device

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005168212A (ja) 2003-12-03 2005-06-23 Denso Corp モータ制御装置
JP4157930B2 (ja) 1998-07-06 2008-10-01 多摩川精機株式会社 複重系レゾルバ
JP5281102B2 (ja) 2011-01-07 2013-09-04 東芝機械株式会社 レゾルバ装置、レゾルバの角度検出装置およびその方法
JP5762622B2 (ja) 2012-03-16 2015-08-12 三菱電機株式会社 角度検出装置
JP6242116B2 (ja) 2013-08-23 2017-12-06 三菱電機株式会社 回転角度検出装置
US10690526B2 (en) 2014-10-20 2020-06-23 Hyundai Motor Company Apparatus and method for compensating a position information error of a resolver
JP6918142B2 (ja) 2017-12-21 2021-08-11 三菱電機株式会社 冗長型レゾルバ、およびそれを用いた回転角度検出装置
JP7026827B2 (ja) 2019-01-25 2022-02-28 三菱電機株式会社 角度検出装置

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5041419B2 (ja) * 2007-12-28 2012-10-03 東芝機械株式会社 レゾルバ装置およびレゾルバの角度検出装置とその方法
JP5836026B2 (ja) * 2011-09-08 2015-12-24 三菱重工業株式会社 誤差周波数成分取得装置、回転角度取得装置およびモータ制御装置
WO2017115414A1 (ja) * 2015-12-28 2017-07-06 三菱電機株式会社 回転角度検出装置および回転電機
JP2018205112A (ja) * 2017-06-05 2018-12-27 マブチモーター株式会社 レゾルバを用いた回転角度検出方法及び装置並びにモータ
JP2019124514A (ja) * 2018-01-15 2019-07-25 多摩川精機株式会社 多極レゾルバ
CN113330282B (zh) * 2019-01-22 2023-10-10 三菱电机株式会社 旋转角度检测装置及电动助力转向装置
EP4063799A4 (en) * 2019-11-18 2022-11-02 Mitsubishi Electric Corporation REDUNDANT RESOLVER AND EQUIPPED ELECTRIC POWER STEERING

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4157930B2 (ja) 1998-07-06 2008-10-01 多摩川精機株式会社 複重系レゾルバ
JP2005168212A (ja) 2003-12-03 2005-06-23 Denso Corp モータ制御装置
JP5281102B2 (ja) 2011-01-07 2013-09-04 東芝機械株式会社 レゾルバ装置、レゾルバの角度検出装置およびその方法
JP5762622B2 (ja) 2012-03-16 2015-08-12 三菱電機株式会社 角度検出装置
JP6242116B2 (ja) 2013-08-23 2017-12-06 三菱電機株式会社 回転角度検出装置
US10690526B2 (en) 2014-10-20 2020-06-23 Hyundai Motor Company Apparatus and method for compensating a position information error of a resolver
JP6918142B2 (ja) 2017-12-21 2021-08-11 三菱電機株式会社 冗長型レゾルバ、およびそれを用いた回転角度検出装置
JP7026827B2 (ja) 2019-01-25 2022-02-28 三菱電機株式会社 角度検出装置

Also Published As

Publication number Publication date
EP4102188B1 (en) 2024-01-31
WO2021157000A1 (ja) 2021-08-12
US20230194313A1 (en) 2023-06-22
JPWO2021157000A1 (ja) 2021-08-12
CN115003985A (zh) 2022-09-02
EP4102188A1 (en) 2022-12-14
EP4102188A4 (en) 2023-01-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3019832B1 (en) Rotary encoder post-processing apparatus and rotary encoder
US8947075B2 (en) Variable reluctance type angle sensor
US8942952B2 (en) Rotation angle detection apparatus
EP3396327B1 (en) Rotation angle detector and torque sensor
US11408721B2 (en) Rotation angle detection device and rotation angle detection method
JP7209877B2 (ja) 角度検出装置
WO2020152836A1 (ja) 角度検出装置
JP6652075B2 (ja) 回転角度検出装置
JP2012173258A (ja) トルク測定装置およびこれを搭載したステアリング装置
JPH0854205A (ja) 回転電機の回転位置検出装置
JP7229418B2 (ja) レゾルバの異常検出装置
JP7195478B2 (ja) レゾルバの異常検出装置
CN112514238A (zh) 位置推断方法、马达控制装置以及马达系统
JP7186846B1 (ja) 角度検出装置及び交流回転機の制御システム
WO2023152815A1 (ja) 磁気ギャップ長推定装置、回転電機の駆動装置、回転電機システム、および磁気ギャップ長推定方法
JP7095514B2 (ja) 角度検出装置
WO2014010063A1 (ja) モータ制御装置
CN112534707A (zh) 位置推断方法、马达控制装置以及马达系统
CN112514237A (zh) 位置推断方法、马达控制装置以及马达系统

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211217

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221011

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221213

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230110

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7209877

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151