JP7208945B2 - 回転子、回転子の製造方法及びモータ - Google Patents
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Description
このように、回転子57に本来不要である位置決め部材53や樹脂製ホルダリングを組み込むことは、部品点数が増大して製造コストが嵩むうえに、モータ重量も増加する。
回転子ヨークの周面に周方向で複数に分割され表面が防錆処理された希土類磁石である平板状マグネットを所定間隔で備えた回転子であって、硬化条件の異なる複数の接着剤が用いられ、前記平板状マグネットの接着面に所定時間で硬化する紫外線硬化型若しくは嫌気硬化型の接着剤又は瞬間接着剤のうち少なくともいずれかの第一接着剤が塗布された第一接着部と前記第一接着剤より硬化時間を要するが接着強度が高い熱硬化型の第二接着剤が塗布された第二接着部が隣接又は一部重なり合って形成され、前記回転子ヨークの湾曲面と前記平板状マグネットの平板面との間に形成される空隙部を前記第一接着剤及び第二接着剤の接着剤溜り部として接着剤層が形成されており、前記回転子ヨークの周面に径方向及び軸方向に位置決めされて複数の前記平板状マグネットが前記接着剤溜り部を含む前記第一接着剤の硬化によって前記第一接着部に部分接着され、前記接着剤溜り部を含む前記第二接着剤の熱硬化によって複数の前記平板状マグネットどうしが周方向に所定の隙間を介して前記第一接着部及び前記第二接着部の全てにおいて接着固定されていることを特徴とする。
また、平板状マグネットと回転子ヨークとの間に介在する第一接着剤層に紫外線を照射するか嫌気状態とするか或いは瞬間接着剤を介して接触させるか或いはこれらを組み合わせるだけで、第一接着剤が硬化するため平板状マグネットは回転子ヨークに対して容易に部分接着することができる。さらには、熱硬化型の第二接着剤を加熱硬化させる際に、当該第二接着剤の粘度が一時的に低下しても平板状マグネットは第一接着剤の硬化により部分接着されているので、位置ずれすることはない。
平板状マグネットの接着のため回転子ヨーク側の格別な加工は不要となるため、製造コストが低減できるうえに、回転子ヨークの接着面である湾曲面との間に形成される空隙部を第一接着剤及び第二接着剤の接着剤溜り部として十分な接着スペースとして使用できるので、第一接着部及び第二接着部の接着強度を維持することができる。また、平板状マグネットを第一接着部に部分接着する際に紫外線照射する場合には、湾曲面と平板面の隙間から紫外線を照射する十分なスペースを確保することができる。
これにより、板状マグネットの回転子ヨークに対する最終的な接着強度を維持することができる。
環状マグネットに比べてコストダウンと軽量化を図り、アウターロータ型かインナーロータ型かを問わず回転子ヨークに対する径方向及び軸方向の板状マグネットの位置精度を高く組み付けることができる。
尚、板状マグネットの接着面に塗布される第一接着剤及び第二接着剤は、接着面に直接塗布される場合と、予め被接着面に供給されて間接的に塗布される場合の双方含むものとする。
また、平板状マグネットに塗布された紫外線硬化型若しくは嫌気硬化型の接着剤又は瞬間接着剤のうち少なくともいずれかの第一接着剤を硬化させて当該板状マグネットを回転子ヨークに対して第一接着部で部分接着してから、当該回転子ヨークより位置決め部材を抜き取ることができ、本来不要である位置決め部材を省略することで部品点数を減らし製造コストを低減し回転子の軽量化を実現することができる。
また、位置決め部材を回転子ヨークから除去した後で、平板状マグネットに塗布された熱硬化型の第二接着剤を熱硬化させて回転子ヨークに対して第一接着部及び第二接着部の全てにおいて接着固定するので、平板状マグネットを位置精度よく接着固定することができる。
特に平板状マグネットの平板面と回転子ヨークの接着面である湾曲面との間に形成される空隙部を第一接着剤及び第二接着剤の接着剤溜り部として十分な接着スペースとして使用できるので、第一接着部及び第二接着部の接着強度を維持することができる。
平板状マグネットが予め着磁されていると、回転子ヨークに挿入する際に互いに吸引し合って吸着するおそれがあるが、位置決め部材を用いることにより、そのような不具合が発生することはない。
また、平板状マグネットが回転子ヨーク内に接着された後に着磁されるようにすれば、平板状マグネットの組み付け作業がし易くなり、熱減磁の影響も受けにくくなる。
また、複数の板状マグネットの径方向及び軸方向の位置決めを行なって位置精度良く回転子ヨークに接着固定することができる組立性の良い回転子の製造方法を提供することができる。
また、上記回転子を用いて、安価で組立性がよくモータ特性を維持することができるモータを提供することができる。
図3A3,図3B3に示すように、筒状の回転子ヨーク5の内周面5aに周方向に複数に分割された板状マグネット6が所定間隔で隙間を空けて設けられている。板状マグネット6は表面が防錆処理された希土類磁石(例えばネオジム磁石)が用いられ、回転子ヨーク5と平板状の板状マグネット6間の隙間に、第一接着剤8a及び第二接着剤8bを介在させて接着されている。これにより、後述するように、高出力の板状マグネット6を回転子ヨーク5に対して異なる種類の接着剤を用いて位置ずれすることなく接着固定することができる。
板状マグネット6の接着面6cには、図5A,Bに示すように、部分接着用の第一接着剤8aが塗布される第一接着部6aと加熱硬化させる固定接着用の第二接着剤8bが塗布される第二接着部6bが隣接して形成される点は平板状マグネットの場合と同様である。回転子ヨーク5の内周面5aに板状マグネット6が接着された状態を図3A3に示す。
このとき、板状マグネット6は第一接着部6aに第一接着剤8aが塗布されているので、板状マグネット6を回転子ヨーク5に径方向及び軸方向に位置決めして第一接着剤8aを硬化させて(例えば紫外線を照射して)部分接着することができる。
これにより、本来不要な位置決め部材10を減らし製造コストを低減し回転子1の軽量化を実現することができる。
また、複数の板状マグネット6が位置決め部材10を用いて回転子ヨーク5に所定間隔で接着固定されているので、環状マグネットに比べてコストダウンを図り、回転子ヨーク5に対する径方向及び軸方向の板状マグネット6の位置精度が高く位置ずれすることなく組み付けることができる。
このとき、板状マグネット6は接着面6cに第一接着剤8aが塗布されているので、板状マグネット6を回転子ヨーク5に位置決めして第一接着剤8aを硬化させて(例えば紫外線を照射して)部分接着することができる。板状マグネット6を部分接着した状態で、回転子ヨーク5から不要となった位置決め部材10を引き抜いて除去することができる。回転子ヨーク5から位置決め部材10を除去してから、第二接着剤8bを例えば100°~180°で加熱硬化することで板状マグネット6を第一接着部6a及び第二接着部6bの全てにおいて接着固定する。加熱硬化工程では第二接着剤8bの粘度が一時的に低下するが、第一接着剤8aにより部分接着されているので板状マグネット6が位置ずれすることはない。
また、モータMにおいては、上述したいずれかの回転子1と、当該回転子1の板状マグネット6に対向する固定子極歯7bを有する固定子2と、を備えたことにより、安価、軽量で組立性がよくモータ特性を維持することができるアウターロータ型モータ又はインナーロータ型モータを提供することができる。
尚、第一接着剤8aは、紫外線硬化型若しくは嫌気硬化型の接着剤又は瞬間接着剤のうち少なくともいずれかが用いられればよく、例えば紫外線硬化性の接着剤と嫌気性接着剤が混在しているものであってもよい。この場合には、紫外線照射により板状マグネット6の端面の接着剤が硬化することにより外気と遮断され、それより内部(空隙部9内部:図3B2参照)の接着剤が嫌気状態となって硬化する。
次いで図2Aに示すように、図1Aで組み立てた回転子ハブ4及び回転子軸3を回転子ヨーク5の一端開口に嵌め込んで一体に組み付け回転子1を組み立てる。回転子1組み立て後の状態を図2Bに示す。
板状マグネット6が予め着磁されていると、回転子ヨーク5に挿入する際に互いに吸引し合って吸着するおそれがあるが、位置決め部材10を用いることにより、そのような不具合が発生することはない。また、板状マグネット6が回転子ヨーク5の内周面5aに接着された後に着磁されるようにすれば、板状マグネット6の組み付け作業がし易くなり、熱減磁の影響も受けにくくなる。
また、板状マグネット6に塗布された第一接着剤8aを硬化させて当該板状マグネット6を第一接着部6aにて回転子ヨーク5に対して部分接着してから、当該回転子ヨーク5より位置決め部材10を抜き取ることができ、本来不要である位置決め部材10を省略することで部品点数を減らし製造コストを低減し回転子1の軽量化を実現することができる。
また、位置決め部材10を回転子ヨーク5から除去した後で、板状マグネット6に塗布された第二接着剤8bを加熱硬化させて回転子ヨーク5に対して接着固定するので、板状マグネット6を位置精度よく接着固定することができる。
また、上記回転子1を用いて、安価で組立性がよくモータ特性を維持することができるモータMを提供することができる。
Claims (9)
- 回転子ヨークの周面に周方向で複数に分割され表面が防錆処理された希土類磁石である平板状マグネットを所定間隔で備えた回転子であって、
硬化条件の異なる複数の接着剤が用いられ、前記平板状マグネットの接着面に所定時間で硬化する紫外線硬化型若しくは嫌気硬化型の接着剤又は瞬間接着剤のうち少なくともいずれかの第一接着剤が塗布された第一接着部と前記第一接着剤より硬化時間を要するが接着強度が高い熱硬化型の第二接着剤が塗布された第二接着部が隣接又は一部重なり合って形成され、前記回転子ヨークの湾曲面と前記平板状マグネットの平板面との間に形成される空隙部を前記第一接着剤及び第二接着剤の接着剤溜り部として接着剤層が形成されており、
前記回転子ヨークの周面に径方向及び軸方向に位置決めされて複数の前記平板状マグネットが前記接着剤溜り部を含む前記第一接着剤の硬化によって前記第一接着部に部分接着され、前記接着剤溜り部を含む前記第二接着剤の熱硬化によって複数の前記平板状マグネットどうしが周方向に所定の隙間を介して前記第一接着部及び前記第二接着部の全てにおいて接着固定されていることを特徴とする回転子。 - 前記平板状マグネットの接着面において前記第一接着剤が塗布される前記第一接着部と前記第二接着剤が塗布される前記第二接着部の面積は、前記第二接着部が前記第一接着部と同等かそれより大きい面積を有する請求項1記載の回転子。
- カップ状に形成される回転子ヨークの内周面に周方向に複数に分割された前記平板状マグネットを所定間隔で固定されたアウターロータ型モータの回転子である請求項1又は請求項2記載の回転子。
- 円柱状に形成される回転子ヨークの外周面に周方向に複数に分割された前記平板状マグネットを所定間隔で固定されたインナーロータ型モータの回転子である請求項1又は請求項2記載の回転子。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の回転子と、当該回転子の前記平板状マグネットに対向する固定子極歯を有する固定子と、を備えたことを特徴とするモータ。
- 複数に分割され表面が防錆処理された希土類磁石である平板状マグネットの接着面に所定時間で硬化する紫外線硬化型若しくは嫌気硬化型の接着剤又は瞬間接着剤のうち少なくともいずれかの第一接着剤を回転子ヨークの湾曲面と前記平板状マグネットの平板面との間に形成される空隙部を接着剤溜り部とする第一接着部に各々塗布する工程と、
前記平板状マグネットの接着面に前記第一接着剤より硬化時間を要するが接着強度が高い熱硬化型の第二接着剤を回転子ヨークの湾曲面と前記平板状マグネットの平板面との間に形成される空隙部を接着剤溜り部とし前記第一接着部と隣接又は一部重なり合って形成される第二接着部に各々塗布する工程と、
前記回転子ヨークの周面に前記平板状マグネットを径方向及び軸方向に位置決めする櫛歯状の仕切り部材が環状に連結された位置決め部材を装着する工程と、
前記位置決め部材が装着された前記回転子ヨークの仕切り部材間に、前記平板状マグネットを前記仕切り部材間に位置決めして前記第一接着剤及び前記第二接着剤を介して前記回転子ヨークの周面に所定間隔で配置する工程と、
前記平板状マグネットに塗布された前記第一接着剤を硬化させて当該平板状マグネットを前記第一接着部にて前記回転子ヨークに対して径方向及び軸方向に位置決めして部分接着する工程と、
前記回転子ヨークより前記位置決め部材を抜き取る工程と、
前記第二接着剤を熱硬化させて前記接着剤溜り部を含む接着領域の前記第一接着剤及び前記第二接着剤を硬化させて前記第一接着部及び前記第二接着部の全てにおいて前記平板状マグネットを前記回転子ヨークに対して接着固定する工程と、を含むことを特徴とする回転子の製造方法。 - 筒状の前記回転子ヨークの内周面に前記平板状マグネットを径方向及び軸方向に位置決めする櫛歯状の仕切り部材が環状連結部に連結された位置決め部材を装着する工程と、
複数の前記平板状マグネットを前記仕切り部材間に各々挿入すると共に第一接着剤及び第二接着剤を介して前記回転子ヨークの内周面に位置決めして所定間隔で配置する工程と、
前記回転子ヨークに回転子ハブ及び回転子軸を一体に組み付ける工程と、を含む請求項6記載のアウターロータ型モータの回転子の製造方法。 - 回転子軸を中心とする前記回転子ヨークの外周面に前記平板状マグネットを径方向及び軸方向に位置決めする櫛歯状の仕切り部材が環状連結部に連結された位置決め部材を装着する工程と、
複数の前記平板状マグネットを前記仕切り部材間に各々挿入すると共に前記第一接着剤及び前記第二接着剤を介して前記回転子ヨークの外周面に位置決めして所定間隔で配置する工程と、を含む請求項6記載のインナーロータ型モータの回転子の製造方法。 - 複数の前記平板状マグネットは前記回転子ヨーク内に接着される前に着磁されているか若しくは前記回転子ヨーク内に接着された後に着磁される請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の回転子の製造方法。
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