特許法第30条第2項適用 令和3年5月18日、令和3年6月9日、令和3年7月15日、令和3年8月20日、令和3年8月31日、令和3年10月28日、令和3年11月16日、令和4年2月17日、令和4年3月10日にそれぞれ、計9箇所の開示先に納品し、取り扱いについて説明
以下、本実施形態に係るセレモニーシステムについて、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
[セレモニーシステムの構成]
まず、本形態に係るセレモニーシステム1の全体構成について、図1~図3により説明する。図1および図2は、セレモニーシステム1が設置された会場2内を示す図である。図1は、幕10が上がった(開いた)状態の会場2内を示す図である。図2は、幕10が下りた(閉じた)状態の会場2内を示す図である。図3は、セレモニーシステム1の概略構成図である。本形態に係るセレモニーシステム1は、葬儀用のものである。
図1に示すように、会場2には、壁3に沿って祭壇21が設けられている。祭壇21には、モニター22が設けられている。モニター22は、故人の画像を表示することで遺影として機能することができる。なお、本形態において、画像には、静止画像の他、動画(映像)も含まれる。モニター22は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(electro-luminescence)ディスプレイ等に代表される自発光型の画像表示装置である。本実施形態において、自発光型の画像表示装置とは、スクリーン等の画像表示領域に投射された画像が、その反射光により認識される反射型に対して、発光による画像表示領域から前面側(すなわち視認者側)への投射光によって画像が認識されるものである。祭壇21の前方には、棺23が設けられている。棺23のさらに前方には、焼香台24が設けられている。
会場2の天井には、照明25および投影装置26が設けられている。本形態の照明25は、主照明25Aと演出用照明25Bとを有している。主照明25Aは、会場2内を照らし、明るくすることを主な目的としたものである。演出用照明25Bは、主照明25Aよりも照度の低いものであり、演出用としても用いることができるものである。投影装置26は、投影画像を投射する投射レンズを祭壇21側に向けて設けられている。このため、投影装置26は、祭壇21、棺23、焼香台24の表面に投影によって画像を形成できる。つまり、祭壇21、棺23、焼香台24は、投影装置26による画像投影の対象である被投影部30を構成している。また、天井付近には、幕10が設けられている。図1に示すように、幕10は、上がった(開いた)状態では目立たないようになっている。
図2に示すように、幕10は、床付近までおろす(閉じる)ことができる。本形態の幕10は、目が粗く厚みの薄い布により構成された紗幕である。このため、本形態の幕10は、光を完全に遮断するものではなく、光をある程度透過させることができる。
幕10の上部は、会場2内における天井付近であって、祭壇21と棺23との間に固定されている。つまり、幕10は、祭壇21から投影装置26までの間に設けられている。また、幕10の下端は、上昇および下降することができる。幕10は、下端まで下降した閉状態では、図2に示すように、祭壇21と投影装置26との間に位置し、これらを隔てることとなる。一方、幕10は、上端まで上昇した開状態では、図1に示すように、投影装置26から見て、祭壇21の前方から排除される。すなわち、幕10は、開状態では、祭壇21と投影装置26との間に位置する面積が、閉状態のときよりも小さくなる。
幕10の閉状態では、投影装置26による投影画像は、幕10の前面に形成される。すなわち、幕10は、閉状態において、被投影部30を構成する。閉状態の幕10は、投影装置26からの投影距離が一定の平坦なものである。このような幕10について、平面被投影部31ということがある。これに対し、祭壇21、棺23、焼香台24は、投影装置26からの投影距離が、部分によって異なる立体形状をしている。このような祭壇21、棺23、焼香台24について、立体被投影部32ということがある。なお、投影画像によっては、祭壇21の後方の壁3も、祭壇21等とともに立体被投影部32を構成することができる。立体被投影部32のうち、特に、祭壇21については、画像が投影される表面積が大きく、かつ、奥行きも大きい立体形状をしている。
投影装置26は、平面被投影部31について平面用画像を投影することができるとともに、立体被投影部32についてプロジェクションマッピングを行うことができる。すなわち、立体被投影部32については、予め三次元計測により、形状に沿った座標が取得されている。これにより、セレモニーシステム1は、投影装置26により、それぞれ異なる座標を有する立体被投影部32の各表面に応じた立体用画像を投影することができる。すなわち、立体用画像は、立体形状を有する立体被投影部32の形状に対応する画像である。
図3に示すように、セレモニーシステム1は、複数の機器が接続されることにより構成されている。本形態において、セレモニーシステム1における各部同士の接続は、有線による接続である。セレモニーシステム1は、会場2内を演出するため、前述したモニター22、照明25、投影装置26に加え、幕駆動部10mを備えている。幕駆動部10mは、幕10の下端を上昇および下降させることができる駆動源である。
セレモニーシステム1は、投影装置26に接続された主制御装置40を備えている。主制御装置40は、CPU41およびメモリ42を備えている。CPU41は、メモリ42から読み出したプログラムに基づいて各種の処理を実行することなどができる。メモリ42は、CPU41が実行するプログラムや、投影装置26により投影する画像データ等の各種のデータを記憶している。メモリ42は、例えば、ROM、RAM、HDD等の主制御装置40に内蔵されたものや、主制御装置40に接続され、CPU41による読み取り、書き込みが可能な外部ストレージ媒体である。主制御装置40には、例えば、BrightSign社製のBrightSignXT-1144を用いることができる。主制御装置40は、画像の投影時には、投影装置26に対し、投影画像に係る画像信号を出力することができる。これにより、投影装置26は、主制御装置40から入力された画像信号に応じた画像の投射を行うことができる。具体的には、例えば、主制御装置40のメモリ42には、投影装置26による投影範囲の全面にわたって表示される全面画像の画像データが記憶されている。このため、主制御装置40は、投影装置26に全面画像を投影させること等ができる。
主制御装置40には、主操作部50が接続されている。本形態の主操作部50は、操作者の操作入力を受け付けることができるタッチパネル対応のディスプレイを備えたものである。主操作部50は、操作入力に応じて、主制御装置40に対し、主制御装置40に所定のプログラムを実行させたり、各機器を個別に制御させるための操作信号を出力する。また、主操作部50には、主制御装置40から出力される画像信号が入力される。このため、主操作部50のディスプレイは、投影装置26による投影画像と同じ画像を表示できる。
主制御装置40には、入力切替装置60を介してディスク再生装置61、画像入力用PC62、本編シナリオ入力装置63が接続されている。ディスク再生装置61、画像入力用PC62、本編シナリオ入力装置63はいずれも、画像データが含まれたデータを、入力切替装置60を介して主制御装置40へと出力することができる。入力切替装置60は、主制御装置40へと入力されるデータの出力先を、ディスク再生装置61、画像入力用PC62、本編シナリオ入力装置63の中から切り替えることができるものである。
ディスク再生装置61および画像入力用PC62は、例えば、CD、DVD、ブルーレイディスク(BD)、USBメモリ、SDカード等の記録媒体に記録された画像データを読み取り、その画像データを出力できるものである。ディスク再生装置61と画像入力用PC62とは、読み取り対象である記録媒体の種類や、記録媒体に記録されている画像データのファイル形式によって使い分けることができる。画像データを記録した記録媒体は、例えば、遺族等から提供を受けたものである。
本編シナリオ入力装置63は、本編シナリオ製作用PC64によって作製された本編シナリオデータを読み取り、出力することができる。本編シナリオデータは、時間の経過に応じて変化する画像データに加え、幕駆動部10m、モニター22、照明25等の各機器の制御タイミングを示すタイムテーブルを含むデータである。本編シナリオ入力装置63による本編シナリオデータの読み取りは、例えば、USBメモリ等の記録媒体に本編シナリオ製作用PC64によって作製された本編シナリオデータを記録させ、その記録媒体を本編シナリオ入力装置63へと接続することで行うことができる。
このため、本編シナリオ入力装置63は、本編シナリオ製作用PC64から離れた場所に設置することができる。すなわち、本編シナリオ製作用PC64は、必ずしも会場2内に設置されていなくてもよい。例えば、会場2外の本編シナリオ製作用PC64で作製した本編シナリオデータは、インターネット等のネットワークを介して会場2内に設置されたPCへと転送することができる。そして、その会場2内のPCに接続した記録媒体へと本編シナリオデータを記録させ、その記録媒体から、本編シナリオデータを本編シナリオ入力装置63に読み取らせることができる。このため、画像の編集等に係る高度な技術を有する熟練者でなければ作製できないような本編シナリオデータであっても、会場2の外部で作製し、会場2内へと持ち込むことができる。よって、本編シナリオデータによる演出を行う会場2に、必ずしも、画像の編集等に係る高度な技術を有する担当者を配置する必要はない。
主制御装置40には、スイッチングハブ70を介して、ライティングコントローラ81、I/Oコントローラ82が接続されている。本形態では、スイッチングハブ70から各部への接続は、UDPネットワーク信号によるコンピュータ通信が可能なものである。ライティングコントローラ81は、照明25と接続されており、例えば、DMX通信によって照明25を制御できる。このため、主制御装置40は、ライティングコントローラ81を介して照明25のON(点灯)、OFF(消灯)等の制御ができる。照明25によっては、光量や光色の調整が可能であってもよい。
I/Oコントローラ82は、入力された信号に応じた接点信号を出力することで、接続された各部を制御できる。I/Oコントローラ82には、幕駆動部10m、特定画像入力装置83、入力切替装置60、本編シナリオ入力装置63が接続されている。このため、主制御装置40は、幕駆動部10mを動作させ、幕10を閉状態と開状態とで切り替える制御が可能である。
特定画像入力装置83は、モニター22に接続されており、モニター22に対して画像信号を出力することができる。このため、特定画像入力装置83は、モニター22に表示される画像を制御できる。特定画像入力装置83は、特定画像に係る画像データが記録された記録媒体から画像データを読み取ることで、モニター22に特定画像を表示させることができる。本形態における特定画像は、故人の画像であり、遺族等から提供を受けたものである。特定画像入力装置83に接続する記録媒体としては、例えば、USBメモリ、SDカード等が例示される。また、特定画像入力装置83は、モニター22の電源の投入(ON)、遮断(OFF)についても制御できる。そして、特定画像入力装置83が主制御装置40へと接続されていることにより、主制御装置40は、モニター22の電源のON、OFF、および、モニター22への画像信号の入力のON、OFFについての制御も可能である。
さらに、主制御装置40は、スイッチングハブ70およびI/Oコントローラ82を介して入力切替装置60、本編シナリオ入力装置63へと接続されている。このため、主制御装置40は、入力切替装置60によるデータ入力先の切り替えや、本編シナリオ入力装置63による本編シナリオデータの出力またはその停止についても制御できる。
また、セレモニーシステム1は、各部を操作することができる操作部として、主操作部50の他に、第1専用操作部90、第2専用操作部91を有している。第1専用操作部90は、ライティングコントローラ81、I/Oコントローラ82へと接続されている。このため、第1専用操作部90を操作することで、照明25のON、OFF等を行うことができる。また、第1専用操作部90を操作することで、特定画像入力装置83を制御し、モニター22の電源のON、OFF、モニター22への画像信号の入力のON、OFFを制御することができる。さらに、第1専用操作部90を操作することで、画像を投影するプログラムの一部について、主制御装置40に行わせることもできるようになっている。
第2専用操作部91は、投影装置26のコントローラである。よって、投影装置26の電源のON、OFFや、投影装置26に係る各種の設定を行うことができる。また、第2専用操作部91は、I/Oコントローラ82を介して幕駆動部10mへと接続されている。このため、第2専用操作部91を操作することで、幕10を閉状態と開状態とで切り替えることが可能である。
このように、セレモニーシステム1では、第1専用操作部90および第2専用操作部91を操作することで、幕10、モニター22、照明25、投影装置26等の演出用機器を個別に動作させることができる。つまり、第1専用操作部90および第2専用操作部91を用い、幕10、モニター22、照明25、投影装置26のうちの一つを動作させる演出を行うことができる。また、第1専用操作部90および第2専用操作部91を用い、複数の演出用機器を適切なタイミングで動作させることで、複数の演出用機器が関連して演出を行う複合演出を行うことも可能である。ただし、第1専用操作部90および第2専用操作部91により各演出用機器を適切なタイミングで動作させるためには、演出用機器の操作に熟練した担当者が必要である。また、複数の演出用機器を用いる複合演出の内容によっては、第1専用操作部90、第2専用操作部91の操作担当者が複数、必要となることもある。
一方、主操作部50では、主制御装置40に操作信号に応じたプログラムを実行させることができる。例えば、本編シナリオデータに応じた演出プログラムを実行させることで、本編シナリオデータに沿ってすべての機器を関連するタイミングで動作させて複合演出を行うことができる。このように、複数の演出用機器を関連させて動作させることが可能なプログラムを、本形態では複合コントロールプログラムということがある。そして、セレモニーシステム1では、主操作部50の操作により複合コントロールプログラムを実行することで、複数の演出用機器が関連して動作する複合演出を簡単に行うことができる。
次に、主操作部50について詳細に説明する。図4には、主操作部50のタッチパネル対応のディスプレイである表示画面50Dを示している。表示画面50Dには、投影画像表示領域51が設けられている。投影画像表示領域51には、主制御装置40から出力される画像信号に応じた画像が表示される。これにより、主操作部50の操作者は、投影画像表示領域51により、投影装置26による投影画像を確認することができる。
表示画面50Dにおける投影画像表示領域51の下方には、複数の操作ボタン(仮想ボタン)が表示されている。主操作部50には、操作ボタンとして、全面反復ボタン52、全面開放ボタン53、開放ボタン54、本編ボタン55、合成ボタン56、特定画像ボタン57、停止ボタン58が設けられている。主操作部50は、操作された操作ボタンに対応した操作信号を主制御装置40に出力する。主制御装置40は、全面反復ボタン52、全面開放ボタン53、開放ボタン54、本編ボタン55、合成ボタン56、特定画像ボタン57に係る操作信号が入力されると、操作信号に対応した演出用機器を用いて演出を開始する。また、主制御装置40は、停止ボタン58に係る操作信号が入力されると、動作中の演出用機器を停止させ、実行中の演出を終了する。
主制御装置40は、全面反復ボタン52の操作信号が入力されると、投影装置26を用いた演出を行うプログラムを実行する。具体的に、全面反復ボタン52の操作信号が入力された主制御装置40は、メモリ42に記憶している全面画像の投影を開始する。全面画像は、投影装置26による投影領域の全面に表示される、所定の時間の長さ(例えば1分)の動画である。主制御装置40は、全面反復ボタン52の操作信号が入力された後、停止ボタン58に係る操作信号が入力されるまで、全面画像を繰り返し投影する。
主制御装置40は、全面開放ボタン53の操作信号が入力されると、幕10、モニター22、照明25、投影装置26を用いた複合演出を行う複合コントロールプログラムを実行する。主制御装置40は、全面開放ボタン53に対応した複合コントロールプログラムでは、メモリ42に記憶されている全面開放シナリオデータに沿って、幕10、モニター22、照明25、投影装置26のすべての制御を伴う複合演出を開始する。
主制御装置40は、開放ボタン54の操作信号が入力されると、幕10を閉状態から開状態とする演出を行うプログラムを実行する。当プログラムでは、幕10を閉状態から開状態とするだけでなく、動作中の幕10に、投影装置26によって幕10が上昇する態様の画像が投影されたり、モニター22や照明25が幕10の動作に関連したタイミングで制御されたりする複合演出が行われる。つまり、開放ボタン54の操作信号に応じて行われる演出についても複合演出であり、この実行プログラムは複合コントロールプログラムである。主制御装置40は、開放ボタン54に対応した複合コントロールプログラムでは、メモリ42に記憶されている開放シナリオデータに沿って、幕10、モニター22、照明25、投影装置26のすべての制御を伴う複合演出を開始する。
主制御装置40は、本編ボタン55の操作信号が入力されると、幕10、モニター22、照明25、投影装置26を用いた複合演出を行う複合コントロールプログラムを実行する。主制御装置40は、本編ボタン55に対応した複合コントロールプログラムでは、まず、入力切替装置60によるデータ入力先が本編シナリオ入力装置63でない場合には、データ入力先を本編シナリオ入力装置63とする。さらに、本編シナリオ入力装置63に本編シナリオデータを出力させるとともに、本編シナリオ入力装置63から入力される本編シナリオデータに沿って、幕10、モニター22、照明25、投影装置26のすべての制御を伴う複合演出を開始する。
主制御装置40は、合成ボタン56の操作信号が入力されると、投影装置26を用いた演出を行うプログラムを実行する。具体的に、合成ボタン56の操作信号が入力された主制御装置40は、投影装置26の投影領域における一部を占める挿入領域に、ディスク再生装置61または画像入力用PC62から入力される画像を表示する。ディスク再生装置61または画像入力用PC62からの入力画像が静止画像である場合、予め定められた所定時間だけ入力画像を表示した後、入力画像の投影を終了する。一方、入力画像が動画である場合、その動画を最後まで再生した後、入力画像の投影を終了する。さらに、主制御装置40は、全面反復ボタン52の操作信号に応じて全面画像を表示中に合成ボタン56の操作信号が入力された場合には、全面画像における挿入領域について、ディスク再生装置61または画像入力用PC62からの入力画像を表示する。
主制御装置40は、特定画像ボタン57の操作信号が入力されると、特定画像入力装置83による、モニター22の特定画像の表示、非表示を切り替える。すなわち、モニター22に特定画像が表示されている状態で、主制御装置40に特定画像ボタン57の操作信号が入力されると、特定画像が非表示とされる。一方、モニター22に特定画像が表示されていない状態で、主制御装置40に特定画像ボタン57の操作信号が入力されると、モニター22に特定画像が表示される。特定画像ボタン57による特定画像の表示、非表示の切り替えは、例えば、全面反復ボタン52の操作信号に応じて全面画像を表示中にも行うことができる。なお、複合コントロールプログラムの実行中には、特定画像ボタン57による特定画像の表示、非表示の切り替えは制限される。
ここで、特定画像の非表示の状態としては、例えば、モニター22の電源をOFFとした状態を挙げることができる。また例えば、特定画像の非表示の状態として、モニター22に特定画像よりも全体として明度が低い画像(例えばブラック一色の画像)を表示させた状態を挙げることもできる。また例えば、特定画像の非表示の状態として、モニター22が、入力信号のないときの画面の明度が全体として特定画像よりも低いものである場合には、その入力信号のない状態を挙げることもできる。
ただし、モニター22は、一般的に、電源がOFFの状態からONとされた場合、入力信号に応じた画像を表示できる状態となるまでに時間を要する。すなわち、特定画像の非表示の状態としてモニター22の電源をOFFとした状態を採用した場合、非表示の状態で特定画像を表示する操作が行われてから、実際に特定画像が表示されるまで、タイムラグが生じるおそれがある。また、モニターには、電源がONとされた際に、起動したことを示す起動画像(例えば、メーカーのロゴ画像など)を表示するものもある。このようなモニターを用いた場合、その起動画像がセレモニーの荘厳な雰囲気の妨げとなるおそれがある。よって、特定画像の非表示の状態としては、モニター22に特定画像よりも明度が低い画像を表示させた状態、または、入力信号がないときの画面の明度が特定画像よりも低いモニター22を用い、入力信号を入力しない状態を採用することが好ましい。そして、特定画像よりも明度が低い画像が表示された状態のモニター22、および、入力信号がないときの画面の明度が特定画像よりも低く、入力信号が入力されていない状態のモニター22はともに、特定画像よりも明度の低い低明度状態であるといえる。
また、モニターには、入力信号がない状態で、その旨を示す注意画像(例えば、信号が入力されていません)を表示するものがある。このようなモニターである場合、その注意画像がセレモニーの妨げとなるおそれがある。よって、特定画像の非表示の状態としては、モニター22に特定画像よりも明度が低い画像を表示させた状態を採用することが、より好ましい。どのようなモニター22であっても、適切に低明度状態とすることができるからである。
[セレモニーシステムによる演出例]
次に、上記のセレモニーシステム1で行われる演出例について説明する。セレモニーシステム1では、主操作部50の操作に基づいて、「全面反復演出」、「全面開放演出」、「開放演出」、「本編演出」を実行可能である。本形態において、これらの演出はいずれも、幕10が閉状態にて開始される。
「全面反復演出」
全面反復演出は、主操作部50の全面反復ボタン52に対応する演出である。主制御装置40は、全面反復ボタン52の操作信号が入力されると、全面反復演出に係るプログラムを実行する。全面反復演出では、投影装置26による所定の画像投影が行われる。
図5に、全面反復演出にて投影される画像の例を示す。全面反復演出では、図5に示すように、季節画像GA10が被投影部30に投影される。季節画像GA10は、季節に応じた内容の画像であるとともに、被投影部30の全面にわたって表示される全面画像である。季節画像GA10は、平面用画像である平面用季節画像GA11と、立体用季節画像GA12とにより構成されている。幕10の閉状態では、被投影部30は、主に、平面被投影部31である幕10により構成されている。平面用季節画像GA11は、平面被投影部31である幕10に投影される画像である。また、閉状態の幕10の前方には、立体被投影部32である棺23および焼香台24が配置されている。そして、季節画像GA10の中央下部に位置する立体用季節画像GA12は、立体被投影部32である棺23および焼香台24に投影される画像である。
全面反復演出では、会場2内を、四季を適切に感じられる環境とすることができる。なお、全面反復演出は複合コントロールプログラムにより行われる複合演出ではない。このため、全面反復演出では、投影装置26による季節画像GA10の投影に応じて、幕10、照明25、モニター22が関連して制御される演出は行われない。このため、会場2内が明るい場合には、全面反復演出を開始する前に照明25をOFFとする等の、会場2内の投影装置26以外の機器を個別に操作する必要がある。
主制御装置40は、全面反復演出中に合成ボタン56の操作信号が入力されると、図6に示すように合成画像GA20を投影するプログラムを実行する。合成画像GA20は、投影装置26の投影領域における一部を占める挿入領域Sに表示される。挿入領域Sは、幕10内に位置する領域である。合成画像GA20は、季節画像GA10に重ねて表示されているように視認される。合成画像GA20は、ディスク再生装置61または画像入力用PC62から入力される画像である。なお、合成画像GA20は、合成画像GA20の外縁に沿って所定のフレームの画像を付して表示するとよい。季節画像GA10内で、合成画像GA20を見栄えよく目立たせることができるからである。
「全面開放演出」
全面開放演出は、主操作部50の全面開放ボタン53に対応する演出である。主制御装置40は、全面開放ボタン53の操作信号が入力されると、全面開放演出に係る複合コントロールプログラムを実行する。全面開放演出では、投影装置26による所定の画像投影が行われるとともに、投影画像に関連するタイミングで幕10、モニター22、照明25がそれぞれ制御される。
図7に、全面開放演出に係る全面開放シナリオデータを示す。全面開放シナリオデータには、時間の経過に応じて変化する全面画像と、照明25、モニター22、幕10の制御タイミングを示すタイムテーブルが含まれている。
全面開放演出では、図7に示すように、全面画像として、季節画像GB10、幕開放画像GB20、ED(エンディング)画像GB30がこの順で被投影部30に投影される。季節画像GB10の投影期間は、タイミングt11からt12までである。幕開放画像GB20の投影期間は、タイミングt12からt13までである。ED画像GB30の投影期間は、タイミングt13からt15までである。主制御装置40は、全面開放シナリオデータに係る全面画像の各投影期間についてそれぞれ、適切に画像投影が行われるように、投影装置26に対して画像信号を出力する。
また、全面開放演出は、主照明25AがONであり、会場2が明るい状態で開始される。なお、全面開放演出開始時における演出用照明25BはOFFである。主照明25Aは、タイミングt10にてOFFとされる。タイミングt10は、最初の季節画像GB10の投影が開始されるタイミングt11よりも前である。つまり、会場2内が暗い状態で、季節画像GB10の投影を開始できる。さらに、主照明25Aが再度ONとされるタイミングt16は、最後のED画像GB30の投影が終了するタイミングt15よりも後である。このため、投影装置26による投影画像をすべて、出席者等に適切に視認させることができる。
演出用照明25Bは、ED画像GB30の投影期間(t13~t15)に合わせてONとされる。すなわち、ED画像GB30の投影期間においては、ED画像GB30に演出用照明25Bを合わせた演出が行われる。主制御装置40は、全面開放シナリオデータに係る主照明25A、演出用照明25BのONまたはOFFタイミングでそれぞれ、これらが適切に制御されるように制御信号を出力する。
また、全面開放演出は、幕10の閉状態にて開始され、幕開放画像GB20の投影期間(t12~t13)に合わせて開状態とされる。すなわち、季節画像GB10は、幕10の閉状態にて投影される。また、ED画像GB30は、幕10の開状態にて投影される。主制御装置40は、全面開放シナリオデータに係る幕10の動作タイミングで、幕10が適切に閉状態から開状態となるように制御信号を出力する。
また、全面開放演出は、モニター22の電源がOFFの状態で開始される。モニター22の電源は、タイミングt10にてONとされる。そして、モニター22への特定画像の画像信号の入力は、ED画像GB30の投影期間(t13~t15)中のタイミングt14に開始される。すなわち、主制御装置40は、モニター22の電源を投入する制御信号を、モニター22へ特定画像の画像信号を入力させる制御信号を出力する前に出力する。これにより、主制御装置40は、特定画像の表示タイミングの前にあらかじめ、モニター22を、画像信号の入力に応じてすぐに特定画像を表示できる状態としておくことができる。よって、特定画像が実際に表示されるタイミングが、全面開放シナリオデータにおける表示タイミングに対して遅れてしまうことが防止されている。なお、モニター22は、電源がONとされた後、特定画像の画像信号が入力されていない間には、例えば、特定画像よりも暗いブラック一色の画像信号が入力されること等により、低明度状態をとる。
図8、図9により、全面開放演出が行われる様子を説明する。図8は、全面開放演出が開始される様子を示す図である。図9は、幕10が閉状態から開状態となり、演出が終了する様子を示す図である。
全面開放演出は、図8(A)に示すように、幕10が閉状態、モニター22がOFF、主照明25AがONにて開始される。全面開放演出が開始されると、図8(B)に示すように、まず、主照明25AがOFFとされ、会場2内は暗くなる。また、モニター22の電源がONとされる。なお、モニター22は、電源投入後、特定画像の画像信号が入力される前には、低明度状態をとる。よって、閉状態の幕10越しにモニター22を視認することは困難である。次に、図8(C)に示すように、季節画像GB10の投影が行われる。季節画像GB10は、閉状態の幕10に投影される平面用季節画像GB11と、幕10の前方に配置されている棺23および焼香台24に投影される立体用季節画像GB12とにより構成されている。
続いて、図9(A)に示すように、幕開放画像GB20が投影されつつ、幕10が閉状態から開状態とされる。幕10が閉状態から開状態になるにつれて、幕10の後方には、祭壇21がその下部から上部にかけて順に出現する。閉状態から開状態となる途中の幕10には、平面用画像である平面用幕開放画像GB21が投影される。平面用幕開放画像GB21の領域は、幕10の閉状態から開状態への動作に伴って縮小される。一方、棺23および焼香台24に加え、閉状態から開状態となる途中の幕10の後方に現れる祭壇21には、立体用画像である立体用幕開放画像GB22が投影される。立体用幕開放画像GB22の領域は、幕10の閉状態から開状態への動作に伴って拡大される。すなわち、幕10が閉状態から開状態へと動作中の画像データである幕開放画像GB20のデータは、動作している幕10に対応する箇所の投影画像が平面用幕開放画像GB21であり、動作している幕10に対応する箇所以外の箇所の投影画像が立体用幕開放画像GB22のものである。これにより、開状態となる幕10の後方から祭壇21等が現れる様子を、美しく演出することができる。
幕10が開状態となった後、図9(B)に示すように、ED画像GB30の投影および演出用照明25Bを用いた演出が開始される。さらに、ED画像GB30の投影中にモニター22による特定画像GTの表示が開始される。ED画像GB30の投影期間の後、図9(C)に示すように、主照明25AがONとされる。これにより全面開放演出が終了する。
「開放演出」
開放演出は、主操作部50の開放ボタン54に対応する演出である。主制御装置40は、開放ボタン54の操作信号が入力されると、開放演出に係る複合コントロールプログラムを実行する。開放演出では、投影装置26による所定の画像投影が行われるとともに、投影画像に関連するタイミングで幕10、モニター22、照明25がそれぞれ制御される。なお、開放演出に係る開放シナリオデータは、上記の全面開放演出に係る全面開放シナリオデータ(図7)から、季節画像GB10(t11~t12)を省略したものである。よって、ここでは詳細な説明を省略する。
「本編演出」
本編演出は、主操作部50の本編ボタン55に対応する演出である。主制御装置40は、本編ボタン55の操作信号が入力されると、本編演出に係る複合コントロールプログラムを実行する。本編演出では、投影装置26による所定の画像投影が行われるとともに、投影画像に関連するタイミングで幕10、モニター22、照明25がそれぞれ制御される。
図10に、本編演出に係る本編シナリオデータを示す。本編シナリオデータには、時間の経過に応じて変化する全面画像、挿入画像、幕透過画像と、照明25、モニター22、幕10の制御タイミングを示すタイムテーブルが含まれている。
本編演出では、図10に示すように、全面画像として、OP(オープニング)画像GC10、紹介背景画像GC20、幕開放画像GB20、ED画像GB30がこの順で被投影部30に投影される。OP画像GC10の投影期間は、タイミングt21からt22までである。紹介背景画像GC20の投影期間は、タイミングt22からt25までである。幕開放画像GB20の投影期間は、タイミングt25からt26までである。ED画像GB30の投影期間は、タイミングt26からt28までである。
また本編演出では、全面画像に加え、挿入画像および幕透過画像が投影される。挿入画像は、例えば、遺族等から提供された故人に係る画像である。また、挿入画像は、例えば、故人が生前に収録した、例えば、葬儀の出席者へ向けたメッセージ画像(映像)等であってもよい。生前の収録は、会場2や会場2の関連施設、生前の画像を収録するための専用の施設等で収録することができる。挿入画像は、紹介背景画像GC20の投影中に、投影装置26の投影領域における一部を占める挿入領域に表示される。紹介背景画像GC20の投影中には、挿入画像として、第1挿入画像GC21~第4挿入画像GC24がこの順で表示される。このため、第1挿入画像GC21~第4挿入画像GC24は、それぞれの投影期間において、紹介背景画像GC20に重ねて表示されているように視認される。これにより、紹介される故人の生前を振り返りつつ、故人との思い出を懐かしむこと等ができる。
幕透過画像GC25は、紹介背景画像GC20の投影中に、投影装置26の投影領域における一部を占める透過領域(特定領域)に表示される。幕透過画像GC25の投影期間は、第3挿入画像GC23の投影期間とも重なっている。このため、幕透過画像GC25が表示される透過領域は、投影装置26の投影領域における第3挿入画像GC23の挿入領域とは異なる領域である。幕透過画像GC25が表示される透過領域は、幕10に設けられている。幕透過画像GC25は、透過領域以外の領域よりも明度が低い画像(例えばブラック一色の画像)である。このように明度の低い幕透過画像GC25が表示される透過領域では、その投影期間中、幕10を透過してその後方側の構成を視認させることが可能である。主制御装置40は、本編シナリオデータに係る各画像の各投影期間についてそれぞれ、適切に画像投影が行われるように、投影装置26に対して画像信号を出力する。
また、本編演出は、主照明25AがONであり、会場2が明るい状態で開始される。なお、本編演出開始時における演出用照明25BはOFFである。主照明25Aは、タイミングt20にてOFFとされる。タイミングt20は、最初のOP画像GC10の投影が開始されるタイミングt21よりも前である。つまり、会場2内が暗い状態で、OP画像GC10の投影を開始できる。さらに、主照明25Aが再度ONとされるタイミングt29は、最後のED画像GB30の投影が終了するタイミングt28よりも後である。このため、投影装置26による投影画像をすべて、出席者等に適切に視認させることができる。
演出用照明25Bは、ED画像GB30の投影期間(t26~t28)に合わせてONとされる。すなわち、ED画像GB30の投影期間においては、ED画像GB30に演出用照明25Bを合わせた演出が行われる。主制御装置40は、本編シナリオデータに係る主照明25A、演出用照明25BのONまたはOFFタイミングでそれぞれ、これらが適切に制御されるように制御信号を出力する。
また、本編演出は、幕10の閉状態にて開始され、幕開放画像GB20の投影期間(t25~t26)に合わせて開状態とされる。すなわち、OP画像GC10、紹介背景画像GC20等は、幕10の閉状態にて投影される。また、ED画像GB30は、幕10の開状態にて投影される。主制御装置40は、本編シナリオデータに係る幕10の動作タイミングで、幕10が適切に閉状態から開状態となるように制御信号を出力する。
また、本編演出は、モニター22の電源がOFFの状態で開始される。モニター22の電源は、タイミングt20にてONとされる。そして、モニター22への特定画像の画像信号の入力は、幕透過画像GC25の投影期間(t23~t24)に合わせて行われる。すなわち、モニター22は、特定画像を、幕透過画像GC25が投影されている間、表示する。モニター22への特定画像の画像信号の入力は、幕透過画像GC25の投影期間の終了に応じて一旦、OFFとされ、その後、ED画像GB30の投影期間(t26~t28)中のタイミングt27に開始される。すなわち、本編演出でも、主制御装置40は、モニター22の電源を投入する制御信号を、モニター22へ特定画像の画像信号を入力させる制御信号を出力する前に出力する。これにより、主制御装置40は、特定画像の表示タイミングの前にあらかじめ、モニター22を、画像信号の入力に応じてすぐに特定画像を表示できる状態としておくことができる。よって、特定画像が実際に表示されるタイミングが、本編シナリオデータにおける表示タイミングに対して遅れてしまうことが防止されている。なお、モニター22は、電源がONとされた後、特定画像の画像信号が入力されていない間には、例えば、特定画像よりも暗いブラック一色の画像信号が入力されること等により、低明度状態をとる。
図11、図12により、本編演出が行われる様子について説明する。本編演出は、図11(A)に示すように、幕10が閉状態、モニター22がOFF、主照明25AがONにて開始される。本編演出が開始されると、図11(B)に示すように、まず、主照明25AがOFFとされ、モニター22の電源がONとされる。なお、モニター22は、電源投入後、特定画像の画像信号が入力されていない間には、低明度状態をとるため、視認することは困難である。次に、図11(C)に示すように、OP画像GC10の投影が行われる。OP画像GC10は、閉状態の幕10に投影される平面用季節画像GC16と、幕10の前方に配置されている棺23および焼香台24に投影される立体用季節画像GC17とにより構成されている。
OP画像GC10に続き、紹介背景画像GC20の投影が開始される。紹介背景画像GC20は、閉状態の幕10に投影される平面用季節画像GC26と、幕10の前方に配置されている棺23および焼香台24に投影される立体用季節画像GC27とにより構成されている。前述したように、紹介背景画像GC20の投影期間中には、挿入画像の投影も行われる。図12(A)には、第1挿入画像GC21の投影中を示している。各挿入画像は、予め定められた挿入領域Sに、所定のタイミングで順次、投影される。なお、挿入領域Sは、平面被投影部31である幕10内に位置する領域である。
続いて、図12(B)に示すように、幕透過画像GC25が投影される。幕透過画像GC25が表示される透過領域Tは、第3挿入画像GC23の挿入領域Sとは異なる領域である。また、幕透過画像GC25が表示される透過領域Tは、幕10におけるモニター22に対応した領域である。具体的に、透過領域Tは、モニター22の前方を含む領域である。そして、幕透過画像GC25の投影期間には、モニター22に特定画像GTが表示される。そして、幕10の透過領域Tでは、明度の低い幕透過画像GC25が投影されていることで、後方にて特定画像GTの表示に伴い発光しているモニター22を視認可能となる。すなわち、出席者等には、幕10越しにモニター22に表示された特定画像を視認させることができる。これにより、幕10への画像投影が行われているにも関わらず、その後方の特定画像GTが浮かび上がる幻想的な演出が可能である。
紹介背景画像GC20の投影期間後には、幕10が閉状態から開状態となり、演出が終了する。紹介背景画像GC20の投影期間後の本編演出が行われる様子は、全面開放演出について図9により説明した様子と同じである。よって、ここでは詳細な説明を省略する。
上記の通り、本形態に係るセレモニーシステム1の主制御装置40は、主操作部50への入力に応じて、投影装置26による画像投影だけでなく、照明25等の他の演出用機器まで制御する複合コントロールプログラムによる複合演出を実行可能である。つまり、適切なタイミングで各演出用機器が制御されることで、故人との別れの機会に相応しい演出を確実に実行できる。特に、本編演出では、遺族等から提供される画像が多く用いられる。このため、セレモニーシステム1により、出席者には、故人との思い出を振り返る大きな機会を提供できる。またそのような複合演出は、簡単な操作で実行することができる。よって、会場2には、必ずしも演出用機器の操作に熟練した担当者が必要ではない。これにより、画像の投影を伴う複合演出が行われるセレモニーを、多くの会場に導入することができる。
ここで、遺族等から提供される画像のデータは、必ずしも一様ではない。そして、様々な画像のデータに対応してシナリオデータを作製することは困難であることがある。特に、本編演出のような遺族等から提供される画像を多く取り入れる複合演出では、提供された複数の画像ごとにサイズやファイル形式等が異なることがある。しかし、セレモニーシステム1を用いたセレモニー用演出方法では、本編演出に係る本編シナリオデータを、会場2外で作製し、本編シナリオ入力装置63からセレモニーシステム1へと入力することができる。つまり、画像の編集等に係る高度な技術を有する担当者は、必ずしも会場2内で作業をする必要はない。このため、画像編集等を行う担当者は、多くの会場、セレモニーについて、画像編集等を担当することができる。よって、高度な技術を有する担当者は少なくて済む。すなわち、高度な技術を有する担当者が少なくても、多くの会場にて、画像の投影を伴う複合演出を実行するセレモニーを行うことができる。
以上、詳細に説明したように、本形態に係るセレモニーシステム1は、投影装置26と、主制御装置40と、主操作部50とを備える。投影装置26は、会場2内の被投影部30に画像を投影する装置である。主制御装置40は、実行するプログラムに応じて投影画像の信号を投影装置26へと出力する。主操作部50は、操作入力に応じた操作信号を、主制御装置40へと出力する。また、セレモニーシステム1は、会場2内に設置された照明25を備えている。主制御装置40は、主操作部50への操作入力に応じてプログラムを実行する。主制御装置40が実行するプログラムには、複合コントロールプログラムがある。複合コントロールプログラムは、画像が時間に応じて変化する画像データに係る画像投影を投影装置26に行わせるとともに、画像データに対応する所定のタイミングで照明25を制御するシナリオデータに沿って演出を進行するプログラムである。具体的には、例えば、本編演出に係る複合コントロールプログラムでは、本編シナリオデータに沿って制御が行われる。本編シナリオデータには、例えば、全体画像が時間の経過に応じて、OP画像GC10、紹介背景画像GC20、幕開放画像GB20、ED画像GB30の順に変化する画像データが含まれている。また本編シナリオデータには、主照明25Aについて、最初のOP画像GC10の表示を開始するタイミングt21の前のタイミングt20でOFFとし、最後のED画像GB30の表示を終了するタイミングt28よりも後のタイミングt29でONとするタイムテーブルが含まれている。つまり、主操作部50への操作入力だけで、投影装置26による画像投影だけでなく、照明25までをも制御可能である。つまり、会場2に配置された人員は、投影装置26と照明25とを個別に操作する必要はない。よって、画像投影による演出を用いたセレモニーを簡単な操作で実行できるセレモニーシステム1が実現されている。
また、被投影部30は、立体被投影部32である祭壇21と、祭壇21よりも投影装置26側に設けられた平坦な平面被投影部31である幕10とを有している。さらに、セレモニーシステム1は、幕10を、閉状態および開状態の一方から他方へと動作させる幕駆動部10mを備えている。閉状態は、幕10が、祭壇21と投影装置26との間に位置する状態である。開状態は、幕10が上がることで、祭壇21と投影装置26との間に位置する幕10の面積が、閉状態よりも小さくなった状態である。そして、例えば、本編演出に係る複合コントロールプログラムでは、画像が時間の経過に応じて変化する画像データに対応する所定のタイミングで、幕10を閉状態から開状態へと制御される。なお、幕10の閉状態から開状態への動作は、第2専用操作部91への操作入力によっても行わせることができる。しかし、時間の経過に応じて変化する投影画像に合わせて、第2専用操作部91を操作し、幕10を投影画像に合わせて動作させることは困難である。これに対し、セレモニーシステム1では、主操作部50への操作入力だけで、投影装置26による画像投影だけでなく、幕10の動作までをも制御可能である。よって、画像投影される幕10が動作する演出を、簡単な操作で実行できる。
また、主制御装置40は、投影装置26に、立体被投影部32用の立体用画像と、平面被投影部31用の平面用画像と、を投影させることができる。そして、主制御装置40は、複合コントロールプログラムとして、平面被投影部31が閉状態から開状態への動作中の画像データが、平面用幕開放画像GB21と立体用幕開放画像GB22とを含むものを実行可能である。平面用幕開放画像GB21は、動作している平面被投影部31に対応する部分の投影画像である。立体用幕開放画像GB22は、動作している平面被投影部31以外の箇所の投影画像である。つまり、開状態へと移行する幕10に対応した平面用幕開放画像GB21と、開状態へと移行する幕10の後方に現れる祭壇21に対応した立体用幕開放画像GB22とを投影することができる。このような動作する幕10と、その後方に現れる祭壇21とにそれぞれ対応した画像を投影する場合、第2専用操作部91の操作により、投影画像に合ったタイミングで幕10を動作させることは困難である。これに対し、セレモニーシステム1では、予め定められたシナリオデータに沿って、幕10を制御可能である。よって、動作する幕10と、その後方に現れる祭壇21とにそれぞれ対応した画像を投影する演出を、簡単な操作で実行できる。
また、セレモニーシステム1は、幕10から見て投影装置26とは反対側に設けられたモニター22を備える。モニター22は、自発光型の画像表示装置である。そして、主制御装置40は、例えば、本編演出に係る複合コントロールプログラムでは、タイミングt23からt24の間の画像表示期間に、モニター22に特定画像GTを表示させる。さらに、主制御装置40は、特定画像GTの表示を開始するタイミングt23よりも前のタイミングt20に、モニター22の電源をONとする。これにより、モニター22を、特定画像GTの画像信号の入力に応じてすぐに、特定画像GTが表示できる状態としておくことができる。また、モニター22は、電源がONとされた後、特定画像GTの表示を開始するタイミングt23よりも前には、特定画像GTよりも明度の低い低明度状態をとる。よって、電源がONされてから特定画像GTの画像信号が入力される前までの期間に、モニター22が目立ってしまうことが抑制されている。そして、セレモニーシステム1では、このようなモニター22の制御についても、予め定められたシナリオデータに沿って行われる。よって、投影画像の変化に対応したタイミングでモニター22に画像を表示させる演出を、簡単な操作で実行できる。
また、セレモニーシステム1では、幕10として、光をある程度透過させることができる紗幕を用いている。そして、主制御装置40は、本編演出に係る複合コントロールプログラムとして、モニター22に特定画像GTを表示させる期間における画像データが、閉状態とした幕10のモニター22に対応する透過領域Tについて、透過領域T以外の領域よりも明度の低い幕透過画像GC25であるものを実行する。よって、透過領域T以外の領域では、投影画像による演出を行いつつ、透過領域Tでは、幕10の後方から特定画像GTが浮かび上がる幻想的な演出を、簡単な操作で実行できる。
なお、本実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば上記実施形態では、演出用機器としての照明、被投影部、自発光型の画像表示装置のすべてが、投影される画像が時間経過に応じて変化する画像データに対応する制御タイミングでそれぞれ制御されるセレモニーシステムの例について説明した。しかし、例えば、複合コントロールプログラムによって制御される演出用機器は適宜、削減および追加が可能である。例えば、他の演出要素を追加する演出用機器として、音を出力するスピーカーを挙げることができる。そして、スピーカーについても、主制御装置40により、投影される画像が時間経過に応じて変化する画像データに対応する制御タイミングにて、出力する音楽や音声等を制御すればよい。この場合、例えば、シナリオデータとして、音に関するデータ(音データ)を含むものを用いることとすればよい。また例えば、複合コントロールプログラムが、メモリ42に記憶されている音データを所定の期間、再生することとしてもよい。
また、セレモニーシステムとしてスピーカーを備えるものを用いる場合、複合コントロールプログラムは、音データとして、ディスク再生装置61が記憶媒体から読み取り、出力したものをスピーカーから出力するものであってもよい。ディスク再生装置61に記憶媒体から音データを読み取り、出力させる場合、例えば、ディスク再生装置61として、音楽のデータが記憶されたCDに対応するCDプレイヤーを用いることができる。また、そのディスク再生装置61としてのCDプレイヤーは、I/Oコントローラ82へ、入力切替装置60を介さずに接続しておけばよい。CDプレイヤーを、適切なタイミングで音データが出力されるように制御できるからである。また例えば、音データとしては、シナリオデータに記憶されたものと、ディスク再生装置61が記憶媒体から読み取ったものとの両方を用いることとしてもよい。具体的には、例えば、複合コントロールプログラムとして、所定の期間にはディスク再生装置61が記憶媒体から読み取った音データを用い、その他の期間にはシナリオデータに含まれた音データを用いることとすることができる。より具体的には、例えば、本編シナリオデータに音データとしてOP画像GC10、幕開放画像GB20、ED画像GB30に対応した期間のものを含ませておき、本編演出に係る複合コントロールプログラムでは、紹介背景画像GC20に対応する期間には、ディスク再生装置61から読み取った音データを用いることとすることができる。音データの出力元が切り替わる際には、フェードアウト、フェードイン等の効果の付加を適宜、行うこととしてもよい。そして、例えば、ディスク再生装置61に読み取らせる音データを遺族が準備できるようにしておけば、遺族は、故人の紹介が行われる演出の期間の音楽等の選択を葬儀の直前まで行うことができる。すなわち、準備期間の短くなりがちな葬儀においても、できるだけ長い準備期間を確保し、葬儀の満足度を向上できる。また、セレモニーシステムは、ディスク再生装置61を複数、有していてもよい。そして、例えば、音データを読み取る専用のディスク再生装置61と、画像データや動画データを読み取る専用のディスク再生装置61とを設けておくこととしてもよい。これにより、需要者の多種多様な要望に応じることが可能となる。
また例えば、上記実施形態では、平面被投影部31としての幕10は、その下端が上下に移動することで、閉状態と開状態とで切り替えられるものであるとして説明した。しかし、例えば、平面被投影部は、その上端が上下に移動することで、閉状態と開状態とをとるものであってもよい。また例えば、平面被投影部は、左右方向に移動することで、閉状態と開状態とをとるものであってもよい。また例えば、平面被投影部は、閉状態にてその一部を透過させ、後方の画像表示装置に表示される画像を視認させる演出を行わない場合、必ずしも紗幕でなくてもよい。すなわち、平面被投影部として、遮光性の高いカーテンのようなものを用いることもできる。また例えば、平面被投影部として、上記実施形態にて説明した幕10のような柔らかいシート状のものではなく、硬い板部材であってもよい。また例えば、上記実施形態では、投影画像に応じて幕10が閉状態から開状態となる場合について説明した。しかし、幕10は、例えば、投影画像に応じて開状態から閉状態とすることも可能である。また、幕10は、完全に閉じた閉状態と完全に開いた開状態との一方から他方へと制御される場合に限らず、例えば、幕10は、祭壇21が見える程度に下端が上昇した開状態をとるものであってもよい。
また例えば、上記実施形態では、本編シナリオデータのすべてが、本編シナリオ製作用PC64によって作製され、本編シナリオ入力装置63から入力される例について説明した。しかし、本編シナリオデータのうち、画像データ以外については、主制御装置40のメモリ42に記憶させておくことなども可能である。この場合、遺族等から提供された複数の画像のデータを、本編シナリオ製作用PC64にて本編シナリオデータに対応するものへと加工し、その加工した画像のデータを、セレモニーシステム1へと入力できるようにしておけばよい。このようにしても、遺族等から提供されるファイル形式等が様々である画像のデータを、セレモニーシステム1に対応したものへと適切に加工し、これらを用いて本編演出を実行できることに変わりはないからである。
また例えば、上記実施形態では、セレモニーシステム1における各部同士の接続は、有線による接続であるとして説明した、しかし、その一部またはすべてについて、無線による接続を採用することもできる。なお、無線による接続においては、例えば、制御信号の送信、受信が不安定になるおそれがあることから、有線による接続の方が、セレモニーシステム1を適切に動作させることが可能である。
また例えば、上記実施形態では、葬儀に使用されるセレモニーシステム1について詳細に説明した。しかし、葬儀の他、例えば、結婚式や披露宴にも用いることができる。すなわち、冠婚葬祭用のセレモニーシステムであってもよい。葬儀以外のセレモニーで使用する場合、投影装置による投影画像、自発光型の画像表示装置への表示画像の内容等は、セレモニーの種類に応じて適宜、変更すればよい。なお、葬儀は、近年、より小規模かつ低予算で行われる傾向にある。このため、葬儀の施工にかけることができる人員も少なくなりがちである。よって、上記実施形態に係るセレモニーシステムは、葬儀用のものである場合に特に大きな効果を発揮する傾向にある。さらに、葬儀は、その性質上、事前の準備に時間をかけることができない。すなわち、遺族等から画像を提供してもらうにあたり、画像のサイズやファイル形式等を、葬儀の施工者側から指定したとしても、その指定通りのものを限られた時間内で遺族から提供してもらうことが困難である傾向にある。よって、上記実施形態に係るセレモニーシステム1のように、出席者等から提供された画像を加工し、入力できる構成のものを用いてセレモニーを施工する方法は、葬儀用途において特に好ましい。