JP7207326B2 - 静電荷像現像用トナーおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の第1の観点に係る静電荷像現像用トナーにおいて、前記増粘剤が、ウレタン結合および/またはウレア結合を有するポリエーテル樹脂であることが好ましい。
本発明の第1の観点に係る静電荷像現像用トナーにおいて、前記結着樹脂100質量部に対する、前記増粘剤の含有量が、0.2~5.0質量部であることが好ましい。
本発明の第2の観点に係る静電荷像現像用トナーにおいて、前記架橋性樹脂が、ウレタン結合および/またはウレア結合を有するポリエーテル樹脂であることが好ましい。
本発明の第2の観点に係る静電荷像現像用トナーにおいて、前記架橋性樹脂が、ウレタン結合および(メタ)アクリロイル基を有する樹脂であることが好ましい。
本発明の第2の観点に係る静電荷像現像用トナーにおいて、前記結着樹脂100質量部に対する、前記架橋剤の含有量が、0.3~5.0質量部であることが好ましい。
本発明の第1の観点に係る静電荷像現像用トナーの製造方法において、前記重合性単量体が、架橋性の重合性単量体をさらに含有し、前記架橋性の重合性単量体の使用量が、前記重合性単量体全量100質量部中、2.0質量部以下であることが好ましい。
前記結着樹脂が、スチレン系単量体単位と(メタ)アクリレート系単量体単位とを含む共重合体であり、前記増粘剤が、ウレタン結合および/またはウレア結合を有する樹脂である静電荷像現像用トナーを提供することもできる。
前記結着樹脂が、スチレン系単量体単位と(メタ)アクリレート系単量体単位とを含む共重合体であり、前記共重合体が架橋剤により架橋されており、前記架橋剤は架橋性樹脂を含み、前記架橋性樹脂は、ウレタン結合および/またはウレア結合を有するポリエーテル樹脂である静電荷像現像用トナーを提供することもできる。
まず、本発明の第1実施形態に係る静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」と称することがある。)は、結着樹脂、着色剤、帯電制御剤および増粘剤を含む着色樹脂粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記結着樹脂が、スチレン系単量体単位と(メタ)アクリレート系単量体単位(アクリレート系単量体単位および/またはメタクリレート系単量体単位の意味。以下同様。)とを含む共重合体であり、前記増粘剤が、窒素原子を含む樹脂であり、このような窒素原子を有する樹脂を、静電荷像現像用トナーに対する、窒素原子の量が150~1500質量ppmとなる量にて含むものである。
(1)重合性単量体組成物の調製工程
(A)懸濁重合法においては、まず、重合性単量体、着色剤、帯電制御剤および増粘剤、さらに必要に応じて用いられる離型剤および分子量調整剤等のその他の添加物を混合、溶解して重合性単量体組成物の調製を行なう。重合性単量体組成物を調製する際の混合には、たとえば、メディア式分散機を用いて行なう。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、3-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネートなどの鎖状構造を有するポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどの環状構造を有するポリイソシアネート;などが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α-テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
これらは、単独もしくは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、α-オレフィンオキサイドなどが挙げられる。
また、アルキレンオキサイドと付加重合するポリオール類としては、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、4,4-ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4-ジヒドロキシフェニルメタン、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジメチロール尿素およびその誘導体などのジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,5-ヘキサントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、トリメチロールメラミンおよびその誘導体、ポリオキシプロピレントリオールなどのトリオール;などが挙げられる。
グリコール類としては、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの(ポリ)アルキレングリコール;エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体;などが挙げられる。
これらは、単独もしくは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
脂肪族ポリアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、1,2-シクロヘキサンジアミン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミン、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、(N-アミノエチル)―2-エタノールアミン、2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなどが挙げられる。
芳香族ポリアミンとしては、1,2-、1,3-および1,4-フェニレンジアミン、2,4’-および4,4’-ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4-ジアミノフェニル)スルホン、2,6-ジアミノピリジン、m-アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン-4,4’,4’ ’-トリアミン、ナフチレンジアミン、2,4-および2,6-トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジフェニルメタン、4,4’-ビス(o-トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3-ジメチル-2,4-ジアミノベンゼン、1,3-ジメチル-2,6-ジアミノベンゼン、1,4-ジイソプロピル-2,5-ジアミノベンゼン、2,4-ジアミノメシチレン、1-メチル-3,5-ジエチル-2,4-ジアミノベンゼン、2,3-ジメチル-1,4-ジアミノナフタレン、2,6-ジメチル-1,5-ジアミノナフタレン、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,5-ジエチル-3’-メチル-2’,4-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジエチル-2,2’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジフェニルメタン、3,3’,5,5’-テトラエチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’-テトラエチル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’,5,5’-テトライソプロピル-4,4’-ジアミノジフェニルスルホンなどが挙げられる。
これらは、単独もしくは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
精秤した樹脂0.1gをそれぞれ100mLガラス製サンプル瓶に入れた後、テトラヒドロフラン(THF)49.9gをそれぞれ加えた。次に、スターラーチップを入れ、マグネティックスターラーを用いて室温で1時間攪拌後、0.2μmPTFE製フィルターで濾過し、樹脂のTHF溶液を得る。最後に、THF溶液のそれぞれ100μLをGPC測定装置に注入してGPC測定する。重量平均分子量(Mw)は、得られたGPCの溶出曲線を基に市販の単分散標準ポリスチレンによる検量線から換算する。
(GPC測定条件)
GPC:HLC-8220(東ソー社製)
カラム:TSK-GEL MULTIPORE HXL-M 2本直結(東ソー製)
溶離液:THF
流量:1.0mL/min
温度:40℃
上記窒素原子の含有量は、窒素測定装置を用いて、化学発光法により、測定することができる。トナーには、増粘剤以外の成分に由来する窒素原子が含有されることがあるが、上記窒素原子の含有量は、増粘剤に由来する窒素原子のみの含有量であるので、化学発光法により測定される窒素原子含有量から、増粘剤以外の成分に由来する窒素原子の含有量を減ずる必要がある。
離型剤としては、たとえば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリブチレンなどの低分子量ポリオレフィンワックス類;分子末端酸化低分子量ポリプロピレン、分子末端をエポキシ基に置換した低分子量末端変性ポリプロピレン、およびこれらと低分子量ポリエチレンのブロックポリマー、分子末端酸化低分子量ポリエチレン、分子末端をエポキシ基に置換した低分子量ポリエチレン、およびこれらと低分子量ポリプロピレンのブロックポリマーなどの末端変性ポリオレフィンワックス類;キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、ホホバなどの植物系天然ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラクタムなどの石油系ワックスおよびその変性ワックス;モンタン、セレシン、オゾケライト等の鉱物系ワックス;フィッシャートロプシュワックスなどの合成ワックス;多価アルコールの脂肪酸エステル化合物;これらの混合物などが挙げられる。
離型剤の中でも、多価アルコールの脂肪酸エステル化合物が、トナーの低温定着性を向上させ、印字耐久性を悪化させないことから好ましい。多価アルコールの脂肪酸エステル化合物としては、たとえば、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトララウレート等のペンタエリスリトールエステル;ジペンタエリスリトールヘキサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート、ジペンタエリスリトールヘキサラウレート等のジペンタエリスリトールエステル;ポリグリセリンの脂肪酸エステル化合物;などが挙げられる。中でも、ペンタエリスリトールエステルが好ましい。
離型剤の使用量は、結着樹脂を得るための重合性単量体100質量部に対して、その下限が、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上、特に好ましくは12質量部以上であり、その上限が、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。
次いで、上記(1)重合性単量体組成物の調製工程により得られた重合性単量体組成物を、水系分散媒体中に分散させ、懸濁させることで懸濁液(重合性単量体組成物分散液)を得ることができる。ここで、懸濁とは、水系分散媒体中で重合性単量体組成物の液滴を形成させることを意味する。液滴形成のための分散処理は、たとえば、インライン型乳化分散機(大平洋機工社製、商品名:マイルダー)、高速乳化・分散機(特殊機化工業社製、商品名:T.K.ホモミクサー MARK II型)等の強攪拌が可能な装置を用いて行なうことができる。
上記(2)懸濁液を得る工程(液滴形成工程)により得られた、所望の懸濁液(重合性単量体組成物の液滴を含有する水系分散媒体)を加熱し、重合を開始させることで、着色樹脂粒子の水分散液が得られる。
in situ重合法においては、着色樹脂粒子が分散している水系分散媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)とシェル用重合開始剤を添加し、重合を行なうことでコアシェル型の着色樹脂粒子を得ることができる。
上記(3)重合工程により得られる着色樹脂粒子の水分散液に対し、重合終了後に、常法に従い、洗浄、濾過、脱水、および乾燥の一連の操作を、必要に応じて数回繰り返し行なうことが好ましい。
また、粉砕法を採用して着色樹脂粒子を製造する場合、以下のようなプロセスにより行なわれる。
まず、結着樹脂、着色剤、帯電制御剤および増粘剤としての窒素原子を含む樹脂、ならびに必要に応じて用いられる離型剤および分子量調整剤等のその他の添加物を混合機、たとえば、ボールミル、V型混合機、FMミキサー(商品名)、高速ディゾルバ、インターナルミキサー、フォールバーグ等を用いて混合する。次に、上記により得られた混合物を、加圧ニーダー、二軸押出混練機、ローラ等を用いて加熱しながら混練する。得られた混練物を、ハンマーミル、カッターミル、ローラミル等の粉砕機を用いて、粗粉砕する。さらに、ジェットミル、高速回転式粉砕機等の粉砕機を用いて微粉砕した後、風力分級機、気流式分級機等の分級機により、所望の粒径に分級することで、粉砕法により、着色樹脂粒子を得ることができる。
上述の(A)懸濁重合法、または(B)粉砕法により着色樹脂粒子が得られる。
以下、トナーを構成する着色樹脂粒子について述べる。なお、以下で述べる着色樹脂粒子は、コアシェル型のものとコアシェル型でないものの両方を含むものである。
本発明の第2実施形態に係る静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」と称することがある。)は、結着樹脂、着色剤および帯電制御剤を含む着色樹脂粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記結着樹脂が、スチレン系単量体単位と(メタ)アクリレート系単量体単位とを含む共重合体であり、前記共重合体が架橋剤により架橋されており、前記架橋剤は架橋性樹脂を含み、前記架橋性樹脂が窒素原子を含む樹脂であり、このような窒素原子を有する樹脂を、静電荷像現像用トナーに対する、窒素原子の量が150~1500質量ppmとなる量にて含むものである。
(1)重合性単量体組成物の調製工程
(A)懸濁重合法においては、まず、重合性単量体、着色剤、帯電制御剤および架橋剤、さらに必要に応じて用いられる離型剤および分子量調整剤等のその他の添加物を混合、溶解して重合性単量体組成物の調製を行なう。重合性単量体組成物を調製する際の混合には、たとえば、メディア式分散機を用いて行なう。
次いで、上記(1)重合性単量体組成物の調製工程により得られた重合性単量体組成物を、水系分散媒体中に分散させ、懸濁させることで懸濁液(重合性単量体組成物分散液)を得ることができる。第2実施形態においては、上記(1)重合性単量体組成物の調製工程により得られた重合性単量体組成物を用いる以外は、上述した第1実施形態と同様にして、懸濁液を得ることができる。
上記(2)懸濁液を得る工程(液滴形成工程)により得られた、所望の懸濁液(重合性単量体組成物の液滴を含有する水系分散媒体)を加熱し、重合を開始させることで、着色樹脂粒子の水分散液が得られる。第2実施形態においては、上記(2)懸濁液を得る工程により得られた懸濁液を用いる以外は、上述した第1実施形態と同様にして、着色樹脂粒子の水分散液を得ることができる。
上記(3)重合工程により得られる着色樹脂粒子の水分散液に対し、重合終了後に、常法に従い、洗浄、濾過、脱水、および乾燥の一連の操作を、必要に応じて数回繰り返し行なうことが好ましく、これらは上述した第1実施形態と同様の方法にて行うことができる。
また、粉砕法を採用して着色樹脂粒子を製造する場合、以下のようなプロセスにより行なわれる。
まず、結着樹脂、着色剤および帯電制御剤、ならびに必要に応じて用いられる離型剤および分子量調整剤等のその他の添加物を上述した第1実施形態と同様の混合機を用いて混合する。次に、上記により得られた混合物を用い、上述した第1実施形態と同様の方法により、着色樹脂粒子を得ることができる。
上述の(A)懸濁重合法、または(B)粉砕法により着色樹脂粒子が得られる。
以下、トナーを構成する着色樹脂粒子について述べる。なお、以下で述べる着色樹脂粒子は、コアシェル型のものとコアシェル型でないものの両方を含むものである。
本実施例および比較例において行った試験方法は以下のとおりである。
トナー中の増粘剤由来の窒素原子含有量、およびトナー中の架橋性樹脂由来の窒素原子含有量の測定は、窒素測定装置を用いて、化学発光法により行なった。具体的には、トナーサンプルを触媒存在下で熱分解し、トナー中の窒素成分を酸化して得た一酸化窒素ガスをオゾンと反応させることで生じる化学発光の光の強度を測定し、予め作成した検量線を用いてトナー中の窒素原子含有量を定量した。実施例1-1~1-7および比較例1-1~1-4のトナーの窒素原子含有量と、増粘剤を用いていないトナー(比較例1-1)の窒素原子含有量との差を、トナー中の増粘剤由来の窒素原子含有量とした。また、実施例2-1~2-4および比較例2-1~2-3のトナーの窒素原子含有量と、架橋性樹脂を用いていないトナー(比較例2-1)の窒素原子含有量の差によってトナー中の架橋性樹脂由来の窒素原子含有量を算出した。
重合性単量体組成物の粘度の測定は、B型粘度計(ブルックフィールド社製、機器名「デジタル・レオメータDV-I+」)を用いて行なった。具体的には、重合性単量体組成物の温度を、恒温水槽を用いて25℃にしたのち、スピンドル回転数60rpmで、1分間スピンドルを回転させた後、粘度を測定した。上記スピンドルは、下記の測定粘度範囲により、以下のものを用いた。
100mPa・s未満:スピンドルNo.1
100mPa・s以上、200mPa・s未満:スピンドルNo.2
200mPa・s以上、1,500mPa・s未満:スピンドルNo.3
測定試料(着色樹脂粒子)を約0.1g秤量し、ビーカーに取り、分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸水溶液(富士フィルム社製、商品名:ドライウエル)0.1mlを加えた。そのビーカーへ、さらにアイソトンIIを10~30mL加え、20Wの超音波分散機で3分間分散させた後、粒径測定機(ベックマン・コールター社製、商品名:マルチサイザー)を用いて、アパーチャー径;100μm、媒体;アイソトンII、測定粒子個数;100,000個の条件下で、着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)、および個数平均粒径(Dp)を測定し、粒径分布(Dv/Dp)を算出した。
市販の非磁性一成分現像方式のプリンターの定着ロール部の温度を変化できるように改造したプリンターを用いて、ベタ画像の紙面上トナー量が0.30(mg/cm2)となるようにプリンターの調整を行った後、定着ロールの温度(定着温度)を170℃として、5cm四方のベタ画像を用紙(Xerox社製、商品名:Vitality)に印字した。得られた5cm四方のベタ画像を、グロスメーター(日本電色工業社製、商品名:VGS-SENSOR)を用いて、入射角60°によりグロスの値を測定した。なお、グロスの値は、大きい程光沢感があることを示す。
上記(4)グロスの評価と同様の改造プリンターを用いて、ホットオフセット試験を行った。ホットオフセット試験は、定着ロール部の温度を150℃から5℃ずつ230℃まで変化させて、黒ベタ(印字濃度100%)、および白ベタ(印字濃度0%)の印字領域を有する印字パターンを印刷し、それぞれの温度で、白ベタ(印字濃度0%)の印字領域に印字汚れが認められた際に、定着ロールにトナーの融着が発生していないか、すなわち、ホットオフセット現象の有無を目視にて観察した。このホットオフセット試験においては、定着ロールにトナーの融着が発生した最低の設定温度を、ホットオフセット温度とした。
市販の非磁性一成分現像方式プリンター(解像度600dpi、印刷速度28枚/分)を用いて、印字用紙をセットし、現像装置のトナーカートリッジに、トナーを充填した後、印字用紙をセットした。温度23℃、湿度50%RHの常温常湿(N/N)環境の各環境下で24時間放置した後、同環境にて、5%印字濃度で10,000枚まで連続印字を行なった。500枚毎にベタ印字(印字濃度100%)をして反射式画像濃度計(マクベス社製、商品名:RD918)でそのベタ印字部の印字濃度を測定した。さらに、その後、白ベタ印字(印字濃度0%)を行ない、白ベタ印字の途中でプリンターを停止させ、現像後の感光体上にある非画像部のトナーを粘着テープ(住友スリーエム社製、製品名:スコッチメンディングテープ810-3-18)に付着させ、それを印字用紙に貼り付けた。次に、その粘着テープを貼り付けた印字用紙の白色度(B)を、白色度計(日本電色社製)で測定し、同様にして、未使用の粘着テープだけを印字用紙に貼り付け、その白色度(A)を測定し、この白色度の差(B-A)をかぶり値とした。この値が小さい方が、かぶりが少なく良好であることを示す。
印字濃度が1.3以上で、かつ、カブリ値が5以下の画質を維持できる連続印字枚数を調べ、下記基準で評価した。
〇:上記基準での印刷が可能であった連続印字枚数が10000枚以上
△:上記基準での印刷が可能であった連続印字枚数が7000枚以上、10000枚未満
×:上記基準での印刷が可能であった連続印字枚数が7000枚未満
モノビニル単量体としてスチレン77部およびアクリル酸n-ブチル23部、架橋性の重合性単量体としてジビニルベンゼン0.3部、ブラック着色剤としてカーボンブラック(三菱化学社製、商品名:♯25B)12部、帯電制御剤として正帯電性帯電制御樹脂(藤倉化成社製、商品名:FCA-676P、4級アンモニウム塩含有スチレン/アクリル樹脂)5.0部、分子量調整剤としてt-ドデシルメルカプタン1.0部、マクロモノマーとしてポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名:AA6、Tg=94℃)0.1部、離型剤としてペンタエリスリトールテトラステアレート20部、および増粘剤としてウレア結合を有するポリエーテル樹脂の50%ジメチルスルホキシド溶液(ビックケミー・ジャパン社製、商品名:BYK-D410)0.5部(ウレア結合を有するポリエーテル樹脂換算で0.25部、窒素原子の含有量がトナーに対し153質量ppmとなる量)を、攪拌装置で攪拌、混合した後、さらにメディア式分散機により、均一に分散させることで、重合性単量体組成物を得た。そして、得られた重合性単量体組成物について、上記方法に従って、粘度の測定を行った。重合性単量体組成物の粘度を表1に示す。
なお、実施例1-1で使用したウレア結合を有するポリエーテル樹脂は、重量平均分子量(Mw)が1500であり、ガラス転移温度(Tg)が94.5℃であった。
増粘剤の使用量を1.0部(ウレア結合を有するポリエーテル樹脂換算で0.5部、窒素原子の含有量がトナーに対し306質量ppmとなる量)に変更した以外は、実施例1-1と同様にして、静電荷像現像用トナーを得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
増粘剤の使用量を1.5部(ウレア結合を有するポリエーテル樹脂換算で0.75部、窒素原子の含有量がトナーに対し459質量ppmとなる量)に変更した以外は、実施例1-1と同様にして、静電荷像現像用トナーを得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
増粘剤の使用量を2.0部(ウレア結合を有するポリエーテル樹脂換算で1.0部、窒素原子の含有量がトナーに対し613質量ppmとなる量)に変更した以外は、実施例1-1と同様にして、静電荷像現像用トナーを得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
増粘剤の使用量を3.0部(ウレア結合を有するポリエーテル樹脂換算で1.5部、窒素原子の含有量がトナーに対し920質量ppmとなる量)に変更した以外は、実施例1-1と同様にして、静電荷像現像用トナーを得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
増粘剤として、ウレア結合を有するポリエーテル樹脂の50%N-メチル-2-ピロリドン溶液(ビックケミー・ジャパン社製、商品名:BYK-410)4.0部(ウレア結合を有するポリエーテル樹脂換算で2.0部、窒素原子の含有量がトナーに対し1227質量ppmとなる量)を使用した以外は、実施例1-1と同様にして、静電荷像現像用トナーを得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
なお、実施例1-6で使用したウレア結合を有するポリエーテル樹脂は、重量平均分子量(Mw)が1500であり、ガラス転移温度(Tg)が94.5℃であった。
増粘剤として、ウレア結合を有するポリエーテル樹脂の50%N-メチル-2-ピロリドン溶液(ビックケミー・ジャパン社製、商品名:BYK-411)3.0部(ウレア結合を有するポリエーテル樹脂換算で1.5部、窒素原子の含有量がトナーに対し520質量ppmとなる量)を使用した以外は、実施例1-1と同様にして、静電荷像現像用トナーを得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
なお、実施例1-7で使用したウレア結合を有するポリエーテル樹脂は、重量平均分子量(Mw)が1800であった。
増粘剤を配合しなかった以外は、実施例1-1と同様にして、静電荷像現像用トナーを得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
ジビニルベンゼンの配合量を0.6部に変更した以外は、比較例1-1と同様にして、静電荷像現像用トナーを得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
増粘剤の使用量を0.2部(ウレア結合を有するポリエーテル樹脂換算で0.1部、窒素原子の含有量がトナーに対し61質量ppmとなる量)に変更した以外は、実施例1-1と同様にして、静電荷像現像用トナーを得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
増粘剤として、ウレア結合を有するポリエーテル樹脂の50%N-メチル-2-ピロリドン溶液(ビックケミー・ジャパン社製、商品名:BYK-411)9.0部(ウレア結合を有するポリエーテル樹脂換算で4.5部、窒素原子の含有量がトナーに対し1533質量ppmとなる量)を使用した以外は、実施例1-1と同様にして、静電荷像現像用トナーを得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
表1より、スチレン系単量体単位と(メタ)アクリレート系単量体単位とを含む共重合体からなる結着樹脂、着色剤、帯電制御剤、および増粘剤としての窒素原子を含む樹脂を含む着色樹脂粒子を含有し、増粘剤に由来する窒素原子の含有量が静電荷像現像用トナーに対し150~1500質量ppmである静電荷像現像用トナーによれば、高グロスが得られ、かつ、ホットオフセット温度が高く、高温領域において安定した定着性を示すものであり、しかも、印字耐久性も良好であった(実施例1-1~1-7)。
一方、増粘剤としての窒素原子を含む樹脂を配合しない場合には、ホットオフセット温度が低く、高温領域における定着性に劣る結果となり(比較例1-1)、また、ホットオフセット温度を高めるために、架橋性の重合性単量体の使用量を増加させると、ホットオフセット温度は高くなるものの、高グロス性に劣る結果となった(比較例1-2)。
さらに、増粘剤に含まれる窒素原子の含有量が150質量ppm未満である場合には、ホットオフセット温度が低く、高温領域における定着性に劣る結果となり(比較例1-3)、増粘剤に含まれる窒素原子の含有量が1500質量ppmより多い場合には、印字耐久性に劣る結果となった(比較例1-4)。
モノビニル単量体としてスチレン77部およびアクリル酸n-ブチル23部、架橋剤として、ウレタン結合および(メタ)アクリロイル基を有するポリエーテル樹脂である架橋性樹脂(日油社製、商品名:TA-640BU2、(メタ)アクリロイル基を3個有する)0.7部、ブラック着色剤としてカーボンブラック(三菱化学社製、商品名:♯25B)12部、帯電制御剤として正帯電性帯電制御樹脂(藤倉化成社製、商品名:FCA-676P、4級アンモニウム塩含有スチレン/アクリル樹脂)5.0部、分子量調整剤としてt-ドデシルメルカプタン1.0部、マクロモノマーとしてポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名:AA6、Tg=94℃)0.1部、離型剤としてペンタエリスリトールテトラステアレート20部を、攪拌装置で攪拌、混合した後、さらにメディア式分散機により、均一に分散させることで、重合性単量体組成物を得た。
なお、実施例2-1で使用したウレタン結合および(メタ)アクリロイル基を有するポリエーテル樹脂は、重量平均分子量(Mw)が2300であった。
架橋剤の使用量を1.0部に変更した以外は、実施例2-1と同様にして、静電荷像現像用トナーを得て、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
架橋剤の使用量を1.3部に変更した以外は、実施例2-1と同様にして、静電荷像現像用トナーを得て、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
架橋剤の使用量を1.6部に変更した以外は、実施例2-1と同様にして、静電荷像現像用トナーを得て、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
架橋剤として、架橋性樹脂を用いず、架橋性の重合性単量体として、ジビニルベンゼンを0.3部使用した以外は、実施例2-1と同様にして、静電荷像現像用トナーを得て、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
ジビニルベンゼンの配合量を0.6部に変更した以外は、比較例2-1と同様にして、静電荷像現像用トナーを得て、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
架橋剤として、ウレタン結合および(メタ)アクリロイル基を有する水素化ポリブタジエン樹脂である架橋性樹脂(日本曹達社製、商品名:TEAI-1000、(メタ)アクリロイル基を2個有する)を2部使用した以外は、実施例2-1と同様にして、静電荷像現像用トナーを得て、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
表2より、スチレン系単量体単位と(メタ)アクリレート系単量体単位とを含み、かつ、特定の条件で架橋剤により架橋された共重合体からなる結着樹脂、着色剤、および帯電制御剤を含む着色樹脂粒子を含有する静電荷像現像用トナーによれば、高グロスが得られ、かつ、ホットオフセット温度が高く、高温領域において安定した定着性を示すものであった(実施例2-1~2-4)。
一方、特定の条件で架橋剤により架橋された共重合体からなる結着樹脂を配合しない場合には、高グロス性と高ホットオフセット温度を両立できない結果となった(比較例2-1、2-2)。
比較例2-3では、高グロス性には優れるものの、ホットオフセット温度に劣る結果となった。
Claims (6)
- 結着樹脂、着色剤、帯電制御剤および増粘剤を含む着色樹脂粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、
前記結着樹脂が、スチレン系単量体単位と(メタ)アクリレート系単量体単位とを含む共重合体であり、
前記増粘剤が、ウレタン結合および/またはウレア結合を有するポリエーテル樹脂であり、前記窒素原子の含有量が、前記静電荷像現像用トナーに対し150~1500質量ppmであり、
前記結着樹脂100質量部に対する、前記増粘剤の含有量が、0.2~2.2質量部であり、
前記結着樹脂が、前記スチレン系単量体単位を65~85質量%の割合で、前記(メタ)アクリレート系単量体単位を15~35質量%の割合で含有する静電荷像現像用トナー。 - 結着樹脂、着色剤および帯電制御剤を含む着色樹脂粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、
前記結着樹脂が、スチレン系単量体単位と(メタ)アクリレート系単量体単位とを含む共重合体であり、前記共重合体が架橋剤により架橋されており、前記架橋剤は架橋性樹脂を含み、前記架橋性樹脂がウレタン結合および(メタ)アクリロイル基を有するポリエーテル樹脂であり、前記窒素原子の含有量が、前記静電荷像現像用トナーに対し150~1500質量ppmであり、
前記結着樹脂100質量部に対する、前記架橋剤の含有量が、0.3~5.0質量部である静電荷像現像用トナー。 - 前記結着樹脂が、前記スチレン系単量体単位を60~90質量%の割合で、前記(メタ)アクリレート系単量体単位を10~40質量%の割合で含有する請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 請求項1に記載の静電荷像現像用トナーを製造する方法であって、
重合性単量体、着色剤、帯電制御剤および増粘剤を含有し、25℃における粘度が100~1000mPa・sである重合性単量体組成物を、水系分散媒体中に分散させて液滴を形成した後、重合を行うことにより着色樹脂粒子を得る工程を含み、
前記重合性単量体が、少なくとも、スチレン系単量体および(メタ)アクリレート系単量体を含み、
前記増粘剤が、窒素原子を含む樹脂であり、前記窒素原子の含有量が、前記静電荷像現像用トナーに対し150~1500質量ppmである静電荷像現像用トナーの製造方法。 - 前記重合性単量体が、架橋性の重合性単量体をさらに含有し、
前記架橋性の重合性単量体の使用量が、前記重合性単量体全量100質量部中、2.0質量部以下である請求項4に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。 - 請求項2または3に記載の静電荷像現像用トナーを製造する方法であって、
重合性単量体、着色剤、帯電制御剤および架橋剤を含有する重合性単量体組成物を、水系分散媒体中に分散させて液滴を形成した後、重合を行うことにより着色樹脂粒子を得る工程を含み、
前記重合性単量体が、少なくとも、スチレン系単量体および(メタ)アクリレート系単量体を含み、
前記架橋剤は架橋性樹脂を含み、前記架橋性樹脂が窒素原子を含む樹脂であり、前記窒素原子の含有量が、前記静電荷像現像用トナーに対し150~1500質量ppmである静電荷像現像用トナーの製造方法。
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