JP7207197B2 - 車両用樹脂製品の製造方法 - Google Patents

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本発明は、樹脂材料によって形成され、車両の内装品、外装品等として好適な車両用樹脂製品の製造方法に関する。
立体物を製造する方法の1つとして、3次元プリンタを用いて行なう積層造形法がある。積層造形法では、3次元CAD等で作成された立体物の3次元データが準備される。立体物の3次元データを積層ピッチの薄い層に分けた積層データが作成される。積層データが、3次元プリンタを制御するためのプリンタ制御コードに変換された後、そのプリンタ制御コードが3次元プリンタに送られる。3次元プリンタでは、上記プリンタ制御コードに基づき積層造形が行なわれる。上記積層ピッチの厚みを有する樹脂層が形成されるとともに、その樹脂層が積層されることにより、積層造形部が形成されて、目的とする立体物が得られる。
積層造形法には、造形の速度が速くないため大量生産に適さない反面、複雑な形状を有する製品でも生産することができる特徴がある。
上記積層造形部によって構成される立体物として、例えば、特許文献1及び特許文献2に記載された車両用樹脂製品がある。いずれの特許文献においても、図7に示すように、車両用樹脂製品51の全体が積層造形部によって構成されている。
積層造形法が、例えば溶融樹脂積層法である場合、3次元プリンタによる積層造形は、次のように行なわれる。造形ステージ52の原点を基準として、同造形ステージ52上にノズル53の作動開始位置P1が設定される。上記作動開始位置P1にノズル53が移動させられた後、同ノズル53から溶融状態の樹脂材料が押出される。その後もノズル53が水平方向へ移動しながら上記樹脂材料を押出すことで、樹脂層51aが造形ステージ52上に形成される。造形ステージ52が上記積層ピッチだけ降下させられた後に、ノズル53が水平方向へ移動しながら上記樹脂材料を押出すことで、上記樹脂層51a上に溶融状態の樹脂材料が積み重ねられて新たな樹脂層51aが形成される。造形ステージ52の降下と、ノズル53の移動とが繰り返されることによって、樹脂層51aが積層されて積層造形部が形成され、目的とする車両用樹脂製品51が得られる。
特開2018-34336号公報 特許第6208023号公報
ところで、図8に示すように、上記車両用樹脂製品51の形状が部分的に変更された別の車両用樹脂製品55を製造する場合がある。この場合、変更前の車両用樹脂製品51とは無関係に、変更後の車両用樹脂製品55の全体を積層造形法によって製造すると、次の問題が生ずる。すなわち、造形ステージ52上に設定された作動開始位置P1を始点としたノズル53の移動によって樹脂層55aが積層されると、変更されていない部分も造形されることになるため、工数が不要に多くなる。これに伴い車両用樹脂製品55の製造時間が長くなり、生産性の点で問題がある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、全体が積層造形部によって構成される場合よりも生産性を高めることのできる車両用樹脂製品及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決する車両用樹脂製品は、自身の外表面の一部を意匠面として有する樹脂製の基体部と、前記基体部の前記外表面の前記意匠面とは異なる箇所に接続された樹脂製の付加部とを備える車両用樹脂製品であって、前記基体部は、樹脂材料が成形されてなる樹脂成形部により構成され、前記付加部は、樹脂層が積層されてなる積層造形部により構成されている。
上記の構成によれば、樹脂層が積層されてなる積層造形部によって構成される付加部は、3次元プリンタを用いた積層造形法によって形成される。そのため、付加部が、射出成形法等の一般的な樹脂成形法では成形が難しい複雑な形状を有していても、積層造形法では造形が可能である。
また、樹脂材料が成形されてなる樹脂成形部によって構成される基体部は、例えば、射出成形法等の樹脂成形法によって形成される。そのため、基体部が、付加部と同様、3次元プリンタを用いて形成された積層造形部によって構成される場合に比べ、短時間で同基体部を形成することが可能である。
また、車種間で基体部が共通していて、付加部の形状、大きさ等が異なっている場合には、基体部に対し接続される付加部の種類を変更することで、車種毎に対応する車両用樹脂製品を製造することが可能である。
なお、車両に取付けられた状態の車両用樹脂製品を見た場合、基体部の外表面のうちの意匠面が見えるが、基体部の外表面の意匠面とは異なる箇所に接続された付加部は見えないか、又は見えにくい。そのため、付加部が見えることによる車両用樹脂製品の見栄えの低下が抑制される。
上記車両用樹脂製品において、前記基体部は、前記外表面の前記意匠面とは異なる箇所に、前記付加部の接続を補助する接続補助部を有しており、前記付加部は、前記接続補助部において前記基体部に接続されていることが好ましい。
上記の構成によれば、付加部が接続補助部において基体部に接続されることにより、付加部の基体部に対する接続が接続補助部によって補助される。そのため、接続補助部がない場合に比べ、付加部の基体部に対する接続が強固に行なわれる。
なお、車両に取付けられた状態の車両用樹脂製品を見た場合、基体部の外表面のうち意匠面とは異なる箇所に設けられた接続補助部は、見えないか、又は見えにくい。そのため、接続補助部が見えることによる車両用樹脂製品の見栄えの低下が抑制される。
上記車両用樹脂製品において、前記接続補助部は嵌合部を有しており、前記付加部は、前記嵌合部に嵌合し得る被嵌合部を有しており、前記付加部は、前記被嵌合部が前記嵌合部に対し嵌合された状態で前記接続補助部に接続されていることが好ましい。
上記の構成によれば、付加部の接続補助部に対する接続は、付加部の被嵌合部が接続補助部の嵌合部に嵌合された状態でなされる。そのため、被嵌合部の動きが嵌合部によって規制される。また、こうした嵌合がなされない状態で付加部が接続補助部に接続される場合に比べ、付加部の接続補助部に対する接触面積が増大し、付加部の基体部に対する接続がより強固に行なわれる。
上記車両用樹脂製品において、前記嵌合部のうち、前記嵌合により前記被嵌合部が接触される面の少なくとも一部は、前記基体部のうち、前記外表面の少なくとも前記嵌合部の周りの部分よりも粗い粗面により構成されていることが好ましい。
上記の構成によれば、嵌合部のうち、嵌合により被嵌合部が接触される面が全て滑らかな面によって構成される場合に比べ、被嵌合部が嵌合部に対し、より広い面に接触した状態で接続されることとなる。また、被嵌合部はアンカー効果によって粗面に対し機械的に結合された状態となる。そのため、付加部の基体部に対する接続がより一層強固に行なわれる。
上記車両用樹脂製品において、前記付加部は、前記基体部を補強する補強部、及び前記基体部を車両に取付けるための取付部の少なくとも一方であることが好ましい。
上記の構成によるように、付加部が補強部である場合には、同補強部が基体部に接続されることで、同基体部が補強部によって補強されて変形しにくくなる。また、付加部が取付部である場合には、車両用樹脂製品が取付部において車両に取付けられる。
上記課題を解決する車両用樹脂製品の製造方法は、請求項1~5のいずれか1項に記載の車両用樹脂製品を製造する車両用樹脂製品の製造方法であって、前記基体部を射出成形法により成形する基体部成形工程と、前記基体部成形工程により成形された前記基体部の外表面における前記意匠面とは異なる箇所に対し、3次元プリンタを用いて前記樹脂層を積層することにより、前記箇所に接続された状態の前記付加部を造形する付加部造形工程とを備える。
上記の方法によれば、車両用樹脂製品の製造に際し、基体部成形工程において基体部が射出成形法によって成形される。この基体部成形工程では、型閉じ及び型開きされる金型が用いられる。型閉じされたときに金型に形成されるキャビティに溶融状態の樹脂材料が充填され、同樹脂材料が硬化されることで、基体部が形成される。
付加部造形工程では、基体部の外表面における意匠面とは異なる箇所に対し、3次元プリンタを用いて樹脂層が積層される。基体部の上記箇所に接続された状態の付加部が造形される。
従って、基体部が、付加部と同様、3次元プリンタを用いて形成された積層造形部によって構成される場合に比べ、基体部ひいては車両用樹脂製品の全体の製造時間を短くすることが可能である。
上記車両用樹脂製品の製造方法において、前記付加部造形工程は、前記基体部が載置された造形ステージと、溶融状態の樹脂材料を押出すノズルとを相対移動させることで、前記基体部上に前記樹脂層を形成するとともに、同樹脂層を積層して前記付加部を造形するものであり、前記付加部造形工程に先立ち、前記基体部成形工程で成形された前記基体部をスキャンすることにより、同基体部の3次元データを作成するスキャン工程をさらに備え、前記付加部造形工程では、前記スキャン工程で作成された前記基体部の前記3次元データから前記付加部の前記基体部に対する接続位置を決定し、前記接続位置に基づき前記ノズルの作動開始位置を設定し、前記ノズルを前記作動開始位置へ移動させて前記樹脂材料の押出しを開始させることが好ましい。
ここで、3次元プリンタの初期状態では、造形ステージの原点を基準として、同造形ステージ上にノズルの作動開始位置が設定される。仮に、ノズルがこの作動開始位置へ移動させられ、溶融状態の樹脂材料の押出しが開始されると、車両用樹脂製品の全体が積層造形法によって造形されることになる。
しかし、上記の方法によれば、基体部成形工程と付加部造形工程との間に行なわれるスキャン工程で基体部がスキャンされて、3次元データが作成される。付加部造形工程では、スキャン工程で作成された3次元データから、付加部の基体部に対する接続位置が決定される。そして、上記接続位置に基づき、ノズルの作動開始位置が設定され、ノズルが上記作動開始位置へ移動させられる。溶融状態の樹脂材料のノズルからの押出しが上記作動開始位置から開始される。ノズルから樹脂材料が、上記接続位置において基体部上に押出されると、その基体部に接合される。一方で、造形ステージとノズルとが相対移動される。この相対移動により、基体部上に樹脂層が形成される。この樹脂層が積層されることで、基体部に対し接続した状態の付加部が造形されて、目的とする車両用樹脂製品が得られる。
上記車両用樹脂製品及びその製造方法によれば、全体が積層造形部によって構成される場合よりも生産性を高めることができる。
車両用樹脂製品をエンブレムに具体化した一実施形態を示す図であり、同エンブレムの背面図。 一実施形態におけるエンブレムの側面図。 一実施形態におけるエンブレムと3次元プリンタとの位置関係を示す説明図。 一実施形態のエンブレムにおいて、補強部が接続補助部において基体部に接続された状態を拡大して示す部分断面図。 一実施形態の基体部における接続補助部を拡大して示す部分断面図。 接続補助部の変形例を示す図であり、図5に対応する部分断面図。 従来技術を説明する図であり、車両用樹脂製品を3次元プリンタで造形する様子を示す部分断面図。 従来技術を説明する図であり、図7の車両用樹脂製品の一部を変更した、別の車両用樹脂製品を3次元プリンタで造形する様子を示す部分断面図。
以下、車両用樹脂製品をエンブレムに具体化した一実施形態について、図1~図5を参照して説明する。
なお、以下の記載に関し、車両の前進方向を前方とし、後進方向を後方として説明する。また、上下方向は車両の上下方向を意味し、左右方向は車幅方向であって車両の前進時の左右方向と一致するものとする。
図1及び図2に示すように、エンブレム10は、車両の図示しないフロントグリルであって、左右方向の中央部分に設けられた開口部に取付けられて、フロントグリル、ひいては車両の前部を装飾するものである。
エンブレム10は、基体部11及び複数の付加部を備えている。基体部11は、エンブレム10の骨格をなす部分であり、上下方向よりも左右方向に寸法の大きな略楕円形の板状をなしている。基体部11は、車両前方へ膨らむように湾曲している。基体部11は、自身の外表面のうちの表面を、意匠面12として有している。図4に示すように、基体部11は、樹脂材料を成形してなる樹脂成形部13によって構成されている。基体部11は、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)等の硬質樹脂材料を用い、一般的な樹脂成形法、本実施形態では射出成形法によって形成されている。
図1及び図2に示すように、複数の付加部は、複数の補強部21と複数の取付部22とを備えている。これらの補強部21及び取付部22は、ABSによって上記基体部11とは別に形成されており、基体部11の外表面のうち意匠面12とは異なる箇所である裏面16に接続されている。
図4に示すように、各補強部21は、樹脂層21aが積層されてなる積層造形部23によって構成されている。なお、図示はしないが、各取付部22も、上記補強部21と同様に、樹脂層が積層されてなる積層造形部23によって構成されている。補強部21及び取付部22のいずれの積層造形部23も、3次元プリンタを用いた積層造形法によって造形されている。
各補強部21は、基体部11を補強するためのものであり、リブ等によって構成されている。図1及び図4に示すように、各補強部21は、基体部11の裏面16における外周部分であって、周方向に互いに離間した複数箇所に接続されている。
図1及び図2に示すように、各取付部22は、エンブレム10をフロントグリルに取付けるためのものであり、クリップ、ビス、係合爪等によって構成されている。複数の取付部22は、基体部11の裏面16における外周部分であって、周方向に互いに離間した複数箇所に接続されている。
複数の補強部21及び複数の取付部22は、互いに同様の態様で基体部11に接続されている。そのため、ここでは、補強部21の基体部11に対する接続態様について説明し、取付部22の基体部11に対する接続態様については説明を省略する。
図4及び図5に示すように、基体部11は、その裏面16における外周部分であって、周方向に互いに離間した複数箇所に、各補強部21の接続を補助する接続補助部14を有している。そして、各補強部21は、対応する接続補助部14において基体部11に接続されている。
より詳しくは、各接続補助部14は嵌合部15を有している。接続補助部14毎の嵌合部15は、基体部11の裏面16において開口し、かつ意匠面12側へ凹む凹部によって構成されている。各補強部21は、上記嵌合部15に嵌合し得る被嵌合部24を一端部に有している。各補強部21は、自身の被嵌合部24が、対応する嵌合部15に対し嵌合された状態で基体部11に接続されている。各被嵌合部24の外面は嵌合部15の内面に対し、隙間のない、又は少ない状態で密着している。
次に、上記のように構成された本実施形態の作用について説明する。また、作用に伴い生ずる効果についても併せて説明する。
最初に、エンブレム10の製造方法について、図3を参照して説明する。この製造方法では、少なくとも基体部成形工程、スキャン工程及び付加部造形工程が行なわれる。
基体部成形工程では、図示しない金型が用いられて、射出成形が行なわれる。型閉じされた金型に形成される成形空間であるキャビティに溶融状態の樹脂材料が充填される。この樹脂材料が硬化されることで、表面を意匠面12とするとともに、裏面16の外周部分の複数箇所に、凹部からなる嵌合部15を有する基体部11が成形される。ここで、仮に、積層造形法によって基体部11を造形すると、隣り合う樹脂層間に積層段差と呼ばれる段差が少なからず生ずる。しかし、射出成形法によって基体部11を成形することで、積層段差が発生せず、凸凹の少ない滑らかな外表面を有する基体部11を成形することができる。
スキャン工程では、上記のように成形された基体部11が、図示しない3次元スキャナによってスキャンされて、同基体部11の3次元データが作成される。すなわち、3次元スキャナから上記基体部11に対しレーザ光等が照射されて、同基体部11がスキャンされ、3次元の座標が取得される。この作業が繰り返されることで、基体部11から座標値を持つ点の集まりとして3次元データが得られる。
付加部造形工程では、図3に示す3次元プリンタ30が用いられて、基体部11の嵌合部15に対し積層造形法が行なわれる。この積層造形法の実施に際し、基体部11の形状に関する上記3次元データから、補強部21及び取付部22の基体部11に対する接続位置が決定され、その接続位置に基づきノズル33の作動開始位置P1が設定される。
また、付加部造形工程では、補強部21及び取付部22のそれぞれの3次元形状を表す3次元データが準備される。この3次元データは、例えば、3次元CADによって作成されたものであってもよいし、3次元スキャナによって作成されたものであってもよい。
3次元データを積層ピッチの薄い層に分けた積層データが作成される。積層データが、3次元プリンタ30を制御するためのプリンタ制御コードに変換された後、そのプリンタ制御コードが3次元プリンタ30に送られる。
一方、3次元プリンタ30の造形ステージ31上に支持部材32が組付けられ、さらに上記支持部材32上に基体部11が載置される。この載置は、意匠面12を下側に位置させ、裏面16を上側に位置させた状態で行なわれる。このようにして、基体部11が、造形ステージ31上の予め定められた箇所に位置決めされた状態で配置される。
その後、3次元プリンタ30では、上記プリンタ制御コードに基づき、各部の作動が制御される。
ここで、3次元プリンタ30の初期状態では、造形ステージ31の原点を基準として、同造形ステージ31上にノズル33の作動開始位置P1が設定される。仮に、ノズル33がこの作動開始位置P1へ移動させられ、溶融状態の樹脂材料の押出しが開始されると、エンブレム10の全体、すなわち、基体部11、補強部21及び取付部22の全部が積層造形法によって造形されることになる。
しかし、本実施形態では、図5に示すように、補強部21等の基体部11に対する上記接続位置、この場合、嵌合部15の内底面17の角部にノズル33の作動開始位置P1が設定される。設定された作動開始位置P1は、造形ステージ31の上面から上方へ離れている。そして、ノズル33が、上記のように設定された作動開始位置P1へ移動させられる。その移動後にノズル33からの樹脂材料の押出しが上記作動開始位置P1にて開始される。その後も、ノズル33が水平方向へ移動させられながら、すなわち、造形ステージ31とノズル33とが樹脂層21aに沿う方向へ相対移動させられながら、溶融状態の樹脂材料がノズル33から押出される。押出された樹脂材料は、嵌合部15の内底面17に対し接合する。この樹脂材料が硬化することで、図4に示すように、上記積層ピッチの厚みを有する樹脂層21aが内底面17上に形成される。樹脂層21aの形成後に、造形ステージ31が上記積層ピッチだけ降下させられる、又は、ノズル33が上記積層ピッチだけ上昇させられる。すなわち、造形ステージ31及びノズル33が樹脂層21aの厚み方向へ相対移動させられる。上記樹脂層21a上に溶融状態の樹脂材料が積み重ねられて別の樹脂層21aが形成される。このように、造形ステージ31を降下させて、又はノズル33を上昇させて、ノズル33を水平方向へ移動させることで、樹脂層21aが積層される。基体部11に対し接続した状態の補強部21及び取付部22が造形されて、目的とするエンブレム10が得られる。
補強部21及び取付部22は、上記のように積層造形法によって形成される。そのため、補強部21及び取付部22が、射出成形法等の一般的な樹脂成形法では成形が難しい複雑な形状を有していても、積層造形法では造形が可能である。
また、基体部11は、上述したように射出成形法によって形成される。そのため、基体部11が、補強部21及び取付部22と同様、3次元プリンタ30を用いて造形された積層造形部23によって構成される場合に比べ、短時間で同基体部11を形成することができる。
このように、本実施形態によると、エンブレム10の全体が積層造形部23によって構成される場合に比べ、同エンブレム10の生産性を高めることができる。
また、車種間で基体部11が共通していて、車種間で補強部21及び取付部22の形状や大きさが異なっている場合には、補強部21及び取付部22の種類を変更することで、車種毎に、対応するエンブレム10を製造することができる。
得られたエンブレム10では、図4及び図5に示すように、補強部21及び取付部22が接続補助部14において基体部11に接続されることにより、補強部21及び取付部22の基体部11に対する接続が補助される。そのため、接続補助部14が設けられることなく基体部11の裏面16に直接接続される場合に比べ、補強部21及び取付部22の基体部11に対する接続を強固に行なうことができる。
特に、本実施形態では、補強部21及び取付部22の接続補助部14に対する接続は、被嵌合部24が嵌合部15に対し嵌合された状態でなされている。そのため、嵌合部15の内面が被嵌合部24の外面に接触することで、同被嵌合部24の動きが嵌合部15によって規制される。また、上記嵌合がなされない状態で補強部21及び取付部22が接続補助部14に接続される場合に比べ、補強部21及び取付部22の接続補助部14に対する接触面積が増大し、同基体部11に対する接続をより強固に行なうことができる。
得られたエンブレム10では、基体部11が複数の補強部21によって補強され、同基体部11、ひいてはエンブレム10の厚み方向の強度が高められる。そのため、エンブレム10が厚み方向へ変形しにくい。
そして、上記エンブレム10は、車両のフロントグリルにおける開口部に配置され、複数の取付部22において、フロントグリルに取付けられる。
このようにして、フロントグリルに取付けられたエンブレム10を車両前方から見た場合、基体部11の外表面のうちの意匠面12が見えるが、裏面16に接続された補強部21及び取付部22は見えない、又は見えにくい。そのため、補強部21及び取付部22が見えることによるエンブレム10の見栄えの低下を抑制することができる。
また、基体部11の裏面16に設けられている接続補助部14もまた車両前方から見えない。そのため、接続補助部14が見えることによるエンブレム10の見栄えの低下を抑制することができる。
本実施形態によると、上記以外にも、次の効果が得られる。
・基体部11が共通していて、付加部(補強部21、取付部22)の形状、大きさ等が互いに異なる複数種類のエンブレム10の全体を射出成形法によって成形する場合、金型がエンブレム10の種類と同じ数必要となる。それらの金型を検討したり製造したりする分、工数が増え、金型の製造費用が嵩む。
この点、本実施形態では、エンブレム10のうち、形状及び大きさが共通している基体部11のみを射出成形で成形するようにしている。そのため、金型としては、基体部11を成形するための金型を1種類準備するだけですみ、金型の検討のための工数と、製作のための費用とを削減することができる。
・エンブレム10のうち補強部21及び取付部22のみを積層造形しているため、造形材料の使用量が少なくてすみ、材料のコストを低減することができる。
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。上記実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・嵌合部15において、被嵌合部24との嵌合により、同被嵌合部24が接触される面の少なくとも一部が、基体部11のうち、少なくとも嵌合部15の周りの部分よりも粗い粗面18によって構成されてもよい。図6は、嵌合部15の内底面17が粗面18に形成されている変形例を示している。このようにすることで、内底面17が凹凸の少ない滑らかな面に形成される場合に比べ、同内底面17の表面積が増える。
そのため、嵌合部15において、内底面17を含む全ての内面が滑らかな面によって構成される場合に比べ、被嵌合部24が嵌合部15に対し、より広い面に対し接触した状態で接続されることとなる。また、被嵌合部24はアンカー効果によって、粗面18に対し機械的に結合された状態となって、基体部11に接続される。そのため、補強部21及び取付部22の基体部11に対する接続をより一層強固に行なうことができる。
・上記3次元スキャナを、3次元プリンタ30を有する積層造形装置内に組込み、造形ステージ31上に配置された基体部11を3次元スキャナによってスキャンして、基体部11の3次元データを作成してもよい。この場合には、基体部11を造形ステージ31から取り外すことなく、3次元プリンタ30による積層造形を行なうことができる。そのため、造形ステージ31とは異なる箇所で3次元スキャナによるスキャンを行ない、その後に、基体部11を造形ステージ31に配置する場合よりも高い精度で、補強部21及び取付部22を造形することが可能となる。
・基体部11は単一の部材によって構成されてもよいし、複数の部材によって構成されてもよい。
・上記図6の変形例において、嵌合部15の内面のうち、粗面18により構成される箇所は、被嵌合部24との嵌合により同被嵌合部24に接触する面の少なくとも一部であればよい。この条件を満たす範囲で、粗面18が形成される箇所が上記実施形態とは異なる箇所に変更されてもよい。
・嵌合部15が突部によって構成され、被嵌合部24が凹部によって構成されて、被嵌合部24が嵌合部15に外嵌された状態で接続されてもよい。
・補強部21及び取付部22のうちの一方のみが付加部とされて、積層造形部23によって構成されてもよい。
・基体部11及び付加部が、ABSとは異なる樹脂材料、例えばPP(ポリプロピレン)によって形成されてもよい。
・基体部11及び付加部は、同一の樹脂材料によって形成されるのが接合性の点で好ましいが、接合できる材料であることを条件に、異なる種類の樹脂材料によって形成されてもよい。
・付加部の基体部11に対する接続箇所が、基体部11の外表面のうち、意匠面12とは異なる箇所であることを条件に、上記実施形態(裏面16)とは異なる箇所に変更されてもよい。
・上記車両用樹脂製品は、車両の外装品であることを条件に、上記エンブレム10とは異なる樹脂製品に適用されてもよい。
また、上記車両用樹脂製品は、車両の内装品に適用されてもよい。例えば、ドアのアームレストの上部カバー、シフトパネル等がこれに該当する。
・上記付加部の積層造形法としては、上記実施形態の溶融樹脂積層法(材料押出法)に限らず、他の積層造形法を適宜採用可能である。例えば、光硬化性樹脂をヘッドから吹付け、紫外線で硬化させながら積層する材料噴射法、敷き詰められた粉末にレーザ光を当てて焼結させ積層する粉末床溶融結合法等がこれに該当する。
10…エンブレム(車両用樹脂製品)、11…基体部、12…意匠面、13…樹脂成形部、14…接続補助部、15…嵌合部、18…粗面、21…補強部、21a…樹脂層、22…取付部、23…積層造形部、24…被嵌合部、30…3次元プリンタ、31…造形ステージ、33…ノズル、P1…作動開始位置。

Claims (3)

  1. 自身の外表面の一部を意匠面として有する樹脂製の基体部と、
    前記基体部の前記外表面の前記意匠面とは異なる箇所に接続された樹脂製の付加部と
    を備える車両用樹脂製品の製造方法であって、
    前記基体部を射出成形法により成形する基体部成形工程と、
    前記基体部成形工程により成形された前記基体部の外表面における前記意匠面とは異なる箇所に対し、3次元プリンタを用いて樹脂層を積層することにより、前記箇所に接続された状態の前記付加部を造形する付加部造形工程とを備え、
    前記付加部は、前記基体部を補強する補強部、及び前記基体部を車両に取付けるための取付部の少なくとも一方であり、
    前記基体部成形工程は、前記箇所に前記付加部の接続を補助する接続補助部を有する前記基体部を成形し、
    前記接続補助部は、前記意匠面とは異なる外表面である前記基体部の裏面において開口し、かつ前記意匠面側へ凹む嵌合部であり、
    前記付加部造形工程は、前記嵌合部に対し嵌合された状態で前記接続補助部に接続される被嵌合部を有する前記付加部を造形する車両用樹脂製品の製造方法。
  2. 前記基体部成形工程は、前記嵌合部のうち、前記嵌合により前記被嵌合部が接触される面の少なくとも一部に、前記外表面の少なくとも前記嵌合部の周りの部分よりも粗い粗面を有する前記基体部を成形する請求項に記載の車両用樹脂製品の製造方法。
  3. 前記付加部造形工程は、前記基体部が載置された造形ステージと、溶融状態の樹脂材料を押出すノズルとを相対移動させることで、前記基体部上に前記樹脂層を形成するとともに、同樹脂層を積層して前記付加部を造形するものであり、
    前記付加部造形工程に先立ち、前記基体部成形工程で成形された前記基体部をスキャンすることにより、同基体部の3次元データを作成するスキャン工程をさらに備え、
    前記付加部造形工程では、前記スキャン工程で作成された前記基体部の前記3次元データから前記付加部の前記基体部に対する接続位置を決定し、前記接続位置に基づき前記ノズルの作動開始位置を設定し、前記ノズルを前記作動開始位置へ移動させて前記樹脂材料の押出しを開始させる請求項1又は2に記載の車両用樹脂製品の製造方法。
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