本発明は、水道等の給水源から局部洗浄ノズル等の吐水部までの流路において、加熱装置に対して一体的にバキュームブレーカ部を設け、そのバキュームブレーカ部の構造等を工夫することにより、流路構成の簡素化を図り、コンパクトな装置構成を実現しようとするものである。以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、衛生洗浄装置が、トイレ装置において洋式腰掛便器の上に設置された構成を例にとって説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るトイレ装置1は、洗浄水により人体(使用者)の局部を洗浄する衛生洗浄装置2と、洋式腰掛便器である便器3とを備える。衛生洗浄装置2は、トイレ装置1において、便器3の上に設置された状態で設けられている。衛生洗浄装置2は、便器3に対して着脱可能に取り付けられた構成であってもよく、便器3と一体的に設けられた構成であってもよい。
便器3は、上側を開放側とした凹状のボウル部3aを有する。便器3は、ボウル部3aにおいてトイレ装置1の使用者の尿や便などの排泄物を受ける。
衛生洗浄装置2は、筐体をなすケーシング5内に各種の装置・機器を内蔵した装置本体部4と、装置本体部4のケーシング5に対して回動可能に支持された便座6および便蓋7とを有する。衛生洗浄装置2は、便器3に対して、装置本体部4をボウル部3aの後方の上側に位置させ、便座6および便蓋7の回動動作によってボウル部3aの上側の開放部を開閉するように設けられる。
ケーシング5は、その底部をなすベースプレート5a(図3参照)と、ベースプレート5aを上側から覆うケースカバー5bとを有する。ベースプレート5a上に、ケーシング5に内蔵される各種の装置・機器が設置されている。
なお、トイレ装置1は、装置本体部4の後方に、洗浄水を貯溜する貯水タンクを備えたロータンク式のものであってもよい。この場合、装置本体部4のケーシング5のケースカバー5bは、例えば、内部に貯水タンクを収容するタンクカバー部分とともに、一体のタンクカバーを構成するか、あるいは、タンクカバー部分とは別体の部材として設けられ、タンクカバー部分をなす部材とともにタンクカバーを構成する。
衛生洗浄装置2の構成ついて、図2および図3を参照して説明する。なお、図2は、洗浄水の供給経路の構成と制御構成を併せて示しており、図2では、水の流れを実線で、信号または電気の流れを破線でそれぞれ示している。また、図3に示すように、衛生洗浄装置2における前後・左右・上下方向は、図1に示すトイレ装置1における前後・左右・上下方向に対応している。
図2に示すように、衛生洗浄装置2は、制御部10と、人体検知センサ12と、着座検知センサ13と、洗浄水供給部14と、ノズルユニット15とを有する。これらの構成は、ケーシング5に内蔵されている。また、衛生洗浄装置2は、例えばリモートコントローラとして設けられる操作部(図示略)を有する。
制御部10は、例えば、CPU等の演算処理装置やRAM等の記憶装置等を備えたものであり、洗浄水供給部14やノズルユニット15等の各部の動作を制御する。制御部10は、例えば使用者による操作部に対する操作に基づく操作部からの入力信号に応じて、各部の動作を制御する。なお、制御部10と操作部との間の通信方式は、有線であっても無線であってもよい。
人体検知センサ12は、トイレ装置1が設置されたトイレルーム内に入室した使用者を検知するセンサである。人体検知センサ12は、その検知信号を制御部10に対して出力する。人体検知センサ12は、例えば、赤外線信号を利用した焦電センサや、マイクロ波を用いたマイクロ波ドップラセンサ等の電波センサである。
着座検知センサ13は、使用者の着座として、便座6に着座する直前の使用者や便座6に着座した状態の使用者を検知するセンサである。着座検知センサ13は、その検知信号を制御部10に対して出力する。着座検知センサ13は、例えば、赤外線投受光式の測距センサや、便座6に着座した使用者の荷重を検知するスイッチである。
洗浄水供給部14は、水道等の所定の給水源9からの給水を受け、供給された洗浄水(水)を、ノズルユニット15へと供給する。洗浄水供給部14は、バルブユニット21と、熱交換器22と、電解槽23と、バキュームブレーカ(VB)24とを有する。
バルブユニット21は、例えば電磁弁により構成された流路開閉弁やストレーナ等を含み、洗浄水供給部14に供給される水の流路を開閉する。つまり、バルブユニット21は、流路開閉弁の開閉動作によって、給水源9から供給される洗浄水の給水と止水とを切り替える。バルブユニット21は、制御部10からの制御信号に基づいて開閉動作する。
熱交換器22は、バルブユニット21の下流側に設けられている。熱交換器22は、給水源9からの水の供給を受けるタンク26を有し、タンク26内の水を加熱する加熱装置である。図3に示すように、熱交換器22は、タンク26内に加熱源として発熱体であるヒータ27を有し、ヒータ27により、給水源9から供給された洗浄水を加熱して温水とする。つまり、熱交換器22は、タンク26を貯湯タンクとする貯湯加熱式のものである。
熱交換器22により得られる温水の温度は、例えば操作部の操作により設定される。本実施形態では、ヒータ27は、直線棒状に構成されたシーズヒータであり、タンク26内の底部付近に配置されている。ヒータ27は、制御部10からの制御信号に基づいて通電により発熱する。
このように熱交換器22を有する洗浄水供給部14から各供給先に供給される洗浄水には、給水源から供給されたままの水と、熱交換器22によって加熱された温水とが含まれる。なお、熱交換器22は、例えばセラミックヒータ等の他の加熱源を用いたものであってもよい。
電解槽23は、熱交換器22の下流側に設けられている。電解槽23は、一対の電極を有し、熱交換器22側から供給された水を電極間にて電気分解する。電解槽23は、洗浄水に含まれる塩素イオンを電気分解することにより、機能水として、次亜塩素酸(HClO)を含む水を生成する。
電解槽23における通電動作は、制御部10からの制御信号に基づいて制御される。なお、電解槽23は、供給された水を電気分解することなく下流側へと流すこともできる。電解槽23は、所定の配線により制御部10に接続されている。
バキュームブレーカ24は、大気開放された開放部を有する大気解放式のものであり、電解槽23から供給される水の逆流を防止する。バキュームブレーカ24を通過した水は、ノズルユニット15へと供給される。本実施形態では、後述するように、バキュームブレーカ24としての機能を有するバキュームブレーカ部50(以下「VB部50」と表記する。)が、熱交換器22のタンク26と一体的に設けられている。
ノズルユニット15は、ノズル本体をなす局部洗浄ノズル31と、ノズル洗浄部としてのノズル洗浄室32と、流路切替弁33と、局部洗浄ノズル31を支持する支持体34(図3参照)と、ノズル駆動部35とを有し、ケーシング5(のベースプレート5a)に対する一体的な取付体として構成されている。
局部洗浄ノズル31は、人体の局部を洗浄するための水(洗浄水)を吐出するものである。局部洗浄ノズル31は、略円筒棒状に構成され、平面視でその長手方向が前後方向となるように設けられている。局部洗浄ノズル31は、ノズル駆動部35により、ケーシング5内から便器3のボウル部3a内に対して進退可能(出没可能)に設けられている(図3、矢印A1参照)。
局部洗浄ノズル31は、その長手方向の一側(前端側)に、洗浄水を吐出する複数の吐水孔36を有する。本実施形態では、局部洗浄ノズル31は、人体用の吐水孔36として、おしり洗浄用の第1吐水孔36aと、おしりを優しく洗うやわらか洗浄用の第2吐水孔36bと、ビデ洗浄用の第3吐水孔36cとを有する。これらの吐水孔36は、局部洗浄ノズル31の先端部の上側に設けられている。これらの吐水孔36に供給された洗浄水は、吐水孔36から上方へ向けて吐出され、便座6に着座した状態の使用者の局部洗浄に用いられる。
また、局部洗浄ノズル31は、便器用の吐水孔36として、第4吐水孔36dを有する。第4吐水孔36dは、局部洗浄ノズル31の先端部の下側に設けられている。第4吐水孔36dは、例えば使用者による便器3の使用前または使用後にボウル部3aに対して水を吐出する洗浄処理に用いられる。なお、このボウル部3aの洗浄処理には、電解槽23で生成された機能水が用いられてもよい。
局部洗浄ノズル31においては、各吐水孔36に連通する流路が形成されている。すなわち、局部洗浄ノズル31は、給水流路として、第1吐水孔36aに連通する第1の給水流路37aと、第2吐水孔36bに連通する第2の給水流路37bと、第3吐水孔36cに連通する第3の給水流路37cと、第4吐水孔36dに連通する第4の給水流路37dとを有する。これらの給水流路は、流路切替弁33から各吐水孔36に連通する給水流路を構成し、流路切替弁33によって切り替えられる流路に含まれる。
ノズル洗浄室32は、支持体34の前端部に固定された状態で設けられている。ノズル洗浄室32は、支持体34に設けられ、給水源9から供給された水により局部洗浄ノズル31を洗浄する。本実施形態では、ノズル洗浄室32は、支持体34の前端部において、支持体34と一体的に設けられている。
ノズル洗浄室32は、局部洗浄ノズル31が挿通される内部空間を形成する部材により構成されている。ノズル洗浄室32は、その内部空間に臨んで開口する吐水口を有し、この吐水口から洗浄水を吐出することにより、局部洗浄ノズル31の外周面の洗浄、即ち胴体洗浄を行う。局部洗浄ノズル31の胴体洗浄には、電解槽23で生成された機能水が適宜用いられる。
ノズル洗浄室32に対しては、給水源9から洗浄水供給部14のバキュームブレーカ24を経た水が、流路切替弁33を介して供給される。このため、バキュームブレーカ24と流路切替弁33とは、チューブ等の給水管によって構成された給水経路41(後述する第3の流路113)により互いに連通接続されている。また、流路切替弁33とノズル洗浄室32とは、これらの間の給水経路を構成するチューブ等の給水管42により互いに連通接続されている。すなわち、給水管42による給水流路は、局部洗浄ノズル31の各吐水孔36に連通する給水流路とともに、流路切替弁33によって切り替えられる流路に含まれる。
流路切替弁33は、バキュームブレーカ24の下流側に設けられており、バキュームブレーカ24から供給される水(機能水を含む)の供給を受ける。流路切替弁33は、洗浄水の供給先となる複数の吐水口部に対する流路の切替えを行う。洗浄水の供給先には、局部洗浄ノズル31およびノズル洗浄室32が含まれる。
流路切替弁33は、局部洗浄ノズル31と一体的に移動するように設けられている。本実施形態では、流路切替弁33は、局部洗浄ノズル31の後側に設けられている。
流路切替弁33は、水の供給先を切り替える流路に局部洗浄ノズル31への給水流路およびノズル洗浄室32への給水流路を含む。本実施形態では、流路切替弁33は、局部洗浄ノズル31への給水流路として、第1の給水流路37a、第2の給水流路37b、第3の給水流路37c、および第4の給水流路37dを有し、ノズル洗浄室32への給水流路として、給水管42により構成された給水流路を有する。すなわち、本実施形態では、流路切替弁33からの洗浄水の供給先に、複数の吐水孔36を有する局部洗浄ノズル31、およびノズル洗浄室32が含まれる。
流路切替弁33は、相対移動する2つのバルブディスクを有し、これらのバルブディスクの位置関係によって流路を切り替えるディスクバルブ機構を備えている。流路切替弁33は、ディスクバルブ機構の駆動源としてのモータ38を有する。モータ38は、例えば、パルス電力に同期して回動するステッピングモータ(パルスモータ)である。
モータ38は、所定の配線により制御部10に接続されており、モータ38の動作は、制御部10により制御される。すなわち、流路切替弁33は、制御部10からの制御信号に基づき、上述した複数の吐水孔36およびノズル洗浄室32の吐水口を対象として給水流路を切り替える。また、流路切替弁33は、各給水先に対する水の流量調整の機能を有する。なお、流路切替弁33の構造は、特に限定されるものではない。
支持体34は、ケーシング5に対して着脱可能に設けられ、局部洗浄ノズル31を支持する。具体的には、支持体34は、ケーシング5のベースプレート5aに対して着脱可能に取り付けられ、局部洗浄ノズル31を前下がりの傾斜状に往復直線移動可能に支持する。支持体34は、ノズルユニット15において、ノズル洗浄室32の設置を受けるとともに、局部洗浄ノズル31、およびこれと一体的に設けられた流路切替弁33を支持する支持基体を構成する。
ノズル駆動部35は、駆動源として電動モータ等のノズルモータを含み、局部洗浄ノズル31を便器3のボウル部3a内に対して進退動作させるための構成である。また、ノズル駆動部35は、ノズルモータの動力を、局部洗浄ノズル31を進退させるための動力として伝達する伝動機構として、複数のプーリおよびこれらに巻回されたベルトを含む機構を有する。
ノズル駆動部35のノズルモータの動作は、制御部10により制御される。すなわち、局部洗浄ノズル31の進退動作は、制御部10に接続されたノズル駆動部35のノズルモータを介して、制御部10により制御される。局部洗浄ノズル31は、トイレ装置1の使用者による操作部のスイッチ操作等に応じて、傾斜状態を保持しながらボウル部3a内に伸び出て、吐水孔36から洗浄水を噴射する。
ここで、本実施形態に係る衛生洗浄装置2の装置本体部4におけるケーシング5内の装置の配置構成について、図3を用いて説明する。図3に示すように、平面視で左右方向を長手方向とする略矩形状を有するベースプレート5a上において、左右中央部に、局部洗浄ノズル31を含むノズルユニット15が設けられている。具体的には、ベースプレート5aは、前側の左右中間部を、便器3のボウル部3aの平面視形状に対応するように凹状をなす湾曲部5dとし、この湾曲部5dの左右中央部に対応する位置に、局部洗浄ノズル31が、平面視でその長手方向を前後方向(進退方向)として設けられている。
ノズルユニット15の左側に、熱交換器22が設けられている。熱交換器22は、後側寄りの位置に設けられ、ベースプレート5a上のノズルユニット15よりも左側のスペースにおいて、タンク26によって大部分の面積を占めるように設けられている。
熱交換器22のタンク26の後側の左寄りの位置に、電解槽23が設けられている。また、タンク26の右側後部の上に、後述のとおりバキュームブレーカ24の機能を有するVB部50が設けられている。
また、ベースプレート5a上における右後側に、制御部10が設けられている。また、ベースプレート5a上におけるノズルユニット15の右側のスペースに、風系ユニットとして、温風乾燥ユニット46および脱臭ユニット47が配設されている。
温風乾燥ユニット46は、便座6に座った状態の使用者の洗浄後の局部を乾燥させるための温風を吹き出すものであり、ノズルユニット15の右側近傍の位置にて、ベースプレート5a上の前後方向の略全体にわたって延設されている。脱臭ユニット47は、脱臭触媒や脱臭フィルタなどの脱臭部材を有し、便器3のボウル部3a内の空気あるいはトイレルーム内の空気を吸い込み、吸い込んだ空気に含まれる悪臭成分などを脱臭部材によって低減させたり捕集または分解したりする。
以上のように、本実施形態に係る衛生洗浄装置2は、タンク26を有しタンク26内の水を加熱する熱交換器22と、バキュームブレーカ24として機能するVB部50と、熱交換器22の下流側に設けられ、VB部50を経た水の供給を受けて水を吐出する吐水部とを有する。この吐水部は、本実施形態では、ノズルユニット15を構成する局部洗浄ノズル31およびノズル洗浄室32である。
以上のような構成を備えた衛生洗浄装置2において、VB部50は、タンク26と一体的に設けられている。すなわち、本実施形態の衛生洗浄装置2は、VB部50により、熱交換器22に対して一体的にバキュームブレーカ24を設けた構成(以下「タンク・VB一体構成」という。)を備えている。以下、本実施形態に係るタンク・VB一体構成をなすVB部50について具体的に説明する。
まず、熱交換器22の構成について説明する。熱交換器22は、上述のとおり貯湯タンクとしてヒータ27を内蔵したタンク26を有する。タンク26は、正面視および側面視において略台形状をなし、下側から上側にかけて徐々に平面視外形面積を小さくするように、なだらかな裾広がりの山型の形状を有する。言い換えると、タンク26は、上側から下側にかけて拡開状の形状を有する。特に、本実施形態では、タンク26は、下部に対して上部を右側に偏倚させた略截頭角錐状の外形を有する。
タンク26は、概略的には、タンク26の下部をなすタンク下部51と、タンク26の上部をなすタンク上部52とを有する。タンク下部51は、タンク26の平面視外形をなす下側の部分であって、タンク上部52に対してなだらかにフランジ状に張り出すように形成された拡大状の部分である。タンク上部52は、その周壁部の勾配をタンク下部51に対して比較的急として略直方体状の外形に沿う部分であり、略水平状の天面部53を有する。
タンク26は、その左後側に、凹形状部54を有する。凹形状部54は、タンク26の平面視外形について、左右方向を長手方向とする略矩形状に対する切欠状をなす部分である。凹形状部54は、左右方向については、タンク26の全体の外形寸法に対して左側の略2/3の範囲にわたり、前後方向については、タンク26の全体の外形寸法に対して後側の略1/3の範囲にわたるように形成されている。タンク26は、凹形状部54を有する異形矩形状の平面視外形をある程度保持しながら、下端部から上端部にかけてなだらかに平面視形状を変化させており、天面部53においても、凹形状部54に対応して左後側を傾斜状とした異形矩形状(略台形状)の平面視外形を有する。
タンク26は、所定の固定構造により、ベースプレート5aの所定の位置に固定されている。本実施形態では、例えば、タンク26は、その下部の前側において外側(前方)へ向けて突設された固定用突片部26aを有し、この固定用突片部26aを、ベースプレート5a上に立設されたボス部5eに対してボルト26cにより固定させている。
タンク26において、底部付近、つまりタンク下部51のより広い下端部分に、直線棒状のヒータ27が、タンク26の右後側の角部から左前側の角部までの略全体にわたるように、平面視で対角線に沿う態様で、水平状に配設されている(図3参照)。
タンク26においては、天面部53の中央部から、フロートスイッチ55が垂下状態で設けられている。フロートスイッチ55は、タンク26内の水位を検知するためのものであり、フロートの動作によってタンク26内の水位が所定の水位に達したことを検知すると、所定の信号を出力する。フロートスイッチ55は、天面部53の外側から、信号を制御部10に対して出力するための信号線55aを延出させており、信号線55a等を介して制御部10に接続されている。信号線55aの端部には、他の配線の接続を受けるためのコネクタ55bが設けられている。また、天面部53においては、タンク26内の水の温度を検出し、その検出信号を出力するサーミスタ等が配設される。
タンク26は、右前側の下部に、流入口部57を有する。流入口部57は、左側に向けて開口した管状の接続管部57aを有し、接続管部57aに、タンク26に対する給水用のチューブ等の配管部材の接続を受ける。すなわち、バルブユニット21を経た水が配管部材によって導かれ、流入口部57からタンク26内に供給される。タンク26の内部には、流入口部57の近傍の部位に整流板が設けられており、流入口部57から流入した水は、整流板を介してタンク26内に溜まっていき、タンク26内の水位を上昇させる。
続いて、VB部50について説明する。VB部50は、タンク26の天面部53の上側に設けられている。本実施形態では、VB部50は、天面部53において、フロートスイッチ55の右斜め後側の角部に設けられている。
VB部50は、そのハウジングをなす構成部材として、VB部50の下部をなすVB下部材61と、VB部50の上部をなすVBキャップ部材62とを有する。VB部50は、タンク下部51において水平状の隔壁部63を有する。隔壁部63は、VB部50の内部空間を、タンク26の内部空間26sと連通する第1空間部と、ノズルユニット15が有する吐水部へと連通する第2空間部とに上下に区画する。
すなわち、VB部50は、隔壁部63の下側に、VB下部材61とタンク26とにより、第1空間部である下側空間部50aを形成する。また、VB部50は、隔壁部63の上側に、VB下部材61とVBキャップ部材62とにより、第2空間部である上側空間部50bを形成する。
図9~図14に示すように、VB下部材61は、隔壁部63を含む部分であって上下方向を筒軸方向とする略円筒状の部分をなす本体部64を有する。本体部64は、隔壁部63とともに上側を開放側とした凹状の上側空間65aをなす上側周壁部65と、隔壁部63とともに下側を開放側とした凹状の下側空間66aをなす下側周壁部66とを有する。
上側周壁部65は、隔壁部63に対して上側に垂直状の内周壁面65bを形成する部分である。内周壁面65bは、平面視において、周方向について部分的に内側に湾曲状に凹ませた凹形状部を含んだ異形円周形状を有する(図13参照)。上側周壁部65において、上側空間65aは、主に、隔壁部63の上面63aと、上側周壁部65の内周壁面65bとにより形成されている。
下側周壁部66は、隔壁部63から下側に円筒状に突出した部分である。下側周壁部66において、下側空間66aは、主に、隔壁部63の下面63bと、下側周壁部66の内周壁面部66bとにより形成されている。下側周壁部66は、その内周側において、下側の部分つまり開口端側の部分を、上側の小径部66cに対して、内径を段差状に拡径させた大径部66dとしている。
図9、図15および図16に示すように、VBキャップ部材62は、上面部68と周壁部69とにより形成されたキャップ本体部67を有する。キャップ本体部67は、下側を開放側とした凹状の空間67aをなす。空間67aは、主に、上面部68の下面68aと、周壁部69の内周壁面69aとにより形成されている。
VBキャップ部材62は、VB部50における大気開放用の通気経路70を形成する通気経路部71を有する。通気経路部71は、VBキャップ部材62において上面部68の上側に設けられており、空間67aに連通する空間として、上面部68の中央部から上方に向かうとともに右方向に向かう通気経路70を形成する。通気経路部71は、上面部68の上側において左右方向を長手方向とする四角筒状の外形に沿うように突設されており、先端側を右方に向けて突出させている。
通気経路部71は、通気経路70を、突出先端側の開口部72により外部に開口させ、VB部50において空間67aにより形成される下側空間部50aを大気開放させている。VB部50がタンク26の右後側の角部に設けられた構成において、開口部72は、タンク26の右後側の角部の上方に位置している。通気経路部71の先端部には、右側面視で前下側を頂角部とした略直角三角形状に沿う形状をなす板状の垂下部73が形成されている。垂下部73は、その右側の板面73aを、右方を向く開口部72の開口端面72aと面一としている。
下側空間部50aについて説明する。下側空間部50aは、VB下部材61がタンク26に取り付けられることで形成されている。タンク26は、VB下部材61の取付けを受ける部分として、天面部53において上方に向けて円筒状に突出したボス状開口部75を有する(図9参照)。ボス状開口部75は、その内周壁面により、上下方向を筒軸方向とする筒状の開口75aを形成する部分であり、タンク26の内部空間26sを上方に向けて開口させている。
天面部53において、ボス状開口部75の基部の外周側には、円周形状の環状溝部76が形成されている。環状溝部76は、ボス状開口部75が基端部に有する拡径部75cと、拡径部75cの外側に円周状に形成された周壁部75dと、これらの間の底面部75eとによって形成されている。
このようにボス状開口部75を有するタンク26に対し、VB下部材61が、下側周壁部66内にボス状開口部75を嵌入させるとともに、下側周壁部66の先端部を環状溝部76に嵌合させた状態で、天面部53に固定されている。ボス状開口部75は、その先端部を、下側周壁部66の小径部66c内に挿嵌させている。また、ボス状開口部75は、その上端面部75bを、隔壁部63の下面63bに対して下方に位置させた状態、つまり上端面部75bと下面63bとの間に間隔を隔てた状態で、下側周壁部66内に挿嵌されている。
VB下部材61は、ボルト77により、2箇所でタンク26に固定されている。具体的には、VB下部材61において、本体部64の外側に、ボルト77を貫通させるボルト孔78が形成されている。これに対し、タンク26側においては、ボス状開口部75の周囲である環状溝部76の外側の部位に、上方に開口した雌ネジ部を形成する円筒状のボス部79が上方に向けて突設されている。
そして、ボルト77がVB下部材61のボルト孔78を貫通するとともにボス部79に螺挿されることで、VB下部材61がタンク26の天面部53に固定される。ボルト77による固定部は、平面視で本体部64が沿う略円周形状の中心位置を介した右後側と左前側の2箇所に設けられている。なお、上述したように平面視で異形円周形状をなす上側周壁部65は、ボルト77に対する逃げの部分となる凹形状部を有する。
また、ボス状開口部75と下側周壁部66との嵌合部においては、Oリング80が介装されている。Oリング80は、ボス状開口部75に対して拡径部75cの上側に外嵌されており、ボス状開口部75の外周面と下側周壁部66の大径部66dの内周面との間に介在している。Oリング80により、下側空間部50aが密閉された状態となる。
このような構成により、主に、ボス状開口部75の上端面部75bと、下側周壁部66の小径部66cの内周面と、隔壁部63の下面63bとにより、下側空間部50aが形成されている。下側空間部50aは、比較的狭い扁平な空間部分である。下側空間部50aに対しては、タンク26の内部空間26sが、ボス状開口部75の開口75aによって上方に臨んで開口している。
上側空間部50bについて説明する。上側空間部50bは、VB下部材61とVBキャップ部材62により形成されている。VBキャップ部材62は、その周壁部69において、VB下部材61の上側周壁部65と開口側の端面部同士を整合させる形状・寸法を有する。つまり、VBキャップ部材62の周壁部69は、その底面視形状を、上側周壁部65の平面視形状に対応した異形円周形状としている。
VBキャップ部材62の周壁部69の下端面部には、周壁部69の全周にわたって、下方に向けて突出した突条部69dが形成されている。これに対し、VB下部材61の上側周壁部65の上端面部には、上側周壁部65の全周にわたって溝部65dが形成されている。
VB下部材61とVBキャップ部材62とは、下側周壁部66と周壁部69の開口側の端面部同士を合わせることで、突条部69dと溝部65dとを嵌合させ、その嵌合作用によって水平方向について位置決めされた状態で、互いに固定されている。これにより、VB下部材61およびVBキャップ部材62によって一体的なVB部50のハウジングが構成されている。なお、VB下部材61とVBキャップ部材62とは、接着剤を用いた接着固定等の所定の方法により互いに密閉状に固定されている。
このような構成により、主に、隔壁部63の上面63aと、VB下部材61の上側周壁部65の内周壁面65bと、VBキャップ部材62の周壁部69の内周壁面69aおよび上面部68の下面68aとにより、上側空間部50bが形成されている。つまり、上側空間部50bは、上側周壁部65の上側空間65aと、VBキャップ部材62の空間67aとが合わさった空間部分である。上側空間部50bに対しては、その上部に、通気経路部71により形成された通気経路70が連通している。
また、VB部50は、ストレーナ81と、整流板82と、フロート83とを有する。ストレーナ81、整流板82、およびフロート83は、いずれも上側空間部50b内に設けられている。
ストレーナ81は、平面状のメッシュ部分であるストレーナ本体部84と、ストレーナ本体部84の周囲に設けられた周壁部85とを有する。ストレーナ本体部84は、周壁部85に対して高さ方向の中間部に設けられている。したがって、ストレーナ81は、断面視で扁平な略「H」状をなすように形成されている(図8参照)。ストレーナ本体部84においては、互いに直交した直線状のリブ部84aが設けられている。
周壁部85は、VB下部材61の上側周壁部65の内周壁面65bの形状に沿った形状を有する。これにより、ストレーナ81は、周壁部85を、上側周壁部65の内周壁面65bに沿わせ、上側周壁部65の上側空間65a内に嵌った状態で設けられている。
整流板82は、ストレーナ81の上側に設けられている。整流板82は、上側周壁部65の内周壁面65bの平面視形状に沿った形状を有する板状の部材であり、その略中央部に、円形状の通水孔82aを有する。整流板82は、その外周縁部を、VB下部材61の上側周壁部65の上端部の内周側の部分と、VBキャップ部材62の周壁部69の下端部の内周側の部分とによって挟持させることで、位置決めされた状態で設けられている。
整流板82においては、通水孔82aの周囲に、フロート83を下側から支持するための支持突起82bが形成されている。支持突起82bは、通水孔82aの円周形状に沿うように平面視で円弧状に沿う突条部分であり、円周方向について略等間隔で4箇所に設けられている。
フロート83は、整流板82の上側に設けられている。フロート83は、その上部をなす部分であって十字状の横断面形状を有する本体部83aと、本体部83aの下側に形成された拡径状の部分であって略円板状の外形を有するフランジ部83bとを有し、全体として縦断面視で略ハット形状をなす。つまり、本体部83aは、フランジ部83bの上側において上方への突出部分となっている。
フランジ部83bの下側には、フランジ部83bの外形に沿うように円形状をなす凹部83cが形成されている。凹部83cは、フロート83の下端面に対して上方に位置する水平面である底面83dを有する。
フロート83は、本体部83aを、VBキャップ部材62の空間67aの上側に連続した空間部分である上空間部62a内に位置させるとともに、凹部83cの形成範囲内に整流板82の支持突起82bを位置させた状態で、昇降可能に設けられている。上空間部62aは、VBキャップ部材62の通気経路部71の通気経路70の基端側に連通する略円筒状の空間部分であり、空間67aに臨むように下方に向けて円形状に開口している。上空間部62aを介して、上側空間部50bと通気経路70とが連通している。
フロート83は、通常、凹部83cの底面83dに支持突起82bの接触を受けた状態で、整流板82上に支持されている。そして、フロート83は、支持突起82b上に着座した状態から、整流板82の通水孔82aに下側から流入する水の圧力を受けることで上昇する。VBキャップ部材62においては、上昇したフロート83の接触を受ける部分として、突起部62bが形成されている。突起部62bは、上空間部62aの下側の開口部の周囲においてその開口形状に沿って円環状の突条部分として形成されている。突起部62bは、上昇したフロート83のフランジ部83bの上面に当接する。
以上のような構成を備えたVB部50は、下側空間部50aから所定の外部装置に水を供給するための流出口91と、外部装置を経た水を上側空間部50bに流入させるための流入口92と、上側空間部50bから吐水部に水を供給するための外部流出口93とを有する(図8、図16参照)。流出口91は、下側空間部50aをなす部分に設けられており、流入口92および外部流出口93は、上側空間部50bをなす部分に設けられている。すなわち、VB部50は、下側空間部50aをなす部分に、VB部50の外部に設けられた所定の外部装置に水を供給するための流出口91を有し、上側空間部50bをなす部分に、外部装置からの水を流入させる流入口92、およびノズルユニット15へと水を供給するための外部流出口93を有する。
本実施形態では、流出口91によって下側空間部50aからの水が供給される外部装置は、所定の機能水を生成する電解槽23である。電解槽23は、略矩形厚板状の偏平な外形をなし一対の電極等を収容するケース体本体部101と、ケース体本体部101の長手方向の一側に設けられた流入口部102と、同長手方向の他側に設けられた流出口部103とを有する。ケース体本体部101、流入口部102、および流出口部103は、例えば共通の部材によって一体に形成されている。電解槽23は、流入口部102からケース体本体部101内に流入した水を電極間にて電気分解することで機能水を生成し、流出口部103から排出する。
流入口部102は、流入側の接続管部として、筒状に形成された流入管部102aを有する。流入管部102aは、ケース体本体部101において略矩形板状の部分とともに鈍角状をなすように形成された傾斜ケース部101aの先端部から、ケース体本体部101の板面に沿うようにケース体本体部101の長手方向の一側に向けて突設されている。
流出口部103は、ケース体本体部101に対して一方の板面側から筒状に突出した筒状突部103aと、筒状突部103aから突設された流出管部103bとを有する。流出管部103bは、略筒状に形成された部分であり、ケース体本体部101の長手方向の外方に向けて突出した流出側の接続管部である。
本実施形態に係る衛生洗浄装置2における電解槽23の配置構成について説明する。図6等に示すように、電解槽23は、VB部50の左方の位置に設けられている。また、電解槽23は、流入口部102を左側、流出口部103を右側に位置させ、ケース体本体部101の長手方向を左右方向に沿わせるような姿勢で設けられている。また、電解槽23は、略矩形厚板状の外形を有するケース体本体部101の板面が前下がりの傾斜面となるように、傾斜状に設けられている。
電解槽23は、タンク26およびVB部50との関係において、次のような態様で配設されている。電解槽23は、前後方向について、タンク26の後端部の上側に配置されている。電解槽23は、平面視において、タンク26に対し、凹形状部54の後部がなす傾斜状の外形線を左右方向に横切るように配置されている。
電解槽23は、平面視において、その長手方向の略右半部を、凹形状部54により形成されたタンク26の右側部分における後側への突出形状部の上方近傍に位置させている。言い換えると、電解槽23は、凹形状部54により、平面視において、長手方向の略左半部を、タンク26の外形の範囲外に位置させている。つまり、電解槽23は、平面視において、左側の大部分を、タンク26の外形の範囲外に位置させている。
また、電解槽23は、上下方向について、ケース体本体部101の略全体を、VB下部材61と略同じ高さ位置に位置させるように設けられている。また、電解槽23は、ケース体本体部101の長手方向を水平方向に沿わせるような姿勢で設けられている。すなわち、電解槽23は、タンク26の天面部53の上側に設けられたVB下部材61に対し、左方に向けて突出するように設けられており、タンク26の直上の位置においてタンク26に対して略全体を浮かせた状態(離間させた状態)で設けられている。
以上のように、電解槽23は、平面視で、少なくとも一部を、熱交換器22のタンク26の外形範囲の外側に位置させるように設けられている。特に、本実施形態では、電解槽23は、その左側の過半部を、熱交換器22の外形範囲の外側に位置させている。つまり、平面視における電解槽23の投影面積の大部分が、タンク26の外形範囲内の外側に位置している。
一方、電解槽23は、平面視において、その全体を、タンク26に凹形状部54が形成されていない場合に仮想されるタンク26の略矩形状の外形(図3、図5、二点鎖線で示す仮想線X1参照)の範囲内に位置させている。すなわち、電解槽23は、前後方向については、タンク26の後縁部よりも前側に位置しており、左右方向については、タンク26の左縁部よりも左右内側(右側)に位置しており、タンク26の全体の前後幅および左右幅の範囲内に位置している。
また、電解槽23においては、ケース体本体部101内の各電極に電気的に接続された配線104a,104bが、ケース体本体部101から外部に延出している。一方の電極に接続された配線104aは、ケース体本体部101の左側端部においてケース体本体部101の前側(上側)から延出している。他方の電極に接続された配線104bは、ケース体本体部101の右側端部においてケース体本体部101の後側(下側)から延出している。2本の配線104a,104bは、コネクタ105等を介して制御部10に接続されている。
次に、VB部50と電解槽23との間の流路構成、およびVB部50から下流側への流路構成について説明する。上述したようにVB部50において、下側空間部50aに流出口91を有し、上側空間部50bに流入口92および外部流出口93を有する構成においては、次のような流路が設けられている。すなわち、VB部50の流出口91から電解槽23への給水流路である第1の流路111、電解槽23からVB部50の流入口92への戻り流路である第2の流路112、およびVB部50の外部流出口93からノズルユニット15への給水流路である第3の流路113が設けられている。
第1の流路111について説明する。第1の流路111は、流出口91により、VB部50の下側空間部50a内の水を、電解槽23へと導く流路である。つまり、流出口91は、下側空間部50aから電解槽23へと水を供給するための開口部である。
流出口91は、VB下部材61の下側周壁部66において、上側の小径部66cの内周面の左側の部位に円形状に開口している(図8、図12参照)。流出口91は、VB下部材61において下側周壁部66から左方に向けて直線状に形成された流出流路の、下側空間部50a(下側空間66a)内に臨む開口部である。
VB下部材61は、下側周壁部66から左方に向かう流出流路を形成する部分として、下側周壁部66から左方に向けて直線状に突出した管状の接続管部95を有する。つまり、接続管部95は、VB下部材61の本体部64から左方に向けて水平方向沿って直線状に延び、その基端側を、流出口91として下側空間部50a(下側空間66a)内に開口させている。接続管部95は、前後方向については、本体部64の略中央部となる位置に設けられている。なお、隔壁部63の下面63bにおける流出口91の近傍には、流出口91の開口端面の面積を広げるように凹部63cが形成されている。
接続管部95には、第1の流路111を構成する電解槽給水用チューブ115の一側(上流側)の端部が連通接続されている。電解槽給水用チューブ115は、その上流側の端部内に接続管部95を挿入させ、緊結バンド等の固定具116aによって接続管部95に固定されている。電解槽給水用チューブ115の他側(下流側)の端部は、電解槽23の流入管部102aに連通接続されている。電解槽給水用チューブ115は、その下流側の端部内に流入管部102aを挿入させ、緊結バンド等の固定具116bによって流入管部102aに固定されている。
電解槽給水用チューブ115は、VB部50が設けられたタンク26の天面部53上から左方に向けて延出され、凹形状部54をなすタンク26の後側の壁面部に沿うように左斜め下方に向けて一旦下降するように湾曲した後上昇し、背面視でフック状をなすように折り返して下流側の端部を右側に向け、左方に向けて突設された流入管部102aに接続されている。そして、電解槽給水用チューブ115は、電解槽23と同様に、平面視において、タンク26に凹形状部54が形成されていない場合に仮想されるタンク26の略矩形状の外形(図3、図5、仮想線X1参照)の範囲内に全体が位置するように配されている。
第2の流路112について説明する。第2の流路112は、流入口92により、電解槽23から流出した水を、VB部50の上側空間部50b内へと導く流路である。つまり、流入口92は、電解槽23を経た水を上側空間部50bに流入させるための開口部である。
流入口92は、VB下部材61の隔壁部63および上側周壁部65において、左後側の部位に開口している。(図8、図10参照)。流入口92は、隔壁部63の上面63aから上側周壁部65の内周壁面65bにわたる範囲で形成されている。つまり、流入口92は、隔壁部63から上側に臨む開口部と上側周壁部65から側方(右側)に臨む開口部とが合わさった開口部である。このため、隔壁部63の左後側の部位には、流入口92の一部を形成する凹陥部63dが形成されている。流入口92は、VB下部材61において上側周壁部65から左方に向けて直線状に形成された流入流路の、上側空間部50b(上側空間65a)内に臨む開口部である。
また、上側空間部50bに対する流入口92を形成するため、上側空間部50b内に設けられたストレーナ81において、周壁部85に切欠部85aが形成されている。切欠部85aは、流入口92の形成部位に対応するように、周壁部85の左後側の部位であって、周壁部85のストレーナ本体部84よりも下側の部分に形成されている。つまり、流入口92は、ストレーナ本体部84よりも下側の位置に開口している。
VB下部材61は、上側周壁部65から左方に向かう流入流路を形成する部分として、上側周壁部65から左方に向けて直線状に突出した円筒状の差込口部97を有する。つまり、差込口部97は、VB下部材61の本体部64から左方に向けて左右方向を筒軸方向とした筒状部として水平方向に突出し、その基端側を、流入口92として上側空間部50b(上側空間65a)内に開口させている。差込口部97は、前後方向については、本体部64の後部となる位置に設けられている。
差込口部97には、電解槽23のケース体本体部101に設けられた流出管部103bが連通接続されている。差込口部97は、流出管部103bの差込みを受けることで、流出管部103bに接続されている(図19参照)。
流出管部103bは、差込口部97との間における凹凸嵌合等の所定の係合形状により、差込口部97に差し込まれた状態で水密状に連結固定されている。具体的には、図19に示すように、流出管部103bにおいては、その外周面部に、周方向に沿う突条部103cが周方向について部分的に形成されている。これに対し、差込口部97側には、突条部103cを嵌合させる長孔状の開口部97aが周方向に沿って形成されている。流出管部103bは、差込口部97に差し込まれるとともに突条部103cを開口部97aに嵌合させることで、差込口部97に係合固定された状態となっている。
このように、第2の流路112において、電解槽23は、VB部50に対して直接的に連結されている。すなわち、電解槽23は、そのケース体本体部101と一体に形成された流出口部103の流出管部103bを、VB部50のハウジングを構成するVB下部材61の一部として形成された差込口部97に対して挿入嵌合することで、チューブ等の配管部材を介することなく、VB部50に直接連通接続されている。
このような構成によれば、電解槽23は、VB部50のVB下部材61に対して片持ち支持の態様で支持され、VB部50から左方に向けて水平状に突設された状態となっている。このように、電解槽23は、VB部50のハウジングに対して一体的な部分として配置支持されている。
第3の流路113について説明する。第3の流路113は、外部流出口93により、VB部50の上側空間部50b内の水を、ノズルユニット15へと導く流路である。つまり、外部流出口93は、上側空間部50bから吐水部を有するノズルユニット15に水を供給するための開口部である。
外部流出口93は、VBキャップ部材62の周壁部69の内周面の右前側の部位に円形状に開口している(図16参照)。外部流出口93は、VBキャップ部材62において周壁部69から右斜め前方に向けて直線状に形成された流出流路の、上側空間部50b(空間67a)内に臨む開口部である。
VBキャップ部材62は、周壁部69から右斜め前方に向かう流出流路を形成する部分として、周壁部69から右斜め前方に向けて直線状に突出した管状の送出管部99を有する。つまり、送出管部99は、VBキャップ部材62のキャップ本体部67から右斜め前方に向けて直線状に延び、その基端側を、外部流出口93として上側空間部50b(空間67a)内に開口させている。送出管部99は、その先端部に、縮径状の接続管部99aを有する。なお、上面部68の内側面(下側面)における外部流出口93の近傍には、外部流出口93の開口端面の面積を広げるように凹部68bが形成されている。
送出管部99には、第3の流路113を構成するノズル給水用チューブ117の一側(上流側)の端部が連通接続されている。ノズル給水用チューブ117は、その上流側の端部内に送出管部99の接続管部99aを挿入させた状態で送出管部99に固定されている。ノズル給水用チューブ117の他側(下流側)は、ノズルユニット15の流路切替弁33に対して連通接続されている。なお、ノズル給水用チューブ117は、送出管部99の突出方向に沿って右斜め前方に向かってから後方に向けて湾曲状に折り返し、ノズルユニット15の後部に向かうように配されている。
以上のような流路構成による熱交換器22からノズルユニット15までの水の流れについて説明する。図18に示すように、熱交換器22からノズルユニット15までの水の流れは、熱交換器22→VB部50の下側空間部50a→電解槽23→VB部の上側空間部50b→ノズルユニット15の順となる。詳細には次のとおりである。
図18に示すように、まず、熱交換器22のタンク26内の水は、VB部50の下側空間部50aへと供給される(矢印F0参照)。すなわち、図8に示すように、タンク26に対する給水によってタンク26内の水位が上昇することで、タンク26内の水が、ボス状開口部75の開口75aから下側空間部50a内に流入する(矢印A1参照)。
下側空間部50a内の水は、第1の流路111により、電解槽23へと供給される(図18、矢印F1参照)。すなわち、図7に示すように、下側空間部50a内の水は、流出口91から接続管部95による流出流路によって流出し(図7、矢印A2参照)、電解槽給水用チューブ115内を通って、流入口部102から電解槽23内へと供給される。ここで、VB部50の下側空間部50a内からの左方への水の流出方向は、接続管部95の突出方向にならって水平方向となっている(図13参照)。
電解槽23から流出する水は、第2の流路112により、VB部50の上側空間部50bへと供給される(図18、矢印F2参照)。すなわち、図7に示すように、電解槽23内の水は、流出口部103の突条部103cと差込口部97との接続部分を介して、流入口92から上側空間部50b内に流入する(図7、矢印A3参照)。このように、第1の流路111がVB部50から電解槽23に対する給水流路であるのに対し、第2の流路112は、電解槽23からVB部50への戻り流路となる。ここで、VB部50の上側空間部50b内への右方への水の流入方向は、差込口部97の突出方向にならって水平方向となっている(図13参照)。つまり、VB部50の下側空間部50a内からの左方への水の流出方向と、VB部50の上側空間部50b内への右方への水の流入方向は、いずれも左右方向に沿う水平方向であり、互いに平行となっている。
流入口92から上側空間部50b内に流入した水は、ストレーナ81のストレーナ本体部84を通過し、整流板82の通水孔82aを通り抜け、水圧によってフロート83を押し上げ、上側空間部50bにおける整流板82の上側の空間内に流入する(図8、矢印A4参照)。ここで、フロート83は、上昇することで整流板82の支持突起82bから離間し、VBキャップ部材62の突起部62bに接触することになる。
上側空間部50bにおける整流板82の上側の空間内に流入した水は、第3の流路113により、ノズルユニット15へと供給される(図18、矢印F3参照)。すなわち、図7に示すように、上側空間部50b内の水は、外部流出口93から送出管部99による流出流路によって流出し(矢印A5参照)、ノズル給水用チューブ117内を通って、ノズルユニット15へと供給される。第3の流路113によってノズルユニット15に供給された水は、流路切替弁33を介して、局部洗浄ノズル31あるいはノズル洗浄室32に供給される。
以上のように、本実施形態に係る衛生洗浄装置2は、タンク26と一体的に設けたVB部50において、そのハウジング内の空間を隔壁部63によって上下に区画し、隔壁部63の下側の下側空間部50aを、タンク26から電解槽23への経路に介在させ、隔壁部63の上側の上側空間部50bを、電解槽23からノズルユニット15への経路に介在させている。つまり、VB部50の内部空間が、隔壁部63により、タンク26からの給水を受けるとともに電解槽23へとつながる部屋と、電解槽23からの給水を受けるとともにノズルユニット15へとつながる部屋とに分割されている。
このように、衛生洗浄装置2は、タンク26とノズルユニット15との間の流路構成として、タンク26からVB部50に流入した水をVB部50から一度外部へと流出させ、電解槽23を通過させた後、再度VB部50に戻してから、ノズルユニット15側へと供給するという構成を備える。このような構成においては、VB部50における隔壁部63よりも上側の部分、つまり上側空間部50bをなす部分が、本来的なバキュームブレーカ24として機能する部分となる。
次に、衛生洗浄装置2が備えるVB部50からの排水流路(以下「VB排水流路」という。)の構成について説明する。VB排水流路は、VB部50の上部に設けられた通気経路部71の開口部72から排出された水を所定の場所に導くための流路である。通気経路部71は、通常は水路としては機能せず、例えば異常時において少量の水が開口部72から滴下するように排出される。
このように、VB部50は、タンク26の上方の位置に排水口として機能する開口部72を有する。つまり、本実施形態では、VB部50の上側に設けられた通気経路部71の開口部72が、VB部50のオーバーフロー時等の異常時の排水口として機能する。そして、タンク26は、開口部72から排出された水を所定の位置に導く排水流路部として、タンク側排水流路部130を有する。
特に、本実施形態では、VB部50に設けられた通気経路部71の開口部72と、タンク26に設けられたタンク側排水流路部130との間に、VB部50に設けられたVB側排水流路部120が介在している。つまり、本実施形態のVB排水流路は、その上流側の部分をなすVB側排水流路部120と、VB排水流路の下流側の部分をなすタンク側排水流路部130とを有する。VB排水流路は、全体として、開口部72から滴下した水が重力によって流れるように形成されている。
VB側排水流路部120は、VB部50を構成するVB下部材61の一部として、本体部64の右側に設けられており、本体部64の右側から前側にかけて前下がり状の傾斜流路を形成している。VB側排水流路部120は、流路方向に沿って形成された底面部121と、底面部121を囲むように形成された側壁面部122とを有し、これらの部分によって全体的に樋状に構成されている。
VB側排水流路部120は、平面視の形状部分として、VB側排水流路部120の後側(上流側)の部分である直線状の上流側流路部123と、VB側排水流路部120の前側(下流側)の部分である湾曲状の下流側流路部124とを有する。なお、上流側流路部123および下流側流路部124は、滑らかに連続した傾斜状の底面部121をなすように互いに連続的に形成されている。
上流側流路部123は、上側周壁部65の右側において上側周壁部65の円弧形状に対して後方に向けて接線状に突出した直線状の流路部分である。上流側流路部123は、開口部72から排出されて落下する水を受ける部分となる。鉛直面をなす開口部72の開口端面72aは、平面視において上流側流路部123の中央部に位置している。
また、上流側流路部123においては、側壁面部122のうち後側および右側の壁部が上方に向けて延設され、他の部分よりも側壁面部122の高さを高くした延設壁部122a,122bが形成されている。延設壁部122a,122bは、その上端を、通気経路部71の上面71aよりも高い位置に位置させ、開口部72の開口位置よりも高くなるように形成されている。したがって、右側の延設壁部122aは、開口部72に対向するとともに、右側面視において、開口部72の全体を覆っている。延設壁部122a,122bにより、開口部72からの排水がVB側排水流路部120から外部に流出したり飛散したりすることが防止されている。
下流側流路部124は、上流側流路部123の前側において上側周壁部65の円弧形状に沿うように平面視で円弧状に湾曲した曲線状の流路部分である。下流側流路部124は、その下流側の端部を、上側周壁部65の右斜め前側に位置させている。また、下流側流路部124は、上流側流路部123に対して幅狭の流路として形成されている。
下流側流路部124の下流側の端部には、上下方向に貫通した排出孔124aが形成されている。排出孔124aの下側には、側壁面部122が下方に延出された部分を含んで排出孔124aを囲むように下方に向けて筒状に突出した筒状ガイド部125が形成されている。筒状ガイド部125の下側の開口部の右側には、水切用の板状の垂下部126が下方に向けて突設されている。なお、排出孔124aは、VB下部材61において送出管部99の下方に位置している。
タンク側排水流路部130は、下流側流路部124の排出孔124aから流下した水を受け、受けた水を前側へと導き、タンク26の右前側の角部近傍の位置からベースプレート5aの略水平板状の底面部5c上に落下させる。タンク側排水流路部130は、主にタンク26の外形形状における角部ないし稜線部に沿うように形成されている。タンク側排水流路部130は、タンク26を構成する樹脂部品の成形部分により形成されている。タンク側排水流路部130は、一連の流路を形成する水平流路部131、傾斜流路部132、および鉛直流路部133を有する。
水平流路部131は、タンク26の右上側の角部に沿うように形成されている。つまり、水平流路部131は、タンク26の天面部53の右側の縁部に沿って前後方向沿うように形成された流路部である。水平流路部131は、天面部53の上面の右側の縁部において湾曲状に下り傾斜した右縁曲面部131aと、タンク26の右側の側面部26bが上方に向けて板状に突設された上フランジ部131bとにより、溝状ないし樋状の流路部分として形成されている。水平流路部131は、わずかに前下がりに傾斜している。
傾斜流路部132は、タンク26の右前側の稜線に沿うように前下がりの傾斜状に形成されている。傾斜流路部132は、水平流路部131の右縁曲面部131aと連続したタンク26の外面により形成された流路底面132aと、上フランジ部131bと連続した面部として前側に向けて板状に突設された前フランジ部132bと、前フランジ部132bの左側において前フランジ部132bと平行状に前側に向けて突設された前側壁部132cとにより、樋状の流路部分として形成されている。
鉛直流路部133は、タンク26の右前側の下端部の角部に沿うように鉛直状に形成されている。鉛直流路部133は、傾斜流路部132の流路底面132aと連続した流路側面133aと、前フランジ部132bと連続した面部として右側に向けて板状に突設された下後側フランジ部133bと、前側壁部132cと連続した面部として右側に向けて板状に突設された下前側フランジ部133cとにより、樋状の流路部分として形成されている。タンク側排水流路部130の終端をなす鉛直流路部133の下端部は、ベースプレート5aの底面部5cの近傍位置まで延設されている。
以上のようなVB排水流路によれば、上側空間部50b内の水がオーバーフローして通気経路部71の通気経路70内を通って開口部72から排出された場合(図20、矢印B1,B2,B3参照)、の開口部72から排出された水は、VB側排水流路部120の上流側流路部123上に滴下し、VB側排水流路部120内を流れる(図7、矢印B4参照)。VB側排水流路部120を流れた水は、VB側排水流路部120の終端の下流側流路部124から、タンク側排水流路部130の水平流路部131上に流れ落ちる(図20、矢印B5参照)。
水平流路部131上に流れ落ちた水は、水平流路部131を前側に流れ、傾斜流路部132を経て、鉛直流路部133により、ベースプレート5aの底面部5c上に流れ落ちる。底面部5c上に流れ落ちた水は、例えば、底面部5c上を伝ってケーシング5の外部へと排出され、便器3のボウル部3aへと排出される。なお、VB排水流路、特にタンク側排水流路部130は、タンク26の表面に付着した結露水に対しても、水を所定の場所に導くガイド流路として機能する。
また、本実施形態のVB下部材61においては、上側周壁部65の左前側に、フロートスイッチ55の信号線55aに設けられたケースカバー5bを支持するコネクタ支持部88が設けられている。コネクタ支持部88は、略四角筒状のコネクタ55bを、前後方向を長手方向として水平状に支持するように、コネクタ55bの差込口を形成している。コネクタ支持部88は、VB下部材61の一部として、接続管部95の上側に形成されている。
以上説明した本実施形態に係る衛生洗浄装置2によれば、熱交換器22からVB部50を経て局部洗浄ノズル31等の吐水部までの流路構成を簡単なものとすることができ、装置のコンパクト化を図ることができる。
すなわち、本実施形態に係る衛生洗浄装置2は、VB部50において、隔壁部63により、タンク26からの給水を受けるとともに電解槽23へと連通する下側空間部50aと、電解槽23からの給水を受けるとともにノズルユニット15へと連通する上側空間部50bとを形成した構成を備える。このような構成によれば、VB部50から一旦流出させた水を、電解槽23を通過させた後に再度VB部50内に戻すことができる。したがって、タンク・VB一体構成において、バキュームブレーカ24としての機能部分を有するVB部50から延設される配管部材(ノズル給水用チューブ117)をノズルユニット15側に接続させることができる。つまり、タンク・VB一体構成において、機能的な面で熱交換器22→電解槽23→バキュームブレーカ24→ノズルユニット15の順の流路構成を実現することができる。
これにより、タンク・VB一体構成において、熱交換器22からノズルユニット15に至る流路の統一化を図ることができるので、例えば、電解槽23からノズルユニット15への流路をチューブ等の配管部材によって別途設けることや、熱交換器22への給水および電解槽23への給水を選択的に切り替えるための三方弁等の構成を設けることを不要とすることができる。結果として、流路構成の簡略化、省スペース化、および装置の小型化を図ることができる。特に、装置の小型化が進むにしたがい、ケーシング5内における各種装置・機器は入り組んだ状態となり、局部洗浄ノズル31の進退動作にともなって移動するチューブ等の配管部材の動きを制御することは困難となるため、ノズルユニット15に対する流路構成の簡略化は、装置の小型化に大きく貢献する。
また、本実施形態に係る衛生洗浄装置2は、VB部50に対する往復経路内に設ける外部装置を電解槽23とし、電解槽23を、平面視で少なくとも一部がタンク26の外形範囲の外側に位置する態様で設けている。
このような構成によれば、熱交換器22の熱が電解槽23に伝わることを抑制することができ、電解槽23において流路を詰まらせる原因となるスケールが発生することを抑制することができる。すなわち、電解槽23が熱交換器22のタンク26に対して全面的に対向した状態で近接配置された構成においては、ヒータ27により加熱された温水を貯溜したタンク26の熱が電解槽23に伝わりやすくなる。電解槽23が温められると、水中の塩類が析出しやすくなり、スケールが発生しやすくなる。そこで、上述のとおり電解槽23をタンク26に対して平面視で部分的に重ならないように配置することにより、電解槽23においてタンク26に対向する部分の面積が小さくなるため、タンク26の熱が電解槽23に伝達されることを抑制することが可能となり、スケールの発生を抑制することができる。
特に、本実施形態では、電解槽23は、加熱源であるヒータ27が配置されたタンク26の底部に対して離れた位置であるタンク26の上方の位置において、しかも、タンク26に対してケース体本体部101の全体または略全体を浮かせた状態で設けられている。このような構成によれば、電解槽23がタンク26の熱の影響を受けにくくなるため、タンク26の熱が電解槽23に伝わることを効果的に抑制することができ、電解槽23におけるスケールの発生を効果的に抑制することができる。このような効果を得る観点からは、電解槽23は、少なくともケース体本体部101の過半部をタンク26から浮かせた状態(離間させた状態)で設けられることが好ましい。
また、本実施形態に係る衛生洗浄装置2においては、電解槽23が、VB部50に対して直接的に連結されている。具体的には、電解槽23が、その流出管部103bを、VB部50を構成するVB下部材61の差込口部97に対して差し込んだ状態で、VB部50に直接取り付けられている。
このような構成によれば、電解槽23とVB部50との間の流路を構成するためのチューブ等の配管部材を不要にすることができる。これにより、省スペース化を図ることができ、効果的に装置のコンパクト化を図ることができるとともに、部品点数を少なくすることができ、コストを削減することが可能となる。
また、本実施形態に係る衛生洗浄装置2は、VB部50からの排水構造として、タンク26の上方に位置する排水口としての開口部72を有し、タンク26において、開口部72からの排水を導くタンク側排水流路部130を有する。
このような構成によれば、チューブ等の配管部材を必要とせず、VB部50からの異常時における排水やタンク26の表面の結露水を、所定の場所に導くことが可能となる。これにより、省スペース化を図ることができ、効果的に装置のコンパクト化を図ることができるとともに、部品点数を少なくすることができ、コストを削減することが可能となる。
また、タンク側排水流路部130によれば、VB部50の開口部72からの排水やタンク26の表面の結露水を狙った位置に導くことができ、ケーシング5内において、VB部50の開口部72からの排水が、VB部50の近傍に配置された装置・機器といった他の部品にかかることを防止することができる。これにより、VB部50からの排水が他の部品にかかることによる不具合(例えば電気部品の故障等)を防止することができる。
特に、本実施形態の衛生洗浄装置2は、VB排水流路の構成として、タンク側排水流路部130に加え、その上流側に設けられたVB側排水流路部120を有する。このような構成によれば、VB部50からの排水を確実に所定の場所に導くことが可能となり、他の部品に水がかかることを効果的に抑制することができる。
また、VB側排水流路部120は、開口部72の開口位置近傍を覆う延設壁部122a,122bを有することから、開口部72からの排水が飛散することを防ぐことができ、他の部品に水がかかることを効果的に抑制することができる。特に、衛生洗浄装置2の小型化が進むにしたがい、ケーシング5内における各種装置・機器の密集度が高くなるため、VB部50からの排水が他の部品にかかることを避けることは重要である。
また、VB側排水流路部120は、VB部50を構成するVB下部材61の一部として設けられている。このような構成によれば、部品点数を少なくすることができ、コストを削減することが可能となる。
また、本実施形態に係る衛生洗浄装置2においては、VB部50に対する流路が、VB部50の下側空間部50aからの流出方向、および上側空間部50bに対する流入方向がいずれも水平方向に沿うように構成されている。このような構成によれば、VB部50に対する流路を構成する部材がVB部50よりも高い位置に設けられることを避けることができ、衛生洗浄装置2のケーシング5の高さを抑えることが可能となる。このことは、装置のコンパクト化に寄与する。
また、本実施形態に係る衛生洗浄装置2によれば、電解槽23を備えない構成に対しても、電解槽23の有無によらず、VB部50からノズルユニット15への流路構成を共通設計とすることが可能となる。すなわち、電解槽23を備えない構成の場合は、電解槽23とともに電解槽23とVB部50の間の流路を省略するとともに隔壁部63を省略することにより、熱交換器22→バキュームブレーカ24→ノズルユニット15の順の流路構成を、本実施形態に係る衛生洗浄装置2と同様の配管構成を用いて実現することが可能となる。これにより、コストの削減および装置の小型化を達成することができる。
以上のように実施形態を用いて説明した本発明に係る衛生洗浄装置は、上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨に沿う範囲で、種々の態様を採用することができる。
上述した実施形態では、VB部50に対する往復経路内に設ける外部装置は電解槽23であるが、このような構成に限定されるものではない。この外部装置は、例えば流量センサ等の他の装置であってもよい。
また、上述した実施形態では、VB部50を経た水の供給を受けて水を吐出する吐水部が、ノズルユニット15に設けられた局部洗浄ノズル31およびノズル洗浄室32であるが、吐水部として他の構成を備えたものであってもよい。具体的には、他の吐水部としては、例えば、局部洗浄ノズル31とは別途設けられたノズルであって噴霧口から便器3のボウル部3aの表面に洗浄水を噴霧する噴霧ノズルや、脱臭フィルタに対して洗浄水を噴霧する噴霧部を有する脱臭ユニット等があげられる。