特許文献1に記載の二重容器では、内容器の底部が外容器の底部に密着されている。このため、特許文献1に記載の二重容器では、内容物の収容量が少なくなった使用終盤段階において、内容器の収縮に伴って内容器の胴部の内面同士が接近し、内容物の注出を妨げる可能性が有る。それにより、特許文献1に記載の二重容器では、内容物を注出し切れずに内容器の内部に残留させてしまう可能性がある。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、上述のような問題点を解決することを課題の一例とする。すなわち、本発明の課題の一例は、内容物が注出され易い流路を確保して、内容物の残留量を低減することが可能な二重容器を提供することである。
本発明に係る二重容器は、内容物を収容し前記内容物の減少に伴い収縮可能な内容器と、前記内容器を内包するボトル形状の外容器とが剥離可能に積層された二重容器であって、前記内容器の胴部は、前記内容器が収縮する際、前記外容器及び前記内容器の中心軸に向かって内方へ反るように変形し、前記外容器及び前記内容器の底部は、前記内容器の収縮度合に基づいて前記内容器の底部を前記外容器の底部から剥離して浮き上がらせる構造を有する。
好適には、前記二重容器において、前記外容器及び前記内容器の前記底部は、前記外容器と前記内容器とを嵌合すると共に前記収縮度合に応じて前記外容器と前記内容器との嵌合が外れる嵌合部を備え、前記内容器の底部は、前記嵌合が外れる前は、前記外容器の底部に密着し、前記嵌合が外れると、前記内容器の収縮に伴って、前記外容器の前記底部から剥離して浮き上がる。
好適には、前記二重容器において、前記外容器及び前記内容器の前記底部は、前記外容器及び前記内容器の胴部に連なり周方向に延びる側壁部を備え、前記嵌合部は、前記側壁部に設けられ、径方向内方に窪んで周方向に延びるように形成される。
好適には、前記二重容器は、前記内容器の前記胴部において径方向で最も内方に位置する最内部と、前記中心軸とを含む平面で切断された前記内容器の縦断面において、前記嵌合部は、前記最内部が、前記中心軸に対して前記最内部と同じ側に位置する前記内容器の口部を通り前記中心軸に沿った直線に到達する前では、前記嵌合が維持されるように設けられる。
好適には、前記二重容器は、前記内容器の前記胴部において径方向で最も内方に位置する最内部と、前記中心軸とを含む平面で切断された前記内容器の縦断面において、前記中心軸に対して前記最内部と同じ側に位置する前記外容器の前記胴部の下端部と、前記最内部とを通る直線が、前記中心軸に対して成す角度を、第1角度とし、前記中心軸に対して前記最内部と同じ側に位置する前記外容器の前記胴部の前記下端部と、前記中心軸に対して前記最内部と反対側に位置する前記外容器の前記胴部の上端部とを通る直線が、前記中心軸に対して成す角度を、第2角度とすると、前記嵌合部は、前記第1角度が前記第2角度に到達する迄に、前記嵌合が外れるように設けられる。
好適には、前記二重容器において、前記外容器及び前記内容器の前記底部は、前記中心軸に略直交するように広がる底板部を備え、前記底板部は、前記底板部の縁部に位置して接地する下底部と、前記底板部の中央部に位置すると共に前記下底部より上方に位置する上底部と、前記上底部及び前記下底部と連なる側面部と、を含み、前記側面部は、前記中心軸に対して前記第2角度以上の角度で傾斜する。
好適には、前記二重容器において、前記上底部には、前記内容器を前記外容器から剥離させるための剥離部が設けられる。
本発明に係る二重容器は、内容物が注出され易い流路を確保することができ、内容物の残留量を低減することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態では、ボトル形状を有する二重容器1の中心軸Zに沿った方向を「軸方向」とも称し、二重容器1の中心軸Zを回転軸として周回する方向を「周方向」とも称し、二重容器1の中心軸Zに直交する方向を「径方向」とも称する。また、本実施形態では、二重容器1の口部3から底部6へ向かう軸方向を「下方」とも称し、二重容器1の底部6から口部3へ向かう軸方向を「上方」とも称する。また、本実施形態では、二重容器1の中心軸Zに沿った平面で二重容器1を切断した断面を「縦断面」とも称し、二重容器1の中心軸Zに直交する平面で二重容器1を切断した断面を「横断面」とも称する。
[実施形態1:二重容器の構成]
図1は、実施形態1に係る二重容器1の縦断面を模式的に示す図である。
二重容器1は、ボトル形状を有する容器である。二重容器1は、図1に示されるように、二重容器1の一端部であり内容物が注出される口部3と、二重容器1の他端部であり接地する底部6と、径方向外方に広がりながら口部3から下方へ延びる肩部4と、肩部4から下方に延びて底部6に連なる胴部5とを備える。
二重容器1は、二重容器1の外郭を構成し内容器20を内包するボトル形状の外容器10と、内容物を収容し内容物の減少に伴って収縮可能な内容器20とを備える。二重容器1は、外容器10の内面と内容器20の外面とが剥離可能に積層されたボトルである。
外容器10及び内容器20は、合成樹脂製の容器であり、ブロー成形によって製造される。好適には、外容器10及び内容器20は、試験管形状のプリフォームを用いた二軸延伸ブロー成形によって製造される。具体的には、外容器10及び内容器20は、外容器10のプリフォームの中に内容器20のプリフォームを挿入して重ねた状態で、外容器10のプリフォームと内容器20のプリフォームとを、同時に延伸ブロー成形することによって製造される。
外容器10及び内容器20は、ポリオレフィン系樹脂、エチレン-ビニル系共重合体、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフエニレンオキサイド樹脂、又は、生分解性樹脂を用いて製造される。好適には、外容器10及び内容器20は、ポリオレフィン系樹脂、又は、ポリエステル系樹脂を用いて製造される。より好適には、外容器10及び内容器20は、ポリエステル系樹脂を用いて製造される。このポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及び、これらの共重合ポリエステル等の樹脂が挙げられる。特に好適には、外容器10及び内容器20は、ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いて製造される。
外容器10は、底部6が接地して自立するように形成される。外容器10は、自立した状態で、口部3、肩部4、胴部5及び底部6の形態が保持されるように形成される。外容器10の肩部4及び胴部5は、スクイズ操作により押圧されると内方に撓んで変形し、押圧が解除されると押圧前の原形に復元するように形成される。
内容器20は、内容物を収容する収容空間Sを有し、外容器10に沿った形状を有するように形成される。内容器20の肩部4及び胴部5は、内容物の減少に伴って収縮するよう、外容器10よりも薄い肉厚を有するように形成される。内容器20の肩部4及び底部6は、内容器20の胴部5よりも厚い肉厚を有するように形成される。内容器20の口部3は、内容物の減少に伴って収縮せず、肩部4及び胴部5よりも高い剛性を有するように形成される。内容器20は、内容物の減少に伴って収縮する際、胴部5の下端部51と上端部52との間に位置する中間部53が、中心軸Zに向かって内方へ反るように変形する。
外容器10の口部3には、外容器10と内容器20との間に外気を導入するための外気導入孔11が設けられる。外気導入孔11は、空気層Aと連通するように設けられる。空気層Aは、外容器10と内容器20とが剥離することによって、外容器10の肩部4から底部6と、内容器20の肩部4から底部6との間に形成される空間である。なお、二重容器1は、外容器10又は内容器20の口部3にスリット状の溝を形成し、外容器10と内容器20とを重ね合わせた状態で、この溝が、二重容器1の外部及び空気層Aと連通することによって、外気導入孔11として機能するように構成されてよい。
内容器20の口部3は、外容器10の口部3の上端部から上方に突出するように配置されて、外容器10の口部3に固定される。内容器20の口部3には、逆止弁付きのキャップが装着される被装着部21が設けられる。被装着部21は、キャップが打栓式で装着可能となるよう、周方向に延びる突条によって構成される。或いは、被装着部21は、キャップがねじ込み式で装着可能となるよう、螺旋状のねじ山又はねじ溝によって構成されてよい。
[実施形態1:二重容器の底部の構造]
図2は、図1に示された二重容器1の底部6付近を拡大して示す図である。図2(a)は、嵌合部67が外れる前の状態を示す図である。図2(b)は、嵌合部67が外れた状態を示す図である。図3は、内容器20の底部6が浮き上がる様子を説明するための図である。図3(a)は、使用中盤段階において内容器20の底部6が浮き上がる様子を示す。図3(b)は、使用終盤段階において内容器20の底部6が浮き上がる様子を示す。なお、図3(a)及び図3(b)では、簡略化のため、外容器10及び内容器20の縦断面が、単なる太線で描かれている。
外容器10及び内容器20の底部6は、図2(a)に示されるように、中心軸Zに略直交するように広がる底板部61と、胴部5の下端部51に連なって周方向に延びる側壁部66とを備える。
底板部61は、その中央部が上方に膨出して、その中央部に略錐台形状の凹部62を有するように形成される。底板部61は、底板部61の縁部に位置して接地する下底部63と、底板部61の中央部に位置すると共に下底部63より上方に位置する上底部64と、下底部63と上底部64とに連なる側面部65とを含む。上底部64及び側面部65は、凹部62を形成する。側面部65は、下底部63の内縁部から径方向内方に傾斜して上方に延びて上底部64の外縁部に連なる。側面部65は、中心軸Zに対して所定の傾斜角度で傾斜するように設けられる。
側壁部66には、外容器10と内容器20とを嵌合する嵌合部67が設けられる。嵌合部67は、胴部5の下端部51に連なる側壁部66の上端部に設けられる。嵌合部67は、径方向内方に円弧状に窪んで周方向に延びるように形成される。嵌合部67は、周方向に連続して延びるように形成されてもよいし、周方向に不連続で延びるように部分的に形成されてもよい。嵌合部67は、ビード又は溝等によって構成されてよい。
収容空間Sに収容された内容物が注出される前の使用前段階では、内容器20の底部6は、ブロー成形での熱圧着によって、外容器10の底部6に密着している。スクイズ操作により収容空間Sに収容された内容物が注出されると、内容器20は収縮する。内容器20が収縮する際、内容器20の胴部5は内方へ反るように変形する。それにより、内容器20の嵌合部67には、内容器20の胴部5の下端部51に沿って上方且つ内方へ引っ張るような張力が作用する。この張力は、内容器20の底部6を外容器10の底部6から剥離し得る力として作用する。
収容空間Sに収容された内容物が多い使用初期段階では、この張力が内容器20の嵌合部67に作用しても、内容器20の嵌合部67では、上部69が内方へ折れ曲がり、上部69が支点となって胴部5の下端部51を内方へ回動させる。それにより、嵌合部67では、内容器20を剥離し得る力が緩和されるため、外容器10と内容器20との嵌合が維持される。
収容空間Sに収容された内容物がある程度少なくなった使用中盤段階では、使用初期段階に比べて、内容器20の胴部5が内方へ大きく反るように変形する。このため、内容器20の嵌合部67に作用する張力が大きくなり、内容器20を剥離し得る力が大きくなる。内容器20を剥離し得る力が外容器10との密着力より大きくなると、内容器20の嵌合部67では、下部68が内方へ折れ曲がり、上部69から下部68に亘って外容器10から剥離する。それにより、嵌合部67では、図2(b)に示されるように、外容器10と内容器20との嵌合が外れる。
外容器10と内容器20との嵌合が外れると、嵌合部67より下方の側壁部66には、内容器20の胴部5が内方へ反るように変形することにより発生する張力が作用する。そして、内容器20の底部6では、嵌合部67より下方の側壁部66、下底部63、側面部65及び上底部64が、この順に外容器10から剥離し得る。内容器20の底部6は、外容器10の底部6から剥離した後、内容器20の収縮に伴って空気層Aの体積が増加することにより、図3(a)に示されるように浮き上がる。
収容空間Sに収容された内容物が少ない使用終盤段階では、使用中盤段階に比べて、内容器20の収縮に伴って空気層Aの体積が増加する。特に、使用終盤段階では、内容器20の底部6と外容器10の底部6との間における空気層Aの体積が増加することにより、内容器20の底部6を上方に押圧する力が大きくなる。それにより、内容器20の底部6は、図3(b)に示されるように、更に浮き上がる。
このように、二重容器1では、収容空間Sに収容された内容物が多く、内容器20の収縮が余り進行していない段階では、嵌合部67における嵌合が維持され、内容器20の底部6が外容器10の底部6に密着された状態となるように構成される。一方、二重容器1では、収容空間Sに収容された内容物が少なく、内容器20の収縮が進行した段階では、嵌合部67における嵌合が外れて、内容器20の底部6が外容器10の底部6から剥離して浮き上がる状態となるように構成される。すなわち、二重容器1では、外容器10及び内容器20の底部6が、内容器20の収縮度合に基づいて内容器20の底部6を外容器10の底部6から剥離して浮き上がらせる浮上構造80を有する。
二重容器1では、嵌合部67における外容器10と内容器20との嵌合が外れることによって、内容器20の底部6が外容器10の底部6から剥離して浮き上がる。すなわち、二重容器1では、嵌合部67が浮上構造80を実現する構成として機能する。
嵌合部67の嵌合が外れる条件は、内容器20の収縮度合に応じて決定される。内容器20の収縮度合は、内容器20の収縮に伴って中心軸Zに向かって内方へ反るように変形する内容器20の胴部5の形状によって定義される。すなわち、内容器20の収縮度合は、内容器20の胴部5において径方向で最も内方に位置する部分である最内部54の位置によって定義される。内容器20の収縮度合は、最内部54が中心軸Zに近い位置にある程大きくなり、最内部54が中心軸Zから遠い位置にある程小さくなる。
図4は、内容器20の最内部54と中心軸Zとを含む平面で切断された二重容器1の縦断面を模式的に示す図である。なお、図4では、簡略化のため、外容器10及び内容器20の縦断面が、単なる太線で描かれている。
図4において、中心軸Zに対して最内部54と同じ側に位置する内容器20の口部3を通り、中心軸Zに沿った直線を、直線Lとする。より詳細には、直線Lは、図4において、中心軸Zに対して最内部54と同じ側に位置する内容器20の口部3における下端部31の内面を通り、中心軸Zに沿った直線であってよい。
嵌合部67は、最内部54が直線Lに到達する前では、外容器10と内容器20との嵌合が維持されるように設けられる。言い換えると、嵌合部67は、最内部54が直線Lに到達して以降、外容器10と内容器20との嵌合が外れるように設けられる。最内部54が直線Lに到達する前は、最内部54が中心軸Zから遠い位置にあり、収容空間Sでは、中心軸Zの周辺に少なくとも口部3の内径程度の比較的大きな直径を有する流路が確保され易い。また、最内部54が直線Lに到達する前は、内容器20が不規則に収縮する前であることが多く、内容器20の底部6と外容器10の底部6とが密着していることによって、内容器20が規則的に収縮され易い。よって、二重容器1は、最内部54が直線Lに到達する前では、嵌合部67の嵌合を維持することによって、内容物が流れ易い流路を確保しつつ内容器20を規則的に収縮させることができる。
図5は、内容器20の最内部54と中心軸Zとを含む平面で切断された二重容器1の縦断面を模式的に示す図である。なお、図5では、簡略化のため、外容器10及び内容器20の縦断面が、単なる太線で描かれている。
図5において、中心軸Zに対して最内部54と同じ側に位置する外容器10の胴部5の下端部51と、最内部54とを通る直線を、直線M1とする。更に、図5において、中心軸Zに対して最内部54と同じ側に位置する外容器10の胴部5の下端部51と、中心軸Zに対して最内部54と反対側に位置する外容器10の胴部5の上端部52とを通る直線を、直線M2とする。更に、図5において、直線M1が中心軸Zに対して成す角度を第1角度θ1とし、直線M2が中心軸Zに対して成す角度を第2角度θ2とする。
第1角度θ1は、内容器20の最内部54が中心軸Zに近い位置にある程大きくなり、最内部54が中心軸Zから遠い位置にある程小さくなる。このため、第1角度θ1は、内容器20の収縮度合を示す指標となり得る。第2角度θ2は、外容器10の胴部5の形状によって決定される。第2角度θ2は、中間部53の軸方向位置において直線M2が中心軸Zと交差するような角度である。
嵌合部67は、第1角度θ1が第2角度θ2に到達する迄に、外容器10と内容器20との嵌合が外れるように設けられる。第1角度θ1が第2角度θ2に到達した際は、最内部54が中心軸Zの近傍の位置にあり、収容空間Sでは内容物の流路の断面積が比較的小さくなり易い。そして、第1角度θ1が第2角度θ2に到達して以降でも内容器20の底部6と外容器10の底部6とが密着していると、内容器20の収縮に伴って胴部5が更に内方へ反るように変形し、最内部54が内容物の流路を閉塞し易い。第1角度θ1が第2角度θ2に到達する迄に嵌合部67の嵌合が外れていると、内容器20が収縮しても、内容器20の底部6が浮き上がるだけで、最内部54の径方向位置は嵌合部67の嵌合が外れた際から殆ど変化せず、内容物の流路の断面積が維持され得る。よって、二重容器1は、第1角度θ1が第2角度θ2に到達する迄に、嵌合部67の嵌合を外すことによって、内容器20の収縮度合が大きくても内容物の流路を確保することができる。
[実施形態1:作用効果]
以上のように、実施形態1に係る二重容器1では、外容器10及び内容器20の底部6は、内容器20の収縮度合に基づいて内容器20の底部6を外容器10の底部6から剥離して浮き上がらせる。このため、実施形態1に係る二重容器1では、内容器20の収縮の進行に応じて中心軸Zに近付く最内部54の径方向位置を、内容器20の収縮がある程度進行した段階から実質的に変化させずに維持することができる。加えて、実施形態1に係る二重容器1では、内容器20の口部3と底部6との距離を、内容器20の収縮がある程度進行した段階から短くすることができる。それにより、実施形態1に係る二重容器1では、最内部54の内面同士が接近して内容物の流路の断面積が小さくなることを抑制することができると共に、内容物の流路の長さを短くすることができる。よって、実施形態1に係る二重容器1は、内容器20の収縮が進行した使用終盤段階であっても、内容物が注出され易い流路を確保することができるため、内容物の残留量を低減することができる。
特に、内容物が、中濃若しくは濃厚ソース、液状味噌、オイル又は化粧品等の高粘度内容物である場合、最内部54の内面同士が接近すると、最内部54の内面と内容物との摩擦が大きくなるため、低粘度の内容物に比べて内容物が注出され難い。実施形態1に係る二重容器1では、内容物の流路の断面積が小さくなることを抑制し、流路の長さを短くすることができるため、高粘度内容物であっても注出され易い流路を確保することができる。よって、実施形態1に係る二重容器1は、高粘度内容物であっても、その残留量を低減することができる。
更に、実施形態1に係る二重容器1では、外容器10及び内容器20の底部6は、外容器10及び内容器20を嵌合すると共に内容器20の収縮度合に応じて嵌合が外れる嵌合部67を備える。そして、実施形態1に係る二重容器1では、嵌合部67の嵌合が外れる前は、内容器20の底部6を外容器10の底部6に密着させ、嵌合部67の嵌合が外れると、内容器20の底部6を外容器10の底部6から剥離させ浮き上がらせることができる。このため、実施形態1に係る二重容器1では、内容器20の収縮度合に応じて、内容器20の底部6を外容器10の底部6に密着させた状態から、内容器20の底部6を外容器10の底部6から剥離させ浮き上がらせた状態へ確実に移行することができる。よって、実施形態1に係る二重容器1は、使用終盤段階であっても内容物が注出され易い流路を確実に確保することができるため、内容物の残留量を確実に低減することができる。
更に、実施形態1に係る二重容器1では、嵌合部67は、側壁部66に設けられ、径方向内方に窪んで周方向に延びるように形成される。このため、実施形態1に係る二重容器1では、嵌合部67を、ブロー成形という既存の製造方法によって設けることができる。よって、実施形態1に係る二重容器1は、内容物が注出され易い流路を簡単に確保することができるため、内容物の残留量を簡単に低減することができる。
更に、実施形態1に係る二重容器1では、嵌合部67は、最内部54が直線Lに到達する前では、外容器10と内容器20との嵌合が維持されるように設けられる。このため、実施形態1に係る二重容器1では、内容器20の収縮が余り進行していない使用初期段階において、比較的断面積の大きい流路を確保しつつ、内容器20の底部6を外容器10の底部6に密着させた状態とすることができる。よって、実施形態1に係る二重容器1では、内容物が流れ易い流路を確保しつつ内容器20を規則的に収縮させることができるため、内容物の残留量を更に低減することができる。
更に、実施形態1に係る二重容器1では、嵌合部67は、第1角度θ1が第2角度θ2に到達する迄に、外容器10と内容器20との嵌合が外れるように設けられる。このため、実施形態1に係る二重容器1では、使用終盤段階において、内容物の流路の断面積を適切に確保することができると共に、内容物の流路の長さを短くすることができる。よって、実施形態1に係る二重容器1は、使用終盤段階であっても、内容物が注出され易い流路を適切に確保することができるため、内容物の残留量を更に低減することができる。
[他の実施形態]
実施形態2及び3に係る二重容器1について説明する。実施形態2及び3に係る二重容器1の説明において、実施形態1に係る二重容器1と同様の構成及び動作に係る説明については、重複する説明となるため省略する。
図6は、実施形態2に係る二重容器1の底部6付近の縦断面を模式的に示す図である。
実施形態2に係る二重容器1では、底板部61の側面部65が中心軸Zに対して傾斜角度αで傾斜してよい。傾斜角度αは、第2角度θ2以上の角度であってよい。嵌合部67の嵌合は、第1角度θ1が第2角度θ2に到達する迄に外れる。傾斜角度αが第2角度θ2以上である場合、嵌合部67の嵌合が外れる際には傾斜角度αが第1角度θ1より大きくなり得る。傾斜角度αが第1角度θ1より大きいと、内容器20の収縮に伴って下底部63に作用する張力は、内容器20の側面部65が剥離することに寄与し易くなる。
このため、実施形態2に係る二重容器1では、嵌合部67の嵌合が外れた後、内容器20の底部6を、外容器10の底部6から速やかに剥離することができ、速やかに浮き上がらせることができる。よって、実施形態2に係る二重容器1では、使用終盤段階であっても、内容物が注出され易い流路を速やかに確保することができるため、内容物の残留量を更に低減することができる。
図7は、実施形態3に係る二重容器1の底部6付近の縦断面を模式的に示す図である。
実施形態3に係る二重容器1では、底板部61の上底部64において、外容器10と内容器20との間には剥離部90が設けられてよい。剥離部90は、外容器10と内容器20とを剥離させるための部材である。剥離部90は、流動パラフィン又は耐熱シリコンオイル等の滑剤を含んで構成されてよい。それにより、実施形態3に係る二重容器1では、嵌合部67の嵌合が外れた後、内容器20の底部6を、外容器10の底部6から速やかに剥離することができ、速やかに浮き上がらせることができる。よって、実施形態2に係る二重容器1では、使用終盤段階であっても、内容物が注出され易い流路を速やかに確保することができるため、内容物の残留量を更に低減することができる。
[その他]
上述の実施形態において、二重容器1は、特許請求の範囲に記載された「二重容器」の一例に該当する。外容器10は、特許請求の範囲に記載された「外容器」の一例に該当する。内容器20は、特許請求の範囲に記載された「内容器」の一例に該当する。口部3は、特許請求の範囲に記載された「口部」の一例に該当する。胴部5は、特許請求の範囲に記載された「胴部」の一例に該当する。外容器10の胴部5の下端部51は、特許請求の範囲に記載された「外容器」の「胴部」の「下端部」の一例に該当する。外容器10の胴部5の上端部52は、特許請求の範囲に記載された「外容器」の「胴部」の「上端部」の一例に該当する。最内部54は、特許請求の範囲に記載された「最内部」の一例に該当する。底部6は、特許請求の範囲に記載された「底部」の一例に該当する。底板部61は、特許請求の範囲に記載された「底板部」の一例に該当する。下底部63は、特許請求の範囲に記載された「下底部」の一例に該当する。上底部64は、特許請求の範囲に記載された「上底部」の一例に該当する。側面部65は、特許請求の範囲に記載された「側面部」の一例に該当する。側壁部66は、特許請求の範囲に記載された「側壁部」の一例に該当する。嵌合部67は、特許請求の範囲に記載された「嵌合部」の一例に該当する。剥離部90は、特許請求の範囲に記載された「剥離部」の一例に該当する。中心軸Zは、特許請求の範囲に記載された「中心軸」の一例に該当する。第1角度θ1は、特許請求の範囲に記載された「第1角度」の一例に該当する。第2角度θ2は、特許請求の範囲に記載された「第2角度」の一例に該当する。
上述の実施形態は、変形例を含めて各実施形態同士で互いの技術を適用することができる。上述の実施形態は、本発明の内容を限定するものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない程度に変更を加えることができる。
上述の実施形態及び特許請求の範囲で使用される用語は、限定的でない用語として解釈されるべきである。例えば、「含む」という用語は、「含むものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「備える」という用語は、「備えるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。