次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
まず、本実施形態に係るフリークーリングチラーCの構成について、図4-図8を参照して説明する。
フリークーリングチラーCは、図6に示すように、全体を直方体状に形成したキャビネット11を備え、このキャビネット11の上部内部を外気熱交換室Rcとして構成するとともに、下部内部を収納室Riとして構成する。また、キャビネット11の上端には送風ファン6を配設する。外気熱交換室Rcの内部には、並列接続した一対の凝縮器8p,8qを配設するとともに、並列接続した一対の外気熱交換器5p,5qを配設する。この場合、凝縮器8p,8qは、図4及び図8(a)に示すように、冷媒が循環する冷凍サイクル4を用いて冷却液(例示は冷却水)Lを冷却するチラー冷却系Acを構成するとともに、外気熱交換器5p,5qは、空冷用空気(外気)Wとブラインを用いた冷却媒体の熱交換を行うフリークーリング系Afを構成する。
外気熱交換器5p,5qは、図6に示すように、外気熱交換室Rcの内部に側面から見てV形となるように並べて配設する。これにより、送風ファン6は、二つの外気熱交換器5p,5qの内面により挟まれる内部空間の上方に配設されるとともに、送風方向Fwの下流側位置に配設される。二つの外気熱交換器5p,5qに対向するキャビネット11の側面(正面,背面)には吸気口11i,11iを設けるとともに、送風ファン6の上方に位置するキャビネット11の上端には排気口11eを設ける。
一つの外気熱交換器5pは、ブライン(冷却媒体)を通すブライン管をジグザグ形状に湾曲形成し、外周面に多数の放熱用フィンを付設した一般的な熱交換器の形態により実施可能である。そして、この外気熱交換器5pは、鉛直線に対して所定の傾倒角度(例えば、15〔゜〕前後)で起立(傾斜)させて配設する。他の外気熱交換器5qも外気熱交換器5pと同様に構成するとともに、鉛直線に対して所定の傾倒角度(例えば、15〔゜〕前後)で起立(傾斜)させて配設する。これにより、並べて配した一対の外気熱交換器5p,5qは側面視がV形になる。
また、一つの凝縮器8pは、一般的な凝縮器構造、即ち、冷媒を通す冷媒管をジグザグ形状に湾曲形成した冷媒管ユニットの外周面に多数の放熱用フィンを付設した構造を有している。他の凝縮器8qも凝縮器8pと同様に構成する。そして、各凝縮器8p,8qは、図6及び図8(a)に示すように、送風ファン6の送風方向Fwの下流側から、各外気熱交換器5p,5qに対してそれぞれ重なり合うように配設する。
他方、収納室Riには、図8(a)に示すように、凝縮器8p,8qを除く圧縮機9等のチラー冷却系Acにおける冷凍サイクル4の構成部品類,及び外気熱交換器5p,5qを除く循環ポンプ18等のフリークーリング系Afにおける構成部品類を配設する。また、冷却液Lを収容する冷却液タンク2,冷却液タンク2の冷却液Lを、フリークーリング系Afにおける間接熱交換器7及び冷凍サイクル4における熱交換器(冷却部)19(図4)を介して外部に送出する送液ポンプ20,及びインバータ等の電装部品が実装される制御盤をそれぞれ配設する。
図4は、フリークーリングチラーCの構成(全体系統)を示す。同図中、Ac及びAfは、前述したチラー冷却系及びフリークーリング系をそれぞれ示す。チラー冷却系Acにおいて、4は冷凍サイクルであり、前述した凝縮器8p,8qの冷媒入口は、圧縮機9を介して熱交換器(冷却部)19の一次側19fの流出口に接続するとともに、一次側19fの流入口は電子膨張弁21及びドライヤ22を介して凝縮器8p,8qの冷媒出口に接続する。これにより、冷媒が循環する公知の冷凍サイクルが構成され、後述する供給口3sから外部に供給する冷却液Lを冷却することができる。この場合、圧縮機9には圧縮機インバータ9iが接続され、圧縮機9における圧縮機モータの駆動回転数が可変制御される。なお、23は凝縮器8p,8qの流入側における凝縮圧力pcを検出する凝縮圧力センサ、24は圧縮機9の吸入側における冷媒圧力センサ、25は圧縮機9の吐出側と熱交換器19の一次側19fの流入口側間に接続した電子膨張弁を示す。
一方、フリークーリング系Afにおいて、Kfは、ブラインが循環するブライン循環回路(冷却媒体循環回路)であり、前述した外気熱交換器5p,5qのブライン入口は、間接熱交換器7の一次側7fの流出口に接続するとともに、この一次側7fの流入口は、循環ポンプ18を介して外気熱交換器5p,5qのブライン出口に接続する。この場合、循環ポンプ18には循環ポンプインバータ18iが接続され、循環ポンプ18におけるポンプモータの駆動回転数が可変制御される。この間接熱交換器7には、積層(プレート)式熱交換器等の各種熱交換器を用いることができる。なお、28はブライン圧力スイッチ、29はブライン注入用バルブをそれぞれ示す。このように、外気熱交換器5p,5qにより空冷されたブライン(冷却媒体)が循環するブライン循環回路Kfに一次側7fを直列接続した間接熱交換器7を設け、この間接熱交換器7の二次側9sを冷却液循環系Kcに直列接続することにより、フリークーリング系Afを構成すれば、冷却液循環系Kcの回路に直接接続(直列接続)した間接熱交換器7により冷却処理が可能になるため、フリークーリング系Afによる冷却液Lに対する効率的な冷却処理,及び液温Toに対する応答性及び液温精度の高い制御処理を実現できる。
また、Kcは、冷却液Lを循環させる冷却液循環系を示す。冷却液循環系Kcは、熱交換器19の二次側19sの冷却液入口を、間接熱交換器7の二次側7sの流出口に接続するとともに、この二次側7sの流入口を送液ポンプ20を介して冷却液タンク2のタンク供給口2iに接続する。この場合、送液ポンプ20の吸込口はタンク供給口2iを兼用する。そして、フリークーリングチラーCを使用するときは、熱交換器19の二次側19sの冷却液出口を、キャビネット11に設けた供給口3sを介して、産業機械等の被冷却部Mの給入口に接続し、かつ冷却液タンク2のタンク戻り口2rを、キャビネット11に設けた戻り口3rを介して当該被冷却部Mの排出口に接続する。
これにより、冷却液タンク2に収容した冷却液Lを供給口3sから外部の被冷却部Mに供給するとともに、被冷却部Mから戻り口3rに戻される熱交換後の冷却液Lを冷却液タンク2に収容する冷却液循環系Kcが構成される。また、チラー冷却系Acでは、熱交換器19を用いて冷媒と冷却液Lの熱交換を行なうことができるとともに、フリークーリング系Afでは、間接熱交換器7を用いてブラインと冷却液Lの熱交換を行なうことができる。なお、複数のフリークーリングチラーC…を連結運転するときは、供給口3sを、仮想線で示す外部の供給合流管Psに接続するとともに、戻り口3rを、仮想線で示す外部の戻り合流管Prに接続すればよい。その他、30はバイパスバルブ、31はタンクドレンバルブ、32はフロートスイッチ、33はボールタップ、34は冷却液圧力センサをそれぞれ示すとともに、2pは冷却液タンク2の下部寄りに設けた後述する均圧管62に対する接続ポートを示す。
さらに、図4及び図6に示すように、吸気口11i,11iの近傍には、噴霧機構35を構成する噴霧ノズル36…を配設する。各噴霧ノズル36…は、それぞれ下方に噴霧できるように配設し、より広い範囲に拡散できるように最適位置及び角度を選定する。各噴霧ノズル36…は、図4に示すように、給水制御弁37を介して水Lwが供給される給水口38に接続する。この給水口38には、外部の水道管等の給水源を接続する。また、噴霧ノズル36…は吸気口39に接続される。これにより、給水制御弁37は、バルブドライバ37dを介して開量制御されることにより噴霧量が可変制御される。
他方、フリークーリングチラーCは、チラー全体の制御を司るチラーコントローラ100を内蔵する。このチラーコントローラ100は、図5に示すように、コンピュータ処理機能を有するチラーコントローラ本体51を備える。チラーコントローラ本体51は、CPU及び各種ドライブユニット等のハードウェアを含むとともに、内部メモリ52が付属する。この内部メモリ52には、フリークーリングチラーCにおける冷却液Lの温度制御及び一連の動作を実行するシーケンス制御プログラムによるチラー制御プログラム52p等を格納するプログラムエリア52mpを有するとともに、設定データを含む各種データを書込むデータエリア52mdを有する。また、コントローラ本体51にはディスプレイ53を接続する。例示のディスプレイ53はタッチパネル53tが付属し、操作部(入力部)を兼ねている。さらに、コントローラ本体51のセンサポートには、図4に示す、
外気温度Taを検出してチラーコントローラ100に付与する周囲温度センサ41、圧縮機9の吐出側における冷媒温度センサ42、圧縮機9の吸入側における冷媒温度センサ43、冷却液Lの温度(液温)Toを検出してチラーコントローラ100に付与する冷却液温度センサ44等の各種温度センサをはじめ、前述した各種圧力センサ23,24,34及び圧力スイッチ28等の各種センサ類を含むセンサ群54を接続するとともに、出力ポートには、前述した、圧縮機インバータ9i,ファンインバータ6i,循環ポンプインバータ18i,送液ポンプインバータ20i,及び給水制御弁37のバルブドライバ37dをはじめ、制御対象となる電子膨張弁21,25等の各種アクチュエータを接続する。
なお、複数のフリークーリングチラーC…を連結運転する場合には、図5に示すように、各チラーコントローラ100…を、集中コントローラ200に接続して使用することができる。
したがって、このように構成されるフリークーリングチラーCは、運転時に、送液ポンプ20が作動し、冷却液タンク2内の冷却液Lが、間接熱交換器7,熱交換器(冷却部)19及び供給口3sを介して外部に供給され、被冷却部Mを冷却できるとともに、被冷却部Mにより熱交換された使用後の冷却液Lは、戻り口3rを介して再び冷却液タンク2に戻される。この際、供給口3sから供給される冷却液Lの温度は、供給口3s付近に配した冷却液温度センサ44により検出されるとともに、チラーコントローラ100により、圧縮機9に接続した圧縮機インバータ9i及び電子膨張弁21等を含むチラー冷却系Acが制御され、冷却液Lの温度が予め設定した目標温度となるように温度制御される。
また、送風ファン6の回転により、外気熱交換室Rc内が吸引されることにより、キャビネット11の側面(正面,背面)に設けた吸気口11i,11iから外気Wが吸気され、外気熱交換器5p,5q及び凝縮器8p,8qを通過してキャビネット11の上端に設けた排気口11eから排気される。一方、所定の温度条件及び湿度条件下で、噴霧ノズル36…から水Lwが噴霧され、蒸発時の潜熱の利用により外気Wが冷却されるとともに、循環ポンプ18が作動し、ブライン循環回路Kfをブラインが循環することにより、外気熱交換器5p,5q及び間接熱交換器7を含むフリークーリング系Afによる冷却液Lの冷却が行われる。
さらに、フリークーリングチラーCは、チラーコントローラ100の制御機能により、第1モードによる冷却制御と第2モードによる冷却制御を選択可能にする。この場合、第1モードは、図8(a)に示すように、冷凍サイクル4を用いたチラー冷却系Ac、特に、チラー冷却系Acのみを制御して冷却液Lの冷却を行うモードであり、第1モードで使用するチラー冷却系Acを実線で示す。したがって、フリークーリング系Afは、循環ポンプ18を停止した状態にするとともに、送風ファン6は凝縮器8p,8qの放冷用として定速回転により作動させることができる。使用しないフリークーリング系Afを仮想線で示す。
第2モードは、当該チラー冷却系Acを停止又は補助的に使用し、外気熱交換器5p,5qを外気Wにより空冷する送風ファン6を用いたフリークーリング系Afを制御して冷却液Lの冷却を行うモードであり、チラー冷却系Acを補助的に使用する第2Aモードとチラー冷却系Acを停止する第2Bモードが含まれる。第2Aモードの動作状態を図8(b)に示すとともに、第2Bモードの動作状態を図8(c)に示す。第2モードは、基本的にフリークーリング系Afを使用して冷却を行うが、負荷が大きくなり、フリークーリング系Afのみでは冷却能力が不足する場合に、チラー冷却系Acを補助的に使用するものである。第2Aモードとなる図8(b)においては、使用するチラー冷却系Acとフリークーリング系Afを共に実線で示す。また、第2Bモードとなる図8(c)においては、使用するフリークーリング系Afを実線で示すとともに、使用しないチラー冷却系Acを仮想線で示す。
次に、本実施形態に係るフリークーリングチラーCの運転方法について、図4-図8を参照しつつ、図1-図3を参照して説明する。
運転開始により、チラーコントローラ100は送液ポンプ20を制御して冷却液循環系Kcを循環状態に制御する。これにより、冷却液Lの全体における温度(液温)Lの平均化を図ることができる。
この後、チラーコントローラ100は、外気温度Taと液温Toの検出データを取込み、外気温度Taと液温Toの比較処理を行うとともに、Ta>Toの状態にあるか、Ta≦Toの状態にあるかの判定処理を行う。そして、Ta>Toの状態にあれば、第1モードを選択し、Ta≦Toの状態にあれば、第2モードを選択する。例えば、図7において、外気温度Taが30℃,液温Toが24℃の場合、Ta>Toの条件を満たす状態になるため、外気温度Taはかなり高い夏季の季節にあるものと想定され、第1モードが選択される。これに対し、図7において、外気温度Taが8℃、出口液温Toが20℃の場合、Ta≦Toの条件を満たす状態になるため、外気温度Taはかなり低い冬季の季節にあるものと想定され、第2モードが選択される。
以下、図1及び図2に示すフローチャート及び図3に示すタイミングチャートを参照して具体的な処理手順について説明する。
今、運転開始前における外気温度Taと液温Toの関係の判定処理において、Ta>Toにあると判定された場合を想定する。これにより、第1モードが選択される(ステップS1,S2)。図3中、t1s時点が、第1モードによる運転開始時点を示し、Ta>Toの条件を満たしている。
第1モードでは、チラー冷却系Acの圧縮機9をインバータ制御することにより液温Toに対する制御を行う。即ち、液温Toがチラー目標温度となるように、圧縮機9の駆動回転数を減少又は増加させるインバータ制御により温度に対するPID制御(フィードバック制御)を行なう。このようなインバータ制御を行うことにより、チラー冷却系Acのみを使用した際におけるエネルギーロスの少ない冷却処理を行うことができる。
この場合、フリークーリング系Afは停止状態になるが、送風ファン6を作動させることにより凝縮器8p,8qに対する放熱(空冷)処理を行うとともに、送風ファン6におけるファンモータの駆動周波数fwをインバータ制御し、この送風ファン6の送風により空冷される凝縮器8p,8qの凝縮圧力pcが一定になるようにフィードバック制御を行う。この凝縮圧力pcは、凝縮圧力センサ23により検出される。したがって、このときの送風ファン6の駆動周波数fwは、制御可能な最小駆動周波数fwsから最大駆動周波数fwmの間で可変制御される。このような制御を行えば、チラー冷却系Acの運転に対して、送風ファン6の作動を最適化できるため、安定性の高い効率的なチラー冷却系Acの運転、即ち、第1モードを実行することができる。
以上の動作は、外気温度Taと液温Toの関係が、Ta>Toの状態にあるときに行われる。したがって、第1モードの途中において、Ta≦Toの状態になったとき,又は運転開始前の判定処理において、Ta≦Toの状態のときは、第2モードに移行又は選択される(ステップS1,S3)。図3において、C2時点が、第1モードの途中でTa≦Toの状態になり、第2モードに移行した時点を示すとともに、t2s時点は、運転開始前の判定処理でTa≦Toの状態と判定された場合の運転開始時点を示している。いずれの時点もTa≦Toの条件を満たしている。
第2モードは第2Aモードから開始する。開始により、フリークーリング系Afにおける送風ファン6は最大駆動周波数fwmとなるようにフィードバック制御されるとともに、チラー冷却系Acは補助的に使用される(ステップS4,S5)。なお、第2Aモードの開始により、稼働が終了しないこと(ステップS6),及びTa≦Toの状態を維持していること(ステップS7),を条件に、第2モードを継続する。したがって、稼働が終了した場合、運転は停止状態となる(ステップS8)。さらに、Ta≦Toの条件を満たさない状態になったとき、即ち、Ta>Toの状態になったときは、第1モードに移行する(ステップS7,S2)。
また、第2モードによる運転中は、負荷の状態に応じた液温Toに対する制御が行われる。この場合、負荷が増加すれば、第2Aモードによる負荷増加時の制御、具体的には、送風ファン6を最大駆動周波数fwmに維持する制御を行いつつ、チラー制御系Acの圧縮機9をインバータ制御することにより液温Toに対する制御を行う。即ち、液温Toがチラー目標温度となるように、圧縮機9の駆動回転数を増加(又は減少)させるインバータ制御により温度に対するPID制御(フィードバック制御)を行なう(ステップS9,S10,S11)。
一方、負荷が減少すれば、第2Aモードによる負荷減少時の制御、即ち、チラー冷却系Acの圧縮機9及びフリークーリング系Afの送風ファン6に対するインバータ制御を行なう(ステップS9,S12)。負荷減少時における具体的な制御に係わる処理手順を図2にフローチャートで示す。負荷減少時には、液温Toがチラー目標温度となるように、圧縮機9の駆動回転数を減少(又は増加)させるインバータ制御により温度に対するPID制御(フィードバック制御)を行なう(ステップS9,S121)。
この後、更に負荷が減少し、圧縮機9の駆動回転数fcが最低駆動回転数fcs(例示の場合、最大駆動回転数の30%)以下になったなら、圧縮機9の駆動回転数fcを最低駆動回転数fcsに固定して維持する(ステップS122,S123)。図3中、tcs時点が最低駆動回転数fcsに達した時点を示す。そして、フリークーリング系Afの送風ファン6の送風により外気熱交換器5p,5qの冷却(空冷)処理を行うとともに、液温Toがチラー目標温度となるように、送風ファン6におけるファンモータに対するインバータ制御により駆動周波数fwに対するPID制御(フィードバック制御)を行なう(ステップS124)。
このように、第2Aモードにおいて、負荷が減少し、圧縮機9の駆動回転数fcが、当該圧縮機9における最低駆動回転数fcsに達したなら、当該最低駆動回転数fcsを維持する制御を行うとともに、送風ファン6の駆動周波数fwに対するインバータ制御により液温Toを制御するようにすれば、エネルギー消費の大きいチラー冷却系Acによる冷却比率を抑えつつ、フリークーリング系Afにより主たる冷却処理及び液温制御処理が実行可能になるため、省エネルギー性を高める観点から、フリークーリング系Af及びチラー冷却系Acを組合わせた際における最適な制御処理を実現することができる。
さらに、負荷がさらに減少し、送風ファン6の駆動周波数fwが制御できる最低駆動周波数fwsに達したなら圧縮機9の回転を停止、即ち、チラー冷却系Acの運転を停止する(ステップS125,S126)。図3中、tse時点が最低駆動周波数fwsに達した時点を示す。このように、第2Aモードにおいて、負荷が減少し、送風ファン6の駆動周波数fwが当該送風ファン6における最小駆動周波数fwsに達したなら、圧縮機9を停止し、第2Bモードに移行させるようにすれば、負荷が減少した際におけるチラー冷却系Acのエネルギーロスを排除し、フリークーリング系Afのみによる合理的な省エネルギー化を図ることができる。
そして、このtse時点から、フリークーリング系Afのみを使用する第2Bモードに移行する。なお、tse時点において、チラー冷却系Acの運転を停止することにより、送風ファン6の駆動周波数fwは一次的に増加するが、送風ファン6にに対する駆動周波数fwのPID制御(フィードバック制御)は継続する。そして、この状態において、送風ファン6の駆動周波数fwが制御できる最低駆動周波数fwsに達したなら送風ファン6の回転を停止又は必要により最低駆動周波数fwsを維持する制御を行う(ステップS127)。図3中、twe時点が最低駆動周波数fwsに達した時点を示している。
このように、第2Bモードにおいて、送風ファン6が最小駆動周波数fwsに達したなら、当該最小駆動周波数fwsを維持する制御,又は停止する制御を行うようにすれば、フリークーリングチラーCにおける実質的な最小運転状態又は停止状態にすることができるため、無駄なエネルギーロスを排除する観点から、より望ましい冷却制御を行うことができる。この後、負荷がさらに減少し、制御が不能となる領域になった場合には、必要なエラー処理(例えば、過少負荷停止処理)を行う。
他方、第2Bモードにおいて、負荷が増加した場合には、液温Toがチラー目標温度となるように、送風ファン6におけるファンモータに対するインバータ制御により駆動周波数fwに対するPID制御(フィードバック制御)を行なう(ステップS128,S129)。図3中、tws時点が負荷が増加し、駆動周波数fwが増加を開始した時点を示している。そして、送風ファン6の駆動周波数fwが最大駆動周波数fwmに達したなら、最大駆動周波数fwmに維持した状態で、圧縮機9を作動させるとともに、圧縮機9の駆動回転数を可変制御するチラー冷却系Acにおける温度制御を行う。即ち、第2Aモードに移行する(ステップS130,S6,S9,S10)。図3中、tss時点が最大駆動周波数fwもに達した時点、即ち、圧縮機9の作動開始時点を示している。
このように、第2Aモードと第2Bモードの切換は、積極的な切換制御を行うものではなく、負荷の増減状態により自動で行われることになる。なお、負荷が減少したか否かの判断は、出口液温Teと入口液温Tiの温度差Rtを監視し、この温度差Rtが小さくなったなら負荷が減少したと判断することができる。第2Bモードにおいて、負荷が増加し、送風ファン6の駆動周波数fwが最大駆動周波数fwmに達したなら、圧縮機9を作動させ、当該圧縮機9をインバータ制御することにより液温Toを制御するようにすれば、負荷が増加した際におけるフリークーリング系Afによる制御からチラー冷却系Acによる制御への移行が途切れることのない連続制御が可能になるため、第2Bモードから第2Aモードへの移行をスムースに行うことができる。
この後、負荷が更に増加し、圧縮機9が最大駆動回転数に達した場合には、必要なエラー処理を行うことができるとともに、後述する複数台のフリークーリングチラーC…を用いた連結運転を行うことができる。また、図3中、C1時点は、第2Aモードの途中において、外気温度Taと液温Toの関係が、Ta>Toの状態になり、第2Aモードから第1モードに移行した切換点を示している。
よって、このような本実施形態に係るフリークーリングチラーC及びその運転方法によれば、基本的に、冷凍サイクル4を用いたチラー冷却系Acにより冷却液Lの液温Toを制御する第1モードと、送風ファン6の送風により外気熱交換器5p,5qを空冷するフリークーリング系Afにおける当該送風ファン6を最大駆動周波数fwmに設定し、かつチラー冷却系Acを補助的に用いて液温Toを制御する第2Aモード,又はチラー冷却系Acを停止し、送風ファン6により液温Lを制御する第2Bモードを行う第2モードとを選択可能にし、外気温度Taと液温Toを監視することにより、少なくとも、外気温度Taが液温Toよりも高いときは第1モードを実行し、外気温度Taが液温Toよりも低いときは第2モードを実行するようにしたため、チラー冷却系Acとフリークーリング系Afを組み合わせて冷却を行う際における省エネルギー化制御の観点からの最適化を図ることができる。これにより、特に、季節の変化に伴う外気温度Taの変動などを考慮した合理的かつ効率的な制御処理を行なうことが可能となり、自然エネルギーを活用した効果的かつ有効性の高い大幅な省エネルギー化を実現したフリークーリングチラーCを提供できる。
次に、このようなフリークーリングチラーCを用いた使用例に係わる変更実施形態、即ち、フリークーリングチラーC…を複数台連結して使用する連結運転方法について、図9-図12を参照して説明する。
変更実施形態として示す連結運転システムは、六台のフリークーリングチラーC…を連結した例であり、図9に示すように、三台を並べたフリークーリングチラーC…の列を二列に配して設置できる。この連結運転システムは、各フリークーリングチラーC…と被冷却部Mを、供給合流管Ps及び戻り合流管Prにより接続する。この場合、供給合流管Psの一端口(流出口)は被冷却部Mの給入口Miに接続するとともに、他端口側は閉塞する。一方、戻り合流管Prの一端口(流入口)は被冷却部Mの排出口Meに接続するとともに、他端口側は閉塞する。また、各フリークーリングチラーC…における供給口3sは接続管Psm…を介して供給合流管Psの中途に合流接続するとともに、各フリークーリングチラーC…における戻り口3rは接続管Prmを介して戻り合流管Prの中途に分岐接続する。なお、接続管Psm,Prmの中途には、供給開閉弁及び流量を一定に維持する定流量弁及び戻り開閉弁等を含むバルブユニット61を接続する。これにより、各フリークーリングチラーC…における冷却液Lの循環経路は、供給合流管Ps及び戻り合流管Prを介して並列接続される。
その他、図9中、62は、各フリークーリングチラーC…間に共通接続した均圧管を示し、この均圧管62は、各冷却液タンク2…の接続ポート2p…(図4)に接続する。また、63は、供給合流管Ps及び戻り合流管Prの中途に接続した供給開閉弁及び戻り開閉弁等を含むバルブユニットを示す。さらに、供給合流管Psには、この供給合流管Psの出口液温Teを検出する出口液温センサ65を付設するとともに、戻り合流管Prには、この戻り合流管Prの入口液温Tiを検出する入口液温センサ66を付設する。
他方、連結運転システム1には、別途、集中コントローラ200を配置し、この集中コントローラ200に、各液温センサ65,66,更には外気温度Taを検出する外気温度センサ64を接続するとともに、ケーブルライン67を介して、各フリークーリングチラーC…におけるチラーコントローラ100…(チラーコントローラ本体51…)を遠隔制御可能に接続する。
この集中コントローラ200は、複数台のチラーコントローラ100…を集中的に制御するものであり、図5に示すように、コンピュータ処理機能を有する集中コントローラ本体71を備える。集中コントローラ本体71は、CPU等のハードウェアを含むとともに、内部メモリ72が付属する。この内部メモリ72には、少なくとも本実施形態に係る連結運転方法を実行するための各種演算処理及び制御処理等を行う集中制御プログラム72pをはじめ、各種プログラムを格納するプログラムエリア72mpを有するとともに、設定データを含む各種データを書込むデータエリア72mdを有する。この集中制御プログラム72pに基づいて、少なくとも、比較処理機能72pcによる比較処理,判断処理機能72pjによる判断処理,負荷演算機能72paによる負荷の大きさを求める演算処理等を行うことができる。また、集中コントローラ本体71には、ディスプレイ73を接続する。例示のディスプレイ73はタッチパネル73tが付属し、操作部(入力部)を兼ねている。そして、集中コントローラ本体71には、少なくとも、外気温度センサ64からの外気温度Ta,出口液温センサ65からの出口液温Te,入口液温センサ66からの入口液温Tiが付与される。
これにより、集中コントローラ200は、次のような基本的処理を行うことができる。即ち、集中コントローラ200は、外気温度Taと供給合流管Psの出口液温Teを監視し、少なくとも、外気温度Taが当該出口液温Teよりも高いとき、具体的には、Ta>Teのときは第1モードを実行し、外気温度Taが当該出口液温Teよりも低いとき、具体的には、Ta≦Teのときは第2モードを実行する。そして、特に、第1モードでは、チラー冷却系Ac…の運転開始前に、負荷の大きさに基づくチラー冷却系Ac…の台数Nを所定の演算式Fにより求め、運転を開始する際は、求めたチラー冷却系Ac…の台数Nにより運転を開始するとともに、被冷却部Mの負荷の大きさを監視し、予め設定した低負荷判定値Rd以下になったなら運転中のチラー冷却系Ac…の少なくとも一台のチラー冷却系Acを停止させ、かつ予め設定した高負荷判定値Ru以上になったなら停止中のチラー冷却系Ac…の少なくとも一台のチラー冷却系Acを追加して運転する台数制御を行うことができる。
次に、変更実施形態に係るフリークーリングチラーC…の連結運転方法の具体的な動作について、図9-図12に基づいて説明する。
この連結運転システムの場合、各フリークーリングチラーC…は、前述した第1モード又は第2モードを選択して冷却液Lに対する冷却制御を行なうが、いずれのモードにおいても、集中コントローラ200は、全台の冷却液循環系Kc…を循環状態に制御する。即ち、連結運転システムの稼働開始により、集中コントローラ200は、送液ポンプ20を制御して全台の冷却液循環系Kc…を循環状態にする。これにより、各フリークーリングチラーC…における冷却液タンク2の液位が変動したりバランスが崩れるなどの現象を防止できるため、ハンチングや制御の不安定化が発生する不具合を回避できる。
また、集中コントローラ200は、運転開始前に、外気温度Taと出口液温Teを取込み、外気温度Taと出口液温Teの比較処理を行うとともに、Ta>Teの状態にあるか、Ta≦Teの状態にあるかの判定処理を行う。そして、Ta>Teの状態にあれば、第1モードを選択し、Ta≦Teの状態にあれば、第2モードを選択する。
以下、図10のフローチャートを参照して具体的な処理手順について説明する。今、運転開始前における外気温度Taと出口液温Teの関係の判定処理において、Ta>Teにあると判定された場合を想定する。これにより、第1モードが選択され、図10に示すフローチャートに従った処理が行われる(ステップS21,S22,S23)。
第1モードが選択された場合、集中コントローラ200は、チラー冷却系Ac…の運転開始前に、負荷の大きさに基づくチラー冷却系Ac…の必要となる台数Nを所定の演算式Fにより求め、運転を開始する台数Nを決定する(ステップS24)。負荷の大きさは、供給合流管Psの出口液温Teと戻り合流管の入口液温Tiの温度差(Te-Ti)に基づいて求めることができる。このような温度差(Te-Ti)を用いれば、負荷の大きさが的確に現れる供給合流管Psの出口液温Teと戻り合流管の入口液温Tiの温度差(Te-Ti)を変数として利用できるため、的確な負荷の大きさを容易かつ確実に求めることができる。なお、この演算式Fには、負荷の大きさに基づいて運転を開始する台数を決定可能な各種の演算式を利用することができる。したがって、演算式に用いる変数には、フリークーリングチラーC…の全台数,各チラー冷却系Ac…の定格冷却能力,冷却液Lの密度,冷却液Lの比熱,冷却液Lの流量,送液ポンプ20の駆動回転数,冷却液出口の圧力等を含ませることができる。
運転を開始する台数Nが決定され、冷却液循環系Kc…の循環動作に基づく出口液温Teが安定化したなら、決定された台数Nに基づくチラー冷却系Ac…の運転を開始する(ステップS25)。なお、安定化に要する時間は、監視サイクルの周期(例示は、5分程度)と同程度の時間を考慮することができる。
一方、運転開始後は、被冷却部Mの負荷を監視する。そして、稼働が終了しないこと(ステップS26),及びTa>Teの状態を維持していること(ステップS27),を条件に、監視サイクルに従って負荷の増減状態を判定する(ステップS28,S29)。なお、稼働が終了した場合、運転は停止状態となる(ステップS30)。さらに、Ta>Teの条件を満たさない状態になった場合、即ち、Ta≦Teの状態になった場合には、第2モードに移行する(ステップS27,S23)。
また、チラー冷却系Ac…の制御では、各チラー冷却系Ac…において、それぞれ独立した制御が行われる。即ち、各フリークーリングチラーC…における供給口3s…から外部に供給する冷却液L…の温度(チラー吐出温度Tc)がチラー目標温度となるように、温度に対するPID制御(フィードバック制御)が行われる。例示の場合、冷却液Lの目標温度(設定温度)は、20〔℃〕(図11)に設定されており、チラー冷却系Ac…に対する液温制御は、冷凍サイクル4の一部を構成する圧縮機9をインバータ制御することにより行う。このような制御を行えば、冷凍サイクル4に対する通常の温度制御を行うことができるため、温度制御の容易化かつ確実化を確保できるとともに、実施の容易化に寄与できる。
そして、負荷が増加した場合を想定する。負荷が一定の条件で増加した場合、停止中のチラー冷却系Ac…から一台のチラー冷却系Acの運転を追加する(ステップS28,S31)。負荷が増加したか否かの判定は、予め設定した負荷判定値を用いることができる。具体的には、被冷却部Mの負荷の大きさとして、出口液温Teと入口液温Tiの温度差Rtを監視し、この温度差Rtが、高負荷判定値Ru以上になったなら停止中のチラー冷却系Ac…から一台のチラー冷却系Acを追加して運転する。高負荷判定値Ruとしては、例えば、+1℃の変化量を用いることができる。
これに対して、負荷が減少した場合を想定する。負荷が一定の条件で減少した場合、運転中のチラー冷却系Ac…から一台のチラー冷却系Acの運転を停止する(ステップS29,S32)。負荷が減少したか否かの判定は、負荷が増加した場合と同様に、予め設定した負荷判定値を用いることができる。即ち、負荷の大きさとして、出口液温Teと入口液温Tiの温度差Rtを監視し、この温度差Rtが、低負荷判定値Rd以下になったなら運転中のチラー冷却系Ac…から一台のチラー冷却系Acの運転を停止する。低負荷判定値Rdとしては、例えば、-1℃の変化量を用いることができる。
他方、負荷が増加することにより、チラー冷却系Ac…の運転台数が最大台数(例示は六台)に達し(ステップS33)、負荷の大きさが高負荷判定値Ru以上になった場合(ステップS34)には、集中コントローラ200により所定のエラー処理、例えば、警報ブザーの作動や通信処理等により、この状態をオペレータに知らせるエラー処理を行うことができる(ステップS35)。
一方、負荷が減少することにより、運転するチラー冷却系Acが一台になり(ステップS36)、更に、そのチラー冷却系Acの運転中に、負荷の大きさが低負荷判定値Rd以下になった場合(ステップS37)には、運転中のチラー冷却系Acを、過少負荷状態になったとして運転を停止させることができる(ステップS38)。これにより、六台の全てのチラー冷却系Ac…は停止状態になるが、負荷は次第に増加し、このまま第1モードの継続が可能となる。
次に、運転開始前における外気温度Taと出口液温Teの関係の判定処理において、Ta≦Teにあると判定された場合を想定する。この場合、第2モードが選択される(ステップS21,S23)。第2モードが選択された場合、前述した図1及び図2に従った処理が全台のフリークーリングチラーC…において行われる。
図11は、年間の外気温度Taと各モード1,2A,2Bの使用期間の関係をグラフで示したものである。出口液温Teは、設定温度(目標温度)に対応するものであり、例示の場合、20℃である。図11から明らかなように、外気温度Taが出口液温Teを上回る6月-9月の夏季の期間では、第1モードが実行されるとともに、6月-9月以外の時期では、第2モードが実行される。特に、外気温度Taが8℃付近を下回る冬季の期間では第2Bモードが実行され、春秋季の中間期には、第2Aモードが実行されることを確認できる。もちろん、これらは一例であり、例えば、6月-9月の夏季の期間であっても夜間等の外気温度Taが低くなるときは第2モードが実行される。
一方、図12は、この連結運転方法に使用するフリークーリングチラーCの年間における月毎の外気温度Ta及び消費電力量Xrの関係をグラフで示したものであり、チラー冷却系Acにおける圧縮機9を一定速制御により運転するフリークーリングチラーと、本実施形態に係るフリークーリングチラーCを対比して示す。いずれの月であっても、消費電力量Xrの大幅な削減を図ることができる。特に、日本の四季における、外気温度Taが低い冬季及び中間期には、フリークーリング系Af…を主として使用する第2モードが実行されるため、一定速制御による従来のチラーに対して年間概ね72%の節電率を実現することができる。
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,制御手法等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
例えば、フリークーリング系Afを構成するに際し、外気熱交換器5p,5qにより空冷された冷却媒体が循環する冷却媒体循環回路Kfに一次側7fを直列接続した間接熱交換器7を設け、この間接熱交換器7の二次側7sを冷却液循環系Kcに直列接続して構成する例を示したが、同様の機能を有するフリークーリング系を構成するものであれば、例示するフリークーリング系Afの構成例に限定されるものではない。また、並列接続した一対の外気熱交換器5p,5q及び並列接続した一対の凝縮器8p,8qを配設した場合を例示したが、それぞれ単一の外気熱交換器及び凝縮器を配してもよいし、三つ以上の外気熱交換器及び凝縮器を配してもよい。同様に、単一の送風ファン6を例示したが、二つ以上の送風ファンを用いる場合を排除するものではない。なお、冷却液Lとして、例示は冷却水を示したが、不凍液等の各種溶液を利用できるとともに、本発明における制御上の冷却とは加熱も含まれる概念である。