JP7203979B2 - エネルギー変換フィルム、エネルギー変換素子及びエネルギー変換フィルムの製造方法 - Google Patents

エネルギー変換フィルム、エネルギー変換素子及びエネルギー変換フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、エネルギー変換フィルム、エネルギー変換素子及びエネルギー変換フィルムの製造方法に関する。
従来、圧電性を有する多孔性の樹脂フィルムが、機械エネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギー変換フィルムとして利用されている。例えば、内部に気泡を有するプラスチックフィルムを2次元に引っ張り、その表面を導電層で被覆した誘電体フィルムが、マイクロフォン等に応用されている(特許文献1参照。)。
フィルム内部の空孔に多くの電荷を保持することにより、圧電性能と安定性を高めることができるため、空孔形成核剤を使用した空孔のサイズや数の最適化が提案されている(特許文献2参照。)。また、エネルギー変換効率を高める電極の設置方法として、導電層を設けた誘電体フィルムを、接着剤層を介して多孔性樹脂フィルムに積層する方法も提案されている(特許文献3参照。)。
特開昭61-148044号公報 特開2011-84735号公報 特開2010-89496号公報
電極との密着性をより高めるため、多孔性樹脂フィルムの表面を酸化処理した後、アンカー剤が塗工されることがある。
一方で、長期保管時の接着剤、アンカー剤等の電極又は多孔性樹脂フィルムへの影響を考慮して、接着剤、アンカー剤等を用いずに多孔性樹脂フィルム上に電極を設ける方法が検討されていた。しかし、通常金属が用いられる電極と樹脂フィルムとの高い密着性を長期間維持することが難しかった。
本発明は、電極と多孔性樹脂フィルムとの密着性の経時低下を抑えることを目的とする。
本発明者らが上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、酸素原子濃度が一定値以上で、かつ蒸留水で洗浄処理した後も酸素原子濃度の変化が少ない表面を有する多孔性樹脂フィルムであれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕多孔性樹脂フィルムであって、少なくとも一方の表面が下記式(1)及び式(2)を満たす、エネルギー変換フィルム。
(1) 0.8≦S1/S0≦1.0
(2) 2.0≦S0
〔式中、S0は、洗浄処理(A)を施す前の酸素原子濃度(atm%)を表す。S1は、洗浄処理(A)を施した後の酸素原子濃度(atm%)を表す。酸素原子濃度は、XPS(X線電子光分光法)で測定した酸素原子数と炭素原子数と窒素原子数の合計に対する酸素原子数の割合(酸素原子数/(酸素原子数+炭素原子数+窒素原子数))である。洗浄処理(A)とは、蒸留水による洗浄処理をいう。〕
〔2〕前記多孔性樹脂フィルムが、ポリオレフィン系樹脂を含有する、
前記〔1〕に記載のエネルギー変換フィルム。
〔3〕前記多孔性樹脂フィルムが、厚み方向の高さが3~30μmであり、かつ面方向の径が50~500μmである空孔を、100個/mm以上有する、
前記〔1〕又は〔2〕に記載のエネルギー変換フィルム。
〔4〕前記多孔性樹脂フィルムは、少なくとも1層の多孔性樹脂層を含む多層構造を有し、最外層の表面が前記式(1)及び式(2)を満たす、
前記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のエネルギー変換フィルム。
〔5〕前記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載のエネルギー変換フィルムと、
前記エネルギー変換フィルムの少なくとも一方の表面に設けられた電極と、を有するエネルギー変換素子。
〔6〕多孔性樹脂フィルムの少なくとも一方の表面を酸化処理する工程と、
前記酸化処理された表面に対し洗浄処理(B)を施す工程と、を含み、
前記洗浄処理(B)後の表面が下記式(1)及び式(2)を満たす、エネルギー変換フィルムの製造方法。
(1) 0.8≦S1/S0≦1.0
(2) 2.0≦S0
〔式中、S0は、洗浄処理(A)を施す前の酸素原子濃度(atm%)を表す。S1は、洗浄処理(A)を施した後の酸素原子濃度(atm%)を表す。酸素原子濃度は、XPS(X線電子光分光法)で測定した酸素原子数と炭素原子数と窒素原子数の合計に対する酸素原子数の割合(酸素原子数/(酸素原子数+炭素原子数+窒素原子数))である。洗浄処理(A)とは、蒸留水による洗浄処理をいう。〕
〔7〕前記酸化処理が、誘電体バリア放電処理である、
前記〔6〕に記載のエネルギー変換フィルムの製造方法。
〔8〕前記洗浄処理(B)は、pH5~11の水又は水溶液を用いて水洗する処理を含む、
前記〔6〕又は〔7〕に記載のエネルギー変換フィルムの製造方法。
本発明によれば、電極と多孔性樹脂フィルムとの密着性の経時低下を抑えることができる。
本実施形態のエネルギー変換フィルムの構成例を示す断面図である。 エネルギー変換フィルムの製造工程の一例を示す模式図である。 エレクトレット化装置の一例を示す模式図である。である。 エネルギー変換素子の一例を示す断面図である。 落球試験装置を示す模式図である。
以下、本発明のエネルギー変換フィルム、エネルギー変換素子及びエネルギー変換フィルムの製造方法について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の一実施態様としての一例(代表例)であり、これらの内容に特定されるものではない。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」の記載は、アクリルとメタクリルの両方を示す。
(エネルギー変換フィルム)
本発明のエネルギー変換フィルムは、多孔性樹脂フィルムであって、少なくとも一方の表面が下記式(1)及び(2)を満たす。
(1) 0.8≦S1/S0≦1.0
(2) 2.0≦S0
〔式中、S0は、洗浄処理(A)を施す前の酸素原子濃度(atm%)を表す。S1は、洗浄処理(A)を施した後の酸素原子濃度(atm%)を表す。酸素原子濃度は、X線電子光分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)で測定した酸素原子数と炭素原子数と窒素原子数の合計に対する酸素原子数の割合(酸素原子数/(酸素原子数+炭素原子数+窒素原子数))である。洗浄処理(A)とは、蒸留水による洗浄処理をいう。〕
<XPSの測定方法>
上記XPSにより測定する酸素原子濃度S0及びS1は、O1s及びC1s等のそれぞれのピーク強度面積に各ピークの相対感度を乗算した値の比から求めることができる。(例えば、筏 義人編、「高分子の表面の基礎と応用(上)」、化学同人発行、1986年、第4章 参照)。
式(2)を満たす表面は、酸素原子濃度が高く、電極との密着性が高い。さらに式(1)を満たす表面は、洗浄処理(A)の前後で酸素原子濃度の変化率が0.8以上1.0以下と少ない、すなわち多孔性樹脂フィルムの表面に存在し、該表面に結合していない低分子量の酸性化合物の量が少なく、後述する電極との高い密着性が維持される。したがって、多孔性樹脂フィルムと電極との密着性の経時低下を抑え、長期間安定したエネルギー変換性能を示すエネルギー変換フィルムを提供できる。
ここで「洗浄処理(A)」とは、多孔性樹脂フィルム表面に存在する酸素原子含有異物の量を測定するための操作である。洗浄処理(A)に使用する「蒸留水」とは、摂氏25℃における導電率が1.0μS/cm以下であり、不純物がほとんど含まれていない水である。製造法としては、イオン交換水を蒸留器で蒸留する手法が挙げられ、純度を上げるため複数回蒸留を繰り返してもよい。蒸留水としては、市販品を使用することができ、大塚注射用蒸留水(商品名、大塚製薬工業社)、蒸留水(商品名、和光純薬工業社)等が挙げられる。
式(1)及び式(2)を満たす表面は、多孔性樹脂フィルムの製造工程において、フィルム表面を酸化処理した後、洗浄処理(B)を施すことによって形成できる。ここで「洗浄処理(B)」とは、多孔性樹脂フィルムの製造工程における処理であり、上記「洗浄処理(A)」とは異なる処理である。その詳細については後述する。本発明者らの検討により、酸化処理によってフィルム表面の電極との密着性が高まり、接着剤層やアンカー層等がなくても多孔性樹脂フィルムに電極を設けることができるが、酸化処理だけでは時間の経過によって上記密着性が低下することが判明した。詳しいメカニズムは不明だが、本発明者らは、酸化処理によって副生された低分子量の酸性化合物等の異物が、フィルム表面と電極との間に介在して密着性を低下させると考え、酸化処理後、さらに洗浄処理(B)を施すことで異物を除去すれば、多孔性樹脂フィルムと電極との密着性を長期間維持できることを見出した。なお、洗浄処理(A)前後の酸素原子濃度の比率(S1/S0)が小さいほど、酸化処理で生じた異物の割合が多いと評価できる。
本発明のエネルギー変換フィルムとは、内部に多数の空孔を有する多孔性樹脂フィルムである。多孔性樹脂フィルムに電荷を注入するエレクトレット化処理を施すことにより、電気-機械エネルギー変換性能を有するエネルギー変換フィルムを得ることができる。電気-機械エネルギー変換性能とは、機械エネルギー(運動エネルギー)を電気エネルギーに変換する能力のみならず、電気エネルギーを機械エネルギー(運動エネルギー)に変換する能力も含む。
本発明のエネルギー変換フィルムとは、エレクトレット化処理前の多孔性樹脂フィルムであってもよいし、エレクトレット化処理後の多孔性樹脂フィルムであってもよい。エレクトレット化処理後の多孔性樹脂フィルムは、意図的に電荷が注入されたフィルムであり、エレクトレット化処理前に比して多量の電荷を帯びている。
<多孔性樹脂フィルム>
本発明に係る多孔性樹脂フィルムは、少なくとも1層の多孔性樹脂層を含む層であり、該多孔性樹脂層は熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物をフィルム成形することにより得られる。多孔性樹脂フィルムは、以下に述べる多孔性樹脂層のみの単層構造であってもよいし、当該多孔性樹脂層を少なくとも1層有する多層構造であってもよい。単層構造の場合、多孔性樹脂層の両側の表面のうち少なくとも一方が式(1)及び式(2)を満たす。多層構造の場合、両側の最外層のうち、少なくとも一方の最外層の表面が式(1)及び式(2)を満たす。
多孔性樹脂フィルムは、目的の空孔の形成が容易である点から、空孔形成剤をさらに含有する延伸フィルムであることが好ましい。
<空孔の形状及びサイズ>
多孔性樹脂フィルム中(より具体的には多孔性樹脂層中)の空孔の形状及びサイズは、要求性能等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。
なお、多孔性樹脂フィルム内部の個々の空孔には、単板型コンデンサのように、その相対する内面に異なる電荷が対で保持されると考えられる。したがって、単板型コンデンサと同様に内部に電荷を蓄積するには、多孔性樹脂フィルムの空孔が一定以上の面積と高さを有することが好ましい。空孔の面積が一定以上であれば、十分な静電容量が得られ性能の優れたエレクトレットが得られやすい。また、空孔の高さ(距離)が一定以上であれば、空孔内部での放電(短絡)を抑え、電荷を蓄積しやすい。ここで空孔の「面積」とは、多孔性樹脂層の表面と並行な断面における空孔面積の最大値を意味する。空孔の「高さ」とは、多孔性樹脂層の厚み方向における空孔径の最大値を意味する。これらの点からは、多孔性樹脂フィルム内部の個々の空孔のサイズ(面積)は大きいほど有効に機能するといえるが、隣接する空孔同士が連通して発生する放電(短絡)を減らし、蓄積される電荷を増やす観点からは、空孔のサイズは一定以下にすることが好ましい。また、空孔の高さ(距離)が一定以下であれば、電荷が分極しやすく、帯電安定性に優れたエレクトレットが得られやすい。
したがって、多孔性樹脂フィルムは、より多くの電荷を安定して蓄積する観点から、電荷の蓄積に有効な特定サイズの空孔を特定量有することが好ましい。具体的には、多孔性樹脂フィルムを任意の断面で観察をした場合の観察像上において、同フィルムの厚み方向の高さが3~30μmであり、かつ同フィルムの面方向の径が50~500μmである空孔を、100個/mm以上有することが好ましく、150個/mm以上がより好ましく、200個/mm以上がさらに好ましく、300個/mm以上が特に好ましい。
一方、隣接する空孔同士の連通による短絡の抑制及びフィルム強度の観点から、多孔性樹脂フィルムは、同フィルムの厚み方向の高さが3~30μmであり、かつ同フィルムの面方向の径が50~500μmである空孔を、3,000個/mm以下有することが好ましく、2,500個/mm以下有することがより好ましく、2,000個/mm以下有することがさらに好ましく、1,500個/mm以下有することが特に好ましい。
上記特定サイズの空孔の数が多いほど、電荷の蓄積能力が向上し、エネルギー変換効率が向上する傾向にある。一方、上記特定サイズの空孔の数が少ないほど、隣接する空孔同士が連通して隣接空孔間で放電(短絡)が発生することを抑えることができる。また、フィルム自体の強度低下により生じる、圧縮等の外部応力に対する復元力の低下を抑えることができる。多孔性樹脂フィルムの圧縮回復性の不足は、フィルムの圧縮と復元を繰り返し行っているうちに復元率が低下する等の弊害を招く。そのため、多孔性樹脂フィルム、すなわちエネルギー変換フィルムを、圧電素子等のエネルギー変換素子として用いる場合には、製品寿命が短命化する可能性がある。これらのバランスを考慮して、多孔性樹脂フィルム中の空孔のサイズを上記範囲内で調整することが好ましい。
<空孔率>
多孔性樹脂フィルムの空孔率は、要求性能等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、20~80%であることが好ましい。このような空孔率は上記の有効な空孔の数と相関がある。なお、多孔性樹脂フィルムの空孔率とは、同フィルムの全体積に対して同フィルム中の空孔が占める体積の割合(体積率)を意味する。多孔性樹脂フィルムの空孔率は、空孔が同フィルム全体に均一に分布している前提で、同フィルムの厚み方向の断面において、空孔が占める面積の割合(面積率)と等しい。
そのため、本発明における多孔性樹脂フィルムの空孔率は、同材料の厚み方向の断面を走査型電子顕微鏡により観察し、画像解析装置に観察画像を取り込み、同観察領域を画像解析することによって算出した、断面上の空孔の面積率として得ることができる。具体的には、多孔性樹脂フィルムからガリウム収束イオンビーム等の手法によって空孔が潰れないように断面観察用の試料を作製する。この試料の断面観察を、走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製、商品名:JSM-6490)等を使用して適切な倍率(例えば2000倍等)で行う。得られた断面写真の観察領域を画像解析装置((株)ニレコ製、商品名:LUZEX AP)等を使用して、試料断面中の空孔が占める面積の割合(面積率)を算出し、これを空孔率とすることができる。
フィルム内部に電荷を蓄積するのに適したサイズの空孔を数多く設けて、電荷の蓄積容量を確保する観点から、多孔性樹脂フィルムの空孔率は、20%以上であることが好ましく、25%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましく、35%以上であることが特に好ましい。一方、空孔の連通による短絡の抑制、多孔性樹脂フィルムの弾性率の低下、又は厚み方向の圧縮回復性の低下による耐久性の低下を抑える観点から、多孔性樹脂フィルムの空孔率は、80%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましく、60%以下であることがさらに好ましく、55%以下であることが特に好ましい。
<多孔性樹脂層の使用原料>
上述のように、多孔性樹脂層は、熱可塑性樹脂を含有するが、空孔の形成性の観点からは空孔形成剤を含有することが好ましく、帯電性及び耐熱性の向上の観点からは、金属石鹸を含有することが好ましい。
<<熱可塑性樹脂>>
熱可塑性樹脂は、多孔性樹脂層のマトリクス樹脂であり、圧電効果及び圧縮回復性を付与する。
エネルギー変換フィルムの熱可塑性樹脂としては、電気を通しにくい絶縁性の高分子材料を、好ましく使用できる。そのような熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン、又は4-メチル-1-ペンテン(共)重合体等のポリオレフィン系樹脂;
エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体の金属塩(アイオノマー)、エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(アルキル基の炭素数は1~8であることが好ましい)、マレイン酸変性ポリエチレン、又はマレイン酸変性ポリプロピレン等の官能基含有オレフィン系樹脂;
芳香族ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、又は脂肪族ポリエステル(ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸等)等のポリエステル系樹脂;
ナイロン-6、ナイロン-6,6、ナイロン-6,10、又はナイロン-6,12等のポリアミド系樹脂;
シンジオタクティックポリスチレン、アタクティックポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン(AS)共重合体、スチレン-ブタジエン(SBR)共重合体、又はアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)共重合体等のスチレン系樹脂 ;
ポリ塩化ビニル樹脂;
ポリカーボネート樹脂;
ポリフェニレンスルフィド等が挙げられる。
ポリエチレン系樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低結晶性又は非晶性のエチレン・α-オレフィン共重合体、又はエチレン-環状オレフィン共重合体等が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば結晶性ポリプロピレン、低結晶性ポリプロピレン、非晶性ポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体(ランダム共重合体又はブロック共重合体)、プロピレン・α-オレフィン共重合体、又はプロピレン・エチレン・α-オレフィン共重合体等)等が挙げられる。
なお前記α-オレフィンとしては、エチレン及びプロピレンと共重合可能であれば特に限定されず、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、又は1-オクテン等を挙げることができる。
これら熱可塑性樹脂のなかでも、絶縁性と加工性に優れるポリオレフィン系樹脂又は官能基含有オレフィン系樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂としては、上記熱可塑性樹脂の中から1種を選択して単独で使用してもよいし、2種以上を選択して組み合わせて使用してもよい。
また、上述したポリオレフィン系樹脂のなかでも、ポリプロピレン系樹脂が、絶縁性、加工性、耐水性、耐薬品性、又はコスト等の観点から特に好ましい。ポリプロピレン系樹脂には、フィルム成形性の観点からプロピレン単独重合体よりも融点が低い樹脂を、熱可塑性樹脂全量に対して2~25質量%配合して使用することが好ましい。そのような融点が低い樹脂としてはポリエチレン系樹脂が挙げられ、なかでも高密度、中密度又は低密度のポリエチレンが好ましい。
多孔性樹脂層における熱可塑性樹脂の含有量(含有率)は、特に限定されず、例えば多孔性樹脂層のマトリクス樹脂として同層中に十分な空孔界面を形成しつつ、空孔間の連通を抑え、多孔性樹脂フィルムの機械強度を確保する等の観点から、適宜設定すればよい。具体的には、多孔性樹脂層の総質量を基準として、熱可塑性樹脂を50質量%以上含むことが好ましく、60質量%以上含むことがより好ましく、65質量%以上含むことがさらに好ましく、70質量%以上含むことが特に好ましい。一方、熱可塑性樹脂を98質量%以下含むことが好ましく、97質量%以下含むことがより好ましく、96質量%以下含むことがさらに好ましく、85質量%以下含むことが特に好ましい。
<<空孔形成剤>>
空孔形成剤としては、発泡剤及びフィラーが挙げられ、フィラーとしては無機フィラー及び有機フィラーが挙げられる。
空孔形成剤として発泡剤を使用する場合、例えば多孔性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂と熱分解型発泡剤を含む樹脂組成物を溶融混錬し、その後フィルム状に押出成形して発泡性樹脂フィルムを得て、これを熱分解型発泡剤の分解温度以上に加熱して発泡させることにより多孔性樹脂層を得ることができる。
空孔形成剤としてフィラーを使用する場合、これを含有するフィルム(層)の延伸により、フィルムの内部にフィラーを始点(核)とした多数の空孔を形成することが容易となる。フィラーの含有量又は延伸条件を制御することによって、空孔のサイズ又は頻度を制御することが可能であり、また、フィラーの粒子径又は延伸条件を制御することによって、空孔のサイズ(高さ及び径)を制御することが可能である。また、空孔形成後もフィラーが空孔の中で支柱として機能し得るため、空孔が潰れにくい。得られるエレクトレットにおいては、繰り返し圧縮力を作用させても十分な圧縮回復性が発現されやすく、さらには圧電性能の安定化(ピラー効果)が期待できる。
多孔性樹脂層中のフィラーの含有量は、十分な空孔を形成する観点から、2質量%以上であることが好ましく、4質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、14質量%以上が特に好ましい。一方、多孔性樹脂層中の空孔間の連通を抑える観点から、同含有量は、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、25質量%以下が特に好ましい。
フィラーの含有量が上記の好ましい範囲の下限値以上であれば、後述する延伸工程で、十分な数の電荷を蓄積するのに適したサイズの空孔が得られやすく、所望の圧電性能が得られやすい。一方、フィラーの含有量が上記の好ましい範囲の上限値以下であれば、過多な空孔形成によるフィルム強度の低下が抑制されやすい。得られるエネルギー変換フィルムにおいては、繰り返し圧縮力を作用させても十分な圧縮回復性が発現されやすく、さらには圧電性能が安定することが期待できる。
空孔形成剤としては、発泡剤を単独、無機フィラーを単独、有機フィラーを単独で、又は発泡剤と無機フィラーと有機フィラーのいずれか2種以上を組み合せることができる。無機フィラーと有機フィラーを組み合せて用いる場合の各々の含有比率は、特に限定されない。例えば無機フィラーの含有比率は、空孔形成剤の総量に対して、10~99質量%であることができ、20~90質量%であってもよいし、30~80質量%であってもよい。
<<<発泡剤>>>
発泡剤の例としては、前述のように熱分解型発泡剤を挙げることができ、具体的には例えば、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等が挙げられる。
多孔性樹脂層中の発泡剤の含有量は、十分な空孔を形成する観点から、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。一方、フィルム中の空孔間の連通を抑える観点から、同含有量は、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。
<<<無機フィラー>>>
空孔形成剤のなかでも、無機フィラーは、低コストで粒子径が異なる多数の製品が商業的に入手可能な点で好ましい。使用可能な無機フィラーの具体例としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、焼成クレー、シリカ、けいそう土、白土、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、アルミナ、ゼオライト、マイカ、セリサイト、ベントナイト、セピオライト、バーミキュライト、ドロマイト、ワラストナイト、又はガラスファイバー等が挙げられるが、これらに特に限定されない。なかでも、空孔形成性及びコストの観点から、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム又は酸化チタンが好ましく、重質炭酸カルシウムがより好ましい。これらの無機フィラーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
<<<有機フィラー>>>
空孔形成剤のなかでも、有機フィラーは粒子径の整った球状の粒子として入手可能であり、多孔性樹脂層中に形成される空孔もサイズや形状が均一になりやすい。
有機フィラーとしては、多孔性樹脂層の主成分である熱可塑性樹脂とは異なる種類の樹脂粒子を選択することが好ましい。例えば、熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂である場合、好ましい有機フィラーとしては、ポリオレフィンとは非相溶であり、ポリオレフィン系樹脂の混練、延伸成形の際に流動性を有しない樹脂粒子が挙げられる。具体的には、架橋アクリル樹脂、架橋メタクリル樹脂、架橋スチレン樹脂、又は架橋ウレタン樹脂等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの架橋樹脂からなる樹脂粒子は、あらかじめ粒子径の整った球状の粒子として入手可能であり、空孔のサイズを調整しやすいことから、特に好ましく用いられる。
また、有機フィラーは、多孔性樹脂層の主成分である熱可塑性樹脂に非相溶であるが、熱可塑性樹脂とともに溶融混練されて海島構造を形成し、島である有機フィラーが延伸成形時に空孔の核となって、所望の空孔を成形してもよい。例えば、熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂である場合、このような有機フィラーの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン-6、ナイロン-6,6、環状オレフィン重合体、ポリスチレン、又はポリメタクリレート等の重合体であって、ポリオレフィン系樹脂の融点よりも高い融点(例えば170~300℃)又はガラス転移温度(例えば170~280℃)を有し、溶融混練によりマトリクス樹脂であるポリオレフィン系樹脂中に微分散させることができる樹脂粒子が挙げられる。有機フィラーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
無機フィラー又は有機フィラーの体積平均粒径(レーザー回折による粒度分布計で測定したメディアン径(D50))は、電荷を蓄積するのに適したサイズの空孔を成形すること考慮して適宜選択することができ、特に限定されない。適切なサイズの空孔が得られやすく、所望の圧電性能が得られやすい観点から、無機フィラーの体積平均粒径は3μm以上であることが好ましく、4μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることがさらに好ましい。一方、粗大空孔の形成によって、空孔が連通して帯電性が低下することを抑制するとともにフィルム強度の低下を抑制し、繰り返し圧縮力を作用させても十分な圧縮回復性を発現させ、圧電性能の安定化を期待できる等の観点から、無機フィラーの体積平均粒径は、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、15μm以下であることがさらに好ましい。
無機フィラーと有機フィラーとを併用する場合、体積平均粒径が同範囲内の粒径を個別に有する無機フィラーと有機フィラーとを組み合わせて使用してもよく、無機フィラーと有機フィラーとを混合した状態をレーザー回折による粒度分布計で測定した体積平均粒径が同範囲のものを使用してもよい。
<<金属石鹸>>
エネルギー変換フィルムの電荷保持性能をより高め、高温環境下で保管又は使用されても圧電性能の低下を抑える観点からは、多孔性樹脂層は金属石鹸を含有することが好ましい。
本発明に用いる金属石鹸としては、原料の混練段階では溶融して熱可塑性樹脂中に均一に分散し、多孔性樹脂層形成後はその環境温度において固体である金属石鹸が、高い電荷保持性能を発揮しやすく、好ましい。そのため、熱可塑性樹脂の融点をTm(℃)とすると、金属石鹸の融点は、50~(Tm+50)℃の範囲内であることが好ましく、70~(Tm+40)℃の範囲内であることがより好ましく、100~(Tm+30)℃の範囲内であることがさらに好ましい。例えば熱可塑性樹脂としてポリプロピレン系樹脂(融点160~170℃)を用いる場合は、融点が50~220℃である金属石鹸を用いることが好ましく、融点が70~210℃である金属石鹸を用いることがより好ましく、融点が100~200℃である金属石鹸を用いることがさらに好ましい。
金属石鹸が上述した温度範囲の融点を有することで、多孔性樹脂層の層成形時には溶融して熱可塑性樹脂中に均一に分散し、層成形後には熱可塑性樹脂中でその分散状態を保ったまま固化して流動しにくくなっている。そしてエレクトレット化処理時には、その分子内の双極子によって金属石鹸が配向し、この金属石鹸の配向によって電荷保持性能が高まると推定される。
金属石鹸は、脂肪酸の金属塩であることが好ましく、高級脂肪酸の金属塩であることがより好ましい。脂肪酸としては、例えば飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸及びこれらの構造異性体が挙げられる。脂肪酸1分子当たりの炭素数は通常5~30であり、好ましくは炭素数6~28であり、より好ましくは炭素数8~24であり、さらに好ましくは炭素数10~20である。なかでも、飽和脂肪酸の金属塩は、融点が高く、耐熱性に優れた多孔性樹脂フィルムが得られやすい傾向があることから、好ましい。
また、金属石鹸の金属元素は、脂肪酸と安定な塩を形成する金属であれば特に限定されない。金属石鹸の融点と電荷保持性能の観点からは、ナトリウム(第1族)、マグネシウム(第2族)、カルシウム(第2族)、バリウム(第2族)、亜鉛(第12族)及びアルミニウム(第13族)の少なくとも1種がさらに好ましい。なかでも、安全性の観点から、カルシウム、亜鉛及びアルミニウムの少なくとも1種が特に好ましく、電荷の保持性能をより高める観点から、カルシウム又はアルミニウムが特に好ましく、アルミニウムが最も好ましい。また、金属石鹸は塩基性塩であってもよい。
最も好ましく用いられる金属石鹸は、飽和高級脂肪酸アルミニウム塩である。飽和高級脂肪酸アルミニウム塩としては、例えばオクタデカン酸ジヒドロキシアルミニウム、ジオクタデカン酸ヒドロキシアルミニウム、トリオクタデカン酸アルミニウム、ドデカン酸ジヒドロキシアルミニウム、ジドデカン酸ヒドロキシアルミニウム、トリドデカン酸アルミニウム、2-エチルヘキサン酸ジヒドロキシアルミニウム、ジ-2-エチルヘキサン酸ヒドロキシアルミニウム、又はトリ-2-エチルヘキサン酸アルミニウム等が挙げられる。
上記のような金属石鹸は、プラスチック業界において各種添加剤(例えば、安定剤、滑剤、フィラー分散剤、メヤニ防止剤、流動性改善剤、造核剤又はアンチブロッキング剤)として、一般的に利用されている。しかしながら、多孔性樹脂フィルムにおける金属石鹸は、フィルムの帯電性を増補するために添加するのであって、特に高温環境下における圧電性能低下を抑制する機能剤として添加する。したがって、エネルギー変換素子の圧電性能低下を抑制する観点からは、上述した従来の一般的な各種添加剤として使用する場合の配合量(例えば、0.01質量%)よりも比較的多い量の金属石鹸を添加することが好ましい。
よって、多孔性樹脂層中における金属石鹸の含有量は、電荷保持能力の観点から、多孔性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂と金属石鹸よりなる組成物100質量%に対して、0.02質量%以上であることが好ましく、0.03質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上がさらに好ましく、0.1質量%以上が特に好ましく、0.2質量%以上が最も好ましい。
一方、金属石鹸は過剰に添加しても効果が頭打ちであり、ブリードアウト等を避ける観点から、金属石鹸は、多孔性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂と金属石鹸よりなる組成物100質量%に対して、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、3質量%以下が特に好ましく、0.7質量%以下が最も好ましい。
<<添加剤>>
多孔性樹脂層は、必要に応じて分散剤、熱安定剤(酸化防止剤)、又は光安定剤等の添加剤を含有することができる。
多孔性樹脂層中の分散剤の含有量は、空孔形成剤の分散性を向上させ、粗大空孔又は連通空孔の発生を抑制する観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上がさらに好ましい。一方、多孔性樹脂層の成形性や電荷保持性の観点から、同含有量は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましい。分散剤としては、例えば脂肪酸、グリセリン脂肪酸、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、シランカップリング剤、ポリ(メタ)アクリル酸又はそれらの塩等の分散剤が挙げられるが、これらに特に限定されない。
多孔性樹脂層中の熱安定剤の含有量は、通常0.001~1質量%である。熱安定剤としては、例えば立体障害フェノール系、リン系、又はアミン系等の熱安定剤が挙げられるが、これらに特に限定されない。
本来、熱安定剤の融点は、電荷保持性能の観点から高い方が好ましいが、多孔性樹脂層中に熱安定剤を均一に分散させる観点からは、熱安定剤の融点は低い方が好ましい。したがって、熱安定剤の融点は、金属石鹸と同様の温度範囲の融点を有することが好ましい。
多孔性樹脂層中の光安定剤の含有量は、通常0.001~1質量%である。光安定剤としては、例えば立体障害アミン系、ベンゾトリアゾール系、又はベンゾフェノン系等の光安定剤が挙げられるが、これらに特に限定されない。
<エネルギー変換フィルムの層構造>
エネルギー変換フィルムは、上記組成を有する多孔性樹脂層のみの単層構造であってもよいし、当該多孔性樹脂層を少なくとも1層有する多層構造であってもよい。エネルギー変換性能を高める観点からは、多孔性樹脂フィルムは、少なくともコア層とスキン層を有する多層構造の積層体であることが好ましく、スキン層/コア層/スキン層の3層構造であることがより好ましい。
多層構造の場合、最外層の表面が式(1)及び式(2)を満たす。例えば、スキン層/コア層/スキン層の場合、最外層のスキン層の表面が式(1)及び式(2)を満たす。
多層構造のエネルギー変換フィルムは、上述した多孔性樹脂フィルムからなるコア層の少なくとも一方の表面に延伸樹脂フィルムからなるスキン層を備えることがより好ましく、上記多孔性樹脂フィルムからなるコア層の両面に延伸樹脂フィルムからなるスキン層を備えることがさらに好ましい。
図1は、本発明の一実施形態として、多層構造のエネルギー変換フィルム1の構成例を示す。
図1に示すように、エネルギー変換フィルム1は、コア層2と、コア層2の一方の表面に設けられたスキン層3とを備える。エネルギー変換フィルム1は、必要に応じてコア層2のもう一方の表面にもスキン層4を備えることができる。スキン層3の表面3aだけでなく、スキン層4の表面4aも式(1)及び(2)を満たす場合、各表面3a及び4aに設けられた電極との密着性が向上する。
<<コア層>>
コア層及びスキン層の多層構造は、コア層として上述した多孔性樹脂層を用い、このコア層の表面にスキン層を設けることで形成することができる。
<<スキン層>>
スキン層は、コア層を保護する観点から、コア層(多孔性樹脂層)の少なくとも一方の表面上に積層されることが好ましく、コア層の両面上に積層されることがより好ましい。スキン層がコア層の表面を覆うことにより、コア層中の空孔が外部と通じて内部に蓄えた電荷が大気放電することを抑えられる。また、フィルムの表面強度を向上させることができ、表面を平滑にすることで電極との接着性が向上しやすい。
スキン層は、熱可塑性樹脂を含む樹脂フィルムであることが好ましい。スキン層は、コア層と同様に多孔性樹脂フィルムであってもよい。スキン層を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば多孔性樹脂フィルムの熱可塑性樹脂として列挙した樹脂から選択して用いることができる。
スキン層は、コア層と同様に金属石鹸を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。スキン層をコア層の保護層とする趣旨からは、スキン層は金属石鹸を含まないことが好ましい。スキン層が金属石鹸を含む場合は、その含有量をコア層よりも少なくすることが好ましい。
スキン層は、コア層よりも空孔を形成し難い組成とするか、コア層よりも空孔率が低いことが好ましい。このようなスキン層の形成は、空孔形成剤の含有量をコア層よりも少なくする手法、スキン層に使用する空孔形成剤の体積平均粒径をコア層に使用する空孔形成剤の体積平均粒径より小さくする手法、又はコア層を二軸延伸により形成し、かつスキン層を一軸延伸で形成する等して両者の延伸倍率に差異をつける手法等により達成できる。
本発明のエネルギー変換フィルムをエネルギー変換素子として使用する場合、スキン層表面には電極が設けられる。電極との密着性向上の観点から、スキン層はフィラーを含有することが好ましい。フィラーによりスキン層の表面に起伏構造を形成でき、電極との密着性を高める投錨効果を得ることができる。また、スキン層の誘電率を向上させ、コア層の電気的特性を改質できる。スキン層のフィラーとしては、上述した多孔性樹脂層で列挙したフィラーを使用することができる。なお、スキン層のフィラーは、多孔性樹脂フィルムの空孔形成剤と同種であってもよいし、異種であってもよい。空孔形成剤のなかでも、無機フィラーは、投錨効果が得られやすく好ましい。
スキン層に空孔形成剤を含有させる場合は、多孔性樹脂フィルムに使用する分散剤と同様の分散剤を使用することが好ましい。
なお、スキン層の物理的強度を向上し、コア層の耐久性を向上させるという観点からは、スキン層は、空孔形成剤を含有しないことが好ましい。
スキン層は、延伸フィルムであることが好ましい。延伸によって、スキン層の厚み(膜厚)の均一性や絶縁耐圧性等の電気特性の均一性を向上することができる。スキン層の厚みの均一性が高いと、高電圧を用いた電荷注入時に、スキン層の薄い部分での局所的な放電集中が発生しにくいため、効果的に電荷注入するための高電圧印加を行いやすい。
スキン層は、単層構造であってもよいし、2層以上の多層構造であってもよい。多層構造の場合は、各層に使用する熱可塑性樹脂、空孔形成剤、分散剤の種類や含有量を変更することにより、より高い電荷保持性能を備えた多層構造の多孔性樹脂フィルムの設計が容易となる。
スキン層をコア層の両面に設ける場合は、各スキン層を構成する成分の種類、含有量、又は厚み等は同一でもよいし、異なっていてもよい。
<厚み>
コア層の厚みは、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることがさらに好ましく、40μm以上であることが特に好ましい。コア層の厚みを上記下限値以上とすることにより、エネルギー変換に有効に機能する内部電荷の蓄積に必要な容積を確保しやすい。特に多孔性樹脂層の内部電荷の蓄積に適切な大きさの空孔を所望の数量で均一に形成しやすい。一方、コア層の厚みは、500μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましく、150μm以下であることがさらに好ましく、120μm以下であることが特に好ましい。コア層の厚みを上記上限値以下とすることにより、後述するエレクトレット処理の際に、層内部まで電荷を到達させることが可能となり、本発明のエネルギー変換フィルムが所期の性能を発揮しやすい。
スキン層の厚みは、特に限定されないが、0.1μm以上であることが好ましく、0.3μm以上であることがより好ましく、0.5μm以上であることがさらに好ましく、0.7μm以上であることが特に好ましい。0.1μm以上であれば、スキン層の厚みを均一化しやすく、電荷注入量の均一化及び絶縁耐圧性の向上も容易になる。一方、スキン層の厚みは、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることがさらに好ましく、10μm以下であることが特に好ましい。スキン層の厚みが100μm以下であれば、多層構造の多孔性樹脂フィルムに電荷注入する際に、フィルム内部のコア層にまで電荷を到達させやすくなる。
スキン層は、コア層よりも薄いことが好ましい。スキン層はコア層よりも相対的に厚み方向の弾性変形がしにくい層であるため、スキン層の厚みを抑えることで、多孔性樹脂フィルム等の圧縮弾性率が低下せず、エネルギー変換効率を維持しやすくなる。
そのため、コア層の厚みとスキン層の厚みの比率(コア層/スキン層)は、1.1~1000であることが好ましく、2~300であることがより好ましく、5~150であることがさらに好ましく、10~50であることが特に好ましい。なお、スキン層が複数層の場合の同比率は、各層の厚みの合計値を用いて計算される。
単層構造の多孔性樹脂フィルムの厚みは、コア層と同様の範囲とすることができる。
本明細書において、フィルムの厚みは、JIS K7130:1999「プラスチック-フィルム及びシート-厚み測定方法」に基づいて、厚み計を用いてフィルム総厚みを測定した値とする。
また、多層構造のフィルムを構成する各層の厚みは次のように測定する。測定対象試料を液体窒素にて-60℃以下の温度に冷却し、ガラス板上に置いた試料に対してカミソリ刃を直角に当て切断し断面測定用の試料を作製する。得られた試料の断面観察を走査型電子顕微鏡により行い、空孔形状及び組成外観から各層の境界線を判別して、観察像から求められる各層厚みがフィルムの総厚みに占める割合を決定する。厚み計を用いて求めた上記フィルム総厚みに、各層厚みの上記割合を乗じて算出した値を各層の厚みとする。
<フィルムの表面抵抗率>
エネルギー変換フィルムは絶縁性であることが好ましく、少なくとも一方の表面の表面抵抗率が1×1013Ω/□以上であることが好ましく、5×1013Ω/□以上であることがより好ましい。表面抵抗率を上記下限値以上とすることにより、エレクトレット化処理を施す際に、注入した電荷が表面を伝って逃げにくく、効率的な電荷注入を行いやすい。一方、エネルギー変換フィルムの少なくとも一方の表面の表面抵抗率が、9×1017Ω/□以下であることが好ましく、5×1016Ω/□以下であることがより好ましい。表面抵抗率を上記上限値以下とすることにより、ゴミや埃の異物の付着を防止することができる。また、エレクトレット化処理の際に異物を伝って局所放電が発生し、エレクトレット化処理を阻害することを抑制しやすい。
本明細書において、フィルムの表面抵抗率は、JIS K6911:1995「熱硬化性プラスチック一般試験方法」にしたがって、2重リング法の電極を用いて、温度23℃、相対湿度50%の条件下にて測定した表面抵抗から下記式(3)に基づいて算出した値とする。
(3) Kf=RS×π×(D+d)/(D-d)
Kf:表面抵抗率(Ω/□)
RS:表面抵抗(Ω)
π :円周率
d :表面電極の内円の外径(cm)
D :表面の環状電極の内径(cm)
(エネルギー変換フィルムの製造方法)
本発明のエネルギー変換フィルムは、多孔性樹脂フィルムを形成し、当該多孔性樹脂フィルムの少なくとも一方の表面を酸化処理した後、洗浄処理(B)を施すことで製造することができる。得られたエネルギー変換フィルムにエレクトレット化処理を施すことで、エネルギー変換性能を有するエネルギー変換フィルムを提供できる。
多孔性樹脂フィルムの製造には、従来公知の種々の方法が使用できる。例えば、単層構造の多孔性樹脂フィルムの場合、上記原料を含む樹脂組成物を溶融混練し単一のダイスから押し出して、必要に応じて延伸すればよい。また、コア層とスキン層を有する多層構造の多孔性樹脂フィルムの場合、フィードブロック又はマルチマニホールドを使用した多層ダイスを用いる共押出方式、複数のダイスを使用する押出ラミネーション方式等により、各層が積層したフィルムを製造することができる。多層ダイスによる共押出方式と押出ラミネーション方式を組み合わせてもよい。
多孔性樹脂フィルムは、少なくとも一軸方向に延伸された延伸フィルムであることが好ましい。延伸により、多孔性樹脂フィルムの厚みの均一性が向上し、内部に多数の空孔が形成されやすくなる。また、コア層とスキン層を有する多層構造の多孔性樹脂フィルムの場合は、スキン層をコア層上に積層した後に、少なくとも一軸方向に延伸することが好ましい。スキン層をコア層上に積層した後に延伸することによって、延伸フィルム同士を積層するよりも、膜厚の均一性が向上し、結果的に電気特性が向上する。
延伸により多孔性樹脂層中に形成される空孔は、電荷を保持する観点から個々の体積が比較的大きく、その数が比較的多く、かつ互いに独立した形状であることが望ましい。空孔のサイズは、一軸方向にのみ延伸するよりも、二軸方向に延伸した方が大きくなりやすい。特にフィルムの縦方向(MD:Machine Direction)及び横方向(TD:Transverse Direction)の二軸方向に延伸することにより、空孔形成剤を中心に面方向に引き延ばされた円盤状の空孔を形成できるので、エレクトレット化処理により空孔内に正負分極した電荷を蓄積しやすく、電荷の保持性能が向上する。したがって、多孔性樹脂フィルムは、二軸延伸フィルムであることが好ましい。
延伸は、公知の種々の方法によって行うことができる。具体的には、ロール群の周速差を利用した縦延伸方法、テンターオーブンを使用した横延伸方法、上記縦延伸と横延伸とを正順又は逆順に行う逐次二軸延伸方法、圧延方法、テンターオーブンとリニアモーターの組み合わせによる同時二軸延伸方法、テンターオーブンとパンタグラフの組み合わせによる同時二軸延伸方法等を挙げることができる。また、インフレーションフィルムの延伸方法であるチューブラー法による同時二軸延伸方法を挙げることができる。
延伸時の温度は、多孔性樹脂フィルムに用いる主要な(質量比で最も多く用いる)熱可塑性樹脂のガラス転移点から、主要な熱可塑性樹脂の結晶部の融点より1~70℃低い温度が好ましい。具体的には、主要な熱可塑性樹脂がプロピレン単独重合体(融点155~167℃)である場合は100~166℃の範囲内であることが好ましく、高密度ポリエチレン(融点121~136℃)である場合は70~135℃の範囲内であることが好ましい。また、多層構造の多孔性樹脂フィルムを延伸する場合は、設定坪量の最も多い層(通常はコア層)又は設定空孔率の最も高い層(通常はコア層)の延伸効率を考慮して、延伸温度を設定するのが好ましい。もちろん、コア層とスキン層にそれぞれ融点又はガラス転移点の異なる熱可塑性樹脂を用いて延伸温度を決定すれば、それぞれの層の空孔率を調整することが可能である。
延伸倍率は、特に限定されず、多孔性樹脂フィルムに用いる熱可塑性樹脂の延伸特性や目的の空孔率等を考慮して適宜決定すればよい。例えば主要な熱可塑性樹脂としてプロピレン単独重合体又はその共重合体を使用する場合の延伸倍率は、一軸方向に延伸する場合は1.2倍以上が好ましく、2倍以上がより好ましい。一方、同延伸倍率は、12倍以下が好ましく、10倍以下がより好ましい。また、二軸方向に延伸する場合には、面積延伸倍率(縦倍率と横倍率の積)で1.5倍以上が好ましく、4倍以上がより好ましい。一方、同面積延伸倍率は、60倍以下が好ましく、50倍以下がより好ましい。
その他の熱可塑性樹脂を使用する場合の延伸倍率は、一軸方向に延伸する場合は1.2倍以上が好ましく、2倍以上がより好ましい。一方、同延伸倍率は、10倍以下が好ましく、5倍以下がより好ましい。また、二軸方向に延伸する場合には面積延伸倍率で1.5倍以上が好ましく、4倍以上がより好ましい。一方、同面積延伸倍率は、20倍以下が好ましく、12倍以下がより好ましい。
多孔性樹脂フィルムにおいて二軸方向に延伸する場合には、縦倍率と横倍率をできる限り同倍率に設定することが、電荷の蓄積をしやすい円盤状の空孔を形成し、任意方向の断面で観察した空孔の形状又は頻度を上述した好ましい範囲に調整しやすい。そのため二軸方向に延伸する場合には、縦倍率と横倍率との比が、0.4以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、0.7以上であることがさらに好ましく、0.8以上であることが特に好ましい。一方、縦倍率と横倍率との比は、2.5以下であることが好ましく、2.0以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましく、1.3以下であることが特に好ましい。また延伸速度は、安定な延伸成形の観点から、20~350m/分であることが好ましい。
<酸化処理>
酸化処理は、多孔性樹脂フィルムの一方の表面又は両面に行うことができる。多孔性樹脂層をコア層としてその表面にスキン層が設けられている場合は、酸化処理はスキン層の表面に行う。
酸化処理としては、被処理物の表面を酸化することができるのであれば特に限定されず、公知の酸化処理を用いることができる。具体的な酸化処理としては、例えば誘電体バリア放電処理、フレーム処理、又はオゾン処理等が挙げられる。なかでも高い処理効果が得られ、フィルムの損傷が少ない誘電体バリア放電が、フィルムの処理方法としては好ましい。
誘電体バリア放電とは、一定の間隔をもった一対の平行平板電極の少なくとも一方を絶縁体(誘電体)で覆い、それらの電極間に高圧高流電圧を印加した際に生ずる放電のことである。
この放電によって、通常絶縁状態の空間に存在する気体が電離される現象が起こる。この電離された気体を物質に作用させると、その表面がエネルギーを受け、表面エネルギーが高くなり、活性化された状態になる。例えば、プラスチック等に作用させると、表面に極性基が生成され、濡れ性や密着性が向上する。なお、誘電体バリア放電はときに、「大気圧プラズマ」、「コロナ放電」、等で表現される場合がある。
電圧印加手段は、通常、所定の周波数fの交流電圧を発生させる高周波発信機と、高周波発信機から出力された交流電圧の大きさを所定の電圧まで昇圧する高圧トランスとを用いて構成されている。高周波発信機としては、例えば春日電機株式会社製の高周波電源(CT-0212)を使用することができる。高圧トランスとしては、例えば春日電機株式会社製のトランス(CT-T02W)を使用することができる。
高周波発信機から出力する交流電圧の周波数fは、10~200kHzの範囲であることが好ましい。10Hz以上の交流の周波数領域では、均一な放電が発生しやすい(局所的に放電が集中しにくい)ため、好ましい。一方、200kHz以下の周波数領域では放電によって発生したイオンがそのまま滞留することによって生じた残留イオンによる低抵抗な放電チャネルが形成されにくく、放電が局部的に集中して均一な処理ができず大電流が流れて高熱が発生することを回避しやすいために安全上好ましい。なお、この場合、高周波発信機より出力する交流電圧の波形については、周波数が上記10~200kHzの範囲であれば、特に制限は無く、正弦波であっても方形波(パルス状波形を含む)であってもよい。
例えば、誘電体バリア放電処理を実施する場合の放電量は、好ましくは600J/m(10W・分/m)以上であり、より好ましくは1,200J/m(20W・分/m)以上である。また、同放電量は、好ましくは12, 000J/m(200W・分/m)以下であり、より好ましくは10,800J/m(180W・分/m)以下である。
なお、フレーム処理を実施する場合の放電量は、好ましくは8,000J/m以上であり、より好ましくは20,000J/m以上である。同放電量は、好ましくは200,000J/m以下であり、より好ましくは100,000J/m以下である。
<洗浄処理(B)>
酸化処理された表面に対し洗浄処理(B)が施される。洗浄処理(B)に使用される洗浄溶媒は、洗浄によって除去したい低分子量の酸性化合物の溶解性の観点から、水又は水溶液が好ましく、例えば、水又は水溶液中に浸漬する等の洗浄処理が行われる。特にpH5~11の水又は水溶液により洗浄することが好ましい。中性、弱塩基性又は弱酸性の溶媒にて洗浄することにより、洗浄後の多孔性樹脂フィルム表面に酸や塩基が残留せず、これを用いて作製したエネルギー変換素子における電極の密着性が、長期間維持されるため好ましい。また、pH調整のために水溶液を酸性にする場合は炭酸又は過酸化水素を使用することが、塩基性にする場合はアンモニアを使用することが、残留物が生成し難い観点から好ましい。例えば水溶液のpH調整に強酸である塩酸、硝酸又は硫酸等を使用すると、これらが無機フィラーと反応して多孔性樹脂フィルム表面に無機塩を生じさせる可能性がある。またこれらの酸自体がフィルム表面に残留することにより、熱可塑性樹脂を劣化させる可能性がある。
水又は水溶液を熱可塑性樹脂フィルム表面と接触させる方法としては、上述のように液中に浸漬させる方法の他、両面又は少なくとも酸化処理された表面にスプレー又はシャワーで液を吹き付ける、液を吸収したスポンジ様のロール上を通す等の種々の手段を適用することができる。これらの方法のなかで、特に、液中に浸漬させる方法が、水又は水溶液によってフィルム表面を均一に濡れた状態に保持でき、好ましい。
<乾燥処理>
洗浄処理(B)の後、乾燥処理を行ってもよい。乾燥処理の方法としては特に限定されず、熱風乾燥、赤外線乾燥等の公知の乾燥方法を使用することができる。
図2は、エネルギー変換フィルム1の製造工程の一例を示す。なお、この製造工程は一例であり、フィルムの層構成、延伸軸数等によって工程が異なる。
図2に示す例によれば、3つの押出機51~53により3層構造のエネルギー変換フィルム1を製造できる。例えば、各層の樹脂組成物が3つの押出機51~53によってそれぞれ溶融混練されて押し出され、中間ランナー54においてスキン層、コア層、スキン層の順に積層されてTダイ55から共押出しされる。
共押出しされたスキン層/コア層/スキン層の積層フィルムは、冷却ロール56により冷却され、延伸装置57により縦方向(MD)に延伸された後、さらに延伸装置58により横方向(TD)に延伸される。延伸されたフィルムは、酸化処理装置59においてその表面が酸化処理された後、洗浄処理装置60において水槽中に通されて、酸化処理された表面の洗浄処理(B)が行われる。次いで、乾燥装置61において乾燥処理されたフィルムは、巻取ロール62により巻き取られる。
<加圧処理>
多孔性樹脂フィルムは加圧処理によって、内部の空孔をさらに膨張させることが可能である。加圧処理は多孔性樹脂フィルムを圧力容器に入れて、容器内を非反応性ガスで加圧することにより空孔内に非反応性ガスを浸透させた後、多孔性樹脂フィルムを非加圧下に解放することで行う。
使用する非反応性ガスの具体的な例としては、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス、窒素、二酸化炭素又はこれらの混合ガス、空気等が挙げられる。非反応性ガス以外の気体を使用した場合でも膨張効果は得られるが、加圧処理中の安全性及び多孔性樹脂フィルムの安全性の観点から、非反応性ガスを用いることが望ましい。加圧処理時の処理圧力は、特に限定されないが、好ましくは0.2~10MPa、より好ましくは0.3~8MPa、さらに好ましくは0.4~6MPaの範囲である。0.2MPa以上であると圧力が十分であり、十分な膨張効果が得られやすい。一方、10MPa以下であると、多孔性樹脂フィルムを非加圧下に解放する際に、空孔壁が内圧に耐え切れず破断することを抑えて、空孔が独立孔の状態を保ちやすい。加圧処理の処理時間は、特に限定されないが、好ましくは1時間以上、より好ましくは1~50時間の範囲である。本発明の多孔性樹脂フィルムの場合、処理時間が1時間以上であると空孔内に非反応性ガスを充分に充満させることができる。なお、1時間未満で空孔内に非反応性ガスが充分に充満するような多孔性樹脂フィルムでは、後述の加熱処理を施している間に非反応性ガスが散逸してしまい安定した膨張効果が得られ難い傾向にある。
多孔性樹脂フィルムの巻取りロールを加圧処理する場合は、非反応性ガスが巻取りロール内部まで浸透しやすいように、緩衝シートと一緒に巻取ってから加圧処理することが望ましい。緩衝シートとしては、例えば発泡ポリスチレンシート、発泡ポリエチレンシート、発泡ポリプロピレンシート、不織布、織布、又は紙等の連通した空隙を持つシートが挙げられる。
<加熱処理>
加圧処理を施した多孔性樹脂フィルムは、その膨張効果を維持する観点から、加熱処理を施すことが好ましい。加圧処理を行い非加圧下に解放することにより多孔性樹脂フィルムは膨張する。しかしながら、そのまま放置すると、空孔内に浸透した非反応性ガスが次第に抜けてしまい、多孔性樹脂フィルムは元の厚みに戻ってしまう場合がある。そこで、膨張した多孔性樹脂フィルムに加熱処理を行って熱可塑性樹脂の結晶化を促進することにより、空孔内部が大気圧に下がった後でも、その膨張効果を維持させることが望ましい。
加熱処理は、多孔性樹脂フィルムの主要な熱可塑性樹脂のガラス転移点以上、結晶部の融点以下の温度範囲内で行うことができる。具体的には、例えば主要な熱可塑性樹脂がプロピレン単独重合体(融点155~167℃)の場合は80~160℃の範囲内である。また、加熱方法は、公知の手法を用いることができる。具体的な例としては、ノズルからの熱風による熱風加熱、赤外線ヒーターによる輻射加熱、温調機能付きのロールによる接触加熱等が挙げられるが、これらに特に限定されない。なお、加熱処理中は多孔性樹脂フィルムの弾性率が低下し加重がかかると空孔が潰れやすいことから、熱風加熱や輻射加熱等の非接触方式の加熱処理が、高い膨張倍率を維持しやすい傾向にある。
<エレクトレット化処理>
エレクトレット化処理は、エネルギー変換フィルムに対し、電荷を注入する処理である。エレクトレット化処理としては、いくつかの処理方法が挙げられる。例えば、フィルムの両面を導電体で保持し、直流高電圧又はパルス状高電圧を加えるエレクトロエレクトレット化法方法や、フィルムにγ線や電子線を照射してエレクトレット化するラジオエレクトレット化法等が公知である。
これらのなかでも、直流高電圧放電を用いたエレクトロエレクトレット化法は装置が小型であり、かつ作業者や環境への負荷が小さく、多孔性樹脂フィルムのような高分子材料のエレクトレット化処理に適しており、好ましい。
図3は、エレクトレット化装置の一例として、直流高電圧放電によるエレクトレット化装置を示す。図3に示すように、このエレクトレット化装置は、直流高圧電源10に接続された針状電極11とアース電極12の間に、エネルギー変換フィルム1を固定し所定の電圧を印加する。電圧の印加により、エネルギー変換フィルム1は、フィルム内部に多くの電荷を蓄積することができる。
エレクトレット化処理時の印加電圧は、フィルムの厚み、空孔率、用いる熱可塑性樹脂や空孔形成剤の材質、処理速度、用いる電極の形状や材質、大きさ、又はエネルギー変換フィルムにおいて所望する帯電量等を考慮して適宜設定すればよい。印加電圧としては、特に限定されないが、5kV以上が好ましく、6kV以上がより好ましく、7kV以上がさらに好ましい。上記下限値以上とすることにより、十分な電荷量が注入でき、望ましい圧電性能が発揮されやすい傾向にある。一方、エレクトレット化処理の印加電圧は、100kV以下が好ましく、70kV以下がより好ましく、50kV以下がさらに好ましい。上記上限値以下とすることにより、エレクトレット化処理時に局所的な火花放電が発生してフィルムにピンホール等の部分的な破壊が発生する現象や、エレクトレット化処理時にフィルム表面から端面を伝いアース電極へ電流が流れてエレクトレット化処理の効率が悪化する現象を回避しやすい傾向にある。
エレクトレット化処理時の処理温度は、適宜設定すればよく、特に限定されないが、エネルギー変換フィルムに用いる主要な熱可塑性樹脂のガラス転移点以上から結晶部の融点以下で行うことが好ましい。処理温度がガラス転移点以上であれば、熱可塑性樹脂の非晶質部分の分子運動が活発であり、与えられた電荷に適した分子配列をなすため、効率が良いエレクトレット化処理が可能となる。また、エネルギー変換フィルムが金属石鹸を含有する場合、処理温度が金属石鹸の融点以上であれば、金属石鹸分子もまた与えられた電荷に適した配列をなすため、より効率が良いエレクトレット化処理が可能となる。一方、エネルギー変換フィルム自体がその構造を維持できず、目的の性能を得ることが困難になることを避けるため、処理温度はエネルギー変換フィルムに用いる主要な熱可塑性樹脂の融点を超えないことが好ましい。
エレクトレット化処理においては、意図して又は意図せずに、エネルギー変換フィルムに過剰の電荷を注入する場合がある。この場合は、エレクトレット化処理後にエネルギー変換フィルムが放電を起こし、後加工プロセスで不都合を引き起こすことを防ぐ観点から、エレクトレット化処理後に余剰電荷の除電処理を行うことが好ましい。
除電処理としては、電圧印加式除電器(イオナイザ)や自己放電式除電器等を利用した公知の手法を用いることができる。これら一般的な除電器を用いた除電処理では、エネルギー変換フィルムの表面電荷は除去できるが、フィルム内部、特にコア層の空孔内に蓄積した電荷までは完全に除去することはできない。したがって、除電処理によりエレクトレット材料の性能が大きく低下することはない。そのため、このような除電処理を行なってフィルム表面の余剰電荷を除去することにより、エネルギー変換フィルムの放電現象の防止が可能となる。
(エネルギー変換素子)
本発明のエネルギー変換素子は、上述したエネルギー変換フィルムと、当該エネルギー変換フィルムの少なくとも一方の表面に設けられた電極とを備える。上述したエネルギー変換フィルムを用いることにより、経時による電極との密着性の低下を抑えて、エネルギー変換性能が長期間安定したエネルギー変換素子を提供できる。本発明のエネルギー変換素子は、電力又は電気信号の入出力を行うが、この入出力をより効率的に行う観点からは、通常、エネルギー変換フィルムの両面に1対の電極が設けられることが好ましい。
図4は、本発明の一実施形態として、図1に示すエネルギー変換フィルム1を含むエネルギー変換素子5の構成を示す。
図4に示すように、エネルギー変換素子5は、エネルギー変換フィルム1と、その一方の表面に電極6とを備える。エネルギー変換素子5は、エネルギー変換フィルム1のもう一方の表面に電極7を備えることができる。1対の電極6及び7は、エネルギー変換フィルム1の表面、すなわちスキン層3の表面3aとスキン層4の表面4a上に設けられる。この表面3a及び4aは、式(1)及び式(2)を満たす。
電極の設置タイミングは、特に限定されず、例えばエレクトレット化処理の前でも後でもよい。エレクトレット化処理後の場合、エレクトレット化処理時の、電極を介した注入電荷の一部放散を防ぐことが可能である。しかしながら、その後の電極設置の際に、フィルムに熱等の負荷が加わると注入電荷の一部が放散し、圧電性能が若干低下する場合がある。現状では最終的に得られるエネルギー変換素子の性能から判断して、エレクトレット化処理前にあらかじめ電極を設けて、その後に上述のエレクトレット化処理を行うことが好ましい。
<電極>
電極としては、金属粒子、導電性金属酸化物粒子、カーボン系粒子、又は導電性樹脂等の公知の導電性材料によって形成された薄膜が挙げられる。また、電極としては、導電性塗料の印刷又は塗工による塗膜、金属蒸着膜等が挙げられる。
導電性材料としては、例えば金、銀、白金、銅、ケイ素等の金属粒子;スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、又はアルミニウムドープ酸化亜鉛等の導電性金属酸化物粒子;グラファイト、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノフィラー、又はカーボンナノチューブ等のカーボン系粒子等を、バインダー樹脂成分の溶液又は分散液に混合した材料が挙げられる。バインダー樹脂成分としては、例えばアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エーテル系樹脂、エステル系樹脂、エポキシ系樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、アミド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ビニルアルコール樹脂、又は変性ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。また、導電性材料としては、ポリアニリン系樹脂、ポリピロール系樹脂、又はポリチオフェン系樹脂等の導電性樹脂の溶液又は分散液等も挙げられる。
導電性材料のインクを用い、印刷により電極を設ける場合の印刷方式としては、例えばスクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷、凸版印刷、又はオフセット印刷等が挙げられる。また、導電性材料の塗料を用い、塗工により電極を設ける場合の塗工装置としては、例えばダイコーター、バーコーター、コンマコーター、リップコーター、ロールコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、スプレーコーター、ブレードコーター、リバースコーター、又はエアーナイフコーター等が挙げられる。
金属蒸着膜としては、例えばアルミニウム、亜鉛、金、銀、白金、ニッケル等の金属を減圧下で気化してエネルギー変換フィルムの表面に蒸着させ、当該表面に直接形成した金属薄膜の他、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の担体上にアルミニウム、亜鉛、金、銀、白金、ニッケル等の金属を蒸着して形成された金属薄膜であって、エネルギー変換フィルムの表面に転写された金属薄膜等が挙げられる。
電極は、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリプロピレンフィルム等の誘電体フィルム上に上記導電性塗料の塗膜や金属蒸着膜等の電極があらかじめ形成された積層体を、電極が外側となるようにエネルギー変換フィルムと貼合することによって、設けられてもよい。貼合方式としては、例えばドライラミネート、ウエットラミネート、又は押出しラミネート等の公知の方法が挙げられる。この場合、誘電体フィルムがエネルギー変換フィルムの表面に貼り合わされるが、式(1)及び式(2)を満たす表面は誘導体フィルムとの密着性も高く、経時による密着性の低下も少ない。そのため、経時による電極との密着性の低下も少なく、優れたエネルギー変換性能を長期間維持できる。
電極の厚みは、特に限定されないが、0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることがさらに好ましい。また、電極の厚みは、200μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることさらに好ましい。
<電極の表面抵抗率>
電極の表面抵抗率は、電力の入出力を容易に行う趣旨から、1×10-3Ω/□以上であることが好ましく、1×10-1以上が好ましい。1×10-3Ω/□以上の電極を設ける場合であって、電極を塗工で設ける場合は、電極を厚く設ける必要がなく、塗工した後の乾燥、焼結時の熱によって多孔性樹脂フィルムの空孔が潰れたり、多孔性樹脂フィルムが熱収縮したりする変形を抑えることができる。また、電極を金属蒸着で設ける場合も、蒸着される金属の熱によるフィルム変形を抑えることができる。一方、電極の表面抵抗率は、9×10Ω/□以下であることが好ましく、9×10Ω/□以下がより好ましい。電極の抵抗値が9×10Ω/□以下であれば、電気信号の伝達効率が高く、電気及び電子入出力装置用材料としての性能が上昇する傾向にある。
本明細書において、電極の表面抵抗率は、JIS K7194:1994「導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法」にしたがって、4探針法により測定した抵抗値から下記式(4)に基づいて算出した値とする。
(4) Ke=F×R
Ke:表面抵抗率(Ω/□)
F :補正係数(JIS K7194に記載)
R :抵抗値(Ω)
<平面視面積>
本発明のエネルギー変換フィルム及びエネルギー変換素子は、多孔性樹脂フィルムを用いているため、電気-機械エネルギー変換用材料として従来から汎用されている半導体材料等とは異なり、比較的に低コストであり、例えばフィルムの平面視で10~50,000cm程度の大面積化も容易である。大面積のエネルギー変換フィルム及びエネルギー変換素子を構成する場合、その平面視面積は、所望する性能や設置箇所の物理的な制約等を考慮して適宜設定すればよく、特に限定されないが、20~30,000cmが好ましく、50~25,000cmがより好ましい。
<発生電圧>
エネルギー変換素子は、衝撃により発生する発生電圧が、エネルギー変換素子の実用性能面の観点から、150mV以上であることが好ましく、200mV以上であることがより好ましく、300mV以上であることがさらに好ましく、4000mV以上であることが特に好ましい。上限値は特に限定されないが、5000mV以下であることが好ましく、3000mV以下であることがより好ましく、2000mV以上であることがさらに好ましく、10000mV以下であることが特に好ましい。
上記発生電圧は、落球試験により測定することができる。具体的には、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、水平面上に静置したエネルギー変換素子上に、垂直方向8mmの高さから直径9.5mm、質量3.5gの鉄球を自然落下させたときの衝撃により発生する発生電圧を10回測定して、その発生電圧の平均値を算出した値を発生電圧とする。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」、「%」等の記載は、断りのない限り、質量基準の記載を意味する。
(樹脂組成物a)
プロピレン単独重合体(日本ポリプロ株式会社製、商品名:ノバテックPP FY6Q、MFR(230℃、2.16kg荷重):2.4g/10分、融点:164℃、密度:0.91g/cm)96.9質量部、立体障害フェノール系安定剤(製品名:IRGANOX 1010、BASF社製、融点:110~125℃)0.05質量部、リン系安定剤(製品名:IRGAFOS 168、BASF社製、融点:183~186℃)0.05質量部、重質炭酸カルシウム(備北粉化工業株式会社製、商品名:BF100、平均粒径10.1μm(メディアン径D50)、密度:2.7g/cm)3質量部を混合し、210℃に設定した二軸混練機にて溶融混練した。次いで、230℃に設定した押出機にてストランド状に押し出し、冷却後にストランドカッターにて切断して、樹脂組成物aのペレットを作製した。
(樹脂組成物c)
プロピレン単独重合体(日本ポリプロ株式会社製、商品名:ノバテックPP FY6Q、MFR(230℃、2.16kg荷重):2.4g/10分、融点:164℃、密度:0.91g/cm)71.7質量部、高密度ポリエチレン(商品名:ノバテックHD HJ360、日本ポリエチレン社製、MFR(230℃、2.16kg荷重):5.5g/10分、融点:131℃、密度:0.95g/cm)10質量部、金属石鹸としてオクタデカン酸ジヒドロキシアルミニウム(和光純薬工業社製、試薬、融点:172℃)0.2質量部、立体障害フェノール系安定剤(製品名:IRGANOX 1010、BASF社製、融点:110~125℃)0.05質量部、リン系安定剤(製品名:IRGAFOS 168、BASF社製、融点:183~186℃)0.05質量部、重質炭酸カルシウム(備北粉化工業株式会社製、商品名:BF100、平均粒径10.1μm(メディアン径D50)、密度:2.7g/cm)18質量部を混合し、210℃に設定した二軸混練機にて溶融混練した。次いで、230℃に設定した押出機にてストランド状に押し出し、冷却後にストランドカッターにて切断して、樹脂組成物cのペレットを作製した。
表1は、樹脂組成物a及びcの組成を示す。
Figure 0007203979000001
(多孔性樹脂フィルムの製造例)
スキン層用の樹脂組成物a及びコア層用の樹脂組成物cを、230℃に設定した3台の押出機にてそれぞれ溶融混練した。その後、250℃に設定したフィードブロック式多層ダイスに供給して、a/c/aの積層順にダイス内で積層してシート状に押し出した。これを冷却装置により60℃まで冷却して、3層構成の無延伸シートを得た。
得られた無延伸シートを、加熱ロールを用いて135℃に加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向(MD方向)に5倍で延伸して一軸延伸シートを得た。得られた一軸延伸シートを60℃まで冷却し、オーブンを用いて155℃に再加熱し、テンターを用いて横方向(TD方向)に9倍で延伸した後、さらにオーブンを用いて160℃まで加熱してアニーリング処理を行い、二軸延伸シートを得た。
得られた二軸延伸シートを60℃まで冷却し、耳部をスリットして3層構造の多孔性樹脂フィルム(各層の延伸軸数:二軸/二軸/二軸、各層の厚み:1μm/68μm/1μm、フィルム全体の厚み:70μm)を得た。得られた多孔性樹脂フィルムの表面抵抗率は、表裏ともに1014Ω/□以上であった。また、多孔性樹脂フィルムはいずれも内部に空孔を有し、フィルム全体の空孔率は50%であった。
表2は、多孔性樹脂フィルムの組成を示す。
Figure 0007203979000002
得られた多孔性樹脂フィルムを液体窒素にて-60℃以下の温度に冷却し、ガラス板上に置いた試料に対してカミソリ刃(シック・ジャパン(株)製、商品名:プロラインブレード)を直角に当て切断し断面測定用の試料を作成した。得られた試料を走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製、商品名:JSM-6490)を使用して500倍の倍率で撮影し、観測長が1mm幅になる様に画像を張り合わせ、その断面観察からフィルムの厚み方向の高さが3~30μmであり、かつフィルムの面方向の径が50~500μmである空孔を数えて、単位面積当たりの数に換算した。その結果、単位面積当たりの空孔数は、幅方向(Transverse Direction)では522個/mm、流れ方向(Machine Direction)では725個/mmであった。
(実施例1)
上記多孔性樹脂フィルムの両面に下記処理条件で酸化処理を施した。
<酸化処理条件>
方式:誘電体バリア放電処理
環境:大気圧下の空気中
出力:90(W・分/m
次いで、多孔性樹脂フィルムを、水を満たした水槽中を通過させることによって、酸化処理した表面に洗浄処理(B)を施した。その後、スクイズロールで水を搾り取り、70℃の熱風で乾燥処理し、エネルギー変換フィルムを得た。
(実施例2)
実施例1において、酸化処理の処理条件を大気圧下の窒素中とし、出力を150(W・分/m)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2のエネルギー変換フィルムを得た。
(比較例1)
実施例1において、洗浄処理(B)と乾燥処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例1のエネルギー変換フィルムを得た。
(製造直後の評価)
各実施例及び比較例のエネルギー変換フィルムの製造直後に、下記評価を行った。
<原子濃度>
XPSによりエネルギー変換フィルムの表面の酸素原子濃度O(S0)atm%(酸素原子数/(酸素原子数+炭素原子数+窒素原子数))、炭素原子濃度Catm%(炭素原子数/(酸素原子数+炭素原子数+窒素原子数))及び窒素原子濃度Natm%(窒素原子数/(酸素原子数+炭素原子数+窒素原子数))を測定した。
その後、蒸留水を満たした容器にエネルギー変換フィルムを30秒間浸漬することによって、測定する表面に洗浄処理(A)を施した。70℃の熱風にて乾燥した後、洗浄処理(A)後の表面の酸素原子濃度O(S1)atm%、炭素原子濃度Catm%及び窒素原子濃度Natm%をXPSで測定した。
<<XPSの測定条件>>
XPSによる原子濃度の測定は、以下の装置、測定条件で行い、O1s、C1s及びN1sのそれぞれのピーク強度面積に各ピークの相対感度を乗算した値の比から求めた。
・装置:Thermo Fisher社製 K-Alpha
・励起X線:Monochromatic Al Kα1、2線
・X線出力:200W
・X線径:400μm
・光電子脱出角度(試料表面に対する検出器の傾き):90°
<エネルギー変換素子に使用したときの性能>
各実施例及び比較例のエネルギー変換フィルムを用いてエネルギー変換素子を製造し、エネルギー変換素子の発電性能と電極の密着性を評価した。
<<エネルギー変換素子の製造>>
厚みが12μmのPETフィルム(商品名:E5200、東洋紡社製)に、ロールトゥロール方式の真空蒸着装置を用いて、1×10-2Paの真空条件で、蒸着膜の厚みが30nmになるようにアルミニウム蒸着を行い、蒸着面の表面抵抗率が1Ω/□の金属蒸着フィルムを作製した。一方、ポリエステル系接着剤(商品名:ADCOTE AD502、東洋モートン社製、固形分濃度50質量%)と、ポリイソシアネート(商品名:CAT-10L、東洋モートン社製、固形分濃度52.5質量%)と、酢酸エチルとを質量比15:1.5:25で混合し、接着剤塗料を作製した。
上記金属蒸着フィルムを縦100mm×横100mmの正方形に断裁し、金属蒸着がされていない面に、接着剤塗料を乾燥後の塗工量が2g/mとなるように塗工し、40℃のオーブンで1分間乾燥して、金属蒸着フィルムの片面に接着剤層を設けた。次いで、評価対象のエネルギー変換フィルムを縦200mm×横200mmの正方形に断裁し、得られた裁断フィルムの表面と裏面の中央部分に、接着剤層を介して金属蒸着フィルムを蒸着膜が最外層となるように貼り付けた。40℃のオーブンで24時間、接着剤を硬化させて、両面に電極を備えたエネルギー変換フィルムを得た。
この両面に電極を備えた樹脂フィルムを、図3に示すエレクトレット化装置のアース電極12盤上に、表面が主電極側に向くように設置した。エレクトレット化装置では、針状電極の針間距離を10mm、針状電極-アース電極間距離を10mmに設定した。針状電極に-10KVの直流電圧を5秒間印加してエレクトレット処理を実施した。さらに、200mm×200mmのエネルギー変換フィルムの中央部分からカッターナイフを使用して幅20mmに切り、幅20mm×長さ200mm(電極サイズ:20mm×100mm)の短冊状のエネルギー変換素子を得た。
<<摩擦処理>>
エネルギー変換素子の、通常使用による劣化後の性能を評価するため、以降の評価に先立ち摩擦処理を行った。
実施例および比較例にて得られたエネルギー変換素子を厚み50μmのPETフィルムに挟み、学振試験機で500gの追加荷重を載せて、30往復/minの速度で43200往復の摩擦負荷を加えた。
<<発生電圧>>
図5に示す落球試験装置を用いて、温度23℃、相対湿度50%環境下で発生電圧を測定した。まず、縦20mm×横200mmの試料20(エネルギー変換素子5)の表裏面の電極に、導電性テープ(商品名:AL-25BT、住友スリーエム社製)を使用してリード線17及び18の一端をそれぞれ貼り付け、リード線17及び18の他端を高速レコーダー19(商品名:GR-7000、キーエンス社製)に接続した。
次いで、図5に示す落球試験装置の絶縁性シート15(軟質塩化ビニルシート、厚み1mm)の上に表面を上にして試料20を設置した。同試料20の上面にガラス板14(厚み8mm)を乗せ、同ガラス板14上に直径9.5mm、質量3.5gの鉄球16を乗せた。ガラス板14上から鉄球16を試料20上に垂直方向8mmの高さから自然落下させ、同試料20からの電圧信号を高速レコーダー19に取り込み、落球の衝撃により発生した最大電圧を10回測定して、その最大電圧の平均値を発生電圧(mV)とした。
<<電極との密着性>>
エネルギー変換素子の電極部分のみにエポキシ系接着剤(セメダイン株式会社製、商品名:ハイスーパー30、2液混合型)を塗り、幅20mm長さ200mmの厚み50μmのPETフィルムを、エネルギー変換素子と重なり合う向きに貼り付けて剥離強度測定用サンプルを作成した。恒温室(温度23℃、相対湿度50%)に12時間以上保管した後、島津制作所製引張試験機(AUTOGRAPH)のクランプにエネルギー変換フィルムの端部とPETフィルムの端部を各々取り付けた。次いで、エネルギー変換フィルムに対して180°の角度で、引張速度50mm/分でPETフィルムを引っ張り、電極部分(金属蒸着フィルム)をエネルギー変換フィルムから剥離させた。安定している時の応力をロードセルにより測定して剥離力とした。
測定した剥離力から、エネルギー変換フィルムと電極との密着性を次の基準で評価した。
〇:剥離力が200g/cm以上か又はエネルギー変換フィルムが破れ、密着性が非常に良好
△:剥離力が50g/cm以上200g/cm未満であり、密着性は良好
×:剥離力が50g/cm未満であり、密着性は不良
(製造から1年経過後の評価)
各実施例及び比較例のエネルギー変換フィルムを製造から1年間、常温室温にて保管し、1年経過後のエネルギー変換フィルムを得た。この1年経過後のエネルギー変換フィルムを使用して上述のようにエネルギー変換素子を製造し、製造から1年経過後のエネルギー変換素子とした。この製造から1年経過後のエネルギー変換素子について、上記原子濃度、発生電圧及び電極との密着性の評価を行った。
表3は、製造直後の評価結果を示す。
Figure 0007203979000003
表4は、製造から1年経過後の評価結果を示す。
Figure 0007203979000004
表3及び表4に示すように、式(1)及び式(2)を満たす表面を有する実施例1及び2のエネルギー変換フィルムであれば、エネルギー変換素子に用いたときの電極との密着性が高く、十分な発生電圧が得られている。この高い電極密着性は、製造直後から1年経過後も維持され、発生電圧の低下も比較例と比べて抑えられている。
一方、比較例1のエネルギー変換フィルムは、酸化処理によって表面の酸素原子濃度が高まり、式(2)を満たすものの、洗浄処理(A)の後では酸素原子濃度が低下し、式(1)を満たさない。そのため、製造直後は電極の密着性が高く、十分な発生電圧が得られているが、1年経過後は電極の密着性が大きく低下し、十分な発生電圧が得られていない。
本出願は、2019年7月31日に出願された日本特許出願である特願2019-141798号に基づく優先権を主張し、当該日本特許出願のすべての記載内容を援用する。
1・・・エネルギー変換フィルム、2・・・コア層、3,4・・・スキン層、5・・・エネルギー変換素子、6,7・・・電極

Claims (7)

  1. ポリオレフィン系樹脂を含有する多孔性樹脂フィルムであって、少なくとも一方の表面が下記式(1)及び式(2)を満たす、エネルギー変換フィルム。
    (1) 0.8≦S1/S0≦1.0
    (2) 2.0≦S0
    〔式中、S0は、洗浄処理(A)を施す前の酸素原子濃度(atm%)を表す。S1は、洗浄処理(A)を施した後の酸素原子濃度(atm%)を表す。酸素原子濃度は、XPS(X線電子光分光法)で測定した酸素原子数と炭素原子数と窒素原子数の合計に対する酸素原子数の割合(酸素原子数/(酸素原子数+炭素原子数+窒素原子数))である。洗浄処理(A)とは、蒸留水による洗浄処理をいう。
  2. 前記多孔性樹脂フィルムが、厚み方向の高さが3~30μmであり、かつ面方向の径が50~500μmである空孔を、100個/mm以上有する、
    請求項1に記載のエネルギー変換フィルム。
  3. 前記多孔性樹脂フィルムは、少なくとも1層の多孔性樹脂層を含む多層構造を有し、最外層の表面が前記式(1)及び式(2)を満たす、
    請求項1又は2に記載のエネルギー変換フィルム。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載のエネルギー変換フィルムと、
    前記エネルギー変換フィルムの少なくとも一方の表面に設けられた電極と、を有するエネルギー変換素子。
  5. 多孔性樹脂フィルムの少なくとも一方の表面を酸化処理する工程と、
    前記酸化処理された表面に対し洗浄処理(B)を施す工程と、を含み、
    前記洗浄処理(B)後の表面が下記式(1)及び式(2)を満たす、エネルギー変換フィルムの製造方法。
    (1) 0.8≦S1/S0≦1.0
    (2) 2.0≦S0
    〔式中、S0は、洗浄処理(A)を施す前の酸素原子濃度(atm%)を表す。S1は、洗浄処理(A)を施した後の酸素原子濃度(atm%)を表す。酸素原子濃度は、XPS(X線電子光分光法)で測定した酸素原子数と炭素原子数と窒素原子数の合計に対する酸素原子数の割合(酸素原子数/(酸素原子数+炭素原子数+窒素原子数))である。洗浄処理(A)とは、蒸留水による洗浄処理をいう。
  6. 前記酸化処理が、誘電体バリア放電処理である、
    請求項5に記載のエネルギー変換フィルムの製造方法。
  7. 前記洗浄処理(B)は、pH5~11の水又は水溶液を用いて水洗する処理を含む、
    請求項5又は6に記載のエネルギー変換フィルムの製造方法。

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