JP7203376B2 - 口腔粘膜上皮細胞培養用の架橋線維化コラーゲンゲル - Google Patents

口腔粘膜上皮細胞培養用の架橋線維化コラーゲンゲル Download PDF

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本発明は、気相-液相界面培養(air-liquid interface culture)を含む口腔粘膜上皮細胞の培養において、細胞培養基材として用いる架橋線維化コラーゲンゲルに関する。
コラーゲンは、生体内のタンパク質の30%を占め、骨格支持及び細胞接着等の機能を有する重要なタンパク質であり、例えば、骨・軟骨、靭帯・腱、角膜実質、皮膚、肝臓、筋肉、象牙質を含む歯周組織等の組織は、コラーゲン線維からできている。生体内におけるコラーゲン線維は、3重螺旋構造のコラーゲン分子が略規則的に配向した会合体である。
従来、生体組織から取得したコラーゲンを用いて、細胞培養基材、再生医療用の足場材料(例えば、軟骨・骨・脊椎・髄核・靭帯・角膜実質・皮膚・血管・神経・肝臓組織の再生材料)、移植用材料、創傷被覆用材料、骨補填剤、止血用材料、癒着防止用材料、薬物送達担体等の用途に適合させるために、様々な技術開発が行われてきた。なお、本願明細書において、「コラーゲン」とは、3重螺旋構造を有するコラーゲン分子及びこのコラーゲン分子からなる会合体や集合体を意味する。本願明細書における「コラーゲン」の概念には、3重螺旋構造が解けた熱変性コラーゲン(ゼラチン)及びコラーゲンペプチドは含まれない。
生体組織に含まれるコラーゲンを可溶化して可溶化コラーゲン水溶液を得る方法として、酵素で可溶化処理する方法、希酸で抽出処理する方法、アルカリで可溶化処理する方法等が知られている。本願明細書において、特に断らない限り、「可溶化コラーゲン水溶液」とは、任意の処理方法によって可溶化されたコラーゲン水溶液のことを指すものとする。
可溶化コラーゲン水溶液に緩衝液等の線維化剤を添加して、可溶化コラーゲン水溶液を適度なイオン強度及びpHとすると、コラーゲン分子が会合・配向して、生体内のコラーゲン線維に類似した構造をとることにより、一定の形状を有するコラーゲンゲルが得られる。このコラーゲンゲルは「線維化コラーゲンゲル」と称される。
特許文献1には、表面に複数の氷粒子を配置した鋳型にブタI型アテロコラーゲン酸性水溶液を注入し、これを凍結乾燥して氷粒子を除去した後、グルタルアルデヒドで架橋処理することにより、表面に複数の凹部が設けられた多孔質コラーゲン成形体を製造する技術が開示されている。特許文献2には、コラーゲン線維で構成され、三次元の細胞培養が可能な多孔質構造を有し、且つ、架橋処理されたコラーゲン線維架橋多孔体に関する技術が開示されている。
特許文献1及び2に記載の多孔質コラーゲン成形体は、細胞にとって相当に大きな孔径の孔(凹部)を有する多孔質体であると考えられる。この多孔質コラーゲン成形体を細胞培養基材として用いた場合、細胞が成形体の孔の内部に落ち込み、成形体の表面にとどまることが困難となる傾向がある。従って、口腔上皮細胞のように、細胞培養基材の表面で組織形成する細胞種の培養基材としては、好ましいものではない。
特許文献3には、未架橋の線維化コラーゲンゲル、線維化コラーゲン膜又は非線維化コラーゲン膜が、水性溶媒の存在下、γ線照射、電子線照射、UV照射又はプラズマ照射により架橋された成形体であって、この成形体の表面の少なくとも一部が凹形状及び/又は凸形状を有し、かつこの成形体の主要構成要素が、損なわれていない(intact)線維化コラーゲン又はコラーゲン分子である表面加工コラーゲン成形体に関する技術が開示されている。
特許文献4には、未架橋の線維化コラーゲンゲル、線維化コラーゲン膜又は非線維化コラーゲン膜が、水性溶媒の存在下、γ線照射、電子線照射、UV照射又はプラズマ照射により架橋された成形体であって、この成形体の表面の少なくとも一部が凹形状及び/又は凸形状を有し、かつこの成形体の主要構成要素が、損なわれていない(intact)線維化コラーゲン又はコラーゲン分子である表面加工コラーゲン成形体を用いた細胞培養方法に関する技術が開示されている。
特許第5822266号公報 特開2015-213676号公報 特開2017-149814号公報 特開2017-147951号公報
本発明者らの知見によれば、特許文献4の製造例2で得られるγ線架橋された線維化コラーゲンゲルを細胞培養基材として、線維芽細胞株L929の液相培養をおこなった場合、培養終了時にも、細胞培養基材の収縮はほとんど観察されない。一方、特許文献4の実施例2には、製造例2で得られたγ線架橋された線維化コラーゲンゲルを、ヒトの口腔粘膜上皮由来の初代培養細胞の細胞培養基材として用いたときに、培養日数の経過とともに細胞培養基材が収縮したことが記載されている。
培養時の収縮によって、安定した培養細胞数の確保や、移植時の培養組織のサイズの確保が困難になる。また、培養終了時に、想定した凹構造及び/又は凸構造を有する培養組織を得ることも困難になる。更に、上記γ線架橋された線維化コラーゲンゲルそのものを、再生医療用の足場材料として口腔粘膜欠損部位に移植したときは、移植後の収縮によるひきつれ(瘢痕拘縮)などの不具合が生じ、患者のQOLが損なわれるおそれがある。このような事情により、コラーゲンを構成要素とする材料において、細胞培養中の収縮が抑制された口腔粘膜上皮細胞用の培養基材が要望されていた。
ここで、特許文献4の実施例2では、口腔粘膜上皮細胞の液相培養後に気相-液相界面培養がおこなわれ、角質層の分化形成が誘導されている。しかし、口腔粘膜上皮細胞の培養中に生じる、上記γ線架橋された線維化コラーゲンゲルの収縮の原因が、気相-液相界面培養にあるのか、それとも、口腔粘膜上皮細胞が有すると考えられる細胞牽引力にあるのか、その他の要因にあるのか、は解明されていない。そのため、コラーゲンを構成要素とする細胞培養基材において、口腔粘膜上皮細胞培養中の収縮が抑制されたものは、未だ提案されていない。
本発明は、その構成要素がコラーゲンであって、気相-液相界面培養を含む口腔粘膜上皮細胞の培養中における収縮が抑制された細胞培養基材の開発を課題とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、未架橋の線維化コラーゲンゲルを水性溶媒存在下でγ線照射により架橋処理する前に、カルボジイミド系架橋剤を用いて化学架橋処理することにより、細胞の接着性・居住性に優れた線維化コラーゲンゲルの特性を活かしながら、口腔粘膜上皮細胞の気相-液相界面培養終了時にも、その収縮が抑制された細胞培養基材が得られることを見出し、かかる知見に基づき本発明を完成させた。
本発明は以下のとおりである。
[1]気相-液相界面培養を含む口腔粘膜上皮細胞の培養において、細胞培養基材として用いる架橋線維化コラーゲンゲルであって、以下の(i)~(iii)の条件すべてを満たす架橋線維化コラーゲンゲル。
(i)上記架橋線維化コラーゲンゲルは、損なわれていない(intact)架橋線維化コラーゲンによって構成されている。
(ii)上記架橋線維化コラーゲンゲルは、その表面の少なくとも一部に凹形状及び/又は凸形状を含む領域を有している。
(iii)上記架橋線維化コラーゲンゲルは、未架橋の線維化コラーゲンゲルが、カルボジイミド系架橋剤によって化学架橋された後、水性溶媒の存在下でγ線照射によって架橋されたものである。
[2]以下の工程を含む、[1]に記載の架橋線維化コラーゲンゲルの製造方法。
(1)その表面の少なくとも一部に凹形状及び/又は凸形状を備えた転写部材を準備し、この転写部材と接触した状態で、可溶化コラーゲン水溶液中のコラーゲンを線維化させて、その表面の少なくとも一部に凹形状及び/又は凸形状を含む領域を有した線維化コラーゲンゲルを得る第1工程。
(2)上記第1工程で得られた線維化コラーゲンゲルをカルボジイミド系架橋剤によって化学架橋処理する第2工程。
(3)上記第2工程で得られた化学架橋処理された線維化コラーゲンゲルを水性溶媒の存在下でγ線照射によって架橋処理する第3工程。
[3][1]に記載の架橋線維化コラーゲンゲルを細胞培養基材として用いて、口腔粘膜上皮細胞を液相培養し、次いで気相-液相界面培養する細胞培養方法。
[4][1]に記載の架橋線維化コラーゲンゲルを含む口腔粘膜再生用の医用材料。
[5]上記架橋線維化コラーゲンゲルに接着した口腔粘膜上皮細胞及び/又は口腔粘膜上皮様組織を含む[4]に記載の医用材料。
[6][1]に記載の架橋線維化コラーゲンゲルと、この架橋線維化コラーゲンゲルに接着した口腔粘膜上皮細胞及び/又は口腔粘膜上皮様組織を含む薬剤評価用材料。
気相-液相界面培養を含む口腔粘膜上皮細胞の培養において、本発明の架橋線維化コラーゲンゲルを細胞培養基材として用いれば、細胞培養基材の収縮が抑制され、生体の口腔粘膜上皮組織に類似した組織(以下、「口腔粘膜上皮様組織」ともいう)の形成が可能となる。本発明に係る架橋線維化コラーゲンゲル及びこれを細胞培養基材として含む培養組織は、口腔粘膜上皮組織の欠損患者の治療に有用な医用材料となりうるものである。
図1は、表面に凸形状を有した領域を備えた転写部材を示す模式図((a):平面図、(b):(a)のX-X矢視線に沿った断面図)である。 実施例及び比較例における培養終了後の細胞培養基材の外観写真である。 実施例及び比較例におけるHE染色を施した培養組織の組織像である。
以下、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明されるが、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。なお、本発明において、数値範囲に関する「数値1~数値2」という表記は、数値1を下限値とし数値2を上限値とする、両端の数値1及び数値2を含む数値範囲を意味し、「数値1以上数値2以下」と同義である。
[架橋線維化コラーゲンゲル]
本発明の架橋線維化コラーゲンゲルは、気相-液相界面培養を含む口腔粘膜上皮細胞の培養において、細胞培養基材として用いることに適したものである。この架橋線維化コラーゲンゲルは、以下の(i)~(iii)の条件すべてを満たすものである。
(i)上記架橋線維化コラーゲンゲルは、損なわれていない(intact)架橋線維化コラーゲンによって構成されている。
(ii)上記架橋線維化コラーゲンゲルは、その表面の少なくとも一部に凹形状及び/又は凸形状を含む領域を有している。
(iii)上記架橋線維化コラーゲンゲルは、未架橋の線維化コラーゲンゲルが、カルボジイミド系架橋剤によって化学架橋された後、水性溶媒の存在下でγ線照射によって架橋されたものである。
(口腔粘膜上皮細胞及び培養方法)
口腔粘膜上皮細胞は、口腔粘膜由来上皮細胞とも呼ばれるものであり、その範疇には、細胞株、iPS細胞、ヒトの口腔粘膜上皮由来の初代培養細胞等が包含される。口腔粘膜上皮細胞は、液相培養のみによる培養も可能であるが、本発明に係る架橋線維化コラーゲンゲルを細胞培養基材として用いる培養方法は、少なくとも気相-液相界面培養を含む口腔粘膜上皮細胞の培養方法である。本発明の効果が阻害されない限り、気相-液相界面培養以外の培養方法、例えば、液相培養も許容される。好ましい実施態様の一例としては、口腔粘膜上皮細胞を液相培養し、次いで気相-液相界面培養する培養方法である。即ち、この培養方法は、液相培養によって口腔粘膜上皮細胞を細胞培養基材に定着させた後、気相-液相界面培養によって角質層の形成を誘導させる方法である。
(条件(i))
本発明に係る架橋線維化コラーゲンゲルは、損なわれていない(intact)架橋線維化コラーゲンにより構成されている。本願明細書において「損なわれていない(intact)架橋線維化コラーゲン」は、切削等の加工により傷つけられていない架橋線維化コラーゲンを意味する。換言すれば、この条件(i)は、架橋線維化コラーゲンゲルが、架橋線維化コラーゲンを損傷する切削等の加工を受けていないことを規定するものである。
(条件(ii))
本発明に係る架橋線維化コラーゲンゲルの表面には、1又は2以上の凹部及び/又は凸部が形成されている。以下、本願明細書において、架橋線維化コラーゲンゲルの表面の1又な2以上の凹部を凹形状と称し、1又は2以上の凸部を凸形状と称する。また、凹形状及び/又は凸形状を「パターン形状」と総称する場合がある。また、架橋線維化コラーゲンゲルの表面とは、外表面を意味する。また、架橋線維化コラーゲンゲルの表面においてパターン形状を有する領域を「パターン領域」と称し、パターン形状が存在しない領域を「非パターン領域」と称する場合がある。なお、本発明における凹形状及び凸形状は、あくまでも、非多孔質である本発明の架橋線維化コラーゲンゲルの表面形状である。従って、後述する凹部の深さ及び凸部の高さは、非多孔質である本発明の架橋線維化コラーゲンゲルの非パターン領域を基準面として計測されるものであり、例えば、特許文献1及び特許文献2に記載された多孔質体の平均孔径とは、本質的に異なる技術事項である。
本発明の架橋線維化コラーゲンゲルは、その表面全体がパターン形状を有するものであってもよく、その表面の一部がパターン形状を有するものであってもよい。例えば、本発明の架橋線維化コラーゲンゲルの外形が平膜状の場合、その上面及び下面の少なくとも一方にパターン形状を有することが好ましい。また、一つの面の異なる領域に、複数のパターン領域が形成されたものであってもよい。
本発明の架橋線維化コラーゲンゲルにおけるパターン形状の個数は、1個であっても複数個であってもよい。細胞培養基材として用いる観点から、複数個であることが好ましい。複数個である場合、複数のパターン形状の配列は、規則的なパターンであっても不規則なパターンであってもよい。好ましくは規則的なパターンによる配列である。
パターン形状が凹形状である場合、当該形状は窪みのある形状であれば特に限定されない。例えば、凹形状をなす凹部の平面視形状としては、正方形、長方形、三角形、六角形、八角形といった多角形、それら多角形の角が丸まった角丸多角形、円、楕円等が例示できる。また凹形状をなす凹部の鉛直方向での断面視形状としては、半円、正方形、長方形、三角形、台形、底部が角丸の正方形、底部が角丸の長方形、底部が角丸の三角形、底部が角丸の台形、乳頭形等が例示できる。パターン形状が凸形状である場合、当該形状は突起のある形状であれば特に限定されることはない。凸形状をなす凸部の平面視形状については上記凹形状と同様の形状が例示できる。また、凸形状をなす凸部の断面視形状については上記凹形状と上下向きを反転させた形状が例示できる。本発明の架橋線維化コラーゲンゲルにおいて、一の面に凹形状と凸形状とが併存してもよく、またそれぞれの形状が2種以上で併存してもよい。
パターン形状の大きさについては、例えば、各凹部又は各凸部の平面視面積として1000μm2~300000μm2の範囲が好ましい。また、凹部の深さ(非パターン領域の面を基準面としたときに、この基準面と凹部の最深部との差)又は凸部の高さ(非パターン領域の面を基準面としたときに、この基準面と凸部の最高部との差)は、50~500μmの範囲が好ましい。
口腔粘膜上皮細胞の培養によって、口腔粘膜上皮様組織を得るという観点から、パターン形状の特に好適な一形態は、複数個の凹部によって構成されている凹形状である。
更に、好ましくは、次の要件1~要件6のうち少なくとも1つ、より好ましくは2以上、特に好ましくは要件1~要件6の全てを満たすパターン凹形状である。
要件1:複数個の凹部が、規則的に配列されている。
要件2:各凹部の平面視形状が、円、正方形又は角丸正方形である。
要件3:各凹部の断面視形状が、正方形、長方形、台形、底部が角丸の正方形、底部が角丸の長方形、底部が角丸の台形又は乳頭形である。
要件4:各凹部の平面視面積が、1500μm2~250000μm2の範囲である。
要件5:各凹部の深さが、50~300μmの範囲である。
要件6:平面視における隣接する凹部間の最短距離(凹部の周縁同士の最短距離)が、50~500μmの範囲である。
要件4に規定された範囲において、各凹部の平面視面積の下限は、より好ましくは2000μm2であり、更に好ましくは5000μm2であり、更により好ましくは7000μm2である。また、その上限はより好ましくは100000μm2であり、更に好ましくは70000μm2であり、更により好ましくは50000μm2である。
要件5に規定された範囲において、各凹部の深さの下限はより好ましくは75μmであり、その上限はより好ましくは250μmである。
要件6に規定された範囲において、平面視における隣接する凹部間の最短距離(凹部の周縁同士の最短距離)の下限はより好ましくは100μmであり、その上限はより好ましくは300μmである。
(条件(iii))
本発明に係る架橋線維化コラーゲンゲルは、未架橋の線維化コラーゲンゲルを所定の方法により架橋処理することにより得られたものである。まず、本発明の架橋線維化コラーゲンゲルを特定するにあたって、架橋処理の規定を設けた理由を説明する。コラーゲンの架橋法として、物理的架橋法と化学的架橋法が知られている。物理的架橋法の代表例として、照射架橋(γ線照射、電子線照射、UV照射、プラズマ照射等による架橋)と熱脱水架橋があり、化学的架橋法の代表例として、水溶性化学架橋剤又は気化能を有する化学架橋剤による架橋がある。以下、架橋法を問わず、架橋された線維化コラーゲンゲルを「架橋体」とも称する。
まず、物理的架橋法について、照射架橋によって得られた架橋体と、熱脱水架橋によって得られた架橋体とは、架橋体同士を見比べても外観的な違いを見出すことは極めて困難であり、また、分析によってもいずれの架橋法によって架橋されたものかを区別することは極めて困難である。更に、γ線照射によって得られた架橋体とそれ以外の照射架橋によって得られた架橋体とを区別することも極めて困難である。
次に、照射架橋によって得られた架橋体と、化学的架橋法によって得られた架橋体とは、架橋体同士を見比べても外観的な違いを見出すことは極めて困難である。化学的架橋法のうち、化学的架橋剤として、例えば、グルタルアルデヒドやポリエポキシ化合物(エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)を用いた場合は、化学的架橋剤がコラーゲンと結合して架橋反応が起きるために、化学的架橋剤を検出できれば、両者の判別は可能である。しかし、化学的架橋剤として、カルボジイミド系架橋剤等のコラーゲン内から架橋後の洗浄により除去できるタイプのものを用いたときには、架橋体を分析しても化学的架橋剤の痕跡を見出すことはほぼ不可能である。
また、未架橋の線維化コラーゲンゲル(以下「未架橋体」とも称する)と架橋体との区別も極めて困難である。例えば、分析によって未架橋体と架橋体の違いを見出すことは、特に照射架橋体においては架橋点の多寡の違いしかないため、極めて困難である。未架橋体は架橋体よりも一般に強度的に弱く、水中保存安定性も低い傾向があるが、それら物理的傾向の違いが架橋処理の有無に起因したものであることを立証することも極めて困難である。
以上の区別の困難性から本発明の架橋線維化コラーゲンゲルの発明特定事項として架橋処理の種類を規定したのである。
未架橋の線維化コラーゲンゲルは、架橋処理が施されていない線維化コラーゲンで構成されたゲル形状の成形体である。未架橋の線維化コラーゲンゲルの全体的な外観形状については、特に限定されることはなく、例えば、膜状、立方体状、円柱状等の各種形状が挙げられる。好ましくは、この未架橋の線維化コラーゲンゲルは、その表面の少なくとも一部に凹形状及び/又は凸形状を含む領域を有している。
未架橋の線維化コラーゲンゲルを架橋する機能を有している限り、カルボジイミド系架橋剤の種類は特に限定されない。架橋処理後の未反応物の除去が容易であるとの観点から、水溶性のカルボジイミド系架橋剤が好ましい。水溶性カルボジイミド系架橋剤の具体例として、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、1-エチル-3-(3-トリメチルアミノプロピル)カルボジイミド(ETC)、1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリノエチル)カルボジイミド(CMC)等及びその塩並びにこれらの混合物が挙げられる。
水性溶媒としては、例えば、水、緩衝液、アルカリ金属炭酸水素塩の水溶液等が好ましく、これらに有機溶媒を添加した混合溶媒でもあってもよい。緩衝液として、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、HEPES緩衝液、酢酸緩衝液、炭酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(D-PBS)、トリス緩衝生理食塩水、HEPES緩衝生理食塩水等を例示できる。アルカリ金属炭酸水素塩の水溶液として、炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸水素カリウム水溶液等を例示できる。
本発明に係る架橋線維化コラーゲンゲルに含まれるコラーゲン濃度は、細胞培養基材としての一定の強度を得る観点から、0.3~3質量%の範囲が好ましい。
本発明の架橋線維化コラーゲンゲルの全体的な外観形状は、細胞培養基材として用いる観点から、wellの大きさに適した円形の膜状であることが好ましい。架橋線維化コラーゲンゲルが膜状の場合、その厚みは、例えば、ハンドリング性の観点から0.5~5mmの範囲が好ましい。架橋線維化コラーゲンゲルが円形の膜状の場合、その大きさは、細胞培養基材として用いる観点から、平面視で直径1~20mmの範囲が好ましい。
(収縮性の評価)
本発明に係る架橋線維化コラーゲンゲルを細胞培養基材として、少なくとも気相-液相界面培養を含む口腔粘膜上皮細胞の培養に供した場合、培養試験終了後の細胞培養基材の収縮度合いは、小さい。詳細なメカニズムは不明であるが、カルボジイミド系架橋剤による化学処理後にγ線架橋された本発明の線維化コラーゲンゲルによれば、特許文献4の製造例2で得られるγ線照射のみで架橋された線維化コラーゲンゲルと比較して、培養試験中の収縮が大きく抑制される。
本発明の架橋線維化コラーゲンゲルの収縮性を評価するにあたって、例えば、ヒトの口腔粘膜上皮由来初代培養細胞を用いて、以下の細胞培養試験において、本発明の架橋線維化コラーゲンゲルを細胞培養基材として供したときに、この試験終了後の架橋線維化コラーゲンゲルの平面視面積の、試験前の平面視面積に対する面積収縮率(%)が10%以下の場合に、収縮が抑制されたと評価することができる。上記面積収縮率は、好ましくは7%以下であり、更に好ましくは5%以下であり、より好ましくは3%以下であり、理想的には0%である。ここで、上記面積収縮率は、以下の式により算出される。
面積収縮率(%)=(A-B)/A×100
(ここで、Aは、架橋線維化コラーゲンゲルの細胞培養試験前の平面視面積であり、Bは、架橋線維化コラーゲンゲルの細胞培養試験終了後の平面視面積である。)
〔細胞培養試験〕
手順1:架橋線維化コラーゲンゲルを平面視円形(直径19mm)に成形し、細胞培養基材として、凹形状及び/又は凸形状の領域を含む領域が上向きになるように、12wellプレートのwell内に載置し、これを1μg/μLのIV型コラーゲン水溶液25μLとリン酸緩衝液500μLの混合液でコーティングした後、4℃で一晩静置する。
手順2:EpiLife(登録商標。Thermo Fisher Scientific)にEDGSを添加し1.2mM Ca++(high calcium)とした培地(以下「培地A」という)を準備し、ヒトの口腔粘膜上皮由来初代培養細胞と培地Aとを混合して細胞懸濁液を調製する。当該細胞懸濁液1mLを用いて、1×106cells/wellとなるように手順1の架橋線維化コラーゲンゲルの表面に播種した後、3.8mLの培地Aをwell内に注入し、総培地量を4.8mLとする(培養1日目)。
手順3:手順2の播種細胞を液相培養によって、培養4日目まで毎日培地交換して培養する。
手順4:培養4日目に、気相-液相界面培養に移行し、培養11日目まで1日おきに培地交換して培養する。
手順5:培養11日目に、培養細胞を含む架橋線維化コラーゲンゲルを培地から取り出し、湿潤状態のままでその平面視面積Bを測定する。
(その他構成要素)
本発明の目的が阻害されない限り、使用目的に応じて、本発明の架橋線維化コラーゲンゲルに、その他構成要素として各種添加剤が配合されてもよい。その他構成要素の例として、フィブリン、トロンビン、ゼラチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、アルギン酸等が挙げられる。
[製造方法]
本発明の架橋線維化コラーゲンゲルの製造方法は、以下の工程を含むものである。
(1)表面の少なくとも一部に凹形状及び/又は凸形状を備えた転写部材と接触した状態で、可溶化コラーゲン水溶液中のコラーゲンを線維化させて、その表面の少なくとも一部に凹形状及び/又は凸形状を含む領域を有した線維化コラーゲンゲルを得る第1工程。
(2)上記第1工程で得られた線維化コラーゲンゲルをカルボジイミド系架橋剤によって化学架橋処理する第2工程。
(3)上記第2工程で得られた化学架橋処理された線維化コラーゲンゲルを水性溶媒の存在下でγ線照射によって架橋処理する第3工程。
(第1工程)
第1工程は、可溶化コラーゲン水溶液から、その表面の少なくとも一部にパターン形状を含む領域を有する未架橋の線維化コラーゲンゲルを得る工程である。
可溶化コラーゲン水溶液に含まれるコラーゲンの種類は特に限定されないが、生体内での存在量が多いI型コラーゲンが好ましく、抗原決定基であるテロペプタイドが除去されたアテロコラーゲンがより好ましい。通常、哺乳類、魚介類、鳥類、爬虫類等の生物原料由来のコラーゲンが好適に用いられる。ヒトと共通のウイルスを有しない魚介類由来のコラーゲンがより好ましく、魚類由来のコラーゲンが特に好ましい。魚類由来のコラーゲンの採取部位としては鱗、皮等が挙げられる。鱗は、魚臭の原因となる脂質などの不純物が少なく、純度の高いコラーゲンが得られることが利点である。好適な一態様は、魚類由来のI型アテロコラーゲンであり、更に好ましくは魚類の鱗由来のI型アテロコラーゲンである。また、製造時の操作の利便性の観点から、魚種の好例は、変性温度が高いコラーゲンが得られるオレオクロミス属である。オレオクロミス属の中でも中国から東南アジアにかけて食用として主力に養殖されており、入手が容易であるティラピアが特に好ましい。コラーゲン含有組織からの抽出方法で分類すると、希酸で抽出する方法によって得られる酸可溶化コラーゲン、酵素で可溶化処理する方法によって得られる酵素可溶化コラーゲン及びアルカリで可溶化処理する方法によって得られるアルカリ可溶化コラーゲンが挙げられる。本発明の効果が得られる限り、いずれの抽出方法で得られたものであってもよい。
可溶化コラーゲン水溶液中のコラーゲン濃度については、細胞培養基材としての一定の強度を得る観点と可溶化コラーゲン水溶液のハンドリング性の観点から、0.3~3質量%の範囲が好ましい。
可溶化コラーゲン水溶液に、緩衝液等の線維化剤を添加して水溶液中のイオン強度及びpHを線維化に適した条件とすることによって、コラーゲン分子が会合・配向し、線維化(再フィブリル化)が起きる。このとき、コラーゲンの線維化の進行に伴い、ゲル化も進行する。これにより、線維化コラーゲンゲルを得ることができる。なお、線維化の過程において、所定の温度(ただし、コラーゲンの変性温度以下)を一定時間保持することによって、線維化を促進させることも好ましい態様である。例えば、所定の温度として、15~30℃の温度を例示することができ、保持時間として、6~24時間を例示することができる。
線維化剤は、前記コラーゲンの種類に応じてコラーゲンの線維化に適したものであれば特に限定されることはない。例えば、生理食塩水、緩衝液、緩衝生理食塩水、酸性塩水溶液、中性塩水溶液、アルカリ性塩水溶液等が挙げられる。緩衝液と緩衝生理食塩水の具体例として、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、HEPES緩衝液、酢酸緩衝液、炭酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(D-PBS)、トリス緩衝生理食塩水、HEPES緩衝生理食塩水等が挙げられる。
線維化コラーゲンゲルにおいて、例えば、倍率10000倍の走査電子顕微鏡で観察したときに、無数のファイバー状構造体が存在していれば、線維化コラーゲンが存在していることを確認できる。また、線維化コラーゲンがD周期を有することの確認は一般に走査電子顕微鏡では容易とは言えないが、線維化コラーゲンの一部分にでもD周期が確認されれば、線維化コラーゲン全体がD周期を有すると判断しても概ね差し支えない。
本発明に係る製造方法の第1工程では、可溶化コラーゲン水溶液中のコラーゲンの線維化過程を利用して、線維化コラーゲンゲルの表面にパターン形状を付与させる。好適な一方法は、その表面の少なくとも一部に凹形状及び/又は凸形状を備えた転写部材を準備し、その凹形状及び/又は凸形状が上向きになるように設置した転写部材に対して、線維化剤と混合した可溶化コラーゲン水溶液を流し込み、コラーゲンを線維化させる方法である。なお、転写部材が上記流し込んだ水溶液を貯留できないときは、転写部材の上に適当な枠を載置しておくことが好ましい。別の好適な一方法は、適当な容器内に線維化剤と混合した可溶化コラーゲン水溶液を流し込んだ後、その液面に、転写部材の凹形状及び/又は凸形状を有する面を押し付けた状態で、コラーゲンを線維化させる方法である。ところで、線維化コラーゲンゲルに付与されるパターン形状は、口腔粘膜上皮細胞の培養に適したものであればよいため、転写部材の凹形状及び/又は凸形状が完全に反映されたものである必要はない。
転写部材の形状は、特に限定されない。網、織布、不織布等の凹凸を有した平面形状の部材であってもよく、パンチングメタルのような多孔板であってもよい。更に、容器型であって、その内側の側面又は底面に凹形状及び/又は凸形状を有するものであってもよい。また、印判のように特定の部分に凹形状及び/又は凸形状を有したものであってもよい。
口腔粘膜上皮様組織の形成に好適な細胞培養基材として、その表面に凹形状を含む領域を有する架橋線維化コラーゲンを得る観点から、その表面の少なくとも一部に凸形状を有する転写部材が好ましい。この転写部材の一部が、図1に模式図として示されている。図1(a)は、転写部材15の平面図であり、図1(b)は、X-X矢視線に沿った断面図である。この転写部材15は、複数の凸部33を備えている。各凸部33の平面視形状は正方形であり、その1辺の長さはLであり、隣接する凸部間の距離はDである。また、各凸部33の基準面21からの高さはHである。なお、図1の転写部材15の外郭の点線は、部分図であることを示すためのものである。
転写部材の製造方法は特に限定されず、射出成形、押出成形、加圧成形等の既知の成形方法や、既存の成形品の表面加工等の製造方法を例示できる。
転写部材の材質の例として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。具体例は、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、スチロール樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等である。また、無機材料、例えば、金属(ステンレス、アルミニウム等)、ガラス等を材質として選択することも可能である。コラーゲンが付着し難い材質であることが好ましい。本製造方法においては、第1工程終了後に線維化コラーゲンゲルから転写部材を取り外してもよく、転写部材と接触させた状態で第2工程及び第3工程に供してもよい。第2工程及び第3工程においても転写部材と接触させた状態とする場合は、各工程の架橋処理によってコラーゲンと架橋しない材質であって、各架橋処理に対する耐久性の高い材質を選択することが望ましい。このような材質の例として、シリコーン樹脂が挙げられる。シリコーン樹脂としては、ポリジメチルシロキサンが好例である。また、転写部材の材質として、通気性等の性質を有したものであってもよい。
(第2工程)
第2工程は、第1工程で得られた未架橋の線維化コラーゲンゲルを、前述したカルボジイミド系架橋剤を用いて化学架橋する工程である。未架橋の線維化コラーゲンゲルをカルボジイミド系架橋剤によって化学架橋処理するための方法は、特に限定されず、既知の手法が適宜採用されうる。好適には、カルボジイミド系架橋剤の溶解液に線維化コラーゲンゲルを浸漬させる方法が用いられる。カルボジイミド系架橋剤溶解液の溶媒の例として、水、水と混合可能な有機溶媒及びこれらの混合物が挙げられる。水と混合可能な有機溶媒として、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)等が例示される。エタノールが好ましい。
カルボジイミド系架橋剤の溶解液に、未架橋の線維化コラーゲンゲルを浸漬して、化学処理する場合、その浸漬条件は、線維化コラーゲンゲルの大きさ及びカルボジイミド系架橋剤の種類により適宜選択される。好ましい浸漬時間は、1~72時間である。架橋反応促進の観点から、線維化コラーゲンゲルの表面のパターン形状を損なわない程度に、溶解液を加熱又は撹拌してもよい。
カルボジイミド系架橋剤の使用量は、例えば、線維化コラーゲンゲル100質量部に対して、0.01~30質量部の範囲である。上記範囲の上限は、好ましくは27.5質量部であり、より好ましくは25質量部である。上記範囲の下限は、好ましくは0.05質量部であり、より好ましくは0.1質量部であり、更に好ましくは1質量部である。更に、化学架橋処理された線維化コラーゲンゲル内に残存するカルボジイミド系架橋剤量を予め低減化させる観点から、上記範囲の上限は、例えば、20質量部であることが好ましく、15質量部であることがより好ましい。なお、このカルボジイミド系架橋剤の使用量は、コラーゲン濃度1質量%の線維化コラーゲンゲルに対して規定したものである。
第2工程における好ましい態様は、線維化コラーゲンゲルをカルボジイミド系架橋剤によって化学架橋処理した後、化学架橋処理された線維化コラーゲンゲル内に残存するカルボジイミド系架橋剤を除去するために、洗浄作業をおこなうことである。好ましくは、化学架橋処理された線維化コラーゲンゲル内に残存するカルボジイミド系架橋剤の濃度が、細胞毒性を示さない濃度より低くなるまで洗浄作業をおこなう。細胞毒性については、カルボジイミド系架橋剤のIC50値を参考にしてもよい。洗浄作業の具体例として、水洗、水中への浸漬等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、第3工程において水性溶媒の存在下とする操作を洗浄作業の1つに位置づけてもよい。好適な一態様は、細胞毒性を示さない濃度範囲内でカルボジイミド系架橋剤を使用することであり、この場合には洗浄作業を省略することも可能である。
(第3工程)
第3工程は、化学架橋処理後の線維化コラーゲンゲルを、水性溶媒の存在下でγ線架橋する工程である。水性溶媒の種類は、前記で説明したとおりである。水性溶媒の使用量は、特に限定されず、第2工程で得られた化学架橋処理された線維化コラーゲンゲルの外形や大きさに応じて調整すればよい。例えば、少なくとも上記線維化コラーゲンゲルの表面全体が水性溶媒で覆われる状態となる量であり、好適には、上記線維化コラーゲンゲルが水性溶媒に完全に浸漬した状態となる量である。また、上記線維化コラーゲンゲルが水性溶媒に完全に浸漬していない状態、例えば、その一部が水性溶媒に浸漬していない場合であっても、当該部分における浸潤性が確保できていれば、水性溶媒に浸漬した状態と言える。本願明細書では、以上例示した状態を含めて、「水性溶媒の存在下」と称するものである。
γ線照射は、透過力が高く、線維化コラーゲンゲルを均一に架橋させることができる架橋法である。γ線照射では、線量率が一定の線源を用いて照射時間等の条件を適宜設定することにより、所定の照射線量を簡便に得ることができる。例えば、コバルト60線源を用いる場合、照射線量5~75kGyで架橋処理を行うことができる。照射線量は、好ましくは5~50kGyであり、より好ましくは10~50kGyであり、更に好ましくは15~30kGyである。照射時間は、架橋反応が十分に進行するように適宜設定することが好ましい。更に、照射条件を適宜設定すれば架橋処理と同時に滅菌処理を行うことができる。そのため、架橋処理中及び架橋処理後の密封状態を保つようにすることで、滅菌済み製品として、そのまま市場に流通させることも可能である。
(その他構成要素の配合)
前述したその他構成要素を本発明の架橋線維化コラーゲンゲルに配合する場合は、その他構成要素の種類、目的とする用途等に応じて、その他構成要素の配合タイミングを適切に設定することが好ましい。配合タイミングとして、例えば、第1工程の線維化前、第2工程の化学架橋処理前、第3工程のγ線架橋処理前等が挙げられる。
(用途)
本発明の架橋線維化コラーゲンゲルの好適な一用途は、医用材料又は薬剤評価用材料である。当該材料の好適な構成は、本発明の架橋線維化コラーゲンゲルを必須構成要素とし、上記架橋線維化コラーゲンゲルに接着した口腔粘膜上皮細胞及び/又は口腔粘膜上皮様組織を任意構成要素として含むものである。
例えば、本発明に係る架橋線維化コラーゲンゲルそのものを、口腔粘膜欠損部位に移植すれば、当該架橋線維化コラーゲンゲルが周辺から移動してきた口腔粘膜細胞の足場材料となる。よって、この架橋線維化コラーゲンゲルは、口腔粘膜再生用の医用材料として患部修復に貢献することができる。このとき、移植した本発明の架橋線維化コラーゲンゲルは、患部において、気相-液相界面培養における口腔粘膜上皮細胞の細胞培養基材として機能した、とも言える。
また、本発明の架橋線維化コラーゲンゲルと当該架橋線維化コラーゲンゲルに接着した口腔粘膜上皮細胞及び/又は口腔粘膜上皮様組織を含む材料は、例えば、口腔粘膜欠損部位への移植用の医用材料として用いることができる。また、当該材料は、口腔粘膜上皮細胞及び/又は口腔粘膜上皮様組織に対する薬剤の薬効や副作用を調べるための薬剤評価用材料として好適に用いることができる。
以下に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
(可溶化コラーゲン水溶液の調製)
ティラピアの鱗から製造された多木化学(株)製「セルキャンパス FD-08G」(凍結乾燥品)をpH3のHCl溶液に溶解した後、コラーゲン濃度1.1%、pH3に調整して、無色透明の可溶化コラーゲン水溶液を得た。
(転写部材A及びB)
転写部材A及びBを構成する素材は、いずれもポリジメチルシロキサンである。転写部材A及びBは、Siモールド(平面視1辺30mmの正方形)にポリジメチルシロキサン(東レ・ダウコーニング社製の商品名SILPOT 184)を流し込み、既知の条件で硬化させることにより作製した。得られた転写部材A及びBの平面視中央部の1辺10mmの正方形の領域内には、それぞれ、図1に示したパターン形状が形成された。このパターン形状は、平面視正方形の複数の凸部が規則的に配置された凸形状である。
転写部材Aにおいては、L=100μm、D=100μm、H=100μmである。
転写部材Bにおいては、L=200μm、D=200μm、H=200μmである。
(転写部材C)
転写部材Cは、Siモールド(平面視1辺30mmの正方形)にポリジメチルシロキサンを流し込み、既知の条件で硬化させることにより作製した。転写部材Cは、その表面にいかなるパターン形状も有していない平板状である。
〔実施例1〕
(第1工程)
凸形状を有する領域が上向きとなるように設置した転写部材Aの上に、中央部に穴を設けたシリコン板(厚さ2.5mm)を載置した。この穴は直径19mmの円形であり、穴の中心部分に転写部材Aの凸形状を有した領域が配置されるように、シリコン板を載置した。
次に、シリコン板の穴に対し、可溶化コラーゲン水溶液の9容量部と10倍濃度のダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(D-PBS)の1容量部とを混合した混合液を、0.78mL流し込んだ。上記混合液は、転写部材Aの凸部と凸部との間の窪み部に容易に入り込んだ。その後、25℃で12時間保持して線維化コラーゲンゲル(0.78g、コラーゲン濃度1質量%)を得た。転写部材Aからの線維化コラーゲンゲルの取り外しは容易であり、また、転写部材Aには何らの付着物もなかった。
転写部材Aの凸形状を有した領域と接触していた線維化コラーゲンゲルの表面を確認したところ、転写部材Aの凸形状がほぼそのまま反映された凹形状を含む領域を有していることを確認した。
(第2工程)
1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)・塩酸塩をエタノールに1w/v%となるように溶解して、EDC溶液を調製した。第1工程で得られた凹形状を付与された線維化コラーゲンゲルを、10mLのEDC溶液中に完全に浸漬させた状態で、室温下24時間回転攪拌して、架橋反応させた。次に、化学架橋処理された線維化コラーゲンゲルをD-PBS中に完全に浸漬させた状態で、室温下3時間回転攪拌して、洗浄を行った。
(第3工程)
化学架橋処理された線維化コラーゲンゲルを洗浄用D-PBSから取り出した後、これを新たなD-PBS中に完全に浸漬させた状態で25kGyのγ線を照射することにより、実施例1の架橋線維化コラーゲンゲルを得た。当該架橋線維化コラーゲンゲルは、第1工程で確認した凹形状が保持されたものであることを確認した。
〔実施例2〕
転写部材Aの代わりに転写部材Bを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2の架橋線維化コラーゲンゲルを得た。当該架橋線維化コラーゲンゲルは、その表面に、転写部材Bの凸形状がほぼそのまま反映された凹形状を含む領域を有していることを確認した。
〔比較例1〕
転写部材Aの代わりに転写部材Cを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1の架橋線維化コラーゲンゲルを得た。当該架橋線維化コラーゲンゲルは、その表面にいかなるパターン形状も有していない平板状であることを確認した。
〔比較例2〕
実施例1の第1工程を同様に実施することにより、凹形状を付与された線維化コラーゲンゲルを得た。次に、この線維化コラーゲンゲルをD-PBS中に完全に浸漬させた状態で25kGyのγ線を照射することにより、比較例2の架橋線維化コラーゲンゲルを得た。当該架橋線維化コラーゲンゲルは、その表面に、転写部材Aの凸形状がほぼそのまま反映された凹形状を含む領域を有していることを確認した。
〔比較例3〕
転写部材Aの代わりに転写部材Bを用いた以外は比較例2と同様にして、比較例3の架橋線維化コラーゲンゲルを得た。当該架橋線維化コラーゲンゲルは、その表面に、転写部材Bの凸形状がほぼそのまま反映された凹形状を含む領域を有していることを確認した。
〔細胞培養試験〕
平面視円形(直径19mm)に成形した実施例1及び2並びに比較例1~3の各架橋線維化コラーゲンゲルを細胞培養基材として、以下の手順により、細胞培養試験を実施した。なお、各細胞培養基材の厚みは、約2.5mmであった。また、細胞は、新潟大学歯学部倫理委員会の承認を受けて実験に使用している、新潟大学医歯学総合病院の口腔外科を受診した患者の口腔粘膜上皮由来の初代培養細胞を用いた。
(Day 0)
12wellプレートに、各細胞培養基材を収容した。なお、実施例1及び2並びに比較例2及び3の各架橋線維化コラーゲンゲルについては、凹形状を有する面を上面とした。これを1 wellあたり1μg/μLのIV型コラーゲン水溶液25μLとリン酸緩衝液500μLの混合液でコーティングした後、4℃で一晩静置した。
(Day 1)
上記口腔粘膜上皮由来初代培養細胞と培地Aとを混合して細胞懸濁液を調製した。当該細胞懸濁液1mLを用いて、1×106 cells/wellとなるように手順1の架橋線維化コラーゲンゲルの表面に播種した後、3.8mLの培地Aをwell内に注入し、総培地量を4.8mLとした。その後、液相培養(Submerged Culture)にて培養4日目(Day 4)まで毎日培地交換した。
(Day 4)
気相-液相界面培養(air-liquid interface culture)に移行し、1日おきに培地交換した。当該培養を培養11日目(Day 11)まで継続した。
(Day 11)
各細胞培養基材を取り出し、4%パラホルムアルデヒドに一晩浸漬(4℃)することにより、得られた培養組織を固定した。
その後、パラフィン包埋したものに常法によるヘマトキシリン・エオジン(HE)染色を施して、光学顕微鏡による形態観察に供した。
(結果)
図2は、Day 11に取り出した湿潤状態の各培養基材の、4%パラホルムアルデヒドで固定する前の外観写真である。この外観写真から、化学架橋後にγ線架橋して得られた実施例1及び2並びに比較例1では、γ線架橋のみによって得られた比較例2及び3と比較して、その収縮が顕著に抑制されたことがわかる。
図2の外観写真を元に、各細胞培養基材の試験終了後の平面視面積Bを求めた。次いで、細胞培養試験供試前の、平面視円形(直径19mm)の細胞培養基材の平面視面積Aから、面積収縮率(%)=(A-B)/A×100の式により面積収縮率を算出した。これにより算出した各面積収縮率は、実施例1:-0.6%、実施例2:1%、比較例1:-5.3%、比較例2:35.5%、比較例3:60.1%であった。面積収縮率が負の値を示した実施例1及び比較例1の架橋線維化コラーゲンゲルは、膨潤したと考えられる。
図2の外観写真だけでなく、面積収縮率の値によっても、化学架橋後にγ線架橋して得られた実施例1及び2並びに比較例1では収縮が顕著に抑制されたのに対し、γ線架橋のみによって得られた比較例2及び3では顕著な収縮が起きていたことが示された。
以上の結果は、少なくとも気相-液相界面培養を含む口腔粘膜上皮細胞の培養において、水性溶媒存在下でのγ線照射架橋のみでは十分な収縮抑制効果が得られず、γ線照射架橋の前にカルボジイミド系架橋剤によって化学架橋することが収縮抑制に有効であることを示すものである。
図3は、実施例1、実施例2及び比較例1の各細胞培養基材で得られた、HE染色を施した培養組織の断面を示す組織像である。実施例1、実施例2及び比較例1のいずれの組織像においても、細胞培養基材の表面全体に連続した上皮層の形成が見られた。
実施例1及び実施例2の組織像については、細胞培養基材の凹部において増殖した上皮脚様の細胞も見られ、乳頭様構造を有する生体の口腔粘膜上皮組織に類似した構造と言えるものであった。なお、実施例1の方が生体の口腔粘膜上皮組織により類似していた。
一方、比較例1の組織像については、扁平構造であり、生体の口腔粘膜上皮組織には類似していないものであった。また、形成された培養組織が基材から剥離しやすいものであった。
以上の結果より、実施例1及び実施例2で得られた架橋線維化コラーゲンゲルを細胞培養基材として用いて、口腔粘膜上皮細胞を液相培養し、次いで気相-液相界面培養をおこなった場合に、乳頭様構造を有する生体の口腔粘膜上皮組織に類似した培養組織が得られることが示された。
15・・・転写部材
21・・・基準面
33・・・凸部

Claims (6)

  1. 気相-液相界面培養を含む口腔粘膜上皮細胞の培養において、細胞培養基材として用いる架橋線維化コラーゲンゲルであって、
    以下の(i)~(iii)の条件すべてを満たし、
    (i)上記架橋線維化コラーゲンゲルは、損なわれていない(intact)架橋線維化コラーゲンによって構成されている。
    (ii)上記架橋線維化コラーゲンゲルは、その表面の少なくとも一部に凹形状及び/又は凸形状を含む領域を有している。
    (iii)上記架橋線維化コラーゲンゲルは、未架橋の線維化コラーゲンゲルが、カルボジイミド系架橋剤によって化学架橋された後、水性溶媒の存在下でγ線照射によって架橋されたものである。
    上記架橋線維化コラーゲンゲルを細胞培養基材として以下の細胞培養試験に供したとき、この試験終了後の架橋線維化コラーゲンゲルの平面視面積Bの、試験前の平面視面積Aに対する面積収縮率(%)=(A-B)/A×100が、10%以下である、架橋線維化コラーゲンゲル。
    〔細胞培養試験〕
    手順1:架橋線維化コラーゲンゲルを平面視円形(直径19mm)に成形し、細胞培養基材として、凹形状及び/又は凸形状の領域を含む領域が上向きになるように、12wellプレートのwell内に載置し、これを1μg/μLのIV型コラーゲン水溶液25μLとリン酸緩衝液500μLの混合液でコーティングした後、4℃で一晩静置する。
    手順2:EpiLife(登録商標。Thermo Fisher Scientific)にEDGSを添加し1.2mM Ca++(high calcium)とした培地(以下「培地A」という)を準備し、ヒトの口腔粘膜上皮由来初代培養細胞と培地Aとを混合して細胞懸濁液を調製する。当該細胞懸濁液1mLを用いて、1×10 6 cells/wellとなるように手順1の架橋線維化コラーゲンゲルの表面に播種した後、3.8mLの培地Aをwell内に注入し、総培地量を4.8mLとする(培養1日目)。
    手順3:手順2の播種細胞を液相培養によって、培養4日目まで毎日培地交換して培養する。
    手順4:培養4日目に、気相-液相界面培養に移行し、培養11日目まで1日おきに培地交換して培養する。
    手順5:培養11日目に、培養細胞を含む架橋線維化コラーゲンゲルを培地から取り出し、湿潤状態のままでその平面視面積Bを測定する。
  2. 以下の工程を含む、請求項1に記載の架橋線維化コラーゲンゲルの製造方法。
    (1)その表面の少なくとも一部に凹形状及び/又は凸形状を備えた転写部材を準備し、この転写部材と接触した状態で、可溶化コラーゲン水溶液中のコラーゲンを線維化させて、その表面の少なくとも一部に凹形状及び/又は凸形状を含む領域を有した線維化コラーゲンゲルを得る第1工程。
    (2)上記第1工程で得られた線維化コラーゲンゲルをカルボジイミド系架橋剤によって化学架橋処理する第2工程。
    (3)上記第2工程で得られた化学架橋処理された線維化コラーゲンゲルを水性溶媒の存在下でγ線照射によって架橋処理する第3工程。
  3. 請求項1に記載の架橋線維化コラーゲンゲルを細胞培養基材として用いて、口腔粘膜上皮細胞を液相培養し、次いで気相-液相界面培養する細胞培養方法。
  4. 請求項1に記載の架橋線維化コラーゲンゲルを含む口腔粘膜再生用の医用材料。
  5. 上記架橋線維化コラーゲンゲルに接着した口腔粘膜上皮細胞及び/又は口腔粘膜上皮様組織を含む請求項4に記載の医用材料。
  6. 請求項1に記載の架橋線維化コラーゲンゲルと、この架橋線維化コラーゲンゲルに接着した口腔粘膜上皮細胞及び/又は口腔粘膜上皮様組織を含む薬剤評価用材料。
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