JP7202311B2 - 多孔質三次元(3d)物品を形成する方法 - Google Patents

多孔質三次元(3d)物品を形成する方法 Download PDF

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Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、2017年3月30日出願の米国特許出願第62/479,016号に対する優先権及びその全ての利点を主張するものであり、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、概して物品を形成する方法、より具体的には、ノズルを備えた装置で多孔質三次元(3D)物品を形成する方法に関し、及びそれにより形成された多孔質3D物品に関する。
3Dプリンティング又はアディティブマニュファクチャリング(AM)(additive manufacturing)は、三次元(3D)の固体対象物を、典型的にはデジタルファイルから製作するプロセスである。3Dプリントされた対象物の作製は、サブトラクティブプロセスではなく、アディティブプロセスを使用して実現される。アディティブプロセスにおいて、マテリアルの連続層を積層することによって、対象物を作製していくことで、対象物全体を作製する。これらの層の各々は、最終的な対象物を薄切りした水平断面とみなすことができる。
アディティブプロセスが実証されているマテリアルは、特定の限定的な種類のもの[有機熱可塑性樹脂(例えばポリ乳酸(PLA)又はアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS))、プラスター、粘土、室温加硫(RTV)マテリアル、紙、又は合金等]である。これらのマテリアルは、物理的又は化学的な制限、費用、緩慢な固化(又は硬化)時間、不適当な粘度等により、特定の最終用途には不適当である。
他のアディティブプロセスでは、熱硬化性有機ポリマーが利用される。しかし、これら従来のアディティブプロセスは、特に3Dプリンティング中に対象物が厚さを増しながら構築されるにつれ、様々な層を一貫して一様に加熱及び硬化することに関連する問題を抱えることになる。
開示するのは、ノズルを備えた装置で多孔質三次元(3D)物品を形成する方法である。本方法は、I)第1の組成物を装置のノズルで基材上にプリントし、第1の組成物を含む少なくとも1つの第1のフィラメントを形成することであって、基材及びノズルは互いにある距離だけ離間しており、基材及びノズルのうちの少なくとも1つは、工程I)中、他方に対してある速度で移動する、形成することを含む。本方法は、II)少なくとも1つの第1のフィラメントが基材上でコイル状となり、基材上に第1の層を与えるように距離及び/又は速度を選択的に制御することであって、第1の層がコイル状フィラメントを含み、コイル状フィラメントはある幅及びある周期長を有する、制御することを更に含む。任意選択的に、工程I)及びII)は、任意の追加の層のために独立して選択された組成物を用いて繰り返されてもよい。本方法はまた、III)層を固化条件に曝露させること、を含む。多孔質三次元(3D)物品は、複数の空隙を画定する。
本方法に従い形成された多孔質三次元(3D)物品もまた開示される。
本発明の他の利点は容易に理解されるが、添付の図面と併せて考慮すると、以下の発明を実施するための形態を参照することによってより良く理解される:
本発明の方法を実施するための装置及びノズルの一実施形態の概略図である。
本発明の方法の一実施形態に従い製造されたコイル状フィラメントの概略図である。
図2に示されたコイル状フィラメントの一部分の拡大図である。
本方法に従い形成された多孔質三次元(3D)物品の写真である。
ノズルによりプリントされたフィラメントの側面プロファイルの写真である。 ノズルによりプリントされたフィラメントの側面プロファイルの写真である。 ノズルによりプリントされたフィラメントの側面プロファイルの写真である。 ノズルによりプリントされたフィラメントの側面プロファイルの写真である。 ノズルによりプリントされたフィラメントの側面プロファイルの写真である。 ノズルによりプリントされたフィラメントの側面プロファイルの写真である。
本発明の方法に従い製造され、本明細書に記載される製造実施例7~10のレジームダイアグラムである。 本発明の方法に従い製造され、本明細書に記載される製造実施例7~10のレジームダイアグラムである。 本発明の方法に従い製造され、本明細書に記載される製造実施例7~10のレジームダイアグラムである。 本発明の方法に従い製造され、本明細書に記載される製造実施例7~10のレジームダイアグラムである。 本発明の方法に従い製造され、本明細書に記載される製造実施例7~10のレジームダイアグラムである。 本発明の方法に従い製造され、本明細書に記載される製造実施例7~10のレジームダイアグラムである。
本発明は、複数の空隙を画定する、多孔質三次元(3D)物品を形成する方法を提供する。多孔質3D物品は独立して選択された組成物を用いて形成され、この組成物は、本発明の方法に従い形成された多孔質3D物品に関する様々な態様と共に、以下に記載される。多孔質3D物品は、無数の最終使用用途及び産業向けにカスタマイズしてもよい。例えば以下に記載されるように、多孔質3D物品は、クッション及び支持用途で利用される圧縮性発泡体であってもよい。あるいは、又は更に、多孔質3D物品は、建築用途で利用される剛性発泡体であってもよい。
多孔質3D物品は、ノズルを備えた装置で形成される。特定の実施形態において、装置は3Dプリンターであってもよい。しかし、装置は、組成物が吐出(dispensed)され得るノズルを備えた任意の装置であってもよい。しかし概して、3D物品を構築するためのマテリアルを吐出することが可能な任意の装置は、3Dプリンターの範囲に属する、又は包含される。
本開示には、概して、ASTM Designation F2792-12a「Standard Terminology for Additive Manufacturing Technologies」の全体が、参照により組み込まれる。このASTM規格によると、「3Dプリンター」は「3Dプリンティングのために使用される機械」として定義され、「3Dプリンティング」は「プリントヘッド、ノズル、又は別のプリンター技術を用いてマテリアルを積層させることによる、対象物の製造」として定義される。「アディティブマニュファクチャリング(AM)」は、サブトラクティブマニュファクチャリング方法論とは対照的に、マテリアルを接合させて3Dモデルデータから対象物を、通常は層を重ねて製作するプロセスとして定義される。3Dプリンティングに関連し、包含される同義語としては、アディティブファブリケーション(additive fabrication)、アディティブプロセス(additive processes)、アディティブテクニック(additive techniques)、アディティブレイヤマニュファクチャリング(additive layer manufacturing)、レイヤマニュファクチャリング(layer manufacturing)、及びフリーフォームファブリケーション(freeform fabrication)が挙げられる。AMはまた、ラピッドプロトタイピング(RP)(rapid prototyping)とも呼ばれる場合がある。本明細書で使用する「3Dプリンティング」は、概して「アディティブマニュファクチャリング」と互換可能であり、逆もまた同様である。
本開示の方法は、前述の3Dプリンティングプロセスのいずれか1つ、又は当該技術分野において理解される他の3Dプリンティングプロセスに似ていてもよい。好適な3Dプリンティングプロセスの具体例はまた、米国特許第5,204,055号及び同第5,387,380号に記載されており、これらの開示は、それぞれ全体が参照により本明細書に組み込まれる。
3Dプリンティングは一般に、コンピュータ生成データソースから物理的対象物を製造するために用いられる多くの関連技術と関連している。これらの特定のプロセスのいくつかは、特定の3Dプリンターに関して、上記に含まれる。更に、これらのプロセスのいくつか、及びその他については、以下により詳細に記載する。
一般に、3Dプリンティングプロセスには共通の出発点がある。それは、対象物を記載することができるコンピュータ生成データソース又はプログラムである。コンピュータ生成データソース又はプログラムは、実物又は仮想対象物に基づくことができる。例えば、実物は、3Dスキャナーを使用してスキャンすることができ、スキャンデータを使用して、コンピュータ生成データソース又はプログラムを作成することができる。あるいは、コンピュータ生成データソース又はプログラムを、ゼロから(from scratch)設計してもよい。
コンピュータ生成データソース又はプログラムは、典型的にはスタンダードテセレーションランゲージ(standard tessellation language、STL)ファイル形式に変換されるが、他のファイル形式を使用することも、追加的に使用することもできる。このファイルは、概して、3Dプリンティングソフトウェアに読み込まれる。ソフトウェアは、ファイル及び任意選択的にユーザーの入力を取り込み、数百、数千、又は数百万までもの「スライス」に分離する。3Dプリンティングソフトウェアは、典型的には機械命令を出力する。これはGコードの形態であってもよく、これを3Dプリンターが読み取り、各スライスを構築する。機械命令は3Dプリンターに転送され、続いて3Dプリンターが、機械命令の形態のこのスライスの情報に基づき、1層ずつ対象物を構築する。これらスライスの厚さは、多様なものであり得る。
ノズル及び/又は構築プラットフォームは、概してX-Y(水平)平面方向に移動し、次いで、各層が完成すると、Z軸(垂直)平面方向に移動する。このように、多孔質3D物品となる対象物を、1回につき1層ずつ、底部から上方に構築していく。このプロセスでは、マテリアルを2つの異なる目的のため、すなわち、対象物を構築する目的、及び何もない空中にマテリアルが押出成形されるのを避けるためにオーバーハングを支持する目的のため、使用することができる。
様々な実施形態において、本開示の方法は、従来のマテリアルジェッティングプロセスに似ている。マテリアルジェッティングプリンターは、既存の紙用プリンター、例えばインクジェットプリンターと類似していることが多い。マテリアルジェッティングにおいて、プリントヘッドはプリント領域を動き回り、特定の組成物を噴出する。このプロセスを繰り返すことにより、1回につき1層ずつ、対象物を構築する。
任意選択的に、得られた対象物を、更に加熱、固化、浸潤、焼き出し、及び/又は焼成等の、種々の後処理レジームに供してもよい。これは、例えば、任意の結合剤の硬化の促進、多孔質3D物品の補強、任意の硬化している/硬化した結合剤の除去(例えば分解による)、コアマテリアルの強化(例えば焼結/融解による)、並びに/又は粉末及び結合剤の特性を融合する複合体マテリアルの形成のため、行う場合がある。
本方法は、I)第1の組成物を装置のノズルでプリントする工程、を含む。以下に詳細に記載するように、様々な種類のノズル、装置(例えば3Dプリンター)、及び/又は3Dプリンティングの方法論(すなわち、「3Dプリンティングプロセス」)を利用することができる。また以下に記載されるように、本発明の方法では様々な種類の組成物を利用することができ、これらは互いに同じであっても異なっていてもよく、独立して選択される。第1の組成物は、本方法で使用するのに好適な組成物に関して以下に記載されるように、固化条件を適用する際に硬化性であるか、又はそうでなければ固化可能であってもよい。
様々な実施形態において、本開示の方法は、従来のマテリアル押出成形プロセスに似ている。マテリアル押出成形は、概して、ノズルを通してマテリアル(この場合は第1の組成物)を押出成形して対象物の1断面をプリントすることにより動作し、これを各後続の層に対して繰り返してもよい。プリンティング中、ノズルを加熱、冷却、又は他の方法で操作してもよく、これは特定の組成物を吐出(dispensing)するのに役立ち得る。
ノズルは任意の寸法を備えてもよく、任意のサイズ及び/又は形状であってもよい。典型的には、ノズルの寸法は、本方法を実行するために使用される特定の装置、第1の組成物、及び任意の他の組成物に基づいて選択される。典型的には、ノズルは0.001~100mm、例えば0.05~7mmの内径(internal diameter、ID)を備える。しかし、本方法を実行するため、このノズルに加えて1つ以上の追加のノズルを使用してもよく、選択される1つ以上の追加のノズルはいずれも、利用される組成物、形成される特定の層、形成される多孔質3D物品の寸法等のいずれかに基づくものであるということを理解されたい。
第1の組成物は、基材上にプリントされる。基材は限定されず、任意の基材であってもよい。典型的には、多孔質3D物品を形成する方法中、基材により多孔質3D物品を支持することができる。しかし、基材自体を、例えばテーブルにより支持することができることから、基材自体を剛性とする必要はない。基材を剛性としても、可撓性としてもよく、厚さ及び組成のうちの少なくとも一方において、不連続性としても、連続性としてもよい。基材は、その上に配置されたコーティング又は他のフィルムを備えてもよく、基材が、多孔質3D物品から取り外し可能、例えば剥離可能となり得る。あるいは、多孔質3D物品を基材に物理的及び/又は化学的に結合させることができ、これにより、多孔質3D物品と基材とを一体化させる。一実施形態において、基材は、シリコーン基材、例えば既に硬化したシリコーンを含んでもよい。基材は成形型、又は任意の他の対象物若しくは物品であってもよい。
基材及びノズルは、プリンティング中、互いにある距離だけ離間している。この距離は、例えばノズルの寸法、第1の組成物及び(粘度を含む)その特性の選択等、以下に記載されるように、層の所望の厚さ、及び形成される多孔質3D物品の所望の寸法という多数の要因に基づいて選択される。例えば、ノズルと基材との間の距離は1~2000mm、例えば1~9mm、10~99mm、又は100~2000mmの範囲であり得る。また、この距離は方法中、経時的に変化(すなわち、増加及び/又は減少)し得る。
基材及びノズルのうちの少なくとも1つは、プリンティング中、他方に対してある速度で移動する。速度もまた、以下に詳細に記載するように、同じ又は関連する要因(例えば、ノズルを通過する第1の組成物の流量)に基づいて選択される。速度は、典型的には1~200mm/s、例えば5~150mm/s、10~100mm/s、又は15~50mm/sの範囲である。また、速度は方法中、経時的に変化(すなわち、増加及び/又は減少)し得る。
第1の組成物の粘度は、プリンティングに好適な任意の粘度であってもよい。典型的には、第1の組成物の粘度は、第1の組成物が基材上に形成された際に第1のフィラメントがある程度自立するように選択される。従って、粘度は、1000~100,000,000センチポアズ、例えば30,000~5,000,000センチポアズの範囲であり得る。以下に記載されるように、第1の組成物の粘度は、第1の組成物を、例えばノズル若しくは基材への又はそれらからの伝熱により加熱又は冷却すること、周囲条件を変更すること等により、変化させる(すなわち、増加又は減少させる)ことができる。
プリンティング中に周囲条件を操作又は制御することができる。例えば、所望により、プリンティング工程前、工程中、及び/又は工程後に基材を加熱、冷却、機械的振動、又は他の方法で操作して、固化及び/又は硬化を促進することができる。更に、第1の組成物のプリンティング前、プリンティング中、及び/又はプリンティング後に、ノズルを加熱又は冷却してもよい。上記で紹介したように、2つ以上のノズルを、各ノズルが独立して選択された特性又はパラメータを有する状態で利用してもよい。本方法は、固化及び/硬化が各プリンティング工程の後に開始されるよう、加熱又は加湿した環境で実施してもよい。
プリンティングに関して、より具体的には、第1の組成物を装置のノズルでプリントすることにより、第1の組成物を含む少なくとも1つの第1のフィラメントが形成される。プリンティング中に距離及び/又は速度を選択的に制御することにより、少なくとも1つの第1のフィラメントが基材上でコイル状になり、基材上に第1の層を与える。第1の層は、コイル状フィラメントを含む。用語「コイル状フィラメント」及び「第1の層」は、従来の層又はフィルムとは区別される構成を有するコイル状フィラメントであるにもかかわらず、本明細書では互換的に利用され得る。例えば、第1の層は、任意の構成で任意の数のコイル状フィラメントを含んでもよい。
例として、図1の実施形態に示されるように、装置10はノズル12を備える。ノズル12により第1の組成物をプリントし、第1の組成物は第1のフィラメント14を形成する。ノズル12は、基材16から距離Dだけ離間している。第1のフィラメント14は基材16上でコイル状になり、コイル状フィラメントを与える。
第1の組成物を含む少なくとも1つの第1のフィラメントは、単一のフィラメント、あるいは複数のフィラメントを含んでもよい。第1の組成物を含む少なくとも1つの第1のフィラメントの、フィラメント又は複数のフィラメントは、明確にするため、本明細書では単に「フィラメント」と呼ばれる。フィラメントは単一のフィラメント又は複数のフィラメントにまで拡張され、かつこれらを包含する。フィラメントは独立して選択されて第1の層に形成されてもよい。同様に、少なくとも1つの第1のフィラメントが複数のフィラメントを含む場合、第1の層は、複数のコイル状フィラメントを含んでもよい。更になお、単一のフィラメントは、独立してサイズ決定かつ寸法決定された複数のコイルを含んでもよい。第1の層のコイル状フィラメント又は複数のコイル状フィラメントは、明確にするため、本明細書では単に「コイル状フィラメント」と呼ばれる。コイル状フィラメントは単一のコイル状フィラメント又は複数のコイル状フィラメントにまで拡張され、かつこれらを包含する。
図2の実施形態に示されるように、第1のフィラメント14は基材16上でコイル状になり、コイル状フィラメントを与える。以下に更に詳細に記載するように、コイル状フィラメントは各コイルの交差点18を含む。図3に示されるように、コイル状フィラメントは幅W及び周期長Pを有する。より具体的には、コイル状フィラメントが複数のコイルを含む場合、幅及び周期長は多様なものであり得、独立して選択されてもよい。幅及び周期長は装置及び基材の寸法のみにより制限され、多孔質3D物品の最終使用用途に基づき、所望のとおり拡大させることができる。
特に、第1の組成物が第1のフィラメントの形態で装置のノズルから吐出される際、第1のフィラメントは、概して基材上でコイル状になる。第1のフィラメントのコイリングは、典型的には、第1のフィラメントの半径(又は直径)、ノズルを通過する第1の組成物の流量、ノズルと基材との間の距離、並びに第1の組成物(及びその粘度)の選択をはじめとする、多数の変数に応じて変化するものである。第1のフィラメントは、典型的には、最初に基材と接触する前にコイル状になる。これは、ロープコイル効果(rope coil effect)、又は液体ロープコイリング(liquid rope coiling)として知られる場合がある。
これらの変数に応じて、第1のフィラメントは、多数の区別可能なモードでコイル状となり得る。第1のフィラメントは、粘性コイリング(viscous coiling)、重力コイリング(gravitational coiling)、及び/又は慣性コイリング(inertial coiling)によりコイル状となってもよい。このようなコイリングモードは、概して、粘性流体が十分な高さから吐出される場合の自然なコイリングに関連して知られている。粘度、重力、及び/又は慣性が、概してそのようなコイリングの原因であり、支配的な力により命名スキームが規定される。
粘性コイリングでは、重力及び慣性は概して無視できるため、コイリングは第1の組成物の吐出によりもたらされる。重力コイリングでは、プリンティング中に第1のフィラメントが長い先細りのテールを有するように、重力が粘性力と釣り合う。慣性コイリングでは、慣性が粘性力と釣り合う。このようなコイリングに影響を及ぼす変数の数を踏まえると、他のコイリングモードもまた可能である。このようなコイリングは、流体力学の分野、例えば、Ribe,Neil M.「Coiling of viscous jets.」Proceedings of the Royal Society of London A:Mathematical,Physical and Engineering Sciences.Vol.460.No.2051.The Royal Society,2004において理解され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
第1のフィラメントは、概してそれ自体の上でコイル状になり積層コイルを与えることになるため、第1の組成物をプリントすると、概して、結果として基材上に積層コイルが形成されることになる。積層コイルは、X-Y水平平面内で一定の直径を維持しながらZ軸方向に成長することになる。しかし、基材及びノズルのうちの少なくとも1つは、プリンティング中、他方に対してある速度で移動する。基材及びノズルの両方が移動する場合、速度は、基材及び/又はノズルの、静止物体、例えば装置に対する総速度又は累積速度を指す。基材及びノズルのうちの少なくとも1つを移動させると、結果として、図3に示されるような周期長を有する第1のフィラメントが得られる。第1のフィラメントの各コイルを波であるとみなす場合、周期長は波長と類似している。例えば、周期長は隣接するコイルの頂から頂、又は谷から谷である。第1のフィラメントの各コイルは独立して選択され得るため、周期長は、各コイルに関して異なっていてもよい。基材及びノズルのうちの少なくとも1つを他方に対して移動させると、X-Y水平平面内にコイルが形成される。
例えば、図2及び3に示される実施形態において、第1のフィラメントは各コイルの1つの交差点18にてそれ自体と交差する。第1のフィラメントの各個々のコイルは、周期長Pだけ離間している。コイルの各々は、同様に若しくは等しく形成かつ寸法決定されてもよく、又は独立して形成かつ寸法決定されてもよい。例えば、速度及び/又は距離を、プリンティング中に変化させてもよい。コイルの幅Wが一貫していても、隣接するコイルが互いに交差するように、例えば隣接するコイルが1つ以上の交差点で重なり合いかつ交差するように、周期長Pを減少させることができる。これはまた、コイルが非環状の配向を有する場合、例えば、第1のフィラメントが8の字としてコイル状になる場合にも当てはまる。第1の組成物の選択に応じて、第1のフィラメントは、例えば交差点18で、それ自体と物理的にかつ/又は化学的に結合してもよい。例えば、第1の組成物の構成成分は、交差点18を横断して硬化してもよい。あるいは、第1のフィラメントは、物理的及び/又は化学的結合なしに、交差点18にて単にそれ自体と接触するか、又は単にそれ自体と隣接していてもよい。
第1のフィラメントは、ランダム化された、パターン化された、織布の、不織布の、連続性の、不連続性のものであってもよく、又は任意の他の形態若しくは形態の組み合わせを有していてもよい。例えば、第1のフィラメントはマット、ウェブであってもよく、又は他の配向を有していてもよい。第1のフィラメントは、様々な箇所で共に融合し、寸法に影響を及ぼし、空隙を画定し得る。
第1のフィラメントは、連続性の又は不連続性の半径又は直径を有していてもよい。典型的には、第1のフィラメントは、ノズルにより画定される内径に対応する半径又は直径を有する。しかし、第1のフィラメントは、プリンティング中若しくはプリンティング後に膨張する場合があり、かつ/又は(例えば、固化若しくは硬化により)収縮する場合がある。第1のフィラメントは中空であってもよく、又は空隙若しくはくぼみを画定してもよい。第1のフィラメントは、環状断面を有する必要はない。第1のフィラメントの断面は、任意の形状又はサイズであってもよい。
プリンティング中、距離及び/又は速度は選択的に制御され、これは第1のフィラメントのコイリングに影響を及ぼし、基材上にコイル状フィラメントを含む第1の層を与える。距離及び速度は各々、互いに基づいて、更にはノズルの寸法、第1の組成物及び(粘度を含む)その特性の選択等に基づいて選択される。本発明の方法とは対照的に、従来の3Dプリンティングプロセスでは、プリントされたフィラメントが具体的なパターン及び形状を有することが意図されているため、プリントされたフィラメントがコイル状になるのは望ましくない。従って、そのような従来の3Dプリンティングプロセスでは、典型的には、プリントされたフィラメントのコイリングがないように従来の距離が選択される。
プリンティング中に距離及び/又は速度を選択的に制御するには、最初に、第1の層の目標とする特性、例えばコイル状フィラメントの所望の幅及び/又は所望の周期長を決定する必要があり得る。本方法はまた、第1の組成物をノズルでプリントする際に、ノズル及び第1の組成物の速度を距離の関数として最初にプロットすること、を含んでもよい。これにより、プリンティング中に距離及び/又は速度を選択的に制御するためのパラメータが確立される。これらの特性が、例えば事前のプリンティング工程により既に知られている特定の装置、ノズル及び組成物に関しては、このプロッティング工程が必要ではない場合がある。しかし、他の実施形態において、これらの操作パラメータは、試験運転での、例えば本発明の方法を実践する前のプロッティングにより割り出される。典型的には、コイル状フィラメントは、ノズル及び基材のうちの少なくとも1つが他方に対して直線的に移動する間に形成される。すなわち、基材及びノズルは、典型的には、第1の層のコイル状フィラメントを形成することに関連してらせん状又は環状には移動しない。
第1の層を形成することは、単一のプリンティング工程において第1のフィラメントの連続した又は繰り返しのコイルをプリントすること、を含んでもよい。例えば、基材及びノズルのうちの少なくとも1つはプリンティング中に他方に対して移動するが、プリンティングは基材上の同じ箇所、すなわちX-Y水平平面上の同じスポットで行われてもよい。連続したコイルは、互いの上に形成されるか、又は互いに重なり合っていてもよい。多孔質3D物品は、ランダム化、非ランダム化、パターン化、非パターン化等がされ得る単一のフィラメントであってもよい。
任意選択的に、工程I)及びII)は、追加の層のために独立して選択された組成物で所望のとおり繰り返されてもよい。例えば特定の実施形態において、本方法は、IV)第2の組成物を装置のノズルで第1の層上にプリントすること、を更に含む。第2の組成物は任意の様式で、例えば、第2の組成物が少なくとも1つの第2のフィラメントを形成するように第1の組成物と同様の様式でプリントされてもよく、又は、例えば、第2の組成物が連続性のフィルムとしてプリントされるように従来の様式でプリントされてもよい。第2の組成物は、例えば、同時係属中米国特許出願第62/478,991号に開示されるような任意の様式でプリントされてもよく、これは本明細書と共に出願されており、参照により本明細書に組み込まれる。
具体的な実施形態において、本方法は、IV)第2の組成物を装置のノズルでプリントし、第2の組成物を含む少なくとも1つの第2のフィラメントを第1の層上に形成すること、を更に含む。これらの又は他の実施形態において、第1の層及びノズルは互いにある距離だけ離間しており、基材及びノズルのうちの少なくとも1つは、IV)プリンティング中、他方に対してある速度で移動する。第1の層とノズルとの間の距離は基材とノズルとの間の距離と同じであってもよく、距離は動的なものであってもよい。例えば、基材及び/又はノズルは横方向(すなわち、X-Y水平平面内)に加えて垂直方向(すなわち、Z垂直平面内)に移動し得るため、距離はリアルタイムで変化し得る。第1の層はIV)中で動かず基材上に配置されていてもよく、又は、第1の層が任意の更なる下層/支持体なしで第2のフィラメント用の基材として機能するよう、第1の層は基材から除去されていてもよい。
IV)第2の組成物をプリントする工程を含む特定の実施形態において、本方法はまた、V)少なくとも1つの第2のフィラメントが第1の層上でコイル状となり、第1の層上に第2の層を与えるように距離及び/又は速度を選択的に制御することであって、第2の層がコイル状フィラメントを含む、制御することを含む。第2の層のコイル状フィラメントは、全ての点において、第1の層のコイル状フィラメントとは独立して選択される。しかし、第1の層のコイル状フィラメントに対する上記の任意の記載は第2の層のコイル状フィラメントにも適用可能であるが、簡潔にするため本明細書では繰り返さない。第1及び第2の層のコイル状フィラメント、又は任意の後続若しくは追加の層は、独立した配向であってもよい。
第2の層は、第1の層の露出面の一部分とのみ接触し得る。例えば、多孔質3D物品の所望の形状に応じて、第2の層を、第1の層上に選択的に構築してもよい。
第2の組成物は、第1の層を形成するために利用される第1の組成物と同じであっても異なっていてもよい。I)第1の組成物をプリントし、第1の層を形成することに関する上記の任意の記載は、IV)第2の組成物を第1の層上にプリントし、第2の層を形成することにもまた適用可能であり、各プリンティング工程の各態様は独立して選択される。以下により詳細に記載するように、本方法は、任意の追加の層のために独立して選択された組成物を用いて工程I)及びII)(並びに/又は工程III)及び/若しくはIV))を繰り返すことを、任意選択的に含んでもよい。第1の層、第2の層(又は後続の層若しくは後の層)、及び、以下に記載されるように任意選択的に含まれる任意の追加の層を、本明細書において、包括的に「層」と呼ぶ。本明細書にて複数形で使用する「層」は、本発明の方法の任意の段階にて、例えば未固化の及び/又は未硬化の状態、部分的に固化した及び/又は部分的に硬化した状態、固化又は最終的な硬化状態、等の層に関連し得る。層は独立して形成及び選択されるため、概して、特定の層に関する以下の任意の記載は任意の他の層にも適用可能である。
特定の実施形態において、第1の層は第1のフィラメントを含み、第2の層は第2のフィラメントを含む。上記で紹介したように、第1及び第2のフィラメントの各々は、単一のフィラメント又は複数のフィラメント(互いに離れている、交差している、及び/若しくは分枝している)を含んでもよい。第1及び第2のフィラメントは、本明細書ではそれぞれ第1のフィラメント及び第2のフィラメントと呼ばれる。第1のフィラメント及び第2のフィラメントは、単一のフィラメント又は複数のフィラメントを独立して含む第1及び第2の各々のフィラメントにまで拡張され、かつこれらを包含する。第1のフィラメント及び第2のフィラメントは、独立して選択かつ形成されてもよい。例えば、第1及び第2のフィラメントの各々は、独立して、マット、ウェブであってもよく、又は他の配向を有していてもよい。様々な実施形態において、第1及び第2の非線形フィラメントは互いに同じであり連続している。この具体的な実施形態において、多孔質3D物品は、パターン化又はランダム化され得る単一のフィラメント又はストランドを含んでもよい。これらの実施形態において、第1及び第2の層は互いに離れてはいない、又は別々になってはいない。
層は各々、厚さ及び幅等の寸法を様々なものとしてよい。層の厚さ及び/又は幅の許容度は用いられる装置、ノズル及びプリンティングプロセスに応じたものでもよく、特定のプリンティングプロセスでは高解像度であり、他では低解像度であってもよい。層の厚さを一様にしても多様にしてもよく、層の平均厚さを同一のものとしても、異なるものとしてもよい。第1のフィラメント及び任意の追加の層又はフィラメントの構成に応じて、厚さは平均厚さを指してもよく、厚さは一様であっても一様でなくてもよい。平均厚さは、概してプリンティング直後の層の厚さに関連する。様々な実施形態において、層は、約1~約1,000,000μm、約1~約10,000μm、約2~約1,000μm、約5~約750μm、約10~約500μm、約25~約250μm、又は約50~100μmの平均厚さを独立して有する。より薄い厚さ及びより厚い厚さもまた、企図される。本開示は、層のいずれかにおける、任意の特定の寸法に限定されない。例えば、多孔質3D物品は、2メートルの厚さを有しながらも単一のフィラメントを含み得る。
最終的に、本方法は、III)層を固化条件に曝露させること、を含む。固化条件は、層の固化に寄与する任意の条件であり得る。例えば、固化は、層の硬化又は架橋密度増加の結果であり得る。あるいは固化は、好適な組成物に関して以下に記載されるように、層内の物理的変化、例えば、組成物及び/又は対応する層のいずれか中に存在し得るあらゆる媒体を乾燥させること又は除去すること、の結果であり得る。各層は独立して選択されるため、固化条件は各層で異なる場合がある。
以下に記載されるように、特定の組成物の選択に応じて、固化条件は、(i)水分への曝露、(ii)熱への曝露、(iii)照射への曝露、(iv)周囲温度の低下、(v)溶媒への曝露、(vi)機械的振動への曝露、又は(vii)(i)~(vi)の任意の組み合わせから選択され得る。固化条件は、典型的には、層を少なくとも部分的に固化させる、あるいは固化させるものである。
本方法の任意の時点で層を固化条件に曝露させることができ、本方法にて2つ以上の層が形成されるまで固化条件への曝露を遅らせる必要はない。例えばそれらの層を、個々に及び/又は一括して固化に曝露させてもよい。具体的には、第1の層上に第2の層を形成する前に、第1の層を固化条件に曝露させて第1の層を少なくとも部分的に固化させてもよい。これらの実施形態において、第1の層を固化条件に曝露することにより少なくとも部分的に固化した第1の層が形成されることから、IV)は更に、IV)少なくとも部分的に固化した第1の層上に第2の組成物をプリントすること、として定義される。同様に、第2の層を、追加の層のために任意のプリンティング工程を繰り返す前に少なくとも部分的に固化させてもよい。これらの層が各プリンティング工程の前に少なくとも部分的に繰り返し固化されたとしても、層はまた、互いに接触している際に固化条件に供され又は曝露されてもよい。
層の少なくとも部分的な固化は、概して硬化の指標となる。しかし、硬化は他の方策で示される場合があり、固化は硬化に関連しない場合がある。例えば、硬化していることを、粘度増大(例えば層の増粘)、層の温度上昇、層の透明度/不透明度の変化、表面又は全体の硬度上昇等により示してもよい。概して、層の物理的及び/又は化学的特性は、各層を少なくとも部分的に固化して少なくとも部分的に固化した層をそれぞれ得る際に変化する。
特定の実施形態において、「少なくとも部分的に固化した」とは、少なくとも部分的に固化した特定の層が、周囲条件に曝露されてもその形状を実質的に維持することを意味する。周囲条件とは、少なくとも温度、圧力、相対湿度、及び少なくとも部分的に固化した層の形状又は寸法に影響を及ぼし得る、任意の他の条件を指す。例えば、周囲温度は室温である。周囲条件は、加熱する(又は高温を加える)固化条件と区別される。「その形状を実質的に維持する」とは、少なくとも部分的に固化した層の大半が、その形状を維持し、例えば、少なくとも部分的に固化した層は、周囲条件への暴露に際し、流動又は変形しないことを意味する。「実質的に」とは、少なくとも部分的に固化した層の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、若しくは少なくとも約99.999%又はより多くの体積が、例えば1分後、5分後、10分後、30分後、1時間後、4時間後、8時間後、12時間後、1日後、1週間後、1か月後等の期間にわたり、同じ形状及び寸法に維持されることを意味し得る。換言すれば、形状を実質的に維持するとは、周囲条件への暴露に際し、重力が少なくとも部分的に固化した層の形状に実質的に影響を及ぼさないことを意味する。少なくとも部分的に固化した層の形状も、少なくとも部分的に固化した層がその形状を実質的に維持するか否かに対して影響を及ぼし得る。例えば、少なくとも部分的に固化した層が矩形であるか、又は別の極めて単純な形状を有するとき、少なくとも部分的に固化した層は、固化の度合がより低い場合であっても、より複雑な形状を有する少なくとも部分的に固化した層よりも、変形に対する抵抗性が大きくなり得る。
より具体的には、1つ以上の層を固化条件に曝露させる前、第1の組成物(更には第2の組成物及び任意の後続の組成物)は概して流動性であり、液体、スラリー又はゲル、あるいは液体又はスラリー、あるいは液体の形態であり得る。各組成物の粘度は、装置及びノズルの種類、又は他の検討要件に応じて独立して調整することができる。粘度の調整は、例えば、組成物のいずれかを加熱又は冷却すること、その組成物の1つ以上の構成成分の分子量を調整すること、溶媒、担体、及び/又は希釈剤を添加又は除去すること、充填剤又はチキソトロープ剤を添加すること等により実現することができる。
特定の実施形態において、第2の組成物をプリントする前に第1の層を少なくとも部分的に固化させる場合、第2の層を形成するための第2の組成物のプリンティングは、少なくとも部分的に固化した第1の層が最終的に固化した状態に達する前に、すなわち、少なくとも部分的に固化した第1の層が依然として「未熟」な間に、行われる。本明細書で使用する「未熟」は、部分的な固化及び/又は部分的な硬化を包含するが、最終的な固化及び/又は硬化状態は包含しない。部分的な固化及び/又は硬化状態と最終的な固化及び/又は硬化状態との区別は、部分的に固化した及び/又は硬化した層が、更に固化、硬化及び/又は架橋を受けることができるか否かによる。第1の組成物の構成成分の官能基は、最終的な固化及び/又は硬化状態においても存在し得るが、立体障害又は他の要因のため、未反応のまま残り得る。
これらの実施形態において、層をプリントすることは、隣接した層又はフィラメントが互いに、少なくとも物理的に、かつ化学的にもまた結合し得るような、「ウェットオンウェット」であるとみなすことができる。例えば特定の実施形態において、組成物の選択に応じて、層又はフィラメントの各々における構成成分は、プリントライン(print line)を横断して化学的に架橋/硬化し得る。層はコイル状フィラメントを含み得るため、プリントラインは、隣接するフィラメント間、又は隣接する層間の任意の接触点と呼ばれる。プリントラインを横断して伸長する架橋ネットワークを有することには、多孔質3D物品の寿命、耐久性、及び外観に関する特定の利点があり得る。層はまた、多孔質3D物品を支持し得る、又は多孔質3D物品の別の機能をもたらし得る、1つ以上の下部構造の周囲に形成してもよい。他の実施形態において、組成物は硬化性ではなく、これにより多孔質3D物品においては層が互いに単に物理的に結合するだけである。
層をウェットオンウェットにて適用する場合、並びに/又は層が部分的にのみ固化した及び/若しくは部分的にのみ硬化した場合、層を硬化及び/又は固化条件に曝露する任意の繰り返し工程により、直前にプリントされた層以外の硬化にも影響がもたらされ得る。上述のように、硬化はプリントラインを超えて又は横断して伸長できるため、かつ、層を含む複合体が典型的には固化条件に供されるため、層を硬化及び/又は固化条件に曝露する後続の工程に際し、任意の他の部分的に硬化した及び/又は固化した層もまた、更にあるいは完全に硬化及び/又は固化し得る。例として、本方法は、第2の組成物をプリントして、少なくとも部分的に固化した第1の層上に第2の層を形成すること、を含んでもよい。別の組成物をプリントして第2の層上に別の層を形成することに、別の組成物をプリントして少なくとも部分的に固化した第2の層上に別の層を形成することが含まれるよう、別の組成物をプリントして第2の層上に別の層を形成する前に第2の層を固化条件に曝露してもよい。しかしこのような実施形態では、第2の層を固化条件に曝露させることにより、第1及び第2の組成物の選択に応じて、少なくとも部分的に固化した第1の層もまた更に硬化及び/又は固化し得る。これは、任意の追加又は後続の層についても同じである。
所望により、本発明の方法中に、多様な形状、寸法を有し得、任意の好適なマテリアルかを含み得る挿入物を、任意の層上に、又は少なくとも部分的に任意の層中に、配置又は定置してもよい。例えば、挿入物を後続のプリンティング工程の間に利用することができ、多孔質3D物品が形成される際に、挿入物を多孔質3D物品と一体化させることができる。あるいは、本発明の方法中の任意の工程において、例えば空洞を残すため、又は他の機能的若しくは美的目的のために、挿入物を除去することができる。このような挿入物の使用により、プリンティング単独に頼るよりも、より良好な美的外観及び経済性をもたらすことができる。
更に、所望により、層の全て又は一部を含む複合体を、最終的な硬化工程であり得る最終的な固化工程に供してもよい。例えば、多孔質3D物品が所望の固化状態にあることを確実にするため、層をプリント及び少なくとも部分的に固化させることで形成した複合体を、各種の固化条件下で層が固化され得る、更なる固化工程又は更なる固化工程群に供してもよい。最終的な固化工程は、所望により任意の事前の固化工程と同じであっても異なっていてもよく、例えば、各層又は任意の層に関連する固化工程を繰り返してもよい。
必要な層の総数は、例えば、多孔質3D物品のサイズ及び形状、更には個々の層及び層全体の寸法に応じたものとなる。当業者であれば、3Dスキャン、レンダリング、モデリング(例えばパラメトリック及び/若しくはベクトルに基づくモデリング)、彫刻、設計、スライシング、製造並びに/又はプリンティングソフトウェア等の従来技術を用いて、必要な又は所望の層の数を容易に決定することができる。特定の実施形態において、多孔質3D物品が最終的に固化した又は硬化した状態にあると、個々の層を識別できない場合がある。例として、本方法の一実施形態に従い形成された多孔質3D物品の写真が図4に示されている。
様々な実施形態において、3Dプリンターは、溶融フィラメント製造プリンター(a fused filament fabrication printer)、熱溶融積層モデリングプリンター(a fused deposition modeling printer)、直接的インク積層プリンター(a direct ink deposition printer)、選択的レーザー焼結プリンター(a selective laser sintering printer)、選択的レーザー融解プリンター(a selective laser melting printer)、ステレオリソグラフィプリンター、粉末層(バインダージェット)プリンター(a powder bed (binder jet) printer)、マテリアルジェットプリンター(a material jet printer)、直接金属レーザー焼結プリンター(a direct metal laser sintering printer)、電子線融解プリンター(an electron beam melting printer)、積層対象物製造積層プリンター(a laminated object manufacturing deposition printer)、指向性エネルギー積層プリンター(a directed energy deposition printer)、レーザー粉末形成プリンター(a laser powder forming printer)、ポリジェットプリンター(a polyjet printer)、インクジェッティングプリンター(an ink-jetting printer)、マテリアルジェッティングプリンター(a material jetting printer)、及びシリンジ押出成形プリンター(a syringe extrusion printer)から選択される。
3Dプリンターは、本発明の方法に関連する各プリンティング工程中に独立して選択されてもよい。換言すれば、所望により、各プリンティング工程では、異なる3Dプリンターを用いてもよい。異なる3Dプリンターを利用して、層に関して異なる特徴を付与することができる。異なる3Dプリンターが、異なる種類の組成物に対して特に十分に好適である場合がある。
上述のように、多孔質3D物品は複数の空隙を画定する。空隙は、外側にあってもよい、すなわち多孔質3D物品の外部表面により画定されてもよく、かつ/又は内側にあってもよい、すなわち多孔質3D物品の内部体積により画定されてもよい。典型的には、空隙は外側及び内側の両方である。
空隙の態様は、典型的には、多孔質3D物品の所望の最終使用用途により定められる。例えば多孔質3D物品は、多孔質3D物品により画定される空隙を踏まえて発泡体と呼ばれる場合がある。多孔質3D物品は、連続気泡発泡体及び/又は独立気泡発泡体であってもよい。多孔質3D物品は、圧縮性及び/又は剛性であってもよい。
空隙は任意の形状、サイズ、構成、及び濃度であってもよく、その特性は、各個々の空隙に関して変化し得る。
空隙は、様々な技術により画定又は付与されてもよい。例えば、空隙は、プリンティング工程に関連して本発明の方法中に付与されてもよい。第1の組成物、及び/又は任意の他の組成物は、各組成物のプリンティング前、プリンティング中、及び/又はプリンティング後に、化学的若しくは物理的発泡剤等の発泡剤を含んでもよく、かつ/又はそれらに曝露されてもよい。当該技術分野において理解されるとおり、物理的発泡剤は、物理的発泡剤である液体又は気体に関連する空隙又は孔を付与することができる。対照的に化学的発泡剤は、典型的には、空隙を付与し得る副生成物である気体を生成しながら、組成物中の1種以上の構成成分と反応する。
あるいは、又は更に、空隙は、プリンティング自体から形成されてもよい。例えば、第1及び第2の層が第1及び第2のフィラメントを含む場合、少なくとも第1及び第2のフィラメントにより複数の空隙が画定され得る。これは、追加の層及び追加のフィラメントについても同じである。すなわち、各個々の層のフィラメントにより、かつ/又は隣接した層の境界面に、空隙が画定され得る。あるいは、又は更に、空隙は単一のフィラメントにより画定されてもよい。例えば、単一のフィラメント自体が空隙を画定してもよく、又はそうでなければ、単一のフィラメントがそれ自体と交差若しくは重なり合って空隙が現れてもよい。
また、多孔質3D物品の最終使用用途に応じて空隙をカスタマイズしてもよい。プリンティングにより空隙を形成する場合、堆積パターンを3Dプリンター内にプログラムすることができ、堆積パターンを利用して、空隙を、その位置、形状及び寸法を含めて選択的に制御することができる。空隙を多孔質3D物品内の特定の領域内に集中させてもよい、すなわち空隙を不均一に分布させてもよく、又は、空隙を多孔質3D物品内若しくは物品全体にわたり均一に分布させてもよい。
更に、空隙は、多孔質3D物品の形成に続いて、又は多孔質3D物品を形成しながら形成され得る。例えば特定の実施形態において、本方法は3D物品を製造するものであり、かつ、本方法は3D物品中に空隙を形成して、多孔質3D物品を得ること、を更に含む。あるいは、本方法により多孔質3D物品を製造してもよく、本方法は多孔質3D物品中に追加の空隙を形成すること、を更に含んでもよい。
プリンティング中に形成された空隙とは別個の空隙を形成することが本方法に含まれる場合、その空隙は、任意の好適な技術により形成され得る。空隙の形成は、サブトラクティブマニュファクチャリングプロセスと呼ばれる場合がある。好適なサブトラクティブマニュファクチャリングプロセスは、概して、層の種類、利用する特定の組成物等に左右される。
例えば、空隙を機械的に、例えばロッド又は物体を3D物品又は多孔質3D物品内に挿入して空隙を形成することにより、形成してもよい。あるいは、又は更に、3D物品又は多孔質3D物品の一部分を選択的にエッチングして空隙を形成することにより、空隙を形成してもよい。当該技術分野において理解されるとおり、選択的なエッチングでは、典型的には、3D物品又は多孔質3D物品上に選択的に適用又は配置され、その一部分を除去又はエッチングして空隙を残すことができるエッチング剤の使用を伴う。エッチング剤は、層及びそれらの特性に左右される任意の好適なエッチング剤であってもよい。例えば、エッチング剤は、3D物品又は多孔質3D物品の一部分を可溶化させて除去する溶媒であってもよい。
あるいは、又は更に、本方法は、層、3D物品及び/又は多孔質3D物品を固化条件に曝露させ、その一部分を選択的に固化させて空隙を形成すること、を含んでもよい。固化条件を選択的に適用することもまた、典型的には、利用する層及び組成物に基づく。例えば、固化条件を選択的に適用することは、例えば層が放射線硬化性である場合、その部分を選択的に硬化させるための、フォトマスクの使用及び層の選択的な照射に依存し得る。続いて未硬化の部分を、例えばエッチング、溶媒、又は他の方法により除去することができる。あるいは、固化条件を選択的に適用することは、例えば層が熱硬化性である場合、選択的な加熱に依存し得る。あるいは、放射線を選択的に適用すること、又は選択的に加熱することにより、除去されるべき曝露部分を選択的に解重合させてもよい。
空隙の平均サイズは、多孔質3D物品の所望の最終使用用途、利用する組成物、空隙の形成に利用する技術等をはじめとする多くの要因に基づき変化し得る。
空隙の平均サイズは特定用途に対する必要性に応じ、数オングストローム~数十センチメートルの範囲であり得る。約数マイクロメートルより大きいサイズの空隙は、利用する特定の組成物に基づいて選択される物理的及び/又は化学的発泡剤により、直接プリント又は形成することができる。物理的発泡剤としては、空気、窒素、二酸化炭素、及び他の気体を挙げることができるが、これらに限定されない。化学的発泡剤としては、水素化シリコーン化合物と水、又はケイ素ヒドロキシド化合物を挙げることができるが、これらに限定されない。より小さいサイズの空隙(ミクロ細孔及びメソ細孔)を組み込む様々な技術もまた利用してもよい。この技術としてはシロキサンかご構造(siloxane cage structures)、高度に架橋されたシロキサン若しくは有機構造を使用すること、又はそのようなサイズの細孔を含有する予め形成されたマテリアルを組み込むことが挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、物理的又は化学的エッチングプロセスにより三次元対象物内の様々な部分を除去し、種々のサイズの空隙を形成することができる。
多孔質3D物品には、空隙に関するものを含め、そのカスタマイズを踏まえた無数の最終使用用途がある。例えば上述のように、多孔質3D物品は圧縮性発泡体であってもよく、又は剛性発泡体であってもよい。多孔質3D物品は発泡体が望まれる任意の用途で利用することができ、従来のポリウレタン発泡体の代わりに利用することができる。
例えば、発泡体には、クッション及び支持物品(例えば家具)をはじめとする、数多くの最終使用用途がある。発泡体はまた、例えば輸送用途(自動車、列車、飛行機、船等)において、騒音、振動、及びハーシュネス(NVH)用途で利用することができる。更に、発泡体は、気密を保持する建築用ガスケット部材若しくは要素、耐火ガスケット、シーリング材、Oリング、複写機のロール、空気制動用途、音響用途、及び他の用途において、又はそれらとして利用することができる。更に、多孔質3D物品はまた、ヘルスケア用途、例えば、ヒト等の哺乳動物の身体の内側若しくは外側、又は薬物送達にて利用することができる。発泡体はまた、化学反応器、水及び汚れのレメディエーション及び浄化技術、光拡散、装甲、分離膜、選択性の吸着材料、並びに耐火用途において、又はそれらとして利用することができる。
第1及び第2の組成物、並びに後続又は追加の層をプリントするために利用される任意の後続又は追加の組成物は、独立して選択され、互いに同じであっても異なっていてもよい。従って、明確にするため、以下の「組成物(the composition)」又は「組成物(the compositions)」への言及は、第1及び/又は第2の組成物、並びに後続又は追加の層をプリントするために利用される任意の後続又は追加の組成物に適用可能であり、組成物が互いに同じであることを必要とするものとして解釈されるべきではない。
特定の実施形態において、組成物、例えば第1の組成物、第2の組成物、及び/又は任意の追加の組成物のうちの少なくとも1つは、(a)シリコーン組成物、(b)ポリマー、(c)金属、(d)スラリー、又は(e)これらの組み合わせを含む。
特定の実施形態において、組成物のうちの少なくとも1つは、シリコーン組成物を含む。好適なシリコーン組成物は、(a)ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物、(b)縮合硬化性シリコーン組成物、(c)チオール-エン反応硬化性シリコーン組成物、(d)フリーラジカル硬化性シリコーン組成物、及び(e)開環反応硬化性シリコーン組成物、から独立して選択されてもよい。これらの実施形態において、シリコーン組成物は概して硬化性であり、これにより、固化条件への曝露は、硬化条件への曝露と呼ばれる場合がある。当該技術分野において理解されるとおり、これらのシリコーン組成物は、例えば水分への曝露、熱への曝露、照射への曝露等の種々の硬化条件により硬化され得る。また、これらのシリコーン組成物は、共に又はただ1つとして利用することができる各種の硬化条件、例えば熱及び照射の両方、に曝露された際に、硬化性となり得る。更に、硬化条件への曝露により、各種のシリコーン組成物を硬化させることができる、又はその硬化を開始させることができる。例えば、熱を利用して、縮合硬化性シリコーン組成物、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物、及びフリーラジカル硬化性シリコーン組成物を硬化させることができる、又はその硬化を開始させることができる。
シリコーン組成物は、硬化条件を適用する際、同じ硬化機序を有してもよいが、更に互いに独立して選択されてもよい。例えば、第1の組成物が縮合硬化性シリコーン組成物を含み、第2の組成物もまた縮合硬化性シリコーン組成物を含む場合があり、ここで縮合硬化性シリコーン組成物は、例えば、それらの構成成分、相対量等が互いに異なっていてもよい。
特定の実施形態において、本方法で利用されるシリコーン組成物の各々は、硬化条件を適用する際、同じ硬化機序により硬化する。これらの実施形態では、硬化条件を適用する際に同じ硬化機序を有することを踏まえると、シリコーン組成物の各々中の構成成分が互いに容易に反応し得ることから、所望により、プリントラインを横断して硬化することが容易に可能となる。これらの実施形態において、シリコーン組成物の各々は更に、硬化機序がシリコーン組成物の各々において同じであっても、利用される実際の構成成分及びそれらの相対量の点では互いに異なってもよい。対照的に、層の各々が異なる機序により硬化する(例えば、ヒドロシリル化対縮合)場合、いく分かの硬化はプリントラインを横断し得るが、これらの層の構成成分は硬化条件を適用した際に互いに反応できない場合があり、他の適用に望ましい場合がある。
特定の実施形態において、シリコーン組成物のうちの少なくとも1つは、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物を含む。これらの実施形態において、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、典型的には、(A)1分子当たり平均して少なくとも2個のケイ素結合アルケニル基又はケイ素結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン、(B)オルガノポリシロキサン(A)中のケイ素結合アルケニル基又はケイ素結合水素原子と反応することができる、1分子当たり平均して少なくとも2個のケイ素結合水素原子又はケイ素結合アルケニル基を有する有機ケイ素化合物、及びC)ヒドロシリル化触媒を含む。オルガノポリシロキサン(A)がケイ素結合アルケニル基を含む場合、有機ケイ素化合物(B)は1分子当たり少なくとも2個のケイ素結合水素原子を含み、オルガノポリシロキサン(A)がケイ素結合水素原子を含む場合、有機ケイ素化合物(B)は1分子当たり少なくとも2個のケイ素結合アルケニル基を含む。有機ケイ素化合物(B)は、クロスリンカー(cross-linker)又は架橋剤(cross-linking agent)と呼ばれる場合がある。
オルガノポリシロキサン(A)及び有機ケイ素化合物(B)は、独立して直鎖、分枝鎖、環状又は樹脂性であってもよい。特に、オルガノポリシロキサン(A)及び有機ケイ素化合物(B)は、M単位、D単位、T単位、及びQ単位の任意の組み合わせを含んでもよい。記号M、D、T、及びQは、オルガノポリシロキサンの構造単位の官能基を表す。Mは、1官能性単位R SiO1/2を表す。Dは、2官能性単位R SiO2/2を表す。Tは、3官能性単位RSiO3/2を表す。Qは、4官能性単位SiO4/2を表す。これらの単位の一般構造式を以下に示す。
Figure 0007202311000001
これらの構造/式において、各Rは任意の炭化水素基、芳香族基、脂肪族基、アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基であってよい。
特定のオルガノポリシロキサン(A)及び有機ケイ素化合物(B)は、本発明の方法中の多孔質3D物品及び層の所望の特性に基づいて選択されるものであってもよい。例えば、層はエラストマー、ゲル、樹脂等の形態が望ましい場合があり、シリコーン組成物の構成成分を選択することにより、当業者は様々な望ましい特性を実現することができる。
例えば、特定の実施形態において、オルガノポリシロキサン(A)及び有機ケイ素化合物(B)のうちの1つは、典型的にはT単位及び/又はQ単位を、M単位及び/又はD単位と組み合わせて含む、シリコーン樹脂を含む。オルガノポリシロキサン(A)及び/又は有機ケイ素化合物(B)がシリコーン樹脂を含む場合、シリコーン樹脂は、DT樹脂、MT樹脂、MDT樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、DQ樹脂、MQ樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、又はMDQ樹脂であってもよい。概して、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物が樹脂を含む場合、層及び得られる多孔質3D物品の剛性は増大する。
あるいは、他の実施形態において、オルガノポリシロキサン(A)及び/又は有機ケイ素化合物(B)は、繰り返しD単位を含むオルガノポリシロキサンである。このようなオルガノポリシロキサンは実質的に直鎖であるが、T単位及び/又はQ単位に起因するいく分かの分枝鎖を含むことがある。あるいは、このようなオルガノポリシロキサンは直鎖である。これらの実施形態において、層及び得られる多孔質3D物品は、エラストマーである。
オルガノポリシロキサン(A)及び有機ケイ素化合物(B)のケイ素結合アルケニル基及びケイ素結合水素原子は、それぞれ、独立して側枝、末端、又は両方の位置に存在し得る。
特定の実施形態において、オルガノポリシロキサン(A)は、一般式:
(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2 (I)
[式中、各Rは独立して選択されるヒドロカルビル基であり、置換でも非置換であってもよく、各Rは、独立してR及びアルケニル基から選択され、ただし、Rのうち少なくとも2個はアルケニル基であり、w、x、y、及びzは、w+x+y+z=1となるモル分率である。]を有する。当該技術分野において理解されるとおり、直鎖オルガノポリシロキサンでは、下付き文字y及びzは一般に0であるのに対し、樹脂では、下付き文字y及び/又はzは0より大きい。w、x、y、及びzに関し、様々な代替実施形態について以下に記載する。これらの実施形態において、下付き文字wは、0~0.9999、あるいは0~0.999、あるいは0~0.99、あるいは0~0.9、あるいは0.9~0.999、あるいは0.9~0.999、あるいは0.8~0.99、あるいは0.6~0.99の値であってよい。下付き文字xは、典型的には0~0.9、あるいは0~0.45、あるいは0~0.25の値である。下付き文字yは、典型的には0~0.99、あるいは0.25~0.8、あるいは0.5~0.8の値である。下付き文字zは、典型的には0~0.99、あるいは0~0.85、あるいは0.85~0.95、あるいは0.6~0.85、あるいは0.4~0.65、あるいは0.2~0.5、あるいは0.1~0.45、あるいは0~0.25、あるいは0~0.15の値である。
特定の実施形態において、各RはC~C10ヒドロカルビル基であり、置換又は非置換であってもよく、ヒドロカルビル基内に例えば酸素、窒素、硫黄等のへテロ原子を含んでもよい。少なくとも3個の炭素原子を含有する非環状ヒドロカルビル基及びハロゲン置換ヒドロカルビル基は、分枝鎖又は非分枝鎖構造を有し得る。Rで表されるヒドロカルビル基の例としては、アルキル基[メチル基、エチル基、プロピル基、1-メチルエチル基、ブチル基、1-メチルプロピル基、2-メチルプロピル基、1,1-ジメチルエチル基、ペンチル基、1-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、及びデシル基等];シクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びメチルシクロヘキシル基等)、アリール基(フェニル基及びナフチル基等)、アルカリール基(トリル基及びキシリル基等)、並びにアラルキル基(ベンジル基及びフェネチル基等)が挙げられるが、これらに限定されない。Rで表されるハロゲン置換ヒドロカルビル基の例としては、3,3,3-トリフルオロプロピル基、3-クロロプロピル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、及び2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチル基が挙げられるが、これらに限定されない。
で表されるアルケニル基は、オルガノポリシロキサン(A)内で同一のものでも異なっていてもよく、典型的には2~10個の炭素原子、あるいは2~6個の炭素原子を有し、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基、及びオクテニル基によって例示される。
これらの実施形態において、有機ケイ素化合物(B)は、オルガノハイドロジェンシラン、オルガノポリシロキサン、オルガノハイドロジェンシロキサン、又はこれらの組み合わせとして更に定義することができる。有機ケイ素化合物(B)の構造は、直鎖、分枝鎖、環状、又は樹脂性であってもよい。非環状ポリシラン及びポリシロキサンにおいて、ケイ素結合水素原子は、末端、側枝、又は末端及び側枝の両方の位置に位置することができる。シクロシラン及びシクロシロキサンは、典型的には、3~12個のケイ素原子、あるいは3~10個のケイ素原子、あるいは3~4個のケイ素原子を有する。オルガノハイドロジェンシランは、モノシラン、ジシラン、トリシラン、又はポリシランとすることができる。
ヒドロシリル化触媒(C)は、オルガノポリシロキサン(A)と有機ケイ素化合物(B)との間の反応を促進する、少なくとも1つのヒドロシリル化触媒を含む。ヒドロシリル化触媒(C)は、白金族金属(すなわち、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム及びイリジウム)又は白金族金属を含有する化合物を含む、公知のヒドロシリル化触媒のいずれかであってよい。典型的には、白金族金属は、ヒドロシリル化反応におけるその高い活性に基づき、白金である。
(C)に好適な具体的なヒドロシリル化触媒としては、Willingにより米国特許第3,419,593号に開示されている塩化白金酸と特定のビニル含有オルガノシロキサンとの錯体が挙げられ、このヒドロシリル化触媒を扱った部分は、参照により本明細書に組み込まれる。この種の触媒は、塩化白金酸と1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンとの反応生成物である。
ヒドロシリル化触媒(C)はまた、表面に白金族金属を有する固体支持体を含む、担持ヒドロシリル化触媒であってもよい。担持触媒は、例えば、反応混合物を濾過することによって、オルガノポリシロキサンから簡便に分離できる。担持触媒の例としては、白金担持炭素、パラジウム担持炭素、ルテニウム担持炭素、ロジウム担持炭素、白金担持シリカ、パラジウム担持シリカ、白金担持アルミナ、パラジウム担持アルミナ、及びルテニウム担持アルミナが挙げられるが、これらに限定されない。
更に、又はあるいは、ヒドロシリル化触媒(C)はまた、熱可塑性樹脂中にカプセル化された白金族金属を含む、マイクロカプセル化白金族金属含有触媒であってもよい。マイクロカプセル化ヒドロシリル化触媒を含むヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、周囲条件下で長期間、典型的には数ヶ月以上安定であるにもかかわらず、熱可塑性樹脂の融点又は軟化点より高い温度で比較的速やかに硬化する。マイクロカプセル化ヒドロシリル化触媒及びその調製方法は当該技術分野で公知であり、米国特許第4,766,176号及びそれに引用されている参考文献、並びに米国特許第5,017,654号に例示されている。ヒドロシリル化触媒(C)は、単一触媒であってもよいし、構造、形態、白金族金属、錯体形成配位子、及び熱可塑性樹脂等の少なくとも1つの特性が異なる2種以上の異なる触媒を含む混合物であってもよい。
ヒドロシリル化触媒(C)はまた、又はあるいは、照射及び/又は加熱により硬化を開始し得る、光活性化可能なヒドロシリル化触媒であってもよい。光活性化可能なヒドロシリル化触媒は、特に、150~800ナノメートル(nm)の波長を有する放射線に曝露するとヒドロシリル化反応を触媒できる、任意のヒドロシリル化触媒であってもよい。
光活性化可能なヒドロシリル化触媒の具体例としては、白金(II)β-ジケトネート錯体[白金(II)ビス(2,4-ペンタンジオエート)、白金(II)ビス(2,4-ヘキサンジオエート)、白金(II)ビス(2,4-ヘプタンジオエート)、白金(II)ビス(1-フェニル-1,3-ブタンジオエート)、白金(II)ビス(1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオエート)、白金(II)ビス(1,1,1,5,5,5-ヘキサフルオロ-2,4-ペンタンジオエート)等];(Cp)トリメチル白金、(Cp)エチルジメチル白金、(Cp)トリエチル白金、(クロロ-Cp)トリメチル白金、及び(トリメチルシリル-Cp)トリメチル白金等であって、Cpがシクロペンタジエニルを表す、(η-シクロペンタジエニル)トリアルキル白金錯体;[Pt[CNNNOCH、Pt[p-CN-CNNNOC11、Pt[p-HCOCNNNOC11、Pt[p-CH(CH-CNNNOCH、1,5-シクロオクタジエン.Pt[p-CN-CNNNOC11、1,5-シクロオクタジエンPt[p-CHO-CNNNOCH、[(CP]Rh[p-CN-CNNNOC11]、及びPd[p-CH(CH-CNNNOCH[式中、xは1、3、5、11、又は17である]等のトリアゼンオキシド-遷移金属錯体;(η-1,5-シクロオクタジエニル)ジフェニル白金、(η-1,3,5,7-シクロオクタテトラエニル)ジフェニル白金、(η-2,5-ノルボラジエニル)ジフェニル白金、(η-1,5-シクロオクタジエニル)ビス-(4-ジメチルアミノフェニル)白金、(η-1,5-シクロオクタジエニル)ビス-(4-アセチルフェニル)白金、及び(η-1,5-シクロオクタジエニル)ビス-(4-トリフルオロメチルフェニル)白金等の、(η-ジオレフィン)(σ-アリール)白金錯体が挙げられるが、これらに限定されない。典型的には、光活性化可能なヒドロシリル化触媒は、Pt(II)β-ジケトネート錯体であり、より典型的には、触媒は白金(II)ビス(2,4-ペンタンジオエート)である。ヒドロシリル化触媒(C)は、単一の光活性化可能なヒドロシリル化触媒であっても、又は2種以上の異なる光活性化可能なヒドロシリル化触媒を含む混合物であってもよい。
ヒドロシリル化触媒(C)の濃度は、オルガノポリシロキサン(A)と有機ケイ素化合物(B)との間の付加反応を触媒するのに十分なものである。特定の実施形態において、ヒドロシリル化触媒(C)の濃度は、オルガノポリシロキサン(A)と有機ケイ素化合物(B)とを合わせた重量に基づいて、典型的には、0.1~1000ppmの白金族金属、あるいは0.5~100ppmの白金族金属、あるいは1~25ppmの白金族金属を提供するのに十分なものである。
ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は2部の組成物であってもよく、オルガノポリシロキサン(A)及び有機ケイ素化合物(B)が、別個の部の中にある。これらの実施形態において、ヒドロシリル化触媒(C)は、オルガノポリシロキサン(A)及び有機ケイ素化合物(B)の片方又は両方と共に存在していてもよい。あるいは更に、ヒドロシリル化触媒(C)は、オルガノポリシロキサン(A)及び有機ケイ素化合物(B)と別個のものであり、第3の部の中にあってもよく、それによると、ヒドロシリル化反応硬化性シリコーン組成物は3部の組成物である。
1つの具体的な実施形態において、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、オルガノポリシロキサン(A)としてViMe(MeSiO)128SiMeVi、有機ケイ素化合物(B)としてMeSiO(MeSiO)14(MeHSiO)16SiMe、及び(C)として白金-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を、白金が(A)、(B)及び(C)に基づいて5ppmの濃度で存在するように、含む。
このようなヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物の固化条件は、多様なものであり得る。例えば、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、照射及び/又は熱に曝露されると固化又は硬化され得る。当業者は、ヒドロシリル化触媒(C)の選択が、固化及び硬化のための技術にどのように影響を及ぼすかを理解している。特に、光活性化可能なヒドロシリル化触媒は、典型的には、照射による硬化が望まれる場合に利用される。
これらの又は他の実施形態において、シリコーン組成物のうちの少なくとも1つは、縮合硬化性シリコーン組成物を含む。これらの実施形態において、縮合硬化性シリコーン組成物は、典型的には、(A’)1分子当たり平均して少なくとも2個のケイ素結合ヒドロキシル基又は加水分解性基を有するオルガノポリシロキサン、任意選択的に(B’)1分子当たり平均して少なくとも2個のケイ素結合水素原子、ヒドロキシル基、又は加水分解性基を有する有機ケイ素化合物、及び(C’)縮合触媒を含む。本発明の方法又はその任意の個々の工程中、任意のパラメータ又は条件を選択的に制御することができるが、周囲条件の相対湿度及び水分含量を選択的に制御し、縮合硬化性シリコーン組成物の硬化速度に更に影響を及ぼすことができる。
オルガノポリシロキサン(A’)及び有機ケイ素化合物(B’)は、独立して直鎖、分枝鎖、環状又は樹脂性であってもよい。特に、オルガノポリシロキサン(A’)及び有機ケイ素化合物(B’)は、上に開示されるオルガノポリシロキサン(A’)及び有機ケイ素化合物(B’)と同様に、M単位、D単位、T単位、及びQ単位の任意の組み合わせを含んでもよい。
特定のオルガノポリシロキサン(A’)及び有機ケイ素化合物(B’)は、本発明の方法中の多孔質3D物品及び層の所望の特性に基づいて選択されるものであってもよい。例えば、層はエラストマー、ゲル、樹脂等の形態が望ましい場合があり、シリコーン組成物の構成成分を選択することにより、当業者は様々な望ましい特性を実現することができる。
例えば、特定の実施形態において、オルガノポリシロキサン(A’)及び有機ケイ素化合物(B’)のうちの1つは、典型的にはT単位及び/又はQ単位を、M単位及び/又はD単位と組み合わせて含む、シリコーン樹脂を含む。オルガノポリシロキサン(A’)及び/又は有機ケイ素化合物(B’)がシリコーン樹脂を含む場合、シリコーン樹脂は、DT樹脂、MT樹脂、MDT樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、DQ樹脂、MQ樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、又はMDQ樹脂であってよい。概して、縮合硬化性シリコーン組成物が樹脂を含む場合、層及び得られる多孔質3D物品の剛性は増大する。
あるいは、他の実施形態において、オルガノポリシロキサン(A’)及び/又は有機ケイ素化合物(B’)は、繰り返しD単位を含むオルガノポリシロキサンである。このようなオルガノポリシロキサンは実質的に直鎖であるが、T単位及び/又はQ単位に起因するいく分かの分枝鎖を含むことがある。あるいは、このようなオルガノポリシロキサンは直鎖である。これらの実施形態において、層及び得られる多孔質3D物品は、エラストマーである。
オルガノポリシロキサン(A’)及び有機ケイ素化合物(B’)の、ケイ素結合ヒドロキシル基、並びにケイ素結合水素原子、ヒドロキシル基、又は加水分解性基は、それぞれ、独立して側枝、末端、又は両方の位置に存在し得る。
当該技術分野において知られているとおり、ケイ素結合ヒドロキシル基は、ケイ素結合加水分解性基を加水分解することから得られる。これらのケイ素結合ヒドロキシル基が縮合し、シロキサン結合を、副生成物としての水と共に形成し得る。
加水分解性基の例としては、以下のケイ素結合基、すなわち、H、ハライド基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、カルボキシ基、アルキルイミノオキシ基、アルケニルオキシ基、又はN-アルキルアミド基が挙げられる。アルキルアミノ基は、環状アミノ基であってもよい。
具体的な実施形態において、オルガノポリシロキサン(A’)は、一般式:
(R SiO1/2w’(R SiO2/2x’(RSiO3/2y’(SiO4/2z’ (II)
[式中、各Rは上に定義されており、各Rは、独立してR、及びヒドロキシル基、加水分解性基、又はそれらの組み合わせから選択され、ただし、Rのうちの少なくとも2個はヒドロキシル基、加水分解性基、又はそれらの組み合わせであり、w’、x’、y’、及びz’は、w’+x’+y’+z’=1となるモル分率である。]を有する。当該技術分野において理解されるとおり、直鎖オルガノポリシロキサンでは、下付き文字y’及びz’は一般に0であるのに対し、樹脂では、下付き文字y’及び/又はz’は0より大きい。w’、x’、y’、及びz’に関し、様々な代替実施形態について以下に記載する。これらの実施形態において、下付き文字w’は、0~0.9999、あるいは0~0.999、あるいは0~0.99、あるいは0~0.9、あるいは0.9~0.999、あるいは0.9~0.999、あるいは0.8~0.99、あるいは0.6~0.99の値であってもよい。下付き文字x’は、典型的には0~0.9、あるいは0~0.45、あるいは0~0.25の値である。下付き文字y’は、典型的には0~0.99、あるいは0.25~0.8、あるいは0.5~0.8の値である。下付き文字z’は、典型的には0~0.99、あるいは0~0.85、あるいは0.85~0.95、あるいは0.6~0.85、あるいは0.4~0.65、あるいは0.2~0.5、あるいは0.1~0.45、あるいは0~0.25、あるいは0~0.15の値である。
上記のとおり、縮合硬化性シリコーン組成物は、有機ケイ素化合物(B’)を更に含む。有機ケイ素化合物(B’)は、直鎖、分枝鎖、環状、又は樹脂性であってよい。一実施形態において、有機ケイ素化合物(B’)は、式R SiX4-q[式中、Rは上に定義されており、Xは加水分解性基であり、qは0又は1である。]を有する。
有機ケイ素化合物(B’)の具体例としては、アルコキシシラン[MeSi(OCH、CHSi(OCHCH、CHSi(OCHCHCH、CHSi[O(CHCH、CHCHSi(OCHCH、CSi(OCH、CCHSi(OCH、CSi(OCHCH、CH=CHSi(OCH、CH=CHCHSi(OCH、CFCHCHSi(OCH、CHSi(OCHCHOCH、CFCHCHSi(OCHCHOCH、CH=CHSi(OCHCHOCH、CH=CHCHSi(OCHCHOCH、CSi(OCHCHOCH、Si(OCH、Si(OC、及びSi(OC等]、オルガノアセトキシシラン[CHSi(OCOCH、CHCHSi(OCOCH、及びCH=CHSi(OCOCH等]、オルガノイミノオキシシラン[CHSi[O-N=C(CH)CHCH、Si[O-N=C(CH)CHCH、及びCH=CHSi[O-N=C(CH)CHCH等]、オルガノアセトアミドシラン[CHSi[NHC(=O)CH、及びCSi[NHC(=O)CH等]、アミノシラン[CHSi[NH(s-C)]、及びCHSi(NHC11等]、並びにオルガノアミノオキシシランが挙げられる。
有機ケイ素化合物(B’)は、各々が上記のとおりの、単一のシランであっても、2つ以上の異なるシランの混合物であってもよい。また、3官能性及び4官能性シランを調製する方法は、当該技術分野において公知であり、これらのシランのうちの多くのものが市販されている。
存在する場合、縮合硬化性シリコーン組成物中の有機ケイ素化合物(B’)の濃度は、オルガノポリシロキサン(A’)を硬化(架橋)するのに十分なものである。用いる有機ケイ素化合物(B’)の具体的な量は、所望の硬化度に応じて異なり、一般に、有機ケイ素化合物(B’)中のケイ素結合加水分解性基のモル数の、オルガノポリシロキサン(A’)中のケイ素結合ヒドロキシ基のモル数に対する比が増大するにつれ、増大する。有機ケイ素化合物(B’)の最適の量は、通常の実験によって容易に求めることができる。
縮合触媒(C’)は、典型的にはケイ素結合ヒドロキシ基(シラノール基)の縮合を促進してSi-O-Si結合を形成するために使用される、任意の縮合触媒であってもよい。縮合触媒の例としては、アミンが挙げられ、並びに鉛、スズ、亜鉛及び鉄のカルボン酸との錯体が挙げられるが、これらに限定されない。特に、縮合触媒(C)は、スズ(II)及びスズ(IV)化合物(スズジラウレート、スズジオクトエート、及びテトラブチルスズ等)、並びにチタン化合物(チタンテトラブトキサイド等)から選択されるものであってよい。
存在する場合、縮合触媒(C’)の濃度は、縮合硬化性シリコーン組成物中のオルガノポリシロキサン(A’)の総重量に基づいて、典型的には0.1~10重量%、あるいは0.5~5重量%、あるいは1~3重量%である。
縮合硬化性シリコーン組成物が縮合触媒(C’)を含む場合、縮合硬化性シリコーン組成物は、典型的には2部の組成物であり、オルガノポリシロキサン(A’)及び縮合触媒(C’)が、別個の部の中にある。この実施形態において、有機ケイ素化合物(B’)は、典型的には縮合触媒(C’)と共に存在する。あるいは更に、縮合硬化性シリコーン組成物は3部の組成物であってもよく、オルガノポリシロキサン(A’)、有機ケイ素化合物(B’)、及び縮合触媒(C’)が、別個の部の中にある。
このような縮合硬化性シリコーン組成物の固化条件は、多様なものであり得る。例えば、縮合硬化性シリコーン組成物は、周囲条件、加湿雰囲気及び/又は熱に曝露されると固化又は硬化され得るが、熱は一般に、固化及び硬化を促進させるために利用される。
これらの又は他の実施形態において、シリコーン組成物のうちの少なくとも1つは、フリーラジカル硬化性シリコーン組成物を含む。一実施形態において、フリーラジカル硬化性シリコーン組成物は、(A’’)平均して少なくとも2つのケイ素結合不飽和基を有するオルガノポリシロキサン、及び(C’’)フリーラジカル開始剤を含む。
オルガノポリシロキサン(A’’)は直鎖、分枝鎖、環状又は樹脂性であってよい。特に、オルガノポリシロキサン(A’’)は、上に開示されるオルガノポリシロキサン(A’)及び有機ケイ素化合物(B’)と同様に、M単位、D単位、T単位、及びQ単位の任意の組み合わせを含んでもよい。
特定のオルガノポリシロキサン(A’’)は、本発明の方法中の多孔質3D物品及び層の所望の特性に基づいて選択されるものであってもよい。例えば、層はエラストマー、ゲル、樹脂等の形態が望ましい場合があり、シリコーン組成物の構成成分を選択することにより、当業者は様々な望ましい特性を実現することができる。
例えば、特定の実施形態において、オルガノポリシロキサン(A’’)は、典型的にはT単位及び/又はQ単位を、M単位及び/又はD単位と組み合わせて含む、シリコーン樹脂を含む。オルガノポリシロキサン(A’’)がシリコーン樹脂を含む場合、シリコーン樹脂は、DT樹脂、MT樹脂、MDT樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、DQ樹脂、MQ樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、又はMDQ樹脂であってよい。概して、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物が樹脂を含む場合、層及び得られる多孔質3D物品の剛性は増大する。
あるいは、他の実施形態において、オルガノポリシロキサン(A’’)は、繰り返しD単位を含む。このようなオルガノポリシロキサンは実質的に直鎖であるが、T単位及び/又はQ単位に起因するいく分かの分枝鎖を含むことがある。あるいは、このようなオルガノポリシロキサンは直鎖である。これらの実施形態において、層及び得られる多孔質3D物品は、エラストマーである。
オルガノポリシロキサン(A’’)のケイ素結合不飽和基は、側枝、末端、又は両方の位置に存在し得る。ケイ素結合不飽和基は、二重結合の形態でのエチレン性不飽和、及び/又は三重結合を含み得る。ケイ素結合不飽和基の例示的な例としては、ケイ素結合アルケニル基及びケイ素結合アルキニル基が挙げられる。
具体的な実施形態において、オルガノポリシロキサン(A’’)は、一般式:
(R SiO1/2w’’(R SiO2/2x’’(RSiO3/2y’’(SiO4/2z’’ (III)
[式中、各Rは上に定義されており、各Rは、独立してR及び不飽和基から選択され、ただし、Rのうちの少なくとも2個は不飽和基であり、w’’、x’’、y’’、及びz’’は、w’’+x’’+y’’+z’’=1となるモル分率である。]を有する。当該技術分野において理解されるとおり、直鎖オルガノポリシロキサンでは、下付き文字y’’及びz’’は一般に0であるのに対し、樹脂では、下付き文字y’’及び/又はz’’は0より大きい。w’’、x’’、y’’、及びz’’に関し、様々な代替実施形態について以下に記載する。これらの実施形態において、下付き文字w’’は、0~0.9999、あるいは0~0.999、あるいは0~0.99、あるいは0~0.9、あるいは0.9~0.999、あるいは0.9~0.999、あるいは0.8~0.99、あるいは0.6~0.99の値であってよい。下付き文字x’’は、典型的には0~0.9、あるいは0~0.45、あるいは0~0.25の値である。下付き文字y’’は、典型的には0~0.99、あるいは0.25~0.8、あるいは0.5~0.8の値である。下付き文字z’’は、典型的には0~0.99、あるいは0~0.85、あるいは0.85~0.95、あるいは0.6~0.85、あるいは0.4~0.65、あるいは0.2~0.5、あるいは0.1~0.45、あるいは0~0.25、あるいは0~0.15の値である。
で表される不飽和基は、同じものでも異なっていてもよく、アルケニル基及びアルキニル基から独立して選択される。Rで表されるアルケニル基は、同一のものでも異なっていてもよく、上記のRの記載において定義され例示されるとおりである。Rで表されるアルキニル基は、同一のものでも異なっていてもよく、典型的には2~約10個の炭素原子、あるいは2~8個の炭素原子を有し、それには、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ヘキシニル基、及びオクチニル基が挙げられるが、これらに限定されない。
フリーラジカル硬化性シリコーン組成物は、(i)1分子当たり少なくとも1つのケイ素結合アルケニル基を有する少なくとも1種の有機ケイ素化合物、(ii)1分子当たり少なくとも1つの脂肪族炭素-炭素二重結合を有する少なくとも1種の有機化合物、(iii)1分子当たり少なくとも1つのケイ素結合アクリロイル基を有する少なくとも1種の有機ケイ素化合物;(iv)1分子当たり少なくとも1つのアクリロイル基を有する少なくとも1種の有機化合物;並びに(v)(i)、(ii)、(iii)及び(iv)を含む混合物、から選択される不飽和化合物を更に含むことができる。不飽和化合物は、直鎖、分枝鎖、又は環状構造を有することができる。
有機ケイ素化合物(i)は、オルガノシラン又はオルガノシロキサンであってよい。オルガノシランは、モノシラン、ジシラン、トリシラン、又はポリシランであってよい。同様に、オルガノシロキサンは、ジシロキサン、トリシロキサン、又はポリシロキサンであってよい。シクロシラン及びシクロシロキサンは、典型的には、3~12個のケイ素原子、あるいは3~10個のケイ素原子、あるいは3~4個のケイ素原子を有する。非環状ポリシラン及びポリシロキサンにおいて、ケイ素結合アルケニル基は、末端、側枝、又は末端及び側枝の両方の位置に位置することができる。
オルガノシランの具体例としては、下記の式:
ViSi、PhSiVi、MeSiVi、PhMeSiVi、PhSiVi、及びPhSi(CHCH=CH
[式中、Meはメチル、Phはフェニル、Viはビニルである。]を有するシランが挙げられるが、これらに限定されない。
オルガノシロキサンの具体例としては、下記の式:
PhSi(OSiMeVi)、Si(OSiMeVi)、MeSi(OSiMeVi)、及びPhSi(OSiMeVi)
[式中、Meはメチル、Viはビニル、Phはフェニルである。]を有するシロキサンが挙げられるが、これらに限定されない。
有機化合物は、1分子当たり少なくとも1個の脂肪族炭素-炭素二重結合を含む任意の有機化合物であってよく、ただし、その化合物は、オルガノポリシロキサン(A’’)が硬化してシリコーン樹脂フィルムを形成するのを妨げないものとする。有機化合物は、アルケン、ジエン、トリエン、又はポリエンであってよい。更に、非環状有機化合物において、炭素-炭素二重結合は、末端、側枝、又は末端とペンダントとの両方の位置に位置し得る。
有機化合物は、脂肪族炭素-炭素二重結合以外の、1つ以上の官能基を含んでいてもよい。好適な官能基の例としては、-O-、>C=O、-CHO、-CO-、-C≡N、-NO、>C=C<、-C≡C-、-F、-Cl、-Br、及び-Iが挙げられるが、これらに限定されない。本発明のフリーラジカル硬化性シリコーン組成物に使用する特定の不飽和有機化合物の好適性は、通常の実験によって容易に求めることができる。
脂肪族炭素-炭素二重結合を含む有機化合物の例としては、1,4-ジビニルベンゼン、1,3-ヘキサジエニルベンゼン、及び1,2-ジエテニルシクロブタンが挙げられるが、これらに限定されない。
不飽和化合物は、各々が上記のとおりの、単一の不飽和化合物であっても、2つ以上の異なる不飽和化合物を含む混合物であってもよい。例えば、不飽和化合物は、単一のオルガノシラン、2つの異なるオルガノシランの混合物、単一のオルガノシロキサン、2つの異なるオルガノシロキサンの混合物、オルガノシランとオルガノシロキサンとの混合物、単一の有機化合物、2つの異なる有機化合物の混合物、オルガノシランと有機化合物との混合物、又はオルガノシロキサンと有機化合物との混合物であってよい。
フリーラジカル開始剤(C’’)はフリーラジカルを生じる化合物であり、オルガノポリシロキサン(A’’)の重合を開始させるために利用される。典型的には、フリーラジカル開始剤(C’’)は、照射、熱により、及び/又は還元剤による還元により引き起こされる解離により、フリーラジカルを生じる。フリーラジカル開始剤(C’’)は、有機パーオキサイドであってもよい。有機パーオキサイドの例としては、ジアロイルパーオキサイド(ジベンゾイルパーオキサイド、ジ-p-クロロベンゾイルパーオキサイド、及びビス-2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド等)、ジアルキルパーオキサイド[ジ-t-ブチルパーオキサイド、及び2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン等]、ジアラルキルパーオキサイド(ジクミルパーオキサイド等)、アルキルアラルキルパーオキサイド[t-ブチルクミルパーオキサイド、及び1,4-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン等];並びにアルキルアリールパーオキサイド[t-ブチルパーベンゾエート、t-ブチルパーアセテート、及びt-ブチルパーオクトエート等]が挙げられる。
有機パーオキサイド(C’’)は、単一のパーオキサイドであっても、2つ以上の異なる有機パーオキサイドを含む混合物であってもよい。有機パーオキサイドの濃度は、オルガノポリシロキサン(A’’)の重量に基づいて、典型的には0.1~5重量%、あるいは0.2~2重量%である。
フリーラジカル硬化性シリコーン組成物は2部の組成物であってもよく、オルガノポリシロキサン(A’’)及びフリーラジカル開始剤(C’’)が、別個の部の中にある。
他の実施形態において、シリコーン組成物のうちの少なくとも1つは、開環反応硬化性シリコーン組成物を含む。様々な実施形態において、開環反応硬化性シリコーン組成物は、(A’’’)1分子当たり平均して少なくとも2個のエポキシ置換された基を有するオルガノポリシロキサン、及び(C’’’)硬化剤を含む。しかし、開環反応硬化性シリコーン組成物は、エポキシ官能性オルガノポリシロキサンに特に限定されない。開環反応硬化性シリコーン組成物の他の例としては、シラシクロブタン及び/又はベンゾシクロブテンを含むものが挙げられる。
オルガノポリシロキサン(A’’’)は直鎖、分枝鎖、環状又は樹脂性であってよい。特に、オルガノポリシロキサン(A’’’)は、上に開示されるオルガノポリシロキサン(A’)及び有機ケイ素化合物(B’)と同様に、M単位、D単位、T単位、及びQ単位の任意の組み合わせを含んでもよい。
特定のオルガノポリシロキサン(A’’’)は、本発明の方法中の多孔質3D物品及び層の所望の特性に基づいて選択されるものであってもよい。例えば、層はエラストマー、ゲル、樹脂等の形態が望ましい場合があり、シリコーン組成物の構成成分を選択することにより、当業者は様々な望ましい特性を実現することができる。
例えば、特定の実施形態において、オルガノポリシロキサン(A’’’)は、典型的にはT単位及び/又はQ単位を、M単位及び/又はD単位と組み合わせて含む、シリコーン樹脂を含む。オルガノポリシロキサン(A’’’)がシリコーン樹脂を含む場合、シリコーン樹脂は、DT樹脂、MT樹脂、MDT樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、DQ樹脂、MQ樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、又はMDQ樹脂であってよい。概して、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物が樹脂を含む場合、層及び得られる多孔質3D物品の剛性は増大する。
あるいは、他の実施形態において、オルガノポリシロキサン(A’’’)は、繰り返しD単位を含む。このようなオルガノポリシロキサンは実質的に直鎖であるが、T単位及び/又はQ単位に起因するいく分かの分枝鎖を含むことがある。あるいは、このようなオルガノポリシロキサンは直鎖である。これらの実施形態において、層及び得られる多孔質3D物品は、エラストマーである。
オルガノポリシロキサン(A’’’)のエポキシ置換された基は、側枝、末端、又は両方の位置に存在し得る。「エポキシ置換された基」は、概して酸素原子が炭素鎖又は環系の2個の隣接する炭素原子に直接結合した、1価の有機基、すなわちエポキシ置換基である。エポキシ置換有機基の例としては、2,3-エポキシプロピル基、3,4-エポキシブチル基、4,5-エポキシペンチル基、2-グリシドキシエチル基、3-グリシドキシプロピル基、4-グリシドキシブチル基、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピル基、2-(3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキシル)-2-メチルエチル基、2-(2,3-エポキシシクロペンチル)エチル基、及び3-(2,3-エポキシシクロペンチル)プロピル基が挙げられるが、これらに限定されない。
具体的な実施形態において、オルガノポリシロキサン(A’’’)は、一般式:
(R SiO1/2w’’’(R SiO2/2x’’’(RSiO3/2y’’’(SiO4/2z’’’ (IV)
[式中、各Rは上に定義されており、各Rは、独立してR及びエポキシ置換された基から選択され、ただし、Rのうちの少なくとも2つはエポキシ置換された基であり、w’’’、x’’、y’’’、及びz’’’は、w’’’+x’’’+y’’’+z’’’=1となるモル分率である。]を有する。当該技術分野において理解されるとおり、直鎖オルガノポリシロキサンでは、下付き文字y’’’及びz’’’は一般に0であるのに対し、樹脂では、下付き文字y’’’及び/又はz’’’は0より大きい。w’’’、x’’’、y’’’、及びz’’’に関し、様々な代替実施形態について以下に記載する。これらの実施形態において、下付き文字w’’’は、0~0.9999、あるいは0~0.999、あるいは0~0.99、あるいは0~0.9、あるいは0.9~0.999、あるいは0.9~0.999、あるいは0.8~0.99、あるいは0.6~0.99の値であってよい。下付き文字x’’’は、典型的には0~0.9、あるいは0~0.45、あるいは0~0.25の値である。下付き文字y’’’は、典型的には0~0.99、あるいは0.25~0.8、あるいは0.5~0.8の値である。下付き文字z’’’は、典型的には0~0.99、あるいは0~0.85、あるいは0.85~0.95、あるいは0.6~0.85、あるいは0.4~0.65、あるいは0.2~0.5、あるいは0.1~0.45、あるいは0~0.25、あるいは0~0.15の値である。
硬化剤(C’’’)は、オルガノポリシロキサン(A’’’)を硬化するのに好適な任意の硬化剤であってよい。その目的に好適な硬化剤(C’’’)の例としては、フェノール化合物、カルボン酸化合物、酸無水物、アミン化合物、アルコキシ基含有化合物、ヒドロキシル基含有化合物、又はそれらの混合物若しくはそれらの部分的反応生成物が挙げられる。より具体的には、硬化剤(C’’’)の例としては、3級アミン化合物(イミダゾール等)、4級アミン化合物、リン化合物(ホスフィン等)、アルミニウム化合物[有機アルミニウム化合物等];及びジルコニウム化合物[有機ジルコニウム化合物等]が挙げられる。更にまた、硬化剤若しくは硬化触媒のいずれか、又は硬化剤と硬化触媒との組み合わせを、硬化剤(C’’’)として用いてもよい。硬化剤(C’’’)はまた、光酸又は光酸発生化合物であってもよい。
硬化剤(C’’’)のオルガノポリシロキサン(A’’’)に対する比は、限定されない。特定の実施形態において、この比は、100重量部のオルガノポリシロキサン(A’’’)当たり、0.1~500重量部の硬化剤(C’’’)である。
他の実施形態において、シリコーン組成物のうちの少なくとも1つは、チオール-エン硬化性シリコーン組成物を含む。これらの実施形態において、チオール-エン硬化性シリコーン組成物は、典型的には、(A’’’’)1分子当たり平均して少なくとも2つのケイ素結合アルケニル基又はケイ素結合メルカプトアルキル基を有するオルガノポリシロキサン;(B’’’’)オルガノポリシロキサン(A’’’’)中のケイ素結合アルケニル基又はケイ素結合メルカプトアルキル基と反応することができる、1分子当たり平均して少なくとも2つのケイ素結合メルカプトアルキル基又はケイ素結合アルケニル基を有する有機ケイ素化合物;(C’’’’)触媒;及び(D’’’’)2つ以上のメルカプト基を含有する任意選択的な有機化合物、を含む。オルガノポリシロキサン(A’’’’)がケイ素結合アルケニル基を含む場合、有機ケイ素化合物(B’’’’)及び/又は有機化合物(D’’’’)は、ケイ素に結合した、かつ/又は有機化合物中に、1分子当たり少なくとも2つのメルカプト基を含み、オルガノポリシロキサン(A’’’’)がケイ素結合メルカプト基を含む場合、有機ケイ素化合物(B’’’’)は1分子当たり少なくとも2つのケイ素結合アルケニル基を含む。有機ケイ素化合物(B’’’’)及び/又は有機化合物(D’’’’)は、クロスリンカー又は架橋剤と呼ばれる場合がある。
触媒(C’’’’)は、オルガノポリシロキサン(A’’’’)と有機ケイ素化合物(B’’’’)及び/又は有機化合物(D’’’’)との間の反応を触媒するのに好適な任意の触媒であってもよい。典型的には、触媒(C’’’’)は、i)フリーラジカル触媒;ii)求核試薬;並びにiii)i)及びii)の組み合わせ、から選択される。触媒(C’’’’)としての使用に好適なフリーラジカル触媒としては、光で活性化するフリーラジカル触媒、熱で活性化するフリーラジカル触媒、室温でのフリーラジカル触媒[レドックス触媒及びアルキルボラン触媒等]、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。触媒(C’’’’)としての使用に好適な求核試薬としては、アミン、ホスフィン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
更に他の実施形態において、シリコーン組成物のうちの少なくとも1つは、水素化ケイ素-シラノール反応硬化性シリコーン組成物を含む。これらの実施形態において、水素化ケイ素-シラノール反応硬化性シリコーン組成物は、典型的には、(A’’’’’)1分子当たり平均して少なくとも2つのケイ素結合水素原子又は少なくとも2つのシリコーン結合ヒドロキシル基を有するオルガノポリシロキサン;(B’’’’’)オルガノポリシロキサン(A’’’’’)中のケイ素結合水素原子又はケイ素結合ヒドロキシル基と反応することができる、1分子当たり平均して少なくとも2つのケイ素結合ヒドロキシル基又は少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する有機ケイ素化合物;(C’’’’’)触媒;及び(D’’’’’)任意選択的な活性水素含有化合物、を含む。オルガノポリシロキサン(A’’’’’)がケイ素結合水素原子を含む場合、有機ケイ素化合物(B’’’’’)及び/又は有機化合物(D’’’’’)は、ケイ素に結合した、かつ/又は活性水素含有化合物中に、1分子当たり少なくとも2つのヒドロキシル基を含み、オルガノポリシロキサン(A’’’’’)がケイ素結合ヒドロキシル基を含む場合、有機ケイ素化合物(B’’’’’)は1分子当たり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を含む。有機ケイ素化合物(B’’’’’)及び/又は有機化合物(D’’’’’)は、クロスリンカー又は架橋剤と呼ばれる場合がある。
典型的には、触媒(C’’’’’)は、i)白金等のX族金属含有触媒;ii)塩基[金属水酸化物、アミン、又はホスフィン等];及びiii)これらの組み合わせ、から選択される。
このような水素化ケイ素-シラノール縮合硬化性シリコーン組成物の固化条件は、多様なものであり得る。典型的には、このような組成物を2部の系として混合し、続いて周囲条件下で硬化させる。しかし、固化中に熱を利用することもできる。
シリコーン組成物のいずれかは、任意選択的にかつ独立して、追加の成分又は構成成分を、特に、これらの成分又は構成成分により組成物のうちのオルガノシロキサンの硬化が妨げられない場合に、更に含んでもよい。追加の成分の例としては、充填剤、阻害剤、接着促進剤、染料、顔料、抗酸化剤、担体媒体、熱安定剤、難燃剤、チキソトロープ剤、流動制御剤、増量充填剤及び補強充填剤をはじめとする充填剤、並びに架橋剤が挙げられるが、これらに限定されない。様々な実施形態において、組成物は、セラミック粉末を更に含む。セラミック粉末の量は変化させることができ、利用される3Dプリンティングプロセスに応じたものでもよい。
添加剤のうちの1つ以上は、特定のシリコーン組成物の任意の好適な重量%、例えば、シリコーン組成物の約0.1重量%~約15重量%、約0.5重量%~約5重量%、又は約0.1重量%以下、約1重量%、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は約15重量%以上で存在することができる。
特定の実施形態において、シリコーン組成物は、剪断減粘性である。剪断減粘特性を有する組成物は、擬塑性と呼ばれる場合がある。当該技術分野において理解されるように、剪断減粘特性を有する組成物は、剪断歪み速度が速くなると、粘度が低下することを特徴とする。換言すれば、剪断減粘性組成物の場合、粘度と剪断歪みとは反比例する。シリコーン組成物が剪断減粘性である場合、シリコーン組成物は、特にノズル又はその他の吐出機構が利用される場合、プリンティングに特に十分に好適である。剪断減粘性シリコーン組成物の具体例は、Dow Corning Corporation(Midland,MI)から市販のXIAMETER(登録商標)9200LSRである。
特定の実施形態において、組成物、例えば第1の組成物、第2の組成物、及び/又は任意の追加の組成物のうちの少なくとも1つは、ポリマーを含む。ポリマーは、上記のシリコーンポリマーのいずれかであってもよい。あるいは、又は更に、ポリマーは、有機ポリマー又は樹脂を含んでもよい。あるいは更に、ポリマーは、有機シリコーンハイブリッドポリマーを含んでもよい。ポリマーは、媒体又は溶媒中に配置されてもよい。
ポリマーは、熱硬化性ポリマー若しくは樹脂、及び/又は熱可塑性ポリマー若しくは樹脂であってもよい。好適な熱硬化性樹脂及び/又は熱可塑性樹脂の例としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニル樹脂、ポリビニルエステル樹脂(すなわち、ビニルエステル樹脂)、及びポリウレタン樹脂、更にはこれらの変性物、及び組み合わせが挙げられる。加えて、エラストマー及び/又はゴムを未硬化の熱硬化性樹脂及び/又は熱可塑性樹脂に添加又は配合し、衝撃強度等の特定の特性を向上させることができる。
好適な熱硬化性樹脂及び/又は熱可塑性樹脂の他の具体例としては、ポリアミド(PA);ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリエステルなどのポリエステル;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンなどのポリオレフィン;スチレン樹脂;ポリオキシメチレン(POM);ポリカーボネート(PC);ポリメチレンメタクリレート(PMMA);ポリ塩化ビニル(PVC);ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリフェニレンエーテル(PPE);ポリイミド(PI);ポリアミドイミド(PAI);ポリエーテルイミド(PEI);ポリスルホン(PSU);ポリエーテルスルホン;ポリケトン(PK);ポリエーテルケトン(PEK);ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリエーテルケトンケトン(PEKK);ポリアリレート(PAR);ポリエーテルニトリル(PEN);レゾール型;尿素(例えば、メラミン型);フェノキシ樹脂;ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素化樹脂;ポリスチレン型、ポリオレフィン型、ポリウレタン型、ポリエステル型、ポリアミド型、ポリブタジエン型、ポリイソプレン型、フルオロ型などの熱可塑性エラストマー;並びにこれらのコポリマー、変性物、及び組み合わせが挙げられる。
特定の実施形態において、組成物、例えば第1の組成物、第2の組成物、及び/又は任意の追加の組成物のうちの少なくとも1つは、金属を含む。金属は、金属又は合金のいずれかであってもよく、液体又はスラリーであってもよい。典型的には、金属及び/又は金属のみを含む少なくとも1つの組成物を押出機内で融解し、結果的に押出成形プリント及び/又は積層させることができるよう、低融点の金属が使用される。いくつかの実施形態において、金属を含む多孔質セクションはプリンティングプロセス中に形成され、これにより、上記のとおりコイリング領域が生じる。あるいは、金属を含む多孔質ではないセクションがプリンティングプロセス中に形成され、機能性(例えば、構造的な支持、セクションの分離等)を追加するために多孔質体中にセクションとして組み込まれてもよい。金属が液体である場合、適切な固化条件及び/又は機序が利用される。このような固化条件には、十分に冷却すること、及び、液体金属が積層される基材上に既に現れている別のマテリアルとの固体合金を形成することが含まれる。いくつかの実施形態において、金属は、水又は非酸化性溶媒等の担体中の金属粒子のスラリーである。このスラリーは、それだけで、又は別の多孔質体の非多孔質セクションとして、多孔質セクション中にプリントすることができる。スラリーから形成されたプリントセクションは、レーザー融解、エッチング、及び/又は焼結等により更に処理することができる。
特定の実施形態において、組成物、例えば第1の組成物、第2の組成物、及び/又は任意の追加の組成物のうちの少なくとも1つは、スラリーを含む。一実施形態において、スラリーはセラミックスラリーである。セラミックスラリーは水により担持されてもよく、ポリマー等の1つ以上の結合剤と組み合わせてもよい。典型的には、セラミックスラリーは、担体(例えば水)の蒸発及び/又は乾燥により乾燥/固化させることができる。乾燥/固化したセラミックスラリーは、対流、熱伝導、又は輻射等により加熱することで、更に処理する又は強化させることができる。セラミックスラリーを形成するために使用され得るセラミックスとしては、様々な金属の酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、ケイ化物、並びにこれらの組み合わせ及び/又は変性物が挙げられる。いくつかの実施形態において、前述のように、スラリーは金属スラリーである。これらの又は他の実施形態において、スラリーはポリマースラリーを含むか、あるいはポリマースラリーである。ポリマースラリーは、典型的には、水又は有機溶媒のポリマー溶液又は分散体である。ポリマースラリーは任意の好適なポリマーを含んでもよい。典型的には、ポリマースラリーは周囲温度又は高温でのプリンティングのための粘度を有する。
上記の組成物のいずれも、特定のシリコーン組成物に関して上記のとおり、単一の部の組成物であっても、複数部の組成物であってもよい。特定の組成物は反応性が高いため、複数部の組成物により、構成成分の尚早な混合及び硬化が防止される。複数部の組成物は、組成物及びその構成成分の選択次第で、例えば、2部の系、3部の系等であってもよい。組成物の任意の構成成分が別個になっていて、残りの構成成分に関して個々に制御されてもよい。
特定の実施形態において、組成物が複数部の組成物である場合、複数部の組成物の別個の部を、プリンティング前及び/又はプリンティング中に吐出プリンティングノズル、例えば二重吐出プリンティングノズル中で混合してもよい。あるいは、別個の部を、プリンティング直前に組み合わせてもよい。あるいは更に、別個の部を、ノズルから吐出された後に、例えばプリンティングの細流(printing streams)を交差させることにより、又は層の形成の際に別個の部を混合することにより、組み合わせてもよい。
組成物は、様々な粘度とすることができる。特定の実施形態において、組成物の粘度は、25℃で、500センチストークス未満、250センチストークス未満、又は100センチストークス未満、あるいは粘度は、25℃で1~1,000,000センチストークス、あるいは25℃で1~100,000センチストークス、あるいは25℃で1~10,000センチストークスである。各組成物の1つ以上の構成成分の量及び/又は分子量を変えることにより、その組成物の粘度を変更することができる。粘度を調整し、ノズル又は装置の構成要素、特に、任意のノズル又は吐出機構に適合させ、熱、速度又はプリンティングに関連する他のパラメータを制御することができる。当該技術分野において容易に理解されるとおり、動粘度は、ASTM D-445(2011)、表題「Standard Test Method for Kinematic Viscosity of Transparent and Opaque Liquids(and Calculation of Dynamic Viscosity)」に従い測定することができる。
本明細書の開示から理解されるように、組成物は、プリンティングに好適な任意の形態、及び続いての、プリンティング後の固化に好適な任意の形態であってもよい。それゆえ、利用される各組成物は、独立して、液体、固体、又は半固体の形態であってもよい。例えば各組成物は、選択された特定の組成物及びプリンティング条件に応じて、かつ上記のとおり、細流及び/若しくは液滴の形成に好適な液体、粉末、並びに/又は熱融解性固体として利用されてもよい。
固化条件に加熱が含まれる場合、固化条件への曝露は、典型的には、層を高温で一定時間加熱することを含む。その高温及び一定時間は、特定のシリコーン組成物の選択、少なくとも部分的に固化した層の所望の架橋密度、層の寸法等をはじめとする数多くの要因に基づいて変更し得るものである。特定の実施形態において、高温を、室温超~500℃、あるいは30~450℃、あるいは30~350℃、あるいは30~300℃、あるいは30~250℃、あるいは40~200℃、あるいは50~150℃とする。これらの又は他の実施形態において、一定時間を、0.001~600分、あるいは0.04~60分、あるいは0.1~10分、あるいは0.1~5分、あるいは0.2~2分とする。
層を熱に曝露させるため、任意の熱源を利用してもよい。例えば、熱源を、対流式オーブン、急速熱加工、熱浴、ホットプレート、又は輻射熱とすることができる。更に所望により、上記で紹介したように、層を選択的に硬化させるために、ヒートマスク又は他の同様のデバイスを利用してもよい。
特定の実施形態において、加熱することは、(i)上に層をプリントする基材を介して伝導加熱すること、(ii)3Dプリンター又はその構成要素を介してシリコーン組成物を加熱すること、(iii)赤外線加熱すること、(iv)高周波又はマイクロ波加熱すること、(v)伝熱流体による加熱用浴、(vi)シリコーン組成物の発熱反応により加熱すること、(vii)磁気加熱すること、(viii)電場振動で加熱すること、及び(ix)これらの組み合わせ、から選択される。本方法が、例えば各個々の層に関連して2つ以上の加熱工程を含む場合、各加熱工程は独立して選択される。
このような加熱技術は、当該技術分野において公知である。例えば、伝熱流体は概して不活性流体、例えば水であり、シリコーン組成物をプリントする際に層を取り囲み層と接触することができ、それにより、層の少なくとも部分的な硬化が開始される。(ii)3Dプリンター又はその構成要素を介してシリコーン組成物を加熱することに関して、シリコーン組成物の任意の部分を加熱して残りの部分と組み合わせてもよく、又はシリコーン組成物全体を加熱してもよい。例えば、シリコーン組成物の一部分(例えば1つの構成成分)を加熱してもよく、残りの部分と組み合わせると、シリコーン組成物の硬化が開始される。加熱された部分と残りの部分とを組み合わせるのは、シリコーン組成物をプリントする工程前でも、工程中でも、かつ/又は工程後でもよい。構成成分を別個にプリントしてもよい。
あるいは、又は更に、固化条件は照射への曝露であってもよい。
照射のために独立して利用されるエネルギー源は、電磁スペクトル全域の様々な波長を発し得る。様々な実施形態において、エネルギー源は、紫外線(UV)、マイクロ波放射、高周波放射、赤外線(IR)、可視光線、X線、γ線、振動電場、又は電子線(eビーム)のうちの少なくとも1つを発する。1つ以上のエネルギー源を用いてもよい。
特定の実施形態において、エネルギー源は、少なくとも紫外線を発する。物理学では、紫外線は伝統的に4つの領域、すなわち、近紫外線(400~300nm)、中間紫外線(300~200nm)、遠紫外線(200~100nm)、及び極紫外線(100nm未満)に区分される。生物学では、紫外線に関して3つの従来の区分、すなわち、近紫外線(400~315nm)、化学線(315~200nm)、及び真空紫外線(200nm未満)、として観察されてきた。特定の実施形態において、エネルギー源は、紫外線、あるいは化学線を発する。用語UVA、UVB、及びUVCもまた、紫外線の異なる波長範囲を説明するため、業界においてよく知られている。
特定の実施形態において、層を硬化させるのに用いられる放射線は、紫外線の範囲外の波長であってもよい。例えば、波長が400nm~800nmの可視光線を用いることができる。別の例としては、800nmを超える波長の赤外線を用いることができる。
他の実施形態において、電子線を層の硬化に用いることができる。これらの実施形態において、加速電圧は約0.1~約10MeVとすることができ、真空度は約10~約10-3Paとすることができ、電流は約0.0001~約1アンペアとすることができ、かつ電力は約0.1ワット~約1キロワットで変化させることができる。線量は、典型的には約100μクーロン/cm~約100クーロン/cm、あるいは約1~約10クーロン/cmである。電圧に応じ、暴露の時間は、典型的には約10秒~1時間であるが、更に短いか又は更に長い暴露時間もまた用いることができる。
実施形態1は、ノズルを備えた装置で多孔質三次元(3D)物品を形成する方法であって、
I)第1の組成物を装置のノズルで基材上にプリントし、第1の組成物を含む少なくとも1つの第1のフィラメントを形成することであって、
基材及びノズルは互いにある距離だけ離間しており、基材及びノズルのうちの少なくとも1つは、工程I)中、他方に対してある速度で移動する、形成すること、
II)少なくとも1つの第1のフィラメントが基材上でコイル状となり、基材上に第1の層を与えるように距離及び/又は速度を選択的に制御することであって、第1の層がコイル状フィラメントを含み、コイル状フィラメントはある幅及びある周期長を有する、
任意選択的に、工程I)及びII)を、任意の追加の層のために独立して選択された組成物を用いて繰り返す、制御すること、及び
III)層を固化条件に曝露させること、を含み、
多孔質三次元(3D)物品は、複数の空隙を画定する、方法に関する。
実施形態2は、
IV)第2の組成物を装置のノズルでプリントし、第2の組成物を含む少なくとも1つの第2のフィラメントを第1の層上に形成することであって、
第1の層及びノズルは互いにある距離だけ離間しており、基材及びノズルのうちの少なくとも1つは、工程IV)中、他方に対してある速度で移動する、形成すること、
V)少なくとも1つの第2のフィラメントが第1の層上でコイル状となり、第1の層上に第2の層を与えるように距離及び/又は速度を選択的に制御することであって、第2の層が第2のコイル状フィラメントを含み、第2のコイル状フィラメントはある幅及びある周期長を有する、制御すること、を更に含む、実施形態1に記載の方法に関する。
実施形態3は、(i)少なくとも第1及び第2のフィラメントにより複数の空隙が画定される、(ii)第1及び第2のフィラメントは互いに同じであり連続している、(iii)少なくとも第1及び第2のフィラメントは複数の空隙を含む、(iv)第1及び/若しくは第2のフィラメントは中空である、又は(v)(i)~(iv)の任意の組み合わせである、実施形態2に記載の方法に関する。
実施形態4は、コイル状フィラメントの所望の幅及び/又は所望の周期長を決定することであって、コイル状フィラメントの幅が所望の幅であり、かつ/又はコイル状フィラメントの周期長が所望の周期長であるように、工程II)にて距離及び/又は速度が選択的に制御されること、を更に含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法に関する。
実施形態5は、II)において距離及び/又は速度を選択的に制御するためのパラメータを確立するため、第1の組成物をノズルでプリントする際に、ノズル及び第1の組成物の速度を距離の関数として最初にプロットすること、を更に含む、実施形態4に記載の方法に関する。
実施形態6は、(i)複数の空隙が連続気泡である、(ii)複数の空隙が独立気泡である、又は(iii)(i)及び(ii)の組み合わせである、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法に関する。
実施形態7は、工程I)及びII)を独立して選択された組成物を用いて繰り返す前に工程III)が実施される、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法に関する。
実施形態8は、固化条件が、(i)水分への曝露、(ii)熱への曝露、(iii)照射への曝露、(iv)周囲温度の低下、(v)溶媒への曝露、(vi)機械的振動への曝露、又は(i)~(vi)の任意の組み合わせから選択される、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法に関する。
実施形態9は、(i)第1の組成物が、(a)シリコーン組成物、(b)ポリマー、(c)金属、(d)スラリー、若しくは(e)これらの組み合わせを含む、又は、(ii)第1の組成物が、(a)ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物、(b)縮合硬化性シリコーン組成物、(c)フリーラジカル硬化性シリコーン組成物、及び(d)開環反応硬化性シリコーン組成物、から選択されるシリコーン組成物を含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法に関する。
実施形態10は、(i)装置が3Dプリンターを含む、又は、(ii)装置が、溶融フィラメント製造プリンター(a fused filament fabrication printer)、熱溶融積層モデリングプリンター(a fused deposition modeling printer)、直接的インク積層プリンター(a direct ink deposition printer)、選択的レーザー焼結プリンター(a selective laser sintering printer)、選択的レーザー融解プリンター(a selective laser melting printer)、ステレオリソグラフィプリンター、粉末層(バインダージェット)プリンター(a powder bed (binder jet) printer)、マテリアルジェットプリンター(a material jet printer)、直接金属レーザー焼結プリンター(a direct metal laser sintering printer)、電子線融解プリンター(an electron beam melting printer)、積層対象物製造積層プリンター(a laminated object manufacturing deposition printer)、指向性エネルギー積層プリンター(a directed energy deposition printer)、レーザー粉末形成プリンター(a laser powder forming printer)、ポリジェットプリンター(a polyjet printer)、インクジェッティングプリンター(an ink-jetting printer)、マテリアルジェッティングプリンター(a material jetting printer)、及びシリンジ押出成形プリンター(a syringe extrusion printer)から選択される3Dプリンターを含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法に関する。
実施形態11は、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法に従い形成した、多孔質三次元(3D)物品に関する。
添付の特許請求の範囲は、詳細な説明に記載されている表現、及び特定の化合物、組成物又は方法に限定されず、これらは、添付の特許請求の範囲内にある特定の実施形態の間で変化し得ることが、理解されるべきである。本明細書で様々な実施形態の具体的な特徴又は態様の記述が依拠している任意のマーカッシュ群に関して、異なる、特殊な及び/又は不測の結果が、全ての他のマーカッシュ群の要素から独立して、それぞれのマーカッシュ群の各要素から得られる場合がある。マーカッシュ群の各要素は、個々に、及び、又は組み合わされて依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態を十分に裏付けることができる。更に、本発明の様々な実施形態を説明する際に依拠とされる任意の範囲及び部分範囲は、独立して及び包括的に、添付の特許請求の範囲内に入り、本明細書にその中の全部及び/又は一部の値が明記されていなくても、そのような値を包含する全範囲を説明及び想到するものと理解される。当業者であれば、列挙された範囲及び部分的範囲が、本発明の様々な実施形態を十分に説明し、可能にし、そのような範囲及び部分的範囲は、更に関連性がある2等分、3等分、4等分、5等分などに描かれ得ることを容易に認識する。単なる一例として、「0.1~0.9」の範囲は、更に、下方の3分の1、すなわち、0.1~0.3、中央の3分の1、すなわち、0.4~0.6、及び上方の3分の1、すなわち、0.7~0.9に描かれ得、これらは、個々に、及び包括的に、添付の特許請求の範囲内であり、個々に、及び/又は包括的に依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態を十分に裏付けることができる。更に、範囲を定義する、又は修飾する言葉、例えば「少なくとも」、「超」「未満」「以下」等に関して、そのような言葉は、部分範囲及び/又は上限若しくは下限を含むと理解されるべきである。別の例として、「少なくとも10」の範囲は、少なくとも10~35の部分範囲、少なくとも10~25の部分範囲、25~35の部分範囲等を本質的に含み、各部分範囲は、個々に、及び/又は包括的に依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態を十分に裏付けるものである。最終的に、開示した範囲内の個々の数が依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態を十分に裏付けることができる。例えば、「1~9」の範囲は、様々な個々の整数、例えば3、並びに、小数点を含む個々の数(又は分数)、例えば4.1を含み、これは、依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態を十分に裏付けることができる。
組成物及びその反応生成物を例示する下記の実施例は、本発明の例示を意図するものであり、本発明の限定を意図するものではない。
一般的手順
以下の実施例の各々において、多孔質3D物品を、本発明の方法に従い形成する。具体的には、多孔質3D物品は、湿度が約50%である、湿度制御されたエンクロージャ(アクリル系プラスチック)内の装置(ViscoTec Pumpen-u.Dosiertechnik GmbH(Toeging am Inn,Germany)から各々入手可能なノズル及びeco-CONTROL controllerを備えたpreeflow(登録商標)eco-PEN 450 dispenserから構成される)で形成する。この装置は、ディスペンサーのノズルに接続された直径(D)を有するノズルチップ(Nordson Corporation(Weslake,Ohio)から入手可能なSmoothFlow(登録商標)Tapered Tip)を備える。第1の組成物(Midland、MichiganのDow Corning Corporationから入手可能な、オキシム硬化シリコーンシーラントである737 Neutral Cure Sealant)を空気加圧シリンジバレル(air pressurized syringe barrel)(clear Optimum(登録商標)、これもまたNordson Corporationから入手可能)を介してディスペンサーに導入し、装置のノズルで基材(295×295mmのガラス又はアルミニウムの平坦なビルドプレート)上にプリントして、第1のフィラメントを形成する。第1の組成物のプリンティング中、基材及びノズルは選択的に制御した距離(H)だけ離間しており、基材及びノズルのうちの少なくとも1つは、フィラメントが基材上でコイル状となり、基材上に幅(W)及び周期長(P)を有するコイル状フィラメントを含む第1の層を与えるよう、他方に対して選択的に制御した速度(U)で移動する。続いて、第1の層を固化条件に曝露させ、多孔質3D物品を形成する。
製造実施例1~6:
多孔質3D物品を、上記の一般的手順に従い製造する。製造実施例1~6の各々において、第1の組成物を基材上にプリントする最中にコイル状フィラメントを目視検査し、コイリングパターンを割り当てる。以下の表1は、製造実施例1~6にて利用した様々なパラメータ、更にはその関連するプリンティング工程中に観察されたコイリングパターンを示す。
Figure 0007202311000002
製造実施例1~6で観察したコイリングパターンの写真を、それぞれ図5.1~図5.6に示す。
製造実施例7~10:
多孔質3D物品を、上記の一般的手順に従い製造する。以下の表2は、製造実施例7~10で利用された様々なパラメータを示す。
Figure 0007202311000003
製造実施例7~10の各々において、多様な距離(H)及び(U)にてコイル状フィラメントを目視検査し、コイリングパターンを割り当てる。続いて、コイリングパターン、距離(H)、及び速度(U)を分析し、フィラメントが、多様な距離(H)及び速度(U)にて観察したコイリングパターン間の境界を示すかどうかを判断する。特に、以下に更に詳細に記載するように、コイリングパターン、距離(H)、及び速度(U)を、レジームダイアグラムにおいて互いに対してプロットする。製造実施例7~10のレジームダイアグラムを、それぞれ図6.1~図6.4に示す。各レジームダイアグラムにおいて、プロットした線A~Cは、観察したコイリングパターン(製造実施例1~6に関して記載した、図5に示すようなもの)間の境界を表すものである。特に、線Aは、定常の非コイリング積層と非定常コイリングパターンとの間の境界を表し、線Bは、非定常コイリングパターンと8の字コイリングパターンとの間の境界を表し、線Cは、8の字コイリングパターンと定常コイリングパターンとの間の境界を表す。線AとBとの間には、3つの異なる非定常コイリングゾーンが観察される:蛇行ゾーン、サイドキックゾーン、及び不確定ゾーンである。
続いて、各ノズル直径(D)のレジームダイアグラムを重ねて組み合わせレジームダイアグラムを作成し、これを分析して操作可能なウィンドウを決定する。特に、製造実施例7のレジームダイアグラムを製造実施例8のレジームダイアグラムと重ね、図6.5に示す組み合わせレジームダイアグラム7~8を形成する。同じく、製造実施例9のレジームダイアグラムを製造実施例10のレジームダイアグラムと重ね、図6.6に示す組み合わせレジームダイアグラム9~10を形成する。組み合わせレジームダイアグラムの各々において、基材プレートに対するノズルの走行速度を増加させる又は減少させる実験間にはヒステリシスゾーンが観察され、これらの実験では、定常コイリングゾーン、8の字コイリングゾーン、非定常コイリングゾーン、及び定常非コイリングゾーンの分布は、互いに一致しない。
一般に、図6.1~6.6の各々は、特定のノズル直径(D)及び組成物に関するプロットの例示的な例を示すものである。速度(U)は、特定のノズル直径(D)及び組成物に関して、距離(H)の関数としてプロットされている。図6に明確に示されるように、分析した特定のノズル及び組成物に関しては、定常コイリングゾーンは、定常非コイリングゾーンに関連する速度よりも遅い速度にて出現した。コイリングが見られない定常非コイリングゾーンと、コイリングが予測どおりに示される定常コイリングゾーンとの間には、予測不能なコイリングゾーンが存在する。これらの予測不能なコイリングゾーンでは、結果として、フィラメントにより形成されるコイルの8の字、蛇行、及び/又はサイドキックが1つ以上形成され得る。ゾーン分布は、単に、ノズルの走行速度がどのように変化するかに応じてヒステリシスゾーンがいくつか存在するために一致しないにすぎない。本発明の方法の目的のため、プリンティングを、示されるような予測どおりのコイリング、及び/又は予測不能なコイリングと関連付けることができる。
図6.1~図6.6の各々は、単に、既知のノズル直径(D)、既知の組成物(及びその粘度)に関して、速度(U)を距離(H)の関数としてプロットした例示的な例にすぎない。従って、図6のプロットは、プリンティング中に距離及び/又は速度を選択的に制御するためのパラメータを確立する方法の実例である。同じノズル及び第1の組成物で再びプリントする場合、又はプリントするのであれば、この情報は概して既に知られているため、この試験プロッティングは必要ではない場合がある。速度及び/又は距離を選択的に制御することにより、結果として、コイル状フィラメントの幅(W)が所望の幅(W)となり、かつ/又はコイル状フィラメントの周期長(P)が所望の周期長(P)となる。
本発明は、実例となる様式で本明細書に記載されており、使用されている用語は限定目的よりも、むしろ説明のための言葉としての性質が意図されているものと理解されるべきである。本発明の多くの修正形態及び変形形態が、上記教示を踏まえて可能である。本発明は、添付の特許請求の範囲内に具体的に記載されているもの以外に、他の方法で実行してもよい。独立請求項及び従属請求項、単一及び複数の従属請求項の両方の、主題の全ての組み合わせが、本明細書において明確に想定されている。

Claims (9)

  1. ノズルを備えた装置で多孔質三次元(3D)物品を形成する方法であって、
    I)第1の組成物を前記装置の前記ノズルで基材上にプリントし、前記第1の組成物を含む少なくとも1つの第1のフィラメントを形成することであって、
    前記基材及び前記ノズルは互いにある距離だけ離間しており、前記基材及び前記ノズルのうちの少なくとも1つは、工程I)中、他方に対してある速度で移動する、形成すること、
    II)前記少なくとも1つの第1のフィラメントが前記基材上でコイル状となり、前記基材上に第1の層を与えるように前記距離及び/又は前記速度を選択的に制御することであって、前記第1の層がコイル状フィラメントを含み、前記コイル状フィラメントはある幅及びある周期長を有する、
    任意選択的に、工程I)及びII)を、任意の追加の層のために独立して選択された組成物を用いて繰り返す、制御すること、並びに
    III)前記層を固化条件に曝露させること、
    を含み、
    前記多孔質三次元(3D)物品は、複数の空隙を画定し、
    ここで、前記II)における距離及び/又は速度の選択的な制御が、
    最初にノズル及び第1の組成物の速度を距離の関数としてプロットすること、
    コイリングパターン、距離、及び速度を互いに対してプロットして、レジームダイアグラムを得ること、及び
    レジームダイアグラムにおける定常コイリングゾーンを、コイル状フィラメントの形成が予測どおりのコイリングを含むように決定すること、を含む
    方法。
  2. IV)第2の組成物を前記装置の前記ノズルでプリントし、前記第2の組成物を含む少なくとも1つの第2のフィラメントを前記第1の層上に形成することであって、
    前記第1の層及び前記ノズルは互いにある距離だけ離間しており、前記基材及び前記ノズルのうちの少なくとも1つは、工程IV)中、他方に対してある速度で移動する、形成すること、
    V)前記少なくとも1つの第2のフィラメントが前記第1の層上でコイル状となり、前記第1の層上に第2の層を与えるように前記距離及び/又は前記速度を選択的に制御することであって、前記第2の層が第2のコイル状フィラメントを含み、前記第2のコイル状フィラメントはある幅及びある周期長を有する、制御すること、
    を更に含む、請求項1に記載の方法。
  3. (i)少なくとも前記第1及び第2のフィラメントにより前記複数の空隙が画定される、(ii)前記第1及び第2のフィラメントは互いに同じであり連続している、(iii)少なくとも前記第1及び第2のフィラメントは前記複数の空隙を含む、(iv)前記第1及び/若しくは第2のフィラメントは中空である、又は(v)(i)~(iv)の任意の組み合わせである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記コイル状フィラメントの所望の幅及び/又は所望の周期長を決定することであって、前記コイル状フィラメントの前記幅が前記所望の幅であり、かつ/又は前記コイル状フィラメントの前記周期長が前記所望の周期長であるように、工程II)にて前記距離及び/又は前記速度が選択的に制御される、決定すること、を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. (i)前記複数の空隙が連続気泡である、(ii)前記複数の空隙が独立気泡である、又は(iii)(i)及び(ii)の組み合わせである、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  6. 工程I)及びII)を独立して選択された組成物を用いて繰り返す前に工程III)が実施される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記固化条件が、(i)水分への曝露、(ii)熱への曝露、(iii)照射への曝露、(iv)周囲温度の低下、(v)溶媒への曝露、(vi)機械的振動への曝露、又は(i)~(vi)の任意の組み合わせから選択される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  8. (i)前記第1の組成物が、(a)シリコーン組成物、(b)ポリマー、(c)金属、(d)スラリー、若しくは(e)これらの組み合わせを含む、又は、(ii)前記第1の組成物が、(a)ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物、(b)縮合硬化性シリコーン組成物、(c)フリーラジカル硬化性シリコーン組成物、及び(d)開環反応硬化性シリコーン組成物、から選択されるシリコーン組成物を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  9. (i)前記装置が3Dプリンターを含む、又は、(ii)前記装置が、溶融フィラメント製造プリンター、熱溶融積層モデリングプリンター、直接的インク積層プリンター、選択的レーザー焼結プリンター、選択的レーザー融解プリンター、ステレオリソグラフィプリンター、粉末層(バインダージェット)プリンター、マテリアルジェットプリンター、直接金属レーザー焼結プリンター、電子線融解プリンター、積層対象物製造積層プリンター、指向性エネルギー積層プリンター、レーザー粉末形成プリンター、ポリジェットプリンター、インクジェッティングプリンター、マテリアルジェッティングプリンター、及びシリンジ押出成形プリンターから選択される3Dプリンターを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
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