(第1実施形態)
以下、図1から図8を用いて、本発明の第1実施形態に係る骨格部材構造について説明する。なお、以下の図において、矢印FRは車両前方側を示し、矢印INは車両幅方向内側を示し、矢印UPは車両上方側を示す。
図1には、第1実施形態に係る骨格部材構造としてのルーフセンタリンフォース10が示されている。ルーフセンタリンフォース10は、車両上部において車幅方向を長手方向として長尺状に形成されている。ルーフセンタリンフォース10は、図2に示されるように、車両上部の車幅方向両端部に車両前後方向に沿って延設された一対のルーフサイドレール12に跨って配設されたルーフパネル14の車両下方側に配置されている。ルーフセンタリンフォース10は、その上面が接着剤AD(図6参照)によりルーフパネル14の下面に接着されている。
一対のルーフサイドレール12は、各々車幅方向内側部分を形成するレールインナパネル16と、車幅方向外側部分を形成するレールアウタパネル18と、を含んで構成されている。また、車幅方向両側のレールアウタパネル18の車両下方側には、レールアウタパネル18に沿って形成されたアウタリンフォース20が各々配置されている。
車幅方向両側のレールインナパネル16は、各々鋼板をプレス成形することにより形成されており、レールアウタパネル18のアウタ本体部(図示省略)と閉断面形状を形成するインナ本体部16Aを備えている。車幅方向両側のインナ本体部16Aは、車幅方向内側の上端部から車幅方向外側の下端部へ向けて延在されており、車幅方向かつ車両上下方向に沿って切断した断面が、車両正面視で略山形状に各々形成されている。また、車幅方向両側のインナ本体部16Aの車幅方向内側の上端部から車幅方向内側へ向けてインナ内側フランジ16Bが各々延出されると共に、インナ本体部16Aの車幅方向外側端部には図示しないインナ外側フランジが各々延出されている。
車幅方向両側のレールアウタパネル18は、各々鋼板をプレス成形することによって形成されており、レールインナパネル16のインナ本体部16Aと閉断面形状を形成するアウタ本体部(図示省略)を備えている。レールアウタパネル18は、車幅方向かつ車両上下方向に切断された断面が、正面視で車幅方向内側かつ車両下方側に開放された略ハット状に形成されている。また、車幅方向両側のアウタ本体部の車幅方向内側端部から車幅方向内側へ向けてアウタ内側フランジ18Aが各々延出されると共に、アウタ本体部の車幅方向外側端部にはアウタ外側フランジ(図示省略)が各々延出されている。
車幅方向両側のアウタリンフォース20の車幅方向内端部には、車幅方向内側へ向けて内側フランジ20Aが延出されている。アウタ内側フランジ18A、内側フランジ20A及びインナ内側フランジ16Bは、重ね合わされてスポット溶接などにより接合されている。これにより、ルーフサイドレール12は、閉断面構造に形成されている。
ルーフパネル14は、その車幅方向両端部がアウタ内側フランジ18Aとインナ内側フランジ16Bの接合部分よりも車幅方向外側の部分において一対のレールアウタパネル18に接着又は溶着により接合されている。また、レールアウタパネル18の車両上方側には、レールアウタパネル18とルーフパネル14の接合部分を覆うように車両前後方向に沿って延在されたガーニッシュ(図示省略)が配置されている。
図1に示されるように、ルーフセンタリンフォース10の車幅方向両端部には、別部材としての金属製の一対のブラケット24を締結するための締結部30が各々形成されている。一対のブラケット24は、締結部30の車両下方側から各々ルーフセンタリンフォース10に締結されている。ここで、一対のブラケット24が各々締結される締結部30の下面は締結面32とされている。
一対のブラケット24の車幅方向内側部分は、各々車両前方側に前側フランジ部24Aと車両後方側に後側フランジ部24Bを各々備えると共に前側フランジ部24Aと後側フランジ部24Bの車両下方側に底板部24Cを各々備えている。また、一対のブラケット24には、前側フランジ部24Aの後端部と底板部24Cの前端部との間を繋ぐ側壁部24Dと後側フランジ部24Bの前端部と底板部24Cの後端部との間を繋ぐ側壁部24Dが各々形成されている。このため、ブラケット24の車幅方向内側部分は側面視で略逆ハット状に形成されている。
締結部30の車幅方向外側端部の下端側(締結面32の側)には、第1貫通孔36が貫通形成されている。ルーフセンタリンフォース10の車幅方向両端部は、ブラケット24の底板部24Cに貫通形成された孔と第1貫通孔36とに貫通配置されたかしめナット38とボルト40により一対のブラケット24と各々締結されている。
締結部30の下端側における第1貫通孔36の車幅方向内側には、第2貫通孔42が貫通形成されている。ルーフセンタリンフォース10は、ブラケット24の底板部24Cに形成された孔と第2貫通孔42に挿通されたリベット44によりブラケット24と締結されている。
図2に示されるように、ブラケット24の車幅方向外側部分24Eは、ルーフサイドレール12の車幅方向内側部分を形成するレールインナパネル16に沿って車両下方側へ向けて延在されると共にレールインナパネル16にスポット溶接等により接合されている。
図3に示されるように、ルーフセンタリンフォース10は、中空状に形成された中空部材50と中空部材50の内周面56に沿って平滑な板状に形成された補強部材としての第1補強部材60と第2補強部材62を含んで構成されている。中空部材50は、車両前後方向かつ車両上下方向に沿って切断した断面形状が中空状に形成されている。具体的には、車両前方側において断面形状が略四角形状に形成されると共に長手方向(車幅方向)に沿って延在された第1中空部50Aが形成されている。また、第1中空部50Aの車両後方側には、断面形状が略四角形状に形成されると共に長手方向に沿って延在された第2中空部50Bが形成されている。
第1中空部50Aの後端部と第2中空部50Bの前端部の間には、中空部材50の下端部側から上端部側に亘って車両上下方向に沿って延在された中央リブ部50Cが形成されている。中央リブ部50Cは、中空部材50の長手方向(車幅方向)の全長に亘って形成されている。このため、中空部材50の中空部分は、中央リブ部50Cにより中央リブ部50Cの車両前方側の第1中空部50Aと中央リブ部50Cの車両後方側の第2中空部50Bに区切られている。これにより、中空部材50は、中央リブ部50Cを備えることにより中央リブ部50Cが形成されない場合と比べて曲げ剛性とせん断剛性を向上させることができる。
第1中空部50A側の内周面56のうち、車両下方側の面が第1下側内周面56Aとされ、車両上方側の面が第1上側内周面56Bとされている。また、第1中空部50A側かつ中央リブ部50C側の内周面56が第1リブ側内周面56Cとされている。第2中空部50B側の内周面56のうち、車両下方側の面が第2下側内周面56Dとされ、車両上方側の面が第2上側内周面56Eとされている。また、第2中空部50A側かつ中央リブ部50C側の内周面56が第2リブ側内周面56Fとされている。
中空部材50は、繊維強化樹脂により形成された第1強化樹脂52により構成されている。具体的には、第1強化樹脂52は、切断された炭素繊維が樹脂中に分散されてシート状に形成された炭素繊維強化シート成形複合材料(C-SMC;Carbon fiber reinforced Sheet Molding Compound)により構成されている。
中空部材50の上面側と下面側には、繊維強化樹脂により形成された第2強化樹脂54が配置されている。第2強化樹脂54は、中空部材50の上面側と下面側において各々長手方向(車幅方向)に沿って延在されている。第2強化樹脂54には、一方向に配列された繊維(例えば、炭素繊維)に樹脂(例えば、エポキシ樹脂)が含侵されてシート状に形成された単一方向性強化繊維を用いた繊維強化樹脂(UD; Uni-Directional Prepreg)が用いられている。第2強化樹脂54の炭素繊維は、車幅方向(ルーフセンタリンフォース10の長手方向)と一致するように配向されている。これにより、ルーフセンタリンフォース10(中空部材50)の車幅方向両端部から負荷される曲げモーメントに対する曲げ剛性を向上させることができる。
締結部30の第1中空部50A側には、ブラケット24が締結される側(車両下方側)の第1下側内周面56Aから第1リブ側内周面56Cの車両下方側に亘って第1補強部材60が配置されている。また、締結部30の第2中空部50B側には、ブラケット24が締結される側(車両下方側)の第2下側内周面56Dから第2リブ側内周面56Fの車両下方側に亘って第1補強部材60が配置されている。第1補強部材60は内周面56に沿った平滑な板状に形成されている。このため、第1中空部50A側と第2中空部50B側の第1補強部材60は、各々車両側面視で略山形状に形成されている。
図4には、第1補強部材60の斜視図が示されている。第1補強部材60は、FRPにより構成されている。このため、ルーフセンタリンフォース10の締結部の剛性(曲げ剛性、せん断剛性)を向上しかつルーフセンタリンフォース10を軽量にすることができる。第1補強部材60は、中空部材50の内周面56に沿って配置されると共に略板状に形成された横壁部60Aと中央リブ部50Cに沿って配置されると共に略板状に形成された縦壁部60Bを備えている。
横壁部60Aと縦壁部60Bには、孔部60Cが貫通形成されている。横壁部60Aには、ルーフセンタリンフォース10の第1貫通孔36と第2貫通孔42を形成する部分に加えてこれらとは別の部分にも孔部60Cが貫通形成されている。図5に示されるように、第1補強部材60と中空部材50は一体で成形されるため、中空部材50側の樹脂が孔部60Cから第1補強部材60側に回り込むことにより回込部60Dが形成される。このため、第1補強部材60と中空部材50を構成する樹脂との接触部分を増加させることができると共に第1補強部材60と中空部材50との勘合性を向上することができる。これにより、第1補強部材60と中空部材50の接合強度を向上させることができる。
横壁部60Aと縦壁部60Bの周縁部には、切欠部60Eが形成されている。このため、ルーフセンタリンフォース10の成形の際に、第1補強部材60と中空部材50との接触部分を増加させることができる。これにより、第1補強部材60と中空部材50の接合強度を向上させることができる。
図3に示されるように、締結部30の第1中空部50A側には、車両上方側の第1上側内周面56Bから第1リブ側内周面56Cの車両上方側に亘って補強部材としての第2補強部材62が配置されている。また、締結部30の第2中空部50B側には、車両上方側の第2上側内周面56Eから第2リブ側内周面56Fの車両上方側に亘って第2補強部材62が配置されている。第2補強部材62は内周面56に沿った平滑な板状に形成されている。このため、第1中空部50A側と第2中空部50B側の第2補強部材62は、各々車両側面視で略山形状に形成されている。
第2補強部材62は、図4に示されるように、第1補強部材60と同様に横壁部62Aと縦壁部62Bを備えると共にFRPにより構成されている。また、第2補強部材62の横壁部62Aと縦壁部62Bには、孔部62Cが貫通形成されると共に周縁部には切欠部62Dが形成されている。
図6に示されるように、ルーフセンタリンフォース10の車幅方向略中央部の第1中空部50A側には、第1下側内周面56Aから第1リブ側内周面56Cの車両下方側に亘って第2補強部材62が配置されている。また、第1上側内周面56Bから第1リブ側内周面56Cの車両上方側に亘って第2補強部材62が配置されている。
ルーフセンタリンフォース10の車幅方向略中央部の第2中空部50B側には、第2下側内周面56Dから第2リブ側内周面56Fの車両下方側に亘って第2補強部材62が配置されている。また、第2上側内周面56Eから第2リブ側内周面56Fの車両上方側に亘って第2補強部材62が配置されている。
(ルーフセンタリンフォースの成形方法)
ルーフセンタリンフォース10は、いわゆる内圧成形により成形することができる。ここでは、3つの工程により構成された内圧成形によりルーフセンタリンフォース10が成形される。第1工程は、材料を準備する工程である。具体的には、全体形状が第1中空部50Aの全体形状と略同一に形成された金属製の第1マンドレル(中子)(図示省略)の全体を覆うように図示しない内圧バッグ(加圧バッグ)を巻回する。また、全体形状が第2中空部50Bの全体形状と略同一に形成された金属製の第2マンドレル(図示省略)の全体を覆うように内圧バッグ(加圧バッグ)を巻回する。さらに、第1マンドレルに巻回された内圧バッグの外側から第1マンドレルの外周形状(内周面56の形状)に沿った平滑な板形状に別個に形成された第1補強部材60と第2補強部材62を所定の部位に配置すると共に内圧バッグ、第1補強部材60及び第2補強部材62を覆うように第1強化樹脂52を配置(巻回)する。また、第2マンドレルに巻回された内圧バッグの外側から第2マンドレルの外周形状(内周面56の形状)に沿った平滑な板形状に別個に形成された第1補強部材60と第2補強部材62を所定の部位に配置すると共に内圧バッグ、第1補強部材60及び第2補強部材62を覆うように第1強化樹脂52を配置(巻回)する。
第2工程は、準備した材料を金型内部に配置する工程である。具体的には、ルーフセンタリンフォース10の全体形状と略同一の内周形状を備えた金型(図示省略)に、第1強化樹脂52、第1補強部材60及び第2補強部材62が配置された第1マンドレル及び第2マンドレルを配置する。第1中空部50Aと第2中空部50Bの間に中央リブ部50Cを形成することができるように、第1マンドレルと第2マンドレルは所定の間隔を空けて配置される。また、金型の内周部において、成形後のルーフセンタリンフォース10の上面と下面に相当する部分に第2強化樹脂54を配置する。これらの金型内への配置が完了すると第1マンドレルと第2マンドレルが内圧バッグから抜き取られる。
第3工程は、金型内に配置した材料を加圧成形する工程である。具体的には、内圧バッグに圧縮空気を充填することにより金型内の樹脂を加圧する。このため、第1強化樹脂52、第2強化樹脂54、第1補強部材60及び第2補強部材62が一体で硬化される。これにより、1回の内圧成形でルーフセンタリンフォース10を成形することができる。
(第1実施形態の作用・効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
本実施形態に係るルーフセンタリンフォース10によれば、中空断面を有する樹脂製の中空部材50には、ブラケット24が締結される側の内周面56に沿って第1補強部材60が配置されている。このため、ルーフセンタリンフォース10の締結部30は、例えば、中空部材50だけを成形した場合と比べて曲げ剛性やせん断剛性を向上させることができる。これにより、締結部30を簡便に補強することができる。また、締結部30に大きい荷重が作用した場合であっても、締結部30に応力集中が発生することを抑制又は防止することができる。
また、本実施形態に係るルーフセンタリンフォース10によれば、中空部材50の締結部30には、車両上方側の内周面56に沿って第2補強部材62が配置されている。このため、ルーフセンタリンフォース10の締結部30は、第1補強部材60だけを配置する場合と比べて更に締結部30の曲げ剛性やせん断剛性を向上させることができる。これにより、締結部30を簡便に補強することができる。
さらに、本実施形態に係るルーフセンタリンフォース10によれば、中空断面を有する樹脂製の中空部材50は、内周面56に沿った平滑な板形状に別個に形成された第1補強部材60と一体に成形されている。このため、第1補強部材60により、例えば、中空部材50だけを成形した場合と比べて内周面56における凹凸の発生を抑制すると共に内周面56を平滑に成形することができる。
以上説明したように、本実施形態に係るルーフセンタリンフォース10は、ブラケット24との締結部30を補強することができると共に締結部30の内周面56を平滑に成形することができる。
さらに、本実施形態に係るルーフセンタリンフォース10によれば、第1中空部50Aの後端部と第2中空部50Bの前端部の間には、中空部材50の下端部側から上端部側に亘って車両上下方向に沿って延在された中央リブ部50Cが形成されている。このため、中央リブ部50Cを設けない場合と比べてルーフセンタリンフォース10の曲げ剛性やせん断剛性を向上させることができる。これにより、ルーフセンタリンフォース10の弾性断面変形を抑制すると共に所定の剛性を確保した上でルーフセンタリンフォース10の軽量化(薄肉化)を図ることができる。
また、本実施形態に係るルーフセンタリンフォース10によれば、第1中空部50A側の第1補強部材60は、第1下側内周面56Aから第1リブ側内周面56Cの車両下方側に亘って配置されている。また、第2中空部50B側の第1補強部材60は、第2下側内周面56Dから第2リブ側内周面56Fの車両下方側に亘って配置されている。このため、ルーフセンタリンフォース10を中空成形する際に、中央リブ部50Cの位置が車両前後方向にずれることや車両前方側又は車両後方側へ傾斜することを抑制又は防止することができる。これにより、中央リブ部50Cを車両上下方向に沿って安定して成形することができる。また、締結部30の内周面56の車両上方側に配置された第2補強部材62によってこれらの効果を更に向上させることができる。
さらに、本実施形態に係るルーフセンタリンフォース10によれば、第1強化樹脂52、第2強化樹脂54、第1補強部材60及び第2補強部材62を一体で硬化させることができる。このため、1回の内圧成形によりルーフセンタリンフォース10を成形することができる。これにより、ルーフセンタリンフォース10を成形するための作業工数の増加を抑制すると共に生産性を向上させることができる。
また、本実施形態に係るルーフセンタリンフォース10によれば、中空部材50の車幅方向略中央部には、内周面56に沿って第2補強部材62が形成されている。ルーフセンタリンフォース10には、車幅方向両端部に荷重が負荷されることにより曲げモーメントが発生する。この曲げモーメントは、ルーフセンタリンフォース10の車幅方向略中央部で最大となる。中空部材50の車幅方向略中央部には第2補強部材62が配置されているため、曲げモーメントが最大となる車幅方向略中央部の曲げ剛性を向上させることができる。これにより、ルーフセンタリンフォース10を曲げモーメントに対して補強することができる。
さらに、本実施形態に係るルーフセンタリンフォース10によれば、第1補強部材60の横壁部60Aと縦壁部60Bには、孔部60Cが貫通形成されている。また、横壁部60Aと縦壁部60Bの周縁部には、切欠部60Eが形成されている。このため、第1補強部材60と中空部材50との接触部分を増加させることができると共に第1補強部材60の樹脂が回り込むことによる第1補強部材60と中空部材50との勘合性を向上させることができる。これにより、第1補強部材60と中空部材50の接合強度を向上させることができる。また、第2補強部材62の横壁部62Aと縦壁部62Bには、孔部62Cが貫通形成されると共に周縁部に切欠部62Eが形成されている。これにより、第1補強部材60と同様に第2補強部材62と中空部材50の接合強度を向上させることができる。
(第1変形例)
次に、図7を用いて、本発明の第1変形例に係る骨格部材構造としてのルーフセンタリンフォース70について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
図7には、締結部72において車両上下方向かつ車両前後方向に沿って切断されたルーフセンタリンフォース70の断面図が示されている。ルーフセンタリンフォース70の第1中空部50B側の内周面56には、第1上側内周面56Bと第1リブ側内周面56Cと第1下側内周面56Aに亘って内周面56に沿った平滑な板形状に別個に形成された補強部材としての第3補強部材74が配置されている。このため、第1中空部50A側の第3補強部材74は、車両側面視で車両前方側へ向けて開放された略U字状に形成されている。また、第2中空部50B側の内周面56には、第2上側内周面56Eと第2リブ側内周面56Fと第2下側内周面56Dに亘って内周面56に沿った平滑な板形状に別個に形成された第3補強部材74が配置されている。このため、第2中空部50B側の第3補強部材74は、車両側面視で車両後方側へ向けて開放された略U字状に形成されている。
第1変形例に係るルーフセンタリンフォース70によれば、中空断面を有する樹脂製の中空部材50の第1中空部50A側と第2中空部50B側には、各々内周面56に沿った平滑な板形状に別個に形成された第3補強部材74が形成されている。第3補強部材74は、車両上方側と中央リブ部50C側と車両下方側の内周面56に沿って連続的に形成されている。このため、ルーフセンタリンフォース70を中空成形する際に、中央リブ部50Cの位置が車両前後方向にずれることや車両前方側又は車両後方側へ傾斜することを抑制又は防止することができる。これにより、中央リブ部50Cを車両上下方向に沿った形状で安定して成形することができると共にルーフセンタリンフォース70の剛性を適切に向上させることができる。
さらに、第1変形例に係るルーフセンタリンフォース70によれば、第3補強部材74の車両上方側と車両下方側の部分は中央リブ部50C側の部分と連続的に形成されている。このため、第3補強部材74の車両上方側と車両下方側の部分を内周面56に対して安定させた状態でルーフセンタリンフォース70を成形することができる。これにより、内周面56における凹凸の発生を抑制すると共に内周面56を平滑に成形することができる。
(第2変形例)
次に、図8を用いて、本発明の第2変形例に係る骨格部材構造としてのルーフセンタリンフォース80について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
図7には、締結部82において車両上下方向かつ車両前後方向に沿って切断されたルーフセンタリンフォース80の断面図が示されている。ルーフセンタリンフォース80には、その内周面56に沿った平滑な板形状に別個に形成された補強部材としての第4補強部材84が形成されている。第4補強部材84は、第1中空部50A側と第2中空部50B側とが一体で形成され、車両側面視で車両前方側と車両後方側へ向けて開放された略H字状に形成されている。具体的には、車両上方側の部分を形成する上側フランジ部84Aと車両下方側の部分を形成する下側フランジ部84Bが、中央リブ部50Cに沿って配置されたウエブ部84Cと各々連結されている。
第2変形例に係るルーフセンタリンフォース80によれば、第4補強部材84は、上側フランジ部84Aと下側フランジ部84Bとウエブ部84Cとが一体で形成されている。このため、ルーフセンタリンフォース80を中空成形する際に、中央リブ部50Cの位置が車両前後方向にずれることや車両前方側又は車両後方側へ傾斜することを抑制又は防止することができる。これにより、中央リブ部50Cを車両上下方向に沿った形状で安定して成形することができ、ルーフセンタリンフォース80の曲げ剛性やせん断剛性を適切に向上させることができる。
さらに、第2変形例に係るルーフセンタリンフォース80によれば、第4補強部材84の上側フランジ部84Aと下側フランジ部84Bは、ウエブ部84Cと一体で形成されている。このため、第4補強部材84の車両上方側と車両下方側の部分を内周面56に対して安定させた状態でルーフセンタリンフォース80を成形することができる。これにより、内周面56における凹凸の発生を抑制すると共に内周面56を平滑に成形することができる。
(第2実施形態)
次に、図9を用いて、本発明の第2実施形態に係る骨格部材構造としてのロッカ90について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
図9には、車両下方側かつ車両幅方向両端部で車両前後方向に延在された左右一対のロッカ90が示されている。左右一対のロッカ90間にフロアパネル(図示省略)が架け渡されることにより車両の床部が形成されている。ロッカ90は、炭素繊維強化シート成形複合材料により構成された中空部材92と補強部材としての第1補強部材60が一体で成形されている。
中空部材92は、上側中空部92Aと下側中空部92Bの中空部分を備えた中空状に形成されている。中空部材92の車両上下方向略中間部には、中空部材92の車幅方向内側端部と車幅方向外側端部を繋ぐように中央リブ部92Cが形成されている。このため、中空部材92の中空部分は、車両上方側の上側中空部92Aと車両下方側の下側中空部92Bに区切られている。ロッカ90において、例えば、フロアクロスメンバ等の別部材(図示省略)と締結される部分には、締結部94が形成されている。締結部94の内周面96には、内周面96に沿った平滑な板形状に別個に形成された第1補強部材60が配置されている。
本実施形態に係るロッカ90によれば、締結部94には内周面96に沿って第1補強部材60が形成されている。このため、ロッカ90の締結部94は、第1補強部材60を設けることにより、例えば、締結部94の曲げ剛性やせん断剛性を中空部材92だけでロッカ90を成形した場合と比べて、向上させることができる。また、第1補強部材60により、中空部材92だけでロッカ90を成形した場合と比べて内周面96における凹凸の発生を抑制すると共に内周面96を平滑に成形することができる。
(第3実施形態)
次に、図10を用いて、本発明の第3実施形態に係る骨格部材構造としてのフロアクロスメンバ100について説明する。なお、前述した第1実施形態及び第2実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
図10に示されるように、車両下部を形成するフロアパネルには、車幅方向に沿って延在されると共にロッカインナパネルの車幅方向内側部分とフロアトンネル部(いずれも図示省略)を連結する骨格部材構造としてのフロアクロスメンバ100が設けられている。フロアクロスメンバ100は、炭素繊維強化シート成形複合材料により構成された中空部材102と補強部材としての第1補強部材60が一体で成形されている。
中空部材102は、前側中空部102Aと後側中空部102Bの中空部分を備えた中空状に形成されている。中空部材102の車両前後方向略中間部には、中空部材102の上端部と下端部を繋ぐように車両上下方向に沿って中央リブ部102Cが形成されている。このため、中空部材50の中空部分は、車両前方側の前側中空部102Aと車両後方側の後側中空部102Bに区切られている。ロッカ100において、例えば、車両用シートのシートレール等の別部材(図示省略)と締結される部分には、締結部104が形成されている。締結部104の内周面106には、内周面106に沿った平滑な板形状に別個に形成された第1補強部材60が配置されている。
本実施形態に係るフロアクロスメンバ100によれば、締結部104には内周面106に沿って第1補強部材60が形成されている。このため、フロアクロスメンバ100の締結部104は、例えば、曲げ剛性やせん断剛性を中空部材102だけでフロアクロスメンバ100を成形した場合と比べて向上させることができる。また、第1補強部材60により、内周面106における凹凸の発生を中空部材102だけを成形した場合と比べて抑制すると共に内周面106を平滑に成形することができる。
なお、ここでは、中空部材50には、炭素繊維強化シート成形複合材料や単一方向性強化繊維を用いた繊維強化樹脂により構成されているとして説明したが、これに限らず、他の樹脂材が用いられてもよい。
また、ここでは、中空部材50の締結部30の内周面には、補強部材としての第1補強部材60と第2補強部材62が配置されているとして説明したが、これに限らず、補強部材は、別部材が締結される側の内周面にだけ配置されてもよい。
さらに、ここでは、第2補強部材62が、中空部材50の締結部30と車幅方向略中央部に配置されているとして説明したが、これに限らず、補強部材は、締結部だけに配置されてもよい。
また、ここでは、補強部材60、62、74、84は、車両上方側又は車両下方側の内周面56から中央リブ部50C側に亘って配置されているとして説明したが、これに限らず、補強部材は、例えば、車両上方側又は車両下方側の内周面にだけ配置されてもよい。
さらに、ここでは、補強部材60、74、84は、FRPにより構成されているとして説明したが、これに限らず、補強部材は、例えば、FRP以外の樹脂部材や鉄、アルミ等の樹脂以外の材料により構成されてもよい。
また、ここでは、中空部材50には、中央リブ部50Cが形成されているとして説明したが、これに限らず、中空部材は、例えば、リブ部を設けずに中空部分が一体で形成されてもよい。