JP7198691B2 - 尿素の定量方法及び分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、水中の尿素を定量する定量方法及び分析装置に関する。
水中の微量の尿素を精度よく分析し定量することに対する要求がある。例えば、純水製造システムによって原水から純水を製造する場合、純水製造システムを構成するイオン交換装置や紫外線酸化装置では原水中の尿素を除去することが困難であるため、予め尿素を除去した原水を純水製造システムに供給する必要がある。尿素の除去方法として、次亜臭素酸を生成する薬剤を原水に加えて次亜臭素酸により尿素を選択的に酸化する方法が知られているが、次亜臭素酸を生成する薬剤も純水製造システムに対する負荷となるので、薬剤投入量は少なければ少ない方がよい。したがって、原水中の尿素濃度を定量して尿素処理の必要性を判断し、処理が必要な場合は適切な薬剤を投入することが望まれている。さらに、純水製造システムから得られた純水中の尿素濃度を測定することについても要求がある。
尿素の定量法としては、ジアセチルモノオキシムを用いた比色法に基づく定量法(例えば、衛生試験法(非特許文献1)に記載された方法など)が知られている。ジアセチルモノオキシムを用いる比色法では、反応を促進するなどの目的で他の試薬(例えば、アンチピリン+硫酸溶液、塩酸セミカルバジド水溶液、塩化マンガン+硝酸カリウムの水溶液、リン酸二水素ナトリウム+硫酸溶液など)を併用することができる。アンチピリンを併用する場合には、ジアセチルモノオキシムを酢酸溶液に溶解させてジアセチルモノオキシム酢酸溶液を調製し、アンチピリン(1,5-ジメチル-2-フェニル-3-ピラゾロン)を例えば硫酸に溶解させてアンチピリン含有試薬液を調製し、試料水に対してジアセチルモノオキシム酢酸溶液とアンリピリン含有試薬液とを順次混合し、波長460nm付近での吸光度を測定し、標準液との対照によって定量を行う。
ジアセチルモノオキシムを用いた比色法による尿素の定量方法は、例えばプール水や公衆浴場水における尿素の定量を目指して意図されたものであるので、純水製造プロセスに供給される原水などにおける尿素の定量を行うには感度が悪い。そこで特許文献1は、ジアセチルモノオキシムを用いる比色法に基づきながらフローインジェクション分析を適用して吸光度を測定することにより、ppb以下から数ppmの濃度範囲で試料水中の尿素を連続的にオンラインで定量する方法を開示している。特許文献2は、アセチルモノオキシムを用いる比色法に基づきながらフローインジェクション分析を適用して尿素を定量する場合に、反応に用いる試薬を冷蔵することによって、長期間にわたるオンラインでの連続的な自動測定を安定して実行できることを開示している。
特開2000-338099号公報 特開2018-179545号公報
日本薬学会編、衛生試験法・注解1990.4.1.2.3(13)1(1990年版第4刷付追補(1995)、p1028)、1995年
特許文献1及び特許文献2に記載された方法は、フローインジェクション分析を用いることにより尿素の定量を行うことができる方法であるが、試料水の種類や発生源によっては安定して尿素の定量を行えないことがある、という課題がある。
本発明の目的は、試料水中の尿素を安定して精度よく定量することができる定量方法及び分析装置を提供することにある。
本発明者らは、尿素の定量を行う場合に試料水中に含まれるフミン質類などの有機窒素化合物が妨害物質となることと、これらの妨害物質は逆浸透膜を有する逆浸透膜装置によって除去できることとを見出した。したがって試料水を逆浸透膜装置によって前処理してから尿素の定量を行えば、妨害物質の影響を受けることなく定量を行えることになる。例えばジアセチルモノオキシムを用いる比色法に基づいて尿素の定量を行なう場合、波長460nm付近の吸光度を測定するが、フミン質類などの有機窒素化合物も波長460nm付近に吸収を有するため、尿素の定量における妨害物質になるものと考えられる。尿素自体も有機窒素化合物であるが、本発明での分析対象物質は尿素であるので、本明細書において妨害物質としての有機窒素化合物に言及するときは、尿素は含まれないものとする。
しかしながら、逆浸透膜装置によって試料水の妨害物質を除去してから尿素の定量を行う場合、逆浸透膜自体もいくばくかは尿素を阻止するので逆浸透膜装置において尿素の一部が除去され、しかもその尿素除去率が経時変化するので、尿素の定量精度が低下する。
そこで本発明の定量方法は、試料水中の尿素を定量する方法であって、逆浸透膜を有する膜装置によって試料水を前処理する前処理工程と、前処理された試料水中の尿素を分析して尿素の濃度測定値を求める分析工程と、尿素の標準液を膜装置に通液して通液後の液体に含まれる尿素の量を測定して膜装置における尿素除去率を求める除去率算出工程と、尿素除去率を用いて濃度測定値を補正して尿素の定量値を求める工程と、を有する。
本発明の分析装置は、試料水中の尿素を分析する分析装置であって、逆浸透膜を備えて試料水の前処理を行う膜装置と、前処理された試料水中の尿素を分析する分析手段と、膜装置の入口に対して尿素の標準液を供給する供給手段と、を有し、尿素の標準液を膜装置に供給したときに膜装置を透過した液体に含まれる尿素の量を分析手段によって求めて膜装置における尿素除去率が決定される。
本発明によれば、妨害物質の影響を排除して試料水中の尿素を安定して精度よく定量することができるようになる。
本発明の実施の一形態の分析装置の構成を示す図である。 参考例2を実施するために用いた構成を示す図である。
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の一形態の分析装置の構成を示している。ここでは、純水製造に用いる原水あるいは純水そのものを試料水とし、この試料水に含まれる微量の尿素をオンラインで連続的に定量する場合を例に挙げて、本発明を説明する。もちろん、本発明が尿素の定量対象とする試料水は、純水製造に用いる原水に限られるものではない。例えば本実施形態の分析装置は、何らかの水処理システム(純水製造装置も水処理システムの一種であるといえる)に接続して水処理システムからの水を測定対象とすることができる。本実施形態の分析装置は、大別すると、試料水の前処理を行なう前処理部50と、前処理された試料水中の尿素を分析して定量する尿素分析部20と、を備えている。
図1に示されるように、純水製造に用いる原水のライン60が設けられており、このライン60では、原水が図において矢印で示すように送水されている。原水のライン60から分岐する配管61が設けられている。配管61は、ライン60から分岐した原水を試料水として前処理部50に供給するために設けられている。配管61には、ポンプP5及び電磁弁62がライン60の側からこの順で設けられている。ポンプP5は、前処理部50を介して尿素分析部20に向けて試料水を圧送するために設けられている。さらに本実施形態では、尿素の標準液を一時的に貯えるとともにその標準液を前処理部50に供給するために、標準液供給部63が設けられている。標準液供給部63は、電磁弁64を介して、電磁弁62の出口と前処理部50との間の配管に対して接続し、この配管に対して尿素の標準液を注入する。このとき、配管を流れる試料水に対して尿素の標準液を添加するようにしてもよいし、電磁弁62を閉じることにより標準液のみが前処理部50に供給されるようにしてもよい。尿素の標準液の添加や導入を行わないときは、電磁弁64は閉じられる。結局、電磁弁62,64の開閉制御により、前処理部50には、試料水のみ、尿素の標準液のみ、あるいは、尿素の標準液が添加された試料水が供給されることになる。ここで尿素の標準液とは、純水または超純水による尿素の溶液であって、尿素濃度が正確に分かっており、かつ、妨害物質を含まない溶液である。
前処理部50は、供給された液体中の粒子状の不純物を除去するフィルタ51と、フィルタ51を通過した液体が供給される膜装置52と、を備えている。膜装置52は、逆浸透(RO)膜53を備えており、逆浸透膜装置として構成されている。膜装置52からは、逆浸透膜53を透過せずに不純物濃度が高められた液体である濃縮水と、逆浸透膜53を透過することにより不純物濃度が低下した液体である透過水とが排出される。本実施形態では、試料水中の尿素濃度の定量のために前処理を行うとき、前処理された試料水として、透過水を尿素分析部20に供給する。逆浸透膜53の塩化ナトリウムに対する塩阻止率は、後述する実施例からも明らかになるように、99%以下であることが好ましい。逆浸透膜の塩阻止率の下限は、フミン質類などを効果的に除去できるものであれば特に定められるものではないが、一例として、50%以上とされる。
前処理部50では、膜装置52での尿素除去率を求めるためなどに、膜装置52を通過しない流路も設けられている。すなわち、フィルタ51の出口と膜装置52の入口とを接続する配管54には電磁弁55が設けられ、膜装置52の透過水の出口に接続する配管56には電磁弁57が設けられている。配管54において、電磁弁55の入口側の位置からバイパス配管58が分岐し、バイパス配管58は、電磁弁57の出口側の位置で配管56に合流している。バイパス配管58には電磁弁59が設けられている。フィルタ51を透過した液体を膜装置52に供給する場合には、電磁弁55,57を開けて電磁弁59を閉じればよく、逆に、膜装置52に供給しない場合には、電磁弁55,57を閉じて電磁弁59を開ければよい。
膜装置52の透過水の配管56からは、前処理された試料水を尿素分析部20に送るための試料水配管21が分岐しており、試料水配管21は、原水から分岐した試料水の配管であり、そこには開閉弁22と流量センサFIとが設けられている。
試料水配管21の先端には、サンプリング弁10(インジェクター、インジェクション弁ともいう)が設けられている。サンプリング弁10を含めてサンプリング弁10から下流の部分が尿素分析部20である。ここに示す尿素分析部20は、フローインジェクション分析(FIA;flow injection analysis)装置としての構成を有して試料水中の尿素の定量を行なう。尿素分析部20は、尿素の標準液が供給された場合も、この標準液を試料水として定量動作を実行する。
サンプリング弁10は、FIA法において一般的に用いられる構成のものであり、六方弁11とサンプルループ12とを備えている。六方弁11は、図示丸付き数字で示される6個のポートを備えている。試料水配管21はポート2に接続している。また、キャリア水が供給される配管23がポート6に接続し、ポンプP4を介して試料水を排水するための配管25がポート3に接続している。ポート1とポート4との間には、所定容量の試料水を採取するためのサンプルループ12が接続している。ポート5には、サンプリング弁11の出口となる配管24の一端が接続している。キャリア水は、尿素を実質含まない水であり、例えば超純水または純水である。キャリア水は、配管19を介してポンプP1に供給され、ポンプP1から配管23を介してポート6に向けて送液されている。
六方弁11においてポートXとポートYとが連通することを(X-Y)と表すこととすると、六方弁11は、(1-2)、(3-4)、(5-6)である第1の状態と、(2-3)、(4-5)、(6-1)である第2の状態とを切り替えられるようになっている。図1において、第1の状態でのポート間の接続関係は実線で示され、第2の状態でのポート間の接続は点線で示されている。第1の状態においてキャリア水は、配管23→ポート6→ポート5→配管24と流れてサンプリング弁10から下流側に流出する。試料水は、試料水配管21→ポート2→ポート1→サンプルループ12→ポート4→ポート3と流れて配管25から排出される。この第1の状態から第2の状態に切り替わると、試料水は、試料水配管21→ポート2→ポート3と流れて配管25から排出され、また、キャリア水は、配管23→ポート6→ポート1→サンプルループ12→ポート4→ポート5→配管24と流れ、下流側へ流出する。このとき、第1の状態であったときに既に流入してサンプルループ12内を満たしている試料水は、キャリア水に先立ってポート5から配管24へと流れ込み、サンプリング弁10の下流側へと流れる。配管24に流れる試料水の体積は、サンプルループ12によって規定される。したがって、第1の状態と第2の状態とを繰り返し切り替えることによって(例えば六方弁11を図示矢印方向に回転することによって)、所定容量の試料水を繰り返して配管24に送り込むことができる。第1の状態と第2の状態との切り替えは、反応に必要な滞留時間や、検出器32で尿素が検出されるまでの時間を考慮して、所定の時間ごとに行うことができる。また、検出器32に導入した試料水が検出器32から排出されたことを検知して切り替えを行うこともできる。このように、第1の状態と第2の状態との切り替えを自動的に行うようにすることで、尿素を連続的に定量することができる。
尿素分析部20では、ジアセチルモノオキシムを用いる比色法による尿素の定量に対してFIA法を適用する。そのため、尿素の定量に用いる反応試薬として、ジアセチルモノオキシム酢酸溶液(以下、試薬Aともいう)とアンチピリン含有試薬液(以下、試薬Bともいう)を使用する。ここではジアセチルモノオキシムと併用される試薬としてアンチピリン含有試薬液を用いる場合を説明するが、ジアセチルモノオキシムと併用される試薬はアンチピリン含有試薬液に限定されるものではない。試薬A及び試薬Bは、それぞれ、貯槽41,42に貯えられる。
本発明者らは、特許文献2において既に開示したように、これらの試薬を調製後、尿素の連続定量のために長期間(例えば数日間以上)にわたって室温に保持した場合に吸光度測定でのピーク強度が低下すること、及び、このピーク強度の低下は試薬(特に試薬B)を冷蔵することにより防ぐことができることを見出している。安定した定量を行うためには吸光度測定でのピーク強度が低下しないことが好ましいので、本実施形態の分析装置では、貯槽41,42を冷蔵部40内に設けている。試薬Aはジアセチルモノオキシムを酢酸溶液に溶解させて調製されるが、冷蔵部40を設ける場合には、調製自体を貯槽41で行う、あるいは、試薬Aをその調製後、貯槽41に貯えるようにする。同様に、試薬Bは、アンチピリンを例えば硫酸に溶解させて調製されるが、調製自体を貯槽42で行う、あるいは、試薬Bをその調製後、貯槽42に貯えるようにする。冷蔵部40は、貯槽41,42を遮光するとともに、貯槽41,42を冷却し、これによって、貯槽41,42内の試薬A、試薬Bの温度を20℃以下、好ましくは3℃以上20℃以下、より好ましくは5℃以上15℃以下に維持する。なお、試薬Aを貯える貯槽41については、遮光保管できるものであれば、必ずしも冷蔵部40内に配置する必要はない。試薬の冷蔵温度は、5℃未満であっても、試薬において結晶の析出が生じなければ差し支えない。衛生試験法(非特許文献1)には、アンチピリンを硫酸に溶解させたアンチピリン硫酸溶液について、褐色瓶に保管すれば2~3箇月は使用できることと、結晶が析出し室温に戻しても再溶解しないため冷蔵保管は適さないこととが記載されているが、本発明者らは、衛生試験法にしたがって調整されたアンチピリン硫酸溶液は3℃でも結晶化しないことを実験により確認した。
貯槽41には配管26の一端が接続し、配管26の他端は混合部43により配管24に接続している。配管26には、試薬Aを所定の流量で配管24に送り込むためのポンプP2が設けられている。同様に貯槽42には配管27の一端が接続し、配管27の他端は混合部44により配管24に接続している。配管27には、試薬Bを所定の流量で配管24に送り込むためのポンプP3が設けられている。混合部43,44は、それぞれ、試薬A、試薬Bを配管24内の液体の流れに対して均一に混合する機能を有する。配管24の他端は、反応恒温槽30内に設けられた反応コイル31の入口に接続している。反応コイル31は、その内部においてアンチピリンの存在下での尿素とジアセチルモノオキシムとによる発色反応を起こさせるものであり、その長さと反応コイル31の内部での流速とは、反応に必要な滞留時間に応じて適宜に選択される。反応恒温槽30は、反応コイル31を反応に適した温度まで昇温するものであって、例えば、50℃以上150℃以下、好ましくは90℃以上130℃以下の温度に反応コイル31を加熱する。
反応コイル31の末端すなわち出口には、反応コイル31から流れ出る液を対象として、発色反応によって液中に生じた発色の吸光度を測定するための検出器32が設けられている。検出器32によって、例えば、波長460nm付近での吸光度のピーク強度あるいはピーク面積を求める。キャリア水が流れているときの吸光度をベースラインとし、尿素濃度が既知の標準液に対する吸光度から検量線を求めることにより、試料水に対する吸光度から試料水での尿素の濃度を求めることができる。検出器32の出口には、ポンプP1からサンプリング弁10、配管24及び反応コイル31を経て検出器32に至る管路に対して背圧を与える背圧コイル33が設けられている。検出器32の出口と背圧コイル33の入口との間の位置に対し、圧力センサPIが接続している。背圧コイル33の出口から、この尿素分析部20の排液が流出する。
さらに本実施形態の分析装置では、オンラインでの試料水中の尿素濃度の定量を連続して自動的に実行して定量値を出力するために、流量センサFI及び圧力センサPIでの測定値が入力し、検出器32での検出値が入力し、ポンプP1~P5を制御するとともに電磁弁55,57,59,62,64を制御する制御装置100が設けられている。図1は、フローシートであって装置内の液体の流れを示すことを目的とする図であるので、制御装置100に対する電気的な配線は示されていない。
本実施形態の分析装置では、FIA法を利用し、ジアセチルモノオキシムを用いる比色法によって試料水中の尿素をオンラインで測定することができる。このとき、試料水に対する前処理として、逆浸透膜53を備える膜装置52に試料水を通液することによって、妨害物質であるフミン質類の影響を排除することができる。しかしながら本発明者らは、逆浸透膜によって試料水中の尿素の一部も除去され、しかも逆浸透膜における尿素の除去率は、逆浸透膜の劣化の進行などに伴って変化することを見出した。以下の説明において尿素除去率kは、逆浸透膜装置の入口に供給された溶液における尿素の濃度をx、透過水出口での溶液の尿素の濃度をyとして、
k=(x-y)/x
によって表されるものとする。尿素除去率は、尿素阻止率とも呼ばれる。
逆浸透膜は、次亜塩素酸や次亜臭素酸などの酸化剤に触れることによって劣化が進行したり、膜の引き締めが起こることが知られている。また、逆浸透膜における目詰まりも尿素除去率に影響を及ぼす。なお、フィルタ51は例えば精密ろ過膜によって構成されるので、フィルタ51においては尿素は除去されず、フィルタ51における尿素除去率は0である。
そこで本実施形態の分析装置では、標準液供給部63に貯えられている尿素の標準液を膜装置52に通液し逆浸透膜53を透過した液体に含まれる尿素の量を尿素分析部20によって測定し、その測定結果によって膜装置52における尿素除去率を求める除去率算出工程を実施する。そして、試料水中の尿素を定量するときには、試料水を膜装置52に通液し、逆浸透膜53を透過した試料水を尿素分析部20に導入して尿素の量を測定して濃度測定値を求め、尿素除去率によって濃度測定値を補正して尿素の定量値とすればよい。そして、試料水中の尿素の連続定量を行う場合には、その連続定量の期間中、所定の時間間隔ごとに除去率算出工程を実施して、試料水中の尿素の定量に用いる尿素除去率を更新すればよい。除去率算出工程を実施する所定の時間間隔は、例えば1時間以上72時間以下であり、好ましくは6時間以上24時間以下である。
次に、除去率算出工程について詳しく説明する。除去率算出工程の実行の仕方としては、試料水を膜装置52に供給しないで尿素除去率を求める方法と、標準添加法による方法とがある。
最初に、試料水を膜装置52に供給しないで尿素除去率を求める方法について説明する。この場合は、キャリア水には尿素が含まれていないとすれば、検出器32で検出されるバックグラウンドの検出値(サンプリング弁10がキャリア水を配管24に流しているときの検出値)は、尿素濃度がゼロのときの値に該当する。そして、電磁弁55,57,62を閉じ、電磁弁59,64を開けて、標準液供給部63内の標準液がバイパス配管58を介して尿素分析部20に流入するようにする。このときの検出器32での濃度測定値をArとする。次に、電磁弁59を閉じ、電磁弁55,57を開けて、標準液が膜装置52を通過してから尿素分析部20に流入するようにする。このときの検出器32での濃度測定値をAmとする。すると、膜装置52の尿素除去率kは、式(1)によって求めることができる。濃度測定値は、検出器32で実際に測定される値である吸光度を濃度に換算した値である。
k=1-(Am/Ar) …(1)
実際に尿素の定量を行うときは、分析装置の設置時などに尿素分析部20について検量線を求める必要があるが、検量線を求めるときはバイパス配管58を介して標準液を尿素分析部20に供給すればよい。また、使用する試薬を含めて尿素分析部20が十分に安定したものである場合には、膜装置52を通さないで標準液を尿素分析部20に供給したときの濃度測定値は一定であると考えられるので、所定の時間間隔ごとに実行する除去率算出工程では、バイパス配管58を介して標準液を尿素分析部20に供給することを省略することができる。
標準添加法による場合は、電磁弁62を開けて試料水を流しつつ電磁弁64を介して標準液供給部63から標準液を供給することによって試料水に標準液を混合したとする。電磁弁55,57を閉じ電磁弁59を開けて、この混合液がバイパス配管58を介して尿素分析部20に流入するようにして、検出器32により尿素の濃度測定値を得る。次に、電磁弁55,57を開け電磁弁59を閉じて、膜装置52を介して混合液を尿素分析部20に流入させて、尿素の濃度測定値を得る。混合液における試料水と標準液との割合が分かっていれば、これら2つの濃度測定値から、上述した場合と同様に計算を行って、尿素除去率kを求めることができる。標準添加法による場合も、尿素分析部20が十分に安定したものである場合には、所定の時間間隔ごとに実行する除去率算出工程では、バイパス配管58を介して混合液を尿素分析部20に供給することを省略することができる。なお、混合液における試料水と標準液の割合を求めることが難しい場合などには、尿素濃度の異なる2種類の標準液を用意し、同一の混合条件でこれらの標準液を別々に試料水に混合してそれぞれの濃度測定値を求め、それらの濃度測定値から尿素除去率kを求めることができる。
試料水中の尿素を定量するときは、電磁弁55,57,62を開け、電磁弁59,64を閉じて、試料水だけが膜装置52に供給されるようにし、膜装置52を透過した試料水が尿素分析部20に導入されるようにする。このときの検出器32による尿素の濃度測定値をAsとすれば、尿素の定量値Csは、上記のように除去率算出工程によって更新された尿素除去率kを使用して、式(2)によって求めることができる。
s=As/(1-k) …(2)
として求めることができる。
以上の説明では、尿素除去率kを用いて濃度測定値を補正して尿素の定量値を求める場合を説明したが、尿素除去率kの代わりに、膜装置52において尿素が透過する割合である尿素透過率ηを考えることができる。当然に、式(3)が成り立つ。
k+η=1 …(3)
式(3)を式(1), (2)に適用することにより、それぞれ、式(1a), (2a)を得る。
η=(Am/Ar) …(1a)
s=As/η …(2a)
すなわち、本発明においては尿素除去率kの代わりに尿素透過率ηを求めて試料水の濃度測定値を補正してもよい。本発明において、尿素除去率kを求めることには、尿素除去率kの代わりに尿素透過率ηを求めることも含んでいる。
本実施形態では、除去率算出工程を所定の時間間隔で実施する。また、検出器32において実際に測定される量は吸光度であり、予め求めた検量線などを使用して吸光度を濃度測定値に換算する必要がある。さらに、試料水についての尿素の定量値を求める場合には、式(2)あるいは式(2a)に基づく補正を行う必要がある。このような処理や演算を自動的に行って、尿素を連続的な定量して結果を出力するために、本実施形態では、制御装置100が、各電磁弁55,57,59,62,64の開閉の制御と検出器32での吸光度測定値からの濃度測定値及び尿素定量値の計算とを実行する。
上記では、逆浸透膜装置52における尿素除去率を求めて検出器32での検出値を補正し、試料水中の尿素の定量を行うことを説明した。図1に示す分析装置では、尿素標準液を加える位置をフィルタ51の入口側としているが、フィルタ51は前処理部50における尿素の除去には実質的には関与しないので、標準液供給部63から電磁弁64を介して尿素標準液を加える位置を、電磁弁55,59の入口側であってフィルタ51の出口側の位置とすることもできる。さらに本実施形態では、反応に用いる試薬A(ジアセチルモノオキシム酢酸溶液)及び試薬B(アンチピリン含有試薬液)として、特に試薬Bについて、それらの試薬の調製後、20℃以下に維持されたものを使用することができる。その結果、特許文献2において既に説明したように、長期にわたって安定して尿素の連続的な定量を行うことが可能になる。
以上説明した分析装置では、膜装置52として逆浸透膜装置を用いている。しかしながら本発明に基づく分析装置は、逆浸透膜装置を用いるものに限定されるものではない。膜装置52に設けられる膜として、フミン質を除去することができて尿素の除去率が低い膜であれば、本発明においてはナノろ過(NF)膜を用いることもできる。膜装置52に設けられる膜としてナノろ過膜を用いる場合には、膜装置52は、ルーズ逆浸透膜装置として構成されることになる。
フミン質以外の低分子イオン性不純物が妨害物質に含まれる場合は、膜装置52の後段にイオン交換装置をさらに備えることもできる。膜装置52をイオン交換装置の前に設置することで、イオン負荷を大幅に低減し、イオン交換装置の交換頻度を下げることが可能となる。イオン交換装置は、容器内にイオン交換体を配置したものであって、試料水がイオン交換体を通過するように構成されている。イオン交換装置に備えられるイオン交換体は、アニオン交換体のみであってもカチオン交換体のみであってもよく、さらには、アニオン交換体とカチオン交換体とを混床または複床にしたものであってもよい。ここでアニオン交換体は、例えば、粒状のアニオン交換樹脂、モノリス状のアニオン交換樹脂、及びアニオン交換繊維のうちの少なくとも1つである。またカチオン交換体は、例えば、粒状のカチオン交換樹脂、モノリス状のカチオン交換樹脂、及びカチオン交換繊維のうちの少なくとも1つである。
次に、本発明の効果を示すために発明者らが行った実験の結果を説明する。以下の説明において塩阻止率の値は、塩化ナトリウムに対するものである。
(参考例1)
フミン質類が尿素の定量に対する妨害物質となることを示す実験を行なった。市販のフミン酸(和光純薬工業株式会社製)をアルカリ条件下で尿素を含まない超純水に溶解させて試料水とし、図1に示す分析装置における尿素分析部20からなるFIA式尿素分析装置で測定した。ブランク試料としてフミン酸濃度が0である試料水についても測定した。結果を表1に示す。表1においてフミン酸の濃度は、フミン酸に含まれる炭素の量をppb単位で示したものであり、検出濃度は、FIA式尿素分析装置が、尿素濃度として検出した値を示している。
Figure 0007198691000001
ここでは試料水は尿素を含んでいないが、試料水がフミン酸を含んでいると、フミン酸が尿素の検出を妨害し、尿素としての検出値が得られてしまう。表1より、FIA式尿素分析装置によれば、フミン酸も尿素と同じ波長でピークが検出されることが分かった。
(実施例1)
実施例1では、前処理として逆浸透膜装置に試料水を通水することによって、尿素の定量に際して妨害物質となるものを除去できることを示す。
図1に示す分析装置のうち、前処理部50と尿素分析部20とを組み立てた。ただし前処理部50にはフィルタ51は設けられていない。膜装置52では、膜53としてダウ社製の逆浸透膜TW30-1812(ポリアミド製;塩阻止率98%)を使用した。A工場原水を試料水1として、この試料水1を尿素分析部20のサンプリング弁10に供給して尿素分析部20により尿素濃度を計測し、その値を検出濃度とした。また試料水1を前処理部50に通水して得た試料水(これをRO処理水と呼ぶ)の一部を分取して尿素分析部20のサンプリング弁10に供給して尿素濃度を計測した。このとき、前処理部50において、供給圧力0.4MPa、供給水量0.55L/分、透過水量0.25L/分の条件で、膜装置52(ここでは逆浸透膜を使用しているので逆浸透膜装置ということになる)を運転した。このときの膜装置52での水回収率は45%となる。事前に尿素濃度が50ppbであるように尿素標準液を調製し、同じ運転条件で膜装置52に通水したのちに尿素分析部20により尿素の定量を行なったところ、膜装置52による尿素の除去率は10%であることが分かった。
さらに、強酸性カチオン交換樹脂と強塩基性アニオン交換樹脂とを見かけ上の体積比で1:2で混床としたイオン交換樹脂ESP-2(オルガノ社製)を容器に50mL充填してイオン交換装置を形成し、このイオン交換装置に試料水1を3L/時間(すなわちSV=60)の条件で通水し、イオン交換装置に通水して得た試料水をイオン交換処理水とした。RO処理水及びイオン交換処理水についても、尿素分析部20を用いて尿素の定量を行った。得られた結果を検出濃度とする。尿素の定量とは別に、試料水1、RO処理水及びイオン交換処理水の各々について、全有機炭素(TOC;total organic Carbon)濃度の測定を行った。結果を表2に示す。
Figure 0007198691000002
さらに、試料水1、RO処理水及びイオン交換処理水の各々について、LC-OCD(Liquid Chromatography-Organic Carbon)によってフミン質類の濃度を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0007198691000003
表3より、本実施例での膜装置52によれば試料水1中のフミン質類をほぼ完全に除去できること、イオン交換処理によってもフミン質類をほぼ完全に除去できることが分かった。このことを踏まえて表2に示される結果を検討すると、RO処理水における検出濃度13ppbとイオン交換処理水における検出濃度14ppbとは、そのまま、試料水1中の尿素濃度であると考えられる。RO処理水の方が尿素濃度が低いが、膜装置52における尿素除去率の10%を考慮すると、13[ppb]×1.1=14.3[ppb]であることから、尿素除去率を考慮すればRO処理水に対する尿素濃度の値とイオン交換処理水に対する尿素濃度の値は整合的であるといえる。試料水1に対する検出濃度の20ppbには、尿素だけでなくフミン質類の寄与が含まれていることが分かる。
(実施例2)
膜装置52における膜53の種類を変えたときの尿素除去率を求めた。実施例1の装置において膜装置52に設けられる膜53として、ダウ社製の逆浸透膜XLE-440(ポリアミド製;塩阻止率99%)を用い、尿素濃度が50ppbとなるようにした尿素標準液を調製し、膜装置52の供給圧力を0.33MPa、供給水量を1130L/時間、透過水量を200L/時間として、実施例1と同様にして尿素除去率を求めた。このときの膜装置52での水回収率は18%である。尿素除去率は20%であった。
(実施例3)
実施例1の装置において膜装置52に設けられる膜53として、日東電工社製の逆浸透膜ES20(ポリアミド製;塩阻止率99.7%)を用い、尿素濃度が50ppbとなるようにした尿素標準液を調製し、膜装置52の供給圧力を0.42MPa、供給水量を6700L/時間、透過水量を1000L/時間として、実施例1と同様にして尿素除去率を求めた。このときの膜装置52での水回収率は15%である。尿素除去率は34%であった。
実施例1~3の結果から、逆浸透膜である膜53の塩阻止率が高くなるほど、尿素除去率も高くなった。尿素分析部20での尿素の検出結果に対して尿素除去率に基づく補正を行うことで試料水中の真の尿素濃度が分かるが、尿素除去率が大きい場合には補正誤差が大きくなりがちである。そのため、膜52の塩阻止率は、99.0%以下であることが好ましい。
(参考例2)
図2に示す試験系を組み立てた。この試験系は、逆浸透膜71を有する逆浸透膜装置70と、超純水を貯える貯槽72と、貯槽72と逆浸透膜装置70の入口とを接続する配管73と、配管73に設けられて超純水を逆浸透膜装置70に向けて圧送するポンプ74と、尿素標準液を貯える標準液貯蔵部75と、標準液貯蔵部75と配管73とを接続する配管76と、配管76に設けられて標準液貯蔵部75内の尿素標準液を配管73に向けて供給するポンプ77とを備えている。配管73において配管76が接続する位置は、ポンプ74の出口側である。配管73には、逆浸透膜装置70に供給される液体の流量を計測する流量センサ78と、逆浸透膜装置70の入口の圧力を計測する圧力センサ79と、逆浸透膜装置70に供給される液体をサンプリングするためのサンプリングポイント80も設けられている。逆浸透膜装置70の濃縮水出口には配管81が接続し、配管81には濃縮水の流量を計測する流量センサ82が設けられている。逆浸透膜装置70の透過水出口には配管83が接続し、配管83には、透過水出口での圧力を計測する圧力センサ84と、透過水の流量を計測する流量センサ85が設けられている。図2による試験系では、貯槽72からポンプ74によって超純水を逆浸透膜装置70に送りつつポンプ77を制御することによって、配管73を流れる超純水に所望量の尿素標準液を添加することができ、その結果、所望の濃度で尿素を含む超純水を逆浸透膜装置70に供給することができる。
逆浸透膜装置70に設けられる逆浸透膜71として、CSM社製のModel RE2012-100の新膜を使用した。この逆浸透膜71はポリアミドを材質とするものである。逆浸透膜装置70に対する通水条件は、透過水量120mL/分、濃縮水量280mL/分、水温23℃とした。この条件での水回収率は30%となる。逆浸透膜装置70の入口での超純水の尿素濃度を30ppb及び60ppbに調整したときに透過水出口での透過水の尿素濃度を測定し、尿素除去率を算出したところ、尿素除去率は、いずれの場合も2.5%であった。
(参考例3)
逆浸透膜装置70の逆浸透膜71としてDOW社製のFILMTEC TW30-1812-100HR(材質:ポリアミド)の新膜を用いた他は参考例2と同一の通水条件で逆浸透膜装置71に通水し、透過水出口での透過水の尿素濃度を求め、尿素除去率を算出したところ、尿素除去率は、逆浸透膜装置70の入口での超純水の尿素濃度が30ppb及び60ppbのいずれの場合においても、9.0%であった。
(参考例4)
参考例2の試験系において逆浸透膜装置70の逆浸透膜71として東洋紡社製のHOLLOSEP HA3110PM(材質:酢酸セルロース)の新膜を用いた。逆浸透膜装置70に対する通水条件は、透過水量690mL/分、濃縮水量210mL/分、水温23℃とした。この条件での水回収率は23%となる。逆浸透膜装置70の入口での超純水の尿素濃度を30ppb及び60ppbに調整したときに透過水出口での透過水の尿素濃度を測定し、尿素除去率を算出したところ、尿素除去率は、いずれの場合も18.4%であった。
(参考例5)
参考例2で用いた逆浸透膜装置70に対し、残留塩素濃度が0.5mg/Lで次亜塩素酸を含むA社工場の原水を2週間通水した。このときの通水条件は参考例2と同じである。その後、参考例2と同様にして逆浸透膜装置70の透過水出口での尿素濃度を測定し、尿素除去率を求めた。尿素除去率は、逆浸透膜装置70の入口での超純水の尿素濃度が30ppb及び60ppbのいずれの場合においても、0.3%であった。逆浸透膜71に次亜塩素酸が接触することにより、尿素除去率が大幅に低下する傾向が見られた。
(参考例6)
参考例3で用いた逆浸透膜装置70に対し、尿素分解剤である次亜臭素酸を0.1~0.5mg/Lで含むB社工場の原水を2週間通水した。このときの通水条件は参考例3と同じである。その後、参考例3と同様にして逆浸透膜装置70の透過水出口での尿素濃度を測定し、尿素除去率を求めた。尿素除去率は、逆浸透膜装置70の入口での超純水の尿素濃度が30ppb及び60ppbのいずれの場合においても、13.5%であった。逆浸透膜71に次亜臭素酸が接触することにより、逆浸透膜における引き締め効果が働くことが確認された。
参考例2,3,5,6の結果を検討すると、次亜塩素酸、次亜臭素酸などの酸化剤が逆浸透膜に接触することで、逆浸透膜の尿素除去率が変化する可能性があることが分かる。したがって、長期間にわたって連続して尿素の定量を行うときは、上述した除去率算出工程を実行して尿素除去率の更新を行い、更新された尿素除去率を用いて尿素の濃度測定値を補正することにより、より正確に尿素濃度を求めることが可能になる。除去率算出工程は、所定の時間間隔で実行することが好ましい。
(参考例7)
参考例4で用いた逆浸透膜装置70に対し、残留塩素濃度が0.5mg/Lで次亜塩素酸を含むA社工場の原水を2週間通水した。このときの通水条件は参考例4と同じである。その後、参考例4と同様にして逆浸透膜装置70の透過水出口での尿素濃度を測定し、尿素除去率を求めた。尿素除去率は、逆浸透膜装置70の入口での超純水の尿素濃度が30ppb及び60ppbのいずれの場合においても、18.4%であった。酢酸セルロース膜である逆浸透膜であれば、次亜塩素酸に接触しても尿素除去率がほとんど変化しないことが分かった。
このことから、次亜塩素酸や次亜臭素酸などの酸化剤を含む試料水の尿素の定量を行うときは、フミン質などの妨害物質を除去するために設けられる膜装置において用いられる逆浸透膜として、酢酸セルロース膜からなるものを用いることが好ましいことが分かる。また、酢酸セルロース膜以外にもスルホン化ポリスルホン膜からなる逆浸透膜も同様に好ましいものであると考えられる。
10 サンプリング弁
11 サンプルループ
20 尿素分析部
31 反応コイル
32 検出器
33 背圧コイル
40 冷蔵部
41,42 貯槽
43,44 混合部
51 フィルタ
52 膜装置
53 逆浸透膜
54 イオン交換装置
63 標準液供給部
100 制御装置

Claims (11)

  1. 試料水中の尿素を定量する方法であって、
    逆浸透膜を有する膜装置によって試料水を前処理する前処理工程と、
    前記前処理された試料水中の尿素を分析して尿素の濃度測定値を求める分析工程と、
    尿素の標準液を前記膜装置に通液して前記逆浸透膜を透過した液体に含まれる尿素の量を測定して前記膜装置における尿素除去率を求める除去率算出工程と、
    前記尿素除去率を用いて前記濃度測定値を補正して尿素の定量値を求める工程と、
    を有し、
    前記分析工程と前記除去率算出工程とにおいて尿素の測定に同一の尿素分析部を使用する定量方法。
  2. 前記除去率算出工程において、前記標準液のみを前記膜装置に通液する、請求項1に記載の定量方法。
  3. 試料水中の尿素を定量する方法であって、
    逆浸透膜を有する膜装置によって試料水を前処理する前処理工程と、
    前記前処理された試料水中の尿素を分析して尿素の濃度測定値を求める分析工程と、
    尿素の標準液を前記膜装置に通液して前記逆浸透膜を透過した液体に含まれる尿素の量を測定して前記膜装置における尿素除去率を求める除去率算出工程と、
    前記尿素除去率を用いて前記濃度測定値を補正して尿素の定量値を求める工程と、
    を有し、
    前記除去率算出工程において、前記標準液を前記試料水に標準添加して前記膜装置に通液する、定量方法。
  4. 試料水中の尿素を定量する方法であって、
    逆浸透膜を有する膜装置によって試料水を前処理する前処理工程と、
    前記前処理された試料水中の尿素を分析して尿素の濃度測定値を求める分析工程と、
    尿素の標準液を前記膜装置に通液して前記逆浸透膜を透過した液体に含まれる尿素の量を測定して前記膜装置における尿素除去率を求める除去率算出工程と、
    前記尿素除去率を用いて前記濃度測定値を補正して尿素の定量値を求める工程と、
    を有し、
    除去率算出工程を所定の時間間隔で実施して前記尿素除去率を更新する、定量方法。
  5. 前記除去率算出工程において、前記膜装置に通液される前の液体に含まれる尿素の量も測定して前記尿素除去率を算出する、請求項1乃至のいずれか1項に記載の定量方法。
  6. 前記試料水に、次亜塩素酸及び次亜臭素酸の少なくとも一方が含まれる、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の定量方法。
  7. 前記分析工程及び前記除去率算出工程において、ジアセチルモノオキシムを用いる比色法に基づき、フローインジェクション分析により吸光度を測定して尿素の量を求める、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の定量方法。
  8. 前記逆浸透膜は、酢酸セルロースまたはスルホン化ポリスルホンから構成されている、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の定量方法。
  9. 試料水中の尿素を分析する分析装置であって、
    逆浸透膜を備えて試料水の前処理を行う膜装置と、
    前記前処理された試料水中の尿素を分析する分析手段と、
    前記膜装置の入口に対して尿素の標準液を供給する供給手段と、
    を有し、
    前記尿素の標準液を前記膜装置に供給したときに前記膜装置を透過した液体に含まれる尿素の量を前記分析手段によって求めて前記膜装置における尿素除去率が決定される、分析装置。
  10. 前記供給手段は、所定の時間間隔で前記標準液を供給する、請求項9に記載の分析装置。
  11. 前記分析手段は、ジアセチルモノオキシムを用いる比色法によって試料水中の尿素を定量するフローインジェクション分析装置を有する、請求項9または10に記載の分析装置。
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