JP2008246439A - 有機尿素系化合物吸着剤、有機尿素系化合物吸着装置及び有機尿素系化合物処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ベンゼン環にカルボキシル基が結合し、該カルボキシル基が結合した位置に隣接する位置にヒドロキシル基又はカルボキシル基が結合した構造を有する有機化合物からなる有機尿素系化合物吸着剤、本発明の水不溶性の有機尿素系化合物をカラムに充填してなる有機尿素系化合物吸着装置、並びに、有機尿素系化合物物吸着剤を有機尿素系化合物含有水に添加する添加工程と、添加工程を経た有機尿素系化合物含有水を固液分離する固液分離工程とを有する有機尿素系化合物処理方法、及び、有機尿素系化合物吸着装置に、有機尿素系化合物含有水を通水する有機尿素系化合物処理方法。
【選択図】図4
Description
(1)ベンゼン環にカルボキシル基が結合し、該カルボキシル基が結合した位置に隣接する位置にヒドロキシル基又はカルボキシル基が結合した構造を有する有機化合物からなることを特徴とする有機尿素系化合物吸着剤、
(2)前記有機化合物が、ベンゼン環のo−位置にヒドロキシル基とカルボキシル基又は2個のカルボキシル基を有する有機低分子量化合物である(1)記載の有機尿素系化合物吸着剤、
(3)前記有機化合物が、該構造を側鎖に有する有機高分子量化合物である(1)記載の有機尿素系化合物吸着剤、
(4)有機高分子量化合物が、水不溶性である(3)記載の有機尿素系化合物吸着剤、
(5)(4)記載の有機尿素系化合物吸着剤が粒状又は繊維状であり、該吸着剤をカラムに充填してなることを特徴とする有機尿素系化合物吸着装置、
(6)繊維状の有機尿素系化合物吸着剤が、ナノファイバーである(5)記載の有機尿素系化合物吸着装置、
(7)(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の有機尿素系化合物吸着剤を有機尿素系化合物含有水に添加する添加工程と、添加工程を経た有機尿素系化合物含有水を固液分離する固液分離工程とを有することを特徴とする有機尿素系化合物処理方法、
(8)(5)又は(6)記載の有機尿素系化合物吸着装置に、有機尿素系化合物含有水を通水することを特徴とする有機尿素系化合物処理方法、
(9)有機尿素系化合物含有水の有機体炭素(TOC)が、10mgC/L以下である(7)又は(8)記載の有機尿素系化合物処理方法、及び、
(10)有機尿素系化合物含有水の有機体窒素が、5mgN/L以下である(7)又は(8)記載の有機物処理方法、
を提供するものである。
本発明は、有機尿素系化合物の濃度の低い場合にも適用可能な有機尿素系化合物吸着剤を提供するものであるが、低濃度における吸着性能を追求した結果、有機尿素系化合物の濃度が高い場合(例えば、50〜200mgN/L)においても十分な吸着性能を持つことが分かった。つまり、血液透析のような分野にも適用できる可能性が示された。
なお、実施例及び比較例において、尿素濃度は、ジアセチルモノオキシム法により定量した。除去率は、次式により算出した。
除去率(%)=[1−2×(透過水尿素濃度)/(原水尿素濃度+濃縮水尿素濃度)]×100
実施例1
尿素[和光純薬工業(株)、試薬特級]を純水に溶解して、尿素濃度11.0mg/Lの被処理水を調製した。この被処理水に、サリチル酸[和光純薬工業(株)、試薬特級]70mg/Lを添加し、図1に示すように、逆浸透膜[日東電工(株)、HR−759、平膜]に通水した。透過水の尿素濃度は6.6mg/L、濃縮水の尿素濃度は16.0mg/Lであり、尿素の除去率は51.1%であった。
実施例2
尿素濃度10.0mg/Lの被処理水を調製し、この被処理水にフタル酸[和光純薬工業(株)、試薬特級]70mg/Lを添加した以外は、実施例1と同様にして、逆浸透膜に通水した。透過水の尿素濃度は8.1mg/L、濃縮水の尿素濃度は13.0mg/Lであり、尿素の除去率は29.6%であった。
比較例1
尿素濃度10.0mg/Lの被処理水を調製し、この被処理水サリチル酸を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、逆浸透膜に通水した。透過水の尿素濃度は8.6mg/L、濃縮水の尿素濃度は12.0mg/Lであり、尿素の除去率は21.8%であった。
実施例1〜2及び比較例1の結果を、第1表に示す。
実施例1〜2において、尿素濃度約10mg/Lの被処理水に対して、サリチル酸又はフタル酸をそれぞれ70ppm添加したが、実使用における添加吸着剤量は、尿素濃度10mg/Lに対して40〜120mg/Lがよく、最適値は50〜80mg/Lであった。
m−フェニレンジアミン0.324g(0.003モル)を炭酸ナトリウム0.358gを含む脱イオン水7.5mLに溶解し、さらに脱イオン水7.5mLで希釈した。この溶液を、ソルビタントリオレエート[Span 85]5重量%を含むクロロホルム/シクロヘキサン溶液(体積比1:4)75mLに添加して混合し、エマルションを得た。
4−アミノ−2−ヒドロキシ安息香酸0.459g(0.003モル)と1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリクロリド0.796g(0.003モル)を、ソルビタントリオレエート[Span 85]5重量%を含むクロロホルム/シクロヘキサン溶液(体積比1:4)75mLに添加して溶液を調製した。
この溶液を、上記のエマルションに0〜4℃で添加し、撹拌することにより、界面重縮合反応を行った。生成物をろ過し、減圧乾燥することにより、式[1]で表される構造単位を有する重合体を得た。この重合体は、水不溶性であった。この重合体を、実施例3において、有機尿素系化合物吸着剤として用いた。
尿素[和光純薬工業(株)、試薬特級]を純水に溶解して、尿素濃度550μg/Lの被処理水を調製した。
容量250mLのデュラン瓶に耐熱性の栓をして電気炉で800℃に加熱して内部の有機物を分解除去し、このデュラン瓶に、被処理水200mLを入れ、製造例1で得られた有機尿素系化合物吸着剤100mgを添加して混合し、混合液について尿素濃度を測定した。尿素濃度は、550μg/Lであった。
デュラン瓶を振盪器に取り付け、振盪数100rpmで、室温で24時間振盪したのち、混合液を孔径0.45μmのフィルターを用いてろ過し、ろ液の尿素濃度を測定した。尿素濃度は、50μg/Lであった。
比較例2
実施例3のように、予め内部の有機物を加熱分解した容量250mLのデュラン瓶に被処理水200mLを入れ、有機尿素系化合物吸着剤を添加しなかった以外は、実施例3と同じ操作を行った。
デュラン瓶内の液の尿素濃度は、振盪前、振盪、ろ過後ともに、550μg/Lであった。
実施例3及び比較例2の結果を、第2表に示す。
4−アミノ−2−ヒドロキシ安息香酸1モル、m−フェニレンジアミン2モル及び1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリクロリド3モルを界面重縮合することにより、式[1]で示す構造単位を有するプレポリマーを得た。このプレポリマーの溶液をエレクトロスピニング法で紡糸することにより、繊維径100nmのナノファイバー及び繊維径680nmのナノファイバーを得た。これらのナノファイバーは、水不溶性であった。これらのナノファイバーを、実施例4〜5において、有機尿素系化合物吸着剤として用いた。
実施例4
尿素[和光純薬工業(株)、試薬特級]を純水に溶解して、尿素濃度560μg/Lの被処理水を調製した。
内径11mm、長さ150mmのガラス製耐圧カラムに、図4に示すように、製造例2で得られた直径100nmのナノファイバーを、充填率50体積%に充填した。このカラムに、被処理水を通水速度LV=5m/h、水圧2.0MPaにて通水した。カラムから流出する処理水の尿素濃度は、100μg/Lであった。
実施例5
被処理水の尿素濃度を520μg/Lとし、繊維径680nmのナノファイバーを用いた以外は、実施例4と同じ操作を行った。カラムから流出する処理水の尿素濃度は、150μg/Lであった。
実施例4〜5の結果を、第3表に示す。
尿素[和光純薬工業(株)、試薬特級]を純水に溶解して尿素濃度2.00g/Lの被処理水を調製した。
実施例3のように、予め内部の有機物を加熱分解した容量250mLのデュラン瓶に被処水200mLを入れ、製造例1で得られた有機尿素系化合物吸着剤20gを添加して混合し、混合液について尿素濃度を測定した。尿素濃度は、2.00g/Lであった。
デュラン瓶を振盪機に取り付け、振盪数100rpmで、室温で24時間振盪したのち、混合液を孔径0.45μmのフィルターを用いてろ過し、ろ液の尿素濃度を測定した。尿素濃度は、40mg/Lであった。
比較例3
実施例3のように、予め内部の有機物を加熱分解したデュラン瓶に被処理水200mLを入れ、有機尿素系化合物吸着剤を添加しなかった以外は、実施例6と同じ操作を行った。
実施例6及び比較例3の結果を、第4表に示す。
本発明の有機尿素系化合物吸着剤は、従来の尿素吸着剤よりも希薄な濃度領域での吸着容量が大きく、この吸着剤の採用により、有機尿素系化合物吸着装置の設置面積を低減するとともに、これまでコストアップの要因となっていた純水製造装置の有機物尿素系化合物除去装置のコストを低減し、純水製造装置において、広く一般産業ないし民生用の水処理及び医療分野での有機物濃度低減方法を安価に提供することができる。
2 膜分離装置
3 沈殿分離装置
4 カラム
Claims (10)
- ベンゼン環にカルボキシル基が結合し、該カルボキシル基が結合した位置に隣接する位置にヒドロキシル基又はカルボキシル基が結合した構造を有する有機化合物からなることを特徴とする有機尿素系化合物吸着剤。
- 前記有機化合物が、ベンゼン環のo−位置にヒドロキシル基とカルボキシル基又は2個のカルボキシル基を有する有機低分子量化合物である請求項1記載の有機尿素系化合物吸着剤。
- 前記有機化合物が、該構造を側鎖に有する有機高分子量化合物である請求項1記載の有機尿素系化合物吸着剤。
- 有機高分子量化合物が、水不溶性である請求項3記載の有機尿素系化合物吸着剤。
- 請求項4記載の有機尿素系化合物吸着剤が粒状又は繊維状であり、該吸着剤をカラムに充填してなることを特徴とする有機尿素系化合物吸着装置。
- 繊維状の有機尿素系化合物吸着剤が、ナノファイバーである請求項5記載の有機尿素系化合物吸着装置。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の有機尿素系化合物吸着剤を有機尿素系化合物含有水に添加する添加工程と、添加工程を経た有機尿素系化合物含有水を固液分離する固液分離工程とを有することを特徴とする有機尿素系化合物処理方法。
- 請求項5又は請求項6記載の有機尿素系化合物吸着装置に、有機尿素系化合物含有水を通水することを特徴とする有機尿素系化合物処理方法。
- 有機尿素系化合物含有水の有機体炭素(TOC)が、10mgC/L以下である請求項7又は請求項8記載の有機尿素系化合物処理方法。
- 有機尿素系化合物含有水の有機体窒素が、5mgN/L以下である請求項7又は請求項8記載の有機物処理方法。
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