以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
[実施形態1]以下、実施形態1について説明する。
<装置構成>まず、図1を参照して、実施形態1のシステムカメラ1000の機能および外観について説明する。
なお、本実施形態では、撮像装置に所定の機能を有するモジュールが取り付けられたシステムの一例として、静止画や動画を撮影可能な撮像装置に機能拡張用のモジュールが取り付けられたシステムカメラに適用した例を説明する。撮像装置としては、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、監視カメラや医療用カメラなどであってもよい。
図1は、本実施形態のシステムカメラ1000を前方(被写体側)から見た分解斜視図(a)および後方から見た分解斜視図(b)である。
以下の説明では、説明の容易化のため、斜視図における三次元座標系を定義する。図中、Z軸はシステムカメラ1000の撮影光軸方向とし、撮影被写体方向を正(+)とする。Z軸に直交する平面上において、システムカメラ1000の幅方向をX軸、天地方向をY軸とし、特にY軸は天に向かう方向を正とする。また、システムカメラ1000を構成する各モジュールの被写体に向く方向を正面、その反対方向を背面と呼ぶものとする。
本実施形態のシステムカメラ1000は、カメラ本体1010、レンズユニット1020、レコーダモジュール1030、放熱モジュール1040、バッテリーホルダ1050、バッテリーパック(電源モジュール)1060を備える。各モジュールは、後述するようにカメラ本体1010にZ方向(前後方向)に接続可能であると共に、モジュール同士もZ方向(前後方向)に接続可能である。
カメラ本体1010は、正面にレンズユニット1020を装着するためのレンズマウント1011を備え、撮影環境などの使用条件に合わせてレンズユニット1020を交換することができる。レンズユニット1020を通じて入射した被写体光学像を、内蔵した撮像センサ(図示せず)によって電気信号へ変換し、信号処理回路によって画像処理を施す。カメラ本体1010には記録媒体(図示せず)が内蔵され、画像処理が施された映像データを所定の記録形式で記憶することができる。
カメラ本体1010の側面には放熱用の吸気口1012および排気口1013が設けられている。後述するように、カメラ本体1010は内部で発生した熱を外部に放熱するための強制冷却装置を備え、吸気口1012から外気を吸入し強制冷却装置を通過させた後、排気口1013から排出する。カメラ本体1010の背面には伝熱部1014が設けられている。伝熱部1014は、カメラ本体1010で発生した熱を背面に接続されたモジュールに伝達する熱伝導性の部材である。
カメラ本体1010の背面には後述する共通係合インターフェースが設けられている。共通係合インターフェースはシステムカメラ1000を構成する他のモジュールと接続することが可能である。共通係合インターフェースは、システムカメラ1000のモジュール同士を機械的および電気的に接続するための規格化された接続構造を有する。共通係合インターフェースは、一対の係合側インターフェースおよび被係合側インターフェースで構成され、係合側をオス側インターフェース1070、被係合側をメス側インターフェース1071と呼ぶものとする。主な構成要素として、オス側にはフック部、メス側にはスリット孔を備え、オス側、メス側それぞれに信号を授受するための端子類が設けられている。カメラ本体1010の背面の共通係合インターフェースはメス側インターフェース1071である。
カメラ本体1010の上面には表示部1015が設けられている。表示部1015はカメラ本体1010と機械的および電気的に接続されており、カメラ本体1010で撮影された映像、各種設定、操作メニューなどを表示可能である。
レコーダモジュール1030は、カメラ本体1010で撮影された映像信号を所定のデータ形式で記録する記録装置である。レコーダモジュール1030は、高速な信号処理部と大容量の記録媒体(図示せず)を備え、例えば4K、8Kの高精細映像や120P(fps(frames per second))や240Pのハイフレームレート撮影といった、高度な撮影用途に使用される。レコーダモジュール1030は、正面にオス側インターフェース1070、背面にメス側インターフェース1071を備え、さらにモジュールを増設することができるように、側面にもメス側インターフェース1071が設けられている。レコーダモジュール1030には、レコーダモジュール1030の内部で発生した熱を他のモジュールに伝達するために、正面に第1伝熱部1031、背面に第2伝熱部1032、側面に第3伝熱部1033が設けられている。
放熱モジュール1040は、消費電力の高い動作モードや撮影時の温度が高い場合など、システムカメラ1000による自然放熱だけでは不十分な場合に、放熱能力を高めるために接続される。放熱モジュール1040には、その前面および背面に接続されたカメラ本体や他のモジュールから熱を受ける部材として、正面に第1受熱面1041、背面に第2受熱面1042が設けられている。放熱モジュール1040の内部には、後述するように、第1受熱面1041および第2受熱面1042が受けた熱を外部に排出するための強制冷却装置が設けられている。強制冷却装置への外気の吸入/排出を行うため、放熱モジュール1040の側面には、吸気口1043および排気口1044が設けられている。また、放熱モジュール1040は、正面にオス側インターフェース1070、背面にメス側インターフェース1071が設けられている。
バッテリーホルダ1050は、バッテリーパック1060をカメラ本体1010または各モジュール1030、1040の共通係合インターフェースに係合するためのアダプタモジュールである。バッテリーホルダ1050は、背面にバッテリーパック1060と係合するバッテリー係合凹部1051と受電端子1052を備え、正面にオス側インターフェース1070を備える。
バッテリーパック1060は、充電可能なバッテリーセル(図示せず)が内蔵されている電源モジュールである。バッテリーパック1060の正面には、バッテリー係合凹部1051に適合するバッテリー係合凸部1061と、受電端子1052に接続して給電する給電端子1062が設けられている。
<共通係合インターフェース>次に、共通係合インターフェースについて説明する。
共通係合インターフェースは、前述したようにカメラ本体の背面および各モジュールの前面および背面に設けられ、少なくとも4K以上の解像度の映像信号や60P以上のフレームレートの映像データを伝送可能である。以下では、図2に示す放熱モジュール1040に設けられた共通係合インターフェースの構成を一例として説明する。図2は放熱モジュール1040を正面から見た斜視図(a)および背面から見た斜視図(b)である。
放熱モジュール1040の正面にはオス側インターフェース1070が設けられている。オス側インターフェース1070は、機械的な係合機構であるフック1072および位置決め突起1073と、電気的な接続機構であるオス側信号端子1074およびオス側電源端子1075と、を備える。
フック1072は、モジュール本体の略四隅に+Z方向に延出して配置され、-Y方向に向けて係合爪が形成されている。さらに、フック1072はばね(図示せず)などの付勢手段によって-Y方向に付勢されて、所定の突き当たり部に当接した状態で待機している。放熱モジュール1040の側面の操作ノブ1076を操作すると、付勢力に抗してフック1072をY軸正方向にスライドさせることができる。
放熱モジュール1040の背面には、メス側インターフェース1071が設けられている。メス側インターフェース1071は、機械的な被係合機構であるスリット孔1077および位置決め穴1078と、電気的な被接続機構であるメス側信号端子1079およびメス側電源端子1080とを備える。スリット孔1077は、フック1072が挿入される角孔であり、スリット孔1077の内部にフック1072の係合爪が係合する図示しない被係合面が形成されている。
放熱モジュール1040は、オス側インターフェース1070とメス側インターフェース1071がカメラ本体や他のモジュールに接続された状態において、位置決め突起1073が位置決め穴1078に嵌入してXY方向の相対位置が固定される。さらに、オス側インターフェース1070とメス側インターフェース1071の間で所定の面が当接した状態でフック1072がスリット孔1077に係合し、Z方向の位置が固定される。
オス側インターフェース1070とメス側インターフェース1071が接続した状態において、オス側信号端子1074とメス側信号端子1079は電気接点がそれぞれ所定の接触圧で当接し、信号の送受信または電力を供給可能に電気的に接続される。同様に、オス側インターフェース1070とメス側インターフェース1071が接続した状態において、オス側電源端子1075とメス側電源端子1080は電気接点がそれぞれ所定の接触圧で当接し、信号の送受信または電力を供給可能に電気的に接続される。操作ノブ1076が操作されると、フック1072がY軸正方向に移動して被係合面から離間し、オス側インターフェース1070とメス側インターフェース1071はZ方向に分離可能である。
なお、共通係合インターフェースは図2の構成に限るものではなく、システムの要求に基づいて構成要素が追加または削除される場合もある。例えば、オス側インターフェース1070とメス側インターフェース1071の接続状態を検出するスイッチやセンサが追加されてもよい。また、信号は電気信号のほか、光信号のように他の媒体を利用する信号であってもよく、信号媒体に対応する適切な通信端子を設けることで対応可能である。
さらには、データ信号端子または電源端子の一部を省略してもよい。例えば、図1に示すバッテリーホルダ1050はオス側インターフェース1070を備えるが、オス側信号端子1074は省略されている。バッテリーホルダ1050はバッテリーパック1060の係合インターフェースを共通インターフェースに変換するためのアダプタであってデータ信号を扱うことがないので、オス側信号端子1074を省略できる。また、フックの形状や配置、位置決めの構造、データ信号端子または電源端子の構造や配置は、様々に変形が可能である。
<システム構成>次に、図3および図4を参照して、システムカメラ1000の構成について説明する。
図3は、図1のシステムカメラ1000を前方から見た斜視図である。
システムカメラ1000を構成する各モジュールは、図3に示すようにZ方向に連結することが可能である。各モジュールが互換性を持つ共通係合インターフェースによって相互に接続可能であるため、撮影環境や動作モードなどの使用条件によって各モジュールの位置関係を入れ替えたり、取捨選択することが可能である。
図3では、カメラ本体1010で撮影した映像信号をレコーダモジュール1030に記録する構成を例示しているが、使用条件によってはカメラ本体1010の内部に記録するだけで対応できる場合がある。このような場合には、レコーダモジュール1030は不要となる。このため、図3に示すシステムカメラ1000からレコーダモジュール1030を取り外して、カメラ本体1010、放熱モジュール1040、バッテリーホルダ1050を接続した状態に簡略化することができる。
また、低解像度撮影のようにカメラ本体1010の消費電力が低く、カメラ本体1010が備える強制冷却装置により十分に放熱が可能な場合もある。この場合には、カメラ本体1010に対して放熱モジュール1040の放熱能力は過剰となる。このため、放熱モジュール1040をカメラ本体1010から取り外してレコーダモジュール1030の背面に入れ替えることで、放熱モジュール1040の放熱能力をレコーダモジュール1030の放熱のみに十全に利用することもできる。
一方で、図3のシステムカメラ1000に新たにモジュールを追加することも可能である。例えば、長時間撮影を想定して複数のレコーダモジュール1030を取り付けるように、使用条件によって必要となるモジュールを適宜追加してシステムの機能強化を図ることができる。さらに、追加されたモジュールに対して放熱能力を付与するため、別の放熱モジュール1040を接続することもできる。
レコーダモジュール1030は、前述したように、側面にメス側インターフェース1071を備え、前面および背面を他のモジュールと接続した状態のままで側面に別のモジュールを接続することができる。図4は、図3に示すシステムカメラ1000にメディアモジュール1150を増設した状態を後方から見た斜視図である。
メディアモジュール1150は、レコーダモジュール1030の記憶容量を補足的に追加するモジュールである。レコーダモジュール1030は、内部に記録媒体(図示せず)を備え、カメラ本体1010で撮影された映像信号を記録することができる。メディアモジュール1150も、他のモジュールと同様に、一側面にオス側インターフェース1070、反対の側面にメス側インターフェース1071が設けられている。撮影途中に記憶容量が不足した場合に、図4に示すようにメディアモジュール1150を増設し容量を拡大することで、撮影が継続可能となる。このように、モジュールの側面にも共通係合インターフェースを設けたことで、一体化したシステムを解体することなく機能の強化や追加を容易に行うことができる。
共通係合インターフェースに接続できるモジュールとしては、上述したもの以外にも様々なモジュールが存在し得る。例えば、映像信号や制御信号を所定の伝送形式に変換して外部へ出力、あるいは外部から入力する入出力モジュールや、ユーザが操作するためのユーザインターフェースモジュールなどがある。これらのモジュールも、必要に応じて共通係合インターフェースによって相互に接続することができる。
<放熱経路>次に、図5を参照して、システムカメラ1000の放熱経路について説明する。
図5は、図3に示すシステムカメラ1000の概略断面図である。図5は、システムカメラ1000を撮影光軸を通る水平な平面で切断し、+Y方向から見た断面を示し、レンズユニット1020は省略している。
まず、カメラ本体1010の放熱経路について説明する。
カメラ本体1010は内部に信号処理回路1016を備え、信号処理回路1016で発生した熱は第1放熱経路1081および第2放熱経路1082を介してカメラ本体1010の前後方向へ伝達される。
第1放熱経路1081で伝達された熱はダクト1017に拡散する。ダクト1017の直近には放熱ファン1118が接続され、ダクト1017の内部の空気を吸引する。放熱ファン1118が動作すると、カメラ本体1010の側面に設けられた吸気口1012からダクト1017の内部に気流1084として外気が流入する。ダクト1017の内壁に設けられたフィンにより、ダクト1017に拡散した熱が気流1084に伝達される。温められた気流1084は放熱ファン1118を通過し、排気口1013から外部に排出される。
第2放熱経路1082から伝達された熱は伝熱部1014に拡散し、カメラ本体1010の背面に接続された放熱モジュール1040の第1受熱面1041に伝達される。第1受熱面1041は放熱モジュール1040の内部でダクト1045と一体化され、第1受熱面1041に伝達された熱はダクト1045に拡散する。ダクト1045は放熱ファン1047と接続され、放熱ファン1047が動作することで、吸気口1043からダクト1045の内部に気流1085として外気が吸入される。ダクト1045に伝達された熱は、ダクト1045の内壁に設けられたフィンによって気流1085に伝達された後、放熱ファン1047によって排気口1044から外部に排出される。
このように、カメラ本体1010の内部で発生した熱は、カメラ本体1010に内蔵された強制冷却装置と、共通係合インターフェースによって接続された放熱モジュール1040の強制冷却装置によって放熱される。
次に、レコーダモジュール1030の放熱経路について説明する。
レコーダモジュール1030の内部で発生した熱は、放熱経路1083を介してレコーダモジュール1030の正面の第1伝熱部1031に伝達される。レコーダモジュール1030の正面には放熱モジュール1040が接続されているので、第1伝熱部1031の熱は放熱モジュール1040背面の第2受熱面1042に伝達される。なお、レコーダモジュール1030の背面には第2伝熱部1032、側面には第3伝熱部1033が設けられているが、背面および側面には放熱機能を有するモジュールが接続されていないため、これらの方向には放熱経路は形成されない。
第2受熱面1042は放熱モジュール1040の内部でダクト1046と一体化され、第2受熱面1042に伝達された熱はダクト1046に伝達される。ダクト1046は放熱ファン1047と接続され、放熱ファン1047の動作によって吸気口1043からダクト1046内部に気流1086として外気が吸入される。ダクト1046の内部に設けられたフィンによって熱が気流1086に伝達され、温められた気流1086は放熱ファン1047を通過し排気口1044から外部に排出される。
レコーダモジュール1030は放熱装置を備えないが、共通係合インターフェースにより放熱モジュール1040に接続されることで、放熱モジュール1040の強制冷却装置を用いて放熱を行うことができる。
本実施形態では、1台の放熱モジュール1040をカメラ本体1010とレコーダモジュール1030の間に配置する構成としたが、これに限らず、複数の放熱モジュール1040を接続してより放熱能力を強化してもよい。また、放熱モジュール1040を接続する位置も、例えばレコーダモジュール1030とバッテリーホルダ1050の間にしてもよいし、レコーダモジュール1030の側面の共通係合インターフェースに接続してもよい。
<電気的な構成>次に、図6を参照して、システムカメラ1000の電気的な構成について説明する。
図6は、図4に示すシステムカメラ1000の電気的な構成を示すブロック図である。
以下では、システムカメラ1000の電気的な構成を説明する。
システムカメラ1000は、内部バス1200に、メモリ1102、画像処理部1104、撮像部1105、レンズマウント部1106、表示部1015、操作部1109、電源部1111、CPU1112、記録媒体1113、温度検出部1117、放熱ファン1118が接続されている。
内部バス1200に接続される各部は、内部バス1200を介して互いにデータのやり取りを行うことができる。
CPU1112は、カメラ本体1010に内蔵され、主に他のモジュールとの情報の授受を行う。
メモリ1102は、例えばRAM(揮発性メモリなど)やROM(不揮発性メモリ)を含み、映像データや音声データ、その他のデータ、CPU1112が動作するための各種プログラムなどが格納される。
CPU1112は、例えばメモリ1102に格納されるプログラムに従い、カメラ本体1010の各部を制御する。
CPU1112およびメモリ1102はカメラ本体1010に設けられているが、他のモジュールにも同様にCPUとメモリが設けられている。レコーダモジュール1030にはCPU1132とメモリ1131、放熱モジュール1040にはCPU1122とメモリ1121、メディアモジュール1150にはCPU1152とメモリ1151がそれぞれ設けられている。
各モジュール1030、1040、1050のCPU1122、1132、1152は、カメラ本体1010のCPU1112と同様の演算処理機能を有する。各モジュール1030、1040、1050のメモリ1121、1131、1151は、カメラ本体1010のメモリ1102と同様の記憶容量を有する。各モジュール1030、1040、1050のメモリ1121、1131、1151に格納される情報には、システムカメラ1000の放熱状態を制御するために必要となる各種データ、テーブル、プログラムなどが含まれる。
各モジュール1030、1040、1050がカメラ本体1010に接続されると、メス側信号端子1079およびオス側信号端子1074を介して、内部バス同士が電気的に接続される。CPU1112は、各モジュール1030、1040、1050のCPU1122、1132、1152との間で情報の授受が可能となり、映像信号の他、システムカメラ1000の放熱性能に関する情報(放熱能力情報)や各モジュールが取り付けられた位置に関する情報(接続位置情報)などをやり取りすることができる。
本実施形態では、カメラ本体1010は、内部バス1201を介してCPU1112と放熱モジュール1040のCPU1122との間で情報の授受が可能である。同様に、カメラ本体1010は、放熱モジュール1040の内部バス1202を介してCPU1122とレコーダモジュール1030のCPU1132との間で情報の授受が可能である。レコーダモジュール1030のCPU1132は、内部バス1203が分岐する分岐バス1206を有し、モジュールを分岐増設した場合に増設したモジュールのCPUと情報のやり取りが可能となる。
検出端子1124は、カメラ本体1010に放熱モジュール1040が接続されていることを通知する。検出端子1124は、オス側信号端子1074およびメス側信号端子1079を介してCPU1112にデジタル値またはアナログ値を通知することで、カメラ本体1010に別モジュールが増設されていることを検出することができる。モジュールの種類ごとに検出端子1124が通知するデジタル値またはアナログ値を可変とし、それらが予め関連付けられてメモリに格納されている。
検出端子1134も検出端子1124と同等の機能を有する。本実施形態では、CPU1122が検出端子1134を検出することで、放熱モジュール1040がレコーダモジュール1030を検出することができる。
ここで、システムカメラ1000や各モジュールの放熱能力情報や接続位置情報などを取得する方法について説明する。なお、以下では、システムカメラ1000が情報を取得する方法の一例として、カメラ本体1010が、接続された各モジュールの種類と接続位置情報を取得する方法を説明するが、これに限るものではない。
第1の検出方法としてカメラ本体1010に放熱モジュール1040が接続されると、CPU1112は検出端子1124から通知を受信することで、モジュールの接続を検出し、内部バス1201を介してCPU1122との通信を開始する。そして、CPU1112は内部バス1201において、自身をホストとして設定し、CPU1122をデバイスとして設定する。また、CPU1112は接続される順番を示す順番ID1をCPU1122に送信し、CPU1122は受信した順番ID1を自身の属する放熱モジュール1040のIDと認識して設定する。その後、CPU1122は放熱モジュール1040の種類に関する情報(モジュール情報)と順番ID1をCPU1112に送信し、CPU1112は受信した放熱モジュール1040のモジュール情報と順番ID1を設定してメモリ1102に記憶する。
同様に、放熱モジュール1040にレコーダモジュール1030が接続されると、CPU1122は検出端子1134から通知を受信することで、モジュールの接続を検出し、内部バス1202を介してCPU1132との通信を開始する。そして、CPU1122は内部バス1202において、自身をホストとして設定し、CPU1132をデバイスとして設定する。また、CPU1122は自身の属する放熱モジュール1040のIDである順番ID1に基づき、順番ID2を生成し、順番ID2をCPU1132に送信する。CPU1132は受信した順番ID2を自身の属するレコーダモジュール1030のIDと認識して設定する。その後、CPU1132はレコーダモジュール1030のモジュール情報と順番ID2をCPU1122に送信する。CPU1122は受信したレコーダモジュール1030のモジュール情報と順番ID2をCPU1112に送信し、CPU1112は受信したレコーダモジュール1030のモジュール情報と順番ID2を設定してメモリ1102に記憶する。
レコーダモジュール1030に別モジュールが接続された場合も同様の動作を行うことによって、追加のモジュール情報と順番IDがセットになってメモリ1102に記憶される。
以上のように、カメラ本体1010のCPU1112はメモリ1102に記憶されているモジュール情報と順番IDを参照することによって、各モジュールが接続されている順番を検出することができる。
次に、第2の検出方法として、モジュールが接続される順番で各モジュールのCPUを起動させる方法について説明する。
カメラ本体1010に放熱モジュール1040が接続されると、CPU1112は検出端子1124から通知を受信することでモジュールの接続を検出し、内部バス1201を介してCPU1112が放熱モジュール1040のCPU1122のリセットを解除する。リセットが解除されたCPU1122は、自身のモジュール情報をCPU1112へ送信する。CPU1112は、CPU1122から受信した時間と情報をメモリ1102記憶する。
同様に、放熱モジュール1040にレコーダモジュール1030が接続されると、CPU1122は検出端子1134から通知を受信することでモジュールの接続を検出し、内部バス1202を介してレコーダモジュール1030のCPU1132のリセットを解除する。リセットが解除されたCPU1132は、自身のモジュール情報をCPU1122へ送信する。CPU1122は、CPU1132から受信したモジュール情報をCPU1112へ送信する。CPU1132からモジュール情報を受信したCPU1112は、受信した時間と情報をメモリ1102に記憶する。
以上のように、カメラ本体1010のCPU1112が受信し、メモリ1102に格納されているモジュール情報を受信した順番が、接続されているモジュールが接続された順番に対応する。このため、カメラ本体1010は各モジュールが接続されている順番を検出することができる。
次に、第3の検出方法として、順番ID以外の方法で、接続されたモジュールを認識する方法について説明する。
レコーダモジュール1030には複数のモジュールが接続可能である。レコーダモジュール1030にメディアモジュール1150が接続されると、レコーダモジュール1030のCPU1132は検出端子1154から通知を受信することでモジュールの接続を検出し、分岐バス1206を介してメディアモジュール1150のCPU1152との間で通信を開始する。そして、CPU1132は分岐バス1206において、自身をホストとして設定し、CPU1152をデバイスとして設定する。CPU1152はメディアモジュール1150のモジュール情報をレコーダモジュール1030のCPU1132に送信し、CPU1132は接続されたモジュールがメディアモジュール1150であることをメモリ1131に記憶する。
レコーダモジュール1030のCPU1132は、メモリ1131に記憶されているモジュール情報に基づいて、メディアモジュール1150が付加された状態での機能と消費電力に関する情報と自身の順番ID2を内部バス1202を介して放熱モジュール1040のCPU1122に送信する。CPU1122は順番ID2のモジュールがレコーダモジュール1030にメディアモジュール1150の機能と消費電力が付加されたモジュールに更新されたことをメモリ1121に記憶する。そして、CPU1122は順番ID2のモジュールに関する更新された情報を内部バス1201を介してカメラ本体1010のCPU1112へ送信する。CPU1112は順番ID2のレコーダモジュール1030にメディアモジュール1150の機能と消費電力が付加されたモジュールに更新されたことをメモリ1102に記憶する。
以上のように、既に他のモジュールに対して順番IDを設定済みであっても、接続されたモジュールにより自身の機能が追加された情報をホストへ通知することで、カメラ本体1010は各モジュールが接続されている順番を検出することができる。
次に、第4の検出方法として、カメラ本体1010のCPU1112が任意のモジュールのCPUと通信する方法と接続されている順番を検出する方法を説明する。
以下では、内部バス1201、内部バス1202および内部バス1203は1つの内部バス1201として総称して説明する。
カメラ本体1010に放熱モジュール1040が接続されると、CPU1122はメモリ1121に格納されている固有IDを内部バス1201を介してCPU1112に送信する。CPU1112は、この固有IDを使用してCPU1122と通信することが可能となる。
次に、抵抗分圧の中点電圧から接続されている順番を検出する方法の一例を説明する。まず、カメラ本体1010の電源部1111から電源ライン1101を介して接続された放熱モジュール1040に電力を供給する。放熱モジュール1040は2つの抵抗を持ち、2つの抵抗は直列に接続されている。一方の抵抗の片側端子は電源部1111から供給された電力と接続し、もう一方の抵抗の片側端子はGNDに接続されている。2つの抵抗間をCPU1122と放熱モジュール1040のメス側信号端子1079に接続する。CPU1122は抵抗間の電圧(中間電圧)をアナログ値として読み込む。CPU1122は読み込んだアナログ値とメモリ1121に格納されているテーブルと比較して接続されている順番を検出することが可能となる。
同様に、放熱モジュール1040にレコーダモジュール1030が接続されると、CPU1132はメモリ1131に格納されている固有IDを内部バス1201を介してCPU1122に送信する。その後の制御は前述した方法と同様である。
以上のように、各種のモジュールが接続された場合であってもカメラ本体1010のCPU1112は各モジュールのCPUと任意のタイミングで通信することが可能となる。
本実施形態では、接続される各モジュールの種類と接続位置を、カメラ本体1010が検出する方法について説明したが、これに限らず、モジュールの1つが、カメラや他のモジュールの種類や接続位置を検出するようにしてもよい。
その他、システムカメラ1000の各ブロックを詳細に説明する。
画像処理部1104は、CPU1112の制御に基づいて、記録媒体1113に格納された映像データ、撮像部1105で撮像された映像データなどに対して各種画像処理を施す。画像処理部1104が行う画像処理には、A/D変換処理、D/A変換処理、映像データの符号化処理、圧縮処理、デコード処理、拡大/縮小処理(リサイズ)、ノイズ低減処理、色変換処理などが含まれる。画像処理部1104は特定の画像処理を施すための専用の回路ブロックで構成してもよい。また、画像処理の種別によっては画像処理部1104を用いずにCPU1112がプログラムに従って画像処理を施すことも可能である。
表示部1015は、CPU1112の制御に基づいて、映像やGUI(Graphical User Interface)画面などを表示するLCDパネルなどを備える。CPU1112は、プログラムに従い表示制御信号を生成し、表示部1015に表示するための映像信号を生成して表示部1015に出力するようにカメラ本体1010を制御する。表示部1015は出力された映像信号に基づいて映像を表示する。なお、カメラ本体1010は表示部1015に表示させるための映像信号を出力するためのインターフェースだけを備え、表示部1015を外付けのモニタ(テレビなど)として構成してもよい。
操作部1109は、キーボードなどの文字情報入力デバイスや、マウスやタッチパネルといったポインティングデバイス、ボタン、ダイヤル、ジョイスティック、タッチセンサ、タッチパッドなどを含む、ユーザ操作を受け付けるための入力デバイスである。なお、タッチパネルは、表示部1015に重ね合わせて平面的に構成され、接触された位置に応じた座標情報が出力されるようにした入力デバイスである。
記録媒体1113は、主にカメラ本体1010により撮影されたデータを記憶する。CPU1112の制御に基づき、装着された記録媒体1113のデータの読み出しや、記録媒体1113に対するデータの書き込みを行う。
電源部1111は、電源アダプタ1115が装着可能な電源入力端子を有し、コンパレータ、ロードスイッチなどで構成された電源回路であり、電源をカメラ本体1010へ供給する。
また、電源部1111は装着された電源アダプタ1115の電圧をA/D変換し、その値をCPU1112に通知する。
電源ライン1101により、接続する各モジュールに電源を供給する。
撮像部1105は、CCDやCMOSなどの撮像素子である。レンズマウント部1106はズームレンズ、フォーカスレンズ、シャッター、絞り、測距部、A/D変換器などにより構成されるレンズユニット1020との連結部である。撮像部1105は静止画や動画を撮像可能であり、撮像されたデータは画像処理部1104に送信され、各種処理が施された後、静止画ファイルや動画ファイルとして記録媒体1113に記録される。
放熱ファン1118は、内部冷却用の羽根であり、カメラ本体1010および接続されるモジュールを冷却する。放熱ファン1047も同様の機能を持つ。
HDD(ハードディスクドライブ)1133は、映像データや映像データの生成時に使用するリソース情報などを記憶する補助記憶装置である。HDD1153も同等の機能を持つ。
内部バス1126に接続されるブロックは内部バス1126を介して互いにデータのやり取りを行うことができる。内部バス1136も同様の機能を持つ。
温度検出部1117は、所定の素子や部品の温度、周囲や内部の気温などの温度検出を行い、内部バス1200を介してCPU1112に通知する。同様に、温度検出部1127、温度検出部1137、温度検出部1157も内部バスを通じて温度検出部1117と同様の温度情報を検出し、CPU1122、1132、1152に通知する。
電源部1125は、電源ライン1101を介して受け取った電力を各モジュールに分配する。電源部1135、電源部1155も同様の機能を持つ。
内部バス1202に接続される各部は内部バス1202を介して互いにデータのやり取りを行うことができる。また、内部バス1208、内部バス1203も内部バス1202と同様の機能を持つ。
バッテリーセル1114は、バッテリーパック1060に内蔵され、電荷を蓄積可能であり、給電端子1062から外部へ電力を供給可能である。バッテリーホルダ1050に搭載される受電端子1052は、給電端子1062と結合し、接続する電源ライン1101を通じて各モジュールに電力を供給することが可能である。
<放熱状態の制御>次に、図7から図9を参照して、本実施形態のカメラ本体1010が放熱モジュール1040を制御する処理について説明する。
システムカメラ1000は、カメラ本体1010、各モジュールの放熱性能情報や接続位置情報を取得することができる。カメラ本体1010のCPU1112は、取得した情報を、放熱モジュール1040の制御に用いることで、様々なモジュールが接続されたシステムを効率よく放熱することが可能となる。
本実施形態では、カメラ本体1010のCPU1112が取得した情報に基づいて、放熱モジュール1040の動作目標値を算出し制御する処理について説明する。以下では、図4および図6に示すシステムカメラ1000の構成を前提として説明する。なお、図7および図8の処理は、カメラ本体1010のCPU1112と放熱モジュール1040のCPU1122がメモリ1102、メモリ1121に格納されたプログラムを実行することで実現される。
図7はカメラ本体1010のCPU1112が放熱モジュール1040を制御する処理を示すフローチャートである。
S1310では、CPU1112が、接続されている各モジュールの種類、温度情報、接続位置情報を取得する。モジュールの種類には、放熱性能や動作保証温度に関する情報も含まれる。
S1320では、CPU1112は、S1310で取得した情報に基づき、放熱モジュール1040の動作目標値を算出する。ここで、図8を用いてS1320の動作目標値を算出する方法について説明する。
S1321では、CPU1112は、放熱モジュール1040と放熱モジュール1040に隣接するモジュールを冷却するために必要な冷却値[W]を算出する。S1321では、放熱モジュール1040の温度情報とレコーダモジュール1030の温度情報から放熱モジュール1040の冷却値を算出する。
S1322では、CPU1112は、S1321で算出した冷却値に基づき、各モジュールを冷却した場合に各モジュールの温度が何度まで低下するかを表す予測温度を算出する。
ここで、各モジュールの接続位置について考える。
前述したように、システムカメラ1000は共通係合インターフェースにより各種のモジュールを任意の順番で接続することが可能である。このため、使用条件などによっては、放熱装置を有しないモジュール同士を隣接した状態で接続することもあり得る。放熱装置を有しないモジュール同士を隣接させると、互いの熱が授受されることで想定以上の熱を発生してしまい、上記のように求めた冷却値では十分に冷却できない可能性がある。本実施形態では、レコーダモジュール1030の側面にメディアモジュール1150が接続され、いずれも放熱装置を有していないため相互に熱を授受してしまう。
こうした状況に対応するため、本実施形態では、隣接したモジュール間の熱移動量を予測することで、S1321で算出した冷却値の補正を行う。
S1323では、CPU1112は、各モジュールの接続位置情報から、放熱モジュール以外のモジュール同士が隣接しているか否かを判定し、隣接している場合はS1324に進み、隣接していない場合はS1325に進む。
S1324では、CPU1112は、予測温度の状態から隣接するモジュール間の熱移動を予測し、予測温度の補正を行う。放熱モジュール以外のモジュール同士が隣接していない場合は冷却値の補正は行わない。
S1325では、CPU1112は、各モジュールの動作保証温度と予測温度を比較した結果から、各モジュールの放熱状態に合わせて放熱不足/適正放熱/放熱限界のフラグをセットする。予測温度が動作保証温度以上であった場合、放熱不足のフラグをセットする。予測温度が動作保証温度より低い場合は、所定の閾値との比較を行う。所定の閾値は、想定使用環境の最悪条件下において、動作保証温度と測定温度の差を実験的に求め、この差に基づいて動作保証温度に対し幾らかのマージンを持たせた値である。そのため、閾値を超えていても動作保証温度以下であれば動作可能である。予測温度が動作保証温度より低くかつ動作保証温度と予測温度の差が閾値以上であった場合は、適正放熱のフラグをセットする。また、予測温度が動作保証温度より低くかつ予測温度と動作保証温度の差が閾値以内となった場合は、放熱限界のフラグをセットする。
S1326では、CPU1112は、放熱不足フラグがセットされているモジュールがある否かを判定し、ある場合はS1327に進み、ない場合はS1328に進む。
S1327では、CPU1112は、放熱不足/放熱限界のフラグがセットされているモジュールに最も近い放熱モジュールの冷却値を高めるように補正し、S1322に戻る。この処理を実行することで、放熱限界のフラグがセットされているモジュールに関しては、放熱不足のフラグがセットされているモジュールがある場合に限り補正が行われる。この補正処理は、放熱不足のフラグがセットされているモジュールがなくなるまで繰り返され、最終的に収束した冷却値を放熱モジュール1040の動作目標値として決定する(S1328)。
放熱モジュール1040の動作目標値を決定した後、図8のサブルーチンを終了し、図7のメインルーチンに戻る(S1320)。
S1330では、CPU1112は、S1320で算出した放熱モジュール1040の動作目標値を、放熱モジュール1040のCPU1122に送信する。
S1340では、放熱モジュール1040のCPU1122は、S1530で受信した動作目標値に基づき、放熱モジュール1040に内蔵された放熱ファン1047の回転数を決定する。
放熱モジュール1040のメモリ1121には、図9に示す横軸を放熱ファン1047の回転数[rpm]、縦軸を冷却値[W]とした放熱ファン1047の動作テーブル1301が格納されている。
CPU1122は、メモリ1121に格納されている動作テーブル1301を参照し、受信した動作目標値と動作テーブル1301の縦軸を比較することで放熱ファン1047を動作させるための回転数を求める。
S1350では、CPU1122は、S1340で決定した目標回転数となるように放熱ファン1047の回転を制御する。
S1310からS1350の処理を放熱モジュール1040の制御終了フラグがセットされるまで繰り返すことによって(S1360でNO)、各モジュールが動作保証温度以下になるように放熱モジュール1040による冷却を継続する。また、各モジュールの接続位置を変更した場合にも動作保証温度以下になるように放熱モジュール1040を制御することが可能である。
なお、図示はしていないが、S1310からS1360の処理中に他の制御からの要求で、放熱モジュールの制御状態を出力したり、制御モードの変更を行うといった割り込みを処理が入ることも可能である。
カメラ本体1010の電源がオフされた場合、CPU1112に放熱モジュール1040の制御終了フラグがセットされる。
S1360では、放熱モジュール1040の制御終了フラグがセットされているか否かを判定し、セットされている場合はS1370に進み、放熱モジュール1040の制御終了処理を行う。放熱モジュール1040は、最後に出力された動作目標値に対応する回転数で放熱ファン1047を一定時間動作させた後停止する。ファンの回転が停止すると、放熱モジュール1040の制御を終了させる。
本実施形態では、放熱モジュール1040が1台の場合について述べたが、使用条件によっては複数の放熱モジュールが使用される場合もある。この場合には、図7および図8の処理を放熱モジュールごとに実行すればよい。
<放熱状態の表示>次に、図10から図12を参照して、システムカメラ1000がカメラ本体やモジュールの放熱状態を表示する方法について説明する。
システムカメラ1000は組み合わせの自由度が高い反面、使用条件に応じて様々なモジュールが接続されるため、ユーザが現在の放熱能力を把握することが困難である場合がある。そこで、本実施形態では、システムを構成するカメラ本体およびモジュールの温度情報、消費電力情報を表示部1015に表示する。以下では、図3および図6(メディアモジュール1150を除く)示すシステムカメラ1000の構成を前提として説明する。なお、図11および図12の処理は、カメラ本体1010のCPU1112がメモリ1102に格納されたプログラムを実行することで実現される。
図10は、カメラ本体1010のCPU1112が、カメラ本体1010、放熱モジュール1040、レコーダモジュール1030から取得した情報から生成したGUI1400を例示している。
GUI1400は、モジュールの種類および接続位置情報1401(1~3)、温度検出部1117、温度検出部1127、温度検出部1137が検出した温度情報1402(50℃、30℃、45℃)を含む。また、GUI1400は、カメラ本体1010と各モジュールの消費電力情報1403(+20W、+10W)、放熱モジュール1040の冷却能力情報1404(-5W)を含む。
ユーザは、GUI1400を確認することで、システムカメラ1000の放熱能力や、モジュール取り付け順の良否を把握することが可能となる。例えば、GUI1400において、最も消費電力が高く、現在の検出温度が最も高いカメラ本体1010の近傍に放熱モジュール1040が接続され、ユーザは、接続位置は問題ないと判断できる。一方、システムカメラ1000全体の消費電力に対して放熱モジュール1040の冷却能力が劣ることから、ユーザは、より出力の高い放熱モジュールへの組み替えを検討することもできる。
図11は、カメラ本体1010のCPU1112がGUI1400を生成し表示部1015に表示する処理を示すフローチャートである。
S1501では、CPU1112は、ユーザによって電源がオンされるまで待機する。
S1502では、CPU1112は、ユーザが電源をオンすると、各種情報を取得する。ここで取得する情報は図10のGUI1400で説明した情報と同様である。
S1503では、CPU1112は、S1502で取得した情報に基づきGUI画面を構成し表示する。
その後、ユーザがシステムカメラ1000を用いて撮影を行いながら、S1503で表示した情報に変更が生じた場合(S1504でYES)、CPU1112は新たな情報に基づきGUI画面を再構成し表示する(S1505)。情報に変更が生じる状況については後述する。
S1506では、CPU1112は、電源がオフされるまで、S1504からS1505の処理を繰り返す。
図12は、S1504で情報に変更が生じ、CPU1112がGUI画面を再構成し表示する処理を示すフローチャートである。
情報に変更が起きる状況の一つ目は、システムカメラ1000の撮影モードが変更された場合である(S1511)。撮影モードが変更されると、カメラ本体1010および各モジュールの消費電力にも変更が生じるため、CPU1112は新たな情報に基づきGUI画面を再構成する(S1515)。
情報に変更が起きる状況の2つ目は、システムカメラ1000のモジュールが組み替えられた場合である(S1512)。モジュールが組み替えられると、各モジュールの消費電力および接続位置に関する情報に変更が生じるため、CPU1112は新たな情報に基づきGUI画面を再構成する(S1515)。
情報に変更が起きる状況の3つ目は、撮影中にシステムカメラ1000の温度が上昇し、温度検出部1117、温度検出部1127、温度検出部1137が検出した温度情報に変更が生じた場合である(S1513)。ユーザが電源をオンした直後から時間が経過するにしたがって、温度検出部1117、温度検出部1127、温度検出部1137が検出する温度Tは上昇していくと考えられる。
この検出温度Tが、前回表示した温度Taから閾値Tα上回った場合(S1513)、CPU1112は新たな情報に基づきGUI画面を再構成する(S1515)。閾値Tαはモジュールの種類によって異なってもよい。
また、各モジュールは動作保証可能な温度にマージンを加えた、上限温度Tβの情報を有し、CPU1112はその情報を取得している。CPU1112は、温度検出部1117、温度検出部1127、温度検出部1137が検出した温度Tが上限温度Tβを超えた場合(S1514)、新たな情報に基づきGUI画面を再構成する(S1515)。上限温度Tβはモジュールの種類によって異なる。
上述した情報の変更、GUI画面の再構成、表示は、ユーザが電源をオフするまで続けられる(S1516)。
また、図示していないが、CPU1112はユーザによって操作部1109が任意のタイミングで操作された場合、最新の情報に基づきGUI画面を再構成し表示することもできる。
<撮影可能時間の算出>次に、図13から図16を参照して、システムカメラ1000の撮影可能時間を算出して表示する処理について説明する。
以下では、図3および図6(メディアモジュール1150を除く)示すシステムカメラ1000の構成を前提として説明する。なお、図13および図16の処理は、カメラ本体1010のCPU1112がメモリ1102に格納されたプログラムを実行することで実現される。
図13は、カメラ本体1010のCPU1112が撮影可能時間を算出する処理を示すフローチャートである。
S1601では、CPU1112は、放熱モジュール1040の接続位置情報を取得する。
S1602では、CPU1112は、カメラ本体1010の撮影可能時間を表示するために、ユーザが操作部1109を操作したことを検出する。
S1603では、CPU1112は、カメラ本体1010のメモリ1102から、カメラ本体1010の現在の記録モードの情報と、温度管理対象部の保証温度の情報を取得する。温度管理対象部は、カメラ本体やモジュールが内蔵する素子や部品のうち、動作中の温度が最も短い時間で保証温度に近づくと予想されるものが選択される。以下の説明ではシステムカメラ1000の温度管理対象部をカメラ本体1010の撮像部1105として説明する。
S1604、S1605では、CPU1112は、温度検出部1117から環境温度を、メモリ1102から撮像部1105の撮像モードに応じた温度カーブデータを取得する。環境温度はカメラ本体1010の内部で発生する熱の影響を極力受けないような場所、例えば吸気口1012の近傍の外気温度とする。温度カーブデータは現在の撮像モードで記録を開始した場合に消費する電力によって、時間と共にどのように撮像部1105の温度が上昇するかの予測値を示すデータテーブルである。図14は横軸を時間t、縦軸を温度Θとして、消費電力が大きい順にW1>W2>W3であった場合の、それぞれの温度カーブデータを曲線P1,P2,P3を示す。
図14から分かるように、消費電力が高いほど時間tに対する温度Θの昇温割合(昇温速度)が高くなっており、メモリ1102には記録モードごとの温度遷移のデータが格納されている。環境温度はまだシステムカメラ1000が起動する前、すなわち消費電力が発生していない状態での撮像部1105の温度と同値と考えられ、図14における各温度カーブの始点温度Θ1となる。
S1606では、CPU1112は、カメラ本体1010のメモリ1102と放熱モジュール1040のメモリ1121から、カメラ本体1010の放熱性能情報と放熱モジュール1040の放熱性能情報を取得する。
S1607では、CPU1112は、S1601とS1606で取得した接続位置情報と放熱性能情報に従って、温度カーブデータの補正を行う。図14の曲線P1′、P1″は、曲線P1で示した温度カーブデータを補正した状態を示している。ここでは、補正量として、カメラ本体1010の放熱能力を-W4、放熱モジュール1040の放熱能力を-W5としている。
放熱モジュール1040がカメラ本体1010と隣接している場合、図14の温度カーブP1はカメラ本体1010の放熱能力-W4と放熱モジュール1040の放熱能力-W5分の補正がなされ、曲線P1′にシフトする。また、放熱モジュール1040がカメラ本体1010と隣接していない場合は、図14の温度カーブP1は放熱モジュール1040による放熱が行われないため、カメラ本体1010の放熱能力-W4分のみ補正がなされ、曲線P1″にシフトする。
S1608では、CPU1112は、温度検出部1117から、撮像部1105の現在の温度を取得する。撮像部1105の現在温度は、S1607で決定した温度カーブ上での現在位置に相当する。例えば図15の曲線P1′において、その時点での撮像部1105の温度がΘ2であったとすると、撮像部1105の温度状態は、温度カーブ上のS1の位置から時間とともに温度カーブ上を推移していくことになる。
S1609では、CPU1112は、撮像部1105が動作保証温度に達するまでの時間を算出する。図15の曲線P1′において撮像部1105の動作保証温度をΘlimとすると、現在S1の状態である撮像部1105の温度がΘlimに達するまでの時間はΔt1となる。Δt1は撮像部1105が熱的に安全に動作することが保証された時間を示しているので、Δt1は撮像部1105の動作可能時間となる。
本実施形態では、撮像部1105をシステムカメラ1000の温度管理対象部としているので、システムカメラ1000の撮影可能時間はΔt1と同値である。
S1610では、CPU1112は、Δt1を撮影可能時間として表示部1015に表示する。
次に、図16を参照して、温度管理対象部が複数存在する場合について説明する。
S1613では、CPU1112は、1つの温度管理対象部に対して図13のS1603からS1609の処理に従い、撮影可能時間を算出する。
S1614では、CPU1112は、全ての温度管理対象部に対して撮影可能時間の算出を行ったかを判定し、算出されていない温度管理対象部がある場合はS1615に進み、算出対象を変更して、再度同様に撮影可能時間を算出する。また、全ての温度管理対象部に対して撮影可能時間の算出を行った場合は、S1616に進み、温度管理対象部ごとの撮影可能時間を比較して最も短い撮影可能時間を表示部1015に表示する。例えば、ある温度管理対象部が動作保証温度に達するまでの時間がΔt2、別の温度管理対象部が動作保証温度に達するまでの時間がΔt3であったとして、Δt2>Δt3であったとすると、表示部1015にはΔt3の時間のみが表示される。
なお、カメラによっては、バッテリー残量や記録メディアの記憶容量などから算出した記録時間も表示可能な場合がある。そのようなカメラに本実施形態を適用する場合は、上述の動作保証温度による残り記録時間と同時に表示してもよいし、両者の比較を行ってより記録時間が短い方のみを表示してもよい。
<最適なモジュール配列の算出>次に、図17および図18を参照して、システムカメラ1000の放熱状態が最適となるモジュール配列を算出する処理について説明する。
システムカメラ1000は共通係合インターフェースによって各種モジュールを自在に接続することができる一方、現在のモジュール配列が放熱に関して最適な状態であるかを、ユーザが判断することは困難である。そこで、本実施形態では、現在のシステム構成の放熱状態を評価し、より最適な配列を算出する。
以下では、図6(メディアモジュール1150を除く)示すシステムカメラ1000の構成を前提として説明する。なお、図17の処理は、カメラ本体1010のCPU1112がメモリ1102に格納されたプログラムを実行することで実現される。
図17は、カメラ本体1010のCPU1112が現在の放熱状態を評価し、放熱に最適なモジュール配列を算出する処理を示すフローチャートである。
S1701では、CPU1112は、システムカメラ1000を構成する各モジュールの種類、接続位置を判定する。
S1702では、現在のモジュールに放熱モジュールが含まれる場合、CPU1112は放熱モジュールの放熱能力を判定し、放熱能力の高い順番を判定する。
S1703では、CPU1112は、システムカメラ1000に設定された温度管理対象部の現在の温度と保証温度の情報を取得する。温度管理対象部は、カメラ、モジュールが内蔵する素子や部品のうち、動作中の温度と保証温度との差が比較的小さくなると予想されるものが予め選択されている。
S1704、S1705では、CPU1112は、各温度管理対象部の現在の温度と保証温度との温度差ΔTiを算出し、温度差基準ΔTioと比較する。温度差基準ΔTioは、温度管理対象部が十分安定して動作可能な温度である場合の、保証温度との温度差に設定されている。ある温度管理対象部の温度差ΔTiが温度差基準ΔTioより小さい場合、この温度管理対象部は、保証温度を超えてはいないものの温度に余裕がなく、より放熱を必要としている状態であると判定できる。
S1705において、全ての温度管理対象部について温度差ΔTi>温度差基準ΔTioと判定された場合、CPU1112は現状のモジュール配列で放熱能力は十分であると判定し、その旨のGUIを表示部1015に表示し(S1706)、処理を終了する。また、温度差ΔTi≦温度差基準ΔTioとなる温度管理対象部が存在した場合、その温度管理対象部を含むモジュールを放熱強化対象モジュールとして台数を算出し、現在取り付けられている放熱モジュールの台数と比較する(S1707)。
S1707では、CPU1112は、放熱強化対象モジュール台数が放熱モジュール台数より多い場合、現在のモジュール配列では放熱モジュールの数が不足していると判定し、S1708に進む。S1708では、CPU1112は、放熱モジュールの追加を促すGUIを表示部1015に表示し、処理を終了する。また、放熱強化対象モジュール台数が放熱モジュール台数以下の場合、放熱モジュールの台数は十分であると判定し、より放熱を最適化したモジュール配列を算出する。
S1709では、CPU1112は、S1707で判定された放熱強化対象モジュールに対し、それらの温度管理対象部の温度差ΔTiに基づき、必要放熱量に関する順位付けを行う。具体的には、温度差ΔTiが小さいほど、放熱強化対象モジュールが必要とする放熱量は高いと判定し、その順番を決定する。このとき、参照する温度管理対象部が放熱強化対象モジュールの中に複数ある場合は、温度差ΔTiが最も小さいものを採用する。
S1710では、CPU1112は、放熱強化対象モジュールの必要放熱量の高い順番と、S1702で算出した放熱モジュールの放熱能力の高い順番とが対応するように、モジュール配列を決定する。このとき、放熱強化対象モジュールと放熱モジュールは隣接した配列とする。
S1711では、CPU1112は、S1701で判定した現在のモジュール配列と、S1710で新たに算出したモジュール配列とを比較し、一致している場合は、S1708に進み、一致していない場合はS1712に進む。
S1708では、CPU1112は、現在のモジュール配列の変更による放熱強化は望めないと判定し、放熱モジュールの追加を促すGUIを表示部1015に表示し、処理を終了する。
S1712では、CPU1112は、ユーザにモジュールの組み替えを促すよう、S1710で算出したモジュールの配列を表示部1015に表示し、処理を終了する。
図18は、S1712においてモジュールの組み替えを促すGUIを例示している。GUIには、現在のモジュール配列と放熱を最適化したモジュール配列が表示され、放熱モジュール1040の取付位置を変更することを促す情報が表示される。具体的には、現在のモジュール配列ではカメラ本体1010の放熱が不十分であるとして、放熱モジュール1040の配列をカメラ本体1010と隣接する位置へ変更するよう促している。
本実施形態では、温度差基準ΔTioを予め設定値として有する例を示したが、ユーザが任意に値を変更できる構成としてもよい。
<伝熱面接触検出>次に、図19を参照して、カメラ本体とモジュール間またはモジュール同士の伝熱面の接触状態を検出する処理について説明する。
システムカメラ1000は各モジュールに共通化された伝熱面を備えており、熱源となるモジュールから放熱機能を有するモジュールへ熱移動を行うことで効果的な放熱を可能としている。放熱を十分に行うためにはカメラ本体とモジュール間またはモジュール同士の伝熱面の接触状態を良好に保つことが重要であるが、伝熱面の間に異物が混入したり、伝熱面そのものが汚損することで接触が不十分となる場合がある。そこで、本実施形態では、カメラ本体とモジュール間またはモジュール同士の伝熱面の接触状態を検出し、必要に応じて通知する。
以下では、図6(メディアモジュール1150を除く)示すシステムカメラ1000の構成を前提として説明する。なお、図19の処理は、カメラ本体1010のCPU1112がメモリ1102に格納されたプログラムを実行することで実現される。
図19は、カメラ本体1010のCPU1112がカメラ本体とモジュール間またはモジュール同士の伝熱面の接触状態を検出する処理を示すフローチャートである。
S1801では、CPU1112は、カメラ本体および各モジュールの伝熱面温度および接続位置情報を取得する。伝熱面とは、カメラ本体とモジュール間またはモジュール同士で熱の授受を行うためにカメラ本体とモジュールに設けられた接触面に対応する。例えばカメラ本体1010の背面に備えた伝熱部1014や、放熱モジュール1040の正面および背面に備えた第1受熱面1041、第2受熱面1042などが対応する。
S1802では、CPU1112は、S1801で取得した接続位置情報に基づき、隣接した伝熱面の組み合わせを抽出する。
S1803では、CPU1112は、S1801で取得した伝熱面温度から、隣接した伝熱面の組み合わせごとに伝熱面同士の温度差ΔTsを算出する
S1804では、CPU1112は、伝熱面の温度差ΔTsとメモリ1102に予め格納されている温度差基準ΔTsoとを比較する。温度差基準ΔTsoは、伝熱面同士の熱伝導が十分に機能している場合に生じる温度差の値に設定されている。
S1805では、CPU1112は、S1804での比較の結果に基づき、温度差ΔTsが温度差基準ΔTsoより大きい場合、S1806に進む。温度差ΔTsが想定された温度差基準ΔTsoより大きい場合、伝熱面同士の熱伝導が阻害されていることが想定される。このため、S1806において、CPU1112は、伝熱面の接触に異常が発生している可能性がある旨の警告を表示部1015に表示し、ユーザに伝熱面の状態を確認することを促す。一方、S1805で温度差ΔTsが温度差基準ΔTso以下となった場合は、伝熱面同士の熱伝導が十分に機能していると判定し、S1807に進む。
S1807では、CPU1112は、制御終了フラグがセットされているか否かを判定し、制御終了フラグがセットされている場合はS1803に戻り、温度差ΔTsの算出と温度差基準ΔTsoとの比較を繰り返す。制御終了フラグがセットされている場合は、処理を終了する。制御終了フラグは、システムカメラ1000の使用が終了し電源がオフされた場合などにセットされる。
<強制冷却装置の排気状態の確認方法>次に、図20から図25を参照して、システムカメラ1000の強制冷却装置の排気状態を確認する処理について説明する。
本実施形態のシステムカメラ1000は、共通係合インターフェースにより、各種モジュールを自在に接続可能であるため、目的に合わせて図示した構成以外のシステム構成にすることもできる。例えば図2に示す放熱モジュール1040は、放熱モジュール1040の-X方向の側面に吸気口1043、+X方向の側面に排気口1044を備えているが、撮影状況によって排気口1044近辺にユーザの顔が近づくことで、撮影に影響を与えることも考えられる。これを回避するためには、例えば排気口1044が+Y方向の上面に配置された放熱モジュールを接続すればよい。このようにシステムカメラ1000では、様々な撮影状況に応じた放熱モジュールを接続することによって、吸排気口の位置を変更可能である。
ところで、システムカメラ1000では、各種モジュールや放熱モジュールの組み合わせにより、高度な撮影やそれに伴う熱対策も可能である。しかしながら、複数のモジュールを組み合わせた場合、複数箇所に吸気口や排気口が配置されることになり、撮影中に放熱ファンが動作した場合に排気位置が予測しにくく、不意に排気されることで撮影に影響を及ぼすことも考えられる。また、モジュールの組み合わせが自在であり、その都度吸気口や排気口の位置が変化するため、事前に排気口からの排気状況や、放熱ファンの動作音を確認できることが望ましい。
本実施形態では、上述した課題の対策について説明する。以下では、図6(メディアモジュール1150を除く)示すシステムカメラ1000において複数の放熱モジュールが取り付けられた構成を前提として説明する。なお、図23、25の処理は、カメラ本体1010のCPU1112がメモリ1102に格納されたプログラムを実行することで実現される。
図20は、システムカメラ1000に装着された複数の放熱モジュールの動作状態を表示部1015に表示した画面2100を例示している。図20では、モジュール表示部2101に、システムカメラ1000の各放熱モジュールが、カメラ本体1010から順に表示されている。本実施形態では、カメラ本体1010から順に識別用の数字を割り振っているが、数字である必要はなく、例えばアルファベット等、モジュールごとの識別が可能であればよい。以降の説明でも同様である。また、カメラ本体1010にも放熱ファンが搭載されているため、カメラ本体1010についても放熱モジュールと同様に表示される。以下では、放熱性能情報はカメラ本体1010も放熱モジュールに含めて説明する。
回転数表示部2102には、各放熱モジュールにおける現在の放熱ファン回転数が表示されている。吸気口表示部2103、排気口表示部2104には、各放熱モジュールの吸気口、排気口の簡易的な位置について、ユーザから見た放熱モジュールにおける吸気口や排気口の位置が表示されている。回転数表示部2102には、放熱ファンの回転数ではなく、システムカメラ1000の放熱制御に合わせて、段階的な動作状態が表示されてもよい。例えば高速回転、低速回転などの表示でもよいし、放熱ファン動作のオン/オフのみの表示などでもよい。
全体表示部2105には、システムカメラ1000を構成する各モジュールと、各放熱モジュールの吸気口と排気口の位置が簡易的に表示されている。また、矢印の向きにより吸気と排気の方向も表示されている。なお、図20では、放熱モジュール2が強調表示されている。これは、放熱モジュール2と放熱モジュール3の放熱ファンは停止中であるが、放熱モジュール2は動作を開始する直前であることを表している。このように、動作開始直前の放熱モジュールを強調表示することで、ユーザへ事前に通知することが可能となり、撮影への影響を軽減することができる。この強調表示は点滅や色を変える等、様々な方法が考えられる。
図21は図20の画面2100を表示する処理を示すフローチャートである。
S2151では、CPU1112は、各モジュールの接続位置情報、各放熱モジュールの放熱ファン動作情報、各放熱モジュールの吸気口と排気口の位置情報を取得する。なお、各放熱モジュールの吸気口と排気口の位置情報は予め各放熱モジュールのメモリに記憶されている。
S2152では、CPU1112は、各放熱モジュールの放熱ファンの動作状況、吸気口と排気口の位置を表示する。
S2153では、CPU1112は、カメラ本体1010や接続されているモジュールの温度検出部から各周囲温度Tnを取得する。
S2154では、CPU1112は、予め設定されている放熱ファン動作開始温度Tnoと周囲温度Tnを比較する。Tno-Tnが設定してある閾値より小さくなった場合はS2155に進み、CPU1112は、モジュール表示部2101の動作開始直前の放熱モジュールを強調表示する。
S2156では、CPU1112は、画面表示が継続中か否かを判定し、継続中であればS2151に戻り、継続中ではない場合は処理を終了する。
次に、別の実施形態を説明する。図22は、放熱ファン回転SIMモードにおける表示画面2200を例示している。
放熱ファン回転SIM(シミュレーション)モードでは、ユーザは各放熱モジュールの放熱ファンを実際に回転させて動作状態を確認することが可能であり、さらに動作音を録音して確認することもできる。放熱ファン回転SIMモード画面2200のモジュール表示部2101にはシステムカメラ1000に接続された放熱モジュールが、カメラ本体1010から順に表示されている。最大回転数表示部2202には、各放熱ファンの最大回転数が表示されている。ユーザは放熱モジュールに対し、最大回転数内の範囲で任意の回転数を設定可能で、設定値表示部2203には、ユーザが設定した設定値が表示されている。最大回転数表示部2202や設定値表示部2203には、放熱ファンの回転数表示ではなく、システムカメラ1000における放熱ファン制御に合わせて、段階的な動作状態を表示してもよい。例えば高速回転、低速回転などでもよいし、放熱ファン動作のオン/オフのみの表示など、いずれでもよい。設定値は、操作部1109から入力され、本実施形態ではタッチパネル操作での入力とする。なお、タッチパネル操作に限らず、別のデバイス操作でもよい。設定値に対して各放熱ファンが回転する。これにより、ユーザは複数の放熱モジュールを接続した場合の放熱ファン回転に対する動作音や空気の排出状況を確認することが可能となる。
放熱ファン回転SIMモードでは、更に記録開始ボタン2204を操作することで、設定状態での動作音データを、記録媒体1113に記録することが可能である。動作音データは音声データのみとなり、通常の撮影データとは区別されて記憶される。撮影データと区別されて記憶されることで、動作音をチェックする際に、容易にデータファイルを選択することが可能である。なお、放熱ファン回転時に停止ボタン2205を操作した場合は、各放熱ファンの回転は停止される。
図23は、放熱ファン回転SIMモードにおける処理を示すフローチャートである。
S2252では、CPU1112は、放熱モジュールの接続位置情報、放熱ファン動作情報を取得する。
S2253では、CPU1112は、各放熱モジュールの最大回転数、設定値を表示する。
S2254では、CPU1112は、放熱モジュールのファン回転数の設定値の入力を受け付け、S2255において入力された設定値に基づいて放熱ファンを回転させる。
S2256で停止ボタン操作が実行された場合はS2257に進み、CPU1112は、各放熱モジュールの放熱ファンの動作を停止し、S2252に戻る。S2256で停止ボタン操作が実行されていない場合はS2258に進み、CPU1112は、記録開始ボタン2204の操作実行を判定する。S2258で記録開始ボタン2204が操作されている場合はS2259に進み、CPU1112は、録音データを取得/記憶し、S2252へ戻る。
S2258で記録開始ボタン2204が操作されていない場合は、S2260に進み、CPU1112は、放熱ファン回転SIMモード継続中か否かを判定し、継続中であればS2352へ戻り、継続されていない場合は処理を終了する。
次に、別の実施形態を説明する。図24は、放熱ファン回転デモモードにおける画面2300であってモード実行中の状態を例示している。放熱ファン回転デモモードでは、各放熱モジュールの放熱ファンがカメラ本体1010側から自動で動作を開始し、最終的に全ての放熱ファンが動作するモードである。放熱ファン回転デモモードにより、ユーザは各放熱モジュールの動作音や排気状況が確認可能となる。
放熱ファン回転デモモードの画面2300では、モジュール表示部2101にシステムカメラ1000に取り付けられた各放熱モジュールが、カメラ本体1010から順に表示されている。回転数表示部2102には各モジュールにおける現在の放熱ファン回転数が表示されている。
放熱ファン回転デモモードでは、ユーザは動作開始ボタン2303を操作することで、デモモードが実行される。動作開始ボタン2303が操作されると、放熱モジュールの表示順に動作が開始され、最終的に全ての放熱ファンが回転する。停止ボタン2304が操作されると全ての放熱ファンが停止する。一定時間経過後、自動停止してもよい。また、各放熱ファンの回転数については、システムカメラ1000における放熱ファン制御方法に合わせて、段階的に数段ずつ回転数を上げてもよいし、最大回転数のみでもよい。
図25は、放熱ファン回転デモモードにおける処理を示すフローチャートである。
S2352、S2353では、CPU1112は、各放熱モジュールの接続位置情報を取得し、各放熱モジュールの現在の回転数を表示する。
CPU1112は、S2354で動作開始ボタン2303が操作されると、S2355、S2356でカメラ本体1010の動作を開始する。
S2357で停止ボタンが操作されない場合はS2358へ進み、CPU1112は、カメラ本体1010の回転数が最大であるか否かを判定する。最大回転数でない場合はS2357へ戻り、最大回転数である場合はS2359に進み、全ての放熱ファンが動作しているか否かを判定する。全ての放熱ファンが動作していない場合はS2356に進み、CPU1112は、次の放熱ファン動作を開始する。全ての放熱ファンが動作している場合はS2360に進み、CPU1112は、一定時間放熱ファンを回転させる。
S2362では、CPU1112は、ファン回転デモモードが継続されているか否かを判定し、継続中の場合はS2353へ戻り、継続中ではない場合は処理を終了する。
また、S2357で停止ボタン操作があった場合はS2361に進み、CPU1112は、全ての放熱ファン動作を停止させる。なお、本実施形態では放熱ファンが順に動作を開始しているが、1つの放熱ファンが動作している場合は他の放熱ファンは回転を停止し、最後に同時に全ての放熱ファンが動作するなど、さまざまなバリエーションが考えられる。また、1つの放熱ファンの動作から次の放熱ファンの動作への切り替えをユーザ操作をトリガとして行ってもよい。これにより、ユーザが所望のタイミングで放熱ファンを動作させることが可能となる。
以上説明したように、システムカメラ1000は、カメラ本体やモジュールの放熱性能情報や接続位置情報を用いて、放熱を最適化する制御や、放熱状態に関する情報の表示、動作確認を行うことができる。
なお、本実施形態では、カメラ本体1010が必要な情報を取得/演算し、各種動作制御、表示制御を行う例を示したが、これに限らず、カメラ本体1010に接続される他のモジュールが情報の取得/演算を行い、各種制御を実施してもよい。また、情報取得/演算、動作制御、表示制御などを、カメラ本体や各モジュールで個別に、または組み合わせて分散し、処理する構成としてもよい。
[実施形態2]次に、実施形態2を説明する。
実施形態2は、放熱性能の低下を防止するシステムカメラ1000の構成および制御について説明する。
<排気温風の吸気防止>
システムカメラ1000において、互いに接続されるモジュール同士の組み合わせによっては各モジュールの吸気口および排気口の位置が近くなる場合がある。その場合、1つのモジュールの排気口から排出される高温の排気が他のモジュールの吸気口から吸入されることにより、システムカメラ1000の放熱性能が低下するおそれがある。
そこで、本実施形態では、上述した放熱性能の低下を防止するためのシステムカメラ1000の構成および制御について説明する。
以下では、図6(メディアモジュール1150を除く)示すシステムカメラ1000の構成を前提として説明する。なお、図27および図28の処理は、カメラ本体1010のCPU1112がメモリ1102に格納されたプログラムを実行することで実現される。
図26は、図5に対応する実施形態2のシステムカメラ1000の概略断面図である。図26は、システムカメラ1000を撮影光軸を通る水平な平面で切断し、+Y方向から見た断面を示し、レンズユニット1020および放熱モジュール2540の背面に接続されるモジュールは省略している。また、実施形態1と同一の構成要素に同一の符号を付して説明を省略する。
実施形態1との違いは、カメラ本体2510に外気温度検出部2600および第1の吸気温度検出部2601が設けられていること、放熱モジュール2540に第2の吸気温度検出部2602が設けられていることである。外気温度検出部2600はカメラ本体2510において、信号処理回路1016に配置されるICなどの熱源から十分離間した位置に配置されている。これにより、外気温度検出部2600はカメラ本体2510の熱源の影響を受けないため、外気温度を検出することが可能である。また、第1の吸気温度検出部2601および第2の吸気温度検出部2602はカメラ本体2510および放熱モジュール2540の各吸気口近傍に配置されることでそれぞれの吸気温度を検出可能である。なお、外気温度検出部2600はカメラ本体2510に設けられる必要はなく、例えば放熱モジュール2540やレコーダモジュール1030など、システムカメラ1000を構成する他のモジュールに設けられてもよい。
図26を参照して、一方のモジュールの排気口から排出される高温の排気が他方のモジュールの吸気口から吸入されることによってシステムカメラ1000の放熱性能が低下する例を説明する。
放熱モジュール2540において、吸気口1043から吸入され、ダクト1045およびダクト1046でそれぞれ温められた空気は排気口1044から排出される(気流1085および気流1086)。一方、カメラ本体2510の吸気口1012近傍には放熱ファン1118の回転による負圧が生じている。このため、排気口1044から排出された高温の排気の一部が吸気口1012からカメラ本体2510のダクト1017に吸入されるおそれがある(気流2580および気流1084)。このような場合には、吸気温度が外気温度と同等の場合と比較してカメラ本体2510の放熱性能が低下する。同様に、カメラ本体2510からの排気を放熱モジュール2540が吸入する場合では、放熱モジュール2540の放熱性能が低下する。
そこで、本実施形態では、一方のモジュールが排気する高温の排気を他のモジュールが吸入していることを検出する。
図27は、一方のモジュールが排気する高温の排気を他のモジュールが吸入していることを検出する処理を示すフローチャートである。
S2500では、CPU1112は、システムカメラ1000において接続された各モジュールの情報を取得する。各モジュールの情報には、それぞれのモジュールの吸気口および排気口の位置情報が含まれる。
S2501では、CPU1112は、S2500で取得した位置情報に基づき、異なるモジュール同士の排気口と吸気口の位置が所定の範囲より近い組み合せがあるか否かを判定する。判定の結果、異なるモジュール同士の排気口と吸気口の位置が近くない場合には、システムカメラ1000を構成するモジュールが他のモジュールの高温の排気を吸入するおそれがないと判定し、処理を終了する。一方、異なるモジュール同士の排気口と吸気口の位置が近い場合にはS2502へ進む。
S2502では、CPU1112は、外気温度と排気口と吸気口の位置が近い各モジュールの吸気温度を取得する。例えば、図26に示すシステムカメラ1000では、外気温度検出部2600により外気温度を、第1および第2の吸気温度検出部2601、2602によりカメラ本体2510および放熱モジュール2540の吸気温度を取得する。
S2503では、CPU1112は、S2502で取得した各モジュールの吸気温度と外気温度との温度差(外気-吸気温度差)ΔThを算出する。
S2504では、CPU1112は、メモリ1102に予め格納されている閾値ΔThoと外気-吸気温度差ΔThとを比較する。比較の結果、外気-吸気温度差ΔThが閾値ΔThoより低い場合には、該当するモジュールにおいて高温の排気の吸入はないと判定し、S2507へ進む。一方、外気-吸気温度差ΔThが閾値ΔTho以上の場合にはS2506に進み、CPU1112は、表示部1015に警告を表示する。警告は、例えば、各モジュールの接続位置の変更を促すこと、排気方向の変更を促すこと、障害物から吸気口あるいは排気口を離間させることを促すことなどである。ユーザは、警告された指示に従ってシステムカメラ1000を操作することにより、システムカメラ1000の放熱性能の低下を防止することが可能である。
S2507では、CPU1112は、制御終了フラグがセットされているか否かを判定し、制御終了フラグがセットされていない場合はS2502に戻り、制御終了フラグがセットされている場合は処理を終了する。制御終了フラグは、例えばシステムカメラ1000の使用が終了し、電源がオフされた場合やモジュールの組み替えが行われた場合などにセットされる。
本実施形態では、高温の排気の吸入を検出した後、表示部1015に警告を表示することによって放熱性能の低下の防止する処理を説明したが、図28のように放熱ファンを制御することで上記放熱性能の低下を防止することが可能である。
図28は、一方のモジュールが排気する高温の排気を他のモジュールが吸入していることを検出した場合の放熱ファンの制御を変更する処理を示すフローチャートである。図27との違いはS2606の処理のみであり、図27と同一の処理には同一のステップ番号を付して説明を省略する。
本実施形態では、S2505において外気-吸気温度差ΔThが閾値ΔTho以上の場合にS2606へ進み、該当するモジュールのファン制御方法を変更する。ファン制御方法の変更とは、例えばファンの回転数を上げることやファンの回転方向を変更することである。前者の変更では、排気流量および流速の増大により高温の排気を遠方へと強く押し出すことで、高温の排気が他のモジュールに吸入されることを防止する。一方、後者の変更では、排気方向が変更されることで同様の効果が得られる。結果として、いずれの方法においても前述の放熱性能の低下を防止することが可能である。
なお、本実施形態では、カメラ本体1010が必要な情報を取得/演算し、各種動作制御、表示制御を行う例を説明したが、実施形態1と同様に、カメラ本体1010に接続される他のモジュールが情報の取得/演算を行い、各種制御を実施する構成としてもよい。また、情報取得、演算、動作制御、表示制御等を、カメラ本体や各モジュールで個別に、または組み合わせて分散し、処理する構成が可能である点も、実施形態1と同様である。
[実施形態3]次に、実施形態3を説明する。
実施形態3は、接続されるモジュールにかかわらず、放熱モジュールが最小限の消費電力で所望の放熱性能を得るための方法を説明する。
<複数の放熱装置を有する放熱モジュールの制御>
撮像装置の基板に配置されるICなどの熱源の発熱量は均一ではないため、基板にはそれに起因した温度分布が発生する。そして、基板上で特に高温となる熱源の熱を効果的に放熱するために、主たる熱源に対応した放熱装置を設け、それらの放熱装置に対して、対応する熱源の発熱量に応じた出力を与えることで、必要以上に大きな出力を放熱装置に与えることなく、各々の熱源の熱を十分に放熱することができる。
一方、システムカメラ1000のように、放熱モジュールが様々なモジュールに対して接続される場合には、当然ながら熱源の位置および発熱量が異なる。よって、接続される各モジュールに対して十分な放熱性能を得るためには、最も高い発熱量となる熱源に合わせた出力を放熱モジュールの備える各々の放熱装置に与える必要がある。そのため、接続されるモジュールよっては、過大な放熱性能を放熱モジュールが持つことになり、必要以上に大きな消費電力を有することとなる。さらには、放熱ファンを用いた放熱モジュールにおいて、出力を大きくする、つまり回転数を増大させることは騒音レベル増大の原因となる。
そこで、本実施形態では、カメラ本体1010に接続されるモジュールにかかわらず、放熱モジュールが最小限の消費電力で所望の放熱性能を得るような制御を行う。
図29は本実施形態のシステムカメラ1000の電気的な構成を示すブロック図である。図30は、実施形態3の放熱モジュール3040を正面から見た斜視図(a)および背面から見た斜視図(b)である。なお、以下では、実施形態1と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
図30において、放熱モジュール3040は前面および背面にオス側インターフェース1070およびメス側インターフェース1071を備えている。これらにより、実施形態1の放熱モジュール1040と同様に、前面および背面に他のモジュールが接続可能である。また、図30(a)に示すように、放熱モジュール3040の前面にはY方向(上下)に分割された前面第1受熱部3051と前面第2受熱部3052が設けられている。第1および第2受熱部3051、3052は、図31に示すように外側に第1の受熱面3061および第2の受熱面3062を有し、放熱モジュール3040のダクト3080の内部に熱を拡散させることが可能なヒートシンク3071、3072を有している。同様に、図30(b)に示すように、放熱モジュール3040の背面にはY方向(上下)に分割された背面第1受熱部3053と背面第2受熱部3054が設けられている。各背面受熱部の構成は前面受熱部と同様である。なお、ダクト3080は吸気口3043と排気口3044を繋ぐ流路を放熱モジュール3040の内部に形成している。
図31は、本実施形態の放熱モジュール3040が接続されたシステムカメラ1000の概略断面図である。図31は、システムカメラ1000を撮影光軸を通る鉛直な平面で切断し、-X方向(右側)から見た断面を示している。
放熱モジュール3040の前面にはカメラ本体3010が、背面にはバッテリーホルダ1050とバッテリーパック1060が接続されている。
カメラ本体3010の制御基板3020には、主な熱源(発熱部)である第1の熱源3021および第2の熱源3022が配置されている。さらに、カメラ本体3010には、第1の温度検出部3101および第2の温度検出部3102が設けられ、第1の熱源3021と第2の熱源3022に対応した温度がそれぞれ検出可能である。また、放熱モジュール3040におけるダクト3080の内部には、ヒートシンク3071、3072に対応した位置に第1の放熱ファン3041および第2の放熱ファン3042が設けられている。
以下、図31を用いて、放熱モジュール3040の前面の放熱経路について説明する。なお、背面については、受熱部が背面第1受熱部3053および背面第2受熱部3054となる点を除き、前面と同様であるため説明を省略する。
第1の熱源3021および第2の熱源3022で発生した熱は第1の放熱経路3201および第2の放熱経路3202を通じて、伝熱部1014へ伝達される。その後、両経路3201、3202から伝達された熱は、前面第1受熱部3051および前面第2受熱部3052の有する第1の受熱面3061および第2の受熱面3062へ伝達され、ヒートシンク3071および3072を介してダクト3080へと拡散される。第1の放熱ファン3041および第2の放熱ファン3042の作動により、ダクト3080には空気が吸入され、吸入された空気の流れにより前面第1受熱部3051および前面第2受熱部3052の熱を除去する。その後、ダクト3080で加熱された空気は排気口3044から外気へと排出される。当然ながら、各受熱部の放熱性能はそれらに対応して設けられる第1の放熱ファン3041および第2の放熱ファン3042の各々の出力(つまり回転数)に依存する。このため、各放熱ファンの出力を複数の熱源の位置および発熱量に応じて適切に与えることで、放熱装置に必要以上に大きな消費電力を与えることなく、複数の熱源の熱を放熱することが可能である。なお、ここでは放熱装置として放熱ファンを用いているが、これに限られるものではなく、例えばペルチェ素子やペルチェ素子と放熱ファンを組み合わせた構成であってもよい。また、ヒートシンクは受熱部ごとに独立して設ける必要はなく、複数の受熱部にまたがるように構成してもよい。
本実施形態では、接続されるモジュールにかかわらず放熱モジュールが最小限の消費電力で所望の放熱性能を得るために、熱源の位置および温度情報を取得し、それらの情報に基づいて放熱モジュールの備える複数の放熱装置を個別に制御する。
以下、図32を参照して、本実施形態のシステムカメラ1000による放熱装置の制御処理を説明する。なお、図32の処理は、カメラ本体1010のCPU1112がメモリ1102に格納されたプログラムを実行することで実現される。
S3000では、CPU1112は、カメラ本体1010に接続されている各モジュールの情報を取得する。各モジュールの情報には放熱モジュール3040の複数の放熱ファン3041、3042の位置情報が含まれる。
S3001では、CPU1112は、カメラ本体3010の複数の温度検出部3101、3102により検出された温度を取得する。
S3002では、CPU1112は、S3000およびS3001で取得した放熱ファンの位置および温度検出部の検出温度に基づき、各放熱装置の出力の大きさを決定する。放熱装置は放熱ファンやペルチェ素子、あるいはそれらが複合された構成などである。また、CPUはカメラ本体3010のCPU1112である必要はなく、例えば放熱モジュール3040のCPU1122であってもよい。S3002の各放熱装置の出力の決定では、例えばS3001で検出された温度のうち、より高温となる温度検出部に近い放熱装置の出力を比較的大きくすればよい。あるいは放熱対象のモジュールが各温度検出部に対応した熱源の動作適正温度情報を有する構成とし、各動作適正温度に近くなるように、CPUがそれぞれの放熱装置の出力を個別に決定してもよい。
S3003では、CPU1112は、各放熱装置の出力がS3002で決定した出力となるように制御する。
S3004では、CPU1112は、制御終了フラグがセットされているか否かを判定し、制御終了フラグがセットされていない場合はS3001に戻り、セットされている場合は処理を終了する。制御終了フラグは、システムカメラ1000の使用が終了し、電源がオフされた場合やモジュールの組み替えが行われた場合などにセットされる。
なお、図30において、温度検出部および放熱装置の数は2個に限られるものではなく、それより多くてもよい。さらに、温度検出部が前面のモジュールだけでなく、背面のモジュールに設けられる構成としてもよい。
[実施形態4]次に、実施形態4を説明する。
実施形態4は、実施形態3と同様に、接続されるモジュールにかかわらず、放熱モジュールが最小限の消費電力で所望の放熱性能を得るための方法を説明する。
<流量制御部による流量調整>
図33は本実施形態におけるシステムカメラ1000のブロック図を例示している。また、図34は本実施形態のシステムカメラ1000を上面から見た概略断面図である。なお、実施形態1と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の放熱モジュール4040は、内部の気流4042と気流4043の流量比を調整できる流量制御部4041を備える。本実施形態では、流量制御部4041は図34に示すルーバー部材の角度を変更し気流4042と気流4043の流路の断面積を可変に制御して気流4042と気流4043の流量比を調整する機能を想定しているが、同様の流量調整機能を有していればよい。また、流量制御部4041は、放熱モジュール4040の吸気側(吸気口の近傍)に設けられることが望ましい。
図35は本実施形態における放熱モジュール4040の流量制御処理を示すフローチャートである。なお、図35の処理は、放熱モジュール4040のCPU1122がメモリ1121に格納されたプログラムを実行することで実現される。
S4001では、CPU1122は、放熱モジュール4040の前面および背面に接続されるカメラ本体1010またはモジュールの消費電力情報を取得する。
S4002では、CPU1122は、放熱モジュール4040の背面にモジュールが接続されているか否かを判定する。なお、S4001で背面のモジュールの消費電力情報が取得されなかった場合、背面にモジュールが接続されていないと判定してもよい。放熱モジュール4040の背面にモジュールが接続されている場合はS4004へ進み、接続されていない場合はS4003へ進む。
S4003では、CPU1122は、流量制御部4041を制御して、放熱モジュール4040の背面の気流4043へ空気が流れないように流路を閉じ、処理を終了する。これにより、放熱モジュール4040の背面にモジュールが取り付けられていない場合、取り込む外気を全て前面側の気流4042に流すことができるため、前面に接続されるカメラ本体1010またはモジュールの熱源を効率的に放熱することができる。
S4004では、CPU1122は、放熱モジュール4040の前面および背面のカメラ本体1010またはモジュールの消費電力を比較する。
S4005では、CPU1122は、S4004で比較した消費電力に基づき、流量制御部4041により前面および背面の気流4042と気流4043の流量比が最適になるよう制御する。
以上説明したように、システムカメラ1000のカメラ本体1010や各種モジュールの組み合わせや消費電力に応じて、放熱モジュール4040の気流4042と気流4043の流量比を制御することで効率的な放熱ができる。
なお、本実施形態では放熱モジュール4040のCPU1122が放熱モジュールの前面および背面のカメラ本体またはモジュールの消費電力情報を用いて流量制御部4041を制御しているが、カメラ本体1010のCPU1112で実行してもよい。
[実施形態5]次に、実施形態5を説明する。
実施形態5は、システムカメラ1000の現在のシステム構成での放熱能力を評価し、必要に応じてカメラ本体1010の動作モードを制限する方法について説明する。
図36は、図1のシステムカメラ1000においてレコーダモジュール1030の背面に放熱モジュール5040が追加された場合のシステムカメラ1000を正面から見た斜視図である。図37は、図1のシステムカメラ1000においてレコーダモジュール1030の前面に放熱モジュール5040が追加された場合のシステムカメラ1000を正面から見た斜視図である。なお、実施形態1と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
図1に示すシステムカメラ1000において、高画素の撮影やハイスピード撮影を行うことにより消費電力が増加した場合、使用条件によっては放熱モジュール1040のみでは放熱能力が不足することが考えられる。
また、図36に示すように、レコーダモジュール1030の背面に別の放熱モジュール5040を追加することにより、放熱能力を増加することが可能となるが、図37のようにレコーダモジュール1030の前面に放熱モジュール5040が接続された場合には、レコーダモジュール1030の背面、すなわち第2伝熱部1032からの熱を効率的に放熱できない可能性がある。また、放熱モジュール1040が接続されていない場合も同様である。
そこで、本実施形態では、システムカメラ1000の現在のシステム構成の放熱能力を評価し、必要に応じてカメラ本体1010の動作モードを制限する。
図38は実施形態5のカメラ本体1010の動作モードを制限する処理を示すフローチャートである。なお、図38の処理は、カメラ本体1010のCPU1112がメモリ1102に格納されたプログラムを実行することで実現される。
S5001では、CPU1112は、カメラ本体1010に接続された各モジュールの種類、数、および接続位置情報を取得する。
S5002では、CPU1112は、カメラ本体1010および各放熱モジュールの放熱性能を比較する。
S5003では、CPU1112は、S5002で得られた放熱性能に基づき、カメラ本体1010および各モジュールに対する放熱能力は十分か否かを判定し、放熱能力が十分である場合はS5006に進み、放熱能力が不十分である場合はS5004に進む。
S5006では、CPU1112は、全ての動作モードを選択可能とし、処理を終了する。
S5004、S5005では、CPU1112は、動作可能な動作モードを算出し、S5004で動作可能と算出された動作モードのみを選択可能にし、処理を終了する。
以上説明したように、放熱モジュールの接続位置や種類、数量などに応じてカメラ本体1010の動作モードを制限することにより、熱暴走や故障を起こすことなく正常な映像を取得することができる。
また、本実施形態の動作モードとは、単なる記録レートだけでなく、記録先、出力、撮影時間なども含む。
[他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。