以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1(a)は本発明の第1の実施形態に係るシステムカメラ100を前方(被写体側)から見た分解斜視図、図1(b)は図1(a)の後方から見た分解斜視図である。図2(a)はシステムカメラ100を組み立てた状態を前方から見た斜視図、図2(b)は図2(a)の後方から見た斜視図、図2(c)は図2(a)から放熱モジュール101を取り外した状態の斜視図である。
なお、以降の説明を簡便にするために、各図に示す通りのXYZ座標系を定義する。Z軸はシステムカメラ100の撮影光軸方向とし、撮影被写体方向を正とする。Z軸に直交する平面上において、システムカメラ100の幅方向をX軸、天地方向をY軸とし、特にY軸は天に向かう方向を正とする。また、システムカメラ100を構成する各モジュールの被写体に向く側を正面側、その反対側を背面側と呼ぶことにする。
本実施形態のシステムカメラ100は、図1に示すように、カメラ本体102、レンズユニット103、バッテリパック104、さらに、放熱モジュール101の各モジュールから構成される。これらの構成モジュールは、以降に説明する構造によってZ軸方向に連結接続が可能となっており、接続されることでシステムカメラ100として動作するものある。
特に、図2に示すように、放熱モジュール101を接続する場合(図2(a)、図2(b))と、接続しない場合(図2(c))の二つの形態を使用者が選択できる構成となっている。以下に、システムカメラ100の各構成モジュールおよびそれらの接続構造について説明する。
まず、カメラ本体102は、正面側にレンズユニット103を装着するためのレンズマウント105を備え、撮影状況に合わせてレンズユニット103を交換することができる。レンズユニット103を通して入射した被写体光学像を、内蔵した撮像センサ(図示せず)によって所定の画像信号へ変換する。カメラ本体102の背面側には、バッテリパック104と係合する係合凹部(以降、バッテリ係合凹部106)と、バッテリパック104と電気的に接続して給電を受けるバッテリ端子107が配置されている。
一方、バッテリパック104は、再充電可能なバッテリセルを内包する。バッテリパック104のカメラ本体102との接合面において、バッテリ係合凹部106に適合する係合凸部(以降、バッテリ係合凸部108と記す。)と、バッテリ端子107に接続して給電するバッテリパック給電端子109が設けられている。
次に、カメラ本体102にバッテリパック104を直接接続する際(図1(b)の矢印126)の構造について説明する。バッテリ係合凹部106およびバッテリ係合凸部108は、略対向する一対の嵌合レールを略V字型に配置した係合構造の、それぞれメス型、オス型となっており、Y軸方向にスライドして離合することが可能となっている。嵌合レールを略V字型に配置しているので、スライドする方向によって離合関係が切り替わり、すなわち、Y軸正方向へのスライドにより両者は離間し、Y軸負方向へは嵌合する構造となっている。
また、バッテリ端子107はY軸正方向に突出した接点ピン110を持ち、他方、バッテリパック給電端子109はバッテリパック104下面からY軸方向に延びる接点孔(図示せず)を持っているので、両者はY軸方向に挿抜する構成となっている。以上から、バッテリパック104をカメラ本体102背面部に沿わせてY軸負方向にスライドすると、バッテリ係合凹部106にバッテリ係合凸部108が嵌合するとともに、バッテリパック給電端子109にバッテリ端子107が挿入されて電気的に接続される。
そして、バッテリ係合凹部106とバッテリ係合凸部108の嵌合突き当り近傍において、カメラ本体102に備える図示しないロック機構によってスライド動作が規制される。これにより、バッテリパック104の位置が固定されて接続が完了する。図2(c)に、カメラ本体102にバッテリパック104が接続された様子を表している。この状態において、バッテリパック104から供給される電力によってカメラ本体102が所定の撮影記録動作を行うことが可能となっている。
また、カメラ本体102のロック解除ノブ111を操作すると、前述のロック機構が規制解除方向に作動され、バッテリパック104のスライド動作が可能となる。さらにバッテリパック104をY軸正方向にスライドしていくと、バッテリパック給電端子109とバッテリ端子107、バッテリ係合凹部106とバッテリ係合凸部108がそれぞれ離間し、最終的にバッテリパック104がカメラ本体102から取り外される。
ところで、システムカメラ100には、カメラ本体102とバッテリパック104との間に挿入接続が可能な放熱モジュール101が用意されている。例えば、カメラ本体102の消費電力が高く発熱が懸念される動作モードで使用する場合や、使用環境温度が高いためにカメラ本体102の保証温度に対して発熱による昇温余裕が少ない場合等では、カメラ本体102からの自然放熱だけでは放熱が不十分になる。
このような場合に放熱モジュール101を接続することによって、システムカメラ100として放熱能力を高めることができる。以下に、放熱モジュール101を含めたシステムカメラ100の構成を説明する。
放熱モジュール101は、放熱モジュール101の四隅に設けた穴113を挿通する4本のボルト112(一部の図示を省略する)によって、カメラ本体102に締結固定される。放熱モジュール101のカメラ本体102側の装着面(以降、カメラ側装着面114と記す。)には、取り付けた際にカメラ本体102の伝熱部115に当接する受熱面(受熱部)116が設けられている。詳細は後述する。同じく、カメラ側装着面(第一の面)114には、拡張接点パッド117に接触導通するモジュール接点端子部118、およびカメラ本体102背面側のバッテリ係合凹部106とバッテリ端子107との干渉を避ける凹部119,120が設けられている。
放熱モジュール101のカメラ側装着面114の反対側の面は、バッテリパック104の装着面(以降、バッテリ装着面121と記す。)である。バッテリ装着面(第二の面)121には、バッテリ係合凸部108、バッテリパック給電端子109にそれぞれ対応するバッテリ係合凹部122、モジュール側バッテリ端子123が設けられている。
バッテリ係合凹部122は、バッテリ係合凹部106と同一の部品を用いても良いし、バッテリ係合凸部108との互換性が保たれれば別の構造でも構わない。また、モジュール側バッテリ端子123も、バッテリ端子107と同一の構造でも良いし、バッテリパック給電端子109と機械的、電気的な互換性が保たれれば別の構造でも構わない。
さらに、放熱モジュール101内部において、モジュール接点端子部118の各端子はモジュール側バッテリ端子123の接点ピン124のそれぞれと電気的に接続されている。なお、カメラ本体102内部においては、拡張接点パッド117の各パッドがバッテリ端子107の接点ピン110のそれぞれと電気的に並列接続されている。
放熱モジュール101に対するバッテリパック104の接続(図1(b)の矢印127)は、前述のカメラ本体102に対するそれと同様である。バッテリパック104のY軸負方向へのスライド動作によって、バッテリ係合凹部122にバッテリ係合凸部108が係合し、バッテリパック給電端子109にモジュール側バッテリ端子123が挿入されて電気的に接続される。放熱モジュール101に備える図示しないロック機構によってバッテリパック104のスライド動作が規制され、バッテリパック104が固定される。
図2(a)および図2(b)にカメラ本体102、放熱モジュール101、バッテリパック104を連結接続した様子を示している。このとき、バッテリパック104の電力は、バッテリパック給電端子109からモジュール側バッテリ端子123、モジュール接点端子部118を介して拡張接点パッド117からカメラ本体102へ供給され、所定の撮影記録動作を行うことが可能である。
すなわち、放熱モジュール101の装着、非装着に関わらず、同じバッテリパック104を使用してシステムカメラ100の駆動を行うことが可能である。また、放熱モジュール101のロック解除ノブ125を操作するとバッテリパック104のスライド規制が解除され、バッテリパック104を放熱モジュール101から取り外すことができる。
次に、図3を説明に加えて、放熱モジュール101の構造について詳細に説明をする。図3(a)は放熱モジュール101の構造を説明する正面側から見た分解斜視図、図3(b)は図3(a)の背面側からの見た分解斜視図である。
放熱モジュール101は、図3に示す通り前部ケース301と後部ケース302によって外観が構成され、内部にヒートシンク303が収められている。前部ケース301は、カメラ側装着面114を形成しており、前部ケース301には、モジュール接点端子部118が取り付けられている。また、前部ケース301には、ヒートシンク303の一面である受熱面116を露出させるための開口部304を設けている。
一方、後部ケース302はバッテリ装着面121を形成しており、後部ケース302には、バッテリ係合凹部122、モジュール側バッテリ端子123、ロック解除ノブ125が取り付けられている。モジュール接点端子部118とモジュール側バッテリ端子123の接点ピン124は、図示しない電線、あるいはフレキシブル基板などで、前述の通り電気的に接続されている。
ヒートシンク303は、アルミダイキャスト等、熱伝導性に優れる材料を用いて形成した放熱器である。ヒートシンク303は、放熱モジュール101の外部に露出する受熱面116を持ち、その反対側には多数の放熱フィン306が立設されている。放熱フィン306の周囲は、外気取り入れ口307と放熱口308を除いて隔壁309と蓋部材310とで遮蔽され、ダクト状の空気流路を形成している。外気取り入れ口307は放熱モジュール101の幅方向の側面に向けて設けており、放熱口308は放熱モジュール101の天面に向けて設けている。
外気取り入れ口307、放熱口308に対応する位置には、スリット状開口311、312が設けられている。スリット状開口312はリッドカバー313に設けているが、リッドカバー313は前部ケース301または後部ケース302に一体形成されていても、もちろん構わない。
さらに、ヒートシンク303は付勢ばね314によって前部ケース301の方向に向けて押圧付勢されている。それによって、放熱モジュール101をカメラ本体102に取り付けない無負荷状態において、受熱面116がカメラ側装着面114から所定量突出するよう取り付けられている。
以上の構成を組み込んだ状態で、前部ケース301と後部ケース302が締結ビス305で締結されて放熱モジュール101を構成している。
図4は、カメラ本体102、放熱モジュール101、バッテリパック104を連結接続したシステムカメラ100の概略断面図である。本断面図は、システムカメラ100を撮影光軸を通る垂直な平面で切断した断面図である。説明に不要なレンズユニット103は図示を省略する。また図5は、図4に示すA-A断面図であり、放熱モジュール101の断面を示している。
以下、図4および図5を参照して、システムカメラ100の放熱経路を説明する。図4には、矢印にて熱の移動経路401、およびバッテリからの給電経路402を示している。カメラ本体102内部で発生した熱は伝熱部115へ伝導され、伝熱部115に接触する受熱面116へと伝導される。ここで、伝熱部115はカメラ本体102内部で発生した熱を放熱モジュール101へ伝熱させるための部材であり、カメラ本体102の背面、つまりバッテリパック104あるいは放熱モジュール101との接続面の一部に露出して固定されている。
伝熱部115は、銅やアルミ等の熱伝導性に優れた材料で形成されることが望ましい。また、伝熱部115は、受熱面116に確実に接触するようにカメラ本体102背面の主平面より若干突出するように設けることが望ましい。カメラ本体102内部においては、各発熱源、例えば撮像センサや画像信号を高速処理するCPU、あるいは大容量の画像データを高速に記録する記録処理部や記録メディアなどから、伝熱部115へ熱伝導性部材によって伝熱経路が接続されている。伝熱部115への伝熱経路の材料や構造などについては、既に知られた様々な技術が適用可能であるのはもちろんである。
なお、ここでは伝熱部115はカメラ本体102背面側の一部にのみ露出しているが、受熱面116と接触することが出来ればこの限りではない。例えば、伝熱部115がカメラ本体102の背面側全面を形成するように露出されていても良いし、カメラ本体102の外装全体が高い熱伝導性を持って伝熱部115としての機能を有する構造でも良い。
カメラ本体102に放熱モジュール101を接続した状態においては、ヒートシンク303を押圧する付勢ばね314の作用によって、受熱面116が伝熱部115に所定の押圧力で接触している。これにより、受熱面116と伝熱部115との接触熱抵抗の低減を図っている。
受熱面116に伝導した熱はヒートシンク303全体へと拡散し、放熱フィン306からその周囲の空気へ伝導する。図5に矢印501で示すように、放熱フィン306周囲の温められた空気は、煙突効果によって放熱モジュール101の天面方向に向かって移動し、スリット状開口312(排熱部)を通って外部へ放出される。
一方、熱せられて外部へ放出された空気に入れ替わり、スリット状開口311を通って新たな外気が導入される(矢印502)。導入された新たな外気は、矢印501の通り、放熱フィン306から熱を受け取ってスリット状開口312から外部へ放出される。
以上のようにして、カメラ本体102で発生した熱が放熱モジュール101によって外部に放熱されることになる。すなわち、放熱モジュール101が持つヒートシンク303によってカメラ本体102の放熱が補助、強化されるので、例えば高消費電力の動作モードにおける発熱にも対応できるようになる。
また、給電経路402に示す通り、バッテリパック給電端子109からモジュール側バッテリ端子123、モジュール接点端子部118を介して拡張接点パッド117からカメラ本体102へ給電される。よって、放熱モジュール101を接続しない時と同様にバッテリパック104が利用できる。
以上に説明したように、放熱モジュール101は略対向する二面にそれぞれカメラ本体102とバッテリパック104との係合構造を持ち、両者の間に挿入接続が可能な構造となっている。
また、その一面であるカメラ側装着面114に熱インターフェイスである受熱面116を持ち、受熱面116にカメラ本体102から伝導される熱を内部のヒートシンク303を介して外部へ放熱する機能を有している。このため、バッテリパック104の接続性を変えることなく、システムカメラ100を使用する状況に応じた最適な放熱構成を実現することができる。
次に、放熱モジュール101の変形例である放熱モジュール601を適用したシステムカメラ600について説明する。図6は、システムカメラ600の構成図であり、カメラ本体102、レンズユニット103、バッテリパック104と、放熱モジュール601で構成されている。放熱モジュール601は、前述した放熱モジュール101に対してカメラ本体102との係合構造が異なっている。それ以外の構造や機能は前述の放熱モジュール101と同様であり、放熱モジュール601に特有の部分についてのみ説明をする。
放熱モジュール601の前部ケース602には、バッテリ係合凹部106に対応したモジュール係合凸部603、およびバッテリ端子107に対応したモジュール側給電端子604が取り付けられている。モジュール係合凸部603はバッテリ係合凸部108と同一の部品を用いても良いし、バッテリ係合凹部106との互換性が保たれれば別の構造でも構わない。また、モジュール側給電端子604も、バッテリパック給電端子109と同一の構造でも良いし、バッテリ端子107と機械的、電気的な互換性が保たれれば別の構造でも構わない。
後部ケース605には、放熱モジュール101と同じようにバッテリ係合凹部122とモジュール側バッテリ端子123が取り付けられている。また、放熱モジュール601内部において、モジュール側給電端子604の各端子はモジュール側バッテリ端子123の接点ピン124のそれぞれと接続されている。
すなわち、放熱モジュール601は、カメラ本体102との係合構造にバッテリパック104と同じ構造を採用している。
この係合構造によって、カメラ本体102に対する放熱モジュール601およびバッテリパック104の着脱が同じ操作で行える。従って、着脱操作性が向上し、例えば撮影現場などで放熱モジュール601の着脱が迅速に行うことが可能となる。また、汎用インターフェイスを利用した構造を採用すれば、様々なシステムカメラ間で放熱モジュールを共通利用しやすいことは容易に想像できる。
以上の説明から分かる通り、放熱モジュールをシステムに組み込むための係合インターフェイス構造は特に限定されるものでは無く、様々な機構が適用可能であることを付記しておく。
(第2の実施形態)
図7(a)は本発明の第2の実施形態に係るシステムカメラ700を前方(被写体側)から見た分解斜視図、図7(b)は図7(a)の後方から見た分解斜視図である。図8(a)は図7に示すシステムカメラ700を組み立てた状態を前方から見た斜視図、図8(b)は図8(a)からレコーダモジュール703を取り外した状態の斜視図、図8(c)は図8(b)から放熱モジュール701を取り外した状態の斜視図である。図9(a)および図9(b)は、図8(a)のシステムカメラ700に対して新たなモジュールを追加した状態の斜視図である。
なお、上記第1の実施形態と同様に、各図に示す通りのXYZ座標系を定義する。また、上記第1実施形態と同様に、システムカメラ700を構成する各モジュールの被写体に向く側を正面側、その反対側を背面側と呼ぶことにする。また、上記第1の実施形態で説明したものと同一の構成要素には同一の符号を付し、ここでの説明を省略する。
図7に示すシステムカメラ700の構成モジュールは、カメラ本体702、レンズユニット103、レコーダモジュール703、バッテリアダプタモジュール704、バッテリパック104、さらに放熱モジュール701となっている。
カメラ本体702は、正面側にレンズユニット103を装着するためのレンズマウント105を備え、レンズユニット103を通して入射した被写体光学像を内蔵した撮像センサ(図示せず)によって所定の画像信号へ変換する。カメラ本体702内部に、前記画像信号を記録する記録部を備えていても良い。カメラ本体702の背面側には、共通係合インターフェイスを備えている。
共通係合インターフェイスについては詳細を後述するが、規格化されたオス側の係合機構(後述するフック部)またはメス側の被係合機構(後述するスリット孔)と電気的接続機構の組み合わせから成る、互換性を持つモジュール間接続構造のことを指している。特に、係合機構を備える側をオス側インターフェイス705と呼び、被係合機構を備える側をメス側インターフェイス706と呼ぶことにする。
カメラ本体702背面側は、メス側インターフェイス706である。レコーダモジュール703は、カメラ本体702にて撮影された画像信号を所定のデータ形式で図示しない記録メディアに格納するための記録装置である。昨今、特に動画像の高解像度化が進行しており、ハイビジョン映像(FHD)は既に一般化し、4Kや8Kのような次世代映像の技術開発が行われている。
さらに、より臨場感のある滑らかな映像や高精細なスローモーション映像を得るために、60Pを超え120Pや240Pと言ったハイフレームレート化の技術開発も進められている。このような次世代画像はデジタルデータのファイル容量として膨大なものになり、そのデータを取り扱うために、高速書き込みが可能で大容量の記録メディアや、データの高圧縮技術の開発も進められている。
しかしながら、カメラ本体702ではコンパクト化が要求されるために大型の内部記録システムを実装しておくことが難しく、さらに将来の新規技術に適応させることにも課題がある。
そこで、交換可能な外部記録装置であるレコーダモジュール703を接続可能とし、レコーダモジュール703の選択によって目的に合った適切な記録仕様(圧縮フォーマットや使用する記録メディアの種類)で撮影ができるようになっている。レコーダモジュール703の正面側にはオス側インターフェイス705、背面側にはメス側インターフェイス706を備えている。
バッテリアダプタモジュール704は、バッテリパック104と係合するバッテリ係合凹部106とバッテリ端子107を背面側に備え、正面側にオス側インターフェイス705を備えている。すなわちバッテリアダプタモジュール704は、バッテリパック104の係合インターフェイスを共通係合インターフェイスへと変換するアダプタである。
放熱モジュール701は、消費電力の高い撮影モードや使用環境温度が高い状況など、システムカメラ700が高温になることが懸念される場合に、放熱能力を高めるために接続するモジュールである。放熱モジュール701の詳細は後述するが、正面側にオス側インターフェイス705、背面側にメス側インターフェイス706を備えている。
共通係合インターフェイスによって、以上に説明した構成モジュールは接続互換性を持つので、図8(a)のようにZ軸方向に順次連結することが可能である。または、撮影条件によってカメラ本体702の内部記録のみで対応できる場合は、図8(b)のようにレコーダモジュール703を取り外してシステムを組み立てることができる。さらに、低解像度撮影のような低消費電力モードで使用する場合など、カメラ本体702の発熱量が問題にならない場合は、図8(c)のように放熱モジュール701を取り外して小型軽量のシステムとすることもできる。
さらには、共通係合インターフェイスによって接続できる構成モジュールとしては、以上に挙げたもの以外にも様々なモジュールが存在し得る。例えば、画像信号または制御信号を所定の伝送信号に変換して外部へ出力、あるいは外部から入力する出入力モジュールや、LCD等の表示デバイスを備えた表示モジュール、使用者が操作するためのユーザインターフェイスモジュールなどを挙げることができる。
または、システムカメラ700の把持を補助するハンドルモジュールやグリップモジュール、肩当てモジュール、システムカメラ700の姿勢を安定化するジンバルアダプタモジュールも共通係合インターフェイスによって接続することが可能である。また、重量バランスを調整するウエイトモジュールなどの機構モジュールも、共通係合インターフェイスによって接続することが可能である。
例えば、図9(a)、図9(b)は、共通係合インターフェイスを備える無線通信モジュール707を組み込んだシステムカメラ700を示している。無線通信モジュール707は入出力モジュールの一例であり、無線通信により外部装置と画像信号や制御信号を授受するためのモジュールである。
共通係合インターフェイスが接続互換性を持つので、図9(a)のように無線通信モジュール707をカメラ本体702と放熱モジュール701の間に割り込ませて接続することができる。さらに図9(b)のように、カメラ本体702と無線通信モジュール707の間に放熱モジュール701を追加することもできる。
このように、システムカメラ700は、様々な機能モジュールから使用目的に応じて選択して組み上げることが出来る。また、共通係合インターフェイスを採用しているので、モジュールの接続順序に制約が無く、任意の順に任意のモジュールを接続できるように構成することができる。
図10(a)は放熱モジュール701の正面側から見た外観斜視図、図10(b)は図10(a)を背面側から見た外観斜視図である。図11(a)は放熱モジュール701の正面側から見た分解斜視図、図11(b)は図11(a)を背面側から見た分解斜視図である。
以下、図10および図11を参照して、放熱モジュール701の詳細を説明する。また、放熱モジュール701を代表例として共通係合インターフェイスの詳細も説明する。
まず、共通係合インターフェイスについて説明する。放熱モジュール701の正面側にはオス側インターフェイス705を備えている。オス側インターフェイス705は、係合機構であるフック901、位置決めダボ902、そして電気接続機構であるオス側データ信号端子903、オス側電源端子904で構成されている。
フック901はモジュール筐体の略四隅にZ軸正方向に延出して配置され、Y軸負方向に向けて係合爪が形成されている。さらに、フック901は図示しないばねによってY軸負方向に付勢されて、所定の突き当たり部に当接した状態で待機している。放熱モジュール701側面のフック操作ノブ905を操作すると、前記ばね力に抗してフック901をY軸正方向にスライド移動させることができる。
放熱モジュール701の他方の背面側には、メス側インターフェイス706を備えている。メス側インターフェイス706は、被係合機構であるスリット孔906、位置決め穴907、そして電気接続機構であるメス側データ信号端子908、メス側電源端子909で構成されている。スリット孔906は、フック901が挿入される角孔であり、スリット奥にフック901の爪が係合する図示しない被係合面が形成されている。
オス側インターフェイス705とメス側インターフェイス706が接続した状態において、位置決めダボ902が位置決め穴907に嵌入してXY方向の相対位置が固定される。さらに、両インターフェイス間で所定の面が当接した状態でフック901がスリット孔906に係合し、Z方向の位置が固定されるようになっている。
このとき、オス側データ信号端子903とメス側データ信号端子908、オス側電源端子904とメス側電源端子909は、電気接点部がそれぞれ所定の接触圧で当接し、データ信号または電源電力を送受可能に電気的に接続される。フック操作ノブ905を操作すると、フック901がY軸正方向に移動して前記被係合面から離間するので、オス側インターフェイス705とメス側インターフェイス706はZ方向に離間することが可能となる。
なお、共通係合インターフェイスの構成要素は上述の構成だけに限るものではなく、システム上の要求に基づいて要素を加えても構わない。例えば、オス側インターフェイス705とメス側インターフェイス706の接続状態を検知する検知スイッチや検知センサを加えても良い。扱うデータ信号は上述の説明の通り電気信号であっても良いし、光信号のように他の媒体を利用する信号であっても構わない。信号媒体に対応する適切な通信端子を設置することで対応が可能である。
さらには、データ信号端子または電源端子の一部を省略しても構わない。例えば図7に示すように、バッテリアダプタモジュール704はオス側インターフェイス705を持っているが、オス側データ信号端子903は省略されている。先述の通り、バッテリアダプタモジュール704はバッテリパック104の係合インターフェイスを変換する目的のモジュールであってデータ信号を扱わないから、オス側データ信号端子903を省略できる。また、フックの形状や配置、位置決めの構造、データ信号端子または電源端子の構造や配置は、様々に変形が可能であることが容易に想像できる。
次に、放熱モジュール701に特有の構造について説明する。図10(a)に示す通りオス側インターフェイス705を備える放熱モジュール701の正面側に第一受熱面910が露出している。また、図10(b)に示す通りメス側インターフェイス706を備える背面側にも第二受熱面911が露出している。放熱モジュール701は、幅方向の側面部にスリット状の第一通気口912、第二通気口913を持ち、天面部に第一排気口914、第二排気口915を持っている。
図11に示す通り、放熱モジュール701の外観は前部ケース916と後部ケース917から構成され、放熱モジュール701の内部に第一ヒートシンク1001および第二ヒートシンク1002が収められている。前部ケース916には、フック901とフック操作ノブ905が連動作動可能に組み付けられ、位置決めダボ902が一体的に形成されている。また、前部ケース916には、第一ヒートシンク1001の一面である第一受熱面910を露出させるための第一開口部1003が形成され、さらに、オス側データ信号端子903およびオス側電源端子904が取り付けられている。
一方、後部ケース917には、スリット孔906と位置決め穴907が形成され、メス側データ信号端子908およびメス側電源端子909が取り付けられている。後部ケース917には、第二ヒートシンク1002の一面である第二受熱面911を露出させるための第二開口部1004が形成されている。
オス側データ信号端子903とメス側データ信号端子908、オス側電源端子904とメス側電源端子909は、それぞれ中継基板1005を介して、図示しない電線あるいはフレキシブル基板などで電気的に接続されている。これにより、放熱モジュール701は、オス側インターフェイス705とメス側インターフェイス706に接続された相手モジュール間のデータ信号通信および電源電力の中継を行うことができる。
ここで、例えばカメラ本体702とレコーダモジュール703との間で通信されるデータ信号は、4Kや8Kと言った高解像度画像や120Pや240Pと言ったハイフレームレート画像のデータ信号であり、その通信には非常に高速性が求められる。従って、オス側データ信号端子903とメス側データ信号端子908は、高速なデータ信号通信が可能な規格で接続されている。
第一ヒートシンク1001および第二ヒートシンク1002は、アルミダイキャスト等、熱伝導性に優れる材料を用いて形成した放熱器である。ここでは、第一ヒートシンク1001と第二ヒートシンク1002は同一形状の部品を向い合せに配置した関係にあるので、第二ヒートシンク1002を代表として説明する。
第二ヒートシンク1002の第二受熱面911の反対側には、多数の放熱フィン1007が立設されている。放熱フィン1007の周囲は、外気取り入れ口1009と排出口1011を除いて隔壁1013と蓋部材1015とで遮蔽され、ダクト状の空気流路を形成している。
排出口1011上部には、Y軸正方向に気流が発生するように電動ファン1017が取り付けられている。放熱モジュール701の組立状態において、外気取り入れ口1009は第二通気口913に向かい合い、電動ファン1017上部には第二排気口915が配置されるようになっている。
第一ヒートシンク1001側についても同様であり、第一ヒートシンク1001は放熱フィン1006を持ち、蓋部材1014と組み合わせて空気流路を形成している。さらに、外気取り入れ口1008は第一通気口912に向かい合い、電動ファン1016上部に第一排気口914が配置される。蓋部材1014と蓋部材1015との間には、熱伝導を遮断する弾性と断熱性を有するクッション1019(断熱部材)を圧縮して挟み込んでいる。これによって、第一ヒートシンク1001は放熱モジュール701の正面側に、第二ヒートシンク1002は背面側に、それぞれ所定量突出するよう押圧されている。
電動ファン1016、1017は、中継基板1005へ図示しない電線で電気的に接続され、後述するように駆動用電力や制御信号を受け取ることができる。また、自身のファン回転数に基づく信号を中継基板1005へ送出することができる。
なお、第一排気口914および第二排気口915はリッドカバー918に形成されているが、リッドカバー918は前部ケース916または後部ケース917に一体形成されていても構わない。以上の構成を組み込んで、前部ケース916と後部ケース917が締結ビス1018で締結されて放熱モジュール701を形成している。
図12は、図8(a)に示した構成のシステムカメラ700の概略断面図である。本断面図は、システムカメラ700を撮影光軸を通る垂直な平面で切断した断面図である。説明に不要なレンズユニット103は図示を省略するので、カメラ本体702、放熱モジュール701、レコーダモジュール703、バッテリアダプタモジュール704、バッテリパック104を接続した構成の断面図となる。図13(a)は、図12のB1-B1断面図、図13(b)は図12のB2-B2断面図であり、いずれも放熱モジュール701の断面を示している。
以下、図12および図13を参照して、システムカメラ700の放熱経路を説明する。図12に、矢印にて第一熱経路1101および第二熱経路1102を示す。カメラ本体702内部で発生した熱は、第一熱経路1101に示すように伝熱部1103から第一受熱面910へと伝導される。第一受熱面910は、クッション1019の反力によって所定の押圧力で伝熱部1103に接触し、接触熱抵抗の低減を図っている。伝熱部1103は上記第1の実施形態における伝熱部115と同じ機能を有するものであり、従って伝熱部115の説明を参照することとする。
第一熱経路1101の通り、第一受熱面910に伝導した熱は第一ヒートシンク1001全体へと拡散し、放熱フィン1006からその周囲の空気へ伝導する。図13(a)に示すように、放熱フィン1006周囲の温められた空気は、電動ファン1016の作動によって第一排気口914から放熱モジュール701の外部へ放出される。
一方、外部へ放出された空気に入れ替わり、第一通気口912から外気取り入れ口1008を通って新たな外気が導入される(図13(a)の矢印1201)。導入された新たな外気は、第一熱経路1101の通り、放熱フィン1006から熱を受け取って第一排気口914から外部へ放出される。
同様に、レコーダモジュール703内部で発生した熱は、第二熱経路1102の通り伝熱部1104から第二受熱面911へと伝導される。第二受熱面911も、クッション1019の反力によって所定の押圧力で伝熱部1104に接触し、接触熱抵抗の低減を図っている。ここで、伝熱部1104も上記第1の実施形態における伝熱部115と同じ機能を有するものである。第二受熱面911に伝導した熱は、第二ヒートシンク1002全体へと拡散し、放熱フィン1007から空気へ伝導し、電動ファン1017の作動によって第二排気口915から外部へ放出される。
外部へ放出された空気に入れ替わり、第二通気口913から外気取り入れ口1009を通って新たな外気が導入され(図13(a)の矢印1202)、放熱フィン1007から熱を受け取って第二排気口915から外部へ放出される。
以上のようにして、カメラ本体702およびレコーダモジュール703で発生した熱が、電動ファン1016、1017の作動によって空気循環が繰り返されて放熱モジュール701の外部へ放熱が行われる構造となっている。特に、図13(b)に示すように、第一ヒートシンク1001と第二ヒートシンク1002はクッション1019の反力によって離間する方向に付勢され、互いに接触しないように空隙1203を持って配置されているので、互いに熱的に独立した構造となっている。
次に、図12を参照して、バッテリパック104からの給電経路1105について説明する。給電経路1105に示す通り、バッテリパック104からの電力は、バッテリアダプタモジュール704、レコーダモジュール703、放熱モジュール701の共通係合インターフェイスが持つ各電源端子を経由して、最終的にカメラ本体702へ給電される。途中、レコーダモジュール703は、その内部で必要な駆動用電力を給電経路1105から取り出す。さらに、放熱モジュール701において中継基板1005を経由するが、ここで中継基板1005に実装された電動ファン制御素子(図示せず)により、給電経路1105から電動ファンの駆動用電力が取り出される。
次に、図12を参照して、データ信号の伝送経路1106について説明する。データ信号経路1106に示す通り、カメラ本体702、放熱モジュール701、レコーダモジュール703の共通係合インターフェイスが持つ各データ信号端子を経由して、画像データ信号および制御信号をやり取りすることが出来る。信号の送受は、カメラ本体制御部1107、およびレコーダ制御部1108の協調制御によって実行されている。
制御信号には、カメラ本体702内部のサーミスタ1109によって取得したカメラ本体内部温度データや、レコーダモジュール703内部のサーミスタ1110によって取得したレコーダ内部温度データが含まれる。データ信号は、放熱モジュール701において中継基板1005を経由するが、その際に中継基板1005に実装された電動ファン制御素子(図示せず)が前記温度データを受け取って、電動ファン1016および電動ファン1017の駆動を制御することができる。
すなわち、カメラ本体内部温度またはレコーダ内部温度が規定の目標温度を超えている場合は、電動ファンの回転数を上げて放熱能力を高める制御を行う。逆に、目標温度を下回っている場合は電動ファンの回転数を下げて、放熱能力が低下する代わりにファン騒音やファン消費電力の低減を図る。特に、電動ファン1016は第一受熱面910の側、すなわちカメラ本体702の放熱に関与し、一方、電動ファン1017は第二受熱面911の側、すなわちレコーダモジュール703の放熱に関与しており、互いに熱的に独立している。
従って、電動ファン1016と電動ファン1017の回転数をそれぞれ独立に制御して、カメラ本体702、レコーダモジュール703それぞれの状況に合わせた最適な放熱を行うことができる。なお、電動ファンの回転数を定める制御信号は、上述のように放熱モジュール701内部で生成されても良いし、またはカメラ本体制御部1107またはレコーダ制御部1108で生成されて、データ信号経路1106で電動ファン制御素子に伝送されてもよい。
また、図8および図9の説明で述べたように、システムカメラ700は様々な機能モジュールを任意の順に接続できる。つまり、以上の説明では、放熱モジュール701をカメラ本体702とレコーダモジュール703の間に挿入接続して放熱する例を説明したが、接続順はこれに限るものでは無く、放熱モジュール701を他のモジュールに接続して放熱することもできる。例えば、図9(a)に示すように、放熱モジュール701が無線通信モジュール707を放熱することも可能である。
また、図9(b)のように複数の放熱モジュール701が組み込まれていても、それぞれの放熱モジュール701は上述の説明の通り動作が可能である。図9(b)の構成の特徴は、無線通信モジュール707の正面側と背面側の両面から放熱することが可能な構成であることである。このとき、無線通信モジュール707から前後の放熱モジュール701に対して、例えばそれぞれ別々の内容の電動ファン制御信号を送出しても良い。
以上説明したように、本実施形態における放熱モジュール701は共通係合インターフェイスを対向する二面に備え、システム中の任意の箇所に組み込むことが可能な構造であり、システムの拡張性を損なうことなく様々な構成モジュールの放熱が可能である。また、一つの放熱モジュール701で正面側および背面側にそれぞれ接続する二つのモジュールを放熱できる構造であり、システムのコンパクト化に寄与するものである。
(第3の実施形態)
図14(a)は本発明の第3の実施形態に係るシステムカメラ1300を前方(被写体側)から見た分解斜視図、図14(b)は図14(a)の後方から見た分解斜視図である。図15(a)はシステムカメラ1300を組み立てた状態を示す外観斜視図、図15(b)および図15(c)は図15(a)に対してモジュールを追加した状態を示す外観斜視図である。
なお、上記第1の実施形態と同様に、各図に示す通りのXYZ座標系を定義する。また、上記第1実施形態と同様に、システムカメラ1300を構成する各モジュールの被写体に向く側を正面側、その反対側を背面側と呼ぶことにする。なお、上記第1および第2の実施形態で説明したものと同一の構成要素には同一の符号を付し、ここでの説明を省略する。
図14に示すシステムカメラ1300の構成モジュールは、カメラ本体1302、レンズユニット103、レコーダモジュール1303、バッテリパック104、さらに放熱モジュール1301となっている。カメラ本体1302、レコーダモジュール1303の主機能は、上記第2の実施形態におけるカメラ本体702、レコーダモジュール703と同様であるが、それらとは別の第2の共通係合インターフェイスを備えている。第2の共通係合インターフェイスについては詳細を後述するが、オス型レールを備えるオス側インターフェイス1304とメス型レールを備えるメス側インターフェイス1305で構成される。
カメラ本体1302背面側は、オス側インターフェイス1304である。放熱モジュール1301およびレコーダモジュール703は、正面側にメス側インターフェイス1305、背面側にオス側インターフェイス1304を備えている。後述するが、オス側インターフェイス1304にはバッテリパック104と係合するためのバッテリ係合凹部106とバッテリ端子107が含まれる。従って、カメラ本体1302、レコーダモジュール1303、さらに後述する放熱モジュール1301のいずれにもバッテリパック104が接続可能である。
第2の共通係合インターフェイスによって、以上に説明した構成モジュールは、図15(a)のようにZ軸方向に順次連結することが可能である。さらに、上記第2の実施形態であるシステムカメラ700と同様に、第2の共通係合インターフェイスによって接続可能なモジュールは様々に考えられる。例えば、図15(b)は、無線通信モジュール1306をカメラ本体1302と放熱モジュール1301の間に割り込ませて接続した状態を表している。あるいは、図15(c)の放熱モジュール1301のように、同じモジュール(1301A、1301B)を複数接続することも可能である。
このように、システムカメラ1300は、使用目的に応じて選択した様々な機能モジュールを、任意の順に接続して構成することができる。
図16(a)は放熱モジュール1301を正面側から見た外観斜視図、図16(b)は図16(a)を背面側から見た外観斜視図である。図17(a)は放熱モジュール1301を正面側から見た分解斜視図、図17(b)は図17(a)を背面側から見た分解斜視図である。
以下、図16および図17を参照して、放熱モジュール1301および第2の共通係合インターフェイスの詳細を説明する。
まず、第2の共通係合インターフェイスについて説明する。放熱モジュール1301の正面側にはメス側インターフェイス1305を備えている。メス側インターフェイス1305は、モジュール筐体の略四隅に設けられたメス型レール1501と、メス側データ信号端子1502、さらにバッテリ端子107と接続互換性を持つモジュール電源端子1503で構成されている。
放熱モジュール1301の背面側には、オス側インターフェイス1304を備えている。オス側インターフェイス1304は、モジュール筐体の略四隅に設けられたオス型レール1504と、バッテリ係合凹部106、さらにオス側データ信号端子1505およびバッテリ端子107で構成されている。メス型レール1501とオス型レール1504は、Y軸方向にスライドすることで離合する構造となっている。両インターフェイス間で所定の面が当接した状態から、メス側インターフェイス1305側のモジュールをY軸負方向へスライドすると両レールが嵌合し、最終的に所定のレール突き当たり部が当接する。
レール突き当たり位置近傍において、バッテリ端子107にモジュール電源端子1503が嵌合されて電気的に導通可能な状態となる。同様に、オス側データ信号端子1505に対してメス側データ信号端子1502が摺動接触して電気的に導通可能な状態となる。これがモジュール間の接続状態である。メス側インターフェイス1305には、オス側インターフェイス1304との接続状態においてバッテリ係合凹部106との干渉を避けるための凹部1506を設けている。
また、前記接続状態からメス側インターフェイス1305側のモジュールをY軸正方向へスライドすると、バッテリ端子107からモジュール電源端子1503が離間する。このとき、メス側データ信号端子1502がオス側データ信号端子1505の上を摺動しながら移動し、最終的に離間する。メス型レール1501がオス型レール1504に対してZ軸方向に係合しない開放位置まで到達すると、オス側インターフェイス1304からメス側インターフェイス1305をZ軸負方向に離間させることが可能となる。
なお、第2の共通係合インターフェイスの構成要素は上述の構成だけに限るものではないことは、上記第2の実施形態での説明と同様である。扱うデータ信号も電気信号には限らない。データ信号端子または電源端子の一部を省略しても構わない。また、レールの形状や配置、データ信号端子または電源端子の構造や配置は、様々に変形が可能であることが容易に想像できる。
次に、放熱モジュール1301に特有の構造について説明する。放熱モジュール1301のメス側インターフェイス1305を備える正面側に第一受熱面1507が露出している。また、放熱モジュール1301のオス側インターフェイス1304を備える背面側にも第二受熱面1508が露出している。放熱モジュール1301においては、第一受熱面1507および第二受熱面1508が相手モジュールとの当接面となる。放熱モジュール1301の幅方向の側面部にはスリット状の第一通気口1509、第二通気口1510が設けられ、天面部には第一排気口1511、第二排気口1512が設けられている。
図17に示す通り、放熱モジュール1301の外観は前部ケース1601と後部ケース1602から構成されている。放熱モジュール1301の内部にはヒートシンク1603が収められている。前部ケース1601には、メス型レール1501が一体的に形成され、また、ヒートシンク1603の一面である第一受熱面1507を露出させるための第一開口部1604が形成されている。さらに、前部ケース1601には、メス側データ信号端子1502およびモジュール電源端子1503が取り付けられている。
一方、後部ケース1602には、オス型レール1504が形成され、バッテリ係合凹部106、バッテリ端子107およびオス側データ信号端子1505が取り付けられている。また、後部ケース1602には、ヒートシンク1603の一面である第二受熱面1508を露出させるための第二開口部1605が形成されている。メス側データ信号端子1502とオス側データ信号端子1505、モジュール電源端子1503とバッテリ端子107は、それぞれ中継基板1606を介して図示しない電線あるいはフレキシブル基板などで電気的に接続されている。
ヒートシンク1603は、アルミダイキャスト等、熱伝導性に優れる材料を用いて形成した放熱器であり、第一受熱面1507と第二受熱面1508を多数の放熱フィン1607で連結した構造となっている。ヒートシンク1603には、外気取り入れ口1608、1609から排出口1610へ空気が流動するようにダクト状の空気流路が形成されている。ヒートシンク1603の排出口1610上部には、Y軸正方向に気流が発生するように電動ファン1611、1612が取り付けられている。電動ファン1611、1612は、中継基板1606へ図示しない電線で電気的に接続され、後述するように駆動用電力や制御信号を受け取ることができる。また、自身のファン回転数に基づく信号を中継基板1606へ送出することができる。
放熱モジュール1301の組立状態において、外気取り入れ口1608は第一通気口1509、外気取り入れ口1609は第二通気口1510に向かい合うように配置されている。また、電動ファン1611上方には第一排気口1511、電動ファン1612上方には第二排気口1512が配置されている。以上の構成を組み込んで、前部ケース1601と後部ケース1602が締結ビス1613で締結されて放熱モジュール1301を形成している。
図18は、図15(c)に示した構成のシステムカメラ1300の概略断面図である。本断面図は、システムカメラ1300を撮影光軸を通る垂直な平面で切断した断面図である。説明に不要なレンズユニット103は図示を省略するので、カメラ本体1302、放熱モジュール1301、レコーダモジュール1303、バッテリパック104を接続した構成の断面図であり、特に放熱モジュール1301が二つ連結されていることが特徴となる。
説明の便宜のため、これ以降はカメラ本体1302に接続された放熱モジュールを放熱モジュール1301A、レコーダモジュール1303に接続された放熱モジュールを放熱モジュール1301Bと呼ぶこととする。さらに、それぞれの構成要素に対しても同様に符号の末尾にA、Bを付して区別することにする。また、図19(a)は図18のC1-C1断面図、図19(b)は図18のC2-C2断面図であり、いずれも放熱モジュール1301Aの断面を示しているが、放熱モジュール1301Bも同一構造である。
以下、図18および図19を参照して、システムカメラ1300の放熱経路について説明する。図18に、矢印にて第一放熱経路1701、第二放熱経路1702、第三放熱経路1703を示す。カメラ本体1302内部で発生した熱は、第一放熱経路1701に示すように伝熱部1704から放熱モジュール1301Aの第一受熱面1507Aへと伝導される。伝熱部1704は上記第1の実施形態における伝熱部115と同じ機能を有するものであり、従って伝熱部115の説明を参照することとする。第一放熱経路1701に示す通り、第一受熱面1507Aに伝導した熱は放熱モジュール1301Aのヒートシンク1603A全体へと拡散し、放熱フィン1607Aからその周囲の空気へ伝導する。
次に放熱フィン1607Aからの放熱動作を図19(a)を参照して説明するが、図19(a)に示すものは放熱モジュール1301Aと放熱モジュール1301Bに共通の動作であるので、両者を区別する符号は省略して説明する。放熱フィン1607周囲の温められた空気は、電動ファン1611、1612の作動によって第一排気口1511、第二排気口1512から放熱モジュール1301の外部へ放出される(矢印1801)。
一方、外部へ放出された空気に入れ替わり、第一通気口1509、第二通気口1510から外気取り入れ口1608、外気取り入れ口1609をそれぞれ通って新たな外気が放熱モジュール1301に導入される(矢印1802、1803)。導入された新たな外気は、放熱フィン1607から熱を受け取って、再び第一排気口1511、第二排気口1512から外部へ放出される。
以上のようにして、カメラ本体1302で発生した熱が外部へ放熱される。しかしながら、動作モードなどによっては、カメラ本体1302で発生してヒートシンク1603Aに伝導した熱量が、電動ファン1611、1612による放熱量より大きい場合も有り得る。そのような場合、放熱モジュール1301Aに放熱モジュール1301Bを接続する。これにより、放熱しきれなかった一部の熱を、放熱フィン1607Aで連結された第二受熱面1508Aから放熱モジュール1301Bの第一受熱面1507Bへと伝導させることができる。これが第二放熱経路1702である。
また、レコーダモジュール1303内部で発生した熱は、伝熱部1705から放熱モジュール1301Bの第二受熱面1508Bへ伝導する。これが第三放熱経路1703である。なお、伝熱部1705も上記第1の実施形態における伝熱部115と同じ機能を有するものである。第二放熱経路1702と第三放熱経路1703の熱はヒートシンク1603B全体へと拡散し、放熱フィン1607Bからその周囲の空気へ伝導する。放熱フィン1607Bからの放熱動作は、先の図19(a)の説明と同様である。
以上のようにして、カメラ本体1302およびレコーダモジュール1303で発生した熱が、二つの放熱モジュール1301A、放熱モジュール1301Bの連携によって放熱される。
次に、バッテリパック104からの給電経路1706を説明する。給電経路1706に示す通り、バッテリパック104からの電力は、レコーダモジュール1303、放熱モジュール1301B、放熱モジュール1301Aの共通係合インターフェイスが持つ各電源端子を経由して、最終的にカメラ本体1302へ給電される。途中、レコーダモジュール1303は、その内部で必要な駆動用電力を給電経路1706から取り出す。さらに、バッテリパック104からの電力は、放熱モジュール1301A、1301Bそれぞれにおいて中継基板1606A、1606Bを経由する。ここで、中継基板1606A、1606Bに実装されたそれぞれの電動ファン制御素子(図示せず)により、給電経路1706から電動ファンの駆動用電力が取り出される。
次に、データ信号の伝送経路1707を説明する。データ信号経路1707に示す通り、カメラ本体1302、放熱モジュール1301A、1301B、レコーダモジュール1303の共通係合インターフェイスが持つ各データ信号端子を経由して、画像データ信号および制御信号をやり取りすることが出来る。信号の送受は、カメラ本体制御部1708、およびレコーダ制御部1709の協調制御によって実行されている。
制御信号には、カメラ本体1302内部のサーミスタ1710によって取得したカメラ本体内部温度データや、レコーダモジュール1303内部のサーミスタ1711によって取得したレコーダ内部温度データが含まれる。データ信号は、放熱モジュール1301Aにおいて中継基板1606A、放熱モジュール1301Bにおいて中継基板1606Bを経由する。その際に、中継基板1606A、1606Bに実装された電動ファン制御素子(図示せず)が前記温度データを受け取って、電動ファン1611A、1612A、1611B、1612Bのそれぞれの駆動を制御することができる。
例えば、カメラ本体内部温度またはレコーダ内部温度が規定の目標温度を超えている場合は、電動ファンの回転数を上げて放熱能力を高める制御を行う。逆に、目標温度を下回っている場合は電動ファンの回転数を下げて、放熱能力が低下する代わりにファン騒音やファン消費電力の低減を図る。
さらに、レコーダモジュール1303が休止状態にあって放熱の必要が無い場合、放熱モジュール1301Bの電動ファン1611B、1612Bを停止しても良い。または、例えばカメラ本体1302の発熱量に対してレコーダモジュール1303のそれが大幅に低い場合、放熱モジュール1301Aだけでカメラ本体1302の放熱をするのではなく、図18に示す第二放熱経路1702の熱移動が発生するように制御してもよい。
具体的には、電動ファン1611A、1612Aの回転数を抑え、一方、電動ファン1611B、1612Bの回転数をレコーダモジュール1303の放熱に必要な回転数以上に制御する。こうすることで、放熱モジュール1301Bの放熱余力を利用してカメラ本体1302の放熱を行うことができ、各放熱モジュールの放熱負荷の均等化を図ることができる。これは、電動ファンの駆動騒音を下げることや、電動ファンの高寿命化にも有効である。なお、電動ファンの回転数を定める制御信号は、上述のように放熱モジュール1301内部で生成されても良いし、またはカメラ本体制御部1708またはレコーダ制御部1709で生成されて、データ信号経路1707で電動ファン制御素子に伝送されてもよい。
以上は、放熱モジュール1301A、放熱モジュール1301Bの二つの放熱モジュールを連結させたシステム構成における放熱動作を説明したが、より多くの放熱モジュールが連結されたシステムでも同じ考え方を採ることができる。放熱モジュール1301を1台だけ接続するシステムでも、その正面側と背面側に接続された相手モジュールの放熱が当然可能である。
また、図15の説明で述べたように、システムカメラ1300も様々な機能モジュールを任意の順に接続できるので、放熱モジュール1301はカメラ本体1302やレコーダモジュール1303以外の他のモジュールを放熱しても良い。例えば、図15(b)では、無線通信モジュール1306の放熱が可能である。
以上説明したように、本実施形態における放熱モジュール1301は共通係合インターフェイスを対向する二面に備え、システム中の任意の箇所に組み込むことが可能な構造であり、システムの拡張性を損なうことなく様々な構成モジュールの放熱が可能である。また、一つの放熱モジュール1301で正面側および背面側にそれぞれ接続する二つのモジュールを放熱できる構造であると共に、正面側と背面側と接続された二つのモジュール間を熱的に接続することが可能な構造である。これにより、システムカメラ内での積極的な熱移動を可能とし、より効率的な放熱システムを構築することができるものである。
なお、上記第1~第3の実施形態では、放熱モジュール101、701、1301は共通に放熱モジュール側面に外気を取り入れる通気口を持ち、モジュール天面に暖められた空気の排出口を配置しているが、この配置は特に限定されない。放熱モジュールの正面側および背面側は、接続する相手モジュールによって閉鎖される可能性があるため、通気口や排気口はモジュールの側面または天面や底面に配置するのが適当である。しかしながら、モジュールの側面または天面や底面のどの位置に通気口や排気口を配置するかは、様々に変形が可能である。
(第4の実施形態)
図20(a)は本発明の第4の実施形態にかかるシステムカメラ2100を前方(被写体側)から見た分解斜視図、図20(b)は図20(a)の後方から見た分解斜視図である。図21(a)は図20(a)に示すシステムカメラ2100の組立体を示す外観斜視図、図21(b)および図20(c)はそれぞれ図20(a)に示すシステムカメラ2100から所定のモジュールを取り外した状態を示す外観斜視図である。なお、以降の説明を簡便にするために、上記各実施形態と同様に、各図に示す通りのXYZ座標系を定義する。Z軸は本システムカメラ2100の撮影光軸方向とし、撮影被写体方向を正とする。Z軸に直交する平面上において、システムカメラ2100の幅方向をX軸、天地方向をY軸とし、特にY軸は天に向かう方向を正とする。また、システムカメラ2100を構成する各モジュールの被写体に向く側を正面側、その反対側を背面側と呼ぶことにする。
本実施形態のシステムカメラ2100は、図20に示すように、カメラ本体2102、レンズユニット2103、レコーダモジュール2106、バッテリアダプタモジュール2107、バッテリパック2104、放熱モジュール2101から構成される。これらの構成モジュールは、以降に説明する構造によってZ軸方向に連結接続が可能となっており、接続されることでシステムカメラ2100として動作するものである。
以下に、本システムカメラ2100の各構成モジュールおよびそれらの接続構造について説明する。まず、カメラ本体2102は、正面側にレンズユニット2103を装着するためのレンズマウント2105を備え、撮影状況に合わせてレンズユニット2103を交換することができる。レンズユニット2103を通して入射した被写体光学像を、内蔵した撮像センサ(図示せず)によって所定の画像信号へ変換する。なお、カメラ本体2102内部に、前記画像信号を記録する記録部を備えていても良い。
カメラ本体2102の背面側には、共通係合インターフェイスを備えている。共通係合インターフェイスについては詳細を後述するが、規格化されたオス側の係合機構(後述するフック部)またはメス側の被係合機構(後述するスリット孔)と電気的接続機構の組み合わせから成る、互換性を持つモジュール間接続構造のことを指している。特に、係合機構を備える側をオス側インターフェイス2108と呼び、被係合機構を備える側をメス側インターフェイス2109と呼ぶことにする。カメラ本体2102背面側は、メス側インターフェイス2109である。
レコーダモジュール2106は、カメラ本体2102にて撮影された画像信号を所定のデータ形式で図示しない記録メディアに格納するための記録装置である。昨今、特に動画像の高解像度化が進行しており、ハイビジョン映像(FHD)は既に一般化し、4K以上、例えば8Kのような次世代映像の技術開発が行われている。さらに、より臨場感のある滑らかな映像や高精細なスローモーション映像を得るために、60P以上、例えば120Pや240Pと言ったハイフレームレート化の技術開発も進められている。このような次世代画像はデジタルデータのファイル容量として膨大なものになり、そのデータを取り扱うために、高速書き込みが可能で大容量の記録メディアや、データの高圧縮技術の開発も進められている。
しかしながら、カメラ本体2102ではコンパクト化が要求されるために大型の内部記録システムを実装しておくことが難しく、さらに将来の新規技術に適応させることにも課題がある。そこで、交換可能な外部記録装置であるレコーダモジュール2106を接続可能とし、レコーダモジュール2106の選択によって目的に合った適切な記録仕様(圧縮フォーマットや使用する記録メディアの種類)で撮影ができるようになっている。レコーダモジュール2106の正面側にはオス側インターフェイス2108、背面側にはメス側インターフェイス2109を備えている。
バッテリパック2104は、再充電可能なバッテリセルを内包し、相手モジュールと係合する凸部(以降、バッテリ係合凸部2110と記す。)と、電力を出力するバッテリパック出力端子2111を備えている。バッテリアダプタモジュール2107は、バッテリ係合凸部2110と係合する係合凹部(以降、バッテリ係合凹部2112)と、バッテリパック出力端子2111と電気的に接続して給電を受けるバッテリ端子2113を背面側に備えている。バッテリアダプタモジュール2107の正面側には、オス側インターフェイス2108が設けられている。すなわちバッテリアダプタモジュール2107は、バッテリパック2104の係合インターフェイスを共通係合インターフェイスへと変換するアダプタである。
ところで、カメラ本体2102の消費電力が高く発熱が懸念される動作モードでの使用や使用環境温度が高いためにカメラ本体2102の保証温度に対して発熱による昇温余裕が少ない場面等では、カメラ本体2102からの自然放熱だけでは不十分な場合がある。このような場合に放熱モジュール2101を接続することによって、システムカメラ2100として放熱能力を高めることができる。放熱モジュール2101の詳細は後述するが、正面側にオス側インターフェイス2108、背面側にメス側インターフェイス2109を備えている。
共通係合インターフェイスによって、以上に説明した構成モジュールは接続互換性を持つので、図21(a)のようにZ軸方向に順次連結することが可能である。または、撮影条件によってカメラ本体2102の内部記録のみで対応できる場合は、図21(b)のようにレコーダモジュール2106を取り外してシステムを組み立てることができる。さらに、低解像度撮影のような低消費電力モードで使用する場合など、カメラ本体2102の発熱量が問題にならない時は、図21(c)のように放熱モジュール2101を取り外して小型軽量のシステムとすることもできる。
なお、共通係合インターフェイスによって接続できる構成モジュールとしては、以上に挙げたもの以外にも様々なモジュールが存在し得る。例えば、画像信号または制御信号を所定の伝送信号に変換して外部へ出力/外部から入力する出入力モジュールあるいは無線通信モジュール、LCD等の表示デバイスを備えた表示モジュール、ユーザインターフェイスモジュールなどを挙げることができる。
または、システムカメラ2100を把持するハンドルモジュールやグリップモジュール、肩当てモジュール、システムカメラ2100の姿勢を安定化するジンバルアダプタモジュールも共通係合インターフェイスによって接続することが可能である。また、重量バランスを調整するウエイトモジュールなどの機構モジュールも、共通係合インターフェイスによって接続することが可能である。このような様々な機能モジュールから、使用目的に応じてモジュールを選択してシステムカメラ2100を組み上げることが出来る。特に、共通係合インターフェイスを採用しているのでモジュールの接続順序に制約が無く、任意の順に接続することができる。
図22(a)は放熱モジュール2101の正面側から見た外観斜視図、図22(b)は図22(a)の背面側から見た外観斜視図である。図23(a)は放熱モジュール2101の正面側から見た分解斜視図、図23(b)は図23(a)の背面側から見た分解斜視図である。
以下、図22および図23を参照して、放熱モジュール2101の詳細を説明する。また、放熱モジュール2101を代表例として共通係合インターフェイスの詳細も説明する。まず、共通係合インターフェイスについて説明する。
放熱モジュール2101の正面側にはオス側インターフェイス2108を備えている。オス側インターフェイス2108は、係合機構であるフック2301、位置決めダボ2302、そして電気接続機構であるオス側データ信号端子2303、オス側電源端子2304で構成されている。フック2301はモジュール筐体の略四隅にZ軸正方向に延出して配置され、Y軸負方向に向けて係合爪が形成されている。さらに、フック2301は図示しないばねによってY軸負方向に付勢されて、所定の突き当たり部に当接した状態で待機している。放熱モジュール2101側面のフック操作ノブ2305を操作すると、前記ばね力に抗してフック2301をY軸正方向にスライド移動させることができる。
放熱モジュール2101の他方の背面側には、メス側インターフェイス2109を備えている。メス側インターフェイス2109は、被係合機構であるスリット孔2306、位置決め穴2307、そして電気接続機構であるメス側データ信号端子2308、メス側電源端子2309で構成されている。スリット孔2306は、フック2301が挿入される角孔であり、スリット奥にフック2301の爪が係合する図示しない被係合面が形成されている。
オス側インターフェイス2108とメス側インターフェイス2109が接続した状態において、位置決めダボ2302が位置決め穴2307に嵌入してXY方向の相対位置が固定される。さらに、両インターフェイス2108,2109間で所定の面が当接した状態でフック2301がスリット孔2306に係合し、Z方向の位置が固定されるようになっている。
このときオス側データ信号端子2303とメス側データ信号端子2308、オス側電源端子2304とメス側電源端子2309は、電気接点部がそれぞれ所定の接触圧で当接し、データ信号または電源電力を送受可能に電気的に接続される。フック操作ノブ2305を操作すると、フック2301がY軸正方向に移動して前記被係合面から離間するので、オス側インターフェイス2108とメス側インターフェイス2109はZ方向に離間することが可能となる。
なお、共通係合インターフェイスの構成要素は上述の構成だけに限るものではない。システム上の要求に基づいて要素を加えても構わない。例えば、オス側インターフェイス2108とメス側インターフェイス2109の接続状態を検知する検知スイッチや検知センサを加えても良い。扱うデータ信号は上述の説明の通り電気信号であっても良いし、光信号のように他の媒体を利用する信号であっても構わない。信号媒体に対応する適切な通信端子を設置することで対応が可能である。さらには、データ信号端子または電源端子の一部を省略しても構わない。
例えば、図20に示すように、バッテリアダプタモジュール2107はオス側インターフェイス2108を持っているが、オス側データ信号端子2303は省略されている。先述の通り、バッテリアダプタモジュール2107はバッテリパック2104の係合インターフェイスを変換する目的のモジュールであってデータ信号を扱わないから、オス側データ信号端子2303を省略できる。また、フックの形状や配置、位置決めの構造、データ信号端子または電源端子の構造や配置は、様々に変形が可能であることが容易に想像できる。
次に、放熱モジュール2101に特有の構造について説明する。放熱モジュール2101は、オス側インターフェイス2108を備える正面側にダクト吸気口2310が露出している。放熱モジュール2101の天面部には第一排気口2311、第二排気口2312が設けられている。
図23に示す通り、放熱モジュール2101の外観は前部ケース2313と後部ケース2314から構成されている。前部ケース2313には、フック2301とフック操作ノブ2305が連動作動可能に組み付けられ、位置決めダボ2302が一体的に形成されている。また、前部ケース2313には、ダクト2401の一部であるダクト吸気口2310を露出させるためのケース開口部2402が形成され、露出したダクト吸気口2310の周囲を囲うようにシール部材2315が貼り付けられている。さらに、前部ケース2313には、オス側データ信号端子2303およびオス側電源端子2304が取り付けられている。
一方、後部ケース2314には、スリット孔2306と位置決め穴2307が形成され、メス側データ信号端子2308およびメス側電源端子2309が取り付けられている。オス側データ信号端子2303とメス側データ信号端子2308、オス側電源端子2304とメス側電源端子2309は、それぞれ中継基板2403を介して、図示しない電線あるいはフレキシブル基板などで電気的に接続されている。これにより、放熱モジュール2101は、オス側インターフェイス2108とメス側インターフェイス2109に接続された相手モジュール間のデータ信号通信および電源電力の中継を行うことができる。
ここで、例えばカメラ本体2102とレコーダモジュール2106との間で通信されるデータ信号は、4Kや8Kと言った高解像度画像や120Pや240Pと言ったハイフレームレート画像のデータ信号であり、その通信には非常に高速性が求められる。従って、オス側データ信号端子2303とメス側データ信号端子2308は、高速なデータ信号通信が可能な規格で接続されている。
放熱モジュール2101内部にはダクト2401が収められている。ダクト2401は樹脂製が好適であるが、それに限定されるものではない。ダクト2401にはダクト排気口2404を設けた薄板板金の蓋部材2405が取り付けられて、ダクト吸気口2310からダクト排気口2404につながる気室を形成する。蓋部材2405のダクト排気口2404には電動ファン2406、2407が取り付けられて、電動ファン2406、2407の駆動によりダクト2401内部の気室からY軸正方向に向けて気流が発生するよう構成されている。電動ファン2406、2407は、中継基板2403へ図示しない電線で電気的に接続され、後述するように駆動用電力や制御信号を受け取ることができる。また、自身のファン回転数に基づく信号を中継基板2403へ送出することができる。
電動ファン2406、2407のそれぞれの上部には第一排気口2311、第二排気口2312が配置されている。すなわち、電動ファン2406、2407を駆動するとダクト吸気口2310から空気が流入し、第一排気口2311、第二排気口2312から放熱モジュール2101外部へ排気される構造となっている。
なお、第一排気口2311および第二排気口2312はリッドカバー2316に形成されているが、リッドカバー2316は前部ケース2313または後部ケース2314に一体形成されていても構わない。最終的に、以上の構成を組み込んで前部ケース2313と後部ケース2314が締結ビス2408で締結され、放熱モジュール2101が構成される。
次に、図24および図25を参照して、カメラ本体2102の構造を説明する。図24(a)はカメラ本体2102の底面側を臨む外観斜視図、図24(b)はカメラ本体2102の背面側から見た外観斜視図ある。カメラ本体2102の底面部には、第一通気口2501が設けられている。カメラ本体2102の天面には、第二通気口2502が設けられている。カメラ本体2102の背面側はメス側インターフェイス2109となっており、カメラ本体2102の背面部には、スリット孔2306、位置決め穴2307、メス側データ信号端子2308、メス側電源端子2309が配置されている。さらに、カメラ本体2102の背面部には、第三通気口2503が設けられている。
図25は、カメラ本体2102を背面側から俯瞰する分解斜視図であり、主基板2603の放熱構造を示している。リアカバー2602は、先述したメス側インターフェイス2109の構成要素を持ち、底面部に第一通気口2501、天面部に第二通気口2502、背面部に第三通気口2503がそれぞれ形成されている。主基板2603には、画像信号を高速処理するCPU2604 が実装されている。
また、主基板2603には、メス側データ信号端子2308を介して所定のデータ信号に符号化した画像データを送受信する通信コントローラ2605が実装されている。さらに、主基板2603には、メス側電源端子2309から給電された電力を制御してカメラ本体2102の各部に配分する電源コントローラ2606が実装されている。CPU2604、通信コントローラ2605、電源コントローラ2606は、カメラ本体2102の駆動に際して発熱をするため、次に説明する放熱構造によって放熱が成される。以降、CPU2604、通信コントローラ2605、電源コントローラ2606を総称して熱源素子とも記す。
熱源素子はそれぞれ熱伝導シート2607を挟んでカメラダクト2608に押圧され、熱的に接続されている。カメラダクト2608は、アルミダイキャスト等の熱伝導性に優れる材料を用いて形成した放熱器である。カメラダクト2608の正面側には、熱伝導シート2607の取付面が形成され、カメラダクト2608の背面側には、Y軸に並行な方向に延在する多数の放熱フィン2609が立設されている。また、カメラダクト2608のX軸方向両側面には、隔壁2610が設けられている。さらに、カメラダクト2608の背面側には、ダクトカバー2611が取り付けられる。
ダクトカバー2611には、第三通気口2503に対向する位置に角孔2612が設けられている。カメラダクト2608にダクトカバー2611を取り付けると、カメラダクト2608の天面部と底面部および角孔2612の、三つの開放部を持つダクトが形成される。
以上の構成を内包して、リアカバー2602を締結ねじ2613で本体ケース2601に締結してカメラ本体2102が構成されている。なお、カメラダクト2608の天面部は第二通気口2502、底面部は第一通気口2501に相対する配置となっている。また、通気口キャップ2614は、図21(c)のように放熱モジュール2101を接続しない場合に第三通気口2503を閉鎖するための蓋部材であり、圧入など使用者によって着脱可能な構造でリアカバー2602に取り付けることができる。
次に、図26を参照して、システムカメラ2100の放熱動作について説明する。図26(a)は図21(c)に示す放熱モジュール2101を接続しない場合の概略断面図、図26(b)は図21(a)に示す放熱モジュール2101を接続する場合の概略断面図である。図26(a)および図26(b)のいずれもシステムカメラ2100を撮影光軸を通る垂直な平面で切断した断面図である。なお、説明に不要なレンズユニット103は図示を省略する。
まず、図26(a)を参照して、放熱モジュール2101を接続しない構成の場合について説明する。CPU2604等の熱源素子から発生した熱は、熱伝導シート2607を介してカメラダクト2608に伝導し、放熱フィン2609へと拡散していく。放熱フィン2609に拡散した熱は、放熱フィン2609周囲の空気へ伝導し、温まった周辺空気が煙突効果によりカメラ本体2102天面方向へ移動する。先述のように、放熱モジュール2101を接続しない場合は第三通気口2503が通気口キャップ2614で閉鎖されるので、温まった空気は第二通気口2502のみからカメラ本体2102外部へ放出される。そして、放出された空気に入れ替わる新たな外気が第一通気口2501からカメラダクト2608内に導入される。
このように空気流動経路2701の矢印が示す経路の通り、熱源素子で発生した熱がカメラ本体2102の外部へ放熱される。また、給電経路2702の矢印に示すように、バッテリパック2104からバッテリアダプタモジュール2107を介して、カメラ本体2102のメス側電源端子2309へ電力が供給される構造となっている。
次に、図26(b)を参照して、放熱モジュール2101を接続する構成の場合について説明する。放熱モジュール2101を接続する際には、カメラ本体2102から通気口キャップ2614を取り外して第三通気口2503を開放する。そして放熱モジュール2101をカメラ本体2102に接続すると、ダクト吸気口2310と第三通気口2503が連結されてダクト2401からカメラダクト2608につながる気室が形成される。ダクト吸気口2310と第三通気口2503の連結部は、その周囲を囲うように配置したシール部材2315によって気密に封止される。
各モジュールが接続完了した状態では、データ信号経路2703に示す通り、カメラ本体2102、放熱モジュール2101、レコーダモジュール2106の共通係合インターフェイスが持つ各データ信号端子を経由して画像データ信号や制御信号がやり取りされる。信号の送受は、カメラ本体制御部2704、およびレコーダ制御部2705の協調制御によって実行されている。信号は放熱モジュール2101において中継基板2403を経由するので、カメラ本体制御部2704からの信号を中継基板2403に実装された電動ファン制御素子(図示せず)が受信する構成にすることができる。
そのため、電動ファン制御素子がカメラ本体制御部2704からの信号を受信できるかどうかを検出することで、放熱モジュール2101がカメラ本体2102に取り付けられたかどうかを判別できる。また、制御信号にカメラ本体2102内部のサーミスタ2706によって取得したカメラ本体内部温度データが含めることができ、電動ファン制御素子が前記温度データを受け取って、電動ファン2406および電動ファン2407の駆動を制御することができる。
次に給電経路2707に示す通り、バッテリパック2104からの電力はバッテリアダプタモジュール2107、レコーダモジュール2106、放熱モジュール2101の共通係合インターフェイスが持つ各電源端子を経由して、カメラ本体2102へ給電される。途中、レコーダモジュール2106は、その内部で必要な駆動用電力を給電経路2707から取り出す。さらに、給電経路2707は放熱モジュール2101において中継基板2403を経由するが、ここで中継基板2403に実装された電動ファン制御素子により電動ファンの駆動用電力が取り出される。
以上の構成により、カメラ本体2102に取り付けられた放熱モジュール2101は、サーミスタ2706が取得したカメラ本体内部温度データに基づいて、所定回転数で電動ファン2406および2407を駆動する。電動ファン2406,2407の駆動によって、空気流動経路2708で示す矢印の経路の通りに、カメラダクト2608内の温められた空気は第三通気口2503を通って第一排気口2311および第二排気口2312から放出される。
そして、第三通気口2503を通って放出された空気に入れ替わり、カメラダクト2608には第一通気口2501および第二通気口2502それぞれから新たな外気が流入する。空気流動経路2709は第一通気口2501から流入する経路、空気流動経路2710は第二通気口2502から流入する経路を矢印で表す。空気流動経路2709および空気流動経路2710から流入した新たな外気は、再び放熱フィン2609から熱を受け取った後、第三通気口2503を通って最終的に放熱モジュール2101の外部へ放出される。以上のサイクルによって、カメラ本体2102の熱源素子から発生した熱が放熱モジュール2101の駆動によって外部へ放熱される構造となっている。
図26(a)の構成、すなわち放熱モジュール2101を接続しない構成の場合では、第一通気口2501が外気の吸入口であり、第二通気口2502が温まった空気の排出口である。それに対して、図26(b)の構成、すなわち放熱モジュール2101を接続する構成の場合は第一通気口2501および第二通気口2502の両者が外気の吸入口として機能する。このため、放熱モジュール2101を接続しない構成の場合に対してカメラダクト2608内により多くの外気を取り入れることができる。従って、カメラ本体2102の構造を変化させることなく、より多くの熱を放熱することが可能となる。
また、放熱モジュール2101を接続しない構成の場合、第二通気口2502付近では空気が第一通気口2501付近より温まった状態で流動してくるため、放熱フィン2609からの放熱効率が低下する。一方、放熱モジュール2101を接続する構成の場合は第二通気口2502からも外気が流入する。このため、第二通気口2502付近の放熱フィン2609の付近に冷えた外気を取り入れることで放熱効率が向上し、その付近の熱源素子を効果的に放熱することが可能となる。
ここで特に、第一通気口2501から第三通気口2503までの距離L1と第二通気口2502から第三通気口2503までの距離L2を比べた場合に、距離L2の方が短い距離になるように第三通気口2503の位置を設定している。これにより、空気流動経路2709より空気流動経路2710の方が経路が短く通風抵抗が下がるために、相対的に空気流動経路2710の空気流量が空気流動経路2709より多くなる。従って、第二通気口2502付近の熱源素子、本実施形態では、CPU2604をより効果的に放熱することが可能となる。
もちろん、放熱したい熱源素子の配置に応じて空気流量のバランスが最適になるように、距離L1、L2の関係を変更して良い。すなわち、第三通気口2503の位置を変更して良い。その点を踏まえて、ダクト吸気口2310の高さ寸法(図22(a)に示すH1)を第三通気口2503の高さ寸法(図24(b)に示すH2)より十分に大きく設定しておくことが望ましい。こうすることで、第三通気口2503の位置が異なる他のカメラ本体にも同じ放熱モジュール2101で対応することが可能となり、汎用性を高めることができる。
また、ダクト吸気口2310の幅寸法(図22(a)に示すW1)が第三通気口2503の幅寸法(図24(b)に示すW2)より十分に大きければ、同様に第三通気口2503の位置が異なる多様なカメラ本体に対応することができる。
電動ファン2406および電動ファン2407は、サーミスタ2706によって取得したカメラ本体内部温度データに基づいて、例えば次のような制御を行うことができる。すなわち、カメラ本体内部温度が規定の目標温度を超えている場合は、電動ファンの回転数を上げて放熱能力を高める制御を行う。逆に、目標温度を下回っている場合は電動ファンの回転数を下げるか、いずれかの電動ファンを停止するなどの制御により、放熱能力が低下する代わりにファン騒音やファン消費電力の低減を図ることができる。
なお、電動ファンを制御する制御信号は、上述のように放熱モジュール2101内部で生成されても良いし、またはカメラ本体制御部2704で生成されて、データ信号経路2703で電動ファン制御素子に伝送されてもよい。
また、先述の説明で述べたように、システムカメラ2100は様々な機能モジュールで構成することができ、放熱が必要になるモジュールはカメラ本体2102だけとは限らない。高速な記録書き込み動作を行うレコーダモジュール2106や外部と高速通信を行う外部通信モジュール(図示せず)も動作モードによって放熱が必要になる場合がある。
その場合には、本実施形態においてカメラ本体2102を所望のモジュールに読み替えて、本実施形態の放熱モジュール2101を適用することができる。また、ダクト吸気口2310を放熱モジュール2101の背面側に設けて、背面側に接続した相手モジュールを放熱する構造でも構わない。
さらに、放熱モジュール2101をカメラ本体2102を始めとする他のモジュールに接続する係合構造は、フック2301による構造に限るものでない。フック2301による構造以外にも、ボルト等の締結部材を用いて締結する構造であっても良いし、レール状の係合構造を備えても良い。特に、汎用インターフェイスを利用した係合構造を採用すれば、様々なシステムカメラ間で放熱モジュールを共通利用しやすくなることが容易に想像できる。
また、本実施形態において第一排気口2311、第二排気口2312は放熱モジュール2101の天面に配置しているが、この配置は特段の限定をするものでは無い。放熱モジュール2101の正面側および背面側は、接続する相手モジュールによって閉鎖される可能性があるため、排気口はモジュールの側面または天面や底面に配置するのが適当である。しかしながら、放熱モジュール2101の側面または天面や底面のどの位置に通気口や排気口を配置するかは、様々に変形が可能である。
カメラ本体2102における第一通気口2501、第二通気口2502の配置についても同様で、それらの配置は特段の限定をするものでは無い。本実施形態のように煙突効果を利用する放熱構造であれば、出口である第二通気口2502はカメラ本体2102天面に配置するのが妥当である。しかしながら、第一通気口2501はカメラ本体2102の側面にあってもよいし、複数面に跨って配置されてもよい。この点についても、様々な変形形態が考えられる。
以上に説明したように、本実施形態における放熱モジュール2101は共通係合インターフェイスを対向する二面に備え、システムカメラの拡張性を損なうことなくカメラ本体2102を始めとする様々な構成モジュールの放熱を可能とするものである。また、放熱モジュール2101に接続する例えばカメラ本体2102の構造を変更しなくても、放熱に関わる空気流動経路を変化させて、より効果的な放熱を行うことができる。
(第5の実施形態)
図27(a)は本発明の第5の実施形態に係るシステムカメラ2100Aの放熱モジュール2801を正面側から見た外観斜視図、図27(b)は図27(a)に示す放熱モジュール2801を正面側から見た平面図である。本実施形態のシステムカメラ2100Aでは、上記第4の実施形態におけるシステムカメラ2100に対し、放熱モジュールの別の構造例と、それに伴うカメラ本体の内部構造の差異について説明する。そのため、上記第4の実施形態と同じ要素には同じ符号を付して説明は省略する。なお、上記各実施形態と同様にXYZ座標系を定義する。各モジュールの被写体に向く側を正面側、その反対側を背面側と呼ぶことにする。
放熱モジュール2801は、内部にダクト2802を持ち、ダクト吸気口2803からZ方向へ突出する水平な仕切り板2804が一体的に形成されている。また、図27(b)に示すように仕切り板2804はダクト吸気口2803をY方向に二つの通気空間に分割する。仕切り板2804は、仕切られた二つの通気空間の少なくとも一つの区画の空気流動経路に断面積の変化をもたらす形状を有する。
図28は、カメラ本体2901を背面側から見た分解斜視図である。カメラ本体2901は、上記第4の実施形態におけるカメラ本体2102に対して、カメラダクト2902の放熱フィン2903の形状が異なる。放熱フィン2903は、カメラ本体2901背面側から見て第三通気口2503と重なる部分が切り欠かれて切欠き部2903cが形成され、第一通気口2501側の放熱フィン2903aと第二通気口2502側の放熱フィン2903bに分割されている。
図29は、放熱モジュール2801、カメラ本体2901を組み込んだシステムカメラ2100Aを撮影光軸を通る垂直な平面で切断した概略断面図である。放熱モジュール2801から突出した仕切り板2804は、第三通気口2503を通って切欠き部2903cに進入する。これにより、仕切り板2804が整流版となって、ダクト吸気口2803までの空気流動経路2709および空気流動経路2710のそれぞれの気流が衝突することなくスムースにダクト2802へ流れることができるようになる。つまり放熱に関わる空気の循環効率が向上し、ひいては放熱効率の向上につながる。
図30(a)は別の放熱モジュール2801Aの正面側から見た外観斜視図、図30(b)は図30(a)を正面側から見た平面図である。放熱モジュール2801Aのダクト2319には、ダクト吸気口2317からZ方向へ突出する仕切り板2318が一体的に形成されている。仕切り板2318は、仕切り板2804と同様にダクト吸気口2317をY方向に二分割する第一部分2318aと、ダクト吸気口2317の上辺に接する第二部分2318bと、それらを接続する第三部分2318cで構成されている。即ち、仕切り板2318は、仕切られた通気空間の少なくとも一方の区画の空気流動経路に断面積の変化もたらす形状を有する。
図31(a)は放熱モジュール2801Aをカメラ本体2901に組み込んだシステムカメラ2200の図30(b)に示すA1-A1断面の位置での概略断面図、図31(b)はシステムカメラ2200の図30(b)に示すA2-A2断面の位置での概略断面図である。仕切り板2318の第一部分2318aはダクト吸気口2317をY方向に二分割し、図31(a)に示すように空気流動経路2709および空気流動経路2710のそれぞれの気流を整流する働きがある。
一方、図31(b)に示すように仕切り板2318の第二部分2318bはダクト吸気口2317の上辺に接し、さらに放熱フィン2903bの端部に極めて近接して配置しているので、空気流動経路2710からの気流がダクト2319に流入する経路を閉鎖する働きがある。
図32は、カメラ本体2901に放熱モジュール2801Aを接続したシステムカメラ2200を背面側から見た場合の、放熱フィン2903と熱源素子および仕切り板2318の位置関係を示している。先述の通り、仕切り板2318の第二部分2318bによって空気流動経路2710の一部、すなわち範囲W3bの流路を閉鎖している。一方、放熱が必要なCPU2604が配置されている範囲W3aは、仕切り板2318の第一部分2318aによってスムースに空気が流れるように整流される。こうして空気流動経路2710を必要な範囲に狭めることで、他方の空気流動経路2709は空気が流れやすくなって放熱効率の向上を図ることができる。
このように、放熱モジュール2801Aを取り付けることによってカメラダクト2902の空気流路を変形させて、空気流動経路2709と空気流動経路2710の空気流量バランスを変更することができる。ひいては、空気流動経路2709と空気流動経路2710の放熱能力のバランスを変更し、効率的な放熱構造を構築することができる。
以上に説明したように、本実施形態における放熱モジュール2801、2801Aは、接続した相手モジュールの空気流動経路を変形させて、カメラシステムとしてより効率的な放熱を可能とするのである。その他の構成、および作用効果は、上記第4の実施形態と同様である。
(第6の実施形態)
図33(a)は本発明の第6の実施形態に係るシステムカメラ3100を正面側から見た外観斜視図、図33(b)は図33(a)に示すシステムカメラ3100の分解斜視図、図33(c)は図33(b)の背面側から見た分解斜視図である。なお、以降の説明を簡便にするために、上記各実施形態と同様に、XYZ座標系を定義する。Z軸はカメラ本体3200の撮影光軸方向とし、撮影被写体方向を正とする。Z軸に直交する平面の内、システムカメラ3100の幅方向をX軸、天地方向をY軸とし、特にY軸は天に向かう方向を正とする。また、X軸方向を左右方向、Y軸方向を上下方向、Z軸方向を前後方向とし、X軸正方向は右方向、Y軸正方向は上方向、Z軸正方向は前方向とする。
システムカメラ3100を構成するモジュールは、カメラ本体3200、レンズユニット3400、放熱モジュール3600、レコーダモジュール3300である。これらは、Z軸方向に隣り合う構成要素同士が機械的に接続され、かつ電気的にも接続されることで、システムカメラ3100として動作する。
システムカメラ3100を構成するモジュールのうちレンズユニット3400以外は、共通係合インターフェイスを備える。共通係合インターフェイスに関しての詳細は後述するが、規格化されたオス側の係合機構(後述するフック3633)またはメス側の被係合機構(後述するスリット孔3636)と電気的接続機構から成る、互換性を持つモジュール間接続構造のことを指している。特に、係合機構を備える側をオス側インターフェイス、被係合機構を備える側をメス側インターフェイスと呼ぶことにする。
図33においては図示しないが、カメラ本体3200は、背面にメス側インターフェイスを備える。放熱モジュール3600は、正面にオス側インターフェイス、背面にメス側インターフェイスを備える。レコーダモジュール3300は、正面にオス側インターフェイスを備える。それぞれの構成モジュールが、このように係合機構を備えることで、カメラ本体3200、放熱モジュール3600、レコーダモジュール3300が機械的・電気的に接続される。また、共通係合インターフェイスは接続互換性があるため、別のシステムカメラとしてカメラ本体3200とレコーダモジュール3300を直接接続させることも可能である。
図34(a)はシステムカメラ3100からレコーダモジュール3300を取り外したシステムカメラ3500を正面側から見た外観斜視図、図34(b)はシステムカメラ3500の分解斜視図、図34(c)は図34(b)を背面側から見た分解斜視図である。
システムカメラ3500は、カメラ本体3200、レンズユニット3400、放熱モジュール3600から成る。カメラ本体3200は、動画記録機能を有している。システムカメラ3500は、光線を入射させるレンズユニット3400、光線を電気信号に変換し記録するカメラ本体3200、カメラ本体3200を冷却する放熱モジュール3600によってカメラとして機能する。
しかしながら、放熱モジュール3600の後方にさらにレコーダモジュール3300を接続し、システムカメラ3100として構成することで、より高速かつ高解像度の動画記録を行うことが可能である。この際、放熱モジュール3600は、カメラ本体3200およびレコーダモジュール3300の両方を冷却する。このように、システムカメラの使用者は2つの形態を選択することが出来る。
図33を参照して、システムカメラ3100における放熱モジュール3600の機能について説明する。カメラ本体3200は背面にカメラ伝熱部3210を備える。カメラ伝熱部3210は、カメラ本体3200内部で発生した熱を放熱モジュール3600に伝える。カメラ本体3200内部の各熱源、例えば撮像センサや撮像した画像信号を高速処理するCPU、あるいは大容量の画像データを高速に記録する記録処理部や記録メディアなどからカメラ伝熱部3210へ熱伝導性材料を介して伝熱させるようになっている。発熱源からカメラ伝熱部3210に熱を伝熱させる方法については、既に知られた様々な技術が適用できるため説明は省略する。
レコーダモジュール3300は前面にレコーダ伝熱部3310を備える。レコーダ伝熱部3310は、レコーダモジュール3300内部で発生した熱を放熱モジュール3600に伝える。レコーダモジュール3300内部の各熱源から、レコーダ伝熱部3310へ熱伝導性材料を接続させて伝熱させるようになっている。カメラ伝熱部3210およびレコーダ伝熱部3310は、銅やアルミ等の熱伝導性に優れた材料で形成されることが望ましい。
放熱モジュール3600は、前面に第1の受熱面3611、背面に第2の受熱面3651を備える。第1の受熱面3611はカメラ伝熱部3210に接続され、カメラ本体3200から発生する熱を放熱モジュール3600へと伝導させる。第2の受熱面3651はレコーダ伝熱部3310に接続され、レコーダモジュール3300から発生する熱を放熱モジュール3600へと伝導させる。放熱モジュール3600は、第1の受熱面3611および第2の受熱面3651から伝導された熱を、外部へと放出する機能を持つ。詳細は後述する。
次に、図34を参照して、システムカメラ3500における放熱モジュール3600の機能について説明する。システムカメラ3500においては、カメラ本体3200のカメラ伝熱部3210と、放熱モジュール3600の第1の受熱面3611とが接続され、放熱モジュール3600は、第1の受熱面3611から伝導された熱を外部へと放出する。このように、放熱モジュール3600は、システムカメラ3100として組み込まれた際は、前面および背面から伝導される熱を外部へと放出し、システムカメラ3500として組み込まれた際は、前面のみから伝導される熱を外部へと放出する。
放熱モジュール3600は、この異なる2つの使用形態に対応して排熱方式を変更し、それぞれの使用形態で効率的な排熱を行うための機能を有する。この機能を放熱モジュール3600の構造を示しながら説明する。なお、以下の説明では、放熱モジュール3600がシステムカメラ3100に組み込まれた際に最適な排熱方式となる形態を第1の使用形態、放熱モジュール3600がシステムカメラ3500に組み込まれた際に最適な排熱方式となる形態を第2の使用形態と呼ぶ。
図35(a)は放熱モジュール3600の正面側から見た斜視図、図35(b)は放熱モジュール3600の背面側から見た斜視図である。放熱モジュール3600の正面側には、第1の受熱面3611が露出し、放熱モジュール3600の背面側には、第2の受熱面3651が露出している。放熱モジュール3600の両側面部には、それぞれスリット状の第1の通気口3601と第2の通気口3602を持ち、天面部には第1の排気口3603と第2の排気口3604を持っている。放熱モジュール3600の第2の通気口3602を備える側面部には、操作部3641が設けられている。操作部3641については後述する。
放熱モジュール3600は、正面側に、係合機構であるフック3633、電気接続機構であるオス側データ信号端子3634、オス側電源端子3635が配置される。フック3633、オス側データ信号端子3634、オス側電源端子3635が前述した共通係合インターフェイスのオス側インターフェイスである。フック3633はモジュール筐体の略四隅にZ軸正方向に延出して配置され、Y軸負方向に向けて係合爪が形成されている。さらに、フック3633は図示しないばねによってY軸負方向に付勢されて、所定の突き当たり部に当接した状態で待機している。放熱モジュール3600の側面のフック操作ノブ3639を操作すると、前記ばね力に抗してフック3633をY軸正方向にスライド移動させることが出来る。
放熱モジュール3600の背面側には、スリット孔3636、メス側データ信号端子3637、メス側電源端子3638が配置される。スリット孔3636、メス側データ信号端子3637、メス側電源端子3638が前述した共通係合インターフェイスのメス側インターフェイスである。スリット孔3636は、フック3633が挿入される角孔であり、スリット奥にフック3633の爪が係合する図示しない被係合面を有する。
オス側インターフェイスとメス側インターフェイスが接続される状態では、フック3633がスリット孔3636に係合する。さらに、オス側データ信号端子3634とメス側データ信号端子3637、オス側電源端子3635とメス側電源端子3638は、電気接点部がそれぞれ所定の接触圧で当接し、データ信号または電源電力を送受可能に電気的に接続される。
図36(a)は放熱モジュール3600の正面側から見た分解斜視図、図36(b)は放熱モジュール3600の背面側から見た分解斜視図である。放熱モジュール3600は、主に以下の部品から構成される。前部ケース3630は、主に放熱モジュール3600の正面部外観を構成する。後部ケース3640は、主に放熱モジュール3600の背面部外観を構成する。上部カバー3690は、主に放熱モジュール3600の上面部外観を構成する。
第1のヒートシンク3610および第2のヒートシンク3620は、放熱モジュール3600外部からの熱の伝導経路を形成し、また、放熱モジュール3600内部の空気の流路を形成する。上部カバー3690の下方には、第1のファン3605および第2のファン3606が配置される。第1のファン3605および第2のファン3606が動作することで、放熱モジュール3600内部の流路に空気が流れる。
可動機構部材3680は、第2のヒートシンク3620の可動機構に関わる部品である。第2のヒートシンク3620は、第1の使用形態と第2の使用形態でZ軸方向に異なる位置をとる。可動機構部材3680により、第1の使用形態と第2の使用形態を切り替えることが出来る。可動機構の詳細は後述する。
背面板3650は、後部ケース3640に固定され、放熱モジュール3600の背面側に取り付けられたモジュールからの熱を放熱モジュール3600内部へと伝える役割を持つ。図36(b)に示すように、背面板3650の背面側が第2の受熱面3651である。以上の構成を組み込んで、前部ケース3630と後部ケース3640が締結ネジ3001で締結されて放熱モジュール3600を形成する。
図37(a)は第1のヒートシンク3610の正面側の斜視図、図37(b)は第1のヒートシンク3610の背面側の斜視図である。第1のヒートシンク3610は、アルミダイキャスト等、熱伝導性に優れる材料を用いて形成された放熱器であり、放熱モジュール3600の外部に露出する第1の受熱面3611を有する。第1の受熱面3611の反対側には多数のフィン形状から成る第1の放熱フィン3612が立設されている。第1の放熱フィン3612は、略水平方向に延びる水平フィン部3612aおよび略垂直方向に延びる垂直フィン部3612bから成る。水平フィン部3612aのフィン間には、放熱ゴムで形成される弾性体部3613が配設されている。弾性体部3613については後述する。
図38(a)は第2のヒートシンク3620の正面側の斜視図、図38(b)は第2のヒートシンク3620の背面側の斜視図である。第2のヒートシンク3620も第1のヒートシンク3610と同様に、アルミダイキャスト等、熱伝導性に優れる材料を用いて形成された放熱器である。第2のヒートシンク3620は、内部受熱面3621を有し、その反対側には垂直方向に延びる多数のフィン形状から成る第2の放熱フィン3622が立設されている。
第2のヒートシンク3620は、四隅に第1~4の軸部3623a~3623dを有する。また、第1~4の軸部3623a~3623dは、それぞれ貫通する溝形状である第1~4のスリット3624a~3624dを備える。第1~4の軸部3623a~3623dおよび第1~4のスリット3624a~3624dの機能については後述する。
図39は、放熱モジュール3600内部の空気の流路を説明する斜視図である。放熱モジュール3600内部を流れる空気の方向の概略を図39に矢印P,矢印Qで示す。第1の放熱フィン3612は、水平フィン部3612aが放熱モジュール3600の側部に形成された第1の通気口3601および第2の通気口3602と接続し、放熱モジュール3600外部の空気を放熱モジュール3600内部へと水平方向に導く。
第1の放熱フィン3612の垂直フィン部3612bが取り込んだ空気を上方へと流し、第2の放熱フィン3622は、垂直フィン部3612bと上下方向で略一致し、左右方向でずれた位置に配置される。それぞれのフィン間隔は同じであり、一方の互いのフィン間に他方のフィンが入り込むように配設される。図39に、第2の放熱フィン3622の断面部をハッチングを施して示す。第2の放熱フィン3622も、垂直フィン部3612bと同様に、空気を下方から上方へと導く流路を形成する。
第1のファン3605および第2のファン3606はそれぞれ、第1の排気口3603および第2の排気口3604の近傍に配設される。第1のファン3605および第2のファン3606は、下方にある空気を上方の第1の排気口3603および第2の排気口3604へと流すように動作する。
このように流路を形成することで、第1のファン3605および第2のファン3606の動作により、放熱モジュール3600外部の空気は、第1の通気口3601および第2の通気口3602から内部へと吸気される。そして、吸気された空気は、第1の放熱フィン3612および第2の放熱フィン3622によって第1のファン3605および第2のファン3606へと導かれ、第1の排気口3603および第2の排気口3604から、放熱モジュール3600外部へと排気される。
前述したように、第1のヒートシンク3610と第2のヒートシンク3620は放熱モジュール3600外部からの熱を受け、温められる。放熱モジュール3600は上記の流路に外部の空気を流すことで、第1のヒートシンク3610と第2のヒートシンク3620を冷やす。結果として、放熱モジュール3600は、外部からの熱を受け、それを放熱する機能を果たす。
以上が放熱モジュール3600内部の空気の流路の概要であるが、第1の使用形態と第2の使用形態において第2の放熱フィン3622はZ軸方向で異なる位置をとるため、第1の使用形態と第2の使用形態で流路も一部異なる。
以下、第1の使用形態と第2の使用形態における第2の放熱フィン3622の位置の違いと、流路の差について述べる。また、第1の使用形態における伝熱経路と第2の使用形態における伝熱経路について説明する。
図40は、放熱モジュール3600の正面図である。図41(a)は第1の使用形態における図40のA-A断面図、図41(b)は第2の使用形態における図40のA-A断面図である。図41(a)に示すように第1の使用形態では、第2のヒートシンク3620は内部受熱面3621が背面板3650に当接するように、Z軸負方向(後方向)に位置する。このとき、第2の放熱フィン3622の先端と第1のヒートシンク3610の間には、Z軸方向に間隙G1がある。
図41(b)に示すように、第2の使用形態では、第2のヒートシンク3620は、第2の放熱フィン3622の先端が第1のヒートシンク3610に当接するように、Z軸正方向(前方向)に位置する。このとき、内部受熱面3621と背面板3650の間には、Z軸方向に間隙G2がある。第2の放熱フィン3622が当接するのは、第1のヒートシンク3610の弾性体部3613である。
図42は、弾性体部3613の配置を示す第1のヒートシンク3610の断面斜視図である。弾性体部3613は、図42に示すように、第1の放熱フィン3612の間の窪み形状に、窪み形状を埋めるように形成される。
次に、図41を参照して、第1の使用形態と第2の使用形態における伝熱経路の違いについて説明する。第1の使用形態では、カメラ伝熱部3210(図33(c))から第1の受熱面3611に伝導した熱が、第1の放熱フィン3612へと伝導する。また、レコーダ伝熱部3310(図33(b))から第2の受熱面3651に伝導した熱が背面板3650から第2のヒートシンク3620の内部受熱面3621へとさらに伝導し、第2の放熱フィン3622へと伝導する。各放熱フィン3612,3622へと伝わった熱は、第1のファン3605および第2のファン3606によって外部から取り込まれた空気に伝わり、外部へと排出される。
このように、第1の使用形態は、第1の受熱面3611と第2の受熱面3651の両側からそれぞれ熱が伝わる際に、2つのヒートシンク3610、3620により効率的に放熱することができる。そのため、システムカメラ3100のように放熱モジュール3600の前後両側に熱源が取り付けられる形式に適している。
第2の使用形態では、カメラ伝熱部3210(図34(c))から第1の受熱面3611に伝導した熱が第1の放熱フィン3612へと伝導する。さらに、第2の放熱フィン3622の先端部と第1のヒートシンク3610の当接部である弾性体部3613より、カメラ伝熱部3210からの熱が第2のヒートシンク3620にも伝導する。つまり、第1のヒートシンク3610と第2のヒートシンク3620が接続することにより、表面積の大きなヒートシンクを形成する。
そのため、第1の受熱面3611に伝わる熱を第1のヒートシンク3610のみによって放熱するよりも、第1のヒートシンク3610と第2のヒートシンク3620の2つによって効率的に放熱することができる。そのため、システムカメラ3500のように放熱モジュール3600の前側にのみ熱源が取り付けられる形式に適している。
また、システムカメラ3500は、図34(c)に示すように、放熱モジュール3600の第2の受熱面3651が外観に露出する。しかし、第2の使用形態においては、第2のヒートシンク3620と第2の受熱面3651を形成する背面板3650は熱接続していない。そのため、カメラ本体3200からの熱が第2の受熱面3651に伝わることがなく、システムカメラ3500の使用者にとって外観部が過度に熱くなることはない。
なお、弾性体部3613は、放熱ゴムなどの接触熱抵抗が低く、且つ、弾性を有する材質で形成することが望ましい。そうした材質で形成されることで、第1のヒートシンク3610から弾性体部3613を介して第2のヒートシンク3620へと熱を効率よく伝えることが出来る。なお、弾性体部3613は、放熱ゴムのように高熱伝導性能を有しない他のクッション性を持つ材料で形成してもよい。弾性体部3613を十分に圧縮変形させ、第1のヒートシンク3610と第2のヒートシンク3620を近接させることで、第1のヒートシンク3610から第2のヒートシンク3620へ熱を伝えることが可能である。
次に、第1の使用形態と第2の使用形態における流路の違いについて説明する。第2の放熱フィン3622がZ軸方向において異なる位置をとることで、図39に示すように、垂直フィン部3612bと第2の放熱フィン3622が重なり合っている領域で流路が異なる。
図41(a)に示すように、第1の使用形態においては、前記重なり合っている領域で、空気は垂直フィン部3612bと第2の放熱フィン3622の間を通る。図41(b)に示すように、第2の使用形態においては、前記重なり合っている領域で、内部受熱面3621と背面板3650の間に間隙があるため、この間隙も流路となり、空気が通過する。垂直フィン部3612bと第2の放熱フィン3622の間も空気は通過する。
このように、第1の使用形態よりも第2の使用形態の方が第1のヒートシンク3610に対して第2のヒートシンク3620が近接するが、その移動量分だけ内部受熱面3621と背面板3650の間が流路として機能する。そのため、第1の使用形態と第2の使用形態で同等の流路断面積を確保でき、通風抵抗の変化も小さい。
次に、第2のヒートシンク3620の前後位置の変更操作およびその機構について説明する。図43(a)は第1の使用形態における放熱モジュール3600の正面側の斜視図、図43(b)は第2の使用形態における放熱モジュール3600の正面側の斜視図である。
図43に示すように、後部ケース3640は、操作部3641を備える。操作部3641は、後部ケース3640に対して上下位置を変更可能に設置されている。操作部3641が図43(a)のように上方位置にあるとき、放熱モジュール3600は第1の使用形態をとり、図41(a)のように第2のヒートシンク3620は後方に位置する。操作部3641が図43(b)のように下方位置にあるとき、放熱モジュール3600は第2の使用形態をとり、図41(b)のように第2のヒートシンク3620は前方に位置する。放熱モジュール3600の使用者は、操作部3641を上方位置から下方位置、または下方位置から上方位置に操作することで第1の使用形態と第2の使用形態を切り替えることができる。操作部3641の上下位置は、放熱モジュール3600内部の板ばね3642によって規定される。
図44(a)は第1の使用形態における操作部3641と板ばね3642の関係を示す斜視図、図44(b)は第2の使用形態における操作部3641と板ばね3642の関係を示す斜視図である。操作部3641は、前方側に第1の突起部3641aを備える。板ばね3642は、例えばステンレスなどの金属製の薄板を曲げ加工したものであり、一定の負荷により変形するよう形成され、図44に示すように、上方傾斜部3642aおよび下方傾斜部3642bを備える。
図44(a)に示す第1の使用形態において、第1の突起部3641aは上方傾斜部3642aに当接し、板ばね3642は操作部3641に対して上方に付勢力を働かせる。図44(b)に示す第2の使用形態において、第1の突起部3641aは下方傾斜部3642bに当接し、板ばね3642は操作部3641に対して下方に付勢力を働かせる。このようにして、操作部3641は板ばね3642により上方位置と下方位置の2の位置を規定される。
図45(a)は第2のヒートシンク3620の可動機構を示す放熱モジュール3600の正面側の分解斜視図、図45(b)は図45(a)の背面側の分解斜視図である。なお、可動機構の説明に不要な部品は図示を省略する。
放熱モジュール3600内部において、操作部3641は、可動機構部材3680と接続する。板ばね3642は、操作部3641の上下位置を規定する。可動機構部材3680は、第2のヒートシンク3620に接続し、第2のヒートシンク3620の前後方向の位置を規定する部品である。可動機構部材3680は、図45(a)に示す後部ケース3640の第1~3の保持部3643a~3643cによって保持される。保持構造は、図47を用いて後述する。
前部ケース3630は、背面に第1~4の穴部3631a~3631dを備える。第2のヒートシンク3620の第1~4の軸部3623a~3623dが、第1~4の穴部3631a~3631dにそれぞれ挿入されることで、第2のヒートシンク3620の姿勢及びXY方向の位置が規制される。
第1~4の穴部3631a~3631dには、第1~4のバネ3632a~3632dも挿入される。第1~4のバネ3632a~3632dは、前部ケース3630と第2のヒートシンク3620の第1~4の軸部3623a~3623dの間に挟まれ圧縮されることで、第2のヒートシンク3620に対して後方に付勢力を働かせる。
次に、操作部3641による可動機構部材3680の移動操作について説明する。
図46(a)は第1の使用形態における可動機構部材3680と操作部3641の接続を背面側から見た斜視図、図46(b)は第2の使用形態における可動機構部材3680と操作部3641の接続を背面側から見た斜視図である。図47(a)は第1の使用状態における可動機構部材3680の移動操作について示す正面側の斜視図、図47(b)は第2の使用状態における可動機構部材3680の移動操作について示す正面側に斜視図である。
図46に示すように、操作部3641は、背面側に第2の突起部3641bを備え、可動機構部材3680は、小判型の溝部3683を備える。第2の突起部3641bは、溝部3683に嵌合する。
図47に示すように、可動機構部材3680は、第1~3の保持部3643a~3643cによって保持されることで、Z方向(前後方向)およびY方向(上下方向)の移動を規制される。可動機構部材3680はX方向(左右方向)にのみに移動が可能である。そのため、図46および図47に示すように操作部3641の上下位置が変化すると、第2の突起部3641bと溝部3683の嵌合位置が変化し、結果として、可動機構部材3680の左右位置が変化する。
具体的には、第1の使用形態で操作部3641が上方に位置する際は可動機構部材3680はX軸負方向(左方向)に位置し、第2の使用形態で操作部3641が下方に位置する際は可動機構部材3680はX軸正方向(右方向)に位置する。このように、操作部3641の上下移動により、可動機構部材3680は左右に移動する。また、可動機構部材3680の左右移動により、第2のヒートシンク3620が前後に移動する。
図48(a)は第2のヒートシンク3620と可動機構部材3680の関係を前方上方から見た斜視図、図48(b)は第2のヒートシンク3620と可動機構部材3680の関係を前方下方から見た斜視図である。
前述したように、第2のヒートシンク3620は、第1~4のスリット3624a~3624dを備える。可動機構部材3680は、ステンレスなどの剛性の高い金属で形成される部品であり、第1~4の突出部3681a~3681dを備える。さらに、第1~4の突出部3681a~3681dには、それぞれ斜面形状である第1~4の突出斜面部3682a~3682dが設けられている。第1~4の突出部3681a~3681dがそれぞれ第1~4のスリット3624a~3624dに挿入されることで、可動機構部材3680により第2のヒートシンク3620の位置を規定する。
図49(a)は、第1~4の突出部3681a~3681dが第1~4のスリット3624a~3624dに挿入された状態を前方上方から見た斜視図である。図49(b)は、第1~4の突出部3681a~3681dが第1~4のスリット3624a~3624dに挿入された状態を後方下方から見た斜視図である。図49の状態において、可動機構部材3680の動作と第2のヒートシンク3620の動作が連動する。
図50(a)は第1の使用形態における放熱モジュール3600の図40のB-B断面図、図50(b)は第2の使用形態における放熱モジュール3600の図40のB-B断面図である。図40のB-B断面は、第2のヒートシンク3620の第1の軸部3623aおよび第2の軸部3623bの中心を通る線での断面図である。図50を参照して、第2のヒートシンク3620の前後移動機構について説明する。
図50(a)に示す第1の使用形態において、第1および第2の突出部3681a、3681bは、第1および第2のスリット3624a、3624b内部の面に当接しない。このとき、第2のヒートシンク3620の第1および第2の軸部3623a、3623bは、第1および第2の穴部3631a、3631bに摺動可能に嵌合し、それぞれ第1および第2のバネ3632a、3632bからZ軸負方向(後方向)に付勢力を受ける。
なお、第1および第2のスリット3624a、3624bは、図50(a)に示すように、第1および第2のスリット斜面部3625a、3625bを備える。図示されないが、第3および第4のスリット3624c、3624dも同様の形状の第3および第4のスリット斜面部3625a、3625bを備える。
図50(b)に示す第2の使用形態においては、前述した機構によって可動機構部材3680が第1の使用形態よりもX軸正方向(右方向)に移動する。このとき、第1および第2の突出部3681a、3681bは、それぞれ第1および第2のスリット斜面部3625a、3625bに当接する。第2のヒートシンク3620は第1~4のバネ3632a~3632dの付勢力よりも大きな力で可動機構部材3680によって押し込まれ、Z軸正方向(前方向)に移動する。
なお、第3および第4の軸部3623c、3623dについては図示しないが、第1および第2の軸部3623a、3623bと同様に、可動機構部材3680から外力を受ける。このように、可動機構部材3680の左右移動によって、第2のヒートシンク3620が前後移動するような構造となっている。
以上説明したように、本実施形態における放熱モジュール3600は共通係合インターフェイスを対向する二面に備え、システムカメラの拡張性を損なうことなくカメラ本体3200を始めとする様々な構成モジュールの放熱を可能とするものである。また、放熱モジュール3600の使用者は、操作部3641を操作することにより、放熱モジュール3600の第1の使用形態と第2の使用形態を切り替えることができる。
(第7の実施形態)
図51(a)は本発明の第7の実施形態に係るシステムカメラのカメラ本体4100を正面側から見た外観斜視図、図51(b)は図51(a)の背面側から見た外観斜視図である。図52(a)は図51に示すカメラ本体4100に着脱可能な取り付けられる放熱モジュール4200を正面側から見た外観斜視図、図52(b)は図52(a)を背面側から見た外観斜視図である。図53(a)はカメラ本体4100に放熱モジュール4200及びレンズユニット4300が取り付けられるシステムカメラの分解斜視図、図53(b)は図53(a)の背面側から見た分解斜視図である。
なお、本実施形態では、各図において、Z軸+側から見た面を前面、前面と対向する面を後面、前面から見て右側の面(X軸+方向)を右側面、前面から見て左側の面を左側面、前面から見て上側の面(Y軸+方向)を上面、前面から見て下側の面を底面とする。
図51に示すように、カメラ本体4100の前面には、レンズマウント部4101、交換式のレンズユニット4300の装着を検知し電気的に制御するレンズ接点部4102、レンズユニット4300の着脱時に操作するレンズ着脱ノブ4103を有する。また、レンズマウント部4101の後方でカメラ本体4100内部には、被写体の映像を受光する撮像素子4104と、撮像素子4104で得られた映像信号を所定の信号に変換する不図示のセンサ基板を有する。
カメラ本体4100の右側面には、撮影者の操作によってカメラ本体4100に所定の動作を実行させる操作ボタン群4106、RECボタン4107、電源スイッチ4108、操作ダイヤル群4109、記録媒体を収納する記録媒体収納蓋4110を有する。カメラ本体4100の後面には、図53に示すように、カメラ本体4100と放熱モジュール4200とを電気的及び熱的に接続するためのカメラ接続ユニット4111を有する。また、カメラ本体4100の後面には、カメラ本体4100と放熱モジュール4200とを機械的に固定するためのカメラ係合孔4112、外部接続端子群4113、電源端子4114を有する。カメラ接続ユニット4111の詳細構造については後述する。
図52に示すように、放熱モジュール4200の前面、つまりカメラ本体4100と接続する面には、カメラ本体4100と放熱モジュール4200とを電気的及び熱的に接続するための放熱モジュール前面接続ユニット4201を有する。また、放熱モジュール4200の前面には、カメラ本体4100と放熱モジュール4200とを機械的に固定するための放熱モジュール係合爪4202を有する。放熱モジュール前面接続ユニット4201の詳細については後述する。
放熱モジュール4200の上方には、ファン4203と、ファン4203の駆動によって外部に空気を吐き出すための排気口4204を有する。放熱モジュール4200の左右側面には、ファン4203の駆動によって外部から空気を吸入するための吸気口4205を有する。更に放熱モジュール4200の右側面には、放熱モジュール4200内部で下方に付勢支持されている放熱モジュール係合爪4202を上方に持ち上げるためのロック解除レバー4206を有する。
放熱モジュール4200の後面には、放熱モジュール4200と放熱モジュール4200の後段に接続可能な不図示のレコーダモジュール等とを電気的及び熱的に接続するための放熱モジュール後面接続ユニット4207を有する。また、放熱モジュール4200の後面には、放熱モジュール4200とレコーダモジュール等とを機械的に固定するための放熱モジュール係合孔4208を有する。
図53に示すように、カメラ本体4100の前面のレンズマウント部4101にはレンズユニット4300が着脱可能となり、カメラ本体4100の後面には放熱モジュール4200が着脱可能となる。カメラ本体4100のカメラ接続ユニット4111と放熱モジュール4200の放熱モジュール前面接続ユニット4201とが接続することでカメラ本体4100と放熱モジュール4200とが電気的及び熱的に接続される。
また、放熱モジュール後面接続ユニット4207はカメラ接続ユニット4111と同様の形状である。不図示のレコーダモジュール等は、カメラ本体4100後面のカメラ接続ユニット4111、もしくは放熱モジュール4200後面の放熱モジュール後面接続ユニット4207に着脱可能となる。
次に、図54乃至図57を用いて、カメラ本体4100のカメラ接続ユニット4111まわりの内部構造について説明する。図54は、カメラ接続ユニットまわりの構造を表す分解斜視図である。図55は、図54を組み付け状態を表す右側面図である。図56は、カメラ接続ユニット4111まわりの構造を表す図55のA-A断面図である。図57は、カメラ接続ユニット4111をカメラ本体4100後面から見た図である。
図54乃至図56に示すように、カメラ接続ユニット4111は、カメラ本体4100の後面から順番にカメラ接点部ホルダ4122、カメラ接点部4120、カメラ接点部基板4121、カメラ接点部放熱板4124、カメラ接点部放熱ゴム4125が配置される。カメラ接点部ホルダ4122には、中空部4122dにカメラ接点部4120が挿通された状態でカメラ接点部基板4121がネジ止め固定され、さらにカメラ接点部基板4121を投影上覆うようにカメラ接点部放熱板4124がネジ止め固定される。カメラ接点部放熱板4124のカメラ接点部基板4121と反対側にはカメラ接点部放熱ゴム4125が貼りつけられる。
また、カメラ本体4100の内部には、カメラ本体4100を制御するメイン基板4128、メイン基板4128からの発熱を放熱するメイン基板放熱板4129を有する。メイン基板4128は、主要熱源となる第1のCPU4130、第2のCPU4131が実装され、それぞれの熱源からメイン基板放熱板4129に放熱するためのメイン基板放熱ゴム4132を備える。メイン基板放熱板4129、メイン基板放熱ゴム4132、メイン基板4128は、後面側から順番にカメラ本体4100の光軸に沿って略平行に配置される。
メイン基板放熱板4129は、カメラ接点部放熱板4124に貼りつけられているカメラ接点部放熱ゴム4125と対向する位置に配置される。また、カメラ接点部基板4121とメイン基板4128とは、不図示のワイヤーによって電気的に接続され、相互で映像信号や電源電力の送受信が行われる。
図54及び図56に示したように、カメラ圧縮バネ4126は、カメラ接点部4120を中心として対称に複数配置され、カメラ接点部ホルダ4122の軸部4122bに挿通される。メイン基板放熱板4129は軸部4122bが挿通される挿通孔4129aを有し、カメラ圧縮バネ4126はカメラ接点部ホルダ4122とメイン基板放熱板4129とによって挟持される。
図54及び図55に示したように、カメラ接点部ホルダ4122は、略コの字形状のガイドレール4122cを複数有し、背面カバー4123上に配置される複数のガイドリブ4123cによってカメラ本体4100の光軸方向に沿って摺動支持される。図55及び図56に示したように、カメラ圧縮バネ4126の付勢力によってカメラ本体4100の後方に付勢支持されるカメラ接点部ホルダ4122は、背面カバー4123の当接面4123aに当接する位置に配置される。
図56及び図57に示したように、カメラ接点部ホルダ4122のカメラ接点部接触面4122aは、カメラ接点部ホルダ4122が当接面4123aに当接する位置において、カメラ本体4100の外観で背面4123bよりも内側(+Z方向)に露出する。カメラ接点部接触面4122aは、カメラ接点部4120を囲むロの字形状にて形成されることで、カメラ接点部4120外周の広範囲で外観に露出することができる。また、カメラ接点部クッション4127はカメラ接点部接触面4122aを囲むロの字形状にて形成され、上記の位置において圧縮されてカメラ接点部ホルダ4122と背面カバー4123との隙間を埋めている。
以上説明した構成によって、カメラ接続ユニット4111はカメラ圧縮バネ4126によってカメラ本体4100の後方に付勢支持され、カメラ圧縮バネ4126の付勢力に抗してカメラ本体4100の光軸方向に移動可能な構成となっている。そして、図56に示したように、カメラ圧縮バネ4126に付勢されるカメラ接続ユニット4111が当接面4123aに当接する位置において、対向するカメラ接点部放熱ゴム4125とメイン基板放熱板4129とはすき間Hを有して配置される。
次に、図56を用いてカメラ接続ユニット4111の動作による熱の接続状態について説明する。カメラ圧縮バネ4126の付勢力によってカメラ接点部放熱ゴム4125とメイン基板放熱板4129がすき間Hを有して配置されているとき、第1のCPU4130及び図54に示した第2のCPU4131の発熱はカメラ接点部放熱ゴム4125には伝わらない。また、ネジ固定されているカメラ接点部ホルダ4122にも伝わらないため、カメラ本体4100の外観部が熱くなることはない。
一方、カメラ接続ユニット4111がカメラ圧縮バネ4126の付勢力に抗してカメラ本体4100の内部で+Z方向に押し込まれると、前記すき間Hは小さくなる。このため、カメラ接点部放熱ゴム4125がメイン基板放熱板4129に当接し、カメラ接点部放熱ゴム4125が圧縮する位置まで近づくことが可能となる。
このとき、第1のCPU4130及び第2のCPU4131の発熱は、メイン基板放熱ゴム4132とメイン基板放熱板4129を介してカメラ接点部放熱ゴム4125に伝わり、その後、カメラ接点部放熱板4124を介してカメラ接点部ホルダ4122に伝わる。つまり、カメラ本体4100の外観に熱を逃がすことが可能となる。
なお、カメラ接点部ホルダ4122は例えばアルミニウムダイキャストのような熱伝導率の高い材料で成形され、カメラ接続ユニット4111の移動によってカメラ接点部放熱板4124に伝わった熱を効率良く外観に逃がすことが可能となる。
次に、図58乃至図61を用いて、放熱モジュール4200の前後に配置される放熱モジュール接続ユニットまわりの構造について説明する。図58は、放熱モジュール接続ユニットまわりの構造を表す分解斜視図である。図59は、図58を組み付けた状態を表す右側面図である。図60は、放熱モジュール接続ユニットまわりの構造を表す断面図であり、図59のB-B断面図である。図61は、放熱モジュール前面接続ユニットまわりの構造を表す前面図である。
図58及び図60に示したように、放熱モジュール前面接続ユニット4201は、放熱モジュール4200の前面から順番に放熱モジュール前面接点部ホルダ4222、放熱モジュール前面接点部4220、放熱モジュール前面接点部基板4221を有する。また、放熱モジュール前面接続ユニット4201は、これらに続いて、放熱モジュールヒートシンク4223、放熱モジュール放熱板4224を有し、いずれもカメラ本体4100の光軸に沿って略平行に配置される。
放熱モジュール前面接点部ホルダ4222は、中空部4222eに放熱モジュール前面接点部4220が挿通された状態で放熱モジュールヒートシンク4223にネジ止め固定される。また、放熱モジュール前面接点部基板4221は放熱モジュールヒートシンク4223にネジ止め固定される。
図58及び図60に示したように、放熱モジュール前面接続ユニット4201は、放熱モジュールヒートシンク4223と放熱モジュール放熱板4224によりダクト形状を形成し、空気の吸入口4231及び排出口4232を形成する。吸入口4231は放熱モジュール吸気口クッション4227を介して放熱モジュール4200の吸気口4205と連結し、排出口4232はファン4203及び放熱モジュール排気口クッション4226を介して放熱モジュール4200の排気口4204と連結する。
ファン4203が駆動すると、吸気口4205より放熱モジュール4200の内部に空気を吸入し、排気口4204より放熱モジュール4200の外部に空気を排出する。放熱モジュールヒートシンク4223は前記空気の流れ方向に複数延在するフィン部4223aを有し、通過する空気と熱交換が行われる。
図58及び図61に示したように、放熱モジュール前面接点部ホルダ4222の放熱モジュール接触面4222aは、放熱モジュール4200の外観で前面4228aよりも外側(+Z方向)に突出して露出する。放熱モジュール接触面4222aは、放熱モジュール前面接点部4220を囲むロの字形状にて形成されることで、放熱モジュール前面接点部4220外周の広範囲で外観に露出することができる。また、放熱モジュール前面接点部ホルダ4222と放熱モジュールヒートシンク4223は例えばアルミニウムダイキャストのような熱伝導率の高い材料で成形され、ネジ止め固定されている両者間で熱が伝わる構造となっている。
また、図58乃至図60に示したように、放熱モジュール後面接続ユニット4207は、カメラ接続ユニット4111と同様の構造を有しており、カメラ本体4100の光軸方向に移動可能な構成となっている。
図58及び図60に示すように、放熱モジュール後面接続ユニット4207は、放熱モジュール4200の後面から順番に放熱モジュール後面接点部ホルダ4242、放熱モジュール後面接点部4240、放熱モジュール後面接点部基板4241を有する。また、放熱モジュール後面接続ユニット4207は、これらに続いて、放熱モジュール後面接点部放熱板4244、放熱モジュール後面接点部放熱ゴム4245を有し、いずれもカメラ本体4100の光軸に沿って略平行に配置される。
放熱モジュール後面接点部ホルダ4242には、中空部4242dに放熱モジュール後面接点部4240が挿通した状態で放熱モジュール後面接点部基板4241がネジ止め固定される。さらに放熱モジュール後面接点部基板4241を投影上覆うように放熱モジュール後面接点部放熱板4244がネジ止め固定される。放熱モジュール後面接点部放熱板4244の放熱モジュール後面接点部基板4241と反対側には放熱モジュール後面接点部放熱ゴム4245が貼りつけられる。
図58及び図60に示したように、放熱モジュール圧縮バネ4246は放熱モジュール後面接点部4240を中心として対称に複数配置され、放熱モジュール後面接点部ホルダ4242の軸部4242bに挿通される。放熱モジュール圧縮バネ4246は放熱モジュール後面接点部ホルダ4242と放熱モジュール放熱板4224とによって挟持される。
図58及び図59に示したように、放熱モジュール後面接点部ホルダ4242は、略コの字形状のガイドレール4242cを複数有する。放熱モジュール後面接点部ホルダ4242は、放熱モジュール後カバー4229上に配置される複数のガイドリブ4229cによってカメラ本体4100の光軸方向に沿って摺動支持される。
図59及び図60に示したように、放熱モジュール圧縮バネ4246の付勢力によって放熱モジュール4200の後方に付勢支持される放熱モジュール後面接点部ホルダ4242は、放熱モジュール後カバー4229の当接面4229aに当接する位置に配置される。図60及び図61に示したように、上記の位置において放熱モジュール後面接点部接触面4242aは、放熱モジュール4200の外観で背面よりも内側(+Z方向)に露出する。
以上説明した構成によって、放熱モジュール後面接続ユニット4207は放熱モジュール圧縮バネ4246によって放熱モジュール4200後方に付勢支持される。そして、図60に示したように、放熱モジュール後面接点部放熱ゴム4245と放熱モジュールヒートシンク4223とはすき間Hを有して配置される。
また、放熱モジュール前面接点部基板4221と放熱モジュール後面接点部基板4241とは、不図示のワイヤーによって電気的に接続され、相互で映像信号や電源電力の送受信が行われる。これにより、放熱モジュール4200の放熱モジュール前面接続ユニット4201と放熱モジュール後面接続ユニット4207とで電気的接続がなされる。また、放熱モジュール4200の後段にレコーダモジュール等を連結した際には、カメラ本体4100とレコーダモジュール等とで電気的接続がなされることとなる。
次に、図62を用いて、カメラ本体4100と放熱モジュール4200を接続した際の構造及び熱の流れについて説明する。図62(a)はカメラ本体4100に放熱モジュール4200が接続されたときの状態を表す要部断面図、図62(b)はカメラ本体4100に放熱モジュール4200が固定されたときの状態を表す要部断面図である。
カメラ本体4100に放熱モジュール4200を接続するとき、カメラ接続ユニット4111と放熱モジュール前面接続ユニット4201とが対向する向きで接続される。そして、カメラ本体4100に放熱モジュール4200を押し込む。このとき、背面カバー4123の凹部傾斜面4123dと放熱モジュール前面接点部ホルダ4222の凸部傾斜面4222dによって、カメラ接続ユニット4111と放熱モジュール前面接続ユニット4201とのXY方向の位置がガイドされる。これにより、両者のおおよその位置が決まる。
その後、カメラ接点部ホルダ4122と放熱モジュール前面接点部ホルダ4222の呼び込み部によってカメラ接点部4120と放熱モジュール前面接点部4220とのXY方向の位置が決まり、両者が嵌合する。そして、カメラ接点部接触面4122aと放熱モジュール接触面4222aとが接触する。この状態を表したのが図62(a)に示す状態である。
なお、ガイドレール4122cとガイドリブ4123cに微小なすき間を設けることでカメラ接続ユニット4111がXY方向で微小に移動可能となるフローティング構造をとっており、カメラ接点部4120の実装ズレや部品のばらつきを吸収することができる。また、カメラ接点部接触面4122aと放熱モジュール接触面4222aは、それぞれカメラ接点部4120と放熱モジュール前面接点部4220とを囲むように配置されることで、それぞれの接点部が勘合したときでも両接触面が安定して接触する。
また、カメラ圧縮バネ4126の付勢力は、カメラ接点部4120と放熱モジュール前面接点部4220との嵌合力よりも大きく設定される。このような力関係に設定することで、カメラ本体4100に放熱モジュール4200を最初に押し込んだときには、カメラ接続ユニット4111の光軸方向の位置は変わらない。そして、カメラ接点部放熱ゴム4125とメイン基板放熱板4129とはすき間Hを保ったまま、カメラ接点部4120と放熱モジュール前面接点部4220とが嵌合する。
カメラ圧縮バネ4126の付勢力に抗して放熱モジュール4200を更に押し込むと、カメラ圧縮バネ4126が圧縮変形され、カメラ接続ユニット4111がカメラ本体4100の内部に押し込まれる。そして、カメラ接点部放熱ゴム4125とメイン基板放熱板4129とのすき間Hは次第に小さくなり、カメラ接点部放熱ゴム4125が圧縮された状態においてカメラ係合孔4112と放熱モジュール係合爪4202とが係合する。これにより、カメラ本体4100と放熱モジュール4200とが固定される。この状態を表したのが図62(b)に示す状態である。
このとき、カメラ接点部放熱ゴム4125とメイン基板放熱板4129とが接触する。これにより、メイン基板4128の熱がメイン基板放熱ゴム4132、メイン基板放熱板4129、カメラ接点部放熱ゴム4125、カメラ接点部放熱板(放熱部材)4124を介してカメラ接点部ホルダ4122へと伝わる。更に、カメラ接点部ホルダ4122のカメラ接点部接触面4122aと放熱モジュール前面接点部ホルダ4222の放熱モジュール接触面4222aとが接触する。これにより、カメラ接点部ホルダ4122へと伝わった熱が放熱モジュール前面接点部ホルダ4222を介して放熱モジュールヒートシンク4223に伝わる。
放熱モジュールヒートシンク4223に伝わった熱はフィン部4223aへと伝わり、放熱モジュール4200内のファン4203の駆動により空気と熱交換され、排出口4232から排出される。つまり、カメラ本体4100に放熱モジュール4200を固定することで、メイン基板4128の熱が放熱モジュール4200内部の放熱モジュールヒートシンク4223に伝熱され、ファン4203によって空冷される。
また、メイン基板4128の第1のCPU4130と第2のCPU4131、メイン基板放熱ゴム4132、カメラ接点部放熱ゴム4125は、カメラ接点部4120とX方向の中心が略同一になるように、複数のカメラ圧縮バネ4126の中心に配置される。これにより、カメラ接点部放熱ゴム4125が圧縮されてカメラ接点部放熱板4124と接触した際にカメラ接点部放熱ゴム4125とメイン基板放熱ゴム4132が均等に潰れて効率良く熱源から放熱することが可能となる。
また、カメラ接点部ホルダ4122と背面カバー4123との間で圧縮されていたカメラ接点部クッション4127は、カメラ接点部ホルダ4122の移動に伴い圧縮量が減る。しかし、カメラ接点部ホルダ4122と背面カバー4123との隙間は埋めたままの状態となることで、カメラ接点部ホルダ4122が移動しても内部にゴミが侵入することを防ぐことが可能となる。
以上説明したように、本実施形態における放熱モジュール4200は共通係合インターフェイスを対向する二面に備え、システムカメラの拡張性を損なうことなくカメラ本体4100を始めとする様々な構成モジュールの放熱を可能とするものである。
また、本実施形態では、カメラ本体4100の内部でカメラ圧縮バネ4126により付勢支持されているカメラ接続ユニット4111は、通常状態ではメイン基板4128の熱源とクリアランスを設けることで熱接続が切り離される。また、カメラ接続ユニット4111が押し込まれた状態では、メイン基板4128の熱源と接触することで熱接続がなされる。
また、カメラ本体4100に放熱モジュール4200を固定する際に、放熱モジュール前面接続ユニット4201がカメラ接続ユニット4111を押し込む。これにより、メイン基板4128とカメラ接続ユニット4111とが熱的に接続し、且つカメラ接続ユニット4111と放熱モジュール前面接続ユニット4201とが熱的に接続することで、熱源と冷却部が熱的に接続され、熱源の冷却が可能となる。
つまり、放熱モジュール4200非固定時はカメラ接続ユニット4111にメイン基板4128の熱が伝わらないことで外観部となるカメラ接点部接触面4122aが熱くなるのを防ぐことができる。また、放熱モジュール4200固定時はメイン基板4128とカメラ接続ユニット4111と放熱モジュール前面接続ユニット4201とが熱的に接続することで、効率良く放熱することが可能となる。
なお、詳細の説明は省略するが、放熱モジュール4200以外のレコーダモジュール等をカメラ本体4100に接続した際には、それぞれの接点部ホルダがカメラ接点部ホルダ4122に当接しない長さに設定する。これにより、カメラ接続ユニット4111の光軸方向の位置は変わらず、カメラ接点部放熱ゴム4125とメイン基板放熱板4129とはすき間Hを保ったままとなる。つまり、メイン基板4128の発熱が放熱モジュール4200以外のモジュールに伝わってしまうのを防ぐことも可能となる。