JP7196970B1 - 二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムロール - Google Patents
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Abstract
Description
一方で、回収したPET容器で汚れ等が無くきれいな状態の物だけを選別して再生原料にすると異物の問題は解決できる。しかし汚れたPET容器をリサイクルできないと環境に悪い。
[1]PET容器由来の再生原料を使用し、下記(1)~(3)を満たす二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムをロール状に巻き取ってなる二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムロール。
(1)150℃30分で測定した時のフィルム長手方向の熱収縮率が0.5%以上2.0%以下。
(2)JIS K 7142-1996 A法に基づいて測定した屈折率から算出したフィルムの面配向係数(ΔP)が0.16以上0.17以下。
(3)フィルムロール1000m2あたりに最大長さが1.3mm以上の異物数が1個以上。
[2]前記[1]に記載のPET容器由来の再生原料が、メカニカルリサイクルポリエステル樹脂及び/またはケミカルリサイクルポリエステル樹脂であることを特徴とする[1]に記載の二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムロール。
[3]フィルム幅方向で800mm辺りの厚みムラが18%以下であることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムロール。
[4]フィルム長手方向の破断強度が180MPa以上260MPa以下、破断伸度が80%以上170%以下であることを特徴とする前記[1]~[3]のいずれかに記載の二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムロール。
[5]フィルムロール8000m2あたりに最大長さが1.0mm以上の異物数が16個以上あることを特徴とする前記[1]~[4]のいずれかに記載の二軸配向ポリエチレンテレフタレートのフィルムロール。
[6]巻長が10000m以上である前記[1]~[5]のいずれかに記載の二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムロール。
本発明で好ましく使用されるPET容器由来の再生原料は、ポリエチレンテレフタレートを主体とし、リサイクル元の容器形態は限定されず、若干の着色成分を含んでいても良い。以下、ペットボトルをリサイクル使用したポリエステル樹脂を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。
本発明おけるペットボトルをリサイクル使用したポリエステル樹脂としては、市場や社会から回収された使用済みペットボトルを選別、粉砕、洗浄して表面の汚れ、異物を十分に取り除いた後に高温下に曝して、樹脂内部に留まっている汚染物質等を高度に洗浄した後に再度ペレット化する物理的再生法により得られたポリエステル樹脂(以下、メカニカルリサイクルポリエステル樹脂と称する場合がある)及び、使用済みの包装容器に含まれるポリエステル樹脂をモノマーレベルまで分解した後に汚染物質等の除去を行い、再度重合を行うことにより得られるポリエステル樹脂(以下、ケミカルリサイクルポリエステル樹脂と称する場合がある)のいずれも好適に用いることができる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに使用されるペットボトルを含む、市場や社会からリサイクルされたポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレートを主体とする容器のリサイクル品を主体とするものであり、例えば、茶飲料、清涼飲料などの飲料用容器のリサイクル品が好ましく使用でき、適宜配向されていても良く、無色のものが好ましいが、若干の着色成分を含んでいても良い。
集められた使用済のリサイクルペットボトルは、他の材料やごみが混ざらないように選別され、ラベルなどを除去した後、粉砕されフレークとなる。これらのフレークには、異物が付着、混入している場合が多くある。また、薬品や溶剤などの化学物質を消費者が使用済みのPETボトルに充填して使用している場合も考えられる。例えば、食器などの洗剤、殺虫剤、除草剤、農薬や各種オイル類などが考えられる。通常の洗浄ではPETボトル表面に吸着した化学物質を十分に取り除くことができないため、アルカリ洗浄を行うことが好ましい。この洗浄工程で用いるアルカリ金属水酸化物の溶液としては水酸化ナトリウム溶液、または水酸化カリウム溶液を用いる。このような洗浄工程では、アルカリ洗浄の前に予備洗浄を行っても良い。
アルカリ洗浄を行わないと、原料の樹脂中に異物として残存してしまうため、これらが混入して製膜時の破断のきっかけとなり生産性を低下させてしまうばかりか、フィルム中に異物として残り、フィルムの外観や、後に行われる印刷工程での印刷抜けの原因となりうる。
[ポリエステル樹脂組成物]
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムは下記のポリエステル樹脂を主成分として含むポリエステル樹脂組成物からなる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂は、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーである。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレートが挙げられ、機械的特性および耐熱性、コストなどの観点からポリエチレンテレフタレートが好ましい。
ここでの主成分とはポリエステル樹脂組成物中の含有率が80重量%以上であることを意味し、90重量%以上であることが好ましく、95重量%以上がより好ましく、98重量%以上が最も好ましい。
尚、ここでいうフィルター背圧上昇係数とは、樹脂を溶融押し出しした際の濾過フィルターの目詰まりのしにくさを表しており、下記式で求められる。
K=ΔP/(Q/S)
ここで、K:フィルター背圧上昇係数、ΔP=P1-P0
P1:押し出し4時間後の圧力(MPa)、P0:押し出し開始時の圧力(MPa)、Q:押し出し吐出量(kg/hr)、S:フィルター濾過面積(cm2)
本発明のPET容器由来の再生原料を、温度285℃、フィルター濾過径20μm、濾過速度6g/分で溶融押し出しした際のフィルター背圧上昇係数の上限は好ましくは100MPa/kg・cm2であり、より好ましくは90MPa/kg・cm2であり、特に好ましくは80MPa/kg・cm2である。100MPa/kg・cm2以下とすることで、二軸配向ポリエステルフィルムの生産条件の調整のみで、生産性を良好なものにできる。
本発明で用いられるケミカルリサイクルポリエステル樹脂の製造方法としては特に限定されないが、具体的には例えば、特開2000-169623号に記載の如く、回収された使用済みペットボトルを選別、粉砕、洗浄して異物を取り除いた後に、解重合を行うことによりPET樹脂の原料または中間原料まで分解、精製したものを重合して新たなPET樹脂とするものある。解重合にはエチレングリコール(EG)を加えて触媒の存在下で、樹脂製造時の中間原料であるビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート(BHET)にまで戻し、これを精製した後、PETに再重合する方法や、特開2000-302707号公報に記載の如くポリエチレンテレフタレートを酸化した鉄を必須成分とする触媒の存在下に非水系有機溶媒中で加熱処理してテレフタル酸とエチレングリコールを生成した後、再度重合する方法が挙げられる。
ケミカルリサイクルポリエステル樹脂の特徴は解重合/再重合の間に異物、異種材質が取り除かれ、バージン樹脂と同等に品質の高いポリエステル樹脂に再生できるため、前述したメカニカルリサイクルポリエステル樹脂と比べ、衛生性に優れているため、食品包装用途として特に好ましく用いることができる。
は、製膜性や再回収性などの点から0.50~0.90dl/gの範囲が好ましく、より
好ましくは0.55~0.80dl/gの範囲である。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおける滑剤含有量の上限は、好ましくは10000質量ppmであり、より好ましくは6000質量ppmであり、最も好ましくは2000質量ppmである。10000質量ppm以下とすることで、フィルムの透明性を良好なものとすることができる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを得るための方法として、特に限定はなくTダイ方式やインフレーション方式など適宜選択することができる。
冷却ロールの温度の下限は好ましくは0℃である。0℃以上であると、溶融したポリエステル樹脂組成物が冷却固化する際の結晶化抑制効果を十分に発揮できる。また、冷却ロール温度を上記の範囲とする場合、結露防止のため冷却ロール付近の環境の湿度を下げておくことが好ましい。
MD方向の延伸温度の上限は好ましくは140℃であり、より好ましくは130℃であり、特に好ましくは120℃である。140℃以下であると、結晶化により延伸応力が増大し、結果的に異物起因による破断を抑制することができるばかりだけでなく、フィルムの力学強度も良好なものとなる。
MD方向延伸倍率の上限は好ましくは4.0倍である、より好ましくは3.8倍であり、特に好ましくは3.6倍である。4.0倍以下であると、延伸応力を下げることができるので、異物起因による破断を抑制することができる。
MDリラックス率の下限は好ましくは1%であり、より好ましくは3%であり、特に好ましくは5%である。1%以上であると、フィルム中の非晶成分が緩和され、その後に続くTD延伸工程での延伸応力を下げることができ、結果的に異物起因による破断を抑制することができる。
MDリラックス率の上限は好ましくは10%であり、より好ましくは8%であり、特に好ましくは6%である。10%以下であると、収縮によるシワを抑制することができ、フィルムの品位を向上させることができるばかりか、配向緩和による力学強度の低下を抑制することができる。
MDリラックスの方法は特に限定されないが、例えば熱風ヒーターで加熱した後にロール間の速度差を利用してリラックス処理を施す方法が挙げられる。
TD方向の延伸温度の上限は好ましくは140℃であり、より好ましくは130℃であり、特に好ましくは120℃である。140℃以下であると、結晶化により延伸応力が増大し、結果的に異物起因による破断を抑制することができるばかりだけでなく、フィルムの力学強度も良好なものとなる。
TD方向延伸倍率の上限は好ましくは5.0倍である、より好ましくは4.5倍であり、特に好ましくは4.0倍である。5.0倍以下であると、延伸応力を下げることができるので、異物起因による破断を抑制することができる。
延伸角度θnから延伸角度θn+1へ延伸角度が変化する際の変化量も目的とする性能を得るために適宜選択できる。ただし、{(θn-θn+1)/θn}×100(単位;%)で表す角度変化率が50%を超えて大きい場合には、所定の最大倍率まで延伸するために必然的にTD延伸初期の延伸倍率極端に大きくする必要が生じるため、延伸初期の延伸応力が大きくなりすぎ、逆に製膜性を悪化させる恐れがある。角度変化率が0%の場合には、θ1=θ2なので従来のテンターでの延伸条件と同じであるので、対数型のTD延伸パターンを採用する場合は、角度変化率は0.5%以上50%以下の範囲内が好ましく、1%以上30%以下の範囲がより好ましく、1.5%以上20%以下の範囲内が特に好ましい。対数型のTD延伸パターンにおける延伸角度を上記範囲内とすることで、フィルム延伸応力が低い前半で延伸の大部分を完了することができ、延伸時にかかる延伸応力を低くすることができる。結果的に、異物による破断を抑制することができる。
延伸段数の下限は好ましくは2段延伸以上である。2段延伸以上であると、延伸応力を下げることができ、異物起因の破断を抑制することができる。
延伸段数の上限は好ましくは5段以下である。5段延伸以下であると、設備が大きくなりすぎることを防ぐことができる。
また、多段延伸を行う場合、各延伸段階の後に定長とするゾーンを適宜設けることができる。各延伸段階の後に定長とするゾーンを設けることで、延伸時に発生した内部応力を定長ゾーンで緩和することにより、次の延伸を行う際の延伸応力をより低減でき、フィルムの破断を抑制することができる。
熱固定温度の上限は好ましくは230℃であり、より好ましくは220℃であり、特に好ましくは210℃である。230℃以下であると、二軸配向ポリエステルフィルムが脆くなることによる力学強度の低下を抑制することができる。
TDリラックス率の上限は好ましくは10%であり、より好ましくは8%であり、特に好ましくは6%である。10%以下であると弛みなどが生じることを防止でき、平面性を向上させることができる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの厚みの下限は好ましくは5μmであり、より好ましくは10μmであり、特に好ましくは15μmである。5μ以上とすることで、異物起因の破断を抑制することができる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの厚みの上限は好ましくは100μmであり、より好ましくは70μmであり、特に好ましくは40μmである。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのΔPの上限は好ましくは0.170であり、より好ましくは0.169であり、特に好ましくは0.168である。0.170以下とすることで、延伸工程での延伸応力を抑制することができ、結果的に延伸工程での異物起因の破断を抑制することができる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのMD方向の破断強度の上限は260MPaであり、より好ましくは255MPaであり、特に好ましくは250MPaである。260MPa以下であると、実質的に延伸工程での異物起因の破断を抑制することができ、製膜性が良好なものとなる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのMD方向の破断伸度の上限は170%であり、より好ましくは160%であり、特に好ましくは150%である。170%以下であると、製袋品としたときの力学強度が十分なものとなる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのMD方向の熱収縮率の上限は好ましくは2.0%であり、より好ましくは1.7%であり、特に好ましくは1.4%である。2.0%以下であると、実質的に延伸工程での異物起因の破断を抑制することができ、製膜性が良好なものとなる。
一方、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムロールの1000m2あたりの最大長さが1.3mm以上の異物数の下限は10個以下であることが好ましい。1.3mm以上の異物が10個を超えて多くなると、印刷後の欠点が増えてしまい、二次加工工程の歩留まりを低下させてしまう恐れがある。
一方、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムロールの8000m2あたりの最大長さが1.0mm以上の異物数の上限は80個以下であることが好ましい。1.0mm以上の異物が80個を超えて多くなると、印刷後の欠点が増えてしまい、二次加工工程の歩留まりを低下させてしまう恐れがある。
シーラント層の厚さは、10~100μmが好ましく、20~60μmがより好ましい。
一方本発明のポリエステルフィルムロール幅の上限は3000mm幅以下であることが好ましく2500mm以下が更に好ましい。ポリエステルフィルムロールの幅が3000mm幅を超えると、ハンドリングが困難となるほか、ロールのたわみによりフィルムにシワが入りやすくなる。
また本発明のポリエステルフィルムロールの巻き長の下限は1000m以上であることが好ましく、二次加工工程における生産性の観点から、2000m以上であることがより好ましく、4000m以上であることが更に好ましい。
一方本発明のポリエステルフィルムロールの巻き長の下限は100000mであり、好ましくは80000mであり、さらに好ましくは70000mである。
ポリエステルフィルムロールの巻き長が100000mを超えるとロールの重量が大きくなり、ハンドリングが困難となる。
本発明のポリエステルフィルムロールからフィルムを除去した後のコアの幅方向の隙間差が0.5mm以下である事が好ましい。コアとして特に紙管を用いる場合、フィルムを巻取った後に保管していると、フィルムの歪みや自然収縮等により紙管は変形(歪み)が生じる。その際、幅方向における紙管の歪み差(幅方向の隙間差)が大きいと、フィルムロールの巻芯側に皴が生じてくるので好ましくない。従って、フィルムロールからフィルムを除去した後の紙管に隙間差は、好ましくは0.4mm以下であり、更に好ましくは0.3mm以下である。
再生原料ペレットを135℃で12時間乾燥後、温度285℃、フィルター濾過径20μm、吐出量6g/分、吐出時間4時間の条件で押し出し、下記式にてフィルター背圧上昇係数を求めた。
K=ΔP/(Q/S)
ここで、K:フィルター背圧上昇係数、ΔP=P1-P0
P1:押し出し4時間後の圧力(MPa)、P0:押し出し開始時の圧力(MPa)、Q:押し出し吐出量(kg/hr)、S:フィルター濾過面積(cm2)
JIS K7130-1999 A法に準拠し、ダイアルゲージを用いて測定した。
熱収縮率は試験温度150℃、加熱時間15分間とした以外は、JIS-C-2318に準拠した寸法変化試験法で実施した。
フィルム幅方向の中央位置から縦5mm×横5mmのサンプルを切り出した。
サンプルについてJIS K 7142-1996 A法により、ナトリウムD線を光源として接触液としてジヨードメタンを用いてアッべ屈折率計(株式会社アタゴ社製 NAR-1T)によりフィルム長手方向の屈折率(Nx)、幅方向の屈折率(Ny)、厚み方向の屈折率(Nz)を測定した。面配向係数(ΔP)は下式により算出した。
面配向係数(ΔP)=[(Nx+Ny)/2]-Nz
JIS K 7127に準拠し、フィルムの長手方向に15mm幅、100mm長の試験サンプルを切り出した。引張試験機(株式会社島津製作所社製 オートグラフAG-I)にて、標点間距離50mm、引張速度200mm/minの条件で、試験サンプルを引張試験した。得られた応力―歪み曲線から試験サンプルの破断強度および破断伸度を算出した。
各実施例、比較例のフィルム製膜時に破断無く10000mを連続成膜可能であった場合を〇、破断が生じ10000mを連続製膜不可であった場合を×と評価した。
幅800mm、巻長1250m(1000平方メートル)で巻き取ったフィルムロールを、巻き返し機を用いて巻き返した。巻き返し時に、欠点検知機(FUTEC社製 F MAX MR)を用いて欠点数を調査した。欠点の最も長い部分が1.3mm以上のサイズの欠点数を求めた。
1.3mm以上の欠点数1個未満:C
1.3mm以上の欠点数1個以上、10個以下:A
幅800mm、巻長10000m(8000平方メートル)で巻き取ったフィルムロールを、巻き返し機を用いて巻き返した。巻き返し時に、欠点検知機(FUTEC社製 F MAX MR)を用いて欠点数を調査した。欠点の最も長い部分が1.0mm以上のサイズの欠点数を求めた。
1.0mm以上の欠点数15個以下:C
1.0mm以上の欠点数16個以上、80個以下:A
フィルムロールから幅方向に800mm、長手方向に40mmサンプリングし、フィルムテスター連続厚み測定器(フジワーク社製)を用いて、5m/秒で連続的に幅方向の厚みを測定した。測定時の最大厚みをTmax.、最小厚みをTmin.、平均厚みをTave.とし、下式からフィルム幅方向の厚みムラを算出した。
厚みムラ={(Tmax.-Tmin.)/Tave.}×100(%)
各実施例、比較例のフィルム製膜時にフィルター交換せずに1週間連続で製膜できた場合を〇、1週間未満でフィルターの目詰まりが生じ、連続で製膜が困難となった場合を×と評価した。
PET容器から内容残留物などの異物を洗い流した後、粉砕してフレークを得た。得られたフレークをフレーク濃度10重量%、85℃、30分の条件で3.5重量%の水酸化ナトリウム溶液で攪拌下、洗浄を行った。アルカリ洗浄後、フレークを取り出し、フレーク濃度10重量%。25℃、20分の条件で蒸留水を用いて攪拌下、洗浄を行った。この水洗を蒸留水で交換してさらに2回繰り返して実施した。水洗後、フレークを乾燥した後、平均粒子径2.5μmのシリカ粒子をフレークに対して0.10質量部添加した。その後、押出機で溶融し、順次目開きサイズの細かなものにフィルターを変えて2回さらに細かな異物を濾別し、3回目に50μmの最も小さな目開きサイズのフィルターで濾別してポリエステルAを得た。なお、ポリエステルAの背圧上昇係数は96MPa/kg・cm2であった。
ポリエステルAと同様の方法でポリエステルBを得た。なお、ポリエステルBの背圧上昇係数は64MPa/kg・cm2であった。
ポリエステルAと同様の方法でポリエステルCを得た。なお、ポリエステルCの背圧上昇係数は32MPa/kg・cm2であった。
ポリエステルAと同様の方法でポリエステルDを得た。なお、ポリエステルDの背圧上昇係数は10MPa/kg・cm2であった。
使用するPET容器をきれいなもののみに選別した以外は、ポリエステルAと同様の方法でポリエステルEを得た。なお、ポリエステルEの背圧上昇係数は8MPa/kg・cm2であった。
ポリエステルAと同様の方法でポリエステルFを得た。なお、ポリエステルFの背圧上昇係数は105MPa/kg・cm2であった。
後述する二軸配向ポリエステルフィルムの作製において使用するペットボトルより再生されたケミカルリサイクルポリエステル樹脂として、以下の方法を用いて合成したものを用いた。
分別収集・回収されたペットボトルベールを湿式粉砕機に投入し、水1,000リッターに液体台所洗剤500gを加えたものを、上記湿式粉砕機内に循環させながら粉砕を行い、粉砕機に接続している比重分離機によって金属、砂、ガラス等の比重の大きいものを沈殿させ、上層部からフレークを取り出した。このフレークを純水で濯ぎ、遠心脱水して回収フレークとした。
押出機に、ポリエステルAを投入した。押出機にて樹脂を280℃で融解させた後、溶融樹脂をフィルターメッシュ50μmに通し、続いてフィルターメッシュ100μmに通した。その後280℃のT-ダイスからキャストし、10℃の冷却ロールに静電密着法により密着させて未延伸シートを得た。
次いで、得られた未延伸シートを115℃の温度でMD方向に3.6倍で延伸した。縦延伸直後のフィルムを熱風ヒーターで95℃に設定された加熱炉へ通し、加熱炉の入り口と出口のロール間の速度差を利用して、長手方向に3%リラックス処理を行った。次いでテンターに通して120℃でTD方向に4.6倍延伸し、210℃で3秒間の熱固定処理と1秒間5%の緩和処理を実施して、厚さ12μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。二軸配向ポリエステルフィルムの樹脂組成、および製膜条件を表1に示した。また、得られたフィルムの物性および評価結果を表1に示した。
縦延伸直後のリラックス率を0%に変更し、さらにテンターでの延伸方式を3段延伸に変更し、1段目と2段目及び2段目と3段目との間で1mの定長領域を設けた以外、実施例1と同様に製膜して厚さ12μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。物性および評価結果を表1に示した。
縦延伸直後のリラックス率を0%に変更し、さらにテンターでの延伸パターンを対数形に変更した以外、実施例1と同様に製膜して厚さ12μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。尚、テンターの延伸角度としては1段目の屈折角θ1:12.6°、2段目の屈折角θ2:8.2°、角度変化率34.9%となるよう調整し、トータルの延伸倍率は実施例1と同等になるよう延伸倍率を設定した。物性および評価結果を表1に示した。
縦延伸直後のリラックス率を1%に変更した以外、実施例1と同様に製膜して厚さ12μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。物性および評価結果を表1に示した。
縦延伸直後のリラックス率を10%に変更した以外、実施例1と同様に製膜して厚さ12μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。物性および評価結果を表1に示した。
縦延伸倍率を3.9倍に変更した以外、実施例1と同様に製膜して厚さ12μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。物性および評価結果を表1に示した。
縦延伸倍率を2.6倍に変更した以外、実施例1と同様に製膜して厚さ12μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。物性および評価結果を表1に示した。
横延伸倍率を4.9倍に変更した以外、実施例1と同様に製膜して厚さ12μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。物性および評価結果を表1に示した。
横延伸倍率を2.6倍に変更した以外、実施例1と同様に製膜して厚さ12μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。物性および評価結果を表1に示した。
樹脂をポリエステルBに変更した以外、実施例1と同様に製膜して厚さ12μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。物性および評価結果を表1に示した。
樹脂をポリエステルCに変更した以外、実施例1と同様に製膜して厚さ12μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。物性および評価結果を表1に示した。
樹脂をポリエステルDに変更した以外、実施例1と同様に製膜して厚さ12μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。物性および評価結果を表1に示した。
[実施例13]
樹脂をポリエステルGに変更した以外、実施例1と同様に製膜して厚さ12μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。物性および評価結果を表1に示した。
溶融樹脂を通すフィルターメッシュを20μmと50μmに変更し、縦延伸直後のリラックス率を0%に変更した以外、実施例1と同様に製膜して厚さ12μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。フィルターメッシュの目詰まりが発生し、不良であった。
溶融樹脂を通すフィルターメッシュを20μmと50μmに変更し、樹脂をポリエステルDに変更し、縦延伸直後のリラックス率を0%に変更した以外、実施例1と同様に製膜して厚さ12μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。フィルターメッシュの目詰まりが発生し、不良であった。
樹脂をポリエステルEに変更し、縦延伸直後のリラックス率を0%にした以外、実施例1と同様に製膜して厚さ12μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムは異物も少なく、フィルターメッシュの目詰まりもなかったが、きれいなPET容器を選別して再生原料としているため、環境対応効果が不十分であった。
樹脂をポリエステルFに変更し、縦延伸直後のリラックス率を10%にした以外、実施例1と同様に製膜して厚さ12μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムは異物起因の破断が多く、製膜性が不良であった。
縦延伸直後のリラックス率を12%にした以外、実施例1と同様に製膜して厚さ12μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムは面配向係数が低く、力学強度が不良であった。
縦延伸直後のリラックス率を0%にした以外、実施例1と同様に製膜して厚さ12μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムは異物起因の破断が多く、製膜性が不良であった。
縦延伸倍率を4.1倍にした以外、実施例1と同様に製膜して厚さ12μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムは異物起因の破断が多く、製膜性が不良であった。
縦延伸倍率を2.3倍にした以外、実施例1と同様に製膜して厚さ12μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムは面配向係数が低く、力学強度が不良であった。
横延伸倍率を5.1倍にした以外、実施例1と同様に製膜して厚さ12μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムは異物起因の破断が多く、製膜性が不良であった。
横延伸倍率を2.3倍にした以外、実施例1と同様に製膜して厚さ12μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムは面配向係数が低く、力学強度が不良であった。
Claims (5)
- PET容器由来の再生原料を含有するポリエステル樹脂組成物からなり、該ポリエステル組成物は共重合成分として、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4、4-ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ジエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールからなる群より選択されてなる成分を10モル%以下含んでもよいポリエチレンテレフタレートからなるポリエステル樹脂組成物であり、下記(1)~(3)を満たす二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムをロール状に巻き取ってなる巻長が10000m以上である二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムロール。
(1)150℃30分で測定した時のフィルム長手方向の熱収縮率が0.5%以上2.0%以下。
(2)JIS K 7142-1996 A法に基づいて測定した屈折率から算出したフィルムの面配向係数(ΔP)が0.16以上0.17以下。
(3)フィルムロール1000m2あたりの最大長さが1.3mm以上の異物数が1個以上。 - 請求項1に記載のPET容器由来の再生原料が、メカニカルリサイクルポリエステル樹脂及び/またはケミカルリサイクルポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムロール。
- フィルム幅方向で800mm当りの厚みムラが18%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムロール。
- フィルム長手方向の破断強度が180MPa以上260MPa以下、破断伸度が80%以上170%以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムロール。
- フィルムロール8000m2あたりの最大長さが1.0mm以上の異物数が16個以上であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムロール。
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