<第1実施形態>
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は第1実施形態の光学ユニットを備えるプロジェクターの概略構成図を示している。3チップタイプ(三板式)のプロジェクターPJは光源1、照明光学系2、光学ユニットPU、デジタル・マイクロミラー・デバイスDP1、DP2、DP3(図4も参照)、投影光学系LN、アクチュエーター4及び制御部3を備える。
光源1は例えばLEDから成り、白色光を出射する。照明光学系2はインテグレーター、リレーレンズ群及び反射ミラー等を有する(いずれも不図示)。照明光学系2は光源1の出射光を集光して照明光L1として光学ユニットPUに向けて出射する。
図2は光学ユニットPUの斜視図を示している。図2において、X方向は色分解合成プリズムユニットP2の厚み方向を示している。Z方向はデジタル・マイクロミラー・デバイスDP2で反射した投影光の光軸AX2方向を示している。Y方向はX方向及びZ方向に垂直な方向を示している。光学ユニットPUは、1個の内部全反射プリズムP1(反射部材)、1個の色分解合成プリズムユニットP2(プリズムユニット)、1個の投影側プリズムP3(第2プリズム)及び3個のOFF光分離プリズムP4(第3プリズム)を有する。色分解合成プリズムP2は、プリズムP21(第1プリズム)、プリズムP22(第1プリズム)及びプリズムP23(第1プリズム)を有する。
内部全反射プリズムP1、色分解合成プリズムユニットP2のプリズムP21~P23、投影側プリズムP3及びOFF光分離プリズムP4の材質として例えばガラスを用いることができる。本実施形態では、内部全反射プリズムP1、プリズムP21、P22、P23、投影側プリズムP3及びOFF光分離プリズムP4は屈折率が同じガラスにより形成される。
光学ユニットPUは支持部材(不図示)によりプロジェクターPJ内で支持される。支持部材は光学ユニットPUの図2において上下面に接して配され、光学ユニットPUを挟持する。また、光学ユニットPUは平面視略矩形のデジタル・マイクロミラー・デバイスDP1、DP2、DP3を取り付けるための取付部(不図示)を3個有する。取付部は例えば金属製の枠部材により構成され、プリズムP21、P22、P23に対応して設けられる。
後述のように、光学ユニットPUは内部全反射プリズムP1から照明光L1を入射させ、デジタル・マイクロミラー・デバイスDP1、DP2、DP3で反射した投影光(後述のON光L2)を投影光学系LNに向けて射出する。以下の説明において、デジタル・マイクロミラー・デバイスDP1~DP3を総称して「デジタル・マイクロミラー・デバイスDP」という場合がある。なお、光学ユニットPU及びデジタル・マイクロミラー・デバイスDPの詳細については後述する。
投影光学系LNはレンズ51、52(図5参照)等を有し、デジタル・マイクロミラー・デバイスDP上に表示された画像をスクリーンSCに拡大投影する。アクチュエーター4はレンズ51、52を光軸AXに沿って移動させ、例えばズーミングやフォーカシングを行う。また、アクチュエーター4はレンズ51、52を図1及び図5において上下方向に移動させ、投影画像の位置(投影位置)を上下方向で変更することができる。すなわち、アクチュエーター4及び投影光学系LNにより投影画像の上下シフトが行われる。制御部3はCPUを有し、プロジェクターPJ全体の制御を行う。
図3~図6は光学ユニットPUの分解斜視図、上面図、側面図及び側面断面図をそれぞれ示している。なお、図6は、デジタル・マイクロミラー・デバイスDP2を通るとともにデジタル・マイクロミラー・デバイスDP2で反射したON光L2(投影光)の光軸AX2を含む断面図を示している。なお、デジタル・マイクロミラー・デバイスDP2で反射したON光L2の光軸AX2はデジタル・マイクロミラー・デバイスDP2の中心を通る法線と一致している。また、照明光L1の光軸AX1はデジタル・マイクロミラー・デバイスDPの中心に入射する照明光L1の光線の光路と一致する。
色分解合成プリズムユニットP2はデジタル・マイクロミラー・デバイスDP2と内部全反射プリズムP1との間に配される。色分解合成プリズムユニットP2の投影側(射出側)には楔状の投影側プリズムP3が配される。
また、デジタル・マイクロミラー・デバイスDP1と色分解合成プリズムユニットP2との間、デジタル・マイクロミラー・デバイスDP2と色分解合成プリズムユニットP2との間、及びデジタル・マイクロミラー・デバイスDP3と色分解合成プリズムユニットP2との間にはそれぞれOFF光分離プリズムP4が配置される。すなわち、OFF光分離プリズムP4は各デジタル・マイクロミラー・デバイスDPに対応して設けられる。
また、デジタル・マイクロミラー・デバイスDPとOFF光分離プリズムP4との間にはカバーガラスCG(図6参照)が設けられる。なお、図2~図5ではカバーガラスCGの図示を省略している。
図7は、デジタル・マイクロミラー・デバイスDPのマイクロミラーMRの基準状態、ON状態及びOFF状態を示す斜視図である。図8はデジタル・マイクロミラー・デバイスDPの動作を説明するための斜視図である。デジタル・マイクロミラー・デバイスDPはマトリクス状に配される平面視略正方形の複数の微小なマイクロミラーMRを有する。マイクロミラーMRは基板SB上に実装され、基板SBは略矩形のハウジング(不図示)に収納される。
マイクロミラーMRの基準状態を基準平面MS1で示し、マイクロミラーMRのON状態を反射面MS2で示し、マイクロミラーMRのOFF状態を反射面MS3で示している。マイクロミラーMRは基準状態から第1軸ax1に対して傾いた後に第1軸ax1に直交する第2軸ax2に対して回動することができる。これにより、デジタル・マイクロミラー・デバイスDPは、複数の画素反射面MSからなる画像表示面DSにおいて、各画素反射面MSがON/OFF制御され、マイクロミラーMRが画像表示状態(ON状態)と画像非表示状態(OFF状態)と、の2つの角度状態をとる。すなわち、デジタル・マイクロミラー・デバイスDPは直交する2軸に関してマイクロミラーMRの駆動を行い、マイクロミラーMRは基準状態、ON状態及びOFF状態をとることができる。これにより、デジタル・マイクロミラー・デバイスDPは照明光L1を強度変調して所望の画像を生成する反射型画像表示素子を構成する。すなわち、デジタル・マイクロミラー・デバイスDPは照明光L1を強度変調して投影光を生成する。
各マイクロミラーMRの駆動は直交する2軸(第1軸ax1、第2軸ax2)に関して行われるため、マイクロミラーMRの画素反射面MSは異なる面内で傾斜する。本実施形態のデジタル・マイクロミラー・デバイスDP2ではYZ平面内で傾斜した状態がON状態であり、XZ平面内で傾斜した状態がOFF状態である。通常想定されるON/OFF制御では、画素反射面MSがON状態のとき、マイクロミラーMRに入射した照明光L1は画像表示面DSの法線(デジタル・マイクロミラー・デバイスDPの法線)方向に反射されてON光L2(投影光)となる。また、画素反射面MSがOFF状態のとき、マイクロミラーMRに入射した照明光L1は画像表示面DSの法線方向から大きな角度を持って反射され、OFF光L3(不要光)となる。
このため、図9に示すように、デジタル・マイクロミラー・デバイスDP2の近傍において、各マイクロミラーMRはOFF光L3の光軸AX3がON光L2の光軸AX2と照明光L1の光軸AX1とを含む光軸平面APに対して離れる方向にOFF光L3を反射する。また、画像表示面DSの法線(デジタル・マイクロミラー・デバイスDPの法線)はデジタル・マイクロミラー・デバイスDP2の近傍のON光L2(投影光)の光軸AX2と平行になっている。なお、デジタル・マイクロミラー・デバイスDP1、DP3の近傍においてもデジタル・マイクロミラー・デバイスDP2と同様に、各マイクロミラーMRは光軸AX1、AX2を含む平面(不図示)に対して離れる方向にOFF光L3を反射する。
本実施形態では、ON状態のマイクロミラーMRの法線とデジタル・マイクロミラー・デバイスDPの法線との成す角度βは17°になっており、OFF状態のマイクロミラーMRの法線とデジタル・マイクロミラー・デバイスDPの法線との成す角度γは17°になっている。このため、デジタル・マイクロミラー・デバイスDPの入射光(照明光L1)の光軸AX1とデジタル・マイクロミラー・デバイスDPの法線との成す角度は34°になっている。
以上のように、デジタル・マイクロミラー・デバイスDPの画像表示面DSでは、照明光L1の強度変調により2次元画像が形成される。デジタル・マイクロミラー・デバイスDPは、前述したように直交する2軸に関してマイクロミラーMRの駆動を行うことによりON/OFFを表現する。
図2~図6に戻って、内部全反射プリズムP1、色分解合成プリズムユニットP2、投影側プリズムP3及びOFF光分離プリズムP4について説明する。内部全反射プリズムP1は入射面11、照明光反射面12及び出射面13(図3参照)を有する。入射面11はスクリーンSCに向かうに従って投影光学系LNに近づく方向に傾斜し、照明光学系2から出射された照明光L1を入射する。
照明光反射面12は内部全反射プリズムP1に形成された全反射面から成り、入射面11から離れるに従って色分解合成プリズムユニットP2に近づく方向に傾斜する。照明光反射面12は入射面11から入射した照明光L1を色分解合成プリズムユニットP2に向けて全反射する。
出射面13は色分解合成プリズムユニットP2に対向して配置され、入射面11に向かうに従って投影光学系LNから離れる方向に傾斜する。出射面13は照明光反射面12で全反射した照明光L1を色分解合成プリズムユニットP2に向けて出射する。
プリズムP21、P22、P23を有する色分解合成プリズムユニットP2は所謂フィリップスタイプのダイクロイックプリズムユニットであり、内部全反射プリズムP1からデジタル・マイクロミラー・デバイスDP2に向かってプリズムP21、P23、P22の順に配置される。
プリズムP21、P22、P23はそれぞれ入出射面21a、22a、23aを有する。入出射面21a、22a、23aはそれぞれOFF光分離プリズムP4に近接して対向している。入出射面21a、22a、23aはそれぞれ後述のOFF光出射面43に向かうに従ってそれぞれデジタル・マイクロミラー・デバイスDP1、DP2、DP3から離れる方向に傾斜している。
また、色分解合成プリズムユニットP2において最も射出側(最も投影光学系LN側)のプリズムP21の射出側に配された入出射面21b(第1面)は、内部全反射プリズムP1の入射面11側へ向かうに従って投影光学系LNから離れる方向に傾斜する。本実施形態において、入出射面21bはXY平面に対して約11°傾斜している。
照明光反射面12に入射する照明光L1の入射光L11の光軸AX1と、ON光L2(投影光)の入出射面21b上の光軸AX2とは同一の平面である光軸平面AP(図9参照)上に配される。光軸平面APは図6の紙面と同一の平面になっている。入出射面21bの外向きの第1法線ベクトルNV1(図2参照)を光軸平面APに投影してON光L2の光軸AX2に対して入射光L11の光軸AX1と同じ側に配される第1成分ベクトルCV1は、入出射面21bから離れるに従って、入出射面21bから出射したON光L2の光軸AX2から離れる方向に向かう。
また、プリズムP21、P23はそれぞれ内部に全反射面21t、23tを有するとともにそれぞれ内部にダイクロイックコート面DR及びダイクロイックコート面DBを有する。全反射面21tは入出射面21bの内側の面から成る。ダイクロイックコート面DRは全反射面21tに対向して配置され、全反射面23tはダイクロイックコート面DRに近接して対向配置される。ダイクロイックコート面DBはプリズムP22に近接して対向配置される。
図4に示すように、ダイクロイックコート面DR及び全反射面23tはY方向から見てデジタル・マイクロミラー・デバイスDP1から離れるに従って投影光学系LNに近づく方向に傾斜する。ダイクロイックコート面DBはY方向から見てデジタル・マイクロミラー・デバイスDP3から離れるに従って投影光学系LNに近づく方向に傾斜する。入出射面21b及び全反射面21tはY方向から見てデジタル・マイクロミラー・デバイスDP2の法線に対して垂直になっている。すなわち、入出射面21b及び全反射面21tはY方向から見てデジタル・マイクロミラー・デバイスDP2で反射したON光L2の光軸AX2に対して垂直になっている。
また、入出射面21bに対向するダイクロイックコート面DR(対向面)の内向きの第2法線ベクトルNV2(図4参照)を光軸平面APに投影してON光L2の光軸AX2に対して入射光L11の光軸AX1と同じ側に配される第2成分ベクトルCV2(図6参照)は、ダイクロイックコート面DRから離れるに従って、入出射面21bから出射したON光L2の光軸AX2から離れる方向に向かう。
また、ダイクロイックコート面DBの内向きの第3法線ベクトルNV3(図4参照)を光軸平面APに投影してON光L2の光軸AX2に対して入射光L11の光軸AX1と同じ側に配される第3成分ベクトルCV3(図6参照)は、ダイクロイックコート面DBから離れるに従って、入出射面21bから出射したON光L2の光軸AX2から離れる方向に向かう。
ダイクロイックコート面DRは照明光L1の赤色成分を反射するとともに、照明光L1の緑色成分及び青色成分を透過させる。ダイクロイックコート面DBは照明光L1の青色成分を反射するとともに照明光L1の緑色成分を透過させる。すなわち、ダイクロイックコート面DR及びダイクロイックコート面DBは所定波長の照明光L1の成分を反射して該所定波長以外の照明光L1の成分を透過する。これにより、色分解合成プリズムユニットP2は内部全反射プリズムP1から出射された照明光L1を色分解してそれぞれデジタル・マイクロミラー・デバイスDP側に出射する。
また、ダイクロイックコート面DRは赤色のON光L2を反射するとともに、緑色及び青色のON光L2を透過させる。ダイクロイックコート面DBは青色のON光L2を反射するとともに緑色のON光L2を透過させる。すなわち、ダイクロイックコート面DR及びダイクロイックコート面DBは所定波長のON光L2を反射して該所定波長以外のON光L2を透過する。これにより、色分解合成プリズムユニットP2はデジタル・マイクロミラー・デバイスDP1、DP2、DP3からそれぞれ出射された赤色、緑色及び青色のON光L2を色合成して入出射面21bを介して射出側に出射する。
なお、プリズムP21とプリズムP23とを入れ替えて配置してもよい。すなわち、プリズムP23をプリズムP21よりも射出側に配置してもよい。また、所謂フィリップスタイプのダイクロイックプリズムユニットに替えて、クロスダイクロイックプリズムユニットにより色分解合成プリズムユニットP2を形成してもよい。
投影側プリズムP3(射出側光学部材)は色分解合成プリズムユニットP2のプリズムP21の出射側(射出側)であって内部全反射プリズムP1の入射面11の反対側(図2において上方)に配され、入射面31及び出射面32(第2面、射出面)を有する。なお、「射出面」とはON光L2が投影光学系LNに向けて光学ユニットPUから射出される面を示す。入射面31はX方向から見て内部全反射プリズムP1から離れるに従って投影光学系LNに近づく方向に傾斜する。入射面31は、入出射面21bから出射したON光L2(色合成後の投影光)を入射する。
出射面32は投影光学系LNに対向して配され、ON光L2の光軸AX2が出射面32の法線方向に一致するようにON光L2を射出する。投影側プリズムP3によりスクリーンSCに投影される画像の歪みを低減することができる。また、内部全反射プリズムP1の投影光学系LN側の端部は投影側プリズムP3の出射面32に対して射出方向(Z方向)に突出している。
各OFF光分離プリズムP4はそれぞれ入出射面21a、22a、23aに近接して対向配置される。各OFF光分離プリズムP4は入出射面41、OFF光反射面42及びOFF光出射面43を有する。各入出射面41はそれぞれデジタル・マイクロミラー・デバイスDP1、DP2、DP3に近接して対向配置され、デジタル・マイクロミラー・デバイスDP1、DP2、DP3の近傍のON光L2の光軸AX2はそれぞれ入出射面41の法線方向に一致している。
OFF光出射面43は、ON光L2の光軸AX2に対して内部全反射プリズムP1の入射面11と反対側の端面(Y方向の端面、図2において上面)から成る。デジタル・マイクロミラー・デバイスDP1、DP2、DP3の各々の近傍に配された各OFF光反射面42は、OFF光出射面43へ向かうほどそれぞれデジタル・マイクロミラー・デバイスDP1、DP2、DP3から離れるように傾斜している。OFF光反射面42はOFF状態のマイクロミラーMRで反射したOFF光L3を全反射するとともにON状態のマイクロミラーMRで反射したON光L2を透過する。OFF光出射面43はOFF光反射面42で全反射したOFF光L3を光学ユニットPUの外部に向けて出射する。
また、各OFF光出射面43に離れて対向して光吸収部材PMが設けられる。光吸収部材PMは例えば黒色処理した金属プレートにより形成され、OFF光出射面43から出射されたOFF光L3を吸収する。これにより、光学ユニットPUから出射されたOFF光L3によるプロジェクターPJ内の他の部材等の熱変形を防止することができる。
また、内部全反射プリズムP1と色分解合成プリズムユニットP2との間、色分解合成プリズムユニットP2と投影側プリズムP3との間、色分解合成プリズムユニットP2とOFF光分離プリズムP4との間には空気層(エアーギャップ、不図示)が設けられる。また、色分解合成プリズムユニットP2において、プリズムP21とプリズム23との間、プリズムP23とプリズム22との間にも空気層が設けられる。
上記構成のプロジェクターPJにおいて、光源1(図1参照)から白色光が出射されると、照明光学系2(図1参照)で集光されて白色の照明光L1が光学ユニットPUに向けて出射される。
白色の照明光L1は内部全反射プリズムP1の入射面11に入射した後に照明光反射面12で全反射する。照明光反射面12で全反射した白色の照明光L1は出射面13から出射した後に、色分解合成プリズムユニットP2のプリズム21の入出射面21bに入射する。
色分解合成プリズムユニットP2のプリズムP21に入射した白色の照明光L1はダイクロイックコート面DRに入射し、照明光L1の赤色成分が反射するとともに緑色成分及び青色成分は透過する。ダイクロイックコート面DRを透過した照明光L1の緑色成分及び青色成分はプリズムP23に入射し、青色成分はダイクロイックコート面DBで反射するとともに緑色成分はダイクロイックコート面DBを透過してプリズムP22に入射する。
ダイクロイックコート面DRで反射した照明光L1の赤色成分、ダイクロイックコート面DBで反射した照明光L1の青色成分、及びダイクロイックコート面DR、DBを透過した照明光L1の緑色成分はそれぞれ入出射面21a、23a、22aから出射され、それぞれOFF光分離プリズムP4に入射する。各OFF光分離プリズムP4を透過した照明光L1の赤色成分、緑色成分及び青色成分は入出射面41から出射され、それぞれカバーガラスCGを透過してデジタル・マイクロミラー・デバイスDP1、DP3、DP2に入射する。これにより、色分解合成プリズムユニットP2は照明光反射面12で全反射した照明光L1を色分解してそれぞれデジタル・マイクロミラー・デバイスDP1、DP2、DP3側に出射する。
デジタル・マイクロミラー・デバイスDP1~DP3のON状態のマイクロミラーMRでそれぞれ反射した赤色、緑色及び青色のON光L2はそれぞれ入出射面41からOFF光分離プリズムP4に入射し、OFF光反射面42を透過してそれぞれ入出射面21a、22a、23aから色分解合成プリズムユニットP2のプリズムP21、P22、P23に入射する。
赤色のON光L2はプリズムP21の全反射面21tで全反射した後にダイクロイックコート面DRで反射して入出射面21bに向かう。緑色のON光L2はプリズムP22を透過した後にダイクロイックコート面DB、DRの順に透過して入出射面21bに向かう。青色のON光L2はプリズムP23の全反射面23tで全反射した後にダイクロイックコート面DBで反射し、ダイクロイックコート面DRを透過して入出射面21bに向かう。この時、赤色、緑色及び青色のON光L2は色分解合成プリズムユニットP2を透過する間に色合成され、色合成されたON光L2が入出射面21bから射出側に出射される。
入出射面21bから出射したON光L2(色合成後の投影光)は入射面31を介して投影側プリズムP3に入射する。投影側プリズムP3に入射したON光L2は投影側プリズムP3を透過して出射面32から投影光学系LNに向けて射出される。
この時、図6に示すように、照明光反射面12はON光L2の光束の外側に配置される。すなわち、ON光L2は照明光反射面12に入射しない。これにより、デジタル・マイクロミラー・デバイスDP2に対応するOFF光分離プリズムP4の入出射面41と出射面32とのZ方向の距離D1(本実施形態では約85mm)内で照明光L1の光束とON光L2の光束とを分離することができる。
また、照明光反射面12上における照明光L1の光束の色分解合成プリズムユニットP2側の端部は、出射面32に対して色分解合成プリズムユニットP2と同じ側に配置される。すなわち、照明光反射面12上の照明光L1の光束を光軸平面APに投影した領域の色分解合成プリズムユニットP2側の端部LE(図6参照)は出射面32に対して色分解合成プリズムユニットP2と同じ側に配置される。また、照明光反射面12と出射面32との交線NLは出射面32上のON光L2の光束よりも外側に配置される。これにより、出射面32上のON光L2の光束と照明光反射面12上の照明光L1の光束とが重ならない。なお、「照明光反射面12と出射面32との交線NL」は、出射面32を含んで出射面32に平行な面と照明光反射面12との交線を示す。
また、入出射面21bから出射したON光L2の光軸AX2を含むとともに、デジタル・マイクロミラー・デバイスDP2の長手方向中央を通って短手方向に平行な平面(本実施形態では光軸平面APと同じ平面)は照明光反射面12に直交する。
投影光学系LNに入射したON光L2はスクリーンSC(図1参照)に投射される。これにより、デジタル・マイクロミラー・デバイスDPに表示されたカラー画像はスクリーンSCに投影される。この時、アクチュエーター4によりズーミングやフォーカシングが行われる。また、投影側プリズムP3は光軸AX2が出射面32の法線方向に一致するように出射面32からON光L2を射出する。これにより、スクリーンSCに拡大投影される画像の歪みを低減することができる。
また、アクチュエーター4により投影光学系LNの投影レンズ51、52をY方向で移動させ、投影画像の投影位置をY方向で変更することができる。例えば、プロジェクターPJが居室(不図示)内の天井面に取り付けられた場合には投影レンズ51、52を内部全反射プリズムP1側(図5において下方)に移動させる。これにより、プロジェクターPJはスクリーンSC上において天井から離れた位置に画像を投影することができる。
この時、第1成分ベクトルCV1は入出射面21bから離れるに従って、入出射面21bから出射したON光L2の光軸AX2から離れる方向に向かう。これにより、ON光L2の出射面32上の光軸AX2と交線NLとの距離D2を大きくしても、内部全反射プリズムP1に向かう照明光L1の光束のうち色分解合成プリズムユニットP2側の照明光L1の光線も入射面11に入射させ、照明光反射面12で全反射させることができる。
一方、デジタル・マイクロミラー・デバイスDP1、DP2、DP3のOFF状態のマイクロミラーMRで反射したOFF光L3は入出射面41からOFF光分離プリズムP4に入射した後にOFF光反射面42で全反射し、OFF光出射面43から光学ユニットPUの外部へ排出される。そして、光学ユニットPUから排出されたOFF光L3は光吸収部材PMにより吸収される。これにより、OFF光L3の投影光学系LNへの入射を防止することができる。したがって、投影画像のコントラストの低下を防止することができる。
この時、光吸収部材PMはOFF光出射面43から離れて設けられている。これにより、OFF光L3を吸収した光吸収部材PMの熱の光学ユニットPUへの伝熱を低減することができる。したがって、光学ユニットPUの温度上昇を抑え、光学ユニットPUの熱変形等を防止することができる。その結果、光学ユニットPU及びプロジェクターPJの長寿命化を図ることができる。
なお、ON状態及びOFF状態の一方から他方へ移行中のマイクロミラーMRで反射した照明光L1(フラット光)はマイクロミラーMRの法線方向に対して照明光L1の入射光とは反対方向へ反射される。フラット光やカバーガラスCGでの照明光L1の反射光もOFF光分離プリズムP4に入射した後にOFF光出射面43から出射される。これにより、フラット光やカバーガラスCGでの照明光L1の反射光の投影光学系LNへの入射を防止することができる。したがって、投影画像のコントラストの低下を一層防止することができる。
ここで、各OFF光分離プリズムP4において、OFF光反射面42への入射角度が最も大きいON光L2の光線のOFF光反射面42への入射角度θONと、OFF光反射面42への入射角度が最も小さいOFF光L3の光線のOFF光反射面42への入射角度θOFFとが以下の条件式(1)を満たすと、OFF光反射面42はON光L2を透過してOFF光L3をほぼ全反射することができるので好ましい。
θOFF>sin-1(1/n)>θON・・・(1)
ただし、
θON:OFF光反射面42への入射角度が最も大きいON光L2の光線のOFF光反射面42への入射角度、
θOFF:OFF光反射面42への入射角度が最も小さいOFF光L2の光線のOFF光反射面42への入射角度、
n:OFF光分離プリズムP4の屈折率、
である。
例えば、OFF光分離プリズムP4の屈折率nを1.5168にした場合、入射角度θONを36.5°にするとともに入射角度θOFFを43.7°にすると条件式(1)を満たし、OFF光反射面42はON光L2を透過してOFF光L3をほぼ全反射することができる。
本実施形態の光学ユニットPUを用いたプロジェクターPJ及び比較例の光学ユニットを用いたプロジェクターについて、投影光学系LNの上下シフト量(Y方向のシフト量)を比較した。
図10は比較例の光学ユニットの側面断面図を示している。説明の便宜上、本実施形態の光学ユニットPUと同様な部分には同一の符号を付している。比較例では色分解合成プリズムユニットP2のプリズムP21の入出射面21bは、色合成されたON光L2の光軸AX2に対して垂直になっている。また、比較例では投影側プリズムP3を省いている。このため、本実施形態の射出面は投影側プリズムP3の出射面32に一致し、比較例の射出面はプリズムP21の入出射面21bに一致している。比較例のその他の構成は本実施形態の光学ユニットPUと同様である。また、上下シフト量は射出面上のON光L2の光軸AX2と交線NLとの距離D2(図6、図10参照)とした。なお、デジタル・マイクロミラー・デバイスDP2に対向する入出射面41と出射面32とのZ方向の距離D1は本実施形態及び比較例において85mmになっている。また、本実施形態及び比較例の照明光反射面12のXZ平面に対する傾斜角度は同じである。
本実施形態のプロジェクターPJの投影光学系LNの上下シフト量は26.6mmであったのに対し、比較例のプロジェクターの投影光学系の上下シフト量は19.0mmであった。このため、本実施形態の光学ユニットPUを用いた場合の上下シフト量は比較例よりも7.6mm長い。したがって、本実施形態の光学ユニットPUを備えたプロジェクターPJの投影光学系LNの上下シフト量を比較例の場合よりも長くすることができる。なお、本実施形態及び比較例において照明光L1のFナンバーは略同じであり、投影画像の輝度も略同じであった。
本実施形態によると、入出射面21bの外向きの第1法線ベクトルNV1を光軸平面APに投影したときにON光L2の光軸AX2に対して入射光L11の光軸AX1と同じ側に配されて第1法線ベクトルNV1を光軸平面APに投影した第1成分ベクトルC1は、入出射面21bから離れるに従って、入出射面21bから出射したON光L2の光軸AX2から離れる方向に向かう。これにより、ON光L2の出射面32(射出面)上の光軸AX2と交線NLとの距離D2を大きくしても、内部全反射プリズムP1に向かう照明光L1の光束のうち色分解合成プリズムユニットP2側の照明光L1の光線も入射面11に入射させ、照明光反射面12で全反射させることができる。したがって、投影光学系LNを配置した際に、射出されるON光L2(投影光)の光量の減少を防止しながら、投影光学系LNのY方向のシフト量を大きくして光学ユニットPUの使用性を向上させることができる。
また、プリズムP21(第1プリズム)及びプリズムP23(第1プリズム)はそれぞれダイクロイックコート面DR、DBを有し、色分解合成プリズムユニットP2(プリズムユニット)は、照明光L1の色分解とON光L2(投影光)の色合成とを行う。これにより、白色の照明光を容易に色分解できるとともに各色の投影光の色合成を容易に行うことができる。
また、入出射面21bを有するプリズムP21(第1プリズム)の入出射面21bに対向するダイクロイックコート面DR(対向面)の内向きの第2法線ベクトルNV2を光軸平面APに投影したときに光軸AX2に対して入射光L11の光軸AX1と同じ側に配されて第2法線ベクトルNV2を光軸平面APに投影した第2成分ベクトルCV2は、ダイクロイックコート面DRから離れるに従って、入出射面21bから出射したON光L2の光軸AX2から離れる方向に向かう。これにより、入出射面21bを傾斜させながらプリズムP21のZ方向の長さを十分確保することができ、デジタル・マイクロミラー・デバイスDPに導かれる照明光L1の光量の減少をより防止することができる。
また、照明光反射面12はON光L2の光束の外側に配置される。これにより、デジタル・マイクロミラー・デバイスDP2に対向する入出射面41と出射面32とのZ方向の距離D1で照明光L1の光束とON光L2の光束とを分離することができる。したがって、ON光L2が照明光反射面12を透過しないため、投影側プリズムP3を照明光反射面12に近接して対向配置する構成と比較してON光L2が通過する空気層(エアーギャップ)の数が少なくなる。したがって、光学ユニットPUにおけるON光L2の透過率を向上させることができ、投影画像の画質を向上させることができる。
また、照明光反射面12は内部全反射プリズムP1(反射部材)の全反射面により形成される。これにより、照明光反射面12上の照明光L1の光束の断面は、入射面11に入射する前の照明光L1の光束の断面よりも小さくなるため、照明光反射面12の大型化を抑制しながらON光L2の光量の減少をより防止することができる。また、照明光L1の照明光反射面12での反射効率を向上させることができ、ON光L2の光量の減少をより一層防止することができる。
また、法線方向にON光L2(投影光)の光軸AX2が配されるとともにON光L2が射出される出射面32(第2面)を有して入出射面21bのON光L2の出射方向側に配される投影側プリズムP3(射出側光学部材)を備える。これにより、投影画像の歪みを低減することができる。そして、照明光反射面12上における照明光L1の光束の色分解合成プリズムユニットP2(プリズムユニット)側の端部は、出射面32に対して色分解合成プリズムユニットP2と同じ側に配置され、照明光反射面12と出射面32との交線NLは出射面32上のON光L2の光束よりも外側に配置される。これにより、投影光学系LNのY方向のシフト量をより確実に確保することができる。
また、デジタル・マイクロミラー・デバイスDPを取り付けるための取付部を複数備え、各取付部をそれぞれプリズムP21、P22、P23に対応して配置している。デジタル・マイクロミラー・デバイスDPは回動軸を中心に回動する複数のマイクロミラーMRの各面の傾きがON/OFF制御されて照明光L1を強度変調することにより画像を形成する。これにより、光学ユニットPUにデジタル・マイクロミラー・デバイスDPを容易に取り付け、デジタル・マイクロミラー・デバイスDPによって生成した投影光を射出できる光学ユニットPUを容易に実現することができる。
各マイクロミラーMRは互いに直交する回動軸を二本有し、各マイクロミラーMRの駆動は二本の回動軸に関して行われる。これにより、投影画像の輝度を向上させることができる。そして、入出射面21bから出射したON光L2の光軸AX2を含むとともに、デジタル・マイクロミラー・デバイスDP2(一のデジタル・マイクロミラー・デバイスDP)の長手方向中央を通って短手方向に平行な平面は照明光反射面12に直交する。これにより、照明光L1の光束の断面をより小さくできるため、照明光L1の光束をより確実に照明光反射面12に導くことができる。
また、デジタル・マイクロミラー・デバイスDP1、DP2、DP3とプリズムP21、P22、P23との間にはそれぞれOFF光分離プリズムP4(第3プリズム)が配置される。OFF光分離プリズムP4は、デジタル・マイクロミラー・デバイスDPのON状態のマイクロミラーMRで反射されたON光L2(投影光)を透過するとともにデジタル・マイクロミラー・デバイスDPのOFF状態のマイクロミラーMRで反射されたOFF光L3(不要光)を反射するOFF光反射面42を有する。これにより、OFF光L3を色分解合成プリズムユニットP2に入射させずに光学ユニットPUの外部に排出することができる。したがって、OFF光L3の投影光学系LNの投影レンズ51、52への入射を防止することができる。その結果、迷光の発生を防止でき、投影画像のコントラストを向上させることができる。
また、条件式(1)を満たすと、OFF光反射面42はON光L2を透過してOFF光L3をほぼ全反射することができる。
また、プロジェクターPJは、光学ユニットPUと、光源1と、内部全反射プリズムP1(反射部材)に向けて照明光L1を出射する照明光学系2と、取付部に取り付けられたデジタル・マイクロミラー・デバイスDPに表示された画像をスクリーンSCに拡大投影する投影光学系LNとを備えている。これにより、光学ユニットPUを備えたプロジェクターPJを容易に実現することができる。
また、投影光学系LNは光学ユニットPUの入出射面21bに対向して配置されるとともに、内部全反射プリズムP1は入出射面21bから出射したON光L2の光軸AX2よりも下方に配置される。そして、投影光学系LNは上下方向に移動できる。これにより、上下シフトが可能なプロジェクターPJを容易に実現することができる。
<第2実施形態>
次に本発明の第2実施形態について説明する。図11~図14は第2実施形態の光学ユニットPUの斜視図、上面図、側面図及び側面断面図をそれぞれ示している。説明の便宜上、図1~図9に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態では色分解合成プリズムユニットP2の入出射面21b(第1面)の構成が第1実施形態とは異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
本実施形態の色分解合成プリズムユニットP2のプリズムP21の入出射面21bは、Y方向から見て、デジタル・マイクロミラー・デバイスDP1から離れるに従って投影光学系LNから離れる方向に傾斜している。また、投影側プリズムP3はY方向から見て三角形形状になっている。
なお、上記構成の光学ユニットPUを備えたプロジェクターPJの動作は第1実施形態と同様である。
本実施形態の光学ユニットPUを用いたプロジェクターPJ及び比較例の光学ユニットを用いたプロジェクターについて、投影光学系LNの上下シフト量(Y方向のシフト量)を比較した。比較例では図10と同様に第1成分ベクトルCV1は入出射面21bから出射したON光L2の光軸AX2と平行になっている。また、本実施形態及び比較例の射出面は投影側プリズムP3の出射面32に一致している。比較例のその他の構成は本実施形態の光学ユニットPUと同様にした。また、上下シフト量の測定は第1実施形態の場合と同様にした。なお、デジタル・マイクロミラー・デバイスDP2に対向する入出射面41と出射面32とのZ方向の距離D1は本実施形態及び比較例において85mmになっている。また、本実施形態及び比較例の照明光反射面12のXZ平面に対する傾斜角度は同じである。
本実施形態の光学ユニットPUを用いたプロジェクターPJの投影光学系LNの上下シフト量は31.5mmであったのに対し、比較例の光学ユニットを用いたプロジェクターの投影光学系の上下シフト量は27.6mmであった。このため、本実施形態の光学ユニットPUを用いた場合の上下シフト量は比較例よりも3.9mm長くなる。したがって、本実施形態の光学ユニットPUを備えたプロジェクターPJの投影光学系LNの上下シフト量を比較例の場合よりも長くすることができる。なお、本実施形態及び比較例において照明光L1のFナンバーは略同じであり、投影画像の輝度も略同じであった。
本実施形態でも第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第3実施形態>
次に本発明の第3実施形態について説明する。図15~図18は第3実施形態の光学ユニットPUの斜視図、上面図、側面図及び側面断面図をそれぞれ示している。説明の便宜上、図1~図9に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態では色分解合成プリズムユニットP2の構成が第1実施形態とは異なる。その他の部分は第1実施形態と同様である。
本実施形態の色分解合成プリズムユニットP2はプリズムP21、P22から成り、第1実施形態の色分解合成プリズムユニットP2に対してプリズムP23が省かれている。また、プリズムP23に対応するデジタル・マイクロミラー・デバイスDP3も省かれている。光源1はUHPランプから構成され、光源1と照明光学系2との間にはカラーホイール(不図示)が配される。
上記構成の光学ユニットPUを備えたプロジェクターPJの動作は、照明光L1が入射面11に入射した後では第1実施形態と同様である。なお、本実施形態では、デジタル・マイクロミラー・デバイスDP1には照明光L1の赤色成分が入射し、デジタル・マイクロミラー・デバイスDP2にはカラーホイールを通過した照明光L1の緑色成分と青色成分とが交互に入射する。
本実施形態の光学ユニットPUを用いたプロジェクターPJ及び比較例の光学ユニットを用いたプロジェクターについて、投影光学系LNの上下シフト量(Y方向のシフト量)を比較した。比較例では図10に示す構成と同様に色分解合成プリズムユニットP2のプリズムP21の入出射面21bは、色合成されたON光L2の光軸AX2に対して垂直になっている。また、比較例では投影側プリズムP3を省いている。このため、本実施形態の射出面は投影側プリズムP3の出射面32に一致し、比較例の射出面はプリズムP21の入出射面21bに一致している。比較例のその他の構成は本実施形態の光学ユニットPUと同様にした。また、上下シフト量の測定は第1実施形態の場合と同様にした。なお、デジタル・マイクロミラー・デバイスDP2に対向する入出射面41と出射面32とのZ方向の距離D1は本実施形態及び比較例において85mmになっている。また、本実施形態及び比較例の照明光反射面12のXZ平面に対する傾斜角度は同じである。
本実施形態の光学ユニットPUを用いたプロジェクターPJの投影光学系LNの上下シフト量は30.5mmであったのに対し、比較例の光学ユニットを用いたプロジェクターの投影光学系の上下シフト量は19.0mmであった。このため、本実施形態の光学ユニットPUを用いた場合の上下シフト量は比較例よりも11.5mm長くなる。したがって、本実施形態の光学ユニットPUを備えたプロジェクターPJの投影光学系LNの上下シフト量を比較例の場合よりも長くすることができる。なお、本実施形態及び比較例において照明光L1のFナンバーは略同じであり、投影画像の輝度も略同じであった。
本実施形態でも第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、高価なデジタル・マイクロミラー・デバイスDPの数を第1実施形態よりも少なくすることができる。
<第4実施形態>
次に本発明の第4実施形態について説明する。図19~図21は第4実施形態の光学ユニットPUの斜視図、側面図及び側面断面図を示している。説明の便宜上、図1~図9に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態では照明光反射面12の構成が第1実施形態とは異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
本実施形態の光学ユニットPUは内部全反射プリズムP1に替えて、ガラス基板81上にミラー面80aを形成したミラー部材80(反射部材)を備えている。照明光反射面12はミラー面80aにより形成される。ミラー面80aは高精度に研磨されたガラス基板81上に真空蒸着装置で金属(例えばアルミニウムや銀等)または誘電体多層膜をコーティングして形成される。
上記構成の光学ユニットPUを備えたプロジェクターPJにおいて、照明光学系2から出射された白色の照明光L1はミラー部材80のミラー面80aに入射する。ミラー面80aに入射した照明光L1はミラー面80aで反射した後に入出射面21bから色分解合成プリズムユニットP2に入射する。なお、本実施形態のプロジェクターPJのその後の動作は第1実施形態と同様である。
本実施形態の光学ユニットPUを用いたプロジェクターPJ及び比較例の光学ユニットを用いたプロジェクターにおいて、投影光学系LNの上下シフト量(Y方向のシフト量)を比較した。比較例では図10に示す構成と同様に色分解合成プリズムユニットP2のプリズムP21の入出射面21bは、色合成されたON光L2の光軸AX2に対して垂直になっている。また、比較例では投影側プリズムP3を省いている。このため、本実施形態の射出面は投影側プリズムP3の出射面32に一致し、比較例の射出面はプリズムP21の入出射面21bに一致している。比較例のその他の構成は本実施形態の光学ユニットPUと同様である。また、上下シフト量の測定は第1実施形態の場合と同様である。なお、デジタル・マイクロミラー・デバイスDP2に対向する入出射面41と出射面32とのZ方向の距離D1は本実施形態及び比較例において85mmになっている。また、本実施形態及び比較例の照明光反射面12のXZ平面に対する傾斜角度は同じである。
本実施形態の光学ユニットPUを用いたプロジェクターPJの投影光学系LNの上下シフト量は30.4mmであったのに対し、比較例の光学ユニットを用いたプロジェクターの投影光学系の上下シフト量は18.0mmであった。このため、本実施形態の光学ユニットPUを用いた場合の上下シフト量は比較例よりも12.4mm長くなる。したがって、本実施形態の光学ユニットPUを備えたプロジェクターPJの投影光学系LNの上下シフト量を比較例の場合よりも長くすることができる。なお、本実施形態及び比較例において照明光L1のFナンバーは略同じであり、投影画像の輝度も略同じであった。
本実施形態のように照明光反射面12をミラー部材80のミラー面80aにより形成しても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第5実施形態>
次に本発明の第5実施形態について説明する。図22~図25は第5実施形態の光学ユニットPUの斜視図、上面図、側面図及び側面断面図をそれぞれ示している。説明の便宜上、図1~図9に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態ではデジタル・マイクロミラー・デバイスDPの構成が第1実施形態とは異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
本実施形態の投影側プリズムP3の入射面31は入出射面21bに近接して対向する面31aと、照明光反射面12に近接して対向する面31bとから成る。面31a、31bはY方向で隣接している。また、出射面21の内部全反射プリズムP1側の端部は照明光反射面12に近接している。
図26は本実施形態のデジタル・マイクロミラー・デバイスDPのON状態及びOFF状態のマイクロミラーMRの斜視図を示している。本実施形態のデジタル・マイクロミラー・デバイスDPはマイクロミラーMRが一の回動軸RAに対して回動する点で、直交する2軸に対してマイクロミラーMRが回動する第1実施形態のデジタル・マイクロミラー・デバイスDPとは異なっている。その他は第1実施形態のデジタル・マイクロミラー・デバイスDPと同様である。
角度β及び角度γはそれぞれ12°になっている。これにより、マイクロミラーMRは基準状態(マイクロミラーMRの法線方向がZ方向に一致している状態)から回動軸RAを中心に-12°回動してON状態になり、+12°回動してOFF状態になる。これにより、デジタル・マイクロミラー・デバイスDPは一軸の回動軸RAに関してマイクロミラーMRの駆動を行うことによりON/OFFを表現する。また、デジタル・マイクロミラー・デバイスDPの近傍において、照明光L1の光軸AX1、ON光L2の光軸AX2及びOFF光L3の光軸AX3は同一平面上に配される。
上記構成の光学ユニットPUを備えたプロジェクターPJにおいて、照明光学系2から白色の照明光L1が出射されると、第1実施形態と同様にON光L2(投影光)が光学ユニットPUから射出される。これにより、スクリーンSC上に投影画像が投影される。
この時、プリズムP21の入出射面21bから出射したON光L2の一部は出射面13から内部全反射プリズムP1に入射し、照明光反射面12を透過した後に投影側プリズムP3に入射する。その後、ON光L2は投影側プリズムP3の出射面32から射出される。
第1実施形態及び第5実施形態において、デジタル・マイクロミラー・デバイスDPの入射光の光軸AX1と、ON状態のマイクロミラーMRで反射したON光L2(反射光)の光軸AX2との成す角度θ(不図示)はそれぞれ34°、24°になる。すなわち、第5実施形態の角度θは第1実施形態の角度θよりも小さい。このため、第1実施形態と同じ距離D1内においては、ON光L2と照明光L1とを完全に分離することができず、第1実施形態とは異なり、ON光L2は照明光反射面12を透過する。
一方、デジタル・マイクロミラー・デバイスDP1、DP2、DP3のOFF状態のマイクロミラーMRで反射したOFF光L3(不要光)は、それぞれプリズムP21、P22、P23の上面(Y方向において入射面11と反対側の端面)及び入出射面21bの上部から光学ユニットPUの外部へ排出される。
本実施形態の光学ユニットPUを用いたプロジェクターPJ及び比較例の光学ユニットを用いたプロジェクターについて、投影光学系LNの上下シフト量(Y方向のシフト量)を比較した。比較例では図10に示す構成と同様に、色分解合成プリズムユニットP2のプリズムP21の入出射面21bは、色合成されたON光L2の光軸AX2に対して垂直になっている。本実施形態及び比較例の射出面は投影側プリズムP3の出射面32に一致している。比較例のその他の構成は本実施形態の光学ユニットPUと同様にした。また、上下シフト量の測定は第1実施形態の場合と同様である。なお、デジタル・マイクロミラー・デバイスDP2に対向する入出射面41と出射面32とのZ方向の距離D1は本実施形態及び比較例において86mmになっている。また、本実施形態及び比較例の照明光反射面12のXZ平面に対する傾斜角度は同じである。
本実施形態のプロジェクターPJの投影光学系LNの上下シフト量は38.2mmであったのに対し、比較例の光学ユニットを用いたプロジェクターの投影光学系の上下シフト量は25.1mmであった。このため、本実施形態の光学ユニットPUを用いた場合の上下シフト量は比較例よりも13.1mm長くなる。したがって、本実施形態の光学ユニットPUを備えたプロジェクターPJの投影光学系LNの上下シフト量を比較例の場合よりも長くすることができる。なお、本実施形態及び比較例において照明光L1のFナンバーは略同じであり、投影画像の輝度も略同じであった。
本実施形態でも第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第6実施形態>
次に本発明の第6実施形態について説明する。図27~図29は第6実施形態の光学ユニットPUの斜視図、上面図及び側面断面図をそれぞれ示している。説明の便宜上、図22~図26に示す第5実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態では色分解合成プリズムユニットP2の構成が第5実施形態とは異なる。その他の部分は第5実施形態と同様である。
本実施形態の色分解合成プリズムユニットP2はプリズムP21、P22から成り、第5実施形態の色分解合成プリズムユニットP2に対してプリズムP23が省かれている。第3実施形態と同様に、色分解された照明光L1はデジタル・マイクロミラー・デバイスDP1、DP2に導かれ、色合成されたON光L2が出射面32から射出される。また、本実施形態でも第5実施形態と同様に、ON光L2は照明光反射面12を透過する。
本実施形態の光学ユニットPUを用いたプロジェクターPJ及び比較例の光学ユニットを用いたプロジェクターについて、投影光学系LNの上下シフト量(Y方向のシフト量)を比較した。比較例では図10に示す構成と同様に、色分解合成プリズムユニットP2のプリズムP21の入出射面21bは、色合成されたON光L2の光軸AX2に対して垂直になっている。本実施形態及び比較例の射出面は投影側プリズムP3の出射面32に一致している。比較例のその他の構成は本実施形態の光学ユニットPUと同様にした。また、上下シフト量の測定は第1実施形態の場合と同様である。なお、デジタル・マイクロミラー・デバイスDP2に対向する入出射面41と出射面32とのZ方向の距離D1は本実施形態及び比較例において86mmになっている。また、本実施形態及び比較例の照明光反射面12のXZ平面に対する傾斜角度は同じである。
本実施形態の光学ユニットPUを用いたプロジェクターPJの投影光学系LNの上下シフト量は38.2mmであったのに対し、比較例の光学ユニットを用いたプロジェクターの投影光学系の上下シフト量は25.1mmであった。このため、本実施形態の光学ユニットPUを用いた場合の上下シフト量は比較例よりも13.1mm長くなる。したがって、本実施形態の光学ユニットPUを備えたプロジェクターPJの投影光学系LNの上下シフト量を比較例の場合よりも長くすることができる。なお、本実施形態及び比較例において照明光L1のFナンバーは略同じであり、投影画像の輝度も略同じであった。
本実施形態でも第1実施形態と同様の効果を得ることができる。