JP7195572B2 - 低免疫状態の回復機能を有する細胞捕集材及び細胞捕集用カラム - Google Patents
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Description
(I-1) 芳香族置換基として非極性側鎖アミノ酸残基が10原子以上の長さのスペーサーを介して芳香核200個当たり1~100個の割合で結合した直鎖状芳香族ポリマーを備えた成型体からなる免疫抑制性細胞捕集材。
(I-2) 前記非極性側鎖アミノ酸残基が、ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、バリン及びこれらを含む直鎖状ペプチドからなる群から選択される少なくとも1種である、(I-1)に記載の捕集材。
(I-3) 前記スペーサーが直鎖状ポリアミンである、(I-1)又は(I-2)に記載の捕集材。
(I-4) 前記直鎖状芳香族ポリマーが、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリイミド又はこれらの誘導体である、(I-1)~(I-3)のいずれか一項に記載の捕集材。
(I-5) 前記直鎖状芳香族ポリマーが繊維に塗布されたものである、(I-1)~(I-4)のいずれか一項に記載の捕集材。
(I-6) 前記免疫抑制性細胞がレイタンシイ・アソシエイティッド・プロテインを細胞表面に有する細胞である、(I-1)~(I-5)のいずれか一項に記載の捕集材。
(I-7) 前記免疫抑制性細胞がTIGITを細胞表面に有する細胞である、(I-1)~(I-5)のいずれか一項に記載の捕集材。
(I-8) 前記免疫抑制性細胞がB細胞抗原又は顆粒球抗原とCD11b抗原とを高発現する細胞である、(I-1)~(I-5)のいずれか一項に記載の捕集材。
(II-1) (I-1)~(I-8)のいずれか一項に記載の捕集材が充填された免疫抑制性細胞捕集用カラム。
(II-2) 体外循環用である、(II-1)に記載のカラム。
(II-3) 細胞治療用である、(II-1)に記載のカラム。
(II-4) 感染症の治療、火傷の治療、癌の治療、癌の摘出手術後の癌の再発予防、又は敗血症予防に使用される、(II-1)~(I-3)のいずれか一項に記載のカラム。
本発明の免疫抑制性細胞捕集材は、芳香族置換基として非極性側鎖アミノ酸残基が10原子以上の長さのスペーサーを介して芳香核200個当たり1~100個の割合で結合した直鎖状芳香族ポリマーを備えた成型体からなることを特徴とする。
本発明における捕集対象細胞である免疫抑制性細胞とは、直接又はインターロイキン10等の抑制性サイトカインを産生してキラー細胞及びヘルパーT細胞の機能を抑制する血液細胞を意味する。その具体例としては、LAPを細胞表面に有する細胞であるLAP+CD4+制御性T細胞、LAP+CD8+制御性T細胞、LAP陽性のB細胞、単球細胞及び顆粒球細胞、TIGITを細胞表面に有するCD4 T細胞、CD8 T細胞及びB細胞、顆粒球抗原とCD11bを高発現している細胞(すなわち、Gr1highCD11bhighの細胞)、B細胞抗原を高発現する細胞などを挙げることができる。これらの細胞の存在はフローサイトメーター分析で確認することが可能である。LAP+CD4+制御性T細胞及びLAP+CD8+制御性T細胞の末梢血液中の存在量は個々の生体により異なるが、一般的にはそれぞれのT細胞サブセット中の0.2%~30%である。B細胞及び顆粒球ではLAP陽性の割合は1%~60%、単球では50%~100%である。
本発明の免疫抑制性細胞捕集材の最も簡便な製造方法としては、スペーサー残基を有するリガンド化合物を合成し、ハロアセトアミドメチル基等の反応性官能基を有するポリスルホン等の直鎖状芳香族ポリマーと反応させる方法、あるいは、スペーサー残基を有するポリスルホン等の直鎖状芳香族ポリマーとリガンド化合物とを反応させる方法がある。また、その成型体化には、得られたポリマーを溶剤に溶かして成形する方法、ポリマーを溶融成型する方法、既存の成型品に表面コートする方法などが採用される。既存の成型品に表面コートする場合は、直鎖状芳香族ポリマーでのコーティングを2回以上行うことができる。リガンド化合物は、その一端に上記反応性官能基を有し、他端に疎水性アミノ酸残基を持つものが好ましく採用される。
本発明の免疫抑制性細胞捕集用カラムは、上記の免疫抑制性細胞捕集材が充填されたものであることを特徴とする。
検体0.1 gを0.1M ピクリン酸・70%エタノール溶液10 mLに浸し、2時間緩やかに振とうした。次に、検体を70%エタノール溶液で洗浄し、洗浄液の黄色が消えるまで洗った。次に、検体を10~50 mLの1質量%ジエチルアミン・70%エタノール溶液に浸し、ピクリン酸を溶出させた。320 nmの吸光度からピクリン酸濃度を求め、吸着量を正確な検体重量で除して1グラム当たりのピクリン酸吸着量とした。この値はアミノ基量に相当する。
細胞の表面抗原の分析はベックマン・コールター社製のマルチレーザー・マルチカラーフローサイトメーター CytoFlex Sを用いて行った。7色~9色でのマルチカラー測定を行った。細胞表面染色用抗体としては、e-Bioscience社のフルオロセイン・イソチオシアネイト(FITC)標識抗ラット顆粒球マーカー(HIS48)抗体、フィコエリスリン-シアニン7 (PE-Cy7)標識抗ラットCD8a抗体、Biolegend社のペリジニン・クロロフィル・プロテイン-シアニン5.5 (PerCP-Cy5.5)標識抗ラットCD45RA抗体、フィコエリスリン(PE)標識抗ラットMHC-2抗体、PE標識抗ラットLAP抗体、アロフィコシアニン(APC)標識抗マウスLAP抗体、Alexa Fluor700標識抗ラットCD45抗体、アロフィコシアニン-シアニン7 (APC-Cy7)標識抗ラットCD4抗体、APC標識抗ラットCD11b/c抗体、APC標識抗マウスTIGIT抗体(Clone: 1G9)、及びベクトン・ディッキンソン社のV450標識抗ラットCD11b抗体、ブリリアント バイオレット605 (BV605)標識抗ラットCD3抗体を用いた。抗体の組合せの一例を示すと、FITC標識抗ラット顆粒球マーカー(HIS48)抗体、PerCP-Cy5.5標識抗ラットCD45RA抗体、PE標識抗マウスLAP抗体、PE-Cy7標識抗ラットCD8a抗体、APC標識抗マウスTIGIT抗体、Alexa Fluor700標識抗ラットCD45抗体、APC-Cy7標識抗ラットCD4抗体、V450標識抗ラットCD11b抗体、BV605標識抗ラットCD3抗体の9色の組合せで測定した。LAP及びTIGITについては比較抗体として対応するマウスIgGを用いた。
(KDH-V細胞の調製)
4-ジメチルアミノアゾベンゼン誘発肝癌細胞KDH-8 (矢野 諭、北海道医誌、68巻5号、654-664(1993))を完全培地(RPMI1400培地:ウシ胎児血清10体積%、2-メルカプトエタノール50μg/L、ストレプトマイシン50μg/mL、ペニシリン-G 50単位/mL)中で継代し、その中から浮遊細胞を集めて、上記完全培地で継代して、KDH-V細胞とした。生細胞率95%以上のものを用いた。
1×105個の癌細胞KDH-Vを0.5 mLのPBS(-)に浮遊させ、WKAH/Hkmラット(雄、8-16週令)の背部皮下に接種して、担癌ラットを調製した。接種後、12日で腫瘍径が平均1 cmになった。
リポポリサッカライド(大腸菌O111由来、フェノール抽出品;富士フイルム和光純薬株式会社125-05201;以下LPSと略称する)を生理食塩水に溶解して10 mg/mLの濃度とし、0.22μmの膜(MILLEX-GVフィルター・ユニット)で滅菌ろ過して、LPS溶液とした。体外循環の4時間前に、WKAH/Hkmラット(雄、10~12週令)の腹腔内にLPS溶液を体重1 kg当たり1 mL注射して、敗血症ラットを調製した。
(体外循環カラムの調製)
捕集材0.3 gを内径1 cm、内容積2 mLのポリプロピレン製円筒形カラムに充填し、体外循環カラムを作製した。カラムと回路に70%アルコールを通液して滅菌した後、体外循環直前にヘパリン添加生理食塩液(5単位/mL) 40 mLを2 mL/分の速度で流して前処理した。
体重350~450 gの担癌ラットを三種混合麻酔薬(生理食塩水1 L当たり、ドミトール7.5 mg、ミダゾラム「サンド」 400 mg、ベトルファール 500 mg含有;ラット体重 1 kg当たりドミトール0.375 mgの液を皮下注射)で全身麻酔し、左大腿の動脈と静脈とにカニュレーションし、動脈から脱血し、マイクロチューブポンプを用いて、体外循環カラムを通過させ、静脈に返血した。血流速度2 mL/分で30分間体外循環した。体外循環中ヘパリンを輸液ポンプ(テルフュージョン小型シリンジポンプTE-361N; テルモ社)を用いて100単位/時間で持続投与した。但し、敗血症ラットの麻酔の場合は、通常の使用量の90%量の麻酔薬を用いた。
(被覆用ポリマー1の調製)
ニトロベンゼン20 mLと硫酸40 mLの混合溶液を0℃に冷却後、2.6 g (0.02モル)のN-ヒドロキシメチル-2-クロロアセトアミドを0~10℃の温度で加えて溶解し、この溶液をユーデルポリスルホンP3500のニトロベンゼン溶液(88.4 g:0.2モル/1600 mL)に良く撹拌しながら加えた。更に、20℃で2時間撹拌した後、反応混合物を大過剰の冷メタノール中に入れ、ポリマーを沈殿させた。沈殿物をニトロベンゼン臭が無くなるまでメタノールで抽出した後、乾燥して90.0 gのポリマーを得た。このポリマーを2 Lのジメチルアセトアミドに溶解し、大過剰のメタノール中に入れて再沈殿させ、被覆用ポリマー1を得た。
ニトロベンゼン130 mLと硫酸270 mLの混合溶液を0℃に冷却後、13.6 g (0.11モル)のN-ヒドロキシメチル-2-クロロアセトアミドを0~10℃の温度で加えて溶解し、この溶液をユーデルポリスルホンP3500のニトロベンゼン溶液(44.2 g:0.1モル/500 mL)に良く撹拌しながら加えた。更に、20℃で2時間撹拌した後、反応混合物を大過剰の冷メタノール中に入れ、ポリマーを沈殿させた。沈殿物をニトロベンゼン臭が無くなるまでメタノールで抽出した後、乾燥して56.0 gのポリマーを得た。このポリマーを1 Lのジメチルホルムアミドに溶解し、大過剰のメタノール中に入れて再沈殿させた。
繊維の表面に付着している油剤等の異物を取り除くため、ポリエチレンテレフタレート繊維不織布(密度48 mg/cm3;日本バイリーン株式会社) 88.2 gを0.5質量%ジエチレントリアミン・ジメチルスルホキサイド溶液2 Lに浸し、105℃で20分間加熱した。水洗後、乾燥して87.2 gの洗浄不織布-1を得た。ピクリン酸吸着量は1μmol/gであった。
(捕集材合成:ポリマーの一次被覆処理)
先に調製した被覆用ポリマー1の6 gを800 mLのテトラヒドロフランに溶解し、この溶液に先に調製した洗浄不織布-1の40 gを浸し、24時間静置した後、フラスコ内で回転させながらテトラヒドロフランを蒸発させた。この不織布を1質量%ジエチレントリアミン・ジメチルスルホキサイド溶液2 Lに浸し、40℃で60分間加熱した。水洗後、乾燥して46 gの被覆不織布-1を得た。
先に調製した被覆用ポリマー2の1 gを400 mLのジメチルスルホキサイドに溶解し、この溶液に先に調製した被覆不織布-1の40 gを浸した後、フラスコ内で回転させながら25℃で真空下にジメチルスルホキサイドを蒸発させ、被覆不織布-2を得た。
ジエチレントリアミン1 g (9.6 mmol)、水200 mL及びジメチルスルホキサイド200 mLからなる溶液にクロロアセチル-L-ロイシン1.0 g (4.8 mmol)を加え、室温で3時間撹拌した後、20 gの被覆不織布-2を浸し、40℃の水浴中で2時間振盪した。不織布を水洗後、60℃の温水で6回抽出した後、乾燥して、ジエチレントリアミン/アセチル-L-ロイシン結合比が2であるジエチレントリアミン誘導体をリガンドとする不織布(本発明捕集材-1) 22 gを得た。不織布全体としてのピクリン酸吸着量は127μmol/gであった。不織布の最外層が被覆用ポリマー2で完全に覆われていると仮定すると、ジエチレントリアミンを含むリガンドが芳香核200個当たり50個に結合し、その内の半分の25個にアセチル-L-ロイシンが結合していることになる。
(リガンド結合)
ジエチレントリアミン1 mL (9.6 mmol)、水200 mL及びジメチルスルホキサイド200 mLからなる溶液にクロロアセチル-L-ロイシン2.0 g (10 mmol)を加え、室温で3時間撹拌した後、20 gの被覆不織布-2を浸し、40℃の水浴中で2時間振盪した。不織布を水洗後、60℃の温水で6回抽出した後、乾燥して、ジエチレントリアミン/アセチル-L-ロイシン結合比が1である不織布(本発明捕集材-2) 21 gを得た。不織布全体としてのピクリン酸吸着量は143μmol/gであった。不織布の最外層が被覆用ポリマー2で完全に覆われていると仮定すると、ジエチレントリアミンを含むリガンドが芳香核200個当たり50個に結合し、その全てにアセチル-L-ロイシンが1個結合していることになる。
(リガンド結合)
ジエチレントリアミン2 mL (20 mmol)、水200 mL及びジメチルスルホキサイド200 mLからなる溶液にクロロアセチル-L-イソロイシン2.0 g (10 mmol)を加え、室温で3時間撹拌した後、20 gの被覆不織布-2を浸し、40℃の水浴中で2時間振盪した。不織布を水洗後、60℃の温水で3回抽出した後、乾燥して、ジエチレントリアミン/アセチル-L-イソロイシン結合比が2であるジエチレントリアミン誘導体をリガンドとする不織布(本発明捕集材-3) 20 gを得た。不織布全体としてのピクリン酸吸着量は120μmol/gであった。
(リガンド結合)
ジエチレントリアミン2.1 g (20 mmol)、水200mL及びジメチルスルホキサイド200 mLからなる溶液にクロロアセチル-DL-バリン2.0 g (10 mmol)を加え、室温で3時間撹拌した後、20 gの被覆不織布-2を浸し、40℃の水浴中で2時間振盪した。不織布を水洗後、60℃の温水で3回抽出した後、乾燥して、ジエチレントリアミン/アセチル-DL-バリン結合比が2であるジエチレントリアミン誘導体をリガンドとする不織布(本発明捕集材-4) 21 gを得た。不織布全体としてのピクリン酸吸着量は133μmol/gであった。
<本発明捕集材-5の作製>
(被覆用ポリマー3の調製)
ニトロベンゼン150 mLと硫酸100 mLの混合溶液を0℃に冷却後、9.2 g (0.075モル)のN-ヒドロキシメチル-2-クロロアセトアミドを0~10℃の温度で加えて溶解し、この溶液をユーデルポリスルホンP3500のニトロベンゼン溶液(60 g:0.136モル/500 mL)に良く撹拌しながら加えた。更に、20℃で2時間撹拌した後、反応混合物を大過剰の冷メタノール中に入れ、ポリマーを沈殿させた。沈殿物をニトロベンゼン臭が無くなるまでメタノールで抽出した後、乾燥して63.0 gのポリマーを得た。このポリマーを1 Lのジメチルホルムアミドに溶解し、大過剰のメタノール中に入れて再沈殿させ、精製した。このポリマーの30 gをN-メチルピロリドンに溶解し、氷水上、撹拌下に20 mLのクロロアセチルクロライドを滴下して、20時間反応させた。反応混合物を大過剰の冷メタノール中に入れ、ポリマーを沈殿させ、30 gの炭酸水素ナトリウムを加えた2 Lの水に5時間浸漬した。水洗・乾燥後、このポリマーをジメチルホルムアミドに溶解し、メタノール中に入れ、ポリマーを再度、沈殿させ、真空乾燥し、29 gの被覆用ポリマー3を得た。
先に調製した被覆用ポリマー3の2 gを400 mLのジメチルスルホキサイドに溶解し、この溶液に先に調製した洗浄不織布-1の18 gを浸した後、フラスコ内で回転させながら25℃で真空下にジメチルスルホキサイドを蒸発させ、被覆不織布-3を得た。
ジエチレントリアミン0.6 g (5.8 mmol)、水200 mL及びジメチルスルホキサイド200 mLからなる溶液にクロロアセチル-L-ロイシン0.5 g (2.6 mmol)を加え、室温で3時間撹拌した後、10 gの被覆不織布-3を浸し、40℃の水浴中で2時間振盪した。不織布を水洗後、60℃の温水で3回抽出した後、乾燥して、10 gの本発明捕集材-5を得た。不織布全体としてのピクリン酸吸着量は110μmol/gであった。不織布の最外層が被覆用ポリマー3で完全に覆われていると仮定して、ジエチレントリアミンを含むリガンドが芳香核200個当たり25個に結合し、その半分にアセチル-L-ロイシンが1個結合していることになる。
(リガンド結合)
ジエチレントリアミン4 mL、水200 mL及びジメチルスルホキサイド200 mLからなる溶液に20 gの被覆不織布-2を浸し、40℃の水浴中で2時間振盪した。不織布を水洗後、60℃の温水で6回抽出した後、乾燥して、リガンドがジエチレントリアミンである不織布(比較捕集材-1) 20 gを得た。ピクリン酸吸着量は108μmol/gであった。
敗血症ラットを麻酔し、LPS投与後、4時間後に本発明捕集材-1のカラム、比較捕集材-1のカラム及び捕集材の入っていない空カラムで体外循環治療を30分間施行した。捕集材充填カラムの場合には、体外循環開始時と終了時に動脈から0.3 mLずつを採血し、白血球の表面抗原分析を行った。その結果を表1に示す。本発明捕集材-1を充填したカラムで治療した5匹の全てが生存したが、比較捕集材-1では4匹中1匹のみが生き残った。空のカラムで治療した2匹の場合及び無治療の5匹の場合は全数が翌日までに死亡した。
4匹のラットを用いて、LPS投与した後、敗血症ラットを麻酔し、4時間後に本発明捕集材-2~5のカラムを用いて体外循環治療を30分間施行した。体外循環開始時と終了時に動脈から0.3 mLずつを採血し、白血球の表面抗原分析を行なってLAP陽性率の低下を調べた。その結果を表5に示す。5匹のラット全てが生存したが、いずれも、LAP陽性率の顕著な低下が認められた。
癌細胞接種後7日目の担癌ラットを麻酔し、本発明捕集材-1のカラムで体外循環治療を30分間施行した。体外循環開始時と終了時に動脈から0.3 mLずつを採血し、白血球の表面抗原分析を行なった。その結果を表6に示す。T細胞とB細胞共にLAP陽性細胞の比率が低下し、TIGITも顕著に低下していることから本発明捕集材-1のカラムにより免疫が活性化されたことが分かる。
癌細胞接種後7日目の担癌ラットを麻酔し、本発明捕集材-2のカラムで体外循環治療を30分間施行した。体外循環開始時と終了時に動脈から0.3 mLずつを採血し、白血球の表面抗原分析を行なった。その結果を表7に示す。T細胞とB細胞共にLAP陽性細胞の比率が低下し、TIGITも顕著に低下していることから本発明捕集材-2のカラムにより免疫が活性化されたことが分かる。
Claims (10)
- 芳香族置換基として非極性側鎖アミノ酸残基が10原子以上の長さのスペーサーを介して芳香核200個当たり1~100個の割合で結合した直鎖状芳香族ポリマーを備えた成型体からなる免疫抑制性細胞捕集材であって、該スペーサーが直鎖状ポリアミンである、捕集材。
- 前記非極性側鎖アミノ酸残基が、ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、バリン及びこれらを含む直鎖状ペプチドからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の捕集材。
- 前記直鎖状芳香族ポリマーが、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリイミド又はこれらの誘導体である、請求項1又は2に記載の捕集材。
- 前記直鎖状芳香族ポリマーが繊維に塗布されたものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の捕集材。
- 前記免疫抑制性細胞がレイタンシイ・アソシエイティッド・プロテインを細胞表面に有する細胞である、請求項1~4のいずれか一項に記載の捕集材。
- 前記免疫抑制性細胞がTIGITを細胞表面に有する細胞である、請求項1~4のいずれか一項に記載の捕集材。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載の捕集材が充填された免疫抑制性細胞捕集用カラム。
- 体外循環用である、請求項7に記載のカラム。
- 細胞治療用である、請求項7に記載のカラム。
- 感染症の治療、火傷の治療、癌の治療、癌の摘出手術後の癌の再発予防、又は敗血症予防に使用される、請求項7~9のいずれか一項に記載のカラム。
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