JP7195523B2 - 歯科用補綴物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、歯科用補綴物の製造方法に関する。詳しくは、歯牙の窩洞及び/又は欠損部からなる被補綴部に、歯科用接着剤を用いて接着する(以下、このようにして接着することを、単に「使用する」ともいう。)ことにより補綴修復を行うための歯科用補綴物を製造する方法に関する。
歯科治療において、インレー、アンレー、クラウン、ブリッジ、インプラント上部構造などの歯科補綴物を作製する一手法として、歯科用CAD/CAMシステムを用いて切削加工する方法がある。歯科用CAD/CAMシステムとは、コンピュータを利用した歯科補綴物の作成システムであり、三次元座標データに基づいて歯科補綴物の設計を行い、当該設計に従った加工を行うように切削加工機を自動制御用して歯科補綴物を作成するものである。切削加工用の材料としては、ガラスセラミックス、ジルコニア、チタン、レジンなど様々な材料をブロック形状又はディスク形状としたもの(ミルブランクと呼ばれることもある。)が一般に用いられている。これらのなかでも、シリカ等の無機充填材、メタクリレート樹脂などを与える重合性単量体、重合開始剤等を含有する硬化性組成物の硬化体から成る歯科切削加工用レジン系材料は、その作業性の高さ、審美性、強度の観点から関心が高まっている。
このような歯科切削加工用レジン系材料として、例えば特許文献1には、平均粒径0.01~0.04μmの無機質充填材20~70重量%と、少なくとも1個の不飽和二重結合を持つメタクリレート又はアクリレートのモノマーと、加熱重合開始剤と、の組み合わせから成る混合物を、圧力50~300MPa、温度100~200℃の条件で加圧・加熱して重合・硬化させることで製造される歯科用レジン材料が開示されている。また、特許文献2には、約300nmより小さい平均直径を有する非重金属酸化物粒子と、重金属酸化物と、硬化性樹脂とを含む歯科材料が記載されている。さらに、特許文献3には、歯科用レジン材料の製造方法に関し、熱重合開始剤の10時間半減期温度に対して、規定の温度で重合することで、硬化時に発生するクラック等のひずみを抑制する方法が開示されている。
歯科切削加工用レジン系材料を歯科用CAD/CAMシステムを用いて切削加工して作成した補綴物は、通常、患者の口腔内にてプライマー処理行い、歯科用レジンセメント等を用いて接着されるが、その接着スキームは完全に確立されているとは言えず、稀に、修復後において前記補綴物が脱落する事例も報告されている。たとえば、非特許文献1には、前記補綴物の1種である、第一小臼歯用のハイブリッドレジンCAD/CAM冠の初期経過を調査した結果、1178事例のうち9%で脱離があったと報告されている。
特開平10-323353号公報 特開2011-207890号公報 特開2017-039665号公報 末瀬一彦. 保険診療に導入された「CAD/CAM冠」の初期経過に関する調査研究. The Journal of the Japan Academy of Digital Dentistry 2015, Vol.5, No.1, p85-93
前記非特許文献1では、脱離の原因についても考察されており、脱離事例の33%で前記CAD/CAM冠についてサンドブラスト処理が行われておらず、CAD/CAM冠の脱離とサンドブラスト処理との間に有意の相関性が認められたとしている。
サンドブラスト処理の目的は、補綴物の接着面における、清浄、機械的な凹凸構造の付与及びフィラーの露出であるとされ、チェアサイドでの試適による汚染を考慮すると、理想的には、サンドブラスト処理は試適完了後の接着直前に行うことが好ましいとされている。しかしながら、試適時の汚染は防湿などの対策を講じることにより或る程度防ぐことができ、また、上記サンドブラスト処理には特別な装置を必要とすることから、サンドブラスト処理は歯科技工所にて行われ、処理後かなりの時間が経過してから使用される(接着される)ことも多かった。
そして、本発明者らの検討によれば、使用する歯科切削加工用レジン系材料によっては、サンドブラスト処理をしてから使用するまでの時間が長い場合には、サンドブラスト処理直後に使用した場合と比べて接合強度が低下することがあることが明らかとなった(以下、このようにサンドブラスト処理後の時間の経過に伴って接着力が低下する歯科切削加工用レジン系材料を、「不安定レジン材料」ともいう。)。
そこで、本発明は、不安定レジン材料から作成した歯科用補綴物をサンドブラスト処理後長時間経過してから使用する場合であっても、サンドブラスト処理直後と同等の接着強度を得ることができるようにする方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するため、鋭意検討を行った。その結果、サンドブラスト処理後の補綴物を一定の湿度環境下で保管することで接着性の低下が抑制されること、及び一定の湿度環境下で保管できない場合であっても接着前に補綴物を真空加熱乾燥することで、接着性を回復させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、第一の本発明は、被補綴部に接着することにより補綴修復を行うための歯科用補綴物を製造する方法であって、前記歯科用補綴物は、重合性単量体、無機充填材及び重合開始剤を含んでなる硬化性組成物の硬化体からなり、被補綴部と接着される接着予定面がサンドブラスト処理されており、サンドブラスト処理した前記接着予定面の表面を原子間力顕微鏡観察したときの位相像の変位角のピークトップの位相角度が、サンドブラスト処理直後と、25℃、湿度60%の環境下で1週間保管した後とで、2.0度以上変化し、且つ当該サンドブラスト処理後24時間以上経過後に、歯科用接着剤を用いて被補綴部の表面に接着される歯科用補綴物であり、前記方法は、(1)少なくとも、前記サンドブラスト処理終了後1時間以内から前記接着を開始する6時間前までの間、前記歯科用補綴物を常に湿度が30%以下となる環境下で保存又は保管するか、又は(2)前記接着を開始する前6時間以内に前記歯科用補綴物を乾燥処理する、ことを特徴とする、歯科用補綴物の製造方法である。

上記本発明の方法においては、歯科用補綴物が重合性単量体、シリカ系無機充填材及び重合開始剤を含んでなる硬化性組成物の硬化体からなる歯科切削加工用レジン系材料を歯科用CAD/CAMシステムを用いて製造した歯科用補綴物であり、且つシランカップリング剤を含む歯科用接着剤を用いて接着される歯科用補綴物であることが好ましい。また、前記乾燥処理を減圧下に加熱処理することにより行うことが好ましい。
の本発明は、歯科用補綴物が重合性単量体、シリカ系無機充填材及び重合開始剤を含んでなる硬化性組成物からなる歯科切削加工用レジン系材料を歯科用CAD/CAMシステムを用いて製造した歯科用補綴物であり、且つシランカップリング剤を含む歯科用接着剤を用いて接着される歯科用補綴物である、本発明の方法で使用される歯科切削加工用レジン系材料であって、当該歯科切削加工用レジン系材料をサンドブラスト処理した後にその表面を原子間力顕微鏡観察したときの位相像の変位角のピークトップの位相角度が、サンドブラスト処理直後と、25℃、湿度60%の環境下で1週間保管した後とで、2.0度以上変化するものであることを特徴とする、前記歯科切削加工用レジン系材料である。

本発明によれば、不安定レジン材料から製造した歯科用補綴について、サンドブラスト処理から使用するまでの時間にかかわらず、サンドブラスト直後と同様な高い接着性を得ることができる。したがって、ハイブリッドレジンCAD/CAM冠などの前記補綴物を歯科技工所で製造して、輸送し、サンドブラスト処理装置を有しない歯科医院等で使用するような場合であっても接着力の低下を防ぐことができ、延いては修復後の脱離トラブルの発生率を著しく低減することが可能となる。
このような優れた効果が得られる作用機構は必ずしも明らかではないが、本発明者らによって確認された事実から、次のようなものであると考えている。
すなわち、先ず、サンドブラスト処理により高い接着強度が得られることに関しては、サンドブラスト処理により表面に微細な凹凸構造が形成されると共に無機充填材が露出し、サンドブラスト処理直後に接着を行った場合には、歯科用接着剤に含まれるシランカップリング剤が露出した無機フィラー表面のOH基と反応し、微細凹凸構造による接触面積の増大と相俟って高い接着強度が得られるようになるものと考えられる。
次に、通常の方法において不安定レジン材料で接着強度が低下する原因について考えると、本発明者らの検討により、(a)不安定レジン材料は吸水性が比較的高い材料であること、(b)不安定レジン材料からなる歯科用補綴物を湿度が30%を越える環境下で保存したときのサンドブラスト処理面を原子間力顕微鏡(AFM)により経時的に観察すると、その表面状態(表面の微細な凹凸構造)に変化が見られること、及び(c)当該変化が乾燥処理によって回復する(元の表面状態に戻る)こと、が明らかとなっている。
したがって、これらを総合して考えると、不安定レジン材料をサンドブラスト処理後に大気中で長時間保存又は保管した場合には、露出した無機充填材の表面近傍において吸湿により膨張したマトリックス樹脂が前記無機充填材の露出表面の一部を覆うような現象、或いは大気中の水分が無機充填材の露出表面近傍に集まって水和し、保護膜のようなものが形成されるといった現象、などの表面形状の変化を伴う現象が起こり、前記シランカップリング剤との反応が抑制されると同時に接着面積も減少して接着強度が低下してしまうものと考えられる。
最後に、本発明の効果が発現する機構について考えると、(1)においては、吸湿に伴う上記現象の発生自体を抑制することにより、また、(2)においては、恐らく上記現象が可逆性を有することによるものと思われるが、上記したような現象が一旦は起こるものの、乾燥処理により元の表面状態に回復したことにより、サンドブラスト処理から長時間経過後に使用した場合であっても高い接着力が得られるようになったものと考えられる。
本発明の製造方法は、被補綴部に接着することにより補綴修復を行うための歯科用補綴物を製造する方法であって、前記歯科用補綴物は、重合性単量体、無機充填材及び重合開始剤を含んでなる硬化性組成物の硬化体からなり、被補綴部と接着される接着予定面がサンドブラスト処理されており、サンドブラスト処理した前記接着予定面の表面を原子間力顕微鏡観察したときの位相像の変位角のピークトップの位相角度が、サンドブラスト処理直後と、25℃、湿度60%の環境下で1週間保管した後とで、2.0度以上変化し、且つ当該サンドブラスト処理後24時間以上経過後に、歯科用接着剤を用いて被補綴部の表面に接着される歯科用補綴物であり、前記方法は、(1)少なくとも、前記サンドブラスト処理終了後1時間以内から前記接着を開始する6時間前までの間、前記歯科用補綴物を常に湿度が30%以下となる環境下で保存又は保管するか、又は(2)前記接着を開始する前6時間以内に前記歯科用補綴物を乾燥処理する、ことを特徴とする。

本発明の製造方法の目的物である歯科用補綴物は、歯牙の窩洞及び/又は欠損部からなる被補綴部、より具体的には窩洞及び/又は欠損を有する歯牙の窩洞内表面、欠損部の表面、当該歯牙に築造された支台の表面等に、歯科用接着剤、好ましくはシランカップリング剤を成分として含む歯科用接着剤を用いて接着することにより補綴修復を行うための歯科用補綴物であり、インレー、アンレー、クラウン、ブリッジ、インプラント上部構造などがこれに該当する。
また、本発明の方法で製造される歯科用補綴物は、重合性単量体、無機充填材及び重合開始剤を含んでなる硬化性組成物の硬化体からなり、当該硬化体を前記歯科用補綴物の形状に成形又は加工した後に、被補綴部と接着される接着予定面がサンドブラスト処理され、当該サンドブラスト処理後24時間以上経過後に、歯科用接着剤を用いて被補綴部の表面に接着される歯科用補綴物である。
ここで、前記硬化性組成物の成分である重合性単量体としては、ラジカル重合性単量体やエポキシ化合物、オキセタン化合物などのカチオン重合性単量体などの公知の重合性単量体を用いる事ができるが、重合性の良さなどから、(メタ)アクリレート系の重合性単量体を使用するのが好適である。好適に使用できる(メタ)アクリレート系の重合性単量体を具体的に例示すると、次に示すものを挙げることができる。なお、これらラジカル重合性単量体は、すべて単独で、もしくは複数種を組み合わせて使用することができる。
(A1)単官能ラジカル重合性単量体
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、n-ステアリル(メタ)アクリレート、テトラフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシートリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
(A2)二官能ラジカル重合性単量体
2,2-ビス(メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス〔4-(3-メタクリロイルオキシ)-2-ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパン、2,2-ビス(4-メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-メタクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-メタクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2(4-メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)-2(4-メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2(4-メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)-2(4-メタクリロイルオキシジトリエトキシフェニル)プロパン、2(4-メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)-2-(4-メタクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-メタクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-メタクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン、およびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリレート、あるいはこれらのメタクリレートに対応するアクリレートのような-OH基を有するビニルモノマーと、ジイソシアネートメチルベンゼン、4,4‘-ジフェニルメタンジイソシアネートのような芳香族基を有するジイソシアネート化合物との付加から得られるジアダクトなど、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3-ブタンジオールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、およびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのメタクリレートあるいはこれらのメタクリレートに対応するアクリレートのような-OH基を有するビニルモノマーと、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)のようなジイソシアネート化合物との付加から得られるジアダクト、たとえば、1,6-ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)-2,2-4-トリメチルヘキサンなどを挙げることができる。
(A3)三官能ラジカル重合性単量体
トリメチロールプロパーントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパーントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパーントリ(メタ)アクリレート、トリス(2-(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレート)などを挙げることができる。
(A4)四官能ラジカル重合性単量体
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ジトリメチロールプロパーンテトラ(メタ)アクリレートなどのテトラ(メタ)アクリレート化合物、ヘキサメチルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサンのようなジイソシナネートの間に脂肪族を有するジイソシアネート化合物などを好適に用いることができる。
重合性単量体としては、歯科切削加工用レジン系材料の機械的強度の観点から、2官能以上のラジカル重合性単量体を用いることが好ましい。
前記硬化性組成物の成分である重合開始剤としては、熱によって重合開始種を発生する熱重合開始剤や光によって重合開始種を発生させる光重合開始剤などの重合開始剤が特に制限なく使用できる。歯科切削加工用レジン系材料を内部まで十分に硬化させることが可能であるという理由からは、熱重合開始剤を使用することが好ましい。
熱重合開始剤としては、対応する重合性単量体の重合機構に合致するものを、任意に使用する事が可能である。メタクリレート系などのラジカル重合性単量体の熱重合開始剤の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、p-クロロベンゾイルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、トリブチルボラン、トリブチルボラン部分酸化物、テトラフェニルホウ酸ナトリウム、テトラキス(p-フロルオロフェニル)ホウ酸ナトリウム、テトラフェニルホウ酸トリエタノールアミン塩等のホウ素化合物、5-ブチルバルビツール酸、1-ベンジル-5-フェニルバルビツール酸等のバルビツール酸類、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、p-トルエンスルフィン酸ナトリウム等のスルフィン酸塩類等が挙げられる。重合性が高いことから、過酸化物を用いる事が好ましい。これら熱重合開始剤は、単独で用いても、2種以上を混合して使用してもよい。
前記硬化性組成物における重合開始剤の配合量は、通常、重合性単量体100質量部に対して0.1~2.0質量部であり、好ましくは0.2~0.8質量部である。
前記硬化性組成物の成分である無機充填材は、歯科切削加工用レジン系材料の機械的強度、耐摩耗性や接着性の向上などの観点から配合されるものである。無機充填材としては、このような機能を発揮するものであれば特に限定されず、シリカ、アルミナ、チタン、ジルコニア、あるいは、それらの複合物などが使用できる。但し、バリウムガラスなどの吸湿性が比較的高い無機充填材を使用した場合、得られた歯科切削加工用レジン系材料の吸湿性が高くなる。好適に使用できるものを例示すれば、非晶質シリカ、シリカ-ジルコニア、シリカ-チタニア、シリカ-チタニア-ジルコニア、石英、アルミナ、ガラスなどの球形状粒子あるいは不定形状粒子を挙げることができる。
被補綴部の表面に接着する際に使用する歯科用接着剤における有効成分の1つであるシランカップリング剤との反応性が高いという理由からは、無機充填材としては、シリカ及び/又はケイ素と他の金属との複合酸化物を含むことが好ましく、無機充填材中50重量部~99重量部はシリカ及び/又は前記複合酸化物であることがより好ましい。
無機充填材の形状は、特に限定されるものではないが、球形状であることが好ましい。球形状の無機充填材を使用することにより、硬化体を、耐摩耗性、表面滑沢性、光沢持続性に特に優れたものとすることができる。なお、ここでいう球形状とは、走査型や透過型の電子顕微鏡の撮影像の画像解析において求められる平均均斉度が0.6以上であることを意味する。平均均斉度は0.7以上であることがより好ましく、0.8以上であることが更に好ましい。該充填材の平均粒子径は、0.001~1ミクロンであることが好ましく、0.01~0.5ミクロンであることが、接着性、耐摩耗性、表面滑沢性の観点からより好ましい。
無機充填材は、重合性単量体のマトリックスとのなじみをよくし、機械的強度や耐水性を向上させるために、表面処理を行ったものであることが好ましい。表面処理剤としては、一般的にシランカップリング剤が用いられ、特にシリカをベースとする無機粒子系の充填材においてはシランカップリング剤による表面処理の効果が高い。表面処理の方法は公知の方法で行えばよい。シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルメチルジメトキシシランなどが好適に用いられる。上記シランカップリング剤は、用いる重合性単量体に合わせて、好適なものを適宜選択すればよく、1種類あるいは2種類以上を合わせて用いることができる。
また、無機充填材は、予め重合性単量体と混合した後に硬化、粉砕する等して得られる有機-無機複合フィラーの形で配合しても良い。
前記硬化性組成物における無機充填材の配合量は、通常、重合性単量体100重量部に対して150~1000重量部であり、より好ましくは200~900重量部であり、特に好ましくは500~900重量部である。
前記硬化性組成物は、重合性単量体、重合開始剤及び無機充填材のほかに、任意の成分を含有する事が出来る。任意成分としては、例えば、蛍光剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料、抗菌材、X線造影剤などが挙げられる。
前記硬化性組成物を、サンドブラスト処理する前の歯科用補綴物の形状に成形又は加工する方法は特に限定されず、石膏模型などに前記硬化性組成物を築盛し、歯冠形状を作製し、重合硬化させる方法、前記硬化性組成物を3Dプリンタなどの積層造形装置を用いて歯科用補綴物を成型する方法などを用いることも可能である。得られた歯科補綴物の強度や気泡などの欠陥を含みにくいという理由から、前記硬化性組成物をブロック形状又はディスク形状に硬化させた硬化体をミルブランク(歯科切削加工用レジン系材料)とし、これを歯科用CAD/CAMシステムを用いて加工し、歯科補綴物とする方法を採用することが好ましい。このとき、歯科切削加工用レジン系材料の大きさや形状には制限はなく、目的に応じた大きさや形状のものを選択すればよい。
本発明の方法では、上記のようにして成形又は加工して得られた歯科用補綴物について、先ず、その接着予定面をサンドブラスト処理する。このとき、前記接着予定面以外の面をサンドブラスト処理することも可能である。なお、サンドブラスト処理とは、噴射加工の一種で、小径のグリットガラス球、けい砂、海砂などを空気で噴射させたり、重力で落下させたりして、素材表面を加工する方法であり、歯科分野、特に歯冠分野においては、アルミナ粒子を高圧力で表面に吹き付ける「アルミナサンドブラスト」が一般的に採用されている。本発明の方法でも歯冠分野で一般的に採用されるアルミナサンドブラスト処理を行うことが好ましい。アルミナサンドブラスト処理で使用されるアルミナ粒子は、通常、不定型の角ばった形状をしているため、それを吹き付けることで表面に無機フィラー表面が露出するばかりでなく、表面に微細な凹凸が形成され、表面積が増大し、接着強度(機械的結合力)の増加が期待できる。また、同時に表面に付着した研削屑や汚れなどを除去することもできる。なお、歯科切削加工用レジン系材料からなる補綴物に対するアルミナサンドブラスト処理においては、0.1~0.3MPaの圧力でアルミナ粒子を吹き付けることが一般的である。0.1MPa未満の場合、サンドブラスト処理の効果が低く、0.3MPaを超える場合、補綴物中の破損しやすい個所(例えばマージン等)でチッピングが生じやすくなる。
本発明の方法では、サンドブラスト処理には特別な装置を必要とするなどの理由からサンドブラスト処理は歯科技工所にて行われ、処理後かなりの時間が経過してから使用される(接着される)ことが多いという事情に鑑み、サンドブラスト処理を行った後、24時間以上経過させてから、歯科用接着剤を用いて被補綴部の表面に接着される(使用される)歯科用補綴物を製造の対象物とし、この点に大きな特徴を有している。
前記したように、不安定レジン材料を用いた歯科用補綴物では、サンドブラスト処理をしてから使用するまでの時間が24時間以上と長い場合には、サンドブラスト処理直後に使用した場合と比べて接合強度が低下することがあるが、本発明の方法を適用することにより、このような接合強度の低下を防止することができるようになる。本発明の効果が大きいという観点から、本発明の方法は、サンドブラスト処理後48時間以上経過後に使用する歯科用補綴物、特に72時間以上経過後に使用する歯科用補綴物を製造する方法として特に有用である。なお、使用までの経過時間の上限は、特に限定されず、たとえば3カ月若しくは6か月のような月単位であってもよく、又は1年若しくは2年のような年単位であってもよい。
また、本発明者らの検討によれば、(a)不安定レジン材料は吸水性が比較的高い材料であること、及び(b)不安定レジン材料からなる歯科用補綴物を湿度が30%を越える環境下で保存したときのサンドブラスト処理面の経時的な原子間力顕微鏡(AFM)観察で表面状態(表面の微細な凹凸構造)に変化が見られることが明らかとなっている。そして、当該変化はサンドブラスト処理した表面(サンドブラスト処理表面)を原子間力顕微鏡観察したときの位相像の変位角のピークトップの位相角度の変化に反映され、具体的には、サンドブラスト処理直後における前記ピークトップの位相角:D(deg)と、25℃、湿度60%の環境下で1週間保管した後における前記ピークトップの位相角:D(deg)との差の絶対値:|D-D|(deg)(以下、単に「位相角差」ともいう。)が大きいほど前記表面状態の変化が大きい(後述の参考例1~5参照)。
したがって、接着強度の低下がより起こり難いという観点からは、サンドブラスト処理される前記歯科用補綴物は、吸水性が低い、具体的にはJDMAS 245:2017の方法に従って決定される吸水量が0~30μg/mm、特に0~25μg/mmであるレジン材料(前記硬化性組成物の硬化体)又は位相角差が小さい、具体的には位相角差が2.0度(deg)未満であるレジン材料(前記硬化性組成物の硬化体)であることが好ましく、吸水性が低く且つ位相角差が小さいレジン材料(前記硬化性組成物の硬化体)からなるものであることがより好ましい。
発明では、効果がより顕著に発揮されるという観点からサンドブラスト処理される前記歯科用補綴物は、吸水性が高い、具体的にはJDMAS 245:2017の方法に従って決定される吸水量が30μg/mmを越えるレジン材料(前記硬化性組成物の硬化体)又は位相角差が大きい、具体的には位相角差が2.0度(deg)以上であるレジン材料(前記硬化性組成物の硬化体)を使用する。吸水性が高く且つ位相角差が大きいレジン材料(前記硬化性組成物の硬化体)からなるものであることがより好ましい。

なお、前記吸水量は、JDMAS 245:2017の方法に従い、次のように決定することができる。すなわち、まず、歯科切削加工用レジン系材料を切削加工機等により切り出し、横12±0.1mm、縦14±0.1mm、厚さ1±0.2mmの試験片に加工する。試験片の各面は、アルミナ研磨粉末等で光沢研磨を行う。この試験片を5枚用意し、縦、及び、横を0.01mm単位で測定し、中心及び各頂点付近の4点の計5点を0.01mm単位で測定し、平均厚さを求める。以上より求めた、縦、横、及び、厚さより試験片の体積Vを求める。
得られた試験片をまず、37±1℃に設定したデシケータ中に保管する。22時間後に試験片を取り出し、23±2℃のデシケータに2時間保管した後、試験片の重さを0.1mg単位で秤量する。24時間内における質量減が0.1mgより少なくなるまで前記乾燥手順を続け、測定を繰り返す。最終的な質量をm(μg)
乾燥を行った試験片を37±1℃の20mlの水中に1週間保存した後、取り出し、水滴を除去し、水中から取り出した時から1分後に秤量する。こうして得られた質量をm(μg)とする。
得られた質量m及びm、試験片の体積V(mm)を用いて、
式:W=(m-m)/V
により各試験片の前記吸水量W(μg/mm)を求めることができる。
また、位相角差:|D-D|(deg)は、次のようなAFM観察から求めることができる。
すなわち、AFM観察を行うには、まず、硬化体を試験片に加工する。切断機やCAD/CAM装置を用いて、任意の評価面を作製した後、耐水研磨紙を用いて評価面を研磨する。その後、評価面を補綴物の接着を行う際と同様のアルミナサンドブラスト処理を行う。イオン交換水にて、手早く洗浄を行った後、乾燥させる。
得られた試験片を、AFMにより観察し、表面の位相像を取得する。AFMの観察条件としては、特に制限はないが、試料への影響を最小限に抑えるために、非接触での観察条件であることが好ましい。測定の際に用いる探針としては、特に制限はない。例えば、シリコンカンチレバー、窒化シリコンカンチレバーを使用することができる。測定範囲としては、より広範囲を測定することが好ましいが、多大な測定時間を要する。そのため、少なくとも1ミクロン角以上の範囲で測定を行うことが好ましい。その他詳細な測定条件は適宜用いることができる。得られた位相像より、初期のピークトップの位相角度(D)を求める。ここでいう、ピークトップの位相角度とは、位相角度の分布におけるピークトップの位相角度である。
測定後の試験片は、所定の室温、湿度環境下で、不純物が付着しないような条件で1週間保管する。より好ましくは、初期のピークトップの位相角度測定時の位置を保持した状態での保管が好ましい。初期の位置を維持することで、1週間後の測定も同様の個所を測定することができるため、表面の荒れの影響を排除した、より確実な評価を実施することが可能となる。
1週間後、同様に位相像を取得し、ピークトップの位相角度(D)を得る。そして、得られたピークトップの位相角差(|D-D|)から、ピークトップの位相角度の変化の絶対値を計算することにより位相角差を求めることができる。
本発明の方法では、(1)少なくとも、前記サンドブラスト処理終了後1時間以内から前記接着を開始する6時間前までの間、前記サンドブラスト処理された歯科用補綴物を常に湿度が30%以下、好ましくは10%以下、更に好ましくは5%以下となる環境下で保存又は保管するか、又は(2)前記接着を開始する前6時間以内に前記サンドブラスト処理された歯科用補綴物を乾燥処理する必要がある。

前記(1)においては、遅くともサンドブラスト処理終了後1時間以内湿度が30%以下となる環境下とし、最低限使用開始の6時間前まで当該環境下で保存又は保管すればよいが、上記環境下での保存又は保管は、サンドブラスト処理終了後30分内に開始することが好ましく、使用開始の3時間前、特に1時間前までは続けることが好ましい。サンドブラスト処理された歯科用補綴物を湿度30%以下で保存する方法としては、環境の湿度を30%以下に保たれる方法であれば特に限定されず、乾燥剤を用いる方法(乾燥剤と共に密封する方法)、減圧環境下とする方法などが採用できる。
前者の方法で使用できる乾燥剤としては、実用的な使用量で、密閉された雰囲気内の湿度を30%以下、好ましくは10%以下、更に好ましくは5%以下にできるものであれば特に限定なく、公知のものを用いることができる。具体的な例を挙げれば、塩化カルシウムや酸化カルシウム、酸化マグネシウムや過塩素酸マグネシウム、硫酸ナトリウム無水塩や硫酸銅無水塩、五酸化二リンのような無機塩、濃硫酸や水酸化カリウムのような液体、モレキュラーシーブス、シリカゲル、活性アルミナ、クレイ系乾燥材、ゼオライト等を挙げることができる。特に、塩化カルシウム、五酸化二リン、酸化マグネシウム、酸化バリウム、活性アルミナが乾燥能力と取り扱いやすさの点で好ましい。
保存するための容器としては、密封できるものであれば特に限定されず、例えば袋体、ビン、ケース等が挙げられる。該容器は歯科補綴物と乾燥剤とが物理的に接触しないような構造となっていれば特に限定されない。
また、後者の方法を採用する場合には、湿度が30%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下となるように、減圧された容器内でサンドブラスト処理された歯科用補綴物を保存又は保管すればよい。そのときの真空度は、歯科用補綴物に意図しないダメージを与える可能性を排除しながら十分な吸湿防止効果が得られるという理由から、1.3×10-5~0.08MPaの範囲とすることが好ましい。減圧にして保存する容器としては、例えば、袋体、ビン、ケース等が挙げられる。容器は減圧可能な構造になっていれば特に限定されない。減圧で保存する方法としては、代表的には、デシケータ等の容器に入れ、真空ポンプで減圧にした後、容器を密閉する方法;密封包装機等を用いて真空パックする方法等がある。
袋体は歯科補綴物の形に合わせて形を変えられること、輸送時に余剰の空間が生じにくいことから、容器として好適である。袋体の素材としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロースアセテート、ポリアミド樹脂等が挙げられる。その素材の中で特に好ましくは、水分透過率の低いポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンである。また、これらは2種類以上を張り合わせて使用してもよい。さらには、樹脂とアルミ箔等とのラミネート、シリカ等の微粉を表面に蒸着させたフィルムも好適に用いられる。
本発明の方法では、前記(2)の方法を採用することにより、湿度が30%を超える環境下に保存又は保管した場合においても、接着性低下を抑制することができる。歯科用補綴物の乾燥処理方法としては、減圧乾燥、加熱乾燥等、送風乾燥など、公知の乾燥方法が特に制限なく使用できる。減圧乾燥を行う場合には、歯科用補綴物に意図しないダメージを与える可能性が低く、高い接着力回復効果が得られるという理由から、1.3×10-5~0.08MPaの範囲で乾燥することが好ましい。また、加熱乾燥する場合には、劣化など歯科用補綴物に対する悪影響を避けながら高い接着力回復効果が得られるという理由から60℃~120℃の範囲で行うことが好ましい。乾燥処理をより効率よく行える点から、減圧下に加熱処理を行うことが好ましい。具体的には、1.3×10-5~0.08MPaの減圧度において、60~120℃の温度範囲で行うことが好ましい。処理時間は、乾燥条件に応じて適宜決定すればよいが、通常は1時間~24時間の範囲である。
このような減圧・加熱乾燥は、市販の真空乾燥機を用いて行うこともできる。しかし、減圧チャンバーの容積が大きすぎる場合には、所定の条件に達するまでに時間を要し、エネルギーコスト的にも不利で、広い設置場所が必要となってしまう。このようなデメリットを解消するために、チャンバーの容積は、1リットル以下の容積で歯科用補綴物を収容可能な減圧チャンバー有する専用の小型真空乾燥機を使用することが好ましい。
減圧を行うポンプとしては、ドライ式、油回転式など公知の方法を用いて減圧を行うポンプを用いることができる。ドライ式のようなオイルフリーの方式で行うポンプを用いる方が、歯科用補綴物の汚染を防ぐことができるため、好ましい。
減圧乾燥における加熱としては、内部加熱方式、壁面加熱方式、温水循環加熱方式、マイクロ波加熱方式などの公知の方法を用いることができる、加熱効率の点から、内部加熱方式を用いることが好ましい。
以下に本発明に関する実施例、比較例、及び、参考例を示すが、本発明は該実施例に限定されるものではない。
本発明の目的物である歯科用補綴物は、重合性単量体、無機充填材及び重合開始剤を含んでなる硬化性組成物の硬化体からなるものであるが、このような硬化体は、歯科用CAD/CAMシステムで使用する切削加工用レジン材料であるミルブランクとして市販されており、容易に入手できる。そこで、本実施例等では、市販されているミルブランクをサンプルとして使用した。以下に使用したミルブランク(切削加工用レジン材料)と、その略号を示す。
EB:エステライトブロック(トクヤマデンタル社製)
HC:松風ブロックHC(松風社製)
LU:ラヴァアルティメット(スリーエムエスぺ社製)
CS:セラスマート(ジーシー社製)
KA:カタナアベンシアブロック(クラレノリタケ社製)。
実施例等でこれらサンプルについて行った、試験・評価方法を以下に示す。
1.初期引張接着強度評価
まず、ブロックを試験片に加工するため、切断機(IsoMet)を用いて、縦12mm×横14mm×厚さ3mmの試験片を切り出した後、#1500の耐水研磨紙を用いて評価面を研磨した。次に、試験片表面にアルミナサンドブラスト処理を行い、イオン交換水にて、超音波洗浄を行った後、エアー乾燥させた。作製した試験片の表面に直径3mmの孔を有する両面テープを貼り付け、ユニバーサルプライマー(トクヤマデンタル社製)を用いて表面処理を行った。さらに、その上面にエステセム(トクヤマデンタル社製)ペーストを塗布し、さらに直径8mm、長さ25mmの円筒状のSUS製アタッチメントを接着させた。その後、可視光照射機(LCT、カボデンタルシステムズジャパン社製)により試験片裏側より可視光照射を20秒間行った。最後に、接着試験片を37℃の水中に24時間浸漬することにより、アタッチメント付き接着試験片を得た。
万能試験機(オートグラフ、株式会社島津製作所製)を用いて、アタッチメント付き接着試験片をクロスヘッドスピード2mm/minにて引っ張り、引張接着強度を測定した。引張接着強度の測定は、各実施例あるいは各比較例について準備した5本の試験片のそれぞれについて測定した。そして、5回の引張接着強度の平均値を、初期引張接着強度とした。
2.1週間後引張接着強度評価
まず、ブロックを試験片に加工するため、切断機(IsoMet)を用いて、縦12mm×横14mm×厚さ3mmの試験片を切り出した後、#1500の耐水研磨紙を用いて評価面を研磨した。
次に、試験片表面にアルミナサンドブラスト処理を行い、イオン交換水にて、超音波洗浄を行った後、エアー乾燥させた。そのようにして得られた試験片を、各実施例、又は、比較例の条件で、1週間保管した。
1週間後、作製した試験片の表面に直径3mmの孔を有する両面テープを貼り付け、ユニバーサルプライマー(トクヤマデンタル社製)を用いて表面処理を行った。さらに、その上面にエステセム(トクヤマデンタル社製)ペーストを塗布し、さらに直径8mm、長さ25mmの円筒状のSUS製アタッチメントを接着させた。その後、可視光照射機(LCT、カボデンタルシステムズジャパン社製)により試験片裏側より可視光照射を20秒間行った。最後に、接着試験片を37度の水中に24時間浸漬することにより、アタッチメント付き接着試験片を得た。
万能試験機(オートグラフ、株式会社島津製作所製)を用いて、アタッチメント付き接着試験片をクロスヘッドスピード2mm/minにて引っ張り、引張接着強度を測定した。引張接着強度の測定は、各実施例あるいは各比較例について準備した5本の試験片のそれぞれについて測定した。そして、5回の引張接着強度の平均値を、1週間後引張接着強度とした。
3.AFM観察
まず、引張接着強度評価のときと同様の試験片を作製した。次に、評価面を同様のアルミナサンドブラスト処理を行った。イオン交換水にて、洗浄を行った後、エアー乾燥させた。
得られた試験片を、原子間力顕微鏡(ナノサーチ顕微鏡SFT-3500、株式会社島津製作所製)により観察し、表面の位相像を取得した。測定の際に用いる探針としては、シリコンカンチレバー(オリンパス社製)を使用した。測定範囲としては、1ミクロン角の範囲で実施した。
得られた位相像より、変位角の分布のピークトップを求め、それを初期の位相角度(D)とした。試験片は、測定後装置内に1週間静置し、保管した。1週間後、同様に位相像を取得し、ピークトップの位相角度(D)を得た。得られた変位角の差(D-D)から、位相角度の変化の絶対値を計算し、各歯科切削加工用レジン系材料の位相角度の変化とした。
4.吸水試験
まず、歯科切削加工用レジン系材料を切削加工機等により切り出し、横12±0.1mm、縦14±0.1mm、厚さ1±0.2mmの試験片に加工した。試験片の各面は、アルミナ研磨粉末(バイカロックス0.3CR、バイコウスキー社製)で光沢研磨を行った。この試験片を5枚用意し、縦、及び、横を0.01mm単位で測定し、中心及び各頂点付近の4点の計5点を0.01mm単位で測定し、平均厚さを求め、求めた縦、横、及び、厚さより試験片の体積Vを求めた。
得られた試験片を、37±1℃に設定したデシケータ中に保管した。22時間後に試験片を取り出し、23±2℃のデシケータに2時間保管した後、試験片の重さを0.1mg単位で秤量した。24時間内における質量減が0.1mgより少なくなるまで前記乾燥手順を続け、測定を繰り返した。最終的な質量mを得た。
乾燥を行った試験片を37±1℃の20mLの水中に1週間保存した後、取り出し、水滴を除去し、水中から取り出した時から1分後に秤量し、質量mを得た。
得られた質量m及びm、試験片の体積Vを用いて、式(1)より各試験片の吸水量Wを求め、その平均を歯科切削加工用レジン系材料の吸水量とした。
W=(m-m)/V 式(1)。
実施例1~4
表1に示す歯科切削加工用レジン系材料を用いて作成した試験片について、アルミナサンドブラスト処理を行った後に、初期引張接着強度及び1週間後引張接着強度を評価した。1週間後引張接着強度評価用サンプル(試験片)は、アルミナサンドブラスト処理した試験片を、容積約9リットルのデシケータ内に入れ、真空ポンプにより減圧し、0.04MPaとなるようにし、その減圧度を保ったまま23℃にて1週間保管した。なお、外気の温度及び湿度に基づいて計算されるデシケータ内の湿度は、24%である。結果を表1に示す。
実施例5及び6
表1に示す歯科切削加工用レジン系材料を用いて作成した試験片について、1週間後引張接着強度評価用サンプルにおけるアルミナサンドブラスト処理した試験片の保管条件を、五酸化二リン25gの入ったデシケータ内(温度23℃、湿度15%)で密閉保管するように変えた他は実施例1と同様にして初期引張接着強度及び1週間後引張接着強度を評価した。結果を表1に示す。なお、表中の維持率は、〔(1週間後引張接着強度)/(初期引張接着強度)〕×100 から求めた値である。
実施例7及び8
表1に示す歯科切削加工用レジン系材料を用いて作成した試験片について、1週間後引張接着強度評価用サンプルを、次のようなものとする他は実施例1と同様にして初期引張接着強度及び1週間後引張接着強度を評価した。すなわち、アルミナサンドブラスト処理した試験片を、内部環境が23℃、湿度65%であるデシケータ内に1週間密閉保管した後に、デシケータから取り出し、真空乾燥機(ヤマト科学社製)に入れ、0.04MPa、80℃で15時間乾燥したものを評価用サンプル(試験片)とした。結果を表1に示す。
比較例1~4
表1に示す歯科切削加工用レジン系材料を用いて作成した試験片について、1週間後引張接着強度評価用サンプルにおけるアルミナサンドブラスト処理した試験片の保管条件を、内部環境が23℃、湿度65%であるデシケータ内に密閉保管するように変えた他は実施例1と同様にして初期引張接着強度及び1週間後引張接着強度を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0007195523000001



比較例1~4に示されるように、何れの切削加工用レジン材料を用いて作成したサンプル(試験片)においても、23℃、湿度65%の環境下で1週間保管することにより引張接着強度は低下している(維持率12~90%)。特に比較例2~4における維持率は30%以下となっており、これら比較例で用いた切削加工用レジン材料は、不安定レジン材料に該当すると考えられる。
これに対し、実施例の1週間後引張接着強度は、何れの場合も初期引張接着強度と同等の値となっており(維持率:86%以上)、同一の切削加工用レジン材料を用いた比較例の結果と対比すると、維持率は何れも向上している。特に比較例2~4(維持率:12~29%)に対応する実施例の維持率は86%~94%であり、著しく向上している。
参考例1~5
表2に示す切削加工用レジン材料を用いて作成したアルミナサンドブラスト処理直後のサンプル(試験片)と、1週間保管後(保管条件は比較例と同一)のサンプル(試験片)について、初期引張接着強度及び1週間後引張接着強度の測定、AFM観察、並びに吸水量測定を行った。結果を表2に示す。
表2に結果から、維持率の著しく低い切削加工用レジン材料(参考例2~5)では、位相角度の変化が大きい傾向があること及び吸水量が多い傾向があることがうかがえる。
Figure 0007195523000002

Claims (4)

  1. 被補綴部に接着することにより補綴修復を行うための歯科用補綴物を製造する方法であって、
    前記歯科用補綴物は、
    重合性単量体、無機充填材及び重合開始剤を含んでなる硬化性組成物の硬化体からなり、
    被補綴部と接着される接着予定面がサンドブラスト処理されており、
    サンドブラスト処理した前記接着予定面の表面を原子間力顕微鏡観察したときの位相像の変位角のピークトップの位相角度が、サンドブラスト処理直後と、25℃、湿度60%の環境下で1週間保管した後とで、2.0度以上変化し、
    且つ当該サンドブラスト処理後24時間以上経過後に、歯科用接着剤を用いて被補綴部の表面に接着される
    歯科用補綴物であり、
    前記方法は、(1)少なくとも、前記サンドブラスト処理終了後1時間以内から前記接着を開始する6時間前までの間、前記歯科用補綴物を常に湿度が30%以下となる環境下で保存又は保管するか、又は(2)前記接着を開始する前6時間以内に前記歯科用補綴物を乾燥処理する、ことを特徴とする、歯科用補綴物の製造方法。
  2. 前記歯科用補綴物が重合性単量体、シリカ系無機充填材及び重合開始剤を含んでなる硬化性組成物の硬化体からなる歯科切削加工用レジン系材料を歯科用CAD/CAMシステムを用いて製造した歯科用補綴物であり、且つシランカップリング剤を含む歯科用接着剤を用いて接着される歯科用補綴物である、請求項1に記載の歯科用補綴物の製造方法。
  3. 前記乾燥処理を減圧下に加熱処理することにより行う、請求項1又は2に記載の歯科用補綴物の製造方法。
  4. 請求項2に記載の方法で使用される歯科切削加工用レジン系材料であって、当該歯科切削加工用レジン系材料をサンドブラスト処理した後にその表面を原子間力顕微鏡観察したときの位相像の変位角のピークトップの位相角度が、サンドブラスト処理直後と、25℃、湿度60%の環境下で1週間保管した後とで、2.0度以上変化するものであることを特徴とする、前記歯科切削加工用レジン系材料。
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