JP7194204B2 - 能動騒音制御装置 - Google Patents
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Description
図1は、能動騒音制御装置10において実行される能動騒音制御の概要を説明する図である。
本発明者等は、能動騒音制御による車両12の走行時に車室14内で発生するドラミングノイズの消音性能に関する実験を行った。以下にその実験結果を示す。以下の各実験では、図4Aに太線で示すゲイン特性及び図4Bに太線で示す位相特性を有する二次経路伝達特性Cの下で行われる。ただし、事前に測定された二次経路伝達特性Cの測定値C^は、図4Aに細線で示すゲイン特性及び図4Bに細線で示す位相特性であるとする。すなわち、本発明者等は、二次経路伝達特性Cを測定したときには細線で示す特性であったが、その後、能動騒音制御時には太線で示す特性に変化した状態を想定して、以下の各実験が行われた。
実験(1)では、能動騒音制御がオフの状態で、車両12を停止状態から加速させたときの車室14内のドラミングノイズの音圧レベルの測定が行われる。
実験(2)では、特開2007-025527号公報にて開示されている手法により能動騒音制御が行われている状態で、車両12を停止状態から加速させたときの車室14内の騒音の音圧レベルの測定が行われる。本実験では、事前に測定された測定値C^において、ドラミングノイズの制御対象周波数46Hzの成分の音圧が1/2(音圧レベルで6dB低減)となるように設定されている。
実験(3)では、本実施形態の能動騒音制御装置10により能動騒音制御が行われている状態で、車両12を停止状態から加速させたときの車室14内のドラミングノイズの音圧レベルの測定が行われる。実験(3)では、二次経路伝達フィルタC^の初期値を測定値C^とし、制御フィルタWの初期値を測定値C^の逆数(1/C^)とした。
図5は、実験(1)~(3)で測定された車室14内のドラミングノイズの音圧レベルを示すグラフである。
乗員の耳元(制御点)において、スピーカ16から出力された相殺音を、ドラミングノイズとは逆位相の音となるように調整することにより、ドラミングノイズを消音することができる。このような調整が行われるためには、スピーカ16から制御点までの音の伝達特性C(二次経路伝達特性C)が精度高く推定される必要がある。従来では、あらかじめ測定された二次経路伝達特性Cの測定値C^を用いて能動騒音制御が行われていた。しかし、二次経路伝達特性Cが変化した場合には、測定値C^は変化後の二次経路伝達特性Cと乖離する。そのため、制御点において、スピーカ16から出力された相殺音を、ドラミングノイズと逆位相の音となるように調整することができず、騒音増幅や異常音発生のおそれがある。
本実施形態の能動騒音制御装置10は、制御フィルタ係数更新部42における制御フィルタWの処理が第1実施形態と一部異なる。他の構成及び処理等については、第2実施形態は第1実施形態と同様である。
本発明者等は、能動騒音制御による車両12の走行時に車室14内で発生するドラミングノイズの消音性能に関する実験を行った。以下にその実験結果を示す。以下の各実験では、図4Aに太線で示されるゲイン特性及び図4Bに太線で示される位相特性を有する二次経路伝達特性Cの下で行われる。ただし、事前に測定された二次経路伝達特性Cの測定値C^は、図4Aに細線で示すゲイン特性及び図4Bに細線で示す位相特性であるとする。
実験(4)では、本実施形態の能動騒音制御装置10により能動騒音制御が行われている状態で、車両12を停止状態から加速させたときの車室14内の騒音の音圧レベルの測定が行われる。実験(4)では、二次経路伝達フィルタC^の初期値を測定値C^とし、制御フィルタWの初期値を測定値C^の逆数(1/C^)とした。また、ドラミングノイズの消音量が6dBとなるように、Wlim=|1/C^|に設定されている。
図6は、実験(1)、(3)、(4)で測定された車室14内の騒音の音圧レベルを示すグラフである。
57~62Hzにおいて、ウォータベッド効果と呼ばれる騒音増幅が発生している。特に、35Hz及び58Hz付近のピークが目立つ。これは、フィードバック制御では、制御対象周波数f0を中心とする狭帯域のみに対して消音できるように回路特性を合わせようとするが、制御対象周波数f0から離れた帯域では、回路特性と理想特性との間の誤差が生じるためである。
本実施形態の能動騒音制御装置10では、制御フィルタ係数更新部42は、更新式により更新後の制御フィルタWの係数W0、W1の大きさが所定値Wlimよりも大きい場合には、フィルタ係数W0、W1の大きさを所定値Wlimに補正する。これにより、制御対象周波数f0から外れた周波数帯における騒音増大を抑制することができる。
第1実施形態及び第2実施形態の能動騒音制御装置10は、1つの制御対象周波数f0の周波数成分のドラミングノイズを消音する。第3実施形態の能動騒音制御装置10では、n個の制御対象周波数f0~fn-1の周波数成分のドラミングノイズを消音する。
本実施形態の能動騒音制御装置10では、制御対象周波数f0~fn-1のそれぞれに応じて、制御対象信号抽出部26、信号生成部60及びフィルタ係数更新部62が設けられている。これにより、複数の制御対象周波数f0~fn-1のドラミングノイズを消音できる。
第1実施形態~第3実施形態の能動騒音制御装置10は、車両12の車室14内に設けられたスピーカ16から相殺音を出力させて騒音を消音する。これに対して、エンジン18を支持するエンジンマウントに設けられたアクチュエータ70により、エンジン18の振動を相殺する相殺振動を出力するようにしてもよい。
能動騒音制御装置10に、能動騒音制御の初期収束を向上させるために、制御フィルタW及び二次経路伝達フィルタC^の適切な初期値を保持し、設定する手段が設けられてもよい。
上記実施形態から把握しうる技術的思想について、以下に記載する。
22…マイクロフォン(誤差検出器) 26…制御対象信号抽出部
28…制御信号生成部 30…第1推定相殺信号生成部
32…推定騒音信号生成部 34…参照信号生成部
36…第2推定相殺信号生成部 38…調整フィルタ係数更新部
40…二次経路伝達フィルタ係数更新部 42…制御フィルタ係数更新部
46…加算器(第1仮想誤差信号生成部) 52…加算器(第2仮想誤差信号生成部)
70…アクチュエータ(制御アクチュエータ)
Claims (3)
- 制御点における音圧又は振動を検出した誤差検出器から出力される誤差信号、及び、制御対象周波数に基づいて、制御アクチュエータを制御する能動騒音制御を行う能動騒音制御装置であって、
前記誤差信号から制御対象周波数の信号成分を、実部及び虚部を有する複素数の制御対象信号として抽出する制御対象信号抽出部と、
前記制御対象信号を適応ノッチフィルタである制御フィルタにより信号処理して、前記制御アクチュエータを制御する制御信号を生成する制御信号生成部と、
前記制御対象信号を適応ノッチフィルタである調整フィルタにより信号処理して、推定騒音信号を生成する推定騒音信号生成部と、
前記制御信号を適応ノッチフィルタである二次経路伝達フィルタにより信号処理して、第1推定相殺信号を生成する第1推定相殺信号生成部と、
前記制御対象信号を前記二次経路伝達フィルタにより信号処理して、参照信号を生成する参照信号生成部と、
前記参照信号を前記制御フィルタにより信号処理して、第2推定相殺信号を生成する第2推定相殺信号生成部と、
前記誤差信号、前記第1推定相殺信号及び前記推定騒音信号から第1仮想誤差信号を生成する第1仮想誤差信号生成部と、
前記第2推定相殺信号及び前記推定騒音信号から第2仮想誤差信号を生成する第2仮想誤差信号生成部と、
前記制御対象信号及び前記第1仮想誤差信号に基づいて、前記第1仮想誤差信号の大きさが最小となるように前記調整フィルタの係数を遂次適応更新する調整フィルタ係数更新部と、
前記制御信号及び前記第1仮想誤差信号に基づいて、前記第1仮想誤差信号の大きさが最小となるように前記二次経路伝達フィルタの係数を遂次適応更新する二次経路伝達フィルタ係数更新部と、
前記参照信号及び前記第2仮想誤差信号に基づいて、前記第2仮想誤差信号の大きさが最小となるように前記制御フィルタの係数を遂次適応更新する制御フィルタ係数更新部と、
を有する、能動騒音制御装置。 - 請求項1に記載の能動騒音制御装置であって、
前記制御フィルタ係数更新部は、更新後の前記制御フィルタの係数の大きさが所定値よりも大きい場合には、前記制御フィルタの係数の大きさを所定値に補正する、能動騒音制御装置。 - 請求項1又は2に記載の能動騒音制御装置であって、
複数の前記制御対象周波数のそれぞれに対して、前記制御対象信号抽出部、前記制御信号生成部及び前記制御フィルタ係数更新部を有する、能動騒音制御装置。
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