JP7193141B2 - 溶解ケースを備えた縦保持型めっき装置 - Google Patents
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Description
この種のめっき装置のなかには、被処理品の板面大きさよりも少し小さな装着口が一つの側壁に貫通形成された処理槽を備えたものがある(例えば、特許文献1等参照)。側壁の装着口は槽内外を連通しているが、めっき処理時にはこの装着口の開口縁部へ被処理品の外周部を押し付け、これによって装着口を閉鎖できるようにしてある。また、処理槽内部には、装着口を介して被処理品の片面が臨む状態になるので、この状態で処理槽へ処理液を注入して被処理品の片面にめっきを施すようにするというものである。
ところで、一般的なめっき処理システムとして、処理槽とは別に溶解槽を設置して、これら処理槽と溶解槽との間で処理液を循環させるように構成されたものは周知である。溶解槽は、めっき側の金属を溶解させて処理液の濃度調整を行うため、処理槽内の処理液は常に濃度一定に安定する点で優れている。しかしながら、このようなめっきシステムでは溶解槽の設置により配管経路が長くなり、設備が大きくなり設置占有面積も広大化するという問題があった。
従来の縦保持型めっき装置では、気泡や老廃物等への対策が何ら採られていなかったため、被処理品に気泡や老廃物等が付着することは避けられなかったものと推察する。当然に、気泡や老廃物等が付着した部位から製品(集積回路チップ等)を切り出すことは不適であるため、それだけ被処理品の歩留まりは低下する。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、半導体基板等の被処理品をめっき処理するに際して、気泡や老廃物等の付着を徹底的に防止して平面度や平滑度を飛躍的に高めることができ、まためっき膜厚の均一化を可能にすることにより、被処理品の歩留まりを極限まで高めることができる溶解ケースを備えた縦保持型めっき装置を提供することを目的とする。
即ち、本発明に係る溶解ケースを備えた縦保持型めっき装置は、底体とこの底体を取り囲んで立ち上がる槽壁とを有して槽内に処理液を貯留可能にする槽本体を有しており、前記槽本体の前記槽壁には、板状を呈する被処理品の板面外周部と輪状に当接する開口縁部を形成しつつ当該開口縁部の内側に槽内外間を貫通させる装着口が設けられており、前記槽本体の槽内には、めっき側金属の小片を入れる透液性の溶解ケースが設けられていることを特徴とする。
前記槽本体の槽内には前記溶解ケースを支持する支持台が設けられており、前記支持台には前記溶解ケースの内部と前記槽本体の槽外とを唯一の直通関係で連通させる排液通路が設けられたものとするのがよい。
図1乃至図3は、本発明に係る縦保持型めっき装置1の一実施形態を示している。この縦保持型めっき装置1は、主要部として備える槽本体2の槽内に溶解ケース32が設けられたものである。
また、この縦保持型めっき装置1は、槽本体2に併設される状態で着脱装置3を有している。本実施形態では、これら槽本体2と着脱装置3とが装置フレーム4に支持されたベース5を介して並設されたものを例示してある。
まず、槽本体2について説明する。
槽本体2は、底体10とこの底体10を取り囲んで立ち上がる槽壁11とを有して、槽内を処理液Lの貯留用空間としている。底体10を平面四角形とした場合に槽壁11は底体10の4辺に配置された4つの壁部11a~11d(図2参照)を有することになる。なお、底体10の平面形状は特に限定されるものではなく、したがって壁部の枚数も限定されない。
装着口15が設けられた壁部11aは、重ね合わせ状態にして互いの間が固定される内枠体17及び外枠体18と、これら内枠体17と外枠体18との重合間で挟持状に保持される回転支持体19とを有して形成されている。内枠体17と外枠体18とは、それぞれの枠内開口(開口形状は円形とした)を合致させてある。
具体的には、内枠体17において回転支持体19を向く面と、回転支持体19において内枠体17を向く面との少なくとも一方の面、又は両方の面に、ベアリング球20を嵌め入れ可能な凹部を形成させてある。
ところで、内枠体17が回転支持体19を回転自在に保持させる構造部分(本実施形態においてベアリング球20を挟み込んだ部分)では、本来ならば、槽本体2内の処理液Lが漏洩しない構造とする必要がある。場合によっては、そもそもベアリング球20の挟み込み構造などの簡潔構造ではなく、回転支持構造自体に他の複雑な漏洩防止構造を備えたものを採用するのがよい。
具体的には、回転支持体19を導電性素材により形成するか、又は絶縁素材により形成したうえで被処理品Wの当接部15aと回転支持体19の外周面との間の導電を適宜の導電材によって確保する構造を採用してある。そして、外枠体18における枠内開口の内周面と、この内周面に対向するようになる回転支持体19の槽外方向を向く外周面との周間を利用して、被処理品W側をカソードに保持させるための導通接点25を設けてある。
換言すれば、槽本体2における処理液Lの漏洩を許容する構造部分と漏出液受け部27との間であって、処理液Lと接触するような位置に、導通接点25を設けてあると言うことができる。
従って、内枠体17が回転支持体19を回転自在に保持させる構造部分(ベアリング球20を挟み込んだ部分)を介して槽本体2の槽内から漏洩する処理液Lは、その一部が回転支持体19の槽外方向を向く外周面へと導かれ、導通接点25の摺接部分を潤して(液中給電状態となって)給電率を高めるという効果が得られる。
ケース本体32aのケース外壁は、例えばチタン等を素材として形成され、アミ構造、多孔構造、スリット格子構造などを備えたものとなっている。
溶解ケース32にニッケル、銅、金、銀、パラジウムなどのめっき側金属の小片33を入れておき、これら溶解ケース32の上端側からアノード液(例えば硫酸など)を供給することで、各溶解ケース32の側面から槽本体2の槽内へ処理液L(硫酸銅など)を供給することができる。
槽本体2の槽壁11には、一部の壁部(図例では壁部11cとした)に、処理液Lの貯留量を制限するためのオーバーフロー部35が設けられている。このオーバーフロー部35を設けることで、処理液Lの液面付近の汚損した老廃物を積極的に槽本体2の槽内から排出できるという利点もある。
排液通路39は、溶解ケース32の下端部に形成された小径の排液孔42と、槽本体2の槽外とを唯一の直通関係で連通させるようになっており、溶解ケース32のケース内で発生した老廃物(めっき側金属の小片33から出た老廃物)については、槽本体2の槽内へ一切漏れ出させることなく、槽本体2の槽外へと排出できるようになっている。
次に、着脱装置3について説明する。
着脱装置3は、槽本体2の着脱想定面(装着口15の開口縁部)に被処理品Wを押し付けたり、押し付け状態の被処理品Wを取り出したりするためのものであって、被処理品Wの保持機構45と、この保持機構45を槽本体2に対して近接離反させる方向で移動させる移動機構46と、この移動機構46に対して保持機構45を回転させる回転機構47とを有している。
この保持体50の外周部には、少なくとも1箇所で径方向外方へ突出するようにして回り止め片53が設けられている。この回り止め片53と係合する相手側の係合部55が、槽本体2の回転支持体19に設けられている。
回転機構47による保持体50(被処理品W)の回転速度は、被処理品Wが半導体基板である場合にあっては技術常識としてその外径が所定範囲に収まるものであることから、この外径との相関から、例えば2~3rpm程度とするのが好適とされる。
但し、この回転数に関しては、前記した噴出通路40から供給されるカソード液の有無や、カソード液の供給を噴流とするか否か等との相関によるものなので、カソード液の供給に関する条件が異なる場合には、必ずしも回転数に制限が付されるものではない。
言うまでもなく、移動機構46によって保持機構45や回転機構47が移動する際に、保持機構45によって保持される被処理品Wの中心高さや、回転機構47の回転中心高さなどは、槽本体2における装着口15の中心高さや、回転支持体19の回転中心高さと一致したものとされている。
またこのとき、保持機構45の保持体50に設けられた回り止め片53が回転支持体19の係合部55と係合しているため、回転機構47によって保持体50に付与される回転力が直接、回転支持体19に伝えられ、保持体50と回転支持体19とによって挟持状に保持された被処理品W共々、一体回転することになる。
次に、本発明に係る縦保持型めっき装置1の稼働状況を説明する。
はじめに、槽本体2は槽内に処理液Lが貯留されていない空の状態にする。そして移動機構46は保持機構45を槽本体2から離した位置で停止させ、回転機構47は保持機構45の保持体50を非回転とさせる。
次に、この状態で槽本体2の槽内(溶解ケース32の上端部)へアノード液を供給する。アノード液が槽本体2のオーバーフロー部35から溢れるようになった後、回転機構47を駆動させて被処理品Wに回転を付与する。
噴出通路40から噴出するカソード液は、槽本体2の槽内に貯留された処理液Lを撹拌する作用をも奏するため、処理液Lが濃度一定に安定されるという利点にも繋がる。
めっき処理中において被処理品Wは回転を続けるので、被処理品Wに対して気泡や老廃物等は付着することがない。もとより、溶解ケース32内で発生する老廃物はケース外へ漏れ出すことがない状態に管理されているため、槽本体2の槽内環境として老廃物が殆ど存在しない状態に保持されており、この点からも、被処理品Wに付着する老廃物は略ゼロと言えるレベルになる。また、被処理品Wの回転は、付着するめっき膜の膜厚を均一にする効果もある。
その後、移動機構46を動作させて保持機構45及び回転機構47を槽本体2から離れる方向へ移動させ、その後、保持機構45から被処理品Wを取り出すことで表面処理工程の1サイクルが完了する。
加えて、本発明に係る縦保持型めっき装置1によりめっきされた被処理品Wは、めっき膜の平面度や平滑度、めっき膜厚などに関して高品質を有するものであり、半導体製造等の業界における製品安定化や製品開発にとって寄与するところ大である。
例えば、回転機構47は、ディスクモーター等によって一軸駆動方式にすることは限定されない。例えば、保持体50の外周面にリングギヤを設け、このリングギヤに減速機を介すか又は介さないで外付けモーターによる回転駆動を付与するような構造としてもよい。
槽本体2において、装着口15を一面の壁部11aに対して設けることが限定されるものではなく、二面以上の壁部にも装着口15を設けることができる。この場合、各装着口15に対応させて保持気孔45、回転機構47及び移動機構46を設ければよい。
保持機構45の保持体50は、円盤形とすることが限定されるものではなく、四角盤状や多角形の盤状のものなど、他の形状を採用してもよい。
また、めっき側金属の小片33については、図1では球形のものを図示したが、板状や板状を巻いたもの、円柱形、角柱形、不定形などの塊状のものとしてもよい。
2 槽本体
3 着脱装置
4 装置フレーム
5 ベース
10 底体
11 槽壁
11a~11d 壁部
15 装着口
15a 当接部
17 内枠体
18 外枠体
19 回転支持体
20 ベアリング球
21 周溝
25 導通接点
27 漏出液受け部
28 ドレン孔
32 溶解ケース
32a ケース本体
32b 被覆体
33 小片
35 オーバーフロー部
37 支持台
39 排液通路
40 噴出通路
42 排液孔
45 保持機構
46 移動機構
47 回転機構
47a モーター本体
47a 回転駆動体
50 保持体
51 吸引孔
53 回り止め片
55 係合部
56 機構
57 移動台
58 ガイドレール
L 処理液
W 被処理品
Claims (4)
- 一面の壁部(11a)を、被処理品(W)の装着により閉鎖される装着口(15)を形成した着脱想定面としていて、内部に処理液(L)を貯留可能な槽本体(2)と、被処理品(W)を保持して槽本体(2)の外側から装着口(15)に押し付ける着脱装置(3)とを有する縦保持型めっき装置であって、
前記槽本体(2)の槽内には、めっき側金属の小片(33)が入れられておりかつアノード液が上端側から供給され側面及び下部から流出可能な透液性の溶解ケース(32)が、装着口(15)に対面して配置されており、
前記槽本体(2)の底には、溶解ケース(32)と装着口(15)との間で装着口(15)に近接して被処理品(W)に沿ってカソード液を上向き噴出供給する噴出通路(40)が設けられていることを特徴とする溶解ケースを備えた縦保持型めっき装置。 - 前記槽本体(2)の着脱想定面には、重ね合わせ状態に固定される内枠体(17)及び外枠体(18)と、これら内枠体(17)と外枠体(18)との重合間で回転可能に保持された回転支持体(19)とが設けられ、この回転支持体(19)に装着口(15)となる中央開口と、この中央開口の開口縁部であって被処理品(W)が押し付けられる当接部(15a)とが形成されており、
前記着脱装置(3)は、被処理品(W)を先端に保持する保持体(50)と、この保持体(50)を回転支持体(19)に向けて移動して被処理品(W)を回転支持体(19)の当接部(15a)に押し付ける移動機構(46)と、回転支持体(19)に押し付けた保持体(50)を回転支持体(19)とともに回転させる回転機構(47)とが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の溶解ケースを備えた縦保持型めっき装置。 - 前記噴出通路(40)は、カソード液を被処理品(W)に沿ってカーテン状に噴出するべく、装着口(15)に近接して複数並べて設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶解ケースを備えた縦保持型めっき装置。
- 前記溶解ケース(32)は、透液性を有する素材によりケース外壁が形成されたケース本体(32a)と、ケース本体(32a)を外側から包み込んでアノード液を側方へ流出させるが老廃物は不通過とさせる濾材により形成された被覆体(32b)とで形成されており、
前記溶解ケース(32)は装着口(15)に対面して複数並べて設けられ、複数の溶解ケース(32)を支持する支持台(37)には溶解ケース(32)の下部からアノード液を排出する排液通路(39)が設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の溶解ケースを備えた縦保持型めっき装置。
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