JP7193108B2 - 低毒性人体用洗浄剤、及び低毒性人体用洗浄液 - Google Patents

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本発明は低毒性頭髪用洗浄剤として使用される低毒性人体用洗浄剤に関し、詳しくは細胞毒性作用の低い界面活性剤を主成分とする低毒性頭髪用洗浄剤、及び該洗浄剤を配合成分中の主成分として
含有する、洗髪等に伴う皮膚障害を著しく軽減することが可能なシャンプーとして使用される低毒性人体用洗浄液に関する。
近年、人体および環境を清潔に保つため、多種多様の洗剤が使用されている。人体に関しては、シャンプー、ボディーソープ、フェイシャルソープ、クレンジングなどが日常的に用いられている。これらの洗剤の主成分は界面活性剤である。
一方で、界面活性剤が引き起こす皮膚毒性あるいは健康被害は古くから指摘されてきた(非特許文献1)。界面活性剤は皮膚から身体に容易に体内に入り込み、様々な細胞毒性や皮膚疾患を生じることも知られている(非特許文献1)。また、シャンプー(洗髪料)の過剰使用は薄毛や脱毛を引き起こすことも知られている。これは、界面活性剤が頭皮の毛包へ進入し、毛根細胞にダメージを与えるためである。とくに、アトピーや薬物過敏症、アレルギー性皮膚炎をもつ消費者に対しては、従来のシャンプーは強力な毒物となる。
以上説明したように、従来の洗髪料は皮膚細胞へ与える細胞毒性を十分に考慮して来なかった。また、シャンプーを構成する界面活性剤成分の細胞毒性を定量化したデータも存在しなかった。
現在市販されているシャンプーは、表1の一般的な分類法に示されるような様々な界面活性剤を含んでいる。
Figure 0007193108000001
本発明者等は、一般的なシャンプーが含有する界面活性剤成分の構成(イオンの型、含有量)を系統的に調べた。結果を表2に示す。
Figure 0007193108000002
表2において、横軸の「A1~A4」は油性髪用シャンプーの種類を、横軸の「B1、B2」はベビーシャンプーの種類を、横軸の「C1~C4」はレギュラーシャンプーの種類を、横軸の「D1~D9」はマイルドシャンプーの種類をそれぞれ表す。
また、縦軸の「AN1~AN5」は陰イオン性の界面活性剤の種類を、縦軸の「NI6~NI14」は非イオン性の界面活性剤の種類を、「CAT15、CAT16」は陽イオン性の界面活性剤の種類を、縦軸の「AM17~AM19」は両イオン性の界面活性剤の種類をそれぞれ表す。
表2から、一のシャンプーは複数個の界面活性剤を含むこと、またそれら合計量の合計はおおむね10~15質量%であることが判明した。しかし、安全性が比較的高いという評価を得ているシャンプーを含め、シャンプーの細胞毒性を正確に測定したデータは存在しない。また、シャンプーが含む界面活性剤の細胞毒性も測定されていない。したがって、安全なシャンプーを提供するためには、まず、シャンプーおよび界面活性剤の細胞毒性を網羅的に評価することが不可欠である。そこで、本発明者等は、我が国で安全性が比較的高いという評価を得ている10個以上のシャンプーを購入し、それらが含む界面活性剤成分を調査した。結果を表3に示す。また、それらが含むトリートメント成分、保湿剤、ペプチド、タンパク質分解物、コーティング成分、糖のプラス荷電体、植物エキス等々についても調査した(表3)。
Figure 0007193108000003
さらに、これらのシャンプー構成成分について、詳細な細胞毒性試験を網羅的に実施した。細胞毒性試験を実施したのは、界面活性剤等の生体への毒性は、細胞レベルの毒性試験で代替えできることが分かっているからである(非特許文献1)。細胞を用いる毒性試験は簡便であり、精度が高く、作用機序まで解明できるという利点を有する。
坂下 栄 (著) 合成洗剤 恐怖の生体実験 (元気健康ブックス) 単行本-1991/12 Marinovich M1, Viviani B, Galli CL. PMID: 20692893 The predominant role of surfactants in the modulation of toxicity of detergent products: An in vitro analysis of shampoos. Toxicol In Vitro. 1994 Feb;8(1):91-8. Merrick P1, Nieminen AL, Harper RA, Herman B, Lemasters JJ. Cytotoxicity screening of surfactant-based shampoos using a multiwell fluorescence scanner: Correlation with Draize eye scores. Toxicol In Vitro. 1992 Nov;6(6):543-7. Isaksson M1, Jansson L. Contact allergy to Tween 80 in an inhalation suspension. Contact Dermatitis. 2002 Nov;47(5):312-3. Bennike NH1, Johansen JD1. Sorbitan sesquioleate; a rare cause of contact allergy in consecutively patch tested dermatitispatients. Contact Dermatitis. 2016 Apr;74(4):242-5. doi: 10.1111/cod.12536. Epub 2016 Jan 25.
本発明者等は、市販されているシャンプー(表3)のヒト正常線維芽細胞に及ぼす細胞毒性について、実施例に記載されている方法で調べた(図1)。すなわち、細胞毒性の評価には、30分処理で細胞の50%を死滅させる濃度(ID50)を用いた。その結果、すべてのシャンプーは、細胞に30分間接触させるだけで、ほぼ同様に著しい細胞毒性を示した(表4)。表4から、細胞の50%を死滅させる濃度(ID50)は概ね500~1000μg/ml(0.05~0.1質量%)であった。言い換えれば、1~2000倍に希釈したシャンプーを細胞へ30分間投与すれば、50%の細胞が死滅することになる。
表4の結果より、シャンプーの一部を手に取り濡れた頭皮に塗布する場合、あるいは温水で薄めて頭部に塗布する場合、どちらの場合にも著しい細胞毒性が避けられないことが判明した。もし高濃度の界面活性剤が毛包に入り込めば、毛根細胞への毒性がもっと長い期間持続する可能性が予測される。一般に、シャンプーは界面活性剤を10~15質量%(10~15×10-2g/ml)含むので、界面活性剤の細胞毒性はシャンプーの細胞毒性の6~10倍強いことが予想される。したがって、細胞毒性の低いシャンプーを提供するためには、細胞毒性が十二分に低い界面活性剤を新に見いだす必要がある。また、同時に、細胞毒性が小さいトリートメント成分あるいは補助成分の使用も不可欠である。
Figure 0007193108000004
本発明は、細胞毒性が低い界面活性剤を新に見いだし、さらに該界面活性剤を用いた細胞毒性が低い低毒性人体用洗浄剤を開発し、さらに低毒性人体用洗浄剤を用いた細胞毒性が小さいシャンプー、ボディーソープ、フェイシャルソープ、クレンジングなどを提供することを課題とする。
本発明によれば、以下に示す低毒性頭髪用洗浄剤として使用される低毒性人体用洗浄剤、シャンプーとして好適に使用される低毒性人体用洗浄(シャンプー)が提供される。
[1]洗浄成分として界面活性剤を含む低毒性の人体用洗浄剤であって、該界面活性剤が下記構造式(1)で表されるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(別名:ポリソルベート)を該界面活性剤の主成分として50質量%以上含み、且つアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、または両性界面活性剤の少なくとも一つを補助洗浄成分として含み、細胞に30分間接触させることで細胞の50%を死滅させる濃度(ID50)が5,000μg/ml以上であると共に、洗浄力が40μg/mL以下であり、低毒性頭髪用洗浄剤として使用されることを特徴とする低毒性人体用洗浄剤。

Figure 0007193108000005
式中、R、R、Rの何れか一つは炭素数4~30の飽和脂肪酸基、または炭素数16~24の不飽和脂肪酸基であり、残りの二つは水素、または炭素数4~30の飽和脂肪酸基、または炭素数16~24の不飽和脂肪酸基である。また、ソルビタン脂肪酸エステルに縮合させたエチレンオキシドキ基の合計(x+y+z+w)の平均は、10から150の範囲内である。
[2]前記ソルビタン脂肪酸エステルが、
モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート20:R=ラウリン酸、R=H、R=H)、
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60:R=ステアリン酸、R=H、R=H)、
トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート65:R=ステアリン酸、R=ステアリン酸、R=ステアリン酸)、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80:R=オレイン酸、R=H、R=H)
のいずれかであるか、またはこれらの混合物であることを特徴とする前記1に記載の低毒性人体用洗浄剤。
[3]前記界面活性剤に、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルに属するオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンが主成分として50質量%以上含まれていることを特徴とする前記1又は2に記載の低毒性人体用洗浄剤。
[3]前記界面活性剤に、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルに属するオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンが主成分として50質量%以上含まれていることを特徴とする前記1又は2に記載の低毒性人体用洗浄剤。
]前記補助洗浄成分が、ラウロイルアスパラギン酸Na、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、コカミドプロピルベタイン、コカミドDEA、及びサーファクチンNaから選択される一以上の成分であることを特徴とする前記1~3のいずれかに記載の低毒性人体用洗浄剤。
]前記1~3のいずれかに記載の低毒性人体用洗浄剤を配合成分中の主成分として含み、該低毒性人体用洗浄剤に由来するポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの含有量の合計が、乾燥固形分として0.1~80質量%であり、低毒性シャンプーとして使用されることを特徴とする低毒性人体用洗浄液。
]前記補助洗浄成分の含有量の合計が、乾燥固形分として0.1~10質量%であることを特徴とする前記に記載の低毒性人体用洗浄液。
]毛髪保湿成分、毛髪トリートメント成分、毛髪栄養成分、頭皮保湿成分、頭皮栄養成分の少なくとも一つを乾燥固形分として合計0.1~90質量%含むことを特徴とする前記又はに記載の低毒性人体用洗浄液。
本発明の低毒性人体用洗浄剤は、細胞毒性を著しく抑えたものであり、低毒性頭髪用洗浄剤として使用されるものである。該低毒性人体用洗浄剤を含有するシャンプー等の低毒性人体用洗浄液を継続して使用することにより、シャンプー等の構成成分による毛根細胞や頭皮細胞へのダメージを最小限に抑え、シャンプー等による脱毛効果や皮膚障害の軽減を期待できる。低毒性人体用洗浄剤は、従来のシャンプーに劣らない洗浄能力を有している。
また、該シャンプーは、細胞毒性の低いトリートメント成分および頭皮細胞の増殖を促進するハーブ類を含むことができる。これにより、本発明の低毒性人体用洗浄剤は、毛髪頭皮の効果等洗浄効果に加え、毛髪のハリ・コシを改善する効果、毛髪に湿度やしっとり感を与える効果等が得られる。
市販のシャンプーが細胞増殖を阻害する効果を示す図である。 種々の界面活性剤が細胞増殖を阻害する効果を示す図である。 本発明の低毒性人体用洗浄剤(ポリソルベート系面活性剤)が細胞増殖を阻害する効果を示す図である。 本発明のシャンプーの試験品群IIが細胞増殖の阻害を防ぐ効果を示す図である。 洗浄力試験の概要を示す図である。
本発明者等は、低毒性の人体洗浄剤の開発に際し、種々の界面活性剤の細胞毒性を調べた。次に、その調査内容を詳しく説明する。
種々の界面活性剤の細胞毒性について、ヒト正常線維芽細胞を用いて系統的に調べた。界面活性剤としては、各種のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルに加え、市販シャンプーでよく使われている成分および構造が異なる成分を幅広く選んだ。なお、本明細書において、各種のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを総称して、ポリソルベート類とも記載する。
細胞毒性の調査は次のように行った。細胞に30分間、ポリソルベート類については、0、50、100、200、500、1000、2000μg/mLの濃度で、他の界面活性剤については、濃度0、100、200、500、1000、2000、5000μg/mLの濃度で添加し、ポリソルベート類やそれ以外の界面活性剤を洗い流した後、1週間培養した。次に、細胞を青色色素で染色し、写真撮影を行った。結果を、ポリソルベート類については図2に、市販シャンプーを構成する界面活性剤については図3に示す。図2、図3に基づいて、ID50を算出した結果を表5に示す。
Figure 0007193108000006
調査の結果、ポリソルベート類の細胞毒性は、他の界面活性剤に比べて著しく低いことが判った。とくに、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)が優れた結果を示し、その細胞毒性は、市販のシャンプーを構成する界面活性剤の約1000分の1であった(表5)。ポリソルベート類以外の界面活性剤は、ほぼ同様に強い細胞毒性を示した。なお、この結果は、ヒト表皮角化細胞を用いても同様であった。
本発明の低毒性人体用洗浄剤は、洗浄成分として界面活性剤を含み、該界活性性剤の主成分は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである。次に、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート類)について説明する。
ポリソルベート類は、ソルビタン脂肪酸エステルにエチレンオキシドが合計で約10~150分子縮合した構造を有し、下記構造式(1)で表される。ポリソルベート類は、下記構造式から判るように、ソルビトールの4個のOH基にポリオキシエチレン基が結合し、その一つから三つに脂肪酸が結合した構造を有する。ポリソルベート類は他の界面活性剤(直鎖上構造)と比較して独特な構造をもつ。
Figure 0007193108000007
式中、R、R、Rの何れか一つは炭素数4~30の飽和脂肪酸基、または炭素数16~24の不飽和脂肪酸基であり、残りの二つは水素、または炭素数4~30の飽和脂肪酸基、または炭素数16~24の不飽和脂肪酸基である。また、ソルビタン脂肪酸エステルに縮合させたエチレンオキシドキ基の合計(x+y+z+w)の平均は、10から150の範囲内である。
前記炭素数4~30の飽和脂肪酸としては、具体的には例えば酪酸(炭素数4)、吉草酸(炭素数5)、カプロン酸(炭素数6)、エナント酸(炭素数7)、カプリル酸(炭素数8)、ペラルゴン酸(炭素数9)、カプリル酸(炭素数10)、カプリン酸(炭素数10)、ラウリン酸(炭素数12)、トリデシル酸(炭素数13)、ミリスチン酸(炭素数14)、ペンタデシル酸(炭素数15)、パルミチン酸(炭素数16)、マルガリン酸(炭素数17)、ステアリン酸(炭素数18)、ノナデシル酸(炭素数19)、アラキジン酸(炭素数20)、ヘンイコシル酸(炭素数21)、ベヘン酸(炭素数22)、トリコシル酸(炭素数23)、リグノセリン酸(炭素数24)、セロチン酸(炭素数26)、モンタン酸(炭素数28)、メリシン酸(炭素数30)等が挙げられる。
前記炭素数16~24の不飽和脂肪酸としては、具体的には例えばパルミトレイン酸(炭素数16)、サピエン酸(炭素数16)、α-リノレン酸(炭素数18)、ステアリドン酸(炭素数18)、リノール酸(炭素数18)、γ-リノレン酸(炭素数18)、オレイン酸(炭素数18)、バクセン酸(炭素数18)、リノール酸(炭素数18)、エライジン酸(炭素数18)、エレオステアリン酸(炭素数18)、エイコサペンタエン酸(炭素数20)、ジホモ-γ-リノレン酸(炭素数20)、アラキドン酸(炭素数20)、エイコサジエン酸(炭素数20)、ミード酸(炭素数20)、パウリン酸(炭素数20)、ドコサヘキサエン酸(炭素数22)、ドコサペンタエン酸(炭素数22)、ドコサヘキサエン酸(炭素数22)、エルカ酸(炭素数22)、トリコシル酸(炭素数23)、ネルボン酸(炭素数24)等が挙げられる。
ソルビタン脂肪酸エステルに縮合させたエチレンオキシドキ基の合計(x+y+z+w)の平均は、10から150の範囲で定めることができる。該合計(x+y+z+w)の平均が小さすぎると、所望される低細胞毒性効果が得られない畏れがある。かかる観点から、該合計の平均の下限は、15が好ましく、より好ましくは17である。
一方、該合計の平均が大きすぎると、洗浄性が低下するおそれがある。かかる観点から、該合計の平均の上限は、130が好ましく、より好ましくは、100、80、60であり、更に好ましくは50、40、30であり特に好ましくは25である。
なお、本明細書において、界面活性剤の主成分とは、具体的には、50質量%以上を含まれる成分をいい、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。
ポリソルベート類の好ましい具体例としては、結合する脂肪酸残基の種類が異なる以下の4種<1>~<4>が挙げられる。
<1>モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート20:R=ラウリン酸、CR=H、CR=H)
<2>モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60:R=ステアリン酸、R=H、R=H)
<3>トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート65:R=ステアリン酸、R=ステアリン酸、R=ステアリン酸)、ポリソルベート65はステアリン酸のほかにパルミチン酸や他の脂肪酸を含んでいる。
<4>オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80:R=オレイン酸、R=H、R=H)
これらのポリソルベート類においては、前記合計(x+y+y+w)の平均は20であることが好ましく、その場合、合計(x+y+y+w)は10~30の範囲で変動し、好ましくは15~25の範囲で変動する。
なお、エチレンオキシドキ基の合計(x+y+z+w)が変動するのは、エチレンオキシドの縮合反応を厳密に制御できないためである。
本発明の低毒性の人体用洗浄剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80のいずれかを界面活性剤の主成分として含むポリソルベート類であるか、またはこれらの混合物を界面活性剤の主成分として含むポリソルベート類であることが好ましい。また、ポリソルベート類の中では、オレイン酸が1個結合したモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)は、最も毒性が低いので好ましい。ステアリン酸が1個結合したモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60)が次に好ましく、ラウリン酸を1個結合したモノラウリン酸はポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート20)は、ポリソルベート80やポリソルベート60に比べると毒性が強い。
次に、ポリソルベート類が低細細胞毒性であることにつき、更に詳しく説明する。
表5のデータから、界面活性剤の構造と細胞毒性の関係が示唆される。界面活性剤は親油基(疎水基)と親水基が結合したものである。親油基は多くの場合、脂肪酸のアルキル基から構成されている。親水基にはカルボン酸、アミノ酸、スルホン酸、アミン、糖鎖などがあり、多種多様な界面活性剤を提供する。多くの界面活性は親油基と親水基が直鎖上に結合しており、これらの構造を有する界面活性剤は親水基の種類に拘わらず、ほぼ同様に強い細胞毒性を示した。したがって、細胞毒性の主因は直鎖上のアルキル基であると予想される。なぜなれば、これらの界面活性剤の細胞毒性は、遊離脂肪酸(NaまたはK塩)が示す細胞毒性とほぼ同じだからである。
実際、本発明者等は、オレイン酸またはその誘導体が細胞膜に結合し、強い細胞毒性を示すことを見いだしている。細細胞毒性は、界面活性剤の濃度が低いときは生理機能の攪乱により、界面活性剤の濃度が高いときは細胞膜の破壊によることを観察している。前記したように、ポリソルベート類の中でも、特にポリソルベート8の細胞毒性はなぜ低いのだろうか。
ポリソルベート80の場合、4個の大きな親水基が放射状に外に向かって配位しており、その一つにオレイン酸が結合している。したがって、アルキル基は立体障害により、細胞膜に密着できず、その結果、細胞毒性を示さないことが推察される。あるいは、大きな親水基が単に細胞接着を妨げている可能性もある。ポリソルベート類は親水性が高く、臨海ミセル濃度が低いことも、細胞毒性が低いことと関係すると思われる。後述するように、洗浄能力に関しては、細胞毒性の強い界面活性剤とポリソルベート類との間には大きな違いはなかった。ポリソルベート類は、気泡性にはやや劣るが、低毒性の洗髪料の主成分となり得ることが判明した。
なお、ポリソルベート類は従来公知の安全性に優れる界面活性剤であるにもかかわらず、人体用の洗浄剤として用いられてこなかった。その理由としては、従来においては、泡立ちが良いほど優れた洗浄能力が発現すると考えられており、ポリソルベート類は気泡性にはやや劣るため、人体用洗剤に求められる洗浄能力が得られないと考えられていたからだと推察される。この問題については、本発明の低毒性人体用洗浄剤を含有する、シャンプーを例にとり、更に詳しく後述する。
次に、本発明の低毒性人体用洗浄液について説明する。
本発明の低毒性人体用洗浄液は、前記低毒性人体用洗浄剤を配合成分の主成分として含むものであり、界面活性剤の主成分として前記ポリソルベート類の一つまたは複数を主成分として含むものであり、人体の洗浄に必要な洗浄能力を有すると共に、安全性に優れるものである。低毒性人体用洗浄液は、水性液であることもできれば、油性液であることもできる。ここで、水性液とは水または水と水溶性溶媒の混合液をいう。また、油性液とは、油を含む液体をいう。水を含む油性液の場合には、油滴が水に分散する水中油滴(O/W型)エマルションか、水滴が油に分散する油中水滴(W/O型)エマルションのいずれかの構成をとってもよい。例えば、水溶液状のシャンプーは油分を安定に分散でき、油液状のクレンジングでは水分を安定に分散できる。ポリソルベート80およびポリソルベート20の臨界ミセル濃度(critical micelle concentration: CMC) は低いので、界面活性剤の能力は高い。また、親水性と親油性の相対的強度を表す親水親油バランス(HLB値)が大きいので、親水性の強度が高く、水中油滴(O/W型)エマルションを形成しやすいという特徴がある。
本発明の低毒性人体用洗浄液は、具体的には、シャンプー、ボディーソープ、フェイシャルソープ、またはクレンジング等として好適に用いられる。以下、本発明の低毒性人体用洗浄液につき、代表的なシャンプーを例にとって説明する。なお、本発明の低毒性人体用洗浄液はシャンプーに用いられるものに限定される。
本発明のシャンプーは、前記低毒性人体用洗浄剤(界面活性剤)を配合成分の主成分として含むものである。さらに、該低毒性人体用洗浄剤は、前記ポリソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80等のポリソルベート類)を界面活性剤の主成分として含むものである。
本明細書において、配合成分の主成分とは、具体的には、低毒性人体用洗浄液の配合成分全体の40質量%以上含まれる成分をいい、好ましくは50質量%以上である。
本発明の低毒性のシャンプーに含有されうる、前記低毒性人体用洗浄剤に由来するポリソルベート類の合計の含有量は、頭皮への安全性と発毛促進効果を勘案し、乾燥固形分として洗浄液全体の0.1~80質量%が好ましい。その下限は、0.5質量%であることがより好ましく、更に好ましくは1質量%、2質量%、特に好ましくは3質量%である。その上限は、50質量%であることがより好ましく、更に好ましくは30質量%、20質量%、特に好ましくは15質量%である。
また、シャンプー等の低毒性人体用洗浄液が含有する全成分の合計中のポリソルベート類の含有量は、10質量%以上であることが好ましく、より好ましくは20質量%以上であり、更に好ましくは30質量%であり、特に好ましくは40質量%である。また、その上限は、保湿剤や、毛髪改善剤や、頭皮保護剤などのトリートメント成分を配合する必要があることを考慮すると、概ね90質量%であり、好ましくは80質量%であり、より好ましくは70質量%、更に好ましくは60質量%である。
前記ポリソルベート類を含むシャンプーは、毒性が極めて低いにも係わらず、従来においては、ポリソルベート類はシャンプーの洗浄成分として用いられてこなかった。その理由としては、ポリソルベート類の気泡性(泡立ちのよさ)が悪いことがその理由として考えられる。
しかし、後述するように、本発明者等が調査した結果では、ポリソルベート類は、一般の界面活性剤に比べると気泡性には劣るもの、シャンプーに要求される十分な洗浄性を有していることが判った。これは、気泡性が水相と気相の界面で起きる現象であるのに対し、洗浄性は水相と固相の界面で起きる現象なので、洗浄性は気泡性とは大きな関係がないからであると考えることができる。なお、ポリソルベート類は気泡性には劣るものの、細胞毒性は極めて小さく、充分な洗浄性を有することは本発明者等が始めて発見した特性である。
次に、本発明のポリソルベート類を用いたシャンプーの気泡性(泡立ちのよさ)について詳しく説明する。
本発明者等は多くの界面活性剤ついて、ウィッグ(付け毛)を用いた泡立ち試験を行った。その結果、ポリソルベート類の気泡性は細胞毒性の強い界面活性剤より有意に低かった。ポリソルベート類の気泡性は、ポリソルベート80>ポリソルベート20>ポリソルベート60の順であった。
界面活性剤の気泡性は、水溶液の表面張力を低下させることに起因する。泡立ちは気相と水相の界面の安定性に依存する。界面活性剤の疎水基が気相面に並び、親水基が水相面に並ぶ。したがって、直鎖状の界面活性剤は界面上に規則正しく縦列し、泡の安定性を高める。また、親水基が荷電を帯びていれば互いに反発し、泡の安定性を高める。ポリソルベート類は非イオン性であり、大きな親水基が密な縦列を妨げることが予想される。ポリソルベート類では、オレイン酸が結合したポリソルベート80の泡立ちが最もよく、ステアリン酸が結合したポリソルベート60が最も劣っていた。泡立ちは脂肪酸のアルキル基の長さに依存することが報告されているが、オレイン酸とステアリン酸は同じ長さである。オレイン酸は二重結合を一個含み、シス型に折れ曲がった不飽和脂肪酸であり、ステアリン酸は直鎖上の飽和脂肪酸である。この違いが泡立ちに大きく影響したのは興味深い。ポリソルベート65はステアリン酸が3個結合しているので水への溶解性が低く、泡立ちも低かった。その結果、ポリソルベート類の気泡性は細胞毒性の強い界面活性剤より有意に低かった。ポリソルベート類の気泡性は、ポリソルベート80>ポリソルベート20>ポリソルベート60の順であった。
次に、シャンプー等の低毒性人体用洗浄液に加える各種の補助成分について説明する。
本発明のシャンプーは前記低毒性の人体用洗浄剤を含むものであり、該洗浄剤、さらに該シャンプーにはポリソルベート類に加え、泡の質量を改善するために、他の界面活性剤を補助成分として一つまたは複数個加えることができ、該補助成分としての界面活性剤は、前記低毒性人体用洗浄剤の一部を構成する。
具体的には、アミノ酸系界面活性剤(ココイルグルタミン酸2Na、ココイルグルタミン酸K、ココイルグルタミン酸TEA、ココイルアラニンTEA、ラウロイルメチルアラニンNa、ココイルメチルアラニンNa、ココイルメチルタウリンNa、ラウロイルサルコシンNa、スルホコハク酸(c12-14)パレス2-Na、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、ラウロイルアスパラギン酸Na、ココイルアルギニンエチルPCAなど)、ベタイン系界面活性剤(コカミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン)、スルホン酸系界面活性剤(オレフィン(C14-16)スルホン酸Na)、高級アルコール系界面活性剤(ラウリル硫酸Na、ラウレス硫酸Na、ラウレス-4カルボン酸Na、ココアンホプロピオン酸Na)、アミン系界面活性剤(ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘントリモニウムメトサルフェート、セテアラミドエチルジエトニウム加水分解コメタンパク、セテアラミドエチルジエトニウム サクシノイル加水分解エンドウタンパク)、ノニオン系界面活性剤(デシルグルコシド、コカミドDEA、ラウラミドDEA、ラウリルグルコシド)等が挙げられる、ペプチド性界面活性剤(サーファクチンNa)。これらの補助成分のうち、比較的細胞毒性の低いラウロイルアスパラギン酸Na、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、コカミドプロピルベタイン、コカミドDEA、サーファクチンNaの使用が好ましい。
前記補助洗浄成分としての界面活性剤の含有量の合計は、乾燥固形分として0.1~10質量%であることが好ましい。該含有量が少なすぎると、泡の質量を改善するという効果が得られないおそれがある。該含有量が多すぎると、細胞毒性が強くなるおそれがある。かかる観点から、その下限は、0.3質量%であることがより好ましく、更に好ましくは0.5質量%、特に好ましくは0.7質量%である。また、その上限は、8質量%であることがより好ましく、更に好ましくは7質量%、6質量%、5質量%、4.5質量%、特に好ましくは3質量%である。
本発明の低毒性のシャンプーには、トリートメント成分として、保湿剤あるいは毛髪改善剤、あるいは頭皮保護剤の一つ又は複数個を配合することが望ましい。トリートメント成分は、頭皮および毛髪の保湿あるいは化学成分の毒性を軽減する効果、毛髪のダメージを補修する効果、毛髪のハリ・コシを改善する効果、毛髪に湿度やしっとり感を与える効果等を有する。
トリートメント成分とは具体的には、各種界面活性剤(ココイルアルギニンエチルPCA、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・2-オクチルドデシル、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデセス-5、アルキル(C12,14)オキシヒドロキシプロピルアルギニンHCl、ココイルアルギニンエチルPCAなど)、ヨーグルト、アミノ酸・たんぱく質類(ケラチン、加水分解ケラチン、加水分解シルク、加水分解カゼイン、加水分解コラーゲン、加水分解コムギ、加水分解大豆タンパク質、グルタミン酸、アルギニン、アスパラギン酸Na、グリシンなど)、植物エキス類、セラミド類、ヒドロキシプロピルトリモニウム、ヒドロキシエチルウレア、プラチナナノコロイド、セラミド各種、ハチミツ、褐藻エキス、緑藻エキス、紅藻エキス、カギイバラノリキス、エクトイン、γ-ドコサラクトン、ベタイン、ベントナイト、トレハロース、セラミド3、ラミナリアオクロロイカエキス、加水分解ゴマタンパクPGプロピルメチルシランジオール、コメエキス、コメヌカエキス、メドウフォーム-δ-ラクトン)、アモジメチコン、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘントリモニウムメトサルフェートなどが挙げられる。
また、髪のキューティクルを保護してくれるトリートメント成分(セテアラミドエチルジエトニウム加水分解コメタンパク、セテアラミドエチルジエトニウム サクシノイル加水分解エンドウタンパク、アボガド油、ホホバ油、オリーブ油、植物オイル類、ラノリン、パルミチン酸エチルヘキシル、ラノリン誘導体、ミリスチン酸イソプロピル、スクワラン、ワセリン、脂肪酸アミド類、セラミド、ミネラルオイル、オレイン酸グリセリル、セタノール、オクチルドデカノール、水添ロジン酸ペンタエリスリチル、イソペンチルジオール、カチオン化セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キトサン、イソステアリン酸オクチルドデシル、安息香酸アルキル(C12-15)、18-メチルエイコサン酸(+ステアロキシプロピルジメチルアミン)、アーモンド油、ホホバ油、アルガニアスピノサ核油、ツバキ油、ラウリン酸イソアミル、メトキシケイヒ酸オクチル、ダイズステロール、バオバブ種子油、プルーン種子エキス、サフラワー油、シロバナルーピン種子油、マンゴー種子油、テオブロマグランジ フロルム種子脂、カラパグアイアネンシス種子油)、植物油、合成油剤など(アボカド油、コメ胚芽油、ハイブリッドヒマワリ油、スクレロカリアビレア種子油、ホホバ種子油、トリエチルヘキサイノン、スクワラン、トリエチルヘキサノイン、水添ポリイソブテン、コメ胚芽油、シア脂、ミリスチン酸オクチルドデシル、ユチャ油、クルミ種子油、コメヌカ油脂肪酸フィトステリル、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、キャンデリラロウ、マイクロクリスタリンワックス、イヌラクリスモイデエキス)、シリコン類など(ジメチコン、シクロメチコン、カチオン化ポリマー類)、ポリクオタニウムー11、ポリクオタニウム-55、ポリクオタニウム-7、リピジュア(ポリクオタニウム-64)、などポリクオタニウム類)、紫外線吸収剤(1.4-tert-ブチル-4‘-メトキシジベンゾイルメタン(t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン)、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル(メトキシケイヒ酸エチルヘキシルなど)。
さらに、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(オキシベンゾン-3)、PABAオキシベンゾン類、PABAエチル、アミルジメチルPABA、イソプロピルケイヒ酸エチル、エスクリン、エチルヘキシルトリアゾン、オクチルジメトキシケイヒ酸、オクタン酸グリセリル、オクチルトリアゾン、オクトクリレン、オリザノール、グアイアズレンスルホン酸エチル、グリセリルPABA、サリチル酸イソセチル、サリチル酸オクチル、サリチル酸グリコール、サリチル酸フェニル、ジイソプロピルケイヒ酸エチル、ジイソプロピルケイヒ酸メチル、ジスチリルビフェニルジスルホンサン2Na、シノキサート、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジン、ジメチルPABA、ジモルホリノピリダジノン、ジフェニルカルボメトキシアセトキシナフトピラン、スピルリナプラテンシス、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸、ドロメトリゾール、ドロメトリゾールトリシロキサン、トリメトキシケイヒ酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、トコトリエノール、ナフタリンジカルボン酸ジエチルヘキシル、パラメトキシケイヒ酸イソプロピル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、フェニルベンズイミダゾ-ルスルホン酸、フェルラ酸、フェニルベンズイミダゾ-ルスルホン酸、ブメトリゾール、プロピオン酸オクチル、ベンゾトリアゾリルドデシルp-クレゾール、ベンゾトリアゾリルブチルフェノールスルホン酸Na、ホモサレート、メトキシケイヒ酸オクチル、メチルベンジリデンカンファ、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、コハク酸ジエチルヘキシル)等がトリートメント成分として挙げられる。
本発明のシャンプーに含有されうるトリートメント成分の合計の含有量は、頭皮への安全性と発毛促進効果を勘案し、乾燥固形分として好ましくは0.1~90質量%である。その下限は、1質量%がより好ましく、更に好ましくは、2質量%、特に好ましくは3質量%である。また、その上限は、50質量%がより好ましく、更に好ましくは30質量%、20質量%、10質量%、特に好ましくは7質量%である。
本発明のシャンプーは、毛包および頭皮細胞を活性化するハーブ抽出液を含有することができる。該ハーブ類としては、アムラ、クマノギク、タカサブロウ、ツボクサ、インドマツリ、チレッタセンブリ、ベルノキ、トゲバーレリア、セイヨウウメギ、セイロンニッケイ、カンゾウ、ブッソウゲ、ヨルソケイ、スイレン、ビャクダン、セイタカミロバラン、ユウガオおよびアロエベラから得られる一つまたは複数の抽出物を同時に配合してもよい。リシリコンブエキス、ローヤルゼリーエキス、カキタンニン、ローマカミツレ花エキス・ローズマリーエキス、トウキンセンカエキス、ヒヨコマメ種子エキス、アルニカ花エキス、オドリコソウ花エキス、ボタンエキス、プラセンタエキス・フユボダイジュ花エキス、センブリエキス・セイヨウキズタエキス・セイヨウアカマツ球果エキス、ニンニクエキス、ゴボウ根エキス、ゲンチアナエキス、カワラヨモギエキス・カミツレエキス、オランダカラシエキス、オドリコソウ花エキス、オタネニンジンエキス、オクラエキス、オオウメガサソウ葉エキス、ユズエキス、トコフェロール ガゴメエキス、ヒアルロン酸Na、ポリ-γ-グルタミン酸Na、システイン/オリゴメリックプロアントシアニジン、ムラサキ根エキス、ウコン根茎エキス、メントール、センブリエキス、オタネニンジン根エキス、ショウガ根茎エキス、アロエベラ葉エキス、トウガラシ果実エキス、ホノライト、バニリルブチル、アロエベラ葉エキス、ハイビスカス花エキス、オランダカラシエキス、ゴボウエキス、セイヨウキズタエキス、ニンニクエキス、加水分解ヒヨコマメ種子エキス、トコフェロール、アルニカ花エキス、オドリコソウ花エキス、ボタンエキス、プラセンタエキス・フユボダイジュ花エキス、センブリエキス・マツエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキスなどが挙げられる。
本発明の洗髪料に含有されうるハーブ類の合計の含有量は、頭皮への安全性と発毛促進効果を勘案し、乾燥固形分として好ましくは0.01~50質量%であり、より好ましくは0.1~10質量%である。
本明細書におけるハーブとは、インド亜大陸、中東、東南アジア等で採取される有用植物(果実、葉、茎、幹、樹皮、幼芽、花、果実、種子、根等の植物体の一部位又は複数部位の混合あるいは全草)をいう。本発明を特徴づける上述した植物の産地はとくに限定されない。いずれも植物体の葉、茎、幹、樹皮、幼芽、花、果実、種子、根等の植物体の一部位または複数部位の混合あるいは全草から抽出したものを使用できる。本発明の実施例3(試験品群II)では、アーユルヴェーダが推奨する部位を用いた。
植物から抽出物を得る場合、各部位を生のまま用いてもよいが、乾燥、細切、粉砕、圧搾または発酵等の前処理を適宜に施した後、低温ないし加温下で溶媒を用いて抽出する。その抽出方法はとくに限定されないが、例えば、上記植物体の一部位、または2種以上の部位を、低温もしくは室温~加温下の溶媒中に浸漬する方法があげられる。抽出時間は抽出溶媒の種類や抽出温度に応じて設定されるが、1時間から2週間程度が好ましい。抽出溶媒としては、例えば水、低級1価アルコール(メチルアルコール、エチルアルコール、1‐プロパノール、2‐プロパノール、1‐ブタノール、2‐ブタノール等)、液状多価アルコール(グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等)、低級エステル(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭化水素(ベンゼン、ヘキサン、ペンタン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジプロピルエーテル等)、アセトニトリル等が挙げられ、それらの一種又は二種以上を用いることができる。また、植物オイル(ゴマ油、ココナツ油、オリーブ油等)、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等を用いてもよい。必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、脱臭、脱色等の精製処理を行ってもよい。更に、必要により防腐防黴剤(フェノキシエタノール、パラオキシ安息香酸エステル類等)を添加後、低温下に1~2昼夜保存した後に濾過を施してもよい。
本発明を特徴づける植物の好ましい抽出方法の例としては、濃度0~100容量%の含水エチルアルコール又は1,3-ブチレングリコールを用い、室温、または加温して1~10日間抽出を行った後に濾過する方法が挙げられる。得られた濾液を低温ないし室温下にて更に1週間程度放置し、熟成させ、再び濾過を行う方法が挙げられる。
本発明の低毒性のシャンプーに対して、育毛・養毛補助成分を添加することができる。育毛・養毛補助成分として、例えば、セファランチン、γ-オリザノール、塩化カルプロニウム、アセチルコリン、トウガラシチンキ、カンタリスチンキ、ショウキョウチンキ、ノニル酸バニルアミド、サリチル酸、レゾルシン、乳酸、プラセンタエキス、ペンタデカン酸グリセリド、ヒノキチオール、アラントイン、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、ジンクピリチオン、ヒノキチオール、メントール、カンフル、感光素301号、冬虫夏草エキス、トランス-3,4,-ジメチル-3-ヒドロキシフラバノン、西洋オトギリソウエキス、オランダカラシエキス、クララエキス、コムギ胚芽エキス、サンショウエキス、その他女性ホルモン等、を加えることもできる。
本発明の低毒性のシャンプーに対して、毛髪保湿成分を添加することができる。毛髪保湿成分として例えば、アルギン酸、アルギン酸ソーダ、キシリトール、グルコース、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、キシリトール、ソルビトール、POEメチルグルコシド、マルチトール、マルトース、マンニトール、リシン、ハチミツ、ローヤルゼリー、コンドロイチン硫酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、アセチルヒアルロン酸ナトリウム、ムコイチン硫酸、カロニン酸、トラネキサム酸、ベタイン、トレハロース、キトサン、尿素、セラミド、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl-ピロリドンカルボン酸塩、可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、アシタバ抽出物、アスパラガス抽出物、イザヨイバラ抽出物、クインスシード抽出物、グアバ葉抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等、を加えることができる。
本発明の低毒性のシャンプーに対して、毛髪栄養成分として、例えば、アミノ酸、核酸前駆体、ビタミン類を加えることもできる。アミノ酸類とは20種の必須および非必須アミノ酸をいう。核酸前駆体とは、アデニン、グアニン、シトシン、ウラシル、チミン、およびこれらのリボース体および2-デオキシリボース体をいう。ビタミン類とは、ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D、E、K、葉酸、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸の13種またはそれらの誘導体をいう。これらの混合物でもよく、その一部の混合物でもよい。また、酵母や植物の抽出物を供給源に用いてもよい。
本発明の低毒性のシャンプーに対して、抗酸化成分として、例えば、アスタキサンチン、β-カロテン、γ-オリザノール、カイネチン、トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、フラボノイド、SOD、カタラーゼ、フラーレン、フィチン酸、フェルラ酸、クロロゲン酸、没食子酸プロピル、緑茶抽出物、ローズマリー抽出物、ローズヒップ抽出物、ショウブ抽出物、スギナ抽出物、ハマメリス抽出物、パセリ抽出物、ビワ葉抽出物、グレープフルーツ抽出物、シモツケソウ抽出物、ライチ抽出物、ヨモギ抽出物、モモ葉抽出物、マンゴウ抽出物、ボタンピ抽出物、マツ樹皮抽出物、白金、ユビキノン、α-リポ酸等、を加えることができる。
本発明の低毒性のシャンプーに対して、血行促進成分として、例えば、サンショウ抽出物、ショウキョウ抽出物、センキュウ抽出物、チンピ抽出物、トウガラシ抽出物、トウキ抽出物、ボタン抽出物、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル、カプサイシン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α-ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、アセチルコリン、セファランチン、γ-オリザノール等、を加えることができる。
本発明の低毒性のシャンプーに対して、抗炎症成分として、例えば、アミノカプロン酸、アラントイン、インドメタシン、ビサボロール、サポニン、塩化リゾチウム、アズレン、グアイアズレン、グアイアズレンスルホン酸塩、グリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体、サリチル酸及びその誘導体、ヒノキチオール、感光素、トラネキサム酸及びその誘導体、酸化亜鉛、ウコン抽出物、ゲンノショウコ抽出物、ボタン抽出物、レイシ抽出物、ワレモコウ抽出物等、を加えることができる。
本発明の低毒性のシャンプーに対して、前記成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲内で、外用剤に通常用いられる成分である油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、高級アルコール類、エステル類、水溶性高分子、界面活性剤、金属石鹸、アルコール、多価アルコール、pH調整剤、防腐剤、香料、粉体、増粘剤、色素、キレート剤等、を適宜配合することができる。
本発明の低毒性のシャンプーは、上記の成分に加えて、塩類を同時に配合することが望ましい。塩類とは、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、EDTA、ケイ酸塩等をいう。これらの塩類は、洗髪料の安定化あるいは洗浄効果を改善することができる。
本発明の低毒性人体用洗浄剤は、化粧品、医薬部外品、医薬品のいずれにも適用することができる。具体的には、低毒性人体用洗浄液として前記したように、シャンプーに用いることができ、それ以外にも、ボディーソープ、フェイシャルソープ、クレンジングとして用いることができる。更に、該低毒性人体用洗浄剤が用いられる用途として、例えば、育毛・養毛剤、ヘアートニック、ヘアーリキッド、頭部用ローション、頭部用乳液、頭部用クリーム、頭部用ムース、眉毛用美容液、睫毛用美容液、リンス、ヘアートリートメント等に用いることができ、さらに低粘度液体、ペースト、クリーム、フォーム、ボディ用乳液、パック、軟膏、粉剤、エアゾール、貼付剤等、育毛・養毛剤、ヘアートニック、ヘアーリキッド、頭部用ローション、頭部用乳液、頭部用クリーム、頭部用ムース、眉毛用美容液、睫毛用美容液、リンス、ヘアートリートメント等、に適用することができる。
本発明を特徴づける低毒性人体用洗浄剤は、本発明者等の長年の細胞老化の基礎研究から生まれたものである。系統的な界面活性剤の毒性試験により、ほとんどの界面活性剤は強力な細胞毒性を有するが、特殊な構造を有する界面活性剤はこの限りではないことを初めて実証した。これが、本発明が生まれた背景である。本発明による洗浄剤は、安全性において既存の類似製品をはるかに凌駕し、医療分野または美容分野における優位性や有用性は明白である。本発明は、洗剤の経皮毒に悩む人および頭髪の減退に悩む人に福音である。
次に、本発明の低毒性のシャンプーについて、実施例により更に詳しく説明する。但し、本発明は実施例に何ら限定されるものではない。
実施例1~4
ポリソルベート80、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65のそれぞれが5g/100mL溶解した水溶液を作製した。
得られた水溶液について、後述する方法による細胞毒性試験と洗浄試験を行った。その結果、細胞毒性試験については、ポリソルベート80のID50が50000~100000、ポリソルベート20のID50が5000、ポリソルベート60のID50が20000、ポリソルベート65のID50が20000以上であった(表6)。
また、洗浄試験の結果は、ポリソルベート80の洗浄力が10~20μg/mL、ポリソルベート20の洗浄力が10~20μg/mL、ポリソルベート60の洗浄力が10~20μg/mL、ポリソルベート65の洗浄力が5~10μg/mLであった。
本発明の低毒性のシャンプーの試験品群Iを作成した。各シャンプーの組成を表6に示す。これらの試作品について、細胞毒性試験、マウス毒性試験、ヒトモニター試験を実施した。細胞毒性試験では、真皮線維芽細胞と表皮角化細胞の2種の細胞種を使用した。
<試験品群Iのシャンプーの調製>
表6に示すように、ポリソルベート80を主成分とし、比較的細胞毒性の低いコカミドDEA、コカミドプロピルベタイン、ラウロイルアスパラギン酸Na、サーファクチンンNaを界面活性剤の補助成分として添加し、これらを精製水に溶解させた。補助成分の添加は泡立ちや泡質を改善するためである。これに保湿剤、増粘剤、防腐剤等を添加し、シャンプーの体裁を整えた。L-アルギニンは泡立ちを向上させるために加えた。サーファクチンNaを添加した理由は、単独使用による細胞毒性は低くないが、他の界面活性剤の皮膚刺激を和らげることがメーカーにより報告されているからである。
Figure 0007193108000008
<細胞毒性試験>
上記のように調製した各シャンプーについて、皮膚線維芽細胞及び皮膚角化細胞に及ぼす増殖阻害効果を以下に説明するように評価した。なお、皮膚線維芽細胞及び皮膚角化細胞を用いた結果に大きな違いはなかった。したがって、本明細書では、皮膚線維芽細胞を用いた結果を表7に示す。
ポリ-L-リジンでコートしたディッシュ(60mmシャーレ)に1×10個の顔面皮膚線維芽細胞(東洋紡より購入)を播種し、5%牛胎児血清を含むDMEM培地で、5%炭酸ガス存在下、37℃で培養した。翌日、適度に希釈した試料を添加した。添加30分間後に、培地を吸い取り、正常培地で2回洗浄し、正常培地で培養を続けた。なお、3日毎に培地を交換し、1週間後に細胞形態を観察した。次いで、形成された細胞のコロニーをメチレンブルーで染色し、コロニーの数と大きさを測定した。試料の細胞増殖阻害率は下記のように決定した。無添加群のコロニー数を100%とした。試料添加群のコロニー数を計測し、無添加群に対するコロニー形成率(%)を算出した。横軸に試料濃度、縦軸にコロニー形成率(%)を示す細胞増殖阻害曲線を作製し、コロニー形成を50%阻害する濃度ID50(μg/mL)を決定した。結果を表7に示す。
Figure 0007193108000009
<細胞毒性の評価>
表7の結果より、試作品シャンプーの細胞毒性は市販されているシャンプーのほぼ10分の1であった。これらの細胞毒性は、比較的安全成分としてよく使われるコカミドプロピルベタインとラウロイルアスパラギン酸Naの細胞毒性によるところが大きいと思われる。これらの濃度を変化させても細胞毒性が大きく変化しなかった理由は、これら界面活性剤の固有な性質によると考える。これらの結果により、ポリソルベート類を主成分とする試作品シャンプーは、従来のシャンプーの細胞毒性の1/10という優れた効果が得られた。
本発明の低毒性のシャンプーの試験品群IIを作成した。各シャンプーの組成を表8に示す。これらの試作品について、細胞毒性試験、マウス毒性試験、ヒトモニター試験を実施した。本細胞毒性試験では、真皮線維芽細胞をおもに使用した。
<試験品群IIのシャンプーの調製>
試作品群Iの細胞毒性より更に優れた細胞毒性を発現可能なシャンプーの開発を目的として、試験品群IIのシャンプーを作成した。表8に示すように、ポリソルビタン80を界面活性剤の主成分とし、補助成分として、さらにコカミドDEA、ラウロイルアスパラギン酸Na、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、を加えた。これらの陽イオン界面活性剤は、細胞毒性が低く、優れたトリートメント効果が知られているからである。これに保湿剤、増粘剤、植物油等を添加し、シャンプーの体裁を整えた。ハーブエキスは以下のように調製して加えた。乾燥植物10gを細かく粉砕し、50%含水エタノール溶液100mLに加え、室温暗所で7日間ゆっくり振盪した。この懸濁液を濾紙で数回濾過し、濾液を植物エキスとして用いた。
Figure 0007193108000010
細胞毒性試験
上記試験品群Iのシャンプーと同じように、試験品群IIのシャンプーについて細胞毒性試験を行った。結果を図4、表9に示す。
Figure 0007193108000011
<細胞毒性の評価>
表9の結果より、試験品群IIのシャンプーの細胞毒性は顕著に軽減し、サンプルNo14のシャンプーは市販シャンプーの細胞毒性のほぼ100分の1を達成できた。試作品群IIの細胞毒性が、試作品群Iの細胞毒性より優れている原因はいくつか挙げられる。試作品試作品群IIの界面活性剤の主成分はポリソルベート80とポリソルベート20である。試作品群の細胞毒性は、主として、コカミドDEA、コカミドプロピルベタイン、ラウロイルアスパラギン酸Naの補助成分によって決定された。これらの補助成分は、通常の界面活性剤に比べると細胞毒性が低く、泡立ちや泡質を高めるため添加した。これらの補助成分の中では、コカミドDEAが最も低い細胞毒性を示した。サーファクチンNaは単独では強い細胞毒性を示すが、他の界面活性剤の存在の細胞毒性をやや弱める作用が観察された。この現象は、サーファクチンNaのメーカーがすでに発表しているとおりである。また、保湿剤やトリートメント成分が、細胞毒性をやや弱めることも観察された。これらの成分は、界面活性剤の細胞への作用を弱めるためであること予想された。本実施例によって、本発明の有効性がさらに実証された。
<洗浄試験>
上記のように調製したシャンプーの試作品Iおよびシャンプーの試作品II、ポリソルベート80、ポリソルベート20、従来のシャンプーを構成する各種の界面活性剤、市販のシャンプーについて、図6に記した装置を用いて洗浄試験を行った。比較対照群として、シャンプーで多用される界面活性剤成分および市販シャンプーを用いた。洗浄力は、スライドグラスに塗布した油脂を2分間で完全に洗い落とす濃度で示した(表10)。その結果、ポリソルビタン系界面活性剤は他の界面活性剤に比べて、洗浄力はやや弱かった。これは後述するように、分子の大きさによる見かけの現象である。但し、シャンプーの試作品Iおよびシャンプーの試作品IIの洗浄力は市販シャンプーと比べて遜色なかった。シャンプー試作品の洗浄力には、ポリソルベート類が主体的に働くが、他の界面活性剤補助成分もある程度関与すると思われる。
Figure 0007193108000012
界面活性剤の洗浄力は、固相と水相の界面の活性化に依存する。界面活性剤の疎水基が固相を形成する油汚れとその付着面(毛髪または頭皮)の間に入り込み、油汚れを付着面から遊離させる能力と相関する。これは脂肪酸残基の親油性と親水基の親水性と関係する。しかし、界面活性剤の洗浄力は気泡力とは相関しない。ポリソルベート類ではポリソルベート80の泡立ちが最もよく、洗浄力も満足できるものであった。洗浄力の強いラウリル硫酸Naと比べて、ポリソルベート80の洗浄力は見かけ上やや落ちるように見えるが、ポリソルベート80の分子量が1310であり、ラウリル硫酸の分子量が288であることを考慮すると、分子当たりの洗浄力は同等である。また、本実施例から、本発明のシャンプーは多くの市販シャンプーと同等の洗浄力はあることが示された。それにもかかわらず、従来においては、ポリソルベート類が配合されたシャンプーが開発されなかったのは、泡立ちを過大に評価する風潮が原因であると考えられる。
<マウス皮膚毒性試験>
表8に記載したシャンプー試作品No14について、マウス皮膚毒性試験を行った。実験動物として毛周期の休止期にある6週齢のBDF-1オスマウスを購入した。マウスは6週目で毛周期の退行期に入り、7週目から休止期に入る。一週間の順化後、バリカンおよびシェ-バーでマウスの背部を剃毛し、試料を1日1回、1~2mLずつ背部に経皮投与した(試料投与群)。対照群には生理食塩水のみを塗布した。各試料につきマウス5匹を使用した。観察と撮影を1週間毎に行い、6~7週間後に皮膚毒性効果を下記の評価基準にしたがって判定した。観察項目は、毛髪再生、発赤、潰瘍、落屑、炎症、痒みとする。肉眼検査では、試料投与群(T群)と対照群(TC群)の間で病理学的所見の差は見られなかった。
<ヒトモニター試験の概要>
表8に記載したシャンプー試作品No14について、ヒトモニター試験を実施した。モニター試験には、いくつかの美容室の協力を得た。美容師はシャンプーの日常的使用により、重度の手荒れなどの健康被害に苦しんでいるからである。また、洗髪に伴う毛髪の損傷に詳しいことも理由に挙げられる。試験サンプを約1月間使用し、いくつかの項目について評価を依頼した。また、美容健康に関心のある関係者にも評価を依頼した。
<ヒトモニター試験の結果>
本発明のシャンプー試作品No14は、従来のシャンプーと比較して、いくつかの利点が評価された。とくに、アカギレや痒みなどの手荒れが顕著に軽減した。また、シャンプー使用に伴う頭皮の刺激や痒みは全く感じられなかった。したがって、シャンプー試作品No14は手指、頭皮、毛包に対して、細胞毒性の軽減が実証された。さらに、シャンプー使用に伴う毛髪の痛みが著しく軽減した。逆に、毛髪のボリュームと太さの改善が実感された。これらの効果には、タンパク質の変性作用を示さない非イオン性界面得活性剤を使用したため、毛髪にも悪影響を与えなかったことが示唆される。これらの成績により、本発明を特徴づける低毒性シャンプーの有用性が明らかになった。
[図1]
番号1:スカルプD
番号2:FNCL amino shampoo
番号3:CU shampoo
番号4:Herb Garden Shampoo
番号5:Herb Garden Conditioner
番号6:Haru
番号7:アジュバン
番号8:Estessimo
番号9:アーユルボーテ
番号10:ELSEVE
[図2]
番号1:ココイルグルタミン酸Na
番号2:ココイルグルタミン酸TEA
番号3:ココイルメチルタウリンNa
番号4:ココアンホプロピオン酸Na
番号5:コカミドプロピルベタイン
番号6:コカミドDEA
番号7:ラウロイルアスパラギン酸Na
番号8:スルルホコハク酸ラウレス2Na
番号9:ラウリルスルホ酢酸Na
番号10:ラウリルグルコシド
[図3]
番号1:ポリソルベート20
番号2:ポリソルベート80
[図4]
番号1:シャンプー試作品No.11
番号2:シャンプー試作品No.12
番号3:シャンプー試作品No.13
番号4:シャンプー試作品No.14

Claims (7)

  1. 洗浄成分として界面活性剤を含む低毒性の人体用洗浄剤であって、該界面活性剤が下記構造式(1)で表されるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(別名:ポリソルベート)を該界面活性剤の主成分として50質量%以上含み、且つアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、または両性界面活性剤の少なくとも一つを補助洗浄成分として含み、細胞に30分間接触させることで細胞の50%を死滅させる濃度(ID50)が5,000μg/ml以上であると共に、洗浄力が40μg/mL以下であり、低毒性頭髪用洗浄剤として使用されることを特徴とする低毒性人体用洗浄剤。


    Figure 0007193108000013

    式中、R、R、Rの何れか一つは炭素数4~30の飽和脂肪酸基、または炭素数16~24の不飽和脂肪酸基であり、残りの二つは水素、または炭素数4~30の飽和脂肪酸基、または炭素数16~24の不飽和脂肪酸基である。また、ソルビタン脂肪酸エステルに縮合させたエチレンオキシドキ基の合計(x+y+z+w)の平均は、10から150の範囲内である。
  2. 前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート20:R=ラウリン酸、R=H、R=H)、
    モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60:R=ステアリン酸、R=H、R=H)、
    トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート65:R=R=R=ステアリン酸またはパルミチン酸)、
    オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80:R=オレイン酸、R=H、R=H)のいずれかであるか、またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の低毒性人体用洗浄剤。
  3. 前記界面活性剤に、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルに属するオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンが主成分として50質量%以上含まれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の低毒性人体用洗浄剤。
  4. 前記補助洗浄成分が、ラウロイルアスパラギン酸Na、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、コカミドプロピルベタイン、コカミドDEA、及びサーファクチンNaから選択される一以上の成分であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の低毒性人体用洗浄剤。
  5. 請求項1~のいずれかに記載の低毒性人体用洗浄剤を配合成分中の主成分として含み、該低毒性人体用洗浄剤に由来するポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの含有量の合計が、乾燥固形分として0.1~80質量%であり、低毒性シャンプーとして使用されることを特徴とする低毒性人体用洗浄液。
  6. 前記補助洗浄成分の含有量の合計が、乾燥固形分として0.1~10質量%であることを特徴とする請求項に記載の低毒性人体用洗浄液。
  7. 毛髪保湿成分、毛髪トリートメント成分、毛髪栄養成分、頭皮保湿成分、頭皮栄養成分の少なくとも一つを乾燥固形分として合計0.1~90質量%含むことを特徴とする請求項又はに記載の低毒性人体用洗浄液。
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