JP7193108B2 - 低毒性人体用洗浄剤、及び低毒性人体用洗浄液 - Google Patents
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含有する、洗髪等に伴う皮膚障害を著しく軽減することが可能な、シャンプーとして使用される低毒性人体用洗浄液に関する。
また、縦軸の「AN1~AN5」は陰イオン性の界面活性剤の種類を、縦軸の「NI6~NI14」は非イオン性の界面活性剤の種類を、「CAT15、CAT16」は陽イオン性の界面活性剤の種類を、縦軸の「AM17~AM19」は両イオン性の界面活性剤の種類をそれぞれ表す。
[1]洗浄成分として界面活性剤を含む低毒性の人体用洗浄剤であって、該界面活性剤が下記構造式(1)で表されるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(別名:ポリソルベート)を該界面活性剤の主成分として50質量%以上含み、且つアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、または両性界面活性剤の少なくとも一つを補助洗浄成分として含み、細胞に30分間接触させることで細胞の50%を死滅させる濃度(ID50)が5,000μg/ml以上であると共に、洗浄力が40μg/mL以下であり、低毒性頭髪用洗浄剤として使用されることを特徴とする低毒性人体用洗浄剤。
[2]前記ソルビタン脂肪酸エステルが、
モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート20:R1=ラウリン酸、R2=H、R3=H)、
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60:R1=ステアリン酸、R2=H、R3=H)、
トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート65:R1=ステアリン酸、R2=ステアリン酸、R3=ステアリン酸)、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80:R1=オレイン酸、R2=H、R3=H)
のいずれかであるか、またはこれらの混合物であることを特徴とする前記1に記載の低毒性人体用洗浄剤。
[3]前記界面活性剤に、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルに属するオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンが主成分として50質量%以上含まれていることを特徴とする前記1又は2に記載の低毒性人体用洗浄剤。
[3]前記界面活性剤に、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルに属するオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンが主成分として50質量%以上含まれていることを特徴とする前記1又は2に記載の低毒性人体用洗浄剤。
[4]前記補助洗浄成分が、ラウロイルアスパラギン酸Na、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、コカミドプロピルベタイン、コカミドDEA、及びサーファクチンNaから選択される一以上の成分であることを特徴とする前記1~3のいずれかに記載の低毒性人体用洗浄剤。
[5]前記1~3のいずれかに記載の低毒性人体用洗浄剤を配合成分中の主成分として含み、該低毒性人体用洗浄剤に由来するポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの含有量の合計が、乾燥固形分として0.1~80質量%であり、低毒性シャンプーとして使用されることを特徴とする低毒性人体用洗浄液。
[6]前記補助洗浄成分の含有量の合計が、乾燥固形分として0.1~10質量%であることを特徴とする前記5に記載の低毒性人体用洗浄液。
[7]毛髪保湿成分、毛髪トリートメント成分、毛髪栄養成分、頭皮保湿成分、頭皮栄養成分の少なくとも一つを乾燥固形分として合計0.1~90質量%含むことを特徴とする前記5又は6に記載の低毒性人体用洗浄液。
また、該シャンプーは、細胞毒性の低いトリートメント成分および頭皮細胞の増殖を促進するハーブ類を含むことができる。これにより、本発明の低毒性人体用洗浄剤は、毛髪頭皮の効果等洗浄効果に加え、毛髪のハリ・コシを改善する効果、毛髪に湿度やしっとり感を与える効果等が得られる。
一方、該合計の平均が大きすぎると、洗浄性が低下するおそれがある。かかる観点から、該合計の平均の上限は、130が好ましく、より好ましくは、100、80、60であり、更に好ましくは50、40、30であり特に好ましくは25である。
<1>モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート20:R1=ラウリン酸、CR2=H、CR3=H)
<2>モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60:R1=ステアリン酸、R2=H、R3=H)
<3>トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート65:R1=ステアリン酸、R2=ステアリン酸、R3=ステアリン酸)、ポリソルベート65はステアリン酸のほかにパルミチン酸や他の脂肪酸を含んでいる。
<4>オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80:R1=オレイン酸、R2=H、R3=H)
これらのポリソルベート類においては、前記合計(x+y+y+w)の平均は20であることが好ましく、その場合、合計(x+y+y+w)は10~30の範囲で変動し、好ましくは15~25の範囲で変動する。
なお、エチレンオキシドキ基の合計(x+y+z+w)が変動するのは、エチレンオキシドの縮合反応を厳密に制御できないためである。
表5のデータから、界面活性剤の構造と細胞毒性の関係が示唆される。界面活性剤は親油基(疎水基)と親水基が結合したものである。親油基は多くの場合、脂肪酸のアルキル基から構成されている。親水基にはカルボン酸、アミノ酸、スルホン酸、アミン、糖鎖などがあり、多種多様な界面活性剤を提供する。多くの界面活性は親油基と親水基が直鎖上に結合しており、これらの構造を有する界面活性剤は親水基の種類に拘わらず、ほぼ同様に強い細胞毒性を示した。したがって、細胞毒性の主因は直鎖上のアルキル基であると予想される。なぜなれば、これらの界面活性剤の細胞毒性は、遊離脂肪酸(NaまたはK塩)が示す細胞毒性とほぼ同じだからである。
本発明の低毒性人体用洗浄液は、前記低毒性人体用洗浄剤を配合成分の主成分として含むものであり、界面活性剤の主成分として前記ポリソルベート類の一つまたは複数を主成分として含むものであり、人体の洗浄に必要な洗浄能力を有すると共に、安全性に優れるものである。低毒性人体用洗浄液は、水性液であることもできれば、油性液であることもできる。ここで、水性液とは水または水と水溶性溶媒の混合液をいう。また、油性液とは、油を含む液体をいう。水を含む油性液の場合には、油滴が水に分散する水中油滴(O/W型)エマルションか、水滴が油に分散する油中水滴(W/O型)エマルションのいずれかの構成をとってもよい。例えば、水溶液状のシャンプーは油分を安定に分散でき、油液状のクレンジングでは水分を安定に分散できる。ポリソルベート80およびポリソルベート20の臨界ミセル濃度(critical micelle concentration: CMC) は低いので、界面活性剤の能力は高い。また、親水性と親油性の相対的強度を表す親水親油バランス(HLB値)が大きいので、親水性の強度が高く、水中油滴(O/W型)エマルションを形成しやすいという特徴がある。
しかし、後述するように、本発明者等が調査した結果では、ポリソルベート類は、一般の界面活性剤に比べると気泡性には劣るもの、シャンプーに要求される十分な洗浄性を有していることが判った。これは、気泡性が水相と気相の界面で起きる現象であるのに対し、洗浄性は水相と固相の界面で起きる現象なので、洗浄性は気泡性とは大きな関係がないからであると考えることができる。なお、ポリソルベート類は気泡性には劣るものの、細胞毒性は極めて小さく、充分な洗浄性を有することは本発明者等が始めて発見した特性である。
本発明者等は多くの界面活性剤ついて、ウィッグ(付け毛)を用いた泡立ち試験を行った。その結果、ポリソルベート類の気泡性は細胞毒性の強い界面活性剤より有意に低かった。ポリソルベート類の気泡性は、ポリソルベート80>ポリソルベート20>ポリソルベート60の順であった。
本発明のシャンプーは前記低毒性の人体用洗浄剤を含むものであり、該洗浄剤、さらに該シャンプーにはポリソルベート類に加え、泡の質量を改善するために、他の界面活性剤を補助成分として一つまたは複数個加えることができ、該補助成分としての界面活性剤は、前記低毒性人体用洗浄剤の一部を構成する。
具体的には、アミノ酸系界面活性剤(ココイルグルタミン酸2Na、ココイルグルタミン酸K、ココイルグルタミン酸TEA、ココイルアラニンTEA、ラウロイルメチルアラニンNa、ココイルメチルアラニンNa、ココイルメチルタウリンNa、ラウロイルサルコシンNa、スルホコハク酸(c12-14)パレス2-Na、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、ラウロイルアスパラギン酸Na、ココイルアルギニンエチルPCAなど)、ベタイン系界面活性剤(コカミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン)、スルホン酸系界面活性剤(オレフィン(C14-16)スルホン酸Na)、高級アルコール系界面活性剤(ラウリル硫酸Na、ラウレス硫酸Na、ラウレス-4カルボン酸Na、ココアンホプロピオン酸Na)、アミン系界面活性剤(ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘントリモニウムメトサルフェート、セテアラミドエチルジエトニウム加水分解コメタンパク、セテアラミドエチルジエトニウム サクシノイル加水分解エンドウタンパク)、ノニオン系界面活性剤(デシルグルコシド、コカミドDEA、ラウラミドDEA、ラウリルグルコシド)等が挙げられる、ペプチド性界面活性剤(サーファクチンNa)。これらの補助成分のうち、比較的細胞毒性の低いラウロイルアスパラギン酸Na、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、コカミドプロピルベタイン、コカミドDEA、サーファクチンNaの使用が好ましい。
また、髪のキューティクルを保護してくれるトリートメント成分(セテアラミドエチルジエトニウム加水分解コメタンパク、セテアラミドエチルジエトニウム サクシノイル加水分解エンドウタンパク、アボガド油、ホホバ油、オリーブ油、植物オイル類、ラノリン、パルミチン酸エチルヘキシル、ラノリン誘導体、ミリスチン酸イソプロピル、スクワラン、ワセリン、脂肪酸アミド類、セラミド、ミネラルオイル、オレイン酸グリセリル、セタノール、オクチルドデカノール、水添ロジン酸ペンタエリスリチル、イソペンチルジオール、カチオン化セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キトサン、イソステアリン酸オクチルドデシル、安息香酸アルキル(C12-15)、18-メチルエイコサン酸(+ステアロキシプロピルジメチルアミン)、アーモンド油、ホホバ油、アルガニアスピノサ核油、ツバキ油、ラウリン酸イソアミル、メトキシケイヒ酸オクチル、ダイズステロール、バオバブ種子油、プルーン種子エキス、サフラワー油、シロバナルーピン種子油、マンゴー種子油、テオブロマグランジ フロルム種子脂、カラパグアイアネンシス種子油)、植物油、合成油剤など(アボカド油、コメ胚芽油、ハイブリッドヒマワリ油、スクレロカリアビレア種子油、ホホバ種子油、トリエチルヘキサイノン、スクワラン、トリエチルヘキサノイン、水添ポリイソブテン、コメ胚芽油、シア脂、ミリスチン酸オクチルドデシル、ユチャ油、クルミ種子油、コメヌカ油脂肪酸フィトステリル、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、キャンデリラロウ、マイクロクリスタリンワックス、イヌラクリスモイデエキス)、シリコン類など(ジメチコン、シクロメチコン、カチオン化ポリマー類)、ポリクオタニウムー11、ポリクオタニウム-55、ポリクオタニウム-7、リピジュア(ポリクオタニウム-64)、などポリクオタニウム類)、紫外線吸収剤(1.4-tert-ブチル-4‘-メトキシジベンゾイルメタン(t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン)、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル(メトキシケイヒ酸エチルヘキシルなど)。
さらに、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(オキシベンゾン-3)、PABAオキシベンゾン類、PABAエチル、アミルジメチルPABA、イソプロピルケイヒ酸エチル、エスクリン、エチルヘキシルトリアゾン、オクチルジメトキシケイヒ酸、オクタン酸グリセリル、オクチルトリアゾン、オクトクリレン、オリザノール、グアイアズレンスルホン酸エチル、グリセリルPABA、サリチル酸イソセチル、サリチル酸オクチル、サリチル酸グリコール、サリチル酸フェニル、ジイソプロピルケイヒ酸エチル、ジイソプロピルケイヒ酸メチル、ジスチリルビフェニルジスルホンサン2Na、シノキサート、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジン、ジメチルPABA、ジモルホリノピリダジノン、ジフェニルカルボメトキシアセトキシナフトピラン、スピルリナプラテンシス、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸、ドロメトリゾール、ドロメトリゾールトリシロキサン、トリメトキシケイヒ酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、トコトリエノール、ナフタリンジカルボン酸ジエチルヘキシル、パラメトキシケイヒ酸イソプロピル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、フェニルベンズイミダゾ-ルスルホン酸、フェルラ酸、フェニルベンズイミダゾ-ルスルホン酸、ブメトリゾール、プロピオン酸オクチル、ベンゾトリアゾリルドデシルp-クレゾール、ベンゾトリアゾリルブチルフェノールスルホン酸Na、ホモサレート、メトキシケイヒ酸オクチル、メチルベンジリデンカンファ、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、コハク酸ジエチルヘキシル)等がトリートメント成分として挙げられる。
ポリソルベート80、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65のそれぞれが5g/100mL溶解した水溶液を作製した。
表6に示すように、ポリソルベート80を主成分とし、比較的細胞毒性の低いコカミドDEA、コカミドプロピルベタイン、ラウロイルアスパラギン酸Na、サーファクチンンNaを界面活性剤の補助成分として添加し、これらを精製水に溶解させた。補助成分の添加は泡立ちや泡質を改善するためである。これに保湿剤、増粘剤、防腐剤等を添加し、シャンプーの体裁を整えた。L-アルギニンは泡立ちを向上させるために加えた。サーファクチンNaを添加した理由は、単独使用による細胞毒性は低くないが、他の界面活性剤の皮膚刺激を和らげることがメーカーにより報告されているからである。
上記のように調製した各シャンプーについて、皮膚線維芽細胞及び皮膚角化細胞に及ぼす増殖阻害効果を以下に説明するように評価した。なお、皮膚線維芽細胞及び皮膚角化細胞を用いた結果に大きな違いはなかった。したがって、本明細書では、皮膚線維芽細胞を用いた結果を表7に示す。
表7の結果より、試作品シャンプーの細胞毒性は市販されているシャンプーのほぼ10分の1であった。これらの細胞毒性は、比較的安全成分としてよく使われるコカミドプロピルベタインとラウロイルアスパラギン酸Naの細胞毒性によるところが大きいと思われる。これらの濃度を変化させても細胞毒性が大きく変化しなかった理由は、これら界面活性剤の固有な性質によると考える。これらの結果により、ポリソルベート類を主成分とする試作品シャンプーは、従来のシャンプーの細胞毒性の1/10という優れた効果が得られた。
試作品群Iの細胞毒性より更に優れた細胞毒性を発現可能なシャンプーの開発を目的として、試験品群IIのシャンプーを作成した。表8に示すように、ポリソルビタン80を界面活性剤の主成分とし、補助成分として、さらにコカミドDEA、ラウロイルアスパラギン酸Na、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、を加えた。これらの陽イオン界面活性剤は、細胞毒性が低く、優れたトリートメント効果が知られているからである。これに保湿剤、増粘剤、植物油等を添加し、シャンプーの体裁を整えた。ハーブエキスは以下のように調製して加えた。乾燥植物10gを細かく粉砕し、50%含水エタノール溶液100mLに加え、室温暗所で7日間ゆっくり振盪した。この懸濁液を濾紙で数回濾過し、濾液を植物エキスとして用いた。
上記試験品群Iのシャンプーと同じように、試験品群IIのシャンプーについて細胞毒性試験を行った。結果を図4、表9に示す。
表9の結果より、試験品群IIのシャンプーの細胞毒性は顕著に軽減し、サンプルNo14のシャンプーは市販シャンプーの細胞毒性のほぼ100分の1を達成できた。試作品群IIの細胞毒性が、試作品群Iの細胞毒性より優れている原因はいくつか挙げられる。試作品試作品群IIの界面活性剤の主成分はポリソルベート80とポリソルベート20である。試作品群の細胞毒性は、主として、コカミドDEA、コカミドプロピルベタイン、ラウロイルアスパラギン酸Naの補助成分によって決定された。これらの補助成分は、通常の界面活性剤に比べると細胞毒性が低く、泡立ちや泡質を高めるため添加した。これらの補助成分の中では、コカミドDEAが最も低い細胞毒性を示した。サーファクチンNaは単独では強い細胞毒性を示すが、他の界面活性剤の存在の細胞毒性をやや弱める作用が観察された。この現象は、サーファクチンNaのメーカーがすでに発表しているとおりである。また、保湿剤やトリートメント成分が、細胞毒性をやや弱めることも観察された。これらの成分は、界面活性剤の細胞への作用を弱めるためであること予想された。本実施例によって、本発明の有効性がさらに実証された。
上記のように調製したシャンプーの試作品Iおよびシャンプーの試作品II、ポリソルベート80、ポリソルベート20、従来のシャンプーを構成する各種の界面活性剤、市販のシャンプーについて、図6に記した装置を用いて洗浄試験を行った。比較対照群として、シャンプーで多用される界面活性剤成分および市販シャンプーを用いた。洗浄力は、スライドグラスに塗布した油脂を2分間で完全に洗い落とす濃度で示した(表10)。その結果、ポリソルビタン系界面活性剤は他の界面活性剤に比べて、洗浄力はやや弱かった。これは後述するように、分子の大きさによる見かけの現象である。但し、シャンプーの試作品Iおよびシャンプーの試作品IIの洗浄力は市販シャンプーと比べて遜色なかった。シャンプー試作品の洗浄力には、ポリソルベート類が主体的に働くが、他の界面活性剤補助成分もある程度関与すると思われる。
表8に記載したシャンプー試作品No14について、マウス皮膚毒性試験を行った。実験動物として毛周期の休止期にある6週齢のBDF-1オスマウスを購入した。マウスは6週目で毛周期の退行期に入り、7週目から休止期に入る。一週間の順化後、バリカンおよびシェ-バーでマウスの背部を剃毛し、試料を1日1回、1~2mLずつ背部に経皮投与した(試料投与群)。対照群には生理食塩水のみを塗布した。各試料につきマウス5匹を使用した。観察と撮影を1週間毎に行い、6~7週間後に皮膚毒性効果を下記の評価基準にしたがって判定した。観察項目は、毛髪再生、発赤、潰瘍、落屑、炎症、痒みとする。肉眼検査では、試料投与群(T群)と対照群(TC群)の間で病理学的所見の差は見られなかった。
表8に記載したシャンプー試作品No14について、ヒトモニター試験を実施した。モニター試験には、いくつかの美容室の協力を得た。美容師はシャンプーの日常的使用により、重度の手荒れなどの健康被害に苦しんでいるからである。また、洗髪に伴う毛髪の損傷に詳しいことも理由に挙げられる。試験サンプを約1月間使用し、いくつかの項目について評価を依頼した。また、美容健康に関心のある関係者にも評価を依頼した。
本発明のシャンプー試作品No14は、従来のシャンプーと比較して、いくつかの利点が評価された。とくに、アカギレや痒みなどの手荒れが顕著に軽減した。また、シャンプー使用に伴う頭皮の刺激や痒みは全く感じられなかった。したがって、シャンプー試作品No14は手指、頭皮、毛包に対して、細胞毒性の軽減が実証された。さらに、シャンプー使用に伴う毛髪の痛みが著しく軽減した。逆に、毛髪のボリュームと太さの改善が実感された。これらの効果には、タンパク質の変性作用を示さない非イオン性界面得活性剤を使用したため、毛髪にも悪影響を与えなかったことが示唆される。これらの成績により、本発明を特徴づける低毒性シャンプーの有用性が明らかになった。
番号1:スカルプD
番号2:FNCL amino shampoo
番号3:CU shampoo
番号4:Herb Garden Shampoo
番号5:Herb Garden Conditioner
番号6:Haru
番号7:アジュバン
番号8:Estessimo
番号9:アーユルボーテ
番号10:ELSEVE
番号1:ココイルグルタミン酸Na
番号2:ココイルグルタミン酸TEA
番号3:ココイルメチルタウリンNa
番号4:ココアンホプロピオン酸Na
番号5:コカミドプロピルベタイン
番号6:コカミドDEA
番号7:ラウロイルアスパラギン酸Na
番号8:スルルホコハク酸ラウレス2Na
番号9:ラウリルスルホ酢酸Na
番号10:ラウリルグルコシド
番号1:ポリソルベート20
番号2:ポリソルベート80
番号1:シャンプー試作品No.11
番号2:シャンプー試作品No.12
番号3:シャンプー試作品No.13
番号4:シャンプー試作品No.14
Claims (7)
- 洗浄成分として界面活性剤を含む低毒性の人体用洗浄剤であって、該界面活性剤が下記構造式(1)で表されるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(別名:ポリソルベート)を該界面活性剤の主成分として50質量%以上含み、且つアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、または両性界面活性剤の少なくとも一つを補助洗浄成分として含み、細胞に30分間接触させることで細胞の50%を死滅させる濃度(ID50)が5,000μg/ml以上であると共に、洗浄力が40μg/mL以下であり、低毒性頭髪用洗浄剤として使用されることを特徴とする低毒性人体用洗浄剤。
式中、R1、R2、R3の何れか一つは炭素数4~30の飽和脂肪酸基、または炭素数16~24の不飽和脂肪酸基であり、残りの二つは水素、または炭素数4~30の飽和脂肪酸基、または炭素数16~24の不飽和脂肪酸基である。また、ソルビタン脂肪酸エステルに縮合させたエチレンオキシドキ基の合計(x+y+z+w)の平均は、10から150の範囲内である。
- 前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート20:R1=ラウリン酸、R2=H、R3=H)、
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60:R1=ステアリン酸、R2=H、R3=H)、
トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート65:R1=R2=R3=ステアリン酸またはパルミチン酸)、
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80:R1=オレイン酸、R2=H、R3=H)のいずれかであるか、またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の低毒性人体用洗浄剤。
- 前記界面活性剤に、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルに属するオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンが主成分として50質量%以上含まれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の低毒性人体用洗浄剤。
- 前記補助洗浄成分が、ラウロイルアスパラギン酸Na、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、コカミドプロピルベタイン、コカミドDEA、及びサーファクチンNaから選択される一以上の成分であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の低毒性人体用洗浄剤。
- 請求項1~4のいずれかに記載の低毒性人体用洗浄剤を配合成分中の主成分として含み、該低毒性人体用洗浄剤に由来するポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの含有量の合計が、乾燥固形分として0.1~80質量%であり、低毒性シャンプーとして使用されることを特徴とする低毒性人体用洗浄液。
- 前記補助洗浄成分の含有量の合計が、乾燥固形分として0.1~10質量%であることを特徴とする請求項5に記載の低毒性人体用洗浄液。
- 毛髪保湿成分、毛髪トリートメント成分、毛髪栄養成分、頭皮保湿成分、頭皮栄養成分の少なくとも一つを乾燥固形分として合計0.1~90質量%含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の低毒性人体用洗浄液。
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