JP2004352634A - 化粧料 - Google Patents

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Masato Izume
正人 井爪
Takahiro Fukuhara
貴弘 福原
Kaoru Otani
薫 大谷
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Katakura Chikkarin Co Ltd
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Abstract

【課題】皮膚に有効な成分を多く含むと同時に高い安全性を有し、さらに皮膚を滑らかにし、毛髪を保護する作用をも有する組成物を提供すること並びにこれらの機能を有する化粧品類、医薬品類、医薬部外品類、浴用剤を提供することを課題とする。
【解決手段】クリ渋皮発酵物及び当該発酵物の抽出物からなる化粧品組成物を提供する。本発明のクリ渋皮発酵物及び当該発酵物の抽出物は、高い美白効果、抗菌活性、コラゲナーゼ阻害活性、エラスターゼ阻害活性、抗酸化活性、リパーゼ阻害活性、抗菌効果を有し、これを化粧品類、医薬品類、医薬部外品類、浴用剤に配合する事により、有用な効果がもたらされる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、発酵させたクリの渋皮又は発酵させたクリの渋皮からの抽出物を皮膚化粧品や毛髪化粧品に配合することにより、高い安全性を維持しながら、皮膚に潤いを与えると共に皮膚を滑らかにし、毛髪を保護する作用を有するものであり、例えば化粧品類(人及びその他の動物に用いる各種製剤)、医薬品類、医薬部外品類、浴用剤などに用いることが出来る。
【0002】
【従来の技術】
クリはぶな科の植物で、世界各地の温帯地域で広く栽培されている落葉高木で、その種子は食用となっている。中でも、アジア原産のニホングリ(Castanea crenata Sieb. et Zucc.)とチュウゴクグリ(Castanea mollissims Bl.)、ヨーロッパのヨーロッパグリ(欧州グリ、Castanea sativa Mill)、北アメリカのアメリカグリ(Castanea dentate Borkh.)が食用に広く栽培されている。種子は、鬼皮、渋皮、子葉から構成されており、食用となるのは子葉だけであり、鬼皮及び渋皮はほとんど利用されることがなく、廃棄されているのが現状である。近年、渋皮発酵物を食品に利用する試みがなされているが、まだ一部が利用されているだけである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題はクリ渋皮発酵物及びクリ渋皮発酵物の抽出物を配合した新規な化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、クリ渋皮発酵物及び当該発酵物の抽出物は、高い美白効果、抗菌活性、コラゲナーゼ阻害活性、エラスターゼ阻害活性、抗酸化活性、リパーゼ阻害活性、抗菌効果を示し、皮膚に有効な成分を多く含むと同時に高い安全性を有し、さらに皮膚を滑らかにし、毛髪を保護する作用をも有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、発酵させたクリの渋皮配合の化粧料又は発酵させたクリの渋皮を水、アルコール類、またはそれらの混合溶媒で抽出して得られるクリ渋皮発酵物の抽出物配合の化粧料である。
【0004】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の化粧料の有効成分であるクリ渋皮発酵物及びクリ渋皮発酵物の抽出物は、ぶな科に属するクリの渋皮であれば、栽培種、野生種など特に限定はされないがニホングリが好適に使用される。クリ渋皮の発酵は、通常40%程度の水分を含むクリ渋皮を水分20%〜60%の条件下で発酵させることが望ましい。発酵は自然に堆積するだけでもクリ渋皮に付着している菌により進行するが、黄麹菌(アスペルギルスオリゼー)を加えて糖化後発酵を進めることが望ましい。発酵条件は10〜40℃で1週間〜1年で実施するのが好ましく、さらに望ましくは20℃〜30℃で1〜4ヶ月実施するのが好ましい。
【0005】
クリ渋皮発酵物は、発酵の終了した渋皮を洗浄、乾燥、粉砕、殺菌処理などを実施するのが好ましい。クリ渋皮発酵物はいずれの形状であっても化粧品に配合することが可能であるが、粉末状としたものを配合することが好ましい。
クリ渋皮発酵物抽出物は、発酵させたクリの渋皮を水、アルコール類、水、多価アルコール類、またはそれらの混合物を使用して、抽出することによって調製することが可能であり、それらを溶液状で使用することも可能であるが、それら溶液を乾燥して得られる粉体状の製品も化粧品に使用することが出来る。また、クリ渋皮発酵物の抽出においては、水のかわりに緩衝液や、希酸および希アルカリを使用することも可能である。
【0006】
クリ渋皮発酵物はそのままでも抽出可能であるが、洗浄、殺菌、乾燥、粉砕処理をしてから抽出に供しても良く、抽出効率から考えて乾燥、粉砕処理を実施することが望ましい。
抽出溶媒としては、水、またはアルコール類の混合溶媒を使用する。アルコール類としては、一価アルコール、多価アルコールのいずれも使用できる。具体的には一価アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ベンジルアルコールなどが、多価アルコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコールなどが挙げられる。抽出溶媒として水とアルコール類の混合溶媒を使用する場合は、アルコール濃度が10〜90%とすることが望ましい。具体的には、エタノール濃度が20〜70%の含水エタノール、1,3−ブチレングリコール濃度が20〜70%の含水1,3−ブチレングリコールなどの溶媒が好適に使用される。
【0007】
抽出操作は特に限定されないが、例えばクリ渋皮発酵物1重量部に対し、抽出溶媒を5〜200重量倍を用いて行うことが好ましい。また、さらに好ましくは抽出溶媒を10〜100重量倍を用いて行うことが好ましい。
抽出温度および抽出時間は、抽出溶媒によって異なるが、含水エタノール(エタノール濃度20〜70%)では20〜60℃で、1時間〜2週間、含水1,3−ブチレングリコール(1,3−ブチレングリコール濃度20〜70%)では20〜100℃で、1時間〜2週間抽出することが望ましい。
抽出されたクリ渋皮発酵物抽出物はそのままでも使用可能であるが、さらに濾過、遠心分離等の工程により精製するのが好ましい。多くの場合は、そのままの状態で利用できるが、必要ならば、その効果に影響のない範囲で更に脱臭、脱色などの精製処理を加えても良く、脱臭・脱色等の精製処理手段としては、活性炭カラムなどを用いれば良く、抽出物質により一般的に適用される通常の手段を任意に選択して行えば良い。また、得られたクリ渋皮発酵物抽出物を凍結乾燥法、スプレードライ法などの熱乾燥法により乾燥物として得ることも可能である。
【0008】
こうして得られたクリ渋皮発酵物及びクリ渋皮発酵物抽出物は、高い美白効果、抗菌活性、コラゲナーゼ阻害活性、エラスターゼ阻害活性、抗酸化活性、リパーゼ阻害活性、抗菌効果を示す。
特にコラゲナーゼ阻害活性、エラスターゼ阻害活性、抗酸化活性は老化防止に関連深い因子とされる。
近年、皮膚の老化は光老化と自然老化に分けて考えられるようになっている。自然老化は加齢が進むに従って進行するのに対し、光老化は紫外線の曝露によって進行することから、その防御が重要な課題となっている。光老化を防御するには、紫外線曝露により生成した活性酸素の消去、活性酸素により亢進したマトリックスメタロプロテアーゼやエラスターゼの阻害が重要であり、そのような効果を有する素材が化粧品業界で要望されている。マトリックスメタロプロテアーゼとは、細胞外マトリックスを破壊する酵素群であり、コラゲナーゼ群、ゼラチナーゼ群、ストロムライシン群から構成されている。活性酸素により亢進したマトリックスメタロプロテアーゼやエラスターゼは皮膚に存在するコラーゲン、エラスチンなどを変性させ、たるみ、しわなどの老化皮膚に典型的な兆候を示すようになることから、活性酸素除去剤である抗酸化剤及びマトリックスメタロプロテアーゼやエラスターゼなどの酵素群の阻害剤は有効な老化防止剤として利用することが出来る。
一方、遊離脂肪酸がアクネを悪化させることから、抗アクネ製品には、リパーゼ阻害活性を有するものが求められている。また、フケや体臭の発生にもリパーゼが関与していることから、リパーゼ阻害剤はフケ防止剤や、体臭防止剤としても利用することが可能である。
【0009】
本発明のクリ渋皮発酵物及びクリ渋皮発酵物抽出物が配合される化粧品としては、化粧水、乳液、美容液、一般クリーム、クレンジングクリーム等の洗顔料、パック、髭剃り用クリーム、日焼けクリーム、日焼け止めクリーム、日焼け止めローション、日焼けローション、化粧石鹸、ファンデーション、おしろい、パウダー、口紅、リップクリーム、アイライナー、アイクリーム、アイシャドウ、マスカラ、浴用化粧品、シャンプー、リンス、染毛料、頭髪用化粧品等、各種化粧品に利用可能である。その配合量は化粧品組成物中、0.0001〜100%含むことができるが好ましくは0.001〜10%である。
本発明の皮膚外用剤には、以下に示すような通常、化粧品など皮膚外用剤において使用されている各種成分や添加剤の中から用途に適したものを任意に選択、併用して製造することができる。
【0010】
クリ渋皮発酵物及びクリ渋皮発酵物抽出物の化粧料への配合量は化粧品組成物中、0.0001−100%とすることが例示される。
本発明のクリ渋皮発酵物及びクリ渋皮発酵物抽出物を配合することを特徴とする化粧料に併用して配合可能な成分としては、化粧品、医薬部外品や浴用剤で一般に使用される基剤や薬剤などであれば特に限定はされない。例えば、コラーゲン、コラーゲン加水分解物、ゼラチン、ゼラチン加水分解物、エラスチン、エラスチン加水分解物、ラクトフェリン、ケラチン、ケラチン加水分解物、カゼイン、アルブミン等の蛋白質および蛋白質の加水分解物。
ヒアルロン酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナン、グアーガム、アルギン酸およびその塩、ペクチン、コンドロイチン硫酸およびその塩、水溶性キチン、キトサン誘導体およびその塩、デオキシリボ核酸、アラビアゴム、トラガントゴム等の天然高分子及びそれらの誘導体。
【0011】
甘草エキス、アロエエキス、カモミラエキス、シソエキス、等の植物抽出物。酵母エキス等の微生物由来物。海藻末や海藻エキス。プラセンタエキス等の動物由来物。
カルボキシビニルポリマーおよびその塩、ポリアクリル酸およびその塩、カルボキシメチルセルロースおよびその塩等の酸性ポリマー、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ニトロセルロースポリビニルメチルエーテル等の中性ポリマー。カチオン化セルロース、ポリエチレンイミン、カチオン化グアーガム等のカチオン性ポリマー。
エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類。パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、アントラニエール酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤。
【0012】
ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、リン酸L−アスコルビルマグネシウムおよびその誘導体、ビタミンD群、酢酸d−α−トコフェノール、ビタミンE群、葉酸類、β−カロチン、γ−オリザノール、ニコチン酸、パントテン酸類、ビオチン類、フェルラ酸等のビタミン類。グリチルリチン酸及びその塩類、グアイアズレン及びその誘導体、アラントイン等の抗炎症剤。
ステアリン酸エステル、ノルジヒドログアセレテン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、パラヒドロキシアニソール、没食子プロピル、セサモール、セサモリン、ゴシポール等の抗酸化剤。
パラ安息香酸メチル、パラ安息香酸エチル、パラ安息香酸プロピル、パラ安息香酸ブチル等のパラ安息香酸エステル類、ソルビン酸、デヒドロ酢酸、フェノキシエタノール、安息香酸等の防腐剤。
【0013】
エデト酸、エデト酸二ナトリウム等のエデト酸及びその塩類、フィチン酸、ヒドロキシエタンジスルホン酸等の金属イオン封鎖剤。
グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール類。
L−アスパラギン酸、DL−アラニン、L−アルギニン、L−システイン、L−グルタミン酸、グリシン等のアミノ酸類およびその塩。
マルチトール、ソルビトール、キシロビオース、N−アセチル−D−グルコサミン等の糖類。
クエン酸、乳酸、α−ヒドロキシ酢酸、ピロリドンカルボン酸等の有機酸類およびその塩類。
流動パラフィン、スクワラン、ワセリン等の炭化水素類。
オリーブ油、ヤシ油、月見草油、ホホバ油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油等の油脂類。
ラウリン酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等の脂肪酸類。
【0014】
ミリスチルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類。
ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、トリオクタン酸グリセリン、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸ステアリル等のエステル類。
レシチンおよびその誘導体等のリン脂質類。
ウシ骨髄脂やウシ脳脂質などの動植物由来脂質。ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸エタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミンなどのアルキル硫酸塩。
【0015】
ポリオキシエチレン(2EO)ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン(なお、EOはエチレンオキサイドでEOの前の数値はエチレンオキサイドの付加モル数を示す。)、ポリオキシエチレン(3EO)アルキル(炭素数11〜15のいずれかまたは2種以上の混合物)エーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキル硫酸塩。
ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩。
ポリオキシエチレン(3EO)トリデシルエーテル酢酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩。
【0016】
ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシントリエタノールアミン、ラウロイルメチル−L−グルタミン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸−L−グルタミン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸−L−グルタミン酸トリエタノールアミン。ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウムなどのN−アシルアミノ酸塩、エーテル硫酸アルカンスルホン酸ナトリウム、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム、ウンデシノイルアミドエチルスルホコハク酸二ナトリウム、オクチルフェノキシジエントキシエチルスルホン酸ナトリウム、オレイン酸アミノスルホコハク酸二ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル(炭素鎖12〜15)エーテルリン酸(8〜10EO)、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤。塩化ステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジ(ポリオキシエチレン)オレイルメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化トリ(ポリオキシエチレン)ステアリルアンモニウム、塩化ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウム、塩化ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤。2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ウンデシルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ウンデシル−N−ヒドロキシエチル−N−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ヤシ油アルキル−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシメチルイミダゾリニウムジナトリウムラウリル硫酸、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル−DL−ピロリドンカルボン酸塩などの両性界面活性剤。ポリオキシエチレンアルキル(炭素数12〜14)エーテル(7EO)、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオレイン酸グリセリン、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンセチルステアリルジエーテル、ポリオキシエチレンソルビトール・ラノリン(40EO)、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル等のノニオン性界面活性剤。イソステアリン酸ジエタノールアミド、ウンデシレン酸モノエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、牛脂脂肪酸モノエタノールアミド、硬化牛脂脂肪酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸エタノールアミド、ラウリン酸イソプロパノールアミド、ラウリン酸エタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラノリン脂肪酸ジエタノールアミドなどの増粘剤。鎖状または環状メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンポリエチレングリコール共重合体、ジメチルポリシロキサンポリプロピレン共重合体、アミノ変性シリコンオイル、第四級アンモニウム変性シリコンオイルなどのシリコンオイル。その他、pH調整剤、着色料、香料、安定化剤、清涼剤、血流促進剤、角質溶解剤、収斂剤、創傷治療剤、増泡剤、口腔用剤、消臭・脱臭剤、抗アレルギー剤、細胞賦活剤と共に配合し、併用して用いることも出来る。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例により説明するが、本実施例によって本発明が限定されるものではない。
(製造例1)
乾燥後粉砕したクリ渋皮10kgに黄麹菌を加え、常温で2ヶ月間放置しクリ渋皮発酵物を得た。
(製造例2)
製造例1の乾燥したクリ渋皮発酵物10gを50%エタノール水溶液100mLに浸漬し60℃で24時間抽出した。沈殿物を遠心分離法(10000G、10分)により除去し、渇色清澄なクリ渋皮発酵物抽出物を得た。
(製造例3)
製造例2で得たクリ渋皮発酵物抽出物を濃縮後、真空凍結乾燥してクリ渋皮発酵物抽出物凍結乾燥粉末を得た。
【0018】
(製造例4)
製造例1の乾燥したクリ渋皮発酵物10gを水100mLに浸漬し60℃で24時間抽出した。沈殿物を遠心分離法(10000G、10分)により除去し、褐色の清澄クリ渋皮発酵物抽出物を得た。
(製造例5)
製造例1の乾燥したクリ渋皮発酵物10gをエタノール100mLに浸漬し60℃で24時間抽出した。沈殿物を遠心分離法(10000G、10分)により除去し、薄褐色の清澄クリ渋皮発酵物抽出物を得た。
(製造例6)
製造例1の乾燥したクリ渋皮発酵物10gを50%1,3−ブチレングリコール水溶液100mLに浸漬し室温で2週間抽出した。沈殿物を遠心分離法(10000G、10分)により除去し、薄褐色の清澄クリ渋皮発酵物抽出物を得た。
(製造例7)
製造例1の乾燥したクリ渋皮発酵物10gを1,3−ブチレングリコール100mLに浸漬し60℃で24時間抽出した。沈殿物を遠心分離(10000G、10分)後、濾過し、薄褐色の清澄クリ渋皮発酵物抽出物を得た。
【0019】
(実施例1)
<美白試験>
表面積25cmの細胞培養用ボトルに10%FBSを含むDMEM培地10mL、B16細胞懸濁液(2.5×10個/mL、10%FBSを含むDMEM培地)1mLを添加し、CO濃度5%、37℃で24時間培養した。製造例4で調製したクリ渋皮発酵物抽出物を培地に対して溶質濃度が0.5、0.1、0.05%となるように添加し、3日間培養し、同量の培地及び試料を取り換えた後、更に3日間培養した。トリプシン−EDTA処理によって細胞を剥離し、得られた細胞を、遠心分離(1000ppm、1分)して上澄液を取り除いた後、細胞の色相を観察した。試験液を加えないものをコントロールとした。
結果を表1に示した。表1から明らかなようにクリ渋皮発酵物抽出物に優れた美白効果が認められた。
【表1】
Figure 2004352634
【0020】
(実施例2)
<コラゲナーゼ活性阻害作用>
製造例3で調製したクリ渋皮発酵物抽出物凍結乾燥粉末を水を用いて500μg/mL、100μg/mL、10μg/mLに調製し試験液とした。コラゲナーゼ活性阻害作用の測定はコラーゲン技術研修会製のコラゲノキットCLN−100を用いて行った。蛍光標識した基質コラーゲン溶液200μLに試験液50μL、ヒト皮膚線維芽細胞由来コラゲナーゼ溶液(0.1units/mL)200μLを加え35℃で2時間反応させた後、反応停止液にて酵素反応を停止させ、分解物をエタノール溶液に抽出した後、蛍光強度(Ex=495nm、Em=520nm)を測定した。コラゲナーゼ活性阻害率はクリ渋皮発酵物抽出物無添加ものと比較して算出した。
【0021】
・試験結果
結果を図1に示した。図1から明らかなようにクリ渋皮発酵物抽出物に高いコラゲナーゼ阻害活性が認められた。
コラゲナーゼはマトリックスメタロプロテアーゼのひとつであり、コラゲナーゼ阻害活性を示すことにより、クリ渋皮発酵物抽出物に老化防止剤として有用であることがわかる。
【0022】
(実施例3)
<エラスターゼ阻害試験>
製造例3で調製したクリ渋皮発酵物抽出物凍結乾燥粉末を0.2Mトリス塩酸緩衝液(pH8.5, 1%BSA, 1M NaCl含有)を用いて1000μg/mL、500μg/mL、250μg/mL、100μg/mL、50μg/mLに調製し試験液とした。
0.2Mトリス塩酸緩衝液(pH8.5, 1%BSA, 1M NaCl含有)で20μMに調製した基質溶液(Suc−(OMe)−(L−alanyl)2−Pro−Val−p−MCA)200μLと各濃度に調製した試料液100μLの混液に0.2unit/mLに調製したヒト好中球由来エラスターゼ溶液100μLを加え、37℃で1時間反応させた。反応後、蛍光強度(Ex=355nm, Em=460nm)を測定し、その低下率をもって活性阻害率を算出した。
図2に測定結果を示した。クリ渋皮発酵物抽出物は、濃度依存的にエラスターゼ活性を阻害することがわかる。
【0023】
(実施例4)
<抗酸化作用>
抗酸化作用はDPPHラジカル消去法により評価した。
製造例3で調製したクリ渋皮発酵物抽出物凍結乾燥粉末を50%エタノール水溶液を用いて100ppmの試料溶液を調製した。反応指示薬(800μM 1,1−diphenyl−2−picrylhydrazyl 12mL、400mM 2−morpholinoethanesulphonic acid Buffer 12mL、エタノール水溶液 24mL)0.9mLを試験管に分注し、50%エタノール水溶液を(300−a)μLを加える。試料 aμLを30秒おきに加え、ボルテックスミキサーでミキシングし、20分後に520nmでの吸光度を測定した。a=0、30、60、120、180、240μLとした。対照として茶抽出凍結乾燥粉末を用いた。
結果を図3に示した。図3から明らかなようにクリ渋皮発酵物抽出物に高いラジカル消去活性が認められたことから、クリ渋皮発酵物抽出物の抗酸化作用が確認された。
【0024】
(実施例5)
<リパーゼ阻害作用>
製造例3で調製したクリ渋皮発酵物抽出物凍結乾燥粉末を50%エタノール水溶液に溶解し100ppm〜2000ppmの試料溶液を調製した。リパーゼはブタ膵臓由来リパーゼ(EPC社製)を使用した。三酪酸ジメチルカプロールとドデシル硫酸ナトリウムより構成される基質液に、100〜2000ppm濃度に調製した試料液100μLを加え、酵素液を加えて反応させた。なお、反応はリパーゼキットS(大日本製薬製)を用いた。対照として製造例3と同様に調製した茶抽出凍結乾燥粉末を用いた。リパーゼ活性抑制率は以下の式を用いて計算した。
【数1】
Figure 2004352634
【0025】
A〔C〕試験液の代わりに50%エタノールを用いて同様に操作を行った溶液の吸光度
A〔B〕酵素溶液の代わりに緩衝液を用いて同様に操作を行った溶液の吸光度
A〔S〕試験液を用いて同様の操作を行った溶液の吸光度
結果を表2に示した。表から明らかなようにクリ渋皮発酵物抽出物に高いリパーゼ阻害活性が認められた。
【表2】
Figure 2004352634
【0026】
(実施例6)
<抗菌作用>
抗菌作用はペーパーディスク法により評価した。製造例3で調製したクリ渋皮発酵物抽出物凍結乾燥粉末を50%エタノール水溶液を用いて2%の試料溶液を調製した。陽性対象のイソプロピルメチルフェノールは50%エタノールに1%の濃度で溶解した。試料液を20μLペーパーディスクに滴下後、クリンベンチ内で風乾した。なお、20μL以上の滴下では、一度に滴下できないので風乾後再度滴下する作業を繰り返した。Corynebacterium xerosis (JCM1324) Micrococcus luteus(JCM1465)Staphylococcus epidermidis (IFO3762)の3菌株は、すべてnutrient brothで増殖後、Mueller−Hinton broth(Difco製)を用いて37℃、18時間培養し菌を増殖させた(前培養)。次に菌液2mLをMueller−Hinton broth 100mLに加え37℃で24時間培養し(本培養)、得られた菌液をMueller−Hinton brothを用いて1/10に希釈した。Muller−Hinton培地2mLに希釈した菌液0.5mLを加え撹拌し、寒天が固化した後、先に調製した試料を含んだペーパーディスクを載せ、5℃で5時間保管後、30℃で24時間培養し阻止円の大きさを観察した。なお、シャーレはファルコン1007(60mmディッシュ)を用いた。
【表3】
Figure 2004352634
【0027】
表3にクリ渋皮発酵物抽出物の抗菌性を示した。いずれの菌株に対してもクリアゾーンが明らかであり、クリ渋皮発酵物抽出物が抗菌作用を有することが明らかになった。
(実施例7)
化粧水の製造
【表4】
Figure 2004352634
【0028】
表4の処方に従い、(1)〜(10)を80℃で撹拌、溶解後室温に冷却し、化粧水を得た。得られた化粧水はいずれも清澄あり、40℃、RH75%の条件下において3か月間白濁を生じることもなく安定であった。また、専門パネラー10名による官能試験を行なった。評価は下記の項目について5段階の評点評価を実施した。
(1) 肌のしっとりさ
1.かさつく
2.ややかさつく
3.普通
4.ややしっとりする
5.しっとりする
【0029】
(2) 肌の滑らかさ
1.ざらつく
2.ややざらつく
3.普通
4.やや滑らか
5.滑らか
(3) 肌のべたつき
1.べたつく
2.ややべたつく
3.普通
4.ややさっぱり
5.さっぱり
パネラー10名の評点の平均を表5に示した。表5から明らかなように、クリ渋皮発酵物抽出物を配合した実施品は、クリ渋皮発酵物抽出物無配合の対照品より優れた保湿性と皮膚平滑性を示した。
【表5】
Figure 2004352634
【0030】
(実施例8)
シャンプー剤の製造
表6の処方に従い、(1)〜(8)を70℃で混合撹拌し、室温まで冷却させてシャンプー剤を得た。
得られた製品を用いて洗髪したところ、髪の感触が滑らかで、髪に潤いを与えるものであった。
【表6】
Figure 2004352634
【0031】
(実施例9)
クリーム剤の製造
表7に示す処方に従い、(1)〜(7)を80℃で混合撹拌したものに、別途(8)〜(12)を80℃で混合攪拌したものを加え、ホモジナイズし、攪拌しながら室温まで冷却し、クリーム剤を得た。
得られた製品は使用中にべたつかず、肌をしっとりとさせるものであった。
【表7】
Figure 2004352634
【0032】
(実施例10)
ボディジェル剤の製造
表8の処方に従い、(1)〜(8)を撹拌、溶解した。
得られた製品は使用中にべたつかず、肌をしっとりとさせるものであった。
【表8】
Figure 2004352634
【0033】
(実施例11)
ヘアパック剤の製造
表9に示す処方に従い、(1)〜(2)を80℃混合撹拌したものに、別途(3)〜(13)を80℃で混合撹拌したものに加え、80℃にて混合攪拌しながら(14)、(15)をさらに添加し混合攪拌してヘアパック剤を得た。
得られた製品を用いて髪のトリートメントをしたところ、髪の感触が滑らかで、髪に潤いを与えるものであった。
【表9】
Figure 2004352634
【0034】
【発明の効果】
本発明のクリ渋皮発酵物及びクリ渋皮発酵物抽出物は、美白効果、抗菌効果、コラゲナーゼ阻害活性、エラスターゼ阻害活性、抗酸化活性、リパーゼ阻害活性を示し、化粧品組成物として有用であることがわかった。特にコラゲナーゼ阻害活性、エラスターゼ阻害活性、抗酸化活性は、老化防止に関連深い因子とされ、これらの高い活性を示す本発明のクリ渋皮発酵物及びクリ渋皮発酵物抽出物は、老化防止剤として特に有用に用いることができる。
本発明のクリ渋皮発酵物及びクリ渋皮発酵物抽出物は、化粧品類の他、医薬品類、医薬部外品類、浴用剤などに用いることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】コラゲナーゼ活性阻害活性を示す図である。
【図2】エラスターゼ活性阻害活性を示す図である。
【図3】抗酸化作用を示す図である。

Claims (7)

  1. クリ種子の渋皮発酵物を配合することを特徴とする化粧品組成物。
  2. クリ種子の渋皮発酵物を美白剤、老化防止剤、リパーゼ阻害剤及び/又は抗菌剤として配合することを特徴とする請求項1記載の化粧品組成物。
  3. クリ種子の渋皮発酵物を、水、アルコール、多価アルコール、またはそれらの混合溶媒で抽出して得られる抽出物を配合することを特徴とする化粧品組成物。
  4. クリ種子の渋皮発酵物を、水、アルコール、多価アルコール、またはそれらの混合溶媒で抽出して得られる抽出物を美白剤、老化防止剤、リパーゼ阻害剤及び/又は抗菌剤として配合することを特徴とする請求項3記載の化粧品組成物。
  5. クリ種子の植物がニホングリ(Castanea crenata Sieb. et Zucc.)の種子であることを特徴とする請求項1〜4記載の化粧品組成物。
  6. 老化防止剤がマトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、エラスターゼ阻害剤、抗酸化剤のうちから選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする請求項2又は4記載の化粧品組成物。
  7. 渋皮発酵物が黄麹菌(アスペルギルス オリゼー)を用いて発酵した発酵物であることを特徴とする請求項1〜6記載の化粧品組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014141453A (ja) * 2012-12-27 2014-08-07 Nof Corp コラーゲン産生促進剤
KR101484884B1 (ko) 2014-05-09 2015-01-22 주식회사 엘지생활건강 주름개선용 화장료 조성물
JP2017071585A (ja) * 2015-10-09 2017-04-13 国立大学法人広島大学 抗ノロウイルス剤

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