JP7190930B2 - 電子エミッタ - Google Patents
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Description
(1)電子エミッタの構成
図1に示すように、電子エミッタ1は、基板3と、当該基板3表面に設けられた陰極5と、当該陰極5表面に形成された機能性膜7とを備える。基板3は、例えば、ガラス、石英、アルミナ、シリコン、モリブデン、ステンレス、ニッケル-鉄合金などで形成される。
上記電子エミッタ1は、集合体を含有する分散液を製造する工程、当該分散液を用いて機能性膜7を基板3表面に設けられた陰極5表面に形成する工程を経ることによって、製造される。
分散液10は、図3に示すように、複数のCNTの絡み合いからなる集合体14Aが分散媒12中に分散されている。集合体14Aは、実質的に球状であり、直径dが1~50μmである。直径dは、分散液10中の集合体14Aの任意の方向における長さとすることができる。分散液10中の集合体14Aの直径dは、光学顕微鏡により測定することができる。
CNTと分散媒とを予備混合して、粗材を調製する。本実施形態においては、CNTとエチルセルロースと3-ペンタノールとを、1:1:98の質量比で配合する。用いるCNTは、長さが1~300μm程度である。粗材中におけるCNTの濃度は、1質量%である。粗材中のCNTは、バンドルを形成していてもよい。粗材は、せん断処理を施して、CNTの長さを1~50μmに調整する。長さが調整されたCNTは、分散媒中に均一に分散する。せん断処理には、高圧ホモジナイザーを用いることができる。
原料を希釈し、造粒処理を施して、CNTの絡み合った集合体を形成する。造粒処理には、例えば遊星攪拌装置を用いることができる。本実施形態においては、第1工程で得られた原料に、100重量部の原料に対して100重量部の3-ペンタノールを加えて、CNTの濃度を0.5質量%とする。CNTとエチルセルロースと3-ペンタノールの質量比は、0.5:1.125:98.375である。この状態で、5~60分間の遊星攪拌を行う。遊星攪拌を行うことによって、CNTの一部が毛玉状に緩く絡み合って集合体を形成する。
まず、基板3表面に設けられた陰極5表面に上記分散液10を、スクリーン印刷する。分散液10に含まれる集合体14Aは、直径が50μm以下であるから、スクリーンメッシュにおける目詰まりを防止することができる。
本実施形態で用いる分散液10は、CNTが絡み合った集合体14Aを含有する。分散液10中では、集合体14Aは実質的に球状なので、分散液10中における集合体14Aのアスペクト比は約1となる。CNTは、緩やかに毛玉状に絡み合って集合体14Aを形成している。CNTの絡み合いが緩やかであることは、乾燥後の集合体14の形状の変化から確認できる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。
樹脂としてエチルセルロースを用意し、溶媒として3-ペンタノールを用意した。CNTとエチルセルロースと3-ペンタノールとを、1:1:98の質量比で配合し、一般的な方法により予備混合した。用いたCNTは、長さが1~300μm程度である。さらに、高圧分散装置を用いてせん断処理を施した(第1工程)。これにより、単離したCNTが均一に分散した均一分散液からなる原料が得られた。
溶媒としてN-メチル-2-ピロリドン(N-methylpyrrolidone、NMP)を用意した。CNTとNMPとを、1.66:98.34の質量比で配合し、一般的な方法により予備混合して粗材を得た。用いたCNTは、気相成長法で形成され、バンドル形状を有し、長さが1~300μm程度である。粗材中のCNTの一部は、バンドルを形成している。
四探針抵抗率計を用いた。探針を評価膜表面に押し当て、体積抵抗率を測定した。その結果を図25に示す。本図の横軸はCNT濃度(質量%)、縦軸は体積抵抗率(Ω・cmを示す。本結果は、評価膜における5ヶ所を測定した平均値である。CNT濃度が1質量%~10質量%において、サンプルDを用いた評価膜の方が、サンプルEを用いた評価膜より体積抵抗率が低いことが確認された。すなわち実施例に係る試料No.1~3の分散液を用いることによって、比較例に比べ導電性に優れた評価膜が得られた。
試料No.2(実施例)を用いた評価膜、試料No.5(比較例)を用いた評価膜の、表面の引裂き強度を、表面性測定機(HEIDON製)を用いて測定した。引掻針は先端半径が0.05mm、円錐のテーパ角度が60°のサファイア針を用いた。引掻き速度を20mm/s、荷重を100g~1000gまで変えながら評価膜の表面が裂けるまで行った。その結果を図26に示す。本図の縦軸は荷重(g)を示す。試料No.2(実施例)を用いた評価膜は、荷重840gでは裂けなかったが、荷重880gで表面が裂けた。一方、試料No.5(比較例)を用いた評価膜は、荷重350gでは裂けなかったが、荷重380gで表面が裂けた。すなわち実施例に係る評価膜は、比較例に比べ、2倍超の引裂き強度を有するといえる。
ガラス基板の両サイドに600μm厚のスペーサを置き、試料No.2の分散液をスキージにて広げた。初期乾燥(120℃のオーブン中で30分)を行った後、仕上げ乾燥(250℃のオーブンで60分)をして得られた膜をガラス基板から剥がし、ダンベル形状に打ち抜いて、引張試験用の試験片を3個作製した。当該試験片は、厚さ0.07mm、くびれ部分の幅が5mmである。比較として試料No.5の分散液を用いて同様の手順で、比較例に係る引張試験用の試験片を2個作製した。当該試験片は、厚さ0.09mm、くびれ部分の幅が5mmである。10mm/minの試験速度で引張試験を行い、引張強さを測定した。その結果を表2及び表3に示す。測定結果に基づき試験中に加わった最大の力に対応する応力を算出した。試料No.5(比較例)を用いた試験片に対し、試料No.2(実施例)を用いた試験片の応力は約2倍であることが確認された。
サンプルCの分散液を88mm角のステンレス基板上の84mm角の領域にスクリーン印刷した。使用したスクリーンは、目開き約190μm、糸径約60μmのナイロン製である。次いで初期乾燥(100℃のオーブン中で20分)を行った後、1次焼成(360℃のオーブンで60分、10℃/min)を密閉容器中で行った。さらに大気解放後、2次焼成(360℃のオーブンで5分)を行った。次いで、機能性膜の表面にピーリングテープ(スリーエムジャパン(株)製、品番:スコッチ375SN)を貼り、その後ピーリングテープを剥がすことで、集合体に含まれるCNTの一部をステンレス基板表面から剥がして起毛させ、図27に示すように、88mm角のステンレス基板68上に84mm角の機能性膜69を作製した。
7 機能性膜
14、14A 集合体
Claims (1)
- 陰極と、
カーボンナノチューブの絡み合いからなり球が高さ方向に潰れた形状である複数の集合体を含有し、前記陰極の表面に設けられた機能性膜と、を備えた電子エミッタであって、
前記複数の集合体の分布密度が500個/mm 2 以上であり、
前記複数の集合体の各集合体は、直径が50μm以下、高さが5μm未満で、前記高さと前記直径との比(高さ/直径)が0.1未満である
電子エミッタ。
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