JP7188561B2 - 試料測定装置および測定試料同定方法 - Google Patents

試料測定装置および測定試料同定方法 Download PDF

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Description

本発明は、試料測定装置および測定試料同定方法に関する。
従来、試料測定装置が知られている。このような試料測定装置は、たとえば、特表2006-502414号公報に開示されている。
特表2006-502414号公報には、サンプルを複数のアリコート(分割単位)に分離するクロマトグラフィーアセンブリと、アリコートの各々の質量分析を得る質量分析アセンブリと、複数のアリコートをさらに分析するUV検出アセンブリと、コンピュータとを含む試料測定装置が開示されている。
クロマトグラフィーアセンブリは、固定相と移動相とを含み、サンプルに含まれる成分毎の固定相に対する親和性と、移動相に対する親和性との違いに基づいて、サンプルに含まれる各成分を分離する。固定相に対する親和性が高い成分は、移動相に対する親和性が高い成分よりも、長い時間固定相に保持される。すなわち、クロマトグラフィーアセンブリは、サンプルに含まれる成分が固定相に保持される時間(保持時間)の差に基づいて、サンプルを複数のアリコートに分離するように構成されている。特表2006-502414号公報に記載されている装置は、サンプルに含まれる各成分のピークを保持時間によって分離する構成が開示されている。
特表2006-502414号公報
ここで、試料(サンプル)に含まれる成分のピークを分離する際に、各成分に対応するピークの位置が重なっている、または近すぎる場合、それぞれの成分を分離することが困難である。そこで、特表2006-502414号公報には記載されていないが、各成分を分離するために、分析時の条件を変更することにより、ピークの位置を調整することが考えられる。しかしながら、ピークの位置を調整するために分析条件を変更した場合、ピークの位置がどのように変化するかが不明であるため、どのピークがどの成分であるかを同定するためには、検査者が分析条件を変更する前後の実データを見比べることが必要となる。検査者が実データを見比べることにより各成分を同定する場合、検査者の熟練度によっては、正確な同定が困難であるという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、検査者の熟練度によらず、試料に含まれる成分のピークを同定することが可能な試料測定装置および測定試料同定方法を提供することである。
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における試料測定装置は、複数のパラメータを含む測定条件に従って複数の成分を含む試料の測定を行う測定部と、測定部の出力に基づいて測定データを取得するデータ処理部と、を備え、データ処理部は、測定データに基づいて、測定条件に応じた測定品質指標の分布を取得し、測定品質指標の分布と、試料を測定する際のパラメータとから複数の成分ごとに保持時間を推定した成分同定指標を作成し、成分同定指標に基づいて、測定データにおける各々の成分のピークを同定するように構成されている。
この発明の第2の局面における測定試料同定方法は、複数のパラメータを含む測定条件に従って複数の成分を含む試料を測定して得られた測定データを取得するステップと、測定データに基づいて測定条件に応じた測定品質指標の分布を取得するステップと、測定品質指標の分布と試料を測定する際のパラメータから複数の成分ごとに保持時間を推定した成分同定指標を作成し、成分同定指標に基づいて測定データにおける各々の成分のピークを同定するステップと、を備える。
本発明の第1の局面による試料測定装置では、上記のように、測定データに基づいて、測定条件に応じた測定品質指標の分布を取得し、測定品質指標の分布と、試料を測定する際のパラメータから複数の成分ごとに保持時間を推定した成分同定指標を作成し、成分同定指標に基づいて、測定データにおける各々の成分のピークを同定するデータ処理部を備える。ここで、測定品質指標とは、分析装置などにおいて、パラメータの異なる複数の測定条件で得られた結果に基づいて算出される値である。測定品質指標の分布(応答局面)の中の設計上許容されるパラメータの範囲がデザインスペースとして特定される。デザインスペースとは、パラメータをどのように組み合わせて選択したとしても、許容される測定品質が得られる(測定品質が確保される)パラメータの範囲である。そのため、デザインスペースの範囲内でパラメータを変更することにより、測定の品質を確保した状態において、分析条件の検討を行うことができる。したがって、測定品質指標の分布と、試料を測定する際のパラメータとに基づいて、測定データにおける各々の成分のピークの位置を予測することが可能となるので、測定条件を変更した場合でも、各成分のピークの位置を予測することができる。その結果、測定条件に基づいて各成分のピークを同定することが可能なので、検査者の熟練度によらず、試料に含まれる成分のピークを同定することができる。
また、本発明の第2の局面における測定試料同定方法は、上記のように、測定品質指標の分布と、試料を測定する際のパラメータから複数の成分ごとに保持時間を推定した成分同定指標を作成し、成分同定指標に基づいて、測定データにおける各々の成分のピークを同定するステップを備える。これにより、第1の局面における試料測定装置と同様に、検査者の熟練度によらず、試料に含まれる成分のピークを同定することが可能な測定試料同定方法を提供することができる。

一実施形態による試料測定装置の概略を示したブロック図である。 試料測定装置の構成例を示したブロック図である。 パラメータがαの場合のクロマトグラムを示した図である。 パラメータがβの場合のクロマトグラムを示した図である。 測定品質指標を説明するための図である。 測定品質指標の分布の一例として保持時間の応答グラフを示した図である。 図6に示した応答グラフの2次元表示においてデザインスペースを例示した図である。 第2成分におけるモデル式と、第3成分におけるモデル式とを説明するためのグラフである。 同定結果を、試料を実際に測定した測定結果の分布とともに表示した模式図である。 試料測定装置による測定試料の同定手順を説明するためのフローチャートである。 試料測定装置によるデザインスペースの構築手順を説明するためのフローチャートである。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
図1~図9を参照して、一実施形態による試料測定装置100の構成について説明する。
試料測定装置100は、複数のパラメータ31を含む測定条件30に従って試料の測定を行い、測定結果に基づいて測定データ40を取得する装置である。
試料測定装置100は、たとえば、複数の成分を含む試料を測定し、測定により得られた測定データ40を提供する。試料の測定は、複数の成分の各々を分離可能な条件で行われることが好ましい。
以下、試料測定装置100の具体例について説明する。
図1に示すように、試料測定装置100は、測定部10と、データ処理部20とを備えている。試料測定装置100は、測定部10により試料中の成分を検出し、データ処理部20により、測定部10の出力(検出信号)の分析を行うように構成されている。測定部10は、試料の測定を行うように構成されている。また、データ処理部20は、測定部10の測定結果(検出信号)を分析するように構成されている。
測定部10は、所定の測定原理に基づき、複数のパラメータ31を含む測定条件30に従って複数の成分を含む試料の測定を行うように構成されている。測定原理は特に限定されない。測定部10は、少なくとも、試料を受け入れ、測定条件30に従って測定動作を実行し、試料中の成分を反映した検出信号を出力する。測定部10は、たとえばクロマトグラフである。クロマトグラフには、ガスクロマトグラフ、液体クロマトグラフなど複数の種類があるが、特に限定されない。ここでは一例として、測定部10が図2に示す液体クロマトグラフである。液体クロマトグラフは、試料中の成分を運ぶ移動相として液体を用い、物質の有する性質の違いを利用して、物質を成分ごとに分離する装置である。
図2に示すように、測定部10は、移動相供給部11と、ポンプ12と、試料供給部13と、カラム14と、温度調整部15と、検出部16とを含んでいる。測定部10は、検出部16の検出信号をデータ処理部20に出力する。
また、データ処理部20は、測定部10の出力(検出部16の検出信号)に基づいて測定データ40(図1参照)を取得するように構成されている。測定部10がクロマトグラフである場合、データ処理部20は、測定品質指標42の分布43に基づいて、測定データ40における成分の各々を同定するための成分同定指標45(図1参照)を推定するように構成されている。また、データ処理部20は、測定データ40であるクロマトグラム40a(図3参照)における成分毎のピーク41を同定するように構成されている。なお、成分同定指標45とは、分析条件を検討する際など、パラメータ31を変更した場合に、パラメータ31の変化に伴って変化する成分毎に変化する指標である。成分同定指標45を測定品質指標42の分布43に基づいて推定することにより、測定の品質を確保することが可能となる。成分同定指標45は、少なくとも、ピーク41の保持時間rt(図5参照)を含む。
〈測定部の構成〉
図2に示すように、測定部10では、移動相供給部11と、ポンプ12と、試料供給部13と、カラム14と、検出部16とが、送液管により接続されている。移動相供給部11は、移動相(溶媒液)を所定の濃度に調整して供給するように構成されている。ポンプ12は、移動相の流量を調整して移動相をカラム14に向けて送液するように構成されている。試料供給部13は、移動相中に試料を供給するように構成されている。カラム14は、固定相を含んだ細管である。移動相とともに送液される試料がカラム14内を通過する。この際、試料に含有される各成分が、移動相および固定相のそれぞれと相互作用する。成分毎に相違する相互作用により、試料の成分毎にカラム14内の移動速度が変化する。その結果、試料は、成分(物質)ごとに分離されて検出部16に到達する。
温度調整部15は、カラム14の温度を調整するように構成されている。具体的には、温度調整部15は、カラム14が設定温度になるように加熱または冷却するように構成されている。検出部16は、カラム14を介して到達する試料中の各成分を検出するように構成されている。検出部16が試料の各成分を検出するための検出原理は特に限定されない。検出部16は、たとえば、吸光スペクトル、屈折率、または、光の散乱を測定して、試料中の各成分を検出する。また、検出部16は、フローセルを含んでいる。検出部16は、取得した各成分の検出信号を、測定部10の出力としてデータ処理部20に送信するように構成されている。
〈データ処理部〉
データ処理部20は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ21と、揮発性および/または不揮発性のメモリを含む記憶部22と、を備えるコンピュータである。記憶部22には、プロセッサ21が実行することにより、データ処理部20として機能するためのプログラム23が記憶されている。記憶部22には、図1に示した測定条件30、測定データ40、後述する測定品質指標42、後述する測定品質指標42の分布43、成分同定指標45、後述するモデル式60などの各種データが記憶される。また、図2に示す試料測定装置100は、操作部24と、表示部25とを備える、操作部24と、表示部25とは、データ処理部20に電気的に接続されている。
また、データ処理部20は、測定部10の各部を制御するように構成されている。上記の通り、データ処理部20は、コンピュータにより構成されている。具体的には、データ処理部20のプロセッサ21は、記憶部22に格納されたプログラム23に基づいて、測定部10を制御するように構成されている。データ処理部20は、複数のパラメータ31を含む測定条件30(図1参照)を測定部10に設定する。データ処理部20は、操作部24により操作者からの入力操作を受け付けるように構成されている。また、データ処理部20は、操作のための画面、測定結果の表示などを、表示部25に表示させる制御を行うように構成されている。
図2に示した液体クロマトグラフの例では、パラメータ31は、温度、溶媒濃度、pH、カラム種のうち複数を含む。温度は、カラム14の温度である。溶媒濃度は、移動相に含まれる溶媒液(有機溶媒)の濃度である。pHは、移動相のpHである。カラム種は、たとえばカラムの内径、カラムの長さなどの複数のパラメータの総称である。カラムの内径と、カラムの長さとは、別々のパラメータ31として設定される。
図3および図4は、複数の成分として第1成分、第2成分、第3成分、および、第4成分の4つの成分を含む試料を測定して得られるクロマトグラム40aおよび40bの例である。クロマトグラム40aおよび40bには、第1ピーク41a、第2ピーク41b、第3ピーク41c、および、第4ピーク41dが含まれる。第1ピーク41a、第2ピーク41b、第3ピーク41c、および、第4ピーク41dは、それぞれ、第1成分、第2成分、第3成分、および第4成分のピーク41である。パラメータ31を変更した場合、各ピーク41の位置(保持時間rt)が変化する。
図3に示す例は、パラメータ31の値をαに設定した際のクロマトグラム40aである。クロマトグラム40aでは、試料に含まれる各成分のピーク41は、第1ピーク41a、第2ピーク41b、第3ピーク41c、および、第4ピーク41dの順に形成される。
図4に示す例は、パラメータ31の値をβに設定した際のクロマトグラム40bである。クロマトグラム40bでは、第1ピーク41a、第3ピーク41c、第2ピーク41b、および、第4ピーク41dの順に各ピーク41が形成される。パラメータ31の値βは、パラメータ31の値αとは異なる値である。
適切な測定条件30を決定するためにパラメータ31を変更した場合、図3および図4に示すように、同一の成分が含まれる試料を測定した場合でも、パラメータAがαの場合とβの場合とにおいて、得られるクロマトグラム40aにおける各ピーク41の位置(保持時間rt)が異なる。特に、第2ピーク41bおよび第3ピーク41cは、パラメータAがαの場合とβの場合とにおいて、位置が入れ替わる可能性がある。このような測定データ40を検査者が確認した際に、保持時間rtによって各成分を同定する場合、成分の同定を誤る恐れがある。そこで、保持時間rtによって各成分を同定する際に、被験者の熟練度が高くない場合であっても、各成分を同定することが望まれる。
また、測定の品質を確保するため、試料測定装置100では、適切な測定条件30(分析メソッド)を設定し、設定された測定条件30によって毎回の測定が実施されることが望まれる。
そこで、本実施形態では、試料測定装置100は、各測定条件30に対する測定品質指標42の分布43を作成し、測定品質指標42の分布43内でのパラメータ31の許容範囲であるデザインスペース44(図7参照)を取得するように構成されている。デザインスペース44は、測定品質指標42を許容範囲内に収めることが可能な各パラメータ31の設定値の範囲を与える。
実際には、測定条件30として設定可能なパラメータ31の数は、たとえば数種類から10種類程度にもなる。しかし、設定可能な全てのパラメータ31の全ての組み合わせについて最適化することは、作業時間や作業負荷の観点から好ましくない。そのため、測定条件30の最適化(分析メソッドの開発)においては、予め、設定可能な全てのパラメータ31のうちからスクリーニングが行われる。
測定品質を評価するに当たっては、測定の目的に応じて、定量的に評価可能な測定品質指標42が1つまたは複数用いられ得る。測定品質指標42は、たとえば測定データ40であるクロマトグラム40aのピーク41の分離度Rおよび保持時間rtのうち少なくとも1つを含む。
図5に示したように、測定データ40としてのクロマトグラム40aは、横軸に時間を示し、縦軸が信号強度を示したグラフである。試料中の各成分は、測定部10のカラム14を通過する過程で分離され、それぞれ異なるタイミングで検出部16によって検出される。そのため、クロマトグラム40aでは、試料に含まれる成分に応じたタイミングで検出部16の信号強度のピーク41が形成される。なお、図5に示す例では、便宜上、各ピーク41のうち、第2ピーク41bおよび第3ピーク41cのみを図示している。
分離度Rは、対象とするピークが隣り合うピークからどの程度分離しているかを示す尺度である。分離度Rは、ピーク41の保持時間rtおよびピーク幅から算出される。たとえば、分離度Rは、各ピーク幅W1、W2、各ピーク41の保持時間rt1、rt2(ただし、rt1<rt2)を用いて、下式(1)または下式(2)で表される。
R=2×(rt2-rt1)/(W1+W2)・・・(1)
R=1.18×{(rt2-rt1)/(Wh1+Wh2)}・・・(2)
なお、Wh1、Wh2は、各ピーク41の半値幅(半値全幅)である。分離度Rは、値が大きくなるほど隣り合うピーク41が分離されていることを意味する。たとえば、分離度Rが1.5以上の場合に完全分離されているとみなされる。
以下では、測定品質指標42が分離度Rである例を示す。たとえば、測定品質指標42は、測定データ40(クロマトグラム40a)の分離度Rの最小値である。ただし、分離度Rだけを基準とした場合、一般的には分析時間が長くなってしまうので、測定品質指標42は、分離度Rと分析完了時間(最も遅いピーク41の保持時間rt)の両方を含んでもよい。
図1に示したように、データ処理部20は、測定データ40に基づいて、測定条件30に応じた測定品質指標42の分布43を取得する。すなわち、データ処理部20は、複数のパラメータ31に様々な設定値を適用した各種の測定条件30で得られた複数の測定データ40から、それぞれ測定品質指標42を算出する。
データ処理部20は、代表値としての複数点の測定データ40から、回帰分析により測定品質指標42の分布43を取得する。すなわち、測定品質指標42の分布43は、異なる複数の測定条件30により予め取得された複数の測定データ40に基づいて取得された回帰式で表される。
データ処理部20は、たとえば、複数の測定データ40からそれぞれ算出した複数の測定品質指標42と、それぞれの測定データ40が得られたパラメータ31の設定値とから、測定品質指標42の分布43を示す回帰式を取得する。
図6に示すように、データ処理部20は、測定品質指標42の分布43として、パラメータ31に対する測定品質指標42の応答グラフ43aを取得する。図6の例では、応答グラフ43aは、2種類のパラメータ31(パラメータA、パラメータB)に対する測定品質指標42(分離度R)の応答曲面をプロットした3次元グラフである。図6では、水平方向の縦軸および横軸がそれぞれパラメータAおよびパラメータBの設定値を示し、垂直方向の軸が分離度Rの大きさを示す。各軸の矢印が、パラメータ31または分離度Rが増大する方向を示す。応答グラフ43aは、成分毎に取得する。
図7に示すように、応答グラフ43aから、測定品質指標42(分離度R)が満たすべき値を閾値として設定することによって、測定品質指標42の許容範囲(デザインスペース44)が取得される。図7は、図6の応答グラフ43aを2次元表示で示した応答グラフ43bを示し、縦軸および横軸がそれぞれパラメータAおよびパラメータBの設定値を示す。データ処理部20は、図6の応答グラフ43aにおいて、分離度Rが閾値以上となる領域をデザインスペース44(図7参照)として取得する。なお、図7において各軸に示した数値範囲は、単に便宜的に例示したものにすぎない。
各パラメータ31(パラメータA、パラメータB)の設定値を特定した1つの測定条件30は、応答グラフ43a内で、各パラメータ31の設定値によって特定される1点として表現される。たとえば図7において、デザインスペース44内に含まれる1つの測定条件30が、パラメータA=X、パラメータB=Yの点(X,Y)で特定される。各パラメータ31(パラメータA、パラメータB)の設定値によって特定される各測定条件30がデザインスペース44内に含まれる限り、その測定条件30では、閾値以上の測定品質指標42(分離度R)の測定データ40が取得されることが期待される。
分析の品質を確保した状態において試料の各成分を分離するのに適した分析条件を決定する場合、デザインスペース44内に収まる測定条件30を選択することが好ましい。しかし、図7のように、デザインスペース44は、あくまでも許容範囲を示すものであり、デザインスペース44内で、どのパラメータ31を変化させると分離度Rがどのように変化するかといった情報に乏しい。また、デザインスペース44内で所定のパラメータ31(たとえば、パラメータA)を変化させた場合に、各サンプルのピーク41の保持時間rtがどのように変化するかを把握することは難しい。
そこで、本実施形態では、図1に示したように、データ処理部20は、測定品質指標42の分布43と、試料を測定する際のパラメータ31とに基づいて、ピーク41の保持時間rtを推定するように構成されている。また、データ処理部20は、推測したピーク41の保持時間rtに基づいて、各々の成分のピーク41を同定するように構成されている。
具体的には、データ処理部20は、パラメータ31と、ピーク41の保持時間rtとの関係を示すモデル式60を取得する。具体的には、データ処理部20は、測定品質指標42の分布43と、試料を測定する際のパラメータ31とに基づいて、以下に示す式(3)の各変数(aおよびb)を算出することにより、モデル式60を取得する。
y=ax+b ・・・(3)
ここで、yは、保持時間rtである。また、xは、パラメータ31である。
上記式(3)に示すように、モデル式60は、測定品質指標42の分布43におけるパラメータ31と分離度Rとの関係を、パラメータ31と保持時間rtとの関係に置き換える式である。モデル式60を用いることにより、パラメータ31の変化に対する、各成分のピーク41の保持時間rtの変化を容易に取得することができる。
図8は、第2成分におけるモデル式60および第2成分におけるモデル式60を示すグラフG1およびグラフG2である。グラフG1およびG2は、複数のパラメータ31のうち、パラメータAを変化させた際の、第2成分および第3成分の保持時間rtの変化を示すグラフである。図8に示すように、データ処理部20は、第2成分のパラメータ31と保持時間rtとをプロットし、上記式(3)で近似した際のaおよびbを取得することにより、第2成分におけるモデル式60を取得する。また、データ処理部20は、第3成分のパラメータ31と保持時間rtとをプロットし、上記式(3)で近似した際のaおよびbを取得することにより、第3成分におけるモデル式60を取得する。
第2成分のモデル式60と第3成分のモデル式60とでは、傾き(変数a)が異なる。したがって、パラメータ31の値が、所定の値γを境に、保持時間rtの長さが逆転する。すなわち、パラメータ31の値が、所定の値γよりも小さい値αの場合、第3成分の保持時間rtが第2成分の保持時間rtよりも大きくなる。すなわち、測定条件30が、図3に示すクロマトグラム40aを取得した際のパラメータ31となるため、第3成分のピーク41(第3ピーク41c(図3参照))は、第2成分のピーク41(第2ピーク41b(図3参照))よりも後ろの位置で検出される。
一方、パラメータ31の値が、所定の値γよりも大きい値βの場合、第2成分の保持時間rtが第3成分の保持時間rtよりも大きくなる。すなわち、測定条件30が、図4に示すクロマトグラム40bを取得した際のパラメータ31となるため、第2成分のピーク41(第2ピーク41b(図4参照))は、第3成分のピーク41(第3ピーク41c(図4参照))よりも後ろの位置で検出される。保持時間rtのみで各ピーク41を同定する場合、パラメータ31の値によってはピーク41に対応する成分が異なる(入れ替わる)場合がある。
そこで、本実施形態では、データ処理部20は、各成分に対して、パラメータ31毎にモデル式60を取得するように構成されている。したがって、各成分を分離するのに適した測定条件30を決定するためにパラメータ31を変更した場合でも、変更したパラメータ31に応じたモデル式60を用いることにより、変更したパラメータ31に対応する各ピーク41の保持時間rtを推定することができる。また、データ処理部20は、推定した成分同定指標45(保持時間rt)に基づいて、変更したパラメータ31における各々の成分のピーク41を同定することができる。
また、本実施形態では、図9に示すように、データ処理部20は、モデル式60に基づいて同定した試料の同定結果を、試料を実際に測定した測定結果の分布46とともに表示部25に表示するように構成されている。具体的には、データ処理部20は、図9に示すように、モデル式60に基づいて同定した試料の同定結果の分布47と、試料を実際に測定した測定結果の分布46とを重ね合わせて表示するように構成されている。モデル式60に基づいて同定した試料の同定結果の分布47を、試料を実際に測定した測定結果の分布46とともに表示ことにより、モデル式60に基づいて同定した試料の同定結果と試料を実際に測定した測定結果とが大きくずれた領域50を容易に視認することができる。モデル式60に基づいて同定した試料の同定結果と試料を実際に測定した測定結果とが大きくずれた領域50が確認された際には、モデル式60を再度取得する。具体的には、測定品質指標42の分布43を再び取得することにより、モデル式60を再取得する。これにより、モデル式60に基づく試料の同定精度向上させることができる。なお、図9に示す例では、同定結果の分布47を実線で図示している。また、測試料を実際に測定した測定結果の分布46を破線で図示している。
(測定試料の同定)
次に、本実施形態による試料測定装置100を用いた各成分のピーク41の同定について説明する。図10は、取得したモデル式60を用いて、測定データ40の各々の成分のピーク41を同定する手順を示したフロー図である。
本実施形態では、データ処理部20は、試料の測定時におけるパラメータ31に基づいて、測定データ40における各々の成分のピーク41を同定する測定試料同定方法を実施する。具体的には、測定試料同定方法は、複数のパラメータ31を含む測定条件30に従って複数の成分を含む試料を測定して得られた測定データ40を取得するステップ102と、測定データ40に基づいて測定条件30に応じた測定品質指標42の分布43を取得するステップ103と、測定品質指標42の分布43と試料を測定する際のパラメータ31とに基づいて測定データ40における各々の成分のピーク41を同定するステップ95とを備える。
以下、図10および図11を参照して説明する。
ステップ91において、データ処理部20は、デザインスペース44を構築する。データ処理部20がデザインスペース44を構築する処理のフローについては、後述する。
ステップ92において、データ処理部20は。測定品質指標42の分布43と、試料を測定する際のパラメータ31とに基づいて、モデル式60を取得する。なお、モデル式60は、試料に含まれる成分毎に取得する。
ステップ93において、データ処理部20は、試料を測定する際のパラメータ31をモデル式60に当てはめる。
ステップ94において、データ処理部20は、モデル式60に当てはめたパラメータ31に対応する保持時間rtを取得(推定)する。
ステップ95において、データ処理部20は、取得(推定)した保持時間rtに基づいて、成分のピーク41を同定する。
ステップ96において、データ処理部20は、測定データ40に含まれる全てのピーク41について同定したか否かを判定する。全てのピーク41を同定していない場合、処理は、ステップ93に戻る。全てのピーク41の同定が完了した場合、処理は、ステップ97へ進む。
ステップ97において、データ処理部20は、モデル式60に基づいて同定した試料の同定結果に基づいて、同定結果の分布47を作成する。
ステップ98において、データ処理部20は、同定結果の分布47を、試料を実際に測定した測定結果の分布46とともに表示部25に表示する。その後、処理は、終了する。
(デザインスペースの構築)
図11は、デザインスペース44を構築する際の手順を示したフロー図である。
デザインスペース44を構築するに際しては、どのような測定条件30(どのようなパラメータ31の設定値)で測定データ40を取得するかを定めた実験計画が作成され、実験計画に沿って複数の測定条件30で測定が実施される。複数の測定条件30で得られた各測定データ40を分析することにより、測定品質指標42の分布43が作成される。測定品質指標42の分布43と、設定された測定品質指標42の許容範囲(閾値)とから、デザインスペース44が特定される。
測定されていない測定条件30については、回帰分析によって推定(補完)されることになる。そのため、原則として、測定データ40の点数が多いほど、測定品質指標42の分布43の信頼性が向上する。
ステップ101において、実験計画が作成される。すなわち、試料測定装置100によって実測すべき複数の測定条件30が設定される。複数の測定条件30は、各パラメータ31の値の一部または全部が互いに異なっている。
ステップ102において、同一の試料に対して、実験計画で定められた複数の測定条件30の各々で、試料測定装置100による測定が行われる。データ処理部20(図1参照)は、測定すべき異なる複数の測定条件30を定めた実験計画に基づいて複数の測定データ40を取得する。すなわち、測定部10(図1参照)が、実験計画で定められた個々の測定条件30に従って、複数回の測定を行う。データ処理部20は、測定部10の出力に基づいて、測定条件30がそれぞれ異なる複数の測定データ40(測定結果)を生成する。
ステップ103において、データ処理部20は、得られた測定データ40に基づいて、測定条件30に応じた測定品質指標42(分離度R)の分布43(図6参照)を取得する。上述した例では、データ処理部20は、測定条件30の異なる複数の測定データ40を回帰分析することにより、測定品質指標42の分布43を回帰式として算出する。測定品質指標42の分布43が取得されると、予め設定された閾値に基づいて、測定品質指標42の分布43におけるデザインスペース44(図7参照)が特定される。
ステップ104において、測定データ40の点数が十分か否かが判断される。測定データ40の点数が十分でない場合、ステップ101に戻り、実験計画が更新される。すなわち、次に測定すべき測定条件30が新たに設定される。
この場合、データ処理部20は、ステップ102における新たな測定データ40の取得に伴い、ステップ103において測定品質指標42の分布43(図6参照)を更新する。測定品質指標42の分布43が更新されれば、パラメータ31と保持時間rtとの関係を示すモデル式60も変化する。そのため、データ処理部20は、測定品質指標42の分布43の取得が完了した後に、ステップ92において、パラメータ31と保持時間rtとの関係を示すモデル式60を取得する。
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、試料測定装置100は、複数のパラメータ31を含む測定条件30に従って複数の成分を含む試料の測定を行う測定部10と、測定部10の出力に基づいて測定データ40を取得するデータ処理部20と、を備え、データ処理部20は、測定データ40に基づいて、測定条件30に応じた測定品質指標42の分布43を取得し、測定品質指標42の分布43と、試料を測定する際のパラメータ31とに基づいて、測定データ40における各々の成分のピーク41を同定するように構成されている。これにより測定品質指標42の分布43と、試料を測定する際のパラメータ31とに基づいて、測定データ40における各々の成分のピーク41の位置を予測することが可能となるので、測定条件30を変更した場合でも、各成分のピーク41の位置を予測することができる。その結果、測定条件30に基づいて各成分のピーク41を同定することが可能なので、検査者の熟練度によらず、試料に含まれる成分のピーク41を同定することができる。
また、本実施形態では、上記のように、測定部10は、クロマトグラフを含み、データ処理部20は、測定品質指標42の分布43に基づいて、測定データ40における成分の各々を同定するための成分同定指標45を推定することにより、測定データ40であるクロマトグラム40aおよび/またはクロマトグラム40bにおける成分毎のピーク41を同定するように構成されている。これにより、クロマトグラフにおいて分析条件を変更した場合でも、成分同定指標45に基づいて成分毎のピーク41を同定することができる。その結果、測定者が測定データ40を確認することにより各成分のピーク41を同定する構成と異なり、測定者が判断することなく各成分のピーク41を同定することができる。
また、本実施形態では、上記のように、成分同定指標45は、少なくとも、ピーク41の保持時間rtを含み、データ処理部20は、測定品質指標42の分布43と、試料を測定する際のパラメータ31とに基づいて、ピーク41の保持時間rtを推定するとともに、推測したピーク41の保持時間rtに基づいて、各々の成分のピーク41を同定するように構成されている。これにより、たとえば、パラメータ31によって、ピーク41の位置(保持時間rt)が入れ替わるような成分を含む試料を測定する場合でも、測定する際のパラメータ31における各成分のピーク41を同定することができる。その結果、試料の分離に最適な測定条件30を決定するために、パラメータ31の値を様々な値に設定して測定した場合でも、検査者がピーク41を確認することにより各成分のピーク41を同定する場合と比較して、各成分のピーク41を誤同定することを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、データ処理部20は、パラメータ31と、ピーク41の保持時間rtとの関係を示すモデル式60を取得するとともに、取得したモデル式60に基づいて、ピーク41の保持時間rtを推定し、各々の成分のピーク41を同定するように構成されている。これにより、モデル式60に対してパラメータ31を当てはめることにより、ピーク41の保持時間rtを容易に取得することができる。
また、本実施形態では、上記のように、表示部25をさらに備え、データ処理部20は、モデル式60に基づいて同定した試料の同定結果を、試料を実際に測定した測定結果の分布46とともに表示部25に表示するように構成されている。これにより、モデル式60に基づいて同定した試料の同定結果と、測定品質指標42の分布43と、を比較することにより、モデル式60に基づく同定結果の確からしさを視覚的に把握することができる。その結果、たとえば、モデル式60に基づく結果が、測定品質指標42の分布43から大きく外れている場合に、ピーク41の同定ができていないケースおよび/またはピーク41を誤判定しているケースなどを、視覚的に容易に把握することができる。
また、本実施形態では、上記のように、パラメータ31は、温度、溶媒濃度、pH、カラム種のうち複数を含む。このように構成すれば、これらの各種のパラメータ31と保持時間rtとの関係を容易に取得することができる。
また、本実施形態では、上記のように、測定試料同定方法は、複数のパラメータ31を含む測定条件30に従って複数の成分を含む試料を測定して得られた測定データ40を取得するステップ102と、測定データ40に基づいて測定条件30に応じた測定品質指標42の分布43を取得するステップ103と、測定品質指標42の分布43と試料を測定する際のパラメータ31とに基づいて測定データ40における各々の成分のピーク41を同定するステップ95と、を備える。これにより、試料測定装置100と同様に、検査者の熟練度によらず、試料に含まれる成分のピーク41を同定することが可能な測定試料同定方法を提供することができる。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、データ処理部20が測定品質指標42の分布43を示す回帰式を取得する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、データ処理部20は、複数の測定条件30で取得された複数の測定データ40に対して、予め作成されたモデル式(モデル式60とは異なる式)の当てはめを行い、実測されていない他の測定条件30で取得される測定データ40を推定し、推定された測定データ40の分布に対して上式(2)または上式(3)を適用して測定品質指標42の分布43を取得してもよい。この場合、実測されていない測定データ40の推定には、たとえばベイズ推定が用いられる。この場合、推定される測定データ40には確率の分布が生じるので、データ処理部20は、たとえば所定の信頼区間に含まれる分離度Rの分布として測定品質指標42の分布43を取得することができる。
また、上記実施形態では、測定部10がクロマトグラフを含む構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、測定部10は、クロマトグラフ以外の測定装置であってもよい。たとえば測定部10は質量分析装置であってもよい。
また、上記実施形態では、測定品質指標42として、分離度Rおよび保持時間rtの少なくとも1つを用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、測定品質指標42として、測定データ40におけるピーク41の数、分離係数などの分離度Rおよび保持時間rt以外の指標を用いてもよいし、それらの複数の指標を組み合わせてもよい。
また、上記実施形態では、データ処理部20が成分同定指標45を推定することにより、クロマトグラム40aおよび/またはクロマトグラム40bにおける成分毎のピーク41を同定する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、データ処理部20は、測定品質指標42が保持時間rtであるデザインスペース44を構築し、構築したデザインスペース44に基づいて成分毎のピーク41を同定するように構成されていてもよい。
また、上記実施形態では、成分同定指標45がピーク41の保持時間rtである例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、成分同定指標45は、各成分のピーク41が形成される順序を含んでいてもよい。パラメータ31毎に各成分のピーク41が形成される順序がわかれば、測定データ40に基づいて、各成分のピーク41を同定することができる。
また、上記実施形態では、パラメータ31が、温度、溶媒濃度、pH、カラム種のうち複数を含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、パラメータ31として、温度、溶媒濃度、pH、カラム種以外の他のパラメータを用いてもよい。
また、上記実施形態では、モデル式60に基づいて同定した試料の同定結果を、試料を実際に測定した測定結果の分布46とともに表示部25に表示する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、試料の同定結果を試料を実際に測定した測定結果の分布46とは別に、単独で表示させてもよい。なお、試料の同定結果は、必ずしも試料測定装置100の表示部25に表示させなくてもよく、たとえば試料の同定結果を他のコンピュータや表示端末に送信してもよし、印刷してもよい。
また、上記実施形態では、データ処理部20が単一のコンピュータにより構成された例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、データ処理部20が複数のコンピュータの組み合わせによって実現されていてもよい。たとえば、図10および図11に示した測定データ40を取得するステップ102と、測定品質指標42の分布43を取得するステップ103と、モデル式60を取得するステップ92と、各成分のピーク41を同定するステップ95とが、それぞれ別個のコンピュータによって実行されてもよい。このとき、データ処理部20は複数台のコンピュータを含んで構成され、各コンピュータ間での相互通信によって上記のステップ92、ステップ95、ステップ102、ステップ103の処理が実行されうる。
[態様]
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
(項目1)
複数のパラメータを含む測定条件に従って複数の成分を含む試料の測定を行う測定部と、
前記測定部の出力に基づいて測定データを取得するデータ処理部と、を備え、
前記データ処理部は、
前記測定データに基づいて、前記測定条件に応じた測定品質指標の分布を取得し、
前記測定品質指標の分布と、前記試料を測定する際の前記パラメータとに基づいて、前記測定データにおける各々の前記成分のピークを同定するように構成されている、試料測定装置。
(項目2)
前記測定部は、クロマトグラフを含み、
前記データ処理部は、前記測定品質指標の分布に基づいて、前記測定データにおける前記成分の各々を同定するための成分同定指標を推定することにより、前記測定データであるクロマトグラムにおける前記成分毎のピークを同定するように構成されている、項目1に記載の試料測定装置。
(項目3)
前記成分同定指標は、少なくとも、前記ピークの保持時間rtを含み、
前記データ処理部は、前記測定品質指標の分布と、前記試料を測定する際の前記パラメータとに基づいて、前記ピークの保持時間を推定するとともに、推測した前記ピークの保持時間に基づいて、各々の前記成分の前記ピークを同定するように構成されている、項目2に記載の試料測定装置。
(項目4)
前記データ処理部は、前記パラメータと、前記ピークの保持時間との関係を示すモデル式を取得するとともに、取得した前記モデル式に基づいて、前記ピークの保持時間を推定し、各々の前記成分の前記ピークを同定するように構成されている、項目3に記載の試料測定装置。
(項目5)
表示部をさらに備え、
前記データ処理部は、前記モデル式に基づいて同定した前記試料の同定結果を、前記試料を実際に測定した測定結果の分布とともに前記表示部に表示するように構成されている、項目4に記載の試料測定装置。
(項目6)
前記パラメータは、温度、溶媒濃度、pH、カラム種のうち複数を含む、項目2~5のいずれか1項に記載の試料測定装置。
(項目7)
複数のパラメータを含む測定条件に従って複数の成分を含む試料を測定して得られた測定データを取得するステップと、
前記測定データに基づいて、前記測定条件に応じた測定品質指標の分布を取得するステップと、
前記測定品質指標の分布と、前記試料を測定する際の前記パラメータとに基づいて、前記測定データにおける各々の前記成分のピークを同定するステップと、を備える、測定試料同定方法。
10 測定部
20 データ処理部
25 表示部
30 測定条件
31 パラメータ
40 測定データ
40a、40b クロマトグラム
41 成分のピーク
42 測定品質指標
43 測定品質指標の分布
45 成分同定指標
60 モデル式
rt 保持時間
100 試料測定装置

Claims (10)

  1. 複数のパラメータを含む測定条件に従って複数の成分を含む試料の測定を行う測定部と、
    前記測定部の出力に基づいて測定データを取得するデータ処理部と、を備え、
    前記データ処理部は、
    前記測定データに基づいて、前記測定条件に応じた測定品質指標の分布を取得し、
    前記測定品質指標の分布と、前記試料を測定する際の前記パラメータとから前記複数の成分ごとに保持時間を推定した成分同定指標を作成し、前記成分同定指標に基づいて、前記測定データにおける各々の前記成分のピークを同定するように構成されている、試料測定装置。
  2. 前記測定部は、クロマトグラフを含み、
    前記データ処理部は、前記成分同定指標に基づいて、前記測定データであるクロマトグラムにおける前記成分毎のピークを同定するように構成されている、請求項1に記載の試料測定装置。
  3. 前記データ処理部は、前記パラメータと、前記ピークの保持時間との関係を示すモデル式を取得するとともに、取得した前記モデル式に基づいて、前記ピークの保持時間を推定し、各々の前記成分の前記ピークを同定するように構成されている、請求項に記載の試料測定装置。
  4. 表示部をさらに備え、
    前記データ処理部は、前記モデル式に基づいて同定した前記試料の同定結果を、前記試料を実際に測定した測定結果の分布とともに前記表示部に表示するように構成されている、請求項に記載の試料測定装置。
  5. 前記パラメータは、温度、溶媒濃度、pH、カラム種のうち複数を含む、請求項2に記載の試料測定装置。
  6. 前記測定部は、前記複数のパラメータが変化した場合にピークの位置が入れ替わる成分を含む複数の成分を含む試料の測定を行うものであり、
    前記データ処理部は、ピークの位置が入れ替わるように前記複数のパラメータが変化した場合に、前記測定品質指標の分布と、前記試料を測定する際の前記パラメータとに基づいて、各成分のピークの位置を予測することで、前記測定データにおける各々の前記成分のピークを同定するように構成されている、請求項1に記載の試料測定装置。
  7. 前記データ処理部は、前記測定品質指標の分布において、前記測定品質指標が閾値以上の範囲であるデザインスペースを生成し、前記デザインスペースと、前記試料を測定する際の前記パラメータとに基づいて、前記デザインスペース内において前記複数のパラメータを変化させた場合の前記測定データにおける各々の前記成分のピークを同定する、請求項1に記載の試料測定装置。
  8. 前記データ処理部は、測定されていない測定条件について回帰分析によって推定を行い、前記測定品質指標の分布を取得する、請求項に記載の試料測定装置。
  9. 前記同定結果の分布と前記測定結果の分布とを重ねて表示する、請求項4に記載の試料測定装置。
  10. 複数のパラメータを含む測定条件に従って複数の成分を含む試料を測定して得られた測定データを取得するステップと、
    前記測定データに基づいて、前記測定条件に応じた測定品質指標の分布を取得するステップと、
    前記測定品質指標の分布と、前記試料を測定する際の前記パラメータとから前記複数の成分ごとに保持時間を推定した成分同定指標を作成し、前記成分同定指標に基づいて、前記測定データにおける各々の前記成分のピークを同定するステップと、を備える、測定試料同定方法。
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