以下に、本発明にかかるドアラッチ装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の実施形態に係るドアラッチ装置10と該ドアラッチ装置10が適用される車両12の模式図である。以下、ドアラッチ装置10の説明における方向の表記は車両12を基準とする。車両12を基準とした方向は、図面上で適宜上下、内外(つまり室内側と室外側)および前後を矢印で示す。また、回転する部品の回転方向(時計方向、反時計方向)の表記は、基本的にその時点で参照している図面に従う。各図に示すドアラッチ装置10は車両の右側ドアに適用されるものを例示しているが、左側ドアに適用されるものは左右対称構造とすればよい。
図1に示すように、ドアラッチ装置10は車両12のドア14に設けられており、本体部であるラッチユニット16と、該ラッチユニット16につながる引込ユニット18とを備える。車両12にはカーテシスイッチが設けられていない。ラッチユニット16はBCM(Body Control module、点灯制御部)20と第1ハーネス22で接続されている。BCM20はラッチユニット16から供給される信号に基づいてルームランプ24の点灯制御を行う。BCM20は複数の車両電装制御を集約的に行うものであってルームランプ24の点灯制御の他に、例えばワイパーやヘッドライトなどの制御を行う。BCM20が行うルームランプ24の点灯制御は、例えばドア全閉状態でルームランプを点滅させ、ドア非全閉状態でルームランプを点灯させるが、これに限られない。
図2は、ドアラッチ装置10を構成するラッチユニット16と引込ユニット18との斜視図である。ラッチユニット16と引込ユニット18とは、第2ハーネス26およびワイヤケーブル28によって接続される。第2ハーネス26は、ラッチユニット16と引込ユニット18との間で主にスイッチ信号のやりとりが行われる。ワイヤケーブル28は引込ユニット18において引込操作が行われ、ラッチユニット16におけるストライカの係合状態をハーフラッチ状態からフルラッチ状態に移行させる。まず引込ユニット18について説明する。
図3は、引込ユニット18を外側から見た側面図である。図3では、引込ユニット18の内部が視認可能なように外カバー30(図2参照)を外した状態で示している。図4は、引込ユニット18を斜め内側から見た分解斜視図である。
図3に示すように、引込ユニット18はケース32が筺体となっており、前方に電源カプラ35が設けられ、後方に信号カプラ36が設けられている。電源カプラ35には図示しない電源部から電力が供給される。信号カプラ36には第2ハーネス26が接続される。引込ユニット18の後方からはワイヤケーブル28が突出している。引込ユニット18の外側には外カバー30(図2参照)が取り付けられ、内側には内カバー34(図4参照)が取り付けられる。
ケース32と外カバー30との間に形成される空間部には、引込モータ38と、ウォーム40とホイール42と、ドラム44と、中立復帰スイッチ46とが設けられている。ウォーム40は引込モータ38の回転軸に設けられている。引込モータ38の回転は、ウォーム40、ホイール42およびドラム44へと減速されながら伝達される。ドラム44にはワイヤケーブル28の端部が巻回されており、ドラム44が回転することによりワイヤケーブル28の巻き取りが行われる。引込モータ38は後述するモータ98(図6参照)よりも大型であり、ラッチユニット16ではなくて引込ユニット18に設けることにより、ラッチユニット16を相当に小型化することができる。ドラム44にはカム44aが設けられている。中立復帰スイッチ46は、ドラム44の回転にともなってカム44aによってスイッチ操作がなされ、ドラム44が中立位置にあることを検出できる。
図4に示すように、ケース32と内カバー34との間に形成される空間部には、制御部である回路基板(引込制御部)48が設けられる。この空間部は防水構造となっている。なお、本願における防水とは防滴を含む場合があり、適用箇所によって完全防水構造と防滴構造とを使い分けてもよい。回路基板48は、第2ハーネス26から供給される信号および中立復帰スイッチ46の信号に基づいて引込モータ38を制御する。回路基板48は引込ユニット18と別体であってもよい。
次に、ラッチユニット16について説明する。図5は、ラッチユニット16を斜め内側から見た斜視図である。ラッチユニット16は車両のドアの内部に取り付けられて、車両12の本体側に設けられたストライカをラッチおよびアンラッチすることによりドア14を閉扉および開扉する。ラッチユニット16が設けられてストライカをラッチするのは、例えば車両のサイドドアである。
図2および図5に示すように、ラッチユニット16は、ストライカをラッチするラッチ50がストライカ進入溝52の奥に設けられている。ラッチ50は後述するラッチ機構72の一部である。ストライカ進入溝52は、樹脂製のストライカ進入溝ベース53と金属製のカバープレート54とによって形成されている。カバープレート54はストライカ進入溝ベース53の前面に固定されている。ラッチ機構72はストライカ進入溝ベース53およびカバープレート54によって覆われている。
ラッチユニット16は、上記のストライカ進入溝ベース53およびカバープレート54以外に、ケース56、第1カバー58および第2カバー60によって覆われている。ケース56は主に外側を覆い、第1カバー58は主に内側を覆い、第2カバー60は内側における主に下方を覆っている。カバープレート54、ケース56、第1カバー58および第2カバー60は、ラッチユニット16の筺体を形成する。ケース56と第2カバー60との接続境界における前方下部には開口部60fが形成されており、該開口部60fからは第2ハーネス26が下方に突出している。開口部60fについてはさらに後述する。
ラッチユニット16は、さらに、上面を覆う防水カバー62と、内側下方のケーブルカバー64と、内側上部に設けられた外部カプラ(第1カプラ)66と、外側上部に設けられたキーシリンダ連結部67とを備える。防水カバー62はケース56と第1カバー58との境部を覆い、水滴の進入を防止する。ケーブルカバー64はケーブル68a,68bとの接続部分を覆う。ケーブル68a,68bは、図示しないドアノブ及びインナーハンドルにつながっている。ケーブルカバー64の下部には、ワイヤケーブル28が導入されるケーブルガイド孔64aが形成されている。外部カプラ66には第1ハーネス22が接続される。外部カプラ66の周りにはスポンジ66aが設けられている。キーシリンダ連結部67はキーシリンダに接続される部分である。ラッチユニット16の外側面にはアウターハンドル接続部70が設けられている。アウターハンドル接続部70は、図示しないアウターハンドルに接続される。
図6は、ラッチユニット16の内部機構を斜め内側のやや下方からみた斜視図であり、図7は、ラッチユニット16の内部機構を斜め外側みた斜視図である。図6および図7では、部品の識別が容易となるようにラチェット80、ロックレバー88、縦リンク96およびハンドル連繋レバー94を異なる濃度のドット地で示している。図6ではケース56および第2カバー60の概略輪郭を仮想線で示し、図7では第1カバー58、カバープレート54およびケーブルカバー64の概略輪郭を仮想線で示している。
ラッチユニット16の内部機構には、ストライカをラッチ・アンラッチするラッチ機構72と、ラッチ機構のラッチ状態をロック・アンロックするロック機構74と、ハーフラッチ状態からフルラッチ状態に移行させる引込機構76とが含まれる。これらのラッチ機構72、ロック機構74および引込機構76は一部が重複的な構成になっている。ラッチ機構72にはベース体としてのベースプレートが設けられているが、煩雑となるので図6および図7では該ベースプレートを省略している。
図6および図7に示すように、ラッチ機構72はラッチ50と、ラチェット80とを有する。ラッチ50は前後方向の軸50aに枢支され、バネによって回転付勢されており、溝50bでストライカに係合することによりドア14を閉扉する。ラッチ50はさらに、ラチェット80と係合する係合部50cと、外周部に設けられたカム80dと、側方突起50eとを有する。
ラチェット80は前後方向の軸80aに枢支され、バネによって後側から見て反時計方向に付勢されており、外周側に設けられた爪80bが係合部50cに係合することによりラッチ50が解除方向へ回転することを規制し、該ラッチ50がストライカを係合した状態に保持する。ラチェット80には一体的な解除レバー82が設けられている。解除レバー82は前方向に延在している。ラチェット80はゴム84に当接することにより後側から見て反時計方の位置決めがなされる。
ロック機構74はオープンリンク86と、ロックレバー88と、インナーレバー90と、アウターレバー92とハンドル連繋レバー94とを有する。
オープンリンク86は、上方突起86aと、その近傍の押圧台86bと、下方の連結孔86cとを有する。オープンリンク86はバネによって時計方向に付勢されており、ロックレバー88が上方突起86aに作用して反時計方向に回動可能であって、正立状態のアンロック姿勢と傾斜状態のロック姿勢とに切り替えられる。オープンリンク86がアンロック姿勢であるときに上昇すると、押圧台86bが解除レバー82を押圧してラチェット80を回動させるとこによりラッチ50によるストライカのラッチを解除、つまりアンラッチする。
連結孔86cは、2つの扇型が上下対称につながった形状である。オープンリンク86の搖動中心は連結孔86cの中心である。連結孔86cはアウターレバー92の内側連結部94bによって上下に駆動される部分である。オープンリンク86は、さらにインナーレバー90の突出部90bによって上方に駆動される。
アウターレバー92は前後方向の軸92aに枢支されており、孔92bはアウターハンドル接続部70(図5参照)を介してアウターハンドルに接続されている。アウターレバー92は、アウターハンドルの操作により図6の反時計方向に回転し、ハンドル連繋レバー94を回転させる。
ハンドル連繋レバー94は前後方向の軸94aに枢支されており、アウターレバー92に連動して回転し、内側連結部94bがオープンリンク86を昇降させる。
インナーレバー90は内外方向の軸90aに枢支されており、前方に設けられた突出部90bと、下部に形成されたケーブル孔90cとを備える。ケーブル孔90cには、ケーブル68bが接続されインナーハンドルによって駆動される。突出部90bはオープンリンク86の下方に配置されている。インナーハンドルを操作すると、インナーレバー90は図6の時計方向に回転し、突出部90bがオープンリンク86を押し上げる。そして、オープンリンク86がアンロック位置にあるとき、アウターレバー92による操作の場合と同様にドアの開扉動作が行われる。オープンリンク86の連結孔86cには内側連結部94bが挿入されていることから、インナーレバー90の操作でオープンリンク86が押し上げられる時にはハンドル連繋レバー94も回転する。
ロックレバー88は内外方向の軸88aに枢支されている。ロックレバー88は、ドアノブ、キーシリンダおよび制御部によって搖動駆動され、オープンリンク86をアンロック位置に配置させるアンロック付勢位置とオープンリンク86をロック位置に配置させるロック付勢位置とに切り替え可能となっている。ロックレバー88は、突起88bがバネ88cの弾性作用部を乗り越えることによりアンロック付勢位置およびロック付勢位置のいずれか一方に択一的に付勢される。
ロックレバー88は下方延在部88dと、上方延在部88eと、前方のカム88iとを備える。下方延在部88dの下部にはケーブル孔88gが形成されている。ケーブル孔88gには、ケーブル68aが接続されドアノブによって駆動される。また、下方延在部88dの突起88hは縦リンク96を介してキーシリンダ連結部67に連結されている。ロックレバー88は、図示しないキーシリンダの操作により、キーシリンダ連結部67および縦リンク96を介して駆動され、アンロック付勢位置とロック姿勢位置とに切り替わりが可能である。
ラッチユニット16における前方のやや上方部にはモータ98が設けられており、その回転軸にはウォームギア100が設けられている。ウォームギア100はウォームホイール102の歯(図示省略)と噛合している。
図7に示すように、ウォームホイール102の外面には3つの放射状の凸部102aが設けられており、ウォームホイール102が回転することにより、凸部102aは上方延在部88eの凹部88fを介してロックレバー88を回転させることができる。
引込機構76はワイヤ連結レバー104と、連繋レバー106と、プッシュロッド108と、レバー110と、部材112とを備える。なお、引込機構76の各部材は、この部分の専用ベースプレートおよびストライカ進入溝ベース53(図2参照)に設けられているが、煩雑となるのでここでは図示を省略している。
ワイヤ連結レバー104は内外方向の軸104aで枢支されており、フック104bと、突起104cとを備える。フック104bには、ワイヤケーブル28のエンド部28aが係合されている。連繋レバー106は前後方向の軸106aで枢支されており、内側端に突起106bを備える。連繋レバー106の外側端はプッシュロッド108の下端とリンクされている。プッシュロッド108は上下方向に延在している。ハーフラッチ状態のときプッシュロッド108の上端部はラッチ50の側方突起50eの下方に配置される。突起104cと突起106bとは上下に交差するように配置されている。レバー110は前後方向の軸110aで枢支されている。部材112は連繋レバー106とともに軸106aで枢支されている。
引込機構76では、ワイヤケーブル28の縮退にともなってワイヤ連結レバー104が回転して突起104cが突起106bを押し下げ、連繋レバー106が回転してプッシュロッド108を押し上げる。これにより、ハーフラッチ状態のとき側方突起50eが押し上げられてラッチ50が回転し、フルラッチ状態に移行する。ワイヤケーブル28は、上記の通り引込ユニット18によって駆動される。
ラッチユニット16には4つのポジションスイッチが設けられている。すなわち、反転スイッチ(ラッチスイッチ)114、ノブスイッチ116、ハンドル連携スイッチ118および起動スイッチ120である。ハンドル連携スイッチ118は、アウターハンドルおよびインナーハンドルのいずれかが操作されてハンドル連繋レバー94が回転したときに突起94cによって操作される。起動スイッチ120は、ラチェット80が回転したときにその一部によって操作される。ハンドル連携スイッチ118および起動スイッチ120はスイッチ保持具122によって保持されており、それぞれの信号は信号線124によって第2ハーネス26から引込ユニット18に伝達される。信号線124は、ラッチユニット16の外部ではチューブ26aによって覆われている。チューブ26aは、例えばフレキパイプ、ビニールパイプ、ハーネス結束用テープである。
引込ユニット18の回路基板48(図4参照)に設けられたCPUは信号線124の信号および中立復帰スイッチ46(図3参照)の信号に基づいて引込モータ38の制御を行う。すなわち、ドア14が半開状態、いわゆる半ドア状態になったとき起動スイッチ120がオンからオフに切り替わり、回路基板48はこれに基づいて引込モータ38を正転させる。引込モータ38の正転開始によりドラム44が正転し、カム44aが中立復帰スイッチ46から離れ、該中立復帰スイッチ46はオフからオンに切り替わる。また、ドラム44の正転にともなってワイヤケーブル28が引き込まれ、引込機構76(図7参照)が動作し、プッシュロッド108が側方突起50eを押し上げてラッチ50が回転する。そして起動スイッチ120はオン状態に戻る。
ラッチ50がさらに回転すると、フルラッチのやや手前で反転スイッチ114がオンからオフに切り替わる。そしてフルラッチになると起動スイッチ120が再びオフに切り替わる。回路基板48では、反転スイッチ114がオフかつ起動スイッチ120がオフという条件が正立すると引込モータ38を反転させる。引込モータ38の反転によりドラム44が反転し、ワイヤケーブル28が押し出される。これにより、プッシュロッド108は下降するが、ラッチ50はラチェット80によってフルラッチ状態に維持される。ドラム44の反転により、やがて中立復帰スイッチ46がオフに切り替わり、回路基板48は引込モータ38の回転を停止させる。
なお、フルラッチのやや手前で反転スイッチ114がオンからオフに切り替わるが、この信号は引込ユニット18だけではなく、分岐して後述するカプラ嵌合部148および内部カプラ132から外部カプラ66および第1ハーネス22を介してBCM20にも伝達される。フルラッチのやや手前のタイミングは、ドア14はほぼ閉扉状態であることから、従来用いられているカーテシスイッチの切り替わりタイミングとほぼ同じタイミングである。したがって、BCM20では反転スイッチ114から分岐して供給される信号に基づいてルームランプ24の点灯制御を行うことができる。
図8は、ターミナルプレート126とその周辺部の斜視図である。図8に示すように、反転スイッチ114は、ラッチ50の状態を検出するラッチスイッチであって、ラッチ50の回転にともなってカム50dによって操作される。ノブスイッチ116はロックレバー88の回転にともなってカム88iによって操作される。反転スイッチ114およびノブスイッチ116はターミナルプレート126によって保持されており、それぞれの信号はピン群128につながっている。ピン群128は外部カプラ66のピンであり、各信号は第1ハーネス22によってBCM20に伝達される。ピン群128には、モータ98を駆動する2本のモータターミナル130の端部が含まれる。ピン群128とモータ98とは近接しており、動力線であるモータターミナル130を短くすることができる。反転スイッチ114の信号はターミナルプレート126で分岐しており、内部カプラ(第2カプラ)132からの導線134として第2ハーネス26に合流している。導線134は信号線124の一部となっている。
図9は、ターミナルプレート126の平面図である。図9に示すように、ターミナルプレート126は、ノブスイッチターミナル144、反転スイッチターミナル(導電線)146およびこれらを覆う樹脂部で構成されている。ノブスイッチターミナル144、反転スイッチターミナル146および上記のモータターミナル130は金属ターミナルである。ノブスイッチターミナル144および反転スイッチターミナル146は樹脂にインサート成型で固定されているため、ラッチユニット16の組み立て工程での作業が簡便化する。
ターミナルプレート126は、ピン群128が設けられるピン基部136と、反転スイッチ保持部138と、ノブスイッチ保持部140とを備える。反転スイッチ保持部138は反転スイッチ114を保持する部分であり、ノブスイッチ保持部140はノブスイッチ116を保持する部分である。ピン基部136とノブスイッチ保持部140とはほぼ隣接している。ピン基部136と反転スイッチ保持部138とは離間しており、両者は延在部142でつながっている。延在部142は、他の部品とのレイアウト上からいくつかの屈曲部が形成されている。
ピン基部136とノブスイッチ保持部140との間には2本のノブスイッチターミナル144が埋め込まれている。ノブスイッチターミナル144の一端部144aはピン基部136から突出してピン群128の一部を形成する。ノブスイッチターミナル144の他端部144bはノブスイッチ保持部140から突出して、ノブスイッチ116に接触し導通する。
ピン基部136と反転スイッチ保持部138との間、つまり延在部142には2本の反転スイッチターミナル146が埋め込まれている。反転スイッチターミナル146の一端部146aはピン基部136から突出してピン群128の一部を形成する。反転スイッチターミナル146の他端部146bは反転スイッチ保持部138から突出して、反転スイッチ114に接触し導通する。延在部142の略中央部にはカプラ嵌合部148が設けられている。カプラ嵌合部148は、内部カプラ132(図12参照)が嵌合する部分である。なお、反転スイッチターミナル146の一端部146aは外部カプラ66とともにラッチユニット16の前方部に設けられ、他端部146bはラッチ50とともに後方部に設けられることから、延在部142は前後方向にやや長く形成され、カプラ嵌合部148および内部カプラ132を設けるだけのスペース的余裕を確保しやすい。
図10は、反転スイッチターミナル146(導電線)の斜視図である。図10で示すX方向、Y方向およびZ方向は互いに直交している。ここで、Z方向は内外方向である。また、X方向は略前後方向であり、Y方向は略上下方向である。また、X1方向が略後方向で、X2方向が略前方向で、Y1方向が略上方向で、Y2方向が略下方向である。反転スイッチターミナル146はZ方向およびY方向寸法が小さく、全体として略X方向に延在する板状であり、一端部146aと次に述べる分岐ピン(分岐部)152が折り曲げられて形成されている。
図10に示すように、2本の反転スイッチターミナル146はカプラ嵌合部148に相当する部分で、近接する平行導線150を形成している。平行導線150はX方向に延在し、他端部146bを指向している。2本の反転スイッチターミナル146は平行導線150から一部が分岐して突出する分岐ピン152を形成している。
2本の分岐ピン152は、平行導線150から互いに離間するようにY方向両側に向かってやや突出し、さらに内側に向かってやや延出し、さらにX1方向に向かって延在している。すなわち、分岐ピン152は、内側に向かって延出する部分とX方向に延出する部分とでL字形状部をなしており、該L字形状部が平行導線150に対して90°折り曲げられて形成され、X方向延出部は平行導線150と平行している。2つの分岐ピン152は並列している。このように分岐ピン152は、反転スイッチターミナル146と一体的かつ簡便な構成である。
図11は、ターミナルプレート126におけるカプラ嵌合部148の拡大斜視図である。図11に示すように、カプラ嵌合部148は、嵌合ベース部154と、ガイドレール(ガイド部)156と、ガイドロッド(ガイド部)158と、ガイド突起(ガイド部)160と、ストッパ162とを備える。ガイドレール156、ガイドロッド158、ガイド突起160は、内部カプラ132を分岐ピン152に接続する際の案内をするとともに接続後に内部カプラ132を支持するガイド部である。
嵌合ベース部154は、2本の平行導線150を略覆う部分であり、延在部142の一部である。2本の平行導線150のうち、Y1側のものは側面からY1方向に露呈しており、Y2側のものは側面がY2方向に露呈しており、それぞれ露呈部から分岐ピン152が突出している。
ガイドレール156は、嵌合ベース部154の内側面に設けられた突起であり、嵌合ベース部154とともにX方向に延在している。ガイドレール156の内側面には係止爪156aが設けられている。ガイドロッド158は、延在部142の一部が突出して形成された矩形断面部であり、分岐ピン152のうち一方(Y1側)と近接して並列している。ガイドロッド158の断面積は適度に大きい。ガイドロッド158と延在部142との接続部158aは適度に大きい(図12参照)。接続部158aにおけるX1側面で、ガイドロッド158と一方の分岐ピン152との間にはZ方向に延在する溝158bが形成されている。
ガイド突起160は、延在部142における嵌合ベース部154よりX1側でY2方向の側面に設けられた突起であり、X方向に延在している。延在部142は嵌合ベース部154の部分からやや外側に向けた段差部142aと、Y1側に向けた段差部142bとを形成しており、ガイド突起160はこれらの段差部142a,142bよりもX1側の直線部142cに設けられている。直線部142cはX方向に沿っている。ガイド突起169と直線部142cは同一の内側面を形成している。ストッパ162は、2本の分岐ピン152よりもややX2側に設けられ、これらの分岐ピン152の中間において壁を形成している。
図12は、内部カプラ132とカプラ嵌合部148との分解斜視図であり、図13は、内部カプラの斜視図である。内部カプラ132は、図12と図13とでほぼ逆方向から見た状態として示している。
図12および図13に示すように、内部カプラ132は、X2側のコネクション部164と、X1側の端部支持部166と、コネクション部164と端部支持部166とをつなぐ連接部168とを備える。コネクション部164は、2つの分岐ピン152がそれぞれ挿入される2つのレセプタクル170と、これらの2つのレセプタクル170をつなぐ中央プレート172と、Y1側に設けられた被ガイド筒174とを備える。
2つのレセプタクル170はそれぞれX方向に沿った筒形状であり、X1側からは導線134が挿入され、X2側からは分岐ピン152が挿入される。導線134の端部には接続端子が設けられており、レセプタクル170の内部で抜止固定されている。分岐ピン152はレセプタクル170の内部で接続端子と接触し、導線134と導通する。
2つのレセプタクル170はそれぞれ対向面が突出しており、その間にスリット175が形成されている。スリット175はX方向に延在し、ガイドレール156が挿入される。スリット175の奥には係止爪175aが設けられている。係止爪175aはガイドレール156の係止爪156aと係合する。内部カプラ132がカプラ嵌合部148に嵌合されると、Y2側のレセプタクル170の外面170aおよびY1側のレセプタクル170の外突起170bは嵌合ベース部154の内面に当接する。
被ガイド筒174はY1側のレセプタクル170とともにX方向に沿った筒形状をなし、その内腔部174aはガイドロッド158がほぼ隙間なく挿入される断面形状となっている。
図13に示すように、端部支持部166はハーネスクリップ176と、被ガイド片178とを備える。ハーネスクリップ176は2本の導線134を留める部分であり、X方向に沿った筒形状となっている。2本の導線134はハーネスクリップ176によって軽く押さえられる。ハーネスクリップ176の外側面におけるY1側端には、導線134を挿入するスリット176aが形成されている。スリット176aを形成する両側壁の一方には抜止突起176bが設けられている。ハーネスクリップ176と直線部142c(図12参照)とのY方向幅は等しく、内部カプラ132がカプラ嵌合部148に嵌合されると、ハーネスクリップ176の外側面は、直線部142cに当接し、スリット176aは直線部142cによって塞がれ(図14参照)、導線134が抜けることがない。
被ガイド片178はハーネスクリップ176のY2側に設けられ、一部がハーネスクリップ176よりも外方向に突出している。被ガイド片178は、Y1側に開口してX方向に沿った溝178aを形成している。溝178aはガイド突起160が挿入される矩形断面となっている。溝178aの内側面はハーネスクリップ176の外側面と同一面を形成している。
連接部168は段差部142a,142bに合わせた斜めの延在部である。内部カプラ132は、連接部168によってコネクション部164と端部支持部166とが連接されており、X方向に適度な長さが確保されている。
このように構成される内部カプラ132は、図12に示すように、まずZ方向に沿ってカプラ嵌合部148に接近させ、外面170aおよび外突起170bを嵌合ベース部154に接触させるとともに、ハーネスクリップ176と直線部142cとを接触させる。次いで、内部カプラ132をX2方向にスライドさせることにより、2つの分岐ピン152が2つのレセプタクル170に挿入され、分岐ピン152は導線134と導通する。さらに内部カプラ132をX方向にスライドさせることにより、係止爪156aと係止爪175aとが係合し、内部カプラ132がカプラ嵌合部148から抜けることを防止する抜止部として作用する。また、中央プレート172(図8参照)のX2側面がストッパ162に当接することにより嵌合方向(X方向)変位が規制され、内部カプラ132が正しい位置に位置決めされる。
図14は、内部カプラ132およびカプラ嵌合部148の一部断面斜視図である。図14に示すように、ガイドロッド158が被ガイド筒174に挿入され、ガイド突起160が被ガイド片178に挿入される。また、ガイドレール156(図12参照)がスリット175に挿入され内部カプラ132はX方向に正確にガイドされる。
ガイドレール156がスリット175に挿入されることにより、主に2つのレセプタクル170がY方向に関して安定し、ガイドロッド158が被ガイド筒174に挿入されることにより、主にコネクション部164がY方向およびZ方向に関して安定し、ガイド突起160が被ガイド片178に挿入されることにより、主に端部支持部166およびハーネスクリップ176がY方向およびZ方向に関して安定する。また、ガイドロッド158と被ガイド片178とはX方向にやや離間しており、しかもY方向にずれた位置に配置されていることから、内部カプラ132の全体をバランスよく支持することができる。2本の導線134はレセプタクル170からやや離間した位置でハーネスクリップ176によって保持されることから、仮にそれよりもX1方向側の部分が振動などの外力を受けても、レセプタクル170における分岐ピン152との接触部にはほとんど影響がない。
内部カプラ132によって分岐ピン152と導通した2本の導線134はハーネスクリップ176で留められて、さらに延在して第2ハーネス26に合流する。次に、導線134が第2ハーネス26に合流する経路について説明する。
図15は、第2カバー60とラッチユニット16とを斜め内側から見た斜視図である。なお、図5はラッチユニット16を図15とほぼ同方向から見た図であるので、併せて参照されたい。上記のとおり、導線134は信号線124の一部となっている。
図15に示すように、信号線124はケース56と第2カバー60とで囲われた領域を通ってチューブ26aに入り込んでおり、信号線124とチューブ26aとが第2ハーネス26を構成している。第2ハーネス26はラッチユニット16から下方に向かって延出している。
信号線124は、ラッチユニット16における略中心部(より具体的にはハンドル連携スイッチ118および起動スイッチ120の近傍)からやや後方に延在し、さらに斜め下方に向かって延在してチューブ26aに入り込んでいる。ケース56は、信号線124が載置される突出板(経路形成板)56aと、信号線124の経路に沿って上方に設けられる規制板56b,56c,56dとを備える。突出板56aおよび規制板56b,56c,56dはケース56の外側面から突出している。突出板56aはケース56の下端部を形成している。
突出板56aは、ハンドル連携スイッチ118および起動スイッチ120の近傍では信号線124を略水平に支持し、さらになだらかに傾斜して信号線124を下方に導いている。規制板56bはハンドル連携スイッチ118および起動スイッチ120の近傍における信号線124の上方に設けられている。規制板56cは信号線124が斜め下方に延在している部分の上方に設けられている。規制板56b,56cは、突出板56aよりも突出幅が小さい。規制板56dは信号線124が傾斜端部からチューブ26aに向かって下方にやや屈曲している部分の上方に設けられている。規制板56dは突出板56aと突出幅がほぼ等しい。
ラッチユニット16におけるケース56よりも下の部分には、内部板180が設けられている。内部板180は突出板56aよりも下に設けられており、ワイヤ連結レバー104(図7参照)などを覆っている。内部板180はさらに第2カバー60によって覆われる。内部板180の上方突出部180aは、信号線124の一部について外側にはみ出ることを規制しており、ラッチユニット16の組み立て工程において第2カバー60の取り付け前に信号線124が外側方向にばらけることを防止できる。信号線124は突出板56a、規制板56b,56cおよび上方突出部180aによってまとめられてチューブ26aまで整然と案内されている。
第2カバー60は上方から見て略L字形状であって、引込機構76等を後側から覆う部分60aと、内部板180等を外側から覆う部分60bと、信号線124をその経路に沿って覆う信号線防水カバー60cと、アウターハンドル接続部70等を外側から覆う部分60dとを備える。信号線防水カバー60cは、部分60bの上方部分と内向きの屈曲部分とを含むものとする。第2カバー60は、上方のビス孔60gにビスBを挿通しケース56のネジ孔に螺合させることにより固定される。
信号線防水カバー60cは、規制板56cに合わさって斜め下方に延在する傾斜部60caと、規制板56dに合わさり傾斜部60caからなだらかにつながって下方に延在する短い後方部60cbとを備える。部分60bの後方下端部は屈曲片60eを形成している。屈曲片60eは、後方部60cbよりも下方かつ前方に配置されており、屈曲片60eと後方部60cbとの間には開口部60fが形成されている。開口部60fは下方に向けて開口しており、ここから第2ハーネス26が外部に延出している。
信号線防水カバー60cは信号線124を覆うことによって防水作用を奏する。すなわち、仮にこの近傍に水滴が落ちても、上方が信号線防水カバー60cで覆われていることから信号線124にはほとんど水滴が触れることがない。信号線防水カバー60cに落ちた水滴は傾斜部60caによって斜めに流されて後方部60cbから下方に滴下する。これより下の部分では、信号線124はチューブ26aによって覆われていることから(図5参照)、水滴が触れない。また、仮に信号線防水カバー60cとケース56との間に水滴が浸入したとしても、規制板56c,56dによって斜め下方に導かれることから信号線124が濡れることはほとんどない。
このように構成されるドアラッチ装置10では、ラッチの状態を検出する反転スイッチ114の信号が、反転スイッチターミナル146によって外部カプラ66のピン群128に達している。そしてこの信号は第1ハーネス22を介してルームランプ24の点灯制御を行うBCM20部に対して伝達される。反転スイッチ114の信号はドア14の開閉信号とほとんど同じタイミングで変化することから、反転スイッチ114の信号をカーテシスイッチの代わりに用いることが可能であり、BCM20ではこれに基づいてルームランプ24の点灯制御を行うことができる。したがって、カーテシスイッチを省略することができ、車両12の全体としてはスイッチの数を抑制するとともにコストダウンを図ることができる。車両12におけるドア14の当接部にはカーテシスイッチがないことから組立性がよい。カーテシスイッチの代用として用いられる反転スイッチ114はラッチユニット16の内部に設けられていることから、防水性に優れる。
なお、仕様によりドアラッチ装置10は引込ユニット18が省略されていてもよい。つまり、ラッチユニット16においてハーフラッチからフルラッチへの引き込み機能が不要とされる場合には引込ユニット18が省略される。この場合、ラッチユニット16が単体でドアラッチ装置10を構成するが、車種ごとの引込機能の有無に対するラッチユニット16の共通化のために、カプラ嵌合部148(図11参照)は共通で設けられていてもよい。またこの場合、信号線124および第2ハーネス26は条件によって設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。