JP7188073B2 - 車両制御方法及び車両制御装置 - Google Patents
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Description
本発明は、車両の制御特性を乗員の嗜好に合わせることを目的とする。
図1を参照する。車両制御装置1は、車両制御装置1を搭載する車両(以下、「自車両」と表記する)の周囲の走行環境に基づいて、運転者が関与せずに自車両を自動で運転する自動運転制御や、運転者による自車両の運転を支援する運転支援制御を行う。
運転支援制御には、自動操舵、自動ブレーキ、定速走行制御、車線維持制御、合流支援制御などの走行制御のほか、運転者に操舵操作や減速操作を促すメッセージを出力することを含んでよい。
周囲環境センサ2は、自車両の周囲環境、例えば自車両の周囲の物体を検出するセンサである。周囲環境センサ2は、例えば測距装置やカメラを含んでよい。
測距装置及びカメラは、自車両周囲に存在する物体、自車両と物体との相対位置、自車両と物体との距離等の自車両の周囲環境を検出する。
カメラは、単眼カメラであってもよく、単眼カメラにより複数の視点で同一の物体を撮影して、物体までの距離を計算してもよい。また、単眼カメラによる撮像画像から検出された物体の接地位置に基づいて、物体までの距離を計算してもよい。
周囲環境センサ2は、検出した周囲環境の情報である周囲環境情報をコントローラ6へ出力する。
自車両の走行状態を検出するセンサは、例えば、車速センサと、加速度センサと、ジャイロセンサなどを含んでよい。
また、例えば、運転操作を検出するセンサは、操舵角センサと、操舵トルクセンサと、アクセルセンサと、ブレーキセンサなどを含んでよい。
加速度センサは、自車両の前後方向の加速度、車幅方向の加速度及び上下方向の加速度を検出する。
ジャイロセンサは、ロール軸、ピッチ軸及びヨー軸を含む3軸回りの自車両の回転角度の角速度を検出する。
操舵トルクセンサは、乗員の操舵操作によりステアリングホイールに印加される操舵トルクを検出する。
アクセルセンサは、自車両のアクセル開度を検出する。例えばアクセルセンサは、自車両のアクセルペダルの踏み込み量をアクセル開度として検出する。
車両センサ3が検出した信号を総称して「車両信号」と表記する。車両センサ3は車両信号をコントローラ6へ出力する。なお、車両センサ3の種類はこれらに限られない。車両センサ3は、車両の状態を検出する様々なセンサを含んでよい。
乗員による運転操作により自車両が運転される場合、脳活動センサ5は車両の運転に携わる乗員の脳活動を計測する。いずれの乗員も関与せずに自車両を自動で運転する場合には、脳活動センサ5は自車両の乗員のいずれかの脳活動を計測する。例えば脳活動センサ5は、自車両の自動運転制御に対する操作権限を有する乗員の脳活動を計測してよい。
脳活動センサ5は、脳活動の計測結果をコントローラ6へ出力する。
コントローラ6は、自車両の車両制御に必要な処理の算術論理演算を行う電子制御ユニット(ECU)等の処理回路である。
記憶装置11は、半導体記憶装置、磁気記憶装置及び光学記憶装置のいずれかを備えてよい。記憶装置11は、レジスタ、キャッシュメモリ、主記憶装置として使用されるROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリを含んでよい。
なお、コントローラ6を、以下に説明する各情報処理を実行するための専用のハードウエアにより形成してもよい。
例えば、コントローラ6は、汎用の半導体集積回路中に設定される機能的な論理回路を備えてもよい。例えばコントローラ6はフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:Field-Programmable Gate Array)等のプログラマブル・ロジック・デバイス(PLD:Programmable Logic Device)等を有していてもよい。
走行制御アクチュエータ7は、コントローラ6からの制御指令に基づいて自車両の転舵機構、動力源、動力伝達装置又は制動装置などを駆動することにより、乗員の運転操作に応じた自車両の走行を実現する。
ステアリングアクチュエータは、車両の転舵機構を制御する。アクセルアクチュエータは、車両のスロットル開度を制御する。ブレーキ油圧アクチュエータは、車両のブレーキ装置の制動動作を制御する。
なお、走行制御アクチュエータ7の種類はこれらに限られない。走行制御アクチュエータ7は、車両挙動を制御する様々な種類のアクチュエータを含んでよい。
走行制御アクチュエータ7は、コントローラ6からの制御指令に基づいて自車両の転舵機構、動力源、動力伝達装置又は制動装置などを駆動することにより、コントローラ6が生成した走行軌道上で自車両を走行させる。
このような制御特性として、例えば、自車両に対する運転操作に応答する車両の応答特性が乗員の嗜好に合わないことがある。運転操作には、例えば、操舵操作、加速操作(アクセルペダル操作)、制動操作(ブレーキペダル操作)が含まれる。応答特性には、スポーティ、緩慢などが含まれる。
制御特性のその他の例は、運転支援制御や自動運転制御における自動運転の制御目標値である。制御目標値は、例えば、自動操舵における操舵角や操舵速度の目標値や、自動ブレーキや自動速度制御における減速開始時間(又は減速所要時間)や減速度、加速開始時間(又は加速所要時間)や加速度の目標値、車線維持制御における車線内の位置(中央、左寄り、右寄り)、カーブ走行時の車線内の位置(内側、外側)の目標値である。
特定の走行シーンとしては、乗員の嗜好性を推定しやすい走行シーンが好適である。例えば、減速シーン、車間維持シーン、追い越しシーン、合流シーン、車線変更シーン、発進シーン、狭路走行シーン、右左折シーン、駐車シーンであってよい。
コントローラ6は、これらの走行状態の特徴を表す特徴量を検出する。例えばコントローラ6は、特徴量として、速度、加速度、横加速度、ヨーレート、操舵角、操舵速度、アクセル操作量、ブレーキ操作量、スロットル開度、ブレーキ油圧を検出する。
そして、コントローラ6は、走行状態に対する違和感の検出結果と、検出した特徴量(すなわち特徴量によって表される走行状態)とに基づいて自車両の制御特性を決定する。これにより、コントローラ6は、車両の制御特性を乗員の嗜好に合わせることができる。
図3Aは、減速開始時間と自車両の速度から得られる減速中の車速パターンを示す。
減速開始時間が早すぎたり、逆に遅すぎる場合や、急減速が行われた場合には、自車両の減速制御が乗員の嗜好に合わず乗員が違和感を感じる。
実線40は、違和感のない乗員の嗜好に合った車速パターンを示す。
また、コントローラ6は、それぞれの減速シーンにおいて、脳活動センサ5が計測した乗員の脳活動に基づいて乗員の違和感を発生したか否かを判定する。
コントローラ6は、このように選択した特徴量データのみに基づいて、減速シーンにおける車両の制御特性を決定する。
図3Bを参照する。一点鎖線及び破線は、複数回の減速シーンにおけるそれぞれの車速パターンを示す。一点鎖線は、違和感が発生しないときの車速パターンを示し、破線は違和感が発生したときの車速パターンを示す。
コントローラ6は、一点鎖線の車速パターンの特徴量データのみの平均から、平均的な減速車速パターンを生成する。このように生成した減速車速パターンを実線で示す。
図3Bに示す減速車速パターンは、違和感が発生しなかった走行状態の履歴のみから生成されるため、違和感が発生しなかった車速パターンに類似する。このため、減速車速パターンに従って車両を制御することにより、乗員の嗜好に合わせることができる。
一方で、図3Cの車速パターンでは、違和感が発生したパターンを含んで平均化することにより、違和感のない車速パターン(一点鎖線)からずれている。このため、乗員の嗜好に合わなくなる。
走行制御部20は、車両センサ3から出力される車両信号から、乗員により行われた運転操作を検出する。走行制御部20は、乗員の運転操作に基づいて自車両の走行を制御する制御指令(制御信号)を生成し、走行制御アクチュエータ7へ出力する。
違和感検出部22は、走行状態が変化したタイミングで、走行状態やその変化に対する乗員の違和感を検出する。
例えば違和感検出部22は、タイミング情報が示すタイミングの直後の脳波を、走行状態やその変化に対する乗員の違和感の検出に用いてよい。例えば、タイミング情報が示すタイミングから始まる所定時間(例えば500ミリ秒)の測定期間T1の脳波を用いてよい。
具体的には、測定期間T1の間に脳活動センサ5が計測した乗員の脳波のデータに対して周波数解析を行い、思考や認知の結果として現れる脳の反応を示す事象関連電位(ERP)を検出することにより乗員の違和感の発生を検出する。
違和感検出部22は、例えば図5に示すように、測定時間T1の脳波信号からN個の特徴量p1,p2,…,pNを抽出し、脳波の特徴ベクトルP=(p1,p2,…,pN)を生成する。特徴量は、例えば一定間隔でサンプリングした値等を使用可能である。
図6Aの例では、違和感を感じていないときの特徴ベクトルP1は、比較的左上の領域D1に集中しており、違和感を感じているときの特徴ベクトルP2は、比較的右下の領域D2に集中している。
違和感検出部22は、乗員の現在の脳波の特徴ベクトルが判別領域D1内に存在すると判別した判別率Rd1と、判別領域D2内に存在すると判別した判別率Rd2とを算出する。
また例えば、違和感検出部22は、判別率の比(Rd2/Rd1)が所定の閾値以上である場合に、乗員が違和感を感じていると判定し、比(Rd2/Rd1)が所定の閾値未満である場合に乗員が違和感を感じていないと判定してもよい。
違和感検出部22は、判別率の比(Rd2/Rd1)に基づいて乗員が感じている違和感の強度dを検出してもよい。例えば、違和感検出部22は、比(Rd2/Rd1)が大きい程、強い違和感を検出してよい。
図6Aの例では、乗員の現在の脳波の特徴ベクトルが判別平面31よりも上に位置すれば、違和感検出部22は、乗員が違和感を感じていないと判定し、判別平面31よりも下に位置すれば、違和感検出部22は、乗員が違和感を感じていると判定してよい。
違和感検出部22は、特徴ベクトルP2と判別平面31との距離に基づいて、違和感の強度dを検出してもよい。例えば、違和感検出部22は、特徴ベクトルP2と判別平面31との距離が大きい程、強い違和感を検出してよい。
違和感検出部22は、距離比(De/Dc)に基づいて乗員が感じている違和感の強度を検出してもよい。例えば、違和感検出部22は、距離比(De/Dc)が小さい程、強い違和感を検出してよい。
違和感検出部22は、違和感の検出結果を制御特性設定部23へ出力する。
制御特性設定部23は、学習用データ記憶部24と、制御特性演算部25を備える。
具体的には、例えば制御特性演算部25は、違和感が発生しないときの速度パターン(図3Bの一点鎖線図示)のみの平均から、平均的な減速車速パターン(図3Bの実線図示)を生成する。実際には、減速開始速度に応じて制動距離が異なるので、制御特性演算部25は、減速開始速度毎に平均的な減速車速パターンを生成してよい。
なお、学習用データ記憶部24が、乗員が違和感を感じなかった場合と感じた場合との両方の特徴量データと違和感の検出結果と記憶してもよい。制御特性演算部25が、乗員が違和感を感じなかった場合の特徴量データのみを選択して、選択した特徴量データに基づいて速度パターンの目標値を決定してもよい。
制御特性演算部25は、生成した速度パターンの目標値を走行制御部20へ出力する。
また、走行制御部20は、乗員による制動操作があった場合に、制御特性演算部25が生成した車速パターンに実際の車速パターンが近づくように、ブレーキ液圧アクチュエータを制御する。
ステップS1において脳活動センサ5は、乗員の脳波を計測する。
ステップS2において特徴量検出部21は、自車両の走行状態が変化したときに、走行状態の特徴を表す特徴量を検出する。
ステップS3において違和感検出部22は、走行状態の変化タイミングを示すタイミング情報を特徴量検出部21が出力すると、その直後に走行状態に対して乗員の違和感が発生したか否かを判定する。
ステップS5において学習用データ記憶部24は、乗員が違和感を感じなかった場合の特徴量データのみを走行状態の学習用データとして蓄積(記憶)する。その後に処理はステップS6に進む。
ステップS7において制御特性演算部25は、学習用データ記憶部24が蓄積した特徴量データに基づいて自車両の制御特性を決定する。その後に処理は終了する。
(第1変形例)
運転支援制御や自動運転制御では、予め定められた減速用制御パターンに従って減速制御を行う。
第1変形例では、乗員の違和感が発生しない走行状態を学習するために、運転支援制御や自動運転制御において複数の異なる学習用制御パターンを生成して、それぞれの制御パターンによる走行状態を乗員に体験させる。
制御特性演算部25は、それぞれの走行状態の特徴量データのうち、乗員の違和感が発生しない場合の特徴量データのみに基づいて、自車両の制御特性を決定する。
第1変形例の制御特性設定部23は、制御パターン発生部26を備える。
制御パターン発生部26は、乗員の違和感が発生しない走行状態を制御特性設定部23が学習する際に、運転支援制御や自動運転制御に使用される複数の異なる学習用制御パターンを生成する。
図8を参照する。走行制御部20が運転支援制御や自動運転制御において学習用制御パターン44a~44fに従って自車両をそれぞれ制御すると、違和感検出部22は、そのときの走行状態のそれぞれに対する乗員の違和感を検出する。
例えば、学習用制御パターンで制御したときに取得した特徴量データのうち、乗員の違和感が発生しなかった場合の特徴量データのみを蓄積し、蓄積した特徴量データに基づいて自車両の制御パターンを決定する。例えば、乗員の違和感が発生しなかった場合の制御パターンの平均から、制御パターンを決定してよい。
例えば、乗員の違和感が発生しなかった学習用制御パターンの平均から自車両の制御パターンを決定してもよい。
ステップS10において制御パターン発生部26は、学習用制御パターンのいずれかを生成する。
ステップS11において走行制御部20は、運転支援制御や自動運転制御において、学習用制御パターンに従って減速制御を開始する。
ステップS17にて制御特性演算部25は、走行状態の学習が完了したか否かを判定する。学習が完了していない場合(ステップS17:N)に処理はステップS18へ進む。
ステップS18において制御パターン発生部26は、学習用制御パターンを変更する。その後に処理はステップS11へ戻る。これにより、学習用制御パターンを変更しながらステップS11~S18が繰り返される。
学習が完了した場合(ステップS17:Y)に処理はステップS19へ進む。ステップS19の処理は図7のステップS7と同様である。その後に処理は終了する。
第1実施形態及び第1変形例は、減速シーンにおける車両の制御特性を決定したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、車間維持シーンや発進シーンなどにおいて自車両を加速させる場合においても、第1実施形態や第1変形例を自車両の加速特性の決定に適用できる。
(1)脳活動センサ5は、乗員の脳活動を計測する。違和感検出部22は、自車両の走行状態に対する乗員の違和感を脳活動に基づいて検出する。制御特性設定部23は、走行状態に対する違和感の検出結果と、走行状態と、に基づいて車両の制御特性を決定する。
これにより、乗員の違和感の評価に基づいて、走行状態に対する乗員の嗜好を適切に判定することができ、乗員の嗜好に合わせた車両の制御特性を決定することができる。
(3)制御特性演算部25は、違和感の大きさに応じて走行状態を学習することにより制御特性を決定する。これにより、違和感の有無、すなわち違和感の大きさに応じて、違和感の小さい制御特性を選ぶことができる。
これにより、違和感のある場合の走行状態を除外できるので、乗員の嗜好に合わない走行状態を除いて制御特性を決定し、学習精度を向上することができる。
(5)制御特性演算部25は、制御特性として、車両の自動運転の目標値、例えば加減速の速度パターンの目標値を決定する。これにより自動運転における車両制御に乗員の違和感情報をフィードバックできるので、乗員の嗜好に合った自動運転が可能になる。
次に、第2実施形態の車両制御装置1を説明する。第2実施形態では、操舵を伴うシーンにおける車両の制御特性を決定する。
操舵を伴うシーンにおいて乗員が違和感を覚える走行状態には、例えば、乗員による操舵操作に応答する車両の旋回挙動、すなわち、操舵操作に対する応答特性が考えられる。
例えば、乗員による操舵操作に対する車両の旋回挙動が急峻であったり緩慢である場合に、自車両の操舵応答特性が乗員の嗜好に合わず乗員が違和感を感じる。
図11を参照する。第2実施形態のコントローラ6は、図4に示す第1実施形態のコントローラ6と同様の機能構成を有しており、同じ参照符号は同様の構成要素を示す。
例えば嗜好性判定部27は、車両センサ3から出力される車両信号から、乗員によるステアリングホイールの操舵時に加えられた操舵トルクを取得する。嗜好性判定部27は、操舵トルクに応じて走行特性に対する乗員の嗜好性を判定する。
嗜好性判定部27は、乗員の嗜好性の判定結果を制御特性設定部23に出力する。
さらに、違和感検出部22は、自車両の走行状態が変化したときの乗員の違和感の検出結果として、違和感の強度dを制御特性設定部23に出力する。
Y=α×F(x)+β …(1)
F(x)は、運転操作の操作量xを変数とする所与の応答関数であり、βは定数である。
乗員がスポーティな走行を好む場合には、図12Aに示すように違和感が強いほど係数α増加させて操舵応答性をより高める。例えば、関数G(d)を単調増加関数としたときにα=G(d)により定めてよい。例えば単調増加関数G(d)は、G(d)=a×d(但しa>0)により定めてよい。
乗員が緩慢な走行を好む場合には、図12Bに示すように違和感が強いほど係数αを低減し、操舵応答性をより下げる。例えば、α=-G(d)により定めてよい。
また、違和感の強度dに応じて応答特性の変更量を定めることで、適切な変更量で応答特性を変更することができる。
ステップS20~S22の動作は、図7のステップS1~S3の動作と同様である。
ステップS23において嗜好性判定部27は、乗員の嗜好性を判定する。
ステップS24において違和感検出部22は、走行状態の変化タイミングを示すタイミング情報を特徴量検出部21が出力すると、その直後に走行状態に対して乗員の違和感が発生したか否かを判定する。
ステップS25において、制御特性演算部25は乗員がスポーティな走行を好むか否かを判定する。乗員がスポーティな走行を好む場合(ステップS25:Y)に処理はステップS26に進む。乗員が緩慢な走行を好む場合(ステップS25:N)に処理はステップS27に進む。
ステップS27において制御特性演算部25は、図12Bに示すように違和感が強いほど係数α増加させて操舵応答性をより高める。その後に処理は終了する。
(第1変形例)
第1変形例の制御特性設定部23は、合流シーンや車線変更シーンのような操舵や加速を伴う走行シーンにおいて、乗員に発生した違和感に応じて操舵応答特性と加速応答特性を決定する。すなわち、第1変形例の制御特性設定部23は、自車両の制御特性として操舵応答特性と加速応答特性とを決定する。
特徴量検出部21は、合流シーンや車線変更シーンで操舵操作と加速操作を行った直後に、車両センサ3から出力される車両信号などから、走行状態の特徴を表す特徴量として操舵角θs、アクセル操作量pedal、操向輪の転舵角θt及びスロットル開度APOを検出する。
特徴量検出部21は、操舵角θsと、操舵応答係数αと、アクセル操作量pedalと、アクセル応答係数βを特徴量データとして制御特性設定部23へ出力する。
また、違和感検出部22は、乗員の違和感の検出結果として、違和感の強度dを制御特性設定部23に出力する。
制御特性演算部25は、学習用データ記憶部24が蓄積した、操舵角θsと、操舵応答係数αと、アクセル操作量pedalと、アクセル応答係数βと、違和感の強度dに基づいて、違和感の強度dが最小となる操舵応答係数α及びアクセル応答係数βを機械学習する。
d+ξ1×α+ξ2×β=ξ3×θ+ξ4×pedal+c …(2)
そして、学習用データ記憶部24が蓄積した学習用データを用いて、例えば重回帰分析により学習することにより、違和感の強度dが最小となる係数ベクトル(ξ1,ξ2,ξ3,ξ4)及び定数cを決定する。
ξ1×α+ξ2×β=ξ3×θ+ξ4×pedal+c …(3)
制御特性演算部25は、計算式(3)に基づいて、合流、車線変更時において乗員が入力した操舵角θs及びアクセル操作量pedalに対する、操舵応答係数α及びアクセル応答係数βを算出することにより、操舵応答特性と加速応答特性を設定する。
走行制御部20は、合流シーンや車線変更シーンにおいて入力される操舵角θsと操舵応答係数αとを乗じて目標転舵角を決定し、ステアリングアクチュエータを制御する。また、アクセル操作量pedalとアクセル応答係数βとを乗じて目標スロットル開度を決定し、アクセルアクチュエータを制御する。
上記の第1実施形態では、減速シーンでの速度データを特徴量データとして用いて、減速シーンにおける速度パターンの目標値を決定した。
これと同様に、第2変形例のコントローラ6は、操舵を伴う走行シーンでの操舵角データを特徴量データとして用いて操舵角パターンの目標値を決定する。
具体的には、例えば第1変形例のコントローラ6は、図4に示す第1実施形態のコントローラ6と同様の機能構成を有する。
制御特性演算部25は、学習用データ記憶部24が蓄積した操舵角データに基づいて、操舵を伴うシーンにおける操舵角パターンの目標値を決定する。
例えば制御特性演算部25は、違和感が発生しないときの操舵角パターンのみの平均から、実線図示の平均的な操舵角パターンを生成する。
なお、学習用データ記憶部24が、乗員が違和感を感じなかった場合と感じた場合との両方の操舵角データと違和感の検出結果と記憶してもよい。制御特性演算部25が、乗員が違和感を感じなかった場合の操舵角データのみを選択して、操舵角パターンの目標値を決定してもよい。
走行制御部20は、自動運転制御又は運転支援制御において自車両を旋回させるときに、制御特性演算部25が生成した操舵角パターンに従ってステアリングアクチュエータを制御する。
また、走行制御部20は、乗員による操舵操作があった場合に、制御特性演算部25が生成した操舵角パターンに実際の操舵角パターンが近づくように、ステアリングアクチュエータを制御する。
第3変形例のコントローラ6は、第1実施形態の第1変形例のコントローラ6と同様に複数の異なる学習用制御パターンを生成する。
具体的には、例えば第3変形例のコントローラ6は、図8に示す第1実施形態の第1変形例のコントローラ6と同様の機能構成を有する。
制御パターン発生部26は、乗員の違和感が発生しない走行状態を制御特性設定部23が学習する際に、運転支援制御や自動運転制御に使用される複数の異なる操舵パターンを、学習用制御パターンとして生成する。
制御特性演算部25は、乗員の違和感が発生しなかった操舵パターンのみに基づいて、自車両の操舵パターンの目標値を決定する。操舵パターンの目標値の決定方法は、第1実施形態の第1変形例による速度パターンの目標値の決定方法と同様である。
(第4変形例)
第2実施形態では、自車両の制御特性として操舵応答特性を決定したが、同様に加速応答特性や減速応答特性を決定してもよい。
(1)脳活動センサ5は、乗員の脳活動を計測する。違和感検出部22は、自車両の走行状態に対する乗員の違和感を脳活動に基づいて検出する。制御特性設定部23は、走行状態に対する違和感の検出結果と、走行状態と、に基づいて車両の応答特性を決定する。
これにより、乗員の違和感の評価に合わせて乗員の嗜好性を学習し、車両の制御特性を決定することができる。
次に、第3実施形態の車両制御装置1を説明する。車両の制御特性に対する乗員の嗜好は、乗員の運転技量に影響されることがある。例えば、運転技量の高い乗員は、操作に対する車両挙動の応答が早い制御特性を好む傾向があり、反対に運転技量の低い乗員は、応答性が高いとかえって運転しにくく感じ、むしろ緩慢な制御特性を好む傾向がある。
そこで第3実施形態の車両制御装置1は、乗員の違和感に加えて、乗員の運転技量に応じて自車両の制御特性を決定する。
運転技量評価部28は、乗員の運転技量を評価する。具体的には、例えば運転技量評価部28は、周囲環境センサ2から出力される周囲環境情報と、車両センサ3から出力される車両信号とに基づいて、特定の運転シーンにおける自車両の操作態様の基準となる運転モデルを決定する。
運転技量評価部28は、車両センサ3から出力される車両信号に基づいて現実の車両状態を判定し、現実の車両状態と運転モデルの差に基づいて乗員の運転技量を評価する。運転技量評価部28は、運転技量の評価結果を制御特性設定部23へ出力する。
例えば、特徴量検出部21は、車線変更シーンにおいて切り増し操作を行う第1操舵と切り戻しを行う第2操舵が発生したときに、第1操舵の際の操舵角データを特徴量テータして出力する。
また、特徴量検出部21は、第1操舵のタイミングを示すタイミング情報を、違和感検出部22に出力する。違和感検出部22は第1操舵における乗員の違和感を検出し、検出結果を制御特性設定部23へ出力する。
学習用データ記憶部24が、乗員が違和感を感じなかった場合と感じた場合との両方の操舵角データと違和感の検出結果と蓄積し、制御特性演算部25が、乗員が違和感を感じなかった場合の操舵角データのみを選択してもよい。
制御特性演算部25は、学習用データ記憶部24が蓄積した乗員が違和感を感じなかった場合の操舵角データと、乗員の運転技量と、に基づいて操舵応答特性を変更する。
走行制御部20は、制御特性演算部25から出力される第1操舵角補正値θc1又は第2操舵角補正値θc2を、乗員から入力された操舵角θsに加えて目標操舵角を決定することにより操舵応答特性を変更する。
図16を参照する。制御特性演算部25は、乗員が違和感を感じなかった場合の操舵角パターンのみを平均した平均パターン50を生成する。例えば、制御特性演算部25は、各操舵角パターンの操舵時間の長さT2を正規化し、各時刻t(i)における操舵角の平均値θa(i)を求めて平均パターン50を生成する(i=1、2、…)。実際には、操舵終了時の操舵角θmが状況に応じて異なるので、第1操舵終了時の操舵角θm毎に平均パターン50を生成してよい。
また、制御特性演算部25は、各時刻t(i)における操舵角の分散(標準偏差)σ(i)を算出する。
これにより、乗員の運転技量が高い場合の操舵パターンは一点鎖線51に示すように補正され、操舵応答特性が上がる。
これにより、乗員の運転技量が低い場合の操舵パターンは破線52に示すように補正され、操舵応答特性が下がる。
このように、操舵パターンの分散σ(i)に応じて第1操舵角補正値θc1及び第2操舵角補正値θc2を決定することにより、乗員の操舵操作のばらつきの範囲内で違和感なく操舵応答特性を変更することができる。
ステップS30において運転技量評価部28は、周囲環境センサ2から出力される周囲環境情報と、車両センサ3から出力される車両信号とに基づいて乗員の運転技量を評価する。
ステップS31~S36の動作は、図7のステップS1~S6と同様である。
ステップS38において制御特性演算部25は、応答特性を高める第1操舵角補正値θc1=Nσ(i)を算出する。その後に処理は終了する。
ステップS38において制御特性演算部25は、応答特性を下げる第2操舵角補正値θc2=-Nσ(i)を算出する。その後に処理は終了する。
運転技量評価部28は、乗員の運転技量を評価する。制御特性設定部23は、走行状態に対する違和感の検出結果と、走行状態と、運転技量と、に基づいて自車両の制御特性を決定する。
これにより乗員の嗜好と運転技量の評価に基づいて車両の制御特性を決定することができる。
Claims (9)
- 乗員の脳活動をセンサが計測し、
車両の走行状態に対する前記乗員の違和感を前記脳活動に基づいて検出する処理と、前記違和感が検出されない前記走行状態を蓄積する処理と、蓄積した前記走行状態に基づいて前記車両の制御特性を決定する処理と、をコントローラが実行する、
ことを特徴とする車両制御方法。 - 前記コントローラは、
前記違和感の大きさを推定し、
前記違和感の大きさに応じて前記制御特性を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両制御方法。 - 前記コントローラは、前記違和感の大きさに応じて前記走行状態を学習することにより前記制御特性を決定することを特徴とする請求項2に記載の車両制御方法。
- 前記コントローラは、前記蓄積した走行状態の平均に応じて前記制御特性を決定することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の車両制御方法。
- 前記コントローラは、前記制御特性として、前記車両の運転操作に対する前記車両の応答特性を決定することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の車両制御方法。
- 前記コントローラは、前記制御特性として、前記車両の自動運転の目標値を決定することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の車両制御方法。
- 前記コントローラは、
前記車両の走行状態に対する違和感として、操舵に対する前記乗員の違和感を検出し、
前記制御特性として、前記車両の自動操舵の目標値を決定する、
ことを特徴とする請求項6に記載の車両制御方法。 - 前記コントローラは、
前記乗員の運転技量を評価し、
前記違和感の検出結果と、前記走行状態と、前記運転技量と、に基づいて前記制御特性を決定する、
を備えることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の車両制御方法。 - 乗員の脳活動を計測するセンサと、
車両の走行状態に対する前記乗員の違和感を前記脳活動に基づいて検出し、前記違和感が検出されない前記走行状態を蓄積し、蓄積した前記走行状態に基づいて前記車両の制御特性を決定するコントローラと、
を備えることを特徴とする車両制御装置。
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