JP6702089B2 - 車両の運動制御方法及び車両の運動制御装置 - Google Patents

車両の運動制御方法及び車両の運動制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6702089B2
JP6702089B2 JP2016167211A JP2016167211A JP6702089B2 JP 6702089 B2 JP6702089 B2 JP 6702089B2 JP 2016167211 A JP2016167211 A JP 2016167211A JP 2016167211 A JP2016167211 A JP 2016167211A JP 6702089 B2 JP6702089 B2 JP 6702089B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
risk
vehicle
value
vehicle motion
correction value
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016167211A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018034549A (ja
Inventor
根本 英明
英明 根本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2016167211A priority Critical patent/JP6702089B2/ja
Publication of JP2018034549A publication Critical patent/JP2018034549A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6702089B2 publication Critical patent/JP6702089B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Traffic Control Systems (AREA)

Description

本開示は、外界認識と自車両状態認識に基づいて車両運動を制御する車両の運動制御方法及び車両の運動制御装置に関するものである。
従来、システムが道路領域内の位置取りに関する運転戦略案を生成し、ディスプレイを介して当該運転戦略案をドライバーに提示する。ドライバーは、提示された運転戦略案を考慮した上で運転戦略を設定し、設定された運転戦略に基づいてシステムが車両の移動軌跡を生成する車両の運動制御方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2010-198578号公報
従来の車両の運動制御方法にあっては、ドライバーがディスプレイに提示された情報を確認すると共に、実際の車両周囲の状況を確認した上、運転戦略案が了承できない場合には修正入力応答する必要がある。すなわち、ドライバーは、システムから提示された運転戦略案を短時間で理解し、必要な判断を行わなければならない。そのため、限られた時間内に運転戦略を決定して指示することになり、ドライバーにとって負荷(負担)の高いシステムになるという問題があった。
本開示は、上記問題に着目してなされたもので、車両に搭載されたシステムによって生成される車両運動を、情報デバイスの確認を行うことなく把握可能とし、ドライバー負荷を軽減することができる車両の運動制御方法及び車両の運動制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本開示は、外界認識と自車両状態認識とに基づいて車両運動を制御する車両の運動制御方法であり、自車両の周囲の交通環境を認識し、自車両の走行状態を認識する。次に、交通環境及び走行状態に基づき、これから発生する運転シーンを判断する。続いて、運転シーンごとに異なるリスク感度に応じた重みづけ係数を用いて、自車両と、自車両の周囲に存在する障害物との物理的相対関係から算出されたリスク感指標であるリスクポテンシャルを、これから発生する運転シーンに応じて補正してリスクポテンシャル補正値を算出する。そして、算出されたリスクポテンシャル補正値に応じて、自車両の車両運動を生成する。
この結果、車両に搭載されたシステムによって生成される車両運動を、情報デバイスの確認を行うことなく把握可能とし、ドライバー負荷を軽減することができる。
実施例1の車両の運動制御方法及び運動制御装置が適用された車両運動支援システムを示す全体システム構成図である。 リスク感指標値を補正する際に用いる運転シーンごとの重み付け係数の設定イメージを示す説明図である。 実際のリスク感指標値の制御システムを示すブロック図である。 実施例1の車両制御演算装置にて実行される車両運動制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の車両の運動制御装置によって制御された実リスク感指標値の特性を示すタイムチャートである。 複数の運転シーンでの車両運動を体感することによるリスク感指標値のモデル学習イメージを示す説明図である。 実施例2の車両制御演算装置にて実行される車両運動制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例2の車両の運動制御装置によって制御された実リスク感指標値の特性を示すタイムチャートである。
以下、本開示の車両の運動制御方法及び車両の運動制御装置を実施するための形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
(実施例1)
まず、構成を説明する。
実施例1における車両の運動制御方法及び運動制御装置は、外界認識と自車両状態認識とに基づいて車両運動を支援するシステムを搭載した運転支援車両に適用したものである。以下、実施例1の構成を、「全体システム構成」、「車両運動制御処理構成」に分けて説明する。
[全体システム構成]
図1は、実施例1の車両の運動制御方法及び運動制御装置が適用された車両運動支援システムを示す全体システム構成図である。以下、図1に基づき、実施例1の全体システム構成を説明する。
実施例1の車両運動支援システムは、図1に示すように、外界認識装置1と、自車状態認識装置2と、車両制御演算装置3と、制御用情報データベース4と、車両駆動装置5と、を備えている。
外界認識装置1は、自車両に設けられ、自車両の周囲に存在する移動障害物情報や、道路形状、静止障害物情報等の交通環境を認識する装置である。ここで、「移動障害物」とは、自車両の周囲を走行している他車両や、歩行者、自転車等の移動中(移動可能)の障害物である。また、「静止障害物」とは、路面に設けられた区画線や縁石、フェンス、壁等の静止中(移動しない)の障害物である。
この外界認識装置1としては、一般的に使用されているレーザレンジファインダや、超音波を利用するクリアランスソナー、画像を撮影して撮影画像情報を取得する単眼カメラ、複数の撮影部を有するステレオカメラ等を用いる。なお、レーザレンジファインダは、赤外線レーザーを目標物に照射し、その反射の度合いで目標物までの距離を測定できる装置であり、検出物体のまでの距離情報をポイントクラウド情報として取得できるようになっている。更に、外界認識装置1は、測距センサを含み、自車両と周囲の障害物等との距離を計測し、距離データを生成する。
外界認識装置1によって認識された車両周囲の交通環境情報は、車両制御演算装置3に出力される。
自車状態認識装置2は、自車両に設けられ、自車両の走行速度や走行位置等の自車状態情報を認識する装置である。
この自車状態認識装置2としては、例えば車輪速センサや、操舵角センサ、ヨーレートセンサを用いる。なお、車速センサは、車軸の回転数を検出することで、車速を検出する。また、操舵角センサは、操舵用アクチュエータの回転軸を検出することで、操舵角(車両前後方向に対する車輪の傾き)を検出する。ヨーレートセンサは、ヨーレート(旋回方向への回転角の変化速度)を検出する。
自車状態認識装置2によって認識された自車状態情報は、車両制御演算装置3に出力される。
車両制御演算装置3は、外界認識装置1及び自車状態認識装置2によって得られた情報を基にして、自車両の走行計画を演算する装置であり、外界認識と自車両状態認識とに基づいて車両運動を制御するコントローラである。この車両制御演算装置3は、走行環境判断部31と、リスク感指標値演算部32と、車両走行計画部33と、を有している。
走行環境判断部31は、外界認識装置1から入力された交通環境情報と、自車状態認識装置2から入力された自車状態情報と、予め設定された目的地までのルート情報と、に基づいて、自車両がこれから走行する走行環境を判断する。そして、この走行環境判断から、今後発生する運転シーンを判断する。
ここで、「運転シーン」とは、例えば、自車両の直前を走行する車両に接近していく「先行車追従接近シーン」や、自車両の直後を走行する車両が自車両に接近してくる「後方車追従接近シーン」等である。
リスク感指標値演算部32(リスクポテンシャル補正値算出部)は、外界認識装置1から入力された障害物情報と、自車状態認識装置2から入力された自車状態情報と、に基づいて、自車両と、自車両の周囲に存在する障害物(以下、「車両周囲障害物」という)との物理的相対関係を検出する。そして、この物理的相対関係から算出されるリスク感指標値(=リスクポテンシャル)を、運転シーンごとに異なるリスク感度に応じて補正する。そして、運転シーンごとのリスク感度に応じて補正したリスク感指標値を、さらにドライバーの感覚尺度に比例するように補正し、リスク感指標補正値(=リスクポテンシャル補正値)を算出する。
なお、「リスク感指標値(=リスクポテンシャル)」とは、障害物との距離(車間距離)や障害物との相対速度、到達時間等を変数とし、自車両の周囲に存在する障害物との物理的相対関係から算出されたリスク感指標(障害物への自車両の接近リスクの高さの指標)である。また、「リスク感度」とは、ドライバーのリスクの感じやすさであり、リスク感度が高い走行状況では、リスク感指標値が同等であってもドライバーはリスクが高いと感じる。また、「ドライバーの感覚尺度」とは、リスクを感じるドライバーの感覚を基にしたリスクの判断基準である。
ここで、リスク感指標値は、周囲車両に対する定常状態を表す指標としての車間時間THW(time headway)と、先行車両に対する過渡状態を表す指標としての余裕時間TTC(time to collision)とを用いて、下記式(1)から算出される。
RP = 1/THW + 1/TTC …(1)
ここで、THW= 車間距離/自車両速度
TTC= 車間距離/相対速度 により求められる。
一方、上記式(1)によって求められるリスク感指標値を、運転シーンごとに異なるリスク感度に応じて補正するには、運転シーンごとに予め設定した重み付け係数を用いて補正する。なお、運転シーンごとに異なるリスク感度に応じて補正したリスク感指標値(運転シーンに応じたリスク感度が反映されたリスク感指標値)を、「第1リスクポテンシャル補正値」と言う。
例えば「先行車追従接近シーン」での第1リスクポテンシャル補正値RPf−1は、下記式(2f)から算出される。また、「後方車追従接近シーン」での第1リスクポテンシャル補正値RPr−1は、下記式(2r)から算出される。
RPf-1= Af/THW + Bf/TTC …(2f)
RPr-1= Ar/THW + Br/TTC …(2r)
これにより、式(2f)と式(2r)とでは、演算式の形は同じであるが、重み付け係数(Af,Bf,Ar,Br)が異なるため、リスク感補正値は、シーンごとに異なるリスク感度に応じた値に補正される。
また、この重み付け係数(Af,Bf,Ar,Br)を用いて運転シーンごとにリスク感指標値を補正する演算式(シーン別リスク感指標式)は、制御用情報データベース4のシーン別リスク感指標式記憶部41に格納されている。ここで、重み付け係数(Af,Bf,Ar,Br)は、手動運転の運転行動統計データから求めた平均値から設定することができる。
具体的には、図2に示すように、まず、運転行動データベース100に蓄積されているデータから、ドライバーごとの運転行動データをグルーピングした上、同一ドライバーの運転行動データを道路カテゴリー別に分類する。この「道路カテゴリー」とは、車線の多い幹線道路、幹線道路と生活道路を結ぶ一般道、住宅地周辺の生活道路等、道路の規模を基準とした分類である。道路カテゴリー別に運転行動データを分類するのは、道路の規模によって運転の方法が異なるためである。
次に、道路カテゴリー別に分類した運転行動データから、運転シーン別にデータを選択し、運転行動の切り替わりが生じた場面(ブレーキ・アクセル・ハンドル操作(操舵回避)が行われた場面)に基づいて、運転シーン別のリスク感指標値の分布をドライバーごとに求める。
そして、個人の運転シーン別リスク感指標値の分布を、同一の運転シーンごとに分類し、当該運転シーンでの運転行動の切り替わりが生じるリスク感指標値の平均値から、当該運転シーンにおけるリスク感度が得られる。そして、得られたリスク感度に基づいて運転シーンごとの重み付け係数(Af,Bf,Ar,Br)を算出する。
なお、個人の運転シーン別リスク感指標値の分布から、個人ごとのリスク感度を判断することができる。つまり、車間時間THWの逆数と余裕時間TTCの逆数との比には個人差がある。そのため、両要素を軸とした分布によって示される運転行動が切り替わるライン(傾き)から、個人のリスク感度を導出することができる。そのため、リスク感度に基づく運転シーンごとの重み付け係数(Af,Bf,Ar,Br)に、個人のリスク感度の違いによる補正(個人感度差による補正)を加えてもよい。
すなわち、例えば「先行車追従接近シーン」での第1リスクポテンシャル補正値RPf−1を求める演算式は、ドライバーごとに下記式(2f−1)、式(2f−2)のように設定される。
ドライバーα: RPf-1‐α= Afα/THW + Bfα/TTC …(2f−1)
ドライバーβ: RPf-1‐β= Afβ/THW + Bfβ/TTC …(2f−2)
また、「後方車追従接近シーン」では、第1リスクポテンシャル補正値RPr−1を求める演算式は、ドライバーごとに下記式(2r−1)、式(2r−2)のように設定される。
ドライバーα: RPr-1‐α= Arα/THW + Brα/TTC …(2r−1)
ドライバーβ: RPr-1‐β= Arβ/THW + Brβ/TTC …(2r−2)
さらに、上記式(2f)や式(2r)により運転シーンごとに算出された第1リスクポテンシャル補正値を、ドライバーの感覚尺度に比例するように補正するには、運転シーンごとに予め設定したリスク感補正係数を用いて補正する。これにより、例えば、先行車追従接近シーンでのリスク感指標値と、後方車追従接近シーンでのリスク感指標値とを、同じ感覚尺度上で数値化することができる。
なお、ドライバーの感覚尺度に比例するように第1リスクポテンシャル補正値を補正した値を、「リスク感指標補正値」という。
例えば「先行車追従接近シーン」でのリスク感指標補正値RPf−2は、下記式(3f)から算出される。また、「後方車追従接近シーン」でのリスク感指標補正値RPr−2は、下記式(3r)から算出される。
RPf-2= Cf(Af/THW + Bf/TTC) …(3f)
RPr-2= Cr(Ar/THW + Br/TTC) …(3r)
すなわち、数値化された単位量あたりのリスク感覚量は、リスク感補正係数(Cf,Cr)の設定により変化する。そのため、このリスク感補正係数(Cf,Cr)を適切に設定することで、シーン横断で(どのような運転シーンであっても)、ドライバーの感じるリスクを判断する基準を同等にすることができる。
また、このリスク感補正係数(Cf,Cr)は、制御用情報データベース4のシーン間リスク感補正係数記憶部42に格納されている。ここで、リスク感補正係数(Cf,Cr)は、運転行動統計データから求めた平均値から設定することができる。
具体的には、まず、個別のドライバーの運転行動データを、道路状況や走行環境等に応じて分類した運転シーンごとに記録する。次に、リスク感指標値が初期値に設定された運転場面で、運転行動の切り替わりが生じたとき(ブレーキ・アクセル・ハンドル操作(操舵回避)が行われたとき)を、リスク感指標値が初期値を超えた状態であるとみなし、運転シーンごとに暫定の補正係数を設定する。続いて、複数の運転シーンや個別のドライバーごとに同様に暫定補正係数の算出を行う。そして、算出された暫定補正値の平均値を複数のシーン間で統計的に導くことにより、運転シーンごとのリスク感補正係数(Cf,Cr)が算出される。
車両走行計画部33(車両運動生成部)は、リスク感指標値演算部32によって算出されたリスク感指標補正値と、予め設定されたリスク感統制値と、に基づいて、自車両の走行計画(車両運動)を生成する。この車両走行計画部33によって生成された走行計画情報は、車両駆動装置5に入力される。
なお、「走行計画」とは、自車両の今後の速度、車間距離、走行軌跡等であり、今後の車両運動全般である。また、「リスク感統制値」とは、複数の運転シーン間で、ドライバーの感じるリスク感を共通にするための統制された車両運動を生成する際のリスク感指標の基準値である。このリスク感統制値は、このリスク感統制値は、車両運動に対してドライバーが感じる安心感と、走行効率を優先したキビキビとした運転感覚とのバランスを基準として実験等に基づいて任意の値に設定され、制御用情報データベース4のリスク感統制値記憶部43に格納されている。
そして、この車両走行計画部33では、リスク感統制値を超えないリスク感指標を基準にして自車両の車両運動を生成する。つまり、リスク感指標値演算部32によって算出されたリスク感指標補正値がリスク感統制値以上のときには、このリスク感統制値に応じて自車両の車両運動を生成する。また、リスク感指標値演算部32によって算出されたリスク感指標補正値がリスク感統制値未満のときには、リスク感指標補正値に応じて自車両の車両運動を生成する。
なお、「リスク感指標補正値に応じて自車両の車両運動を生成する」とは、車両運動によって変化する実際のリスク感指標値が、リスク感指標補正値となるように車両運動の目標値を設定し、当該目標値を目指して車両を制御することである。
具体的には、図3に示すように、まず、リスク感指標補正値を目標値として目標RP設定部101に入力する。一方、自車両の車速と、周囲車両との相対速度、車間距離に基づき、実RP算出部102にて実際のリスク感指標値を算出する。そして、目標値であるリスク感指標補正値と、実際のリスク感指標値との差分(偏差)を演算し、この差分をRP調整部103に入力する。
RP調整部103では、入力された差分に応じたゲインにより、リスク感指標補正値と実際のリスク感指標値との差分を減ずるように自車両の速度を制御するための速度制御値が演算される。そして、速度算出部104において、演算された速度制御値に外乱の影響を加え、自車両の車速を算出する。なお、車速を制御することで周囲車両との相対速度及び車間距離も変化する。
そして、変化した車速、周囲車両との相対速度、車間距離を用いてフィードバック制御することによって、実際のリスク感指標値をリスク感指標補正値に一致させる車両運動が生成される。
一方、「リスク感統制値に応じて自車両の車両運動を生成する」ということも同様であり、車両運動によって変化する実際のリスク感指標値が、リスク感統制値となるように車両運動の目標値を設定し、当該目標値を目指して車両を制御することである。
すなわち、図3に示すように、まず、リスク感統制値を目標値として目標RP設定部101に入力する。一方、自車両の車速と、周囲車両との相対速度、車間距離に基づき、実RP算出部102にて実際のリスク感指標値を算出する。そして、目標値であるリスク感統制値と、実際のリスク感指標値との差分(偏差)を演算し、この差分をRP調整部103に入力する。
RP調整部103では、入力された差分に応じたゲインにより、リスク感統制値と実際のリスク感指標値との差分を減ずるように自車両の速度を制御するための速度制御値が演算される。そして、速度算出部104において、演算された速度制御値に外乱の影響を加え、自車両の車速を算出する。なお、車速を制御することで周囲車両との相対速度及び車間距離も変化する。
そして、変化した車速、周囲車両との相対速度、車間距離を用いてフィードバック制御することによって、実際のリスク感指標値がリスク感統制値を超えない車両運動、つまり実際のリスク感指標値をリスク感統制値に一致させる車両運動が生成される。
車両駆動装置5は、自車両を駆動するためのアクチュエータであり、車両制御演算装置3の車両走行計画部33によって計画された走行計画情報に従って自車両を駆動する。この車両駆動装置5としては、駆動アクチュエータ、制動アクチュエータ、転舵アクチュエータ、セレクトレンジ&シフトポジションアクチュエータ等を用いる。
[車両運動制御処理構成]
図4は、実施例1の車両制御演算装置にて実行される車両運動制御処理の流れを示すフローチャートである。以下、車両運動制御処理構成を表す図4の各ステップについて説明する。
ステップS101では、外界認識装置1で得られた情報を読み込み、自車両の周囲の交通環境を認識し、ステップS102へ進む。
ここで、外界認識装置1からは、移動障害物(例えば周囲車両等)の位置と移動速度、移動方向を読み込む。また、地図情報と照合された移動障害物の座標、車両周囲の静止障害物の種類と座標、道路形状情報としての区画線(レーン、通行帯)情報を読み込む。
ステップS102では、ステップS101での交通環境の認識に続き、自車状態認識装置2で得られた情報を読み込み、自車両の走行状態を認識し、ステップS103へ進む。
ここで、自車状態認識装置2からは、自車両の走行速度、地図情報と照合された走行位置、地図上での走行方向を読み込む。
ステップS103では、ステップS102での自車状態の認識に続き、ステップS101にて認識した交通環境と、ステップS102にて認識した自車状態と、予め設定された目的地までのルート情報と、に基づき、今後走行通過する走行環境を推測し、これから発生する運転シーンを判断して、ステップS104へ進む。
ここで、「運転シーン」の判断は、例えば、自車両が道路の直線部を走行する場面と、自車両の前方に交差点や合流が発生する場面とを区分し、自車両単独の直線走行を維持するシーンか、先行車両に追従するシーンか、車線変更を行うシーンであるかを判断する。
ステップS104では、ステップS103での運転シーンの判断に続き、このステップS103にて判断された運転シーンに応じて設定された重み付け係数を用いてリスク感指標値を補正するシーン別リスク感指標式を読み込み、ステップS105へ進む。
ここで、シーン別リスク感指標式の読み込みを行うには、まず、ステップS103にて判断された運転シーン情報を制御用情報データベース4に入力する。そして、制御用情報データベース4において、入力された運転シーン情報に基づき、当該運転シーンに関連するシーン別リスク感指標式を、シーン別リスク感指標式記憶部41から検索して出力する。
例えば、先行車への接近走行、追従走行、車線変更、合流が生じる運転シーンであると判断されたときには、車両前後方向のリスク感指標式(式(2f)、式(2r)等)を読み込む。
ステップS105では、ステップS104でのシーン別リスク感指標式の読み込みに続き、ステップS103にて判断された運転シーンに応じたリスク感補正係数(Cf,Cr)を読み込み、ステップS106へ進む。
ここで、「リスク感補正係数」は、運転シーンごとに異なるリスク感度に応じて補正したリスク感指標値を、ドライバーの感覚尺度に比例するように補正する補正係数である。
このリスク感補正係数の読み込みを行うには、まず、ステップS103にて判断された運転シーン情報を制御用情報データベース4に入力する。そして、制御用情報データベース4において、入力された運転シーン情報に基づき、当該運転シーンに関連するリスク感補正係数を、シーン間リスク感補正係数記憶部42から検索して出力する。
ここでは、接近追従シーンでのリスク感補正係数(Cf,Cr)を基準とし、車線変更シーンや合流シーンでは、当該シーンに対応したリスク感補正係数を読み込む。
ステップS106では、ステップS105でのリスク感補正係数の読み込みに続き、自車両と、車両周囲障害物との物理的相対関係から算出されるリスク感指標値を、運転シーンごとに異なるリスク感度に応じて補正した値(RPf−1, RPr−1)を、さらにドライバーの感覚尺度に比例するように補正したリスク感指標補正値(RPf−2, RPr−2)を算出し、ステップS107へ進む。
ここで、リスク感指標補正値の算出は、ステップS101にて認識した自車両の周囲の交通環境情報と、ステップS102にて認識した自車両の走行状態情報とを入力値とし、ステップS104にて読み込んだシーン別リスク感指標式と、ステップS105にて読み込んだ運転シーンごとのリスク感補正係数と、を掛け合わせることで算出する(式(3f)、式(3r)参照)。
ステップS107では、ステップS106でのリスク感指標補正値の算出に続き、このリスク感指標補正値(RPf−2, RPr−2)が、リスク感統制値以上であるか否かを判断する。YES(リスク感指標補正値≧リスク感統制値)の場合にはステップS108へ進む。NO(リスク感指標補正値<リスク感統制値)の場合には、ステップS109へ進む。
ここで、リスク感統制値は、制御用情報データベース4のリスク感統制値記憶部43から読み出す。
ステップS108では、ステップS107でのリスク感指標補正値≧リスク感統制値との判断に続き、実際のリスク感指標値がリスク感統制値を超えないように、実際のリスク感指標値を軽減する車両運動を生成し、ステップS110へ進む。すなわち、実際のリスク感指標値を、リスク感統制値に一致させる車両運動が生成される。
ステップS109では、ステップS107でのリスク感指標補正値<リスク感統制値との判断に続き、実際のリスク感指標値がリスク感指標補正(RPf−2, RPr−2)となるように、実際のリスク感指標値の変動を継続する(制限しない)車両運動を生成し、ステップS110へ進む。すなわち、実際のリスク感指標値を、リスク感指標補正値(RPf−2, RPr−2)に一致させる車両運動が生成される。
ステップS110では、ステップS108又はステップS109での車両運動の生成に続き、自車両の実際の車両運動を、生成された車両運動に応じたものにする車両駆動信号を車両駆動装置5へ出力し、エンドへ進む。
次に、実施例1の車両の運動制御方法及び運動制御装置の作用を、「リスク感指標値のシーン別補正作用」、「リスク感指標値のシーン横断補正作用」、「リスク感指標値統制制御作用」に分けて説明する。
[リスク感指標値のシーン別補正作用]
実施例1の車両の運動制御装置では、走行中、図3に示す車両運動制御処理を実行する。すなわち、ステップS101→ステップS102へと進み、外界認識装置1からの情報により自車両の周囲の交通環境を認識すると共に、自車状態認識装置2からの情報により自車両の走行状態を認識する。そして、ステップS103へと進んで、今後発生する運転シーンを判断する。
運転シーンを判断したら、ステップS104に進み、当該運転シーンに応じて設定された重み付け係数を用いてリスク感指標値を補正するシーン別リスク感指標式(例えば、式(2f)、式(2r))を読み込む。このシーン別リスク感指標式を用いることで、運転シーンに応じたリスク感度が反映されたリスク感指標値(RPf−1, RPr−1=第1リスクポテンシャル補正値)を算出することができる。
続いて、ステップS105→ステップS106へと進み、上記第1リスクポテンシャル補正値(RPf−1, RPr−1)をドライバーの感覚尺度に比例するように補正するため、運転シーンに応じたリスク感補正係数(Cf,Cr)を読み込み、読み込んだリスク感補正係数(Cf,Cr)を、シーン別リスク感指標式と掛け合わせて(式(3f),式(3r)参照)、リスク感指標補正値(RPf−2, RPr−2)を算出する。
そして、リスク感指標補正値(RPf−2, RPr−2)を算出したら、ステップS107へと進んで、リスク感指標補正値(RPf−2, RPr−2)が、リスク感統制値記憶部43から読み出したリスク感統制値以上であるか否かを判断する。リスク感指標補正値≧リスク感統制値であれば、ステップS107→ステップS108→ステップS110へと進み、実際のリスク感指標値がリスク感統制値を超えないように、実際のリスク感指標値を軽減する車両運動を生成し、生成された車両運動となるように車両駆動信号を出力する。
一方、リスク感指標補正値<リスク感統制値であれば、ステップS107→ステップS109→ステップS110へと進み、実際のリスク感指標値がリスク感補正値(RPf−2, RPr−2)となるように、実際のリスク感指標値の変動を継続する(制限しない)車両運動を生成し、生成された車両運動となるように車両駆動信号を出力する。
このように、実施例1の車両制御演算装置3では、例えば式(2f)、式(2r)に示す式を用いて、運転シーンごとに異なるリスク感度に応じてリスク感指標値を補正する。そして、この補正されたリスク感指標値(RPf−1, RPr−1=第1リスクポテンシャル補正値)を用いた値に応じて、自車両の車両運動が生成される。
そのため、運転シーンごとに異なるリスク感度が反映されたリスク感指標値に応じて自車両が動くことになり、自車両の動きが、運転シーンに合ったものとなる。この結果、ドライバーは、運転シーンを把握することで、自車両の動きを推測することが可能となり、自車両の動きを感覚的に把握することができる。
すなわち、自車両の動きをドライバーが体感することで、ドライバーは、例えば「この車両(自車両)は、この程度の車間距離や相対速度で合流する」等という当該車両の制御特性を感覚的に理解することができる。そのため、車両の動き(車両運動)を媒体情報として、ドライバーにシステム(車両制御演算装置3)の制御特性を伝達することができる。
これにより、ドライバーは、車両に搭載されたシステム(車両制御演算装置3)によって生成される車両運動を、例えばディスプレイ等の情報デバイスの確認を行うことなく把握することが可能となり、運転中のドライバーの負荷(負担)を軽減することができる。
なお、例えば式(2f-1)、式(2f-2)、式(2r-1)、式(2r-2)に示す式を用いて、運転シーンごとに異なるリスク感度に応じてリスク感指標値を補正する場合において、リスク感指標値の補正に対し、個人感度差による補正を加えることができる。そのため、算出されるリスク感指標補正値(RPf-1‐α、RPf-1‐β、RPr-1‐α、RPr-1‐β)が、個人ごとに異なるリスク感度をより反映したものになり、このリスク感指標補正値(RPf-1‐α、RPf-1‐β、RPr-1‐α、RPr-1‐β)に応じて車両運動を生成する車両の制御特性は、ドライバーの運転感覚により近いものとなる。そのため、車の動きを、車両に乗車したドライバーの運転感覚に合ったものにすることができ、当該車両の制御特性を感覚によって適切に理解できて、車両の動きに対する推測精度が高まり、システムが生成した車両運動に対する安心感をさらにドライバーに与えることができる。
[リスク感指標値のシーン横断補正作用]
また、この実施例1では、上述のように、運転シーンごとのリスク感補正係数(Cf,Cr)をシーン別リスク感指標式(式(2f),式(2r))と掛け合わせ、リスク感指標補正値(RPf−2, RPr−2)を算出する(ステップS104→ステップS105→ステップS106)。ここで、この「リスク感指標補正値」は、運転シーンに応じたリスク感度が反映されたリスク感指標値(RPf−1, RPr−1=第1リスクポテンシャル補正値)を、ドライバーの感覚尺度に比例する補正を行った値であり、実施例1では、最終的な自車両の動きは、この「リスク感指標補正値」を用いて生成されている。
そのため、シーン横断で(どのような運転シーンであっても)、ドライバーの感じるリスクを判断する基準が同等になり、自車両の動きをさらにドライバーの感覚に応じたものとすることができる。そのため、ドライバーは、自車両の動きを運転シーンに基づいてより適切に推測することが可能となり、ドライバー負荷をさらに軽減することができる。
[リスク感指標値統制制御作用]
さらに、実施例1では、上述のように、予め設定したリスク感統制値を超えないリスク感指標値に応じて、自車両の車両運動を生成している。つまり、リスク感指標補正値がリスク感統制値以上であるか否かを判断し、リスク感指標補正値≧リスク感統制値であれば、実際のリスク感指標値がリスク感統制値を超えないように車両運動を生成する。また、リスク感指標補正値<リスク感統制値であれば、実際のリスク感指標値がリスク感補正値となるように車両運動を生成する。
ここで、車両の走行環境は時間の経過に伴って刻々と変化する。例えば、先行車への追従走行シーンでは、自車両の走行状態(車速)が一定であったとしても、先行車の走行状態が一定であるとは限らず、変化することがある。そのため、このような状況では、先行車と自車両との相対的な位置関係(物理的相対関係)から算出されるリスク感指標値は変化する。
そして、このようなリスク感指標値を運転シーンごとに異なるリスク感度に応じて補正し、さらにドライバーの感覚尺度に比例するように補正しても、補正値であるリスク感指標補正値は変化する。
そのため、このようなリスク感指標補正値に応じて車両運動を生成し、生成した車両運動に応じて駆動制御を行った場合では、自車両と、自車両の周囲に存在する障害物との物理的相対関係から算出された実際のリスク感指標値(実リスク感指標値)は、図5に破線で示すように、車両周囲の走行環境に応じて変動することになる。
これに対し、運転シーン間で共通のリスク感統制値を用い、実際のリスク感指標値(実リスク感指標値)が図5において実線で示すようにリスク感統制値を超えないような車両運動を生成すると、例えば、先行車追従走行シーンにおいて、先行車に接近したことでリスク感指標補正値がリスク感統制値よりも高くなったときには、減速して相対速度差を減少させると共に車間を維持する等の制御を行うことになる。つまり、実際のリスク感指標値(実リスク感指標値)が、リスク感統制値を上回る車両運動が生成されないように制御され、実際のリスク感指標値がコントロールできる。
すなわち、図6に示すように、自車両が車速Vhにて先行車に追従走行をしている運転シーンAや、自車両が車速Vhにて走行している前方に歩行者や自転車が存在する運転シーンBのように運転シーンが異なっていても、それぞれのリスク感指標値RPa,RPbは、リスク感統制値によって制限され、統制されたリスク感指標値に応じた車両運動が生成される。これにより、運転中にドライバーが感じるリスク感の変動が抑制される。
そして、このようにリスク感指標値が統制された複数の運転シーンをドライバーが体感すれば、ドライバーは複数の運転シーンで統制されたリスク感指標値の程度を感覚的に把握することができる。つまり、ドライバーは、道路構造や自車両の周囲を走行している他車両等が常に異なる運転環境において、自車両の車両運動がどのような動きになるのかを、個々の運動情報で把握するのではなく、リスク感指標値のモデル学習を行うことで車両運動の判断基準となっているリスク感を元に把握可能となる。この結果、ドライバーが初めて遭遇する運転シーン(運転シーンn)であっても、ドライバーは、そのときに制御されるリスク感指標値RPnの程度を感覚的に把握することができ、自車両の動きを事前に推測することが可能となる。そして、車両の動きが推測可能になることで、自車両の運転を安心してシステムに任せることができるようになり、システムに対するドライバーの信頼感を向上することができる。
しかも、実施例1のように、リスク感指標補正値がリスク感統制値を上回るときに実際のリスク感指標値を抑制し、リスク感指標補正値がリスク感統制値以下であれば、実際のリスク感指標値の変動を抑制しない。これにより、実際のリスク感指標値を必要以上に高めることがなく、ドライバーの安心感を重視した車両運動とすることができる。
次に、効果を説明する。
実施例1の車両の運動制御方法及び車両の運動制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) 外界認識と自車両状態認識とに基づいて車両運動を制御する車両の運動制御方法において、
自車両と、前記自車両の周囲に存在する障害物との物理的相対関係から算出されたリスク感指標であるリスクポテンシャル(リスク感指標値)を、走行環境判断による運転シーンごとに補正してリスクポテンシャル補正値(リスク感指標補正値=RPf−2, RPr−2)を算出し(ステップS103〜ステップS106)、
前記リスクポテンシャル補正値(リスク感指標補正値=RPf−2, RPr−2)に応じて、前記自車両の車両運動を生成する(ステップS107〜ステップS109)構成とした。
これにより、車両に搭載されたシステムによって生成される車両運動を、情報デバイスの確認を行うことなく把握可能とし、ドライバー負荷を軽減することができる。
(2) 前記リスクポテンシャル補正値(リスク感指標補正値=RPf−2, RPr−2)を算出する際、前記リスクポテンシャル(リスク感指標値)を、前記運転シーンごとに異なるリスク感度に応じた重み付け係数(Af,Bf,Ar,Br)を用いて補正して第1リスクポテンシャル補正値(RPf−1, RPr−1)を算出し(ステップS104)、前記第1リスクポテンシャル補正値(RPf−1, RPr−1)を、ドライバーの感覚尺度に比例させるリスク感補正係数(Cf,Cr)を用いて補正して前記リスクポテンシャル補正値(リスク感指標補正値=RPf−2, RPr−2)を算出する(ステップS105〜ステップS106)構成とした。
これにより、(1)の効果に加え、ドライバーの感じるリスクを判断する基準をシーン横断で同等にでき、ドライバーは、自車両の動きを運転シーンに基づいてより適切に推測できて、ドライバー負荷をさらに軽減することができる。
(3) 前記車両運動を生成する際(ステップS107〜ステップS109)、予め設定したリスク感統制値を超えないリスクポテンシャル補正値(リスク感指標補正値=RPf−2, RPr−2)に応じて、前記自車両の車両運動を生成する構成とした。
これにより、(1)又は(2)の効果に加え、運転シーンに拘らず実際のリスク感指標値を統制でき、運転中にドライバーが感じるリスク感の変動を抑制して、初めて遭遇する運転シーンでも車両の動きを推測することができる。
(4) 前記車両運動を生成する際(ステップS107〜ステップS109)、前記リスクポテンシャル補正値(リスク感指標補正値=RPf−2, RPr−2)が前記リスク感統制値以上のとき、前記リスク感統制値に応じて前記自車両の車両運動を生成し、前記リスクポテンシャル補正値(リスク感指標補正値=RPf−2, RPr−2)が前記リスク感統制値未満のとき、前記リスクポテンシャル補正値(リスク感指標補正値=RPf−2, RPr−2)に応じて前記自車両の車両運動を生成する構成とした。
これにより、 (3)の効果に加え、運転中にドライバーが感じるリスク感が高くなることを抑制して、ドライバーの安心感を重視した車両運動とすることができる。
(5) 前記リスクポテンシャル補正値(リスク感指標補正値=RPf−2, RPr−2)を算出する際(ステップS103〜ステップS106)、個人感度差による補正を加える構成とした。
これにより、車両の制御特性をドライバーの運転感覚により近いものとすることができ、当該車両の制御特性を感覚によって適切に理解させ、車両の動きに対する安心感をさらにドライバーに与えることができる。
(6) 外界認識と自車両状態認識とに基づいて車両運動を制御するコントローラ(車両制御演算装置3)を搭載した車両の運動制御装置において、
前記コントローラ(車両制御演算装置3)は、
自車両と、前記自車両の周囲に存在する障害物との物理的相対関係から算出されたリスク感指標であるリスクポテンシャル(リスク感指標値)を、走行環境判断による運転シーンごとに補正してリスクポテンシャル補正値(リスク感指標補正値=RPf−2, RPr−2)を算出するリスクポテンシャル補正値算出部(リスク感指標値演算部32)と、
前記リスクポテンシャル補正値(リスク感指標補正値=RPf−2, RPr−2)に応じて、前記自車両の車両運動を生成する車両運動生成部(車両走行計画部33)と、
を有する構成とした。
これにより、車両に搭載されたシステムによって生成される車両運動を、情報デバイスの確認を行うことなく把握可能とし、ドライバー負荷を軽減することができる。
(実施例2)
実施例2は、リスク感統制値が上限値と下限値を有しており、実際のリスク感指標値が当該上限値と下限値の間に収束するように車両運動を制御する例である。
図7は、実施例2の車両制御演算装置にて実行される車両運動制御処理の流れを示すフローチャートである。なお、実施例1の車両運動制御処理と同じステップについては、図4と同一のステップ番号を付し、ここでは説明を省略する。以下、図4に示す車両運動制御処理とは異なるステップについて、図7に基づき説明する。
ステップS201(車両運動生成ステップ)では、ステップS106でのリスク感指標補正値の算出に続き、このリスク感指標補正値(RPf−2, RPr−2)が、リスク感統制値の上限値であるリスク感上限値以上であるか否かを判断する。YES(リスク感指標補正値≧リスク感上限値)の場合にはステップS202へ進む。NO(リスク感指標補正値<リスク感上限値)の場合には、ステップS203へ進む。
ここで、リスク感上限値は、制御用情報データベース4のリスク感統制値記憶部43から読み出す。
ステップS202では、ステップS201でのリスク感指標補正値≧リスク感上限値との判断に続き、実際のリスク感指標値がリスク感上限値を超えないように、実際のリスク感指標値を軽減する車両運動を生成し、ステップS110へ進む。
なお、実際のリスク感指標値を軽減する際の制御ステップについては、実施例1の場合と同様に、リスク感上限値を目標値として、実際のリスク感指標値をフィードバック制御する。
ステップS203では、ステップS201でのリスク感指標補正値<リスク感上限値との判断に続き、ステップS106にて算出されたリスク感指標補正値(RPf−2, RPr−2)が、リスク感統制値の下限値であるリスク感下限値未満であるか否かを判断する。YES(リスク感指標補正値<リスク感下限値)の場合にはステップS204へ進む。NO(リスク感指標補正値≧リスク感下限値)の場合には、ステップS205へ進む。
ここで、リスク感下限値は、制御用情報データベース4のリスク感統制値記憶部43から読み出す。なお、このリスク感下限値は、リスク感上限値よりも小さい値であり、リスク感上限値とリスク感下限値との間には差を持っている。
ステップS204では、ステップS203でのリスク感指標補正値<リスク感下限値との判断に続き、実際のリスク感指標値がリスク感下限値を超えるように、実際のリスク感指標値を増加させる車両運動を生成し、ステップS110へ進む。
なお、実際のリスク感指標値を増加する際の制御ステップについては、リスク感指標値を軽減する場合と同様に、リスク感下限値を目標値として、実際のリスク感指標値をフィードバック制御する。
ステップS205では、ステップS203でのリスク感指標補正値≧リスク感下限値との判断に続き、実際のリスク感指標値がリスク感指標補正となるように、実際のリスク感指標値の変動を継続する(制限しない)車両運動を生成し、ステップS110へ進む。
このように、実施例2の車両の運動制御装置では、リスク感統制値が、上限値であるリスク感上限値と、下限値であるリスク感下限値と、を有している。そして、リスク感指標補正値(RPf−2, RPr−2)が、リスク感上限値以上のとき、このリスク感上限値に応じて自車両の車両運動を生成する。また、リスク感指標補正値(RPf−2, RPr−2)が、リスク感下限値未満のとき、このリスク感下限値に応じて自車両の車両運動を生成する。さらに、リスク感指標補正値(RPf−2, RPr−2)が、リスク感下限値以上であってリスク感上限値未満のときには、リスク感指標補正値(RPf−2, RPr−2)に応じて自車両の車両運動を生成する。
この結果、自車両と、自車両の周囲に存在する障害物との物理的相対関係から算出された実際のリスク感指標値(実リスク感指標値)が、図8において実線で示すように、リスク感下限値とリスク感上限値との間に収束することになる。
これにより、運転中にドライバーが感じるリスク感の変動幅を小さくして、リスク感の変動をさらに抑制することができ、ドライバーにさらに安定した運転感を感じさせることができる。そして、システムに対するドライバーの信頼感の向上を図ることができる。
以上、本開示の車両の運動制御方法及び車両の運動制御装置を実施例1及び実施例2に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、リスク感指標値を、運転シーンごとに異なるリスク感度に応じた重み付け係数(Af,Bf,Ar,Br)を用いて補正した第1リスクポテンシャル補正値(RPf−1, RPr−1)を、ドライバーの感覚尺度に比例させるリスク感補正係数(Cf,Cr)を用いてさらに補正してリスク感指標補正値(RPf−2, RPr−2)とする例を示した。しかしながら、これに限らない。「リスク感指標補正値(=リスクポテンシャル補正値)」は、リスク感指標を運転シーンごとに補正した値であればよいので、上記第1リスクポテンシャル補正値(RPf−1, RPr−1)を「リスク感指標補正値」としてもよい。
この場合であっても、運転シーンごとに異なるリスク感度が反映されたリスク感指標値に応じた車両運動となり、ドライバーは、運転シーンを把握することで、自車両の動きを推測することが可能となって、自車両の動きを感覚的に把握することができる。
また、実施例1では、運転シーンごとに異なるリスク感度に応じてリスク感指標値補正する際、運転シーンごとの重み付け係数(Af,Bf,Ar,Br)に、個人のリスク感度の違いによる補正(個人感度差による補正)を加えた例を示したが、これに限らない。例えば、ドライバーの感覚尺度に比例するように第1リスクポテンシャル補正値を補正する際に、個人感度差による補正を加えてもよい。つまり、リスク感補正係数(Cf,Cr)に個人感度差を反映させてもよい。
また、実施例2では、リスク感統制値が上限値であるリスク感上限値と、下限値であるリスク感下限値とを有し、このリスク感上限値とリスク感下限値との間に差を持つ例を示した。しかしながら、これに限らず、リスク感上限値とリスク感下限値とが同一の値であってもよい。この場合では、実際のリスク感指標値を、所定のリスク感統制値に一致させる(収束させる)車両運動が生成される。
また、実施例1及び実施例2では、本開示の車両の運動制御方法及び運動制御装置を、車両運動を生成した後、生成した車両運動に従って車両駆動装置5によって自車両を駆動する運転支援車両、つまり自動運転車両に適用する例を示したがこれに限らない。例えば、生成した車両運動を車内ディスプレイに提示する一方、車両駆動制御は実施しない運転支援車両に適用してもよい。さらに、生成した車両運動を車内ディスプレイに提示すると共に、実際の車両運動が生成した車両運動から大きく逸脱する場合に限り車両の駆動制御を行う半自動運転車両に適用してもよい。要するに、外界認識と自車両状態認識とに基づいて車両運動を支援する運転支援機能を有する運転支援車両であれば適用することができる。
1 外界認識装置
2 自車状態認識装置
3 車両制御演算装置(コントローラ)
31 走行環境判断部
32 リスク感指標値演算部(リスクポテンシャル補正値算出部)
33 車両走行計画部(車両運動生成部)
4 制御用情報データベース
41 シーン別リスク感指標式記憶部
42 シーン間リスク感補正係数記憶部
43 リスク感統制値記憶部
5 車両駆動装置

Claims (7)

  1. 外界認識と自車両状態認識とに基づいて車両運動を制御する車両の運動制御方法において、
    自車両の周囲の交通環境を認識し、
    前記自車両の走行状態を認識し、
    前記交通環境及び前記走行状態に基づき、これから発生する運転シーンを判断し、
    前記運転シーンごとに異なるリスク感度に応じた重みづけ係数を用いて、前記自車両と、前記自車両の周囲に存在する障害物との物理的相対関係から算出されたリスク感指標であるリスクポテンシャルを、これから発生する運転シーンに応じて補正してリスクポテンシャル補正値を算出し、
    前記リスクポテンシャル補正値に応じて、前記自車両の車両運動を生成する
    ことを特徴とする車両の運動制御方法。
  2. 請求項1に記載された車両の運動制御方法において、
    前記リスクポテンシャル補正値を算出する際、前記重みづけ係数を用いて補正したリスクポテンシャルを第1リスクポテンシャル補正値とし、前記第1リスクポテンシャル補正値を、ドライバーの感覚尺度に比例させるリスク感補正係数を用いて補正して前記リスクポテンシャル補正値を算出する
    ことを特徴とする車両の運動制御方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載された車両の運動制御方法において、
    前記車両運動を生成する際、予め設定したリスク感統制値を超えないリスクポテンシャル補正値に応じて、前記自車両の車両運動を生成する
    ことを特徴とする車両の運動制御方法。
  4. 請求項3に記載された車両の運動制御方法において、
    前記車両運動を生成する際、前記リスクポテンシャル補正値が前記リスク感統制値以上のとき、前記リスク感統制値に応じて前記自車両の車両運動を生成し、前記リスクポテンシャル補正値が前記リスク感統制値未満のとき、前記リスクポテンシャル補正値に応じて前記自車両の車両運動を生成する
    ことを特徴とする車両の運動制御方法。
  5. 請求項3に記載された車両の運動制御方法において、
    前記リスク感統制値は、上限値であるリスク感上限値と、下限値であるリスク感下限値と、を有し、
    前記車両運動を生成する際、前記リスクポテンシャル補正値が前記リスク感上限値以上のとき、前記リスク感上限値に応じて前記自車両の車両運動を生成し、前記リスクポテンシャル補正値が前記リスク感下限値未満のとき、前記リスク感下限値に応じて前記自車両の車両運動を生成し、前記リスクポテンシャル補正値が前記リスク感下限値以上であって前記リスク感上限値未満のとき、前記リスクポテンシャル補正値に応じて前記自車両の車両運動を生成する
    ことを特徴とする車両の運動制御方法。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載された車両の運動制御方法において、
    前記リスクポテンシャル補正値を算出する際、個人感度差による補正を加える
    ことを特徴とする車両の運動制御方法。
  7. 外界認識と自車両状態認識とに基づいて車両運動を制御するコントローラを搭載した車両の運動制御装置において、
    前記コントローラは、
    自車両の周囲の交通環境を認識する外界認識装置と、
    前記自車両の走行状態を認識する自車状態認識装置と、
    前記交通環境及び前記走行状態に基づき、これから発生する運転シーンを判断する走行環境判断部と、
    前記運転シーンごとに異なるリスク感度に応じた重みづけ係数を用いて、前記自車両と、前記自車両の周囲に存在する障害物との物理的相対関係から算出されたリスク感指標であるリスクポテンシャルを、これから発生する運転シーンに応じて補正してリスクポテンシャル補正値を算出するリスクポテンシャル補正値算出部と、
    前記リスクポテンシャル補正値に応じて、前記自車両の車両運動を生成する車両運動生成部と、
    を有することを特徴とする車両の運動制御装置。
JP2016167211A 2016-08-29 2016-08-29 車両の運動制御方法及び車両の運動制御装置 Active JP6702089B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016167211A JP6702089B2 (ja) 2016-08-29 2016-08-29 車両の運動制御方法及び車両の運動制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016167211A JP6702089B2 (ja) 2016-08-29 2016-08-29 車両の運動制御方法及び車両の運動制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018034549A JP2018034549A (ja) 2018-03-08
JP6702089B2 true JP6702089B2 (ja) 2020-05-27

Family

ID=61565187

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016167211A Active JP6702089B2 (ja) 2016-08-29 2016-08-29 車両の運動制御方法及び車両の運動制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6702089B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11644835B2 (en) * 2020-07-29 2023-05-09 Toyota Research Institute, Inc. Game-theoretic planning for risk-aware interactive agents
CN114104000B (zh) * 2021-12-16 2024-04-12 智己汽车科技有限公司 一种危险场景的评估与处理系统、方法及存储介质
CN116776204B (zh) * 2023-06-26 2024-02-23 清华大学 驾驶人风险敏感度差异化表征方法、装置、设备及介质

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3882797B2 (ja) * 2003-08-08 2007-02-21 日産自動車株式会社 車両用運転操作補助装置および車両用運転操作補助装置を備える車両
JP2007276733A (ja) * 2006-04-11 2007-10-25 Nissan Motor Co Ltd 車両用運転操作補助装置および車両用運転操作補助装置を備えた車両
JP4614005B2 (ja) * 2009-02-27 2011-01-19 トヨタ自動車株式会社 移動軌跡生成装置
US8830044B2 (en) * 2010-04-16 2014-09-09 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Driving support device
JP5691237B2 (ja) * 2010-05-06 2015-04-01 トヨタ自動車株式会社 運転支援装置
JP2013257759A (ja) * 2012-06-13 2013-12-26 Nissan Motor Co Ltd 車両用リスクポテンシャル算出装置
JP2014211756A (ja) * 2013-04-18 2014-11-13 トヨタ自動車株式会社 運転支援装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018034549A (ja) 2018-03-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102553247B1 (ko) 전방 차량 추종 제어 시 안전성을 향상할 수 있는 차선 유지 보조 시스템 및 방법
EP3350661B1 (en) Method and system for steering control of an autonomous vehicle
JP6269534B2 (ja) 走行制御装置
JP4229051B2 (ja) 運転意図推定装置、車両用運転操作補助装置および車両用運転操作補助装置を備えた車両
JP6432679B2 (ja) 停車位置設定装置及び方法
EP3342670B1 (en) Method to dynamically adjusting speed control rates of autonomous vehicles
JP5798658B1 (ja) 車両の車線逸脱防止制御装置
JP5168421B2 (ja) 運転支援装置
JP6630443B2 (ja) 車両制御装置
EP3353494A1 (en) Speed control parameter estimation method for autonomous driving vehicles
CN114302839B (zh) 用于确定机动车辆的避让路径的方法
JP2012051441A (ja) 自動運転車両制御装置
JP2009213251A (ja) 車両用運転支援装置及び車両用運転支援方法
WO2019061616A1 (en) IMPEDANCE BASED MOTION CONTROL FOR AUTONOMOUS VEHICLES
JP6702089B2 (ja) 車両の運動制御方法及び車両の運動制御装置
JP2009184497A (ja) 車両用運転操作支援装置
JP5239947B2 (ja) 運転操作支援装置及び運転操作支援方法
US11345343B2 (en) Controller and method for controlling the driving direction of a vehicle
JP4165168B2 (ja) 車両用運転操作補助装置
WO2021089608A1 (en) Adaptive cruise control
WO2019087380A1 (ja) 車両制御装置
KR20220121186A (ko) 차량 제어 방법, 차량 제어 시스템, 및 차량
JP7124784B2 (ja) 車両制御装置
JP4852851B2 (ja) 運転意図推定装置、車両用運転操作補助装置および車両用運転操作補助装置を備えた車両
JP2020098584A (ja) 車両間の間隔を利用することにおいて自車のドライバを支援するための方法、対応するドライバ支援システム、およびそのようなドライバ支援システムを装備した車両

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190328

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191226

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200114

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200221

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200407

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200420

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6702089

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151