JP7186920B2 - 構造体 - Google Patents
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Description
しかし、特許文献1の方法においては、コア材の両面に貼り合わされる熱可塑性プラスチックフィルムとは別個の層として着色層を設けているため、工程数が増え、製造コストが増加するという問題がある。
また、特許文献2や3のような構造体において、第一のフィルムが薄い場合には、第一のフィルムにテンションをかけた時にタテしわが生じてしまうという課題を知見した。一方、樹脂層の厚みが薄い場合には、第一のフィルムにしわが生じたとしても、しわに追従して厚みのばらつきの小さい樹脂層を形成することができた。しかし、樹脂層の厚みが例えば50μm以上のように厚い場合には、第一のフィルム上への樹脂層形成時において、第一のフィルムのしわの谷部に塗布した液状の硬化性樹脂組成物が溜まってしまい、その結果、乾燥後に厚みのばらつきの大きい樹脂層が形成されるという課題を知見した。
本発明者等は、上記第一の形態の目的を達成するために鋭意検討した結果、第一のフィルムと第二のフィルム自体のヘーズ、あるいは構造体の第一のフィルム側から測定したLab色空間におけるL*値、a*値、b*値と構造体の第二のフィルム側から測定したLab色空間におけるL*値、a*値、b*値を調節し、各ヘーズあるいは各L*値、a*値、またはb*値に一定以上の差を付けることで、構造体の表裏の判別をし易くできることを知見した。
また、本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、第一のフィルムと第二のフィルムのトラウザー引裂力を調節し、各トラウザー引裂力に一定以上の差を付けることで、フィルム痕の発生を抑制できることを知見した。
前記第一のフィルムのトラウザー引裂力と、前記第二のフィルムのトラウザー引裂力の差が-0.05N以下または+0.05N以上であり、
前記第一のフィルムと前記第二のフィルムのヘーズの差が-5%以下または+5%以上であることを特徴とするものである。
前記第一のフィルムのトラウザー引裂力と、前記第二のフィルムのトラウザー引裂力の差が-0.05N以下または+0.05N以上であり、
前記構造体の前記第一のフィルム側から測定したLab色空間におけるL*値、a*値、b*値と前記構造体の第二のフィルム側から測定したLab色空間におけるL*値、a*値、b*値の差が、下記条件(i)~(iii):
(i)L*値の差が-0.1以下または+0.1以上である、
(ii)a*値の差が-0.1以下または+0.1以上である、
(iii)b*値の差が-1以下または+1以上である、
の少なくとも1つを満たすことを特徴とする。
本発明者等は、上記第二の形態の目的を達成するために鋭意検討した結果、厚みが50μm以上の樹脂層を形成する際に、第一のフィルムのトラウザー引裂力を調節し、かつ、第一のフィルムの厚みを調節することで、厚みのばらつきの小さい樹脂層を形成できることを知見した。本発明はかかる知見によるものである。
前記第一のフィルムの厚みが30μm以上であり、
前記第一のフィルムのトラウザー引裂力が0.1N以上であり、
前記樹脂層の厚みが50μm以上であり、
前記樹脂層が硬化性樹脂層であることを特徴とするものである。
本発明によれば、多層構造の構造体の表と裏を見分け易く、第二のフィルムを剥がした際に樹脂層にフィルム痕が付きづらい構造体を提供することができる。
第一のフィルムと第二のフィルムのトラウザー引裂力を調節し、各トラウザー引裂力に一定以上の差を付けることで、フィルム痕の発生を抑制できる理由は必ずしも明らかではないが、以下のように推測できる。すなわち、トラウザー引裂力の差を付けると、フィルムを剥がしたときに樹脂層にかかる負荷が、前記引裂力の差が無いものと比較して異なり、適当となる。その結果、樹脂層へのフィルム痕のつきやすさにも差が出るものと考えられる。しかし、あくまでも推測の域であり、この限りではない。
また、本発明によれば、第一のフィルム上に、厚みが50μm以上であり、かつ、厚みのばらつきの小さい樹脂層を備える構造体を提供することができる。
第一のフィルムのトラウザー引裂力を調節し、かつ、第一のフィルムの厚みを調節することで、厚みのばらつきの小さい樹脂層を形成できる理由は必ずしも明らかではないが、以下のように推測できる。すなわち、上記調節により、第一のフィルムの表面状態が適当となり、前記第一のフィルムに張力をかけた際にもその力に耐えることができるため、シワが発生しにくく、その結果、第一のフィルム上に形成する樹脂層を形成しやすくなり、前記樹脂層の厚みのばらつきをも抑制することができるものと推測される。しかしながら、あくまでも推測の域であって、この限りではない。
<構造体>
本発明による構造体は、第一のフィルム、樹脂層、および第二のフィルムをこの順に備えるものであり、第一のフィルムと第二のフィルムが後述する特定の条件を満たすものである。本発明においては、第一のフィルムと第二のフィルムが後述する特定の条件を満たすことで、多層構造の構造体の表と裏を見分け易く、第二のフィルムを剥がした際に樹脂層にフィルム痕が付きづらい構造体を提供することができる。
本発明においては、第一のフィルムと第二のフィルムのトラウザー引裂力の差、およびヘーズの差あるいはLab色空間におけるL*値、a*値、b*値の差が後述する範囲であればよい。
なお、本発明において、第一のフィルムおよび第二のフィルムのトラウザー引裂力は、JIS K 7128-1:1998「プラスチック-フィルム及びシートの引裂強さ試験方法-第一部:トラウザー引裂法」に準拠して、引張試験機(株式会社島津製作所製、EZ-SX)を用いて、下記の測定条件で測定した値である。但し、本発明において、測定方向については、方向による異方性の有無によらず、縦方向(MD方向)のみ測定するものとする。
(測定条件)
・試験室の温湿度:23±2℃、50±15%
・試験片寸法:150mm×50mm
・試験片中央のスリット長さ:75±1mm
・試験速度:200mm/min
・試験片のつかみ具間距離:75mm
第一のフィルムおよび第二のフィルムのトラウザー引裂力は、第一のフィルムおよび第二のフィルムの熱可塑性樹脂の種類、フィルム製膜時の延伸倍率、フィルムの厚さ、フィルムの破断強度、表面の粗さ等を調節することにより、所望の範囲内に調節することができる。
なお、本発明において、第一のフィルムおよび第二のフィルムのヘーズは、フィルム自体を、ASTMD1003に準拠して、ヘーズメイターを用いて測定した値である。
(i)L*値の差が-0.1以下または+0.1以上であり、多層構造の構造体の表と裏をより見分け易くなる点において、好ましくは-10以下または+10以上であり、より好ましくは-30以上-15以下または+15以上+30以下である。
(ii)a*値の差が-0.1以下または+0.1以上であり、多層構造の構造体の表と裏をより見分け易くなる点において、好ましくは-0.3以下または+0.3以上であり、より好ましくは-30以上-0.3以下または+0.3以上+30以下である。
(iii)b*値の差が-1以下または+1以上であり、多層構造の構造体の表と裏をより見分け易くなる点において、好ましくは-2以下または+2以上であり、より好ましくは-10以上-2以下または+2以上+10以下である。
構造体の第一のフィルム側から測定したLab色空間におけるL*値、a*値、b*値および構造体の第二のフィルム側から測定したLab色空間におけるL*値、a*値、b*値は、第一のフィルムおよび第二のフィルムの表面の粗さ、着色剤の添加量や種類、熱可塑性樹脂の種類、フィルム製膜時の延伸倍率、フィルムの厚さ等を調節することにより、所望の範囲内に調節することができる。構造体の第一のフィルム側から測定したLab色空間におけるL*値、a*値、b*値および構造体の第二のフィルム側から測定したLab色空間におけるL*値、a*値、b*値の差が上記条件を満たすことで、多層構造の構造体の裏と裏を見分け易くなる。この中でも、より見分けやすくなる観点で特に(i)に記載の差、すなわち、L*値の差が上記条件を満たすことが好ましい。
なお、本発明において、構造体の第二のフィルム側から測定したLab色空間におけるL*値、a*値、b*値および構造体の第一のフィルム側から測定したLab色空間におけるL*値、a*値、b*値は、分光測色計を用いて下記の測定条件で測定した値である。
(測定条件)
・反射モード
・正反射光処理
・測定径:SAV(3mm)
・UV条件:100%Full
・視野:10°
・入射光65°
・測定方式:SCE(Specular Component Exclude)
・下地:黒色の台紙(L*値:27.3、a*値0.7、b*値2.0)
樹脂層は、構造体の第一のフィルムおよび第二のフィルムの間に位置する層であり、硬化性樹脂層であることが好ましい。硬化性樹脂層は、硬化性樹脂組成物を乾燥して得られる乾燥塗膜であり、加熱により硬化する熱硬化性樹脂層でもよいし、光照射により硬化する光硬化性樹脂層でもよいし、加熱により硬化し、かつ、光照射により硬化する熱硬化性・光硬化性樹脂層でもよい。
硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂および光硬化性樹脂の少なくともいずれか1種を含むことが好ましく、他の成分をさらに含んでもよい。
硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含む場合、硬化物の耐熱性が向上し、また、下地との密着性が向上する。熱硬化性樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、シクロカーボネート化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂、ビスマレイミド、カルボジイミド樹脂等を用いることができる。これらの中でも、分子中に複数の環状エーテル基または環状チオエーテル基(以下、環状(チオ)エーテル基と略す)を有するものが好ましい。熱硬化性樹脂は、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
光硬化性樹脂としては、特に、分子中に1個以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物が好ましく用いられる。エチレン性不飽和結合を有する化合物としては、公知慣用の光重合性オリゴマーおよび光重合性ビニルモノマー等が用いられる。
光硬化性樹脂としては、脂環エポキシ化合物およびビニルエーテル化合物等を好適に用いることができる。このうち脂環エポキシ化合物としては、3,4,3’,4’-ジエポキシビシクロヘキシル、2,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)-1,3-ヘキサフルオロプロパン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)メタン、1-[1,1-ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)]エチルベンゼン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)アジペート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(3,4-エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシル)メチル-3’,4’-エポキシ-6-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、エチレン-1,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボン酸)エステル、シクロヘキセンオキサイド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアルコール、3,4-エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有する脂環エポキシ化合物等が挙げられる。
硬化性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂を含有することができる。アルカリ可溶樹脂としては、カルボキシル基含有樹脂またはフェノール樹脂を用いることが好ましい。下地との密着性を向上させるだけでなく、特に、カルボキシル基含有樹脂を用いると、現像性の面からより好ましい。カルボキシル基含有樹脂は、エチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感光性樹脂でもよい。
(2)エポキシ樹脂の水酸基を、さらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に、(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
(3)エポキシ化合物に、1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(4)ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ノボラック型フェノール樹脂、ポリ-p-ヒドロキシスチレン、ナフトールとアルデヒド類の縮合物、ジヒドロキシナフタレンとアルデヒド類との縮合物等の1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物と、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドとを反応させて得られる反応生成物に、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(5)1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に、不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(6)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネート化合物と、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキサイド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基及びアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるウレタン樹脂の末端に、酸無水物を反応させてなる末端カルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(7)ジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物と、ジオール化合物との重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子中に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(8)ジイソシアネートと、カルボキシル基含有ジアルコール化合物と、ジオール化合物との重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物等、分子中に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(9)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α-メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂。
(10)オキセタン樹脂に、アジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に、2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂に、さらにグリシジル(メタ)アクリレート、α-メチルグリシジル(メタ)アクリレート等の1分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(11)上述した(1)~(10)のカルボキシル基含有樹脂に、1分子中に環状エーテル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
硬化性樹脂組成物は、得られる硬化被膜の機械的強度を向上させるために、さらに熱可塑性樹脂を含んでもよい。熱可塑性樹脂は、溶剤に可溶であることが好ましい。溶剤に可溶である場合、ドライフィルムの柔軟性が向上し、クラックの発生や粉落ちを抑制できる。熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリヒドロキシポリエーテル樹脂や、エピクロルヒドリンと各種2官能フェノール化合物の縮合物であるフェノキシ樹脂或いはその骨格に存在するヒドロキシエーテル部の水酸基を各種酸無水物や酸クロリドを使用してエステル化したフェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ブロック共重合体、ガラス転移点が20℃以下かつ重量平均分子量が1万以上の高分子樹脂等が挙げられる。前記高分子樹脂としては、アクリル酸エステル共重合体であることが好ましい。熱可塑性樹脂は1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
硬化性樹脂組成物は硬化剤を含んでもよい。硬化剤としては、フェノール樹脂、ポリカルボン酸およびその酸無水物、シアネートエステル樹脂、活性エステル樹脂、マレイミド化合物、脂環式オレフィン重合体等が挙げられる。硬化剤は1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
硬化性樹脂層は、硬化促進剤を含有することができる。硬化促進剤は、熱硬化反応を促進させるものであり、密着性、耐薬品性、耐熱性等の特性をより一層向上させるために使用される。このような硬化促進剤の具体例としては、イミダゾールおよびその誘導体;アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン類;ジアミノジフェニルメタン、m-フェニレンジアミン、m-キシレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジシアンジアミド、尿素、尿素誘導体、メラミン、多塩基ヒドラジド等のポリアミン類;これらの有機酸塩および/またはエポキシアダクト;三フッ化ホウ素のアミン錯体;エチルジアミノ-S-トリアジン、2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-キシリル-S-トリアジン等のトリアジン誘導体類;トリメチルアミン、トリエタノールアミン、N,N-ジメチルオクチルアミン、N-ベンジルジメチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、ヘキサ(N-メチル)メラミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノフェノール)、テトラメチルグアニジン、m-アミノフェノール等のアミン類;ポリビニルフェノール、ポリビニルフェノール臭素化物、フェノールノボラック、アルキルフェノールノボラック等のポリフェノール類;トリブチルフォスフィン、トリフェニルフォスフィン、トリス-2-シアノエチルフォスフィン等の有機フォスフィン類;トリ-n-ブチル(2,5-ジヒドロキシフェニル)ホスホニウムブロマイド、ヘキサデシルトリブチルホスホニウムクロライド等のホスホニウム塩類;ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリブチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類;前記多塩基酸無水物;ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボロエート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、2,4,6-トリフェニルチオピリリウムヘキサフルオロホスフェート等の光カチオン重合触媒;スチレン-無水マレイン酸樹脂;フェニルイソシアネートとジメチルアミンの等モル反応物や、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の有機ポリイソシアネートとジメチルアミンの等モル反応物、金属触媒等の従来公知の硬化促進剤が挙げられる。硬化促進剤の中でも、BHAST耐性が得られることから、ホスホニウム塩類が好ましい。硬化促進剤は、1種を単独または2種以上混合して用いることができる。
硬化性樹脂組成物は、光反応開始剤を含有することができる。光反応開始剤としては、光照射によりラジカル、塩基、酸等を発生して硬化性樹脂を硬化させることができればいずれでもよい。光反応開始剤としては、ベンゾフェノン系、アセトフェノン系、アミノアセトフェノン系、ベンゾインエーテル系、ベンジルケタール系、アシルフォスフィンオキサイド系、オキシムエーテル系、オキシムエステル系、チタノセン系等の公知慣用の化合物が挙げられる。光反応開始剤としては、オキシムエステル系、α-アミノアセトフェノン系アシルフォスフィンオキサイド系、およびチタノセン系からなる群から選択される1種または2種以上を含有することが好ましい。
硬化性樹脂組成物は無機充填材を含んでもよい。無機充填材は、硬化物の密着性、機械的強度、線膨張係数等の特性を向上させるものであることが好ましい。無機充填材としては、例えば、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、無定形シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、リン酸ジルコニウム、雲母粉等の公知慣用の無機充填剤が使用できる。ここで、無機充填剤は、硫酸バリウムおよびシリカのうちいずれか少なくとも一種を含むことが好ましい。
硬化性樹脂組成物は、組成物の調製や粘度調整のために用いられる有機溶剤を含んでもよい。有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、炭酸プロピレン等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等を使用することができる。これらの有機溶剤は、単独で、または、2種類以上を組み合わせて用いることができる。
硬化性組成物は、着色剤を含んでもよい。着色剤としては、特に限定されず、赤、青、緑、黄等の公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよい。但し、着色剤は、環境負荷低減や人体への影響の観点からハロゲンを含有しないことが好ましい。
本発明による構造体は、プリント配線板の硬化膜の形成用であることが好ましく、永久保護膜の形成用であることがより好ましく、層間絶縁層、カバーレイ、ソルダーレジストまたは穴埋め充填(材)の形成用であることが特に好ましい。また、本発明の構造体は、薄膜でも膜強度に優れた硬化物を形成できることから、薄膜化が要求されるプリント配線板、例えばパッケージ基板(半導体パッケージに用いられるプリント配線板)におけるパターン層の形成にも好適に用いることができる。さらに、本発明の構造体は、フレキシブルプリント配線板にも好適に使用できる。
<構造体>
本発明による構造体は、第一のフィルムおよび樹脂層を備えるものであり、第一のフィルムと樹脂層が後述する特定の条件を満たすものである。本発明においては、第一のフィルムおよび樹脂層が後述する特定の条件を満たすことで、第一のフィルム上に厚みのばらつきの小さい樹脂層を形成した構造体を得ることができる。
第一のフィルムとは、構造体の樹脂層を支持する役割を有するものであり、該樹脂層を形成する際に、樹脂組成物が塗布されるフィルムである。第一のフィルムは、樹脂層を硬化した後に、構造体から剥離できるものであればよい。第一のフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルムおよびポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム等のフッ素樹脂フィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリスチレンフィルム等の熱可塑性樹脂からなるフィルムを用いることができる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度、取扱性等の観点から、ポリエステルフィルムおよびポリオレフィンフィルムを好適に使用することができる。第一のフィルムの樹脂層を設ける面には、離型処理やマット化処理が施されていてもよいし、スパッタもしくは極薄銅箔、および粘着層が形成されていてもよい。
なお、本発明において、第一のフィルムのトラウザー引裂力は、JIS K 7128-1:1998に準拠して、引張試験機(株式会社島津製作所製、EZ-SX)を用いて、下記の測定条件で測定した値である。
(測定条件)
・試験室の温湿度:23±2℃、50±15%
・試験片寸法:150mm×50mm
・試験片中央のスリット長さ:75±1mm
・試験速度:200mm/min
・試験片のつかみ具間距離:75mm
第一のフィルムのトラウザー引裂力は、第一のフィルムの素材の種類、フィルム製膜時の延伸倍率、フィルムの厚さ、フィルムの破断強度、フィルムの熱収縮率等を調節することにより、所望の範囲内に調節することができる。
なお、第一のフィルムの厚みのばらつきは以下のようにして測定するものとする。すなわち、第一のフィルムのフィルム端部からMD方向に1mの位置から、MD方向に40mm切り出して、測定サンプルとした。測定サンプルについて、自動測定式膜厚計(山文電気社製、TOF-J)を用いて、フィルム端部より15mm離れた位置からTD方向に20mmピッチで25点測定した。25点の測定結果から、最大値、最小値、および平均値を算出し、最大値と最小値の差から下記式により厚みのばらつきを算出する。
・厚みのばらつき(%)=(最大値-最小値)/平均値×100
樹脂層は、構造体の第一のフィルム上に形成される硬化性樹脂層である。硬化性樹脂層は、液状の硬化性樹脂組成物を乾燥して得られる乾燥塗膜であり、加熱により硬化する熱硬化性樹脂層でもよいし、光照射により硬化する光硬化性樹脂層でもよいし、加熱により硬化し、かつ、光照射により硬化する熱硬化性光硬化性樹脂層でもよい。
なお、本発明において、樹脂層の厚みは、以下の方法により測定したものである。
構造体の塗膜(樹脂層)端部からMD方向に10mの位置から、MD方向に40mm切り出して、測定サンプルとした。測定サンプルについて自動測定式膜厚計(山文電気社製、TOF-J)を用いて、塗膜(樹脂層)端部より15mm離れた位置からTD方向に20mmピッチで25点測定した。25点の測定結果から算出した平均値を樹脂層の厚みとした。
硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂および硬化剤を含むことが好ましく、他の成分をさらに含んでもよい。硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂として熱硬化性樹脂および光硬化性樹脂の少なくともいずれか1種を含むことが好ましい。
熱硬化性樹脂については、第一の形態の具体的な説明の通りである。なお、エポキシ化合物の中でも、硬化塗膜の破断点強度、熱膨張係数、および貯蔵弾性率の各最適化の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、およびフェノールノボラック型エポキシ樹脂を用いることが好ましく、これらの2種以上を併用することがより好ましく、これらの3種を併用することがさらに好ましい。
光硬化性樹脂(ラジカル重合)については、第一の形態の具体的な説明の通りである。
光硬化性樹脂(カチオン重合)については、第一の形態の具体的な説明の通りである。
硬化性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂を含有することができる。アルカリ可溶性樹脂については、第一の形態の具体的な説明の通りである。
硬化性樹脂組成物は、得られる硬化被膜の機械的強度を向上させるために、さらに熱可塑性樹脂を含んでもよい。熱可塑性樹脂については、第一の形態の具体的な説明の通りである。
硬化性樹脂組成物は硬化剤を含んでもよい。硬化剤については、第一の形態の具体的な説明の通りである。
硬化性樹脂層は、硬化促進剤を含有することができる。硬化促進剤については、第一の形態の具体的な説明の通りである。
硬化性樹脂組成物は、光反応開始剤を含有することができる。光反応開始剤については、第一の形態の具体的な説明の通りである。
硬化性樹脂組成物は無機充填材を含んでもよい。無機充填材については、第一の形態の具体的な説明の通りである。
硬化性樹脂組成物は、組成物の調製や粘度調整のために用いられる有機溶剤を含んでもよい。有機溶剤については、第一の形態の具体的な説明の通りである。
硬化性組成物は、着色剤を含んでもよい。着色剤については、第一の形態の具体的な説明の通りである。
本発明の構造体は第二のフィルムを含んでいても良い。第二のフィルムとは、構造体の樹脂層の表面に塵等が付着するのを防止するとともに取扱性を向上させる目的で、樹脂層の第一のフィルムとは反対の面に設けられるフィルムである。第二のフィルムは、使用の際基板に貼りつける前に樹脂層から剥離できるものであればよい。第二のフィルムとしては、例えば、前記第一のフィルムで例示した熱可塑性樹脂からなるフィルムを用いることができる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度、取扱性等の観点から、ポリエステルフィルムおよびポリオレフィンフィルムが好ましい。第二のフィルムの樹脂層を設ける面には、離型処理が施されていてもよい。
本発明による構造体は、SAWフィルター用の封止や保護用途として好ましく用いることができる。また上記用途以外においては、プリント配線板の硬化膜の形成用であることが好ましく、永久保護膜の形成用であることがより好ましく、層間絶縁層、カバーレイ、ソルダーレジスト、または穴埋め充填(材)の形成用であることが特に好ましい。また、本発明の構造体は、薄膜でも膜強度に優れた硬化物を形成できることから、薄膜化が要求されるプリント配線板、例えばパッケージ基板(半導体パッケージに用いられるプリント配線板)におけるパターン層の形成にも好適に用いることができる。さらに、本発明の構造体は、フレキシブルプリント配線板にも好適に使用できる。
本発明による電気電子部品は、上記のプリント配線板を備えるものである。本発明による電気電子部品は、従来公知の様々な電気機器に用いることができる。なかでも、SAWフィルターが好ましい。
<硬化性樹脂組成物の調製例A>
(配合例A1)
下記表1の配合例A1に示す溶剤を容器に入れ、溶剤が揮発しないように50℃に加温し、それぞれのエポキシ樹脂を加えて、十分に撹拌し、溶解させた。その後、添加剤およびフィラーを加えて、3本ロールミルにて混練し、さらに硬化剤、硬化促進剤、およびその他の樹脂を加えて、撹拌機により十分に撹拌して、硬化性樹脂組成物を得た。
下記表1の配合例A2に示す処方にて各成分を配合し、3本ロールミルで分散して、硬化性樹脂組成物を得た。
下記表1中に示す配合例A3に示す処方に変更した以外は、配合例1と同様の手順で硬化性樹脂組成物を得た。
*1:三菱ケミカル株式会社製、jER828
*2:DIC株式会社製、HP-7200L
*3:DIC株式会社製、EPICLON N-740
*4:三菱ケミカル株式会社製、ST-6100
*5:DIC株式会社製、HP-4032
*6:明和化成株式会社製、HF-4M
*7:ナガセケムテックス株式会社製、テイサンレジン SG-P3
*8:三菱ケミカル株式会社製、YX6954BH30
*9:四国化成工業株式会社製、2E4MZ
*10:信越化学工業株式会社製、KBM-403
*11:デンカ株式会社製、FB-7SDX
*12:アドマテックス株式会社製、SO-C2
*13:カーボンブラック
*14:C.I.Pigment Yellow 147
*15:フタロシアニンブルー、DIC株式会社製、ファーストゲンブルー 5380
*16:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート
*17:シクロヘキサノン
<構造体の製造>
構造体の製造のために、以下のフィルムを準備した。
・フィルムA:外観:光沢無し、材質:PET、厚み38μm、TD方向の引っ張り強さ215MPa、MD方向の引っ張り強さ243MPa
・フィルムB:外観:光沢有り、材質:PET、厚み50μm、TD方向の引っ張り強さ235MPa、MD方向の引っ張り強さ185MPa
・フィルムC:外観:光沢無し、材質:PP、厚み16μm、TD方向の引っ張り強さ250MPa、MD方向の引っ張り強さ120MPa
・フィルムD:外観:光沢有り、材質:PET、厚み38μm、TD方向の引っ張り強さ260MPa、MD方向の引っ張り強さ270MPa
・フィルムE:外観:光沢有り、材質:PET、厚み38μm、TD方向の引っ張り強さ225MPa、MD方向の引っ張り強さ205MPa
上記で準備したフィルムについて、JIS K 7128-1:1998「プラスチック-フィルム及びシートの引裂強さ試験方法-第一部:トラウザー引裂法」に準拠して、下記の条件で、引張試験機(株式会社島津製作所製、EZ-SX)を用いて、トラウザー引裂力を測定した。但し、測定方向については、方向による異方性の有無によらず、縦方向(MD方向)のみ測定した。引裂き開始20mmと引裂き終了前5mmを除外し、残り50mmの引裂強さの近似の平均値を求めた。測定結果を表2に示した。
(測定条件)
・試験室の温湿度:23±2℃、50±15%
・試験片寸法:150mm×50mm
・試験片中央のスリット長さ:75±1mm
・サンプル数:5
・試験速度:200mm/min
・試験片のつかみ具間距離:75mm
上記で準備したフィルムについて、ASTMD1003に準拠して、ヘーズメイター(日本電色工業株式会社製、NDH7000II)を用いて、ヘーズを測定した。測定結果を表2に示した。
上記で得られた構造体の第一のフィルムおよび第二のフィルムについて、下記の条件で、分光測色計(CM-2600d;コニカミノルタ社製)を用いて、L*、a*、b*の測定を行った。なお、第一のフィルムのL*、a*、b*は構造体の第一のフィルム側から測定した。また、第二のフィルムのL*、a*、b*は構造体の第二のフィルム側から測定した。測定結果を表2に示した。
(測定条件)
・サンプル数:n=3
・反射モード
・正反射光処理
・測定径:SAV(3mm)
・UV条件:100%Full
・視野:10°
・入射光65°
・測定方式:SCE(Specular Component Exclude)
・下地:黒色の台紙(L*値:27.3、a*値0.7、b*値2.0)
上記で得られた構造体の第二のフィルム側から角度180度、速度2cm/secで剥がしたときの樹脂層の外観を目視にて確認した。以下の基準にて樹脂層のフィルム痕を評価し、評価結果を表3に示した。
(評価基準)
◎:樹脂層にフィルム痕が無かった。
○:樹脂層に使用上影響ないフィルム痕が有った。
×:樹脂層に使用上影響の大きいフィルム痕が有った。
上記で得られた構造体の第二のフィルム側(表)からと第一のフィルム側(裏)からで、外観の視認性を目視にて確認した。以下の基準にて構造体の外観の視認性を評価し、評価結果を表3に示した。
(評価基準)
◎:構造体の表と裏を見分けることが容易にできた。
○:構造体の表と裏を見分けることができた。
×:構造体の表と裏を見分けることができなかった。
<硬化性樹脂組成物の調製例B>
(配合例B1)
下記表4の配合例B1に示す溶剤を容器に入れ、溶剤が揮発しないように50℃に加温し、それぞれのエポキシ樹脂を加えて、十分に撹拌し、溶解させた。その後、添加剤およびフィラーを加えて、3本ロールミルにて混練し、さらに硬化剤、硬化促進剤、およびその他の樹脂を加えて、撹拌機により十分に撹拌して、硬化性樹脂組成物を得た。
下記表4の配合例B2に示す処方にて各成分を配合し、3本ロールミルで分散して、硬化性樹脂組成物を得た。
*18:三菱ケミカル株式会社製、jER828
*19:DIC株式会社製、HP-7200L
*20:DIC株式会社製、EPICLON N-740
*21:三菱ケミカル株式会社製、ST-6100
*22:DIC株式会社製、HP-4032
*23:明和化成株式会社製、HF-4M
*24:ナガセケムテックス株式会社製、テイサンレジン SG-P3(固形分:15質量%)
*25:三菱ケミカル株式会社製、YX6954BH30(固形分:30質量%)
*26:四国化成工業株式会社製、2E4MZ
*27:信越化学工業株式会社製、KBM-403
*28:デンカ株式会社製、FB-7SDX
*29:カーボンブラック
*30:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート
*31:シクロヘキサノン
<構造体の製造>
構造体の製造のために、以下の第一のフィルムを準備した。
・フィルムA:材質:PET、厚み50μm、片面離型剤付MD方向の引っ張り強さ186MPa、MD方向の伸び率130%
・フィルムB:材質:PET、厚み38μm、片面離型剤付MD方向の引っ張り強さ206MPa、MD方向の伸び率120%
・フィルムC:材質:PI(ポリイミド)、厚み50μm、MD方向の引っ張り強さ300MPa、MD方向の伸び率85%
・フィルムD:材質:PP、厚み30μm、片面粘着層有り、MD方向の引っ張り強さM80Pa、MD方向の伸び率225%
・フィルムE:材質:PP、厚み15μm、MD方向の引っ張り強さ100MPa、MD方向の伸び率150%
・フィルムG:材質:PET 厚み125μm、MD方向の引っ張り強さ225MPa、MD方向の伸び率125%
・フィルムH:材質:PET 厚み25μm、MD方向の引っ張り強さ186MPa、MD方向の伸び率130%
上記で準備した第一のフィルムのフィルム端部からMD方向に1mの位置から、MD方向に40mm切り出して、測定サンプルとした。測定サンプルについて、自動測定式膜厚計(山文電気社製、TOF-J)を用いて、フィルム端部より15mm離れた位置からTD方向に20mmピッチで25点測定した。25点の測定結果から、最大値、最小値、および平均値を算出し、最大値と最小値の差から下記式により厚みのばらつきを算出した。算出結果を表5に示す。
・厚みのばらつき(%)=(最大値-最小値)/平均値×100
上記で準備したフィルムについて、JIS K 7128-1:1998に準拠して、下記の条件で、引張試験機(株式会社島津製作所製、EZ-SX)を用いて、トラウザー引裂力を測定した。引裂き開始20mmと引裂き終了前5mmを除外し、残り50mmの引裂強さの近似の平均値を求めた。測定結果を表5に示した。
(測定条件)
・試験室の温湿度:23±2℃、50±15%
・試験片寸法:150mm×50mm
・試験片中央のスリット長さ:75±1mm
・サンプル数:5
・試験速度:200mm/min
・試験片のつかみ具間距離:75mm
上記で得られた構造体の乾燥塗膜(樹脂層)端部からMD方向に10mの位置から、MD方向に40mm切り出して、測定サンプルとした。測定サンプルについて、自動測定式膜厚計(山文電気社製、TOF-J)を用いて、乾燥塗膜(樹脂層)端部より15mm離れた位置からTD方向に20mmピッチで25点測定した。25点の測定結果から、最大値、最小値、および平均値を算出した。平均値を表5に示す。
また、最大値と最小値の差から下記式により厚みのばらつきを算出し、以下の基準により評価した。
・厚みのばらつき(%)=(最大値-最小値)/平均値×100
(評価基準)
◎:25点の最大値と最小値の差が平均値に対して5%以下であった。
○:25点の最大値と最小値の差が平均値に対して5%超10%以下であった。
×:25点の最大値と最小値の差が平均値に対して10%超であった。
10 第一のフィルム
20 樹脂層
30 第二のフィルム
Claims (5)
- 第一のフィルム、硬化性樹脂層、および第二のフィルムをこの順に備える構造体であって、
前記第一のフィルムおよび前記第二のフィルムが、前記硬化性樹脂層から剥離可能であり、
前記第一のフィルムのトラウザー引裂力と、前記第二のフィルムのトラウザー引裂力の差が-0.05N以下または+0.05N以上であり、
前記第一のフィルムと前記第二のフィルムのヘーズの差が-5%以下または+5%以上であることを特徴とする、構造体。 - 第一のフィルム、硬化性樹脂層、および第二のフィルムをこの順に備える構造体であって、
前記第一のフィルムおよび前記第二のフィルムが、前記硬化性樹脂層から剥離可能であり、
前記第一のフィルムのトラウザー引裂力と、前記第二のフィルムのトラウザー引裂力の差が-0.05N以下または+0.05N以上であり、
前記構造体の前記第一のフィルム側から測定したLab色空間におけるL*値、a*値、b*値と前記構造体の第二のフィルム側から測定したLab色空間におけるL*値、a*値、b*値の差が、下記条件(i)~(iii):
(i)L*値の差が-0.1以下または+0.1以上である、
(ii)a*値の差が-0.1以下または+0.1以上である、
(iii)b*値の差が-1以下または+1以上である、
の少なくとも1つを満たすことを特徴とする、構造体。 - 前記第二のフィルムのトラウザー引裂力が、前記第一のフィルムのトラウザー引裂力よりも小さい、請求項1または2に記載の構造体。
- 前記第一のフィルムが、ポリエステルフィルムおよびポリオレフィンフィルムから選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の構造体。
- 前記第二のフィルムが、ポリエステルフィルムおよびポリオレフィンフィルムから選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の構造体。
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