本発明の第1実施形態に係る階段構造の模式的斜視図である。
図1に示す階段構造の踏み板と蹴込み板との関係を示した模式的側面図である。
図1に示す階段構造の模式的平面図である。
図1に示す階段構造を下階から見た時の模式図である。
図1に示す階段構造を上階から見下ろした時の模式図である。
本発明の第2実施形態に係る階段構造の模式的斜視図である。
図6に示す階段構造を上階から見下ろした時の模式図である。
本発明の第3実施形態に係る階段構造の模式的斜視図である。
図8に示す階段構造を略平面視から見た模式図である。
図8に示す階段構造を下階から見た時の模式図である。
本発明の第4実施形態に係る階段構造の模式的斜視図である。
本発明の第5実施形態に係る階段構造の模式的斜視図である。
図12に示す第5実施形態の階段構造の変形例の模式的斜視図であり、階段構造を上側から示す図である。
図13に示す階段構造を下側から示す模式的斜視図である。
本発明の第1変形例の階段構造の模式的斜視図である。
本発明の第2変形例の階段構造の模式的斜視図である。
本発明の第3変形例の階段構造の模式的斜視図である。
本発明の第4変形例の階段構造の模式的斜視図である。
以下、本発明のいくつかの実施形態を図面を参照しながら説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る階段構造1の模式的斜視図である。図2は、図1に示す階段構造1の踏み板11~17と蹴込み板21~27との関係を示した模式図である。図3は、図1に示す階段構造1の模式的平面図である。図4は、図1に示す階段構造1を下階から見た時の模式図である。図5は、図1に示す階段構造1を上階から見下ろした時の模式図である。
図1に示すように、階段構造(階段)1は、住宅等の建物内に設置されるものである。図1に示すように、本実施形態では、7段の段差により構成される階段構造1であるが、後述する色を付すことができるのであれば、その段数は特に限定されるものではない。例えば、本実施形態に係る階段構造1の段数が、一般的な住宅の階段の如く、13~15段であってもよい。
図1および図2に示す階段構造1は、上階と下階とを繋ぐものであり、踏み板11~17および蹴込み板21~27と、これらを固定する一対の側板41、42と、を備えている。具体的には、各踏み板11~17は、水平姿勢で左右の側板41、42の間に上下および前後に所定間隔をあけて段状に差しわたされて取り付けられ、上段の踏み板と下段の踏み板の間には蹴込み板が配在されている。蹴込み板21~27も、左右の側板41、42の間に差しわたされるとともに、下段の踏み板の踏み面から上段の踏み板裏面まで上下方向に延在するように、取り付けられている。
踏み板11~17、蹴込み板21~27、および側板41、42の材料は、後述するように、色を付す箇所の表面に、インクジェット印刷などの印刷を行うことができるのであれば、特に限定されるものではない。本実施形態では、これらの材料は、木質系材料からなり、木質系材料としては、無垢材、パーティクルボード(PB)、木質繊維板(インシュレーションボード・ハードボード、MDFなど)、配向性ストランドボード(OSB)、LVL、集成材、または、これらを積層したものなどを挙げることができ、これらの材料を基材として、その表面に化粧材が被覆されていてもよい。
化粧材の材料としては、印刷可能な表面を有した材料であれば特に限定されるものではなく、たとえば、熱可塑性樹脂などからなる樹脂シート、クラフト紙などの紙材、クラフト紙にメラミン樹脂が含浸された含浸紙、または木質系の化粧単板などを挙げることができる。化粧単板としては、たとえば、ビーチ、オーク、メイプル、ケヤキ、ウォールナット、シナ、ナラ、ヤチダモ、キリ、ヒノキ、スギ、マホガニー、チーク、ローズウッド、トチ、クロガキ、シオジ、ニレ、カバ、シタン、またはコクタンなどを挙げることができる。化粧単板である場合には、0.1~1.0mm程度の突板などが用いられる。
本実施形態では、下階の床面31は、第1の色を有し、上階の床面32は、第1の色と異なる第2の色を有している。ここで、第1の色と第2の色とは、異なる色であり、CIE1976表色系(JIS Z 8729)に規定されるL*、a*、b*において、色差△Eが、6以上であることが好ましく、より好ましくは13以上であり、さらに好ましくは26以上である。下階の床面31の色と上階の床面32の色の色差△Eが、このような範囲を満たすことにより、後述する階段構造1に付した色による効果をより期待することができる。
L*、a*、b*で規定される表色系において、L*値は明度指数であって、大きいほど明るく、小さいほど暗い。a*値は赤緑間の知覚色度(クロマティクネス)指数であって、この値が大きいほど赤みが強く、小さいほど緑みが強い。b*値は黄青間の知覚色度指数であって、大きいほど黄みが強く、小さいほど青みが強い。
たとえば、本実施形態では、その一例として、下階の床面31の第1の色が、白色であり、上階の床面32の第2の色が黒色である。したがって、上述した表色系で説明すると、第1の色は、L*=100、a*=0、b*=0、第2の色は、L*=0、a*=0、b*=0等で表すことができ、第1の色と第2の色との色差△Eは、100となる。
この他の例として、たとえば、下階の床面31の第1の色が、深緑色であり、上階の床面32の第2の色が紺青色である場合には、第1の色は、L*=30、a*=-30、b*=13、第2の色は、L*=10、a*=9、b*=-24等で表すことができ、この場合も色差△Eは、57となる。さらに、下階の床面31の第1の色が、赤茶色であり、上階の床面32の第2の色がこげ茶色である場合には、第1の色は、L*=36、a*=46、b*=49、第2の色は、L*=18、a*=25、b*=13等で表すことができ、この場合も色差△Eは、45となる。
本実施形態では、踏み板11~17の踏み面11a~17aにより構成される第1印刷領域には、下階から上階に進むに従って、第1の色から第2の色に近づくように、印刷により色が付されている。具体的には、各踏み板11~17の踏み面11a~17aには、下階の側から上階の側に向かって、色(色彩)が連続して変化するように色が付されている。すなわち、この実施形態の場合には、階段構造の平面視において、踏み面11a~17aまでが1つの印刷領域として見え、この平面視において、第1印刷領域において、上述したように、連続して変化するように色が付されている。
例えば、上述したように、下階の床面31の第1の色が白色であり、上階の床面32の第2の色が黒色である場合には、踏み板11の踏み面11aには、白色に近い灰色であり、かつ、踏み面11aの下階の側(段鼻11b側)から上階の側に向かってやや黒味が帯びるように灰色が変化した色が付されている。
上段に位置する踏み板12の踏み面12aは、踏み板11の踏み面11aに付された色よりも、黒味の帯びた灰色であり、かつ、踏み面12aの下階の側(段鼻12b側)から上階の側に向かってやや黒味が帯びるように、灰色が変化した色が付されている。
同様に、踏み板13~17の踏み面13a~17aも、順次、その下段の踏み板の踏み面に付された色よりも黒味の帯びた灰色であり、かつ、踏み面13a~17aの下階の側(段鼻側)から上階の側に向かって、やや黒味が帯びるように、灰色が変化した色が付されている。
本実施形態では、上述した如く、第1の色は、L*=100、a*=0、b*=0、第2の色は、L*=0、a*=0、b*=0であり、色差△Eは、100である。したがって、踏み板11~17の踏み面11a~17aにより構成される第1印刷領域に付された色では、下階から上階に進むに従って、L*の値が、100から0に単調減少しながら連続して変化している。この結果、下階の床面31と上階の床面32との色差△Eに比べて、これらの間に位置する各踏み板11~17の踏み面11a~17aと、床面31、32との色差△Eが小さく、踏み面11a~17aの色は、下階の床面31の第1の色と上階の床面32の第2の色との中間色になる。さらに、各段とその次の段の踏み板同士の踏み面の色差△Eも、第1の色および第2の色の色差△Eより小さくなり、踏み板11a~17aの色は、下階から上階に進むに従って、上階の床面32の第2の色に近づき、逆に、上階から下階に進むに従って、下階の床面31の第1の色に近づく。
なお、踏み面11a~17aのa*、b*の値は、略同じで変化がない、または、変化があったとしても、目視では、これらのパラメータによる色の変化がほとんど視認できない程度である。
なお、上に例示した如く、下階の床面31の第1の色が深緑色であり、上階の床面32の第2の色が紺青色である場合など、異なる有彩色である場合には、踏み板11~17の踏み面11a~17aにより構成される第1印刷領域に付された色は、下階から上階に進むに従って、第1の色のL*、a*、b*の値から、第2の色のL*、a*、b*の値に近づくように、L*、a*、b*の各値が、連続して単調減少または単調増加するように変化している。なお、下階の床面31の第1の色が赤茶色であり、上階の床面32の第2の色がこげ茶色である場合も、同様に、下階から上階に進むに従って、第1の色のL*、a*、b*の値から、第2の色のL*、a*、b*の値に近づくように、L*、a*、b*の各値が、連続して単調減少または単調増加するように変化している。この結果、下階の床面31と上階の床面32との色差△Eに比べて、これらの間に位置する各踏み板11~17の踏み面11a~17aと、床面31、32との色差△Eが小さく、踏み面11a~17aの色は、下階の床面31の第1の色と上階の床面32の第2の色との中間色になる。さらに、各段とその次の段の踏み板同士の踏み面の色差△Eも、第1の色および第2の色の色差△Eより小さくなり、踏み板11a~17aの色は、下階から上階に進むに従って、上階の床面32の第2の色に近づき、逆に、上階から下階に進むに従って、下階の床面31の第1の色に近づく。
このようにして、図3に示すように、平面視において、踏み板11~17の踏み面11a~17aを構成する第1印刷領域には、下階から上階に進むに従って、第1の色から第2の色に近づくように、連続して変化した色が付されることになる。
各踏み板11~17の踏み面11a~17aには、上述した色が、印刷により、均一に付されていてもよく、例えば、木目模様などの模様とともに上述した色が、印刷により付されていてもよい。さらに、上述した色が付された踏み面11a~17aに、光透過性樹脂からなる保護層がさらに形成されていてもよい。
本実施形態では、各踏み板11~17の踏み面11a~17aに対して、紫外線硬化型のインクを、未硬化の状態でインクジェット印刷により粒状に付着させて、上述した色を第1印刷領域に付す。本実施形態では、インクジェット印刷を行うことにより、たとえば、ロールコータによる着色、スプレー塗装による着色などに比べて、極めて簡単に、上述した色を第1印刷領域に付すことができる。
具体的には、インクジェット印刷に使用される紫外線硬化型のインクは、反応性オリゴマーまたは反応性モノマーに光重合開始剤が添加された紫外線硬化型樹脂と、着色剤とを少なくとも含む。たとえばイエロー、マゼンダ、シアン、およびブラックの4色の着色剤を、前記紫外線硬化型樹脂に個別に含有した4種のインクを準備し、これらのインクを用いて、各踏み面11a~17aに印刷し、踏み面11a~17aに上述した色を付す。
各踏み面11a~17aからなる第1印刷領域の印刷は以下のようにして行うことができる。まず、予め第1の色から第2の色まで色が変化したグラデーションの画像を準備する。この画像を、各踏み面11a~17aに応じて分割する。分割した画像を順に、踏み面11a~17aに割り当て、割り当てられた画像に応じて、インクジェット印刷により各踏み面11a~17aに対して印刷を行う。
インクジェット印刷はインクジェットプリンタにより行われる。インクジェットプリンタは、一般的な印刷に用いられるインクを収容し、印刷すべき木目模様等の所定の模様および色に合わせて各インクを個別に噴射するヘッドと、踏み板11~17を送るフィーダとを備えている。また、この他にも、踏み板11~17を吸着固定し、ヘッドのみを移動させて印刷を行ってもよい。
インクジェットプリンタは、各踏み板11~17の踏み面11a~17aに対して略直交した方向からヘッドで噴射しながら、フィーダで各踏み板11~17を所定方向に送り、踏み面11a~17aに上述した色を付し、これにより、未硬化の印刷層(図示せず)を得る。未硬化の印刷層に対して、紫外線を照射することにより、印刷層を硬化させる。必要に応じて、印刷層を保護すべく、印刷層の表面に光透過性樹脂を塗装してもよく、光透過性樹脂からなるシート材をラミネートしてもよい。
本実施形態では、紫外線硬化型のインクを用いたが、踏み面11a~17aの色を保持することができるのであれば、水性系インク、溶剤系インク、またはラテックス系インクなどであってもよい。
本実施形態によれば、図4および図5に示すように、床面31に第1の色を有した下階から、床面32に第2の色を有した上階に進むに従って、各段の踏み面11a~17aの色が、第1の色から第2の色に近づくので、下階から上階まで、色彩に違和感のない印刷領域となる。このような結果、下階の床面31と上階の床面32との色が違ったとしても、階段構造1の全体として色彩に違和感のなく、下階の床面31と上階の床面32に対して、階段構造1の色彩により調和性が確保される。
また、第1印刷領域の各段を構成する踏み面11a~17aでは、下階側(すなわち段鼻11b~17b側)から上階側まで、その色が連続して変化しているので、第1印刷領域の全体が、下階から上階に進むに従って、色のグラデーションとなるように変化する。この結果、下階および上階の床面31、32に対して調和の取れた階段構造となる。
〔第2実施形態〕
図6は、本発明の第2実施形態に係る階段構造1の模式的斜視図である。図7は、図6に示す階段構造を上階から見下ろした時の模式図である。第2実施形態に係る階段構造1が、第1実施形態のものと相違する点は、踏み面11a~17aの配色である。したがって、本実施形態では、この相違点を主に説明し、他の構成の説明は省略する。
本実施形態では、踏み板11~17の踏み面11a~17aにより構成される第1印刷領域には、下階から上階に進むに従って、第1の色から第2の色に近づくように、印刷により色が付されている。この点は、第1実施形態と同じである。しかしながら、第2実施形態では、各踏み板11~17の踏み面11a~17aには、単一の色が均一に付されている。
具体的には、本実施形態で、その一例として、下階の床面31の第1の色が白色であり、上階の床面32の第2の色が黒色である。したがって、踏み板11の踏み面11aは、白色に近い灰色であり、踏み面11aの全体には、色に変化が無く、この単一色の灰色が均一に付されている。
上段に位置する踏み板12の踏み面12aは、踏み板11の踏み面11aに付された色(灰色)よりも、黒味の帯びた灰色であり、かつ、踏み面12aの全体には、色に変化が無く、この単一色の灰色が均一に付されている。
同様に、踏み板13~17の踏み面13a~17aも、順次、その下段の踏み板の踏み面に付された色よりも黒味の帯びた灰色であり、かつ、各踏み面13a~17aの全体には、色に変化の無いこの単一色の灰色が均一に付されている。
本実施形態では、上述した如く、第1の色は、L*=100、a*=0、b*=0、第2の色は、L*=0、a*=0、b*=0であり、色差△Eは、100である。したがって、踏み板11~17の踏み面11a~17aにより構成される第1印刷領域に付された色は、下階から上階に進むに従って、各踏み面11a~17a毎に、順次、L*の値が、一定の値で小さくなるように変化している。例えば、踏み板11~17毎に、各段と次の段の踏み板の踏み面の色差△Eが一定の値を確保するように、これらの踏み面11a~17aに色付してもよい。この結果、各踏み板11~17の踏み面11a~17aは、7つの単一色により、下階から上階に向かって変化した色が付され、下階の床面31と上階の床面32との色差△Eに比べて、これらの間に位置する各踏み板11~17の踏み面11a~17aと、床面31、32との色差△Eが小さく、踏み面11a~17aの色は、床面31の第1の色と床面32の第2の色との中間色になる。さらに、各段とその次の段の踏み板同士の踏み面の色差△Eも、第1の色および第2の色の色差△Eよりも小さくなり、踏み板11a~17aの色は、下階から上階に進むに従って、上階の床面32の第2の色に近づき、逆に、上階から下階に進むに従って、下階の床面31の第1の色に近づく。
なお、本実施形態では、踏み面11a~17aのa*、b*の値は、略同じで変化がない、または、変化があったとしても、目視では、これらのパラメータによる色の変化がほとんど視認できない程度である。
なお、上に例示した如く、下階の床面31の第1の色が、深緑色であり、上階の床面32の第2の色が紺青色である場合、または、下階の床面31の第1の色が、赤茶色であり、上階の床面32の第2の色がこげ茶色である場合、など、第1および第2の色が異なる有彩色である場合、踏み板11~17の踏み面11a~17aにより構成される第1印刷領域に付された色は、下階から上階に進むに従って、第1の色のL*、a*、b*の各値から、第2の色のL*、a*、b*の各値に近づくように、各踏み面13a~17a毎に、順次、L*、a*、b*の値が、一定の値で、単調減少または単調増加するように変化している。この結果、各踏み板11~17の踏み面11a~17aは、7つの単一色により、連続的に変化した有彩色が付され、踏み板11a~17aの色は、下階から上階に進むに従って、上階の床面32の第2の色に近づき、逆に、上階から下階に進むに従って、下階の床面31の第1の色に近づく。
本実施形態によれば、下階から上階の床面31、32の色に応じて、踏み面11a~17aで構成される第1印刷領域の色を変化させたので、下階および上階の床面31、32に対して調和の取れた階段構造となる。さらに、図7に示すように、上階から階段を見下ろした時には、各段の踏み板11~17の踏み面11a~17aが連続しているように見える。このような場合であっても、各踏み面11a~17aは、単一の色が付されているので、各段とその次の段(具体的には下段)との踏み板の踏み面の色の違いを、踏み面11a~16aの段鼻11b~17b側において視認することができる。これにより、各段の踏み板11~17を視認しつつ、階段をより安全に下りることができる。
なお、第1および第2実施形態では、蹴込み板21~27を設けたが、これらを省略してもよい。さらに、第1実施形態では、側板41、42には、印刷により色を付していないが、側板41、42の表面にも、下階から上階に向かって、第1の色から第2の色に近づくように、連続して変化するように色が付されていてもよい。
〔第3実施形態〕
図8は、本発明の第3実施形態に係る階段構造1の模式的斜視図である。図9は、図8に示す階段構造1を略平面視から見た模式図である。図10は、図8に示す階段構造を下階から見た時の模式図である。第3実施形態に係る階段構造1が、第1実施形態のものと相違する点は、踏み板の段鼻、蹴込み板、および側板にも、さらに色が付されている点である。したがって、本実施形態では、この相違点を主に説明し、他の構成の説明は省略する。
本実施形態では、印刷により色が付される第1印刷領域は、複数の踏み板11~17の踏み面11a~17a、これらの段鼻11b~17b、蹴込み板21~27の前面21a~27a、および、側板41、42の表面により構成されている。したがって、本実施形態では、第1印刷領域は、下階から階段構造1を見たとき、および、上階から階段構造1を見下ろしたときに、視認できるすべての領域である。
図8に示すように、第1印刷領域には、下階から上階に進むに従って、第1の色から第2の色に近づくように、印刷により色が付されている。具体的には、第1印刷領域には、下階の側から上階側に向かって、連続して変化するよう色が付されている。すなわち、複数の踏み板11~17の踏み面11a~17a、これらの段鼻11b~17b、蹴込み板21~27の前面21a~27aにより、構成される1つの領域には、下階から上階に向かうこれらの表面に沿って、第1の色から第2の色に近づくように、連続して変化した色が付されている。また、側板41、42の表面にも、下階から上階に向かって、第1の色から第2の色に近づくように、連続して変化した色が付されている。なお、連続して変化した色の配色は、第1実施形態で説明した色の配色と同様であるので、詳細な説明は省略する。
本実施形態では、階段構造1の視認可能な領域である第1印刷領域の全体において、下階から上階に進むに従って、グラデーションとなるように色が変化しているので、下階および上階の床面31、32に対して調和の取れた階段構造となる。
なお、本実施形態では、側板41、42の表面も、第1印刷領域の一部として、色が付されていたが、複数の踏み板11~17の踏み面11a~17a、これらの段鼻11b~17b、および蹴込み板21~27の前面21a~27aを、第1印刷領域として、これらの表面に色が付されていれば、側板41、42の表面には印刷により色が付されていなくてもよい。
〔第4実施形態〕
図11は、本発明の第4実施形態に係る階段構造の模式的斜視図である。第4実施形態が、第3実施形態のものと相違する点は、踏み板の踏み面、段鼻、蹴込み板の前面の配色と、側板に色が付されていない点である。したがって、本実施形態では、この相違点を主に説明し、他の構成の説明は省略する。
本実施形態では、印刷により色が付された第1印刷領域は、複数の踏み板11~17の踏み面11a~17a、これらの段鼻11b~17b、および、蹴込み板21~27の前面21a~27aにより構成されている。
図11に示すように、第1印刷領域には、下階から上階に進むに従って、第1の色から第2の色に近づくように、印刷により色が付されている。具体的には、各踏み板11~17の踏み面11a~17a、段鼻11b~17b、および蹴込み板21~27の前面21a~27aには、それぞれ単一の色が均一に付されている。
本実施形態では、同じ段(第1段)を構成する踏み板11の踏み面11a、段鼻11b、および蹴込み板21の前面21aには、同じ単一の色が付されている。同様に、同じ段(第2段)を構成する踏み板12の踏み面12a、段鼻12b、および蹴込み板22の前面22aには、同じ単一の色が付されている。同様に、複数の踏み板13~17の踏み面13a~17a、これらの段鼻13b~17b、蹴込み板23~27の前面23a~27aの同じ段のこれらの表面にも、それぞれ同じ単一の色が付されている。なお、変化した単一色の配色は、第2実施形態で説明した色の配色と同様である。
本実施形態では、階段構造1の踏み板11~17と蹴込み板21~27の視認可能な第1印刷領域の全体において、下階から上階に進むに従って、グラデーションとなるように色が変化しているので、下階および上階の床面31、32に対して調和の取れた階段構造となる。
さらに、本実施形態でも、第2実施形態と同様に、各踏み面11a~17aは、単一の色が付されているので、平面視において隣接する踏み板の踏み面の色の違いを、踏み面11a~17aの段鼻11b~17b側において視認することができる。これにより、各段の踏み板11~17を視認しつつ、階段をより安全に下りることができる。
〔第5実施形態〕
図12は、本発明の第5実施形態に係る階段構造の模式的斜視図である。図13は、図12に示す第5実施形態の階段構造の変形例の模式的斜視図であり、階段構造を上側から示す図である。図14は、図13に示す階段構造を下側から示す模式的斜視図である。第5実施形態に係る階段構造1が、第1実施形態のものと相違する点は、一対の側板41、42および蹴込み板21~27が設けられていない点である。したがって、本実施形態では、この相違点を主に説明し、他の構成の説明は省略する。なお、本実施形態では、8段の段差により階段構造が構成されている。
本実施形態では図12に示すように、階段構造1には一対の側板41、42および蹴込み板21~27が設けられていない。本実施形態の階段構造1は、いわゆる片持ち階段であり、各踏み板11~18は、長手方向(階段幅方向)の一方端が壁50に支持されている。より具体的には、各踏み板11~18の一方端は、壁50内に設けられた支持体(図示せず)に固定されている。
本実施形態では、上記第1実施形態と同様、踏み板11~18の踏み面11a~18aにより構成される第1印刷領域には、下階から上階に進むに従って、第1の色から第2の色に近づくように、印刷により色が付されている。これにより、下階から上階まで、色彩に違和感のない印刷領域となる。また、上記第1実施形態と同様、下階の床面31と上階の床面32との色が違ったとしても、階段構造1の全体として色彩に違和感がなく、下階の床面31と上階の床面32に対して、階段構造1の色彩により調和性が確保される。
なお、一対の側板41、42を設けない場合、図12に示したように各踏み板11~18の側面11e~18e及び裏面(踏み面11a~18aとは反対側の面)は、視認可能となる。
そこで、図13および図14に示す変形例のように、踏み板11~18の視認可能な側面11e~18eにより構成される第3印刷領域には、複数の踏み板11~18により構成される第1印刷領域と同方向に第1の色から第2の色に近づくように色が付されている。
このように、本実施形態では、踏み板11~18の視認可能な側面11e~18eにより構成される第3印刷領域には、第1領域と同方向に第1の色から第2の色に近づくように色が付されているので、階段構造1を側方から見た際に、踏み板11~18の側面11e~18eの色彩に違和感が生じることがない。また、下階の床面31に対してさらに調和が取れた階段構造1となる。
また、図14に示すように、踏み板11~18の裏面11f~18fにより構成される第2印刷領域には、下階から上階に進むに従って、第1の色から第2の色に近づくように色が付されている。
このように、本実施形態では、各踏み板11~18の裏面11f~18fにより構成される第2印刷領域には、下階から上階に進むに従って、第1の色から第2の色に近づくように色が付されているので、階段構造1を裏側(下側)から見た際に、踏み板11~18の裏面11f~18fの色彩に違和感が生じることがない。また、下階の床面31に対してさらに調和が取れた階段構造1となる。
また、踏み板11~18の後面(段鼻とは反対側の面)11g~18gにより構成される印刷領域には、下階から上階に進むに従って、第1の色から第2の色に近づくように色が付されている。これにより、階段構造1を裏側(下側)から見た際に、踏み板11~18の後面11g~18gの色彩に違和感が生じることがない。また、下階の床面31に対してさらに調和が取れた階段構造1となる。
なお、各踏み板11~18において、側面11e~18e、裏面11f~18fおよび後面11g~18gには、踏み面11a~18aと同じ色が付されている。これにより、各踏み板11~18の色彩に統一感を持たせることができる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
たとえば、第1実施形態および第3実施形態の各踏み面を合わせた第1印刷領域には、連続して色を変化させたが、たとえば、踏み面の段鼻側の部分に、踏み板の幅方向に沿って、これらの色と異なる滑り止め部材を設けてもよく、これらの色と異なる色を付してもよい。これにより、踏み面の段鼻側において視認することができる。
さらに、第3および第4実施形態において、踏み板の裏面のうち、段鼻から下段の蹴込み板までの表面に、接続された蹴込み板に付された色と同じ色が、付されていてもよい。
第4施形態では、同じ段を構成する、踏み板の踏み面、段鼻、および蹴込み板の前面に対して、同じ単一の色を付したが、たとえば、同じ段を構成する、踏み板の段鼻および蹴込み板の前面を同じ単一色にし、同じ段を構成する踏み板の踏み面を、これとは異なる単一色にしてもよい。この他にも、第4実施形態において、同じ段を構成する踏み板の段鼻と蹴込み板の前面に、第3実施形態の如く、連続的に変化した色を付してもよく、同じ段を構成する踏み面のみに、連続的に変化した色を付してもよい。
また、第5実施形態では、側板41、42が設けられていない階段構造1として、片持ち階段を例にして説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、図15に示す本発明の第1変形例の階段構造1のように、踏み板11~15と、踏み板11~15を支持する一対のササラ桁61、62と、を含むササラ桁階段であってもよい。また、図16に示す本発明の第2変形例の階段構造1のように、踏み板11~15と、踏み板11~15を支持する力桁63と、を含む力桁階段であってもよい。また、図17に示す本発明の第3変形例の階段構造1のように、円弧状の踏み板11~20と、踏み板11~20を支持する支柱64と、を含む螺旋階段であってもよい。また、図18に示す本発明の第4変形例の階段構造1のように、片持ち階段を構成する各踏み板11~19の壁50とは反対側の端部を吊り材65によって支持する吊り階段であってもよい。また、図示しないが、踏み板の下に引き出し等の箱型の収納部を備えた箱階段であってもよい。
また、第5実施形態では、各踏み板11~18の一方の側面11e~18eのみが視認可能となっているため、一方の側面11e~18eのみに色を付す例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、図15または図16に示した階段構造1のように各踏み板11~18の両方の側面が視認可能となっている場合には、各踏み板11~18の両方の側面に色を付していることが好ましい。すなわち、各踏み板の6面(踏み面、裏面、段鼻、後面、一対の側面)の全てが、印刷により配色されていてもよい。
また、第1~第4実施形態では、階段構造1に蹴込み板21~27を設ける例について示したが、本発明はこれに限らない。側桁41、42を備えた階段構造1に蹴込み板21~27を設けなくてもよい。
逆に、第5実施形態および図15~図18の変形例において、蹴込み板が設けられていてもよい。この場合、蹴込み板の側面および後面(上段側の面)は、視認可能となる。このため、蹴込み板の側面および後面も、例えば蹴込み板の前面と同様に配色されていてもよい。
また、上述した実施形態および変形例の構成を適宜組み合わせて得られる構成についても、本発明の技術的範囲に含まれる。