JP7185997B2 - リチウムイオン電池正極用導電ペースト及びリチウムイオン電池正極用合材ペーストの製造方法 - Google Patents
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Description
項1.水分量が10000ppm未満の分散樹脂(A)と、水分量が10000ppm未満の導電カーボン(B)と、水分量が10000ppm未満の溶媒(C)とを混合及び分散する工程を含む、リチウムイオン電池正極用導電ペーストの製造方法であって、該導電ペーストの水分量が10000ppm未満である、方法。
項2.露点10℃以下の雰囲気下で混合及び/又は分散を行なうことを特徴とする前記項1に記載のリチウムイオン電池正極用導電ペーストの製造方法。
項3.導電カーボン(B)の吸湿量をY(質量%)とし、比表面積をZ(m2/g)とした場合に、下記式で得られるXの値が、X≦500の範囲内であることを特徴とする前記項1又は2に記載のリチウムイオン電池正極用導電ペーストの製造方法。
X=Y×Z
〔吸湿量測定条件〕
140℃の温度で3時間乾燥させて得た導電カーボンの質量をY1とし、さらに温度20℃、相対湿度65%の条件で24時間放置して得た導電カーボンの質量をY2とした場合に、下記式で得られるYの値(質量%)を吸湿量とする。
Y=(Y2-Y1)/Y1×100
項4.水分量が10000ppm未満の導電ペーストに、水分量が10000ppm未満かつ水酸化リチウム量が10000ppm未満の電極活物質を混合する工程を含む、リチウムイオン電池正極用合材ペーストの製造方法であって、該合材ペーストの水分量が10000ppm未満である、方法。
項5.下記条件での合材ペーストの粘度変化率が、600%以下であることを特徴とする前記項4に記載のリチウムイオン電池正極用合材ペーストの製造方法。
〔粘度測定条件〕
ペーストを25℃の温度で7日間貯蔵を行い、初期粘度と貯蔵後の粘度の比較を行う。
粘度は、コーン&プレート型粘度計「Mars2」(商品名、HAAKE社製)を用い、シアーレート1.0sec-1で測定する。
〔粘度変化率(%)〕=〔貯蔵後の粘度〕/〔初期粘度〕×100
項6.前記項4又は5に記載の方法で得られる合材ペーストを集電材に塗布する工程を含む、リチウムイオン電池正極合材層の製造方法。
項7.前記項6に記載の方法で得られる正極合材層を備えた正極を電池ケース内に設置するリチウムイオン電池の製造方法。
なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含むものとして理解されるべきである。
本発明は、水分量が10000ppm未満の分散樹脂(A)と、水分量が10000ppm未満の導電カーボン(B)と、水分量が10000ppm未満の溶媒(C)とを混合及び分散する工程を含む、リチウムイオン電池正極用導電ペーストの製造方法であって、該導電ペーストの水分量が、10000ppm未満であり、好ましくは7000ppm未満であり、より好ましくは4500ppm未満であり、さらに好ましくは2000ppm未満の方法を提供する。
上記分散樹脂(A)としては、水分量が、10000ppm未満であり、好ましくは8000ppm未満であり、より好ましくは5000ppm未満であり、さらに好ましくは3000ppm未満である分散樹脂であって、リチウムイオン電池正極用導電ペーストの分野において導電カーボンを分散させるために使用されているものを広く用いることができる。例えば、多環芳香族炭化水素基を有する樹脂(A1)、ポリビニルアルコール樹脂(A2)等が挙げられる。本発明においては、分散樹脂(A)は、多環芳香族炭化水素基を有する樹脂(A1)及びポリビニルアルコール樹脂(A2)を共に含むことが好ましい。
上記多環芳香族炭化水素基を有する樹脂(A1)としては、モノマー混合物の固形分の総量を基準として、多環芳香族炭化水素を有するモノマー(A1-1)を1~70質量%含有するモノマー混合物を共重合することにより得ることができる。この場合の樹脂(A1)は、モノマー混合物の固形分の総量を基準として、多環芳香族炭化水素を有するモノマー(A1-1)を1~70質量%含有するモノマー混合物の共重合体と言い換えることもできる。また、多環芳香族炭化水素を有さない樹脂を合成した後に多環芳香族炭化水素を付加することで多環芳香族炭化水素基を有する樹脂を得ることもできる。
上記多環芳香族炭化水素を有するモノマー(A1-1)の多環芳香族炭化水素としては、例えば、ナフタレン環、アントラセン環、トリフェニレン環、テトラフェン環、テトラセン環、クリセン環、ピレン環、ペンタセン環、ヘキサセン環、ヘプタセン環、コロネン環、ケクレン環を有する炭化水素基及びその誘導体が挙げられる。本発明の好ましい実施形態において、多環芳香族炭化水素を有するモノマー(A1-1)としては、上記多環芳香族のうち、ナフタレン環を有するもの、すなわち、ナフチル基を有する重合性不飽和モノマー又はその誘導体(A1-2)が挙げられる。ナフチル基を有する重合性不飽和モノマー又はその誘導体(A1-2)としては、例えば、後述する式(3)で表わされるナフチル基を有する重合性不飽和モノマー又はその誘導体(A1-1-2)等が挙げられる。
上記ナフチル(メタ)アクリレート又はその誘導体(A1-1-3)としては、例えば、1-ナフチル(メタ)アクリレート、2-ナフチル(メタ)アクリレート、及びこれらの誘導体等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
上記多環芳香族炭化水素基を有する樹脂(A1)は、多環芳香族炭化水素を有する重合性不飽和モノマー(A1-1)と該(A1-1)以外の重合性不飽和モノマーを共重合して得ることができる。多環芳香族炭化水素を有する重合性不飽和モノマー(A1-1)以外の重合性不飽和モノマーとしては、通常、アクリル樹脂の合成で使用される重合性不飽和モノマーであれば特に制限なく用いることができ、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート等の炭素数3以下のアルキル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート等のイソボルニル基を有する重合性不飽和化合物;アダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンチル基を有する重合性不飽和化合物;ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香環含有重合性不飽和モノマー;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2~8の2価アルコールとのモノエステル化物、該(メタ)アクリル酸と炭素数2~8の2価アルコールとのモノエステル化物のε-カプロラクトン変性体、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、分子末端が水酸基であるポリオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート等の水酸基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β-カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン化合物との付加物等のウレタン結合を含まない含窒素重合性不飽和モノマー;イソシアネート基含有重合性不飽和モノマーと水酸基含有化合物との反応生成物又は水酸基含有重合性不飽和モノマーとイソシアネート基含有化合物との反応生成物等のウレタン結合を有する重合性不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、β-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有重合性不飽和モノマー;分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-スルホエチル(メタ)アクリレート、アリルスルホン酸、4-スチレンスルホン酸等、これらスルホン酸のナトリウム塩及びアンモニウム塩等のスルホン酸基を有する重合性不飽和モノマー;2-アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2-メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2-アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2-メタクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート等のリン酸基を有する重合性不飽和モノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等のフッ素化アルキル基を有する重合性不飽和モノマー;マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー;分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルテレフタレート、ジビニルベンゼン等の重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
CH2=C(R1)COO(CnH2nO)m-R2 ・・・式(6)
〔式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表し、mは4~60、特に4~55の整数であり、nは2~3の整数であり、ここで、m個のオキシアルキレン単位(CnH2nO)は同じであっても又は互いに異なっていてもよい。〕
CH2=C(-R1)-C(=O)-N(-R2)-R3 ・・・式(7)
上記式(7)中のR1は水素原子又はメチル基であり、R2及びR3は異なっていても同じでも良く、水素原子、水酸基を有する有機基及びアルキル基から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。さらにR2及びR3の両方又は片方が水酸基を有する有機基であることがより好ましく、具体的には、例えば、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル-N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル-N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル-N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシブチル-N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド、及びN-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル)アクリルアミドから選ばれる少なくとも1種であることが特に好ましい。
上記多環芳香族炭化水素基を有する樹脂(A1)は、ラジカル重合開始剤の存在下に、有機溶剤中で溶液重合する方法、又は水性媒体中でエマルション重合する方法等の、それ自体既知のラジカル重合法によって得ることができる。
上記ポリビニルアルコール樹脂(A2)としては、下記式(1)で示される重合性不飽和基含有モノマー(A2a-1)とその他の重合性不飽和モノマーとを共重合して得られる樹脂(本明細書において、単にポリビニルアルコール樹脂(A2a)又は樹脂(A2a)と示すこともある)、スルホン酸変性ポリビニルアルコール樹脂(A2b)(本明細書において、単にポリビニルアルコール樹脂(A2b)又は樹脂(A2b)と示すこともある)、及び樹脂(A2a)と樹脂(A2b)以外のポリビニルアルコール樹脂(A2c)(本明細書において、単にポリビニルアルコール樹脂(A2c)又は樹脂(A2c)と示すこともある)が挙げられる:
ポリビニルアルコール樹脂(A2a)は、前記式(1)で示される重合性不飽和基含有モノマー(A2a-1)とその他の重合性不飽和モノマーとを共重合して得られる樹脂である。本発明において、「重合性不飽和基含有モノマー(A2a-1)を構成成分の1つとする樹脂」とは、重合性不飽和基含有モノマー(A2a-1)を含む原料モノマーの(共)重合により得られる樹脂を意味する。同様に、本発明において、モノマーXを「構成成分とする」樹脂とは、モノマーXを含む原料を(共)重合することにより得られる樹脂を意味する。また、上記ポリビニルアルコール樹脂(A2a)はスルホン酸変性をしておらず、スルホン酸変性ポリビニルアルコール樹脂(A2b)とは明確に区別できる。
中でも、単結合(Xは存在しない)、炭化水素基、エステル基〔-C(=O)-O-〕、アミド基〔-C(=O)-NH-〕、アミドメチル基〔-C(=O)NH-CH2-〕から選ばれる連結鎖であることが好ましく、単結合(Xは存在しない)であることがより好ましい。
言い換えると、少なくとも1種の重合性不飽和基含有モノマー(A2a-1)と少なくとも1種の脂肪酸ビニルエステル(A2a-2)の共重合体をケン化することによって、樹脂(A2a)が、重合性不飽和基含有モノマー(A2a-1)、脂肪酸ビニルエステル(A2a-2)、及びビニルアルコール(A2a-3)を構成成分とする樹脂となることが特に好ましい。
スルホン酸変性ポリビニルアルコール樹脂(A2b)は、以下の製造方法でスルホン酸を付与したポリアルコール樹脂のことである。また、ポリビニルアルコール樹脂(A2b)は前記式(1)で示される重合性不飽和基含有モノマー(A2a-1)を含有しておらず、ポリビニルアルコール樹脂(A2a)とは明確に区別できる。
(1)スルホン酸基及び重合性不飽和基を含有する化合物と、酢酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステルとを共重合し、得られる重合体を更にケン化する方法。
(2)ビニルスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等をポリビニルアルコールにマイケル付加させる方法。
(3)ポリビニルアルコールを硫酸化合物溶液(硫酸水溶液や亜硫酸ナトリウム水溶液等)で加熱する方法。
(4)ポリビニルアルコールをスルホン酸基含有アルデヒド化合物でアセタール化する方法。
(5)スルホン酸基を有するアルコール、アルデヒド及びチオール等の官能基を有する化合物を連鎖移動剤として共存させ、ポリビニルアルコールの重合をする方法。
スルホン酸変性ポリビニルアルコール樹脂(A2b)中におけるスルホン酸基を有する重合性不飽和モノマーの含有割合は、0.1~10質量%が好ましく、より好ましくは0.2~5質量%である。本発明において、「樹脂(A2b)におけるスルホン酸基を有するモノマーの含有割合」とは、樹脂(A2b)の原料となるモノマー混合物中のスルホン酸基を有するモノマーの含有割合を意味する。従って、樹脂(A2b)中のスルホン酸基を有するモノマーの含有割合が0.1~10質量%である、とは、樹脂(A2b)が、スルホン酸基を有するモノマーを0.1~10質量%含む原料モノマーの共重合体であることを意味する。
分散樹脂(A)は、前記重合性不飽和基含有モノマー(A2a-1)を含まず、スルホン酸変性をしていないケン化度30~100mol%のポリビニルアルコール樹脂(A2c)を含有することができる。本発明において、「重合性不飽和基含有モノマー(A2a-1)を含まないポリビニルアルコール樹脂」とは、重合性不飽和基含有モノマー(A2a-1)を含まない原料モノマーの(共)重合により得られるポリビニルアルコール樹脂を意味する。また、「スルホン酸変性をしていないポリビニルアルコール樹脂」とは、スルホン酸基を含有しない原料モノマーの(共)重合により得られるポリビニルアルコール樹脂またはポリビニルアルコール樹脂を前述した変性等によりスルホン酸基を付加していない樹脂を意味する。
脂肪酸ビニルエステルと共重合可能な重合性不飽和モノマーとしては、前記重合性不飽和基含有モノマー(A2a-1)とスルホン酸基を有する重合性不飽和モノマー以外のモノマーであれば特に制限なく使用することができ、例えば、エチレン、プロピレン等のオレフィン系モノマー;アルキル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有モノマー;アリルグリシジルエーテル等のアリルエーテル;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル系化合物;アルキルビニルエーテル、4-ヒドロキシビニルエーテル等のビニルエーテル等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
また、ケン化度は、通常30~100mol%の範囲内であり、好ましくは32~94mol%の範囲内である。
尚、上記ポリビニルアルコール樹脂(A2c)は市販品であっても良い。
分散樹脂(A)には、上記の樹脂(A1)及び樹脂(A2)以外の樹脂を任意選択で配合してもよい。例えば、樹脂(A1)及び樹脂(A2)以外のアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリケート樹脂、塩素系樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)以外のフッ素系樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、及びこれらの複合樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。なかでも、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、フッ素樹脂の中から選ばれる少なくとも1種の樹脂を併用して用いることが好ましい。また、これらの樹脂は、顔料分散樹脂として、又は顔料分散後の添加樹脂として導電ペーストに配合することができる。
上記導電カーボン(B)としては、水分量が、10000ppm未満であり、好ましくは7000ppm未満であり、より好ましくは3000ppm未満であり、さらに好ましくは1000ppm未満である導電カーボンであって、リチウムイオン電池正極用導電ペーストの分野において既知のものを広く用いることができる。例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャネルブラック、ケッチェンブラック、バルカン、カーボンナノチューブ、グラフェン、気相成長カーボンファイバー(VGCF)、黒鉛等が挙げられる。好ましくは、アセチレンブラック、黒鉛等が挙げられ、より好ましくはアセチレンブラック等が挙げられる。また、本発明の好ましい実施形態において、導電カーボン(B)は、アセチレンブラック及び黒鉛の両方を含んでいてもよい。これらの導電カーボンは、1種単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
〔吸湿量測定条件〕
140℃の温度で3時間乾燥させて得た導電カーボンの質量をY1とし、さらに温度20℃、相対湿度65%の条件で24時間放置して得た導電カーボンの質量をY2とした場合に、下記式で得られるYの値(質量%)を吸湿量とする。
Y=(Y2-Y1)/Y1×100
尚、上記比表面積はBET法により求められた比表面積である。
上記溶媒(C)としては、水分量が、10000ppm未満であり、好ましくは7000ppm未満であり、より好ましくは4000ppm未満であり、さらに好ましくは2000ppm未満であり、特に好ましくは1000ppm未満である溶媒であって、リチウムイオン電池正極用導電ペーストの分野において既知のものを広く用いることができ、前述した多環芳香族炭化水素基を有する樹脂(A1)の重合又は希釈に使用される水以外の溶媒を好適に用いることができる。好ましい溶媒(C)の具体例としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メタノール等が挙げられ、好ましくはN-メチル-2-ピロリドン等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
リチウムイオン電池正極用導電ペーストには、上記成分(A)、(B)、及び(C)以外の成分を配合してもよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン、脱水剤、添加剤を用いることができ、特にポリフッ化ビニリデンを用いることが好ましい。
上記ポリフッ化ビニリデンとしては、発明が属するリチウムイオン電池正極用導電ペーストの分野において耕地のものを広く用いることができる。ポリフッ化ビニリデンの重量平均分子量は特に限定されないが、通常10,000~2,000,000が好ましく、50,000~1,700,000がより好ましく、100,000~1,500,000が特に好ましい。上記ポリフッ化ビニリデンは、導電カーボンの分散樹脂として用いてもよく、または導電カーボンの分散後に添加してもよい。
上記脱水剤としては、脱水作用を有するものであれば公知のものを特に制限なく用いることができる。導電ペーストの溶媒(C)に溶解しない固体の脱水剤でもよいし、溶媒(C)に溶解する脱水剤でもよい。具体的には、例えば、ゼオライト、シリカゲル、酸化カルシウム、モレキュラーシーブ、活性アルミナ、酸化バリウム、水素化カルシウム、硫酸ナトリウム等の固形脱水剤;トリメチルホスフェイト、トリ-2-プロピルホスフェイト、トリブチルホスフェイト、テトライソプロピルエチレンホスホネート等のリン酸エステル;トルブチルホスフィンオキサイド、トリオクチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド;オルト蟻酸メチルエステル、オルト蟻酸エチルエステル、オルト酢酸メチルエステル、オルト酢酸エチルエステル、オルト安息香酸エチルエステル等のオルトエステル類;無水シュウ酸、無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、安息香酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物、二硫酸、五酸化二窒素、二リン酸、五酸化二リン、三酸化二リン、五酸化二ヒ素、三酸化二ヒ素、メタンスルホン酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、スルホ安息香酸無水物等の酸無水物などが挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
添加剤としては、例えば、中和剤、顔料分散剤、消泡剤、防腐剤、防錆剤、可塑剤、結着剤(バインダー)等を挙げることができる。
本発明は、1つの実施形態において、上記の水分量10000ppm未満(好ましくは、好ましくは7000ppm未満であり、より好ましくは4500ppm未満であり、さらに好ましくは2000ppm未満)の導電ペーストに、さらに水分量が10000ppm未満かつ水酸化リチウム量が10000ppm未満の電極活物質を混合する工程を含むリチウムイオン電池正極用合材ペーストの製造方法であって、該合材ペーストの水分量が、10000ppm未満であり、好ましくは7000ppm未満であり、より好ましくは4500ppm未満であり、さらに好ましくは2000ppm未満の方法を提供する。
〔粘度測定条件〕
ペーストを25℃の温度で7日間貯蔵を行い、初期粘度と貯蔵後の粘度の比較を行う。
粘度は、コーン&プレート型粘度計(「Mars2」(商品名、HAAKE社製))を用い、シアーレート1.0sec-1で測定する。
〔粘度変化率(%)〕=〔貯蔵後の粘度〕/〔初期粘度〕×100
上記電極活物質としては、水分量が、10000ppm未満であり、好ましくは7000ppm未満であり、より好ましくは4000ppm未満であり、さらに好ましくは2000ppm未満であって、水酸化リチウム量が、10000ppm未満であり、好ましくは6000ppm未満であり、より好ましくは3000ppm未満であり、さらに好ましくは2000ppm未満のものであって、リチウムイオン電池正極用合材ペーストの分野において既知のものを広く用いることができる。例えば、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2等のリチウム複合酸化物等が挙げられる。これらの電極活物質は、1種単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。本発明のリチウムイオン電池正極用合材ペースト固形分中の電極活物質の固形分含有量は、通常70質量%以上、かつ100質量%未満、好ましくは80質量%以上、かつ100質量%未満であることが、電池容量、電池抵抗等の面から好適である。
前述したように、リチウムイオン二次電池の正極合材層は、リチウムイオン電池正極用合材ペーストを正極芯材の表面に塗布し、これを乾燥することで、製造することができる。また、本発明の製造方法で得られるリチウムイオン電池正極用導電ペーストの用途としては、合材層のペーストとして用いる以外に、正極芯材と合成層との間のプライマー層としても用いることができる。
多環芳香環含有樹脂の製造
製造例1
攪拌加熱装置と冷却管を備えた反応容器に、プロピレングリコールモノメチルエーテル300部を仕込み、窒素置換後、105℃に保った。この中に、以下に示すモノマー混合物を3時間かけて滴下した。
<モノマー混合物>
4-ヒドロキシ-1-ナフチルメタクリレート 250部
2-メトキシ-4-ヒドロキシ-1-ナフチルアクリレート 250部
スチレン 50部
2-ヒドロキシエチルアクリレート 50部
N-ヒドロキシエチルアクリルアミド 200部
N-エチル-N-ヒドロキシエチルアクリルアミド 200部
2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル) 40部
滴下終了後から1時間経過後、この中に2,2´-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)5部をプロピレングリコールモノメチルエーテル100部に溶かした溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、これをさらに1時間105℃に保持したのち、排出して熱風乾燥機で乾燥した。最終的に固形分100%の多環芳香環含有樹脂No.1を得た。多環芳香環含有樹脂No.1は、重量平均分子量11,000であった。
製造例1のモノマー組成を下記表1の種類及び配合量とする以外は、製造例1と同じ組成及び製造方法で多環芳香環含有樹脂No.2を製造した。
製造例3
温度計、環流冷却管、窒素ガス導入管および撹拌機を備えた反応容器に、重合性モノマーとして酢酸ビニル90質量部及び2-ブテン-1,4-ジオール10質量部、溶媒としてメタノール、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを約60度の温度で共重合反応を行った後、減圧下に未反応のモノマーを除去し、樹脂溶液を得た。次いで、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を添加してケン化反応を行い、よく洗浄した後、熱風乾燥機で乾燥した。最終的に、重合度300、ケン化度95モル%のポリビニルアルコール樹脂No.1を得た。
温度計、環流冷却管、窒素ガス導入管および撹拌機を備えた反応容器に、重合性モノマーとして酢酸ビニル90質量部及び1-ブテン-3,4-ジオール10質量部、溶媒としてメタノール、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを用いて約60度の温度で共重合反応を行った後、減圧下に未反応のモノマーを除去し、樹脂溶液を得た。次いで、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を添加してケン化反応を行い、よく洗浄した後、熱風乾燥機で乾燥した。最終的に、重合度300、ケン化度95モル%のポリビニルアルコール樹脂No.2を得た。
温度計、環流冷却管、窒素ガス導入管および撹拌機を備えた反応容器に、重合性モノマーとして酢酸ビニル90質量部及び1-ペンテン-4,5-ジオール10質量部、溶媒としてメタノール、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを用いて約60度の温度で共重合反応を行った後、減圧下に未反応のモノマーを除去し、樹脂溶液を得た。次いで、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を添加してケン化反応を行い、よく洗浄した後、熱風乾燥機で乾燥した。最終的に、重合度300、ケン化度95モル%のポリビニルアルコール樹脂No.3を得た。
温度計、環流冷却管、窒素ガス導入管および撹拌機を備えた反応容器に、重合性モノマーとして酢酸ビニル97質量部及びアリルスルホン酸ナトリウム3.0質量部、溶媒としてメタノール、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを用いて約60度の温度で共重合反応を行った後、減圧下に未反応のモノマーを除去し、樹脂溶液を得た。次いで、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を添加してケン化反応を行い、よく洗浄した後、熱風乾燥機で乾燥した。最終的に、重合度300、ケン化度95モル%のポリビニルアルコール樹脂No.4を得た。
温度計、環流冷却管、窒素ガス導入管および撹拌機を備えた反応容器に、重合性モノマーとして酢酸ビニル、溶媒としてメタノール、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを用いて約60度の温度で共重合反応を行った後、減圧下に未反応のモノマーを除去し、樹脂溶液を得た。次いで、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を添加してケン化反応を行い、よく洗浄した後、熱風乾燥機で乾燥した。最終的に、重合度500、ケン化度57モル%のポリビニルアルコール樹脂No.5を得た。
温度計、環流冷却管、窒素ガス導入管および撹拌機を備えた反応容器に、重合性モノマーとして酢酸ビニル、溶媒としてメタノール、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを用いて約60度の温度で共重合反応を行った後、減圧下に未反応のモノマーを除去し、樹脂溶液を得た。次いで、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を添加してケン化反応を行い、よく洗浄した後、熱風乾燥機で乾燥した。最終的に、重合度500、ケン化度75モル%のポリビニルアルコール樹脂No.6を得た。
温度計、環流冷却管、窒素ガス導入管および撹拌機を備えた反応容器に、重合性モノマーとして酢酸ビニル、溶媒としてメタノール、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを用いて約60度の温度で共重合反応を行った後、減圧下に未反応のモノマーを除去し、樹脂溶液を得た。次いで、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を添加してケン化反応を行い、よく洗浄した後、熱風乾燥機で乾燥した。最終的に、重合度500、ケン化度92モル%のポリビニルアルコール樹脂No.7を得た。
実施例1
製造例1で得られた多環芳香環含有樹脂No.1 6部(固形分6部)、製造例4で得られたポリビニルアルコール樹脂No.2 9部(固形分9部)、製造例5で得られたポリビニルアルコール樹脂No.3 9部(固形分9部)、製造例9で得られたポリビニルアルコール樹脂No.7 6部(固形分6部)、導電カーボンA(注)1200部、KFポリマーW#7300(商品名、ポリフッ化ビニリデン、クレハ社製、水分量100ppm)220部、N-メチル-2-ピロリドン8500部、及び脱水剤6部(五酸化二リン1.5部、無水酢酸1.5部、メタンスルホン酸無水物1.5部、オルト蟻酸エチルエステル1.5部)を混合してボールミルにて5時間分散し、導電ペーストX-1を得た。尚、混合、顔料分散、及び排出等の各工程は、露点4℃の雰囲気下で行なった。
下記表2のものとする以外は、実施例1と同様にして、導電ペーストX-2~X-25を製造した。尚、表中の樹脂配合量は全て固形分の値である。
また、下記表2に、成分(A)、(B)、(C)、及び導電ペーストの水分量を記載する。
・導電カーボンA:アセチレンブラック、比表面積39cm2/g、吸湿量0.3%、X=11.7
・導電カーボンB:アセチレンブラック、比表面積110cm2/g、吸湿量1.5%、X=165
・導電カーボンC:アセチレンブラック、比表面積120cm2/g、吸湿量2.8%、X=336
・導電カーボンD:アセチレンブラック、比表面積190cm2/g、吸湿量2.9%、X=551
尚、吸湿量(%)は下記の条件で測定した。
〔吸湿量測定条件〕
各導電カーボン約5.0gをガラス板上の5cm×5cmの面積に均一に広げ、140℃の温度で3時間乾燥させ質量(Y1)を測定した。続いて、温度20℃、相対湿度65%の条件で24時間放置して、吸湿後の導電カーボンの質量(Y2)を測定した。
吸湿量(%)=(吸湿後の質量Y2-乾燥後の質量Y1)/乾燥後の質量Y1×100。
実施例22
実施例1で得られた導電ペーストX-1 100部、及び活物質粒子(組成式LiNi0.5Mn1.5O4で表されるスピネル構造のリチウムニッケルマンガン酸化物粒子。平均粒径6μm、BET比表面積0.7m2/g、水分量1000ppm、水酸化リチウム量1500ppm)150部を混合して合材ペーストY-1を製造した。尚、混合及び排出等の各工程は、露点4℃の雰囲気下で行なった。
下記表3のものとする以外は、実施例22と同様にして、合材ペーストY-2~Y-21を製造した。
また、下記表3に活物質の水分量及び水酸化リチウム量、並びに合材ペーストの水分量を記載する。
<導電ペーストの粘度>
実施例及び比較例で得られた導電ペーストをコーン&プレート型粘度計「Mars2」(商品名、HAAKE社製)を用い、シアーレート1.0sec-1で粘度を測定し、下記基準により評価した。評価としては、S、A、B、Cが合格で、Dが不合格である。
S:粘度が、1Pa・s未満である。
A:粘度が、1Pa・s以上、かつ5Pa・s未満である。
B:粘度が、5Pa・s以上、かつ30Pa・s未満である。
C:粘度が、30Pa・s以上、かつ100Pa・s未満である。
D:粘度が、100Pa・s以上である。
実施例及び比較例で得られた合材ペーストを25℃の温度で7日間貯蔵を行い、初期粘度と貯蔵後の粘度の比較を行なった。粘度は、コーン&プレート型粘度計「Mars2」(商品名、HAAKE社製)を用い、シアーレート1.0sec-1で測定し、下記式により粘度上昇率を評価した。評価としては、S、A、B、Cが合格で、Dが不合格である。
粘度変化率(%)=貯蔵後の粘度/初期粘度×100
S:貯蔵後の粘度変化率(%)が、150%未満である。
A:貯蔵後の粘度変化率(%)が、150%以上、かつ250%未満である。
B:貯蔵後の粘度変化率(%)が、250%以上、かつ400%未満である。
C:貯蔵後の粘度変化率(%)が、400%以上、かつ600%未満である。
D:貯蔵後の粘度変化率(%)が、600%以上である。
Claims (6)
- 水分量が10000ppm未満の分散樹脂(A)と、水分量が10000ppm未満の導電カーボン(B)と、水分量が10000ppm未満の溶媒(C)とを混合及び分散する工程を含む、リチウムイオン電池正極用導電ペーストの製造方法であって、
該分散樹脂(A)が、多環芳香族炭化水素基を有する樹脂(A1)及び/又はポリビニルアルコール樹脂(A2)を含有し、
該導電ペーストの水分量が10000ppm未満であり、
導電カーボン(B)の吸湿量をY(質量%)とし、比表面積をZ(m2/g)とした場合に、下記式で得られるXの値が、X≦500の範囲内であることを特徴とする、方法
X=Y×Z
〔吸湿量測定条件〕
140℃の温度で3時間乾燥させて得た導電カーボンの質量をY1とし、さらに温度20℃、相対湿度65%の条件で24時間放置して得た導電カーボンの質量をY2とした場合に、下記式で得られるYの値(質量%)を吸湿量とする。
Y=(Y2-Y1)/Y1×100。 - 露点10℃以下の雰囲気下で混合及び/又は分散を行なうことを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン電池正極用導電ペーストの製造方法。
- 請求項1又は2に記載の方法により水分量が10000ppm未満のリチウムイオン電池正極用導電ペーストを製造する工程、及び
上記工程で得られた水分量が10000ppm未満のリチウムイオン電池正極用導電ペーストに、水分量が10000ppm未満かつ水酸化リチウム量が10000ppm未満の電極活物質を混合する工程を含む、リチウムイオン電池正極用合材ペーストの製造方法であって、該合材ペーストの水分量が10000ppm未満である、方法。 - 下記条件での合材ペーストの粘度変化率が、600%以下であることを特徴とする請求項3に記載のリチウムイオン電池正極用合材ペーストの製造方法。
〔粘度測定条件〕
ペーストを25℃の温度で7日間貯蔵を行い、初期粘度と貯蔵後の粘度の比較を行う。粘度は、コーン&プレート型粘度計「Mars2」(商品名、HAAKE社製)を用い、シアーレート1.0sec-1で測定する。
〔粘度変化率(%)〕=〔貯蔵後の粘度〕/〔初期粘度〕×100 - 請求項3又は4に記載の方法で得られる合材ペーストを集電材に塗布する工程を含む、リチウムイオン電池正極合材層の製造方法。
- 請求項5に記載の方法で得られる正極合材層を備えた正極を電池ケース内に設置するリチウムイオン電池の製造方法。
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