JP2022116941A - リチウムイオン二次電池用非水系電解液およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用非水系電解液およびリチウムイオン二次電池 Download PDF

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彰 神山
Akira Kamiyama
龍太 森島
Ryuta Morishima
大作 伊藤
Daisaku Ito
直之 岩田
Naoyuki Iwata
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Abstract

【課題】負極活物質の表面を保護し、電池寿命を向上させることができるリチウムイオン二次電池用非水系電解液を提供する。【解決手段】リチウムイオン二次電池に用いられる非水系電解液であって、非水系溶媒および該非水系溶媒に溶解される電解質を含み、かつ、重量平均分子量1,000以上の高分子量有機化合物を含有している。さらに、好ましくは上記非水系電解液を100質量%としたとき、上記高分子量有機化合物を0.01質量%~10質量%含有している。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用非水系電解液および該非水電解液を備えたリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、軽量で高エネルギー密度が得られることから、パソコン、携帯端末等のポータブル電源や、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両駆動用電源として広く用いられている。
近年、リチウムイオン二次電池はさらなる高容量化のために、負極活物質にSi系負極材料を利用することが検討されている。負極活物質として多用されている黒鉛よりもSi系材料は理論容量密度が5倍以上大きいことが知られており、黒鉛に代わる新たな負極活物質として適用検討が進められている。
しかしながら、Si系材料を含有した負極活物質(以下、Si系負極活物質という。)は、理論容量密度が高い一方、充放電時に体積が大きく変化する性質を有する。かかる性質により、Si系負極活物質に割れや亀裂が生じる可能性があり、集電ネットワークから孤立し、電池寿命を低下させる原因となる。また、かかる性質により、負極活物質表面に形成されたSEI(Solid Electrolyte Interphase)に割れや剥離が生じることにより、SEIの再形成のために電解液中のリチウムイオンの取り込みが行われ、非水系電解液の劣化を引き起こすことがデメリットとして挙げられる。
特開2014-002972号公報 特開2008-071559号公報 特開2007-027110号公報 特表2004-525495号公報
ところで、特許文献1~4には、電池寿命を向上させるため、あるいは電池の安全性を高めるために、非水系電解液に添加剤を加える技術が開示されている。換言すれば、非水系電解液を構成する従来の構成成分に対し、添加剤を加えることで、電池性能を向上させることができる。そこで、本発明者は、非水系電解液に添加剤を加えることにより、充放電による体積変化の大きいSi系負極活物質を保護することに思い到った。Si系材料の表面を添加剤により保護することができれば、Si系材料の体積変化によって生じる割れや亀裂を防止することができる。本発明者が鋭意検討した結果、非水系電解液に重量平均分子量1,000以上の所定の高分子量有機化合物を添加することにより、該高分子量有機化合物が負極活物質の表面に吸着され、電池耐久試験(充放電サイクル試験)による容量劣化を抑制できることを見出した。
そこで本発明は、負極活物質の表面を保護し、電池寿命を向上させることができるリチウムイオン二次電池用非水系電解液を提供することを目的とする。また、本発明の別の目的は、該リチウムイオン二次電池用非水系電解液を備えたリチウムイオン二次電池を提供することである。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池用非水系電解液は、リチウムイオン二次電池に用いられる非水系電解液であって、非水系溶媒および該非水系溶媒に溶解される電解質を含み、かつ、重量平均分子量1,000以上の高分子量有機化合物を含有することを特徴とする。
かかる構成によれば、非水系電解液に含まれる上記高分子量有機化合物が負極中の負極活物質表面に吸着し保護することで、充放電サイクルにおける容量維持率の低下を抑制することができる。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池用非水系電解液の好ましい一態様においては、当該リチウムイオン二次電池用非水電解液は、上記非水系電解液を100質量%としたとき、上記高分子量有機化合物を0.01質量%~10質量%含有する。
かかる割合で非水系電解液が上記高分子量有機化合物を含有することで、効果的にリチウムイオン二次電池の充放電サイクルにおける容量維持率を向上させる。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池用非水系電解液の好ましい一態様においては、上記高分子量有機化合物が極性官能基を有し、該極性官能基が、アミノ基、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ポリアルキレンエーテル基、アミド基、水酸基、エポキシ基、アルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の極性官能基であり、該極性官能基濃度が0.1mmol/g以上である、ことを特徴とする
かかる構成によれば、上記高分子量有機化合物の非水系電解液中における安定性が増し、負極活物質へ吸着しやすくなるため、電池容量維持率をより向上させる。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池用非水系電解液の好ましい一態様においては、上記高分子量有機化合物が、重合性不飽和モノマーを共重合した共重合体化合物を含有する。
かかる構成によれば、上記高分子量有機化合物の非水系電解液中における安定性がさらに増し、負極活物質へ吸着しやすくなるため、電池容量維持率をより一層向上させる。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池は、負極集電体と、該負極集電体上に形成された負極活物質層とを備えた負極と、正極集電体と、該正極集電体上に形成された正極活物質層とを備えた正極と、セパレータと、を有する電極体および上記リチウムイオン二次電池用非水系電解液を備える。
かかる構成によれば、負極活物質の表面に上記高分子量有機化合物が吸着することで、負極活物質の割れや亀裂が生じ難くなり、電池寿命が向上したリチウムイオン二次電池を提供することができる。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池の好ましい一態様においては、当該リチウムイオン二次電池は、上記負極活物質層中に、負極活物質としてSiを構成要素としリチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出可能なSi系負極活物質を含有することを特徴とする。
かかる構成によれば、上記高分子量有機化合物がSi系負極活物質の表面を保護することで、充放電によるSi負極活物質の体積変化による割れや亀裂が生じ難くなるため、リチウムイオン二次電池の耐久性を向上させることができる。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池の好ましい一態様においては、当該リチウムイオン二次電池は、上記負極活物質層を100質量%としたとき、前記Si系負極活物質を0.01質量%~20質量%含有し、かつ炭素系負極活物質を50質量%以上含有することを特徴とする。
かかる構成によれば、充放電によるSi負極活物質の体積変化による割れや亀裂が原因となる電池寿命の低下のリスクを抑制しながらも、電池容量を向上させたリチウムイオン二次電池を提供することができる。
一実施形態に係る非水系電解液を用いたリチウムイオン二次電池の内部構造を模式的に示す断面図である。 一実施形態に係る非水系電解液を用いたリチウムイオン二次電池の捲回電極体の構成を示す模式図である。
以下、本発明による実施の形態について説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
なお、本明細書において数値範囲をA~B(ここでA,Bは任意の数値)と記載している場合は、一般的な解釈と同様であり、A以上B以下を意味するものである。
本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充放電可能な蓄電デバイス一般をいい、いわゆる蓄電池ならびに電気二重層キャパシタ等の蓄電素子を包含する用語である。また、本明細書において「リチウムイオン二次電池」とは、電荷担体としてリチウムイオンを利用し、正負極間におけるリチウムイオンに伴う電荷の移動により充放電が実現される二次電池をいう。
本明細書において高分子量有機化合物(樹脂)がその原料となるモノマーXを含有するとは、相反する内容を別途明記しない限り、上記高分子量有機化合物(樹脂)が、上記モノマーXを含む原料モノマーの(共)重合体であることを意味する。また、本明細書において、(共)重合体とは重合体または共重合体を意味する。
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。また、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及び/又はメタクリロイルを意味する。また、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミド及び/又はメタクリルアミドを意味する。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用非水系電解液は、非水系溶媒および該非水系溶媒に溶解される電解質を含み、かつ、下記の所定の重量平均分子量1,000以上の高分子量有機化合物を含有する。本明細書において、耐久性とは、リチウムイオン二次電池の充放電による電池容量の低下に耐えるロングライフ性能のことを意味する。
<高分子量有機化合物>
本発明で用いることができる高分子量有機化合物の重量平均分子量としては、通常1,000以上であり、好ましくは1,000~100,000であり、より好ましくは2,000~50,000であり、さらに好ましくは3,000~30,000の範囲内であることが電池容量維持率の観点から好適である。
なお、本明細書において、数平均分子量および重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定した保持時間(保持容量)を、同一条件で測定した分子量既知の標準ポリスチレンの保持時間(保持容量)によりポリスチレンの分子量に換算して求めた値である。具体的には、ゲルパーミュエーションクロマトグラフとして、「HLC8120GPC」(商品名、東ソー社製)を使用し、カラムとして、「TSKgel G-4000HXL」、「TSKgel G-3000HXL」、「TSKgel G-2500HXL」および「TSKgel G-2000HXL」(商品名、いずれも東ソー社製)の4本を使用し、移動相テトラヒドロフラン、測定温度40℃、流速1mL/minおよび検出器RIの条件下で測定することができる。
上記高分子量有機化合物の種類としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリケート樹脂、塩素系樹脂、フッ素系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、およびこれらの複合樹脂などが挙げられ、1種を単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
なかでも、電池容量維持(非水系電解液中での安定性や負極活物質への吸着性を含む)の観点から、高分子量有機化合物が、極性官能基を有することが好ましく、該極性官能基が、アミノ基、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ポリアルキレンエーテル基、アミド基、水酸基、エポキシ基、アルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の極性官能基であることがより好ましい。
上記分子量有機化合物中の極性官能基濃度としては、通常0.1mmol/g以上、好ましくは1~30mmol/g、より好ましくは2~25mmol/g、さらに好ましくは5~22mmol/gであることが、電池容量維持率の観点から好適である。
特にイオン性の極性官能基濃度としては、通常0.1mmol/g以上、好ましくは0.2~25mmol/g、より好ましくは0.3~10mmol/gであることが、電池容量維持の観点から好適である。
なお、本明細書において、極性官能基濃度は、極性官能基を1個として計算するものであり、例えば、1個の重合性不飽和モノマー中に2個の極性官能基を有していた場合は2個と計算する。
また、上記高分子量有機化合物は、極性官能基により親水性(高極性)の化合物であることが好ましく、水に溶解することが好ましい。本発明において、「水に溶解する」とは、水に混入して5%の水溶液にした時、乳化状態ではなく、溶解または半溶解状態になることである。ただし、かかる水溶性は、上記高分子量有機化合物の好ましい性質を示しているのであって、本実施形態におけるリチウムイオン二次電池の電解液が水を含むことを好適とすることを意図するものではない。
電池容量維持(非水系電解液中での安定性や負極活物質への吸着性を含む)の観点から、上記高分子量有機化合物としては、重合性不飽和モノマーを共重合した共重合体化合物が好ましい。
<共重合体化合物>
上記共重合体化合物の原料として用いられる重合性不飽和モノマーとしては、ラジカル重合しうる重合性不飽和基を有するモノマーであれば特に制限なく用いることができ、該重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルエーテル基などが挙げられる。
なかでも、共重合体化合物が、極性官能基を有する重合性不飽和モノマーを構成成分とする共重合体を含有することが好ましい。
<極性官能基を有する重合性不飽和モノマー>
上記極性官能基を有する重合性不飽和モノマーとしては、アミノ基、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ポリアルキレンエーテル基、アミド基、水酸基、エポキシ基、アルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の極性官能基であって、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸と炭素数2~8の2価アルコールとのモノエステル化物、該(メタ)アクリル酸と炭素数2~8の2価アルコールとのモノエステル化物のε-カプロラクトン変性体、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコ-ル、分子末端が水酸基であるポリオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート等の水酸基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β-カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物等のアミノ基及び/又はアミド基を有する重合性不飽和モノマー;イソシアネート基含有重合性不飽和モノマーと水酸基含有化合物との反応生成物又は水酸基含有重合性不飽和モノマーとイソシアネート基含有化合物との反応生成物等のウレタン結合を有する重合性不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、β-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有重合性不飽和モノマー;分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-スルホエチル(メタ)アクリレート、アリルスルホン酸、4-スチレンスルホン酸等、これらスルホン酸のナトリウム塩およびアンモニウム塩等のスルホン酸基を有する重合性不飽和モノマー;2-アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2-メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2-アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2-メタクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート等のリン酸基を有する重合性不飽和モノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランなどのアルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどの下記式(1)で示されるポリアルキレンエーテル基を有する重合性不飽和モノマー等が挙げられる。
CH=C(R)COO(C2nO)-R ・・・式(1)
〔式中、Rは水素原子またはCHを表し、Rは水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表し、mは4~60、特に4~55の整数であり、nは2~3の整数であり、ここで、m個のオキシアルキレン単位(C2nO)は同じであっても又は互いに異なっていてもよい。〕
上記重合性不飽和モノマーは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。電池容量維持率の観点から、イオン性官能基及び/又はポリアルキレンエーテル基を有する重合性不飽和モノマーが好ましく、イオン性官能基を有する重合性不飽和モノマーがより好ましい。
<その他の重合性不飽和モノマー>
上記極性官能基を有する重合性不飽和モノマー以外の重合性不飽和モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート等の炭素数3以下のアルキル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等のアルキルまたはシクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレートなどのイソボルニル基を有する重合性不飽和化合物;アダマンチル(メタ)アクリレートなどのアダマンチル基を有する重合性不飽和化合物;ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香環含有重合性不飽和モノマー;アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルテレフタレート、ジビニルベンゼン等の重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー等が挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
<重合方法>
共重合体化合物の重合方法は、従来公知の方法を用いることができる。例えば、重合性不飽和モノマーを有機溶媒中で溶液重合することにより製造することができるが、これに限られるものではなく、例えば、バルク重合や乳化重合や懸濁重合等でもよい。溶液重合を行う場合には、連続重合でもよいしバッチ重合でもよく、重合性不飽和モノマーは一括して仕込んでもよいし、分割して仕込んでもよく、あるいは連続的または断続的に添加してもよい。
重合に用いられるラジカル重合開始剤としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルパーオキシ)バレレート、クメンハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジハイドロパーオキサイド、1,3-ビス(tert-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、tert-ブチルクミルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ-tert-アミルパーオキサイド、ビス(tert-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート等の過酸化物系重合開始剤;2,2´-アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、アゾクメン、2,2´-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2´-アゾビスジメチルバレロニトリル、4,4´-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2-(t-ブチルアゾ)-2-シアノプロパン、2,2´-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)、2,2´-アゾビス(2-メチルプロパン)、ジメチル2,2´-アゾビス(2-メチルプロピオネート)等のアゾ系重合開始剤を挙げることができる。これらは1種を単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
上記の重合または希釈に使用される溶媒としては、特に制限はなく、水や有機溶剤、またはその混合物などを挙げることができる。有機溶剤としては、例えば、n-ブタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロブタンなどの炭化水素溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;n-ブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールなどのエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤;エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、イソブタノール等の等のアルコール系溶剤;エクアミド(商品名、出光興産株式会社製)、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N-メチルプロピオアミド、N-メチル-2-ピロリドンなどのアミド系溶剤など、従来公知の溶剤を挙げることができる。
なかでも、電解液に使用することから、水を含まないことが好ましく、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネートおよびエチレンカーボネートから選ばれる少なくとも1種のカーボネート系溶媒を含むことが好ましい。これらは1種を単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
有機溶剤中での溶液重合において、重合開始剤、重合性不飽和モノマー成分および有機溶剤を混合し、攪拌しながら加熱する方法、反応熱による系の温度上昇を抑えるために有機溶剤を反応槽に仕込み、60℃~200℃の温度で攪拌しながら必要に応じて窒素やアルゴンなどの不活性ガスを吹き込みながら、重合性不飽和モノマー成分と重合開始剤を所定の時間かけて混合滴下または分離滴下する方法などが用いられる。
重合は、一般に1~10時間程度行うことができる。各段階の重合の後に必要に応じて重合開始剤を滴下しながら反応槽を加熱する追加触媒工程を設けてもよい。
上記共重合体化合物としては、特に、Si系負極活物質への吸着性および安定性の観点から、吸着部と立体反発部の2つのセグメントに分かれたグラフト構造、またはブロック構造の共重合体化合物であることが好ましく、特にグラフト構造(くし型構造)であることが好ましい。
上記グラフト構造(くし型構造)は、主鎖である吸着部にイオン性官能基を有し、側鎖である立体反発部には親水性官能基を有することが電解液との相溶性の観点から好ましい。
上記側鎖の親水性官能基としては、イオン性官能基やノニオン性官能基などを好適に用いることができ、なかでも、少なくとも1種のノニオン性官能基を含むことが好ましい。
側鎖の立体反発部の重量平均分子量は、200~30,000であることが好ましく、300~10,000であることがより好ましく、400~10,000であることがさらに好ましい。
主鎖と側鎖の質量比としては、1/99~99/1であることが好ましく、5/95~95/5であることがより好ましく、5/95~50/50であることがさらに好ましい。
共重合体化合物に立体反発部の側鎖を導入する方法としては、それ自体既知の方法を好適に用いることができ、具体的には、例えば、前述した重合方法により側鎖である重合性不飽和基含有マクロモノマーとその他の重合性不飽和基含有モノマーとを共重合する方法、重合性不飽和基含有モノマーを共重合した後に側鎖の化合物を付加する方法などが挙げられ、いずれも好適に用いることができる。
上記重合性不飽和基含有マクロモノマーに関しては、それ自体既知の方法で製造することができる。例えば、特公昭43-11224号公報には、マクロモノマーを製造する工程においてメルカプトプロピオン酸のような連鎖移動剤を用いてポリマー鎖末端にカルボン酸基を導入し、ついでメタクリル酸グリシジルを付加することによってエチレン性不飽和基を導入してマクロモノマーを得る方法が記載されている。またコバルト錯体を用いた触媒的連鎖移動重合法(Catalytic Chain Transfer Polymerization,CCTP)による方法が、特公平6-23209号公報、特公平7-35411号公報に開示されている。さらに、特開平7-002954号公報には、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテンを付加-開裂型連鎖移動剤として用いてメタクリル酸をラジカル重合してマクロモノマーを得る方法が記載されている。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用非水系電解液中の上記高分子量有機化合物の添加量は、本発明の効果が発揮される限り特に制限はない。ただし、添加量が少なすぎると、本発明の効果が得られにくくなるため、その添加量は、電解液全体の質量を100質量%としたとき、典型的には0.01質量%~10質量%であり、好ましくは0.1質量%~5質量%であり、より好ましくは0.6質量%~1.5質量%である。かかる範囲で上記高分子量有機化合物を添加することにより、より効果的にリチウムイオン二次電池の容量維持率を向上させることができる。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用非水系電解液は、非水系溶媒中に支持塩(リチウム塩)を溶解または分散している。
非水系溶媒の種類は、上記高分子量有機化合物を溶解可能な限り特に制限はなく、リチウムイオン二次電池の電解液に用いられている、カーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等を用いることができる。なかでも、カーボネート類が好ましい。カーボネート類の例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等が挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本発明において、「非水系電解液」とは水を含まない電解液の事であり、できるだけ水を含有しないことが好ましいが、原材料または空気中(製造過程)から極少量の水分が混入されることがあり、その場合、通常、1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下の範囲で含有することができる。
リチウム塩の種類は、一般的なリチウムイオン二次電池に用いられる各種のものを適宜選択して採用することができる。例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF,Li(CFSON,LiCFSO等を用いることができ、これらは1種を単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。かかるリチウム塩の濃度は、0.7mol/L以上1.3mol/L以下の範囲内で用いることが好ましい。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用非水系電解液は、リチウムイオン二次電池の特性を損なわない限り、各種の添加剤等を含んでいてもよい。かかる添加剤としては、被膜形成剤、過充電添加剤等として、電池の入出力特性の向上、サイクル特性の向上、初期充放電効率の向上、安全性の向上等のうち、1または2以上の目的で使用され得る。かかる添加剤としては、具体的には、リチウムビス(オキサラト)ボレート(LiBOB)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)等の被膜形成剤;ビフェニル(BP)、シクロヘキシルベンゼン(CHB)等の芳香族化合物に代表される過充電時にガスを発生させ得る化合物からなる過充電添加剤;界面活性剤;分散剤;増粘剤;凍結防止剤等が挙げられる。非水系電解液全体に対するこれらの添加剤の濃度は、添加剤の種類にもよって異なるものの、被膜形成剤で通常0.1mol/L程度以下(典型的には0.005mol/L~0.05mol/L)、過充電添加剤で通常6質量%程度以下(典型的には0.5質量%~4質量%)とすることが例示される。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用非水系電解液は、公知方法に従い、リチウムイオン二次電池に用いることができる。該リチウムイオン二次電池は、上記リチウムイオン二次電池用非水系電解液に含まれる上記高分子量有機化合物が負極活物質表面に吸着し、負極活物質を保護することによって、容量維持率の低下を抑制することができる。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用非水系電解液を備えたリチウムイオン二次電池の構成例の概略を以下、図面を参照しながら説明する。以下の図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明している。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
図1に示すリチウムイオン二次電池100は、扁平形状の捲回電極体20と電解液80とが扁平な角形の電池ケース(即ち外装容器)30に収容されることにより構築される密閉型電池である。電池ケース30には外部接続用の正極端子42および負極端子44と、電池ケース30の内圧が所定レベル以上に上昇した場合に該内圧を開放するように設定された薄肉の安全弁36が設けられている。また、電池ケース30には、電解液80を注入するための注入口(図示せず)が設けられている。正極端子42は、正極集電板42aと電気的に接続されている。負極端子44は、負極集電板44aと電気的に接続されている。電池ケース30の材質としては、例えば、アルミニウム等の軽量で熱伝導性の良い金属材料が用いられる。
捲回電極体20は、図1および図2に示すように、長尺状の正極集電体52の片面または両面に長手方向に沿って正極活物質層54が形成されたシート状の正極50と、長尺状の負極集電体62の片面または両面に長手方向に沿って負極活物質層64が形成されたシート状の負極60とが、2枚の長尺状かつシート状のセパレータ70を介して重ね合わされて長手方向に捲回された形態を有する。なお、捲回電極体20の捲回軸方向(即ち、上記長手方向に直交するシート幅方向)の両端から外方にはみ出すように形成された正極活物質層非形成部分52a(即ち、正極活物質層54が形成されずに正極集電体52が露出した部分)と負極活物質層非形成部分62a(即ち、負極活物質層64が形成されずに負極集電体62が露出した部分)には、それぞれ正極集電板42aおよび負極集電板44aが接合されている。
正極50を構成する正極集電体52としては、例えばアルミニウム箔等が挙げられる。正極活物質層54に含まれる正極活物質としては、例えばリチウム遷移金属酸化物(例、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNiO、LiCoO、LiFeO、LiMn、LiNi0.5Mn1.5等)、リチウム遷移金属リン酸化合物(例、LiFePO等)等が挙げられる。
正極活物質層54は、活物質以外の成分、例えば導電材やバインダ等を含み得る。導電材としては、例えばアセチレンブラック(AB)等のカーボンブラックやその他(例、グラファイト等)の炭素材料を好適に使用し得る。バインダとしては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)等を使用し得る。
負極60を構成する負極集電体62としては、例えば銅箔等が挙げられる。負極活物質層64に含まれる負極活物質としては、例えば黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素系材料;チタン酸リチウム(LiTi12:LTO);Sn;Si系材料等を使用し得る。リチウムイオン二次電池100を高容量化させる観点から、負極中に、負極活物質としてSiを構成要素としリチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出可能なSi系負極活物質を含有させることが好ましい。Si系負極活物質として、例えば、SiOやSi等を用いることができる。
また、負極活物質の構成成分は1種を単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。リチウムイオン二次電池100の高容量化と容量維持率の低下の抑制の観点から、例えば、Si系材料と炭素系材料とを含有した負極活物質を用いることができる。負極活物質を構成する割合として、例えば、負極活物質層を100質量%としたとき、Si系材料を0.01質量%~20質量%、かつ炭素系材料を50質量%以上の割合で含有させることができ、より好ましくはSi系材料を0.1質量%~10質量%、かつ炭素系材料を60質量%以上、さらに好ましくはSi系材料を1質量%~8質量%、かつ炭素系材料を90質量%以上の割合で含有させることできる。かかる割合で構成された負極活物質を含有させることにより、高容量化と容量維持率の低下の抑制の両立が好適に実現し得る。
負極活物質層64は、活物質以外の成分、例えばバインダや増粘剤等を含み得る。バインダとしては、例えばスチレンブタジエンラバー(SBR)等を使用し得る。増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)等を使用し得る。
セパレータ70としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂から成る多孔性シート(フィルム)が挙げられる。かかる多孔性シートは、単層構造であってもよく、二層以上の積層構造(例えば、PE層の両面にPP層が積層された三層構造)であってもよい。セパレータ70の表面には、耐熱層(HRL)が設けられていてもよい。
電解液80には、上述の本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用非水系電解液が用いられる。なお、図1は、電池ケース30内に注入される電解液80の量を厳密に示すものではない。
以上のようにして構成されるリチウムイオン二次電池100は、各種用途に利用可能である。好適な用途としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両に搭載される駆動用電源が挙げられる。リチウムイオン二次電池100は、典型的には複数個を直列及び/又は並列に接続してなる組電池の形態でも使用され得る。
なお、一例として扁平形状の捲回電極体20を備える角形のリチウムイオン二次電池100について説明した。しかしながら、リチウムイオン二次電池は、積層型電極体を備えるリチウムイオン二次電池として構成することもできる。また、リチウムイオン二次電池は、円筒形リチウムイオン二次電池、ラミネート型リチウムイオン二次電池等として構成することもできる。
以下、実施例により、本発明をさらに説明する。
各種化合物の合成方法、二次電池の製造方法、評価試験方法などは当該技術分野で従来公知の方法を用いている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正および変形が可能である。
また、各例中の「部」は質量部、「%」は質量%を示す。
<マクロモノマーの製造>
(マクロモノマー1)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌機および滴下装置を備えた反応容器に、エチレングリコールモノブチルエーテル16部および2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン9.15部を仕込み、160℃で窒素を吹き込みながら撹拌した。次いで、この中に、メタクリルアミド100部およびジターシャリアミルパーオキシド7部からなる混合液を3時間かけて滴下し、そのまま、2時間撹拌した。次いで、30℃まで冷却し、ジエチルカーボネートで希釈して固形分60%の親水性の重合性不飽和基含有マクロモノマー(マクロモノマー1)溶液を得た。得られたマクロモノマー1の重量平均分子量は2,000、極性官能基濃度は11.8mmol/gであった。
<高分子量有機化合物の製造>
(高分子量有機化合物No.4)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌機および滴下装置を備えた反応容器に、ジエチルカーボネート40部を仕込み、窒素置換後、120℃に保った。この中に、以下に示すモノマー混合物を4時間かけて滴下した。
(モノマー混合物)
メチルメタクリレート 25部
n-ブチルアクリレート 25部
2-ヒドロキシエチルアクリレート 50部
t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(重合開始剤) 9部
滴下終了後から1時間経過後、この中に、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート0.5部をジエチルカーボネート10部に溶かした溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、これをさらに1時間120℃に保持した。次いで固形分50%となるようにジエチルカーボネートを加え、固形分50%の高分子量有機化合物No.4溶液を得た。高分子量有機化合物No.4は、重量平均分子量4,000、極性官能基濃度4.3mmol/gであった。
(高分子量有機化合物No.5~15)
モノマー組成および重合開始剤を下記表1のとおりとする以外は、上記高分子量有機化合物No.4と同様にして高分子量有機化合物No.5~15溶液を製造した。
なお、下記表1に各樹脂の重量平均分子量、極性官能基濃度mmol/g、イオン性極性官能基濃度mmol/gを記載する。
Figure 2022116941000001
<電解液の製造>
(例1)
非水系溶媒としてエチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)をEC:EMC=30:70の体積比になるよう混合した溶媒に、電解質であるLiPFを1.0mol/Lの割合で溶解させた。さらに高分子量有機化合物No.1「ポリエチレングリコール(分子量2,000、官能基濃度22.7mmol/g、固形分100%)」を固形分で1質量%となるように溶解させ、電解液(例1)を製造した。
(例2~19)
例1の高分子量有機化合物No.1の代わりに下記表2に示す割合で高分子量有機化合物No.2~No.16を非水系溶媒へ溶解させる工程以外は例1と同様にして、電解液(例2~19)を製造した。
また後述する容量維持率評価試験の結果を記載する。本明細書において、1つでも「×(不合格)」の評価結果があれば、その電解液は不合格とする。
<評価用リチウムイオン二次電池の作製>
<正極の作製>
正極活物質(LiNi1/3Co1/3Mn1/3):導電助剤(アセチレンブラック):バインダ(PVdF)=87:10:3の割合(質量%)でN-メチル-2-ピロリドンを分散溶媒として混合してペーストを作製し、アルミ箔に塗布・乾燥して正極板を作製した。
<負極の製造>
負極活物質として黒鉛(平均粒子径20μm)およびSiO(平均粒子径15μm)を黒鉛:SiO=95:5の割合(質量比)で混合した混合粉体と、バインダとしてスチレン―ブタジエン共重合体(SBR)と、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)を、混合粉体:SBR:CMC=98:1:1の割合(質量比)で水を分散溶媒として混合してペーストを作製した。次いで、上記ペーストを銅箔上に塗布・乾燥し負極電極とした。
<ラミネート電池の作製>
上記正極および負極を用い、ガーレー試験法によって得られる透気度が300秒のポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン三層構造多孔膜を介して対向させて電極体を形成し、上記電解液と共にラミネートで封止することで評価用電池を作製した。
(容量維持率評価試験)
<活性化>
25℃恒温槽中にて、初回充電は定電流方式とし、0.3Cの電流値で4.10Vまで充電を行い、その後定電流方式により、0.3Cの電流値で3.00Vまで放電した。これを3回繰り返した。
<初期容量>
定電流―定電圧方式にて、0.2Cの電流値で4.10Vまで充電を行い、定電圧充電時の電流値が1/50Cになる点まで定電圧充電を行い、満充電状態とした。その後、定電流方式により、0.2Cの電流値で3.00Vまで放電した時の容量を初期容量とした。
<容量維持率(25℃)>
25℃の恒温槽中において、0.5Cの電流値で500サイクルの充放電を繰り返した。なお、充電設定値を4.10Vとし、放電設定値を3.00Vとした。また、充電・放電の終了後にそれぞれ10分間の休止時間を設けた。次いで、同様にサイクル試験後の容量を測定し、下記式により容量維持率を求めた。
容量維持率(%)=(500サイクル後の電池容量/初期容量)×100
評価としては下記の通りである。
◎:容量維持率が、97%以上、かつ100%以下である。
〇:容量維持率が、94%以上、かつ97%未満である。
△:容量維持率が、91%以上、かつ94%未満である。
×:容量維持率が、91%未満である。
<容量維持率(60℃)>
60℃の恒温槽中において容量維持率を測定した。なお、恒温槽の温度を25℃から60℃に変更した以外は全て同様に行った。また、評価基準も同様の基準を用いた。
Figure 2022116941000002
表2に示されるように、電解液中にここで開示される高分子量有機化合物を含有しない例18および例19の容量維持率が×(不合格)の評価であった。一方、上記高分子量有機化合物が電解液に含まれる例1~17においては、容量維持率が向上することが確かめられ、評価試験を合格した。特に、例13および例15は、25℃および60℃の容量維持率が97%以上100%以下の高い水準を示した。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
20 捲回電極体
30 電池ケース
36 安全弁
42 正極端子
42a 正極集電板
44 負極端子
44a 負極集電板
50 正極
52 正極集電体
52a 正極活物質層非形成部分
54 正極活物質層
60 負極
62 負極集電体
62a 負極活物質層非形成部分
64 負極活物質層
70 セパレータ
80 電解液
100 リチウムイオン二次電池

Claims (7)

  1. リチウムイオン二次電池に用いられる非水系電解液であって、
    非水系溶媒および該非水系溶媒に溶解される電解質を含み、かつ、重量平均分子量1,000以上の高分子量有機化合物を含有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用非水系電解液。
  2. 前記非水系電解液を100質量%としたとき、前記高分子量有機化合物を0.01質量%~10質量%含有することを特徴とする、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用非水系電解液。
  3. 前記高分子量有機化合物が極性官能基を有し、該極性官能基が、アミノ基、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ポリアルキレンエーテル基、アミド基、水酸基、エポキシ基、アルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の極性官能基であり該極性官能基濃度が0.1mmol/g以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用非水系電解液。
  4. 前記高分子量有機化合物が、重合性不飽和モノマーを共重合した共重合体化合物を含有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用非水系電解液。
  5. 負極集電体と、該負極集電体上に形成された負極活物質層とを備えた負極と、
    正極集電体と、該正極集電体上に形成された正極活物質層とを備えた正極と、
    セパレータと、を有する電極体および請求項1~4のいずれか1項に記載の非水系電解液を備えるリチウムイオン二次電池。
  6. 前記負極活物質層中に、負極活物質としてSiを構成要素としリチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出可能なSi系負極活物質を含有することを特徴とする請求項5に記載のリチウムイオン二次電池。
  7. 前記負極活物質層を100質量%としたとき、前記Si系負極活物質を0.01質量%~20質量%含有し、かつ炭素系負極活物質を50質量%以上含有することを特徴とする請求項5または6に記載のリチウムイオン二次電池。
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