以下、本発明に係るスペクトラム拡散クロック発生器及びスペクトラム拡散クロック発生方法、パルスパターン発生装置及びパルスパターン発生方法、並びに、誤り率測定装置及び誤り率測定方法の実施形態について図面を用いて説明する。
(第1の実施形態)
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係るスペクトラム拡散クロック発生器(以下、「SSC発生器」とも称する)1は、基準信号発生源10と、変調用信号発生器20と、変調部35と、操作部40と、表示部41と、制御部42と、を備える。
基準信号発生源10は、基準周波数Fcの基準信号(クロック信号)を発生するようになっている。基準周波数Fcは、例えば数GHz程度の周波数である。
変調用信号発生器20は、基準信号に対してSSC変調を行うための変調用信号を発生するものであり、パルス信号出力部21と、周波数偏移方向情報出力部22と、傾き絶対値出力部23と、傾き出力部24と、周波数偏移算出部25と、累積加算回路26と、切替タイミング制御回路27と、を含む。
パルス信号出力部21は、変調用信号の波形の1/4周期ごとに、変調周波数情報としてのパルス信号を出力するようになっている。ここで、変調用信号の波形の変調周波数は、例えば30~33kHzの範囲で設定可能である。
周波数偏移方向情報出力部22は、パルス信号出力部21から出力されたパルス信号のタイミング、すなわち変調用信号の波形の1/4周期ごとに、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの正負を表す+1又は-1の値からなる周波数偏移方向情報を出力するようになっている。例えば、ダウンスプレッドの場合の周波数偏移方向情報は、-1,-1,+1,+1となる。
傾き絶対値出力部23は、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの絶対値を出力するようになっている。この傾きは、ユーザによる操作部40への操作入力により指定される変調周波数や任意の時間区間ごとの周波数偏移の振幅に応じて決まる。
傾き出力部24は、周波数偏移方向情報出力部22から出力された周波数偏移方向情報と、傾き絶対値出力部23から出力された変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの絶対値を掛け合わせて得られる値、すなわち、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きを出力するようになっている。
周波数偏移算出部25は、傾き出力部24から出力された変調用信号の波形の周波数偏移の傾きに所定のクロック周期Tclkを掛けた値を、所定のクロック周期Tclkごとの周波数偏移として算出し、算出した周波数偏移を累積加算回路26に出力するようになっている。
累積加算回路26は、周波数偏移算出部25により算出された周波数偏移を所定のクロック周期Tclkごとに累積加算することで、変調用信号を発生するようになっている。なお、パルス信号出力部21、周波数偏移方向情報出力部22、傾き絶対値出力部23、傾き出力部24、周波数偏移算出部25、累積加算回路26、及び切替タイミング制御回路27には、上記の所定のクロック周期Tclkを与える動作クロックが外部から入力される。
切替タイミング制御回路27は、累積加算回路26により発生される変調用信号の波形のパターンを第1パターンから第2パターンに切り替えるための切替指示を含む切替制御信号が外部から入力され、その切替タイミングを制御するための傾き制御信号を傾き絶対値出力部23に出力するようになっている。本実施形態では、第1パターンは、トレーニング中の変調用信号の波形のパターンであって、周波数偏移の傾きの絶対値が所定の一定値である時間区間と、周波数偏移の傾きの絶対値が上記所定の一定値と異なる時間区間とを含む。一方、第2パターンは、定常状態の変調用信号の波形のパターンであって、周波数偏移の傾きの絶対値は常に上記所定の一定値である。
図2は、変調用信号発生器20による定常状態の変調用信号の波形(三角波)の生成手順を示している。以下、変調用信号発生器20がダウンスプレッド方式のSSC変調信号を発生する場合を例に挙げて説明する。また、変調周波数を32kHz、周波数偏移の振幅を5000ppmとする。この場合、周波数偏移の傾きの絶対値は、0.32ppm/nsとなる。
まず、図2の最上段に示すように、パルス信号出力部21は、変調用信号の波形の1/4周期ごとに、変調周波数情報としてのパルス信号を出力する。ここで、変調用信号の波形の1周期は31250nsである。
次に、図2の2段目に示すように、周波数偏移方向情報出力部22は、変調用信号の波形の1/4周期ごとに-1,-1,+1,+1となるダウンスプレッド方式の周波数偏移方向情報を出力する。
次に、傾き絶対値出力部23は、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの絶対値として、0.32ppm/nsを出力する。これにより、図2の3段目に示すように、傾き出力部24は、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きとして、-0.32ppm/ns又は+0.32ppm/nsを出力する。
次に、周波数偏移算出部25は、-0.32×Tclk又は+0.32×Tclkを、所定のクロック周期Tclkごとの周波数偏移として累積加算回路26に出力する。累積加算回路26は、-0.32×Tclk又は+0.32×Tclkを所定のクロック周期Tclkごとに累積加算することで、図2の最下段に示すような変調用信号の波形(三角波)を発生する。
次に、変調用信号発生器20によるトレーニング中の変調用信号の波形の生成について説明する。例えば、トレーニング中の変調用信号の波形は、変調周波数32kHzにおいて図3に示すようなものである。
図3の例では、周波数偏移は、SSC変調が開始されるまで-300~300ppm、SSC変調の開始から200ns経過したときに-1400ppm、SSC変調の開始から1000ns経過したときに-2200ppmとなっている。
図3の例において、0~31250nsの時間区間を第1区間、31250~62500nsの時間区間を第2区間、62500~93750nsの時間区間を第3区間、93750~125000nsの時間区間を第4区間と呼ぶことにすると、各時間区間の周波数偏移の傾きの絶対値は、図4(a)のように与えられる。
すなわち、第1区間の周波数偏移の傾きの絶対値は0ppm/nsである。第2区間の周波数偏移の傾きの絶対値は、0~2/4周期で可変、2/4~4/4周期で0.32ppm/nsである。第3区間及び第4区間の周波数偏移の傾きの絶対値は0.32ppm/nsである。つまり、第2区間の2/4周期から第4区間までは、定常状態と同様のSSC変調が行われる。なお、トレーニング中は、上記の第1区間から第4区間までの波形パターン、すなわち、第1パターンが繰り返されることになる。
図4(b)は、可変区間である第2区間の0~2/4周期の周波数偏移の傾きの絶対値の一例を示している。すなわち、第2区間の0~200nsの周波数偏移の傾きの絶対値は7ppm/nsである。第2区間の200ns~1000nsの周波数偏移の傾きの絶対値は1ppm/nsである。第2区間の1000ns~2/4周期の周波数偏移の傾きの絶対値は約0.191ppm/nsである。ここで、0.191は、小数点第4位で四捨五入をした値である。
図5(a)は、変調用信号発生器20によるトレーニング中の第1区間の変調用信号の波形の生成手順を示している。
まず、図5(a)の最上段に示すように、パルス信号出力部21は、変調用信号の波形の1/4周期ごとに、変調周波数情報としてのパルス信号を出力する。
次に、図5(a)の2段目に示すように、周波数偏移方向情報出力部22は、変調用信号の波形の1/4周期ごとに-1,-1,+1,+1となるダウンスプレッド方式の周波数偏移方向情報を出力する。
次に、傾き絶対値出力部23は、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの絶対値として、0ppmを出力する。これにより、図5(a)の3段目に示すように、傾き出力部24は、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きとして、0ppmを出力する。
次に、周波数偏移算出部25は、0×Tclkを、所定のクロック周期Tclkごとの周波数偏移として累積加算回路26に出力する。累積加算回路26は、0×Tclkを所定のクロック周期Tclkごとに累積加算することで、図5(a)の最下段に示すような変調用信号の波形を発生する。
図5(b)は、変調用信号発生器20によるトレーニング中の第2区間の変調用信号の波形の生成手順を示している。
まず、図5(b)の最上段に示すように、パルス信号出力部21は、変調用信号の波形の1/4周期ごとに、変調周波数情報としてのパルス信号を出力する。
次に、図5(b)の2段目に示すように、周波数偏移方向情報出力部22は、変調用信号の波形の1/4周期ごとに-1,-1,+1,+1となるダウンスプレッド方式の周波数偏移方向情報を出力する。
次に、傾き絶対値出力部23は、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの絶対値として、図4に示した値、すなわち、0~200nsで7ppm/ns、200ns~1000nsで1ppm/ns、1000ns~2/4周期で約0.191ppm/ns、2/4~4/4周期で0.32ppm/nsを出力する。これにより、図5(b)の3段目に示すように、傾き出力部24は、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きとして、それぞれ-7ppm/ns,-1ppm/ns,約-0.191ppm/ns,0.32ppm/nsを出力する。
次に、周波数偏移算出部25は、-7×Tclk,-1×Tclk,約-0.191×Tclk,0.32ppm×Tclkを、所定のクロック周期Tclkごとの周波数偏移として累積加算回路26に出力する。累積加算回路26は、-7×Tclk,-1×Tclk,約-0.191×Tclk,0.32ppm×Tclkを所定のクロック周期Tclkごとに累積加算することで、図5(b)の最下段に示すような変調用信号の波形を発生する。なお、累積加算回路26は、第3区間及び第4区間においては、定常状態の三角波と同じ変調用信号の波形を出力する。
ここで、トレーニング中の変調用信号の波形のパターンである第1パターンから、定常状態の変調用信号の波形のパターンである第2パターンに変調用信号の波形のパターンを切り替えるための切替指示が外部から入力される、切替タイミング制御回路27の構成及び動作について説明する。切替指示は、例えば、DUTが備えるリンク状態管理機構がトレーニング中の状態から定常状態に遷移したことを示すものであり、SSC発生器1の外部から切替タイミング制御回路27に入力される。あるいは、切替指示は、ユーザによる操作部40への操作入力により、任意のタイミングで切替タイミング制御回路27に与えられてもよい。
例えば、図3に示す0~31250nsの第1区間の途中で定常状態への切替指示を切替タイミング制御回路27が受信したとする。仮に、この第1区間の途中から定常状態の変調用信号の波形を発生させようとすると、累積加算回路26は0偏移の状態から加算を開始してしまうため、第1区間の終わりのタイミングで周波数偏移が0偏移とならない。そのため、第2区間以降の変調用信号の波形の1周期ごとの開始偏移がずれてしまうことになる。
そのため、切替タイミング制御回路27は、切替指示が外部から入力されたタイミング以後に、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの絶対値が定常状態での所定の一定値となる時間区間において、第1パターンから第2パターンへの切り替えを行うように構成される。例えば、図6に示すように、切替タイミング制御回路27は、傾き判定部28と、OR回路29と、RSフリップフロップ30と、を備える。
傾き判定部28は、傾き絶対値出力部23から出力された周波数偏移の傾きの絶対値が、定常状態の変調用信号の波形の傾きの絶対値と等しい所定の一定値であるときに1を出力し、傾き絶対値出力部23から出力された周波数偏移の傾きの絶対値が上記所定の一定値でないときに0を出力するようになっている。
OR回路29は、傾き判定部28の出力値(入力A)が一方の入力端子に入力されるとともに、後述するRSフリップフロップ30の出力値(入力B)が他方の入力端子に入力されるようになっている。
RSフリップフロップ30は、リセット優先型のRSフリップフロップであって、切替制御信号(入力R)がリセット端子に入力されるとともに、OR回路29の出力値(入力S)がセット端子に入力され、入力R,Sに応じた出力Qを出力するようになっている。すなわち、リセット端子への入力Rが1のときセット端子の入力Sにかかわらず、出力Qは0になる。また、リセット端子への入力Rが0であれば、RSフリップフロップ30はラッチ回路となる。
ここで、切替制御信号は、切替指示のタイミングで1から0に変化する信号である。RSフリップフロップ30の出力値(出力Q)は、OR回路29の他方の入力端子と、傾き絶対値出力部23に入力される。傾き絶対値出力部23は、RSフリップフロップ30の出力値(出力Q)、すなわち、傾き制御信号が0から1に切り替わったタイミング以後、上記所定の一定値の絶対値、すなわち、定常状態の変調用信号の波形の傾きの絶対値を出力する。
図7(a)は、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの絶対値が定常状態での絶対値と等しくないタイミングで、切替タイミング制御回路27のRSフリップフロップ30に切替指示が入力される場合のタイミングチャートである。また、図7(b)は、図7(a)に示した状態α~ζにおける、傾き判定部28、OR回路29、及びRSフリップフロップ30の真理値表である。
RSフリップフロップ30に切替指示が入力される前の状態α~γでは、切替制御信号(入力R)は1であるため、傾き絶対値出力部23から出力される傾きの絶対値にかかわらず、RSフリップフロップ30から出力される傾き制御信号(出力Q)は0になる。そして、RSフリップフロップ30に切替指示が入力された直後の状態δでは、切替制御信号(入力R)は0となるが、傾き絶対値出力部23が定常状態とは異なる傾きの絶対値を出力しているため、RSフリップフロップ30からの傾き制御信号(出力Q)は0のままである。次に、状態δの後の状態εでは、傾き絶対値出力部23が定常状態の変調用信号の波形の傾きの絶対値を出力するため、RSフリップフロップ30からの傾き制御信号(出力Q)は1になる。これにより、第1パターンから第2パターンへの切り替えが行われる。状態ε以降の状態ζでは、傾き絶対値出力部23は、定常状態の変調用信号の波形の傾きの絶対値を出力し続ける。
図8(a)は、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの絶対値が定常状態での絶対値と等しいタイミングで、RSフリップフロップ30に切替指示が入力される場合のタイミングチャートである。また、図8(b)は、図8(a)に示した状態α'~δ'における、傾き判定部28、OR回路29、及びRSフリップフロップ30の真理値表である。
RSフリップフロップ30に切替指示が入力される前の状態α',β'では、切替制御信号(入力R)は1であるため、傾き絶対値出力部23から出力される傾きの絶対値にかかわらず、RSフリップフロップ30からの傾き制御信号(出力Q)は0になる。そして、RSフリップフロップ30に切替指示が入力された直後の状態γ'では、切替制御信号(入力R)は0となり、傾き絶対値出力部23が定常状態の変調用信号の波形の傾きの絶対値を出力しているため、RSフリップフロップ30からの傾き制御信号(出力Q)は1になる。これにより、第1パターンから第2パターンへの切り替えが行われる。状態γ'以降の状態δ'では、傾き絶対値出力部23は、定常状態の変調用信号の波形の傾きの絶対値を出力し続ける。
このように、切替制御信号が1から0に変化すると、変調用信号の波形の傾きが定常状態と一致したタイミングから、切替タイミング制御回路27からの傾き制御信号がONになる。つまり、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きが定常状態での傾きと等しいタイミングでトレーニングが完了した場合には、すぐに切替タイミング制御回路27からの傾き制御信号がONになる。一方、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きが定常状態での傾きと等しくないタイミングでトレーニングが完了した場合には、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きが定常状態での傾きと等しくなるまで、切替タイミング制御回路27からの傾き制御信号がOFFのままになり、切替タイミングが遅延する。
図1に示す制御部42は、変調用信号の波形の周波数偏移とその傾きを任意の時間区間において任意に制御可能な変調制御部42aを含む。例えば、変調制御部42aは、傾き絶対値出力部23から出力される変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの絶対値を任意の時間区間において任意に制御する。また、変調制御部42aは、変調用信号発生器20を構成する上記各部の動作を制御するようになっている。
例えば、変調制御部42aは、ユーザによる操作部40への操作入力により指定される変調周波数に応じたパルス信号を、パルス信号出力部21から出力させる。また、変調制御部42aは、ユーザによる操作部40への操作入力により指定されるスプレッド方式(ダウンスプレッド、センタースプレッド、アッパースプレッドの何れかのスプレッド方式)に応じて、パルス信号のタイミングで周波数偏移方向情報出力部22から周波数偏移方向情報を出力させる。また、変調制御部42aは、ユーザによる操作部40への操作入力により指定される変調周波数や任意の時間区間ごとの周波数偏移の振幅に応じた、時間区間ごとの変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの絶対値を傾き絶対値出力部23から出力させる。
また、変調制御部42aは、変調用信号の波形の先頭における周波数偏移の値を累積加算回路26に設定するようになっている。既に述べたように、例えば、第1区間における周波数偏移を-300~300ppmの範囲で任意に設定可能であるが、本実施形態ではこの範囲に限定されず、例えば、周波数偏移を-1000~1000ppmの範囲で設定可能としてもよい。
ところで、累積加算回路26においては、動作クロックの分解能や、使用可能なビット数の制限などによって、変調用信号の波形の1周期ごとの先頭(若しくは最後尾)で出力が元の値に正しく戻らないことが起こり得る。このような場合、図9(a)に示すように、時間の経過とともに元の値からのずれが積算されて、周波数偏移の中心周波数が変化してしまうという問題がある。そこで、累積加算回路26は、図9(b)に示すように、パルス信号出力部21から出力されるパルス信号のタイミングにおける変調用信号の波形の1周期ごとの値を所定値にリセットするようになっている。例えば、累積加算回路26は、変調用信号の波形の1周期ごとの先頭(若しくは最後尾)の値を-1000~1000ppmの範囲の一定の所定値(例えば、0ppm)にリセットしてもよい。
図1に示す変調部35は、変調用信号発生器20の累積加算回路26から出力された変調用信号で基準信号発生源10から出力された基準信号を周波数変調してSSC変調信号を発生するものであり、加算器35aを含んで構成される。
加算器35aは、基準信号発生源10から入力される基準信号と、変調用信号発生器20から入力される変調用信号とを加算することにより、周波数をスペクトラム拡散したSSC変調信号を出力する。
操作部40は、ユーザによる操作入力を受け付けるためのものであり、例えば表示部41の表示画面に対応する入力面への接触操作による接触位置を検出するためのタッチセンサを備えるタッチパネルで構成される。操作部40は、ユーザが表示画面に表示されている特定の項目の位置を指やスタイラス等で触れた際に、タッチセンサが表示画面上で検出した位置と項目の位置との一致を認識することにより、各項目に割り当てられた機能を実行するための信号を制御部42に出力する。
ユーザによる操作部40への操作入力により、所望の規格に応じたスペクトラム拡散が施されたSSC変調信号を発生するために必要な設定情報として、スプレッド方式の選択、変調周波数(例えば32kHz)、基準信号発生源10から出力される基準信号の基準周波数Fc、任意の時間区間ごとの周波数偏移(基準周波数Fcに対する変調の割合)などの設定を行うことが可能である。さらに、ユーザによる操作部40への操作入力により、トレーニング中の変調用信号の波形のパターン(第1パターン)から定常状態の変調用信号の波形のパターン(第2パターン)に切り替えるための切替指示を出力することも可能である。
表示部41は、液晶ディスプレイやCRT等の表示機器で構成され、制御部42による表示制御に基づき、SSC発生器1に関する設定項目画面や、設定項目画面において各種条件を設定するためのボタン、ソフトキー、プルダウンメニュー、テキストボックスなどの操作対象の表示を行うようになっている。
制御部42は、例えばCPU、ROM、RAM、HDDなどを含むマイクロコンピュータ又はパーソナルコンピュータ等で構成され、SSC発生器1を構成する上記各部の動作を制御するものであって、上述の変調制御部42aを含む。また、制御部42は、ROM等に記憶された所定のプログラムをRAMに移して実行することにより、変調用信号発生器20の少なくとも一部をソフトウェア的に構成することが可能である。なお、変調用信号発生器20の少なくとも一部は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのデジタル回路で構成することも可能である。あるいは、変調用信号発生器20の少なくとも一部は、デジタル回路によるハードウェア処理と所定のプログラムによるソフトウェア処理とを適宜組み合わせて構成することも可能である。
以下、本実施形態のSSC発生器1を用いるスペクトラム拡散クロック発生方法について、図10及び図11のフローチャートを参照しながらその処理の一例を説明する。
まず、ユーザによる操作部40への操作入力により、SSC変調に関する各種情報、すなわち、所望の規格、スプレッド方式、基準周波数Fc、変調用信号の波形の変調周波数、任意の時間区間ごとの変調用信号の波形の周波数偏移の振幅などの情報が入力される(ステップS1)。
次に、変調制御部42aは、ステップS1でユーザにより入力された各種情報を、基準信号発生源10や変調用信号発生器20に設定する(変調制御ステップS2)。この変調制御ステップS2は、ステップS4以降の処理によって生成される変調用信号の波形の周波数偏移とその傾きを、任意の時間区間において任意に制御可能とするためのステップである。
次に、基準信号発生源10は、基準周波数Fcの基準信号を発生する(基準信号発生ステップS3)。
次に、累積加算回路26は、周波数偏移算出部25により算出されたトレーニング中の変調用信号の波形の周波数偏移を所定のクロック周期Tclkごとに累積加算することで、トレーニング中の変調用信号を発生する(累積加算ステップS4)。なお、この累積加算ステップS4は、パルス信号出力部21から出力されるパルス信号のタイミングにおける変調用信号の波形の1周期ごとの先頭の値を所定値にリセットするようになっている。
次に、変調部35は、累積加算回路26から出力された変調用信号で基準信号発生源10から出力された基準信号を周波数変調してSSC変調の掛かった信号(SSC変調信号)を発生する(変調ステップS5)。
次に、切替タイミング制御回路27は、切替指示がRSフリップフロップ30に入力されたか否かを判断する(ステップS6)。切替指示がRSフリップフロップ30に入力されていない場合には、再びステップS4以降の処理が実行される。一方、切替指示がRSフリップフロップ30に入力された場合には、引き続きステップS7の処理が実行される。
次に、切替タイミング制御回路27は、切替指示が入力されたタイミング以後に傾き絶対値出力部23から出力される傾きの絶対値が定常状態での値であるか否かを判断する(ステップS7)。切替指示が入力されたタイミング以後に傾き絶対値出力部23から出力される傾きの絶対値が定常状態での値でない場合には、再びステップS4以降の処理が実行される。一方、切替指示が入力されたタイミング以後に傾き絶対値出力部23から出力される傾きの絶対値が定常状態での値である場合には、引き続きステップS8の処理が実行される。
次に、累積加算回路26は、周波数偏移算出部25により算出された定常状態の変調用信号の波形の周波数偏移を所定のクロック周期Tclkごとに累積加算することで、定常状態の変調用信号を発生する(累積加算ステップS8)。なお、この累積加算ステップS8は、パルス信号出力部21から出力されるパルス信号のタイミングにおける変調用信号の波形の1周期ごとの先頭の値を所定値にリセットするようになっている。
次に、変調部35は、累積加算回路26から出力された変調用信号で基準信号発生源10から出力された基準信号を周波数変調してSSC変調信号を発生する(変調ステップS9)。
次に、制御部42は、SSC変調を停止する指示が操作部40に入力されたか否かを判断する(ステップS10)。SSC変調を停止する指示が操作部40に入力されていない場合には、再びステップS8以降の処理が実行される。一方、SSC変調を停止する指示が操作部40に入力された場合には、制御部42は、上記一連のスペクトラム拡散クロック発生処理を終了する。
なお、ステップS4,S6~S8は、変調用信号の波形を発生する変調用信号発生ステップに相当する。さらに、累積加算ステップS4,S8は、変調用信号の波形の1/4周期ごとのタイミングで変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの正負を表す周波数偏移方向情報を出力する周波数偏移方向情報出力ステップと、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの絶対値を傾き絶対値出力部23から出力する傾き絶対値出力ステップと、上記周波数偏移方向情報と上記絶対値を掛け合わせて得られる傾きを出力する傾き出力ステップと、傾き出力部24から出力された傾きに所定のクロック周期Tclkを掛けた値を、累積加算回路26に出力する周波数偏移算出ステップと、を含む。例えば、変調用信号発生ステップは、ダウンスプレッド方式のSSC変調信号を変調ステップS5,S9により発生させるための変調用信号の波形を発生する。また、ステップS6,S7は、累積加算ステップS4,S8により発生される変調用信号の波形のパターンを第1パターンから第2パターンに切り替えるタイミングを制御する切替タイミング制御ステップに相当する。すなわち、切替タイミング制御ステップは、変調用信号の波形を第1パターンから第2パターンに切り替えるための切替指示を含む切替制御信号が外部から入力され、切替指示が入力されたタイミング以後に、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの絶対値が定常状態での値となる時間区間において、第1パターンから第2パターンへの切り替えを行う。
以下、図11のフローチャートを参照しながら、切替タイミング制御ステップS6,S7の処理の詳細を説明する。
まず、傾き判定部28は、傾き絶対値出力ステップから出力された絶対値が、定常状態の変調用信号の波形の傾きの絶対値と等しい所定の一定値であるときに1を出力し、傾き絶対値出力ステップから出力された絶対値が上記所定の一定値でないときに0を出力する(傾き判定ステップS21)。
次に、傾き判定部28は、傾き判定ステップS21から出力された値をOR回路29の一方の入力端子に入力する(OR回路入力ステップS22)。
次に、外部から切替制御信号がRSフリップフロップ30のリセット端子に入力される。同時に、OR回路29は、出力値をRSフリップフロップ30のセット端子に入力する(RSフリップフロップ入力ステップS23)。
次に、RSフリップフロップ30は、OR回路29の他方の入力端子と、傾き絶対値出力部23(傾き絶対値出力ステップ)とに出力値を出力する(ステップS24)。これにより、傾き絶対値出力ステップは、RSフリップフロップ30の出力値が0から1に切り替わったタイミング以後、定常状態の変調用信号の波形の傾きを出力する。
以上説明したように、本実施形態に係るSSC発生器1は、変調用信号の波形のパターンを第1パターンから第2パターンに切り替えるための切替指示が切替タイミング制御回路27に入力されたタイミング以後に、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの絶対値が定常状態の値となる時間区間において、第1パターンから第2パターンへの切り替えを行うようになっている。この構成により、本実施形態に係るSSC発生器1は、任意のタイミングで変調用信号の波形の切替指示を受信しても、変調用信号の波形の周波数偏移を不連続にずらすことなく、トレーニング中の変調用信号の波形から定常状態の変調用信号の波形への切り替えをグリッチレスに行うことができる。
また、本実施形態に係るSSC発生器1は、リセット優先型のRSフリップフロップ30を有する切替タイミング制御回路27を備えることにより、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの絶対値が定常状態の値であるときに、トレーニング中の変調用信号の波形から定常状態の変調用信号の波形への切り替えをグリッチレスに行うことができる。
また、本実施形態に係るSSC発生器1は、変調用信号の波形の1周期ごとの先頭の値を所定値にリセットするため、累積加算回路26の累積加算処理において、変調用信号の波形の1周期ごとに生じるずれが積算されて、変調用信号の波形の周波数偏移の中心周波数が変化してしまうことを防止できる。
(第2の実施形態)
続いて、本発明の第2の実施形態に係るSSC発生器について、図面を参照しながら説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して適宜説明を省略する。また、第1の実施形態と同様の動作についても適宜説明を省略する。
図12に示すように、本発明の第2の実施形態に係るSSC発生器3は、基準信号発生源10と、変調用信号発生器120と、変調部137と、操作部140と、表示部141と、変調制御部142と、を備える。
変調用信号発生器120は、基準信号に対してSSC変調を行うための変調用信号を発生するものであり、フレーム周波数カウント部121と、傾き正負情報出力部122と、傾き絶対値情報出力部123と、乗算部124と、切替制御部125と、累積加算部126と、オフセット加算部127と、を含む。なお、フレーム周波数カウント部121、傾き正負情報出力部122、傾き絶対値情報出力部123、乗算部124、及び累積加算部126には、所定のクロック周期Tclkを与える動作クロックが外部から入力される。
フレーム周波数カウント部121は、外部から入力される動作クロックのクロック数をカウントするものであり、変調制御部142から入力される変調周波数の情報に基づいて、変調用信号の波形パターンのフレームの先頭でクロック数のカウント値をリセットするようになっている。例えば、波形パターンのフレームの1周期が125μsである場合には、フレーム周波数カウント部121は、125μsに相当するカウント値を得たらカウント値を0にリセットする。なお、フレーム周波数カウント部121によりカウントされたクロック数のカウント値は、傾き正負情報出力部122、傾き絶対値情報出力部123、及び切替制御部125に入力される。
傾き正負情報出力部122は、周期的バーストモード正負切替部122aと、連続的モード正負切替部122bと、定常状態モード正負切替部122cと、セレクタ(SEL)122dと、を含む。
周期的バーストモード正負切替部122aは、図25(a)に示すような周期的バーストモードの波形パターンの周波数偏移の傾きの正負を表す、+1又は-1の値からなる傾き正負情報を出力するようになっている。具体的には、周期的バーストモード正負切替部122aは、フレーム周波数カウント部121からのカウント値に基づいて、時間幅dt0,dt1,dt5,dt7,dt9の時間区間においては「+1」を傾き正負情報として出力し、時間幅dt2,dt3,dt4,dt6,dt8の時間区間においては「-1」を傾き正負情報として出力する。図13の1段目のグラフの1フレーム目は、周期的バーストモード時の傾き正負情報の一例を示している。
連続的モード正負切替部122bは、図25(b)に示すような連続的モードの波形パターンの周波数偏移の傾きの正負を表す、+1又は-1の値からなる傾き正負情報を出力するようになっている。具体的には、連続的モード正負切替部122bは、フレーム周波数カウント部121からのカウント値に基づいて、時間幅dt0,dt1,dt5,dt7,dt9の時間区間においては「+1」を傾き正負情報として出力し、時間幅dt2,dt3,dt4,dt6,dt8の時間区間においては「-1」を傾き正負情報として出力する。図13の1段目のグラフの2フレーム目は、連続的モード時の傾き正負情報の一例を示している。
定常状態モード正負切替部122cは、フレーム周波数カウント部121からのカウント値に基づいて、変調用信号の三角波の波形の1/2周期ごとに、図24に示すような定常状態モードの波形パターンの周波数偏移の傾きの正負を表す、+1又は-1の値からなる傾き正負情報を出力するようになっている。図13の1段目のグラフの3フレーム目は、定常状態モード時の傾き正負情報の一例を示している。
SEL122dは、周期的バーストモード時には周期的バーストモード正負切替部122aからの傾き正負情報を乗算部124に出力し、連続的モード時には連続的モード正負切替部122bからの傾き正負情報を乗算部124に出力し、定常状態モード時には定常状態モード正負切替部122cからの傾き正負情報を乗算部124に出力するようになっている。
傾き絶対値情報出力部123は、周期的バーストモード傾き切替部123aと、連続的モード傾き切替部123bと、定常状態モード傾き切替部123cと、セレクタ(SEL)123dと、を含む。
周期的バーストモード傾き切替部123aは、フレーム周波数カウント部121からのカウント値に基づいて、図25(a)に示すような周期的バーストモードの波形パターンの周波数偏移の傾きの絶対値の情報(以下、「傾き絶対値情報」とも称する)を出力するようになっている。周期的バーストモード傾き切替部123aから出力される傾き絶対値情報は、ユーザによる操作部140への操作入力により指定される変調周波数や任意の時間区間ごとの周波数偏移に応じて決まる。図13の2段目のグラフの1フレーム目は、周期的バーストモード時の傾き絶対値情報の一例を示している。周期的バーストモード時の傾き絶対値情報は、周期的バーストモード時の周波数偏移の傾きを所定のクロック周期Tclkにわたって積分した値に相当する。
連続的モード傾き切替部123bは、フレーム周波数カウント部121からのカウント値に基づいて、図25(b)に示すような連続的モードの波形パターンの周波数偏移の傾き絶対値情報を出力するようになっている。連続的モード傾き切替部123bから出力される傾き絶対値情報は、ユーザによる操作部140への操作入力により指定される変調周波数や任意の時間区間ごとの周波数偏移に応じて決まる。図13の2段目のグラフの2フレーム目は、連続的モード時の傾き絶対値情報の一例を示している。連続的モード時の傾き絶対値情報は、連続的モード時の周波数偏移の傾きを所定のクロック周期Tclkにわたって積分した値に相当する。
定常状態モード傾き切替部123cは、フレーム周波数カウント部121からのカウント値に基づいて、図24に示すような定常状態モードの波形パターンの周波数偏移の傾き絶対値情報を出力するようになっている。定常状態モード傾き切替部123cから出力される傾き絶対値情報は、ユーザによる操作部140への操作入力により指定される変調周波数や任意の時間区間ごとの周波数偏移に応じて決まる。図13の2段目のグラフの3フレーム目は、定常状態モード時の傾き絶対値情報の一例を示している。定常状態モード時の傾き絶対値情報は、定常状態モード時の周波数偏移の傾きを所定のクロック周期Tclkにわたって積分した値に相当する。
SEL123dは、周期的バーストモード時には周期的バーストモード傾き切替部123aからの傾き絶対値情報を乗算部124に出力し、連続的モード時には連続的モード傾き切替部123bからの傾き絶対値情報を乗算部124に出力し、定常状態モード時には定常状態モード傾き切替部123cからの傾き絶対値情報を乗算部124に出力するようになっている。
乗算部124は、傾き正負情報出力部122から出力された傾き正負情報と、傾き絶対値情報出力部123から出力された傾き絶対値情報を乗算して得られる値、すなわち、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの情報(以下、「傾き情報」とも称する)を出力するようになっている。
累積加算部126は、乗算部124から出力された変調用信号の傾き情報を所定のクロック周期Tclkごとに累積加算することで、変調用信号を発生するようになっている。
オフセット加算部127は、累積加算部126により発生された変調用信号の全体を必要に応じてオフセットすることで、所望の変調用信号を出力するようになっている。例えば、オフセット加算部127は、時間幅dt0の第0区間における周波数偏移の分だけ変調用信号の全体をオフセットする。
切替制御部125は、累積加算部126により発生される変調用信号の波形のパターンを切り替えるための切替指示を含む切替制御信号が外部から入力されるようになっている。切替制御信号は、切替指示のタイミングで1から0に変化する信号である。切替制御部125は、切替指示が入力された後に、変調用信号の波形のパターンを、周期的バーストモードの波形パターンから連続的モードの波形パターンを経て定常状態モードの波形パターンに切り替える。このとき、切替制御部125は、その切替タイミングを制御するための第1切替タイミング制御信号又は第2切替タイミング制御信号をSEL122d及びSEL123dに出力するようになっている。
なお、本実施形態では、周期的バーストモードの波形パターンを「第1パターン」、連続的モードの波形パターンを「第2パターン」、定常状態モードの波形パターンを「第3パターン」とも称する。ここで、切替指示は、例えば、DUTが備えるリンク状態管理機構がトレーニング中の状態から定常状態に遷移したことを示すものであり、SSC発生器3の外部から切替制御部125に入力される。あるいは、切替指示は、操作部140への操作入力により、任意のタイミングで切替制御部125に与えられてもよい。
図14に示すように、切替制御部125は、第1切替制御回路128と、第2切替制御回路132と、を含む。
第1切替制御回路128は、上記の切替指示が外部から入力されたタイミング以後に傾き情報が0になったときに、変調用信号の波形のパターンを第1パターンから第2パターンに切り替える回路である。なお、第1パターンと第2パターンのパターン周期、すなわち、第0区間から第9区間までの1フレームの長さは互いに等しい。また、第1パターンと第2パターンの先頭の時間区間である第0区間における傾き情報は共に0である。つまり、第1切替制御回路128は、第0区間の先頭において変調用信号の波形のパターンを第1パターンから第2パターンに切り替えるようになっている。
例えば、第1切替制御回路128は、傾き判定部129と、第1OR回路130と、第1RSフリップフロップ131と、を備える。
傾き判定部129は、傾き絶対値情報出力部123から出力された傾き絶対値情報が0であるときに1を出力し、傾き絶対値情報出力部123から出力された傾き絶対値情報が0でないときに0を出力するようになっている。
第1OR回路130は、傾き判定部129の出力値(入力A)が一方の入力端子に入力されるとともに、後述する第1RSフリップフロップ131の出力値(入力B)が他方の入力端子に入力されるようになっている。
第1RSフリップフロップ131は、リセット優先型のRSフリップフロップであって、切替制御信号(入力R1)がリセット端子に入力されるとともに、第1OR回路130の出力値(入力S1)がセット端子に入力され、入力R1,S1に応じた出力Q1を出力するようになっている。すなわち、リセット端子への入力R1が1のときセット端子の入力S1にかかわらず、出力Q1は0になる。また、リセット端子への入力R1が0であれば、第1切替制御回路128はラッチ回路となる。第1RSフリップフロップ131の出力Q1は、前述の第1切替タイミング制御信号に相当する。
第1RSフリップフロップ131の出力値(出力Q1)は、第1OR回路130の他方の入力端子と、傾き正負情報出力部122と、傾き絶対値情報出力部123とに入力される。傾き絶対値情報出力部123は、第1RSフリップフロップ131の出力値(出力Q1)が0から1に切り替わったタイミングで、第1パターンの傾き絶対値情報に代えて第2パターンの傾き絶対値情報を出力する。
第2切替制御回路132は、第1切替制御回路128により変調用信号の波形のパターンが第1パターンから第2パターンに切り替えられてから1パターン周期分の時間が経過したタイミングで、変調用信号の波形のパターンを第3パターンへ切り替える回路である。
例えば、第2切替制御回路132は、先頭検出部133と、第2OR回路134と、INV回路135と、第2RSフリップフロップ136と、を備える。
先頭検出部133は、パターン周期の先頭を検出したときに1を出力し、パターン周期の先頭を検出していないときに0を出力するようになっている。ここで、先頭検出部133は、フレーム周波数カウント部121のカウント値が0になったときに、パターン周期の先頭、すなわちフレームの先頭を検出したと判断する。
第2OR回路134は、先頭検出部133の出力値(入力C)が一方の入力端子に入力されるとともに、後述する第2RSフリップフロップ136の出力値(入力D)が他方の入力端子に入力されるようになっている。
INV回路135は、第1RSフリップフロップ131の出力値を1クロック遅延させた上で論理反転するようになっている。
第2RSフリップフロップ136は、リセット優先型のRSフリップフロップであって、INV回路135の出力値(入力R2)がリセット端子に入力されるとともに、第2OR回路134の出力値(入力S2)がセット端子に入力され、入力R2,S2に応じた出力Q2を出力するようになっている。すなわち、リセット端子への入力R2が1のときセット端子の入力S2にかかわらず、出力Q2は0になる。また、リセット端子への入力R2が0であれば、第2切替制御回路132はラッチ回路となる。第2RSフリップフロップ136の出力Q2は、前述の第2切替タイミング制御信号に相当する。
第2RSフリップフロップ136の出力値(出力Q2)は、第2OR回路134の他方の入力端子と、傾き正負情報出力部122と、傾き絶対値情報出力部123とに入力される。傾き絶対値情報出力部123は、第2RSフリップフロップ136の出力値(出力Q2)が0から1に切り替わったタイミングで、第2パターンの傾き絶対値情報に代えて第3パターンの傾き絶対値情報を出力する。
図15(a)は、第1パターンの第0区間以外の時間区間で、第1切替制御回路128の第1RSフリップフロップ131に切替指示が入力される場合のタイミングチャートである。また、図15(b)は、図15(a)に示した状態α~ιにおける、傾き判定部129、第1OR回路130、第1RSフリップフロップ131、先頭検出部133、第2OR回路134、及び第2RSフリップフロップ136の真理値表である。
以下、第1切替制御回路128の動作を説明する。第1RSフリップフロップ131に切替指示が入力される前の状態α~γでは、切替制御信号(入力R1)は1であるため、傾き絶対値情報出力部123から出力される傾き絶対値情報にかかわらず、第1RSフリップフロップ131から出力される第1切替タイミング制御信号(出力Q1)は0になる。そして、第1RSフリップフロップ131に切替指示が入力された直後の状態δでは、切替制御信号(入力R1)は0となるが、傾き判定部129が0を出力しているため、第1RSフリップフロップ131からの第1切替タイミング制御信号(出力Q1)は0のままである。次に、状態δの後の状態εでは、傾き判定部129が1を出力するため、第1RSフリップフロップ131からの第1切替タイミング制御信号(出力Q1)は1になる。これにより、第1パターンから第2パターンへの切り替えが行われる。
以下、第2切替制御回路132の動作を説明する。状態α~εでは、INV回路135の出力値(入力R2)は1であるため、傾き絶対値情報出力部123から出力される傾き絶対値情報にかかわらず、第2RSフリップフロップ136から出力される第2切替タイミング制御信号(出力Q2)は0になる。そして、状態ζ,ηでは、INV回路135の出力値(入力R2)は0となるが、先頭検出部133が0を出力しているため、第2RSフリップフロップ136からの第2切替タイミング制御信号(出力Q2)は0のままである。次に、状態θでは、先頭検出部133が1を出力するため、第2RSフリップフロップ136からの第2切替タイミング制御信号(出力Q2)は1になる。これにより、第2パターンから第3パターンへの切り替えが行われる。
このように、切替制御信号が1から0に変化してから初めての第0区間の先頭で、第1切替タイミング制御信号がOFFからONに変化する。さらに、切替制御信号が1から0に変化してから2回目の第0区間の先頭で、第2切替タイミング制御信号がOFFからONに変化する。
図12に示す操作部140は、ユーザによる操作入力を受け付けるためのものであり、例えば表示部141の表示画面に対応する入力面への接触操作による接触位置を検出するためのタッチセンサを備えるタッチパネルで構成される。操作部140は、ユーザが表示画面に表示されている特定の項目の位置を指やスタイラス等で触れた際に、タッチセンサが表示画面上で検出した位置と項目の位置との一致を認識することにより、各項目に割り当てられた機能を実行するための信号を変調制御部142に出力する。操作部140は、表示部141に操作可能に表示されるものであってもよく、あるいは、キーボード又はマウスのような入力デバイスを含んで構成されるものであってもよい。
ユーザによる操作部140への操作入力により、所望の規格に応じたスペクトラム拡散が施されたSSC変調信号を発生するために必要な設定情報として、スプレッド方式の選択、変調周波数、基準信号発生源10から出力される基準信号の基準周波数Fc、任意の時間区間ごとの周波数偏移(基準周波数Fcに対する変調の割合)などの設定を行うことが可能である。さらに、ユーザによる操作部140への操作入力により、周期的バーストモードから連続的モードを経て定常状態モードに切り替えるための切替指示を変調制御部142から切替制御部125に出力させることも可能である。
表示部141は、液晶ディスプレイやCRT等の表示機器で構成され、変調制御部142による表示制御に基づき、SSC発生器3に関する設定項目画面や、設定項目画面において各種条件を設定するためのボタン、ソフトキー、プルダウンメニュー、テキストボックスなどの操作対象の表示を行うようになっている。
変調制御部142は、例えばCPU、ROM、RAM、HDDなどを含むマイクロコンピュータ又はパーソナルコンピュータ等で構成され、SSC発生器3を構成する上記各部の動作を制御するものである。また、変調制御部142は、ROM等に記憶された所定のプログラムをRAMに移してCPUで実行することにより、変調用信号発生器120の少なくとも一部をソフトウェア的に構成することが可能である。なお、変調用信号発生器120の少なくとも一部は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのデジタル回路で構成することも可能である。あるいは、変調用信号発生器120の少なくとも一部は、デジタル回路によるハードウェア処理と所定のプログラムによるソフトウェア処理とを適宜組み合わせて構成することも可能である。
図12に示す変調制御部142は、操作部140に対する操作入力に応じて、変調用信号の波形を制御するものである。例えば、変調制御部142は、操作部140に対する操作入力に応じて、変調用信号発生器120から出力される変調用信号の波形のパターンを第1パターンから第2パターンへ切り替えるようになっている。さらに、変調制御部142は、変調用信号発生器120を構成する上記各部の動作を制御するようになっている。
以下、図25(a)及び(b)に示す変調用信号の波形を決定する各種パラメータについて説明する。なお、これらのパラメータは、操作部140に対する操作入力に応じて変調制御部142に設定されるようになっている。
「SSC_Deviation」は、変調用信号の三角波の波形部分の周波数偏移の振幅を示すパラメータである。例えばUSB4の規格の要求では、「SSC_Deviation」の値には5000ppmと5600ppmと5800ppmが含まれるが、変調制御部142には操作部140への操作入力により、「SSC_Deviation」として例えば0~7000ppmの範囲で任意の値を設定可能である。
「SSC_Frequency」は、変調用信号の波形の変調周波数を示すパラメータである。例えばUSB4の規格の要求では、「SSC_Frequency」の値には32kHzと36kHzが含まれるが、変調制御部142には操作部140への操作入力により、「SSC_Frequency」として例えば28~37kHzの範囲で任意の値を設定可能である。なお、変調周波数とは、変調用信号における三角波の波形部分の周波数を指しており、周期的バーストモードや連続的モードの波形パターンのフレームの周波数は、変調周波数の1/4の値となる。
「Initial_Frequency」は、複数の時間区間のうちの第0区間における基準周波数Fcからの変調用信号の波形の周波数偏移を示すパラメータである。例えばUSB4の規格の要求では、「Initial_Frequency」の値には+300ppm,0ppm,-300ppmが含まれるが、変調制御部142には操作部140への操作入力により、「Initial_Frequency」として例えば-1000~1000ppmの範囲の任意の値を設定可能である。
「Minimum_SSC_Deviation」は、変調用信号の波形の周波数偏移の最小値を示すパラメータである。例えばUSB4の規格の要求では、「Minimum_SSC_Deviation」の値には-5000ppm,-4700ppm,-5300ppm,-5600ppmが含まれるが、変調制御部142には操作部140への操作入力により、「Minimum_SSC_Deviation」として例えば-7000ppmから後述する「Overshoot_Peak-Step2」ppmと「Initial_Frequency」ppmとのいずれか小さい方までの範囲で任意の値を設定可能である。
「Maximum_SSC_deviation」は、第5区間から第8区間までの三角波の周波数偏移の最大値を示すパラメータであり、「Minimum_SSC_deviation」と「SSC_Deviation」との和として、下記の式(1)に示すように算出される。
「Overshoot_Peak」は、複数の時間区間のうちの第1区間の最後における、基準周波数Fcからの変調用信号の波形の周波数偏移を示すパラメータである。USB4の規格の要求では、「Overshoot_Peak」の値は1300ppmであるが、変調制御部142には操作部140への操作入力により、「Overshoot_Peak」として例えば「Initial_Frequency」から「SSC_Deviation」までの範囲の任意の値を設定可能である。
「Step1」は、複数の時間区間のうちの第2区間における変調用信号の波形の周波数偏移を示すパラメータである。USB4の規格の要求では、「Step1」の値は1400ppmであるが、変調制御部142には操作部140への操作入力により、「Step1」として例えば、0から後述する「Step2」までの任意の値を設定可能である。また、DP1.4の場合には、変調制御部142には操作部140への操作入力により、「Step1」として例えば、0から「Overshoot_Peak-Minimum_SSC_Deviation」までの範囲の任意の値を設定可能である。
「Step2」は、複数の時間区間のうちの第3区間における変調用信号の波形の周波数偏移を示すパラメータである。USB4の規格の要求では、「Step2」の値は2200ppmであるが、変調制御部142には操作部140への操作入力により、「Step2」として例えば「Step1」から「Minimum_SSC_Deviation」までの範囲の任意の値を設定可能である。なお、DP1.4の場合には「Step2」は存在しない。
「SSC_slope」は、第5区間から第9区間までの三角波の傾きを示すパラメータであり、「SSC_Deviation」と「SSC_Frequency」とを用いて、下記の式(2)により算出される。
dt1は、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きが非線形である第1区間の時間幅を示すパラメータである。USB4の規格の要求では、dt1の値は0.5μsであるが、変調制御部142には操作部140への操作入力により、dt1として例えば0.1~1.5μsの範囲で任意の値を設定可能である。
dt2は、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きが線形である第2区間の時間幅を示すパラメータである。dt2の値は、USB4の規格の要求では0.2μsであり、DP1.4の規格の要求では1.0μsであるが、変調制御部142には操作部140への操作入力により、dt2として例えば0.1~1.5μsの範囲で任意の値を設定可能である。
dt3は、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きが線形である第3区間の時間幅を示すパラメータである。dt3の値は、USB4の規格の要求では0.8μsであるが、変調制御部142には操作部140への操作入力により、dt3として例えば0.1~1.5μsの範囲で任意の値を設定可能である。一方、DP1.4の場合には、dt3の値は、後述する式(5)により算出されるdt5を用いて、下記の式(3)により算出される。
dt4は、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きが線形である第4区間の時間幅を示すパラメータであり、「Overshoot_Peak」と、「Step2」と、「Minimum_SSC_deviation」と、「SSC_slope」とを用いて、下記の式(4)により算出される。一方、DP1.4の場合には、dt4=0である。
dt5は、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きが線形である第5区間の時間幅を示すパラメータであり、「SSC_Frequency」を用いて、下記の式(5)に示すように算出される。
dt9は、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きが線形である第9区間の時間幅を示すパラメータであり、dt5と、「Initial_Frequency」と、「Maximum_SSC_deviation」と、「SSC_slope」とを用いて、下記の式(6)により算出される。一方、DP1.4の場合には、dt9=dt5である。
dt0は、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きが0である第0区間の時間幅を示すパラメータであり、下記の式(7)に示すように、第1区間から第9区間までの時間幅の和を、変調用信号の1フレームの時間幅から減算することで得られる。
ところで、累積加算部126においては、動作クロックの分解能や、使用可能なビット数の制限などによって、変調用信号の波形のフレームの先頭(若しくは最後尾)で出力が元の値に正しく戻らないことが起こり得る。このような場合、図16(a)に示すように、時間の経過とともに元の値からのずれが積算されて、周波数偏移の中心周波数が変化してしまうという問題がある。そこで、累積加算部126は、図16(b)に示すように、フレーム周波数カウント部121のカウント値に基づいて、変調用信号の波形の1フレームごとの値を所定値にリセットするようになっている。例えば、累積加算部126は、変調用信号の波形のフレームの先頭(若しくは最後尾)の値を「Initial_Frequency」の値にリセットしてもよい。
図12に示す変調部137は、変調用信号発生器120のオフセット加算部127から出力された変調用信号で基準信号発生源10から出力された基準信号を周波数変調してSSC変調信号を発生するものであり、加算器35aを含んで構成される。
以下、本実施形態のSSC発生器3を用いるスペクトラム拡散クロック発生方法について、図17のフローチャートを参照しながらその処理の一例を説明する。
まず、ユーザによる操作部140への操作入力により、SSC変調に関する各種パラメータとして、所望の規格、スプレッド方式、基準周波数Fc、「SSC_Deviation」、「SSC_Frequency」、「Initial_Frequency」、「Minimum_SSC_Deviation」、「Overshoot_Peak」、「Step1」、「Step2」、dt1、dt2、dt3などの情報が入力される(ステップS41)。
次に、変調制御部142は、ステップS41でユーザにより入力された各種パラメータを、基準信号発生源10や変調用信号発生器120に設定する(変調制御ステップS42)。
次に、基準信号発生源10は、基準周波数Fcの基準信号を発生する(基準信号発生ステップS43)。
次に、変調用信号発生器120は、周期的バーストモード時の変調用信号(第1パターン)を発生する(変調用信号発生ステップ)。このとき、変調部137は、変調用信号発生器120から出力された周期的バーストモード時の変調用信号で基準信号発生源10から出力された基準信号を周波数変調して、SSC変調の掛かった信号(SSC変調信号)を発生する(変調ステップS44)。
次に、第1切替制御回路128は、変調用信号の波形のパターンを切り替えるための切替指示が第1RSフリップフロップ131に入力されたか否かを判断する(第1切替制御ステップS45)。切替指示が第1RSフリップフロップ131に入力されていない場合には、再びステップS44以降の処理が実行される。一方、切替指示が第1RSフリップフロップ131に入力された場合には、引き続きステップS46の処理が実行される。
次に、第1切替制御回路128は、切替指示が外部から入力されたタイミング以後に傾き絶対値情報出力部123から出力される傾き絶対値情報が0であるか否かを判断する(第1切替制御ステップS46)。切替指示が入力されたタイミング以後に傾き絶対値情報出力部123から出力される傾き絶対値情報が0になっていない場合には、再びステップS44以降の処理が実行される。一方、切替指示が入力されたタイミング以後に傾き絶対値情報出力部123から出力される傾き絶対値情報が0になった場合には、引き続きステップS47の処理が実行される。
次に、変調用信号発生器120は、連続的モード時の変調用信号(第2パターン)を発生する(変調用信号発生ステップ)。このとき、変調部137は、変調用信号発生器120から出力された連続的モード時の変調用信号で基準信号発生源10から出力された基準信号を周波数変調して、SSC変調信号を発生する(変調ステップS47)。
次に、第2切替制御回路132は、第1切替制御ステップS46により変調用信号の波形のパターンが第1パターンから第2パターンに切り替えられてから1パターン周期分の時間が経過したか否かを判断する(第2切替制御ステップS48)。1パターン周期分の時間が経過していない場合には、再びステップS47以降の処理が実行される。一方、1パターン周期分の時間が経過した場合には、引き続きステップS49の処理が実行される。
次に、変調用信号発生器120は、定常状態モード時の変調用信号(第3パターン)を発生する(変調用信号発生ステップ)。このとき、変調部137は、変調用信号発生器120から出力された定常状態モード時の変調用信号で基準信号発生源10から出力された基準信号を周波数変調して、SSC変調信号を発生する(変調ステップS49)。
次に、変調制御部142は、SSC変調を停止する指示が操作部140に入力されたか否かを判断する(ステップS50)。SSC変調を停止する指示が操作部140に入力されていない場合には、引き続きステップS49以降の処理が実行される。一方、SSC変調を停止する指示が操作部140に入力された場合には、変調制御部142は、上記一連のスペクトラム拡散クロック発生処理を終了する。
なお、各変調用信号発生ステップは、傾き正負情報出力ステップと、傾き絶対値情報出力ステップと、乗算ステップと、累積加算ステップと、切替制御ステップS45,S46,S48と、を含む。傾き正負情報出力ステップは、フレーム周波数カウント部121からのカウント値に基づいて、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの正負を表す傾き正負情報を出力する。傾き絶対値情報出力ステップは、フレーム周波数カウント部121からのカウント値に基づいて、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの絶対値を表す傾き絶対値情報を出力する。乗算ステップは、傾き正負情報出力ステップから出力された傾き正負情報と、傾き絶対値情報出力ステップから出力された傾き絶対値情報を乗算して得られる傾きを表す傾き情報を出力する。累積加算ステップは、乗算ステップから出力された傾き情報を所定のクロック周期Tclkごとに累積加算することで、変調用信号を発生する。切替制御ステップS45,S46,S48は、累積加算ステップにより発生される変調用信号の波形のパターンを切り替えるタイミングを制御する。
以下、図18のフローチャートを参照しながら、第1切替制御ステップS45,S46の処理の詳細を説明する。
まず、傾き判定部129は、傾き絶対値情報出力ステップから出力された傾き絶対値情報が0であるときに1を出力し、傾き絶対値情報出力ステップから出力された傾き絶対値情報が0でないときに0を出力する(傾き判定ステップS51)。
次に、傾き判定部129は、傾き判定ステップS51の出力値を第1OR回路130の一方の入力端子に入力する(第1OR回路入力ステップS52)。
次に、切替指示のタイミングで1から0に変化する切替制御信号を第1RSフリップフロップ131のリセット端子に入力する。同時に、第1OR回路130は、出力値を第1RSフリップフロップ131のセット端子に入力する(第1RSフリップフロップ入力ステップS53)。
次に、第1RSフリップフロップ131は、第1OR回路130の他方の入力端子と、傾き絶対値情報出力部123(傾き絶対値情報出力ステップ)とに出力値を入力する(ステップS54)。これにより、傾き絶対値情報出力ステップは、第1RSフリップフロップ131の出力値が0から1に切り替わったタイミングで、第1パターンの傾き絶対値情報に代えて第2パターンの傾き絶対値情報を出力する。
以下、図19のフローチャートを参照しながら、第2切替制御ステップS48の処理の詳細を説明する。
まず、先頭検出部133は、パターン周期の先頭を検出したときに1を出力し、パターン周期の先頭を検出していないときに0を出力する(先頭検出ステップS55)。
次に、先頭検出部133は、先頭検出ステップS55の出力値を第2OR回路134の一方の入力端子に入力する(第2OR回路入力ステップS56)。
次に、INV回路135は、第1RSフリップフロップ131の出力値を1クロック遅延させた上で論理反転する(INVステップS57)。
次に、INV回路135は、出力値を第2RSフリップフロップ136のリセット端子に入力する。同時に、第2OR回路134は、出力値を第2RSフリップフロップ136のセット端子に入力する(第2RSフリップフロップ入力ステップS58)。
次に、第2RSフリップフロップ136は、第2OR回路134の他方の入力端子と、傾き絶対値情報出力部123(傾き絶対値情報出力ステップ)とに出力値を入力する(ステップS59)。これにより、傾き絶対値情報出力ステップは、第2RSフリップフロップ136の出力値が0から1に切り替わったタイミングで、第2パターンの傾き絶対値情報に代えて第3パターンの傾き絶対値情報を出力する。
以上説明したように、本実施形態に係るSSC発生器3は、変調用信号の波形のパターンを切り替えるための切替指示が第1切替制御回路128に入力されたタイミング以後に傾き情報が所定の一定値になったときに、変調用信号の波形のパターンを第1パターンから第2パターンに切り替えるようになっている。この構成により、本実施形態に係るSSC発生器3は、任意のタイミングで変調用信号の波形パターンの切替指示を受信しても、変調用信号の波形の周波数偏移を不連続にずらすことなく、波形パターンの切り替えをグリッチレスに行うことができる。
また、本実施形態に係るSSC発生器3は、切替指示が外部から入力されたタイミング以後に傾き情報が0になったときに、変調用信号の波形のパターンを第1パターンから第2パターンに切り替えるようになっている。この構成により、本実施形態に係るSSC発生器3は、USB4やDP1.4に対応した変調用信号の波形パターンを切り替えることができる。
また、本実施形態に係るSSC発生器3は、変調用信号の波形のパターンを第1パターンから第2パターンに切り替えてから1パターン周期分の時間が経過したタイミングで、変調用信号の波形のパターンを第3パターンに切り替えるようになっている。この構成により、本実施形態に係るSSC発生器3は、トレーニング中の変調用信号の波形から定常状態の変調用信号の波形への切り替えをグリッチレスに行うことができる。
また、本実施形態に係るSSC発生器3は、リセット優先型の第1RSフリップフロップ131を有する第1切替制御回路128を備えることにより、変調用信号の波形の傾き情報が0であるときに、変調用信号の波形のパターンを第1パターンから第2パターンへグリッチレスに切り替えることができる。
また、本実施形態に係るSSC発生器3は、リセット優先型の第2RSフリップフロップ136を有する第2切替制御回路132を備えることにより、変調用信号の波形のパターンを第2パターンから第3パターンにグリッチレスに切り替えることができる。
(第3の実施形態)
続いて、本発明の第3の実施形態に係るパルスパターン発生装置及びパルスパターン発生方法、並びに、誤り率測定装置及び誤り率測定方法について、図面を参照しながら説明する。なお、第1又は第2の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して適宜説明を省略する。また、第1又は第2の実施形態と同様の動作についても適宜説明を省略する。
図20に示すように、第3の実施形態に係る誤り率測定装置100は、DUT200から送信される被測定信号のBERを測定するものであって、パルスパターン発生装置50と、データ記憶部51と、信号受信部52と、同期検出部53と、誤り率算出部54と、操作部55と、表示部56と、制御部57と、を備える。
データ記憶部51は、RAMなどのメモリによって構成され、基準になるデータ信号(低レベル電圧:「0」と高レベル電圧:「1」のデータ)をあらかじめ記憶している。
図21に示すように、パルスパターン発生装置50は、スペクトラム拡散されたSSC変調信号を用いて所望のパルスパターン信号を発生するものであり、第1の実施形態のSSC発生器1又は第2の実施形態のSSC発生器3と、パルスパターン発生部2と、を備える。
パルスパターン発生装置50は、データ記憶部51から読み込んだデータ信号を、SSC発生器1又はSSC発生器3により発生されたSSC変調信号を用いて変調することにより、パルスパターン信号を生成する。そして、パルスパターン発生装置50は、このようにして生成されたパルスパターン信号を試験信号としてDUT200に送信するようになっている。このとき、DUT200は、パルスパターン発生装置50から送信されたパルスパターン信号を受信して、受信したパルスパターン信号を被測定信号として信号受信部52に送信する。
パルスパターン発生部2は、SSC発生器1又はSSC発生器3により発生されたSSC変調信号と、データ記憶部51から入力されるデータ信号を入力とし、データ信号をSSC変調信号で変調した所望の繰り返しパターンによるパルスパターン信号を発生するようになっている。例えば、パルスパターン発生部2は、DUT200に入力する既知パターンのパルスパターン信号(試験信号)として、SSC変調信号により変調されたPRBS(Pseudo-Random Bit Sequence:擬似ランダム・ビット・シーケンス)パターン、繰り返し信号としての0,1の連続パターン、任意のパターンからなるプログラマブルパターンを発生する。
図20に示す信号受信部52は、DUT200から送信された被測定信号を受信し、受信した被測定信号を同期検出部53に出力するようになっている。また、信号受信部52は、判断部52aと、切替指示出力部52bとを含む。
判断部52aは、遷移トリガに基づいて、DUT200に搭載されたリンク状態管理機構が所定のステートに遷移したか否かを判断するようになっている。ここで、この遷移トリガは、DUT200のリンク状態管理機構が所定のステートに遷移したことを示すトリガであり、DUT200から送信されたものであってもよく、DUT200から送信された被測定信号に基づいて信号受信部52が生成したものであってもよい。
切替指示出力部52bは、判断部52aによりDUT200のリンク状態管理機構が所定のステートに遷移したと判断された場合に、SSC発生器1の切替タイミング制御回路27のRSフリップフロップ30、又は、SSC発生器3の第1切替制御回路128の第1RSフリップフロップ131に切替指示を出力するようになっている。
同期検出部53は、データ記憶部51から読み込んだデータ信号と、信号受信部52から出力された被測定信号との同期を取るようになっている。そして、同期検出部53は、同期が取れた状態の被測定信号を誤り率算出部54に出力する。
誤り率算出部54は、DUT200を試験するための試験信号の入力に伴ってDUT200から出力される被測定信号と試験信号とを比較して、被測定信号の誤り率を算出するものである。例えば、誤り率算出部54は、同期検出部53から出力された被測定信号と、データ記憶部51に記憶されているデータ信号とを順次比較することにより、被測定信号の誤りビットを検出するとともに、被測定信号のBERを算出するようになっている。
操作部55は、ユーザによる操作入力を受け付けるためのものであり、第1の実施形態における操作部40、又は、第2の実施形態における操作部140と同様に構成され、ユーザによる表示部56の表示画面に対応する入力面への接触操作が制御部57に通知されるようになっている。
表示部56は、第1の実施形態における表示部41、又は、第2の実施形態における表示部141と同様に構成され、制御部57による表示制御に基づき、誤り率算出部54により算出された被測定信号のBERなどの各種表示内容を表示するようになっている。
制御部57は、第1の実施形態における制御部42、又は、第2の実施形態における変調制御部142と同様に構成され、誤り率測定装置100を構成する上記各部の動作を制御するようになっている。また、制御部57は、ROM等に記憶された所定のプログラムをRAMに移して実行することにより、誤り率算出部54の少なくとも一部をソフトウェア的に構成することが可能である。なお、誤り率算出部54の少なくとも一部は、FPGAやASICなどのデジタル回路で構成することも可能である。あるいは、誤り率算出部54の少なくとも一部は、デジタル回路によるハードウェア処理と所定のプログラムによるソフトウェア処理とを適宜組み合わせて構成することも可能である。
なお、本実施形態における操作部55、表示部56、及び制御部57は、それぞれ第1又は第2の実施形態における操作部40,140、表示部41,141、制御部42、及び変調制御部142を兼ねていてもよい。
DUT200は、リンク状態管理機構を搭載しており、リンク状態管理機構が例えば図23に示すような任意のステートに遷移した状態で、誤り率測定装置100から入力された試験信号を誤り率測定装置100の被測定信号として出力する(折り返す)ようになっている。DUT200が対応する規格の例としては、PCIe Gen1~4、USB3.1~4、CEI(Common Electrical Interface)、Ethernet(登録商標)、InfiniBandなどが挙げられる。
DUT200は、信号受信部210と、信号送信部220と、を含む。さらに、信号受信部210は、クロック再生回路211と、データ抽出部212と、を含む。
クロック再生回路211は、誤り率測定装置100から送信された試験信号から再生クロック信号を生成する。データ抽出部212は、クロック再生回路211から出力される再生クロック信号を動作クロックとして使用して、誤り率測定装置100から入力された試験信号のデータを抽出し、抽出したデータを信号送信部220に出力する。例えば、データ抽出部212は、少なくとも1つの0/1判定器を有しており、各0/1判定器にクロック再生回路211からの再生クロック信号が入力されることで、誤り率測定装置100から送信された試験信号のレベルの判定を再生クロック信号のタイミングで行うことができる。
信号送信部220は、データ抽出部212により抽出された試験信号のデータを被測定信号として誤り率測定装置100に出力するようになっている。また、信号送信部220は、DUT200のリンク状態管理機構が所定のステートに遷移したことを示す遷移トリガを、誤り率測定装置100の信号受信部52に送信するようになっていてもよい。
以下、本実施形態のパルスパターン発生方法及び誤り率測定方法について、図22のフローチャートを参照しながらその処理の一例を説明する。
まず、パルスパターン発生装置50のSSC発生器1又はSSC発生器3は、SSC変調信号を発生する(ステップS31)。
次に、パルスパターン発生装置50のパルスパターン発生部2は、データ記憶部51から読み込んだデータ信号をSSC変調信号で変調して、所望の繰り返しパターンによるパルスパターン信号を発生する(ステップS32)。
次に、判断部52aは、DUT200のリンク状態管理機構が所定のステートに遷移したか否かを判断する(判断ステップS33)。この判断は、DUT200から遷移トリガが送信されたか否か、あるいは、DUT200から送信された被測定信号に基づいて信号受信部52が遷移トリガを生成したか否かに基づいて行われる。
次に、切替指示出力部52bは、判断ステップS33によりDUT200のリンク状態管理機構が所定のステートに遷移したと判断された場合に、スペクトラム拡散クロック発生方法の切替タイミング制御ステップS6に切替指示を出力する(切替指示出力ステップS34)。
次に、誤り率算出部54は、DUT200を試験するための試験信号の入力に伴ってDUT200から出力される被測定信号と試験信号とを比較して、被測定信号の誤り率を算出する(誤り率算出ステップS35)。ここで、試験信号は、ステップS32により発生されたパルスパターン信号である。
以上説明したように、本実施形態に係るパルスパターン発生装置50は、SSC発生器1又はSSC発生器3からのSSC変調信号とデータ記憶部51から入力されるデータ信号とから所望の繰り返しパターンによるパルスパターン信号を発生することができる。
また、本実施形態に係る誤り率測定装置100は、SSC変調信号により変調されたパルスパターン信号を試験信号として用いて、DUT200のリンク状態管理機構が所定のステートに遷移した場合に、DUT200の誤り率測定を行うことができる。