JP2022034645A - スペクトラム拡散クロック発生器及びスペクトラム拡散クロック発生方法、パルスパターン発生装置及びパルスパターン発生方法、並びに、誤り率測定装置及び誤り率測定方法 - Google Patents

スペクトラム拡散クロック発生器及びスペクトラム拡散クロック発生方法、パルスパターン発生装置及びパルスパターン発生方法、並びに、誤り率測定装置及び誤り率測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】トレーニング中の変調用信号の波形の調整を行う際のユーザビリティの向上を図ることができるスペクトラム拡散クロック発生器及びスペクトラム拡散クロック発生方法、パルスパターン発生装置及びパルスパターン発生方法、並びに、誤り率測定装置及び誤り率測定方法を提供する。【解決手段】基準信号を発生する基準信号発生源と、変調用信号を発生する変調用信号発生器と、変調用信号で基準信号を周波数変調してSSC変調信号を発生する変調部と、変調用信号の波形を決定するパラメータを設定するための設定画面60を表示する表示部と、設定画面60に対する操作入力を受け付ける操作部と、設定画面60に対する操作入力に応じて変調用信号の波形を制御する変調制御部と、を備え、設定画面60は、変調用信号の波形の周波数偏移を複数の時間区間において任意に設定するための周波数偏移入力部68~70を含む。【選択図】図7

Description

本発明は、基準信号のスペクトラムを拡散してスペクトラム拡散クロック信号を発生するスペクトラム拡散クロック発生器及びスペクトラム拡散クロック発生方法、パルスパターン発生装置及びパルスパターン発生方法、並びに、誤り率測定装置及び誤り率測定方法に関する。
近年、IoTやクラウドコンピューティングの普及により通信システムは膨大なデータを扱うようになり、通信システムを構成する各種の通信機器のインタフェースは高速化とシリアル伝送化が進んでいる。例えば、USB(登録商標)(Universal Serial Bus)やPCIe(登録商標)(Peripheral Component Interconnect Express)などのハイスピードシリアルバス(High Speed Serial Bus)の規格では、LTSSM(Link Training and Status State Machine、以下、「リンク状態管理機構」と称する)と呼ばれるステートマシンにより、デバイス間の通信の初期化やリンク速度の調整などが管理されている。また、上記の規格では、電磁両立性(Electro-Magnetic Compatibility:EMC)対策として、基準信号のスペクトラムを拡散したスペクトラム拡散クロック(Spread-Spectrum Clocking:SSC)によるSSC変調が採用されている。
そして、通信機器における信号の品質評価の指標の一つとして、受信データのうちビット誤りが発生した数と受信データの総数との比較として定義されるビット誤り率(Bit Error Rate:BER)が知られている。BERを測定する従来の誤り率測定装置は、パルスパターン発生装置(Pulse Pattern Generator:PPG)から規格が定める特定パターンを高速に切り替えて出力することによって、被試験対象(Device Under Test:DUT)が備えるリンク状態管理機構を制御し、特定のステートに遷移させる機能(シーケンスパターン機能)を備えている。なお、DUTをステート遷移させるパターンは規格で定められており、誤り率測定装置は、それらのパターンの出力順をシーケンスパターン機能により組み合わせて、PPGからパターンを出力するようになっている。
図16は、リンク状態管理機構のステート遷移の一例を示しており、ステートとして、L0、L0s、L1、L2、Detect、Polling、Configuration、Disabled、Hot Reset、Loopback、Recoveryが定義されている。
ここで、この種の誤り率測定装置では、DUTの誤り率測定を行う際に、スペクトラム拡散されたスペクトラム拡散クロック信号(以下、「SSC変調信号」とも称する)とデータ信号を用いて所望のパルスパターン信号を発生させてDUTに入力させる必要がある。そのため、所望のスプレッド方式でSSC変調信号を発生することができるSSC発生器やパルスパターン発生装置が要求されている。
そして、従来のSSC発生器やパルスパターン発生装置の内部では、SSC変調信号を発生させるために、所定の変調周波数を有する三角波を発生し、この三角波によって所定の基準周波数を有する基準信号を周波数掃引して周波数変調を掛けていた(例えば、特許文献1参照)。
ところで、USB4の規格においては、図16に示したLoopback(ループバック)ステートなどの定常状態と、定常状態の間の途中の遷移状態であるトレーニング中の状態とでは動作要求が異なる。
図17(a)は、定常状態におけるダウンスプレッド方式のSSC変調信号を発生するための変調用信号の波形(三角波)を示しており、縦軸は基準信号の基準周波数に対する周波数偏移を表している。この例では、基準周波数に対する周波数偏移の中心周波数は、基準周波数よりも2500ppmほど低くなっている。また、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きは、三角波の1/2周期でその正負が切り替わるが、絶対値は常に一定である。
図17(b)は、トレーニング中の状態におけるダウンスプレッド方式のSSC変調信号を発生するための変調用信号の波形を示しており、縦軸は基準信号の基準周波数に対する周波数偏移を表している。この変調用信号の波形の前半部分における周波数偏移の傾きは、定常状態と異なり時間変動している。このため、基準周波数に対する周波数偏移の中心周波数は、図17(a)の定常状態の場合よりもδppmだけ大きく(絶対値が小さく)なっている。なお、トレーニング中の変調用信号の波形の後半部分は、定常状態の三角波と同様である。
近年、通信システムを構成する各種の通信機器の多くは、同期用のクロック信号を伝送せず、データ信号のみを伝送するようになっており、受信側の通信機器は、受信したデータ信号からクロック信号を再生するクロック再生回路を備えている。
トレーニング前の状態において、SSC変調が掛かっていない基準信号に基づくパルスパターン信号をDUTに入力している状態から、いきなり定常状態と同等のSSC変調が掛かった基準信号に基づくパルスパターン信号をDUTに入力してしまうと、DUT内のクロック再生回路の入力周波数変動が大きくなる。このため、クロック再生回路内でロックが外れて再生クロックが出力されなくなってしまい、正しくリンクトレーニングが行えなくなる。そこで、USB4などの規格では、SSC変調が掛かっていない基準信号にまず、図17(b)に示すような定常状態でのSSC変調よりも周波数偏移の少ないSSC変調を掛けることにより、DUT内のクロック再生回路の入力周波数変動を抑えることが要求されている。トレーニングが完了して定常状態へ移行した後は、定常状態でのSSC変調を基準信号に掛けることが可能になる。
特許第6606211号公報
特許文献1に開示されたような従来のSSC発生器は、変調用信号の波形を決定するパラメータとして、変調周波数、変調量(周波数偏移の最大振幅)、スプレッド方式を設定することで、三角波の変調用信号の波形を発生可能となる。しかしながら、USB4のトレーニング中の変調用信号の波形を発生させるには、これらのパラメータの設定だけでは足りないという問題があった。
そこで、トレーニング中の変調用信号の波形を発生するモードと、定常状態の変調用信号の波形を発生するモードとを単純に切り替えるという手法が考えられる。しかしながら、変調用信号の波形の単位時間dtに対する単位周波数偏移dfなどのパラメータ設定が行えないと、トレーニング中の変調用信号の波形の微調整が行えないため、使い勝手が悪いという問題がある。
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであって、トレーニング中の変調用信号の波形の調整を行う際のユーザビリティの向上を図ることができるスペクトラム拡散クロック発生器及びスペクトラム拡散クロック発生方法、パルスパターン発生装置及びパルスパターン発生方法、並びに、誤り率測定装置及び誤り率測定方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係るスペクトラム拡散クロック発生器は、基準周波数Fcの基準信号を発生する基準信号発生源と、変調用信号を発生する変調用信号発生器と、前記変調用信号で前記基準信号を周波数変調してスペクトラム拡散クロック信号を発生する変調部と、前記変調用信号の波形を決定するパラメータを設定するための設定画面を表示する表示部と、前記設定画面に対する操作入力を受け付ける操作部と、前記設定画面に対する前記操作入力に応じて、前記変調用信号の波形を制御する変調制御部と、を備え、前記設定画面は、前記変調用信号の波形の周波数偏移を複数の時間区間において任意に設定するための周波数偏移入力部を含む構成である。
この構成により、本発明に係るスペクトラム拡散クロック発生器は、変調用信号の波形の周波数偏移を複数の時間区間において任意に設定するための設定画面を表示するため、トレーニング中の変調用信号の波形の調整を行う際のユーザビリティの向上を図ることができる。
また、本発明に係るスペクトラム拡散クロック発生器においては、前記周波数偏移入力部は、前記複数の時間区間のうちの1番目の時間区間における、前記基準周波数Fcからの前記変調用信号の波形の周波数偏移の割合δを設定するための第1周波数偏移入力部と、前記複数の時間区間のうちの2番目の時間区間における、(1-δ)Fcからの前記変調用信号の波形の周波数偏移の割合δを設定するための第2周波数偏移入力部と、前記複数の時間区間のうちの3番目の時間区間における、(1-δ-δ)Fcからの前記変調用信号の波形の周波数偏移の割合δを設定するための第3周波数偏移入力部と、を含む構成であってもよい。
この構成により、本発明に係るスペクトラム拡散クロック発生器は、設定画面において複数の時間区間ごとにトレーニング中の変調用信号の波形の周波数偏移の割合を設定可能とすることで、トレーニング中の変調用信号の波形の周波数偏移の傾きを任意に設定することができる。
また、本発明に係るスペクトラム拡散クロック発生器においては、前記変調用信号発生器は、前記変調用信号の波形の周波数偏移の傾きに所定のクロック周期を掛けた値を、前記所定のクロック周期ごとに累積加算することで、前記変調用信号を発生する累積加算回路を備え、前記設定画面は、前記累積加算回路により発生される前記変調用信号の波形のパターンを第1パターンから第2パターンに切り替えるためのパターン切替入力部を更に含み、前記第1パターンは、前記傾きの絶対値が所定の一定値である時間区間と、前記傾きの絶対値が前記所定の一定値と異なる時間区間とを含み、前記第2パターンにおける前記傾きの絶対値は常に前記所定の一定値であり、前記変調制御部は、前記操作部によるパターン切替入力部への前記操作入力を契機として、前記第1パターンから前記第2パターンへの切り替えを行う構成であってもよい。
この構成により、本発明に係るスペクトラム拡散クロック発生器は、設定画面が、変調用信号発生器により発生される変調用信号の波形のパターンを第1パターンから第2パターンに切り替えるためのパターン切替入力部を含むことにより、トレーニング中の変調用信号の波形のパターンから定常状態の変調用信号の波形のパターンへのシームレスな変更を行うことができる。
また、本発明に係るスペクトラム拡散クロック発生器においては、前記設定画面は、前記設定画面に対する前記操作入力に応じた前記変調用信号の波形のイメージを表示する波形表示領域を更に含む構成であってもよい。
この構成により、本発明に係るスペクトラム拡散クロック発生器は、設定画面が、設定画面に対する操作入力に応じた変調用信号の波形のイメージを表示する波形表示領域を含むことにより、設定画面上で設定される各パラメータに基づいて生成される変調用信号の波形をユーザに直感的に把握させることが可能である。また、波形表示領域は、トレーニング中の変調用信号の波形のイメージと、定常状態の変調用信号の波形のイメージを示すことにより、スペクトラム拡散クロック発生器がどちらの状態のSSC変調信号を出力しているかをユーザに視覚的に識別させることが可能である。
また、本発明に係るスペクトラム拡散クロック発生器においては、前記変調用信号発生器は、前記変調用信号の波形の1/4周期ごとのタイミングで前記変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの正負を表す周波数偏移方向情報を出力する周波数偏移方向情報出力部と、前記変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの絶対値を出力する傾き絶対値出力部と、前記周波数偏移方向情報と前記絶対値を掛け合わせて得られる前記傾きを出力する傾き出力部と、前記傾き出力部から出力された前記傾きに前記所定のクロック周期を掛けた値を、前記累積加算回路に出力する周波数偏移算出部と、を更に備え、前記変調制御部は、前記傾き絶対値出力部から出力される前記絶対値を制御する構成であってもよい。
この構成により、本発明に係るスペクトラム拡散クロック発生器は、変調用信号の波形の1/4周期ごとに出力されるパルス信号のタイミングで変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの正負を切り替えるため、所望のスプレッド方式(ダウンスプレッド、センタースプレッド、アッパースプレッドの何れかのスプレッド方式)に応じた変調用信号の波形を生成することができる。
また、本発明に係るスペクトラム拡散クロック発生器においては、前記累積加算回路は、前記変調用信号の波形の1周期ごとの先頭の値を所定値にリセットする構成であってもよい。
この構成により、本発明に係るスペクトラム拡散クロック発生器は、変調用信号の波形の1周期ごとの先頭の値を所定値にリセットするため、累積加算回路の累積加算処理において、変調用信号の波形の1周期ごとに生じるずれが積算されて、変調用信号の波形の周波数偏移の中心周波数が変化してしまうことを防止できる。
また、本発明に係るスペクトラム拡散クロック発生方法は、基準周波数Fcの基準信号を発生する基準信号発生ステップと、変調用信号を発生する変調用信号発生ステップと、前記変調用信号で前記基準信号を周波数変調してスペクトラム拡散クロック信号を発生する変調ステップと、前記変調用信号の波形を決定するパラメータを設定するための設定画面を表示部に表示する表示ステップと、前記設定画面に対する操作入力を受け付ける操作ステップと、前記設定画面に対する前記操作入力に応じて、前記変調用信号の波形を制御する変調制御ステップと、を含み、前記操作ステップは、前記変調用信号の波形の周波数偏移を複数の時間区間において任意に設定するための周波数偏移入力ステップを含む構成である。
この構成により、本発明に係るスペクトラム拡散クロック発生方法は、変調用信号の波形の周波数偏移を複数の時間区間において任意に設定するための設定画面を表示するため、トレーニング中の変調用信号の波形の調整を行う際のユーザビリティの向上を図ることができる。
また、本発明に係るスペクトラム拡散クロック発生方法においては、前記周波数偏移入力ステップは、前記複数の時間区間のうちの1番目の時間区間における、前記基準周波数Fcからの前記変調用信号の波形の周波数偏移の割合δを設定するための第1周波数偏移入力ステップと、前記複数の時間区間のうちの2番目の時間区間における、(1-δ)Fcからの前記変調用信号の波形の周波数偏移の割合δを設定するための第2周波数偏移入力ステップと、前記複数の時間区間のうちの3番目の時間区間における、(1-δ-δ)Fcからの前記変調用信号の波形の周波数偏移の割合δを設定するための第3周波数偏移入力ステップと、を含む構成であってもよい。
この構成により、本発明に係るスペクトラム拡散クロック発生方法は、設定画面において複数の時間区間ごとにトレーニング中の変調用信号の波形の周波数偏移の割合を設定可能とすることで、トレーニング中の変調用信号の波形の周波数偏移の傾きを任意に設定することができる。
また、本発明に係るスペクトラム拡散クロック発生方法においては、前記変調用信号発生ステップは、前記変調用信号の波形の周波数偏移の傾きに所定のクロック周期を掛けた値を、前記所定のクロック周期ごとに累積加算することで、前記変調用信号を発生する累積加算ステップを含み、前記操作ステップは、前記累積加算ステップにより発生される前記変調用信号の波形のパターンを第1パターンから第2パターンに切り替えるためのパターン切替入力ステップを更に含み、前記第1パターンは、前記傾きの絶対値が所定の一定値である時間区間と、前記傾きの絶対値が前記所定の一定値と異なる時間区間とを含み、前記第2パターンにおける前記傾きの絶対値は常に前記所定の一定値であり、前記変調制御ステップは、前記パターン切替入力ステップでの前記操作入力を契機として、前記第1パターンから前記第2パターンへの切り替えを行う構成であってもよい。
この構成により、本発明に係るスペクトラム拡散クロック発生方法は、設定画面が、変調用信号発生器により発生される変調用信号の波形のパターンを第1パターンから第2パターンに切り替えるためのパターン切替入力部を含むことにより、トレーニング中の変調用信号の波形のパターンから定常状態の変調用信号の波形のパターンへのシームレスな変更を行うことができる。
また、本発明に係るスペクトラム拡散クロック発生方法においては、前記表示ステップは、前記設定画面に対する前記操作入力に応じた前記変調用信号の波形のイメージを表示する波形表示ステップを更に含む構成であってもよい。
この構成により、本発明に係るスペクトラム拡散クロック発生方法は、表示ステップが、設定画面に対する操作入力に応じた変調用信号の波形のイメージを表示する波形表示ステップを含むことにより、設定画面上で設定される各パラメータに基づいて生成される変調用信号の波形をユーザに直感的に把握させることが可能である。また、波形表示ステップは、トレーニング中の変調用信号の波形のイメージと、定常状態の変調用信号の波形のイメージを示すことにより、スペクトラム拡散クロック発生方法がどちらの状態のSSC変調信号を出力しているかをユーザに視覚的に識別させることが可能である。
また、本発明に係るスペクトラム拡散クロック発生方法においては、前記変調用信号発生ステップは、前記変調用信号の波形の1/4周期ごとのタイミングで前記変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの正負を表す周波数偏移方向情報を出力する周波数偏移方向情報出力ステップと、前記変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの絶対値を出力する傾き絶対値出力ステップと、前記周波数偏移方向情報と前記絶対値を掛け合わせて得られる前記傾きを出力する傾き出力ステップと、前記傾き出力ステップから出力された前記傾きに前記所定のクロック周期を掛けた値を、前記累積加算ステップに出力する周波数偏移算出ステップと、を更に含み、前記変調制御ステップは、前記傾き絶対値出力ステップから出力される前記絶対値を制御する構成であってもよい。
この構成により、本発明に係るスペクトラム拡散クロック発生方法は、変調用信号の波形の1/4周期ごとに出力されるパルス信号のタイミングで変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの正負を切り替えるため、所望のスプレッド方式(ダウンスプレッド、センタースプレッド、アッパースプレッドの何れかのスプレッド方式)に応じた変調用信号の波形を生成することができる。
また、本発明に係るスペクトラム拡散クロック発生方法においては、前記累積加算ステップは、前記変調用信号の波形の1周期ごとの先頭の値を所定値にリセットする構成であってもよい。
この構成により、本発明に係るスペクトラム拡散クロック発生方法は、変調用信号の波形の1周期ごとの先頭の値を所定値にリセットするため、累積加算ステップの累積加算処理において、変調用信号の波形の1周期ごとに生じるずれが積算されて、変調用信号の波形の周波数偏移の中心周波数が変化してしまうことを防止できる。
また、本発明に係るパルスパターン発生装置は、上記のいずれかのスペクトラム拡散クロック発生器により発生された前記スペクトラム拡散クロック信号を用いてパルスパターン信号を発生する構成である。
この構成により、本発明に係るパルスパターン発生装置は、スペクトラム拡散クロック発生器からのSSC変調信号と外部から入力されるデータ信号とから所望の繰り返しパターンによるパルスパターン信号を発生することができる。
また、本発明に係るパルスパターン発生方法は、上記のいずれかのスペクトラム拡散クロック発生方法により発生された前記スペクトラム拡散クロック信号を用いてパルスパターン信号を発生するステップを含む構成である。
この構成により、本発明に係るパルスパターン発生方法は、スペクトラム拡散クロック発生方法からのSSC変調信号と外部から入力されるデータ信号とから所望の繰り返しパターンによるパルスパターン信号を発生することができる。
また、本発明に係る誤り率測定装置は、上記のパルスパターン発生装置と、被試験対象を試験するための試験信号の入力に伴って前記被試験対象から出力される被測定信号と前記試験信号とを比較して、前記被測定信号の誤り率を算出する誤り率算出部と、を備え、前記試験信号は、前記パルスパターン発生装置により発生された前記パルスパターン信号であってもよい。
この構成により、本発明に係る誤り率測定装置は、SSC変調信号により変調されたパルスパターン信号を試験信号として用いて、DUTの誤り率測定を行うことができる。
また、本発明に係る誤り率測定方法は、上記のパルスパターン発生方法と、被試験対象を試験するための試験信号の入力に伴って前記被試験対象から出力される被測定信号と前記試験信号とを比較して、前記被測定信号の誤り率を算出する誤り率算出ステップと、を含み、前記試験信号は、前記パルスパターン発生方法により発生された前記パルスパターン信号であってもよい。
この構成により、本発明に係る誤り率測定方法は、SSC変調信号により変調されたパルスパターン信号を試験信号として用いて、DUTの誤り率測定を行うことができる。
本発明は、トレーニング中の変調用信号の波形の調整を行う際のユーザビリティの向上を図ることができるスペクトラム拡散クロック発生器及びスペクトラム拡散クロック発生方法、パルスパターン発生装置及びパルスパターン発生方法、並びに、誤り率測定装置及び誤り率測定方法を提供するものである。
本発明の第1の実施形態に係るSSC発生器の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係るSSC発生器が備える変調用信号発生器による定常状態のSSC変調用の三角波の生成を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係るSSC発生器が備える変調用信号発生器により発生される変調用信号の波形の一例を示すグラフである。 (a)は時間区間ごとの変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの絶対値の一例を示す表であり、(b)は可変区間(第2区間)における変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの絶対値の一例を示す表である。 本発明の第1の実施形態に係るSSC発生器が備える変調用信号発生器によるトレーニング中のSSC変調用の変調用信号の波形の生成を示す説明図であって、(a)は第1区間におけるSSC変調用の変調用信号の波形の生成を示しており、(b)は第2区間におけるSSC変調用の変調用信号の波形の生成を示している。 本発明の第1の実施形態に係るSSC発生器における三角波の変調用信号の波形の設定画面の表示例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るSSC発生器における周期的バーストモード時の設定画面の表示例(その1)を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るSSC発生器における周期的バーストモード時の変調用信号の波形の設定画面の表示例(その2)を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るSSC発生器における連続的モード時の設定画面の表示例を示す図である。 (a)は従来の累積加算回路における周期ごとの出力のずれを示す説明図であり、(b)は本発明の第1の実施形態における累積加算回路における周期ごとの出力のずれの補正処理を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係るSSC発生器を用いるSSC発生方法の処理を示すフローチャートである。 図11のフローチャートにおけるステップS2の処理の詳細を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係る誤り率測定装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係る誤り率測定装置が備えるパルスパターン発生装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係るパルスパターン発生方法及び誤り率測定方法の処理を示すフローチャートである。 リンク状態管理機構のステート遷移を示す図である。 (a)は定常状態におけるダウンスプレッド方式のSSC変調信号を発生するための三角波の波形を示すグラフであり、(b)はトレーニング中の状態におけるダウンスプレッド方式のSSC変調信号を発生するための変調用信号の波形を示すグラフである。
以下、本発明に係るスペクトラム拡散クロック発生器及びスペクトラム拡散クロック発生方法、パルスパターン発生装置及びパルスパターン発生方法、並びに、誤り率測定装置及び誤り率測定方法の実施形態について図面を用いて説明する。以下では、USB4の規格を例に挙げて説明する。
(第1の実施形態)
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係るスペクトラム拡散クロック発生器(以下、「SSC発生器」とも称する)1は、基準信号発生源10と、変調用信号発生器20と、変調部35と、操作部40と、表示部41と、制御部42と、を備える。
基準信号発生源10は、基準周波数Fcの基準信号(クロック信号)を発生するようになっている。基準周波数Fcは、例えば数GHz程度の周波数である。
変調用信号発生器20は、基準信号に対してSSC変調を行うための変調用信号を発生するものであり、パルス信号出力部21と、周波数偏移方向情報出力部22と、傾き絶対値出力部23と、傾き出力部24と、周波数偏移算出部25と、累積加算回路26と、を含む。
パルス信号出力部21は、変調用信号の波形の1/4周期ごとに、変調周波数情報としてのパルス信号を出力するようになっている。ここで、変調用信号の波形の変調周波数は、USB4の規格の要求では30~33kHzであるが、本実施形態では、例えば28~37kHzの範囲で設定可能である。
周波数偏移方向情報出力部22は、パルス信号出力部21から出力されたパルス信号のタイミング、すなわち変調用信号の波形の1/4周期ごとに、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの正負を表す+1又は-1の値からなる周波数偏移方向情報を出力するようになっている。例えば、USB4のダウンスプレッドの場合の周波数偏移方向情報は、-1,-1,+1,+1となる。
傾き絶対値出力部23は、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの絶対値を出力するようになっている。この傾きは、ユーザによる操作部40への操作入力により指定される変調周波数や任意の時間区間ごとの周波数偏移に応じて決まる。
傾き出力部24は、周波数偏移方向情報出力部22から出力された周波数偏移方向情報と、傾き絶対値出力部23から出力された変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの絶対値を掛け合わせて得られる値、すなわち、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きを出力するようになっている。
周波数偏移算出部25は、傾き出力部24から出力された変調用信号の波形の周波数偏移の傾きに所定のクロック周期Tclkを掛けた値を、所定のクロック周期Tclkごとの周波数偏移として算出し、算出した周波数偏移を累積加算回路26に出力するようになっている。
累積加算回路26は、周波数偏移算出部25により算出された周波数偏移を所定のクロック周期Tclkごとに累積加算することで、変調用信号を発生するようになっている。なお、パルス信号出力部21、周波数偏移方向情報出力部22、傾き絶対値出力部23、傾き出力部24、周波数偏移算出部25、及び累積加算回路26には、上記の所定のクロック周期Tclkを与える動作クロックが外部から入力される。
図2は、変調用信号発生器20による定常状態の変調用信号の波形(三角波)の生成手順を示している。以下、変調用信号発生器20がUSB4のダウンスプレッド方式のSSC変調信号を発生する場合を例に挙げて説明する。また、変調周波数を32kHz、周波数偏移の振幅を5000ppmとする。この場合、周波数偏移の傾きの絶対値は、0.32ppm/nsとなる。
まず、図2の最上段に示すように、パルス信号出力部21は、変調用信号の波形の1/4周期ごとに、変調周波数情報としてのパルス信号を出力する。ここで、変調用信号の波形の1周期は31250nsである。
次に、図2の2段目に示すように、周波数偏移方向情報出力部22は、変調用信号の波形の1/4周期ごとに-1,-1,+1,+1となるダウンスプレッド方式の周波数偏移方向情報を出力する。
次に、傾き絶対値出力部23は、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの絶対値として、0.32ppm/nsを出力する。これにより、図2の3段目に示すように、傾き出力部24は、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きとして、-0.32ppm/ns又は+0.32ppm/nsを出力する。
次に、周波数偏移算出部25は、-0.32×Tclk又は+0.32×Tclkを、所定のクロック周期Tclkごとの周波数偏移として累積加算回路26に出力する。累積加算回路26は、-0.32×Tclk又は+0.32×Tclkを所定のクロック周期Tclkごとに累積加算することで、図2の最下段に示すような変調用信号の波形(三角波)を発生する。
次に、変調用信号発生器20によるトレーニング中の変調用信号の波形の生成について説明する。例えば、USB4の規格で求められているトレーニング中の変調用信号の波形は、変調周波数32kHzにおいて図3に示すようなものである。
USB4の規格では、周波数偏移は、SSC変調が開始されるまで-300~300ppm、SSC変調の開始から200ns経過したときに-1400ppm、SSC変調の開始から1000ns経過したときに-2200ppmとなっている。
図3の例において、0~31250nsの時間区間を第1区間、31250~62500nsの時間区間を第2区間、62500~93750nsの時間区間を第3区間、93750~125000nsの時間区間を第4区間と呼ぶことにすると、各時間区間の周波数偏移の傾きの絶対値は、図4(a)のように与えられる。
すなわち、第1区間の周波数偏移の傾きの絶対値は0ppm/nsである。第2区間の周波数偏移の傾きの絶対値は、0~2/4周期で可変、2/4~4/4周期で0.32ppm/nsである。第3区間及び第4区間の周波数偏移の傾きの絶対値は0.32ppm/nsである。つまり、第2区間の2/4周期から第4区間までは、定常状態と同様のSSC変調が行われる。なお、トレーニング中は、上記の第1区間から第4区間までの波形パターンが繰り返されることになる。
図4(b)は、可変区間である第2区間の0~2/4周期の周波数偏移の傾きの絶対値の一例を示している。すなわち、第2区間の0~200nsの周波数偏移の傾きの絶対値は7ppm/nsである。第2区間の200ns~1000nsの周波数偏移の傾きの絶対値は1ppm/nsである。第2区間の1000ns~2/4周期の周波数偏移の傾きの絶対値は約0.191ppm/nsである。ここで、0.191は、小数点第4位で四捨五入をした値である。
図5(a)は、変調用信号発生器20によるトレーニング中の第1区間の変調用信号の波形の生成手順を示している。
まず、図5(a)の最上段に示すように、パルス信号出力部21は、変調用信号の波形の1/4周期ごとに、変調周波数情報としてのパルス信号を出力する。
次に、図5(a)の2段目に示すように、周波数偏移方向情報出力部22は、変調用信号の波形の1/4周期ごとに-1,-1,+1,+1となるダウンスプレッド方式の周波数偏移方向情報を出力する。
次に、傾き絶対値出力部23は、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの絶対値として、0ppmを出力する。これにより、図5(a)の3段目に示すように、傾き出力部24は、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きとして、0ppmを出力する。
次に、周波数偏移算出部25は、0×Tclkを、所定のクロック周期Tclkごとの周波数偏移として累積加算回路26に出力する。累積加算回路26は、0×Tclkを所定のクロック周期Tclkごとに累積加算することで、図5(a)の最下段に示すような変調用信号の波形を発生する。
図5(b)は、変調用信号発生器20によるトレーニング中の第2区間の変調用信号の波形の生成手順を示している。
まず、図5(b)の最上段に示すように、パルス信号出力部21は、変調用信号の波形の1/4周期ごとに、変調周波数情報としてのパルス信号を出力する。
次に、図5(b)の2段目に示すように、周波数偏移方向情報出力部22は、変調用信号の波形の1/4周期ごとに-1,-1,+1,+1となるダウンスプレッド方式の周波数偏移方向情報を出力する。
次に、傾き絶対値出力部23は、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの絶対値として、図4に示した値、すなわち、0~200nsで7ppm/ns、200ns~1000nsで1ppm/ns、1000ns~2/4周期で約0.191ppm/ns、2/4~4/4周期で0.32ppm/nsを出力する。これにより、図5(b)の3段目に示すように、傾き出力部24は、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きとして、それぞれ-7ppm/ns,-1ppm/ns,約-0.191ppm/ns,0.32ppm/nsを出力する。
次に、周波数偏移算出部25は、-7×Tclk,-1×Tclk,約-0.191×Tclk,0.32ppm×Tclkを、所定のクロック周期Tclkごとの周波数偏移として累積加算回路26に出力する。累積加算回路26は、-7×Tclk,-1×Tclk,約-0.191×Tclk,0.32ppm×Tclkを所定のクロック周期Tclkごとに累積加算することで、図5(b)の最下段に示すような変調用信号の波形を発生する。なお、累積加算回路26は、第3区間及び第4区間においては、定常状態の三角波と同じ変調用信号の波形を出力する。
図1に示す操作部40は、ユーザによる操作入力を受け付けるためのものであり、例えば表示部41の表示画面に対応する入力面への接触操作による接触位置を検出するためのタッチセンサを備えるタッチパネルで構成される。操作部40は、ユーザが表示画面に表示されている特定の項目の位置を指やスタイラス等で触れた際に、タッチセンサが表示画面上で検出した位置と項目の位置との一致を認識することにより、各項目に割り当てられた機能を実行するための信号を制御部42に出力する。すなわち、操作部40は、表示部に操作可能に表示される。
ユーザによる操作部40への操作入力により、所望の規格に応じたスペクトラム拡散が施されたSSC変調信号を発生するために必要な設定情報として、スプレッド方式の選択、変調周波数(例えば32kHz)、基準信号発生源10から出力される基準信号の基準周波数Fc、任意の時間区間ごとの周波数偏移(基準周波数Fcに対する変調の割合)などの設定を行うことが可能である。さらに、ユーザによる操作部40への操作入力により、トレーニング中の変調用信号の波形のパターン(以下、「第1パターン」とも称する)から定常状態の変調用信号の波形のパターン(以下、「第2パターン」とも称する)に切り替えるための切替指示を、変調制御部42aから傾き絶対値出力部23に出力させることも可能である。なお、第1パターンは、周波数偏移の傾きの絶対値が所定の一定値である時間区間と、周波数偏移の傾きの絶対値が上記所定の一定値と異なる時間区間とを含む。一方、第2パターンは、周波数偏移の傾きの絶対値は常に上記所定の一定値である。
表示部41は、液晶ディスプレイやCRT等の表示機器で構成され、制御部42による表示制御に基づき、後述する設定画面60を含むSSC発生器1に関する設定項目画面や、設定項目画面において各種条件を設定するためのボタン、ソフトキー、プルダウンメニュー、テキストボックスなどの操作対象の表示を行うようになっている。
また、図6~図9に示すように、表示部41は、変調用信号の波形を決定するパラメータを設定するための設定画面60を表示するようになっている。ここで、操作部40は、設定画面60に対する操作入力を受け付けるようになっている。
図6は、三角波の変調用信号の波形を決定するパラメータを設定するための設定画面60の一例を示している。設定画面60は、波形選択部61と、スプレッド方式選択部62と、変調周波数入力部63と、周波数偏移振幅入力部64と、波形表示領域71と、を含む。
波形選択部61は、三角波の変調用信号の波形と、USB4用の変調用信号の波形とを切り替えるためのプルダウンメニューとして構成される。ここで、波形選択部61における「Triangular」の表示は、三角波の変調用信号の波形が選択された状態を示している。
スプレッド方式選択部62は、ダウンスプレッド、センタースプレッド、及びアッパースプレッドの中からスプレッド方式を選択するためのプルダウンメニューとして構成される。ここで、スプレッド方式選択部62における「Down」の表示は、ダウンスプレッドが選択された状態を示している。
変調周波数入力部63は、変調用信号の波形の変調周波数を設定するためのテキストボックスとして構成される。USB4の規格の要求では変調周波数の範囲は30~33kHzであるが、変調周波数入力部63は、波形選択部61の選択結果にかかわらず、例えば28~37kHzの範囲で変調周波数を設定可能である。
周波数偏移振幅入力部64は、変調用信号の波形の周波数偏移の振幅(最大振幅)を設定するためのテキストボックスとして構成される。周波数偏移振幅入力部64は、波形選択部61の選択結果にかかわらず、任意の振幅を設定可能である。
波形表示領域71は、波形選択部61、スプレッド方式選択部62、変調周波数入力部63、及び周波数偏移振幅入力部64に対する操作入力に応じて決定された各パラメータに基づいた、三角波の変調用信号の波形のイメージを表示する。また、波形表示領域71は、上記の各部により決定された各パラメータの変更に応じて、表示する変調用信号の波形のイメージをその都度変更するようになっている。このように構成された波形表示領域71により、各パラメータに基づいて生成される変調用信号の波形をユーザに直感的に把握させることが可能になる。
図7は、USB4用の変調用信号の波形を決定するパラメータを設定するための設定画面60の一例を示している。設定画面60は、波形選択部61と、スプレッド方式選択部62と、変調周波数入力部63と、周波数偏移振幅入力部64と、SSC変調ボタン65と、変調選択部66と、オフセット入力部67と、第1周波数偏移入力部68と、第2周波数偏移入力部69と、第3周波数偏移入力部70と、波形表示領域71と、を含む。なお、図6に示した三角波用の設定画面60と同様の表示及び機能については適宜説明を省略する。
図7において、波形選択部61における「USB4」の表示はUSB4用の変調用信号の波形が選択された状態を示している。なお、図6に示したように、波形選択部61において「Triangular」が選択された場合には、SSC変調ボタン65、変調選択部66、オフセット入力部67、第1周波数偏移入力部68、第2周波数偏移入力部69、及び第3周波数偏移入力部70は、設定画面60に表示されないようになっている。
スプレッド方式選択部62は、波形選択部61で「USB4」が選択されている場合には、自動的に「Down」を表示してダウンスプレッドを選択するようになっている。一方、図6に示したように、波形選択部61で「Triangular」が選択されている場合には、スプレッド方式選択部62は、センタースプレッドやアッパースプレッドも選択可能に表示するようになっている。
SSC変調ボタン65は、変調用信号発生器20の累積加算回路26によるUSB4用の変調用信号の波形の発生の開始又は停止を指示するためのボタンとして構成される。SSC変調ボタン65における「START」の表示は、USB4用の変調用信号の波形の発生が開始されていない状態を示している。「START」が表示された状態のSSC変調ボタン65が操作部40により押下されることで、USB4用の変調用信号の波形の発生が開始される。このとき、図8に示すように、SSC変調ボタン65における「START」の表示が「STOP」に切り替わる。すなわち、図8に示すSSC変調ボタン65における「STOP」の表示は、USB4用の変調用信号の波形の発生が開始された状態を示している。「STOP」が表示された状態のSSC変調ボタン65が操作部40により押下されることで、USB4用の変調用信号の波形の発生が停止され、基準信号発生源10から出力される基準信号にSSC変調が掛からない状態に戻る。
変調選択部66は、累積加算回路26により発生される変調用信号の波形のパターンを第1パターンから第2パターンに切り替えるためのパターン切替入力部を構成する。変調選択部66は、USB4のトレーニング中の変調用信号の波形のパターンを繰り返し出力する周期的バーストモードと、USB4のトレーニング中の変調用信号の波形を1周期分出力した後に、定常状態の三角波の変調用信号の波形のパターンを繰り返し出力する連続的モードとを切り替えるためのプルダウンメニューとして構成される。変調選択部66における「Periodic Burst」の表示は周期的バーストモードを示しており、変調選択部66における「Continuous」の表示は連続的モードを示している。波形選択部61で「USB4」が選択されている場合には、操作部40により変調選択部66の表示が「Periodic Burst」から「Continuous」に切り替えられることで、周期的バーストモードから連続的モードへのシームレスな変更が可能である。
オフセット入力部67は、基準周波数Fcのオフセットを累積加算回路26に設定するためのテキストボックスとして構成される。ここで、基準周波数Fcのオフセットとは、図3に示すようなトレーニング中の変調用信号の波形において、第1区間の周波数偏移と、第2区間以降の周波数偏移の最大値を表している。既に述べたように、USB4の規格の要求では、基準周波数Fcのオフセットを-300~300ppmの範囲で任意に設定可能であるが、オフセット入力部67により、周波数偏移を例えば-1000~1000ppmの範囲で設定可能である。このように、基準周波数Fcのオフセットを規格の要求よりも拡張することで、DUTの周波数偏移に対する耐性を試験するためのSSC変調信号の発生も可能になる。
第1周波数偏移入力部68、第2周波数偏移入力部69、及び第3周波数偏移入力部70は、変調用信号の波形の周波数偏移を複数の時間区間において任意に設定するための周波数偏移入力部を構成する。なお、第1周波数偏移入力部68、第2周波数偏移入力部69、及び第3周波数偏移入力部70により設定される周波数偏移の和は、周波数偏移振幅入力部64により設定される周波数偏移の振幅に等しくなる必要がある。このため、第1周波数偏移入力部68、第2周波数偏移入力部69、及び第3周波数偏移入力部70のうち、いずれか2つに操作部40により値が入力されると、残りの1つの設定値が自動的に設定されるようになっている。
第1周波数偏移入力部68は、複数の時間区間のうちの1番目の時間区間における、基準周波数Fcからの変調用信号の波形の周波数偏移の割合δを設定するためのテキストボックスとして構成される。ここで、1番目の時間区間とは、波形表示領域71に表示された変調用信号の波形において、周波数偏移が基準周波数Fcから(1-δ)Fcまで変化する時間区間であり、第2区間の最初の200nsを指している。この第1周波数偏移入力部68により、周波数偏移の割合δを例えば1400±200ppmの範囲で設定可能である。
第2周波数偏移入力部69は、複数の時間区間のうちの2番目の時間区間における、(1-δ)Fcからの変調用信号の波形の周波数偏移の割合δを設定するためのテキストボックスとして構成される。ここで、2番目の時間区間とは、波形表示領域71に表示された変調用信号の波形において、周波数偏移が(1-δ)Fcから(1-δ-δ)Fcまで変化する時間区間であり、第2区間の200~1000nsまでを指している。
第3周波数偏移入力部70は、複数の時間区間のうちの3番目の時間区間における、(1-δ-δ)Fcからの変調用信号の波形の周波数偏移の割合δを設定するためのテキストボックスとして構成される。ここで、3番目の時間区間とは、波形表示領域71に表示された変調用信号の波形において、周波数偏移が(1-δ-δ)Fcから(1-δ-δ-δ)Fcまで変化する時間区間であり、第2区間の1000~15625nsまでを指している。この第3周波数偏移入力部70により、周波数偏移の割合δを例えば2800±200ppmの範囲で設定可能である。
なお、図7~図9は、周波数偏移振幅入力部64により5000ppmの周波数偏移の振幅、第1周波数偏移入力部68により1400ppmの周波数偏移、第3周波数偏移入力部70により2800ppmの周波数偏移がそれぞれ設定されたことにより、第2周波数偏移入力部69が自動的に800ppmの周波数偏移を設定する例を示している。
波形表示領域71は、波形選択部61、スプレッド方式選択部62、変調周波数入力部63、周波数偏移振幅入力部64、変調選択部66、オフセット入力部67、第1周波数偏移入力部68、第2周波数偏移入力部69、及び第3周波数偏移入力部70に対する操作入力に応じて決定された各パラメータに基づいた、USB4用の変調用信号の波形のイメージを表示する。また、波形表示領域71は、上記の各部により決定された各パラメータの変更に応じて、表示する変調用信号の波形をその都度変更するようになっている。このように構成された波形表示領域71により、各パラメータに基づいて生成される変調用信号の波形をユーザに直感的に把握させることが可能になる。なお、波形表示領域71は、変調選択部66により「Periodic Burst」が選択されている場合には、図7及び図8に示すように、周期的バーストモードでのUSB4用の変調用信号の波形のイメージを表示する。一方、波形表示領域71は、変調選択部66により「Continuous」が選択されている場合には、図9に示すように、連続的モードでのUSB4用の変調用信号の波形のイメージを表示する。
図1に示す制御部42は、設定画面60に対する操作入力に応じて、変調用信号の波形の周波数偏移とその傾きを任意の時間区間において任意に制御可能な変調制御部42aを含む。例えば、変調制御部42aは、傾き絶対値出力部23から出力される変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの絶対値を任意の時間区間において任意に制御する。また、変調制御部42aは、変調用信号発生器20を構成する上記各部の動作を制御するようになっている。
変調制御部42aは、変調周波数入力部63により設定された変調周波数に応じたパルス信号を、パルス信号出力部21から出力させる。また、変調制御部42aは、スプレッド方式選択部62により設定されたスプレッド方式(ダウンスプレッド、センタースプレッド、アッパースプレッドの何れかのスプレッド方式)に応じて、パルス信号のタイミングで周波数偏移方向情報出力部22から周波数偏移方向情報を出力させる。
また、変調制御部42aは、波形選択部61、スプレッド方式選択部62、変調周波数入力部63、周波数偏移振幅入力部64、変調選択部66、オフセット入力部67、第1周波数偏移入力部68、第2周波数偏移入力部69、及び第3周波数偏移入力部70により設定された変調周波数や任意の時間区間ごとの周波数偏移の振幅に応じた、時間区間ごとの変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの絶対値を傾き絶対値出力部23から出力させる。
さらに、変調制御部42aは、操作部40による変調選択部66への操作入力を契機として、傾き絶対値出力部23に切替指示を出力することにより、変調用信号発生器20により発生される変調用信号の波形のパターンを第1パターンから第2パターンに切り替えることができる。例えば、この切替指示は、操作部40により変調選択部66の表示が「Periodic Burst」から「Continuous」に切り替えられた際に、変調制御部42aから出力される。
ところで、累積加算回路26においては、動作クロックの分解能や、使用可能なビット数の制限などによって、変調用信号の波形の1周期ごとの先頭(若しくは最後尾)で出力が元の値に正しく戻らないことが起こり得る。このような場合、図10(a)に示すように、時間の経過とともに元の値からのずれが積算されて、周波数偏移の中心周波数が変化してしまうという問題がある。そこで、累積加算回路26は、図10(b)に示すように、パルス信号出力部21から出力されるパルス信号のタイミングにおける変調用信号の波形の1周期ごとの値を所定値にリセットするようになっている。例えば、累積加算回路26は、変調用信号の波形の1周期ごとの先頭(若しくは最後尾)の値を-1000~1000ppmの範囲の一定の所定値(例えば、0ppm)にリセットしてもよい。
図1に示す変調部35は、変調用信号発生器20の累積加算回路26から出力された変調用信号で基準信号発生源10から出力された基準信号を周波数変調してSSC変調信号を発生するものであり、加算器35aを含んで構成される。
加算器35aは、基準信号発生源10から入力される基準信号と、変調用信号発生器20から入力される変調用信号とを加算することにより、周波数をスペクトラム拡散したSSC変調信号を出力する。
制御部42は、例えばCPU、ROM、RAM、HDDなどを含むマイクロコンピュータ又はパーソナルコンピュータ等で構成され、SSC発生器1を構成する上記各部の動作を制御するものであって、上述の変調制御部42aを含む。また、制御部42は、ROM等に記憶された所定のプログラムをRAMに移して実行することにより、変調用信号発生器20の少なくとも一部をソフトウェア的に構成することが可能である。なお、変調用信号発生器20の少なくとも一部は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのデジタル回路で構成することも可能である。あるいは、変調用信号発生器20の少なくとも一部は、デジタル回路によるハードウェア処理と所定のプログラムによるソフトウェア処理とを適宜組み合わせて構成することも可能である。
以下、本実施形態のSSC発生器1を用いるスペクトラム拡散クロック発生方法について、図11及び図12のフローチャートを参照しながらその処理の一例を説明する。なお、以下では、波形選択部61において「USB4」が選択される場合を例に挙げる。
まず、表示部41は、変調用信号の波形を決定するパラメータを設定するための設定画面60を表示する(表示ステップS1)。
次に、操作部40は、ユーザによる設定画面60に対する操作入力を受け付ける(ステップS2)。例えば、設定画面60に対する操作入力により、SSC変調に関する各種情報、すなわち、所望の規格、スプレッド方式、基準周波数Fc、変調用信号の波形の変調周波数、任意の時間区間ごとの変調用信号の波形の周波数偏移、周波数偏移の振幅(最大振幅)などの情報が入力される。なお、ステップS2と、後述するパターン切替入力ステップ、及び周波数偏移入力ステップは、操作ステップに相当する。
次に、表示部41は、ステップS2における設定画面60に対する操作入力に応じた変調用信号の波形のイメージを波形表示領域71に表示する(波形表示ステップS3)。
次に、変調制御部42aは、ステップS2でユーザにより入力された各種情報を、基準信号発生源10や変調用信号発生器20に設定する(ステップS4)。このステップS4は、設定画面60に対する操作入力に応じて、ステップS6以降の処理によって生成される変調用信号の波形の周波数偏移とその傾きの絶対値を、任意の時間区間において任意に制御可能とするためのステップである。なお、ステップS4と、後述するステップS9は、変調制御ステップに相当する。
次に、基準信号発生源10は、基準周波数Fcの基準信号を発生する(基準信号発生ステップS5)。
次に、「START」が表示された状態のSSC変調ボタン65が操作部40により押下されることで、累積加算回路26は、周波数偏移算出部25により算出されたトレーニング中の変調用信号の波形の周波数偏移を所定のクロック周期Tclkごとに累積加算して、トレーニング中の変調用信号を発生する(累積加算ステップS6)。なお、この累積加算ステップS6は、パルス信号出力部21から出力されるパルス信号のタイミングにおける変調用信号の波形の1周期ごとの先頭の値を所定値にリセットするようになっている。
次に、変調部35は、累積加算回路26から出力された変調用信号で基準信号発生源10から出力された基準信号を周波数変調してSSC変調の掛かった信号(SSC変調信号)を発生する(変調ステップS7)。
次に、制御部42は、ユーザによる変調選択部66への操作入力により、周期的バーストモードから連続的モードへの切り替えの指定、すなわち、累積加算回路26により発生される変調用信号の波形のパターンを第1パターンから第2パターンに切り替える指定を行うパターン切替入力ステップが実行されたか否かを判断する(ステップS8)。一方、パターン切替入力ステップが実行されていない場合には、再びステップS6以降の処理が実行される。一方、パターン切替入力ステップが実行された場合には、引き続きステップS9の処理が実行される。
ステップS9において変調制御部42aは、パターン切替入力ステップでの変調選択部66への操作入力を契機として、変調用信号の波形のパターンの第1パターンから第2パターンへの切り替えを行うための切替指示を傾き絶対値出力部23に出力する(ステップS9)。
次に、累積加算回路26は、周波数偏移算出部25により算出された定常状態の変調用信号の波形の周波数偏移を所定のクロック周期Tclkごとに累積加算して、定常状態の変調用信号を発生する(累積加算ステップS10)。なお、この累積加算ステップS10は、パルス信号出力部21から出力されるパルス信号のタイミングにおける変調用信号の波形の1周期ごとの先頭の値を所定値にリセットするようになっている。
次に、変調部35は、累積加算回路26から出力された変調用信号で基準信号発生源10から出力された基準信号を周波数変調してSSC変調信号を発生する(変調ステップS11)。
次に、制御部42は、「STOP」が表示された状態のSSC変調ボタン65が操作部40により押下されたか否かを判断する(ステップS12)。「STOP」が表示された状態のSSC変調ボタン65が押下されていない場合には、再びステップS10以降の処理が実行される。一方、「STOP」が表示された状態のSSC変調ボタン65が押下された場合には、制御部42は、上記一連のスペクトラム拡散クロック発生処理を終了する。
なお、累積加算ステップS6,S10は、変調用信号を発生する変調用信号発生ステップに相当する。さらに、変調用信号発生ステップは、変調用信号の波形の1/4周期ごとのタイミングで変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの正負を表す周波数偏移方向情報を出力する周波数偏移方向情報出力ステップと、変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの絶対値を傾き絶対値出力部23から出力する傾き絶対値出力ステップと、上記周波数偏移方向情報と上記絶対値を掛け合わせて得られる傾きを傾き出力部24から出力する傾き出力ステップと、傾き出力部24から出力された傾きに所定のクロック周期Tclkを掛けた値を、累積加算ステップに出力する周波数偏移算出ステップと、を含む。所望の規格がUSB4である場合、変調用信号発生ステップは、ダウンスプレッド方式のSSC変調信号を変調ステップS7,S11により発生させるための変調用信号の波形を発生する。また、変調制御ステップは、傾き絶対値出ステップから出力される絶対値を制御する。
以下、図12のフローチャートを参照しながら、図11のフローチャートにおけるステップS2の処理の詳細を説明する。
まず、波形選択部61、スプレッド方式選択部62、変調周波数入力部63、及び周波数偏移振幅入力部64へのユーザによる操作入力により、変調用信号の波形の種類、スプレッド方式、変調周波数、周波数偏移の振幅(最大振幅)の情報などが入力される(ステップS21)。
次に、制御部42は、波形選択部61により選択された変調用信号の波形の種類がUSB4用の変調用信号の波形であるか否かを判断する(ステップS22)。波形選択部61により選択された変調用信号の波形の種類がUSB4用の変調用信号の波形である場合には、引き続きステップS23の処理が実行される。一方、波形選択部61により選択された変調用信号の波形の種類が三角波の変調用信号の波形である場合には、図11のフローチャートのステップS3以降の処理が実行される。
ステップS23において、オフセット入力部67へのユーザによる操作入力により、基準周波数Fcのオフセットの情報が入力される(ステップS23)。
次に、第1周波数偏移入力部68へのユーザによる操作入力により、複数の時間区間のうちの1番目の時間区間(図3の第2区間の最初の200ns)における、基準周波数Fcからの変調用信号の波形の周波数偏移の割合δの情報が入力される(第1周波数偏移入力ステップS24)。
次に、第2周波数偏移入力部69へのユーザによる操作入力により、複数の時間区間のうちの2番目の時間区間(図3の第2区間の200~1000ns)における、(1-δ)Fcからの変調用信号の波形の周波数偏移の割合δの情報が入力される(第2周波数偏移入力ステップS25)。
次に、第3周波数偏移入力部70へのユーザによる操作入力により、複数の時間区間のうちの3番目の時間区間(図3の第2区間の1000~15625ns)における、(1-δ-δ)Fcからの変調用信号の波形の周波数偏移の割合δの情報が入力される(第3周波数偏移入力ステップS26)。
なお、上記のステップS24~S26の処理は、変調用信号の波形の周波数偏移を複数の時間区間において任意に設定するための周波数偏移入力ステップに相当する。
以上説明したように、本実施形態に係るSSC発生器1は、変調用信号の波形の周波数偏移を複数の時間区間において任意に設定するための設定画面60を表示するため、トレーニング中の変調用信号の波形の調整を行う際のユーザビリティの向上を図ることができる。
また、本実施形態に係るSSC発生器1は、設定画面60において複数の時間区間ごとにトレーニング中の変調用信号の波形の周波数偏移の割合を設定可能とすることで、トレーニング中の変調用信号の波形の周波数偏移の傾きを任意に設定することができる。設定画面60においては、第1周波数偏移入力部68、第2周波数偏移入力部69、及び第3周波数偏移入力部70のうち、いずれか2つに操作部40により値が入力されると、残りの1つの設定値が自動的に設定されるようになっている。これにより、本実施形態に係るSSC発生器1は、ユーザの設定項目を少なくしてユーザビリティを上げている。
また、本実施形態に係るSSC発生器1は、設定画面60が、変調用信号発生器20により発生される変調用信号の波形のパターンを第1パターンから第2パターンに切り替えるための変調選択部66を含むことにより、トレーニング中の変調用信号の波形のパターンから定常状態の変調用信号の波形のパターンへのシームレスな変更を行うことができる。
また、本実施形態に係るSSC発生器1は、設定画面60が、設定画面60に対する操作入力に応じた変調用信号の波形のイメージを表示する波形表示領域71を含むことにより、設定画面60上で設定される各パラメータに基づいて生成される変調用信号の波形をユーザに直感的に把握させることが可能である。また、波形表示領域71は、トレーニング中の変調用信号の波形のイメージと、定常状態の変調用信号の波形のイメージを示すことにより、SSC発生器1がどちらの状態のSSC変調信号を出力しているかをユーザに視覚的に識別させることが可能である。
また、本実施形態に係るSSC発生器1は、変調用信号の波形の1/4周期ごとに出力されるパルス信号のタイミングで変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの正負を切り替えるため、所望のスプレッド方式(ダウンスプレッド、センタースプレッド、アッパースプレッドの何れかのスプレッド方式)に応じた変調用信号の波形を生成することができる。
また、本実施形態に係るSSC発生器1は、変調用信号の波形の1周期ごとの先頭の値を所定値にリセットするため、累積加算回路26の累積加算処理において、変調用信号の波形の1周期ごとに生じるずれが積算されて、変調用信号の波形の周波数偏移の中心周波数が変化してしまうことを防止できる。
(第2の実施形態)
続いて、本発明の第2の実施形態に係るパルスパターン発生装置及びパルスパターン発生方法、並びに、誤り率測定装置及び誤り率測定方法について、図面を参照しながら説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して適宜説明を省略する。また、第1の実施形態と同様の動作についても適宜説明を省略する。
図13に示すように、第2の実施形態に係る誤り率測定装置100は、DUT200から送信される被測定信号のBERを測定するものであって、パルスパターン発生装置50と、データ記憶部51と、信号受信部52と、同期検出部53と、誤り率算出部54と、操作部55と、表示部56と、制御部57と、を備える。
データ記憶部51は、RAMなどのメモリによって構成され、基準になるデータ信号(低レベル電圧:「0」と高レベル電圧:「1」のデータ)をあらかじめ記憶している。
図14に示すように、パルスパターン発生装置50は、スペクトラム拡散されたSSC変調信号を用いて所望のパルスパターン信号を発生するものであり、第1の実施形態のSSC発生器1と、パルスパターン発生部2と、を備える。
パルスパターン発生装置50は、データ記憶部51から読み込んだデータ信号を、SSC発生器1により発生されたSSC変調信号を用いて変調することにより、パルスパターン信号を生成する。そして、パルスパターン発生装置50は、このようにして生成されたパルスパターン信号を試験信号としてDUT200に送信するようになっている。このとき、DUT200は、パルスパターン発生装置50から送信されたパルスパターン信号を受信して、受信したパルスパターン信号を被測定信号として信号受信部52に送信する。
パルスパターン発生部2は、SSC発生器1により発生されたSSC変調信号と、データ記憶部51から入力されるデータ信号を入力とし、データ信号をSSC変調信号で変調した所望の繰り返しパターンによるパルスパターン信号を発生するようになっている。例えば、パルスパターン発生部2は、DUT200に入力する既知パターンのパルスパターン信号(試験信号)として、SSC変調信号により変調されたPRBS(Pseudo-Random Bit Sequence:擬似ランダム・ビット・シーケンス)パターン、繰り返し信号としての0,1の連続パターン、任意のパターンからなるプログラマブルパターンを発生する。
図13に示す信号受信部52は、DUT200から送信された被測定信号を受信し、受信した被測定信号を同期検出部53に出力するようになっている。
同期検出部53は、データ記憶部51から読み込んだデータ信号と、信号受信部52から出力された被測定信号との同期を取るようになっている。そして、同期検出部53は、同期が取れた状態の被測定信号を誤り率算出部54に出力する。
誤り率算出部54は、DUT200を試験するための試験信号の入力に伴ってDUT200から出力される被測定信号と試験信号とを比較して、被測定信号の誤り率を算出するものである。例えば、誤り率算出部54は、同期検出部53から出力された被測定信号と、データ記憶部51に記憶されているデータ信号とを順次比較することにより、被測定信号の誤りビットを検出するとともに、被測定信号のBERを算出するようになっている。
操作部55は、ユーザによる操作入力を受け付けるためのものであり、第1の実施形態における操作部40と同様に構成され、ユーザによる表示部56の表示画面に対応する入力面への接触操作が制御部57に通知されるようになっている。
表示部56は、第1の実施形態における表示部41と同様に構成され、制御部57による表示制御に基づき、誤り率算出部54により算出された被測定信号のBERなどの各種表示内容を表示するようになっている。
制御部57は、第1の実施形態における制御部42と同様に構成され、誤り率測定装置100を構成する上記各部の動作を制御するようになっている。また、制御部57は、ROM等に記憶された所定のプログラムをRAMに移して実行することにより、誤り率算出部54の少なくとも一部をソフトウェア的に構成することが可能である。なお、誤り率算出部54の少なくとも一部は、FPGAやASICなどのデジタル回路で構成することも可能である。あるいは、誤り率算出部54の少なくとも一部は、デジタル回路によるハードウェア処理と所定のプログラムによるソフトウェア処理とを適宜組み合わせて構成することも可能である。
なお、本実施形態における操作部55、表示部56、及び制御部57は、それぞれ第1の実施形態における操作部40、表示部41、及び制御部42を兼ねていてもよい。
DUT200は、リンク状態管理機構を搭載しており、リンク状態管理機構が例えば図16に示すような任意のステートに遷移した状態で、誤り率測定装置100から入力された試験信号を誤り率測定装置100の被測定信号として出力する(折り返す)ようになっている。DUT200が対応する規格の例としては、PCIe Gen1~4、USB3.1~4、CEI(Common Electrical Interface)、Ethernet(登録商標)、InfiniBandなどが挙げられる。
DUT200は、信号受信部210と、信号送信部220と、を含む。さらに、信号受信部210は、クロック再生回路211と、データ抽出部212と、を含む。
クロック再生回路211は、誤り率測定装置100から送信された試験信号から再生クロック信号を生成する。データ抽出部212は、クロック再生回路211から出力される再生クロック信号を動作クロックとして使用して、誤り率測定装置100から入力された試験信号のデータを抽出し、抽出したデータを信号送信部220に出力する。例えば、データ抽出部212は、少なくとも1つの0/1判定器を有しており、各0/1判定器にクロック再生回路211からの再生クロック信号が入力されることで、誤り率測定装置100から送信された試験信号のレベルの判定を再生クロック信号のタイミングで行うことができる。
信号送信部220は、データ抽出部212により抽出された試験信号のデータを被測定信号として誤り率測定装置100に出力するようになっている。
以下、本実施形態のパルスパターン発生方法及び誤り率測定方法について、図15のフローチャートを参照しながらその処理の一例を説明する。
まず、パルスパターン発生装置50のSSC発生器1は、SSC変調信号を発生する(ステップS31)。
次に、パルスパターン発生装置50のパルスパターン発生部2は、データ記憶部51から読み込んだデータ信号をSSC変調信号で変調して、所望の繰り返しパターンによるパルスパターン信号を発生する(ステップS32)。
次に、誤り率算出部54は、DUT200を試験するための試験信号の入力に伴ってDUT200から出力される被測定信号と試験信号とを比較して、被測定信号の誤り率を算出する(誤り率算出ステップS33)。ここで、試験信号は、ステップS32により発生されたパルスパターン信号である。
以上説明したように、本実施形態に係るパルスパターン発生装置50は、SSC発生器1からのSSC変調信号とデータ記憶部51から入力されるデータ信号とから所望の繰り返しパターンによるパルスパターン信号を発生することができる。
また、本実施形態に係る誤り率測定装置100は、SSC変調信号により変調されたパルスパターン信号を試験信号として用いて、DUT200の誤り率測定を行うことができる。
1 SSC発生器
2 パルスパターン発生部
10 基準信号発生源
20 変調用信号発生器
22 周波数偏移方向情報出力部
23 傾き絶対値出力部
24 傾き出力部
25 周波数偏移算出部
26 累積加算回路
35 変調部
40 操作部
41 表示部
42a 変調制御部
50 パルスパターン発生装置
54 誤り率算出部
60 設定画面
61 波形選択部
62 スプレッド方式選択部
63 変調周波数入力部
64 周波数偏移振幅入力部
65 SSC変調ボタン
66 変調選択部
67 オフセット入力部
68 第1周波数偏移入力部
69 第2周波数偏移入力部
70 第3周波数偏移入力部
71 波形表示領域
100 誤り率測定装置
200 DUT

Claims (16)

  1. 基準周波数Fcの基準信号を発生する基準信号発生源(10)と、
    変調用信号を発生する変調用信号発生器(20)と、
    前記変調用信号で前記基準信号を周波数変調してスペクトラム拡散クロック信号を発生する変調部(35)と、
    前記変調用信号の波形を決定するパラメータを設定するための設定画面(60)を表示する表示部(41)と、
    前記設定画面に対する操作入力を受け付ける操作部(40)と、
    前記設定画面に対する前記操作入力に応じて、前記変調用信号の波形を制御する変調制御部(42a)と、を備え、
    前記設定画面は、前記変調用信号の波形の周波数偏移を複数の時間区間において任意に設定するための周波数偏移入力部(68~70)を含むことを特徴とするスペクトラム拡散クロック発生器。
  2. 前記周波数偏移入力部は、
    前記複数の時間区間のうちの1番目の時間区間における、前記基準周波数Fcからの前記変調用信号の波形の周波数偏移の割合δを設定するための第1周波数偏移入力部(68)と、
    前記複数の時間区間のうちの2番目の時間区間における、(1-δ)Fcからの前記変調用信号の波形の周波数偏移の割合δを設定するための第2周波数偏移入力部(69)と、
    前記複数の時間区間のうちの3番目の時間区間における、(1-δ-δ)Fcからの前記変調用信号の波形の周波数偏移の割合δを設定するための第3周波数偏移入力部(70)と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のスペクトラム拡散クロック発生器。
  3. 前記変調用信号発生器は、前記変調用信号の波形の周波数偏移の傾きに所定のクロック周期を掛けた値を、前記所定のクロック周期ごとに累積加算することで、前記変調用信号を発生する累積加算回路(26)を備え、
    前記設定画面は、前記累積加算回路により発生される前記変調用信号の波形のパターンを第1パターンから第2パターンに切り替えるためのパターン切替入力部(66)を更に含み、
    前記第1パターンは、前記傾きの絶対値が所定の一定値である時間区間と、前記傾きの絶対値が前記所定の一定値と異なる時間区間とを含み、
    前記第2パターンにおける前記傾きの絶対値は常に前記所定の一定値であり、
    前記変調制御部は、前記操作部によるパターン切替入力部への前記操作入力を契機として、前記第1パターンから前記第2パターンへの切り替えを行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスペクトラム拡散クロック発生器。
  4. 前記設定画面は、前記設定画面に対する前記操作入力に応じた前記変調用信号の波形のイメージを表示する波形表示領域(71)を更に含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のスペクトラム拡散クロック発生器。
  5. 前記変調用信号発生器は、
    前記変調用信号の波形の1/4周期ごとのタイミングで前記変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの正負を表す周波数偏移方向情報を出力する周波数偏移方向情報出力部(22)と、
    前記変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの絶対値を出力する傾き絶対値出力部(23)と、
    前記周波数偏移方向情報と前記絶対値を掛け合わせて得られる前記傾きを出力する傾き出力部(24)と、
    前記傾き出力部から出力された前記傾きに前記所定のクロック周期を掛けた値を、前記累積加算回路に出力する周波数偏移算出部(25)と、を更に備え、
    前記変調制御部は、前記傾き絶対値出力部から出力される前記絶対値を制御することを特徴とする請求項3に記載のスペクトラム拡散クロック発生器。
  6. 前記累積加算回路は、前記変調用信号の波形の1周期ごとの先頭の値を所定値にリセットすることを特徴とする請求項3又は請求項5に記載のスペクトラム拡散クロック発生器。
  7. 基準周波数Fcの基準信号を発生する基準信号発生ステップ(S5)と、
    変調用信号を発生する変調用信号発生ステップ(S6,S10)と、
    前記変調用信号で前記基準信号を周波数変調してスペクトラム拡散クロック信号を発生する変調ステップ(S7,S11)と、
    前記変調用信号の波形を決定するパラメータを設定するための設定画面(60)を表示部(41)に表示する表示ステップ(S1)と、
    前記設定画面に対する操作入力を受け付ける操作ステップ(S2)と、
    前記設定画面に対する前記操作入力に応じて、前記変調用信号の波形を制御する変調制御ステップ(S4,S9)と、を含み、
    前記操作ステップは、前記変調用信号の波形の周波数偏移を複数の時間区間において任意に設定するための周波数偏移入力ステップ(S24~S26)を含むことを特徴とするスペクトラム拡散クロック発生方法。
  8. 前記周波数偏移入力ステップは、
    前記複数の時間区間のうちの1番目の時間区間における、前記基準周波数Fcからの前記変調用信号の波形の周波数偏移の割合δを設定するための第1周波数偏移入力ステップ(S24)と、
    前記複数の時間区間のうちの2番目の時間区間における、(1-δ)Fcからの前記変調用信号の波形の周波数偏移の割合δを設定するための第2周波数偏移入力ステップ(S25)と、
    前記複数の時間区間のうちの3番目の時間区間における、(1-δ-δ)Fcからの前記変調用信号の波形の周波数偏移の割合δを設定するための第3周波数偏移入力ステップ(S26)と、を含むことを特徴とする請求項7に記載のスペクトラム拡散クロック発生方法。
  9. 前記変調用信号発生ステップは、前記変調用信号の波形の周波数偏移の傾きに所定のクロック周期を掛けた値を、前記所定のクロック周期ごとに累積加算することで、前記変調用信号を発生する累積加算ステップ(S6,S10)を含み、
    前記操作ステップは、前記累積加算ステップにより発生される前記変調用信号の波形のパターンを第1パターンから第2パターンに切り替えるためのパターン切替入力ステップを更に含み、
    前記第1パターンは、前記傾きの絶対値が所定の一定値である時間区間と、前記傾きの絶対値が前記所定の一定値と異なる時間区間とを含み、
    前記第2パターンにおける前記傾きの絶対値は常に前記所定の一定値であり、
    前記変調制御ステップは、前記パターン切替入力ステップでの前記操作入力を契機として、前記第1パターンから前記第2パターンへの切り替えを行うことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のスペクトラム拡散クロック発生方法。
  10. 前記表示ステップは、前記設定画面に対する前記操作入力に応じた前記変調用信号の波形のイメージを表示する波形表示ステップ(S3)を更に含むことを特徴とする請求項7から請求項9のいずれかに記載のスペクトラム拡散クロック発生方法。
  11. 前記変調用信号発生ステップは、
    前記変調用信号の波形の1/4周期ごとのタイミングで前記変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの正負を表す周波数偏移方向情報を出力する周波数偏移方向情報出力ステップ(S6,S10)と、
    前記変調用信号の波形の周波数偏移の傾きの絶対値を出力する傾き絶対値出力ステップ(S6,S10)と、
    前記周波数偏移方向情報と前記絶対値を掛け合わせて得られる前記傾きを出力する傾き出力ステップ(S6,S10)と、
    前記傾き出力ステップから出力された前記傾きに前記所定のクロック周期を掛けた値を、前記累積加算ステップに出力する周波数偏移算出ステップ(S6,S10)と、を更に含み、
    前記変調制御ステップは、前記傾き絶対値出力ステップから出力される前記絶対値を制御することを特徴とする請求項9に記載のスペクトラム拡散クロック発生方法。
  12. 前記累積加算ステップは、前記変調用信号の波形の1周期ごとの先頭の値を所定値にリセットすることを特徴とする請求項9又は請求項11に記載のスペクトラム拡散クロック発生方法。
  13. 前記請求項1から請求項6のいずれかに記載のスペクトラム拡散クロック発生器により発生された前記スペクトラム拡散クロック信号を用いてパルスパターン信号を発生することを特徴とするパルスパターン発生装置。
  14. 前記請求項7から請求項12のいずれかに記載のスペクトラム拡散クロック発生方法により発生された前記スペクトラム拡散クロック信号を用いてパルスパターン信号を発生するステップ(S32)を含むことを特徴とするパルスパターン発生方法。
  15. 前記請求項13に記載のパルスパターン発生装置(50)と、
    被試験対象(200)を試験するための試験信号の入力に伴って前記被試験対象から出力される被測定信号と前記試験信号とを比較して、前記被測定信号の誤り率を算出する誤り率算出部(54)と、を備え、
    前記試験信号は、前記パルスパターン発生装置により発生された前記パルスパターン信号であることを特徴とする誤り率測定装置。
  16. 前記請求項14に記載のパルスパターン発生方法と、
    被試験対象(200)を試験するための試験信号の入力に伴って前記被試験対象から出力される被測定信号と前記試験信号とを比較して、前記被測定信号の誤り率を算出する誤り率算出ステップ(S33)と、を含み、
    前記試験信号は、前記パルスパターン発生方法により発生された前記パルスパターン信号であることを特徴とする誤り率測定方法。
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