JP7185519B2 - 熱硬化性樹脂充填材、その硬化物および多層プリント配線板 - Google Patents

熱硬化性樹脂充填材、その硬化物および多層プリント配線板 Download PDF

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Description

本発明は、熱硬化性樹脂充填材に関し、より詳細には、絶縁層を介して厚さ方向に積層された複数の配線層と、前記複数の配線層の厚さ方向に形成された貫通孔または底部を有する凹部と、前記貫通孔または前記凹部の内壁に導電部と絶縁部と、を備える多層プリント配線板の穴埋めに好適に使用できる熱硬化性樹脂充填材、硬化物、および多層プリント配線板に関する。
電子機器の小型化・高機能化に伴い、プリント配線板のパターンの微細化、実装面積の縮小化、部品実装の高密度化が要求されている。そのため、異なる配線層同士を電気的に接続するための層間接続を形成する貫通孔、すなわちスルーホールが設けられた両面基板や、コア材上に絶縁層、導体回路が順次形成され、ビアホールなどで層間接続されて多層化されたビルドアップ配線板などの多層基板が用いられる。そして、BGA(ボール・グリッド・アレイ)、LGA(ランド・グリッド・アレイ)などのエリアアレイ実装が行われる。
このようなプリント配線板において、表面の導体回路間の凹部や、内壁面に配線層が形成されたスルーホール、ビアホールなどの穴部には、熱硬化性樹脂充填材により穴埋め加工処理がされるのが一般的である。熱硬化性樹脂充填材としては、一般に、熱硬化性樹脂成分としてのエポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤、および無機フィラーを含有する熱硬化性樹脂充填材が用いられている。例えば、特許文献1には、充填性等に優れる熱硬化性樹脂充填材として、液状エポキシ樹脂と、液状フェノール樹脂と、硬化触媒と、2種のフィラーとを含む熱硬化性樹脂充填材が提案されている。
ところで、近年、プリント配線板の高機能化に伴い、スルーホールやビアホールの壁面のめっき膜のうち、層間の導通に関係のない余剰な部分を除去することで、周波数特性を向上させることが行われている。例えば、特許文献2には、バックドリル工法と呼ばれる手法を用いてスルーホールやビアホールを途中まで掘削した穴部を備えたプリント配線板が提案されている。また、特許文献3には、スルーホールやビアホールの壁面の一部のみにめっき膜を設けることも提案されている。
特開2001-019834号公報 特表2007-509487号公報 特開2012-256636号公報
特許文献2および3に記載されているようなプリント配線基板のスルーホール等は、穴部の内壁面の一部にめっき膜等が形成されていない、あるいはめっき膜の一部が除去されており、プリント配線板の絶縁層が露出している箇所が存在する。このような構造を有するスルーホール等の穴部に熱硬化性樹脂充填材を充填して穴埋めを行うと、穴部内壁面に接する充填材は、めっき膜に接する箇所と絶縁層に接する箇所が形成されることになる。プリント配線板の絶縁層はエポキシ樹脂等の樹脂材料で形成されており、めっき膜は銅等の金属材料で形成されている。そのため、充填材を用いて穴埋めを行うと、絶縁層とめっき膜とでは、材料の違いにより充填材の密着性が異なり、その結果、上記のような構造のスルーホール等の穴埋めを行った場合には、穴部内壁面の場所によって内壁面と充填材との密着性が異なり、場合によっては充填材が剥離したりクラックが発生する等の問題があった。特に特許文献2および3のように、穴部内壁が導電部と絶縁部とを有する構造であるとその傾向は顕著であった。また、特許文献2および3のような絶縁部も設けられた構造にすることにより、電気絶縁性も求められるようになった。このように、充填材の本来の目的である電気絶縁性を維持しながら上記のような構造のスルーホール等の穴埋めに適した熱硬化性樹脂充填材は、未だ見出されていない。
したがって、本発明の目的は、導電部および絶縁部の両方への密着性が高く、クラックの発生を抑制し、かつ電気絶縁性にも優れる熱硬化性樹脂充填材を提供することである。特に、絶縁層を介して厚さ方向に積層された複数の配線層と、前記複数の配線層の厚さ方向に形成された貫通孔または底部を有する凹部と、前記貫通孔または前記凹部の内壁に導電部および絶縁部と、を備える多層プリント配線板の穴埋めに用いられる際に、上記特性に優れる熱硬化性樹脂充填材を提供することである。また、本発明の別の目的は、前記熱硬化性樹脂充填材を用いて形成された硬化物および前記硬化物を有する多層プリント配線板を提供することである。
本発明者等は、鋭意研究した結果、上記したような多層プリント配線板においては、導電部および絶縁部の両部と充填材との界面付近の充填状態が著しく悪いことを見出した。すなわち、充填状態、具体的には、充填材を穴部または凹部へ充填した後、この充填状態が維持されにくいことに起因して、絶縁部および導電部の両部と充填材との界面に隙間が生じやすく、かかる隙間の影響により、充填材の密着性が悪くなることを突き止めた。また、本発明者等は、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤と無機フィラーとを含む熱硬化性樹脂充填材において、エポキシ樹脂として特定の官能基を有するエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂硬化剤として特定の硬化温度を有する2種の硬化剤とを組み合わせることにより、導電部および絶縁部の両方への密着性が高く、電気絶縁性にも優れる充填材を実現できるとの知見を得た。
さらに、本発明者等は、上記のような特定の2種のエポキシ樹脂と特定の2種の硬化剤とを併用して用いることにより、導電部および絶縁部の両方への密着性が高く、凹部や穴部の内壁面の導電部の一部に絶縁部が露出しているような構造を有する多層プリント配線板の穴埋めであっても、クラックの発生を抑制でき、かつ電気絶縁性にも優れる充填材を実現できることを見出した。本発明は係る知見によるものである。
すなわち、本発明の熱硬化性樹脂充填材は、
エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤と無機フィラーとを含み、
前記エポキシ樹脂が、3級アミンを有するエポキシ樹脂およびビスフェノール型骨格を有するエポキシ樹脂を含み、
前記エポキシ樹脂硬化剤が、前記エポキシ樹脂の硬化において活性温度が60℃以上130℃未満である硬化剤および活性温度が130℃以上である硬化剤の少なくとも2種の硬化剤を含むことを特徴とするものである。
本発明の実施態様においては、前記3級アミンを有するエポキシ樹脂と前記ビスフェノール型骨格を有するエポキシ樹脂とが、質量基準において20:80~90:10の割合で含まれていてもよい。
また、本発明の実施態様においては、前記ビスフェノール型骨格を有するエポキシ樹脂が、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型およびビスフェノールE型からなる群より選択される少なくとも1種の骨格を有していてもよい。
また、本発明の実施態様においては、前記ビスフェノール型骨格を有するエポキシ樹脂が、ビスフェノールA型骨格を有するエポキシ樹脂、およびビスフェノールF型骨格を有するエポキシ樹脂の少なくとも2種を含んでいてもよい。
また、本発明の実施態様においては、前記エポキシ樹脂硬化剤が、固形のエポキシ樹脂を実質的に含まないものであってもよい。
また、本発明の実施態様においては、前記活性温度が60℃以上130℃未満である硬化剤と活性温度が130℃以上である硬化剤とが、質量基準において1:99~99:1の割合で含まれていてもよい。
また、本発明の実施態様においては、前記活性温度が60℃以上130℃未満である硬化剤が、2-エチル-4-メチルイミダゾールおよび2-メチルイミダゾールからなる群より選択される少なくとも1種のイミダゾール化合物と液状エポキシ化合物との反応物であってもよい。
また、本発明の実施態様においては、前記無機フィラーが、炭酸カルシウム、シリカ、硫酸バリウムおよび酸化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。
また、本発明の実施態様においては、前記無機フィラーの平均粒径が、0.1μm~15μmであってもよい。
さらに、本発明の別の態様による硬化物は、上記熱硬化性樹脂充填材の硬化物である。
また、本発明の別の態様による多層プリント配線板は、上記硬化物を有するものである。
本発明によれば、導電部および絶縁部の両方への密着性が高く、クラックの発生を抑制でき、かつ電気絶縁性にも優れる充填材を実現することができる。特に、絶縁層を介して厚さ方向に積層された複数の配線層と、前記複数の配線層の厚さ方向に形成された貫通孔または底部を有する凹部と、前記貫通孔または前記凹部の内壁に導電部と絶縁部と、を備える多層プリント配線板の穴埋めにおいて用いる際に実現することができる。また、本発明の別の形態によれば、前記熱硬化性樹脂充填材を用いて形成された硬化物および前記硬化物を有する多層プリント配線板を実現することができる。
熱硬化性樹脂充填材を用いてプリント配線板の貫通孔を穴埋めする工程を説明する概略図である。 熱硬化性樹脂充填材を用いてプリント配線板の貫通孔を穴埋めする工程を説明する概略図である。 熱硬化性樹脂充填材を用いてプリント配線板の貫通孔を穴埋めする工程を説明する概略図である。 熱硬化性樹脂充填材を用いてプリント配線板の貫通孔を穴埋めする工程を説明する概略図である。 熱硬化性樹脂充填材により穴埋めされたプリント配線板の一実施形態を示した概略断面図である。 熱硬化性樹脂充填材により穴埋めされたプリント配線板の別の実施形態を示した概略断面図である。 熱硬化性樹脂充填材により穴埋めされたプリント配線板の別の実施形態を示した概略断面図である。
先ず、一般的なプリント配線板に、本発明の熱硬化性樹脂充填材を適用して穴部等の穴埋めを行う方法について、図面を参照しながら説明する。図1は、熱硬化性樹脂充填材を用いてプリント配線板の貫通孔(スルーホール)を穴埋めする工程を説明する概略図である。先ず、内壁表面がめっきされた貫通孔4を有するプリント配線板1を準備する(図1a)。図1aに示すようなプリント配線基板1は、表面に配線層5が設けられた絶縁層6の表面に、ドリル等で貫通孔を形成し、貫通孔4の内壁および配線層の表面に無電解めっきまたは電解めっきを施したものを好適に使用することができる。
次に、貫通孔4に熱硬化性樹脂充填材を充填する。充填方法としては、貫通孔部分に開口を設けたマスクをプリント基板上に載置しておき、マスクを介して熱硬化性樹脂充填材を印刷法等により塗布する方法や、ドット印刷法などにより貫通孔内に熱硬化性樹脂充填材を充填する方法が挙げられる。その後、プリント配線板1を加熱して充填した熱硬化性樹脂充填材を予備硬化させる(図1b)。予備硬化とは、一般に、エポキシ樹脂の反応率が80%~97%の状態のものをいう。予備硬化は、比較的低温で熱硬化性樹脂充填材を一次予備硬化させた後、一次予備硬化よりも高温で二次予備硬化させることが好ましい。このように、予備硬化を行うことにより、後記するようにプリント配線基板1の表面からはみ出している予備硬化物7の不要部分を物理研磨により容易に除去でき、平坦面とすることができる。なお、予備硬化物7の硬度は、予備硬化の加熱時間、加熱温度を変えることによって調整することができる。
続いて、貫通孔の表面からはみ出した予備硬化物7の不要部分を研磨により除去して平坦化する(図1c)。研磨は、ベルトサンダーやバフ研磨等により好適に行なうことができる。
次いで、プリント配線基板1の表面を必要に応じてバフ研磨や粗化処理により前処理を施した後、外層絶縁層8を形成する(図1d)。この前処理により配線層5の表面は、アンカー効果に優れた粗化面が形成されるため外層絶縁層8との密着性に優れたものとなる。外層絶縁層8は、その後に行われる処理に応じてソルダーレジスト層(図示せず)や絶縁樹脂層(図示せず)、あるいは保護マスク(図示せず)などであり、従来公知の各種熱硬化性樹脂組成物や光硬化性および熱硬化性樹脂組成物等の硬化性樹脂組成物を塗布したり、ドライフィルムやプリプレグシートをラミネートして形成することができる。外層絶縁層8に微細なパターンを形成する場合には、光硬化性および熱硬化性樹脂組成物やそのドライフィルムを用いることが好ましい。
その後、プリント配線板1を加熱して本硬化(仕上げ硬化)し外層絶縁層8を形成する。なお、外層絶縁層8の形成に光硬化性および熱硬化性樹脂組成物を用いた場合には周知の方法に従って乾燥(仮硬化)し露光した後、本硬化する。なお、プリント配線基板1として図1(a)に示すような両面基板を用いた場合には、さらに周知の方法により、配線層5の形成と絶縁層6の形成とを交互に繰り返し、必要に応じて貫通孔3の形成を行うことによって、多層プリント配線板を形成することもできる。
図2は、熱硬化性樹脂充填材により穴埋めされた多層プリント配線板の一実施形態を示した概略断面図である。熱硬化性樹脂充填材を適用する多層プリント配線板1は、絶縁層10を介して厚さ方向に、めっき膜等からなる複数の配線層20a、20b、20c、20dが積層されており、複数の配線層20a、20b、20c、20dの厚さ方向に形成された貫通孔40(熱硬化性樹脂充填材により穴埋めされる穴部)を備えている。貫通孔40の穴部の一端には、貫通孔40の内壁に配線層20dから延びる導電部20eが形成されている。貫通孔40の穴部の他端には、導電部20eの形成後に配線層20aの一部を除去するように貫通孔の内径が拡大されており、穴部の内壁には絶縁層が露出することで絶縁部10aが形成された状態になっている。すなわち、貫通孔40(穴部)の内壁は、導電部20eと絶縁部10aとを備えた状態となっている。このように貫通孔40(穴部)の内壁に導電部20eと絶縁部10aとを備えることにより、電気的に接続されない部分が形成され、その結果、伝送効率が向上する。このような断面形状を有する貫通孔40(穴部)に熱硬化性樹脂充填材が充填され、加熱硬化することにより穴埋めが行われる。なお、本実施の形態において、絶縁層とは、異なる配線層間を絶縁しながらも配線層を支持する層をいい、配線層とは、回路により電気的な導通を行う層をいう。また、絶縁部とは、各層を電気的に導通させない箇所をいい、前述した絶縁層も含み得る。一方、導電部とは、めっき膜等、各配線層を電気的に導通させるための箇所をいい、前述した配線層も含み得る。さらに、貫通孔とは、多層プリント配線板の厚さ方向全体を貫通するように設けられる孔をいう。貫通孔は配線層の厚さ方向に形成されていればよく、より具体的には配線層と平行に形成されていなければよい。なお、本実施の形態では、貫通孔の壁面に延びる配線層を導電部としたが、配線層の一部が貫通孔の壁面に露出しているような場合も、導電部というものとする。また、前述した配線層が壁面に延びることにより形成される場合だけでなく、めっき等により導電膜が壁面に形成されるような場合も、導電部というものとする。
本発明の別の実施の形態においては、貫通孔の穴部の形状は上記した以外にも、例えば図3に示すような、配線層30aおよび30dが貫通孔40(穴部)の内壁まで延びて導電部30eを形成し、当該導電部の一部が除去されて絶縁層が露出することで導電部30eと絶縁部10aとを備えた状態となっているような構造の多層プリント配線板であってもよい。なお、本実施の形態では、貫通孔の壁面に延びる配線層を導電部としたが、配線層の一部が貫通孔の壁面に露出しているような場合も、導電部というものとする。また、前述した配線層が壁面に延びることにより形成される場合だけでなく、めっき等により導電膜が壁面に形成されるような場合も、導電部というものとする。
また、本発明の別の実施の形態においては、熱硬化性樹脂充填材を用いて穴埋めが行われるのは貫通孔に限られず、例えば図4に示すような、凹部70を有する多層プリント配線板2であってもよい。多層プリント配線板2は、絶縁層10の一方の表面に設けられた配線層50aが、凹部70の壁面および底部60まで延びて導電部50dを形成し、凹部70の開口側は導電部50dの形成後に配線層50aの一部を除去するように凹部の内径が拡大されており、穴部の内壁には絶縁層が露出することで絶縁部10aが形成された状態になっている。すなわち、底部を有する凹部(穴部)の内壁は、導電部50dと絶縁部10aとを備えた状態となっている。なお、本実施の形態では、凹部の壁面に延びる配線層を導電部としたが、配線層の一部が凹部の壁面に露出しているような場合も、導電部というものとする。このような多層プリント配線板2では、底部60を有する凹部70に熱硬化性樹脂充填材を充填した場合には、配線層50aから延びる導電部と凹部70の壁面に露出した絶縁部との両方に熱硬化性樹脂充填材が接するようになる。また、前述した配線層が壁面に延びることにより形成される場合だけでなく、めっき等により導電膜が壁面に形成されるような場合も、導電部というものとする。本実施の形態において、凹部とは、多層プリント配線板の表面のうち、他の部分よりも明らかに窪んでいると認められる部分をいう。
多層プリント配線板において、貫通孔または底部を有する凹部の内径および深さの範囲としては、内径は0.1~1mm、深さは0.1~10mmがそれぞれ好ましい。
導電部を形成する配線層は、銅めっき、金めっき、錫めっき等、特に制限されるものではないが、後記する熱硬化性樹脂充填材の充填性や硬化物との密着性の観点からは、銅からなるものであることが好ましい。また、同様に、プリント配線板を構成する絶縁層としては、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素系樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキシド、シアネートエステル、ポリイミド、PET、ガラス、セラミック、シリコンウエハ等が挙げられる。これらの中でも、熱硬化性樹脂充填材の充填性や硬化物との密着性の観点からは、ガラス布/不繊布エポキシ、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド、セラミックからなるものであることが好ましく、エポキシ樹脂含有硬化物がより好ましい。エポキシ樹脂含有硬化物とは、ガラス繊維を含侵させたエポキシ樹脂の硬化物またはエポキシ樹脂を含む樹脂組成物の硬化物をいう。
本発明の熱硬化性樹脂充填材は、上記したような貫通孔または凹部の内壁に導電部と絶縁部とを備える孔多層プリント配線板の穴埋めに使用されるものであり、必須成分としてエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤と無機フィラーとを含む。以下、本発明の熱硬化性樹脂充填材を構成する各成分について説明する。
<エポキシ樹脂>
本発明の熱硬化性樹脂充填材は、エポキシ樹脂として、3級アミンを有するエポキシ樹脂およびビスフェノール型骨格を有するエポキシ樹脂の2種のエポキシ樹脂を必須成分として含む。熱硬化性樹脂充填材がこのような特定の2種のエポキシ樹脂を含むことで、導電部および絶縁部の両方への密着性が高く、電気絶縁性にも優れる充填材とすることができる。この理由は定かではないが以下のように考えられる。即ち、本発明においては、エポキシ樹脂として3級アミンのような極性基を有するエポキシ樹脂を含むことにより、エポキシ樹脂等の有機材料からなる絶縁部のみならず金属材料から一般的に形成されている導電部の両部を備える部材に対して、充填材の充填性が向上するものと考えられる。また、ビスフェノール型骨格を有するエポキシ樹脂が含まれることにより、硬化物の吸水性を低減させることができ、その結果、電気絶縁性が向上するものと考えられる。さらに、ビスフェノール型骨格を有するエポキシ樹脂と3級アミンを有するエポキシ樹脂との組合せにより、充填材の充填状態を高いレベルで維持することができ、その結果、絶縁部および導電部の両部への密着性を向上することができる。しかしながら、上記のメカニズムはあくまでも本発明者らの推測であって、必ずしもこの理論に拘束されるものではない。
3級アミンを有するエポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、且つ3級アミン基を有するものであれば特に限定されず、脂肪族系エポキシ樹脂であっても芳香族系エポキシ樹脂であってもよい。耐熱性、電気絶縁性および吸水率等の観点からは、脂肪族系に比べ、芳香族系のエポキシ樹脂であることが好ましい。また、3級アミンを有するエポキシ樹脂は液状、半固形、固形の何れも用いられるが、なかでも、液状であることが好ましい。なお、本発明において液状とは、20℃で流動性を有する液体の状態にあることをいうものとする。
上記したような3級アミンを有するエポキシ樹脂としては、液状のものとしてはテトラグリシジルアミノジフェニルメタン、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン、トリグリシジルパラアミノフェノール、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルオルトトルイジン等が挙げられ、半固形のものとしてはジアミノジフェニルメタン型エポキシ等が挙げられる。これら3級アミンを有するエポキシ樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの市販品としては、三菱ケミカル株式会社製jER630(パラアミノフェノール型エポキシ樹脂)、jER604(ジアミノジフェニルメタン型エポキシ)、住友化学株式会社製ELM-100(パラアミノフェノール型エポキシ樹脂)、日本化薬株式会社製GAN(ジグリシジルアニリン)、日本化薬株式会社製GOT(ジグリシジルオルトトルイジン)等が挙げられる。
上記したビスフェノール型骨格を有するエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE(AD)型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等が挙げられるが、電気絶縁性、導電部および絶縁部への密着性の観点からは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE(AD)型エポキシ樹脂が好ましい。また、ビスフェノール型骨格を有するエポキシ樹脂は液状、半固形、固形の何れも用いられるが、なかでも、充填性の観点から液状であることが好ましい。なお、液状とは、3級アミンを有するエポキシ樹脂の説明で述べたとおりである。これらビスフェノール型骨格を有するエポキシ樹脂は1種類を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよいが、特にビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の2種を併用して用いることが好ましい。これらの市販品としては、三菱ケミカル株式会社製jER828、同jER834、同jER1001(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、同jER807、同jER4004P(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、エア・ウォーター社製R710(ビスフェノールE型エポキシ樹脂)等が挙げられる。
3級アミンを有するエポキシ樹脂とビスフェノール型骨格を有するエポキシ樹脂とは、質量基準において20:80~90:10の割合で含まれることが好ましく、20:80~60:40の割合で含まれることがより好ましくい。両者の割合が上記範囲内であれば、より一層、電気絶縁性に優れ、導電部および絶縁部への密着性にも優れる充填材とすることができる。
本発明の熱硬化性樹脂充填材は、上記した以外のエポキシ樹脂が含まれていてもよく、本発明の効果を損なわない範囲で、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、アルキルフェノール型エポキシ樹脂等が含まれていてもよい。上記したエポキシ樹脂は、穴埋め性の観点から常温で液状であることが好ましいが、常温で固形のエポキシ樹脂を排除するものではなく、常温で固形のエポキシ樹脂を含む場合には、溶剤を用いて常温で固形のエポキシ樹脂を溶解させて使用してもよい。本発明の効果がより一層奏される観点からは、エポキシ樹脂は実質的に固形のエポキシ樹脂を含まないことが好ましい。なお、本明細書において「固形のエポキシ樹脂を実質的に含まない」とは、充填材中の固形のエポキシ樹脂の含有量が厳密に0質量%であること意味するものではなく、不可避的に5質量%までの含有を許容する趣旨である。
<エポキシ樹脂硬化剤>
本発明の熱硬化性樹脂充填材は、上記したエポキシ樹脂を硬化させるためのエポキシ樹脂硬化剤を必須成分として含み、当該エポキシ樹脂硬化剤として、エポキシ樹脂の硬化において活性温度が60℃以上130℃未満である硬化剤および活性温度が130℃以上である硬化剤の少なくとも2種の硬化剤を使用するものである。エポキシ樹脂を硬化させるための一般的に使用されている公知の硬化剤として、例えばアミン類、イミダゾール類、多官能フェノール類、酸無水物、イソシアネート類、およびこれらの官能基を含むポリマー類が挙げられるが、本発明においては、後述するような硬化温度範囲が異なる2種の硬化剤を、上記した特定の2種のエポキシ樹脂と併用することにより、導電部および絶縁部の両方への密着性が高く、クラックの発生を抑制でき、かつ電気絶縁性にも優れる充填材とすることができる。この理由は定かではないが以下のように考えられる。すなわち、硬化温度の違う硬化剤を2種加えることによって急速な硬化反応を抑制できることに起因するものと推測される。その結果、絶縁部および導電部の両部への密着性を向上させながら、クラックの発生および電気絶縁性の両方を改善することができる。しかしながら、上記のメカニズムはあくまでも本発明者らの推測であって、必ずしもこの理論に拘束されるものではない。
上記した特定2種のエポキシ樹脂と組み合わせて使用される活性温度が60℃以上130℃未満である硬化剤としては、一例としてポリアミン、イミダゾールアダクト体、特定のイミダゾール化合物等が挙げられる。ポリアミン類としては、炭素数2~6のポリアルキレンポリアミン、炭素数8~15である芳香環含有脂肪族ポリアミンなどの脂肪族ポリアミンのアダクト化合物、またはイソホロンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどの脂環式ポリアミンのアダクト化合物、または上記脂肪族ポリアミンのアダクト化合物と上記脂環式ポリアミンのアダクト化合物との混合物を主成分とするものが好ましい。特に、キシリレンジアミンまたはイソホロンジアミンのアダクト化合物を主成分とする硬化剤が好ましい。なお、本明細書において、活性温度とは、示差走査熱量計(パーキンエルマー株式会社製、DSC8500)を用いて5℃/分の昇温条件にて試料(充填材(組成物))を測定した際のピークトップの温度を意味するものとする。
上記脂肪族ポリアミンのアダクト化合物としては、当該脂肪族ポリアミンにアリールグリシジルエーテル(特にフェニルグリシジルエーテルまたはトリルグリシジルエーテル)またはアルキルグリシジルエーテルを付加反応させて得られるものが好ましい。また、上記脂環式ポリアミンのアダクト化合物としては、当該脂環式ポリアミンにn-ブチルグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等を付加反応させて得られるものが好ましい。
脂肪族ポリアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミンなど炭素数2~6のアルキレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミンなど炭素数2~6のポリアルキレンポリアミン、キシリレンジアミンなど炭素数8~15の芳香環含有脂肪族ポリアミンなどが挙げられる。変性脂肪族ポリアミンの市販品の例としては、例えばFXE-1000またはフジキュアFXR-1020、フジキュアFXR-1030、フジキュアFXR-1080、FXR-1090M2(富士化成工業株式会社製)、アンカミン2089K、サンマイドP-117、サンマイドX-4150、アンカミン2422、サーウェットR、サンマイドTX-3000、サンマイドA-100(エアープロダクツジャパン株式会社製)等が挙げられる。
脂環式ポリアミンとしては、イソホロンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、ラロミン等を例示することができる。変性脂環式ポリアミンの市販品としては、例えばアンカミン1618、アンカミン2074、アンカミン2596、アンカミン2199、サンマイドIM-544、サンマイドI-544、アンカミン2075、アンカミン2280、アンカミン1934、アンカミン2228(エアープロダクツジャパン株式会社製)、ダイトクラールF-5197、ダイトクラールB-1616(大都産業株式会社製)、フジキュアFXD-821、フジキュア4233(富士化成工業株式会社製)、jERキュア113(三菱ケミカル株式会社製)、ラロミンC-260(BASF社製)等が挙げられる。
また、イミダゾールアダクト体としては、イミダゾール化合物とエポキシ化合物とのアダクト体を好適に使用することができる。アダクト体として使用するエポキシ化合物としては、ビスフェノールA型等のエポキシ樹脂にイミダゾールを反応させたものを挙げることができる。なお、「液状」とは上記定義と同様である。また、イミダゾール化合物としては、例えば、2-メチルイミダゾール、4-メチル-2-エチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-メチル-2-フェニルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-イソプロピルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール等を挙げることができ、これらのなかでも2-エチル-4-メチルイミダゾールおよび、2-メチルイミダゾールを好適に使用することができる。イミダゾールアダクト体の市販品としては、例えば、アミキュアPN-23、アミキュアPN-23J、アミキュアPN-H、アミキュアPN-31、アミキュアPN-31J、アミキュアPN-40、アミキュアPN-40J、アミキュアPN-50、アミキュアPN-F、アミキュアMY-24、アミキュアMY-H(いずれも味の素ファインテクノ株式会社製)、P-0505、L-07N、L-07E(いずれも四国化成工業株式会社製)、P-200(三菱ケミカル株式会社製)、アデカハードナーEH-5001P、アデカハードナーEH-5057PK、アデカハードナーEH-5030S、アデカハードナーEH-5011S(いずれも株式会社ADEKA製)等が挙げられる。さらに、上記以外の活性温度が60℃以上130℃未満である硬化剤として、例えば、2E4MZ、C11Z、2PZ、2MZ-H(これらはいずれも四国化成工業株式会社製)等の特定のイミダゾール化合物を挙げることができる。
また、特定2種のエポキシ樹脂と組み合わせて使用される活性温度が130℃以上である硬化剤としては、特定のイミダゾール化合物を好適に使用することができ、具体的には、2,4-ジアミノ-6―(2‘-メチルイミダゾリルー(1’))-エチルーs-トリアジン、2,4-ジアミノ―6-(2‘エチルー4’-メチルイミダゾリルー(1‘))-エチルーs-トリアジン、2-フェニルー4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニルー4-メチルー5-ヒドロキシルメチルイミダゾール等が挙げられる。活性温度が130℃以上である硬化剤として好適に使用できる市販品としては、例えば、2MZのアジン化物である2MZ-A、2E4MZのアジン化物である2E4MZ-A、2MZをメトキシフェノール化した2PHZ、2P4MHZ(いずれも四国化成工業株式会社製)等が挙げられる。
上記した活性温度が60℃以上130℃未満である硬化剤と活性温度が130℃以上である硬化剤との配合割合は、エポキシ樹脂硬化剤の配合量は、導電部および絶縁部の両方への密着性、クラック発生の抑制、電気絶縁性、吸水性等の観点から、質量基準において1:99~99:1の範囲であることが好ましく、30:70~70:30の範囲であることがより好ましい。
また、上記した2種のエポキシ樹脂硬化剤の総配合量は、導電部および絶縁部の両方への密着性、形状保持性、充填性、クラック発生の抑制、電気絶縁性、吸水性等の観点から、エポキシ樹脂100質量部に対して1~30質量部であることが好ましく、より好ましくは4~20質量部である。
エポキシ樹脂硬化剤としては、本発明の効果を阻害しない範囲で上記以外の従来公知のエポキシ樹脂硬化剤が含まれていてもよく、例えば、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン等のアミン類や、ヒドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールA等の多官能フェノール類およびそのハロゲン化合物、さらに、これにアルデヒドとの縮合物であるノボラック、レゾール樹脂等が挙げられる。酸無水物としては、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等がある。イソシアネート類としては、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等があり、このイソシアネートをフェノール類等でマスクしたものであってもよい。
<無機フィラー>
本発明の熱硬化性樹脂充填材は、充填材の硬化収縮による応力緩和や線膨張係数の調整のため無機フィラーが含まれる。無機フィラーとしては、通常の樹脂組成物に用いられる公知の無機フィラーを用いることができる。具体的には、例えば、シリカ、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、マイカ、タルク、有機ベントナイトなどの非金属フィラーや、銅、金、銀、パラジウム、シリコーンなどの金属フィラーが挙げられる。これら無機フィラーは1種類を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの無機フィラーのなかでも、低吸湿性、低体積膨張性に優れる炭酸カルシウムやシリカ、硫酸バリウム、酸化アルミニウムが好適に用いられ、なかでもシリカおよび炭酸カルシウムがより好適に用いられる。シリカとしては、非晶質、結晶のいずれであってもよく、これらの混合物でもよい。特に非晶質(溶融)シリカが好ましい。また、炭酸カルシウムとしては、天然の重質炭酸カルシウム、合成の沈降炭酸カルシウムのいずれであってもよい。
無機フィラーの形状は、特に制限されるものではなく、球状、針状、板状、鱗片状、中空状、不定形状、六角状、キュービック状、薄片状など挙げられるが、無機フィラーの高配合の観点から球状が好ましい。
また、これら無機フィラーの平均粒径は、無機フィラーの分散性、穴部への充填性、穴埋めした部分に配線層を形成した際の平滑性等を考慮すると、0.1μm~25μm、好ましくは0.1μm~15μmの範囲が適当である。より好ましくは、1μm~10μmである。なお、平均粒径とは平均一次粒径を意味し、平均粒径(D50)は、レーザー回折/散乱法により測定することができる。
無機フィラーの配合割合は、硬化物とした際の熱膨張係数、研磨性、密着性と、印刷性や穴埋め充填性とを両立させる観点から、エポキシ樹脂100質量部に対して、10~1000質量部であることが好ましく、20~500質量部であることがより好ましく、特に30~300質量部であることがより好ましい。
<その他の成分>
本発明の熱硬化性樹脂充填材には、チキソ性を付与するために脂肪酸で処理したフィラー、または有機ベントナイト、タルクなどの不定形フィラーを添加することができる。
上記脂肪酸としては、一般式:(R1COO)-R2(置換基R1は炭素数が5以上の炭化水素、置換基R2は水素または金属アルコキシド、金属であり、nが1~4である)で表される化合物を用いることができる。当該脂肪酸は、置換基R1の炭素数が5以上のとき、チキソ性付与の効果を発現させることができる。より好ましくはnが7以上である。
脂肪酸としては、炭素鎖中に二重結合あるいは三重結合を有する不飽和脂肪酸であってもよいし、それらを含まない飽和脂肪酸であってもよい。例えば、ステアリン酸(炭素数と不飽和結合の数および括弧内はその位置による数値表現とする。18:0)、ヘキサン酸(6:0)、オレイン酸(18:1(9))、イコサン酸(20:0)、ドコサン酸(22:0)、メリシン酸(30:0)などが挙げられる。これら脂肪酸の置換基R1の炭素数は5~30が好ましい。より好ましくは、炭素数5~20である。また、例えば、置換基R2を、アルコキシル基でキャッピングされたチタネート系の置換基とした金属アルコキシドなど、カップリング剤系の構造で長い(炭素数が5以上の)脂肪鎖を有する骨格のものであってもよい。例えば、商品名KR-TTS(味の素ファインテクノ社株式会社製)などを用いることができる。その他、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム(それぞれ川村化成工業株式会社製)など金属石鹸を用いることができる。その他の金属石鹸の元素としては、Ca、Zn、Li、Mg,Naなどがある。
脂肪酸の配合割合は、チキソ性、埋め込み性、消泡性等の観点から、無機フィラー100質量部に対して0.1~2質量部の割合が適当である。
脂肪酸は、予め脂肪酸で表面処理をした無機フィラーを用いることにより配合されてもよく、より効果的に熱硬化性樹脂充填材にチキソ性を付与することが可能となる。この場合、脂肪酸の配合割合は、未処理フィラーを用いた場合より低減することができ、無機フィラーを全て脂肪酸処理フィラーとした場合、脂肪酸の配合割合は、無機フィラー100質量部に対して0.1~1質量部とすることが好ましい。
また、本発明の熱硬化性樹脂充填材には、シラン系カップリング剤が含まれていてもよい。シラン系カップリング剤を配合することにより、無機フィラーとエポキシ樹脂との密着性を向上させ、その硬化物におけるクラックの発生を抑えることが可能となる。
シラン系カップリング剤としては、例えば、エポキシシラン、ビニルシラン、イミダゾールシラン、メルカプトシラン、メタクリロキシシラン、アミノシラン、スチリルシラン、イソシアネートシラン、スルフィドシラン、ウレイドシランなどが挙げられる。また、シラン系カップリング剤は、予めシラン系カップリング剤で表面処理をした無機フィラーを用いることにより配合されてもよい。
シラン系カップリング剤の配合割合は、無機フィラーとエポキシ樹脂との密着性と消泡性とを両立させる観点から、無機フィラー100質量部に対して0.05~2.5質量部とすることが好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂充填材には、その他必要に応じて、フェノール化合物、ホルマリンおよび第一級アミンを反応させて得られるオキサジン環を有するオキサジン化合物を配合してもよい。オキサジン化合物を含有することにより、プリント配線板の穴部に充填された熱硬化性樹脂充填材を硬化した後、形成された硬化物上に無電解めっきを行なう際、過マンガン酸カリウム水溶液などによる硬化物の粗化を容易にし、めっきとのピール強度を向上させることができる。
また、通常のスクリーン印刷用レジストインキに使用されているフタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、ジスアゾイエロー、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラックなどの公知の着色剤を添加してもよい。
また、保管時の保存安定性を付与するために、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、tert-ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジンなどの公知の熱重合禁止剤や、粘度などの調整のために、クレー、カオリン、有機ベントナイト、モンモリロナイトなどの公知の増粘剤、チキソトロピー剤を添加することができる。その他、シリコーン系、フッ素系、高分子系などの消泡剤、レベリング剤やイミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤などの密着性付与剤のような公知の添加剤類を配合することができる。特に、有機ベントナイトを用いた場合、穴部表面からはみ出した部分が研磨・除去し易い突出した状態に形成され易く、研磨性に優れたものとなるので好ましい。また、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等の公知慣用の着色剤等を配合することもできる。
熱硬化性樹脂充填材の回転式粘度計により測定される粘度は、25℃、5rpmの30Sec値で、200~1000dPa・Secであることが好ましい。この範囲の粘度であれば、形状保持性(液ダレ抑制)と埋め込み性との両方をより一層向上させることができる。より好ましくは200~800dPa・Secである。なお、粘度は、JIS Z 8803に記載されているコーンローター(円錐ロータ)とプレートから成るコーンプレート型粘度計で、たとえばTV-30型(東機産業製、ロータ3°×R9.7)で測定される。
本発明の熱硬化性樹脂充填材は、スクリーン印刷法、ロールコーティング法、ダイコーティング法、真空印刷法など公知のパターニング方法を用いて、例えば上記したような多層プリント配線板の貫通孔の穴部や底部を有する凹部に充填される。このとき、穴部や凹部から少しはみ出るように完全に充填される。穴部や凹部が熱硬化性樹脂充填材で充填された多層プリント配線板を、例えば80~160℃で30~180分程度加熱することにより、熱硬化性樹脂充填材が硬化し、硬化物が形成される。特に、アウトガス発生抑制の観点からは2段階で硬化させることが好ましい。すなわち、より低い温度で熱硬化性樹脂充填材を予備硬化させておき、その後に本硬化(仕上げ硬化)することが好ましい。予備硬化としての条件は、80~110℃で30~90分程度の加熱が好ましい。予備硬化した硬化物の硬度は比較的に低いため、基板表面からはみ出している不必要部分を物理研磨により容易に除去でき、平坦面とすることができる。その後、加熱して本硬化させる。本硬化としての条件は、130~160℃で30~180分程度の加熱が好ましい。この際、低膨張性のために硬化物は殆ど膨張も収縮もせず、寸法安定性良く低吸湿性、密着性、電気絶縁性等に優れた最終硬化物となる。なお、予備硬化物の硬度は、予備硬化の加熱時間、加熱温度を変えることによってコントロールすることができる。
上記のようにして熱硬化性樹脂充填材を硬化させることにより硬化物を形成した後、プリント配線板の表面からはみ出した前記硬化物の不要部分を、公知の物理研磨方法により除去し、平坦化した後、表面の配線層を所定パターンにパターニングして、所定の回路パターンが形成される。なお、必要に応じて過マンガン酸カリウム水溶液などにより硬化物の表面粗化を行った後、無電解めっきなどにより硬化物上に配線層を形成してもよい。以上のような方法により、本発明の硬化物を有するプリント配線板が形成される。なお、本発明の課題をより一層解決できる観点からは、プリント配線板の中でも、多層プリント配線板、特に、絶縁層を介して厚さ方向に積層された複数の配線層と、前記複数の配線層の厚さ方向に形成された貫通孔または底部を有する凹部と、前記貫通孔または前記凹部の内壁に導電部と絶縁部と、を備える多層プリント配線板が好ましい。
次に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。なお、以下において「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
<熱硬化性樹脂充填材の調製>
下記表1および2に示す種々の成分を各表に示す割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルにて分散を行い、実施例1~10および比較例1~7の各熱硬化性樹脂充填材を調製した。得られた各熱硬化性樹脂充填材の粘度を粘度計(東機産業株式会社製、TV-30型、ロータ3°×R9.7)を用いて測定したところ、25℃、5rpmの30Sec値の測定条件において、300~500dPa・Secの範囲であった。
なお、表1中の*1~*16は、以下の成分を表す。
*1:三菱ケミカル株式会社製jER630(トリグリシジルアミノフェノール、液状)
*2:住友化学株式会社製ELM-100(パラアミノフェノール型液状エポキシ樹脂)
*3:日本化薬株式会社製GAN(ジグリシジルアニリン、液状)
*4:日本化薬株式会社製GOT(ジグリシジルオルトトルイジン、液状)
*5:三菱ケミカル株式会社製jER828(ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂)
*6:三菱ケミカル株式会社製jER807(ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂)
*7:エア・ウォーター社製R710(ビスフェノールE型液状エポキシ樹脂)
*8:ダウ・ケミカル社製DEN431(フェノールノボラック型半固形エポキシ樹脂)
*9:四国化成工業株式会社製2PHZ(イミダゾールヒドロキシメチル体)
*10:四国化成工業株式会社製2E4MHZ(イミダゾールヒドロキシメチル体)
*11:富士化成工業株式会社製フジキュアFXR-1030(変性脂肪族ポリアミン)
*12:三菱ケミカル株式会社製jERキュア113(変性脂肪族ポリアミン)
*13:四国化成工業株式会社P-0505(イミダゾールアダクト体)
*14:備北粉化工業株式会社ソフトン1800(炭酸カルシウム、平均粒径1.2μm)
*15:エボニック・デグサ・ジャパン株式会社製ACEMATT3300(非晶質シリカ、平均粒径9.5μm)
*16:信越化学工業株式会社SK-66(シリコーンオイル)
<評価>
(1)充填材の密着性(導電部)評価
内径が0.3mm、深さが3.2mmの貫通孔の内壁面全体に銅めっきからなる配線層(めっき厚25μm)を設けて形成されたスルーホールを有する厚さ3.2mmの多層プリント配線基板を準備し、スルーホールに各熱硬化性樹脂充填材をスクリーン印刷法により充填し、熱風循環式乾燥炉(ヤマト科学株式会社製DF610)にて150℃で30分加熱することにより熱硬化性樹脂充填材を硬化させた。充填材により穴埋めされた貫通孔の断面の光学顕微鏡観察および電子顕微鏡観察を行い、下記の基準により評価を行った。なお、顕微鏡観察を行うにあたり、観察する貫通孔の断面は以下のようにして形成した。すなわち、スルーホールを含む多層プリント配線板を厚さ方向に垂直に裁断し、裁断面にSiC研磨紙(丸本ストルアス株式会社製、500番および2000番)と研磨機(ハルツォク・ジャパン株式会社製、FORCIPOL-2V)を使用して、スルーホールの断面を研磨した。
○:導電部(配線層)と充填材との剥がれがない
△:導電部(配線層)と充填材とが僅かに剥がれている
×:導電部(配線層)と充填材とが明らかに剥がれている
評価結果は下記の表1および表2に示されるとおりであった。
(2)充填材の密着性(絶縁部)評価
絶縁層がガラス布/不繊布エポキシからなる厚み3.2mmのプリント配線基板にドリルにより内径0.5mmの貫通孔を形成して、貫通孔の内壁面に絶縁層を露出させた状態で、貫通孔に各熱硬化性樹脂充填材をスクリーン印刷法により充填し、熱風循環式乾燥炉(ヤマト科学株式会社製DF610)にて150℃で30分加熱することにより熱硬化性樹脂充填材を硬化させた。充填材により穴埋めされた貫通孔の断面の光学顕微鏡観察および電子顕微鏡観察を行い、下記の基準により評価を行った。なお、観察する貫通孔の断面は、上記(1)充填材の密着性(導電部)評価と同様にして行った。
○:絶縁部(絶縁層)と充填材との剥がれがない
△:絶縁部(絶縁層)と充填材とが僅かに剥がれている
×:絶縁部(絶縁層)と充填材とが明らかに剥がれている
評価結果は下記の表1および表2に示されるとおりであった。
(3)充填材の密着性(導電部/絶縁部)評価
(1)充填材の密着性(導電部)評価において用いた多層プリント配線基板に片面から深さ1.6mmまでドリル加工(ドリル径0.5mm)して配線層の一部を除去して絶縁層を露出させ、内壁に導電部と絶縁部とが形成されたスルーホールを有する多層プリント配線基板を準備し、スルーホールに各熱硬化性樹脂充填材をスクリーン印刷法により充填し、熱風循環式乾燥炉(ヤマト科学株式会社製DF610)にて150℃で30分加熱することにより熱硬化性樹脂充填材を硬化させた。充填材により穴埋めされた貫通の全体における断面の光学顕微鏡観察および電子顕微鏡観察を行い、下記の基準により評価を行った。なお、観察する貫通孔の断面は、上記(1)充填材の密着性(導電部)評価と同様にして研磨しておいた。
◎:導電部と絶縁部の両方に充填材との剥がれがない
○:導電部と絶縁部のいずれか一方に、充填材との僅かな剥がれがある
△:導電部と絶縁部の両方に、充填材との剥がれがある
×:導電部と絶縁部の両方に、充填材との明らかな剥がれがある
評価結果は下記の表1および表2に示されるとおりであった。
(4)充填状態の確認
スルーホールへの充填材の充填状態ついて以下の評価を行った。すなわち、(1)充填材の密着性(導電部)評価において用いた内径0.3mmの貫通孔を有する厚み3.2mmの多層プリント配線基板に片面から深さ1.6mmまでドリル加工(ドリル径0.5mm)して配線層の一部を除去して絶縁層を露出させ、内壁に導電部と絶縁部とが形成されたスルーホールを有する多層プリント配線基板を準備し、スルーホールに各熱硬化性樹脂充填材をスクリーン印刷法により充填し、ラックに立てかけて基板を90°±10°の角度に維持し、室温で30分間放置した。放置後の状態を目視にて確認した。判定基準は以下のとおりである。
◎:充填状態が維持されている。
○:若干の崩れが見られたが、スルーホール表面に凹みは無かった。
×:充填状態が崩れ、スルーホール表面に凹みが見られた。
評価結果は下記の表1および表2に示されるとおりであった。
(5)吸水性評価
各実施例および比較例の熱硬化性樹脂充填材をGTS-MP箔(古河サーキットフォイル株式会社製)の光沢面側(銅箔)上にアプリケーターにより塗布し、熱風循環式乾燥炉(ヤマト科学株式会社製DF610)にて150℃で30分間、硬化させた。その後、硬化物を銅箔より剥離し、測定サイズ(50mm×50mmのサイズ)にサンプルを切り出した後、100℃にて2時間乾燥を行い、水分を完全に除去し、精密天秤にて質量(W1)の測定を行った。その後、サンプルを23℃±2℃に管理された蒸留水に浸漬し、24時間後の質量(W2)の測定を行った。吸水率は(W2-W1)/W1×100(%)により求めた。
吸水性評価は、以下の基準により行った。
◎:吸水率1.0%未満
○:吸水率1.0%以上、1.5%未満
△:吸水率1.5%以上、2.0%未満
×:吸水率2.0%以上
評価結果は下記の表1および表2に示されるとおりであった。
(6)電気絶縁性評価
IPC-SM-840-Dに記載のIPC-B-25A くし型電極が形成されたFR-4基板上に、各実施例および比較例の熱硬化性樹脂充填材をスクリーン印刷法により印刷し、熱風循環式乾燥炉(ヤマト科学株式会社製DF610)にて150℃で30分加熱することにより熱硬化性樹脂充填材を硬化させて、硬化物パターンを形成し、絶縁抵抗測定用の評価基板を作製した。得られた評価基板の絶縁抵抗値を下記条件で測定し、初期値とした。初期値は、何れのサンプルも絶縁抵抗が1.0×1012Ω以上であることを確認した。その後、IPC-SM-840-D ClassH(25~65℃±2℃のサイクル、湿度90%+3%,-5%、VDC=50V、測定時100V、T=160h、Dクーポン、500メガΩ以上)に準拠して処理した絶縁抵抗値を下記条件で測定した。
絶縁抵抗の測定条件:
評価基板にDC100Vを印加し、絶縁抵抗値を測定した。前記処理後の絶縁抵抗値を以下の判定基準に従って評価した。
◎:絶縁抵抗が1.0×1011Ω以上
○:絶縁抵抗が1.0×1011Ω未満、1.0×1010Ω以上
△:絶縁抵抗が1.0×1010Ω未満、1.0×10Ω以上
×:絶縁抵抗が1.0×10Ω未満
評価結果は下記の表1および表2に示されるとおりであった。
(7)クラック評価
(1)充填材の密着性(導電部)評価において用いた多層プリント配線基板に片面から深さ1.6mmまでドリル加工(ドリル径0.5mm)して配線層の一部を除去して絶縁層を露出させ、内壁に導電部と絶縁部とが形成されたスルーホールを有する多層プリント配線基板を準備し、スルーホールに各熱硬化性樹脂充填材をスクリーン印刷法により充填し、熱風循環式乾燥炉(ヤマト科学株式会社製DF610)にて150℃で30分加熱することにより熱硬化性樹脂充填材を硬化させた。充填材により穴埋めされた貫通孔の断面の光学顕微鏡観察および電子顕微鏡観察を行い、下記の基準により評価を行った。なお、観察する貫通孔の断面は、上記(1)充填材の密着性(導電部)評価と同様にして研磨しておいた。
○:クラックを確認できない
△:わずかに小さいクラックが確認できる
×:大きなクラックを1カ所以上確認できる
評価結果は下記の表1および表2に示されるとおりであった。
Figure 0007185519000001
Figure 0007185519000002
表1および表2の評価結果からも明らかなように、3級アミンを有するエポキシ樹脂およびビスフェノール型骨格を有するエポキシ樹脂の2種のエポキシ樹脂に、活性温度が60℃以上130℃未満である硬化剤および活性温度が130℃以上である硬化剤の2種のエポキシ樹脂硬化剤を併用した熱硬化性樹脂充填材(実施例1~10)では、導電部および絶縁部の両方との密着性およびクラック耐性が優れ、かつ電気絶縁性にも優れているのに対し、3級アミンを有するエポキシ樹脂またはビスフェノール型骨格を有するエポキシ樹脂のいずれかのエポキシ樹脂に上記特定の2種のエポキシ樹脂硬化剤を併用した熱硬化性樹脂充填材(比較例1~5)では、導電部または絶縁部の密着性には優れるが、充填状態やクラック耐性は実施例に比べて悪く、導電部および絶縁部の両方との密着性が劣っていることがわかる。また、エポキシ樹脂としてビスフェノール型骨格を有するエポキシ樹脂を含まない熱硬化性樹脂充填材(比較例1、2、4、5)は吸水性が低く、電気絶縁性が劣ることがわかる。
また、3級アミンを有するエポキシ樹脂およびビスフェノール型骨格を有するエポキシ樹脂の2種のエポキシ樹脂に、活性温度が130℃以上であるエポキシ硬化剤のみを併用した熱硬化性樹脂充填材(比較例6)や、活性温度が60℃以上130℃未満であるエポキシ硬化剤のみを併用した熱硬化性樹脂充填材(比較例7)では、導電部および絶縁部の両方との密着性が優れ、かつ電気絶縁性にも優れているものの、クラック耐性に劣ることがわかる。
1 プリント配線板
2 貫通孔を有する多層プリント配線板
3 凹部を有する多層プリント配線板
4 内壁表面がめっきされた貫通孔
5 配線層
6 絶縁層
7 予備硬化物
8 外層絶縁層
10 絶縁層
10a 絶縁部
20a、20b、20c、20d 配線層
30a、30b、30c、30d 配線層
40 貫通孔
50a、50b、50c、配線層
20e、30e、50d 導電部
60 底部
70 凹部

Claims (9)

  1. エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤と無機フィラーとを含み、
    前記エポキシ樹脂が、3級アミンを有するエポキシ樹脂とビスフェノール型骨格を有するエポキシ樹脂とを含み、
    前記ビスフェノール型骨格を有するエポキシ樹脂が、ビスフェノールA型骨格を有するエポキシ樹脂、およびビスフェノールF型骨格を有するエポキシ樹脂の少なくとも2種を含み、
    前記エポキシ樹脂硬化剤が、前記エポキシ樹脂の硬化において活性温度が60℃以上130℃未満である硬化剤および活性温度が130℃以上である硬化剤の少なくとも2種の硬化剤を含む、ことを特徴とする、熱硬化性樹脂充填材。
  2. 前記3級アミンを有するエポキシ樹脂と前記ビスフェノール型骨格を有するエポキシ樹脂とが、質量基準において20:80~90:10の割合で含まれる、請求項1に記載の熱硬化性樹脂充填材。
  3. 前記エポキシ樹脂が、固形のエポキシ樹脂を実質的に含まない、請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂充填材。
  4. 前記活性温度が60℃以上130℃未満である硬化剤と活性温度が130℃以上である硬化剤とが、質量基準において1:99~99:1の割合で含まれる、請求項1~のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂充填材。
  5. 前記活性温度が60℃以上130℃未満である硬化剤が、2-エチル-4-メチルイミダゾールおよび2-メチルイミダゾールからなる群より選択される少なくとも1種のイミダゾール化合物と液状エポキシ化合物との反応物である、請求項1~のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂充填材。
  6. 前記無機フィラーが、炭酸カルシウム、シリカ、硫酸バリウムおよび酸化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1~のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂充填材。
  7. 前記無機フィラーの平均粒径が、0.1μm~15μmである、請求項1~のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂充填材。
  8. 請求項1~のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂充填材の硬化物。
  9. 請求項に記載の硬化物を有する多層プリント配線板。
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